(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124241
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】木製柱と梁との接合構造
(51)【国際特許分類】
E04B 1/58 20060101AFI20240905BHJP
E04B 1/26 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
E04B1/58 506L
E04B1/26 G
E04B1/58 505L
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032252
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000000549
【氏名又は名称】株式会社大林組
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】清水 大樹
(72)【発明者】
【氏名】藁科 誠
【テーマコード(参考)】
2E125
【Fターム(参考)】
2E125AA03
2E125AA13
2E125AB12
2E125AC23
2E125AG45
2E125BB02
2E125BE07
2E125BE08
2E125BF05
2E125CA05
2E125CA79
(57)【要約】
【課題】木製柱に梁をピン接合することが可能な木製柱と梁との接合構造を提供することである。
【解決手段】木製柱10と梁20との接合構造1A、1Bであって、ピン部材31によって木製柱10に設けられた溝12の内部に保持された柱側ガセットプレート30と、柱側ガセットプレート30に設けられ、木製柱10の側方に配置された柱側接合部32と、梁20に設けられた梁側接合部42と、柱側接合部32の貫通孔32aと梁側接合部42の貫通孔42aとを貫通するボルト51と、ボルト51にねじ結合したナット52とを備え、柱側接合部32と梁側接合部42とを締結する締結手段50と、を有することを特徴とする木製柱と梁との接合構造1A、1B。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
木製柱と梁との接合構造であって、
ピン部材によって前記木製柱に設けられた溝の内部に保持された柱側ガセットプレートと、
前記柱側ガセットプレートに設けられ、前記木製柱の側方に配置された柱側接合部と、
前記梁に設けられた梁側接合部と、
前記柱側接合部の貫通孔と前記梁側接合部の貫通孔とを貫通するボルトと、前記ボルトにねじ結合したナットとを備え、前記柱側接合部と前記梁側接合部とを締結する締結手段と、を有することを特徴とする木製柱と梁との接合構造。
【請求項2】
前記柱側接合部が、前記柱側ガセットプレートの側方に水平姿勢で配置されており、
前記梁側接合部が、前記梁に水平姿勢で設けられて前記柱側接合部の上に重ねられている、請求項1に記載の木製柱と梁との接合構造。
【請求項3】
前記梁が木製梁であり、
梁側ガセットプレートが、ピン部材によって前記木製梁に設けられた溝の内部に保持されており、
前記梁側接合部が前記梁側ガセットプレートの側方に水平姿勢で配置されている、請求項2に記載の木製柱と梁との接合構造。
【請求項4】
前記梁が鉄骨梁であり、
前記梁側接合部が前記鉄骨梁に水平姿勢で固定されている、請求項2に記載の木製柱と梁との接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、木製柱と梁との接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば研修施設、社員寮、集合住宅などの建築物として、環境対策のために、その躯体の一部を木製の柱を用いた木造としたものが知られている。
【0003】
従来、このような建築物の躯体における木製柱に梁を接合する接合構造として、上下に分割した木製柱の間に鋼材で形成された仕口部材を設け、梁を仕口部材に剛接合するようにした接合構造が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
また、木製柱に木製梁を接合する場合には、木製柱に形成された凹部に木製梁に形成された凸部が差し込まれるなどして木製梁が木製柱に剛接合されるのが一般的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
木製柱に梁を接合する接合構造として、上記従来の接合構造のように木製柱に梁を剛接合するものは知られているが、木製柱に梁をピン接合する接合構造は知られておらず、木製柱に梁をピン接合することが可能な木製柱と梁との接合構造が求められていた。
【0007】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、木製柱に梁をピン接合することが可能な木製柱と梁との接合構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の木製柱と梁との接合構造は、木製柱と梁との接合構造であって、ピン部材によって前記木製柱に設けられた溝の内部に保持された柱側ガセットプレートと、前記柱側ガセットプレートに設けられ、前記木製柱の側方に配置された柱側接合部と、前記梁に設けられた梁側接合部と、前記柱側接合部の貫通孔と前記梁側接合部の貫通孔とを貫通するボルトと、前記ボルトにねじ結合したナットとを備え、前記柱側接合部と前記梁側接合部とを締結する締結手段と、を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の木製柱と梁との接合構造は、上記の構成において、前記柱側接合部が、前記柱側ガセットプレートの側方に水平姿勢で配置されており、前記梁側接合部が、前記梁に水平姿勢で設けられて前記柱側接合部の上に重ねられているのが好ましい。
【0010】
本発明の木製柱と梁との接合構造は、上記の構成において、前記梁が木製梁であり、梁側ガセットプレートが、ピン部材によって前記木製梁に設けられた溝の内部に保持されており、前記梁側接合部が前記梁側ガセットプレートの側方に水平姿勢で配置されているのが好ましい。
【0011】
本発明の木製柱と梁との接合構造は、上記の構成において、前記梁が鉄骨梁であり、前記梁側接合部が前記鉄骨梁に水平姿勢で固定されているのが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、木製柱に梁をピン接合することが可能な木製柱と梁との接合構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る木製柱と梁との接合構造の正面視での断面図である。
【
図3】
図1に示す接合部の部分の分割斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の一実施形態に係る木製柱と梁との接合構造について詳細に例示説明する。
【0015】
図1、
図2に示す本発明の一実施形態に係る木製柱と梁との接合構造1A、1B(以下、単に「接合構造1A、1B」とする。)は、例えば研修施設、社員寮、集合住宅などの建築物2において、その躯体3の一部を木造とする場合に、木造部分を構成する木製柱10と梁20とを接合するために用いることができるものである。
【0016】
本実施形態では、建築物2の躯体3を構成する木製柱10には、接合構造1Aによって、躯体3を構成する2本の木製梁20aがピン接合されるとともに、接合構造1Bによって躯体3を構成する1本の鉄骨梁20bがピン接合されている。
【0017】
木製柱10は、木材により形成された柱であり、鉛直方向に沿って真っ直ぐに延びている。本実施形態では、木製柱10は断面が正方形である。なお、木製柱10の断面形状は、正方形に限られず、例えば矩形形状などの種々の形状であってよい。
【0018】
図1に示す正面視において、木製柱10の一方の側面に接合構造1Aによって一方の木製梁20aが接合され、木製柱10の一方の側面とは反対側を向く他方の側面に接合構造1Aによって他方の木製梁20aが接合されている。また、
図2に示すように、木製柱10の一対の側面に連なる背面に接合構造1Bによって木製梁20aと垂直な方向に延びる鉄骨梁20bが接合されている。
【0019】
図2に示すように、木製柱10は、その外周面が、石膏ボードなどの耐火板、断熱材、化粧板などの1枚ないし複数枚の被覆材11で覆われた構成とすることもできる。この場合、木製柱10を覆う被覆材11と連続して設けられた被覆材11により、木製柱10に接合された木製梁20aの外周面と接合構造1Aとを覆うようにしてもよい。
【0020】
木製柱10に対する2本の木製梁20aの接合構造1Aは、互いに対称である以外は基本的に同一の構成であるので、以下では、木製柱10と一方の木製梁20aとの接合構造1Aについてのみ説明し、木製柱10と他方の木製梁20aとの接合構造1Aについては、木製柱10と一方の木製梁20aとの接合構造1Aと同一の符号を付して説明を省略する。なお、木製柱10と鉄骨梁20bとの接合構造1Bについては後述する。
【0021】
木製柱10は、木製梁20aが接合される側面に溝12を有している。本実施形態では、溝12は、上下方向に延びるとともに
図1に示す正面視で縦長の矩形形状となっており、木製柱10の側面に開口するとともに所定の深さを有している。溝12の溝幅(水平方向の幅)は、その全体において略一定である。溝12は、溝幅の寸法が深さ寸法及び高さ寸法よりも十分に小さい、上下方向に細長い溝となっている。
【0022】
木製柱10の溝12の内部には、柱側ガセットプレート30が配置されている。柱側ガセットプレート30は、木製柱10の溝12に対応した形状の矩形板状となっており、溝12に差し込まれてその全体が溝12の内部に配置されている。柱側ガセットプレート30は、例えば鋼板で形成されたものとすることができる。
【0023】
柱側ガセットプレート30は、固定用の孔30aを有している。本実施形態では、柱側ガセットプレート30は、
図1に示す正面視で左右に2列、上下に4段に配置された8個の断面円形の孔30aを有している。なお、
図1においては、便宜上、1つの孔30aにのみ符号を付している。
【0024】
図2に示すように、木製柱10には挿通孔10aが設けられている。挿通孔10aは、
図2において下方側を向く木製柱10の正面に開口するとともに、そこから所定の深さにまで真っ直ぐに延び、その途中で溝12を横断している。本実施形態では、木製柱10には、柱側ガセットプレート30に設けられた8個の断面円形の孔30aに対応した配置で8個の断面円形の挿通孔10aが設けられている。溝12に配置された柱側ガセットプレート30の8個の孔30aは、それぞれ木製柱10に設けられた対応する挿通孔10aと同軸に配置されている。
【0025】
なお、柱側ガセットプレート30に設けられる孔30aの数及び木製柱10に設けられる挿通孔10aの数は、互いに同数であれば種々変更可能である。
【0026】
木製柱10に設けられた挿通孔10aにはピン部材31が挿入されている。本実施形態では、ピン部材31は、断面が円形であるとともにその外径が柱側ガセットプレート30の孔30a及び木製柱10の挿通孔10aの外径と略同径のドラフトピンである。ピン部材31は、挿通孔10aの内部に圧入され、柱側ガセットプレート30に設けられた孔30aに挿通されるとともに溝12を横断して溝12の両側において挿通孔10aすなわち木製柱10に支持されている。このような構成により、溝12の内部に配置された柱側ガセットプレート30は、ピン部材31によって係止されて木製柱10の溝12の内部に保持ないし固定されている。
【0027】
本実施形態では、ピン部材31としてドリフトピンを用い、ピン部材31を孔30a及び挿通孔10aに圧入した構成としたので、柱側ガセットプレート30を溝12の内部においてがたつきを生じさせることなく木製柱10に固定することができるとともに、ピン部材31の挿通孔10aからの抜けを抑制することができる。
【0028】
なお、ピン部材31は、挿通孔10a及び孔30aに挿通されて柱側ガセットプレート30を溝12の内部に保持できれば、ドラフトピンに限らず種々の形状ないし構成のピンであってもよい。
【0029】
柱側ガセットプレート30には柱側接合部32が設けられている。柱側接合部32は、柱側ガセットプレート30の溝12の開口の側の端部に設けられ、木製柱10の側方に配置されている。
【0030】
より具体的には、
図3に示すように、柱側ガセットプレート30の側面には、鋼板により直角三角形状に形成された支持体33が、柱側ガセットプレート30と同一面状且つ上辺33aを上向きに水平とした姿勢で溶接により固定されている。柱側接合部32は、鋼板により矩形の板状に形成されており、支持体33の上辺33aに幅方向中央部分において溶接により固定されている。これにより、柱側接合部32は、柱側ガセットプレート30の側方に水平姿勢で配置されている。なお、本実施形態では、支持体33は直角三角形状に形成されたものであるが、例えば長方形状に形成されたものなど、その形状は種々変更可能である。
【0031】
図2、
図3に示すように、柱側接合部32には貫通孔32aが設けられている。本実施形態では、柱側接合部32には、支持体33を挟んで配置された一対の貫通孔32aが設けられている。これらの貫通孔32aは、それぞれ木製柱10の側面に垂直な方向に延びる長孔となっている。
【0032】
一方、
図1、
図2に示すように、木製梁20aは、木製柱10の側を向く端面に溝21を有している。本実施形態では、溝21は、
図1に示す正面視で矩形の形状となっており、木製梁20aの木製柱10の側を向く端面に開口するとともに下方にも開口している。溝21の溝幅(水平方向の幅)は、その全体において略一定である。溝21は、溝幅の寸法が深さ寸法及び高さ寸法よりも十分に小さい、上下方向に細長い溝となっている。
【0033】
木製梁20aの溝21の内部には、梁側ガセットプレート40が配置されている。梁側ガセットプレート40は、木製梁20aの溝21に対応した形状の矩形板状となっており、溝21に差し込まれてその全体が溝21の内部に配置されている。梁側ガセットプレート40は、例えば鋼板で形成されたものとすることができる。
【0034】
梁側ガセットプレート40は、固定用の孔40aを有している。本実施形態では、梁側ガセットプレート40は、
図1に示す正面視で左右に3列、上下に5段に配置された15個の断面円形の孔40aを有している。なお、
図1においては、便宜上、1つの孔40aにのみ符号を付している。
【0035】
図2に示すように、木製梁20aには挿通孔20cが設けられている。挿通孔20cは木製梁20aを真っ直ぐに貫通して
図2において上下方側を向く木製梁20aの正面及び背面に開口しており、その途中で溝21を横断している。本実施形態では、木製梁20aには、梁側ガセットプレート40に設けられた15個の断面円形の孔40aに対応した配置で15個の断面円形の挿通孔20cが設けられている。溝21に配置された梁側ガセットプレート40の15個の孔40aは、それぞれ木製梁20aに設けられた対応する挿通孔20cと同軸に配置されている。
【0036】
なお、梁側ガセットプレート40に設けられる孔40aの数及び木製梁20aに設けられる挿通孔20cの数は、互いに同数であれば種々変更可能である。
【0037】
木製梁20aに設けられた挿通孔20cにはピン部材41が挿入されている。本実施形態では、ピン部材41は、断面が円形であるとともにその外径が梁側ガセットプレート40の孔40a及び木製梁20aの挿通孔20cの外径と略同径のドラフトピンである。ピン部材41は、挿通孔20cに圧入され、梁側ガセットプレート40に設けられた孔40aに挿通されるとともに溝21を横断して溝21の両側において挿通孔20cすなわち木製梁20aに支持されている。このような構成により、溝21の内部に配置された梁側ガセットプレート40は、ピン部材41によって係止されて木製梁20aの溝21の内部に保持ないし固定されている。
【0038】
本実施形態では、ピン部材41としてドリフトピンを用い、ピン部材41を孔40a及び挿通孔20cに圧入した構成としたので、梁側ガセットプレート40を溝21の内部においてがたつきを生じさせることなく木製梁20aに固定することができるとともに、ピン部材41の挿通孔20cからの抜けを抑制することができる。
【0039】
なお、ピン部材41は、挿通孔20c及び孔40aに挿通されて梁側ガセットプレート40を溝21の内部に保持できれば、ドラフトピンに限らず種々の形状ないし構成のピンであってもよい。
【0040】
梁側ガセットプレート40には梁側接合部42が設けられている。梁側接合部42は、梁側ガセットプレート40の木製柱10の側を向く端部に設けられ、梁側ガセットプレート40の側方に水平姿勢で配置されている。
【0041】
より具体的には、
図3に示すように、梁側ガセットプレート40の側面には、鋼板により直角三角形状に形成された支持体43が、梁側ガセットプレート40と同一面状且つ下辺43aを下向きに水平とした姿勢で溶接により固定されている。梁側接合部42は、鋼板により、柱側接合部32と同一形状の矩形の板状に形成されており、支持体43の下辺43aに幅方向中央部分において溶接により固定されている。これにより、梁側接合部42は、梁側ガセットプレート40の側方に水平姿勢で配置されている。なお、本実施形態では、支持体43は直角三角形状に形成されたものであるが、例えば長方形状に形成されたものなど、その形状は種々変更可能である。
【0042】
梁側接合部42には貫通孔42aが設けられている。本実施形態では、梁側接合部42には、支持体43を挟んで配置された一対の貫通孔42aが設けられている。これらの貫通孔42aは、それぞれ木製柱10の側面に垂直な方向(木製梁20aの軸方向)に延びる長孔となっている。
【0043】
梁側ガセットプレート40の側方に水平姿勢で配置された梁側接合部42は、木製柱10の側面と木製梁20aの端面との間において、柱側ガセットプレート30の側方に水平姿勢で配置された柱側接合部32の上に重ねられている。このとき、柱側接合部32の貫通孔32aと梁側接合部42の貫通孔42aは互いに重なっている。
【0044】
柱側接合部32と柱側接合部32の上に重ねられた梁側接合部42は、締結手段50によって締結されている。より具体的には、柱側接合部32の貫通孔32aと梁側接合部42の貫通孔42aとに締結手段50を構成するボルト51が挿通され、貫通孔32a、42aを貫通したボルト51にナット52がねじ結合されることで、柱側接合部32と梁側接合部42とが締結されている。なお、ボルト51としては、柱側接合部32と梁側接合部42とを所定の強度で締結することができるものであれば、中ボルト、高力ボルトなど、種々のボルトを用いることができる。
【0045】
本実施形態では、柱側接合部32の貫通孔32aと梁側接合部42の貫通孔42aは、それぞれ長孔となっているので、木製柱10の側面に対する木製梁20a端面の当該側面ないし端面に垂直な方向の位置ずれを長孔に形成された貫通孔32a、42bで吸収してボルト51を貫通孔32a、42bに容易に挿通させることができる。
【0046】
上記の通り、本実施形態に係る接合構造1Aでは、木製柱10に設けた溝12の内部にピン部材31によって柱側ガセットプレート30を保持ないし固定し、木製梁20aに設けた溝21の内部にピン部材41によって梁側ガセットプレート40を保持ないし固定するとともに、柱側ガセットプレート30に設けた柱側接合部32と梁側ガセットプレート40に設けた梁側接合部42とを、柱側接合部32の貫通孔32aと梁側接合部42の貫通孔42aとを貫通するボルト51とボルト51にねじ結合するナット52とを有する締結手段50によって締結するようにしたので、木製梁20aを木製柱10にピン接合することができる。
【0047】
したがって、本実施形態に係る接合構造1Aによれば、躯体3の一部を木造とした建築物2において、木製柱10に梁20をピン接合することを可能として、建築物2の設計の自由度を高めることができる。
【0048】
また、本実施形態に係る接合構造1Aによれば、木製柱10に設けた溝12の内部にピン部材31によって柱側ガセットプレート30を保持ないし固定するようにしたので、木製柱10の外周面に柱側ガセットプレート30やボルト等が配置されて木製柱10の外形形状に凹凸等が生じることを無くしつつ柱側ガセットプレート30を木製柱10に固定することができる。したがって、本実施形態に係る接合構造1Aによれば、木製柱10の美観を損なうことなく木製梁20aを木製柱10にピン接合することができる。
【0049】
さらに、本実施形態に係る接合構造1Aによれば、柱側接合部32を柱側ガセットプレート30の側方に水平姿勢で配置し、梁側接合部42を木製梁20a(梁20)に水平姿勢で設けて柱側接合部32の上に重ねて配置するようにしたので、柱側接合部32に加わる木製梁20aの鉛直方向荷重が確実に柱側接合部32により支持されるようにして、木製梁20aの木製柱10への接合強度を高めることができる。
【0050】
さらに、本実施形態に係る接合構造1Aによれば、梁20を木製梁20aとして梁側ガセットプレート40をピン部材41によって木製梁20aに設けられた溝21の内部に保持ないし固定するようにしたので、木製梁20aの外周面に梁側ガセットプレート40やボルト等が配置されて木製梁20aの外形形状に凹凸等が生じることを無くしつつ梁側ガセットプレート40を木製梁20aに固定することができる。したがって、本実施形態に係る接合構造1Aによれば、木製梁20aの美観を損なうことなく木製梁20aを木製柱10にピン接合することができる。
【0051】
次に、木製柱10と鉄骨梁20bとを接合する接合構造1Bについて説明する。
【0052】
図2、
図4に示すように、接合構造1Bの木製柱10の側の構造は、接合構造1Aの木製柱10の側の構造と同様である。すなわち、木製柱10に設けた溝12の内部に柱側ガセットプレート30が配置され、木製柱10に設けられた挿通孔10aと柱側ガセットプレート30に設けられた孔30aとにピン部材31が圧入されることによって柱側ガセットプレート30がピン部材31によって溝12に保持ないし固定されるとともに、溝12に保持ないし固定された柱側ガセットプレート30の側方に支持体33により支持されて柱側接合部32が水平姿勢で配置されている。
【0053】
一方、鉄骨梁20bは、その木製柱10の側を向く端部の下方側部分に、支持体33及び柱側接合部32が配置される切欠き22を備えており、梁側接合部42が、鉄骨梁20bの切欠き22により生じた下辺部分に水平姿勢で溶接により固定されている。梁側接合部42は、柱側接合部32と同様の形状すなわち鋼板により矩形の板状に形成されており、一対の長孔となる貫通孔42aを備えている。
【0054】
梁側接合部42は柱側ガセットプレート30の側方に水平姿勢で配置された柱側接合部32の上に重ねられており、柱側接合部32の貫通孔32aと梁側接合部42の貫通孔42aは互いに重なっている。
【0055】
柱側接合部32と柱側接合部32の上に重ねられた梁側接合部42は、接合構造1Aの場合と同様に、締結手段50によって締結されている。すなわち、柱側接合部32の貫通孔32aと梁側接合部42の貫通孔42aとに締結手段50を構成するボルト51が挿通され、貫通孔32a、42aを貫通したボルト51にナット52がねじ結合されることで、柱側接合部32と梁側接合部42とが締結されている。この場合においても、ボルト51としては、柱側接合部32と梁側接合部42とを所定の強度で締結することができるものであれば、中ボルト、高力ボルトなど、種々のボルトを用いることができる。
【0056】
このように、本実施形態に係る接合構造1Bにおいても、木製柱10に設けた溝12の内部にピン部材31によって柱側ガセットプレート30を保持ないし固定し、柱側ガセットプレート30に設けた柱側接合部32と鉄骨梁20bに水平姿勢で固定した梁側接合部42とを、柱側接合部32の貫通孔32aと梁側接合部42の貫通孔42aとを貫通するボルト51とボルト51にねじ結合するナット52とを有する締結手段50によって締結することで、鉄骨梁20bを木製柱10にピン接合することができる。
【0057】
このように、本実施形態に係る接合構造1A、1Bによれば、躯体3の一部を木造とした建築物2において、梁20が木製梁20a、鉄骨梁20bの何れの場合であっても、木製柱10に梁20をピン接合することを可能として、建築物2の設計の自由度を高めることができる。
【0058】
本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【0059】
例えば、前記実施形態では、1本の木製柱10に、接合構造1Aにより2本の木製梁20aをピン接合するとともに接合構造1Bにより1本の鉄骨梁20bをピン接合した場合を示しているが、木製柱10に少なくとも1本の梁20が接合されていればよい。
【0060】
また、前記実施形態に係る接合構造1A、1Bによって木製柱10にピン接合される梁20は、木製梁20aないし鉄骨梁20bに限らず、例えばPC梁などの他の構成の梁であってもよい。
【0061】
さらに、前記実施形態では、柱側接合部32と梁側接合部42は、それぞれ水平姿勢で配置されて互いに重ねられた構成とされているが、これに限らず、水平姿勢以外の姿勢で互いに締結手段50で締結されてもよい。
【0062】
さらに、前記実施形態では、柱側接合部32は柱側ガセットプレート30に支持体33を介して固定された構成とされているが、これに限らず、柱側ガセットプレート30に支持されていれば、例えば、柱側ガセットプレート30の側部に直接溶接によって固定された構成、あるいは、柱側ガセットプレート30と一体に設けられて柱側ガセットプレート30に対して曲げ加工されて形成されたものなど、他の構成であってもよい。
【符号の説明】
【0063】
1A 接合構造
1B 接合構造
2 建築物
3 躯体
10 木製柱
10a 挿通孔
11 被覆材
12 溝
20 梁
20a 木製梁
20b 鉄骨梁
20c 挿通孔
21 溝
22 切欠き
30 柱側ガセットプレート
30a 孔
31 ピン部材
32 柱側接合部
32a 貫通孔
33 支持体
33a 上辺
40 梁側ガセットプレート
40a 孔
41 ピン部材
42 梁側接合部
42a 貫通孔
43 支持体
43a 下辺
50 締結手段
51 ボルト
52 ナット