IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 國立中央大學の特許一覧

<>
  • 特開-切削設備及びその保持装置 図1
  • 特開-切削設備及びその保持装置 図2
  • 特開-切削設備及びその保持装置 図3
  • 特開-切削設備及びその保持装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124288
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】切削設備及びその保持装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/00 20060101AFI20240905BHJP
   B28D 7/04 20060101ALI20240905BHJP
   B28D 1/08 20060101ALI20240905BHJP
   B28D 5/04 20060101ALI20240905BHJP
   B23Q 3/02 20060101ALI20240905BHJP
   B24B 41/06 20120101ALI20240905BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B23Q11/00 A
B28D7/04
B28D1/08
B28D5/04 B
B23Q3/02 A
B24B41/06 Z
F16F15/02 J
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023090457
(22)【出願日】2023-05-31
(31)【優先権主張番号】112107434
(32)【優先日】2023-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】504007741
【氏名又は名称】國立中央大學
【住所又は居所原語表記】NO.300, Jhongda Road, Jhongli District, Taoyuan City, TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】鍾雲吉
【テーマコード(参考)】
3C011
3C016
3C034
3C069
3J048
【Fターム(参考)】
3C011AA04
3C016BA04
3C034AA17
3C034BB73
3C034DD10
3C069AA01
3C069BA03
3C069BA06
3C069BC01
3C069CA03
3C069CB01
3C069CB03
3C069EA02
3J048AA06
3J048AD08
3J048BE14
3J048CB21
3J048EA07
(57)【要約】
【課題】切削設備に応用され、切削対象物を保持するために用いられる、保持装置を提供する。
【解決手段】保持装置は、保持具と複数の減振粒子を含む。保持具は切削対象物を保持するために使用され、保持具には少なくとも1つの収容室が含まれ、各収容室は、保持具の外表面から内側に延伸して収容空間を形成する。複数の減振粒子は、少なくとも1つの収容室に配置される。そのうち、切削対象物は、被切削過程において、複数の減振粒子が互いにまたは各収容室のチャンバ壁と衝突および摩擦することによって、切削対象物が発生する振動を低減し、これにより、切削対象物が被切削後において形成する複数の小さい物件の表面のわずかな湾曲が減少する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削設備に応用され、切削対象物を保持するために用いられる、保持装置であって、前記保持装置は、保持具と、複数の減振粒子を含み、
前記保持具は、前記切削対象物を保持するために使用され、前記保持具は少なくとも1つの収容室を含み、各前記収容室は、前記保持具の外表面から内側に延伸して収容空間を形成することと、及び、
前記複数の減振粒子は、前記少なくとも1つの収容室内に配置されることと、
そのうち、前記切削対象物は、被切削過程において、前記複数の減振粒子が互いにまたは前記各収容室のチャンバ壁と衝突および摩擦することによって、前記切削対象物が発生する振動を低減し、これにより、前記切削対象物が被切削後において形成する複数の小さい物件の表面のわずかな湾曲が減少することと、を特徴とする保持装置。
【請求項2】
前記保持具は、相対する第一面および第二面を含み、各前記収容室は、前記第一面から、前記第一面に対して実質的に垂直な軸線方向に沿って前記第二面に向かって延伸すること、を特徴とする請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
前記軸線方向は、前記切削対象物の被切削方向に対して実質的に垂直であること、を特徴とする請求項2に記載の保持装置。
【請求項4】
前記少なくとも1つの収容室が単一個である場合、前記収容室は前記保持具の中心位置に設置されること、を特徴とする請求項1に記載の保持装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つの収容室が複数個である場合、前記収容室は前記保持具の中心位置に基づいて対称構造を呈して配列されること、を特徴とする請求項1に記載の保持装置。
【請求項6】
前記複数の減振粒子は、前記複数の収容室の少なくとも1つに充填されること、を特徴とする請求項5に記載の保持装置。
【請求項7】
各前記収容室は、円柱状の孔、矩形柱状の孔、または楕円柱状の孔であること、を特徴とする請求項1に記載の保持装置。
【請求項8】
各前記収容室は、盲孔または貫通孔であること、を特徴とする請求項7に記載の保持装置。
【請求項9】
前記複数の減振粒子は、金属、合金、または塑性材料から製造されること、を特徴とする請求項1に記載の保持装置。
【請求項10】
前記複数の減振粒子は、空心または実心粒子構造であること、を特徴とする請求項1に記載の保持装置。
【請求項11】
前記複数の減振粒子は、球状粒子または非球状粒子であること、を特徴とする請求項1に記載の保持装置。
【請求項12】
切削対象物に対して切削作業を実行する切削設備であって、前記切削設備は、請求項1から11のいずれかに記載の保持装置と、駆動装置と、切削機器と、を含み、
前記保持装置は、切削対象物を保持するために用いられることと、
前記駆動装置は、前記保持装置に接続され、前記保持装置を軸線方向に沿って切削装置に近づけるか、または遠ざけることができることと、
前記切削機器は、前記保持装置に対応して設置され、且つ、前記切削機器は、切削対象物の被切削方向に沿って往復または循環移動することができ、それにより、切削対象物に対して切削作業を実行すること、を特徴とする切削設備。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、保持装置に関し、特に、切削設備に応用され、且つ、振動を減少させる効果(減振効果)を有する保持装置(固定保持装置)を指す。本発明は、さらに、前記保持装置を応用する切削設備を含む。
【背景技術】
【0002】
多くの部品は、製造過程で体積の大きい部品を複数の体積の小さい部品に切削する切削作業が必要であり、これにより、後続の加工を容易にする。切削作業が実行される過程で、一般的には切削機器(例えば、ナイフ、ノコギリなど)を大きい部品に対して往復または循環移動させ、大きい部品を切削する。しかし、切削機器が大きい部品に接触した後、切削機器の移動に伴って、大きい部品は振動を発生することがあり、その結果、切削後に形成される複数の小さい部品の切削表面が不均一になるなどの問題が生じることがある。特に、精密部品(例えば、ウェハー柱など)を切削する作業を行う場合、振動によって前述の問題が発生すると、切削後に形成される小さい部品(例えば、ウェハーや微結晶など)の平坦度に対する影響がより顕著であり、精密部品の製造コストや余分な損失が増える。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、切削設備に応用され、減振効果を持つ保持装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記目的を達成するために、本発明の保持装置は、保持具(固定保持要素)および複数の減振粒子を含む。保持具は切削対象物を保持するために使用され、保持具には少なくとも1つの収容室が含まれ、各収容室は、保持具の外表面から内側に延伸して収容空間を形成する。複数の減振粒子は、少なくとも1つの収容室に配置される。そのうち、切削対象物は、被切削過程において、複数の減振粒子が互いにまたは各収容室のチャンバ壁と衝突および摩擦することによって、切削対象物が発生する振動を低減し、これにより、切削対象物が被切削後において形成する複数の小さい物件の表面のわずかな湾曲が減少する。
【0005】
本発明の一実施例では、保持具は、相対する第一面および第二面を含み、各収容室は第一面から、第一面に対して実質的に垂直な軸線方向に沿って第二面に向かって延伸する。
【0006】
本発明の一実施例では、軸線方向は、切削対象物の被切削方向に対して実質的に垂直である。
【0007】
本発明の一実施例では、少なくとも1つの収容室が単一個である場合、収容室は保持具の中心位置に設置される。
【0008】
本発明の一実施例では、少なくとも1つの収容室が複数の場合、これらの収容室は保持具の中心位置に基づいて対称構造を呈して配列される。
【0009】
本発明の一実施例では、複数の減振粒子は、これらの収容室のうち少なくとも1つに充填される。
【0010】
本発明の一実施例では、各収容室は、円柱状の孔、矩形柱状の孔、または楕円柱状の孔である。
【0011】
本発明の一実施例では、各収容室は、盲孔または貫通孔である。
【0012】
本発明の一実施例では、複数の減振粒子は、金属、合金、または塑性材料(合成樹脂)から製造される。
【0013】
本発明の一実施例では、複数の減振粒子は、空心または実心粒子構造である。
【0014】
本発明の一実施例では、複数の減振粒子は、球状粒子または非球状粒子である。
【0015】
これにより、本発明の保持装置は、複数の減振粒子の設置によって、切削対象物が被切削過程中に発生する振動を低減し、保持具によって安定した保持が可能となり、被切削後に形成される複数の小さい物件の表面の反り幅が低減される。さらに、複数の減振粒子の設置により、保持具の重心が大体中心位置に保たれ、保持具の移動がより安定する。
【0016】
本発明のもう一つの目的は、前述の保持装置を応用した切削設備を提供することである。本発明の切削設備は、前述の保持装置、駆動装置、および切削装置を含む。保持装置は、切削対象物を保持するために使用される。駆動装置は、保持装置に接続され、保持装置を軸線方向に沿って切削装置に近づけるか、または遠ざけることができる。切削機器は、保持装置に対応して設置され、切削機器は、切削対象物の被切削方向に沿って往復または循環移動することができ、切削対象物に対して切削作業を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の保持装置の概略図である。
図2】本発明の保持装置の部分断面図である。
図3】本発明の保持装置の別の実施例の概略図である。
図4】本発明の切削設備の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
各種態様と実施例は例示的であり制限的ではないため、本明細書を読んだ後、通常の知識を有する者が本発明の範囲から逸脱しない範囲で、他の態様や実施例が可能である。以下の詳細な説明と特許請求の範囲により、これらの実施例の特徴と利点がより明確になる。
【0019】
本文中では、「一」または「1つ」という表現を用いて要素や部品を説明している。これらは単に説明の便宜上のためであり、本発明の範囲に一般的な意味を提供するものである。したがって、明らかに別の意味を示す場合を除いて、このような表現は一つまたは少なくとも一つを含むものと理解され、単数は複数を含むものとする。
【0020】
本文中では、「第一」または「第二」などの類似の序数詞は、主に同一または類似の要素や構造を区別または指示するために使用され、これらの要素や構造の空間的または時間的な順序を必ずしも示唆しない。ある状況や構成においては、序数詞を交換して使用することが可能であり、本発明の実施に影響を与えないことを理解されたい。
【0021】
本文中では、「含む」、「有する」またはその他の類似の用語は、排他的ではない包含物を意味するものとする。例えば、複数の要件を含む要素や構造は、本文で示されたこれらの要件に限定されず、当該要素や構造に固有でありながら明確に示されていない他の要件も含むことができる。
【0022】
本発明の保持装置は、切削設備に応用されるものであり、例えばワイヤ切削設備、刀具切削設備、鋸切削設備などであるが、本発明はこれらの設備に限定されるものではない。以下の実施例では、ワイヤ切削設備を例に説明する。すなわち、移動する線材(金属や合金からなる単一線や多線、または線材表面に硬質の補助切削粒子、例えばダイヤモンド顆粒などをめっきする)を主要な切削機器として使用する。前述の線材は、少なくとも1つの軸方向に沿って往復または循環移動させることで、切削対象物に対して切削作業を実行し、大きい切削対象物を小さい複数の部品に切削する。
【実施例0023】
図1から図3を併せて参照されたい。そのうち、図1は本発明の保持装置の概略図であり、図2は本発明の保持装置の部分断面図であり、図3は本発明の保持装置の別の実施例の概略図である。図1および図2に示すように、本発明の保持装置10は、保持具11と複数の減振粒子12を含む。保持具11は、切削対象物20(図1では破線で表示)を保持するために使用される。例えば、本発明の保持装置10がウェハ切削機に応用される場合、切削対象物20は大きい晶柱であり、晶柱を切削することで複数の小さいウェハ片が形成されるが、本発明はこれに限定されるものではない。保持具11は、その自身の構造(例えばクランプなど)または追加的に応用される接着部品によって切削対象物を保持することができる。前述のウェハ切削機の例では、保持具11はまず接着部品(例えばエポキシ樹脂など)を用いてウェハを保持し、ウェハの切削が完了した後、特定の溶剤を用いて接着部を除去してウェハを取り外すことができる。
【0024】
図1に示すように、保持具11は、矩形体に似た構造であり、その矩形体は保持具11の中心位置に基づいて対称構造を呈するが、本発明はこれに限定されず、例えば保持具11は他の形状や非対称の立体構造に設計することもできる。保持具11の構造寸法は、要求に応じて変更することができる。また、保持具11は、変形しにくい剛性材料で作られている。例えば金属、石材、プラスチック材料、または類似の特性を有する他の材料などだが、本発明はこれに限定されない。
【0025】
本発明において、保持具11は少なくとも1つの収容室111を含んでいる。少なくとも1つの収容室111の設置数量と設置位置は、要求に応じて調整することができる。例えば、少なくとも1つの収容室111は、単一または複数存在することができる。少なくとも1つの収容室111が単一の場合、収容室111は保持具11の中心位置に設置されることができる。図3に示すように、しかし本発明はこれに限定されず、例えば単一の収容室111は、要求に応じて前述の中心位置からずれた他の位置に設置することもできる。少なくとも1つの収容室111が複数の場合、これらの収容室111は、保持具11の中心位置に基づいて対称構造を呈して配列される。図1に示すように、この実施例では、保持具11は4つの収容室111を含んでおり、4つの収容室111は保持具11の中心位置を囲んで設置され、構造的に対称に配列されている。また、これらの収容室111は同じ寸法を持っているが、本発明はこれに限定されず、例えば複数の収容室111は、要求に応じて保持具11の中心位置に基づいて構造的に非対称に配列されるか、あるいは異なる寸法を持つことができる。
【0026】
図1および図2に示すように、構造設計上、各収容室111は保持具11の外表面から内部へ向かって凹んで延伸して収容空間Sを形成している。本発明の一実施例では、保持具11は、相対する第一面112および第二面113を含み、各収容室111は第一面112から、第一面112に対し実質的に垂直な軸線方向Oに沿って第二面113に向かって凹んで延伸する。ここで述べる軸線方向Oは、切削対象物20の被切削方向Pおよび切削対象物20の長さ方向Lに実質的に垂直である。つまり、切削対象物20の被切削方向Pおよび長さ方向Lは、実質的に保持具11の第一面112および第二面113にそれぞれ平行である。本発明の一実施例では、各収容室111は円柱状の孔、矩形柱状の孔、または楕円柱状の孔であるが、本発明はこれに限定されず、例えば各収容室111は他の形状の孔であってもよい。
【0027】
また、各収容室111の軸線方向Oに沿った延伸の長さは、要求に応じて調整することができる。例えば、図2に示すように、各収容室111は盲孔である。つまり、各収容室111は第一面112から軸線方向Oに沿って第二面113に向かって延伸しているが、第二面113にまでは延伸していない。しかし、本発明はこれに限定されず、例えば各収容室111は、第一面112から軸線方向Oに沿って第二面113にまで延伸する貫通孔であってもよい。前述の盲孔または貫通孔の設計に応じて、各収容室111は、1つまたは複数の蓋体を組み合わせることができ、盲孔または貫通孔の開口部を封じることができる。
【0028】
複数の減振粒子12は、少なくとも1つの収容室111内に配置される。複数の減振粒子12は、金属、合金、またはプラスチック材料で作られており、例えば本発明では、複数の減振粒子12は、変形しにくいタングステンまたは鋼で作られている。また、複数の減振粒子12がプラスチック材料で作られている場合、材料の変形可能性により、粒子自体が弾性を持つことができる。設計や要求に応じて、複数の減振粒子12は、実心粒子構造または空心粒子構造であり、また、複数の減振粒子12は、球状粒子または非球状粒子であってもよい。本発明の一実施例では、複数の減振粒子12は、これらの収容室111のうち少なくとも1つに配置することができる。複数の減振粒子12の総質量と位置(すなわち、異なる収容室111に配置する選択)を調整することにより、保持具11の重心が前述の中心位置に保たれ、切削作業中の保持具11の構造および状態の安定性が維持される。
【0029】
本実施例において、複数の減振粒子12は、収容室111を完全には満たさず、すなわち、収容室111は、複数の減振粒子12を収納した後も、一定の空間を残しており、複数の減振粒子12が、保持具11の移動に伴って収容室111内で自由に移動できるようになっており、複数の減振粒子12とチャンバ壁面114との間に摩擦および衝突が発生する。ただし、設計要求に応じて、複数の減振粒子12は、収容室111を完全に満たすこともできる。
【0030】
以下、図1の実施例を用いて、本発明の保持装置10の応用を説明する。まず、切削対象物20は、本発明の保持装置10の保持具11によって保持され、保持具11は、切削設備の駆動装置によって駆動されて、切削対象物20を軸線方向Oに沿って切削機器に移動させる。切削対象物20の被切削過程で、切削機器が接触し、被切削方向Pに沿って往復または循環移動して切削対象物20を切削すると、切削対象物20と保持具11が振動する可能性があり、その振動は、主に、被切削方向Pに沿った振動、軸線方向Oに沿った振動、および/または切削対象物20の長さ方向L(すなわち、被切削方向Pおよび軸線方向Oにそれぞれ垂直な方向)に沿った振動、を含む。本発明の設計により、各収容室111は軸線方向Oに沿って延伸しており、各収容室111の腔壁が主に切削方向Pおよび切削対象物20の長さ方向Lに垂直であるため、前述の振動が発生した場合、複数の減振粒子12同士および/または複数の減振粒子12と各収容室111の腔壁との間で衝突および摩擦が発生し、切削対象物20が被切削方向Pに沿って発生する振動、軸線方向Oに沿った振動、および/または切削対象物20の長さ方向Lに沿った振動を効果的に低減できる。特に、切削対象物20の長さ方向Lに沿った振動を低減できる。これにより、本発明の保持装置10は、切削対象物20が被切削過程で安定して保たれ、被切削後に形成される複数の小さい物件の表面の反り幅が低減される。
【0031】
図4を参照されたい。これは、本発明の切削設備の概略図である。図4に示すように、本発明は、切削対象物20に対して切削作業を実行するための切削設備1をさらに提供する。本発明の切削設備は、少なくとも前述の保持装置10、駆動装置30、および切削機器40を含む。保持装置10は、切削対象物20を保持するために主に使用され、例えば、追加の接着具Aを用いて切削対象物を接着保持することができる。駆動装置30は、保持装置10に接続され、保持装置10を軸線方向Oで切削機器40に近づけたり遠ざけたりすることができる。切削機器40は、保持装置10に対応して設置され、例えば、図4では、切削機器40は保持装置10の真下に位置し、保持された切削対象物20に対して正対するようになっている。切削機器40は、駆動されて切削機器40が被切削方向Pで往復または循環移動するようにし、保持された切削対象物20に切削作業を実行できるようにする。切削機器40は、単一または複数の線切り要素、刀具要素、または鋸要素で構成されることができる。
【0032】
したがって、本発明の切削設備1が切削作業を実行する際、駆動装置30は、保持装置10を軸線方向Oで徐々に切削装置40に近づけることができ、保持装置10が切削対象物20を切削機器40で切削するように駆動する。逆に、本発明の切削設備1が切削作業を終えた後、駆動装置30は、保持装置10を軸線方向Oで徐々に切削機器40から遠ざけることができ、保持装置10が切削対象物20を切削機器40から引き離すように駆動することができる。これにより、切削された切削対象物20の各部分を取り外すことができる。
【0033】
以上の実施形態は、本質的には単なる補助的な説明であり、実施例や、それらの実施例の応用や用途に対して制限を加えるものではない。また、前述の実施形態で少なくとも一つの示唆される実施例を提案しているが、本発明は多くの変更が可能であることを理解すべきである。同様に理解すべきは、本文で説明されている実施例は、要求される範囲、用途、または構成をいかなる方法で制限するものではない。逆に、前述の実施例は、属する技術分野の通常の知識を有する者に対し、一つまたは複数の実施例を実行するための簡便な指針を提供できる。さらに、特許請求の範囲に定められた範囲から逸脱しない前提で、要素の機能と配置に各種様々な変更を加えることができ、特許請求の範囲は、既知の同等物および本案出願時に予見できるすべての同等物を含む。
【符号の説明】
【0034】
1 切削設備
10, 10a 保持装置
11, 11a 保持具
111 収容室
112 第一面
113 第二面
114 チャンバ壁面
12 減振粒子
20 切削対象物
30 駆動装置
40 切削装置
O 軸線方向
P 切削方向
L 長さ方向
S 収容空間
A 接着具
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2024-06-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切削設備に応用され、切削対象物を保持するために用いられる、保持装置であって、前記切削対象物が晶柱であり、前記小さい物件が前記晶柱を切削して形成されたウェハ片であり、前記保持装置は、保持具と、複数の減振粒子を含み、
前記保持具は、前記切削対象物を保持するために使用され、前記保持具は少なくとも1つの収容室を含み、各前記収容室は、前記保持具の外表面から内側に延伸して収容空間を形成し、
前記複数の減振粒子は、前記少なくとも1つの収容室内に配置され、
前記前記保持具は、相対する第一面および第二面を含み、各前記収容室は、前記第一面から、前記第一面に対して実質的に垂直な軸線方向に沿って前記第二面に向かって延伸し、前記切削設備の切削方向は、前記晶柱の長さ方向および前記軸線方向に対して実質的に垂直し、
記切削対象物は、被切削過程において、前記複数の減振粒子が互いにまたは前記各収容室のチャンバ壁と衝突および摩擦することによって、前記切削対象物が発生する振動を低減し、これにより、前記切削対象物が被切削後において形成する複数の小さい物件の表面のわずかな湾曲が減少する、を特徴とする保持装置。
【請求項2】
記収容室の個数が単一個である場合、前記収容室は前記保持具の中心位置に設置されること、を特徴とする請求項1に記載の保持装置。
【請求項3】
記収容室の個数が複数個である場合、前記収容室は前記保持具の中心位置に基づいて対称構造を呈して配列されること、を特徴とする請求項1に記載の保持装置。
【請求項4】
前記複数の減振粒子は、前記複数の収容室の少なくとも1つに充填されること、を特徴とする請求項3に記載の保持装置。
【請求項5】
各前記収容室は、円柱状の孔、矩形柱状の孔、または楕円柱状の孔であること、を特徴とする請求項1に記載の保持装置。
【請求項6】
各前記収容室は、盲孔または貫通孔であり、1つまたは複数の蓋体によって閉じることができること、を特徴とする請求項5に記載の保持装置。
【請求項7】
前記複数の減振粒子は、金属、合金、または塑性材料から製造されること、を特徴とする請求項1に記載の保持装置。
【請求項8】
前記複数の減振粒子は、中空粒子構造または中実粒子構造であること、を特徴とする請求項1に記載の保持装置。
【請求項9】
前記複数の減振粒子は、球状粒子または非球状粒子であること、を特徴とする請求項1に記載の保持装置。
【請求項10】
切削対象物に対して切削作業を実行する切削設備であって、前記切削対象物が晶柱であり、前記小さい物件が前記晶柱を切削して形成されたウェハ片であり、前記切削設備は、請求項1から9のいずれかに記載の保持装置と、駆動装置と、切削機器と、を含み、
前記保持装置は、切削対象物を保持するために用いられることと、
前記駆動装置は、前記保持装置に接続され、前記保持装置を軸線方向に沿って切削装置に近づけるか、または遠ざけることができることと、
前記切削機器は、前記保持装置に対応して設置され、且つ、前記切削機器は、切削対象物の被切削方向に沿って往復または循環移動することができ、それにより、切削対象物に対して切削作業を実行すること、を特徴とする切削設備。