(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124253
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】情報処理プログラム、情報処理方法、および情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240905BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032271
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上野 優
(72)【発明者】
【氏名】二村 和明
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC22
5L050CC22
(57)【要約】 (修正有)
【課題】証明書の選択的開示をより高速に処理できる情報処理プログラム、情報処理方法及び情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置10と、検証者装置100-1~nと、発行者装置200-1~mがネットワーク50を介して相互に通信可能に接続される情報処理システム1において、情報処理装置は、証明書において組として要求された項目である共起クレームを検証者装置から収集し、証明書において組として要求される頻度が予め定められた閾値以上の項目である頻出共起クレームを特定し、証明書発行のため、頻出共起クレームを発行者装置に送信する。検証者装置は、証明書において組として要求した項目である共起クレームを収集し、情報処理装置に送信する。発行者装置は、頻出共起クレームを情報処理装置から取得し、学生などの要求者から証明書の発行の要求を受け付けると、頻出共起クレームに基づいて証明書を発行する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
証明書において組として要求される項目である頻出共起クレームを特定し、
前記頻出共起クレームを含む第1の証明書を発行し、
前記頻出共起クレームと、前記頻出共起クレーム以外の第2の項目とを含む第2の証明書を発行する場合、前記第1の証明書を示す識別子と、前記第2の項目とを含む前記第2の証明書を発行する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項2】
前記頻出共起クレームを特定する処理は、
前記証明書において組として要求された項目である共起クレームの支持度を算出し、
前記共起クレームの集合の中で、前記支持度が前記閾値以上の前記共起クレームを、前記頻出共起クレームとして特定する
処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理プログラム。
【請求項3】
前記第1の証明書を発行する処理は、
前記頻出共起クレームの集合から、前記頻出共起クレームの支持度が最大の前記頻出共起クレームである第1の頻出共起クレームを選択し、
前記第1の頻出共起クレームを含む前記第1の証明書を発行する
処理を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理プログラム。
【請求項4】
前記頻出共起クレームの集合から前記第1の頻出共起クレームを除外し、
前記頻出共起クレームの集合の前記頻出共起クレームに含まれる項目が前記第1の頻出共起クレームの全てを含む場合、前記頻出共起クレームに含まれる項目において前記第1の頻出共起クレームと重複する項目を前記識別子に置換し、
前記第1の証明書を発行する処理、前記第1の頻出共起クレームを除外する処理、および前記重複する項目を前記識別子に置換する処理を、前記頻出共起クレームの集合から前記頻出共起クレームがなくなるまで繰り返す
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする請求項3に記載の情報処理プログラム。
【請求項5】
前記第2の証明書を発行する処理は、
前記第2の証明書を発行する場合、前記頻出共起クレームの代わりとなる前記識別子と、前記第2の項目とを含む前記第2の証明書を発行する
処理を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の情報処理プログラム。
【請求項6】
証明書において組として要求される項目である頻出共起クレームを特定し、
前記頻出共起クレームを含む第1の証明書を発行し、
前記頻出共起クレームと、前記頻出共起クレーム以外の第2の項目とを含む第2の証明書を発行する場合、前記第1の証明書を示す識別子と、前記第2の項目とを含む前記第2の証明書を発行する
処理をコンピュータが実行することを特徴とする情報処理方法。
【請求項7】
証明書において組として要求される項目である頻出共起クレームを特定し、
前記頻出共起クレームを含む第1の証明書を発行し、
前記頻出共起クレームと、前記頻出共起クレーム以外の第2の項目とを含む第2の証明書を発行する場合、前記第1の証明書を示す識別子と、前記第2の項目とを含む前記第2の証明書を発行する
処理を実行する制御部を有することを特徴とする情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、証明書の選択的開示に関する情報処理プログラム、情報処理方法、および情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
証明書の一部の項目(「クレーム」とも呼ばれる)のみを開示する選択的開示という技術がある。例えば、年齢確認のために学生証を提示する際に、生年月日のみならず住所など他の情報も知られてしまう問題が、選択的開示により解消される。
【0003】
選択的開示を実現する手法の1つにモノクレームクレデンシャルがある。モノクレームクレデンシャルは、選択された1つのクレームのみを含む証明書を、必要なクレームの数だけ発行する手法である。
【0004】
モノクレームクレデンシャルは、既存の証明書の生成や検証の仕組みを流用できる一方、発行が必要なクレームの数だけ証明書が必要なため、証明書を保存するストレージに対して必要な容量が増大するという問題がある。特に、今後、証明書の電子化が進むにつれて、発行が必要なクレームの数が数百以上になる可能性もあり、モノクレームクレデンシャルによるデータ容量を削減する技術が考えられてきた。
【0005】
モノクレームクレデンシャルによるデータ容量を削減する技術として、例えば、複数のクレームを1つの証明書にまとめ、証明書の数を減らしてデータ容量を削減する技術がある。また、インターネットなどで広く使われている、ハフマン符号を用いた可逆圧縮アルゴリズムによって証明書を圧縮してデータ容量を削減する可逆圧縮技術がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004-023796号公報
【特許文献2】特開2001-067323号公報
【特許文献3】特開2009-098931号公報
【特許文献4】特開2015-026350号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記技術では、証明書の選択的開示を高速に処理することが難しい。例えば、複数のクレームを1つの証明書にまとめる技術では、そもそもクレームの選択的開示ができない。また、可逆圧縮技術では、クレームの選択的開示はできるが、圧縮したままでは選択的開示ができないため、組み込み機器など一部の装置で処理が遅くなる。
【0008】
1つの側面では、証明書の選択的開示をより高速に処理できる情報処理プログラム、情報処理方法、および情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様において、情報処理プログラムは、証明書において組として要求される項目である頻出共起クレームを特定し、頻出共起クレームを含む第1の証明書を発行し、頻出共起クレームと、頻出共起クレーム以外の第2の項目とを含む第2の証明書を発行する場合、第1の証明書を示す識別子と、第2の項目とを含む第2の証明書を発行する処理をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
1つの側面では、証明書の選択的開示をより高速に処理できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、通常の証明書およびモノクレームクレデンシャルの例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態にかかる証明書発行の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施例1にかかる情報処理システム1の構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施例1にかかる情報処理装置10の構成例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施例1にかかる検証者装置100の構成例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施例1にかかる発行者装置200の構成例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施例1にかかる証明書発行の機能構成例を示す図である。
【
図8】
図8は、本実施形態にかかる頻出共起クレーム特定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、本実施形態にかかる共起クレーム集合の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、本実施形態にかかる頻出共起クレーム集合の一例を示す図である。
【
図11】
図11は、本実施形態にかかる証明書発行処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、本実施形態にかかる頻出共起クレームの除外について説明する図である。
【
図13】
図13は、本実施形態にかかる重複項目の置換について説明する図である。
【
図14】
図14は、実施例2にかかる情報処理システム2の構成例を示す図である。
【
図15】
図15は、実施例2にかかる情報処理装置10の構成例を示す図である。
【
図16】
図16は、実施例2にかかる証明書発行の機能構成例を示す図である。
【
図17】
図17は、情報処理装置10のハードウェア構成例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本実施形態に係る情報処理プログラム、情報処理方法、および情報処理装置の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本実施形態が限定されるものではない。また、各実施例は、矛盾のない範囲内で適宜組み合わせることができる。
【0013】
まず、通常のクレデンシャルおよびモノクレームクレデンシャルについて説明する。
図1は、通常の証明書およびモノクレームクレデンシャルの例を示す図である。
図1の左側が通常の証明書であり、
図1の例では学生証である。通常の証明書では、例えば、
図1に示すように、年齢確認のために学生証を提示すると、生年月日のみならず、他の情報も知られてしまう問題がある。
【0014】
一方、
図1の右側が、通常の証明書の問題を解決するための選択的開示を実現する手法の1つのモノクレームクレデンシャルである。
図1のモノクレームクレデンシャルは、性別、氏名、生年月日の各々が必要なクレームとして選択され、それぞれのクレームのみを含むように発行された例を示す。なお、
図1に示すように、モノクレームクレデンシャルは、実用上は1つのクレームのみならず、発行者や証明書の有効期限などが含まれる少数クレームの証明書である。
図1に示すように、モノクレームクレデンシャルは、必要なクレームの数だけ証明書が発行されるため、証明書を保存するストレージに対して必要な容量が増大するという問題がある。
【0015】
そのために、上述したように、複数のクレームを1つの証明書にまとめる技術や可逆圧縮技術が考え出されたが、これらの技術にも、クレームの選択的開示ができない、または一部の装置で処理が遅くなってしまうという新たな問題がある。
【0016】
そこで、本実施形態では、証明書の選択的開示をしつつ、当該選択的開示をより高速に処理することを目的の1つとする。
図2は、本実施形態にかかる証明書発行の一例を示す図である。本実施形態の証明書発行では、
図2に示すように、証明書の間で重複する、組として要求される頻度の高い項目である頻出共起クレームを切り出し、共通化することで、重複部分の容量を削減し、証明書の総データ容量を削減する。
図2の例では、発行者と有効期限との組が、証明書の間で重複する頻出共起クレームであり、当該頻出共起クレームを別の証明書にして、各証明書からは参照するようにすることで共通化する。
図2の例では証明書の数が少ないためデータ容量の削減の効果は小さいが、証明書の数が増えるほど、その効果は大きくなる。
【実施例0017】
(全体構成)
次に、本実施形態を実施するための情報処理システムについて説明する。
図3は、実施例1にかかる情報処理システム1の構成例を示す図である。
図3に示すように、本実施形態にかかる情報処理システム1は、情報処理装置10と、検証者装置100-1~100-nとがネットワーク50を介して相互に通信可能に接続されるシステムである。また、発行者装置200-1~200-mもネットワーク50を介して情報処理装置10と相互に通信可能に接続される。なお、nやmは任意の自然数であり、検証者装置100-1~100-nおよび発行者装置200-1~200-mをそれぞれまとめて、以下、「検証者装置100」および「発行者装置200」という場合がある。
【0018】
ネットワーク50には、有線や無線を問わず、例えば、インターネットやイントラネットなどの各種通信網を採用できる。また、ネットワーク50は、単一のネットワークではなく、例えば、インターネットとイントラネットがゲートウェイなどネットワーク装置やその他の装置(図示せず)を介して構成されてよい。
【0019】
情報処理装置10は、例えば、証明書の発行を支援するサービス提供者などによって管理されるデスクトップPC(Personal Computer)やノートPC、またはサーバコンピュータなどの情報処理装置である。または、情報処理装置10は、クラウドコンピューティングサービスを提供するサービス提供者によって管理されるクラウドコンピュータ装置であってもよい。
【0020】
情報処理装置10は、例えば、証明書において組として要求された項目である共起クレームを検証者装置100から収集し、証明書において組として要求される頻度が予め定められた閾値以上の項目である頻出共起クレームを特定する。そして、情報処理装置10は、例えば、証明書発行のため、頻出共起クレームを発行者装置200に送信する。
【0021】
検証者装置100は、例えば、学生などの提示者に証明書の提示を要求する検証者などによって管理されるデスクトップPCやノートPC、またはサーバコンピュータなどの情報処理装置である。検証者装置100は、例えば、証明書において組として要求した項目である共起クレームを収集し、情報処理装置10に送信する。
【0022】
発行者装置200は、例えば、証明書を発行する発行者などによって管理されるデスクトップPCやノートPC、またはサーバコンピュータなどの情報処理装置である。発行者装置200は、例えば、頻出共起クレームを情報処理装置10から取得し、学生などの要求者から証明書の発行の要求を受け付けると、頻出共起クレームに基づいて証明書を発行する。
【0023】
なお、
図3では、情報処理装置10を1台のコンピュータとして示しているが、複数台のコンピュータで構成される分散型コンピューティングシステムであってもよい。また、検証者装置100や発行者装置200もクラウドコンピュータ装置であってよい。
【0024】
(情報処理装置10の機能構成)
次に、情報処理装置10の機能構成について説明する。
図4は、実施例1にかかる情報処理装置10の構成例を示す図である。
図4に示すように、情報処理装置10は、通信部20、記憶部30、および制御部40を有する。
【0025】
通信部20は、検証者装置100など、他の装置との間の通信を制御する処理部であり、例えば、ネットワークインタフェースカードなどの通信インタフェースである。
【0026】
記憶部30は、各種データや、制御部40が実行するプログラムを記憶する機能を有し、例えば、メモリやハードディスクなどの記憶装置により実現される。記憶部30は、共起クレーム情報31、および頻出共起クレーム情報32などを記憶する。
【0027】
共起クレーム情報31は、例えば、証明書において組として要求された項目である共起クレームの集合や共起クレームに関する情報などを記憶する。当該情報、いわゆる共起クレーム情報は、例えば、情報処理装置10からの要求に応じて、または随時、検証者装置100から送信され、共起クレーム情報31に記憶される。
【0028】
頻出共起クレーム情報32は、例えば、証明書において組として要求される頻度が予め定められた閾値以上の項目である頻出共起クレームの集合や頻出共起クレームに関する情報などを記憶する。当該情報、いわゆる頻出共起クレーム情報は、例えば、共起クレーム情報31に記憶される共起クレーム情報に基づいて生成され、頻出共起クレーム情報32に記憶される。
【0029】
なお、記憶部30に記憶される上記情報はあくまでも一例であり、記憶部30は、上記情報以外にも様々な情報を記憶できる。
【0030】
制御部40は、情報処理装置10全体を司る処理部であり、例えば、プロセッサなどである。制御部40は、収集部41、算出部42、および特定部43を備える。なお、各処理部は、プロセッサが有する電子回路の一例やプロセッサが実行するプロセスの一例である。
【0031】
収集部41は、例えば、証明書において組として要求された項目である共起クレームを検証者装置100から収集し、共起クレーム情報31に記憶する。
【0032】
算出部42は、例えば、収集部41によって収集された共起クレーム情報に基づいて、証明書において組として要求された項目である共起クレームの支持度を算出する。支持度の算出の詳細については後述する。
【0033】
特定部43は、例えば、証明書において組として要求される項目である頻出共起クレームを特定する。より具体的には、例えば、特定部43は、共起クレームの集合の中で、証明書において組として要求される頻度が予め定められた閾値以上の共起クレームを、頻出共起クレームとして特定する。なお、証明書において組として要求される頻度とは、例えば、算出部42によって算出された支持度であり、特定部43は、例えば、当該支持度が予め定められた閾値以上の共起クレームを、頻出共起クレームとして特定する。
【0034】
(検証者装置100の機能構成)
次に、検証者装置100の機能構成について説明する。
図5は、実施例1にかかる検証者装置100の構成例を示す図である。
図5に示すように、検証者装置100は、通信部120、記憶部130、および制御部140を有する。
【0035】
通信部120は、情報処理装置10など、他の装置との間の通信を制御する処理部であり、例えば、ネットワークインタフェースカードなどの通信インタフェースである。
【0036】
記憶部130は、各種データや、制御部140が実行するプログラムを記憶する機能を有し、例えば、メモリやハードディスクなどの記憶装置により実現される。記憶部130は、共起クレーム情報131などを記憶する。
【0037】
共起クレーム情報131は、例えば、証明書において組として要求した項目である共起クレームの集合や共起クレームに関する情報などを記憶する。
【0038】
なお、記憶部130に記憶される上記情報はあくまでも一例であり、記憶部130は、上記情報以外にも様々な情報を記憶できる。
【0039】
制御部140は、検証者装置100全体を司る処理部であり、例えば、プロセッサなどである。制御部140は、要求部141、および収集部142を備える。なお、各処理部は、プロセッサが有する電子回路の一例やプロセッサが実行するプロセスの一例である。
【0040】
要求部141は、例えば、学生などの提示者に証明書の提示を要求する。なお、証明書の提示の要求および提示が、検証者装置100を介さない、検証者と提示者との対面などによる場合、検証者装置100は要求部141を備えなくてよい。
【0041】
収集部142は、例えば、証明書において組として要求した項目である共起クレームを、共起クレーム情報131に記憶する。また、収集部142は、例えば、情報処理装置10からの要求に応じて、または随時、共起クレーム情報131に記憶された情報、いわゆる共起クレーム情報を情報処理装置10に送信する。
【0042】
(発行者装置200の機能構成)
次に、発行者装置200の機能構成について説明する。
図6は、実施例1にかかる発行者装置200の構成例を示す図である。
図6に示すように、発行者装置200は、通信部220、記憶部230、および制御部240を有する。
【0043】
通信部220は、情報処理装置10など、他の装置との間の通信を制御する処理部であり、例えば、ネットワークインタフェースカードなどの通信インタフェースである。
【0044】
記憶部230は、各種データや、制御部240が実行するプログラムを記憶する機能を有し、例えば、メモリやハードディスクなどの記憶装置により実現される。記憶部230は、頻出共起クレーム情報231、および証明書情報232などを記憶する。
【0045】
頻出共起クレーム情報231は、証明書において組として要求される頻度、例えば、支持度が予め定められた閾値以上の項目である頻出共起クレームの集合や頻出共起クレームに関する情報などを記憶する。当該情報、いわゆる頻出共起クレーム情報は、例えば、発行者装置200からの要求に応じて、または随時、情報処理装置10から送信され、頻出共起クレーム情報231に記憶される。
【0046】
証明書情報232は、例えば、頻出共起クレーム情報231に記憶された情報、いわゆる頻出共起クレーム情報に基づいて発行された証明書や証明書に関する情報などを記憶する。
【0047】
なお、記憶部230に記憶される上記情報はあくまでも一例であり、記憶部230は、上記情報以外にも様々な情報を記憶できる。
【0048】
制御部240は、発行者装置200全体を司る処理部であり、例えば、プロセッサなどである。制御部240は、取得部241、受付部242、発行部243、除外部244、および置換部245を備える。なお、各処理部は、プロセッサが有する電子回路の一例やプロセッサが実行するプロセスの一例である。
【0049】
取得部241は、例えば、証明書において組として要求される頻度が予め定められた閾値以上の項目である頻出共起クレームを情報処理装置10から取得し、頻出共起クレーム情報231に記憶する。
【0050】
受付部242は、例えば、学生などの要求者から証明書の発行の要求を受け付ける。より具体的には、例えば、受付部242は、要求者が利用する情報処理端末などを介して、必要なクレームの指定を含む、証明書の発行の要求を受信する。または、要求者と発行者とのやり取りが対面などによる情報処理装置を介さないやり取りの場合、例えば、発行者によって発行者装置200に入力された、必要なクレームの指定を含む、証明書の発行の要求を受け付ける。
【0051】
発行部243は、例えば、頻出共起クレーム情報231に記憶された情報、いわゆる頻出共起クレーム情報に基づいて、頻出共起クレームを含む第1の証明書を発行する。より具体的は、例えば、発行部243は、頻出共起クレームの集合から、頻出共起クレームの支持度が最大の頻出共起クレームである第1の頻出共起クレームを選択し、第1の頻出共起クレームを含む第1の証明書を発行する。
【0052】
また、発行部243は、例えば、第1の頻出共起クレームと、第1の頻出共起クレーム以外の第2の項目とを含む第2の証明書を発行する場合、第1の証明書を示す識別子と、第2の項目とを含む第2の証明書を発行する。
【0053】
除外部244は、例えば、頻出共起クレームの集合から第1の頻出共起クレームを除外する。
【0054】
置換部245は、例えば、頻出共起クレームの集合の頻出共起クレームに含まれる項目が第1の頻出共起クレームの全てを含むか否かを、頻出共起クレームごとに判定する。そして、頻出共起クレームに含まれる項目が第1の頻出共起クレームの全てを含む場合、置換部245は、頻出共起クレームに含まれる項目において第1の頻出共起クレームと重複する項目を、第1の証明書を示す識別子に置換する。これにより、例えば、第2の証明書に含まれる第1の証明書を示す識別子は、頻出共起クレームの代わりとなり、第1の証明書、延いては第1の頻出共起クレームを指し示すポインタとなるため、必要なデータ容量が削減できる。
【0055】
発行部243による第1の証明書を発行する処理、除外部244による第1の頻出共起クレームを除外する処理、置換部245による重複する項目を識別子に置換する処理は、頻出共起クレームの集合が空集合になるまで繰り返される。なお、頻出共起クレームの集合が空集合になるまでとは、例えば、除外部244によって頻出共起クレームの集合から第1の頻出共起クレームが除外され、頻出共起クレームの集合から頻出共起クレームがなくなるまで、である。
【0056】
次に、
図4~
図6を用いて説明した、情報処理装置10、検証者装置100、および発行者装置200によって実現される証明書発行の機能構成について説明する。
図7は、実施例1にかかる証明書発行の機能構成例を示す図である。
【0057】
まず、
図7に示すように、例えば、ECサイトのサービス提供者や酒屋などである検証者は、学生などの提示者に証明書の提示を要求する。この際、提示を要求するクレームは、
図7に示すように、例えば、{有効期限、発行者}や{誕生年、有効期限、発行者}のクレームの組であったとする。このように、証明書において組として要求したクレームの組を、検証者装置100は、
図7に示すように、共起クレームとして収集し、情報処理装置10に送信する。なお、提示者と検証者とのやり取りは、提示者が利用する情報処理端末などと検証者装置100とのやり取りであってもよいし、提示者と検証者との対面などによる情報処理装置を介さないやり取りであってもよい。
【0058】
次に、情報処理装置10は、例えば、検証者装置100から収集した共起クレームの集合から、組として要求される頻度の高い共起クレームを、頻出共起クレームとして特定し、頻出共起クレームの集合を発行者装置200に送信する。
【0059】
そして、発行者装置200は、例えば、学生などの要求者から証明書の発行の要求を受け付けると、頻出共起クレームを共通化して、要求者からの要求に応じた選択的開示ができ、かつ、データ容量が削減された証明書を発行する。なお、要求者と発行者とのやり取りは、要求者が利用する情報処理端末などと発行者装置200とのやり取りであってもよいし、要求者と発行者との対面などによる情報処理装置を介さないやり取りであってもよい。
【0060】
(処理の流れ)
次に、情報処理装置10によって実行される頻出共起クレーム特定処理の流れを説明する。
図8は、本実施形態にかかる頻出共起クレーム特定処理の流れを示すフローチャートである。
【0061】
まず、
図8に示すように、情報処理装置10は、例えば、証明書において組として要求された項目である共起クレームの集合を検証者装置100から収集し、共起クレーム情報31に記憶する(ステップS101)。
【0062】
図9は、本実施形態にかかる共起クレーム集合の一例を示す図である。
図9の上段に示すクレームの組の集合が、ステップS101で検証者装置100から収集される共起クレーム集合の一例であり、
図9の下段に示す表が、共起クレーム情報31に記憶される共起クレーム情報の一例である。
【0063】
図9の下段に示す共起クレーム情報には、例えば、共起クレームを識別するための「ID」、各クレームの存在有無を示すフラグ「有効期限」~「名」や、「項目を全て含む行数」、「総行数」、「支持度」などが含まれる。各クレームの存在有無を示すフラグには、例えば、共起クレームに“有効期限”が含まれる場合、「有効期限」に1(ON:存在する)が設定され、含まれない場合は0(OFF:存在しない)が設定される。また、「項目を全て含む行数」は、共起クレームの各々を各行として、共起クレーム集合に、共起クレームの項目が全て含まれる行数を示す。例えば、
図9においてID=1で示される共起クレームの項目{有効期限、発行者}は、共起クレーム集合の全ての行、すなわち9行に含まれるため、ID=1の「項目を全て含む行数」には9が設定される。同様に、ID=2で示される共起クレームの項目{有効期限、発行者、誕生年}は、ID=2、8、9で示される3行に含まれるため、ID=2の「項目を全て含む行数」には3が設定される。また、「総行数」には、共起クレーム集合における共起クレームの数であるため、
図9の例では9が設定される。また、「支持度」には、例えば、“項目を全て含む行数/総行数”で算出できる支持度が設定される。そのため、
図8の説明に戻り、情報処理装置10は、例えば、ステップS101で収集した共起クレーム情報に基づいて、共起クレームの各々の支持度を算出する(ステップS102)。
【0064】
次に、情報処理装置10は、例えば、共起クレーム集合から、ステップS103で算出した支持度が予め定められた閾値以上の共起クレームを、頻出共起クレームとして特定する(ステップS103)。
図10は、本実施形態にかかる頻出共起クレーム集合の一例を示す図である。
図10は、閾値を0.3とし、
図9の共起クレーム集合から、支持度が0.3以上の共起クレームを、頻出共起クレームとして特定した例である。なお、
図9の共起クレーム集合において、支持度が0.3以上の共起クレームは、ID=1、2、4~6、8、9で示される7行であるが、頻出共起クレームは、共起クレームの項目で丸め込まれ、
図10で示す2行となる。
【0065】
図8の説明に戻り、ステップS103の実行後、
図8に示す頻出共起クレーム特定処理は終了するが、ステップS103で特定された頻出共起クレームの集合が、情報処理装置10から発行者装置200に送信される。
【0066】
次に、発行者装置200によって実行される証明書発行処理の流れを説明する。
図11は、本実施形態にかかる証明書発行処理の流れを示すフローチャートである。
【0067】
まず、
図11に示すように、発行者装置200は、例えば、
図8のステップS103で特定された頻出共起クレームの集合を情報処理装置10から取得し、頻出共起クレーム情報231に記憶する(ステップS201)。
【0068】
次に、発行者装置200は、例えば、学生などの要求者から証明書の発行の要求を受け付ける(ステップS202)。
【0069】
次に、発行者装置200は、例えば、ステップS201で取得した頻出共起クレームの集合から支持度が最大の頻出共起クレームを選択し、当該頻出共起クレームを含む証明書を発行する(ステップS203)。より具体的には、例えば、発行者装置200は、取得した頻出共起クレームの集合が
図10に示す集合であった場合、当該集合の中で支持度が最大(=1.0>0.33)の頻出共起クレーム{有効期限、発行者}を含む証明書を発行する。なお、支持度が最大の頻出共起クレームが複数ある場合は任意の1つが選択されてよい。
【0070】
次に、発行者装置200は、例えば、ステップS201で取得した頻出共起クレームの集合から、ステップS203で選択した頻出共起クレームを除外する(ステップS204)。
図12は、本実施形態にかかる頻出共起クレームの除外について説明する図である。
図12は、
図10に示す頻出共起クレーム集合から、発行済みの証明書に含まれる頻出共起クレームを除外する例である。
図12の上段に示すように、ステップS203で選択した頻出共起クレームを含む証明書C1が発行された場合、下段に示すように、頻出共起クレーム集合から、C1に含まれる頻出共起クレーム{有効期限、発行者}が除外される。そして、
図12の例では、頻出共起クレーム集合に、頻出共起クレーム{有効期限、発行者、誕生年}が残ることになる。
【0071】
次に、発行者装置200は、例えば、頻出共起クレーム集合に残った頻出共起クレームのうち、ステップS203で発行済みの証明書に含まれる頻出共起クレームと重複する項目を、当該証明書の識別子に置換する(ステップS205)。
図13は、本実施形態にかかる重複項目の置換について説明する図である。
図13に示すように、頻出共起クレーム集合の頻出共起クレームに含まれる項目が、発行済みの証明書C1に含まれる頻出共起クレーム{有効期限、発行者}の全てを含む場合、重複項目が、証明書C1の識別子に置換される。なお、
図13の例では、発行済みの証明書C1の識別子を“C1”とし、証明書C1に含まれる頻出共起クレームと重複する、頻出共起クレーム集合の頻出共起クレームの{有効期限、発行者}部分が、“C1”に置換される。これにより、頻出共起クレーム集合に残った、まだ証明書が発行されていない頻出共起クレームを含む証明書を発行する際、発行済みの証明書と重複する頻出共起クレーム部分は、発行済みの証明書を示す識別子で発行される。これにより、証明書に必要なデータ容量が削減できる。
図13の例では、頻出共起クレーム{有効期限、発行者、誕生年}を含む証明書C2を発行する際、発行済みの証明書C1の頻出共起クレームと重複する{有効期限、発行者}部分が“C1”に置換されて証明書C2が発行される。
【0072】
次に、発行者装置200は、例えば、ステップS201で取得した頻出共起クレームの集合に、頻出共起クレームが残っているか否かを判定する(ステップS206)。頻出共起クレーム集合に頻出共起クレームが残っている場合(ステップS206:Yes)、ステップS203に戻り、頻出共起クレーム集合に残った頻出共起クレームに対して、ステップS203~S205の処理が繰り返される。一方、頻出共起クレーム集合に頻出共起クレームが残っていない場合(ステップS206:No)、
図11に示す証明書発行処理は終了する。
【0073】
以上、
図8~
図13を用いて、情報処理装置10によって実行される頻出共起クレーム特定処理と、発行者装置200によって実行される証明書発行処理とを説明した。
【0074】
しかしながら、発行者装置200による証明書発行処理を情報処理装置10が実行してもよい。すなわち、発行者装置200による処理を全て情報処理装置10が担う形でシステムが構成されてもよい。このようなシステムを実施例2として説明する。
また、実施例2にかかる情報処理装置10も、実施例1にかかるものと同様であるが、さらに、実施例1にかかる発行者装置200が実行する処理も実行する。すなわち、情報処理装置10は、証明書において組として要求された項目である共起クレームを検証者装置100から収集し、証明書において組として要求される頻度が予め定められた閾値以上の項目である頻出共起クレームを特定する。また、情報処理装置10は、例えば、学生などの要求者から証明書の発行の要求を受け付けると、特定した頻出共起クレームに基づいて証明書を発行する。
実施例2にかかる通信部20は、実施例1同様、検証者装置100など、他の装置との間の通信を制御する処理部であり、例えば、ネットワークインタフェースカードなどの通信インタフェースである。
実施例2にかかる記憶部30は、実施例1同様、各種データや、制御部40が実行するプログラムを記憶する機能を有し、例えば、メモリやハードディスクなどの記憶装置により実現される。実施例2にかかる記憶部30は、共起クレーム情報31、頻出共起クレーム情報32、証明書情報33などを記憶する。
証明書情報33は、例えば、頻出共起クレーム情報32に記憶された情報、いわゆる頻出共起クレーム情報に基づいて発行された証明書や証明書に関する情報などを記憶する。
実施例2にかかる制御部40は、実施例1同様、情報処理装置10全体を司る処理部であり、例えば、プロセッサなどである。実施例2にかかる制御部40は、収集部41、算出部42、特定部43に加え、受付部44、発行部45、除外部46、および置換部47を備える。なお、各処理部は、プロセッサが有する電子回路の一例やプロセッサが実行するプロセスの一例である。
実施例2にかかる収集部41、算出部42、および特定部43は、実施例1のものと同様である。受付部44、発行部45、除外部46、および置換部47は、それぞれ、発行者装置200の受付部242、発行部243、除外部244、および置換部245と同様である。
実施例2にかかる情報処理装置10は、例えば、検証者装置100から収集した共起クレームの集合から、組として要求される頻度の高い共起クレームを、頻出共起クレームとして特定する。また、実施例2にかかる情報処理装置10は、例えば、学生などの要求者から証明書の発行の要求を受け付けると、頻出共起クレームを共通化して、要求者からの要求に応じた選択的開示ができ、データ容量が削減された証明書を発行する。なお、要求者とのやり取りは、要求者が利用する情報処理端末などと情報処理装置10とのやり取りであってもよいし、要求者との対面などによる情報処理装置を介さないやり取りであってもよい。
このようにして、情報処理装置10または発行者装置200は、頻出共起クレームと、頻出共起クレーム以外の項目とを含む証明書を発行する場合、頻出共起クレームを別の証明書で発行し、重複する頻出共起クレームを共通化する。これにより、情報処理装置10または発行者装置200は、証明書の選択的開示をより高速に処理できる。
また、情報処理装置10によって実行される、頻出共起クレームを特定する処理は、証明書において組として要求された項目である共起クレームの支持度を算出し、共起クレームの集合の中で、支持度が閾値以上の共起クレームを、頻出共起クレームとして特定する処理を含む。
また、情報処理装置10または発行者装置200によって実行される、第1の証明書を発行する処理は、頻出共起クレームの集合から、頻出共起クレームの支持度が最大の頻出共起クレームである第1の頻出共起クレームを選択し、第1の頻出共起クレームを含む第1の証明書を発行する処理を含む。
また、情報処理装置10または発行者装置200は、頻出共起クレームの集合から第1の頻出共起クレームを除外し、頻出共起クレームの集合の頻出共起クレームに含まれる項目が第1の頻出共起クレームの全てを含む場合、頻出共起クレームに含まれる項目において第1の頻出共起クレームと重複する項目を識別子に置換し、第1の証明書を発行する処理、第1の頻出共起クレームを除外する処理、および重複する項目を識別子に置換する処理を、頻出共起クレームの集合から頻出共起クレームがなくなるまで繰り返す。
また、情報処理装置10または発行者装置200によって実行される、第2の証明書を発行する処理は、第2の証明書を発行する場合、頻出共起クレームの代わりとなる識別子と、第2の項目とを含む第2の証明書を発行する処理を含む。
また、各装置の構成要素の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その構成要素の全部または一部は、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合されてもよい。さらに、各装置の各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。