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  • 特開-すすかび病抵抗性トマト植物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124264
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】すすかび病抵抗性トマト植物
(51)【国際特許分類】
   A01H 6/82 20180101AFI20240905BHJP
   A01H 5/00 20180101ALI20240905BHJP
   C12Q 1/6869 20180101ALI20240905BHJP
   C12N 15/29 20060101ALN20240905BHJP
   C12Q 1/6895 20180101ALN20240905BHJP
【FI】
A01H6/82 ZNA
A01H5/00 A
A01H5/00 Z
C12Q1/6869 Z
C12N15/29
C12Q1/6895 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032296
(22)【出願日】2023-03-02
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (集会を通じた公開) 開催日:2023年2月6日 集会名および開催場所:南郷トマト生産組合総会及び60周年記念大会 御蔵入交流会館(福島県南会津郡南会津町田島字宮本東22) 公開者:福永寛 (刊行物を通じた公開) 発行日:2022年11月23日 刊行物:農耕と園芸 2022年冬号、第77巻4号、第11~14頁 発行者:株式会社誠文堂新光社 (販売を通じた公開1) 販売日:2022年4月20日~2023年3月2日 販売場所:JA会津よつば南郷トマト選果場(福島県南会津郡南会津町宮床川久保22-1) 公開者:有限会社グローイング・マック (販売を通じた公開2) 販売日:2022年4月11日~2022年6月9日 販売場所:別紙1参照 公開者:ベルク福島株式会社 (販売を通じた公開3) 販売日:2022年3月9日~2022年5月24日 販売場所:別紙2参照 公開者:有限会社テイエス・ナーサリ (販売を通じた公開4) 販売日:2022年4月25日~2022年6月14日 販売場所:別紙3参照 公開者:タキイ種苗株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】390028130
【氏名又は名称】タキイ種苗株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003557
【氏名又は名称】弁理士法人レクシード・テック
(72)【発明者】
【氏名】清水 寿朗
(72)【発明者】
【氏名】有本 龍平
(72)【発明者】
【氏名】青池 仁美
(72)【発明者】
【氏名】芦原 紗也加
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 誠
【テーマコード(参考)】
2B030
4B063
【Fターム(参考)】
2B030AA02
2B030AB03
2B030AD05
2B030CA01
2B030CA14
4B063QA07
4B063QA13
4B063QQ09
4B063QQ42
4B063QR08
4B063QR55
4B063QR58
4B063QR62
4B063QS16
4B063QS17
4B063QS25
4B063QS34
4B063QX02
(57)【要約】      (修正有)
【課題】すすかび病抵抗性を示すトマト植物を提供する。
【解決手段】第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座を含む、すすかび病抵抗性トマト植物であって、前記すすかび病抵抗性遺伝子座は、SNP1およびSNP2の少なくとも一方のSNPマーカーで特定される、すすかび病抵抗性トマト植物である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座を含む、すすかび病抵抗性トマト植物。
【請求項2】
前記すすかび病抵抗性遺伝子座は、SNP1およびSNP2の少なくとも一方のSNPマーカーで特定される、請求項1に記載のトマト植物。
【請求項3】
前記すすかび病抵抗性遺伝子座は、前記SNP1およびSNP2のSNPマーカーで特定される、請求項2に記載のトマト植物。
【請求項4】
前記すすかび病抵抗性遺伝子座は、下記(a)および(b)の少なくとも一方のポリヌクレオチドで特定される、請求項1または2に記載のトマト植物:
(a)下記(a1)、(a2)、または(a3)のポリヌクレオチド:
(a1)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(a2)前記(a1)の51番目の塩基(A)が保存され、前記(a1)の塩基配列において、1~10個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(a3)前記(a1)の51番目の塩基(A)が保存され、前記(a1)の塩基配列に対して90%以上の同一性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b)下記(b1)、(b2)、または(b3)のポリヌクレオチド:
(b1)配列番号2の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b2)前記(b1)の51番目の塩基(C)が保存され、前記(b1)の塩基配列において、1~10個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b3)前記(b1)の51番目の塩基(C)が保存され、前記(b1)の塩基配列に対して90%以上の同一性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチド。
【請求項5】
前記すすかび病抵抗性遺伝子座は、前記(a)および(b)のポリヌクレオチドで特定される、請求項4に記載のトマト植物。
【請求項6】
前記すすかび病抵抗性遺伝子座は、前記染色体における、SNP1およびSNP2のSNPマーカーの部位間の領域に座乗している、請求項1または2に記載のトマト植物。
【請求項7】
前記すすかび病抵抗性遺伝子座は、受託番号FERM P-22459で特定されるトマト植物のすすかび病抵抗性遺伝子座に存在するすすかび病抵抗性遺伝子座である、請求項1または2に記載のトマト植物。
【請求項8】
すすかび病抵抗性遺伝子として、下記(Ra)~(Rf)および(Rg)からなる群から選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む、請求項1または2に記載のトマト植物:
(Ra)下記(Ra1)~(Ra7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Ra1)配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Ra2)前記(Ra1)の塩基配列において、1~259個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra3)前記(Ra1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra4)前記(Ra1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra5)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Ra6)配列番号4のアミノ酸配列において、1~86個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra7)配列番号4のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb)下記(Rb1)~(Rb7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rb1)配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rb2)前記(Rb1)の塩基配列において、1~259個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb3)前記(Rb1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb4)前記(Rb1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb5)配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rb6)配列番号6のアミノ酸配列において、1~86個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb7)配列番号6のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc)下記(Rc1)~(Rc7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rc1)配列番号7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rc2)前記(Rc1)の塩基配列において、1~136個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc3)前記(Rc1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc4)前記(Rc1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc5)配列番号8のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rc6)配列番号8のアミノ酸配列において、1~45個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc7)配列番号8のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd)下記(Rd1)~(Rd7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rd1)配列番号9の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rd2)前記(Rd1)の塩基配列において、1~122個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd3)前記(Rd1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd4)前記(Rd1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd5)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rd6)配列番号10のアミノ酸配列において、1~40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd7)配列番号10のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re)下記(Re1)~(Re7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Re1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Re2)前記(Re1)の塩基配列において、1~136個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re3)前記(Re1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re4)前記(Re1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re5)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Re6)配列番号12のアミノ酸配列において、1~45個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re7)配列番号12のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf)下記(Rf1)~(Rf7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rf1)配列番号13の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rf2)前記(Rf1)の塩基配列において、1~259個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf3)前記(Rf1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf4)前記(Rf1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf5)配列番号14のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rf6)配列番号14のアミノ酸配列において、1~86個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf7)配列番号14のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg)下記(Rg1)~(Rg7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rg1)配列番号15の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rg2)前記(Rg1)の塩基配列において、1~258個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg3)前記(Rg1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg4)前記(Rg1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg5)配列番号16のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rg6)配列番号16のアミノ酸配列において、1~86個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg7)配列番号16のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド。
【請求項9】
前記すすかび病抵抗性遺伝子として、前記(Ra)~(Rf)および(Rg)のポリヌクレオチドを含む、請求項8に記載のトマト植物。
【請求項10】
前記すすかび病抵抗性トマト植物は、受託番号FERM P-22459で特定されるトマト植物の種子から得られるトマト植物またはその後代系統である、請求項1または2に記載のトマト植物。
【請求項11】
請求項1または2に記載のすすかび病抵抗性トマト植物の部分。
【請求項12】
前記植物の部分が、種子である、請求項11に記載の植物の部分。
【請求項13】
下記(a)および(b)工程を含むことを特徴とする、すすかび病抵抗性トマト植物の生産方法:
(a)請求項1または2に記載のすすかび病抵抗性トマト植物と、他のトマト植物とを交雑する工程;
(b)前記(a)工程より得られたトマト植物またはその後代系統から、すすかび病抵抗性トマト植物を選抜する工程。
【請求項14】
前記(a)工程に先立って、下記(x)工程を含む、請求項13に記載の生産方法:
(x)被検トマト植物から、第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座を含むすすかび病抵抗性トマト植物を選抜する工程。
【請求項15】
前記(x)工程における前記選抜が、第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座を含むすすかび病抵抗性トマト植物の選抜である、請求項14に記載の生産方法。
【請求項16】
第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座、および/または、すすかび病抵抗性遺伝子を、トマト植物に導入する導入工程を含むことを特徴とする、トマト植物へのすすかび病抵抗性の付与方法。
【請求項17】
トマト植物のすすかび病抵抗性の検出方法であって、
被検トマト植物について、第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座、および/または、すすかび病抵抗性遺伝子を検出する検出工程を含む、方法。
【請求項18】
すすかび病抵抗性トマト植物のスクリーニング方法であって、
被検トマト植物から、第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座、および/または、すすかび病抵抗性遺伝子を含むトマト植物を、すすかび病抵抗性トマト植物として選抜する選抜工程を含む、スクリーニング方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、すすかび病抵抗性トマト植物に関する。
【背景技術】
【0002】
糸状菌の一種であるシュードサーコスポラ・フリゲナ(Pseudocercospora fuligena)は、トマト植物のすすかび病の病原菌である。前記すすかび病は、葉かび病と酷似した病徴を示す。前記すすかび病では、主に風媒で病原菌が伝染し、トマトの葉で発病を引き起こす。ついで、すすかび病では、発病が激しいと、多数の病斑を生じ、株全体が衰弱し、枯死する(非特許文献1)。このため、前記すすかび病が流行すると、果実を取得できなくなる。
【0003】
前記すすかび病の防除方法として、前記葉かび病防除のための薬剤散布によって、同時にすすかび病が防除されることが知られていた。しかしながら、葉かび病抵抗性品種の普及により、薬剤散布が減少し、すすかび病の発生が顕著になっている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】Hartman, Glen L. and T. C. Wang. “Black leaf mold development and its effect on tomato yield.”, Plant Disease, 1992, vol. 76, pages 462-465
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このため、すすかび病抵抗性を示すトマト植物が求められている。
【0006】
そこで、本開示は、すすかび病抵抗性を示すトマト植物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本開示のトマト植物は、すすかび病抵抗性を有する。
【0008】
本開示のすすかび病抵抗性トマト植物の生産方法(以下、「生産方法」という)は、下記(a)および(b)工程を含む:
(a)前記本開示のすすかび病抵抗性トマト植物と、他のトマト植物とを交雑する工程;
(b)前記(a)工程より得られたトマト植物またはその後代系統から、すすかび病抵抗性トマト植物を選抜する工程。
【0009】
本開示のトマト植物へのすすかび病抵抗性の付与方法(以下、「付与方法」という)は、第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座、および/または、すすかび病抵抗性遺伝子を、トマト植物に導入する導入工程を含む。
【0010】
本開示の検出方法は、トマト植物のすすかび病抵抗性の検出方法(以下、「検出方法」という)であって、被検トマト植物について、第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座、および/または、すすかび病抵抗性遺伝子を検出する検出工程を含む。
【0011】
本開示のスクリーニング方法は、すすかび病抵抗性トマト植物のスクリーニング方法(以下、「スクリーニング方法」という)であって、
被検トマト植物から、第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座、および/または、すすかび病抵抗性遺伝子を含むトマト植物を、すすかび病抵抗性トマト植物として選抜する選抜工程を含む。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、すすかび病に対して抵抗性を示すトマト植物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、実施例1におけるBlmの候補の領域を比較したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<定義>
本明細書において、「トマト植物」は、ナス科(Solanaceae)のナス属(Solanum)のトマト種に分類される植物を意味する。具体例として、前記トマト植物は、例えば、S. lycopersicumS. peruvianumS. arcanum PeraltaS. chilenseS. corneliomulleriS. huaylasense PeraltaS. cheesmaniae (L.Riley) Fosberg、S. chmielewskiiS. galapagense S.C.Darwin & Peralta、S. habrochaitesS. neorickiiS. pennelliS. pimpinellifolium等があげられ、好ましくは、交雑が容易なS. lycopersicumである。本明細書において、前記トマト植物は、例えば、栽培用トマト植物である。前記栽培用トマト植物は、例えば、トマト植物の栽培品種ということもできる。
【0015】
本明細書において、「すすかび病」は、特に、糸状菌(シュードサーコスポラ・フリゲナ:Pseudocercospora fuligena)により引き起こされる空気伝染性病害を意味する。前記すすかび病では、感染した植物体において、病斑の発生および枯死が引き起こされることが知られている。
【0016】
本明細書において、「すすかび病の病原菌」または「病原菌」(以下、「すすかび病」ともいう)は、シュードサーコスポラ・フリゲナ(Pseudocercospora fuligena)に分類される菌を意味する。
【0017】
本明細書において、「すすかび病抵抗性」は、すすかび病の感染による病害の発生および/または発生した病害の進行に対する、阻害能または抑制能を意味する。具体例として、前記「すすかび病抵抗性」は、例えば、すすかび病菌の感染による病害の未発生、および/または、発生した病害の進行の停止、阻害、抑止、低減、もしくは遅延を意味する。前記すすかび病菌抵抗性は、すすかび病耐性またはすすかび病耐病性ということもできる。
【0018】
本明細書において、「すすかび病抵抗性遺伝子座」(以下、「抵抗性遺伝子座」という)は、すすかび病抵抗性を供与する量的形質遺伝子座(Quantitative Traits Loci:QTL)または遺伝子領域を意味する。前記量的形質遺伝子座は、一般に、量的形質の発現に関与する染色体領域を意味する。
【0019】
本明細書において、「植物体」または「植物」は、植物全体を示す植物個体を意味する。
【0020】
本明細書において、「植物体の部分」または「植物の部分」は、植物個体の部分を意味する。
【0021】
以下、本開示について例をあげて説明するが、本開示は以下の例等に限定されるものではなく、任意に変更して実施できる。また、本開示における各説明は、特に言及がない限り、互いに援用可能である。なお、本明細書において、「~」という表現を用いた場合、その前後の数値または物理値を含む意味で用いる。また、本明細書において、「Aおよび/またはB」という表現には、「Aのみ」、「Bのみ」、「AおよびBの双方」が含まれる。
【0022】
<すすかび病抵抗性トマト植物>
ある態様において、本開示は、すすかび病に対して抵抗性を示すトマト植物を提供する。本開示のトマト植物は、すすかび病抵抗性を有する。本開示によれば、すすかび病抵抗性を有するトマト植物を提供できる。
【0023】
前記トマト植物は、各植物種の純型のトマト植物でもよいし、対象のトマト植物と、前記対象のトマト植物の近縁種との交雑種でもよい。前記近縁種は、例えば、前記トマト植物における各植物種があげられる。
【0024】
本開示のトマト植物において、前記すすかび病抵抗性は、例えば、(A)第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座の存在により付与されてもよいし、(B)すすかび病抵抗性遺伝子により付与されてもよいし、前記(A)および(B)の組合せにより付与されてもよい。以下、前記(A)第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座、および前記(B)すすかび病抵抗性遺伝子をまとめて、すすかび病抵抗性マーカーともいう。
【0025】
(A)すすかび病抵抗性遺伝子座
本開示のトマト植物において、前記すすかび病抵抗性が第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座の存在により付与される場合、本開示のトマト植物は、第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座を含む。
【0026】
前記トマト植物は、第1~第12染色体を有することが知られている。前記トマト植物における各染色体は、例えば、Heinz 1706(Solanum lycopersicum)のゲノムの塩基配列情報に基づき、対象のトマト植物のゲノムの塩基配列情報と、Heinz 1706のゲノムの塩基配列情報とを比較することにより、決定できる。前記比較は、例えば、BLAST、FASTA等の解析ソフトウェアを用いて、デフォルトのパラメータで実施できる。Heinz 1706のゲノムの塩基配列情報(SL3.0)は、例えば、ナス科植物ゲノム研究国際コンソーシアムのwebサイト(http://solgenomics.net/)から入手可能である。
【0027】
本開示のトマト植物が、第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座の存在により前記すすかび病抵抗性を付与されている場合、本開示のトマト植物は、前記第1染色体上の抵抗性遺伝子座を含む。ただし、本開示のトマト植物は、これに限定されず、例えば、第1染色体に代えて、第1染色体以外のどの染色体上に、前記第1染色体上の抵抗性遺伝子座を有してもよい。すなわち、前記抵抗性遺伝子座を有するトマト植物は、第2染色体、第3染色体、第4染色体、第5染色体、第6染色体、第7染色体、第8染色体、第9染色体、第10染色体、第11染色体、第12染色体のいずれかの染色体上に、前記第1染色体上の抵抗性遺伝子座を有してもよい。
【0028】
前記抵抗性遺伝子座は、優性の遺伝子座である。このため、本開示のトマト植物は、例えば、前記第1染色体上の抵抗性遺伝子座をヘテロ接合型で含んでもよいし、ホモ接合型で含んでもよい。後者の場合、前記抵抗性トマト植物は、少なくとも一方の抵抗性遺伝子座を第1染色体以外の染色体上に含んでもよく、例えば、1つの抵抗性遺伝子座を第1染色体以外の染色体上に含んでもよいし、2つの抵抗性遺伝子座を第1染色体以外の染色体上に含んでもよい。2つの抵抗性遺伝子座を第1染色体以外の染色体上に含む場合、前記抵抗性トマト植物は、例えば、前記2つの抵抗性遺伝子座を同じ染色体上に含んでもよいし、異なる染色体上に含んでもよい。
【0029】
前記抵抗性遺伝子座のすすかび病抵抗性に寄与するすすかび病抵抗性遺伝子の数は、1遺伝子でもよいし、複数遺伝子でもよい。後述の実施例で示すように、本開示におけるすすかび病抵抗性の遺伝様式を考慮すると、前記抵抗性遺伝子座によるすすかび病抵抗性は、優性遺伝をするすすかび病抵抗性遺伝子により支配されていると推定される。ただし、前記推定は、本開示を何ら制限しない。前記すすかび病抵抗性遺伝子は、例えば、後述の「(B)すすかび病抵抗性遺伝子」を参照できる。
【0030】
前記抵抗性遺伝子座は、染色体上の座、すなわち、位置を示す分子マーカーを利用して規定できる、すなわち、目的とする遺伝子座と連鎖する分子マーカーを用いて特定できる。前記分子マーカーを用いてQTL等の遺伝子座を規定する技術は、本願技術分野において周知の技術を利用できる。
【0031】
前記抵抗性遺伝子座の規定に使用する分子マーカーは、特に制限されない。前記分子マーカーは、例えば、SNPマーカー、AFLP(分子増幅断片長多型、amplified fragment length polymorphism)マーカー、RFLP(restriction fragment length polymorphism)マーカー、マイクロサテライトマーカー、SCAR(sequence-characterized amplified region)マーカー、またはCAPS(cleaved amplified polymorphic sequence)マーカー等があげられる。本開示において、前記分子マーカーは、1種類を用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。前記分子マーカーとしてSNPマーカーを用いる場合、前記SNPマーカーは、例えば、1個のSNPを前記SNPマーカーとしてもよいし、2個以上のSNPの組合せを前記SNPマーカー、すなわち、SNPマーカーセットとしてもよい。
【0032】
前記抵抗性遺伝子座は、後述するSNPマーカーの一部または全部と連鎖している。このため、本開示は、例えば、前記SNPマーカーを用いることにより、前記抵抗性遺伝子座を規定できる。具体例として、前記抵抗性遺伝子座は、例えば、(1)前記SNPマーカーによって規定(以下、「特定」ともいう)されてもよいし、(2)前記SNPマーカーを含む塩基配列によって規定されてもよいし、(3)2つの前記SNPマーカーの部位間の領域、すなわち、座乗位置によって規定されてもよいし、これらの組合せにより規定されてもよい。前記組合せによって規定する場合、前記組合せは、例えば、下記の組合せが例示できる。
【0033】
前記(1)および前記(2)の組合せ;
前記(1)および前記(3)の組合せ;
前記(2)および前記(3)の組合せ;
前記(1)、前記(2)および前記(3)の組合せ。
【0034】
(1)SNPマーカーによる特定
前記抵抗性遺伝子座は、前記(1)に示すように、例えば、前記SNPマーカーによって規定されてもよい。前記SNPマーカーは、特に制限されず、例えば、SNP1およびSNP2等があげられる。なお、これらのSNP解析は、例えば、下記参考文献1~4を参照できる。また、SNP1およびSNP2は、本発明者らが新たに同定したSNPマーカーであり、当該技術分野における当業者であれば、後述するこれらのSNPマーカーを含む塩基配列に基づき、前記SNPマーカーの座乗位置を特定できる。
参考文献1:Erik W. Ohlson et.al., “Identification and Mapping of Late Blight Resistance Quantitative Trait Loci in Tomato Accession PI163245”, The Plant Genome, vol.11, no.3, 180007.
参考文献2:Hamilton JP, Sim SC, Stoffel K, Van Deynze A, Buell CR, et al. (2012) “Single Nucleotide Polymorphism Discovery in Cultivated Tomato via Sequencing by Synthesis.”, The Plant Genome 5.
参考文献3:Sim S-C, Durstewitz G, Plieske J, Wieseke R, Ganal MW, et al., (2012) “Development of a Large SNP Genotyping Array and Generation of High-Density.”, Genetic Maps in Tomato. PLoS ONE 7(7)
参考文献4:Blanca J, Can izares J, Cordero L, Pascual L, Diez MJ, et al., (2012) “Variation Revealed by SNP Genotyping and Morphology Provides Insight into the Origin of the Tomato.”, PLoS ONE 7(10)
【0035】
前記SNP1は、下記配列番号1の塩基配列における、かっこで囲んだ下線部の塩基(配列番号1の51番目の塩基)が、Aである多型を示す。すなわち、前記SNP1が、Aの場合、トマト植物は、すすかび病抵抗性であり、A以外の塩基の場合(例えば、Cの場合)、トマト植物は、すすかび病罹病性であることを示す。また、前記配列番号1の塩基配列は、例えば、後述する受託番号FERM P-22459で寄託されたトマト植物から得ることができる。前記SNP1は、例えば、前述のwebサイト等のデータベース上の公知の情報からも特定できる。具体的には、前記SNP1は、前記ゲノムの塩基配列情報(SL3.0)において、第1染色体上の1133392番目の塩基と対応する塩基の多型(SL3.0ch01_1133392)を意味する。
配列番号1:5'-ACCAACAATATTTTACATTTTTGGTGGATCCGAACAACATGTAAATCATT[A]TCAACGATGTTATCCCCCACATTCCTATAGGTACATATTTGATATGTATA-3'
【0036】
前記SNP2は、下記配列番号2の塩基配列における、かっこで囲んだ下線部の塩基(配列番号2の51番目の塩基)が、Cである多型を示す。すなわち、前記SNP2が、Cの場合、トマト植物は、すすかび病抵抗性であり、C以外の塩基の場合(例えば、Tの場合)、トマト植物は、すすかび病罹病性であることを示す。また、前記配列番号2の塩基配列は、例えば、後述する受託番号FERM P-22459で寄託されたトマト植物から得ることができる。前記SNP2は、例えば、前述のwebサイト等のデータベース上の公知の情報からも特定できる。具体的には、前記SNP2は、前記ゲノムの塩基配列情報(SL3.0)において、第1染色体上の1121649番目の塩基と対応する塩基の多型(SL3.0ch01_1121649)を意味する。
配列番号2:5'-AGTGCTCCCAACCAAAGGTGATTCCGTTTTCAGAGGTCGAACTTGAGACC[C]CTAATTATTAAGTTTATTTTTTATTGGGGCAATAGTTGAGAAAAGACAAA-3'
【0037】
前記染色体における前記SNPマーカーの座乗位置は、特に制限されない。前記SNPマーカーは、例えば、トマト植物の第1染色体上において、上流側(SNP1)から下流側(SNP2)にかけて、SNP1およびSNP2が、この順序で座乗している。
【0038】
前記抵抗性遺伝子座が有する前記SNPマーカーの個数は、特に制限されず、例えば、前記SNPマーカーのうち、いずれか1個、または2個全てであってもよい。なお、これら2種類の多型(SNPマーカー)とすすかび病抵抗性との関連性は、これまでに報告されておらず、本発明者らにより初めて見出された、すすかび病抵抗性に関与する新規の多型である。
【0039】
(2)SNPマーカーを含む塩基配列による特定
前記抵抗性遺伝子座は、前記(2)に示すように、例えば、前記SNPマーカーを含む塩基配列によって規定されてもよい。前記抵抗性遺伝子座は、例えば、前記塩基配列からなるものでもよいし、前記塩基配列を含むものでもよい。
【0040】
前記SNPマーカーを含む塩基配列は、特に制限されず、例えば、後述する(a)および(b)のポリヌクレオチド等があげられる。前記(a)および(b)のポリヌクレオチドは、それぞれ、前記SNP1およびSNP2のSNPマーカーを含む塩基配列に相当する。
【0041】
前記(a)のポリヌクレオチドは、前記SNP1を含む塩基配列であり、例えば、下記(a1)、(a2)、または(a3)のポリヌクレオチドである。前記(a2)および(a3)のポリヌクレオチドは、例えば、それぞれ、前記抵抗性遺伝子座において、前記すすかび病抵抗性に関して前記(a1)のポリヌクレオチドと同等の機能を有するポリヌクレオチドである。前記同等の機能は、例えば、前記(a2)または(a3)のポリヌクレオチドで特定されるすすかび病抵抗性遺伝子座を有するトマト植物が、すすかび病抵抗性を示すことを意味する。
【0042】
(a)下記(a1)、(a2)、または(a3)のポリヌクレオチド:
(a1)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(a2)前記(a1)の51番目の塩基(A)が保存され、前記(a1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(a3)前記(a1)の51番目の塩基(A)が保存され、前記(a1)の塩基配列に対して80%以上の同一性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチド。
【0043】
前記(a1)のポリヌクレオチドにおいて、配列番号1におけるかっこで囲んだ下線部の塩基(A)が、前記SNP1の多型に対応する塩基である。また、前記(a1)のポリヌクレオチドは、例えば、後述する受託番号FERM P-22459で寄託されたトマト植物から得ることができる。
【0044】
前記(a2)のポリヌクレオチドにおいて、前記1もしくは数個は、例えば、1~20個、1~15個、1~11個、1~10個、1~5個、1~4個、1~3個、1個または2個である。
【0045】
前記(a3)のポリヌクレオチドにおいて、前記同一性は、例えば、80%以上、85%以上、89%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0046】
前記(b)のポリヌクレオチドは、前記SNP2を含む塩基配列であり、例えば、下記(b1)、(b2)、または(b3)のポリヌクレオチドである。前記(b2)および(b3)のポリヌクレオチドは、例えば、それぞれ、前記抵抗性遺伝子座において、前記すすかび病抵抗性に関して前記(b1)のポリヌクレオチドと同等の機能を有するポリヌクレオチドである。前記同等の機能は、例えば、前記(b2)または(b3)のポリヌクレオチドで特定されるすすかび病抵抗性遺伝子座を有するトマト植物が、すすかび病抵抗性を示すことを意味する。
【0047】
(b)下記(b1)、(b2)、または(b3)のポリヌクレオチド:
(b1)配列番号2の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b2)前記(b1)の51番目の塩基(C)が保存され、前記(b1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b3)前記(b1)の51番目の塩基(C)が保存され、前記(b1)の塩基配列に対して80%以上の同一性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチド。
【0048】
前記(b1)のポリヌクレオチドにおいて、配列番号2におけるかっこで囲んだ下線部の塩基(C)が、前記SNP2の多型に対応する塩基である。また、前記(b1)のポリヌクレオチドは、例えば、後述する受託番号FERM P-22459で寄託されたトマト植物から得ることができる。
【0049】
前記(b2)のポリヌクレオチドにおいて、前記1もしくは数個は、例えば、1~20個、1~15個、1~11個、1~10個、1~5個、1~4個、1~3個、1個または2個である。
【0050】
前記(b3)のポリヌクレオチドにおいて、前記同一性は、例えば、80%以上、85%以上、89%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0051】
前記抵抗性遺伝子座が有する、前記SNPマーカーを含む塩基配列の個数、すなわち、前記抵抗性遺伝子座と連鎖するSNPマーカーを含む塩基配列の個数は、特に制限されず、例えば、前記(a)および(b)のポリヌクレオチドのうち、いずれか1個、または2個全てであってもよい。
【0052】
(3)2つのSNPマーカーの部位間の領域による特定
前記抵抗性遺伝子座は、前述のように、SNPマーカーと連鎖する。このため、前記抵抗性遺伝子座は、前記(3)に示すように、例えば、前記2つのSNPマーカーの部位間の領域の塩基配列、または前記2つのSNPマーカーにより規定される領域(座乗位置、座乗領域、またはマッピング領域ともいう)によって規定されてもよい。前記2つのSNPマーカーの部位間の領域の塩基配列は、特に制限されず、例えば、前記染色体における、SNP1およびSNP2の2つのSNPマーカーの部位間の領域の塩基配列等があげられる。前記2つのSNPマーカーの部位間の領域の塩基配列は、例えば、後述する受託番号FERM P-22459で寄託されたトマト植物(以下、「寄託系統」ともいう)における対応する2つのSNPマーカーの部位間の領域の塩基配列を参照できる。前記寄託系統の塩基配列を参照する場合、前記2つのSNPマーカーの部位間の領域の塩基配列は、例えば、前記寄託系統の塩基配列と完全または部分的に一致する。後者の場合、前記2つのSNPマーカーの部位間の領域の塩基配列は、例えば、前記2つのSNPマーカーの部位間の領域の塩基配列で特定される抵抗性遺伝子座を有するトマト植物が、すすかび病抵抗性を示せばよい。前記部分的な一致は、例えば、前記寄託系統の塩基配列に対する同一性により規定できる。前記同一性は、例えば、80%以上、85%以上、89%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、または99.9%以上である。
【0053】
前記抵抗性遺伝子座が前記(3)で特定される場合、前記抵抗性遺伝子座は、例えば、前記2つのSNPマーカーの部位間の領域に座乗しているということもできる。この場合、前記トマト植物は、例えば、前記抵抗性遺伝子座の存在により、すすかび病抵抗性が付与される。前記抵抗性遺伝子座を座乗している領域により特定する場合、前記抵抗性遺伝子座は、さらに、前記抵抗性遺伝子座が前記(3)で特定される場合、前記抵抗性遺伝子座は、例えば、前記SNPマーカーまたは前記SNPマーカーを含む塩基配列と組合せて特定してもよい。また、前記抵抗性遺伝子座が前記(3)で特定される場合、前記抵抗性遺伝子座は、前記2つのSNPマーカーの部位間のゲノム領域に含まれる、または存在するということもできる。
【0054】
前記領域は、前述のように、例えば、前記2つのSNPマーカーの部位によって、上流側端部と下流側端部とを特定できる。前記領域は、例えば、前記2つのSNPマーカーの部位間であればよく、例えば、前記2つのSNPマーカーの部位の両方または一方を含んでもよいし、含まなくてもよい。また、前記領域が、前記SNPマーカーの部位を含む場合、前記領域の前記上流側端部と前記下流側端部とは、前記SNPマーカーの部位となるが、前記上流側端部と前記下流側端部との塩基は、例えば、前述した塩基配列における下線部の塩基でもよいし、それ以外の塩基でもよい。
【0055】
前記2つのSNPマーカーの部位間の領域によって、前記抵抗性遺伝子座を規定する場合、前記抵抗性遺伝子座は、さらに、前記領域において、前記領域に座乗する前記SNPマーカーを有することが好ましい。具体的には、前記抵抗性遺伝子座は、前記領域において、例えば、SNP1およびSNP2の少なくとも一方のSNPマーカーを有することが好ましい。
【0056】
前記領域に座乗する前記SNPマーカーは、例えば、前記染色体上において、前記領域を規定する前記2つのSNPマーカーの部位のうち一方または両方の部位でもよいし、前記領域を規定する前記2つのSNPマーカーの部位間に座乗するSNPマーカーでもよい。前者を、前記領域の末端のSNPマーカーともいい、後者を、前記領域の内部のSNPマーカーともいう。前記領域に座乗する前記SNPマーカーは、例えば、前記領域の末端のSNPマーカーおよび前記領域の内部のSNPマーカーの両方であってもよい。
【0057】
前記領域の内部のSNPマーカーは、例えば、前記領域を規定する上流側の前記SNPマーカーの部位と下流側の前記SNPマーカーの部位との間に座乗しているSNPマーカーがあげられ、本願技術分野における通常の方法により設計できる。前記領域内部のSNPマーカーは、例えば、例えば、下記参考文献6~8を参照して、設計できる。具体例として、まず、前記寄託系統のSNP1およびSNP2間の塩基配列を参照配列とし、ショートリードシーケンスなどで得られた塩基配列情報をマッピングし、SNP等の多型を検出する。そして、前記SNPマーカーは、例えば、得られた多型をもとにマーカーを作成することにより、設定できる。
参考文献6:Hamilton JP et al., “Single Nucleotide Polymorphism Discovery in Cultivated Tomato via Sequencing by Synthesis.”, 2012, The Plant Genome 5.
参考文献7:Sim S-C et al., “Development of a Large SNP Genotyping Array and Generation of High-Density.”, 2012, Genetic Maps in Tomato. PLoS ONE 7(7)
参考文献8:Blanca J et al., “Variation Revealed by SNP Genotyping and Morphology Provides Insight into the Origin of the Tomato.”, 2012, PLoS ONE 7(10)
【0058】
前記抵抗性遺伝子座は、例えば、後述する受託番号FERM P-22459で寄託されたトマト植物の第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座、受託番号FERM P-22459で寄託されたトマト植物の第1染色体上に存在するすすかび病抵抗性遺伝子座、または受託番号FERM P-22459で寄託されたトマト植物に由来する第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座である。
【0059】
(B)すすかび病抵抗性遺伝子
本開示のトマト植物において、前記すすかび病抵抗性がすすかび病抵抗性遺伝子により付与される場合、本開示のトマト植物は、すすかび病抵抗性遺伝子を含む。前記すすかび病抵抗性遺伝子は、第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子であることが好ましい。
【0060】
本明細書において、後述の各遺伝子は、RNA(例えば、mRNA)の形態、またはDNAの形態(例えば、cDNAまたはゲノムDNA)で存在し得る。DNAは、二本鎖であっても、一本鎖であってもよい。本発明において、前記遺伝子は、非翻訳領域(UTR)の配列等の付加的な配列を含むものであってもよい。
【0061】
本開示において、前記すすかび病抵抗性遺伝子としては、例えば、LRR(Leucine-Rich Repeats)遺伝子等があげられる。具体例として、前記すすかび病抵抗性遺伝子は、例えば、下記(Ra)、(Rb)、(Rc)、(Rd)、(Re)、(Rf)および/または(Rg)のポリヌクレオチド等を含む遺伝子または遺伝子群があげられる。
【0062】
本開示において、すすかび病抵抗性遺伝子は、例えば、下記(Ra)のポリヌクレオチドを含む。
(Ra)下記(Ra1)~(Ra7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Ra1)配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Ra2)前記(Ra1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra3)前記(Ra1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra4)前記(Ra1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra5)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Ra6)配列番号4のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra7)配列番号4のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド。
【0063】
前記(Ra1)において、配列番号3の塩基配列は、配列番号4のアミノ酸配列のコード配列である。前記配列番号3の塩基配列は、例えば、後述する受託番号FERM P-22459で寄託されているトマト植物の種子から得ることができる。下記配列番号3の塩基配列は、ストップコドンを含む塩基配列である。
【0064】
LRR遺伝子1(LRR1)(Sltk_i_g8460)の塩基配列(配列番号3)
5'-ATGGGTTGTGTAAAACTTATATTTTTCATGCTATATGTCTTTCTCTTTCAACTTGTTCCCTCGTCATCCTTACCTCATTTGTGCCCCGAAGATCAAGCTCTTGCTCTTCTACAATTCAAGAACATGTTTACCGTTAATCCTAATGCTTCTGATTATTGTTACGACTATACAGGCGTAGAGATTCAGTCATATCCAAGAACTCTTTCCTGGAACAAGAGCACGGATTGCTGCTCATGGGATGGCGTTGATTGTGACGAGACGACAGGACAAGTGATTGCGCTTGACCTCTGTTGTAGCAAACTTCGAGGCAAGTTTCATACCAATAGTAGCCTCTTTCAACTCTCCAATCTAAAAAGGCTTGATTTGTCGAATAATAACTTCACTGGATCGCTCATTTCACCTAAATTTGGTGAGTTTTCAAATTTGACGCATCTTGTTTTGTCTGATTCAAGTTTTACAGGTCTTATCCCTTTCGAAATCTCTCACCTTTCTAAACTACACGTTCTTCGTATCAGTGATCTAAATGAGCTTAGTCTAGGGCCTCACAATTTTGAACTGCTCCTTAAGAACTTGACCCAATTAAGAGAGCTCAACCTTGACTCGGTCAACATCTCTTCCACTATTCCTTCCAATTTCTCCTCTCATTTAACAAATCTATGGCTTCCATACACAGAAATACGTGGGGTATTGCCTGAAAGAGTTTTCCACCTTTCCGACTTAGAATTCCTTCATTTATCAGGCAATCCCCAGCTCACGGTTAGGTTTCCCACAACCAAATGGAATAGCAGTGCATCACTTATGAAGTTATACGTCGATAGTGTGAATATTGCTGATAGAATACCTGAATCATTTAGCCATCTAACTTCACTTCATGAGTTGGACATGGGTTATACTAATCTATCAGGGCCTATTCCTAAACCTTTATGGAATCTCACGAACATAGAGAGTTTGTTCCTTGATGATAACCATCTTGAAGGACCAATTCCCCAGCTCCCGAGATTTGAAAAGCTCAACGACTTATCACTTGGATATAACAACTTGGATGGAGGACTTGAGTTCTTATCCTCTAACAGAAGCTGGACGGAGCTTGAAATATTAGATTTTTCGTCCAATTACCTTACTGGTCCAATTCCATCCAACGTAAGTGGACTACGAAATCTACAATTACTCCACTTGTCATCAAACCACTTGAATGGGACTATACCTTCCTGGATATTCTCCCTTCCTTCACTGGTAGTGTTAGACTTGAGCAATAACACTTTCAGTGGAAAAATTCAAGAGTTCAAGTCCAAAACATTAATTACCGTTACCCTAAAACAAAATAAGCTGAAAGGTCCTATTCCGAATTCACTCCTAAACCAGCAGAGCCTATCTTTTCTTATCCTTTCACACAATAATATCAGTGGACATATTTCTTCATCTATCTGCAATCTGAAAACATTGATATCGTTAGACTTGGGAAGTAACAATTTGGAGGGAACAATCCCACAATGCGTGGGTGAGATGAAAGAAAACCTTTGGAGTTTGGATTTGAGCAACAACAGTCTTAGTGGGACAATCAATACAACTTTTAGTGTTGGAAACTTTTTAAGGGTCATTAGCTTGCACGGGAATAAACTAACCGGTAAAGTCCCACGATCTTTGATCAATTGCAAGTATTTGACACTACTTGATTTAGGTAACAATATGTTGAATGACACATTTCCAAACTGGTTGGGATACCTACCTGATTTGAAGATTTTAAGCTTGAGATCAAATAAGTTGCATGGTCTCATAAAATCTTCAGGGAATACAAACTTGTTTACGCGTCTTCAAATTCTTGATCTATCATCTAATGGATTTAGTGGGAATTTACCAGAAAGTATTTTGGGGAATTTGCAAACCATGAAAAAAATTAATGAGAGTACAAGATTCCCAGAGTATATTTCTGATCCATATGATATTTTTTACAATTATTTGACGACAATTACTACAAAGGGACAAGATTATGATTCTGTTAGAATTTTTACTTCTAACATGATTATCAATCTCTCAAAGAACAGATTCAAAGGTCATATTCCAAGCATTATTGGAGATCTTGTTGGACTTCGTACGTTGAACTTATCTCACAATGCCTTGGAAGGTCATATACCGGCATCATTTCAAAATTTATCTGTACTCGAATCATTGGATCTCGCATCAAACAAAATCAGCGGAGAAATTCCGCAGCAGCTTGCATCCCTCACATTCCTTGAAGTCTTAAATCTCTCTCACAATCATCTTGTTGGATGCATCCCCAAAGGAAAACAATTTGATTCGTTCGGGAACACTTCGTACCAAGGGAATGATGGGTTACGCGGATTTCCACTCTCAAAACTTTGTGGTAGTGATGATCAAGTGACAACTCCAGCTGAGCTAGATCAAGAAGAGGAGGAAGAAGATTCACCAATGATCAGTTGGCAGGGAGTTCTCGTGGGTTACGGTTGTGGACTTGTTATTGGACTGTCCGTAATATACATAATGTGGTCAACTCAATATCCAGTATGGTTTTCGAGGATGGATTTAAAGTTGGAACACATAATTACTACGAGAATGAAAAAGCACAAGAAAAGATATTAG-3'
【0065】
前記(Ra2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(Ra2)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Ra2)のポリヌクレオチドにおいて、前記1もしくは数個は、例えば、1~519個、1~389個、1~259個、1~129個、1~103個、1~77個、1~51個、1~25個、1~11個、1~10個、1~5個、1~4個、1~3個、1個または2個である。
【0066】
前記(Ra3)において、「同一性」は、例えば、前記(Ra3)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Ra3)のポリヌクレオチドにおいて、前記同一性は、例えば、80%以上、85%以上、89%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上である。
【0067】
前記(Ra4)において、「ハイブリダイズするポリヌクレオチド」は、例えば、前記(Ra1)のポリヌクレオチドに対して、完全または部分的に相補的なポリヌクレオチドである。前記「ハイブリダイズするポリヌクレオチド」は、前記(Ra4)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記ハイブリダイズは、例えば、各種ハイブリダイゼーションアッセイにより検出できる。前記ハイブリダイゼーションアッセイは、特に制限されず、例えば、ザンブルーク(Sambrook)ら編「モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリーマニュアル第2版(Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd Ed.)」〔Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)〕等に記載されている方法を採用することもできる。
【0068】
前記(Ra4)において、「ストリンジェントな条件」は、例えば、低ストリンジェントな条件、中ストリンジェントな条件、高ストリンジェントな条件のいずれでもよい。「低ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、32℃の条件である。「中ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、42℃の条件である。「高ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、50℃の条件である。ストリンジェンシーの程度は、当業者であれば、例えば、温度、塩濃度、プローブの濃度および長さ、イオン強度、時間等の条件を適宜選択することで、設定可能である。「ストリンジェントな条件」は、例えば、前述したザンブルーク(Sambrook)ら編「モレキュラー・クローニング:ア・ラボラトリーマニュアル第2版(Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd Ed.)」〔Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)〕等に記載の条件を採用することもできる。
【0069】
前記(Ra5)のポリヌクレオチドは、例えば、前記(Ra5)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記すすかび病抵抗性を発現させる塩基配列であればよい。前記(Ra5)のポリヌクレオチドの塩基配列は、例えば、前記配列番号4のアミノ酸配列に基づいて、対応するコドンに置き換えることで設計可能である。前記配列番号4のアミノ酸配列は、例えば、後述する受託番号FERM P-22459で寄託されているトマト植物の種子から得ることができる。
【0070】
LRR遺伝子1(LRR1)(Sltk_i_g8460)によりコードされるアミノ酸配列(配列番号4)
MGCVKLIFFMLYVFLFQLVPSSSLPHLCPEDQALALLQFKNMFTVNPNASDYCYDYTGVEIQSYPRTLSWNKSTDCCSWDGVDCDETTGQVIALDLCCSKLRGKFHTNSSLFQLSNLKRLDLSNNNFTGSLISPKFGEFSNLTHLVLSDSSFTGLIPFEISHLSKLHVLRISDLNELSLGPHNFELLLKNLTQLRELNLDSVNISSTIPSNFSSHLTNLWLPYTEIRGVLPERVFHLSDLEFLHLSGNPQLTVRFPTTKWNSSASLMKLYVDSVNIADRIPESFSHLTSLHELDMGYTNLSGPIPKPLWNLTNIESLFLDDNHLEGPIPQLPRFEKLNDLSLGYNNLDGGLEFLSSNRSWTELEILDFSSNYLTGPIPSNVSGLRNLQLLHLSSNHLNGTIPSWIFSLPSLVVLDLSNNTFSGKIQEFKSKTLITVTLKQNKLKGPIPNSLLNQQSLSFLILSHNNISGHISSSICNLKTLISLDLGSNNLEGTIPQCVGEMKENLWSLDLSNNSLSGTINTTFSVGNFLRVISLHGNKLTGKVPRSLINCKYLTLLDLGNNMLNDTFPNWLGYLPDLKILSLRSNKLHGLIKSSGNTNLFTRLQILDLSSNGFSGNLPESILGNLQTMKKINESTRFPEYISDPYDIFYNYLTTITTKGQDYDSVRIFTSNMIINLSKNRFKGHIPSIIGDLVGLRTLNLSHNALEGHIPASFQNLSVLESLDLASNKISGEIPQQLASLTFLEVLNLSHNHLVGCIPKGKQFDSFGNTSYQGNDGLRGFPLSKLCGSDDQVTTPAELDQEEEEEDSPMISWQGVLVGYGCGLVIGLSVIYIMWSTQYPVWFSRMDLKLEHIITTRMKKHKKRY
【0071】
前記(Ra6)において、アミノ酸配列に関する「1もしくは数個」は、例えば、前記(Ra6)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Ra6)の「1もしくは数個」は、例えば、前記配列番号4のアミノ酸配列において、例えば、1~173個、1~129個、1~86個、1~43個、1~34個、1~25個、1~17個、1~8個、1~6個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0072】
前記(Ra7)において、アミノ酸配列に関する「同一性」は、例えば、前記(Ra7)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Ra7)の同一性は、前記配列番号4のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0073】
前記「すすかび病抵抗性を発現させる」は、例えば、対象のポリヌクレオチドを含む植物個体において、前記植物個体が、すすかび病抵抗性を示すことを意味する(以下、同様)。
【0074】
本開示において、すすかび病抵抗性遺伝子は、例えば、下記(Rb)のポリヌクレオチドを含む。
(Rb)下記(Rb1)~(Rb7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rb1)配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rb2)前記(Rb1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb3)前記(Rb1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb4)前記(Rb1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb5)配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rb6)配列番号6のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb7)配列番号6のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド。
【0075】
前記(Rb1)において、配列番号5の塩基配列は、配列番号6のアミノ酸配列のコード配列である。前記配列番号5の塩基配列は、例えば、後述する受託番号FERM P-22459で寄託されているトマト植物の種子から得ることができる。下記配列番号5の塩基配列は、ストップコドンを含む塩基配列である。
【0076】
LRR遺伝子2(LRR2)(Sltk_i_g8461)の塩基配列(配列番号5)
5'-ATGGGTTGTGTAAAACTTGTGTTTTTCATGCTATATGTCTTTCTCTTTCAACTTGTTTCCTCGTCATCCTTACCTCATTTGTGCCCCGAAGATCAAGCTCTTGCTCTTCTACAATTCAAGAACTTGTTTACCGTTAATCCTAATGCTTTTCATTATTGTCCTGACATAACAGGCCGAGAGATTCAGTCATATCCAAGAACTCTTTCTTGGAACAAGAGCACAAGTTGCTGCTCATGGGATGGCGTTCATTGTGACGAGACGACAGGACAAGTGATTGCGCTTGACCTCCGTTGCAGCCAACTTCAAGGCAAGTTTCATTCAAACAGTAGCCTCTTTCAACTCTCCAATCTCAAAAGGCTTGATCTGTCGAATAATAACTTCATTGGATCGCTCATTTCACCTAAATTTGGTGAGTTTTCAGATTTGACGCATCTCGATTTGTCGGATTCTAGTTTTACGGGTGTAATCCCTTCTGAAATCTCTCATCTTTCTAAACTACACGTTCTTCGTATTATTGATCTAAATGAGCTTAGTCTTGGGCCTCACAATTTTGAACTGCTCCTTAAGAACTTGACCCAATTAAGAAAGCTCAACCTTGACTCAGTCAACATCTCTTCCACTATTCCTTCCAATTTCTCCTCTCATTTAACAACTCTACAACTTTCAGGCACAGAGTTACATGGGATATTGCCTGAAAGAGTTTTCCACCTTTCCGACTTAGAATTCCTTTATTTATCAGGCAATCCCAAGCTCACGGTTAGGTTTCCCACAACCAAATGGAATAGCAGTGCATCACTCATGAAGTTATACGTCGATAGTGTGAATATTGCTGATAGGATACCTGAATCATTTAGCCATCTAACTTCACTTCATGAGTTGGACATGGGTTATACTAATCTATCAGGGCCTATTCCTAAACCTTTATGGAATCTCACCAACATAGAGAGTTTGTTCCTTGATGAGAACCATCTTGAAGGACCAATTCCCCAGCTCCCGAGATTTGAAAAGCTCAACGACTTATCACTTGGATATAACAACTTGGATGGAGGACTTGAGTTCTTATCCTCTAACAGAAGCTGGACGCAGCTTAAAGGATTAGATTTTTCGTCCAATTACCTTACTGGTCCAATTCCATCCAACGTAAGTGGACTACGAAATCTACAATCACTCCACTTGTCATCAAACCACTTGAATGGGAGTATACCTTTCTGGATATTCTCCCTTCCTTCACTGATAGTGTTAGACTTGAGCAATAATACTTTCAGTGGAAAAATTCAAGAGTTCAAGTCCAAAACATTAAGTACCGTTACTCTAAAACAAAATAAGCTGAAAGGTCGTATTCCGAATTCACTCCTAAACCAGAAGAACCTACAACTCCTTCTCCTTTCACACAATAATATCAGTGGACATATTTCTTCAGCTATCTGCAATCTGAAAACATTGATATTGTTAGACTTGGGAAGTAATAATTTGGAGGGAACAATCCCACAATGCGTGGTTGAGAGGAACGAATACCTTTCGCATTTGGATTTGAGCAACAACAGACTTAGTGGGACAATCAATACAACTTTTAGTGTTGGAAACATTTTAAGGGTCATTAGCTTGCACGGGAATAAGCTAACGGGGAAAGTCCCACGATCTATGATCAATTGCAAGTATTTGACACTACTTGATCTAGGTAACAATATGTTGAATGACACATTTCCAAACTGGTTGGGATACCTATCTCATTTGAAGATTTTAAGCTTGAGATCAAATAAGTTGCATGGTCCCATCAAATCTTCAGGGAATACAAACTTGTTTATGGGTCTTCAAATTCTTGATCTATCATCTAATGGATTTAGTGGGAATTTACCCGAAAGTATTTTGGGGAATTTGCAAGCAATGAAAAAAATTGATGAGAGTACAAGAACACCAGAGTATATTTCTGATCCATATGATTTTTATTACAATTATTTGACGACAATTACTACAAAGGGACAAGATTATGATTCTGTTCGAATTTTTACTTCTAACATGATTATCAATCTCTCAAAGAACAGATTTGAAGGTCATATTCCAAGCATTATTGGAGATCTTGTTGGACTTCGTACGTTGAACTTATCTCATAATGCCTTGGAAGGTCATATACCGGCATCATTTCAAAATTTATCTGTACTCGAATCATTGGATCTCTCATCAAACAAAATCAGCGGAGAAATTCCGCAGCAGCTTGCATCCCTCACATTCCTTGAAGTCTTAAATCTCTCTCACAATCATCTTGTTGGATGCATCCCCAAAGGAAAACAATTTGATTCGTTCGGGAACAGTTCATACCAAGGGAATGATGGGTTACGCGGATTTCCACTCTCAAAACTTTGTGGTGTTGATGATCAAGTGACAACTCCAGCTGAGCTAGATCAAGAAGAGGAGGAAGAAGATTCACCAATGATCAGTTGGCAGGGAGTTCTCGTGGGTTACGGTTGTGGACTTGTTATTGGACTGTCCGTAATATATATAATGTGGTCAACTCAATATCCAGTATGGTTTTCGAGGATGGATTTAAAGTTGGAACACATAATTACTACGAGAATGAAAAAGCACAAGAAAAGATATTAG-3'
【0077】
前記(Rb2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(Rb2)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Rb2)のポリヌクレオチドにおいて、前記1もしくは数個は、例えば、1~519個、1~389個、1~259個、1~129個、1~103個、1~77個、1~51個、1~25個、1~11個、1~10個、1~5個、1~4個、1~3個、1個または2個である。
【0078】
前記(Rb3)において、「同一性」は、例えば、前記(Rb3)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Rb3)のポリヌクレオチドにおいて、前記同一性は、例えば、80%以上、85%以上、89%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上である。
【0079】
前記(Rb4)において、「ハイブリダイズするポリヌクレオチド」は、例えば、前記(Rb1)のポリヌクレオチドに対して、完全または部分的に相補的なポリヌクレオチドである。前記「ハイブリダイズするポリヌクレオチド」は、前記(Rb4)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記ハイブリダイズは、前記(Ra4)におけるハイブリダイズの説明を援用できる。
【0080】
前記(Rb5)のポリヌクレオチドは、例えば、前記(Rb5)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記すすかび病抵抗性を発現させる塩基配列であればよい。前記(Rb5)のポリヌクレオチドの塩基配列は、例えば、前記配列番号6のアミノ酸配列に基づいて、対応するコドンに置き換えることで設計可能である。前記配列番号6のアミノ酸配列は、例えば、後述する受託番号FERM P-22459で寄託されているトマト植物の種子から得ることができる。
【0081】
LRR遺伝子2(LRR2)(Sltk_i_g8461)によりコードされるアミノ酸配列(配列番号6)
MGCVKLVFFMLYVFLFQLVSSSSLPHLCPEDQALALLQFKNLFTVNPNAFHYCPDITGREIQSYPRTLSWNKSTSCCSWDGVHCDETTGQVIALDLRCSQLQGKFHSNSSLFQLSNLKRLDLSNNNFIGSLISPKFGEFSDLTHLDLSDSSFTGVIPSEISHLSKLHVLRIIDLNELSLGPHNFELLLKNLTQLRKLNLDSVNISSTIPSNFSSHLTTLQLSGTELHGILPERVFHLSDLEFLYLSGNPKLTVRFPTTKWNSSASLMKLYVDSVNIADRIPESFSHLTSLHELDMGYTNLSGPIPKPLWNLTNIESLFLDENHLEGPIPQLPRFEKLNDLSLGYNNLDGGLEFLSSNRSWTQLKGLDFSSNYLTGPIPSNVSGLRNLQSLHLSSNHLNGSIPFWIFSLPSLIVLDLSNNTFSGKIQEFKSKTLSTVTLKQNKLKGRIPNSLLNQKNLQLLLLSHNNISGHISSAICNLKTLILLDLGSNNLEGTIPQCVVERNEYLSHLDLSNNRLSGTINTTFSVGNILRVISLHGNKLTGKVPRSMINCKYLTLLDLGNNMLNDTFPNWLGYLSHLKILSLRSNKLHGPIKSSGNTNLFMGLQILDLSSNGFSGNLPESILGNLQAMKKIDESTRTPEYISDPYDFYYNYLTTITTKGQDYDSVRIFTSNMIINLSKNRFEGHIPSIIGDLVGLRTLNLSHNALEGHIPASFQNLSVLESLDLSSNKISGEIPQQLASLTFLEVLNLSHNHLVGCIPKGKQFDSFGNSSYQGNDGLRGFPLSKLCGVDDQVTTPAELDQEEEEEDSPMISWQGVLVGYGCGLVIGLSVIYIMWSTQYPVWFSRMDLKLEHIITTRMKKHKKRY
【0082】
前記(Rb6)において、アミノ酸配列に関する「1もしくは数個」は、例えば、前記(Rb6)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Rb6)の「1もしくは数個」は、例えば、前記配列番号6のアミノ酸配列において、例えば、1~173個、1~129個、1~86個、1~43個、1~34個、1~25個、1~17個、1~8個、1~6個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0083】
前記(Rb7)において、アミノ酸配列に関する「同一性」は、例えば、前記(Rb7)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Rb7)の同一性は、前記配列番号6のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0084】
本開示において、すすかび病抵抗性遺伝子は、例えば、下記(Rc)のポリヌクレオチドを含む。
(Rc)下記(Rc1)~(Rc7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rc1)配列番号7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rc2)前記(Rc1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc3)前記(Rc1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc4)前記(Rc1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc5)配列番号8のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rc6)配列番号8のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc7)配列番号8のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド。
【0085】
前記(Rc1)において、配列番号7の塩基配列は、配列番号8のアミノ酸配列のコード配列である。前記配列番号7の塩基配列は、例えば、後述する受託番号FERM P-22459で寄託されているトマト植物の種子から得ることができる。下記配列番号7の塩基配列は、ストップコドンを含む塩基配列である。
【0086】
LRR遺伝子3(LRR3)(Sltk_i_g8462)の塩基配列(配列番号7)
5'-ATGTTAGACTTGAGCAATAACACATTCAGTGGAAAAATTCAAGAGTTCAAGTCCAAAACATTAATTACTGTTACTCTAAAACAAAATAAGCTGAAAGGTCCTATTCCGAATTCACTCCTAAACCAGGAGAGCCTACAATTTCTTCTCCTTTCACACAATAATATCAGTGGATATATTTCTTCATCTATCTGCAATCTGAAAACATTGATATCGTTAGACTTGGGAAGTAACAATTTGGAGGGAACAATCCCACAATGCATGGGTGAGATGAAAGAATACCTTTTGGATTTGGATTTGAGCAACAACAGACTTAGTGGGACAATCAATACAACTTTTAGTGTTGGAAACTCTTTCAGGGTCATTAATTTGCATGGGAATAAGCTAACGGGGAAAGTCCCACGATCTTTGATCAATTGCAAGTATTTGACAGTACTTGATCTAGGTAACAATCAGTTGAATGACACATTTCCAAACTGGTTGGGATACCTATCTCAATTGAAGATTTTAAGCTTGAGATCAAATAAGTTGCATGGTCCCATCAAATCTTCAGGGAATACAAACTTGTTTACGCGTCTTCAAATTCTTGATCTATCATCTAATGGATTTAGTGGGAATTTACCCGAAAGTATCTTGGGGAATTTGCAAGCCATGAAAAAAATTGATGAGAGTACAAGAACACCAGAGTATATTTCTGATATTTATTACAATTATTTGACGACAATTACTACAAAGGGACAAGATTATGATTCTGTTCGAATTTTGGATTCTAACATGATTATCAATCTCTCAAAGAACAGATTTGAAGGTCATATTCCAAGCATTATTGGAGATCTTGTTGGACTTCGTACGTTGAACTTATCTCACAATGCCTTGGAAGGTCATATACCGGCATCATTTCAAAATTTATCTGTACTCGAATCATTGGATCTCGCATCAAACAAAATCAGCGGAGAAATTCCGCAGCAGCTTGCATCCCTCACATTCCTTGAAGTCTTAAATCTCTCTCACAATCATCTTGTTGGATGCATCCCCAAAGGAAAACAATTTGATTCGTTCGGGAACAGTTCATACCAAGGGAATGATGGGTTACGCGGATTTCCACTCTCAAAACTTTGTGGTGTTGATGATCAAGTGACAACTCCAGCTGAGCTAGATCAAGAAGAGGAGGAAGAAGATTCACCAATGATCAGTTGGCAGGGAGTTCTCGTGGGTTACGGTTGTGGACTTGTTATTGGACTGTCCGATGGATTTAAAGTTGGAACACATAATTACTACGAGAATGAAAAAGCACAAGAAAAGATATTAGTGAGTAGCTATACCTCCAGGATTCATGTCGACAAAGTTTCTGAAGATGCAGATTAA-3'
【0087】
前記(Rc2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(Rc2)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Rc2)のポリヌクレオチドにおいて、前記1もしくは数個は、例えば、1~272個、1~204個、1~136個、1~68個、1~54個、1~40個、1~27個、1~13個、1~11個、1~10個、1~5個、1~4個、1~3個、1個または2個、1個である。
【0088】
前記(Rc3)において、「同一性」は、例えば、前記(Rc3)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Rc3)のポリヌクレオチドにおいて、前記同一性は、例えば、80%以上、85%以上、89%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上である。
【0089】
前記(Rc4)において、「ハイブリダイズするポリヌクレオチド」は、例えば、前記(Rc1)のポリヌクレオチドに対して、完全または部分的に相補的なポリヌクレオチドである。前記「ハイブリダイズするポリヌクレオチド」は、前記(Rc4)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記ハイブリダイズは、前記(Ra4)におけるハイブリダイズの説明を援用できる。
【0090】
前記(Rc5)のポリヌクレオチドは、例えば、前記(Rc5)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記すすかび病抵抗性を発現させる塩基配列であればよい。前記(Rc5)のポリヌクレオチドの塩基配列は、例えば、前記配列番号8のアミノ酸配列に基づいて、対応するコドンに置き換えることで設計可能である。前記配列番号8のアミノ酸配列は、例えば、後述する受託番号FERM P-22459で寄託されているトマト植物の種子から得ることができる。
【0091】
LRR遺伝子3(LRR3)(Sltk_i_g8462)によりコードされるアミノ酸配列(配列番号8)
MLDLSNNTFSGKIQEFKSKTLITVTLKQNKLKGPIPNSLLNQESLQFLLLSHNNISGYISSSICNLKTLISLDLGSNNLEGTIPQCMGEMKEYLLDLDLSNNRLSGTINTTFSVGNSFRVINLHGNKLTGKVPRSLINCKYLTVLDLGNNQLNDTFPNWLGYLSQLKILSLRSNKLHGPIKSSGNTNLFTRLQILDLSSNGFSGNLPESILGNLQAMKKIDESTRTPEYISDIYYNYLTTITTKGQDYDSVRILDSNMIINLSKNRFEGHIPSIIGDLVGLRTLNLSHNALEGHIPASFQNLSVLESLDLASNKISGEIPQQLASLTFLEVLNLSHNHLVGCIPKGKQFDSFGNSSYQGNDGLRGFPLSKLCGVDDQVTTPAELDQEEEEEDSPMISWQGVLVGYGCGLVIGLSDGFKVGTHNYYENEKAQEKILVSSYTSRIHVDKVSEDAD
【0092】
前記(Rc6)において、アミノ酸配列に関する「1もしくは数個」は、例えば、前記(Rc6)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Rc6)の「1もしくは数個」は、例えば、前記配列番号8のアミノ酸配列において、例えば、1~90個、1~67個、1~45個、1~22個、1~18個、1~13個、1~9個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0093】
前記(Rc7)において、アミノ酸配列に関する「同一性」は、例えば、前記(Rc7)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Rc7)の同一性は、前記配列番号8のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0094】
本開示において、すすかび病抵抗性遺伝子は、例えば、下記(Rd)のポリヌクレオチドを含む。
(Rd)下記(Rd1)~(Rd7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rd1)配列番号9の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rd2)前記(Rd1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd3)前記(Rd1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd4)前記(Rd1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd5)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rd6)配列番号10のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd7)配列番号10のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド。
【0095】
前記(Rd1)において、配列番号9の塩基配列は、配列番号10のアミノ酸配列のコード配列である。前記配列番号9の塩基配列は、例えば、後述する受託番号FERM P-22459で寄託されているトマト植物の種子から得ることができる。下記配列番号9の塩基配列は、ストップコドンを含む塩基配列である。
【0096】
LRR遺伝子4(LRR4)(Sltk_i_g8463)の塩基配列(配列番号9)
5'-ATGGGTTGTGTAAAACTTATATTTTTCATGCTATATGTCTTTCTCTTTCATCTTGTTCCCTCGTCATCCTTACCTCATTTGTGCCCCGAAGATCAAGCTCTTGCTCTTCTACAATTCAAGAACATGTTTACCGTTAATCCTAATGCTTCTTATTATTGTTACGACTATACAGGCGTAGAGATTCAGTCATATCCAAGAACTCTTTCCTGGAACAAGAGCACGGATTGCTGCTCATGGGATGGCATTCATTGTGACGAGACGACAGGACAAGTGGTTGAGCTTGATCTCCGGTGCAGCCAACTTCAAGGCAAGTTTCATTCCAATAGTAGCCTCTTTCAACTCTCCAATCTCAAAAGACTTGATTTGTCTTATAATGATTTCACCGGATCACTCATTTCACCTAAATTCGGTAAGTTTTCTAGTTTGAGACATCTTGATTTGTTCGATTCACGTTTTACGGGTGTAATCCCTTCTGAAATCTCTCATCTTTCTAAACTATACGTTCTTCGTATCAGTAATCTAAATGAGCTTACTCTTGGGCCTCACAATTTTGAATTGCTTCTTAAGAACTTGACCCAATTAAGAGAGCTCAACCTTGAATTTATCAACATCTCTTCCACCATTCCTTCCAATTTCTCCTCTCATTTAACAAATCTACGGCTTTCATACACAGAGTTACGTGGGGTATTGCCCGAAAGAGTTTTCCACCTTTCTAACTTAGAATTGCTAGATTTATCATATAATCCCCAGCTCACGGTTAGGTTTCCCACAACCATATGGAATAGCAGTGCATCACTCGTGAAGTTATATCTCGGTCGTGTGAATATTGCTGGTAATATACCTGATTCATTTAGCTATCTAACTGCACTTCAAGAGCTGGACATGCGTTATACTAATCTATCAGGGCCTATTCCTAAACCTTTATGGAATCTTACCAACATAGAGAGTTTGTTCCTTTATTATAACCATCTTGAAGGACCAATTCCCCTGCTCCCAAGATTTGAAAAGCTCAAGATGTTATCACTTAGAAATAACAATTTGGATGGCGGACTTGAGTTCTTATCCTTTAACAGAAGCTGGACCCAACTTGAAGAATTAGATTTTTCATCCAATTCCCTAACTGGTCCAATTCCATCCAACGTAAGCGGACTTCAAAACCTAGAACGGCTCGACTTGTCATCAAACAACTTGAATGGGAGTATTGTTGGGTTTTATTTGCCCTAA-3'
【0097】
前記(Rd2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(Rd2)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Rd2)のポリヌクレオチドにおいて、前記1もしくは数個は、例えば、1~244個、1~183個、1~122個、1~61個、1~48個、1~36個、1~24個、1~12個、1~10個、1~5個、1~4個、1~3個、1個または2個、1個である。
【0098】
前記(Rd3)において、「同一性」は、例えば、前記(Rd3)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Rd3)のポリヌクレオチドにおいて、前記同一性は、例えば、80%以上、85%以上、89%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上である。
【0099】
前記(Rd4)において、「ハイブリダイズするポリヌクレオチド」は、例えば、前記(Rd1)のポリヌクレオチドに対して、完全または部分的に相補的なポリヌクレオチドである。前記「ハイブリダイズするポリヌクレオチド」は、前記(Rd4)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記ハイブリダイズは、前記(Ra4)におけるハイブリダイズの説明を援用できる。
【0100】
前記(Rd5)のポリヌクレオチドは、例えば、前記(Rd5)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記すすかび病抵抗性を発現させる塩基配列であればよい。前記(Rd5)のポリヌクレオチドの塩基配列は、例えば、前記配列番号10のアミノ酸配列に基づいて、対応するコドンに置き換えることで設計可能である。前記配列番号10のアミノ酸配列は、例えば、後述する受託番号FERM P-22459で寄託されているトマト植物の種子から得ることができる。
【0101】
LRR遺伝子4(LRR4)(Sltk_i_g8463)によりコードされるアミノ酸配列(配列番号10)
MGCVKLIFFMLYVFLFHLVPSSSLPHLCPEDQALALLQFKNMFTVNPNASYYCYDYTGVEIQSYPRTLSWNKSTDCCSWDGIHCDETTGQVVELDLRCSQLQGKFHSNSSLFQLSNLKRLDLSYNDFTGSLISPKFGKFSSLRHLDLFDSRFTGVIPSEISHLSKLYVLRISNLNELTLGPHNFELLLKNLTQLRELNLEFINISSTIPSNFSSHLTNLRLSYTELRGVLPERVFHLSNLELLDLSYNPQLTVRFPTTIWNSSASLVKLYLGRVNIAGNIPDSFSYLTALQELDMRYTNLSGPIPKPLWNLTNIESLFLYYNHLEGPIPLLPRFEKLKMLSLRNNNLDGGLEFLSFNRSWTQLEELDFSSNSLTGPIPSNVSGLQNLERLDLSSNNLNGSIVGFYLP
【0102】
前記(Rd6)において、アミノ酸配列に関する「1もしくは数個」は、例えば、前記(Rd6)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Rd6)の「1もしくは数個」は、例えば、前記配列番号10のアミノ酸配列において、例えば、1~81個、1~61個、1~40個、1~20個、1~16個、1~12個、1~9個、1~8個、1~6個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0103】
前記(Rd7)において、アミノ酸配列に関する「同一性」は、例えば、前記(Rd7)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Rd7)の同一性は、前記配列番号10のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0104】
本開示において、すすかび病抵抗性遺伝子は、例えば、下記(Re)のポリヌクレオチドを含む。
(Re)下記(Re1)~(Re7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Re1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Re2)前記(Re1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re3)前記(Re1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re4)前記(Re1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re5)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Re6)配列番号12のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re7)配列番号12のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
【0105】
前記(Re1)において、配列番号11の塩基配列は、配列番号12のアミノ酸配列のコード配列である。前記配列番号11の塩基配列は、例えば、後述する受託番号FERM P-22459で寄託されているトマト植物の種子から得ることができる。下記配列番号11の塩基配列は、ストップコドンを含む塩基配列である。
【0106】
LRR遺伝子5(LRR5)(Sltk_i_g8464)の塩基配列(配列番号11)
5'-ATGTTAGACTTGAGCAATAACACATTCAGTGGAAAAATTCAAGAGTTCAAGTCCAAAACATTAATTACTGTTACTCTAAAACAAAATAAGCTGAAAGGTCCTATTCCGAATTCACTCCTAAACCAGGAGAGCCTACAATTTCTTCTCCTTTCACACAATAATATCAGTGGATATATTTCTTCATCTATCTGCAATCTGAAAACATTGATATCGTTAGACTTGGGAAGTAACAATTTGGAGGGAACAATCCCACAATGCATGGGTGAGATGAAAGAATACCTTTTGGATTTGGATTTGAGCAACAACAGACTTAGTGGGACAATCAATACAACTTTTAGTGTTGGAAACTCTTTCAGGGTCATTAATTTGCATGGGAATAAGCTAACGGGGAAAGTCCCACGATCTTTGATCAATTGCAAGTATTTGACAGTACTTGATCTAGGTAACAATCAGTTGAATGACACATTTCCAAACTGGTTGGGATACCTATCTCAATTGAAGATTTTAAGCTTGAGATCAAATAAGTTGCATGGTCCCATCAAATCTTCAGGGAATACAAACTTGTTTACGCGTCTTCAAATTCTTGATCTATCATCTAATGGATTTAGTGGGAATTTACCCGAAAGTATCTTGGGGAATTTGCAAGCCATGAAAAAAATTGATGAGAGTACAAGAACACCAGAGTATATTTCTGATATTTATTACAATTATTTGACGACAATTACTACAAAGGGACAAGATTATGATTCTGTTCGAATTTTGGATTCTAACATGATTATCAATCTCTCAAAGAACAGATTTGAAGGTCATATTCCAAGCATTATTGGAGATCTTGTTGGACTTCGTACGTTGAACTTATCTCACAATGCCTTGGAAGGTCATATACCGGCATCATTTCAAAATTTATCTGTACTCGAATCATTGGATCTCGCATCAAACAAAATCAGCGGAGAAATTCCGCAGCAGCTTGCATCCCTCACATTCCTTGAAGTCTTAAATCTCTCTCACAATCATCTTGTTGGATGCATCCCCAAAGGAAAACAATTTGATTCGTTCGGGAACAGTTCATACCAAGGGAATGATGGGTTACGCGGATTTCCACTCTCAAAACTTTGTGGTGTTGATGATCAAGTGACAACTCCAGCTGAGCTAGATCAAGAAGAGGAGGAAGAAGATTCACCAATGATCAGTTGGCAGGGAGTTCTCGTGGGTTACGGTTGTGGACTTGTTATTGGACTGTCCGATGGATTTAAAGTTGGAACACATAATTACTACGAGAATGAAAAAGCACAAGAAAAGATATTAGTGAGTAGCTATACCTCCAGGATTCATGTCGACAAAGTTTCTGAAGATGCAGATTAA-3'
【0107】
前記(Re2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(Re2)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Re2)のポリヌクレオチドにおいて、前記1もしくは数個は、例えば、1~272個、1~204個、1~136個、1~68個、1~54個、1~40個、1~27個、1~13個、1~11個、1~10個、1~5個、1~4個、1~3個、1個または2個、1個である。
【0108】
前記(Re3)において、「同一性」は、例えば、前記(Re3)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Re3)のポリヌクレオチドにおいて、前記同一性は、例えば、80%以上、85%以上、89%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上である。
【0109】
前記(Re4)において、「ハイブリダイズするポリヌクレオチド」は、例えば、前記(Re1)のポリヌクレオチドに対して、完全または部分的に相補的なポリヌクレオチドである。前記「ハイブリダイズするポリヌクレオチド」は、前記(Re4)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記ハイブリダイズは、前記(Ra4)におけるハイブリダイズの説明を援用できる。
【0110】
前記(Re5)のポリヌクレオチドは、例えば、前記(Re5)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記すすかび病抵抗性を発現させる塩基配列であればよい。前記(Re5)のポリヌクレオチドの塩基配列は、例えば、前記配列番号12のアミノ酸配列に基づいて、対応するコドンに置き換えることで設計可能である。前記配列番号12のアミノ酸配列は、例えば、後述する受託番号FERM P-22459で寄託されているトマト植物の種子から得ることができる。
【0111】
LRR遺伝子5(LRR5)(Sltk_i_g8464)によりコードされるアミノ酸配列(配列番号12)
MLDLSNNTFSGKIQEFKSKTLITVTLKQNKLKGPIPNSLLNQESLQFLLLSHNNISGYISSSICNLKTLISLDLGSNNLEGTIPQCMGEMKEYLLDLDLSNNRLSGTINTTFSVGNSFRVINLHGNKLTGKVPRSLINCKYLTVLDLGNNQLNDTFPNWLGYLSQLKILSLRSNKLHGPIKSSGNTNLFTRLQILDLSSNGFSGNLPESILGNLQAMKKIDESTRTPEYISDIYYNYLTTITTKGQDYDSVRILDSNMIINLSKNRFEGHIPSIIGDLVGLRTLNLSHNALEGHIPASFQNLSVLESLDLASNKISGEIPQQLASLTFLEVLNLSHNHLVGCIPKGKQFDSFGNSSYQGNDGLRGFPLSKLCGVDDQVTTPAELDQEEEEEDSPMISWQGVLVGYGCGLVIGLSDGFKVGTHNYYENEKAQEKILVSSYTSRIHVDKVSEDAD
【0112】
前記(Re6)において、アミノ酸配列に関する「1もしくは数個」は、例えば、前記(Re6)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Re6)の「1もしくは数個」は、例えば、前記配列番号12のアミノ酸配列において、例えば、1~90個、1~67個、1~45個、1~22個、1~18個、1~13個、1~9個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0113】
前記(Re7)において、アミノ酸配列に関する「同一性」は、例えば、前記(Re7)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Re7)の同一性は、前記配列番号12のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0114】
本開示において、すすかび病抵抗性遺伝子は、例えば、下記(Rf)のポリヌクレオチドを含む。
(Rf)下記(Rf1)~(Rf7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rf1)配列番号13の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rf2)前記(Rf1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf3)前記(Rf1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf4)前記(Rf1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf5)配列番号14のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rf6)配列番号14のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf7)配列番号14のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド。
【0115】
前記(Rf1)において、配列番号13の塩基配列は、配列番号14のアミノ酸配列のコード配列である。前記配列番号13の塩基配列は、例えば、後述する受託番号FERM P-22459で寄託されているトマト植物の種子から得ることができる。下記配列番号13の塩基配列は、ストップコドンを含む塩基配列である。
【0116】
LRR遺伝子6(LRR6)(Sltk_i_g8465)の塩基配列(配列番号13)
5'-ATGGGTTGTGTAAAACTTATATTTTTCGTGCTATATGTCTTTCTCTTTCAACTTGTTTCCTCGTCATCCTTACCTCATTTGTGCCCCGAAGATCAAGCTCTTGCCCTTCTAGAATTCAAGAACACGTTTACCGTTAATCCTAATGATTTTGATTATTGTTACAACACAAGTACAGGCATAGAGATTCAGTCATATCCAAGAACTCTTTCTTGGAACAAAAGCACAAGTTGCTGCTCATGGGATGGCGTTCATTGTGACGAGACGACAGGACAAGTGATTTCTCTTGACCTCTGTTGTAGCAAACTGCGAGGAAAGTTTCATTCCAATAGTAGCCTCTTTCAACTCTCCAATCTCAAAAGGCTTGATTTGTCTTTTAATGATTTCACTGGATCGCCCATTTCACCTAAATTTGGTGAATTTTCAGATTTGACGCATCTCGATTTGTCGCATTCTAGTTTTACAGGTCTAATCCCTTTTGAAATGTCTCACCTTTCTAAACTACACGTTCTTCGTATAGGTGGTGTATATGAGCTTAGTCTTGGGCTTCACAATTTTGAACTGCTCCTTAAGAACTTGACCCAATTAAAAGAGCTCAACCTTTATGATGTGAACCTCTCTTCCACAGTTCCTTCAAATTTCTCTTCTCATTTAACAACTCTACAACTTTCAGGCACAGAGTTACATGGGATATTGCCCGAAAGAGTTTTCCACCTATCCGACTTAGAATTTCTCGATTTATCAGACAATCCACAGCTCACAGTTAGGTTTCCCACAACTAAATGGAATAGCAGTGCATCACTCATGACGTTGTATCTCGATAGTGTGAATATTGCTGATAGGATACCTGAATCATTTAGCCATCTAACTTCACTTCATGAGTTGTACATGGATCGTTCTAATCTGTCAGGGCCTATTCCTAAACCTATATGGAATCTCACCAACATAGTGTTTTTGGACCTTGGTAATAACCATCTTGAAGGACCAATTCCCCATCTCCCGAGATTTGAAAAGCTCAAGAGGTTATCAATTGAAAATAACATCTTGGATGGAGGACTTGAGTTCTTATCCTCTAACAGAAGCTGGACGGAGCTTGAAATATTAGATTTTTCATCCAATTACCTTACTGGTCCAATTCCATACAACGTAACTGGACTACGAAATCTACAATCACTCGAATTGTCATCAAACCACTTGAATGGGACTATACCTTCCTGGATATTCGATCTTCCTTCACTGGAAATTTTAGACTTGAGCAATAACACTTTCACTGGAAAAATTCAAGAGTTCAAGTCCAAAACATTAAGTACCGTTACTCTAAAACAAAATAATCTGAAAGGTCCCATTCCGAATTCACTCCTAAACCAGAAGAGCCTATTTATTCTTCTCCTTTCACACAATAATATCAGTGGACGTATTTCTTCATCTATCTGCAATCTGAAAATGTTGAAATTGTTAGACTTGGGAAGTAACAATTTGGAGGGAACAATCCCACAATGCGTGGGTGAGATGAAAGAAAACCTTTCGGATTTGGATTTGAGCAACAACAGACTTAGTGGGACAATCAATACAACTTTTAGTGTTGGAAACTCTTTCACGGTCATTAGTTTGCATGGGAATAAGCTAACGGGGAAAGTCCCACGATCTTTGATCAATTGCAAGTATTTGACACTACTTGATCTAGGTAACAATCAGTTGAATGACTCATTTCCAAACTGGTTGGGATACCTATCTCAATTGAAGATTTTAAGCTTGAGATCAAATAAGTTGCATGGTCCCATCAAATCTTCAGGGAATACAAACCTGTTTATGCGTCTTCAAATTCTTGATCTATCATCTAATGGATTTAGTGGGAATTTACCCGAAGGTCTTTTGGGGAATTTGCAAGCCATGAAAAATATTGATGAGAGTACAAGATCCCCAGAGTATATTTCTGATCAATATATTTTATTTTACGATTATTTTATGACAATTACAACAAAGGGACAAGATTATGATTCTGTTAGAATTTTAACTTCTAACATGATTATCAATCTCTCAAAGAACAGATTTGAAGGTCGTATTCCAAGCATTATTGGAGATCTTGTTGGACTTCGTACGTTGAACTTATCTCACAATGCCTTGGAAGGTCATATACCGGCATCATTTCAAAATTTATCTGTACTCGAATCATTGGATCTCTCATCTAATAAAATCAGCGGAGAAATTCCGCAGCAGCTTGCATCCCTCACATTCCTTGAAGTCTTAAATCTCTCTCACAATCATCTTGTTGGATGCATCCCCAAAGGAAAACAATTTGATTCGTTCGGGAACAGTTCATACCAAGGGAATGATGGGTTACAAGGATTTCCACTCTCAAAACTTTGTGGTGTTGATGATCAAGTGACAACTCCAGCTGAGCTAGATCAAGAAGAGGAGGAAGAAGATTCACCAATGATCAGTTGGCGGGGGGTTCTCGTGGGTTACGGTTGTGGACTTGTTATTGGACTGTCCGTAATATACATAATGTGGTCAACTCAATATCCAGGATGGGTTTCCATGATGGATTTAAAGTTGGAACACATAATTACTACGAGAATGAAAAAGCACAAGAAATGA-3'
【0117】
前記(Rf2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(Rf2)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Rf2)のポリヌクレオチドにおいて、前記1もしくは数個は、例えば、1~519個、1~389個、1~259個、1~129個、1~103個、1~77個、1~51個、1~25個、1~12個、1~11個、1~10個、1~5個、1~4個、1~3個、1個または2個、1個である。
【0118】
前記(Rf3)において、「同一性」は、例えば、前記(Rf3)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Rf3)のポリヌクレオチドにおいて、前記同一性は、例えば、80%以上、85%以上、89%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上である。
【0119】
前記(Rf4)において、「ハイブリダイズするポリヌクレオチド」は、例えば、前記(Rf1)のポリヌクレオチドに対して、完全または部分的に相補的なポリヌクレオチドである。前記「ハイブリダイズするポリヌクレオチド」は、前記(Rf4)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記ハイブリダイズは、前記(Ra4)におけるハイブリダイズの説明を援用できる。
【0120】
前記(Rf5)のポリヌクレオチドは、例えば、前記(Rf5)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記すすかび病抵抗性を発現させる塩基配列であればよい。前記(Rf5)のポリヌクレオチドの塩基配列は、例えば、前記配列番号14のアミノ酸配列に基づいて、対応するコドンに置き換えることで設計可能である。前記配列番号14のアミノ酸配列は、例えば、後述する受託番号FERM P-22459で寄託されているトマト植物の種子から得ることができる。
【0121】
LRR遺伝子6(LRR6)(Sltk_i_g8465)によりコードされるアミノ酸配列(配列番号14)
MGCVKLIFFVLYVFLFQLVSSSSLPHLCPEDQALALLEFKNTFTVNPNDFDYCYNTSTGIEIQSYPRTLSWNKSTSCCSWDGVHCDETTGQVISLDLCCSKLRGKFHSNSSLFQLSNLKRLDLSFNDFTGSPISPKFGEFSDLTHLDLSHSSFTGLIPFEMSHLSKLHVLRIGGVYELSLGLHNFELLLKNLTQLKELNLYDVNLSSTVPSNFSSHLTTLQLSGTELHGILPERVFHLSDLEFLDLSDNPQLTVRFPTTKWNSSASLMTLYLDSVNIADRIPESFSHLTSLHELYMDRSNLSGPIPKPIWNLTNIVFLDLGNNHLEGPIPHLPRFEKLKRLSIENNILDGGLEFLSSNRSWTELEILDFSSNYLTGPIPYNVTGLRNLQSLELSSNHLNGTIPSWIFDLPSLEILDLSNNTFTGKIQEFKSKTLSTVTLKQNNLKGPIPNSLLNQKSLFILLLSHNNISGRISSSICNLKMLKLLDLGSNNLEGTIPQCVGEMKENLSDLDLSNNRLSGTINTTFSVGNSFTVISLHGNKLTGKVPRSLINCKYLTLLDLGNNQLNDSFPNWLGYLSQLKILSLRSNKLHGPIKSSGNTNLFMRLQILDLSSNGFSGNLPEGLLGNLQAMKNIDESTRSPEYISDQYILFYDYFMTITTKGQDYDSVRILTSNMIINLSKNRFEGRIPSIIGDLVGLRTLNLSHNALEGHIPASFQNLSVLESLDLSSNKISGEIPQQLASLTFLEVLNLSHNHLVGCIPKGKQFDSFGNSSYQGNDGLQGFPLSKLCGVDDQVTTPAELDQEEEEEDSPMISWRGVLVGYGCGLVIGLSVIYIMWSTQYPGWVSMMDLKLEHIITTRMKKHKK
【0122】
前記(Rf6)において、アミノ酸配列に関する「1もしくは数個」は、例えば、前記(Rf6)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Rf6)の「1もしくは数個」は、例えば、前記配列番号14のアミノ酸配列において、例えば、1~172個、1~129個、1~86個、1~43個、1~34個、1~25個、1~17個、1~8個、1~6個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0123】
前記(Rf7)において、アミノ酸配列に関する「同一性」は、例えば、前記(Rf7)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Rf7)の同一性は、前記配列番号14のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0124】
本開示において、すすかび病抵抗性遺伝子は、例えば、下記(Rg)のポリヌクレオチドを含む。
(Rg)下記(Rg1)~(Rg7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rg1)配列番号15の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rg2)前記(Rg1)の塩基配列において、1もしくは数個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg3)前記(Rg1)の塩基配列に対して、80%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg4)前記(Rg1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg5)配列番号16のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rg6)配列番号16のアミノ酸配列において、1もしくは数個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg7)配列番号16のアミノ酸配列に対して、80%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド。
【0125】
前記(Rg1)において、配列番号15の塩基配列は、配列番号16のアミノ酸配列のコード配列である。前記配列番号15の塩基配列は、例えば、後述する受託番号FERM P-22459で寄託されているトマト植物の種子から得ることができる。下記配列番号15の塩基配列は、ストップコドンを含む塩基配列である。
【0126】
LRR遺伝子7(LRR7)(Sltk_i_g8468)の塩基配列(配列番号15)
5'-ATGGATTGTGTAGAACTTGTATTCCTTATGCTATATACCTTTCTCTGTCAACTTGCTTTATCGTCATCCTTGCCTCATTTGTGCCCCGAAGATCAAGCTCTTGCTCTTCTACAATTCAAGAACATGTTTACCGTTAATCCTAATGATTCTGATTATTGTTACGACATAAGTACAGGCGTAGACATTCAGTCATATCCAAGAACTCTTTCTTGGAACAATAGCACAAGTTGCTGCTCATGGGATGGCGTTCATTGTGACGAGACGACAGGACAAGTGATTGAGCTTGACCTCAGTTGCAGCCAACTTCAAGGCAAGTTTCATTCCAATAGTAGCCTCTTTCAACTCTCGAATCTCAAAAGGCTTGATTTGTCTTTTAATAATTTCACTGGATCACTCATTTCACCTAAATTGGGTGAGTTTTCTAGCTTGACGCATCTCGATTTGTCGCATTCTAGTTTTACAGGTCTAATTCCTTCTGAAATCTCTCACCTTTCTAAATTGCACGTTCTTCGTATCGGTGATCTAAATGAGCTTAGTCTTGGGCCTCACAATTTTGAACTGCTACTTGAGAATTTGACCCAATTAAGAGAGCTCAACCTTAACTCTGTGAACATCTCTTCCACCATTCCTTCCAATTTCTCTTCTCACTTAGAAATTTTAACGCTTTATAACACAGGGTTACGTGGGTTATTGCCCGAAAGAGTTTTCCACCTTTTTGACTTAGAATTTCTCGATTTATCATATAATCCCCAGCTCACGGTTAGGTTTCCCACAACCAAATGGAATAGCAGTGCATCACTCATGAAGTTATACGTCCATAGTGTGAATATTGCTGATAGGATACCTGAATCATTTAGCCATCTAACTTCACTTCATGAGTTGGACATGGGTTATACTAATCTATCAGGGCCTATTCCTAAACCTTTATGGAATCTCACCAACATAGAGAGTTTGGACCTTGATTATAACCATCTTGAAGGACCAATTCCCCAGCTCCCGAGATTTGAAAAGCTCAAGGAGTTATCACTTAGAAATAACAACTTTGATGGCGGACTTGAGTTCTTATCCTTTAACAGAAGCTGGACCCAACTTGAATGGCTAGATTTTTCATCCAATTCCCTAACTGGTCCAATTCCATCCAACGTAAGCGGACTTCAAAACCTAGAATGGCTCTACTTGTCATCAAACAACTTGAATGGGAGTATACCTTCCTGGATATTCTCCCTTCCTTCACTGATAGAGTTATACTTGAGCAATAACACTTTCAGTGGAAAAATTCAAGAGTTCAAGTCCAAAACATTAAGTGTCGTTTCTCTACAACAAAATCAGCTGGAAGGTCCTATTCCGAAGTCACTCCTAAACCAGAGCCTATTTTATCTTCTCCTTTCACACAATAATATCAGTGGACGTATTTCTTCATCTATCTGCAATCTGAAAATGTTGATATTGTTAGACTTGGGAAGTAACAATTTGGAGGGAACAATCCCACAATGCGTGGGTGAGATGAAAGAAAACCTTTGGAGTTTGGATTTGAGCAACAACAGACTTAGTGGGACAATCAATACAACTTTTAGTATTGGAAACTCTTTCAGGGCCATTAGCTTGCACGGGAATAAGCTAACGGGGAAAGTCCCACGATCTTTGATCAATTGCAAGTATTTGACACTACTTGATCTAGGTAACAATCAGTTGAATGACACATTTCCAAACTGGTTGGGATACCTATCTCAATTGAAGATTTTAAGCTTGAGATCAAATAAGTTGCATGGTCCAATCAAATCTTCAGGGAATACAAACTTGTTTACGCGTCTTCAAATTCTTGATCTATCATCTAATGGATTTAGGGGGAATTTACCCGAAAGTATTTTGGGGAATTTGCAAGCCATGAAAAAAATTGATGAGAGTACAAGAACACCAGAGTATATTTCTGATATTTATTACAATTATTTGACGACAATTACTACAAAGGGACAAGATTATGATTCTGTTCGAATTTTGGATTCTAACATGATTATCAATCTCTCAAAGAACAGATTTGAAGGTCATATTCCAAGCATTATTGGAGATCTTGTTGGACTTCGTACGTTGAACTTATCTCACAATGCCTTGGAAGGTCATATACCGGCATCATTTCAAAATTTATCAGTACTCGAATCATTGGATCTCTCATTTAATAAAATCAGCGGAGAAATTCCGCAGCAGCTTGCATCCCTCACATTCCTTGAATTCTTAAATCTCTCTCACAATCATCTTGTTGGATGCATTCCCAAAGGAAAACAATTTGATACGTTCTTGAACAGTTCATACCAAGGGAATGATGGGTTACGCGGATTTCCACTCTCAATACATTGTGGCGGTGATGATCAATTGACAACTCCAGCTGAGCTAGATCAACAACAACAAGAAGAAGATTCATCAATGATCAGTTGGCAGGGGGTTCTCGTGGGTTACGGTTGTGGACTTGTTATTGGACTGTCCGTAATATACATAATGTGGTCAACTCAATATCCAGCATGGTTTTCGAGGATGGATTTAAAGTTGGAACGCATAATTACTACGAGAATGAAAAAGCACAAGAAAAGATATTAG-3'
【0127】
前記(Rg2)において、「1もしくは数個」は、例えば、前記(Rg2)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Rg2)のポリヌクレオチドにおいて、前記1もしくは数個は、例えば、1~517個、1~388個、1~258個、1~129個、1~103個、1~77個、1~51個、1~25個、1~12個、1~11個、1~10個、1~5個、1~4個、1~3個、1個または2個、1個である。
【0128】
前記(Rg3)において、「同一性」は、例えば、前記(Rg3)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Rg3)のポリヌクレオチドにおいて、前記同一性は、例えば、80%以上、85%以上、89%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、または99%以上である。
【0129】
前記(Rg4)において、「ハイブリダイズするポリヌクレオチド」は、例えば、前記(Rg1)のポリヌクレオチドに対して、完全または部分的に相補的なポリヌクレオチドである。前記「ハイブリダイズするポリヌクレオチド」は、前記(Rg4)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記ハイブリダイズは、前記(Ra4)におけるハイブリダイズの説明を援用できる。
【0130】
前記(Rg5)のポリヌクレオチドは、例えば、前記(Rg5)のポリヌクレオチドによってコードされるタンパク質が、前記すすかび病抵抗性を発現させる塩基配列であればよい。前記(Rg5)のポリヌクレオチドの塩基配列は、例えば、前記配列番号16のアミノ酸配列に基づいて、対応するコドンに置き換えることで設計可能である。前記配列番号16のアミノ酸配列は、例えば、後述する受託番号FERM P-22459で寄託されているトマト植物の種子から得ることができる。
【0131】
LRR遺伝子7(LRR7)(Sltk_i_g8468)によりコードされるアミノ酸配列(配列番号16)
MDCVELVFLMLYTFLCQLALSSSLPHLCPEDQALALLQFKNMFTVNPNDSDYCYDISTGVDIQSYPRTLSWNNSTSCCSWDGVHCDETTGQVIELDLSCSQLQGKFHSNSSLFQLSNLKRLDLSFNNFTGSLISPKLGEFSSLTHLDLSHSSFTGLIPSEISHLSKLHVLRIGDLNELSLGPHNFELLLENLTQLRELNLNSVNISSTIPSNFSSHLEILTLYNTGLRGLLPERVFHLFDLEFLDLSYNPQLTVRFPTTKWNSSASLMKLYVHSVNIADRIPESFSHLTSLHELDMGYTNLSGPIPKPLWNLTNIESLDLDYNHLEGPIPQLPRFEKLKELSLRNNNFDGGLEFLSFNRSWTQLEWLDFSSNSLTGPIPSNVSGLQNLEWLYLSSNNLNGSIPSWIFSLPSLIELYLSNNTFSGKIQEFKSKTLSVVSLQQNQLEGPIPKSLLNQSLFYLLLSHNNISGRISSSICNLKMLILLDLGSNNLEGTIPQCVGEMKENLWSLDLSNNRLSGTINTTFSIGNSFRAISLHGNKLTGKVPRSLINCKYLTLLDLGNNQLNDTFPNWLGYLSQLKILSLRSNKLHGPIKSSGNTNLFTRLQILDLSSNGFRGNLPESILGNLQAMKKIDESTRTPEYISDIYYNYLTTITTKGQDYDSVRILDSNMIINLSKNRFEGHIPSIIGDLVGLRTLNLSHNALEGHIPASFQNLSVLESLDLSFNKISGEIPQQLASLTFLEFLNLSHNHLVGCIPKGKQFDTFLNSSYQGNDGLRGFPLSIHCGGDDQLTTPAELDQQQQEEDSSMISWQGVLVGYGCGLVIGLSVIYIMWSTQYPAWFSRMDLKLERIITTRMKKHKKRY
【0132】
前記(Rg6)において、アミノ酸配列に関する「1もしくは数個」は、例えば、前記(Rg6)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Rg6)の「1もしくは数個」は、例えば、前記配列番号16のアミノ酸配列において、例えば、1~172個、1~129個、1~86個、1~43個、1~34個、1~25個、1~17個、1~8個、1~6個、1~4個、1~3個、1または2個、1個である。
【0133】
前記(Rg7)において、アミノ酸配列に関する「同一性」は、例えば、前記(Rg7)のポリヌクレオチドが、前記すすかび病抵抗性を発現させる範囲であればよい。前記(Rg7)の同一性は、前記配列番号16のアミノ酸配列に対して、例えば、80%以上、85%以上、90%以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上である。
【0134】
本開示において、前記トマト植物は、いずれか1つのすすかび病抵抗性遺伝子を含んでもよいし、複数、すなわち、2、3、4、5、6または7つのすすかび病抵抗性遺伝子を含んでもよいし、全てのすすかび病抵抗性遺伝子を含んでもよい。前記トマト植物が複数のすすかび病抵抗性遺伝子を含む場合、前記複数のすすかび病抵抗性遺伝子の組合せは、例えば、以下の組合せが例示できる。
(Ra)および(Rb)のポリヌクレオチド
(Ra)および(Rc)のポリヌクレオチド
(Ra)および(Rd)のポリヌクレオチド
(Ra)および(Re)のポリヌクレオチド
(Ra)および(Rf)のポリヌクレオチド
(Ra)および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rb)および(Rc)のポリヌクレオチド
(Rb)および(Rd)のポリヌクレオチド
(Rb)および(Re)のポリヌクレオチド
(Rb)および(Rf)のポリヌクレオチド
(Rb)および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rc)および(Rd)のポリヌクレオチド
(Rc)および(Re)のポリヌクレオチド
(Rc)および(Rf)のポリヌクレオチド
(Rc)および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rd)および(Re)のポリヌクレオチド
(Rd)および(Rf)のポリヌクレオチド
(Rd)および(Rg)のポリヌクレオチド
(Re)および(Rf)のポリヌクレオチド
(Re)および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rf)および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、および(Rc)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、および(Rd)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、および(Re)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、および(Rf)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rc)、および(Rd)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rc)、および(Re)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rc)、および(Rf)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rc)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rd)、および(Re)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rd)、および(Rf)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rd)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Re)、および(Rf)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Re)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rb)、(Rc)、および(Rd)のポリヌクレオチド
(Rb)、(Rc)、および(Re)のポリヌクレオチド
(Rb)、(Rc)、および(Rf)のポリヌクレオチド
(Rb)、(Rc)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rb)、(Rd)、および(Re)のポリヌクレオチド
(Rb)、(Rd)、および(Rf)のポリヌクレオチド
(Rb)、(Rd)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rb)、(Re)、および(Rf)のポリヌクレオチド
(Rb)、(Re)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rb)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rc)、(Rd)、および(Re)のポリヌクレオチド
(Rc)、(Rd)、および(Rf)のポリヌクレオチド
(Rc)、(Rd)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rc)、(Re)、および(Rf)のポリヌクレオチド
(Rc)、(Re)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rc)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rd)、(Re)、および(Rf)のポリヌクレオチド
(Rd)、(Re)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rd)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Re)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、(Rc)、および(Rd)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、(Rc)、および(Re)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、(Rc)、および(Rf)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、(Rc)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、(Rd)、および(Re)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、(Rd)、および(Rf)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、(Rd)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、(Re)、および(Rf)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、(Re)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rc)、(Rd)、および(Re)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rc)、(Rd)、および(Rf)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rc)、(Rd)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rc)、(Re)、および(Rf)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rc)、(Re)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rc)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rd)、(Re)、および(Rf)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rd)、(Re)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rd)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Re)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rb)、(Rc)、(Rd)、および(Re)のポリヌクレオチド
(Rb)、(Rc)、(Rd)、および(Rf)のポリヌクレオチド
(Rb)、(Rc)、(Rd)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rb)、(Rc)、(Re)、および(Rf)のポリヌクレオチド
(Rb)、(Rc)、(Re)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rb)、(Rc)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rb)、(Rd)、(Re)、および(Rf)のポリヌクレオチド
(Rb)、(Rd)、(Re)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rb)、(Rd)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rb)、(Re)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rc)、(Rd)、(Re)、および(Rf)のポリヌクレオチド
(Rc)、(Rd)、(Re)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rc)、(Rd)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rc)、(Re)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rd)、(Re)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、(Rc)、(Rd)、および(Re)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、(Rc)、(Rd)、および(Rf)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、(Rc)、(Rd)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、(Rc)、(Re)、および(Rf)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、(Rc)、(Re)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、(Rc)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、(Rd)、(Re)、および(Rf)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、(Rd)、(Re)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、(Rd)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、(Re)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rc)、(Rd)、(Re)、および(Rf)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rc)、(Rd)、(Re)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rc)、(Rd)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rc)、(Re)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rd)、(Re)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rb)、(Rc)、(Rd)、(Re)、および(Rf)のポリヌクレオチド
(Rb)、(Rc)、(Rd)、(Re)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rb)、(Rc)、(Rd)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rb)、(Rc)、(Re)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rb)、(Rd)、(Re)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rc)、(Rd)、(Re)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、(Rc)、(Rd)、(Re)、および(Rf)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、(Rc)、(Rd)、(Re)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、(Rc)、(Rd)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、(Rc)、(Re)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、(Rd)、(Re)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rc)、(Rd)、(Re)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Rb)、(Rc)、(Rd)、(Re)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
(Ra)、(Rb)、(Rc)、(Rd)、(Re)、(Rf)、および(Rg)のポリヌクレオチド
【0135】
本開示の前記すすかび病抵抗性遺伝子は、内在性の遺伝子であってもよいし、外来性の遺伝子であってもよい。前記内在性の遺伝子は、例えば、前記トマト植物における突然変異等により生じた遺伝子である。前記すすかび病抵抗性遺伝子が内在性の遺伝子の場合、前記すすかび病抵抗性遺伝子は、例えば、交雑移入により導入できる。前記外来性の遺伝子は、例えば、遺伝子組換え技術、ゲノム編集技術等により導入された遺伝子である。前記遺伝子組換え技術または前記ゲノム編集技術による、トマト植物への外来性遺伝子の導入は、本分野における一般的な手法により実施できる。
【0136】
本開示のすすかび病抵抗性トマト植物は、すすかび病に対して抵抗性を示す。本開示において、トマト植物の前記すすかび病抵抗性は、後述する実施例1の方法に準じて、トマト植物の発病度を評価し、前記発病指数から算出する発病度により表わすことができる。この方法による前記発病度の算出は、後述する実施例1の説明を援用でき、例えば、発病度が1以下の場合、耐病性、発病度が1を超える場合、罹病性と評価できる。前記発病度により前記すすかび病抵抗性を判断する場合、前記発病度は、複数のトマト植物の平均の発病度である。前記すすかび病抵抗性の判断に使用するトマト植物(調査個体または調査個体群)の数は、例えば、すすかび病罹病性トマト植物との統計学的な検定が可能な数であり、具体例として、40~50株である。
【0137】
本開示のトマト植物は、一例として、受託番号FERM P-22459で寄託されたトマト植物(S. lycopersicum)またはその後代系統があげられる。前記後代系統は、例えば、前記抵抗性遺伝子座、および、前記すすかび病抵抗性遺伝子を有する。寄託の情報を以下に示す。
寄託の種類:国内寄託
寄託機関名:独立行政法人製品評価技術基盤機構 特許生物寄託センター
あて名:日本国 〒292-0818 千葉県木更津市かずさ鎌足2-5-8 120号室
受託番号:FERM P-22459
識別のための表示:Takii31
受領日:2022年8月15日
【0138】
本開示のトマト植物は、例えば、トマト植物に、前記すすかび病抵抗性遺伝子座、および/または、前記すすかび病抵抗性遺伝子を導入することによっても製造できる。前記トマト植物への前記すすかび病抵抗性遺伝子座、および/または、前記すすかび病抵抗性遺伝子の導入方法は、特に制限されず、例えば、本開示のトマト植物との交雑もしくは胚培養、または従来公知の遺伝子工学的手法があげられる。前記遺伝子工学的手法としては、例えば、遺伝子組み換え技術、ゲノム編集技術を用いた方法等があげられる。導入する前記すすかび病抵抗性遺伝子座、および/または、前記すすかび病抵抗性遺伝子は、前述のすすかび病抵抗性遺伝子座、および/または、すすかび病抵抗性遺伝子が例示できる。本開示のトマト植物との交雑により導入する場合、交雑に用いる本開示のトマト植物は、例えば、前記すすかび病抵抗性遺伝子座、および/または、前記すすかび病抵抗性遺伝子をホモ接合型で含むことが好ましい。
【0139】
本開示のトマト植物について、すすかび病抵抗性以外の特徴、例えば、形質的、生態的特徴等は、特に限定されない。
【0140】
本開示のトマト植物は、さらに、他の抵抗性を有してもよい。
【0141】
<すすかび病抵抗性トマト植物の部分>
別の態様において、本開示は、すすかび病に抵抗性を示すトマト植物の部分を提供する。本開示は、前記本開示のすすかび病抵抗性トマト植物の部分である。
【0142】
前記植物の部分は、例えば、植物細胞、植物プロトプラスト、植物体を再生可能な植物細胞培養物または組織培養物、植物カルス、植物塊(plant clumps)、植物または植物の部分から単離した植物細胞、分裂組織細胞(meristematic cell)、花、花弁、花芽、雌しべ、花冠、花粉、葉、葉柄、葉髄、子葉、子房(ovary)、胚、胚珠、胚軸、胚嚢、卵細胞、小胞子(microspore)、葯、雌しべ、花、子房(ovary)、挿し木、穂木(接ぎ穂)、台木、根、根の先端(根端)、種子、果実、幹、茎、苗等があげられる。前記植物の部分は、例えば、器官、組織、細胞または栄養繁殖体等があげられ、いずれでもよい。前記器官は、例えば、花弁、花冠、花、葉、種子、果実、茎、根等があげられる。前記組織は、例えば、前記器官の部分である。前記花粉は、成熟した花粉でも、未成熟の花粉でもよい。
【0143】
本開示の植物の部分は、例えば、本開示のトマト植物において、目的の部位を取得することにより製造できる。
【0144】
<すすかび病抵抗性トマト植物の生産方法>
別の態様において、本開示は、すすかび病に対して抵抗性を示す、トマト植物の生産方法を提供する。本開示のすすかび病抵抗性トマト植物の生産方法(以下、「生産方法」ともいう)は、下記(a)および(b)工程を含む。本開示の生産方法は、下記(a)の工程のみを含んでもよい。
【0145】
(a)前記本開示のすすかび病抵抗性トマト植物と、他のトマト植物とを交雑(交配)する工程;
(b)前記(a)工程より得られたトマト植物またはその後代系統から、すすかび病抵抗性トマト植物を選抜する工程。
【0146】
本開示の生産方法によれば、前記本開示のトマト植物を他のトマト植物と交雑することにより、得られた後代系統から、すすかび病に抵抗性を示すトマト植物を得ることができる。本開示の生産方法によれば、任意のトマト植物を用いて、すすかび病に対して抵抗性を示すトマト植物の品種を育種できる。このため、本開示の生産方法は、例えば、育種方法または育成方法ということもできる。
【0147】
本開示の生産方法において、前記すすかび病抵抗性マーカーの説明は、前記本開示のトマト植物におけるすすかび病抵抗性マーカーの説明、すなわち、前記(A)第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座、および前記(B)すすかび病抵抗性遺伝子の説明を援用できる。
【0148】
前記(a)工程において、第一の親として使用するすすかび病抵抗性トマト植物は、本開示のトマト植物であればよい。本開示のトマト植物は、例えば、前述の受託番号FERM P-22459で寄託されたトマト植物またはその後代系統が好ましい。前記(a)工程において、第一の親として使用するすすかび病抵抗性トマト植物は、例えば、後述する本開示のスクリーニング方法により得ることもできる。このため、前記すすかび病抵抗性トマト植物は、例えば、前記(a)工程に先立って、例えば、被検トマト植物から、下記(x)工程により選抜して準備してもよい。
(x)被検トマト植物から、前記本開示のすすかび病抵抗性トマト植物を選抜する工程。
【0149】
前記(x)工程において、前記すすかび病抵抗性トマト植物の選抜は、例えば、被検トマト植物のすすかび病抵抗性を、直接および/または間接的に評価(検出)し、前記すすかび病抵抗性トマト植物を選抜することにより実施できる。前記直接的な評価(検出)は、前述のすすかび病抵抗性の発病度を用いた評価方法の説明を援用できる。
【0150】
前記間接的評価により実施する場合、前記(x)工程では、例えば、前記すすかび病抵抗性マーカーの存在または不存在を指標として用いて、すすかび病抵抗性トマト植物を選抜できる。具体的には、前記(x)工程において、前記すすかび病抵抗性トマト植物の選抜は、前記すすかび病抵抗性マーカー、すなわち、前記(A)第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座、および/または前記(B)すすかび病抵抗性遺伝子を有するトマト植物の選抜ということができる。このため、前記(x)工程は、例えば、下記(x1)工程および(x2)工程により行うことができる。
【0151】
(x1)前記被検トマト植物の染色体上における、前記すすかび病抵抗性マーカーの有無を検出する検出工程
(x2)前記すすかび病抵抗性マーカーの存在により、前記被検トマト植物を、すすかび病抵抗性トマト植物として選抜する選抜工程
【0152】
前記(x)工程における前記選抜は、前述のように、例えば、前記すすかび病抵抗性マーカーを有するトマト植物の選抜であり、具体的には、前記被検トマト植物について、前記すすかび病抵抗性マーカーを検出することによって、前記抵抗性トマト植物を選抜できる。
【0153】
前記(x1)工程における前記抵抗性遺伝子座の検出は、例えば、前記本開示のトマト植物において説明したように、すすかび病抵抗性を付与するすすかび病抵抗性マーカー、すなわち、前記(A)第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座、および/または前記(B)すすかび病抵抗性遺伝子を有するトマト植物を検出することにより実施できる。前記(A)および(B)の検出については、後述する。
【0154】
前記(x2)工程では、例えば、一対の染色体における一方の染色体において前記すすかび病抵抗性マーカーが存在する場合に、前記被検トマト植物を、前記抵抗性トマト植物として選抜してもよいし、一対の染色体における両方の染色体において前記すすかび病抵抗性マーカーが存在する場合、前記被検トマト植物を、前記抵抗性トマト植物として選抜してもよいが、後者が好ましい。
【0155】
前記(x)工程における前記選抜について、以下の具体例をあげるが、本開示は、これらには限定されない。
【0156】
(A)すすかび病抵抗性遺伝子座
本開示の生産方法において、前記すすかび病抵抗性マーカーとして前記抵抗性遺伝子座を検出する場合、前記(x1)工程におけるすすかび病抵抗性マーカーの有無の検出は、前記抵抗性遺伝子座の有無の検出により実施できる。
【0157】
前記(x1)工程における前記抵抗性遺伝子座の検出は、例えば、前記すすかび病抵抗性遺伝子座を規定する、(1)前記SNPマーカー、(2)前記SNPマーカーを含む塩基配列、(3)前記2つのSNPマーカーの部位間の領域、およびこれらの組合せを用いて検出できる。具体的には、前記(x1)工程では、例えば、前記被検トマト植物の染色体上における、前記抵抗性遺伝子座と関連するSNP等の分子マーカーを検出し、得られた検出結果から前記すすかび病抵抗性遺伝子座の有無を検出する。
【0158】
(1)SNPマーカーによる特定
前記(x)工程における前記選抜は、例えば、SNP1およびSNP2の少なくとも一方のSNPマーカーで特定されるすすかび病抵抗性遺伝子座を有するトマト植物の選抜である。前記選択されるSNPマーカーは、特に制限されず、例えば、本開示のトマト植物における「(1)SNPマーカーによる特定」の説明を援用できる。
【0159】
(2)SNPマーカーを含む塩基配列による特定
前記(x)工程における前記選抜は、例えば、前記(a)および(b)の少なくとも一方のポリヌクレオチドで特定されるすすかび病抵抗性遺伝子座を有するトマト植物の選抜である。前記(a)および(b)のポリヌクレオチドは、例えば、本開示のトマト植物における「(2)SNPマーカーを含む塩基配列による特定」の説明を援用できる。
【0160】
(3)2つのSNPマーカーの部位間の領域による特定
前記(x)工程における選抜は、例えば、前記染色体における、SNP1およびSNP2の2つのSNPマーカーの部位間の領域の塩基配列を含むすすかび病抵抗性遺伝子座を有するトマト植物の選抜である。前記2つのSNPマーカーの部位間の領域の塩基配列は、例えば、本開示のトマト植物における「(3)2つのSNPマーカーの部位間の領域による特定」の説明を援用できる。
【0161】
具体例として、前記(x)工程における前記選抜は、例えば、前記染色体における、SNP1およびSNP2のSNPマーカーの部位間に座乗しているすすかび病抵抗性遺伝子座を有するトマト植物の選抜があげられる。
【0162】
前記2つのSNPマーカーの部位間の領域の塩基配列の有無により検出する場合、前記(x1)工程では、例えば、前記被検トマト植物のゲノム(ゲノムDNA)の塩基配列を解読する。ついで、前記(x1)工程では、得られた塩基配列と、前記寄託系統のゲノム(ゲノムDNA)の塩基配列と比較することにより、塩基配列が一致するか否かにより検出できる。前記塩基配列の解読は、例えば、被検トマト植物のゲノム(ゲノムDNA)を含む試料を含む試料と、シークエンス用試薬と、シークエンサーとを用いて実施できる。また、前記塩基配列の比較は、例えば、塩基配列の解析ソフト(例えば、前述のBLAST等)により実施できる。得られた塩基配列において、塩基配列を比較する領域は、前記2つのSNPマーカーの部位間の領域である。具体例として、前記(x1)工程での解読は、例えば、下記参考文献5を参照して、単分子シーケンサーを用いて実施し、スキャフォールディングを実施することにより決定できる。これにより、前記(x1)工程では、前記寄託系統における2つのSNPマーカーの部位間の領域の塩基配列と一致する、または前述の同一性を満たす塩基配列を有するトマト植物を、前記抵抗性遺伝子座を含む被検トマト植物として特定(同定または検出)できる。前記(x1)工程において、前記検出は、前記被検トマト植物の全ゲノムに対して実施してもよいし、一部のゲノムに対しても実施してもよい。また、前記検出は、全染色体に実施してもよいし、一部の染色体に対して実施してもよい。そして、前記(x2)工程では、例えば、前記抵抗性遺伝子座を含む被検トマト植物を、本開示のトマト植物またはその後代系統、すなわち、すすかび病抵抗性を示すトマト植物として選抜する。
参考文献5:Kenta Shirasawa et.al., “Chromosome-scale genome assembly of Eustoma grandiflorum, the first complete genome sequence in family Gentianaceae, Ryohei Arimoto”, bioRxiv 2021.09.09.459690; doi: https://doi.org/10.1101/2021.09.09.459690
【0163】
前記2つのSNPマーカーの部位間のゲノム領域の抵抗性遺伝子座を検出する場合、前記(x1)工程では、QTL解析により抵抗性遺伝子座の検出を行なってもよい。前記QTL解析によれば、前記被検トマト植物においてすすかび病抵抗性に寄与する染色体領域を特定できる。前記トマト植物におけるQTL解析の方法は、例えば、前記参考文献1を参照できる。そして、前記(x2)工程では、例えば、前記染色体における2つのSNP部位間の領域に前記抵抗性遺伝子座を含む被検トマト植物を、本開示のトマト植物またはその後代系統、すなわち、すすかび病抵抗性を示すトマト植物として選抜する。
【0164】
前記すすかび病抵抗性遺伝子座の有無を検出する染色体は、好ましくは、第1染色体である。
【0165】
(B)すすかび病抵抗性遺伝子
本開示の生産方法において、前記すすかび病抵抗性マーカーとして前記すすかび病抵抗性遺伝子を検出する場合、前記(x1)工程におけるすすかび病抵抗性マーカーの有無の検出は、前記すすかび病抵抗性遺伝子の有無の検出により実施できる。前記(x1)工程は、例えば、各遺伝子の塩基配列を指標に実施してもよいし、各遺伝子の発現量を指標に実施してもよい。
【0166】
各遺伝子の塩基配列を指標とする場合、前記(x1)工程において、前記各遺伝子検出は、例えば、前記被検トマト植物の各遺伝子の塩基配列を解読し、対応する遺伝子の塩基配列と比較することにより、実施できる。前記塩基配列の解読は、例えば、シークエンサーを用いて実施できる。そして、前記(x2)工程では、例えば、前記被検トマト植物の各遺伝子の塩基配列が、それぞれ、対応する遺伝子の塩基配列と一致する場合、前記すすかび病抵抗性トマト植物として選抜する。前記塩基配列の比較は、例えば、塩基配列の解析ソフト(例えば、前述のBLAST等)により実施できる。前記(x2)工程において、塩基配列を比較する対象は、例えば、前述の(Ra)、(Rb)、(Rc)、(Rd)、(Re)、(Rf)、および/または(Rg)のポリヌクレオチドを含む遺伝子があげられる。前記(x1)工程では、例えば、少なくとも1つの遺伝子を検出可能なプライマーセット、プローブ、またはこれらの組合せを用いて、実施してもよい。前記プライマーセットおよびプローブは、例えば、各遺伝子の塩基配列に基づき、公知の設計方法を用いて設計できる。
【0167】
各遺伝子の発現量を指標とする場合、前記(x1)工程において、前記各遺伝子の検出は、例えば、前記被検トマト植物の各遺伝子または各遺伝子がコードするタンパク質の機能を検出することにより実施してもよい。さらに、前記(x1)工程において、前記各遺伝子の検出は、例えば、前記被検トマト植物における各遺伝子もしくは各遺伝子がコードするタンパク質の発現の有無、または各遺伝子もしくは各遺伝子がコードするタンパク質の発現量を検出することにより実施してもよい。
【0168】
前記(x)工程において、前記各遺伝子もしくは各遺伝子がコードするタンパク質の発現に基づき、判断する場合、前記(x1)工程では、例えば、前記被検トマト植物の生体試料における各遺伝子および各遺伝子がコードするタンパク質の少なくも一方の発現量を測定する。そして、前記(x2)工程において、前記被検トマト植物の生体試料における各遺伝子および各遺伝子がコードするタンパク質の少なくも一方の発現量と、基準値とに基づき、前記各遺伝子について、すすかび病抵抗性トマト植物を選抜する。具体的には、前記(x2)工程では、前記被検トマト植物において、すすかび病抵抗性トマト植物の選抜は、例えば、前記被検トマト植物の生体試料における各遺伝子および各遺伝子がコードするタンパク質の少なくも一方の発現量と、前記基準値とを比較することにより実施できる。
【0169】
前記被検トマト植物の生体試料は、特に制限されず、例えば、前記被検トマト植物の植物個体および前記植物個体の部分のいずれでもよい。前記(x1)工程で使用する生体試料の種類は、例えば、1種類でもよいし、2種類以上でもよい。
【0170】
前記(x1)工程において、各遺伝子の発現量は、例えば、半定量的PCR、定量的PCR、ノーザンブロッティング、デジタルPCR、RNAシークエンス解析(RNAseq)等により測定できる。また、前記(x1)工程において、各遺伝子がコードするタンパク質の発現量は、例えば、紫外吸収法、ビシンコニン酸法等の分光光度計を用いた方法、ELISA、ウエスタンブロッティング等のタンパク質の定量方法により、測定できる。
【0171】
前記基準値は、例えば、前記すすかび病抵抗性トマト植物、好ましくは、前記寄託系統のトマト植物における各遺伝子または各遺伝子がコードするタンパク質の発現量、すすかび病罹病性トマト植物における各遺伝子または各遺伝子がコードするタンパク質の発現量等があげられる。前記基準値とする各遺伝子または各遺伝子がコードするタンパク質の発現量は、例えば、前記被検トマト植物の生体試料と同じ条件で採取した生体試料における各遺伝子または各遺伝子がコードするタンパク質の発現量を、前記被検トマト植物の生体試料と同様の方法で測定することにより、得ることができる。前記基準値は、例えば、予め測定してもよいし、前記被検トマト植物の生体試料と同時に測定してもよい。
【0172】
この場合、前記(x2)工程において、前記被検トマト植物がすすかび病抵抗性遺伝子を有しているかの評価方法は、特に制限されず、前記基準値の種類によって、適宜決定できる。具体例として、前記被検トマト植物の生体試料における各遺伝子の発現量が、すすかび病抵抗性トマト植物、好ましくは、前記寄託系統のトマト植物における対応する遺伝子の発現量と同じ場合(有意差がない場合)、前記遺伝子について、および/またはすすかび病罹病性トマト植物における遺伝子の発現量より高い場合、前記被検トマト植物は、例えば、前記遺伝子を有していると評価できる。そして、前記(x2)工程では、例えば、前記すすかび病抵抗性遺伝子を有していると評価されたトマト植物を、前記すすかび病抵抗性トマト植物として選抜する。
【0173】
前記(x1)工程および前記(x2)工程において、検出するすすかび病抵抗性トマト遺伝子は、特に制限されず、例えば、本開示のトマト植物における「(B)すすかび病抵抗性遺伝子」の説明を援用できる。
【0174】
前記すすかび病抵抗性遺伝子の有無を検出する染色体は、好ましくは、第1染色体である。
【0175】
本開示のトマト植物は、例えば、後述の付与方法により作出できる。このため、本開示の生産方法は、下記(y)工程を含んでもよい。下記(y)工程は、例えば、後述の本開示の付与方法の説明を援用できる。
(y)対象のトマト植物から本発明のすすかび抵抗性トマト植物を作出する工程(作出工程)
【0176】
また、前記(a)工程において、他方の親として使用するトマト植物は、特に制限されず、例えば、既知のすすかび病抵抗性を有するまたはすすかび病抵抗性を有さないトマト植物でもよいし、他の抵抗性を有するまたは有さないトマト植物でもよいし、前記本開示のすすかび病抵抗性トマト植物でもよい。
【0177】
前記(a)工程において、前記すすかび病抵抗性トマト植物と前記他のトマト植物との交雑方法は、特に制限されず、公知の方法が採用できる。
【0178】
前記(b)工程において、すすかび病抵抗性トマト植物を選抜する対象は、例えば、前記(a)工程より得られたトマト植物でもよいし、さらに、そのトマト植物から得られた後代系統でもよい。具体的に、前記対象は、例えば、前記(a)工程の交雑によって得られたF1のトマト植物でもよいし、その後代系統でもよい。前記後代系統は、例えば、前記(a)工程の交雑によって得られたF1のトマト植物の自殖交雑後代または戻し交雑後代でもよいし、前記F1のトマト植物と他のトマト植物とを交雑することによって得られたトマト植物であってもよい。
【0179】
前記(b)工程において、すすかび病抵抗性トマト植物の選抜は、例えば、すすかび病抵抗性を、直接的または間接的に確認することにより行うことができる。
【0180】
前記(b)工程において、前記直接的な確認は、得られた前記F1のトマト植物またはその後代系統について、例えば、すすかび病抵抗性を、前述の発病度によって評価することで行える。具体的には、例えば、前記F1のトマト植物またはその後代系統に対して、例えば、すすかび病菌を接種して、すすかび病抵抗性を、前述の発病度に基づき評価し、発病度が1以下の場合、耐病性、発病度が1を超える場合、罹病性と評価できる。この場合、例えば、前記所定の基準を満たす前記F1のトマト植物またはその後代系統を、すすかび病抵抗性トマト植物として選抜できる。
【0181】
また、前記(b)工程において、前記間接的な確認による選抜は、例えば、下記(b1)および(b2)工程によって行うことができる。
(b1)前記(a)工程より得られたトマト植物またはその後代系統について、染色体上における、すすかび病抵抗性マーカーの有無を検出する検出工程
(b2)前記すすかび病抵抗性マーカーの存在により、前記(a)工程により得られたトマト植物またはその後代系統を、すすかび病抵抗性トマト植物として選抜する選抜工程
【0182】
前記(b)工程におけるすすかび病抵抗性トマト植物の間接的な確認による選抜は、例えば、前記(x)工程において説明した方法と同様であり、前記すすかび病抵抗性マーカーの有無の検出によって、行うことができる。
【0183】
本開示の生産方法は、前記(b)工程において選抜されたすすかび病抵抗性トマト植物を、さらに育成することが好ましい。
【0184】
このように、前記すすかび病抵抗性が確認された前記トマト植物またはその後代系統を、すすかび病抵抗性トマト植物として選抜できる。
【0185】
本開示の生産方法は、さらに、交雑により得られた前記後代系統から、種子を採取する採種工程を含んでもよい。
【0186】
本開示の生産方法は、前記(a)工程および前記(b)工程を含むが、本開示はこれに限定されず、前記(a)工程のみを含んでもよい。この場合、前記(a)工程で用いる本開示のトマト植物は、前記抵抗性遺伝子座をホモ接合型で含むことが好ましい。
【0187】
<すすかび病抵抗性トマト植物のスクリーニング方法>
別の態様において、本開示は、すすかび病に対して抵抗性を示す、トマト植物をスクリーニングする方法を提供する。本開示のスクリーニング方法は、すすかび病抵抗性トマト植物のスクリーニング方法であって、被検トマト植物から、第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座、および/または、すすかび病抵抗性遺伝子を含むトマト植物を、すすかび病抵抗性トマト植物として選抜する選抜工程を含む。本開示のスクリーニング方法によれば、すすかび病に対して抵抗性を示す可能性があるトマト植物をスクリーニングできる。また、本開示のスクリーニング方法によれば、交雑によりすすかび病抵抗性トマト植物を生産するための親をスクリーニングすることができる。
【0188】
前記第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座を含むトマト植物を、すすかび病抵抗性トマト植物として選抜する場合、前記選抜工程では、例えば、前記すすかび病抵抗性遺伝子座を有する被検トマト植物を、すすかび病抵抗性トマト植物として選抜する。前記選抜は、例えば、前記本開示のすすかび病抵抗性トマト植物の生産方法における前記(x)工程の説明を援用できる。
【0189】
前記すすかび病抵抗性遺伝子を有するトマト植物を、すすかび病抵抗性トマト植物として選抜する場合、前記選抜工程では、例えば、すすかび病抵抗性遺伝子として、下記(Ra)~(Rf)、および(Rg)からなる群から選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む被検トマト植物を、すすかび病抵抗性トマト植物として選抜する。前記選抜は、例えば、前記本開示のすすかび病抵抗性トマト植物の生産方法における前記(x)工程の説明を援用できる。
【0190】
本開示のスクリーニング方法において、前記選抜工程は、前記(x)工程または前記(x1)工程の間接的な選抜(間接的な評価を用いた選抜)の説明を援用できる。
【0191】
<トマト植物のすすかび病抵抗性の検出方法>
別の態様において、本開示は、トマト植物におけるすすかび病に対する抵抗性を検出する方法を提供する。本開示の検出方法は、トマト植物のすすかび病抵抗性の検出方法であって、被検トマト植物の第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座、および/または、すすかび病抵抗性遺伝子を検出する検出工程を含む。本開示の検出方法によれば、対象のトマト植物がすすかび病に対して抵抗性を示すかを検出できる。本開示のトマト植物のすすかび病抵抗性の検出方法は、例えば、トマト植物におけるすすかび病抵抗性のスクリーニング方法ということもできる。
【0192】
前記すすかび病抵抗性トマト植物の検出は、例えば、前記本開示のすすかび病抵抗性トマト植物の生産方法における前記(x)工程の間接的な選抜、すなわち、前記(x1)工程の説明を援用できる。
【0193】
<トマト植物へのすすかび病抵抗性の付与方法>
別の態様において、本開示は、トマト植物に、すすかび病の抵抗性を付与する方法を提供する。本開示のトマト植物へのすすかび病抵抗性の付与方法は、第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座、および/または、すすかび病抵抗性遺伝子を、トマト植物に導入する導入工程を含むことを特徴とする。本開示の付与方法によれば、前記第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座、および/または、すすかび病抵抗性遺伝子、すなわち、前記本開示のすすかび病抵抗性マーカーを導入することにより、トマト植物にすすかび病抵抗性を付与できる。
【0194】
前記導入工程において、前記第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座、および/または、すすかび病抵抗性遺伝子の導入方法は、特に制限されない。前記導入方法は、例えば、前記抵抗性トマト植物と交雑または胚培養、従来公知の遺伝子工学的手法があげられる。導入する前記抵抗性遺伝子座、および、すすかび病抵抗性遺伝子は、前述の抵抗性遺伝子座、および、すすかび病抵抗性遺伝子が例示できる。前記抵抗性トマト植物との交雑により導入する場合、前記抵抗性トマト植物は、例えば、前記抵抗性遺伝子座をホモ接合型で含むことが好ましい。
【0195】
すすかび病抵抗性遺伝子を導入する場合、前記導入工程は、これらを含む発現ベクターおよび/または人工染色体を導入することにより実施してもよい。前記発現ベクターおよび人工染色体は、例えば、ポリエチレングリコール法、電気穿孔法(エレクトロポレーション法)、アグロバクテリウムを介する方法、パーティクルガン法等により、対象のトマト植物に導入できる。前記対象のトマト植物は、例えば、植物細胞、カルス、植物組織、および植物個体のいずれでもよい。
【0196】
すすかび病抵抗性遺伝子を導入する場合、前記導入工程は、これらを含む核酸(ドナー核酸)およびゲノム編集ユニットを導入することにより実施してもよい。この場合、前記核酸の5’端には、前記核酸を導入する染色体における導入位置の5’端側の塩基配列と相同性を有する5’ホモロジーアームが配置され、前記核酸の3’端には、前記核酸を導入する染色体における導入位置の3’端側の塩基配列と相同性を有する3’ホモロジーアームが配置される。また、前記ゲノム編集ユニットシステムは、前記導入位置を切断可能に構成される。これにより、前記導入工程後、導入されたトマト植物では、前記導入位置で、ゲノムDNAの切断が生じ、相同組み換えにより前記核酸が染色体に組込むことができる。前記導入位置は、2箇所としてもよい。この場合、前記導入位置は、前記核酸を導入する染色体において、塩基配列の交換を行なう上流端と、下流端とに設計できる。また、前記5’ホモロジーアームは、上流端の導入位置の5’端側の塩基配列と相同性を有し、前記3’ホモロジーアームは、下流端の導入位置の3’端側の塩基配列と相同性を有するように設計できる。前記導入位置を2箇所とすることにより、前記染色体における2つの導入位置間の領域が切り出され、これに代えて、前記核酸を導入することができる。
【0197】
前記ゲノム編集ユニットは、例えば、ZFN(Zinc Finger Nuclease)、TALEN(Transcription Activator‐Like Effector Nuclease)、CRISPR-CASシステム等があげられる。前記CRISPR-CASシステムは、例えば、ガイド鎖およびCRISPR(Clustered Regularly Interspaced Short Palindromic Repeats)酵素を含む。前記CRISPR酵素は、例えば、Cas1、Cas1B、Cas2、Cas3、Cas4、Cas5、Cas6、Cas7、Cas8、Cas9、Cas10、Csy1、Csy2、Csy3、Cse1、Cse2、Csc1、Csc2、Csa5、Csn2、Csm2、Csm3、Csm4、Csm5、Csm6、Cmr1、Cmr3、Cmr4、Cmr5、Cmr6、Csb1、Csb2、Csb3、Csx17、Csx14、Csx10、Csx16、CsaX、Csx3、Csx1、Csx15、Csf1、Csf2、Csf3、Csf4等があげられる。前記核酸は、例えば、crRNAおよびtracrRNA、またはこれらがリンカーを介して連結された一本鎖核酸があげられる。この場合、前記核酸は、例えば、crRNAにおける標的配列とアニールする塩基配列を、前記標的配列をコードする塩基配列と相補的な塩基配列に設計する。
【0198】
前記核酸(ドナー核酸)およびゲノム編集ユニットは、例えば、ポリエチレングリコール法、電気穿孔法(エレクトロポレーション法)、アグロバクテリウムを介する方法、パーティクルガン法等により、対象のトマト植物に導入できる。前記対象のトマト植物は、例えば、植物細胞、カルス、植物組織、および植物個体のいずれでもよい。
【0199】
前記導入工程において、前記発現ベクター、前記人工染色体、または前記核酸を導入する場合、本開示の付与方法は、さらに、前記発現ベクター、前記人工染色体、または前記核酸が導入されたトマト植物を選抜する選抜工程を含んでもよい。この場合、前記選抜は、例えば、導入された発現ベクター、人工染色体、または核酸を検出し、前記発現ベクター、人工染色体、または核酸が検出されたトマト植物を選抜することにより実施できる。
【0200】
<トマト植物のすすかび病抵抗性マーカー>
ある態様において、本開示は、トマト植物におけるすすかび病抵抗性の指標として使用可能なマーカーを提供する。本開示のマーカーは、トマト植物のすすかび病抵抗性マーカーであって、第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座、および/または、すすかび病抵抗性遺伝子を含む。本開示のマーカーによれば、すすかび病抵抗性の有無を検出できる。
【実施例0201】
以下、実施例を用いて本開示を詳細に説明するが、本発明は実施例に記載された態様に限定されるものではない。
【0202】
[実施例1]
新規なすすかび病抵抗性トマト植物について、すすかび病菌に対して抵抗性を示すことを確認した。また、前記すすかび病抵抗性トマト植物における新規なすすかび病抵抗性遺伝子座の特定を行った。
【0203】
トマト植物において、すすかび病菌(Pseudocercospora fuligena)に抵抗性を持つ植物を選抜するために、すすかび病菌を用いて接種試験を行った。具体的には、すすかび病の接種試験は、以下のように行った。
【0204】
(1)供試植物
すすかび病抵抗性を示す新規トマト植物を開発するために、タキイ種苗株式会社農場で継代育種により採取された大量のトマト系統の種子について、育種を行い、すすかび病抵抗性の試験を行った。具体的には、接種に供試するトマト植物は、TM-1無肥培土(タキイ種苗株式会社)を詰めた200穴セルトレイに播種し、約2週間育苗した。前記育苗後、前記トマト植物は、果菜用培土を詰めた55穴セルトレイに移植した。
【0205】
(2)接種試験
すすかび病菌(Pseudocercospora fuligena)は、岐阜県の農業試験所より譲渡された菌株を使用した。
【0206】
V8寒天培地において、25℃の条件下、14日間培養した。前記培養後、前記培養した菌糸を水に懸濁し、2重ガーゼでろ過し、胞子濃度を1×10胞子/mlに調整した。その後、前記調整した胞子を接種源とし、接種試験に供試した。また、前記供試試験に供試するトマト植物は、前記実施例1(1)で得たトマト植物を用いた。前記接種試験は、実施例1(1)で苗を移植した当日に、前記接種源を噴霧し、前記噴霧後、25℃、12時間日長の条件下で、3週間生育させた。前記生育後に発病調査を行った。
【0207】
発病調査は、発病指数を、倍率100倍の光学顕微鏡で接種葉の発病部位を観察した場合、1視野当たりの胞子形成について、以下の基準にしたがって評価することにより実施した。

発病指数0:胞子形成が見られない。
発病指数1:胞子形成が数個(9個以下)見られる。
発病指数2:胞子形成が10-20個見られる。
発病指数3:胞子形成が21個以上見られる。
【0208】
そして、各個体について、それぞれ、前記基準に従って発病指数を調査し、下記式より、各系統の発病度を求めた。
発病度(N)=[(0×n)+(1×n)+(2×n)+(3×n)]/調査個体数
前記式において、「0、1、2、3、4」は、それぞれ発病指数を示し、「n、n、n、n」は、それぞれ、発病指数0、発病指数1、発病指数2、および発病指数3の個体数を示す。
【0209】
(3)寄託系統の確立
前記接種試験を行った結果、高度なすすかび病抵抗性を示す、新規なすすかび病抵抗性トマト系統を得た。以下、このすすかび病抵抗性トマト植物を親系統という。前記親系統について、雌親として、すすかび病感受性トマト植物「桃太郎ホープ」(タキイ種苗株式会社)と3回戻し交雑した(BC3)。得られたBC3について、前記接種試験を実施し、高度なすすかび病抵抗性を示すトマト系統を得た。得られたトマト系統について、自殖を3回実施した(BC3F3)。得られたすすかび病抵抗性のトマト系統(BC3F3)は、受託番号FERM P-22459で寄託した。以下、前記親系統を、寄託系統ともいう。
【0210】
(4)抵抗性遺伝子座の特定
すすかび病抵抗性を持つ前記寄託系統と、雌親として、すすかび病感受性トマト植物「桃太郎ホープ」(タキイ種苗株式会社)とを交雑して、F1世代を取得した。つぎに、前記F1世代を自殖することにより、F2世代の種子を得た。前記F2世代3000個体から、SNPマーカーにより選抜した。さらに、選抜した前記F2世代の個体について、接種試験を行った。具体的には、接種試験の供試植物に前記F2世代の個体を用いた以外は、前記実施例1(2)の接種試験と同様にして、接種試験を実施した。前記接種試験において、すすかび病菌(Pseudocercospora fuligena)抵抗性の表現型を示した個体を取得した。前記取得により、すすかび病菌(Pseudocercospora fuligena)抵抗性遺伝子は、公知の参照配列Heinz1706(SL3.0)を用いた場合において、第1染色体上の678,023bp(solcap_snp_sl_24797)と1,337,393bp(solcap_snp_sl_60360)の間の領域に座乗していることが強く示唆された。また、この遺伝子座に座乗するすすかび病抵抗性遺伝子をBlmと命名した。
【0211】
【表1】
【0212】
つぎに、前記F1世代の個体に、雌親として、「桃太郎ホープ」を4回戻し交雑した。前記交雑後、すすかび病抵抗性遺伝子座以外の染色体が全て「桃太郎ホープ」に置換した植物体をゲノムワイドに設定したSNPマーカーにより選抜した。前記選抜個体を2回自殖することにより、すすかび病抵抗性遺伝子座を固定した植物系統Bを作出した。
【0213】
前記植物系統Bについて、単分子シーケンサー(Pacbioシーケンサー)を用いて、全ゲノム解読を行った。前記全ゲノム解読の結果に基づき、de novoアセンブリにより、疑似染色体を構築した。前記類似染色体から得られた配列情報をもとに、表1の2つのSNPマーカー1~2(配列番号17~18)を前述の参考文献6~8に基づき設計し、得られた2つのSNPマーカーを用いて、1144個体から5個体の遺伝的組換えが生じた個体を選抜した。前記選抜後、それぞれを自殖することにより、5系統の自殖系統種子(F3)を取得した。さらに、選抜した前記5系統の個体のF3系統(系統3~7)、前記寄託系統(系統1)および前記すすかび病感受性トマト植物(系統2)について、前述と同様にして接種試験を行った。具体的には、接種試験の供試植物に前記5系統の個体を用いた以外は、前記実施例1(2)の接種試験と同様にして、接種試験を実施した。そして、得られた接種結果に基づき、各系統について、抵抗性のホモな集団、罹病性(感受性)のホモな集団、または抵抗性/罹病性の個体が分離した集団かを評価した。これらの結果を下記表2に示す。
【0214】
【表2】
【0215】
前記表2は、前記F3系統の親系統(植物系統B)における各SNPの遺伝型と、F3系統の接種試験の結果を示す。前記表2の各SNPにおいて、Rは、抵抗性の多型をホモ接合型で含むことを示し、Hは、抵抗性の多型と、罹病性の多型とをヘテロ接合型で含むことを示し、Sは、罹病性の多型をホモ接合型で含むことを示す。前記表2に示すように、前記接種試験の結果から、前記Blmは、SNP1およびSNP2間に座乗していることがわかった。また、前記Blmは、特に、SNP1と特に強く連鎖していることがわかった。また、SNP1およびSNP2間の外側の領域に7つSNP(SNP1とsolcap_snp_sl_24797との間:4つのSNP、SNP2とsolcap_snp_sl_60360との間:3つのSNP)を前述の参考文献6~8に基づき設計した。そして、SNP1-2および外側のSNPを組合せて、系統1~7のF3系統の表現系と比較検討を行った場合も、同様に、前記Blmは、SNP1-2間に座乗していることが確認できた。
【0216】
次に、SNP1およびSNP2の間の塩基配列(系統A(寄託系統))を、Heinz1706(系統B)、LA1589(系統C、S.pimpinellifolium)、LA2093(系統D、S.pimpinellifolium)、LA0716(系統E、S.penellii)、AJ002235.1(系統F、葉かび病抵抗性遺伝子(Cf-4)を保有:S.habrochaites由来)、およびAJ002236.1(系統G、葉かび病抵抗性遺伝子(Cf-9)を保有:S.pimpinellifolium由来)と比較した。なお、LRR遺伝子は、一般的に、植物の病害抵抗性に寄与する遺伝子として知られている遺伝子である。そこで、各系統について、SNP1およびSNP2の間の塩基配列からLRR遺伝子の座乗位置を特定した。これらの結果を図1に示す。
【0217】
図1は、Blmの候補の領域を比較したグラフである。図1において、横軸は、染色体の位置を示し、図の左端がSNP1に対応し、図の右端がSNP2に対応し、縦軸は、個体の種類を示す。図1において、矢印は、LRR遺伝子が座乗する位置を示す。図1に示すように、新規のすすかび病抵抗性遺伝子座では、LRR遺伝子が7遺伝子座乗しているのに対して、その他の系統では、LRR遺伝子は、1~5遺伝子座乗しており、座乗しているLRR遺伝子の数が異なった。また、図1に示すように、SNP1およびSNP2間の塩基配列は、各系統間で大きく異なり、寄託系統に由来するBlmが座乗するすすかび病抵抗性遺伝子座は、新規なすすかび病抵抗性遺伝子座であることが確認された。なお、系統AのSNP1およびSNP2間の塩基配列を、他の系統と比較すると、系統Gと最も塩基配列の相同性が高かった。また、前記、寄託系統に由来するBlmが座乗する塩基配列と、系統G(AJ002236.1)の塩基配列とを比較すると、同一性は、46.87%であり、SNP1およびSNP2間の塩基配列は、寄託系統およびその他の系統との間で大きく異なった。
【0218】
(5)市販品種のSNPの分析
新規なすすかび病抵抗性トマト植物が有する抵抗性遺伝子座について、他のトマト植物が有していないことを確認した。
【0219】
下記表2の市販品種を含む各トマト植物について、前記すすかび病抵抗性遺伝子に強く連鎖したSNP1を用いて、すすかび病抵抗性を検出できるかの検討を行った。これらの結果を下記表3に示す。下記表3において、Sは、罹病性のSNPを保有することを示し、Rは、抵抗性のSNPを保有することを示す。下記表3に示すように、各トマト植物はいずれもBlmとは異なる遺伝子型を有しており、SNP1がBlm特異的なSNPであることがわかった。
【0220】
【表3】
【0221】
以上のことから、寄託系統を第1の親とし、すすかび病抵抗性を持たないトマト植物を第2の親として交配することによって、すすかび病菌(Pseudocercospora fuligena)抵抗性をもつトマト植物を得ることができることがわかった。さらに、Blmに強く連鎖する前記SNPを検出するプライマーセットを用いること、および/またはBlm遺伝子を含む配列を検出して選抜することで、本開示のすすかび病抵抗性トマト植物を選抜できることがわかった。
【0222】
以上、実施形態および実施例を参照して本開示を説明したが、本開示は、上記実施形態および実施例に限定されるものではない。本開示の構成や詳細には、本開示のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0223】
<付記>
<すすかび病抵抗性トマト植物>
(付記1)
第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座を含む、すすかび病抵抗性トマト植物。
(付記2)
前記すすかび病抵抗性遺伝子座は、SNP1およびSNP2の少なくとも一方のSNPマーカーで特定される、付記1に記載のトマト植物。
(付記3)
前記すすかび病抵抗性遺伝子座は、前記SNP1およびSNP2のSNPマーカーで特定される、付記2に記載のトマト植物。
(付記4)
前記すすかび病抵抗性遺伝子座は、下記(a)および(b)の少なくとも一方のポリヌクレオチドで特定される、付記1から3のいずれかに記載のトマト植物:
(a)下記(a1)、(a2)、または(a3)のポリヌクレオチド:
(a1)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(a2)前記(a1)の51番目の塩基(A)が保存され、前記(a1)の塩基配列において、1~10個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(a3)前記(a1)の51番目の塩基(A)が保存され、前記(a1)の塩基配列に対して90%以上の同一性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b)下記(b1)、(b2)、または(b3)のポリヌクレオチド:
(b1)配列番号2の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b2)前記(b1)の51番目の塩基(C)が保存され、前記(b1)の塩基配列において、1~10個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b3)前記(b1)の51番目の塩基(C)が保存され、前記(b1)の塩基配列に対して90%以上の同一性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチド。
(付記5)
前記すすかび病抵抗性遺伝子座は、前記(a)および(b)のポリヌクレオチドで特定される、付記4に記載のトマト植物。
(付記6)
前記すすかび病抵抗性遺伝子座は、前記染色体における、SNP1およびSNP2のSNPマーカーの部位間の領域に座乗している、付記1から5のいずれかに記載のトマト植物。
(付記7)
前記すすかび病抵抗性遺伝子座は、受託番号FERM P-22459で特定されるトマト植物のすすかび病抵抗性遺伝子座に存在するすすかび病抵抗性遺伝子座である、付記1から6のいずれかに記載のトマト植物。
<すすかび病抵抗性遺伝子による特定>
(付記8)
すすかび病抵抗性遺伝子として、下記(Ra)~(Rf)および(Rg)からなる群から選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む、付記1から7のいずれかに記載のトマト植物:
(Ra)下記(Ra1)~(Ra7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Ra1)配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Ra2)前記(Ra1)の塩基配列において、1~259個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra3)前記(Ra1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra4)前記(Ra1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra5)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Ra6)配列番号4のアミノ酸配列において、1~86個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra7)配列番号4のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb)下記(Rb1)~(Rb7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rb1)配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rb2)前記(Rb1)の塩基配列において、1~259個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb3)前記(Rb1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb4)前記(Rb1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb5)配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rb6)配列番号6のアミノ酸配列において、1~86個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb7)配列番号6のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc)下記(Rc1)~(Rc7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rc1)配列番号7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rc2)前記(Rc1)の塩基配列において、1~136個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc3)前記(Rc1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc4)前記(Rc1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc5)配列番号8のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rc6)配列番号8のアミノ酸配列において、1~45個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc7)配列番号8のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd)下記(Rd1)~(Rd7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rd1)配列番号9の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rd2)前記(Rd1)の塩基配列において、1~122個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd3)前記(Rd1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd4)前記(Rd1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd5)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rd6)配列番号10のアミノ酸配列において、1~40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd7)配列番号10のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re)下記(Re1)~(Re7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Re1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Re2)前記(Re1)の塩基配列において、1~136個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re3)前記(Re1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re4)前記(Re1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re5)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Re6)配列番号12のアミノ酸配列において、1~45個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re7)配列番号12のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf)下記(Rf1)~(Rf7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rf1)配列番号13の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rf2)前記(Rf1)の塩基配列において、1~259個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf3)前記(Rf1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf4)前記(Rf1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf5)配列番号14のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rf6)配列番号14のアミノ酸配列において、1~86個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf7)配列番号14のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg)下記(Rg1)~(Rg7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rg1)配列番号15の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rg2)前記(Rg1)の塩基配列において、1~258個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg3)前記(Rg1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg4)前記(Rg1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg5)配列番号16のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rg6)配列番号16のアミノ酸配列において、1~86個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg7)配列番号16のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド。
(付記9)
前記すすかび病抵抗性遺伝子として、前記(Ra)~(Rf)および(Rg)のポリヌクレオチドを含む、付記8に記載のトマト植物。
(付記10)
前記すすかび病抵抗性トマト植物は、受託番号FERM P-22459で特定されるトマト植物の種子から得られるトマト植物またはその後代系統である、付記1から9のいずれかに記載のトマト植物。
<すすかび病抵抗性トマト植物の部分>
(付記11)
付記1から10のいずれかに記載のすすかび病抵抗性トマト植物の部分。
(付記12)
前記植物の部分が、種子である、付記11に記載の植物の部分。
<すすかび病抵抗性トマト植物の生産方法>
(付記13)
下記(a)および(b)工程を含むことを特徴とする、すすかび病抵抗性トマト植物の生産方法:
(a)付記1から10のいずれかに記載のすすかび病抵抗性トマト植物と、他のトマト植物とを交雑する工程;
(b)前記(a)工程より得られたトマト植物またはその後代系統から、すすかび病抵抗性トマト植物を選抜する工程。
(付記14)
前記(a)工程に先立って、下記(x)工程を含む、付記13に記載の生産方法:
(x)被検トマト植物から、付記1から10のいずれかに記載のすすかび病抵抗性トマト植物を選抜する工程。
(付記15)
前記(x)工程における前記選抜が、第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座を含むすすかび病抵抗性トマト植物の選抜である、付記14に記載の生産方法。
(付記16)
前記(x)工程における前記選抜が、SNP1およびSNP2の少なくとも一方のSNPマーカーで特定されるすすかび病抵抗性遺伝子座を有するすすかび病抵抗性トマト植物の選抜である、付記15に記載の生産方法。
(付記17)
前記選抜が、SNP1およびSNP2のSNPマーカーで特定されるすすかび病抵抗性遺伝子座を有するすすかび病抵抗性トマト植物の選抜である、付記16に記載の生産方法。
(付記18)
前記(x)工程における前記選抜が、下記(a)および(b)の少なくとも一方のポリヌクレオチドで特定されるすすかび病抵抗性遺伝子座を有するすすかび病抵抗性トマト植物の選抜である、付記14から17のいずれかに記載の生産方法:
(a)下記(a1)、(a2)、または(a3)のポリヌクレオチド:
(a1)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(a2)前記(a1)の51番目の塩基(A)が保存され、前記(a1)の塩基配列において、1~10個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(a3)前記(a1)の51番目の塩基(A)が保存され、前記(a1)の塩基配列に対して90%以上の同一性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b)下記(b1)、(b2)、または(b3)のポリヌクレオチド:
(b1)配列番号2の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b2)前記(b1)の51番目の塩基(C)が保存され、前記(b1)の塩基配列において、1~10個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b3)前記(b1)の51番目の塩基(C)が保存され、前記(b1)の塩基配列に対して90%以上の同一性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチド。
(付記19)
前記選抜が、前記(a)および(b)のポリヌクレオチドで特定されるすすかび病抵抗性遺伝子座を有するすすかび病抵抗性トマト植物の選抜である、付記18に記載の生産方法。
(付記20)
前記(x)工程の選抜は、すすかび病抵抗性遺伝子として、下記(Ra)~(Rf)および(Rg)からなる群から選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む、すすかび病抵抗性トマト植物の選抜である、付記14から19のいずれかに記載の生産方法:
(Ra)下記(Ra1)~(Ra7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Ra1)配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Ra2)前記(Ra1)の塩基配列において、1~259個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra3)前記(Ra1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra4)前記(Ra1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra5)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Ra6)配列番号4のアミノ酸配列において、1~86個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra7)配列番号4のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb)下記(Rb1)~(Rb7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rb1)配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rb2)前記(Rb1)の塩基配列において、1~259個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb3)前記(Rb1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb4)前記(Rb1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb5)配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rb6)配列番号6のアミノ酸配列において、1~86個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb7)配列番号6のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc)下記(Rc1)~(Rc7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rc1)配列番号7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rc2)前記(Rc1)の塩基配列において、1~136個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc3)前記(Rc1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc4)前記(Rc1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc5)配列番号8のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rc6)配列番号8のアミノ酸配列において、1~45個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc7)配列番号8のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd)下記(Rd1)~(Rd7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rd1)配列番号9の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rd2)前記(Rd1)の塩基配列において、1~122個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd3)前記(Rd1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd4)前記(Rd1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd5)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rd6)配列番号10のアミノ酸配列において、1~40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd7)配列番号10のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re)下記(Re1)~(Re7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Re1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Re2)前記(Re1)の塩基配列において、1~136個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re3)前記(Re1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re4)前記(Re1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re5)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re7)配列番号12のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf)下記(Rf1)~(Rf7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rf1)配列番号13の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rf2)前記(Rf1)の塩基配列において、1~259個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf3)前記(Rf1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf4)前記(Rf1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf5)配列番号14のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rf6)配列番号14のアミノ酸配列において、1~86個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf7)配列番号14のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg)下記(Rg1)~(Rg7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rg1)配列番号15の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rg2)前記(Rg1)の塩基配列において、1~258個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg3)前記(Rg1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg4)前記(Rg1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg5)配列番号16のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rg6)配列番号16のアミノ酸配列において、1~86個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg7)配列番号16のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド。
(付記21)
前記(x)工程における選抜は、前記すすかび病抵抗性遺伝子として、前記(Ra)~(Rf)および(Rg)のポリヌクレオチドを含む、すすかび病抵抗性トマト植物の選抜である、付記20に記載の生産方法。
(付記22)
前記(b)工程における前記選抜が、第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座を含むすすかび病抵抗性トマト植物の選抜である、付記13から21のいずれかに記載の生産方法。
(付記23)
前記(b)工程における前記選抜が、SNP1およびSNP2の少なくとも一方のSNPマーカーで特定されるすすかび病抵抗性遺伝子座を有するすすかび病抵抗性トマト植物の選抜である、付記22に記載の生産方法。
(付記24)
前記選抜が、SNP1およびSNP2のSNPマーカーで特定されるすすかび病抵抗性遺伝子座を有するすすかび病抵抗性トマト植物の選抜である、付記23に記載の生産方法。
(付記25)
前記(b)工程における前記選抜が、下記(a)および(b)の少なくとも一方のポリヌクレオチドで特定されるすすかび病抵抗性遺伝子座を有するすすかび病抵抗性トマト植物の選抜である、付記13から24のいずれかに記載の生産方法:
(a)下記(a1)、(a2)、または(a3)のポリヌクレオチド:
(a1)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(a2)前記(a1)の51番目の塩基(A)が保存され、前記(a1)の塩基配列において、1~10個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(a3)前記(a1)の51番目の塩基(A)が保存され、前記(a1)の塩基配列に対して90%以上の同一性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b)下記(b1)、(b2)、または(b3)のポリヌクレオチド:
(b1)配列番号2の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b2)前記(b1)の51番目の塩基(C)が保存され、前記(b1)の塩基配列において、1~10個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b3)前記(b1)の51番目の塩基(C)が保存され、前記(b1)の塩基配列に対して90%以上の同一性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチド。
(付記26)
前記選抜が、前記(a)および(b)のポリヌクレオチドで特定されるすすかび病抵抗性遺伝子座を有するすすかび病抵抗性トマト植物の選抜である、付記26に記載の生産方法。
(付記27)
前記(b)工程の選抜は、すすかび病抵抗性遺伝子として、下記(Ra)~(Rf)および(Rg)からなる群から選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む、すすかび病抵抗性トマト植物の選抜である、付記14から27のいずれかに記載の生産方法:
(Ra)下記(Ra1)~(Ra7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Ra1)配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Ra2)前記(Ra1)の塩基配列において、1~259個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra3)前記(Ra1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra4)前記(Ra1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra5)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Ra6)配列番号4のアミノ酸配列において、1~86個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra7)配列番号4のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb)下記(Rb1)~(Rb7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rb1)配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rb2)前記(Rb1)の塩基配列において、1~259個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb3)前記(Rb1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb4)前記(Rb1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb5)配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rb6)配列番号6のアミノ酸配列において、1~86個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb7)配列番号6のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc)下記(Rc1)~(Rc7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rc1)配列番号7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rc2)前記(Rc1)の塩基配列において、1~136個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc3)前記(Rc1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc4)前記(Rc1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc5)配列番号8のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rc6)配列番号8のアミノ酸配列において、1~45個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc7)配列番号8のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd)下記(Rd1)~(Rd7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rd1)配列番号9の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rd2)前記(Rd1)の塩基配列において、1~122個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd3)前記(Rd1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd4)前記(Rd1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd5)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rd6)配列番号10のアミノ酸配列において、1~40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd7)配列番号10のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re)下記(Re1)~(Re7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Re1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Re2)前記(Re1)の塩基配列において、1~136個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re3)前記(Re1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re4)前記(Re1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re5)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re7)配列番号12のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf)下記(Rf1)~(Rf7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rf1)配列番号13の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rf2)前記(Rf1)の塩基配列において、1~259個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf3)前記(Rf1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf4)前記(Rf1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf5)配列番号14のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rf6)配列番号14のアミノ酸配列において、1~86個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf7)配列番号14のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg)下記(Rg1)~(Rg7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rg1)配列番号15の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rg2)前記(Rg1)の塩基配列において、1~258個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg3)前記(Rg1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg4)前記(Rg1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg5)配列番号16のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rg6)配列番号16のアミノ酸配列において、1~86個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg7)配列番号16のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド。
(付記28)
前記(b)工程における選抜は、前記すすかび病抵抗性遺伝子として、前記(Ra)~(Rf)および(Rg)のポリヌクレオチドを含む、すすかび病抵抗性トマト植物の選抜である、付記27に記載の生産方法。
<トマト植物へのすすかび病抵抗性の付与方法>
(付記29)
第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座、および/または、すすかび病抵抗性遺伝子を、トマト植物に導入する導入工程を含むことを特徴とする、トマト植物へのすすかび病抵抗性の付与方法。
(付記30)
付記1から7のいずれかに記載のすすかび病抵抗性トマト植物と交雑することにより、付記1から7のいずれかに記載の第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座を導入する、付記29に記載の付与方法。
(付記31)
付記8または9に記載のすすかび病抵抗性トマト植物と交雑することにより、前記すすかび病抵抗性遺伝子として、付記8または9に記載のポリヌクレオチドを導入する、付記30または31に記載の付与方法。
(付記32)
付記11に記載のすすかび病抵抗性トマト植物と交雑することにより、前記第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座を、前記トマト植物に導入する、付記29から31のいずれかに記載の付与方法。
<すすかび病抵抗性の検出方法>
(付記33)
トマト植物のすすかび病抵抗性の検出方法であって、
被検トマト植物について、第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座、および/または、すすかび病抵抗性遺伝子を検出する検出工程を含む、方法。
(付記34)
前記検出工程において、前記被検トマト植物について、SNP1およびSNP2の少なくとも一方のSNPマーカーで特定される前記すすかび病抵抗性遺伝子座を検出する、付記33に記載の方法。
(付記35)
前記検出工程において、前記被検トマト植物について、SNP1およびSNP2のSNPマーカーで特定されるすすかび病抵抗性遺伝子座を検出する、付記34に記載の方法。
(付記36)
前記検出工程において、前記被検トマト植物について、下記(a)および(b)の少なくとも一方のポリヌクレオチドで特定されるすすかび病抵抗性遺伝子座を検出する、付記33から35のいずれかに記載の生産方法:
(a)下記(a1)、(a2)、または(a3)のポリヌクレオチド:
(a1)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(a2)前記(a1)の51番目の塩基(A)が保存され、前記(a1)の塩基配列において、1~10個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(a3)前記(a1)の51番目の塩基(A)が保存され、前記(a1)の塩基配列に対して90%以上の同一性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b)下記(b1)、(b2)、または(b3)のポリヌクレオチド:
(b1)配列番号2の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b2)前記(b1)の51番目の塩基(C)が保存され、前記(b1)の塩基配列において、1~10個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b3)前記(b1)の51番目の塩基(C)が保存され、前記(b1)の塩基配列に対して90%以上の同一性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチド。
(付記37)
前記検出工程において、前記被検トマト植物について、前記(a)および(b)のポリヌクレオチドで特定されるすすかび病抵抗性遺伝子座を検出する、付記36に記載の生産方法。
(付記38)
前記検出工程において、前記被検トマト植物について、下記(Ra)~(Rf)および(Rg)からなる群から選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む、前記すすかび病抵抗性遺伝子を検出する、付記33から37のいずれかに記載の方法:
(Ra)下記(Ra1)~(Ra7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Ra1)配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Ra2)前記(Ra1)の塩基配列において、1~259個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra3)前記(Ra1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra4)前記(Ra1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra5)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Ra6)配列番号4のアミノ酸配列において、1~86個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra7)配列番号4のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb)下記(Rb1)~(Rb7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rb1)配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rb2)前記(Rb1)の塩基配列において、1~259個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb3)前記(Rb1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb4)前記(Rb1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb5)配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rb6)配列番号6のアミノ酸配列において、1~86個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb7)配列番号6のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc)下記(Rc1)~(Rc7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rc1)配列番号7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rc2)前記(Rc1)の塩基配列において、1~136個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc3)前記(Rc1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc4)前記(Rc1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc5)配列番号8のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rc6)配列番号8のアミノ酸配列において、1~45個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc7)配列番号8のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd)下記(Rd1)~(Rd7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rd1)配列番号9の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rd2)前記(Rd1)の塩基配列において、1~122個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd3)前記(Rd1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd4)前記(Rd1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd5)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rd6)配列番号10のアミノ酸配列において、1~40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd7)配列番号10のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re)下記(Re1)~(Re7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Re1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Re2)前記(Re1)の塩基配列において、1~136個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re3)前記(Re1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re4)前記(Re1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re5)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re7)配列番号12のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf)下記(Rf1)~(Rf7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rf1)配列番号13の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rf2)前記(Rf1)の塩基配列において、1~259個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf3)前記(Rf1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf4)前記(Rf1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf5)配列番号14のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rf6)配列番号14のアミノ酸配列において、1~86個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf7)配列番号14のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg)下記(Rg1)~(Rg7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rg1)配列番号15の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rg2)前記(Rg1)の塩基配列において、1~258個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg3)前記(Rg1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg4)前記(Rg1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg5)配列番号16のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rg6)配列番号16のアミノ酸配列において、1~86個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg7)配列番号16のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド。
(付記39)
前記検出工程において、前記被検トマト植物について、前記(Ra)~(Rf)および(Rg)のポリヌクレオチドを含む、前記すすかび病抵抗性遺伝子を検出する、付記38に記載の方法。
(付記40)
前記検出工程において、前記被検トマト植物の第1染色体について、前記第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座、および/または、前記すすかび病抵抗性遺伝子を検出する、付記35から39のいずれかに記載の方法。
<すすかび病抵抗性トマト植物のスクリーニング方法>
(付記41)
すすかび病抵抗性トマト植物のスクリーニング方法であって、
被検トマト植物から、第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座、および/または、すすかび病抵抗性遺伝子を含むトマト植物を、すすかび病抵抗性トマト植物として選抜する選抜工程を含む、スクリーニング方法。
(付記42)
前記選抜工程において、SNP1およびSNP2の少なくとも一方のSNPマーカーで特定されるすすかび病抵抗性遺伝子座を有する被検トマト植物を、すすかび病抵抗性トマト植物として選抜する、付記41に記載のスクリーニング方法。
(付記43)
前記選抜工程において、SNP1およびSNP2のSNPマーカーで特定されるすすかび病抵抗性遺伝子座を有するすすかび病抵抗性トマト植物を、すすかび病抵抗性トマト植物として選抜する、付記42に記載のスクリーニング方法。
(付記44)
前記選抜工程において、下記(a)および(b)の少なくとも一方のポリヌクレオチドで特定されるすすかび病抵抗性遺伝子座を有するすすかび病抵抗性トマト植物を、すすかび病抵抗性トマト植物として選抜する、付記41から43のいずれかに記載のスクリーニング方法:
(a)下記(a1)、(a2)、または(a3)のポリヌクレオチド:
(a1)配列番号1の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(a2)前記(a1)の51番目の塩基(A)が保存され、前記(a1)の塩基配列において、1~10個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(a3)前記(a1)の51番目の塩基(A)が保存され、前記(a1)の塩基配列に対して90%以上の同一性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b)下記(b1)、(b2)、または(b3)のポリヌクレオチド:
(b1)配列番号2の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b2)前記(b1)の51番目の塩基(C)が保存され、前記(b1)の塩基配列において、1~10個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(b3)前記(b1)の51番目の塩基(C)が保存され、前記(b1)の塩基配列に対して90%以上の同一性を有する塩基配列からなるポリヌクレオチド。
(付記45)
前記選抜工程において、前記(a)および(b)のポリヌクレオチドで特定されるすすかび病抵抗性遺伝子座を有するすすかび病抵抗性トマト植物を、すすかび病抵抗性トマト植物として選抜する、付記44に記載のスクリーニング方法。
(付記46)
前記選抜工程において、前記被検トマト植物について、下記(Ra)~(Re)および(Rf)からなる群から選択された少なくとも1つのポリヌクレオチドを含む、前記すすかび病抵抗性遺伝子を有するトマト植物を、すすかび病抵抗性トマト植物として選抜する、付記41から45のいずれかに記載のスクリーニング方法:
(Ra)下記(Ra1)~(Ra7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Ra1)配列番号3の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Ra2)前記(Ra1)の塩基配列において、1~259個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra3)前記(Ra1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra4)前記(Ra1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra5)配列番号4のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Ra6)配列番号4のアミノ酸配列において、1~86個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Ra7)配列番号4のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb)下記(Rb1)~(Rb7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rb1)配列番号5の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rb2)前記(Rb1)の塩基配列において、1~259個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb3)前記(Rb1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb4)前記(Rb1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb5)配列番号6のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rb6)配列番号6のアミノ酸配列において、1~86個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rb7)配列番号6のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc)下記(Rc1)~(Rc7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rc1)配列番号7の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rc2)前記(Rc1)の塩基配列において、1~136個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc3)前記(Rc1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc4)前記(Rc1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc5)配列番号8のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rc6)配列番号8のアミノ酸配列において、1~45個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rc7)配列番号8のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd)下記(Rd1)~(Rd7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rd1)配列番号9の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rd2)前記(Rd1)の塩基配列において、1~122個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd3)前記(Rd1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd4)前記(Rd1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd5)配列番号10のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rd6)配列番号10のアミノ酸配列において、1~40個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rd7)配列番号10のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re)下記(Re1)~(Re7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Re1)配列番号11の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Re2)前記(Re1)の塩基配列において、1~136個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re3)前記(Re1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re4)前記(Re1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re5)配列番号12のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Re7)配列番号12のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf)下記(Rf1)~(Rf7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rf1)配列番号13の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rf2)前記(Rf1)の塩基配列において、1~259個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf3)前記(Rf1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf4)前記(Rf1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf5)配列番号14のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rf6)配列番号14のアミノ酸配列において、1~86個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rf7)配列番号14のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg)下記(Rg1)~(Rg7)のいずれかのポリヌクレオチド:
(Rg1)配列番号15の塩基配列からなるポリヌクレオチド;
(Rg2)前記(Rg1)の塩基配列において、1~258個の塩基が欠失、置換、挿入および/または付加された塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg3)前記(Rg1)の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg4)前記(Rg1)の塩基配列からなるポリヌクレオチドに対してストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチドに、相補的な塩基配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg5)配列番号16のアミノ酸配列からなるポリペプチドをコードするポリヌクレオチド;
(Rg6)配列番号16のアミノ酸配列において、1~86個のアミノ酸が欠失、置換、挿入および/または付加されたアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド;
(Rg7)配列番号16のアミノ酸配列に対して、90%以上の同一性を有するアミノ酸配列からなり、すすかび病抵抗性を発現させるポリヌクレオチド。
(付記47)
前記選抜工程において、前記被検トマト植物について、前記(Ra)~(Rf)および(Rg)のポリヌクレオチドを含む、前記すすかび病抵抗性遺伝子を有するすすかび病抵抗性トマト植物を、すすかび病抵抗性トマト植物として選抜する、付記46に記載のスクリーニング方法。
(付記48)
前記選抜工程において、前記被検トマト植物の第1染色体について、前記第1染色体上のすすかび病抵抗性遺伝子座、および/または、前記すすかび病抵抗性遺伝子を有する、すすかび病抵抗性トマト植物を、すすかび病抵抗性トマト植物として選抜する、付記41から47のいずれかに記載のスクリーニング方法。
【産業上の利用可能性】
【0224】
以上のように、本開示によれば、すすかび病に対して抵抗性を示すトマト植物を提供できる。このため、本開示は、例えば、農業分野、育種分野等において極めて有用である。
図1
【配列表】
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