(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124261
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】制御装置および制御方法
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20240905BHJP
B60R 16/03 20060101ALI20240905BHJP
H02J 1/00 20060101ALI20240905BHJP
B60L 3/00 20190101ALI20240905BHJP
B60L 15/20 20060101ALI20240905BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240905BHJP
B60W 50/023 20120101ALI20240905BHJP
B60W 50/14 20200101ALI20240905BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20240905BHJP
【FI】
H02J7/00 P
B60R16/03 A
H02J1/00 304E
H02J1/00 306K
H02J1/00 306L
H02J7/00 X
B60L3/00 S
B60L15/20 J
B60L50/60
B60W50/023
B60W50/14
B60W60/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032290
(22)【出願日】2023-03-02
(71)【出願人】
【識別番号】000237592
【氏名又は名称】株式会社デンソーテン
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 俊介
(72)【発明者】
【氏名】松本 健
【テーマコード(参考)】
3D241
5G165
5G503
5H125
【Fターム(参考)】
3D241BA57
3D241BB00
3D241CA08
3D241CC19
5G165AA01
5G165BB02
5G165DA02
5G165EA02
5G165EA10
5G165GA04
5G165GA09
5G165HA16
5G165JA04
5G165JA07
5G165LA01
5G165MA10
5G165NA10
5G165PA01
5G503AA04
5G503AA07
5G503BA02
5G503BB02
5G503CA11
5G503CC02
5G503DA04
5G503DA18
5G503EA06
5G503FA06
5G503FA16
5G503GD03
5G503GD06
5H125AA01
5H125AC12
5H125BC25
5H125CA11
5H125CA18
5H125CD02
5H125CD04
5H125DD01
5H125EE26
5H125EE51
5H125EE61
(57)【要約】
【課題】退避走行制御を行わせる車両において、退避走行可能距離を延ばすことができる制御装置および制御方法を提供する。
【解決手段】実施形態の一態様に係る制御装置は、自動運転機能を有する車両に搭載され、メイン電源が失陥した場合にバックアップ電源によって退避走行制御を行わせるコントローラを備える。コントローラは、退避走行制御を行わせる場合、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスをユーザに通知する。コントローラは、車両が取得した車両の周辺状況に応じてアドバイスの内容を異ならせる。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転機能を有する車両に搭載され、メイン電源が失陥した場合にバックアップ電源によって退避走行制御を行わせるコントローラを備えた制御装置であって、
前記コントローラは、
前記退避走行制御を行わせる場合、前記車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスをユーザに通知し、
前記車両が取得した前記車両の周辺状況に応じて前記アドバイスの内容を異ならせる、
制御装置。
【請求項2】
前記コントローラは、
前記周辺状況に応じて前記車両の退避走行に支障をきたす障害度を予測し、
予測した前記障害度が大きいほど、負荷の消費電力をより多く減少させる操作を促す内容の前記アドバイスを前記ユーザに通知する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記コントローラは、
前記車両を安全に停止させる場所までの距離を示す距離情報、渋滞情報、および天候情報の少なくともいずれかを含んだ前記周辺状況に応じて前記障害度を予測する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項4】
前記コントローラは、
前記障害度が前記退避走行を完了可能な値である場合、前記アドバイスを前記ユーザに通知しない、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項5】
前記コントローラは、
前記障害度が大きいほど、前記退避走行に影響を及ぼさない負荷のうちより消費電力が大きい負荷を遮断する操作を促す内容の前記アドバイスを前記ユーザに通知する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記障害度が前記退避走行を完了不可な値である場合、前記退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力が減少するように制御する、
請求項2に記載の制御装置。
【請求項7】
前記コントローラは、
前記障害度が前記退避走行を完了不可な値である場合、前記退避走行に影響を及ぼさない負荷を強制的に遮断する制御を実行する、
請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記コントローラは、
前記周辺状況に応じて前記車両が退避走行を完了するまでの予測時間を予測し、
予測した前記予測時間が長いほど、負荷の消費電力をより多く減少させる操作を促す内容の前記アドバイスを前記ユーザに通知する、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項9】
前記コントローラは、
前記車両を安全に停止させる場所までの距離を示す距離情報、渋滞情報、および天候情報の少なくともいずれかを含んだ前記周辺状況に応じて前記予測時間を予測する、
請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記コントローラは、
前記予測時間が前記退避走行可能な時間以下である場合、前記アドバイスを前記ユーザに通知しない、
請求項8に記載の制御装置。
【請求項11】
前記コントローラは、
前記予測時間が長いほど、前記退避走行に影響を及ぼさない負荷のうちより消費電力が大きい負荷を遮断する操作を促す内容の前記アドバイスを前記ユーザに通知する、
請求項8に記載の制御装置。
【請求項12】
前記コントローラは、
前記予測時間が前記退避走行可能な時間より長い場合、前記退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力が減少するように制御する、
請求項8に記載の制御装置。
【請求項13】
前記コントローラは、
前記予測時間が前記退避走行可能な時間より長い場合、前記退避走行に影響を及ぼさない負荷を強制的に遮断する制御を実行する、
請求項12に記載の制御装置。
【請求項14】
自動運転機能を有する車両に搭載され、メイン電源が失陥した場合にバックアップ電源によって退避走行制御を行わせる制御装置のコントローラが実行する制御方法であって、
前記退避走行制御を行わせる場合、前記車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスをユーザに通知し、
前記車両が取得した前記車両の周辺状況に応じて前記アドバイスの内容を異ならせる、
ことを含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置および制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
冗長電源システムが搭載される車両は、メイン電源が失陥した場合に、バックアップ電源によって退避走行制御を行わせる制御装置を備える。これにより、車両は、メイン電源が失陥しても、安全な場所まで走行して停止できる。
【0003】
ただし、バックアップ電源の電力には、限りがある。このため、制御装置は、退避走行制御中にバックアップ電源の電力消費を抑えることによって、退避走行可能距離を延ばすことが望ましい。
【0004】
退避走行可能距離を延ばす技術として、例えば、特許文献1には、車両に異常が発生した場合に、退避走行モードに移行し、退避走行モードでは走行距離を延ばすアドバイスを運転者に通知することが開示されている。
【0005】
具体的には、特許文献1に記載の制御装置は、バッテリ系部品の異常が発生した場合に、エンジンによる燃料消費量が低減するような運転操作のアドバイスをユーザに通知することによって、退避走行可能距離を延ばすように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は、退避走行をエンジンによって行う車両を前提としており、そもそも冗長電源システムが搭載される車両を想定していない。このため、特許文献1に記載の技術をメイン電源およびバックアップ電源を有する車両に適用したとしても、メイン電源の給電系統が失陥した場合に、バックアップ電源によって退避走行制御を行う車両の退避走行可能距離を延ばすことはできない。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、冗長電源システムが搭載され退避走行制御を行わせる車両において、退避走行可能距離を延ばすことができる制御装置および制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明において、制御装置は、自動運転機能を有する車両に搭載され、メイン電源が失陥した場合にバックアップ電源によって退避走行制御を行わせるコントローラを備える。前記コントローラは、前記退避走行制御を行わせる場合、前記車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスをユーザに通知する。前記コントローラは、前記車両が取得した前記車両の周辺状況に応じて前記アドバイスの内容を異ならせる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、冗長電源システムが搭載され退避走行制御を行わせる車両において、退避走行可能距離を延ばすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、第1実施形態に係る制御システムの構成例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態に係る電源制御装置の動作例を示す説明図である。
【
図3】
図3は、第1実施形態に係る電源制御装置の動作例を示す説明図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態に係る電源制御装置の動作例を示す説明図である。
【
図5】
図5は、第1実施形態に係る電源制御装置の動作例を示す説明図である。
【
図6】
図6は、第1実施形態に係る電源制御装置の動作例を示す説明図である。
【
図7】
図7は、第1実施形態に係る障害度テーブルの一例を示す説明図である。
【
図8】
図8は、第1実施形態に係る障害度テーブルの一例を示す説明図である。
【
図9】
図9は、第1実施形態に係る障害度テーブルの一例を示す説明図である。
【
図10】
図10は、第1実施形態に係る通知アドバイステーブルの一例を示す説明図である。
【
図11】
図11は、第1実施形態に係る電源制御装置のコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、第1実施形態に係る自動運転制御装置のコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図13】
図13は、第1実施形態に係る自動運転制御装置のコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、第1実施形態に係る自動運転制御装置のコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、第2実施形態に係る補正係数テーブルの一例を示す説明図である。
【
図16】
図16は、第2実施形態に係る補正係数テーブルの一例を示す説明図である。
【
図17】
図17は、第2実施形態に係る補正係数テーブルの一例を示す説明図である。
【
図18】
図18は、第2実施形態に係る通知アドバイステーブルの一例を示す説明図である。
【
図19】
図19は、第2実施形態に係る自動運転制御装置のコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図20】
図20は、第3実施形態に係る制御システムの構成例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して、制御装置および制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。実施形態に係る制御装置は、自動運転機能を備える電気自動車、ハイブリッド自動車、または、内燃機関によって走行するエンジン自動車などに搭載される。
【0013】
[1.第1実施形態]
[1-1.制御システムの構成]
図1は、第1実施形態に係る制御システム100の構成例を示す説明図である。
図1に示すように、実施形態に係る制御システム100は、電源制御装置1と、メイン電源10と、自動運転制御装置60と、通知装置70と、ナビゲーション装置80とを含む。
【0014】
メイン電源10は、電源制御装置1がエンジン自動車に搭載される場合、発電機12と、鉛バッテリ(以下、「PbB11」と記載する)とを含む。なお、メイン電源10の電池は、PbB11以外の任意の2次電池であってもよい。
【0015】
発電機12は、例えば、走行する車両の運動エネルギーを電気に変換して発電するオルタネータである。発電機12は、発電した電力によるPbB11および後述するバックアップ電源20の充電を行う。また、メイン電源10は、車両に搭載される複数の電気負荷に電力を供給する。
【0016】
メイン電源10は、電源制御装置1が電気自動車またはハイブリッド自動車に搭載される場合、DC/DCコンバータ(図示せず。以下、「DCDC」と記載する)と、PbB11とを含む。この場合、DCDCは、発電機12と、PbB11よりも電圧が高い高圧バッテリ(図示せず)とに接続され、発電機12および高圧バッテリの電圧を降圧して複数の電気負荷に電力を供給する。発電機12は、例えば、走行する車両の運動エネルギーを電気に変換して発電するオルタネータである。高圧バッテリは、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車に搭載される車両駆動用のバッテリである。
【0017】
自動運転制御装置60は、電源制御装置1と、通知装置70と、ナビゲーション装置80と電気的に接続される。自動運転制御装置60は、電源制御装置1と、通知装置70と、ナビゲーション装置80との間で情報通信が可能である。
【0018】
自動運転制御装置60は、GPS(Global Positioning System)と、コントローラ61とを備える。コントローラ61は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを有するマイクロコンピュータ(以下、「マイコン」と記載する)や各種の回路を含む。
【0019】
なお、コントローラ61は、その一部または全部がASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアで構成されてもよい。
【0020】
コントローラ61は、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより、車両を自動運転走行制御させる装置である。なお、自動運転制御装置60は、GPSの自車位置情報、地図情報、渋滞情報を含む道路交通情報、および、天候情報などをナビゲーション装置80から取得するように構成されてもよい。なお、自動運転制御装置60は、地図情報、渋滞情報を含む道路交通情報、および、天候情報の少なくともいずれかを、図示しない外部サーバから取得するように構成されてもよい。
【0021】
第1実施形態では、自動運転制御装置60のコントローラ61は、自動運転機能を有する車両に搭載され、メイン電源10が失陥した場合に、後述するバックアップ電源20によって退避走行制御を行わせるコントローラの一例である。また、コントローラ61は、バックアップ電源20が失陥した場合に、メイン電源10によって退避走行制御を行わせるコントローラの一例である。なお、メイン電源10の失陥は、メイン電源10の給電系統(後述する第1系統ライン110)における失陥を含む。また、バックアップ電源20の失陥は、バックアップ電源20の給電系統(後述する第2系統ライン120)における失陥を含む。
【0022】
通知装置70は、各種情報を車両の運転者に通知する装置である。通知装置70は、表示部71と、スピーカ72とを含む。表示部71は、例えば、ディスプレイまたは通知ランプなどを含む。表示部71は、各種情報を表示によって運転者に通知する。スピーカ72は、各種情報を音声によって運転者に通知する。なお、かかる音声は、警告音(ブザー)を含んでもよい。
【0023】
ナビゲーション装置80は、GPSおよび地図情報などを備える。ナビゲーション装置80は、現在地からユーザによって入力される目的地までの走行経路を案内する装置である。なお、ナビゲーション装置80は、図示しない外部サーバから、渋滞情報を含む道路交通情報および天候情報を取得し、取得した情報を目的地までの走行経路に反映させて案内してもよい。
【0024】
電源制御装置1は、車両に搭載される複数の電気負荷への給電制御を行う装置である。電源制御装置1は、自動運転制御装置60の他に、メイン電源10、第1走行負荷101、第2走行負荷102、第1一般負荷103、第2一般負荷104、および第3一般負荷105と電気的に接続される。
【0025】
第1走行負荷101および第2走行負荷102は、手動運転および自動運転による車両の走行自体に関係する電気負荷である。第1走行負荷101および第2走行負荷102は、例えば、電動ステアリング装置、シフトバイワイヤ装置、電動アクセル装置、電動ブレーキ装置、車載カメラ、センサ、およびレーダなどを含む。つまり、第1走行負荷101および第2走行負荷102は、車両の走行に影響を及ぼす電気負荷である。
【0026】
第1走行負荷101および第2走行負荷102は、手動運転中に、運転者のステアリング操作、アクセル操作、およびブレーキ操作などをアシストする。第1走行負荷101および第2走行負荷102は、自動運転中に、自動運転制御装置60によって制御されて車両を自動運転走行させる。
【0027】
第1一般負荷103、第2一般負荷104、および第3一般負荷105は、手動運転および自動運転による車両の走行自体には関係しない電気負荷である。第1一般負荷103、第2一般負荷104、および第3一般負荷105は、例えば、エアコン、オーディオ、車内照明、ドライブレコーダ、セキュリティ装置、通信装置、および各種センサなどを含む。つまり、第1一般負荷103、第2一般負荷104、および第3一般負荷105は、車両の走行に影響を及ぼさない電気負荷である。
【0028】
電源制御装置1は、バックアップ電源20と、コントローラ3と、第1系統ライン110と、第2系統ライン120と、系統間ライン130と、系統間接続部41と、電池用スイッチ42と、第1~第10スイッチ30~39とを備える。
【0029】
バックアップ電源20は、メイン電源10による電力供給ができなくなった場合のバックアップ用電源である。バックアップ電源20は、リチウムイオンバッテリ(以下、「LiB21」と記載する)を備える。なお、バックアップ電源20の電池は、LiB21以外の任意の2次電池であってもよい。
【0030】
第1系統ライン110は、メイン電源10の電力を複数の電気負荷に供給する電力供給ラインである。つまり、メイン電源10の給電系統には、メイン電源10と第1系統ライン110とが含まれる。
【0031】
第2系統ライン120は、バックアップ電源20の電力を複数の電気負荷に供給する電力供給ラインである。つまり、バックアップ電源20の給電系統には、バックアップ電源20と第2系統ライン120とが含まれる。系統間ライン130は、第1系統ライン110と第2系統ライン120とを電気的に接続する接続ラインである。
【0032】
系統間接続部41は、第1系統ライン110と第2系統ライン120とを接続および切断可能なスイッチである。なお、系統間接続部41は、DCDCであってもよい。この場合、DCDCは、動作することによって第1系統ライン110と第2系統ライン120とを接続する。DCDCは、動作を停止することによって第1系統ライン110と第2系統ライン120との接続を切断する。電池用スイッチ42は、バックアップ電源20と第2系統ライン120とを接続および切断可能なスイッチである。
【0033】
第1スイッチ30は、第1系統ライン110と第1走行負荷101とを接続および切断可能なスイッチである。第2スイッチ31は、第1系統ライン110と第2走行負荷102とを接続および切断可能なスイッチである。第3スイッチ32は、第1系統ライン110と第1一般負荷103とを接続および切断可能なスイッチである。第4スイッチ33は、第1系統ライン110と第2一般負荷104とを接続および切断可能なスイッチである。第5スイッチ34は、第1系統ライン110と第3一般負荷105とを接続および切断可能なスイッチである。
【0034】
第6スイッチ35は、第2系統ライン120と第1走行負荷101とを接続および切断可能なスイッチである。第7スイッチ36は、第2系統ライン120と第2走行負荷102とを接続および切断可能なスイッチである。第8スイッチ37は、第2系統ライン120と第1一般負荷103とを接続および切断可能なスイッチである。第9スイッチ38は、第2系統ライン120と第2一般負荷104とを接続および切断可能なスイッチである。第10スイッチ39は、第2系統ライン120と第3一般負荷105とを接続および切断可能なスイッチである。
【0035】
また、電源制御装置1は、第1電圧センサ51と第2電圧センサ52とを備える。第1電圧センサ51は、第1系統ライン110に設けられる。第1電圧センサ51は、第1系統ライン110の電圧を検出し、検出結果をコントローラ3に出力する。第2電圧センサ52は、第2系統ライン120に設けられる。第2電圧センサ52は、第2系統ライン120の電圧を検出し、検出結果をコントローラ3に出力する。
【0036】
コントローラ3は、CPU、ROM、RAMなどを有するマイクロコンピュータや各種の回路を含む。なお、コントローラ3は、その一部または全部がASICやFPGA等のハードウェアで構成されてもよい。
【0037】
コントローラ3は、CPUがROMに記憶されたプログラムを、RAMを作業領域として使用して実行することにより、系統間接続部41、電池用スイッチ42、および第1~第10スイッチ30~39の動作を制御する。
【0038】
また、コントローラ3は、バックアップ電源20から状態監視ライン23を介して取得するバックアップ電源20の充電残量を示す情報を取得する。バックアップ電源20の充電残量を示す情報は、例えば、LiB21のSOC(State Of Charge)である。
【0039】
LiB21は、SOCが100%のときが、充電残量が最大の状態である。LiB21は、SOCが0%のときが、充電残量がない状態である。コントローラ3は、バックアップ電源20の充電残量を示す情報として、例えば、LiB21のSOCを取得する。コントローラ3は、LiB21のSOCに基づいて、バックアップ電源20の充電残量を監視する。
【0040】
[1-2.電源制御装置の動作例]
次に、
図2~
図6を参照して、第1実施形態に係る電源制御装置1の動作について説明する。
図2~
図6は、第1実施形態に係る電源制御装置1の動作例を示す説明図である。
【0041】
[1-2-1.通常時動作]
コントローラ3は、車両のイグニッションスイッチ(IG)がオンにされた状態で、メイン電源10およびバックアップ電源20の給電系統が失陥していない通常時の停車中、手動運転中、または自動運転中には、
図2に示すように、複数の接続部を制御する。
【0042】
具体的には、コントローラ3は、系統間接続部41をオンにする。コントローラ3は、電池用スイッチ42をオフにする。コントローラ3は、第1~第10スイッチ30~39をオンにする。これにより、電源制御装置1は、LiB21の通常時における放電を抑えつつ、メイン電源10から第1走行負荷101、第2走行負荷102、第1一般負荷103、第2一般負荷104、および第3一般負荷105に電力を供給できる。
【0043】
[1-2-2.電源制御装置の給電系統の失陥時動作]
制御システム100では、給電系統が失陥することがある。給電系統の失陥の例としては、メイン電源10を含む第1系統ライン110の地絡、および、バックアップ電源20を含む第2系統ライン120の地絡などがある。
【0044】
電源制御装置1では、通常時動作中に、第1系統ライン110の地絡、または第2系統ライン120の地絡等が発生した場合、第1系統ライン110および第2系統ライン120の電圧が正常な電圧よりも低くなる。
【0045】
このため、コントローラ3は、第2電圧センサ52によって検出される第2系統ライン120の電圧(以下、「第2系統電圧V2」と記載する)が地絡閾値以下になった場合、給電系統に失陥が発生したと仮判定する。そして、
図3に示すように、コントローラ3は、系統間接続部41をオフにするとともに、電池用スイッチ42をオンにする。なお、コントローラ3は、例えば、第1電圧センサ51によって検出される第1系統ライン110の電圧(以下、「第1系統電圧V1」と記載する)が地絡閾値以下になった場合、給電系統に失陥が発生したと仮判定してもよい。
【0046】
これにより、第1系統ライン110と第2系統ライン120との接続が切断される。そして、電源制御装置1は、第1系統ライン110が地絡していなければ、メイン電源10による給電が可能になる。また、電源制御装置1は、第2系統ライン120が地絡していなければ、バックアップ電源20による給電が可能になる。
【0047】
なお、この仮判定はコンパレータを有するハード回路で行ってもよい。その場合、コンパレータは第2系統電圧V2と地絡閾値とを比較する。コンパレータは、検出電圧が地絡閾値以下になると、仮判定を示す失陥検出信号を出力することによって、系統間接続部41をオフにし、電池用スイッチ42をオンにする。
【0048】
コントローラ3は、仮判定後所定時間が経過しても第2系統電圧V2が地絡閾値以下であり、かつ第1系統電圧V1が所定時間以内に地絡閾値を超えるまで回復すると第2系統ライン120の地絡と本判定する。
【0049】
この場合、
図4に示すように、コントローラ3は、系統間接続部41のオフを継続しつつ電池用スイッチ42をオフにする。また、コントローラ3は、第6~第10スイッチ35~39をオフにする。そして、コントローラ3は、メイン電源10から第1系統ライン110を介して各負荷101~105に給電する。
【0050】
コントローラ3は、仮判定後、第1系統電圧V1および第2系統電圧V2が所定時間以内に地絡閾値を超えるまで回復した場合、仮判定の結果を誤りと判定する。つまり、コントローラ3は、給電系統は失陥していないと本判定する。そして、コントローラ3は、電池用スイッチ42をオフにするとともに、系統間接続部41をオンにする。これにより、電源制御装置1は、
図2に示す通常時動作に復帰する。
【0051】
コントローラ3は、第2系統ライン120の地絡と本判定した場合、第2系統ライン120が地絡したこと、および、メイン電源10によるFOP(フェイルオペレーション。退避走行制御)を開始したことを自動運転制御装置60に通知する。
【0052】
自動運転制御装置60のコントローラ61は、自動運転制御中に電源制御装置1から第2系統ライン120が地絡し、かつメイン電源10によるFOPを開始したことが通知されると、自動運転による退避走行を開始する。
【0053】
退避走行とは、車両を安全な場所まで走行させて停止させることである。自動運転制御装置60のコントローラ61は、自動運転による退避走行を開始すると、通知装置70を制御して運転者に手動運転による退避走行の開始を要求する。
【0054】
このとき、第1走行負荷101および第2走行負荷102は、それまで第1系統ライン110および第2系統ライン120の両方から供給されていた電力が、第1系統ライン110の一方から給電されることになる。これにより、例えば、電動ステアリング装置は、出力トルクが低下する。
【0055】
このため、自動運転制御装置60のコントローラ61は、通知装置70を制御して運転者(ユーザ)に、ハンドル(ステアリング)の操作が重くなる旨を通知する。その後、コントローラ61は、運転者の手動による運転操作を検出した場合には、自動運転制御を終了する。
【0056】
また、電源制御装置1では、給電系統に失陥が発生したと仮判定した後、第1系統電圧V1が所定時間以上地絡閾値以下になり、かつ第2系統電圧V2が所定時間以内に地絡閾値を超えるまで回復することがある。
【0057】
この場合、電源制御装置1のコントローラ3は、メイン電源10を含む第1系統ライン110の地絡と本判定する。そして、
図5に示すように、電源制御装置1のコントローラ3は、系統間接続部41のオフと電池用スイッチ42のオンとを継続し、第1~第5スイッチ30~34をオフにして、バックアップ電源20から第2系統ライン120を介して各負荷101~105に給電する。
【0058】
コントローラ3は、第1系統ライン110の地絡と本判定した場合、第1系統ライン110が地絡したこと、および、バックアップ電源20によるFOPを開始したことを自動運転制御装置60に通知する。
【0059】
自動運転制御装置60のコントローラ61は、自動運転制御中に電源制御装置1から第1系統ライン110が地絡したこと、および、バックアップ電源20によるFOPを開始したことが通知されると、自動運転による退避走行を開始する。
【0060】
自動運転制御装置60のコントローラ61は、自動運転による退避走行を開始すると、通知装置70を制御して運転者に手動運転による退避走行の開始を要求する。コントローラ61は、運転者の手動による運転操作を検出した場合には、自動運転制御を終了する。
【0061】
ところで、バックアップ電源20は、メイン電源10が失陥してバックアップ電源20による退避走行制御が行われるときのために、退避走行を完了できるような充電状態とされる。例えば、バックアップ電源20は、バックアップ電源20による退避走行制御が行われるときに、退避走行を完了可能な想定時間(例えば20秒)を確保できるような充電状態とされる。
【0062】
しかしながら、退避走行時における車両の周辺状況によっては、退避走行完了までの実際の走行時間が想定時間より長くなる場合がある。車両の周辺状況には、車両の現在地から最も近い安全な退避場所までの距離、車両が走行する道路の渋滞状況、天候状況などが含まれる。例えば、退避場所までの距離が数Km先など比較的長い場合、退避走行完了までの走行時間が想定時間より長くなり易い。また、道路が渋滞している場合、退避走行完了までの走行時間が想定時間より長くなり易い。また、天候が暴風雨等で不良である場合、退避走行完了までの走行時間が想定時間より長くなり易い。
【0063】
バックアップ電源20による退避走行制御が行われる場合、バックアップ電源20の電力には限りがある。そのため、退避走行時における車両の周辺状況に起因して、退避走行完了までの走行時間が想定時間より長くなると、バックアップ電源20の充電残量が想定より減少し、コントローラ61は、退避走行を継続できなくなるおそれがある。従って、車両の周辺状況によっては、負荷の消費電力を減少させた方がよい。
【0064】
具体的には、
図6に示すように、電源制御装置1のコントローラ3は、バックアップ電源20によるFOPを行う場合、第8~第10スイッチ37~39をオフする。すなわち、コントローラ3は、退避走行に影響を及ぼさない第1~第3一般負荷103~105への給電を停止し、負荷の消費電力を減少させた方がよい。
【0065】
そこで、自動運転制御装置60のコントローラ61は、退避走行制御を行わせる場合、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスをユーザに通知する。このとき、コントローラ61は、車両が取得した車両の周辺状況に応じてアドバイスの内容を異ならせる。具体的には、コントローラ61は、車両の周辺状況に応じた内容であって、退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力を減少させる操作を促す内容のアドバイスなどを、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスとしてユーザに通知する。なお、自動運転制御装置60のコントローラ61は、通知装置70を制御してアドバイスをユーザに通知する。
【0066】
これにより、自動運転制御装置60のコントローラ61は、ユーザが車両の周辺状況に応じた内容のアドバイスに従って、例えばエアコンをオフにする操作を行えば、バックアップ電源20の充電残量の減少が抑制されるので走行可能距離を延ばすことができる。
【0067】
また、退避走行完了までの走行時間が想定時間に対してどの程度長くなるかは、車両の周辺状況によって変わる。例えば、退避場所までの距離が比較的長く、道路が渋滞し、かつ天候が不良であるなどの退避走行に支障をきたす条件が複数重なった場合の退避走行完了までの走行時間は、退避場所までの距離が比較的長いなどの条件が1つである場合の走行時間に比べて長くなる。
【0068】
そこで、コントローラ61は、車両の周辺状況に応じて、車両の退避走行に支障をきたす障害度を予測(算出)する。なお、障害度の予測については、後に詳説する。
【0069】
障害度は、例えば車両の周辺状況が退避走行に対して影響(支障)を与える度合いを示す指標値である。障害度は、例えば、周辺状況の内容に応じた数段階のレベルで示される値である。従って、障害度にあっては、その値が大きくなるにつれて、車両の周辺状況が退避走行に対してより大きい影響(支障)を与えると予測されることを意味する。言い換えると、障害度にあっては、その値が大きくなるにつれて、周辺状況に起因して退避走行完了までの走行時間がより長くなると予測されることを意味する。
【0070】
コントローラ61は、予測した障害度に応じて、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスの内容を変更する。詳しくは、コントローラ61は、予測した障害度に応じて、退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力を減少させる操作を促すアドバイスの内容を変更する。
【0071】
ここで、退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力について説明する。退避走行に影響を及ぼさない負荷(ここでは第1~第3一般負荷103~105)は、それぞれ消費電力の大きさが異なる。例えば、エアコンは、オーディオや車内照明などに比べて消費電力が大きい。このため、コントローラ61は、予測した障害度から、退避走行完了までの走行時間が想定時間より長くなって退避走行を完了できない可能性があるが、消費電力が比較的小さい負荷への給電を停止するだけで、退避走行を完了できることがある。また、コントローラ61は、予測した障害度から、退避走行完了までの走行時間が想定時間より長くなって退避走行を完了できない可能性があるが、消費電力が比較的大きい負荷への給電を停止するだけで、退避走行を完了できることもある。
【0072】
そこで、コントローラ61は、予測した障害度が大きいほど、負荷の消費電力をより多く減少させる操作を促す内容のアドバイスをユーザに通知する。これにより、コントローラ61は、ユーザが、障害度に応じたアドバイスに従って、例えばオーディオやエアコンをオフにする操作を行えば、アドバイスの内容に応じた負荷の消費電力を減少させることが可能となる。これにより、コントローラ61は、バックアップ電源20の充電残量の減少が抑制されるので、走行可能距離を延ばすことができる。言い換えると、コントローラ61は、障害度に応じて適切なアドバイスを通知することができ、退避走行を完了させることが可能になる。
【0073】
また、コントローラ61は、障害度に応じて、退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力が減少するように制御してもよい。具体的には、コントローラ61は、障害度が比較的高い場合、退避走行完了までの走行時間が想定時間に対して過度に長くなって、退避走行を完了できないと推定する。かかる場合であっても、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力を早期に減少させれば、バックアップ電源20の充電残量の減少が早期に抑制されるので、走行可能距離をより延ばすことができ、退避走行を完了できることがある。
【0074】
そこで、コントローラ61は、障害度が退避走行を完了不可な値である場合、退避走行に影響を及ぼさない負荷(ここでは第1~第3一般負荷103~105)の消費電力が減少するように制御する。具体的には、コントローラ61は、障害度が退避走行を完了不可な比較的高い値である場合、退避走行に影響を及ぼさない負荷を強制的に遮断する制御を実行する。
【0075】
なお、上記の「障害度が退避走行を完了不可な値である」とは、車両の周辺状況に応じて予測される障害度が、負荷を現状のまま使用し続けたときに退避走行を完了することができなくなるような値を示していることを意味する。また、「負荷を遮断する」とは、負荷と電源(ここではバックアップ電源20)との電気的な接続を遮断することを含む。
【0076】
負荷を遮断する制御の際、コントローラ61は、第8~第10スイッチ37~39の一部あるいは全部をオフする指示をコントローラ3へ出力し、退避走行に影響を及ぼさない第1~第3一般負荷103~105の一部あるいは全部への給電を停止する。これにより、コントローラ61は、バックアップ電源20の充電残量の減少が抑制されるので、走行可能距離を延ばすことができ、結果として退避走行を完了させることが可能になる。
【0077】
なお、上記では、退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力が減少する制御として、負荷の遮断が実行される例を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、コントローラ61は、エアコンに対して消費電力が低下する省エネモードに移行させる指示を出力する、あるいはオーディオに対して音量やディスプレイの輝度を下げて消費電力を低下させる指示を出力するなどその他の手法を用いて、負荷の消費電力を減少させてもよい。
【0078】
[1-3.障害度テーブル]
自動運転制御装置60のコントローラ61は、上記した障害度を予測するために、障害度テーブルを記憶する。ここで、
図7~
図9を参照して第1実施形態に係る障害度テーブルについて説明する。
図7~
図9は、第1実施形態に係る障害度テーブルの一例を示す説明図である。
【0079】
第1実施形態に係るコントローラ61は、車両の周辺状況として、車両を安全に停止させる場所(退避場所)までの距離を示す距離情報、渋滞情報、および天候情報を用いる。すなわち、コントローラ61は、距離情報、渋滞情報、および天候情報に応じて障害度を予測する。
【0080】
図7に示す障害度テーブルは、車両の現在地から最も近い退避場所までの距離を示す距離情報と、障害度とが対応付けられたテーブルである。
図7に示すように、距離情報において退避場所までの距離が比較的短い場合、退避走行に対する影響はほぼ無いといえることから、障害度は「0」に設定される。また、距離情報において退避場所までの距離が中程度である場合、退避走行に対する影響はあるが比較的小さいといえることから、障害度は「1」に設定される。また、距離情報において退避場所までの距離が比較的長い場合、退避走行に対する影響は比較的大きいといえることから、障害度は「2」に設定される。なお、上記した退避場所までの距離が比較的短い、長いなどは、退避場所までの距離が予め設定された閾値に対して短い、長いなどの意味を含むが、これに限定されるものではない。
【0081】
図8に示す障害度テーブルは、車両が走行する道路の渋滞状況を示す渋滞情報と、障害度とが対応付けられたテーブルである。
図8に示すように、渋滞情報において渋滞が無い場合、退避走行に対する影響はほぼ無いといえることから、障害度は「0」に設定される。また、渋滞情報において渋滞の度合いが比較的小さい場合、退避走行に対する影響はあるが比較的小さいといえることから、障害度は「1」に設定される。また、渋滞情報において渋滞の度合いが中程度である場合、退避走行に対してある程度影響があるといえることから、障害度は「2」に設定される。また、渋滞情報において渋滞の度合いが比較的大きい場合、退避走行に対する影響は比較的大きいといえることから、障害度は「3」に設定される。なお、渋滞状況は、コントローラ61がナビゲーション装置80から入手するが、コントローラ61が自車の周囲を走行する他車両の台数や密度で判定してもよい。具体的には、コントローラ61は、自車が走行する車線において、自車の前方の所定距離以内を走行する車両の台数をカメラ等で検出し、その台数が多いほど、すなわち、密度が高いほど渋滞の度合いが大きいと判定してもよい。
【0082】
図9に示す障害度テーブルは、車両の周辺の天候状況を示す天候情報と、障害度とが対応付けられたテーブルである。
図9に示すように、天候情報において天候が良好である場合、退避走行に対する影響はほぼ無いといえることから、障害度は「0」に設定される。また、天候情報において天候が暴風雨等で不良である場合、退避走行に対する影響は比較的大きいといえることから、障害度は「2」に設定される。
【0083】
なお、
図7~
図9に示す障害度テーブルでは、障害度の数値を具体的に示したが、これはあくまでも例示であって限定されるものではなく、任意の値に設定可能である。また、各障害度テーブルにおいて障害度を段階的に示したが、その段階の数についても、図示の数に限られず、任意に設定可能である。
【0084】
コントローラ61は、上記した障害度テーブルを参照して、障害度を予測する。一例として、周辺状況が「退避場所までの距離が短く(障害度=0)」、「渋滞がなく(障害度=0)」、「天候が良好(障害度=0)」である場合、コントローラ61は、これらの条件に対応する障害度を加算して、最終的な障害度を「0」と予測する。他の例として、周辺状況が「退避場所までの距離が長く(障害度=2)」、「渋滞度合いが大きく(障害度=3)」、「天候が不良(障害度=2)」である場合、コントローラ61は、これらの条件に対応する障害度を加算して、最終的な障害度を「7」と予測する。このように、コントローラ61は、車両の周辺状況が退避走行に対してより大きい影響(支障)を与える状況になるにつれて、障害度の値が大きくなるように予測する。
【0085】
なお、上記では、障害度を予測するための車両の周辺状況が、距離情報、渋滞情報、および天候情報を含むようにしたが、これに限定されるものではなく、距離情報、渋滞情報、および天候情報の少なくともいずれかを含んでいればよい。このように、コントローラ61は、距離情報、渋滞情報、および天候情報の少なくともいずれかを含んだ周辺状況に応じて障害度を予測する。これにより、コントローラ61は、距離情報等を障害度に反映させることができるため、車両の周辺状況に即した障害度を精度良く予測することが可能になる。
【0086】
なお、障害度を予測するための車両の周辺状況は、距離情報、渋滞情報、および天候情報に限られず、例えば周辺で発生した事故の情報、周辺で開催されるイベント情報などその他の情報を含んでいてもよい。
【0087】
[1-4.通知アドバイステーブル]
自動運転制御装置60のコントローラ61は、上記したアドバイスを通知するために、通知アドバイステーブルを記憶する。ここで、
図10を参照して第1実施形態に係る通知アドバイステーブルについて説明する。
図10は、第1実施形態に係る通知アドバイステーブルの一例を示す説明図である。
【0088】
図10に示すように、通知アドバイステーブルは、予測された最終的な障害度(以下、「予測障害度」と記載する)と、ユーザに通知するアドバイスとが対応付けられたテーブルである。なお、かかるアドバイスは、メイン電源10失陥時の自動運転中に通知するアドバイスであるが、これに限定されるものではない。
【0089】
自動運転制御装置60のコントローラ61は、メイン電源10が失陥してバックアップ電源20によるFOPが行われる場合、通知アドバイステーブルを参照する。そして、コントローラ61は、状況に応じたアドバイスを選択して通知する。例えば、コントローラ61は、予測障害度が「0」であれば、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスを非通知とする。この予測障害度「0」は、車両の周辺状況が退避走行に対して与える影響はなく、退避走行を完了可能な値の一例である。
【0090】
コントローラ61は、予測障害度が「1~3」であれば、退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力が減少する操作を促す内容のアドバイスを通知する。ここで、予測障害度が「1~3」である状態は、例えば車両の周辺状況に起因して、FOP完了までの走行時間が想定時間より長くなり、FOPが完了しない可能性が僅かにある状態である。従って、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷のうち、消費電力が比較的小さい負荷を遮断する操作を促す内容のアドバイスをユーザに通知する。例えば、コントローラ61は、「オーディオをOFFにしてください。」などのアドバイスを通知する。
【0091】
コントローラ61は、予測障害度が「4~5」であれば、退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力が減少する操作を促す内容のアドバイスを通知する。ここで、予測障害度が「4~5」である状態は、例えば車両の周辺状況に起因して、FOP完了までの走行時間が想定時間より長くなり、FOPが完了しない可能性がある状態である。そのため、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷のうち、消費電力が比較的大きい負荷を遮断する操作を促す内容のアドバイスをユーザに通知する。例えば、コントローラ61は、「エアコンをOFFにしてください。」などのアドバイスを通知する。
【0092】
このように、コントローラ61は、予測した障害度(予測障害度)が大きいほど、負荷の消費電力をより多く減少させる操作を促す内容のアドバイスをユーザに通知する。具体的には、コントローラ61は、予測障害度が大きいほど、退避走行に影響を及ぼさない負荷のうちより消費電力が大きい負荷を遮断する操作を促す内容のアドバイスをユーザに通知する。
【0093】
これにより、コントローラ61は、ユーザがアドバイスに従って、例えばオーディオやエアコンをオフにする操作を行えば、アドバイスの内容に応じた負荷の消費電力を減少させることが可能となる。これにより、コントローラ61は、バックアップ電源20の充電残量の減少が抑制されるので、走行可能距離を延ばすことができる。言い換えると、コントローラ61は、予測障害度に応じて適切なアドバイスを通知することができ、退避走行を確実に完了させることが可能になる。
【0094】
コントローラ61は、予測障害度が「6~7」であれば、退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力が減少するように制御(遮断)する旨を通知する。この予測障害度「6~7」は、車両の周辺状況が退避走行に対して与える影響が大きく、退避走行を完了することができない値(退避走行を完了不可な値)の一例である。ただし、予測障害度が「6~7」の状態は、周辺状況が退避走行に対して与える影響は大きく、退避走行に影響を及ぼさない負荷を現状のまま使用し続けたときに退避走行を完了することができないが、かかる負荷を遮断すれば退避走行を完了できる状態を含む。従って、コントローラ61は、予測障害度が「6~7」の場合、退避走行に影響を及ぼさない負荷の全てを制御(遮断)する旨を通知する。例えば、コントローラ61は、「退避走行に影響を及ぼさない全ての機器をOFFにします。」などの通知を行う。
【0095】
[1-5.電源制御装置のコントローラが実行する処理]
次に、
図11を参照して、第1実施形態に係る電源制御装置1のコントローラ3が実行する処理について説明する。
図11は、第1実施形態に係る電源制御装置1のコントローラ3が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0096】
コントローラ3は、車両が起動されると、系統間接続部41をオンにし、電池用スイッチ42をオフにした後、
図11に示す処理を実行する。
図11に示すように、コントローラ3は、電源失陥が発生したか否かを仮判定する(ステップS101)。言い換えると、コントローラ3は、給電系統に失陥が発生したか否かを仮判定する。
【0097】
コントローラ3は、第2系統電圧V2が地絡閾値以下になった場合、給電系統に失陥が発生したと仮判定する。コントローラ3は、第2系統電圧V2が地絡閾値を超えている場合、給電系統は失陥していないと判定する。
【0098】
コントローラ3は、電源失陥が発生していないと判定した場合(ステップS101,No)、処理を終了してステップS101から再度処理を開始する。コントローラ3は、電源失陥が発生したと仮判定した場合(ステップS101,Yes)、系統間接続部41をオフにし、かつ電池用スイッチ42をオンにする(ステップS102)。
【0099】
その後、コントローラ3は、電源失陥の本判定を行う(ステップS103)。コントローラ3は、仮判定後、第1系統電圧V1が所定時間以上地絡閾値以下であり、かつ第2系統電圧V2が所定時間以内に地絡閾値を超える場合、メイン電源10の失陥と本判定する。
【0100】
コントローラ3は、仮判定後、第2系統電圧V2が所定時間以上地絡閾値以下であり、かつ第1系統電圧V1が所定時間以内に地絡閾値を超える場合、バックアップ電源20の失陥と本判定する。
【0101】
また、コントローラ3は、仮判定後、第1系統電圧V1および第2系統電圧V2が所定時間以内に地絡閾値を超える場合、仮判定の結果を誤りと判定する。つまり、コントローラ3は、電源失陥が発生していないと本判定する。
【0102】
コントローラ3は、本判定の結果がメイン電源10の失陥であったか否かを判定する(ステップS104)。コントローラ3は、本判定の結果がメイン電源10の失陥であった場合(ステップS104,Yes)、第1~第5スイッチ30~34をオフにする(ステップS105)。そして、コントローラ3は、処理をステップS108へ移す。これにより、バックアップ電源20の電力が第6~第10スイッチ35~39を介して各負荷101~105に供給され、バックアップ電源20を用いたFOPが行われる。
【0103】
コントローラ3は、本判定の結果がメイン電源10の失陥でなかった場合(ステップS104,No)、本判定の結果がバックアップ電源20の失陥であったか否かを判定する(ステップS106)。
【0104】
コントローラ3は、本判定の結果がバックアップ電源20の失陥であった場合(ステップS106,Yes)、電池用スイッチ42をオフにし、第6~第10スイッチ35~39をオフにして(ステップS107)、処理をステップS108へ移す。これにより、メイン電源10の電力が第1~第5スイッチ30~34を介して各負荷101~105に供給され、メイン電源10を用いたFOPが行われる。
【0105】
ステップS108において、コントローラ3は、失陥した電源の給電系統を自動運転制御装置60に通知して処理を終了する。例えば、コントローラ3は、メイン電源10が失陥したと本判定した場合、メイン電源10を含む第1系統ライン110が地絡したこと、および、バックアップ電源20によるFOPを開始したことを自動運転制御装置60に通知する。
【0106】
また、コントローラ3は、バックアップ電源20が失陥したと本判定した場合、例えば、バックアップ電源20を含む第2系統ライン120が地絡したこと、および、メイン電源10によるFOPを開始したことを自動運転制御装置60に通知する。
【0107】
また、コントローラ3は、本判定の結果がメイン電源10の失陥でも、バックアップ電源20の失陥でもなかった場合(ステップS106,No)、電池用スイッチ42をオフにし、系統間接続部41をオンにする(ステップS109)。つまり、コントローラ3は、電源失陥していないと本判定した場合、電池用スイッチ42をオフにし、系統間接続部41をオンにする。これにより、電池用スイッチ42と系統間接続部41はもとの通常状態に戻る。そして、コントローラ3は、処理を終了してステップS101から再度処理を開始する。
【0108】
[1-6.自動運転装置のコントローラが実行する処理]
次に、
図12~
図14を参照して、第1実施形態に係る自動運転制御装置60のコントローラ61が実行する処理について説明する。
図12~
図14は、第1実施形態に係る自動運転制御装置60のコントローラ61が実行する処理の一例を示すフローチャートである。
【0109】
[1-6-1.自動運転装置のコントローラが実行する退避走行処理]
コントローラ61は、自動運転制御中に電源制御装置1から電源が失陥したことが通知されると、
図12に示す退避走行処理を実行する。例えば、
図12に示すように、コントローラ61は、電源が失陥したことを通知されると、まず、自動運転による退避走行を開始させる(ステップS201)。
【0110】
そして、コントローラ61は、運転者に手動運転による退避走行を要求する(ステップS202)。例えば、コントローラ61は、通知装置70を制御して、「手動運転による退避走行を開始してください。」という要求を音声または表示によって運転者に通知する。
【0111】
コントローラ61は、運転者による運転操作を検知したか否かを判定する(ステップS203)。コントローラ61は、運転操作を検知した場合(ステップS203,Yes)、自動運転を終了する(ステップS204)。そして、コントローラ61は、処理をステップS206へ移す。
【0112】
コントローラ61は、運転操作を検知しない場合(ステップS203,No)、自動運転による退避走行を継続する(ステップS205)。そして、コントローラ61は、処理をステップS206へ移す。ステップS206において、コントローラ61は、退避走行が完了したか否かを判定する。
【0113】
コントローラ61は、地図情報とGPSとを使用して、車両が安全な場所に停止したことを確認した場合に、退避走行が完了したと判定する。安全な場所は、例えば、安全地帯または駐車スペースなどの車道以外の場所である。コントローラ61は、車両が車道上を走行中または車道上に停止中の場合に、退避走行が完了していないと判定する。
【0114】
コントローラ61は、退避走行が完了していないと判定した場合(ステップS206,No)、処理をステップS203へ移す。コントローラ61は、退避走行が完了したと判定した場合(ステップS206,Yes)、処理を終了する。
【0115】
[1-6-2.自動運転装置のコントローラが実行する通知処理]
自動運転制御装置60のコントローラ61は、退避走行処理と並行して、
図13に示す通知処理を実行する。例えば、
図13に示すように、コントローラ61は、自動運転制御中に電源制御装置1から電源が失陥したことを通知されると、電源制御装置1からの通知に基づいて、メイン電源10の失陥か否かを判定する(ステップS301)。
【0116】
コントローラ61は、メイン電源10の失陥であると判定した場合(ステップS301,Yes)、メイン電源10失陥時の通知処理を実行する(ステップS302)。かかるメイン電源10失陥時の通知処理、すなわち、メイン電源10が失陥してバックアップ電源20によるFOPが行われているときの通知処理については、
図14を参照して後述する。
【0117】
コントローラ61は、メイン電源10の失陥でないと判定した場合(ステップS301,No)、すなわちバックアップ電源20が失陥してメイン電源10によるFOPが行われている場合、そのまま処理を終了する。
【0118】
[1-6-3.メイン電源失陥時の通知処理]
次に、メイン電源10失陥時の通知処理(ステップS302参照)について
図14を参照して説明する。メイン電源10失陥時の通知処理は、詳しくは、メイン電源10が失陥してバックアップ電源20によるFOPが行われている場合の通知処理である。
【0119】
図14に示すように、メイン電源10失陥時の通知処理では、コントローラ61は、障害度を予測する(ステップS401)。例えば、コントローラ61は、退避場所までの距離情報、渋滞情報、および天候情報などをナビゲーション装置80または外部サーバ等から取得する。コントローラ61は、取得した各情報と障害度テーブル(
図7~
図9参照)とに基づいて障害度を算出する。例えば、コントローラ61は、距離情報の内容に対応する障害度と、渋滞情報の内容に対応する障害度と、天候情報の内容に対応する障害度とを加算することで、最終的な障害度(予測障害度)を予測する。
【0120】
次いで、コントローラ61は、予測障害度が「0」であるか否かを判定する(ステップS402)。言い換えると、コントローラ61は、予測障害度が退避走行を完了可能な値であるか否かを判定する。
【0121】
コントローラ61は、予測障害度が「0」であると判定した場合(ステップS402,Yes)、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスを非通知とする(ステップS403)。言い換えると、コントローラ61は、予測障害度が退避走行を完了可能な値である場合、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスを通知しない。
【0122】
すなわち、車両が退避走行を完了できる場合、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスは、ユーザに通知する必要がない。そのため、コントローラ61は、かかるアドバイスを非通知とするようにした。これにより、コントローラ61は、ユーザに対して不要な通知を行うことがないようにすることができる。
【0123】
一方、コントローラ61は、予測障害度が「0」でないと判定した場合(ステップS402,No)、予測障害度が「1~3」であるか否かを判定する(ステップS404)。
【0124】
コントローラ61は、予測障害度が「1~3」であると判定した場合(ステップS404,Yes)、オーディオの遮断操作を促す内容のアドバイスをユーザに通知する(ステップS405)。すなわち、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷のうち、消費電力が比較的小さい負荷を遮断する操作を促す内容のアドバイスをユーザに通知する。
【0125】
コントローラ61は、予測障害度が「1~3」でないと判定した場合(ステップS404,No)、予測障害度が「4~5」であるか否かを判定する(ステップS406)。
【0126】
コントローラ61は、予測障害度が「4~5」であると判定した場合(ステップS406,Yes)、エアコンの遮断操作を促す内容のアドバイスをユーザに通知する(ステップS407)。すなわち、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷のうち、消費電力が比較的大きい負荷を遮断する操作を促す内容のアドバイスをユーザに通知する。
【0127】
コントローラ61は、予測障害度が「4~5」でないと判定した場合(ステップS406,No)、すなわち「6~7」であると判定した場合、処理をステップS408へ移す。ステップS408において、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷全てを遮断することをユーザに通知する。次いで、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷全てを遮断する制御を実行する(ステップS409)。詳しくは、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷全てを遮断する指示をコントローラ3へ出力し、コントローラ3によって当該負荷が遮断される。
【0128】
このように、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷全てを遮断する前に、遮断することを通知するため、ユーザに対して当該負荷全てが切れることを予め認識させることが可能になる。
【0129】
また、コントローラ61は、ステップS405,S407,S408の処理において警告音を鳴らして通知してもよい。これにより、コントローラ61は、ユーザに対して、走行可能距離を延ばすためのアドバイスがあること、または負荷が切れることを確実に認識させることが可能になる。
【0130】
上述してきたように、第1実施形態に係る自動運転制御装置(制御装置の一例)60は、自動運転機能を有する車両に搭載され、メイン電源10が失陥した場合にバックアップ電源20によって退避走行制御を行わせるコントローラ61を備える。コントローラ61は、退避走行制御を行わせる場合、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスをユーザに通知する。コントローラ61は、車両が取得した車両の周辺状況に応じてアドバイスの内容を異ならせる。これにより、自動運転制御装置60は、退避走行制御を行わせる車両において、退避走行可能距離を延ばすことができる。
【0131】
なお、上記では、コントローラ61は、障害度を予測し、予測した障害度に応じてアドバイスを通知するようにしたが、これに限定されるものではない。すなわち、コントローラ61は、障害度を予測せずに、例えば距離情報、渋滞情報、および天候情報のうち、退避走行に支障をきたす条件が成立した数に応じてアドバイスを通知してもよい。また、コントローラ61は、距離情報、渋滞情報、および天候情報のうち、退避走行に支障をきたす条件が1以上成立した場合に、アドバイスを通知してもよい。
【0132】
[2.第2実施形態]
次に、第2実施形態に係る制御システムについて説明する。なお、以下においては、第1実施形態と共通の構成については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0133】
第2実施形態に係るコントローラ61は、車両の周辺状況に応じて車両が退避走行を完了するまでの予測時間を予測し、予測した予測時間に応じて、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスをユーザに通知する。
【0134】
具体的に説明すると、上記したように、退避走行時における車両の周辺状況によっては、退避走行完了までの実際の走行時間が、退避走行を完了可能な想定時間より長くなる場合がある。第2実施形態に係るコントローラ61にあっては、想定時間を車両の周辺状況に基づいて補正し、補正した想定時間を「車両が退避走行を完了するまでの予測時間」として予測する。そして、コントローラ61は、予測した予測時間に応じてアドバイスをユーザに通知する。
【0135】
上記の想定時間は、車両の周辺状況が退避走行に対して影響(支障)を与えない状況で、退避走行を行った場合の時間である。想定時間は、例えば実験等により予め定められた時間であるが、これに限られない。また、周辺状況が退避走行に対して影響を与えない状況は、例えば退避場所までの距離が短い、渋滞がない、天候が良好などの状況を含むが、これに限定されるものではない。
【0136】
コントローラ61は、想定時間に補正係数を乗算することで、車両が退避走行を完了するまでの予測時間を予測する。補正係数は、例えば初期値が1.0とされる。以下では、初期値に設定された補正係数を「初期補正係数」と記載する。コントローラ61は、初期補正係数(1.0)に対して、車両の周辺状況に応じた補正係数を加算することで、最終的な補正係数を算出する。
【0137】
[2-1.補正係数テーブル]
ここで、車両の周辺状況に応じた補正係数について、
図15~
図17を用いて説明する。第2実施形態に係るコントローラ61は、上記した予測時間を予測するために、補正係数テーブルを記憶する。
図15~
図17は、第2実施形態に係る補正係数テーブルの一例を示す説明図である。
【0138】
第2実施形態に係るコントローラ61は、車両の周辺状況として、退避場所までの距離を示す距離情報、渋滞情報、および天候情報を用いる。すなわち、コントローラ61は、距離情報、渋滞情報、および天候情報に応じて補正係数を算出する。
【0139】
図15に示す補正係数テーブルは、車両の現在地から最も近い退避場所までの距離を示す距離情報と、初期補正係数(1.0)に対して加算する補正係数(以下、「加算補正係数」と記載する)とが対応付けられたテーブルである。
図15に示すように、距離情報において退避場所までの距離が比較的短い場合、退避走行に対する影響はほぼ無いといえることから、加算補正係数は「0」に設定される。また、距離情報において退避場所までの距離が中程度である場合、退避走行に対する影響はあるが比較的小さいといえることから、加算補正係数は「0.1」に設定される。また、距離情報において退避場所までの距離が比較的長い場合、退避走行に対する影響は比較的大きいといえることから、加算補正係数は「0.2」に設定される。
【0140】
図16に示す補正係数テーブルは、車両が走行する道路の渋滞状況を示す渋滞情報と、加算補正係数とが対応付けられたテーブルである。
図16に示すように、渋滞情報において渋滞が無い場合、退避走行に対する影響はほぼ無いといえることから、加算補正係数は「0」に設定される。また、渋滞情報において渋滞の度合いが比較的小さい場合、退避走行に対する影響はあるが比較的小さいといえることから、加算補正係数は「0.1」に設定される。また、渋滞情報において渋滞の度合いが中程度である場合、退避走行に対してある程度影響があるといえることから、加算補正係数は「0.2」に設定される。また、渋滞情報において渋滞の度合いが比較的大きい場合、退避走行に対する影響は比較的大きいといえることから、加算補正係数は「0.3」に設定される。
【0141】
図17に示す補正係数テーブルは、車両の周辺の天候状況を示す天候情報と、加算補正係数とが対応付けられたテーブルである。
図17に示すように、天候情報において天候が良好である場合、退避走行に対する影響はほぼ無いといえることから、加算補正係数は「0」に設定される。また、天候情報において天候が暴風雨等で不良である場合、退避走行に対する影響は比較的大きいといえることから、加算補正係数は「0.2」に設定される。
【0142】
なお、
図15~
図17に示す補正係数テーブルでは、加算補正係数の数値を具体的に示したが、これはあくまでも例示であって限定されるものではなく、任意の値に設定可能である。また、各補正係数テーブルにおいて加算補正係数を段階的に示したが、その段階の数についても、図示の数に限られず、任意に設定可能である。
【0143】
コントローラ61は、上記した補正係数テーブルを参照して、最終的な補正係数を算出する。例えば周辺状況が「退避場所までの距離が短く(加算補正係数=0)」、「渋滞がなく(加算補正係数=0)」、「天候が良好(加算補正係数=0)」である場合、コントローラ61は、初期補正係数に各加算補正係数を加算して最終的な補正係数「1.0」を算出する。他の例として、周辺状況が「退避場所までの距離が長く(加算補正係数=0.2)」、「渋滞度合いが大きく(加算補正係数=0.3)」、「天候が不良(加算補正係数=0.2)」である場合、コントローラ61は、最終的な補正係数「1.7」を算出する。
【0144】
そして、コントローラ61は、想定時間に、算出した最終的な補正係数を乗算することで、車両が退避走行を完了するまでの予測時間を予測する。このため、コントローラ61は、車両の周辺状況が退避走行に対してより大きい影響(支障)を与える状況になるにつれて、予測時間が長くなるように予測することとなる。
【0145】
なお、上記では、予測時間を予測するための車両の周辺状況が、距離情報、渋滞情報、および天候情報を含むようにしたが、これに限定されるものではなく、距離情報、渋滞情報、および天候情報の少なくともいずれかを含んでいればよい。このように、コントローラ61は、距離情報、渋滞情報、および天候情報の少なくともいずれかを含んだ周辺状況に応じて予測時間を予測する。これにより、コントローラ61は、距離情報等を予測時間に反映させることができるため、車両の周辺状況に即した予測時間を精度良く予測することが可能になる。
【0146】
なお、予測時間を予測するための車両の周辺状況は、距離情報、渋滞情報、および天候情報に限られず、例えば周辺で発生した事故の情報、周辺で開催されるイベント情報などその他の情報を含んでいてもよい。
【0147】
コントローラ61は、上記した予測時間に加えて、バックアップ電源20による退避走行が可能な時間(以下、「退避可能時間」と記載する)を予測する。退避可能時間は、現在のバックアップ電源20の充電残量から、車両が退避走行することができる最大(上限)の時間である。従って、コントローラ61は、現在のバックアップ電源20の充電残量(SOC)に基づいて退避可能時間を予測する。なお、バックアップ電源20の充電残量と退避可能時間との対応関係は、実験等を通じて予め定められるが、これに限定されるものではない。
【0148】
第2実施形態に係るコントローラ61は、予測時間等に応じて、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスの内容を変更する。詳しくは、コントローラ61は、予測した予測時間に応じて、退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力を減少させる操作を促すアドバイスの内容を変更する。
【0149】
具体的には、コントローラ61は、予測した予測時間が退避可能時間より長く、退避走行を完了できない可能性があるが、消費電力が比較的小さい負荷への給電を停止するだけで、退避走行を完了できることがある。また、コントローラ61は、予測した予測時間が退避可能時間より長く、退避走行を完了できない可能性があるが、消費電力が比較的大きい負荷への給電を停止するだけで、退避走行を完了できることもある。
【0150】
そこで、第2実施形態に係るコントローラ61は、予測した予測時間が長いほど、負荷の消費電力をより多く減少させる操作を促す内容のアドバイスをユーザに通知する。具体的には、コントローラ61は、予測時間が長いほど、退避走行に影響を及ぼさない負荷のうちより消費電力が大きい負荷を遮断する操作を促す内容のアドバイスをユーザに通知する。
【0151】
これにより、コントローラ61は、ユーザが、予測時間に応じたアドバイスに従って、例えばオーディオやエアコンをオフにする操作を行えば、アドバイスの内容に応じた負荷の消費電力を減少させることが可能となる。これにより、コントローラ61は、バックアップ電源20の充電残量の減少が抑制されるので、走行可能距離を延ばすことができる。言い換えると、コントローラ61は、予測時間に応じて適切なアドバイスを通知することができ、退避走行を完了させることが可能になる。
【0152】
また、コントローラ61は、予測した予測時間が退避可能時間より長い場合、退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力が減少するように制御してもよい。詳しくは、コントローラ61は、予測時間が退避可能時間より長く、負荷を現状のまま使用し続けたときに退避走行を完了できないと推定されるが、負荷への給電をすぐに停止すれば、退避走行を完了できることがある。
【0153】
そこで、コントローラ61は、予測した予測時間が退避可能時間より長い場合、退避走行に影響を及ぼさない負荷(ここでは第1~第3一般負荷103~105)の消費電力が減少するように制御する。具体的には、コントローラ61は、予測時間が退避可能時間より長い場合、退避走行に影響を及ぼさない負荷を強制的に遮断する制御を実行する。
【0154】
負荷を遮断する制御の際、コントローラ61は、第8~第10スイッチ37~39の一部あるいは全部をオフする指示をコントローラ3へ出力し、退避走行に影響を及ぼさない第1~第3一般負荷103~105の一部あるいは全部への給電を停止する。これにより、コントローラ61は、バックアップ電源20の充電残量の減少が早期に抑制されるので、走行可能距離をより延ばすことができ、結果として退避走行を完了させることが可能になる。
【0155】
[2-2.通知アドバイステーブル]
第2実施形態に係るコントローラ61は、上記したアドバイスを通知するために、通知アドバイステーブルを記憶する。ここで、
図18を参照して第2実施形態に係る通知アドバイステーブルについて説明する。
図18は、第2実施形態に係る通知アドバイステーブルの一例を示す説明図である。
【0156】
図18に示すように、通知アドバイステーブルは、予測時間と、ユーザに通知するアドバイスとが対応付けられたテーブルである。なお、かかるアドバイスは、メイン電源10失陥時の自動運転中に通知するアドバイスであるが、これに限定されるものではない。
【0157】
コントローラ61は、予測時間が退避可能時間以下であれば、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスを非通知とする。
【0158】
コントローラ61は、予測時間が退避可能時間より長く、かつ予測時間から退避可能時間を減算した超過時間が比較的短ければ、退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力が減少する操作を促す内容のアドバイスを通知する。ここで、超過時間が比較的短い状態は、例えば車両の周辺状況に起因してFOPが完了しない可能性が僅かにある状態である。従って、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷のうち、消費電力が比較的小さい負荷を遮断する操作を促す内容のアドバイスをユーザに通知する。例えば、コントローラ61は、「オーディオをOFFにしてください。」などのアドバイスを通知する。
【0159】
コントローラ61は、予測時間が退避可能時間より長く、かつ超過時間が中程度であれば、退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力が減少する操作を促す内容のアドバイスを通知する。ここで、超過時間が中程度の状態は、例えば車両の周辺状況に起因してFOPが完了しない可能性がある状態である。そのため、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷のうち、消費電力が比較的大きい負荷を遮断する操作を促す内容のアドバイスをユーザに通知する。例えば、コントローラ61は、「エアコンをOFFにしてください。」などのアドバイスを通知する。
【0160】
コントローラ61は、予測時間が退避可能時間より長く、かつ超過時間が比較的長ければ、退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力が減少するように制御(遮断)する旨を通知する。例えば、コントローラ61は、「退避走行に影響を及ぼさない全ての機器をOFFにします。」などの通知を行う。なお、上記した超過時間が比較的短い、長いなどは、超過時間が予め設定された閾値に対して短い、長いなどの意味を含むが、これに限定されるものではない。
【0161】
[2-3.メイン電源失陥時の通知処理]
次に、第2実施形態における、メイン電源10失陥時の通知処理(ステップS302参照)について
図19を参照して説明する。
図19は、第2実施形態に係る自動運転制御装置のコントローラが実行する処理の一例を示すフローチャートである。
図19に示す処理は、
図13のステップS302において実行される処理である。なお、コントローラ61は、電源制御装置1からバックアップ電源20の充電残量(SOC)を示す情報を取得する。
【0162】
図19に示すように、メイン電源10失陥時の通知処理では、コントローラ61は、予測時間を予測する(ステップS501)。例えば、コントローラ61は、退避場所までの距離情報、渋滞情報、および天候情報などをナビゲーション装置80または外部サーバ等から取得する。コントローラ61は、取得した各情報と補正係数テーブル(
図15~
図17参照)とに基づいて加算補正係数を算出する。例えば、コントローラ61は、距離情報の内容に対応する加算補正係数と、渋滞情報の内容に対応する加算補正係数と、天候情報の内容に対応する加算補正係数とを初期補正係数に加算し、最終的な補正係数を算出する。コントローラ61は、想定時間に補正係数を乗算することで、予測時間を予測する。
【0163】
次いで、コントローラ61は、退避可能時間を予測する(ステップS502)。例えば、コントローラ61は、現在のバックアップ電源20の充電残量に基づいて退避可能時間を予測する。かかる退避可能時間は、充電残量が多くなるにつれて長くなる。
【0164】
次いで、コントローラ61は、予測時間が退避可能時間以下であるか否かを判定する(ステップS503)。コントローラ61は、予測時間が退避可能時間以下であると判定した場合(ステップS503,Yes)、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスを非通知とする(ステップS504)。言い換えると、コントローラ61は、予測時間が退避可能時間以下であり、車両が退避走行を完了できる場合、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスを通知しない。
【0165】
すなわち、車両が退避走行を完了できる場合、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスは、ユーザに通知する必要がない。そのため、コントローラ61は、かかるアドバイスを非通知とするようにした。これにより、コントローラ61は、ユーザに対して不要な通知を行うことがないようにすることができる。
【0166】
一方、コントローラ61は、予測時間が退避可能時間以下でないと判定した場合(ステップS503,No)、すなわち予測時間が退避可能時間より長い場合、予測時間から退避可能時間を減算した超過時間が比較的短いか否かを判定する(ステップS505)。
【0167】
コントローラ61は、超過時間が比較的短いと判定した場合(ステップS505,Yes)、オーディオの遮断操作を促す内容のアドバイスをユーザに通知する(ステップS506)。すなわち、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷のうち、消費電力が比較的小さい負荷を遮断する操作を促す内容のアドバイスをユーザに通知する。
【0168】
コントローラ61は、超過時間が比較的短くないと判定した場合(ステップS505,No)、超過時間が中程度であるか否かを判定する(ステップS507)。コントローラ61は、超過時間が中程度であると判定した場合(ステップS507,Yes)、エアコンの遮断操作を促す内容のアドバイスをユーザに通知する(ステップS508)。すなわち、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷のうち、消費電力が比較的大きい負荷を遮断する操作を促す内容のアドバイスをユーザに通知する。
【0169】
コントローラ61は、超過時間が中程度ではないと判定した場合(ステップS507,No)、すなわち超過時間が比較的長いと判定した場合、処理をステップS509へ移す。ステップS509において、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷全てを遮断することをユーザに通知する。次いで、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷全てを遮断する制御を実行する(ステップS510)。詳しくは、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷全てを遮断する指示をコントローラ3へ出力し、コントローラ3によって当該負荷が遮断される。
【0170】
このように、コントローラ61は、退避走行に影響を及ぼさない負荷全てを遮断する前に、遮断することを通知するため、ユーザに対して当該負荷全てが切れることを予め認識させることが可能になる。
【0171】
また、コントローラ61は、ステップS506,S508,S509の処理において警告音を鳴らして通知してもよい。これにより、コントローラ61は、ユーザに対して、走行可能距離を延ばすためのアドバイスがあること、または負荷が切れることを確実に認識させることが可能になる。
【0172】
[3.第3実施形態]
次に、第3実施形態に係る制御システムについて説明する。第3実施形態に係る制御システムでは、自動運転制御装置60に代わって、電源制御装置1が車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスをユーザに通知する。
【0173】
なお、電源制御装置1のコントローラ3は、電源失陥を検出した場合に、その旨を自動運転制御装置60に通知し、自動運転制御装置60によって退避走行制御を行わせる。つまり、電源制御装置1のコントローラ3は、自動運転機能を有する車両に搭載され、メイン電源10が失陥した場合に、バックアップ電源20によって退避走行制御を行わせるコントローラの一例である。また、コントローラ3は、バックアップ電源20が失陥した場合に、メイン電源10によって退避走行制御を行わせるコントローラの一例である。
【0174】
[3-1.制御システムの構成]
図20は、第3実施形態に係る制御システム100Aの構成例を示す説明図である。
図20に示すように、制御システム100Aでは、自動運転制御装置60は、通知装置70に接続されてない。一方、電源制御装置1のコントローラ3Aは、通知装置70に接続されている。自動運転制御装置60のコントローラ61Aは、車両の自動運転制御を行うが、ユーザへのアドバイスの通知は行わない。
【0175】
[3-2.電源制御装置のコントローラが実行する処理]
コントローラ3Aは、
図11に示す処理に加えて、
図13,14に示す処理(あるいは
図19)と同様の処理を実行して、車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスを含む各種のアドバイスをユーザに通知する。
【0176】
ただし、コントローラ3Aは、障害度(あるいは予測時間および退避可能時間)を予測する際、例えば自動運転制御装置60、ナビゲーション装置80または外部サーバから、距離情報、渋滞情報、および天候情報などを取得する。
【0177】
これにより、第3実施形態に係る電源制御装置1のコントローラ3Aは、従前の実施形態に係る自動運転制御装置60のコントローラ61と同様に、退避走行可能距離を延ばすことができる。また、コントローラ3Aは、従前の実施形態に係る自動運転制御装置60のコントローラ61と同様な効果を得ることもできる。
【0178】
なお、上記した各実施形態では、
図10および
図18において、アドバイスの内容を具体的に示したが、これらはあくまでも例示であって限定されるものではない。
【0179】
また、上記した各実施形態では、距離情報、渋滞情報、および天候情報に応じて障害度や予測時間を予測するようにしたが、かかる予測処理において、各情報のうち、退避走行に支障をきたす度合いの高い情報に対して重み付けを行うように構成してもよい。例えば、距離情報が他の情報に比べて、退避走行に支障をきたす度合いが高い場合、距離情報を重み付けして、障害度や予測時間を予測する処理が行われてもよい。
【0180】
[4.付記]
付記として、本発明の特徴を以下の通り示す。
(1)
自動運転機能を有する車両に搭載され、メイン電源が失陥した場合にバックアップ電源によって退避走行制御を行わせるコントローラを備えた制御装置であって、
前記コントローラは、
前記退避走行制御を行わせる場合、前記車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスをユーザに通知し、
前記車両が取得した前記車両の周辺状況に応じて前記アドバイスの内容を異ならせる、
制御装置。
(2)
前記コントローラは、
前記周辺状況に応じて前記車両の退避走行に支障をきたす障害度を予測し、
予測した前記障害度が大きいほど、負荷の消費電力をより多く減少させる操作を促す内容の前記アドバイスを前記ユーザに通知する、
(1)に記載の制御装置。
(3)
前記コントローラは、
前記車両を安全に停止させる場所までの距離を示す距離情報、渋滞情報、および天候情報の少なくともいずれかを含んだ前記周辺状況に応じて前記障害度を予測する、
(2)に記載の制御装置。
(4)
前記コントローラは、
前記障害度が前記退避走行を完了可能な値である場合、前記アドバイスを前記ユーザに通知しない、
(2)または(3)に記載の制御装置。
(5)
前記コントローラは、
前記障害度が大きいほど、前記退避走行に影響を及ぼさない負荷のうちより消費電力が大きい負荷を遮断する操作を促す内容の前記アドバイスを前記ユーザに通知する、
(2)から(4)のいずれか一つに記載の制御装置。
(6)
前記コントローラは、
前記障害度が前記退避走行を完了不可な値である場合、前記退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力が減少するように制御する、
請求項2に記載の制御装置。
(2)から(5)のいずれか一つに記載の制御装置。
(7)
前記コントローラは、
前記障害度が前記退避走行を完了不可な値である場合、前記退避走行に影響を及ぼさない負荷を強制的に遮断する制御を実行する、
(6)に記載の制御装置。
(8)
前記コントローラは、
前記周辺状況に応じて前記車両が退避走行を完了するまでの予測時間を予測し、
予測した前記予測時間が長いほど、負荷の消費電力をより多く減少させる操作を促す内容の前記アドバイスを前記ユーザに通知する、
(1)に記載の制御装置。
(9)
前記コントローラは、
前記車両を安全に停止させる場所までの距離を示す距離情報、渋滞情報、および天候情報の少なくともいずれかを含んだ前記周辺状況に応じて前記予測時間を予測する、
(8)に記載の制御装置。
(10)
前記コントローラは、
前記予測時間が前記退避走行可能な時間以下である場合、前記アドバイスを前記ユーザに通知しない、
(8)または(9)に記載の制御装置。
(11)
前記コントローラは、
前記予測時間が長いほど、前記退避走行に影響を及ぼさない負荷のうちより消費電力が大きい負荷を遮断する操作を促す内容の前記アドバイスを前記ユーザに通知する、
(8)から(10)のいずれか一つに記載の制御装置。
(12)
前記コントローラは、
前記予測時間が前記退避走行可能な時間より長い場合、前記退避走行に影響を及ぼさない負荷の消費電力が減少するように制御する、
(8)から(11)のいずれか一つに記載の制御装置。
(13)
前記コントローラは、
前記予測時間が前記退避走行可能な時間より長い場合、前記退避走行に影響を及ぼさない負荷を強制的に遮断する制御を実行する、
(12)に記載の制御装置。
(14)
自動運転機能を有する車両に搭載され、メイン電源が失陥した場合にバックアップ電源によって退避走行制御を行わせる制御装置のコントローラが実行する制御方法であって、
前記退避走行制御を行わせる場合、前記車両の走行可能距離を延ばすためのアドバイスをユーザに通知し、
前記車両が取得した前記車両の周辺状況に応じて前記アドバイスの内容を異ならせる、
ことを含む制御方法。
【0181】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0182】
1 電源制御装置
3,3A,61,61A コントローラ
10 メイン電源
12 発電機
20 バックアップ電源
60 自動運転制御装置
70 通知装置
71 表示部
72 スピーカ
101 第1走行負荷
102 第2走行負荷
103 第1一般負荷
104 第2一般負荷
105 第3一般負荷