(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124295
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】積層型電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20240905BHJP
H01C 7/02 20060101ALI20240905BHJP
H01C 7/04 20060101ALI20240905BHJP
H01C 7/10 20060101ALI20240905BHJP
H01F 27/29 20060101ALI20240905BHJP
H10N 30/50 20230101ALI20240905BHJP
H10N 30/87 20230101ALI20240905BHJP
【FI】
H01G4/30 201G
H01G4/30 516
H01C7/02
H01C7/04
H01C7/10
H01F27/29 123
H10N30/50
H10N30/87
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023113078
(22)【出願日】2023-07-10
(31)【優先権主張番号】10-2023-0027755
(32)【優先日】2023-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】成 光東
(72)【発明者】
【氏名】宋 玲娥
(72)【発明者】
【氏名】崔 奉珪
(72)【発明者】
【氏名】李 度▲景▼
(72)【発明者】
【氏名】房 載勳
(72)【発明者】
【氏名】金 完植
【テーマコード(参考)】
5E001
5E034
5E070
5E082
【Fターム(参考)】
5E001AB03
5E001AC10
5E001AD04
5E001AE01
5E001AE02
5E001AE03
5E001AE04
5E001AF06
5E001AH01
5E001AH05
5E001AH07
5E001AH09
5E001AJ01
5E001AJ03
5E034DC01
5E034DC05
5E070AA01
5E070AB10
5E082AA01
5E082AB03
5E082EE04
5E082EE05
5E082EE23
5E082EE35
5E082FF05
5E082FG03
5E082FG04
5E082FG26
5E082FG46
5E082GG10
5E082GG12
(57)【要約】
【課題】積層型電子部品を提供する。
【解決手段】本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層及び内部電極を含む本体と、上記本体上に配置されて上記内部電極と連結される外部電極と、を含み、上記外部電極は導電性金属及びガラスを含み、上記ガラスのうち少なくとも一部はバリウム(Ba)、アルミニウム(Al)及びケイ素(Si)を含むガラスの二次相を含むことができる。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
誘電体層及び内部電極を含む本体と、
前記本体上に配置されて前記内部電極と連結されている外部電極と、を含み、
前記外部電極は導電性金属及びガラスを含み、
前記ガラスのうち少なくとも一部は、バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)及びケイ素(Si)を含むガラスの二次相を含む、積層型電子部品。
【請求項2】
前記ガラスの二次相はBaAl2Si2O8を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項3】
前記ガラスの表面のうち少なくとも一部は、前記ガラスの二次相で囲まれている、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項4】
前記ガラスの全表面は、前記ガラスの二次相で囲まれている、請求項3に記載の積層型電子部品。
【請求項5】
前記ガラスの二次相は、ガラスを構成するアルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)元素のうち、ケイ素(Si)の平均含量が5at%以上20at%以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項6】
前記外部電極の外表面に配置された前記ガラスの二次相中のケイ素(Si)の面積分率は60%以上100%以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項7】
前記外部電極は、前記導電性金属と前記ガラスを含む電極層及び前記電極層上に配置されためっき層を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項8】
前記電極層の平均厚さは1μm以上20μm以下である、請求項7に記載の積層型電子部品。
【請求項9】
前記外部電極の稠密度は85%以上である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項10】
前記外部電極のうち、前記内部電極と前記外部電極が連結される領域は、前記本体が外部に露出しない、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項11】
前記導電性金属はフレーク形状を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項12】
前記フレーク形状の導電性金属のうち少なくとも一部は、アルミニウム(Al)及びケイ素(Si)を含むコーティング層を含む、請求項11に記載の積層型電子部品。
【請求項13】
前記導電性金属は銅(Cu)を含む、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項14】
前記誘電体層は複数の誘電体層を含み、前記複数の誘電体層のうち少なくとも一つの平均厚さは0.4μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項15】
前記内部電極は複数の内部電極を含み、前記複数の内部電極のうち少なくとも一つの平均厚さは0.4μm以下である、請求項1に記載の積層型電子部品。
【請求項16】
前記積層型電子部品は1005(長さ×幅:1.0mm×0.5mm)以下のサイズである、請求項1に記載の積層型電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層型電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
積層型電子部品の一つである積層セラミックキャパシタ(MLCC:Multi-Layered Ceramic Capacitor)は、液晶表示装置(LCD:Liquid Crystal Display)及びプラズマ表示装置パネル(PDP:Plasma Display Panel)等の映像機器、コンピュータ、スマートフォン、及び携帯電話等の様々な電子製品の印刷回路基板に装着され、電気を充電又は放電させる役割を果たすチップ型のコンデンサである。
【0003】
このような積層セラミックキャパシタは、小型でありながらも高容量が保障され、実装が容易であるという利点により、様々な電子装置の部品として使用されることができる。コンピュータ、モバイル機器等、各種の電子機器が小型化、高出力化するにつれて、積層セラミックキャパシタに対する小型化及び高容量化への要求が増大している。
【0004】
積層セラミックキャパシタの小型化及び高容量化を達成するために、内部電極又は誘電体層の薄層化と共に、外部電極の薄膜化も進行している。しかしながら、従来の外部電極ペーストで薄膜の外部電極を形成する場合、導電性金属粒子の大きなサイズにより表面粗さ差が大きくなり、このため焼成時に電極カバレッジが低下するという問題点が発生する可能性がある。また、外部電極と本体との接合力向上のためにガラス(glass)成分を添加しているが、ガラスは外部電極表面の高い稠密度を実現することはできるものの、めっき液耐食性に脆弱であり、めっき工程時に酸性めっき液によりガラスの一部が浸食されることがあり、これにより薄膜の外部電極を適用したチップ(chip)において内部電極が外部に露出したり、外部電極の剥離(delamination)によってめっき切れが発生して、耐湿信頼性が低下するという問題点が発生する可能性がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】韓国公開特許公報第10-2016-0042609号
【特許文献2】韓国登録特許公報第10-1444613号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとするいくつかの課題の一つは、積層型電子部品の信頼性を向上させることである。
【0007】
本発明が解決しようとするいくつかの課題の一つは、外部電極の稠密度を向上させることである。
【0008】
本発明が解決しようとするいくつかの課題の一つは、めっき液による外部電極の浸食を防止することである。
【0009】
本発明が解決しようとするいくつかの課題の一つは、外部からの水分浸透による耐湿信頼性を向上させることである。
【0010】
本発明が解決しようとするいくつかの課題の一つは、外部電極表面のガラス溶出現象(glass pooling)を防止することである。
【0011】
但し、本発明が解決しようとするいくつかの課題は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の一実施形態による積層型電子部品は、誘電体層及び内部電極を含む本体と、前記本体上に配置されて前記内部電極と連結されている外部電極と、を含み、前記外部電極は導電性金属及びガラスを含み、前記ガラスのうち少なくとも一部はバリウム(Ba)、アルミニウム(Al)及びケイ素(Si)を含むガラスの二次相を含むことができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明のいくつかの効果の一つは、積層型電子部品の信頼性を向上させることである。
【0014】
本発明のいくつかの効果の一つは、外部電極の稠密度を向上させることである。
【0015】
本発明のいくつかの効果の一つは、外部電極の耐食性を向上させることである。
【0016】
本発明のいくつかの効果の一つは、積層型電子部品の耐湿信頼性を向上させることである。
【0017】
本発明のいくつかの効果の一つは、外部電極表面のガラス溶出現象(glass pooling)を抑制することである。
【0018】
但し、本発明の多様かつ有益な利点及び効果は上述した内容に限定されず、本発明の具体的な実施形態を説明する過程でより容易に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示す。
【
図2】内部電極の積層構造を示す分離斜視図を概略的に示す。
【
図3】
図1のI-I’線に沿った断面図を概略的に示す。
【
図4】
図1のII-II’線に沿った断面図を概略的に示す。
【
図5】
図3のP領域を拡大した拡大図を概略的に示す。
【
図7】(a)は、比較例の外部電極を走査電子顕微鏡(SEM)によって撮影したイメージであり、(b)は、(a)の点線領域を拡大した拡大イメージであり、(c)は、稠密度を評価するために(b)を変換したイメージである。
【
図8】(a)は、実施例の外部電極を走査電子顕微鏡(SEM)によって撮影したイメージであり、(b)は、(a)の点線領域を拡大した拡大イメージであり、(c)は、稠密度を評価するために(b)を変換したイメージである。
【
図9】(a)は、比較例の外部電極の中央部の断面を走査電子顕微鏡(SEM)によって撮影したイメージであり、(b)は、比較例の外部電極の角の断面を走査電子顕微鏡(SEM)によって撮影したイメージである。
【
図10】(a)は、実施例の外部電極の中央部の断面を走査電子顕微鏡(SEM)で撮影したイメージであり、(b)は、実施例の外部電極の角の断面を走査電子顕微鏡(SEM)によって撮影したイメージである。
【
図11】a-1は、比較例の外部電極の外表面を走査電子顕微鏡(SEM)によって撮影したイメージであり、a-2~a-5は、a-1を電子顕微分析器(EPMA)を介して特定元素をマッピング(mapping)したイメージである。b-1は、実施例の外部電極の外表面を走査電子顕微鏡(SEM)によって撮影したイメージであり、b-2~b-5は、b-1を電子顕微分析器(EPMA)を介して特定元素をマッピング(mapping)したイメージである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、具体的な実施形態及び添付の図面を参照して本発明の実施形態について説明する。しかし、本発明の実施形態は様々な他の形態に変形することができ、本発明の範囲が以下に説明する実施形態に限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、通常の技術者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。したがって、図面における要素の形状及び大きさ等は、より明確な説明のために誇張されることがあり、図面上の同じ符号で示される要素は同じ要素である。
【0021】
そして、図面において本発明を明確に説明するために、説明と関係のない部分は省略し、図面に示した各構成の大きさ及び厚さは説明の便宜上、任意に示しているため、本発明は必ずしも図示したものに限定されるものではない。なお、同一思想の範囲内の機能が同一である構成要素に対しては、同一の参照符号を用いて説明する。さらに、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」と言うとき、これは特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに含み得ることを意味する。
【0022】
図面において、第1方向は積層方向又は厚さT方向、第2方向は長さL方向、第3方向は幅W方向と定義することができる。
【0023】
積層型電子部品
図1は、本発明の一実施形態による積層型電子部品の斜視図を概略的に示すものであり、
図2は、内部電極の積層構造を示す分離斜視図を概略的に示すものであり、
図3は、
図1のI-I’線に沿った断面図を概略的に示すものであり、
図4は、
図1のII-II’線に沿った断面図を概略的に示すものであり、
図5は、
図3のP領域を拡大した拡大図を概略的に示すものであり、
図6は、外部電極の焼成過程を概略的に示すものである。
【0024】
以下、
図1~
図6を参照して、本発明の一実施形態による積層型電子部品について詳細に説明する。但し、積層型電子部品の一例として積層セラミックキャパシタについて説明するが、本発明は、誘電体組成物を利用する様々な電子製品、例えば、インダクタ、圧電体素子、バリスタ、又はサーミスタなどにも適用することができる。
【0025】
本発明の一実施形態による積層型電子部品100は、誘電体層111及び内部電極121、122を含む本体110と、前記本体110上に配置されて前記内部電極121、122と連結されている外部電極131、132と、を含み、前記外部電極131、132は導電性金属及びガラスを含み、前記ガラスのうち少なくとも一部はバリウム(Ba)、アルミニウム(Al)及びケイ素(Si)を含むガラスの二次相を含むことができる。
【0026】
本体110は、誘電体層111及び内部電極121、122が交互に積層されている。
【0027】
より具体的には、本体110は、本体110の内部に配置され、誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように交互に配置される第1内部電極121及び第2内部電極122を含んで容量を形成する容量形成部Acを含むことができる。
【0028】
本体110の具体的な形状に特に限定はないが、図示のように、本体110は六面体形状又はこれと類似の形状からなることができる。焼成過程で本体110に含まれたセラミック粉末の収縮により、本体110は完全な直線を有する六面体形状ではないが、実質的に六面体形状を有することができる。
【0029】
本体110は、第1方向に互いに対向する第1及び第2面1、2、第1及び第2面1、2と連結され、第2方向に互いに対向する第3及び第4面3、4、第1~第4面1、2、3、4と連結され、第3方向に互いに対向する第5及び第6面5、6を有することができる。
【0030】
本体110を形成する複数の誘電体層111は焼成された状態であって、隣接する誘電体層111間の境界は走査電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)を利用せずには確認しにくいほど一体化することができる。
【0031】
誘電体層111を形成する原料は、十分な静電容量が得られる限り限定されない。一般的に、ペロブスカイト(ABO3)系材料を使用することができ、例えば、チタン酸バリウム系材料、鉛複合ペロブスカイト系材料又はチタン酸ストロンチウム系材料などを使用することができる。チタン酸バリウム系材料としては、BaTiO3系セラミック粉末を含むことができ、セラミック粉末の例示として、BaTiO3、BaTiO3にCa(カルシウム)、Zr(ジルコニウム)等が一部固溶した(Ba1-xCax)TiO3(0<x<1)、Ba(Ti1-yCay)O3(0<y<1)、(Ba1-xCax)(Ti1-yZry)O3(0<x<1、0<y<1)又はBa(Ti1-yZry)O3(0<y<1)などが挙げられる。
【0032】
また、誘電体層111を形成する原料は、チタン酸バリウム(BaTiO3)などの粉末に、本発明の目的に応じて様々なセラミック添加剤、有機溶剤、結合剤、分散剤などが添加されることができる。
【0033】
誘電体層111の厚さtdは特に限定する必要はない。
【0034】
但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、誘電体層111の厚さは0.6μm以下であってもよく、より好ましくは0.4μm以下であってもよい。
【0035】
ここで、誘電体層111の厚さtdは、第1及び第2内部電極121、122の間に配置される誘電体層111の厚さtdを意味することができる。
【0036】
一方、誘電体層111の厚さtdは、誘電体層111の第1方向のサイズを意味することができる。また、誘電体層111の厚さtdは、誘電体層111の平均厚さtdを意味することができ、誘電体層111の第1方向の平均サイズを意味することができる。
【0037】
誘電体層111の第1方向の平均サイズは、本体110の第1及び第2方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、一つの誘電体層111の第1方向の平均サイズとは、スキャンされたイメージにおいて、一つの誘電体層111を第2方向に等間隔である30個の地点で第1方向のサイズを測定して算出した平均値を意味することができる。上記等間隔である30個の地点は容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の誘電体層111に拡張して平均値を測定すると、誘電体層111の第1方向の平均サイズをさらに一般化することができる。
【0038】
内部電極121、122は誘電体層111と交互に積層されてもよい。
【0039】
内部電極121、122は第1内部電極121及び第2内部電極122を含むことができ、第1及び第2内部電極121、122は本体110を構成する誘電体層111を間に挟んで互いに対向するように交互に配置され、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ露出することができる。
【0040】
より具体的に、第1内部電極121は第4面4と離隔し、第3面3を介して露出することができ、第2内部電極122は第3面3と離隔し、第4面4を介して露出することができる。本体110の第3面3には、第1外部電極131が配置されて第1内部電極121と連結され、本体110の第4面4には、第2外部電極132が配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0041】
すなわち、第1内部電極121は第2外部電極132とは連結されず、第1外部電極131と連結され、第2内部電極122は第1外部電極131とは連結されず、第2外部電極132と連結されることができる。このとき、第1及び第2内部電極121、122は、中間に配置された誘電体層111によって互いに電気的に分離されることができる。
【0042】
一方、本体110は、第1内部電極121が印刷されたセラミックグリーンシートと、第2内部電極122が印刷されたセラミックグリーンシートとを交互に積層した後、焼成して形成することができる。
【0043】
内部電極121、122を形成する材料は特に限定されず、電気伝導性に優れた材料を使用することができる。例えば、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含むことができる。
【0044】
また、内部電極121、122は、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金のうち一つ以上を含む内部電極用導電性ペーストをセラミックグリーンシートに印刷して形成することができる。内部電極用導電性ペーストの印刷方法としては、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法などを用いることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0045】
一方、内部電極121、122の厚さteは特に限定する必要はない。
【0046】
但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、内部電極121、122の厚さは0.6μm以下であってもよく、より好ましくは0.4μm以下であってもよい。
【0047】
ここで、内部電極121、122の厚さteは、内部電極121、122の第1方向のサイズを意味することができる。また、内部電極121、122の厚さteは、内部電極121、122の平均厚さteを意味することができ、内部電極121、122の第1方向の平均サイズを意味することができる。
【0048】
内部電極121、122の第1方向の平均サイズは、本体110の第1及び第2方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、一つの内部電極の第1方向の平均サイズは、スキャンされたイメージにおいて、一つの内部電極を第2方向に等間隔である30個の地点で第1方向のサイズを測定して計算した平均値であり得る。上記等間隔である30個の地点は容量形成部Acで指定することができる。また、このような平均値の測定を10個の内部電極121、122に拡張して平均値を測定すると、内部電極121、122の第1方向の平均サイズをさらに一般化することができる。
【0049】
一方、本体110は、容量形成部Acの第1方向の両端面(end-surface)上に配置されたカバー部112、113を含むことができる。
【0050】
より具体的には、容量形成部Acの第1方向の上部に配置される上部カバー部112、及び容量形成部Acの第1方向の下部に配置される下部カバー部113を含むことができる。
【0051】
上部カバー部112及び下部カバー部113は、単一の誘電体層111又は2つ以上の誘電体層111を容量形成部Acの上下面にそれぞれ第1方向に積層して形成することができ、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0052】
上部カバー部112及び下部カバー部113は、内部電極121、122を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。すなわち、上部カバー部112及び下部カバー部113はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができる。
【0053】
一方、カバー部112、113の厚さtcは特に限定する必要はない。
【0054】
但し、積層型電子部品の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、カバー部112、113の厚さtcは100μm以下であってもよく、好ましくは30μm以下であってもよく、超小型製品では、より好ましくは20μm以下であってもよい。
【0055】
ここで、カバー部112、113の厚さtcは、カバー部112、113の第1方向のサイズを意味することができる。また、カバー部112、113の厚さtcは、カバー部112、113の平均厚さtcを意味することができ、カバー部112、113の第1方向の平均サイズを意味することができる。
【0056】
カバー部112、113の第1方向の平均サイズは、本体110の第1及び第2方向の断面を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、一つのカバー部をスキャンしたイメージにおいて、第2方向に等間隔である30個の地点で第1方向のサイズを測定して算出した平均値であり得る。
【0057】
また、上述した方法で測定したカバー部の第1方向の平均サイズは、本体110の第1及び第3方向の断面(cross-section)において、カバー部の第1方向の平均サイズと実質的に同じサイズを有することができる。
【0058】
一方、本体110の第3方向の両端面(end-surface)上にはサイドマージン部114、115が配置されてもよい。
【0059】
より具体的に、サイドマージン部114、115は、本体110の第5面5に配置された第1サイドマージン部114、及び第6面6に配置された第2サイドマージン部115を含むことができる。すなわち、サイドマージン部114、115は、本体110の第3方向の両端面(end-surface)に配置されることができる。
【0060】
サイドマージン部114、115は、図示のように、本体110の第1及び第3方向の断面(cross-section)を基準に、第1及び第2内部電極121、122の第3方向の両端と本体110の境界面との間の領域を意味することができる。
【0061】
サイドマージン部114、115は、基本的に物理的又は化学的ストレスによる内部電極121、122の損傷を防止する役割を果たすことができる。
【0062】
サイドマージン部114、115は、セラミックグリーンシート上にサイドマージン部114、115が形成される箇所を除き、導電性ペーストを塗布して内部電極121、122を形成し、内部電極121、122による段差を抑制するために、積層後の内部電極121、122が本体110の第5及び第6面5、6に露出するように切断した後、単一の誘電体層111又は2つ以上の誘電体層111を容量形成部Acの第3方向の両端面(end-surface)に第3方向に積層して形成することもできる。
【0063】
第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115は、内部電極121、122を含まず、誘電体層111と同じ材料を含むことができる。すなわち、第1サイドマージン部114及び第2サイドマージン部115はセラミック材料を含むことができ、例えば、チタン酸バリウム(BaTiO3)系セラミック材料を含むことができる。
【0064】
一方、第1及び第2サイドマージン部114、115の幅wmは特に限定する必要はない。
【0065】
但し、積層型電子部品100の小型化及び高容量化をより容易に達成するために、第1及び第2サイドマージン部114、115の幅wmは100μm以下であってもよく、好ましくは30μm以下であってもよく、超小型製品では、より好ましくは20μm以下であってもよい。
【0066】
ここで、サイドマージン部114、115の幅wmは、サイドマージン部114、115の第3方向のサイズを意味することができる。また、サイドマージン部114、115の幅wmは、サイドマージン部114、115の平均幅wmを意味することができ、サイドマージン部114、115の第3方向の平均サイズを意味することができる。
【0067】
サイドマージン部114、115の第3方向の平均サイズは、本体110の第1及び第3方向の断面(cross-section)を1万倍率の走査電子顕微鏡(SEM)でイメージをスキャンして測定することができる。より具体的に、一つのサイドマージン部をスキャンしたイメージにおいて、第1方向に等間隔である10個の地点で第3方向のサイズを測定して算出した平均値を意味することができる。
【0068】
本発明の一実施形態では、積層型電子部品100が2つの外部電極131、132を有する構造について説明しているが、外部電極131、132の個数や形状などは、内部電極121、122の形態やその他の目的に応じて変更することができる。
【0069】
外部電極131、132は本体110上に配置され、内部電極121、122と連結されることができる。
【0070】
より具体的には、外部電極131、132は、本体110の第3及び第4面3、4にそれぞれ配置され、第1及び第2内部電極121、122とそれぞれ連結される第1及び第2外部電極131、132を含むことができる。すなわち、第1外部電極131は本体の第3面3に配置されて第1内部電極121と連結されることができ、第2外部電極132は本体の第4面4に配置されて第2内部電極122と連結されることができる。
【0071】
外部電極131、132は、金属などのように電気伝導性を有するものであれば、如何なる物質を使用して形成されてもよく、電気的特性、構造的安定性などを考慮して具体的な物質が決定されてもよく、さらに、多層構造を有してもよい。
【0072】
例えば、外部電極131、132は、本体110に配置される電極層131a、132a及び電極層131a、132a上に配置されるめっき層131b、132bを含むことができる。
【0073】
電極層131a、132aに対するより具体的な例を挙げると、電極層131a、132aは、導電性金属及びガラスを含む焼成電極であってもよく、導電性金属及び樹脂を含む樹脂系電極であってもよい。
【0074】
また、電極層131a、132aは、本体110上に焼成電極及び樹脂系電極が順次に形成された形態であってもよい。
【0075】
また、電極層131a、132aは、本体110上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されてもよく、焼成電極上に導電性金属を含むシートを転写する方式で形成されたものであってもよい。
【0076】
電極層131a、132aに使用される導電性金属は、静電容量の形成のために内部電極121、122と電気的に連結できる材質であれば、特に限定されず、例えば、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)、金(Au)、白金(Pt)、錫(Sn)、タングステン(W)、チタン(Ti)及びこれらの合金からなる群から選択された一つ以上を含むことができる。
【0077】
電極層131a、132aは、導電性金属粉末にガラスフリットを添加して調製された導電性ペーストを塗布した後、焼成することにより形成することができる。
【0078】
一方、積層型電子部品の小型化及び高容量化を達成するために、内部電極又は誘電体層の薄層化に加えて、外部電極の薄膜化も共に進行中である。しかしながら、従来の外部電極ペーストで薄膜の外部電極を形成する場合、導電性金属粒子の大きなサイズにより表面粗さ差が大きくなり、これにより焼成時に電極カバレッジが低下するという問題点が発生する可能性がある。また、外部電極と本体との接合力向上のためにガラス(glass)成分を添加しているが、ガラスは外部電極表面の高い稠密度を実現することはできるものの、めっき液耐食性に脆弱であり、めっき工程時に酸性めっき液によりガラスの一部が浸食することがあり、これにより薄膜の外部電極を適用したチップ(chip)において内部電極が外部に露出したり、外部電極の剥離(delamination)によってめっき切れが発生したりして、耐湿信頼性が低下するという問題が発生する可能性がある。
【0079】
このような問題を解決するために、外部電極に用いられる導電性金属粉末(粒子)の微粒化を通じて表面粗さを低減する研究が進められており、微粒子の使用により発生し得る副効果を相殺するために、導電性金属粒子の表面に焼結遅延コーティング層を形成して焼結開始温度を遅延させるなどの方法を使用している。
【0080】
現在、外部電極に主に使用されるガラスは、めっき液の耐食性には脆弱であるが、高い表面稠密度の実現に有利な物質で構成されている。従来の厚膜の外部電極では、ガラスの一部が浸食されても外部電極の電極層が厚いため、めっき工程時に大きな問題は発生しなかったが、薄膜の外部電極では、電極焼成後にめっき層を形成するために酸性のめっき液に浸漬させたとき、電極層の表面に露出したガラスが容易に浸食され、本体にめっき液又は外部の水分が浸透できる通路が形成されるなどの問題が発生することがある。
【0081】
したがって、本発明の一実施形態において、外部電極は導電性金属及びガラスを含み、上記ガラスのうち少なくとも一部はバリウム(Ba)、アルミニウム(Al)及びケイ素(Si)を含むガラスの二次相を含むことにより、薄膜の外部電極の稠密度、めっき耐食性及び耐湿信頼性を向上させることができる効果がある。
【0082】
より具体的には、外部電極131、132に含まれるガラス152は、外部電極131、132の稠密度を向上させることができ、バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)及びケイ素(Si)を含むガラスの二次相151は、耐食性及び耐湿信頼性を向上させることができる。
【0083】
バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)及びケイ素(Si)を含むガラスの二次相は耐食性に優れ、薄膜の外部電極においてもめっき液によりガラスが浸食されず信頼性に優れる。
【0084】
バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)及びケイ素(Si)を含むガラスの二次相は、例えば、BaAl2Si2O8の化学式で表されるガラスの二次相を含むことができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0085】
ガラスの二次相151を含む場合、外部電極131、132の表面においてガラスのプーリング現象(glass pooling)を防止できる効果がある。ここで、ガラスのプーリング現象とは、ガラス成分が溶出して外部電極の表面が膨らむ現象を意味することができる。
【0086】
焼成過程でガラスが溶出するにつれて、外部電極131、132の内部又は外部(表面)に気孔(pore)が形成されることがあるが、後述するコーティング層の焼結遅延効果によりガラスの二次相151が形成されることで、外部電極131、132の内部の気孔をガラスが再充填し、ガラスのプーリング現象が発生しないようにすることができる。
【0087】
ガラスのプーリング現象は、外部電極内部の気孔の形成を伴うことがあり、表面粗さが低下する恐れがある。
【0088】
一方、コーティング層が形成されていない場合、導電性金属の急速焼結により外部電極の内部稠密化が急速に進行し、ガラスの溶出現象により外部電極131、132の表面においてガラスのプーリング現象が発生する可能性がある。
【0089】
ガラスの二次相、例えば、BaAl2Si2O8を確認する方法は、焼成済みチップ(chip)の外部電極の表面をX-ray回折法(XRD:X-ray Diffraction)を用いてBaAl2Si2O8に対応するピーク(peak)の検出により確認することができるが、特にこれに限定されるものではない。
【0090】
さらに他の方法としては、焼成済みチップの外部電極の表面を走査電子顕微鏡(SEM)によって観察した後、電子顕微分析器(EPMA:Electron Probe Micro Analysis)を介して特定元素をマッピング(mapping)して確認することができる。
【0091】
比較例及び実施例を一例として説明すると、以下の通りである。
【0092】
図11a-1は、比較例の外部電極の外表面を5000倍に拡大して走査電子顕微鏡(SEM)によって撮影したイメージであり、
図11a-2~
図11a-5は、
図11a-1を電子顕微分析器(EPMA)を介して特定元素をマッピング(mapping)したイメージである。
図11a-2は銅(Cu)元素、
図11a-3はアルミニウム(Al)元素、
図11a-4はケイ素(Si)元素、
図11a-5はバリウム(Ba)元素をそれぞれマッピングしたイメージである。
【0093】
図11b-1は実施例の外部電極の外表面を5000倍に拡大して走査電子顕微鏡(SEM)によって撮影したイメージであり、
図11b-2~
図11b-5は
図11b-1を電子顕微分析器(EPMA)を介して特定元素をマッピング(mapping)したイメージである。
図11b-2は銅(Cu)元素、
図11b-3はアルミニウム(Al)元素、
図11b-4はケイ素(Si)元素、
図11b-5はバリウム(Ba)元素をそれぞれマッピングしたイメージである。
【0094】
バリウム(Ba)元素がマッピング(mapping)される領域はガラスが含まれた領域に該当し得、バリウム(Ba)が観察される領域のうち相対的に高い含量のアルミニウム(Al)がマッピングされる領域はガラスの二次相が形成された領域であり得、特に、相対的に高い含量のケイ素(Si)が観察される領域はガラスの二次相が形成された領域であることが分かる。
【0095】
比較例である
図11aの場合、バリウム(
図11a-5)及びアルミニウム(
図11a-3)が同時に観察される領域では、ケイ素(
図11a-4)がほとんど観察されないのに対し、実施例である
図11bの場合、バリウム(
図11b-5)及びアルミニウム(
図11b-3)が同時に観察される領域では高い含量のケイ素(
図11b-4)が観察されることが確認できる。これにより、実施例では、ガラスの二次相が形成されたのに対し、比較例では、ガラスの二次相が形成されていないことが分かる。
【0096】
このとき、定性的/定量的な元素の平均含量の測定は、バリウム(Ba)、アルミニウム(Al)及びケイ素(Si)が同時に観察される領域のうち3地点を測定し、平均して当該領域に含まれた元素の平均含量を求めることができる。
【0097】
このとき、ガラスの二次相は、ガラスを構成するアルミニウム(Al)、ケイ素(Si)、バリウム(Ba)、亜鉛(Zn)元素のうち、ケイ素(Si)の平均含量が5at%以上20at%以下であってもよい。
【0098】
ケイ素(Si)の平均含量が5at%以上20at%以下である場合、外部電極の稠密度、耐食性及び耐湿信頼性を向上させることができる。
【0099】
一方、ケイ素(Si)の平均含量が5at%未満である場合、耐食性及び耐湿信頼性が低下する恐れがあり、ケイ素(Si)の平均含量が20at%を超える場合、気孔が形成されて耐食性及び耐湿信頼性が低下する恐れがある。
【0100】
また、外部電極131、132の外表面に配置されたガラスの二次相中のケイ素(Si)の面積分率は60%以上100%以下であってもよく、好ましくは、ケイ素(Si)の面積分率はガラスの二次相中のバリウム(Ba)領域の60%以上100%以下であってもよい。
【0101】
外部電極131、132の外表面に配置されたガラスの二次相中のケイ素(Si)の面積分率が60%以上100%以下である場合、外部電極の稠密度、耐食性及び耐湿信頼性を向上させることができる。
【0102】
一方、ガラスの二次相内のケイ素(Si)の面積分率が60%未満である場合、外部電極の耐食性及び耐湿信頼性が低下する恐れがある。
【0103】
図5は、焼成後の最終製品状態である
図3のP領域を拡大した拡大図を概略的に示すものであり、
図6は、外部電極の焼成過程を概略的に示すものである。一方、
図6は、本体の第4面4上に配置される第2外部電極132の焼成過程を示しているが、本体の第3面3上に配置される第1外部電極131の焼成過程も、これと同様であり得る。以下では、ガラスの二次相が形成される一過程を
図6を参照して説明するが、特にこれに限定されるものではない。
【0104】
外部電極ペーストは、導電性金属141’、142’及びガラスフリット150’を含むことができる。導電性金属141’、142’は球状粒子142’及びフレーク状粒子141’を含むことができ、フレーク状粒子141’は内側の導電性金属141a’及び導電性金属141a’の少なくとも一部を囲むアルミニウム(Al)及びケイ素(Si)を含むコーティング層141b’を含むことができる。
【0105】
また、ガラスフリット150’は、例えば、バリウム(Ba)-亜鉛(Zn)系ガラスフリット150’を含むことができる。
【0106】
焼成過程において、Ba-Zn系ガラスフリット150’の場合、相対的に低温である約650℃付近で軟化が進行し、ガラス152を形成して外部電極の稠密度を向上させることができる。また、Ba-Zn系ガラスフリット150’は、相対的に高温である約730℃でAl及びSiを含むコーティング層141b’と反応してガラスの二次相151を形成し、外部電極の耐食性及び耐湿信頼性を向上させることができる。
【0107】
外部電極131、132は、ガラス中の元素のモル分率の変化によるアルミノシリケート(aluminosilicate)系の耐食性を有するガラスの二次相151を含むことができる。また、ガラスとの反応が進行していないコーティング層141bを含む導電性金属141を含むことができ、コーティング層と反応してはいないが、ガラスフリットの軟化が進行したガラス152も含むことができ、伝導性を有する導電性領域142を含むことができる。
【0108】
言い換えれば、Ba-Zn系ガラスフリット150’が焼成過程中に軟化しながら稠密度を向上させることができるガラス152領域と、耐食性及び耐湿信頼性を向上させることができるガラスの二次相151領域とに変化することができる。
【0109】
外部電極131、132のペーストは、図示のように焼成過程中に収縮し得るが、稠密度を向上させることができるガラス152領域と、耐食性及び耐湿信頼性を向上させることができるガラスの二次相151領域とを含むことにより、外部電極131、132の稠密度、耐食性及び耐湿信頼性を向上させることができる。
【0110】
本発明の一実施形態において、図面には示されていないが、ガラスの少なくとも一部の表面がガラスの二次相で囲まれてもよく、ガラスの全表面がガラスの二次相で囲まれてもよい。但し、特にこれに限定されるものではなく、ガラスの内部にもガラスの二次相を含むことができる。
【0111】
Ba-Zn系ガラスフリットの場合、融点が低く導電性金属との濡れ性(wettability)に優れ、外部電極の稠密度を向上させることができる。このとき、ガラスの表面、より具体的には、コーティング層を含むフレーク状の導電性金属と接する界面において、コーティング層により焼成過程でガラス表面のAl及びSiの分率が増加し、最終的に、ガラスの表面にのみガラスの二次相が形成されることができる。ここで、ガラスの表面のうち少なくとも一部のみがガラスの二次相に変化してガラスを囲んでいてもよく、ガラスの全表面をガラスの二次相が囲んでいてもよい。また、ガラスのうち導電性金属と接する界面ではなく、外部に露出する領域においてもガラスの二次相がガラスを囲んでいてもよい。
【0112】
これに対し、Al及びSiの分率の高いAl-Si系ガラスを使用する場合、ガラスの融点が高くなり、導電性金属との濡れ性が減少する傾向を示し、稠密度が低下する恐れがある。また、ガラス全体的に高いAl及びSiの分率を有しているため、ガラスの界面だけでなく、ガラスの内部にもガラスの二次相が形成されることがあり、これに伴うガラスの収縮により外部電極の内部又は表面に気孔(pore)が形成される恐れがある。すなわち、耐食性向上のためにガラス成分のアルミノシリケートのモル分率のみを増加させる場合、Ba-Zn系ガラスの稠密度向上に問題が生じる可能性がある。
【0113】
一方、本発明の一実施形態において、電極層131a、132aの平均厚さは1μm以上20μm以下であってもよく、より具体的に、第1電極層131a及び第2電極層132aのそれぞれの平均厚さは1μm以上20μm以下であってもよい。
【0114】
ガラスの二次相151が形成されることによる耐食性及び耐湿信頼性の向上効果は、薄膜の外部電極131、132においてさらに優れる。
【0115】
電極層131a、132aの平均厚さが1μm以上20μm以下である場合、外部電極の稠密度、耐食性及び耐湿信頼性を向上させることができ、薄膜の外部電極131、132を達成することができる。
【0116】
これに対し、電極層131a、132aの平均厚さが1μm未満である場合、本体が外部に露出したり、ガラスの二次相が十分に形成されず、耐食性及び耐湿信頼性が低下する恐れがあり、電極層131a、132の平均厚さが20μmを超える場合は、薄膜の外部電極131、132を達成し難くなる可能性がある。
【0117】
電極層131a、132aの平均厚さは、内部電極121、122と接する領域の平均厚さを意味することができ、内部電極121、122と接する領域のうち等間隔である5地点で測定した厚さを平均した値を意味することができる。
【0118】
より具体的に、第1電極層131aは、本体の第3面3において第1内部電極121と電気的に連結されることができ、本体の第3面3に配置されることができる。このとき、本体の第3面3に配置された第1電極層131aの第2方向のサイズを第1電極層131aの厚さと定義することができ、本体110の第1方向の中央地点で測定した第1電極層131aの第2方向のサイズを起点として第1方向に等間隔である4地点で測定した第1電極層131aの第2方向のサイズを平均した値を第1電極層131aの平均厚さと定義することができる。このとき、第2方向を測定する第1電極層131aの第1方向の位置は、内部電極121、122の第1方向の最外層までとする。すなわち、第1方向の最外層に配置されている第1及び第2内部電極121、122を第1方向に越えない領域(第2方向の延長線)を第1電極層131aの第2方向のサイズを測定できる位置に制限することができる。一方、上述した方法と同様の方法で第2電極層132aの平均厚さを測定することができる。
【0119】
本発明の一実施形態によれば、外部電極131、132のうち、内部電極121、122と外部電極131、132が連結される領域は、本体110が外部に露出しなくてもよい。
【0120】
より具体的に、本体110の第3面3が外部に露出せず、第1外部電極131によって完全に覆われていてもよく、本体110の第4面4が外部に露出せず、第2外部電極132によって完全に覆われていてもよい。
【0121】
ここで、「外部電極によって完全に覆われている」とは、外部電極131、132が、気孔を含まず外部電極131、132に含まれた物質によって100%充填された形状を意味するものではなく、外部電極131、132によって外部電極131、132内に本体の第3面3又は第4面4が外部に連結された通路がないことを意味することができる。
【0122】
これは、ガラスの二次相151が外部電極131、132に含まれた結果であり得、これによって本体110が外部に露出されないため、耐湿信頼性に優れる。
【0123】
本発明の一実施形態による外部電極131、132の稠密度は85%以上、好ましくは90%以上、より好ましくは92%以上であってもよい。ここでの「稠密度」という用語は、細孔を持たない所定の外部電極の面積の割合を指します。したがって、例えば、外部電極の総面積が100単位であり、100単位のうち15単位を細孔が占める場合、そのような外部電極の稠密度は85%となる。
【0124】
外部電極131、132の稠密度が85%未満である場合、耐食性及び耐湿信頼性が低下する恐れがある。
【0125】
めっき層131b、132bは、実装特性を向上させる役割を果たすことができる。
【0126】
めっき層131b、132bの種類は特に限定されず、ニッケル(Ni)、錫(Sn)、パラジウム(Pd)及びこれらの合金のうち一つ以上を含む単一層のめっき層131b、132bであってもよく、複数の層で形成されてもよい。
【0127】
めっき層131b、132bに対するより具体的な例を挙げると、めっき層131b、132bはNiめっき層又はSnめっき層であってもよく、電極層131a、132a上にNiめっき層及びSnめっき層が順次に形成された形態であってもよく、Snめっき層、Niめっき層及びSnめっき層が順次に形成された形態であってもよい。また、めっき層131b、132bは、複数のNiめっき層及び/又は複数のSnめっき層を含むこともできる。
【0128】
めっき層131b、132bを形成するめっき液は酸性溶液であり得るが、これにより電極層131a、132aに含まれたガラスが浸食されることがある。ガラスが浸食される場合、本体110が外部に露出して耐湿信頼性などのような信頼性が低下する恐れがある。
【0129】
しかし、外部電極131、132にガラスの二次相151が含まれる場合、めっき液によるガラスの浸食を防止して、本体110が外部に露出しないようにすることができる。
【0130】
積層型電子部品100のサイズは特に限定されない。
【0131】
但し、本発明による効果は、積層型電子部品100の小型化及び高容量化を達成する過程でより優れ、例えば、1005(長さ×幅:1.0mm×0.5mm)以下のサイズにおいて、より優れる。
【0132】
以上のように、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上述した実施形態及び添付の図面によって限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲によって限定されるものとする。したがって、特許請求の範囲に記載された本発明の技術的思想から逸脱しない範囲内で、当技術分野における通常の知識を有する者によって様々な形態の置換、変形及び変更が可能であり、これも本発明の範囲に属すると言える。
【0133】
以下、実施例を通じて本発明についてさらに詳細に説明するが、これは発明の具体的な理解を助けるためのものであり、本発明の範囲が実施例によって限定されるものではない。
【0134】
(実施例)
以下では、サンプルチップ(chip)である比較例1~比較例4及び実施例1~実施例4の稠密度の評価結果について説明する。
【0135】
それぞれのサンプルチップ(chip)は1005(長さ×幅:1.0mm×0.5mm)サイズを用い、水平にローディングした後、エポキシ(epoxy)でモールディングしてサンドペーパー(sand paper)/ダイヤモンドサスペンション(diamond suspension)を用いてポリシングを行った後、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて観察を開始した。外部電極が形成された部位を60℃のめっき液に10分間浸漬した後、走査電子顕微鏡(SEM)を用いて断面を観察し、ガラスの浸食の有無を確認して耐食性及び稠密度の評価を行った。
【0136】
耐食性及び稠密度を評価するために、比較例1は、外部電極ペーストにAl及びSiを含むコーティング層を形成しなかった銅(Cu)粉末及びBa-Zn系ガラスを混合した後、チップ(chip)の外部に塗布してガラスの二次相を含まない外部電極を形成した。
【0137】
図7(a)は比較例1の外部電極を走査電子顕微鏡(SEM)によって撮影したイメージであり、
図7(b)は
図7(a)の点線領域を拡大した拡大イメージであり、
図7(c)は稠密度を評価するために
図7(b)を変換したイメージである。
【0138】
プログラムを介して
図7(c)のイメージ領域に対して点等で表現された黒色領域を除いた領域に関する百分率値である稠密度を測定した結果、81.2%と測定された。
【0139】
図には示していないが、比較例1と同様の方法で製造した比較例2~比較例4の外部電極の稠密度はそれぞれ79.2%、74.8%、75.6%と測定された。
【0140】
実施例1は、外部電極ペーストにAl及びSiを含むコーティング層をフレーク状銅(Cu)粉末及びBa-Zn系ガラスを混合した後、チップ(chip)の外部に塗布してガラスの二次相を含む外部電極を形成した。その他の構成は比較例1と同様に作製した。
【0141】
図8(a)は実施例1の外部電極を走査電子顕微鏡(SEM)によって撮影したイメージであり、
図8(b)は
図8(a)の点線領域を拡大した拡大イメージであり、
図8(c)は稠密度を評価するために
図8(b)を変換したイメージである。
【0142】
比較例1と同様の方法で稠密度を測定した結果、92.7%と測定された。
【0143】
図には示されていないが、実施例2~実施例4の外部電極の稠密度はそれぞれ90.2%、90.9%、90.4%と測定された。
【0144】
このことから、ガラスの二次相を含む外部電極の稠密度は、ガラスの二次相を含まない外部電極の稠密度より優れることが分かり、これにより耐食性及び耐湿信頼性が向上したことが分かる。
【0145】
次に、比較例1と同様の方法で外部電極を形成した比較例5、及び実施例1と同様の方法で外部電極を形成した実施例5について説明する。
【0146】
図9(a)は比較例5の外部電極の中央部の断面を走査電子顕微鏡(SEM)によって撮影したイメージであり、
図9(b)は比較例5の外部電極の角の断面を走査電子顕微鏡(SEM)によって撮影したイメージである。
【0147】
図9(a)から確認できるように、外部電極に形成されたチャネルにより本体、より具体的には、内部電極が露出した本体の面が外部に露出したことが確認でき、これにより耐湿信頼性が低下することが分かる。また、
図9(b)から確認できるように、外部電極の角に対するカバレッジが低下して、本体が外部に露出したことが確認でき、本体が露出した部分のため外部からの水分が浸透し得ることが予想できる。
【0148】
図10(a)は実施例5の外部電極の中央部の断面を走査電子顕微鏡(SEM)によって撮影したイメージであり、
図10(b)は実施例5の外部電極の角の断面を走査電子顕微鏡(SEM)によって撮影したイメージである。
【0149】
図10(a)から確認できるように、本体、より具体的には、内部電極が露出した本体の面が外部に露出していないことが確認でき、
図10(b)から確認できるように、外部電極の角に対するカバレッジに優れ、外部に露出していないことが確認できる。このことから、本体が外部に露出せず、外部からの水分が浸透し得る経路を遮断し、耐湿信頼性に優れることが予想できる。
【0150】
本明細書において使用された「一実施形態」という表現は、互いに同じ実施形態を意味するものではなく、それぞれ互いに異なる固有の特徴を強調して説明するために提供されたものである。しかし、上記提示された一実施形態は、他の一実施形態の特徴と結合して実現されることを排除しない。例えば、特定の一実施形態に説明された事項が他の一実施形態に説明されていなくても、他の一実施形態においてその事項と反対又は矛盾する説明がない限り、他の一実施形態に関連する説明と理解することができる。
【0151】
本明細書において使用された用語は、単に一実施形態を説明するために使用されたものであり、本発明を限定しようとする意図ではない。このとき、単数の表現は、文脈上明らかに異なる意味ではない限り、複数の表現を含む。
【符号の説明】
【0152】
100:積層型電子部品
110:本体
111:誘電体層
112、113:カバー部
114、115:サイドマージン部
121、122:内部電極
131、132:外部電極
141:導電性金属粒子
141’:フレーク状粒子
141a、141a’:導電性金属
141b、141b’:コーティング層
142:導電性金属
142’:球状粒子
150’:ガラスフリット
151:ガラスの二次相
152:ガラス