(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124274
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ガスエンジン冷暖房装置
(51)【国際特許分類】
F04D 29/24 20060101AFI20240905BHJP
F04D 29/38 20060101ALI20240905BHJP
F01P 3/18 20060101ALI20240905BHJP
F01P 7/16 20060101ALI20240905BHJP
F25B 27/02 20060101ALI20240905BHJP
F24H 9/00 20220101ALI20240905BHJP
F24H 4/06 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
F04D29/24 C
F04D29/38 A
F01P3/18 Q
F01P7/16 501
F25B27/02 U
F24H9/00 Z
F24H4/06
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032315
(22)【出願日】2023-03-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-06-14
(71)【出願人】
【識別番号】519042478
【氏名又は名称】ライズピットカンパニー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080090
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 邦男
(72)【発明者】
【氏名】山崎 正弘
【テーマコード(参考)】
3H130
3L036
3L122
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC11
3H130BA66C
3H130CB01
3H130DD01Z
3H130EA08C
3H130EB05C
3H130ED04C
3L036AE05
3L122AC41
(57)【要約】 (修正有)
【課題】小型のガスエンジン及び発電機を用いて、冷暖房装置を効率良く稼働させるガスエンジン冷暖房装置において、第2ファンの正逆回転の効率を上げること。
【解決手段】ガスエンジンと第1冷却水循環流路と第2冷却水循環流路と、第1ラジェータと、第2ラジェータと、水路切替弁と、ガスエンジン直流発電機と、モータと、コンプレッサと、コンデンサと、第1ファンと、第2ファン64とを備えた総合筐体を備える。暖房時とオーバーヒート時とは第2ファン64は正逆回転可能とし、この第2ファン64の正逆回転の迎い角α+βを同一にしつつ、羽根の両端部は同一角βとして屈曲形成してなること。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスエンジンと、該ガスエンジンの冷却水が循環する第1冷却水循環流路と第2冷却水循環流路と、前記第1冷却水循環流路内に設けられる第1ラジェータと、前記第2冷却水循環流路内に設けられる第2ラジェータと、冷却水が前記第1冷却水循環流路と前記第2冷却水循環流路の何れか一方に循環させる水路切替弁と、前記ガスエンジンにて駆動する発電機と、該発電機にて稼働するモータと、該モータで駆動され冷媒を圧縮するコンプレッサと、冷媒を熱交換するコンデンサと、前記第1ラジェータ側に設けられる第1ファンと、前記第2ラジェータ側に第2ファンとを有する総合筐体を備えるガスエンジン冷暖房装置において、オーバーヒート時には、前記水路切替弁にて前記第2冷却水循環流路に冷却水を流す構成とすると共に前記第1ファン及び前記第2ファンによって総合筐体内に通風風を入れて換気することにしつつ前記第2ファンは正回転させるようにし、該第2ファンの正逆回転の迎い角α+βを同一にしつつ、羽根の両端部は同一角βとして屈曲形成してなることを特徴とするガスエンジン冷暖房装置におけるファン構造。
【請求項2】
請求項1に記載のガスエンジン冷暖房装置におけるファン構造において、前記第2ファンの羽根の数を4枚としてなることを特徴とするガスエンジン冷暖房装置におけるファン構造。
【請求項3】
請求項1に記載のガスエンジン冷暖房装置におけるファン構造において、前記第2ファンの羽根の数を3枚としてなることを特徴とするガスエンジン冷暖房装置におけるファン構造。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載のガスエンジン冷暖房装置におけるファン構造において、第2ファンの羽根の迎い角α+βを30度とし、該βを5度としてなることを特徴とするガスエンジン冷暖房装置におけるファン構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型のガスエンジン及び直流発電機を用いて、冷暖房装置を効率良く稼働させるガスエンジン冷暖房装置におけるファン構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ガスエンジンを利用して、冷暖房装置を稼働するシステムが多く使用されるようになっている。そして、ヒートポンプを利用した冷暖房装置も増えている。冷暖房装置には、冷媒回路に圧縮機(コンプレッサ)が備わっている。この圧縮機を駆動させるのがガスエンジンである。このようなシステムは、ガスエンジンヒートポンプと言われている。この種の冷暖房装置では、低コストで稼働することができる利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-257102号公報
【特許文献2】特開2003-4332号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ガスエンジンを使用したガスヒートポンプにて稼働する冷暖房装置において、圧縮機(コンプレッサ)を駆動する構成について、ガスエンジンと圧縮機(コンプレッサ)とを直接に接続し、圧縮機(コンプレッサ)を駆動させる構造としたものが多く存在している。さらにこの構造には、下記に示すような構成が存在する。まず、第1にガスエンジンの駆動軸と、圧縮機(コンプレッサ)の回転軸とを直結する構造としたものである。第2に、ガスエンジンと圧縮機(コンプレッサ)とをベルトを介して回転を伝達する構造としたものである。第3にガスエンジンと圧縮機(コンプレッサ)をチェーンにて回転伝達するものである。
【0005】
これらは、ガスエンジンと圧縮機(コンプレッサ)とを直結したものや、ベルト,チェーン等を介したものであり、何れも、ガスエンジンの回転が直接、圧縮機(コンプレッサ)に伝達されてしまい、圧縮機(コンプレッサ)には、必要以上のパワーが与えられてしまう。そして、圧縮機(コンプレッサ)に与えられたパワーのほとんどは、冷暖房システムの稼働には大きすぎるパワーであり、パワーの無駄が生じることになる。さらに、ガスエンジンの稼働時の振動が圧縮機(コンプレッサ)に伝わり、圧縮機(コンプレッサ)に過剰な負担がかかることもある。さらに、ガスエンジンも稼働時のトルク変動により、圧縮機(コンプレッサ)の動作も不安定となる。
【0006】
また、ガスエンジンと圧縮機(コンプレッサ)の間にベルトや、チェーンを設けて回転伝達が行われる場合では、ベルト又はチェーンのための適正なテンションの調整が必要であったり、ガスエンジンにベルト又はチェーンのためのスペースを要することとなり、このようなことは管理コストに大きく影響を及ぼすことになる。
【0007】
さらに、ガスエンジンを使用したガスヒートポンプにて稼働する冷暖房装置では、ガスエンジン及び発電機等の機器の熱により、機器が収められている筐体内の中心部は極めて高温になり易く、また暖房時にはコンデンサ(熱交換器)入口の冷媒温度が低くなり過ぎることがある。そのため、冷暖房に使用される冷媒の温度管理が極めて困難となりやすかった。さらに、オーバーヒート時には、機器が収められている筐体内の中心部は極めて高温になり易くため、ファン構造を工夫して効率的な送風構成も求められている。
【0008】
本発明が解決しようとする課題(技術的課題又は目的等)は、以上に述べたような、ガスエンジンと圧縮機(コンプレッサ)の回転伝達機構を直結としたことによる不都合な状況を無くし、ガスエンジンを使用したガスヒートポンプによって稼働する冷暖房の作動効率をより一層、向上させると共に、オーバーヒート時の筐体内のファン構造を工夫も求められている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、ガスエンジンと、該ガスエンジンの冷却水が循環する第1冷却水循環流路と第2冷却水循環流路と、前記第1冷却水循環流路内に設けられる第1ラジェータと、前記第2冷却水循環流路内に設けられる第2ラジェータと、冷却水が前記第1冷却水循環流路と前記第2冷却水循環流路の何れか一方に循環させる水路切替弁と、前記ガスエンジンにて駆動する発電機と、該発電機にて稼働するモータと、該モータで駆動され冷媒を圧縮するコンプレッサと、冷媒を熱交換するコンデンサと、前記第1ラジェータ側に設けられる第1ファンと、前記第2ラジェータ側に第2ファンとを有する総合筐体を備えるガスエンジン冷暖房装置において、オーバーヒート時には、前記水路切替弁にて前記第2冷却水循環流路に冷却水を流す構成とすると共に前記第1ファン及び前記第2ファンによって総合筐体内に通風風を入れて換気することにしつつ前記第2ファンは正回転させるようにし、該第2ファンの正逆回転の迎い角α+βを同一にしつつ、羽根の両端部は同一角βとして屈曲形成してなることを特徴とするガスエンジン冷暖房装置におけるファン構造としたことにより、上記課題を解決した。
【0010】
請求項2の発明は、請求項1のガスエンジン冷暖房装置におけるファン構造において、前記第2ファンの羽根の数を4枚としてなることを特徴とするガスエンジン冷暖房装置におけるファン構造としたことにより、上記課題を解決した。請求項3の発明は、請求項1のガスエンジン冷暖房装置におけるファン構造において、前記第2ファンの羽根の数を3枚としてなることを特徴とするガスエンジン冷暖房装置におけるファン構造としたことにより、上記課題を解決した。請求項4の発明は、請求項1乃至3のガスエンジン冷暖房装置におけるファン構造において、第2ファンの羽根の迎い角α+βを30度とし、該βを5度としてなることを特徴とするガスエンジン冷暖房装置におけるファン構造としたことにより、上記課題を解決したものである。
【発明の効果】
【0011】
請求項1の発明では、前記ガスエンジンでは直接に前記コンプレッサを駆動させることなく、前記発電機の電力を、前記TCU(総合制御器)にて励磁電気を調節して増減するとともに、その電力で前記コンプレッサを駆動する直流モータに供給させ、暖房時には昇温した空気で前記室内機の熱交換器部分を温める構成としたものである。そこで、ガスエンジンで直接、コンプレッサを駆動する方式では、室内機の熱交換量(kw)以上にコンプレッサに余力が有り、パワーに無駄が出ることがある。このような無駄を避けることができる。
【0012】
また、ガスエンジンで多数のコンプレッサをベルトやチェーンなどで駆動するのは動力伝達やスペース的に無駄が多く、且つ振動等の悪影響が伝わるものであるが、このような不都合なことを解消できる。さらに、コンプレッサを直接、ガスエンジンで駆動しないので、ガスエンジンのトルク変動と、コンプレッサのコギング(圧縮に伴うぎこちないキコキコ動作)が干渉し合うことによる振動発生の懸念が全く無くなる。特に、請求項1の発明の要部は第2ファンの構成であるため、請求項1の発明での発電機は、直流・交流の双方が包含されている構成としている。
【0013】
請求項1の本発明では、オーバーヒート時には、前記第1ファン及び前記第2ファンによって総合筐体内に通風風を入れて換気することにしつつ前記第2ファンは正回転させるようにし、該第2ファンの正逆回転の迎い角α+βを同一にしつつ、羽根の両端部は同一角βとして屈曲形成してなることで、特に、前記第2ファンの正逆回転の送風効率が優れたものにでき、特に夏場の高温時におけるオーバーヒート時又はこの近似状態辞に効果的であり、オーバーヒートを確実に防止できる。
【0014】
また、請求項2及び請求項3の発明では、4枚羽根でも、3枚羽根でも同等の効果を奏するものである。さらに、請求項4の発明では、前記第2ファン迎い角α+βを同一で30度にしつつ、羽根の両端部は同一角βとして5度に屈曲形成したことで、特に効率的な正逆回転ができるファン構造を安価且つ簡単にできる利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】(A)は本発明におけるガスエンジン冷暖房装置のシステム図、(B)は(A)の制御器による直流発電機から直流モータへの出力制御の構成を示す略示図である。
【
図2】本発明におけるガスエンジン冷暖房装置の暖房時の動作状態を示すシステム全体図である。
【
図3】本発明におけるガスエンジン冷暖房装置の暖房時の冷媒の流れを示す動作図である。
【
図4】本発明におけるガスエンジン冷暖房装置の暖房時のコンプレッサユニット側における第1ファンによる第1ラジェータとコンデンサに対する通過風の方向を示す動作図である。
【
図5】本発明におけるガスエンジン冷暖房装置の冷房時の動作状態を示すシステム全体図である。
【
図6】本発明におけるガスエンジン冷暖房装置の冷房時の冷媒の流れを示す動作図である。
【
図7】本発明におけるガスエンジン冷暖房装置の冷房時のコンプレッサユニット側における第1ファンによる第1ラジェータとコンデンサに対する通過風の方向を示す動作図である。
【
図8】(A),(B),(C)はパワーユニットとコンプレッサユニットが収納された総合筐体を第1ファン及び第2ファンによって冷却する構成を示す図である。
【
図9】(A)は正逆回転する第2ファンの正面図、(B)は第2ファンの側面図、(C)は(A)のX1-X1矢視断面図、(D)は(C)の羽根部分の拡大図、(E)はファンの羽根部の一部断面にした斜視図である。
【
図10】(A)は正逆回転する第2ファンの別の実施例の正面図、(B)は第2ファンの側面図、(C)は(B)の羽根箇所の拡大した断面図、(D)はモータに第2ファンを取り付けた中心要部箇所の断面図である。
【
図11】(A)は
図10(A)のY1-Y1矢視断面図、斜視図、(B)は
図10(A)の斜視図、(C)は(B)の1枚の羽根の断面図、(D)は第2ファンのさらに別の実施例の正面図である。
【
図12】本発明におけるガスエンジン冷暖房装置のパワーユニットとコンプレッサユニットをそれぞれ別の筐体に収納した構成のシステム図である。
【
図13】本発明におけるガスエンジン冷暖房装置における一台パワーユニットに対して複数のコンプレッサユニットが並列に配置された構成のシステム図である。
【
図14】(A)はカップリングとフライホイールと直流発電機とを分離した状態の一部断面にした側面図、(B)はカップリングの縦断側面図、(C)はカップリングの正面図、(D)は(B)のY1-Y1矢視断面図である。
【
図16】(A)は主冷媒通路切替弁及び副冷媒通路切替弁の一部切除した側面図、(B)は(A)の横断平面図である。
【
図17】(A)乃至(C)は直流モータ及び制御器の構成を示す図である。
【
図18】(A)は本発明における交流発電機と交流モータを使用した実施形態のガスエンジン冷暖房装置のシステム図、(B)は(A)の制御器による交流発電機から交流モータへの出力制御の構成を示す略示図である。
【
図19】本発明における交流発電機と交流モータを使用した実施形態の暖房時における動作状態を示すシステム全体図である。
【
図20】(A)は交流発電機及び交流モータを制御する構成を示す図、(B)は(A)の(α)部詳細図である。
【
図21】(A)は本発明における交流発電機と直流モータを使用した実施形態のガスエンジン冷暖房装置のシステム図、(B)は(A)の制御器による交流発電機から直流モータへの出力制御の構成を示す略示図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。本発明は、主に、パワーユニットA1とコンプレッサユニットA2によって構成され、これに、室内機ユニットが加わる(
図1,
図2,
図5等参照)。前記パワーユニットA1と前記コンプレッサユニットA2と後述する筐体(総合筐体9又は第1筐体91)とで室外機Aが構成される。パワーユニットA1は、ガスエンジン1と、直流発電機2と、第1冷却水循環流路51と、第2冷却水循環流路52と、第2ラジェータ62と、第2ファン64とが集合して構成されたものである(
図1,
図2,
図5等参照)。ここで、室外機Aは、ビルやマンション,アパート等の集合住宅の建築物の屋内に設置されることが多く、例えば、ビルの地下室或いは機械室等に設置されることが多い。また、通常の冷暖房装置のように、建築物の室外に設置されることもある。
【0017】
コンプレッサユニットA2は、モータ3と、コンプレッサ41と、第1ラジェータ61と、コンデンサ42と、第1ファン63とが集合して構成されたものである。室内機ユニットは、冷媒流路72及び室内機71等によって構成される。ここで、前記モータ3は、以下、直流モータとして説明を行うが、本発明では、モータ3の実施形態として交流モータ3Aとする場合も存在し、該交流モータ3Aについては、説明の終盤で記述するものである。
【0018】
以下、説明においてモータ3は直流モータであり、モータ3が交流モータの場合は、その符号として3Aが付され交流モータ3Aとして説明する。なお、以下の説明において、モータ3が直流モータであることを強調する箇所では、直流モータ3と記載される。さらに図中では、モータ3については、直流モータが使用される実施形態では直流モータと記載され、交流モータが使用される実施形態では、交流モータと記載されている。
【0019】
パワーユニットA1とコンプレッサユニットA2とは、第1冷却水循環流路51によってガスエンジン1の冷却水が循環できるように連結されている(
図1,
図2,
図5等参照)。また、コンプレッサユニットA2は、室内機71との間に冷媒流路72と連結している。該冷媒流路72は、暖房時冷媒流路72a及び冷房時冷媒流路72bを備えている。暖房時冷媒流路72aは、暖房時に冷媒が流れる流路(管)であり(
図2乃至
図4参照)、冷房時冷媒流路72bは、冷房時に冷媒が流れる流路(管)である(
図5乃至
図7参照)。
【0020】
コンプレッサユニットA2と暖房時冷媒流路72a又は冷房時冷媒流路72bによって室内機71に暖房又は冷房に適応した状態の冷媒を供給する役目をなしている。そして、パワーユニットA1とコンプレッサユニットA2は、まとめて一つの総合筐体9に組み込まれている。パワーユニットA1とコンプレッサユニットA2と総合筐体9とによって室外機Aが構成される。
【0021】
前記コンデンサ42は、熱交換器と称してもよい。つまり、コンデンサ42は、暖房時においては、空気から熱を得て、コンプレッサ41の入口の冷媒ガス温度を上昇させる熱交換器として働く。また、コンデンサ42は、冷房時においては、コンプレッサ41で圧縮されて高温になった冷媒ガスの熱を、通過風に当てて、冷媒ガスを凝縮させ液状にする役目をなす。
【0022】
パワーユニットA1では、ガスエンジン1と直流発電機2とが、カップリング14によって連結されており、ガスエンジン1の駆動により直流発電機2が発電する(
図1参照)。そして、直流発電機2により発電した電力は、コンプレッサユニットA2側に電送され、制御器35を介してモータ3に供給される。コンプレッサユニットA2側では、モータ3は、コンプレッサ41を駆動する。
【0023】
パワーユニットA1のガスエンジン1には、第1冷却水循環路51と第2冷却水循環路52が設けられている(
図1乃至
図7等参照)。第1冷却水循環路51及び第2冷却水循環路52は共に冷却水が循環するものであり、第1冷却水循環路51と第2冷却水循環路52とは、水路切替弁53によって冷却水は何れか一方の循環路のみを流れるようになっている(
図1乃至
図7参照)。
【0024】
第1冷却水循環流路51は、ガスエンジン1を中心として、パワーユニットA1とコンプレッサユニットA2との両者に亘って配置された流路である。第2冷却水循環流路52は、パワーユニットA1のガスエンジン1のみに配置された流路である。室外機Aにおいて、暖房時には冷却水は第1冷却水循環流路51を循環し、冷房時には冷却水は第2冷却水循環流路52を循環する。
【0025】
第1冷却水循環流路51は、パワーユニットA1とコンプレッサユニットA2との間に設けられ、ガスエンジン1の冷却を行うと共に、コンデンサ42の温度管理も行うものである。第2冷却水循環流路52は、パワーユニットA1内においてガスエンジン1の駆動時における冷却を行うものである。冷却水は、第1冷却水循環流路51と第2冷却水循環流路52の前記水路切替弁53によって何れか一方を流れるものであり、両方を同時に流れることはない。
【0026】
第1冷却水循環流路51と第2冷却水循環流路52とは、ガスエンジン1からの入口側と出口側の一部で流路を共有している〔
図1(A),
図2,
図3等参照〕。そして、出口側の流路に水路切替弁53が設けられている。該水路切替弁53は、暖房及び冷房に応じて、TCU(総合制御器)66により第1冷却水循環流路51と第2冷却水循環流路52の何れか一方の流路に切替操作される。
【0027】
第2冷却水循環流路52は、パワーユニットA1のガスエンジン1に設けられ、第2冷却水循環流路52には第2ラジェータ62が設けられている。該第2ラジェータ62には、第2ファン64が備わっており、該第2ファン64によって第2ラジェータ62に通過風を与えるものである。第2冷却水循環流路52は、ガスエンジン1の冷却のみを行う。
【0028】
第1冷却水循環流路51は、パワーユニットA1側とコンプレッサユニットA2側との間に亘って配置されており、第1冷却水循環流路51には第1ラジェータ61が設けられ、該第1ラジェータ61には第1ファン63が近接して備えられている。また、第1ラジェータ61と第1ファン63との間には、コンデンサ42が配置されている。そして、第1ファン63によって第1ラジェータ61に通過風を与え、その通過風は、コンデンサ42の温度に影響を与える構成となっており、つまり、第1冷却水循環流路51,第1ラジェータ61及び第1ファン63によってコンデンサ42の温度調整が行われるものである。
【0029】
コンプレッサユニットA2側においてコンプレッサ41及びコンデンサ42は、冷媒流路72に組み込まれ、コンプレッサ41及びコンデンサ42には冷媒が流れる構成である。冷媒流路72には、室内機71が組み込まれている。これによって、室外機AとしてのコンプレッサユニットA2と、室内機71とによる冷暖房システムが構成される(
図1乃至
図7参照)。
【0030】
次に、冷房動作時及び暖房動作時について
図2乃至
図7に基づいて説明する。まず、冷暖房システムの構成と、冷媒とエンジン冷却水の流れ、冷暖房システムの作動について説明する。
図1乃至
図7における図中の太い実線は、冷媒流路(冷媒配管)72を示す。また、冷媒流路72に付された矢印は冷暖房時の冷媒の流れ方向を表している。また、冷媒流路72とTCU(総合制御器)66との間に示されている破線(鎖線)は、TCU(総合制御器)66の信号のラインを示すものである。
【0031】
本発明において、暖房又は冷房への何れかの選択は、TCU(総合制御器)66からの指令によって直接行われるものであり、その指令でパワーユニットA1側の水路切替弁53を動作させ、第1冷却水循環流路51と第2冷却水循環流路52との切替と、コンプレッサユニットA2側での冷媒流路72を、主冷媒通路切替弁73m,副冷媒通路切替弁73nとの切替動作によって、暖房時冷媒流路72aと冷房時冷媒流路72bとの切替が行われる。主冷媒通路切替弁73mは、コンプレッサ41とコンデンサ42との間の冷媒流路72の切替を行うものであり、副冷媒通路切替弁73nは室内機71側の冷媒流路72における暖房時冷媒流路72aと冷房時冷媒流路72bとの切替を行うものである。
【0032】
主冷媒通路切替弁73m及び副冷媒通路切替弁73nは、
図16に示すように、その構造は略同等であり、内部に回転弁部73rを備え、該回転弁部73rを左右に回すと通路切替口73cと通路切替口73a、もしくは通路切替口73cと通路切替口73bが連通するようになっている。この回転はTCU(総合制御器)66からの信号でアクチュエータ73uが行う。
【0033】
TCU(総合制御器)66によるこれらの切り換え位置で冷暖房システムが暖房又は冷房として働くかが決定される。TCU(総合制御器)66の指令がECU(エンジンコントロールユニット)67に送られ、該ECU(エンジンコントロールユニット)67によりバッテリ12の電力でスタータ11によりガスエンジン1が始動される。また、ECU(エンジンコントロールユニット)67は、ガスエンジン1の点火時期や空燃比、スロットル回度などの運転変数の制御を行う。そのため、ガスエンジン1のエンジン回転数が一定になるようにスロットル回度を調整し、空燃比が理論空燃比になるように燃料圧力調整器を制御する。
【0034】
本発明のガスエンジン冷暖房装置による暖房動作を
図2乃至
図4に基づいて説明する。まず、地域にもよるが一般の建物では室内と外気との温度差は、夏場より冬の方が大きい。そこで、暖房性能の向上が望まれる。本発明は、ガスエンジン1の冷却水や筐体内に放射された熱エネルギの一部を回生するところに特徴がある。
【0035】
まず、最初にTCU(総合制御器)66の指令で水路切替弁53によって、冷却水の流路が第1冷却水循環路51に流れるように切り換えられる(
図2参照)。冷媒流路72は、主コンプレッサ41とコンデンサ42との間の冷媒流路72が主冷媒通路切替弁73mによって暖房時に対応する流路に切り替えられ、副冷媒通路切替弁73nによって暖房時冷媒流路72aが選択され、冷媒は暖房時冷媒流路72aを流れて冷媒流路72を循環する(
図2乃至
図4参照)。そして、ガスエンジン1の冷却水は第1冷却水循環流路51を流れ、第1ラジェータ61のラジェータコア61aを通って大気に放熱され、冷却水ポンプ13で吸引されてガスエンジン1のウォータージャケットに還流する仕組みとなっている。
【0036】
ガスエンジン1の動力は、カップリング14を介して直流発電機2を駆動する。該直流発電機2の発電による電力は、モータ3の出力を制御する制御器35を通ってモータ3に供給される〔
図17(A)参照〕。また、前記ガスエンジン1の出力による直流発電機2による余剰電力を交流電源として外部に供給することができる。具体的には、直流発電機2には、インバータ65が接続されており、モータ3への電力供給と同時に、インバータ65で所定の電力(例えば、100V、50Hz)に変換されて交流電源として外部に供給されるものである(
図1乃至
図8等参照)。
【0037】
制御器35の具体例として、モータ3の入口もしくは出口の電流制御によるタイプのものである。この具体例において、モータ3の入口側又は出口側に大電流用のトランジスタ35tが使用される。そして、
図17(B)は、入口側制御であり、制御器35がモータ3の入口側に設けられている。
図17(C)は、出口側制御であり、制御器35がモータ3の出口側に設けられている。
【0038】
入口側制御によって、モータ3の出力を上げる場合、TCU(総合制御器)66から制御器35へ指令が出され、該制御器35のb点(ベース)からe点(エミッタ)に流れる電流を増大させる指令を与える。これによって、トランジスタ35tのc点(コレクタ),b点(ベース),e点(エミッタ)を流れる電流が格段に増大し、モータ3の出力が増大して、暖房又は冷房の能力が大きくなる。出口側制御は、入口側制御と略同等の作用であり、入口側制御を参照されたい。
【0039】
エンジン冷却水は、第1冷却水循環流路51の第1ラジェータ61のコア61aを流れ、第1ラジェータ61で放熱する(
図3,
図4参照)。コンプレッサ41からの高温・高圧の冷媒ガスは、
図3,
図4に示すようにコンプレッサ41の図面上において上方から出て、下方に戻る。
【0040】
高温・高圧のガス状の冷媒は、副冷媒通路切替弁73nを切り替えて遮断状態の暖房時冷媒流路72a側に切り替えて冷媒が暖房時冷媒流路72aを流れるようにする。このとき、冷媒は冷媒流路72の冷房時冷媒流路72bを通過不能となる。暖房時冷媒流路72aでは、冷媒は
図2乃至
図4に示すように、冷媒流路72に示した矢印のように流れ、副冷媒通路切替弁73nを通って各室内機71のコア71aを通過して、熱を室内に放出する(
図2、
図3参照)。
【0041】
このとき、冷媒は、各膨張弁71bに達するまでは、ガスの温度及び圧力共に高く、膨張弁71bを通過後に温度と圧力が下がり、当然温度は外気温より低くなる。そして、矢印のように冷媒流路72を通ってコンデンサ42の吸い込みロ(下側)に入る。ここで熱を受け取り、主冷媒通路切替弁73mを経由してコンプレッサ41の下側から吸い込まれる。なお、冷媒は冷房時も同様にコンプレッサ41の下側から吸い込まれる。
【0042】
ここで、第1ファン63は、TCU(総合制御器)66からの指令で外気を総合筐体9内に吸い込む方向に回転する(
図2乃至
図4参照)。総合筐体9の外方から入った空気は、通過風として第1ラジェータ61のラジェータコア61aを通過して、温められた通過風がコンデンサ42を通過して該コンデンサ42が温められ、該コンデンサ42内の冷媒は外気だけで過熱する場合より多量の熱を与えられることができる(
図2,
図3参照)。このコンデンサ42内で温められた冷媒は、主冷媒通路切替弁73mを通り、コンプレッサ41の吸い込み(入口)側に還流する。そして、該コンプレッサ41で圧縮されることによって、さらに高い温度となり暖房作用を発揮するものであるが、後述するように、コンプレッサ41の吸い込み側に還流される冷媒ガスの温度が高くなれば、さらに暖房性能が上昇することになる。
【0043】
さらに、ここで、パワーユニットA1側の第2ファン64を総合筐体9の内側から外側へ通過風を流して吐出する方向に回転させることによって、第1ファン63と共にコンデンサ42を通過する風量は、さらに増大するので暖房効果はより一層、大きくなる〔
図10(B)参照〕。なお、暖房時の場合は先述のように水路切替弁53で切り換えられエンジン冷却水は全量が第1ラジェータ61のラジェータコア61aを流れるので、第2ラジェータ62のラジェータコア62aは機能していない。第1ファン63と第2ファン64との通過風によって、ガスエンジン1の冷却に支障を来たすことはない。
【0044】
ここで、コンプレッサ41の入口側の冷媒ガス温度を上げると出口側の温度の上昇に寄与することを説明する。熱力学の法則にしたがい、コンプレッサ41で入口側の体積Vinの気体をVout(Vin/Vout)に圧縮したとき、圧縮前(入口)のガス温度をTinK(ケルビン)とし、圧縮後(出口)の温度をToutKとすると、以下のようになる。
【0045】
この値「n」は、断熱圧縮の場合は、文字「κ(カッパー)」が使用されることもあり、気体により固有の値となる。例えば、単原子分子のヘリウムは1.66であり、また、二原子分子の混合気体の空気の場合は1.4である。分子を構成する原子の数が多いほど小さくなる。なお、等温圧縮の場合は気体の種類によらず、n=1である。以下、冷媒ガスのnを1.07として説明する。
【0046】
コンプレッサ41で、1/20の体積に圧縮されたとする。Tinをヒートポンプが作動できる限界に近い温度5°C(278K)とし、本発明のように加熱して30°C(303K)とした場合の出口温度Toutと比較する。
【0047】
【0048】
このように暖房に使える熱源の温度は32°Cの差が出る。なお、Vin/Voutが大きい程、この差は大きくなる。
【0049】
次に、冷房動作を
図5乃至
図7に基づいて説明する。冷房時では、水路切替弁53によって、第2冷却水循環流路52が選択され、第1冷却水循環流路51には冷却水は流れない。つまり、冷房時において水路切替弁53によって、第2冷却水循環流路52が選択された場合には、冷却水はガスエンジン1内及び周辺を流れてガスエンジン1の冷却のみの流れとなる。
【0050】
また、冷媒流路72は、主コンプレッサ41とコンデンサ42との間の冷媒流路72が主冷媒通路切替弁73mによって冷房時に対応する流路に切り替えられ、副冷媒通路切替弁73nによって冷房時冷媒流路72bが選択され、冷媒は冷房時冷媒流路72bを流れて冷媒流路72を循環する(
図5乃至
図7参照)。モータ3で駆動されるコンプレッサ41はガス状の冷媒(僅かだが液を含む場合がある)を圧縮して高温のガスとなった冷媒は、
図5乃至
図7に示すような切り換え位置にある主冷媒通路切替弁73mを通ってコンデンサ42に入る。ここで、冷媒は放熱して温度が下がり液状(ガス状含む)となり、室内機71の膨張弁71bの通過時に一気に気化、膨張して温度が大きく下り、コア71aが室内の空気から熱を奪い空気温度を下げる。
【0051】
室内機71内で膨張したガス状の冷媒は、副冷媒通路切替弁73nによって選択された冷房時冷媒流路72bを通ってコンプレッサ41の吸い込み側に戻る(
図5乃至
図7参照)。このように冷房時においては、第1冷却水循環流路51は水路切替弁53によって遮断され、冷却水は第1冷却水循環流路51を流れない。そのために、冷却水は第1ラジェータ61を通過することなく、コンデンサ42及びコンデンサ42内の冷媒を温めることはない。また、正逆回転ができる第2ファン64は、外気を吸い込むように回転させれば、第1ラジェータ61の冷却となり、ラジェータコア61aを通過する空気量を増加させるので冷房時のエンジンの冷却には有利となる。
【0052】
図1(A),
図2,
図5では、パワーユニットA1、コンプレッサユニットA2とを一つの総合筐体9内に収めて室外機Aとしたたものである。これに対して、総合筐体9を第1筐体91と第2筐体92との2つの筐体に分けて備える実施形態が存在する(
図12参照)。第1筐体91には、パワーユニットA1を構成するガスエンジン1,直流発電機2,TCU(総合制御器)66,ECU(エンジンコントロールユニット)67,第2冷却水循環流路52,第2ラジェータ62,第2ファン64を含むパワー供給システムを収納する。また、第2筐体92にはコンプレッサユニットA2を構成するモータ3,制御器35,コンプレッサ41,コンデンサ42,第1ラジェータ61,第1ファン63を収納する。そして、これらの第1筐体91と第2筐体92とを結ぶのは、第1冷却水循環流路51と、信号ライン及び直流発電機2で発電した電力を伝えるケーブルだけであり、空調の冷媒流路(冷媒配管)72は第2筐体92のみに備えられる。
【0053】
このようにパワーユニットA1とコンプレッサユニットA2とを分離してそれぞれを第1筐体91及び第2筐体92に収納する構成にすることによって、パワーユニットA1側のガスエンジン1に余力があり電力も潤沢であれば、第1筐体91に収納されるパワーユニットA1を1台とし、複数台の第2筐体92に収納されたコンプレッサユニットA2を並列に配置して稼働させる構成ができる(
図13参照)。このような構成とすることにより、以下に示す利点がある。
【0054】
つまり、部屋数の多い建築物又は多層階の建築物の冷暖房設備として極めて効率的な設置ができる。そして、パワーユニットA1を有する第1筐体91を主装置として、この1台のパワーユニットA1が建築物の主動力室,機械室等の地下等の室内に設置される(
図13参照)。そして、コンプレッサユニットA2が有する第2筐体92が複数台備えられ、これらが各フロアに並列状に配置される。これらの第2筐体92にまとめられたコンプレッサユニットA2が各フロアに設置され、それぞれのコンプレッサユニットA2が各フロアに設置された複数台の室内機を受け持つことで、第1筐体91にまとめられたパワーユニットA1によって生じる電力を極めて有効活用することができ、低価格な冷暖房設備にすることができる。なお、第1筐体91は建築物の室外に設置してもよい。
【0055】
外部への電力供給は第1筐体91のパワーユニットA1のインバータ65によって行う(
図1参照)。該インバータ65は、具体的には、DC/AC(直流/交流)インバータが使用される。また、インバータは、コンバータと称することもある。そして、パワーユニットA1が収納された第1筐体91は、地下室や屋上に設置され、各階や各棟にコンプレッサユニットA2が収納された第2筐体92が配設されることにより、各第2筐体92から各室内機71までの冷媒流路(冷媒配管)72を短くすることができ、この該冷媒流路(冷媒配管)72で冷媒と大気との熱の授受を小さくして空調性能を改善することができる。
【0056】
次に、本発明におけるガスエンジン冷暖房装置の熱効率とヒートポンプシステムの総合熱効率の関係の具体例について述べる。ガスエンジン1の出力を20kW、余剰電力(外部への供給電力)5kW、発電効率とインバータ効率をそれぞれ95%として試算する。ここで、説明を簡単にするために、筐体内の電動ファンや制御で消費する電力1kW弱は、この5kWに含まれるものとする。
【0057】
エンジン出力20kwとすると、
5.54kw(5kw×1/0.95×1/0.95・・・外部供給電力)
14.46kw(20kw-5.54kw)・・・ヒートポンプ電力である。
【0058】
この電力の内、直流のモータ3で消費できる電力はモータの制御器35の効率を95%とすると、14.46kW×0.95=13.74kWとなる。
廃熱を回収するので、暖房の場合でもCOP(性能係数)5.5以上を確保できる。
前記の13.74kWの電力で得られる暖房に使用できる熱エネルギは、
13.74×5.5=75.57kWとなる。
【0059】
従って(暖房熱エネルギ)+(外部供給電力)-80.57kW
一方、エンジンの熱効率をηEとすると、燃料の持つエネルギQfは、
Qf=20kw/ηEとなる。
従って、総合熱効率はηTは、
ηT=80.57kw/(20kW/ηE)≒4ηE・・・(1)
となる。
【0060】
燃焼の急速化と冷却損失を極限まで追求し、これに慣性吸・排気現象を徹底的に利用すると、ガスエンジン1で三元触媒16kを作動させるために理論空比で運転しても、熱効率44%以上を実現している。さらに、常用エンジン回転数を2400rpm以下に抑えると摩擦損失を7%以下にでき、エンジンの機械効率を93%以上となる。このようにして、エンジンの熱効率は、
ηE=44×0.93≧40.92%・・・(2)
となる。
【0061】
式(1)と式(2)より、ηT≧4×0.4=1.6
すなわち、総合熱効率は、160%となる。もし、直流発電機2で発電した電力を、全部、コンプレッサ41の駆動に使用したとすると、本システムでは200%以上の総合熱効率を実現可能である。
【0062】
前述した様に、三元触媒16kを働かせるために理論空燃比で運転しても、リーンバーンや副室式のより高い図示熱効率を実現するため、
図15に示すように燃焼室の表面積を小さくすると共に、2箇所から同時点火して火炎伝播距離を短くし、さらに炎の照り返しにより、未燃焼部分のガス温度を上げ、火炎の伝播速度を増大させる。
【0063】
ガスエンジン1において、燃焼室はシリンダの中心に対して点対称で、吸気バルブ16aと排気バルブ16bの傘径は 同径(ほぼ同径)で、二つの点火プラグ16cも対称に配置されている。これらの中心はシリンダ径の1/2の円周上にある。さらに、これらの中心線の延長線はシリンダの中心線上の0点で交わる。燃焼室はこの0点を中心とした半径Rの薄い球殻であり、点火点と吸気バルブ16a,排気バルブ16bの傘部は該球殻に略沿っている。
【0064】
また、空燃比は排気系に装着したO2センサ16dからの信号で、理論空燃比になるように、ミキサ16fに供給するガス燃料の圧力を燃料圧力調整器16gで調整する。フライホイール15の付近に設置されたエンジン回転センサ16hでクランクシャフト16sの回転数を検出して、ガスエンジン1の負荷が増大して回転数が下がると、所定の回転数(例えば、2200rpm)になるようにスロットル開度を調整する(
図15参照)。回転が高い場合はスロットルを閉じる方向に動かす。
【0065】
摩擦損失を低減するためストロークは長くせず、
図15のようにシリンダ径もしくはこれより若干長い程度にし、高圧縮比化(12以上)をストロークの増大だけで追求せず、前述のコンパクトな燃焼室で実現する。回転数、空燃比、点火時期、エンジンの始動や停止などはすべてECU(エンジンコントロールユニット)67で行う。吸入・圧縮・膨張・排気の各行程により生ずるトルク変動でエンジン回転速度に変動が起こる。この回転速度の変動は僅か(例えば、1/50)であっても発電効率を阻害する。そこでフライホイール15と直流発電機2の間には、回転方向の振動を平滑化させるカップリング14を介在させる。
【0066】
次に、ガスエンジン1と直流発電機2とを連結するカップリング14の構造例を示す。該カップリング14は、
図14に示すように、緩衝部材14aと、2つのフランジ14bと、ピン14pとからなる。フランジ14bは略Y形状の部材であり〔
図14(C)参照〕、その中心部には、メスのスプラインとしてスプラインハブ14hが円周方向に沿って120度間隔で形成されている。また、スプラインハブ14hを直径中心にして3本の腕状片14cが放射状に配列され、該腕状片14cの先端にピン14pが貫通する連結孔14dが形成されている。
【0067】
緩衝部材14aは、略円筒形状をなし、材質は弾性材であり、例えばゴム材又は合成樹脂材等である〔
図14(D)参照〕。そして、緩衝部材14aの直径中心には軸方向に沿って貫通孔14fが形成されており、該貫通孔14fには、前記フランジ14bのスプラインハブ14hが遊挿される。ここで、遊挿とは、前記貫通孔14fに対してスプラインハブ14hが隙間を有して挿入されることであり、貫通孔14f内にてスプラインハブ14hは多少の遊びを有して移動可能となる状態となる。また、緩衝部材14a内には、外周縁付近で且つ軸方向に沿って6本の管状のスリーブ14eが等間隔(60度)に配列されている。該スリーブ14eには、前記ピン14pが圧入状態で挿通されるものである。
【0068】
そして、緩衝部材14aの軸方向両端にフランジ14bがそれぞれ対向するようにして配置される。このとき両フランジ14bのそれぞれの腕状片14cは、位相が一致することなく、相互に60度ずらされて配置される。そして、それぞれのフランジ14bのスプラインハブ14hの外周付近には3本のピン14pが120度間隔に配置され、ピン14pは腕状片14cの先端の連結孔14dに挿通され緩衝部材14aに設けられたスリーブ14eに挿入され緩衝部材14aとフランジ14bとが連結される。このようにして、カップリング14は、軸方向に沿って弾性的に撓み可能なフランジ継手として使用される。
【0069】
一方、ガスエンジン1に装着されたフライホイール15には、その中心にオスのスプライン15sが備わっているアダプタ15aが、ボルトで固着されている。また、直流発電機2にはオスのスプライン2sが備わっている。そして、フライホイール15のスプライン15sと、直流発電機2のスプライン2sとは、前記カップリング14の軸方向両側のスプラインハブ14hに挿入されて、ガスエンジン1と直流発電機2とが回転駆動伝達できる構造となる。ガスエンジン1のトルクは、カップリング14の緩衝部材14aを介して直流発電機2側のスプライン2sから直流発電機2に平滑化されて伝達される。本発明では、水などの中間冷媒を使わずにコンプレッサ41で加圧されて出たばかりのガス状(ごく一部だが液状を含む)の冷媒を直接循環させる。
【0070】
本発明において、第2ラジェータ62に通過風を送る第2ファン64は、前記第2ラジェータ62への通過風の方向変換ができる構成とした実施形態が存在する(
図9参照)。この実施形態では、第2ファン64のプロペラを正回転及び逆回転させることによって、第2ラジェータ62に対する通過風の方向を正逆変換することができる。これによって、夏場の冷房時において、パワーユニットAがオーバーヒートして装置を損傷することを防止することができる。
【0071】
特に、夏場では次に示す事態が生じやすい。まず、第1に吸入空気の密度が小さくなることによるエンジンの出力が低下する。次に、火花点火エンジンの場合、ノッキングの発生によるエンジンが破損するおそれがある。次に、発電機の過熱による発電効率低下とインバータの転換効率が低下する。以上の不都合な事態を、正逆回転できる第2ファン64を前述したように、状況に応じて正回転又は逆回転をさせることにより総合筐体9内の空気の流れを制御することで、解消させることができ、総合筐体9内の環境を良好な状態に維持することができる(
図8参照)。
【0072】
まず、筐体(総合筐体9,第1筐体91又は第2筐体92)の温度を検出して、60°Cに達したらTCU(総合制御器)66の指令で第2ファン64を正回転から最大限の逆回転とし、筐体内に外気を導入し、筐体内を冷却するものである。また、第2ファン64は複数の羽根64を有し、核該羽根64は、回転方向に沿う中間に平板の羽根中央部64aを有し、該中央羽根部64aの回転方向両端に端子両端の羽根端部64b、64cを有し、両該羽根端部64b、64cの迎角α+βは同一とすると共に前記中央羽根部64aの迎角よりも小さい角βとして設定されている。
【0073】
本発明のガスエンジン冷暖房装置に使用する正逆回転可能な第2ファン64について説明する。この第2ファン64では、正逆回転を,ギア等を使わずに簡単に行うために駆動源は電気モータとする。従来のファンの羽根(ブレード)は効率を上げるため、羽根にキャンバがつけられている(例えば、円弧状)。ファンを正面から見て右廻り(正方向)に回転させたときの効率はウチワのような平板より改善される。ところが、逆回転の場合は風量が小さくなるのが問題である。
【0074】
これに対して
図9に示す第2ファン64では、平板を組み合わせると、正回転・逆回転ともに迎え角(アタックアングル)は同じになり、正/逆回転によらず同じ風量がえられるので本発明には最適である。次に作用を説明する。前記第2ファン64において、このブレードの羽根中央部64a,羽根端部64b、64cとする。中央の羽根中央部64aの部分は正逆回転ともに迎い角はα+βで同一である。正回転の場合羽根端部64cが前縁となりこの部分の迎い角は羽根中央部64aよりβだけ小さいαとなり空気との激突を和らげる。また、
図9において符号64dは羽根取付部、64eは前記第2ファン64を回転させるモータである。
【0075】
図10に示す別の実施形態の第2ファン64では、
図9と同様な構成の4枚羽根構造を有しており、回転・逆回転ともに迎え角(アタックアングル)は同じになり、正/逆回転によらず同じ風量がえられている。また、ブレードを羽根中央部64a,羽根端部64b、64c,モータ64eは
図9と同様であって、前記羽根取付部64dが筒状を成している。特に、迎い角α+βは、約30度であり、角度βは約5度である。この形状は最適と思料される。また、
図11(D)に示すように、3枚羽根構造でも、4枚羽根構造と同様の効果を奏する。
【0076】
また、羽根端部64bが後縁となるが、羽根中央部64aより角度が小さくなり、背面に発生する渦を軽減する。このように三段折れにすることによりウチワ型よりキャンバ翼のブレードに近づく。逆回転の場合は羽根端部64bが前縁、羽根端部64cが後縁となるだけで、正回転のときと同じ形状となるので、正回転の場合はキャンバ翼には及ばないが正・逆回転とも同じ風量を確保できる。第2ファン64において、通過風を総合筐体9の外方から総合筐体9の内方に入れる方向となるように回転する方向を正回転方向とする。また、第2ファン64において、通過風を総合筐体9の内方から総合筐体9の外方へ出す方向となるように回転する方向を逆回転方向とする。
【0077】
第1ファン63と第2ファン64との回転方向を、冷房時,オーバーヒート時,暖房時について説明する。冷房時,オーバーヒート時,暖房時において、第1ファン63は、常に正回転であり、総合筐体9の外方から総合筐体9の内方に通過風を入れるように作動する。第2ファン64は、正・逆回転できる構造を具備している。冷房時では、
図10(A)に示すように、総合筐体9内に第1ラジェータ61側から第2ラジェータ62側に向かって通過風が一方通行となるように流れる。第2ファン64は逆回転となり、総合筐体9の内方から総合筐体9の外方に通過風を出すように作用する。冷房時なので、第1冷却水循環流路51及び第1ラジェータ61には冷却水は循環通水していない。
【0078】
オーバーヒート時では、
図8(B)に示すように、総合筐体9の内方に強い換気が必要となる。そこで、第1ファン63と第2ファン64とによって、総合筐体9内に通過風を入れて換気を行う。第1ファン63及び第2ファン64は、共に強い正回転となる。このとき第1冷却水循環流路51及び第1ラジェータ61には冷却水は循環通水していない。
【0079】
暖房時では、
図8(C)に示すように、総合筐体9内に第1ラジェータ61側から第2ラジェータ62側に向かって強い通過風が流れるようにする。第2ファン64は逆回転もしくは停止状態とする。暖房時なので、第1冷却水循環流路51及び第1ラジェータ61には冷却水は循環通水している。
【0080】
以上の説明において、モータ3を直流モータとして説明した。次に、モータ3として交流モータ3Aが使用される実施形態について
図18乃至
図20に基づいて説明する。この実施形態では、直流発電機2の代わりに、交流発電機2Aが使用され、モータ3は前述したように、交流モータ3Aが使用される(
図16乃至ず18参照)。ガスエンジン1,第1冷却水循環流路51,第2冷却水循環流路52,コンプレッサ41,コンデンサ42等の機器の構成及び配置及び暖房時及び冷房時の冷却水及び冷媒の働きについては、前述した直流発電機2及び直流モータ3を使用した実施形態の構成及び暖房時及び冷房時の冷却水及び冷媒の働きと同一であるため、
図2乃至の
図7を参照されたい。この実施形態では、該交流発電機2Aは、ガスエンジン1によって、交流電流を交流用の制御器35Aに送る。
【0081】
交流用の制御器35Aは、直流モータ3に対応するものとは異なるものであり、交流モータ3Aに対応するものを説明する。制御器35Aは、整流器35aを備えている。整流器35aは、交流発電機2Aから交流モータ3Aへ電流を送るときに、交流モータ3Aに適した基本周波数に調整する役目を有するものである(
図20参照)。
【0082】
さらに、この基本周波数は、交流モータ3Aを駆動させるために増幅する必要がある。そこで、前記基本周波数の交流電流を大容量のトランジスタ35tに送り、このトランジスタ35tに交流モータ3Aの稼働に必要な駆動周波数に増幅させる交流シグナルをTCU(総合制御器)66による指令にて送る〔
図20(B)参照〕。
【0083】
そして、このトランジスタ35tが前記整流器による基本周波数を増幅して、交流モータ3Aの回転駆動に必要な駆動周波数に増幅し、交流モータ3Aを駆動するものである。TCU(総合制御器)66による指令により、基本周波数に対して増幅量を大きくした駆動周波数によって、交流モータ3Aの回転数を増加させることにより、冷暖房能力を上げることができる。
【0084】
また、TCU(総合制御器)66の指令により、基本周波数の増幅量を小さくし駆動周波数にすることにより、冷暖房能力を下げて、省エネルギとすることができる。具体的には交流モータ3Aの出力を上げる場合、TCU(総合制御器)66から制御器35へ指令が出され、該制御器35のb点(ベース)からe点(エミッタ)に流れる電流を増大させる指令を与える。これによって、トランジスタ35tのc点(コレクタ),b点(ベース),e点(エミッタ)を流れる電流が格段に増大し、交流モータ3Aの出力が増大して、暖房又は冷房の能力が大きくなる。
【0085】
交流発電機2A及び交流モータ3Aを使用した冷暖房装置の実施形態においては、インバータ65は、AC-ACインバータが使用される〔
図20(A)参照〕。該インバータ65(AC-ACインバータ)は、交流発電機2Aによって発電された高圧の交流電流を安定させると共に、一般の交流電源として使用されるように、調整する役目を有する。
【0086】
また、
図19は、発電機に交流発電機2Aを使用し、モータ3に直流モータを使用した実施形態である。この実施形態では、交流発電機2Aによる交流発電を制御器35によって、交流を直流に変換して直流モータ3に電気を送るものである。
【符号の説明】
【0087】
A1…パワーユニット、A2…コンプレッサユニット、1…ガスエンジン、
2…直流発電機、2A…交流発電機、3…モータ、3A…交流モータ、
41…コンプレッサ、42…コンデンサ、51…第1冷却水循環流路、
52…第2冷却水循環流路、53…水路切替弁、61…第1ラジェータ、
62…第2ラジェータ、63…第1ファン、64…第2ファン、
66…TCU(総合制御器)、67…ECU(エンジンコントロールユニット)、
9…総合筐体、91…第1筐体、92…第2筐体、64a…羽根中央部、
64b,64c…羽根端部、α+β…迎い角。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
ガスエンジンと、該ガスエンジンの冷却水が循環する第1冷却水循環流路と第2冷却水循環流路と、前記第1冷却水循環流路内に設けられる第1ラジェータと、前記第2冷却水循環流路内に設けられる第2ラジェータと、冷却水が前記第1冷却水循環流路と前記第2冷却水循環流路の何れか一方に循環させる水路切替弁と、前記ガスエンジンにて駆動する発電機と、該発電機にて稼働するモータと、該モータで駆動され冷媒を圧縮するコンプレッサと、冷媒を熱交換するコンデンサと、前記第1ラジェータに通過風を与える第1ファンと、前記第2ラジェータに通過風を与える第2ファンとを有する総合筐体を備えるガスエンジン冷暖房装置において、冷房時及び暖房時では、前記第1ファンと前記第2ファンとによって前記第1ラジェータ側から前記第2ラジェータ側に向かって通過風が一方通行となるように流れるようにし、オーバーヒート時には、前記水路切替弁にて前記第2冷却水循環流路に冷却水を流す構成とすると共に前記第1ファン及び前記第2ファンによって総合筐体内に通過風を入れて換気することにしつつ前記第2ファンは正回転させるようにし、該第2ファンは、複数の羽根を有し、該羽根は、回転方向に沿う中間に平板の羽根中央部を有し、該中央羽根部の回転方向両端に羽根端部を有し、前記第2ファンの正逆回転の両該羽根端部の迎い角α+βを同一にしつつ、羽根の両端部は同一角βとして屈曲形成し、前記第2ファンは正・逆回転とも同じ風量を確保できることを特徴とするガスエンジン冷暖房装置におけるファン構造。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、ガスエンジンと、該ガスエンジンの冷却水が循環する第1冷却水循環流路と第2冷却水循環流路と、前記第1冷却水循環流路内に設けられる第1ラジェータと、前記第2冷却水循環流路内に設けられる第2ラジェータと、冷却水が前記第1冷却水循環流路と前記第2冷却水循環流路の何れか一方に循環させる水路切替弁と、前記ガスエンジンにて駆動する発電機と、該発電機にて稼働するモータと、該モータで駆動され冷媒を圧縮するコンプレッサと、冷媒を熱交換するコンデンサと、前記第1ラジェータに通過風を与える第1ファンと、前記第2ラジェータに通過風を与える第2ファンとを有する総合筐体を備えるガスエンジン冷暖房装置において、冷房時及び暖房時では、前記第1ファンと前記第2ファンとによって前記第1ラジェータ側から前記第2ラジェータ側に向かって通過風が一方通行となるように流れるようにし、オーバーヒート時には、前記水路切替弁にて前記第2冷却水循環流路に冷却水を流す構成とすると共に前記第1ファン及び前記第2ファンによって総合筐体内に通過風を入れて換気することにしつつ前記第2ファンは正回転させるようにし、該第2ファンは、複数の羽根を有し、該羽根は、回転方向に沿う中間に平板の羽根中央部を有し、該中央羽根部の回転方向両端に羽根端部を有し、前記第2ファンの正逆回転の両該羽根端部の迎い角α+βを同一にしつつ、羽根の両端部は同一角βとして屈曲形成し、前記第2ファンは正・逆回転とも同じ風量を確保できることを特徴とするガスエンジン冷暖房装置におけるファン構造としたことにより、上記課題を解決した。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項1の本発明では、オーバーヒート時には、前記第1ファン及び前記第2ファンによって総合筐体内に通過風を入れて換気することにしつつ前記第2ファンは正回転させるようにし、該第2ファンの正逆回転の迎い角α+βを同一にしつつ、羽根の両端部は同一角βとして屈曲形成してなることで、特に、前記第2ファンの正逆回転の送風効率が優れたものにでき、特に夏場の高温時におけるオーバーヒート時又はこの近似状態辞に効果的であり、オーバーヒートを確実に防止できる。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスエンジンと、該ガスエンジンの冷却水が循環する第1冷却水循環流路と第2冷却水循環流路と、前記第1冷却水循環流路内に設けられる第1ラジェータと、前記第2冷却水循環流路内に設けられる第2ラジェータと、冷却水が前記第1冷却水循環流路と前記第2冷却水循環流路の何れか一方に循環させる水路切替弁と、前記ガスエンジンにて駆動する発電機と、該発電機にて稼働するモータと、該モータで駆動され冷媒を圧縮するコンプレッサと、冷媒を熱交換するコンデンサと、前記第1ラジェータに通過風を与える第1ファンと、前記第2ラジェータに通過風を与える第2ファンとを有する総合筐体を備えるガスエンジン冷暖房装置において、冷房時及び暖房時では、前記第1ファンと前記第2ファンとによって前記第1ラジェータ側から前記第2ラジェータ側に向かって通過風が一方通行となるように流れるようにし、オーバーヒート時には、前記水路切替弁にて前記第2冷却水循環流路に冷却水を流す構成とすると共に前記第1ファン及び前記第2ファンによって総合筐体内に通過風を入れて換気することにしつつ前記第2ファンは正回転させるようにし、該第2ファンは、複数の羽根を有し、該羽根は、回転方向に沿う中間に平板の羽根中央部を有し、該羽根中央部の回転方向両端に羽根端部を有し、前記第2ファンの正逆回転の前記羽根中央部の迎い角α+βにしつつ、羽根の両前記羽根端部は同一角αとして屈曲形成し、前記第2ファンは正・逆回転とも同じ風量を確保できることを特徴とするガスエンジン冷暖房装置。
【請求項2】
請求項1に記載のガスエンジン冷暖房装置において、前記第2ファンの羽根の数を4枚としてなることを特徴とするガスエンジン冷暖房装置。
【請求項3】
請求項1に記載のガスエンジン冷暖房装置において、前記第2ファンの羽根の数を3枚としてなることを特徴とするガスエンジン冷暖房装置。
【請求項4】
請求項1乃至3に記載のガスエンジン冷暖房装置において、第2ファンの羽根の前記羽根中央部の迎い角α+βを30度とし、該βを5度としてなることを特徴とするガスエンジン冷暖房装置。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0001
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0001】
本発明は、小型のガスエンジン及び直流発電機を用いて、冷暖房装置を効率良く稼働させるガスエンジン冷暖房装置に関する。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
そこで、発明者は上記課題を解決すべく鋭意,研究を重ねた結果、請求項1の発明を、ガスエンジンと、該ガスエンジンの冷却水が循環する第1冷却水循環流路と第2冷却水循環流路と、前記第1冷却水循環流路内に設けられる第1ラジェータと、前記第2冷却水循環流路内に設けられる第2ラジェータと、冷却水が前記第1冷却水循環流路と前記第2冷却水循環流路の何れか一方に循環させる水路切替弁と、前記ガスエンジンにて駆動する発電機と、該発電機にて稼働するモータと、該モータで駆動され冷媒を圧縮するコンプレッサと、冷媒を熱交換するコンデンサと、前記第1ラジェータに通過風を与える第1ファンと、前記第2ラジェータに通過風を与える第2ファンとを有する総合筐体を備えるガスエンジン冷暖房装置において、冷房時及び暖房時では、前記第1ファンと前記第2ファンとによって前記第1ラジェータ側から前記第2ラジェータ側に向かって通過風が一方通行となるように流れるようにし、オーバーヒート時には、前記水路切替弁にて前記第2冷却水循環流路に冷却水を流す構成とすると共に前記第1ファン及び前記第2ファンによって総合筐体内に通過風を入れて換気することにしつつ前記第2ファンは正回転させるようにし、該第2ファンは、複数の羽根を有し、該羽根は、回転方向に沿う中間に平板の羽根中央部を有し、該羽根中央部の回転方向両端に羽根端部を有し、前記第2ファンの正逆回転の前記羽根中央部の迎い角α+βにしつつ、羽根の両前記羽根端部は同一角αとして屈曲形成し、前記第2ファンは正・逆回転とも同じ風量を確保できることを特徴とするガスエンジン冷暖房装置としたことにより、上記課題を解決した。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
請求項2の発明は、請求項1に記載のガスエンジン冷暖房装置おいて、前記第2ファンの羽根の数を4枚としてなることを特徴とするガスエンジン冷暖房装置としたことにより、上記課題を解決した。請求項3の発明を、請求項1に記載のガスエンジン冷暖房装置において、前記第2ファンの羽根の数を3枚としてなることを特徴とするガスエンジン冷暖房装置としたことにより、上記課題を解決した。請求項4の発明を、請求項1乃至3に記載のガスエンジン冷暖房装置において、第2ファンの羽根の前記羽根中央部の迎い角α+βを30度とし、該βを5度としてなることを特徴とするガスエンジン冷暖房装置としたことにより、上記課題を解決したものである。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
請求項1の本発明では、オーバーヒート時には、前記第1ファン及び前記第2ファンによって総合筐体内に通過風を入れて換気することにしつつ前記第2ファンは正回転させるようにし、該第2ファンの正逆回転の迎い角α+βを同一にしつつ、羽根の両前記羽根端部は同一角αとして屈曲形成してなることで、特に、前記第2ファンの正逆回転の送風効率が優れたものにでき、特に夏場の高温時におけるオーバーヒート時又はこの近似状態辞に効果的であり、オーバーヒートを確実に防止できる。
【手続補正7】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0014
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0014】
また、請求項2及び請求項3の発明では、4枚羽根でも、3枚羽根でも同等の効果を奏するものである。さらに、請求項4の発明では、前記第2ファンの羽根の前記羽根中央部の迎い角α+βを30度とし、該βを5度としたことで、特に効率的な正逆回転ができるファン構造を安価且つ簡単にできる利点がある。
【手続補正8】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0072
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0072】
まず、筐体(総合筐体9,第1筐体91又は第2筐体92)の温度を検出して、60°Cに達したらTCU(総合制御器)66の指令で第2ファン64を正回転から最大限の逆回転とし、筐体内に外気を導入し、筐体内を冷却するものである。また、第2ファン64は複数の羽根64を有し、核該羽根64は、回転方向に沿う中間に平板の羽根中央部64aを有し、該羽根中央部64aの回転方向両端に端子両端の羽根端部64b、64cを有し、両該羽根端部64b、64cの迎角は同一とすると共に前記羽根中央部64aの迎角よりも小さい角として設定されている。