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  • 特開-振動吸収部材の保護構造 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124252
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】振動吸収部材の保護構造
(51)【国際特許分類】
   F01N 13/08 20100101AFI20240905BHJP
   B60K 13/04 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
F01N13/08 Z
B60K13/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032269
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】390010227
【氏名又は名称】株式会社三五
(74)【代理人】
【識別番号】100101535
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 好道
(74)【代理人】
【識別番号】100161104
【弁理士】
【氏名又は名称】杉山 浩康
(72)【発明者】
【氏名】五十川 康博
【テーマコード(参考)】
3D038
3G004
【Fターム(参考)】
3D038BA02
3D038BA13
3D038BA16
3D038BA17
3D038BB01
3D038BC20
3G004AA01
3G004BA04
3G004EA03
(57)【要約】
【課題】路面凸部等との接触による変形等により、振動吸収部材と接触し異音が発生することを抑制できる振動吸収部材の保護構造を提案する。
【解決手段】車両に搭載された排気管2,4に介装された振動吸収部材3の保護構造であって、振動吸収部材3より上流側に位置する排気管2に、排気管2の外面より外側に突出するガード部材5を固設し、ガード部材5が、排気管2の軸と直交する平面上に延在し、車両搭載時において、ガード部材5の最下端が、振動吸収部材3の最下端よりも下方に位置するようにした。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両に搭載された排気管に介装された振動吸収部材の保護構造であって、
前記振動吸収部材より上流側に位置する排気管に、該排気管の外面より外側に突出するガード部材を固設し、該ガード部材が、前記排気管の軸と直交する平面上に延在し、
車両搭載時において、前記ガード部材の最下端が、前記振動吸収部材の最下端よりも下方に位置するようにしたことを特徴とする振動吸収部材の保護構造。
【請求項2】
前記振動吸収部材を、フレキシブルパイプで構成したことを特徴とする請求項1記載の振動吸収部材の保護構造。
【請求項3】
前記ガード部材を複数設け、各ガード部材の最下端の位置が異なることを特徴とする請求項1又は2記載の振動吸収部材の保護構造。
【請求項4】
各ガード部材の最下端の位置が、前記振動吸収部材に近いほど、下方に位置することを特徴とする請求項3記載の振動吸収部材の保護構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、振動吸収部材の保護構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、内燃機関の排気管に、内燃機関の振動をその下流側に位置する排気管への伝達を抑制するために、フレキシブルパイプやボールジョイント(球面継手)が介装されている。このフレキシブルパイプやボールジョイントは、車両搭載時に床下に設けられることが多く、路面の凸部等との干渉による不具合が懸念される。
【0003】
このフレキシブルパイプを路面の凸部等から保護する保護構造として、薄板を成形しカバーにより、フレキシブルパイプの前部下方を覆い、フレキシブルパイプを保護する保護構造が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、中実の棒材からなるガード部材を、ボールジョイントの前方に位置する排気管に固設し、ガード部材には、下流側に位置するほど下方に位置する傾斜部を設け、傾斜部によりボールジョイントの構成フランジを保護する保護構造が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6269525号公報
【特許文献2】特開2005-180403公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記特許文献1記載の保護構造においては、カバーを薄板で形成しているため、路面凸部等の干渉により、容易に変形、破損したり、カバーの倒れ込みにより、フレキシブルパイプと接触し、異音が発生する虞がある。
【0007】
また、上記特許文献2記載の保護構造は、特許文献1のカバーより剛性が高いものの傾斜部が長く、路面凸部等により倒れ込みを免れないため、ボールジョイントの構成フランジと接触し、異音が発生する虞がある。
【0008】
そこで、本発明は、路面凸部等との接触による変形等により、振動吸収部材と接触し異音が発生することを抑制できる振動吸収部材の保護構造を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の課題を解決するために、本発明は、車両に搭載された排気管に介装された振動吸収部材の保護構造であって、
前記振動吸収部材より上流側に位置する排気管に、該排気管の外面より外側に突出するガード部材を固設し、該ガード部材が、前記排気管の軸と直交する平面上に延在し、
車両搭載時において、前記ガード部材の最下端が、前記振動吸収部材の最下端よりも下方に位置するようにしたことを特徴とするものである。
【0010】
また、前記振動吸収部材を、フレキシブルパイプで構成してもよい。
【0011】
また、前記ガード部材を複数設け、各ガード部材の最下端の位置が異なってもよい。
【0012】
また、各ガード部材の最下端の位置が、前記振動吸収部材に近いほど、下方に位置してもよい。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、振動吸収部材より上流側に位置する排気管に、排気管の外面より外側に突出するガード部材を固設し、ガード部材が、排気管の軸と直交する平面上に延在し、車両搭載時において、前記ガード部材の最下端が、前記振動吸収部材の最下端よりも下方に位置するようにしたことにより、ガード部材が、路面の凸部等との接触による変形等により、振動吸収部材と接触し異音が発生することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施例1に係る振動吸収部材の保護構造を有する排気系を示す側面図。
図2図1のA-A線断面図。
図3】本発明の実施例2に係る振動吸収部材の保護構造を有する排気系の一例を示す側面図。
図4】本発明の実施例2に係る振動吸収部材の保護構造を有する排気系の他例を示す側面図。
図5】本発明の実施例3に係る振動吸収部材の保護構造を有する排気系を示す側面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の振動吸収部材の保護構造に係る実施の形態を図に示す実施例に基づいて説明する。
【0016】
[実施例1]
図1は、本発明の実施例1の振動吸収部材の保護構造1の側面図で、図2は、図1のA-A線断面図である。
【0017】
振動吸収部材の保護構造1は、第1排気管2と振動吸収部材3とガード部材5を備えている。
【0018】
第1排気管2の上流には、図示しない車両の内燃機関が連結され、この内燃機関から排出された排気ガスが流通するようになっている。
【0019】
第1排気管2の下流側には、振動吸収部材3が接続され、振動吸収部材3の下流側には第2排気管4が接続されている。すなわち、排気管2、4に振動吸収部材3に介装されている。
【0020】
振動吸収部材3は、内燃機関の振動をその下流側に位置する第2排気管4への伝達を抑制するものであり、本実施例では、フレキシブルパイプを用いた。フレキシブルパイプとして、例えば、伸縮可能な筒状のベローズと、ベローズの外周を覆うように設けられ、ワイヤを平織りして筒状に形成されたカバーで構成されたものを用いることができる。
【0021】
なお、振動吸収部材3は、内燃機関の振動をその下流側に位置する第2排気管4への伝達を抑制するものであれば、フレキシブルパイプ以外にも、ボールジョイント(球面継手)等で構成してもよい。
【0022】
振動吸収部材3の上流側に位置し、円筒形状の第1排気管2の下側で、かつ、振動吸収部材3の近傍には、中実材で形成された堅牢なガード部材5が固設されている。ガード部材5は、第1排気管2の外面2aより外側方向に突出し、第1排気管2とは別部材で構成されている。本実施例では、ガード部材5を、第1排気管2とは別部材の中実材で構成したが、同様の堅牢性が担保されるのであれば中空パイプで構成してもよい。なお、上記の堅牢とは、通常走行において路面等との衝接で変形しない程度の強度を有するという意味である。
【0023】
ガード部材5が、第1排気管2の軸X-Xと直交する同一平面B上に延在するように、第1排気管2の外面2aから外側に突出するとともに、第1排気管2の周方向に形成されている。ガード部材5における厚み方向のC状の中心線が、第1排気管2の軸X-Xと直交する同一平面B上に位置するように形成されている。
【0024】
ガード部材5における第1排気管2の軸X-Xを通る縦断面形状は、図1に示すように、円弧状となるように形成されている。なお、上記ガード部材5の縦断面形状は、円弧状以外にも、三角形状や四角形状等、任意の形状に形成することができる。
【0025】
また、ガード部材5は、図2に示すように、車両搭載時において、第1排気管2の少なくとも下端に位置する部分に設けられるとともに、周方向に延在するように形成され、その周方向の長さは任意に設定することができる。
【0026】
車両搭載時において、ガード部材5の最下端は、振動吸収部材3の最下端より下方に位置するようになっている。このガード部材5の最下端が、一般的には、車両の最低地上高となる。
【0027】
車両搭載時において、ガード部材5の最下端は、振動吸収部材3の最下端より下方に位置していることにより、車両走行時に、路面の凸部等にガード部材5が、接触した際に、堅牢なガード部材5自体が変形することなく、排気系全体が上方に移動し、振動吸収部材3が路面の凸部等と接触し損傷することを避け、振動吸収部材3を保護することができる。
【0028】
ガード部材5を、第1排気管2の軸X-Xと直交する平面B上に延在するように形成したことにより、ガード部材5が路面の凸部等と想定外の衝撃で変形してしまった場合においても、ガード部材5の一部が、振動吸収部材3と接触し異音が生じることを抑制できる。
【0029】
また、ガード部材5の断面積の変更等で、容易に強度を調整することができ、様々な車両に搭載することができる。
【0030】
また、ガード部材5は、振動吸収部材3の下方に位置する部分が生じないため、上記特許文献1、2の保護構造のものより、車両に対して振動吸収部材3を低い位置に搭載できる。
【0031】
[実施例2]
上記実施例1においては、ガード部材5を、第1排気管2に1つ設けたが、図3, 図4に示すように、複数本のガード部材15a,15b,15cを車両の前後方向に隣接して設けてもよい。各ガード部材15a,15b,15cは、上記実施例のガード部材5と同様に構成されている。
【0032】
各ガード部材15a,15b,15cの最下端の位置を、図3に示すように、全て異なるように形成してもよいし、図4に示すように全て同じとなるように形成してもよい。
【0033】
また、各ガード部材15a,15b,15cの前後方向の厚みは、図3図4に示すように、全て同じとしてもよいし、異なるように形成してもよい。
【0034】
その他の構造は、上記実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
【0035】
本実施例2においても、上記実施例1と同様の作用、効果を奏する。
【0036】
更に、ガード部材15a,15b,15cを複数設けたことにより、振動吸収部材3保護構造としての耐衝撃性を向上することができる。
【0037】
[実施例3]
上記実施例2の複数設けたガード部材15a,15b,15cを、図5に示すように、その最下端の位置が、下流側に向かう程、すなわち、振動吸収部材3に近いほど下方に位置するようにしてもよい。
【0038】
その他の構造は、上記実施例1と同様であるのでその説明を省略する。
【0039】
本実施例3においても、上記実施例1、2と同様の作用、効果を奏する。
【0040】
更に、複数設けたガード部材15a,15b,15cの最下端の位置を、下流側に向かう程ほど下方に位置することにより、より路面の凸部等を後方へいなすことができる。
【符号の説明】
【0041】
1 振動吸収部材の保護構造
2,4 排気管
3 振動吸収部材
5,15a,15b,15c ガード部材
図1
図2
図3
図4
図5