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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124260
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】制御装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/14 20200101AFI20240905BHJP
   B60R 16/03 20060101ALI20240905BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20240905BHJP
   B60L 15/20 20060101ALI20240905BHJP
   B60L 58/12 20190101ALI20240905BHJP
   B60L 58/18 20190101ALI20240905BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240905BHJP
   B60W 50/023 20120101ALI20240905BHJP
   B60W 40/12 20120101ALI20240905BHJP
   H02J 7/00 20060101ALN20240905BHJP
【FI】
B60W50/14
B60R16/03 A
B60L3/00 S
B60L15/20 J
B60L58/12
B60L58/18
B60W60/00
B60W50/023
B60W40/12
H02J7/00 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032289
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 俊介
(72)【発明者】
【氏名】松本 健
【テーマコード(参考)】
3D241
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
3D241BA57
3D241BB00
3D241CA08
3D241CE04
3D241DB01Z
3D241DC51Z
3D241DC58Z
5G503AA07
5G503BA02
5G503BB02
5G503CA08
5G503CA11
5G503CC02
5G503DA04
5G503DA17
5G503EA05
5G503EA08
5G503FA06
5G503FA16
5G503GD03
5G503GD06
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC25
5H125BC29
5H125CA11
5H125CD02
5H125CD04
5H125EE26
5H125EE27
5H125EE51
(57)【要約】
【課題】退避走行制御を行わせる車両において、退避走行可能距離を延ばすことができる制御装置および制御方法を提供する。
【解決手段】実施形態の一態様に係る制御装置は、自動運転機能を有する車両に搭載され、メイン電源およびバックアップ電源の一方が失陥した場合に他方の電源によって退避走行制御を行わせるコントローラを備える。コントローラは、退避走行制御を行わせる場合、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスをユーザに通知する。コントローラは、メイン電源が失陥した場合とバックアップ電源が失陥した場合とで、アドバイスの内容を異ならせる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転機能を有する車両に搭載され、メイン電源およびバックアップ電源の一方が失陥した場合に他方の電源によって退避走行制御を行わせるコントローラを備えた制御装置であって、
前記コントローラは、
前記退避走行制御を行わせる場合、前記車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスをユーザに通知し、
前記メイン電源が失陥した場合と前記バックアップ電源が失陥した場合とで、前記アドバイスの内容を異ならせる、
制御装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記メイン電源が失陥して前記バックアップ電源によって前記退避走行制御を行わせる場合、退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力が減少する操作を促す内容の前記アドバイスを前記ユーザに通知し、
前記バックアップ電源が失陥して前記メイン電源によって前記退避走行制御を行わせる場合、前記アドバイスを前記ユーザに通知しない、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記メイン電源が失陥して前記バックアップ電源によって前記退避走行制御を行わせる場合、前記バックアップ電源の充電残量に応じて前記操作を促す内容を変更する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記メイン電源が失陥して前記バックアップ電源によって前記退避走行制御を行わせる場合、前記バックアップ電源の充電残量が少ないほど、より消費電力が大きい負荷を遮断する操作を促す内容の前記アドバイスを前記ユーザに通知する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記メイン電源が失陥して前記バックアップ電源によって前記退避走行制御を行わせる際に、前記バックアップ電源の充電残量が退避走行を完了可能な想定時間を確保できる充電残量以上である場合、前記アドバイスを前記ユーザに通知しない、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記メイン電源が失陥して前記バックアップ電源によって前記退避走行制御を行わせる際に、前記バックアップ電源の充電残量が退避走行を完了不可な充電残量以下である場合、前記退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力が減少するように制御する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記メイン電源が失陥して前記バックアップ電源によって前記退避走行制御を行わせる際に、前記バックアップ電源の充電残量が退避走行を完了不可な充電残量以下である場合、前記退避走行に影響を及ぼさない負荷を強制的に遮断する制御を実行する、
請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記バックアップ電源が失陥して前記メイン電源によって前記退避走行制御を行わせる場合、前記退避走行制御の実行中であることを前記ユーザに通知し、
前記車両の走行可能距離を延ばすための前記アドバイスに代えて、前記車両の操作性が低下する可能性があることを前記ユーザに通知する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項9】
自動運転機能を有する車両に搭載され、メイン電源およびバックアップ電源の一方が失陥した場合に他方の電源によって退避走行制御を行わせる制御装置のコントローラが実行する制御方法であって、
前記退避走行制御を行わせる場合、前記車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスをユーザに通知し、
前記メイン電源が失陥した場合と前記バックアップ電源が失陥した場合とで、前記アドバイスの内容を異ならせる、
ことを含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冗長電源システムが搭載される車両は、メイン電源が失陥した場合に、バックアップ電源によって退避走行制御を行わせる制御装置を備える。これにより、車両は、メイン電源が失陥しても、安全な場所まで走行して停止できる。
【0003】
ただし、バックアップ電源の電力には、限りがある。このため、制御装置は、退避走行制御中にバックアップ電源の電力消費を抑えることによって、退避走行可能距離を延ばすことが望ましい。
【0004】
退避走行可能距離を延ばす技術として、例えば、特許文献1には、車両に異常が発生した場合に、退避走行モードに移行し、退避走行モードでは走行距離を延ばすアドバイスを運転者に通知することが開示されている。
【0005】
具体的には、特許文献1に記載の制御装置は、バッテリ系部品の異常が発生した場合に、エンジンによる燃料消費量が低減するような運転操作のアドバイスをユーザに通知することによって、退避走行可能距離を延ばすように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-169099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、退避走行をエンジンによって行う車両を前提としており、そもそも冗長電源システムが搭載される車両を想定していない。このため、特許文献1に記載の技術をメイン電源およびバックアップ電源を有する車両に適用したとしても、メイン電源の給電系統が失陥した場合に、バックアップ電源によって退避走行制御を行う車両の退避走行可能距離を延ばすことはできない。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、冗長電源システムが搭載され退避走行制御を行わせる車両において、退避走行可能距離を延ばすことができる制御装置および制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明において、制御装置は、自動運転機能を有する車両に搭載され、メイン電源およびバックアップ電源の一方が失陥した場合に他方の電源によって退避走行制御を行わせるコントローラを備える。前記コントローラは、前記退避走行制御を行わせる場合、前記車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスをユーザに通知する。前記コントローラは、前記メイン電源が失陥した場合と前記バックアップ電源が失陥した場合とで、前記アドバイスの内容を異ならせる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、冗長電源システムが搭載され退避走行制御を行わせる車両において、退避走行可能距離を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1実施形態に係る制御システムの構成例を示す説明図である。
図2図2は、第1実施形態に係る電源制御装置の動作例を示す説明図である。
図3図3は、第1実施形態に係る電源制御装置の動作例を示す説明図である。
図4図4は、第1実施形態に係る電源制御装置の動作例を示す説明図である。
図5図5は、第1実施形態に係る電源制御装置の動作例を示す説明図である。
図6図6は、第1実施形態に係る電源制御装置の動作例を示す説明図である。
図7図7は、第1実施形態に係る通知アドバイステーブルの一例を示す説明図である。
図8図8は、第1実施形態に係る電源制御装置のコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図9図9は、第1実施形態に係る自動運転制御装置のコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図10図10は、第1実施形態に係る自動運転制御装置のコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図11図11は、第1実施形態に係る自動運転制御装置のコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図12図12は、第2実施形態に係る制御システムの構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、制御装置および制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。実施形態に係る制御装置は、自動運転機能を備える電気自動車、ハイブリッド自動車、または、内燃機関によって走行するエンジン自動車などに搭載される。
【0013】
[1.第1実施形態]
[1-1.制御システムの構成]
図1は、第1実施形態に係る制御システム100の構成例を示す説明図である。図1に示すように、実施形態に係る制御システム100は、電源制御装置1と、メイン電源10と、自動運転制御装置60と、通知装置70と、ナビゲーション装置80とを含む。
【0014】
メイン電源10は、電源制御装置1がエンジン自動車に搭載される場合、発電機12と、鉛バッテリ(以下、「PbB11」と記載する)とを含む。なお、メイン電源10の電池は、PbB11以外の任意の2次電池であってもよい。
【0015】
発電機12は、例えば、走行する車両の運動エネルギーを電気に変換して発電するオルタネータである。発電機12は、発電した電力によるPbB11および後述するバックアップ電源20の充電を行う。また、メイン電源10は、車両に搭載される複数の電気負荷に電力を供給する。
【0016】
メイン電源10は、電源制御装置1が電気自動車またはハイブリッド自動車に搭載される場合、DC/DCコンバータ(図示せず。以下、「DCDC」と記載する)と、PbB11とを含む。この場合、DCDCは、発電機12と、PbB11よりも電圧が高い高圧バッテリ(図示せず)とに接続され、発電機12および高圧バッテリの電圧を降圧して複数の電気負荷に電力を供給する。発電機12は、例えば、走行する車両の運動エネルギーを電気に変換して発電するオルタネータである。高圧バッテリは、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車に搭載される車両駆動用のバッテリである。
【0017】
自動運転制御装置60は、電源制御装置1と、通知装置70と、ナビゲーション装置80と電気的に接続される。自動運転制御装置60は、電源制御装置1と、通知装置70と、ナビゲーション装置80との間で情報通信が可能である。
【0018】
自動運転制御装置60は、GPS(Global Positioning System)と、コントローラ61とを備える。コントローラ61は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と記載する)や各種の回路を含む。
【0019】
なお、コントローラ61は、その一部または全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0020】
コントローラ61は、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより、車両を自動運転走行制御させる装置である。なお、自動運転制御装置60は、GPSの自車位置情報、地図情報、道路交通情報および天候情報などをナビゲーション装置80から取得するように構成されてもよい。
【0021】
第1実施形態では、自動運転制御装置60のコントローラ61は、自動運転機能を有する車両に搭載され、メイン電源10が失陥した場合に、後述するバックアップ電源20によって退避走行制御を行わせるコントローラの一例である。また、コントローラ61は、バックアップ電源20が失陥した場合に、メイン電源10によって退避走行制御を行わせるコントローラの一例である。なお、メイン電源10の失陥は、メイン電源10の給電系統(後述する第1系統ライン110)における失陥を含む。また、バックアップ電源20の失陥は、バックアップ電源20の給電系統(後述する第2系統ライン120)における失陥を含む。
【0022】
通知装置70は、各種情報を車両の運転者に通知する装置である。通知装置70は、表示部71と、スピーカ72とを含む。表示部71は、例えば、ディスプレイまたは通知ランプなどを含む。表示部71は、各種情報を表示によって運転者に通知する。スピーカ72は、各種情報を音声によって運転者に通知する。なお、かかる音声は、警告音(ブザー)を含んでもよい。
【0023】
ナビゲーション装置80は、GPSおよび地図情報などを備える。ナビゲーション装置80は、現在地からユーザによって入力される目的地までの走行経路を案内する装置である。
【0024】
電源制御装置1は、車両に搭載される複数の電気負荷への給電制御を行う装置である。電源制御装置1は、自動運転制御装置60の他に、メイン電源10、第1走行負荷101、第2走行負荷102、第1一般負荷103、第2一般負荷104、および第3一般負荷105と電気的に接続される。
【0025】
第1走行負荷101および第2走行負荷102は、手動運転および自動運転による車両の走行自体に関係する電気負荷である。第1走行負荷101および第2走行負荷102は、例えば、電動ステアリング装置、シフトバイワイヤ装置、電動アクセル装置、電動ブレーキ装置、車載カメラ、センサ、およびレーダなどを含む。つまり、第1走行負荷101および第2走行負荷102は、車両の走行に影響を及ぼす電気負荷である。
【0026】
第1走行負荷101および第2走行負荷102は、手動運転中に、運転者のステアリング操作、アクセル操作、およびブレーキ操作などをアシストする。第1走行負荷101および第2走行負荷102は、自動運転中に、自動運転制御装置60によって制御されて車両を自動運転走行させる。
【0027】
第1一般負荷103、第2一般負荷104、および第3一般負荷105は、手動運転および自動運転による車両の走行自体には関係しない電気負荷である。第1一般負荷103、第2一般負荷104、および第3一般負荷105は、例えば、エアコン、オーディオ、車内照明、ドライブレコーダ、セキュリティ装置、通信装置、および各種センサなどを含む。つまり、第1一般負荷103、第2一般負荷104、および第3一般負荷105は、車両の走行に影響を及ぼさない電気負荷である。
【0028】
電源制御装置1は、バックアップ電源20と、コントローラ3と、第1系統ライン110と、第2系統ライン120と、系統間ライン130と、系統間接続部41と、電池用スイッチ42と、第1~第10スイッチ30~39とを備える。
【0029】
バックアップ電源20は、メイン電源10による電力供給ができなくなった場合のバックアップ用電源である。バックアップ電源20は、リチウムイオンバッテリ(以下、「LiB21」と記載する)を備える。なお、バックアップ電源20の電池は、LiB21以外の任意の2次電池であってもよい。
【0030】
第1系統ライン110は、メイン電源10の電力を複数の電気負荷に供給する電力供給ラインである。つまり、メイン電源10の給電系統には、メイン電源10と第1系統ライン110とが含まれる。
【0031】
第2系統ライン120は、バックアップ電源20の電力を複数の電気負荷に供給する電力供給ラインである。つまり、バックアップ電源20の給電系統には、バックアップ電源20と第2系統ライン120とが含まれる。系統間ライン130は、第1系統ライン110と第2系統ライン120とを電気的に接続する接続ラインである。
【0032】
系統間接続部41は、第1系統ライン110と第2系統ライン120とを接続および切断可能なスイッチである。なお、系統間接続部41は、DCDCであってもよい。この場合、DCDCは、動作することによって第1系統ライン110と第2系統ライン120とを接続する。DCDCは、動作を停止することによって第1系統ライン110と第2系統ライン120との接続を切断する。電池用スイッチ42は、バックアップ電源20と第2系統ライン120とを接続および切断可能なスイッチである。
【0033】
第1スイッチ30は、第1系統ライン110と第1走行負荷101とを接続および切断可能なスイッチである。第2スイッチ31は、第1系統ライン110と第2走行負荷102とを接続および切断可能なスイッチである。第3スイッチ32は、第1系統ライン110と第1一般負荷103とを接続および切断可能なスイッチである。第4スイッチ33は、第1系統ライン110と第2一般負荷104とを接続および切断可能なスイッチである。第5スイッチ34は、第1系統ライン110と第3一般負荷105とを接続および切断可能なスイッチである。
【0034】
第6スイッチ35は、第2系統ライン120と第1走行負荷101とを接続および切断可能なスイッチである。第7スイッチ36は、第2系統ライン120と第2走行負荷102とを接続および切断可能なスイッチである。第8スイッチ37は、第2系統ライン120と第1一般負荷103とを接続および切断可能なスイッチである。第9スイッチ38は、第2系統ライン120と第2一般負荷104とを接続および切断可能なスイッチである。第10スイッチ39は、第2系統ライン120と第3一般負荷105とを接続および切断可能なスイッチである。
【0035】
また、電源制御装置1は、第1電圧センサ51と第2電圧センサ52とを備える。第1電圧センサ51は、第1系統ライン110に設けられる。第1電圧センサ51は、第1系統ライン110の電圧を検出し、検出結果をコントローラ3に出力する。第2電圧センサ52は、第2系統ライン120に設けられる。第2電圧センサ52は、第2系統ライン120の電圧を検出し、検出結果をコントローラ3に出力する。
【0036】
コントローラ3は、CPU、ROM、RAMなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。なお、コントローラ3は、その一部または全部がASICやFPGA等のハードウェアで構成されてもよい。
【0037】
コントローラ3は、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより、系統間接続部41、電池用スイッチ42、および第1~第10スイッチ30~39の動作を制御する。
【0038】
また、コントローラ3は、バックアップ電源20から状態監視ライン23を介して取得するバックアップ電源20の充電残量を示す情報を取得する。バックアップ電源20の充電残量を示す情報は、例えば、LiB21のSOC(State Of Charge)である。
【0039】
LiB21は、SOCが100%のときが、充電残量が最大の状態である。LiB21は、SOCが0%のときが、充電残量がない状態である。コントローラ3は、バックアップ電源20の充電残量を示す情報として、例えば、LiB21のSOCを取得する。コントローラ3は、LiB21のSOCに基づいて、バックアップ電源20の充電残量を監視する。
【0040】
[1-2.電源制御装置の動作例]
次に、図2図6を参照して、第1実施形態に係る電源制御装置1の動作について説明する。図2図6は、第1実施形態に係る電源制御装置1の動作例を示す説明図である。
【0041】
[1-2-1.通常時動作]
コントローラ3は、車両のイグニッションスイッチ(IG)がオンにされた状態で、メイン電源10およびバックアップ電源20の給電系統が失陥していない通常時の停車中、手動運転中、または自動運転中には、図2に示すように、複数の接続部を制御する。
【0042】
具体的には、コントローラ3は、系統間接続部41をオンにする。コントローラ3は、電池用スイッチ42をオフにする。コントローラ3は、第1~第10スイッチ30~39をオンにする。これにより、電源制御装置1は、LiB21の通常時における放電を抑えつつ、メイン電源10から第1走行負荷101、第2走行負荷102、第1一般負荷103、第2一般負荷104、および第3一般負荷105に電力を供給できる。
【0043】
[1-2-2.電源制御装置の給電系統の失陥時動作]
制御システム100では、給電系統が失陥することがある。給電系統の失陥の例としては、メイン電源10を含む第1系統ライン110の地絡、および、バックアップ電源20を含む第2系統ライン120の地絡などがある。
【0044】
電源制御装置1では、通常時動作中に、第1系統ライン110の地絡、または第2系統ライン120の地絡等が発生した場合、第1系統ライン110および第2系統ライン120の電圧が正常な電圧よりも低くなる。
【0045】
このため、コントローラ3は、第2電圧センサ52によって検出される第2系統ライン120の電圧(以下、「第2系統電圧V2」と記載する)が地絡閾値以下になった場合、給電系統に失陥が発生したと仮判定する。そして、図3に示すように、コントローラ3は、系統間接続部41をオフにするとともに、電池用スイッチ42をオンにする。なお、コントローラ3は、例えば、第1電圧センサ51によって検出される第1系統ライン110の電圧(以下、「第1系統電圧V1」と記載する)が地絡閾値以下になった場合、給電系統に失陥が発生したと仮判定してもよい。
【0046】
これにより、第1系統ライン110と第2系統ライン120との接続が切断される。そして、電源制御装置1は、第1系統ライン110が地絡していなければ、メイン電源10による給電が可能になる。また、電源制御装置1は、第2系統ライン120が地絡していなければ、バックアップ電源20による給電が可能になる。
【0047】
なお、この仮判定はコンパレータを有するハード回路で行ってもよい。その場合、コンパレータは第2系統電圧V2と地絡閾値とを比較する。コンパレータは、検出電圧が地絡閾値以下になると、仮判定を示す失陥検出信号を出力することによって、系統間接続部41をオフにし、電池用スイッチ42をオンにする。
【0048】
コントローラ3は、仮判定後所定時間が経過しても第2系統電圧V2が地絡閾値以下であり、かつ第1系統電圧V1が所定時間以内に地絡閾値を超えるまで回復すると第2系統ライン120の地絡と本判定する。
【0049】
この場合、図4に示すように、コントローラ3は、系統間接続部41のオフを継続しつつ電池用スイッチ42をオフにする。また、コントローラ3は、第6~第10スイッチ35~39をオフにする。そして、コントローラ3は、メイン電源10から第1系統ライン110を介して各負荷101~105に給電する。
【0050】
コントローラ3は、仮判定後、第1系統電圧V1および第2系統電圧V2が所定時間以内に地絡閾値を超えるまで回復した場合、仮判定の結果を誤りと判定する。つまり、コントローラ3は、給電系統は失陥していないと本判定する。そして、コントローラ3は、電池用スイッチ42をオフにするとともに、系統間接続部41をオンにする。これにより、電源制御装置1は、図2に示す通常時動作に復帰する。
【0051】
コントローラ3は、第2系統ライン120の地絡と本判定した場合、第2系統ライン120が地絡したこと、および、メイン電源10によるFOP(フェイルオペレーション。退避走行制御)を開始したことを自動運転制御装置60に通知する。
【0052】
自動運転制御装置60のコントローラ61は、自動運転制御中に電源制御装置1から第2系統ライン120が地絡し、かつメイン電源10によるFOPを開始したことが通知されると、自動運転による退避走行を開始する。
【0053】
退避走行とは、車両を安全な場所まで走行させて停止させることである。自動運転制御装置60のコントローラ61は、自動運転による退避走行を開始すると、通知装置70を制御して運転者に手動運転による退避走行の開始を要求する。
【0054】
このとき、第1走行負荷101および第2走行負荷102は、それまで第1系統ライン110および第2系統ライン120の両方から供給されていた電力が、第1系統ライン110の一方から給電されることになる。これにより、例えば、電動ステアリング装置は、出力トルクが低下する。
【0055】
このため、自動運転制御装置60のコントローラ61は、通知装置70を制御して運転者(ユーザ)に、ハンドル(ステアリング)の操作が重くなる旨を通知する。なお、かかる通知については、後に詳説する。その後、コントローラ61は、運転者の手動による運転操作を検出した場合には、自動運転制御を終了する。
【0056】
また、電源制御装置1では、給電系統に失陥が発生したと仮判定した後、第1系統電圧V1が所定時間以上地絡閾値以下になり、かつ第2系統電圧V2が所定時間以内に地絡閾値を超えるまで回復することがある。
【0057】
この場合、電源制御装置1のコントローラ3は、メイン電源10を含む第1系統ライン110の地絡と本判定する。そして、図5に示すように、電源制御装置1のコントローラ3は、系統間接続部41のオフと電池用スイッチ42のオンとを継続し、第1~第5スイッチ30~34をオフにして、バックアップ電源20から第2系統ライン120を介して各負荷101~105に給電する。
【0058】
コントローラ3は、第1系統ライン110の地絡と本判定した場合、第1系統ライン110が地絡したこと、および、バックアップ電源20によるFOPを開始したことを自動運転制御装置60に通知する。
【0059】
自動運転制御装置60のコントローラ61は、自動運転制御中に電源制御装置1から第1系統ライン110が地絡したこと、および、バックアップ電源20によるFOPを開始したことが通知されると、自動運転による退避走行を開始する。
【0060】
自動運転制御装置60のコントローラ61は、自動運転による退避走行を開始すると、通知装置70を制御して運転者に手動運転による退避走行の開始を要求する。コントローラ61は、運転者の手動による運転操作を検出した場合には、自動運転制御を終了する。
【0061】
ところで、メイン電源10が失陥してバックアップ電源20による退避走行制御(FOP)が行われる場合、バックアップ電源20の電力には限りがある。そのため、バックアップ電源20の充電残量が減少すると、コントローラ61は、退避走行を継続できなくなるおそれがある。従って、バックアップ電源20の充電残量によっては、負荷の消費電力を減少させた方がよい。
【0062】
具体的には、図6に示すように、電源制御装置1のコントローラ3は、バックアップ電源20によるFOPを行う場合、第8~第10スイッチ37~39をオフする。すなわち、コントローラ3は、退避走行に影響を及ぼさない第1~第3一般負荷103~105への給電を停止し、負荷の消費電力を減少させた方がよい。
【0063】
そこで、自動運転制御装置60のコントローラ61は、退避走行制御を行わせる場合、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスをユーザに通知する。詳しくは、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力が減少する操作を促す内容のアドバイスなど、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスをユーザに通知する。このとき、自動運転制御装置60のコントローラ61は、通知装置70を制御してアドバイスをユーザに通知する。
【0064】
これにより、自動運転制御装置60のコントローラ61は、ユーザがアドバイスに従って、例えばエアコンをオフにする操作を行えば、バックアップ電源20の充電残量の減少が抑制されるので走行可能距離を延ばすことができる。
【0065】
また、退避走行に影響を及ぼさない負荷(ここでは第1~第3一般負荷103~105)は、それぞれ消費電力の大きさが異なる。例えば、エアコンは、オーディオや車内照明などに比べて消費電力が大きい。このため、自動運転制御装置60のコントローラ61は、現状のバックアップ電源20の充電残量で退避走行を完了できない可能性があるが、消費電力が比較的小さい負荷への給電を停止するだけで、退避走行を確実に完了できることがある。また、コントローラ61は、現状のバックアップ電源20の充電残量で退避走行を完了できない可能性があるが、消費電力が比較的大きい負荷への給電を停止すれば、退避走行を確実に完了できることもある。
【0066】
したがって、コントローラ61は、バックアップ電源20の充電残量に応じて、負荷の消費電力が減少する操作を促すアドバイスの内容を変更してもよい。これにより、コントローラ61は、ユーザが、バックアップ電源20の充電残量に応じたアドバイスに従って、例えばオーディオやエアコンをオフにする操作を行えば、アドバイスの内容に応じた負荷の消費電力を減少させることが可能となる。これにより、コントローラ61は、バックアップ電源20の充電残量の減少が抑制されるので、走行可能距離を延ばすことができる。言い換えると、コントローラ61は、バックアップ電源20の充電残量に応じて適切なアドバイスを通知することができ、退避走行を確実に完了させることが可能になる。
【0067】
ただし、コントローラ61が、上記のアドバイスをユーザに通知しても、ユーザがアドバイスに従わないことがある。かかる場合、バックアップ電源20の充電残量が、退避走行を完了できない充電残量(例えば60%)まで低下してしまう。また、現状のバックアップ電源20の充電残量が既に、退避走行を完了できない充電残量以下になっている場合もある。
【0068】
そこで、コントローラ61は、バックアップ電源20の充電残量が退避走行を完了不可な充電残量以下である場合、退避走行に影響を及ぼさない負荷(ここでは第1~第3一般負荷103~105)の消費電力が減少するように制御する。具体的には、コントローラ61は、現状のバックアップ電源20の充電残量が退避走行を完了不可な充電残量以下である場合、退避走行に影響を及ぼさない負荷を強制的に遮断する制御を実行する。
【0069】
なお、上記の「バックアップ電源20の充電残量が退避走行を完了不可な充電残量以下である」とは、バックアップ電源20の充電残量が、負荷を現状のまま使用し続けたときに退避走行を完了することができなくなる状態であることを意味している。また、「負荷を遮断する」とは、負荷と電源(ここではバックアップ電源20)との電気的な接続を遮断することを含む。
【0070】
負荷を遮断する制御の際、コントローラ61は、第8~第10スイッチ37~39の一部あるいは全部をオフする指示をコントローラ3へ出力し、退避走行に影響を及ぼさない第1~第3一般負荷103~105の一部あるいは全部への給電を停止する。これにより、コントローラ61は、バックアップ電源20の充電残量の減少が抑制されるので、走行可能距離を延ばすことができ、結果として退避走行を完了させることが可能になる。
【0071】
なお、退避走行に影響を及ぼさない負荷のうち、制御(遮断)する負荷は、バックアップ電源20の充電残量に応じて設定されてもよい。すなわち、退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力の大きさはそれぞれ異なることから、コントローラ61は、バックアップ電源20の充電残量に応じて、制御(遮断)する負荷を変更してもよい。
【0072】
具体的には、コントローラ61は、現状のバックアップ電源20の充電残量が退避走行を完了不可な充電残量以下であるが、消費電力が比較的小さい負荷への給電を停止すれば退避走行を完了できる可能性がある場合、かかる負荷を遮断する制御を実行する。また、コントローラ61は、現状のバックアップ電源20の充電残量が退避走行を完了不可な充電残量以下であるが、消費電力が比較的大きい負荷への給電を停止すれば退避走行を完了できる可能性がある場合、かかる負荷を遮断する制御を実行する。また、コントローラ61は、現状のバックアップ電源20の充電残量が退避走行を完了不可な充電残量以下であるが、退避走行に影響を及ぼさない負荷全てへの給電を停止すれば退避走行を完了できる可能性がある場合、当該負荷全てを遮断する制御を実行する。
【0073】
このように、コントローラ61は、バックアップ電源20の充電残量に応じて、制御(遮断)する負荷を変更する。コントローラ61は、遮断された負荷への給電が停止されるため、バックアップ電源20の充電残量の減少が抑制されるので、走行可能距離を延ばすことができる。言い換えると、コントローラ61は、バックアップ電源20の充電残量に応じて負荷を適切に遮断することができ、退避走行を完了できる可能性を向上させることができる。
【0074】
なお、上記では、退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力が減少する制御として、負荷の遮断が実行される例を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、コントローラ61は、エアコンに対して消費電力が低下する省エネモードに移行させる指示を出力する、あるいはオーディオに対して音量を下げたり、ディスプレイの輝度を下げたりして消費電力を低下させる指示を出力するなどその他の手法を用いて、負荷の消費電力を減少させてもよい。
【0075】
また、自動運転制御装置60のコントローラ61は、バックアップ電源20が失陥してメイン電源10によるFOPが行われる場合、バックアップ電源20に比べてPbB11の電力供給時間が長く、またPbB11の充電残量が減少しても、発電機12によって発電される電力によって電力供給時間を十分に確保できるため、退避走行を継続できる(図4参照)。詳しくは、メイン電源10によるFOPが行われる場合、退避走行に影響を及ぼす負荷、及ぼさない負荷を含む各負荷に、PbB11の電力および発電機12によって発電される電力が供給される。そのため、メイン電源10によるFOPが行われる場合、上記したバックアップ電源20によるFOPが行われる場合におけるアドバイス(例えば、負荷の消費電力が減少する操作を促す内容のアドバイス)が不要となることがある。
【0076】
そこで、自動運転制御装置60のコントローラ61は、メイン電源10が失陥した場合とバックアップ電源20が失陥した場合とで、アドバイスの内容を異ならせる。これにより、コントローラ61は、メイン電源10が失陥した場合か、バックアップ電源20が失陥した場合かに応じて適切なアドバイスをユーザに通知することができる。
【0077】
具体的には、バックアップ電源20が失陥してメイン電源10によるFOPが行われるとき、退避走行に影響を及ぼす負荷(ここでは第1、第2走行負荷101,102)には、上記したように第1系統ライン110の一方から給電される。そのため、退避走行に影響を及ぼす負荷である電動ステアリング装置は、出力トルクが低下する。
【0078】
そこで、自動運転制御装置60のコントローラ61は、自動運転から手動運転に移行する場合、通知装置70を制御して運転者(ユーザ)に、ハンドルの操作が重くなる旨を通知する。すなわち、コントローラ61は、車両の操作性が低下する可能性があることをユーザに通知する。これにより、ユーザは、ハンドルの操作が重くなることを認識しつつ運転することとなる。そのため、本実施形態に係るコントローラ61は、退避走行時において、通常時とは異なる操作性に対するユーザの不安を緩和させることができる。なお、第1系統ライン110の一方から給電されることで車両の操作性が低下する可能性がある負荷としては、電動ステアリング装置だけに限らず、ブレーキや走行用モータ等の他の負荷であってもよい。ブレーキの場合、ブレーキのききが弱くなり、走行用モータの場合、トルクが減少するためである。
【0079】
[1-3.通知アドバイステーブル]
自動運転制御装置60のコントローラ61は、上記したアドバイスを通知するために、通知アドバイステーブルを記憶する。ここで、図7を参照して第1実施形態に係る通知アドバイステーブルについて説明する。図7は、第1実施形態に係る通知アドバイステーブルの一例を示す説明図である。
【0080】
図7に示すように、通知アドバイステーブルは、LiB21の充電残量と、メイン電源10失陥時の自動運転中に通知するアドバイスとが対応付けられたテーブルである。また、通知アドバイステーブルには、バックアップ電源20失陥時の手動運転中に通知するアドバイスも含まれる。
【0081】
自動運転制御装置60のコントローラ61は、メイン電源10が失陥してバックアップ電源20によるFOPが行われる場合、通知アドバイステーブルを参照する。そして、コントローラ61は、状況に応じたアドバイスを選択して通知する。例えば、コントローラ61は、自動運転による退避走行中に、LiB21の充電残量が95%以上であれば、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスを非通知とする。この95%は、退避走行を完了可能な想定時間を確保できる充電残量の一例である。なお、コントローラ61は、例えばナビゲーション装置80から得られる車両の現在地から最も近い安全な退避場所までの距離を、退避走行時の車速で除算することで、退避走行を完了可能な想定時間を得ることができるが、これに限定されるものではない。例えば、想定時間は予め定めた固定時間(例えば20秒)であってもよい。
【0082】
コントローラ61は、LiB21の充電残量が80%より大きく、かつ95%未満であれば、退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力が減少する操作を促す内容のアドバイスを通知する。ここで、LiB21の充電残量が80%より大きく、かつ95%未満である状態は、例えば車両の走行環境によって、FOP完了までの走行時間が想定時間より長くなった場合に、FOPが完了しない可能性が僅かにある状態である。車両の走行環境には、車両が走行する道路の渋滞状況、天候状況などが含まれる。例えば、道路が渋滞している場合、FOP完了までの走行時間が想定時間より長くなり易い。また、天候が暴風雨等で不良である場合、FOP完了までの走行時間が想定時間より長くなり易い。そこで、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷のうち、消費電力が比較的小さい負荷を遮断する操作を促す内容のアドバイスをユーザに通知する。例えば、コントローラ61は、「オーディオをOFFにしてください。」などのアドバイスを通知する。
【0083】
このように、コントローラ61は、メイン電源10が失陥してバックアップ電源20によってFOPを行わせる場合、バックアップ電源20の充電残量が少ないほど、より消費電力が大きい負荷を遮断する操作を促す内容のアドバイスをユーザに通知する。これにより、コントローラ61は、ユーザがアドバイスに従って、例えばオーディオやエアコンをオフにする操作を行えば、アドバイスの内容に応じた負荷の消費電力を減少させることが可能となる。これにより、コントローラ61は、バックアップ電源20の充電残量の減少が抑制されるので、走行可能距離を延ばすことができる。言い換えると、コントローラ61は、バックアップ電源20の充電残量に応じて適切なアドバイスを通知することができ、退避走行を確実に完了させることが可能になる。
【0084】
コントローラ61は、LiB21の充電残量が60%より大きく、かつ80%以下であれば、退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力が減少する操作を促す内容のアドバイスを通知する。ここで、LiB21の充電残量が60%より大きく、かつ80%以下である状態は、例えば車両の走行環境によって、FOP完了までの走行時間が想定時間より長くなった場合に、FOPが完了しない可能性がある状態である。そのため、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷のうち、消費電力が比較的大きい負荷を遮断する操作を促す内容のアドバイスをユーザに通知する。例えば、コントローラ61は、「エアコンをOFFにしてください。」などのアドバイスを通知する。なお、コントローラ61は、自動運転中に電源失陥を検出し、最初にアドバイスを通知するときの充電残量が60%より大きく、かつ80%以下であれば、80%より大きく、かつ95%以下のときのアドバイスである「オーディオをOFFにしてください。」といったアドバイスも併せて通知する。
【0085】
コントローラ61は、LiB21の充電残量が40%より大きく、かつ60%以下であれば、退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力が減少するように制御(遮断)する旨を通知する。この60%は、退避走行を完了不可な充電残量の一例である。退避走行を完了不可な充電残量は、例えば退避走行を完了可能な想定時間を確保することができない充電残量であるが、これに限定されるものではない。コントローラ61は、LiB21の充電残量が退避走行を完了可能な想定時間を確保することができない充電残量であるが、消費電力が比較的小さい負荷を遮断すれば退避走行を完了できる場合、かかる負荷を制御(遮断)する旨を通知する。詳しくは、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷のうち、比較的消費電力が小さい負荷を遮断する旨を通知する。例えば、コントローラ61は、「オーディオをOFFにします。」などの通知を行う。
【0086】
コントローラ61は、LiB21の充電残量が20%より大きく、かつ40%以下であれば、退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力が減少するように制御(遮断)する旨を通知する。具体的には、コントローラ61は、LiB21の充電残量が退避走行を完了可能な想定時間を確保することができない充電残量であるが、消費電力が比較的大きい負荷を遮断すれば退避走行を完了できる場合、かかる負荷を制御(遮断)する旨を通知する。詳しくは、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷のうち、比較的消費電力が大きい負荷を遮断する旨を通知する。例えば、コントローラ61は、「エアコンをOFFにします。」などの通知を行う。なお、コントローラ61は、自動運転中に電源失陥を検出し、最初にアドバイスを通知するときの充電残量が20%より大きく、かつ40%以下であれば、40%より大きく、かつ60%以下のときのアドバイスである「オーディオをOFFにします。」といったアドバイスも併せて通知する。
【0087】
コントローラ61は、LiB21の充電残量が20%以下であれば、退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力が減少するように制御(遮断)する旨を通知する。具体的には、コントローラ61は、LiB21の充電残量が退避走行を完了可能な想定時間を確保することができない充電残量であるが、退避走行に影響を及ぼさない負荷全てを遮断すれば退避走行を完了できる場合、かかる負荷を制御(遮断)する旨を通知する。詳しくは、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷のうち、全ての負荷を遮断する旨を通知する。例えば、コントローラ61は、「退避走行に影響を及ぼさない全ての機器をOFFにします。」などの通知を行う。
【0088】
また、コントローラ61は、バックアップ電源20が失陥してメイン電源10によるFOPが行われる場合、通知アドバイステーブルを参照する。コントローラ61は、メイン電源10による退避走行時の手動運転中、例えば「電動ステアリング装置の出力が低下しています。ハンドル操作が重くなります。」というアドバイスを通知する。
【0089】
[1-4.電源制御装置のコントローラが実行する処理]
次に、図8を参照して、第1実施形態に係る電源制御装置1のコントローラ3が実行する処理について説明する。図8は、第1実施形態に係る電源制御装置1のコントローラ3が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0090】
コントローラ3は、車両が起動されると、系統間接続部41をオンにし、電池用スイッチ42をオフにした後、図8に示す処理を実行する。図8に示すように、コントローラ3は、電源失陥が発生したか否かを仮判定する(ステップS101)。言い換えると、コントローラ3は、給電系統に失陥が発生したか否かを仮判定する。
【0091】
コントローラ3は、第2系統電圧V2が地絡閾値以下になった場合、給電系統に失陥が発生したと仮判定する。コントローラ3は、第2系統電圧V2が地絡閾値を超えている場合、給電系統は失陥していないと判定する。
【0092】
コントローラ3は、電源失陥が発生していないと判定した場合(ステップS101,No)、処理を終了してステップS101から再度処理を開始する。コントローラ3は、電源失陥が発生したと仮判定した場合(ステップS101,Yes)、系統間接続部41をオフにし、かつ電池用スイッチ42をオンにする(ステップS102)。
【0093】
その後、コントローラ3は、電源失陥の本判定を行う(ステップS103)。コントローラ3は、仮判定後、第1系統電圧V1が所定時間以上地絡閾値以下であり、かつ第2系統電圧V2が所定時間以内に地絡閾値を超える場合、メイン電源10の失陥と本判定する。
【0094】
コントローラ3は、仮判定後、第2系統電圧V2が所定時間以上地絡閾値以下であり、かつ第1系統電圧V1が所定時間以内に地絡閾値を超える場合、バックアップ電源20の失陥と本判定する。
【0095】
また、コントローラ3は、仮判定後、第1系統電圧V1および第2系統電圧V2が所定時間以内に地絡閾値を超える場合、仮判定の結果を誤りと判定する。つまり、コントローラ3は、電源失陥が発生していないと本判定する。
【0096】
コントローラ3は、本判定の結果がメイン電源10の失陥であったか否かを判定する(ステップS104)。コントローラ3は、本判定の結果がメイン電源10の失陥であった場合(ステップS104,Yes)、第1~第5スイッチ30~34をオフにする(ステップS105)。そして、コントローラ3は、処理をステップS108へ移す。これにより、バックアップ電源20の電力が第6~第10スイッチ35~39を介して各負荷101~105に供給され、バックアップ電源20を用いたFOPが行われる。
【0097】
コントローラ3は、本判定の結果がメイン電源10の失陥でなかった場合(ステップS104,No)、本判定の結果がバックアップ電源20の失陥であったか否かを判定する(ステップS106)。
【0098】
コントローラ3は、本判定の結果がバックアップ電源20の失陥であった場合(ステップS106,Yes)、電池用スイッチ42をオフにし、第6~第10スイッチ35~39をオフにして(ステップS107)、処理をステップS108へ移す。これにより、メイン電源10の電力が第1~第5スイッチ30~34を介して各負荷101~105に供給され、メイン電源10を用いたFOPが行われる。
【0099】
ステップS108において、コントローラ3は、失陥した電源の給電系統を自動運転制御装置60に通知して処理を終了する。例えば、コントローラ3は、メイン電源10が失陥したと本判定した場合、メイン電源10を含む第1系統ライン110が地絡したこと、および、バックアップ電源20によるFOPを開始したことを自動運転制御装置60に通知する。
【0100】
また、コントローラ3は、バックアップ電源20が失陥したと本判定した場合、例えば、バックアップ電源20を含む第2系統ライン120が地絡したこと、および、メイン電源10によるFOPを開始したことを自動運転制御装置60に通知する。
【0101】
また、コントローラ3は、本判定の結果がメイン電源10の失陥でも、バックアップ電源20の失陥でもなかった場合(ステップS106,No)、電池用スイッチ42をオフにし、系統間接続部41をオンにする(ステップS109)。つまり、コントローラ3は、電源失陥していないと本判定した場合、電池用スイッチ42をオフにし、系統間接続部41をオンにする。これにより、電池用スイッチ42と系統間接続部41はもとの通常状態に戻る。そして、コントローラ3は、処理を終了してステップS101から再度処理を開始する。
【0102】
[1-5.自動運転装置のコントローラが実行する処理]
次に、図9図11を参照して、第1実施形態に係る自動運転制御装置60のコントローラ61が実行する処理について説明する。図9図11は、第1実施形態に係る自動運転制御装置60のコントローラ61が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0103】
[1-5-1.自動運転装置のコントローラが実行する退避走行処理]
コントローラ61は、自動運転制御中に電源制御装置1から電源が失陥したことが通知されると、図9に示す退避走行処理を実行する。例えば、図9に示すように、コントローラ61は、電源が失陥したことを通知されると、まず、自動運転による退避走行を開始させる(ステップS201)。
【0104】
そして、コントローラ61は、運転者に手動運転による退避走行を要求する(ステップS202)。例えば、コントローラ61は、通知装置70を制御して、「手動運転による退避走行を開始してください。」という要求を音声または表示によって運転者に通知する。
【0105】
コントローラ61は、運転者による運転操作を検知したか否かを判定する(ステップS203)。コントローラ61は、運転操作を検知した場合(ステップS203,Yes)、自動運転を終了する(ステップS204)。そして、コントローラ61は、処理をステップS206へ移す。
【0106】
コントローラ61は、運転操作を検知しない場合(ステップS203,No)、自動運転による退避走行を継続する(ステップS205)。そして、コントローラ61は、処理をステップS206へ移す。ステップS206において、コントローラ61は、退避走行が完了したか否かを判定する。
【0107】
コントローラ61は、地図情報とGPSとを使用して、車両が安全な場所に停止したことを確認した場合に、退避走行が完了したと判定する。安全な場所は、例えば、安全地帯または駐車スペースなどの車道以外の場所である。コントローラ61は、車両が車道上を走行中または車道上に停止中の場合に、退避走行が完了していないと判定する。
【0108】
コントローラ61は、退避走行が完了していないと判定した場合(ステップS206,No)、処理をステップS203へ移す。コントローラ61は、退避走行が完了したと判定した場合(ステップS206,Yes)、処理を終了する。
【0109】
[1-5-2.自動運転装置のコントローラが実行する通知処理]
自動運転制御装置60のコントローラ61は、退避走行処理と並行して、図10に示す通知処理を実行する。例えば、図10に示すように、コントローラ61は、自動運転制御中に電源制御装置1から電源が失陥したことを通知されると、電源制御装置1からの通知に基づいて、メイン電源10の失陥か否かを判定する(ステップS301)。
【0110】
コントローラ61は、メイン電源10の失陥であると判定した場合(ステップS301,Yes)、メイン電源10失陥時の通知処理を実行する(ステップS302)。かかるメイン電源10失陥時の通知処理、すなわち、メイン電源10が失陥してバックアップ電源20によるFOPが行われているときの通知処理については、図11を参照して後述する。
【0111】
コントローラ61は、メイン電源10の失陥でないと判定した場合(ステップS301,No)、すなわちバックアップ電源20が失陥してメイン電源10によるFOPが行われている場合、退避走行中であることを通知する(ステップS303)。言い換えると、コントローラ61は、退避走行制御の実行中であることを通知する。これにより、コントローラ61は、ユーザに対して、メイン電源10からの電力供給による退避走行中であることを認識させることが可能になる。
【0112】
次いで、コントローラ61は、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスをユーザに通知しない(ステップS304)。上記したように、バックアップ電源20が失陥してメイン電源10によるFOPが行われる場合、PbB11の電力や発電機12によって発電される電力によって、退避走行を継続できる。そのため、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイス自体は、ユーザに通知する必要がない。そこで、本実施形態に係るコントローラ61は、メイン電源10によるFOPが行われている場合、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスを非通知とするようにした。これにより、コントローラ61は、ユーザに対して不要な通知を行うことがないようにすることができる。
【0113】
次いで、コントローラ61は、手動運転による退避走行中か否かを判定する(ステップS305)。コントローラ61は、図9に示すステップS203において、運転操作を検知したと判定した場合に、手動運転による退避走行中であると判定する。
【0114】
コントローラ61は、手動運転による退避走行中と判定した場合(ステップS305,Yes)、車両の操作性が低下する可能性があることをユーザに通知する(ステップS306)。すなわち、コントローラ61は、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスに代えて、車両の操作性が低下する可能性があることを前記ユーザに通知する。これにより、ユーザは、ハンドルの操作が重くなることを認識しつつ運転することとなる。そのため、コントローラ61は、退避走行時において、通常時とは異なる操作性に対するユーザの不安を緩和させることができる。
【0115】
コントローラ61は、手動運転による退避走行中でないと判定した場合(ステップS305,No)、そのまま処理を終了する。
【0116】
[1-5-3.メイン電源失陥時の通知処理]
次に、メイン電源10失陥時の通知処理(ステップS302参照)について図11を参照して説明する。メイン電源10失陥時の通知処理は、詳しくは、メイン電源10が失陥してバックアップ電源20によるFOPが行われている場合の通知処理である。なお、自動運転制御装置60のコントローラ61は、電源制御装置1からバックアップ電源20の充電残量(SOC)を示す情報を取得する。
【0117】
図11に示すように、メイン電源10失陥時の通知処理では、コントローラ61は、LiB21の充電残量が95%以上であるか否かを判定する(ステップS401)。言い換えると、コントローラ61は、LiB21の充電残量が、退避走行を完了可能な想定時間を確保できる充電残量以上であるか否かを判定する。
【0118】
コントローラ61は、LiB21の充電残量が95%以上であると判定した場合(ステップS401,Yes)、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスを非通知とする(ステップS402)。言い換えると、コントローラ61は、バックアップ電源20の充電残量が退避走行を完了可能な想定時間を確保できる充電残量以上である場合、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスを通知しない。
【0119】
すなわち、車両が退避走行を完了できる場合、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスは、ユーザに通知する必要がない。そのため、コントローラ61は、かかるアドバイスを非通知とするようにした。これにより、コントローラ61は、ユーザに対して不要な通知を行うことがないようにすることができる。
【0120】
なお、コントローラ61は、ステップS402の処理において、LiB21の充電残量に応じてFOP走行可能な距離を算出し、算出したFOP走行可能な距離をユーザに通知してもよい。これにより、コントローラ61は、ユーザに対して、FOP走行可能な距離を認識させることが可能になり、退避走行時におけるユーザの不安を緩和させることができる。
【0121】
一方、コントローラ61は、LiB21の充電残量が95%以上でないと判定した場合(ステップS401,No)、LiB21の充電残量が80%より大きく、かつ95%未満であるか否かを判定する(ステップS403)。
【0122】
コントローラ61は、LiB21の充電残量が80%より大きく、かつ95%未満であると判定した場合(ステップS403,Yes)、オーディオの遮断操作を促す内容のアドバイスをユーザに通知する(ステップS404)。すなわち、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷のうち、消費電力が比較的小さい負荷を遮断する操作を促す内容のアドバイスをユーザに通知する。
【0123】
コントローラ61は、LiB21の充電残量が80%より大きく、かつ95%未満でないと判定した場合(ステップS403,No)、LiB21の充電残量が60%より大きく、かつ80%以下であるか否かを判定する(ステップS405)。
【0124】
コントローラ61は、LiB21の充電残量が60%より大きく、かつ80%以下であると判定した場合(ステップS405,Yes)、エアコンの遮断操作を促す内容のアドバイスをユーザに通知する(ステップS406)。すなわち、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷のうち、消費電力が比較的大きい負荷を遮断する操作を促す内容のアドバイスをユーザに通知する。
【0125】
コントローラ61は、LiB21の充電残量が60%より大きく、かつ80%以下でないと判定した場合(ステップS405,No)、LiB21の充電残量が40%より大きく、かつ60%以下であるか否かを判定する(ステップS407)。
【0126】
コントローラ61は、LiB21の充電残量が40%より大きく、かつ60%以下であると判定した場合(ステップS407,Yes)、オーディオを遮断することをユーザに通知する(ステップS408)。次いで、コントローラ61は、オーディオを遮断する制御を実行する(ステップS409)。詳しくは、コントローラ61は、オーディオを遮断する指示をコントローラ3へ出力し、コントローラ3によってオーディオが遮断される。
【0127】
このように、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷のうち、消費電力が比較的小さい負荷を遮断する制御を行う。なお、コントローラ61は、オーディオを遮断する前に、オーディオを遮断することを通知するため、ユーザに対してオーディオが切れることを予め認識させることが可能になる。
【0128】
コントローラ61は、LiB21の充電残量が40%より大きく、かつ60%以下でないと判定した場合(ステップS407,No)、LiB21の充電残量が20%より大きく、かつ40%以下であるか否かを判定する(ステップS410)。
【0129】
コントローラ61は、LiB21の充電残量が20%より大きく、かつ40%以下であると判定した場合(ステップS410,Yes)、エアコンを遮断することをユーザに通知する(ステップS411)。次いで、コントローラ61は、エアコンを遮断する制御を実行する(ステップS412)。詳しくは、コントローラ61は、エアコンを遮断する指示をコントローラ3へ出力し、コントローラ3によってエアコンが遮断される。
【0130】
このように、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷のうち、消費電力が比較的大きい負荷を遮断する制御を行う。なお、コントローラ61は、エアコンを遮断する前に、エアコンを遮断することを通知するため、ユーザに対してエアコンが切れることを予め認識させることが可能になる。
【0131】
コントローラ61は、LiB21の充電残量が20%より大きく、かつ40%以下でないと判定した場合(ステップS410,No)、すなわち20%以下であると判定した場合、処理をステップS413へ移す。ステップS413において、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷全てを遮断することをユーザに通知する。次いで、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷全てを遮断する制御を実行する(ステップS414)。詳しくは、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷全てを遮断する指示をコントローラ3へ出力し、コントローラ3によって当該負荷が遮断される。
【0132】
このように、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷全てを遮断する前に、遮断することを通知するため、ユーザに対して当該負荷全てが切れることを予め認識させることが可能になる。
【0133】
なお、コントローラ61は、ステップS404,S406,S408,S411,S413の処理において、対応する負荷を遮断した後のFOP走行可能な距離を算出し、算出したFOP走行可能な距離をユーザに通知してもよい。これにより、コントローラ61は、ユーザに対して、負荷遮断後のFOP走行可能な距離を認識させることが可能になり、退避走行時におけるユーザの不安を緩和させることができる。
【0134】
また、コントローラ61は、ステップS404,S406の処理において警告音を鳴らさずに通知してもよい。コントローラ61は、ステップS408,S411,S413の処理において警告音を鳴らして通知してもよい。すなわち、コントローラ61は、負荷を強制的に遮断する場合に、警告音を鳴らして通知してもよい。これにより、コントローラ61は、ユーザに対して負荷が切れることを確実に認識させることが可能になる。
【0135】
上述してきたように、第1実施形態に係る自動運転制御装置(制御装置の一例)60は、自動運転機能を有する車両に搭載され、メイン電源10およびバックアップ電源20の一方が失陥した場合に他方の電源によって退避走行制御を行わせるコントローラ61を備える。コントローラ61は、退避走行制御を行わせる場合、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスをユーザに通知する。コントローラ61は、メイン電源10が失陥した場合とバックアップ電源20が失陥した場合とで、アドバイスの内容を異ならせる。これにより、自動運転制御装置60は、退避走行制御を行わせる車両において、退避走行可能距離を延ばすことができる。
【0136】
[2.第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る制御システムについて説明する。第2実施形態に係る制御システムでは、自動運転制御装置60に代わって、電源制御装置1が車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスをユーザに通知する。
【0137】
なお、電源制御装置1のコントローラ3は、電源失陥を検出した場合に、その旨を自動運転制御装置60に通知し、自動運転制御装置60によって退避走行制御を行わせる。つまり、電源制御装置1のコントローラ3は、自動運転機能を有する車両に搭載され、メイン電源10が失陥した場合に、バックアップ電源20によって退避走行制御を行わせるコントローラの一例である。また、コントローラ3は、バックアップ電源20が失陥した場合に、メイン電源10によって退避走行制御を行わせるコントローラの一例である。
【0138】
[2-1.制御システムの構成]
図12は、第2実施形態に係る制御システム100Aの構成例を示す説明図である。図12に示すように、制御システム100Aでは、自動運転制御装置60は、通知装置70に接続されてない。一方、電源制御装置1のコントローラ3Aは、通知装置70に接続されている。自動運転制御装置60のコントローラ61Aは、車両の自動運転制御を行うが、ユーザへのアドバイスの通知は行わない。
【0139】
[2-2.電源制御装置のコントローラが実行する処理]
コントローラ3Aは、図8に示す処理に加えて、図10,11に示す処理と同様の処理を実行して、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスを含む各種のアドバイスをユーザに通知する。
【0140】
ただし、コントローラ3Aは、図10に示すステップS305の処理を実行する場合、自動運転制御装置60から自動運転による退避走行中か手動運転による退避走行中かを示す情報を取得する。そして、コントローラ3Aは、自動運転制御装置60から取得する情報に基づいて、手動運転による退避走行中か否かを判定する。
【0141】
また、コントローラ3Aは、退避走行を完了可能な想定時間を算出する際、例えば自動運転制御装置60またはナビゲーション装置80から、退避場所までの距離、退避走行時の車速などの情報を取得する。
【0142】
これにより、第2実施形態に係る電源制御装置1のコントローラ3Aは、第1実施形態に係る自動運転制御装置60のコントローラ61と同様に、退避走行可能距離を延ばすことができる。また、コントローラ3Aは、第1実施形態に係る自動運転制御装置60のコントローラ61と同様な効果を得ることもできる。
【0143】
[3.付記]
付記として、本発明の特徴を以下の通り示す。
(1)
自動運転機能を有する車両に搭載され、メイン電源およびバックアップ電源の一方が失陥した場合に他方の電源によって退避走行制御を行わせるコントローラを備えた制御装置であって、
前記コントローラは、
前記退避走行制御を行わせる場合、前記車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスをユーザに通知し、
前記メイン電源が失陥した場合と前記バックアップ電源が失陥した場合とで、前記アドバイスの内容を異ならせる、
制御装置。
(2)
前記コントローラは、
前記メイン電源が失陥して前記バックアップ電源によって前記退避走行制御を行わせる場合、退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力が減少する操作を促す内容の前記アドバイスを前記ユーザに通知し、
前記バックアップ電源が失陥して前記メイン電源によって前記退避走行制御を行わせる場合、前記アドバイスを前記ユーザに通知しない、
(1)に記載の制御装置。
(3)
前記コントローラは、
前記メイン電源が失陥して前記バックアップ電源によって前記退避走行制御を行わせる場合、前記バックアップ電源の充電残量に応じて前記操作を促す内容を変更する、
(2)に記載の制御装置。
(4)
前記コントローラは、
前記メイン電源が失陥して前記バックアップ電源によって前記退避走行制御を行わせる場合、前記バックアップ電源の充電残量が少ないほど、より消費電力が大きい負荷を遮断する操作を促す内容の前記アドバイスを前記ユーザに通知する、
(1)から(3)のいずれか一つに記載の制御装置。
(5)
前記コントローラは、
前記メイン電源が失陥して前記バックアップ電源によって前記退避走行制御を行わせる際に、前記バックアップ電源の充電残量が退避走行を完了可能な想定時間を確保できる充電残量以上である場合、前記アドバイスを前記ユーザに通知しない、
(1)から(4)のいずれか一つに記載の制御装置。
(6)
前記コントローラは、
前記メイン電源が失陥して前記バックアップ電源によって前記退避走行制御を行わせる際に、前記バックアップ電源の充電残量が退避走行を完了不可な充電残量以下である場合、前記退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力が減少するように制御する、
(1)から(5)のいずれか一つに記載の制御装置。
(7)
前記コントローラは、
前記メイン電源が失陥して前記バックアップ電源によって前記退避走行制御を行わせる際に、前記バックアップ電源の充電残量が退避走行を完了不可な充電残量以下である場合、前記退避走行に影響を及ぼさない負荷を強制的に遮断する制御を実行する、
(6)に記載の制御装置。
(8)
前記コントローラは、
前記バックアップ電源が失陥して前記メイン電源によって前記退避走行制御を行わせる場合、前記退避走行制御の実行中であることを前記ユーザに通知し、
前記車両の走行可能距離を延ばすための前記アドバイスに代えて、前記車両の操作性が低下する可能性があることを前記ユーザに通知する、
(1)から(7)のいずれか一つに記載の制御装置。
(9)
自動運転機能を有する車両に搭載され、メイン電源およびバックアップ電源の一方が失陥した場合に他方の電源によって退避走行制御を行わせる制御装置のコントローラが実行する制御方法であって、
前記退避走行制御を行わせる場合、前記車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスをユーザに通知し、
前記メイン電源が失陥した場合と前記バックアップ電源が失陥した場合とで、前記アドバイスの内容を異ならせる、
ことを含む制御方法。
【0144】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0145】
1 電源制御装置
3,3A,61,61A コントローラ
10 メイン電源
12 発電機
20 バックアップ電源
60 自動運転制御装置
70 通知装置
71 表示部
72 スピーカ
101 第1走行負荷
102 第2走行負荷
103 第1一般負荷
104 第2一般負荷
105 第3一般負荷
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12