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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124303
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】工作機械
(51)【国際特許分類】
   B23Q 11/10 20060101AFI20240905BHJP
   F04B 49/06 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B23Q11/10 E
F04B49/06 321A
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023140260
(22)【出願日】2023-08-30
(62)【分割の表示】P 2023532391の分割
【原出願日】2023-03-02
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-06-21
(71)【出願人】
【識別番号】000146847
【氏名又は名称】DMG森精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100185719
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 悠樹
(74)【代理人】
【識別番号】100150072
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 賢司
(72)【発明者】
【氏名】船越 元気
(72)【発明者】
【氏名】山本 喜則
(72)【発明者】
【氏名】北出 雄平
【テーマコード(参考)】
3C011
3H145
【Fターム(参考)】
3C011EE08
3C011EE09
3H145AA22
3H145AA42
3H145BA19
3H145BA32
3H145CA23
3H145DA05
3H145EA36
(57)【要約】
【課題】次にクーラントが工具の先端から吐出されるまでに時間を短縮するための技術を提供する。
【解決手段】工作機械は、貫通路が形成されている工具が装着された際に貫通路に接続される連通路を有している主軸と、連通路に接続されている第1流路にクーラントを圧送するポンプと、第1流路または連通路に設けられた第1バルブと、第1流路においてポンプと第1バルブとの間から分岐する第2流路に対して、第2流路の分岐点よりも第1バルブ側にあるクーラントを戻すかどうかを少なくとも切り替え可能な第2バルブとを備える。工作機械の制御部は、工具から外部へのクーラントの吐出を停止させる場合に、第2バルブを開け、少なくとも第1バルブから工具の先端側の開口までにある分量のクーラントが第2流路へと戻される処理と、第1バルブを閉じ、ポンプと第1バルブとの間における第1流路をクーラントで満たす処理とを実行する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通路が形成されており、当該貫通路の先端側の開口からクーラントを外部に吐出可能に構成された工具を用いてワークを加工することが可能な工作機械であって、
前記工具を装着可能に構成されており、当該工具が装着された際に前記貫通路に接続される連通路を有している主軸と、
前記連通路に接続されている第1流路にクーラントを圧送するためのポンプと、
前記第1流路または前記連通路に設けられた第1バルブと、
前記第1流路において前記ポンプと前記第1バルブとの間から分岐する第2流路に対して、前記第2流路の分岐点よりも前記第1バルブ側にあるクーラントを戻すかどうかを少なくとも切り替え可能な第2バルブと、
前記工作機械を制御するための制御部とを備え、
前記制御部は、
前記工具から外部へのクーラントの吐出を停止させる場合に、前記第2バルブを開け、少なくとも前記第1バルブから前記工具の先端側の前記開口までにある分量のクーラントが前記第2流路へと戻されるドローバック処理と、
前記ドローバック処理の実行後において前記第1バルブを閉じ、前記ポンプと前記第1バルブとの間における前記第1流路をクーラントで満たす充填処理とを実行する、工作機械。
【請求項2】
前記第1バルブは、前記第1流路上に設けられており、
前記第1バルブと前記主軸との間における流路の長さは、前記第2バルブと前記主軸との間における流路の長さよりも短い、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記工作機械は、さらに、前記第1流路において前記ポンプと前記第1バルブの間から分岐している第3流路に設けられた第3バルブを備え、
前記充填処理は、前記第3バルブを開く処理を含む、請求項1または2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記第1バルブは、前記第1流路上に設けられており、
前記第1バルブと前記主軸との間における流路の長さは、前記第3バルブと前記主軸との間における流路の長さよりも短い、請求項3に記載の工作機械。
【請求項5】
前記第1流路と前記第3流路との分岐点は、前記第1流路と前記第2流路との分岐点よりも前記主軸側に設けられている、請求項3または4に記載の工作機械。
【請求項6】
前記制御部は、前記ドローバック処理の実行を開始してから所定時間が経過した後に、前記充填処理の実行を開始する、請求項1~5のいずれか1項に記載の工作機械。
【請求項7】
貫通路が形成されており、当該貫通路の先端側の開口からクーラントを外部に吐出可能に構成された工具を用いてワークを加工することが可能な工作機械の制御方法であって、
前記工作機械は、
前記工具を装着可能に構成されており、当該工具が装着された際に前記貫通路に接続される連通路を有している主軸と、
前記連通路に接続されている第1流路にクーラントを圧送するためのポンプと、
前記第1流路または前記連通路に設けられた第1バルブと、
前記第1流路において前記ポンプと前記第1バルブとの間から分岐する第2流路に対して、前記第2流路の分岐点よりも前記第1バルブ側にあるクーラントを戻すかどうかを少なくとも切り替え可能な第2バルブとを備え、
前記制御方法は、
前記工具から外部へのクーラントの吐出を停止させる場合に、前記第2バルブを開け、少なくとも前記第1バルブから前記工具の先端側の前記開口までにある分量のクーラントを前記第2流路へ戻すステップと、
前記戻すステップの実行後において前記第1バルブを閉じ、前記ポンプと前記第1バルブとの間における前記第1流路をクーラントで満たすステップとを備える、制御方法。
【請求項8】
貫通路が形成されており、当該貫通路の先端側の開口からクーラントを外部に吐出可能に構成された工具を用いてワークを加工することが可能な工作機械の制御プログラムであって、
前記工作機械は、
前記工具を装着可能に構成されており、当該工具が装着された際に前記貫通路に接続される連通路を有している主軸と、
前記連通路に接続されている第1流路にクーラントを圧送するためのポンプと、
前記第1流路または前記連通路に設けられた第1バルブと、
前記第1流路において前記ポンプと前記第1バルブとの間から分岐する第2流路に対して、前記第2流路の分岐点よりも前記第1バルブ側にあるクーラントを戻すかどうかを少なくとも切り替え可能な第2バルブとを備え、
前記制御プログラムは、前記工作機械に、
前記工具から外部へのクーラントの吐出を停止させる場合に、前記第2バルブを開け、少なくとも前記第1バルブから前記工具の先端側の前記開口までにある分量のクーラントを前記第2流路へ戻すステップと、
前記戻すステップの実行後において前記第1バルブを閉じ、前記ポンプと前記第1バルブとの間における前記第1流路をクーラントで満たすステップとを実行させる、制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、工作機械、工作機械の制御方法、および工作機械の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特開2013-013968号公報(特許文献1)は、工具の先端からクーラントを吐出しながらワークを加工することが可能な工作機械を開示している。当該工作機械は、クーラント供給路が内部に形成されている主軸および工具を備えており、当該クーラント供給路を介して工具の先端からクーラントを吐出する。
【0003】
また、上記工作機械は、ワークの加工終了後において、上記クーラント供給路に残っているクーラントを吸い込むドローバック処理を実行する。これにより、当該工作機械は、クーラントが工具の先端から垂れることを防ぐ。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-013968号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ドローバック処理が実行されると、流路に残っているクーラントが吸い込まれる。そのため、次にクーラントが工具の先端から吐出されるまでに時間がかかってしまう。したがって、当該時間を短縮するための技術が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一例では、貫通路が形成されており、当該貫通路の先端側の開口からクーラントを外部に吐出可能に構成された工具を用いてワークを加工することが可能な工作機械が提供される。当該工作機械は、上記工具を装着可能に構成されており、当該工具が装着された際に上記貫通路に接続される連通路を有している主軸と、上記連通路に接続されている第1流路にクーラントを圧送するためのポンプと、上記第1流路または上記連通路に設けられた第1バルブと、上記第1流路において上記ポンプと上記第1バルブとの間から分岐する第2流路に対して、上記第2流路の分岐点よりも上記第1バルブ側にあるクーラントを戻すかどうかを少なくとも切り替え可能な第2バルブと、上記工作機械を制御するための制御部とを備える。上記制御部は、上記工具から外部へのクーラントの吐出を停止させる場合に、上記第2バルブを開け、少なくとも上記第1バルブから上記工具の先端側の上記開口までにある分量のクーラントが上記第2流路へと戻されるドローバック処理と、上記ドローバック処理の実行後において上記第1バルブを閉じ、上記ポンプと上記第1バルブとの間における上記第1流路をクーラントで満たす充填処理とを実行する。
【0007】
本開示の一例では、上記第1バルブは、上記第1流路上に設けられている。上記第1バルブと上記主軸との間における流路の長さは、上記第2バルブと上記主軸との間における流路の長さよりも短い。
【0008】
本開示の一例では、上記工作機械は、さらに、上記第1流路において上記ポンプと上記第1バルブの間から分岐している第3流路に設けられた第3バルブを備える。上記充填処理は、上記第3バルブを開く処理を含む。
【0009】
本開示の一例では、上記第1バルブは、上記第1流路上に設けられている。上記第1バルブと上記主軸との間における流路の長さは、上記第3バルブと上記主軸との間における流路の長さよりも短い。
【0010】
本開示の一例では、上記第1流路と上記第3流路との分岐点は、上記第1流路と上記第2流路との分岐点よりも上記主軸側に設けられている。
【0011】
本開示の一例では、上記制御部は、上記ドローバック処理の実行を開始してから所定時間が経過した後に、上記充填処理の実行を開始する。
【0012】
本開示の他の例では、貫通路が形成されており、当該貫通路の先端側の開口からクーラントを外部に吐出可能に構成された工具を用いてワークを加工することが可能な工作機械の制御方法が提供される。上記工作機械は、上記工具を装着可能に構成されており、当該工具が装着された際に上記貫通路に接続される連通路を有している主軸と、上記連通路に接続されている第1流路にクーラントを圧送するためのポンプと、上記第1流路または上記連通路に設けられた第1バルブと、上記第1流路において上記ポンプと上記第1バルブとの間から分岐する第2流路に対して、上記第2流路の分岐点よりも上記第1バルブ側にあるクーラントを戻すかどうかを少なくとも切り替え可能な第2バルブとを備える。上記制御方法は、上記工具から外部へのクーラントの吐出を停止させる場合に、上記第2バルブを開け、少なくとも上記第1バルブから上記工具の先端側の上記開口までにある分量のクーラントを上記第2流路へ戻すステップと、上記戻すステップの実行後において上記第1バルブを閉じ、上記ポンプと上記第1バルブとの間における上記第1流路をクーラントで満たすステップとを備える。
【0013】
本開示の他の例では、貫通路が形成されており、当該貫通路の先端側の開口からクーラントを外部に吐出可能に構成された工具を用いてワークを加工することが可能な工作機械の制御プログラムが提供される。上記工作機械は、上記工具を装着可能に構成されており、当該工具が装着された際に上記貫通路に接続される連通路を有している主軸と、上記連通路に接続されている第1流路にクーラントを圧送するためのポンプと、上記第1流路または上記連通路に設けられた第1バルブと、上記第1流路において上記ポンプと上記第1バルブとの間から分岐する第2流路に対して、上記第2流路の分岐点よりも上記第1バルブ側にあるクーラントを戻すかどうかを少なくとも切り替え可能な第2バルブとを備える。上記制御プログラムは、上記工作機械に、上記工具から外部へのクーラントの吐出を停止させる場合に、上記第2バルブを開け、少なくとも上記第1バルブから上記工具の先端側の上記開口までにある分量のクーラントを上記第2流路へ戻すステップと、上記戻すステップの実行後において上記第1バルブを閉じ、上記ポンプと上記第1バルブとの間における上記第1流路をクーラントで満たすステップとを実行させる。
【0014】
本発明の上記および他の目的、特徴、局面および利点は、添付の図面と関連して理解される本発明に関する次の詳細な説明から明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】工作機械の外観を示す図である。
図2】クーラント機構の一例を示す図である。
図3】ステップS1,S2におけるクーラント機構の制御フローを示す図である。
図4】ステップS3,S4におけるクーラント機構の制御フローを示す図である。
図5】制御部のハードウェア構成の一例を示す図である。
図6】工具交換の前処理の流れを示すフローチャートである。
図7】ワークの加工処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照しつつ、本発明に従う各実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。なお、以下で説明される各実施の形態および各変形例は、適宜選択的に組み合わされてもよい。
【0017】
<A.工作機械100>
まず、図1を参照して、実施の形態に従う工作機械100について説明する。図1は、工作機械100の外観を示す図である。
【0018】
本明細書でいう「工作機械」とは、ワークを加工する機能を備えた種々の装置を包含する概念である。工作機械は、横形のマシニングセンタであってもよいし、立形のマシニングセンタであってもよい。あるいは、工作機械は、旋盤であってもよいし、その他の切削機械、研削機械、複合加工機、5軸加工機などであってもよい。また、工作機械は、除去加工のみを行うものに限られず、除去加工に加えて付加加工を行うものであってもよい。
【0019】
工作機械100は、工具収納部40Aと、加工機本体40Bとを有する。工具収納部40Aおよび加工機本体40Bのそれぞれは、カバーによって区画化されている。
【0020】
工具収納部40Aには、マガジン150と、ATC(Automatic Tool Changer)160とが設けられている。加工機本体40Bには、主軸頭170が設けられている。
【0021】
主軸頭170は、主軸筒175と、主軸180とを含む。主軸180は、その軸方向を回転中心として主軸筒175に回転可能に支持されている。
【0022】
主軸180にはマガジン150から選択された一の工具が装着される。より具体的には、工作機械100は、マガジン150を駆動し、加工工程に応じた一の工具(以下、「次使用工具」ともいう。)を第1の工具交換位置に移動する。また、工作機械100は、主軸頭170を駆動し、主軸180に装着されている工具(以下、「使用済工具」ともいう。)を第2の工具交換位置に移動する。その後、ATC160は、第1の工具交換位置で待機している次使用工具と、第2の工具交換位置で待機している使用済工具とを交換する。工具の交換は、加工機本体40Bと工具収納部40Aとの間の仕切に設けられているドアDを介して行なわれる。ドアDは、スライド式のドアであり、モータなどの駆動源により開閉される。その後、工作機械100は、主軸180に装着された次使用工具を用いてワークを加工する。
【0023】
また、工作機械100には、操作盤400が設けられている。操作盤400は、加工に関する各種情報を表示するためのディスプレイ405と、工作機械100に対する各種操作を受け付ける操作キー406とを含む。
【0024】
<B.クーラント機構>
次に、図2を参照して、工作機械100の内部に設けられているクーラント機構について説明する。図2は、クーラント機構の一例を示す図である。
【0025】
図2に示されるように、工作機械100は、クーラントの流路F1~F3と、制御部50と、クーラントタンク52と、モータドライバ54と、ポンプ56と、保圧バルブ58A(第1バルブ)と、ドローバックバルブ58B(第2バルブ)と、オリフィスバルブ58C(第3バルブ)と、主軸180とを有する。なお、各バルブの名称については流路F1~F3の各々が主に担う機能に基づいて各バルブを識別しやすくするためにつけたものであり、必ずしも各バルブ単体でその機能を有しているものとして限定的に解釈されるべきではない。たとえばドローバックバルブ58Bについては、単体でドローバック機能を実現するものであってもよいし、他のエゼクタなどの流体機器と共同してドローバック機能を実現するものであってもよい。また、オリフィスバルブ58Cについても任意の開度に制御できるものであり、単体でオリフィスとしての機能を実現できるものであってもよいし、別途設けられたオリフィスなどの流体機器と共同してその機能を実現するものであってもよい。
【0026】
流路F1の一端は、クーラントタンク52に接続されている。流路F1の他端は、主軸180内に形成されている連通路L1に接続されている。説明の便宜のために、クーラント流路上においてクーラントタンク52により近い側を「上流側」とも称し、クーラント流路上において主軸180により近い側を「下流側」とも称する。
【0027】
流路F2は、分岐点P2において流路F1から分岐している。すなわち、流路F2の一端は、流路F1と接続されている。流路F2の他端の接続先は任意である。図2の例では、流路F2の他端は、クーラントタンク52に接続されている。他の例として、流路F2の他端は、クーラントタンク52とは別の貯蔵部に接続されてもよい。
【0028】
流路F3は、分岐点P3において流路F1から分岐している。異なる言い方をすれば、流路F3の一端は、流路F1と接続されている。流路F3の他端の接続先は任意である。図2の例では、流路F3の他端は、クーラントタンク52に接続されている。他の例として、流路F3の他端は、クーラントタンク52とは別の貯蔵部に接続されてもよい。
【0029】
主軸180の内部には、連通路L1が形成されている。連通路L1は、主軸180の軸方向に沿って主軸180の内部を貫通している。
【0030】
主軸180には、様々な種類の工具が装着され得る。図2の例では、貫通路L2が形成された工具Tが主軸180に装着されている。貫通路L2は、工具Tと主軸180との接続面から工具Tの先端に延在しており、主軸180の軸方向に沿って工具Tを貫通している。なお、工具T内に形成される貫通路L2の開口は、工具Tの基端面または先端面に形成されるものに限られず、たとえば工具Tの側面部に開口するものであってもよい。
【0031】
工具Tの内部の貫通路L2は、工具Tが主軸180に装着された際に、主軸180の内部の連通路L1と接続される。
【0032】
制御部50は、工作機械100内の各種装置を制御する。制御部50の装置構成は、任意である。制御部50は、単体の制御ユニットで構成されてもよいし、複数の制御ユニットで構成されてもよい。一例として、制御部50は、PLC(Programmable Logic Controller)と、CNC(Computer Numerical Control)との少なくとも1つを含む。
【0033】
制御部50による制御対象は、たとえば、ポンプ56と、保圧バルブ58Aと、ドローバックバルブ58Bと、オリフィスバルブ58Cと含む。
【0034】
ポンプ56は、流路F1に設けられており、クーラントタンク52から流路F1にクーラントを圧送する。クーラントを圧送する力は、制御部50によって制御される。
【0035】
より具体的には、ポンプ56には、モータ55が接続されている。モータ55は、モータドライバ54によって駆動される。モータドライバ54は、制御回路およびインバータなどで構成される。モータドライバ54は、制御部50から制御信号の入力を受け、当該制御信号に応じた周波数の交流電流をモータ55に出力する。これにより、モータ55の回転数が変化し、流路F1に圧送されるクーラントの流量が制御される。
【0036】
保圧バルブ58Aは、流路F1または連通路L1に設けられている。図2の例では、保圧バルブ58Aは、流路F1に設けられている。また、保圧バルブ58Aは、ポンプ56よりも下流側に設けられている。
【0037】
保圧バルブ58Aは、制御部50からの制御指令に応じて、開状態と閉状態との少なくとも2つの状態の間で切り換え可能に構成される。保圧バルブ58Aの開度は、調整可能であってもよいし、一定であってもよい。
【0038】
保圧バルブ58Aが閉状態である場合、分岐点P3と主軸180との間におけるクーラントの流れが止められる。一方で、保圧バルブ58Aが開状態である場合、クーラントは、分岐点P3と主軸180との間を流れることができる。この場合、ポンプ56によって圧送されたクーラントは、流路F1、連通路L1および貫通路L2の順に流れ、工具Tの先端から加工対象のワークに吐出される。このようなクーラントの吐出機能を備えた主軸180は、クーラントスルースピンドルとも呼ばれる。
【0039】
なお、図2の例では、保圧バルブ58Aは、流路F1に設けられているが、保圧バルブ58Aの設置位置は、流路F1上に限定されない。一例として、保圧バルブ58Aは、主軸180内の連通路L1上に設けられてもよい。
【0040】
ドローバックバルブ58Bは、たとえば、流路F1から分岐している流路F2上に設けられている。ドローバックバルブ58Bは、流路F1においてポンプ56と保圧バルブ58Aとの間から分岐する流路F2に対して、分岐点P2よりも保圧バルブ58A側にあるクーラントを戻すかどうかを少なくとも切り替え可能なバルブである。
【0041】
一例として、ドローバックバルブ58Bは、制御部50からの制御指令に応じて、開状態と閉状態との少なくとも2つの状態の間で切り換え可能に構成される。ドローバックバルブ58Bの開度は、調整可能であってもよいし、一定であってもよい。
【0042】
ドローバックバルブ58Bが閉状態である場合、流路F2におけるクーラントの流れが止められる。一方で、ドローバックバルブ58Bが開状態である場合、クーラントは、流路F2を流れることができる。
【0043】
典型的には、ドローバックバルブ58Bは、保圧バルブ58Aよりも上流側に設けられている。異なる言い方をすれば、保圧バルブ58Aと主軸180との間におけるクーラント流路の長さは、ドローバックバルブ58Bと主軸180との間におけるクーラント流路の長さよりも短い。
【0044】
オリフィスバルブ58Cは、分岐点P3において流路F1から分岐している流路F3上に設けられており、流路F3におけるクーラントの流れを制御する。なお、流路F3にはオリフィスバルブ58Cの上流側に流体抵抗FRとしてオリフィスが別途設けてある。つまり、オリフィスバルブ58Cの開閉により流路F3を流れるクーラントに対して流体抵抗FRを作用させるかどうかを切換え可能に構成されている。流路F2と流路F3との分岐点P3は、流路F1と流路F2との分岐点P2よりも下流側に設けられている。
【0045】
オリフィスバルブ58Cは、制御部50からの制御指令に応じて、開状態と閉状態との少なくとも2つの状態の間で切り換え可能に構成される。オリフィスバルブ58Cの開度は、調整可能であってもよいし、一定であってもよい。
【0046】
オリフィスバルブ58Cが閉状態である場合、流路F3におけるクーラントの流れが止められる。一方で、オリフィスバルブ58Cが開状態である場合、クーラントは、流路F3を流れることができる。
【0047】
典型的には、オリフィスバルブ58Cは、保圧バルブ58Aよりも上流側に設けられている。異なる言い方をすれば、保圧バルブ58Aと主軸180との間におけるクーラント流路の長さは、オリフィスバルブ58Cと主軸180との間におけるクーラント流路の長さよりも短い。
【0048】
なお、上述では、ドローバックバルブ58Bが流路F2上に設けられており、オリフィスバルブ58Cが流路F3上に設けられている例について説明を行ったが、ドローバックバルブ58Bが流路F3上に設けられ、オリフィスバルブ58Cが流路F2上に設けられてもよい。
【0049】
<C.クーラント機構の制御態様>
次に、図3および図4を参照して、上述のポンプ56、上述の保圧バルブ58A、上述のドローバックバルブ58B、および上述のオリフィスバルブ58Cなどのクーラント機構の制御態様について説明する。図3は、ステップS1,S2におけるクーラント機構の制御フローを示す図である。図4は、ステップS3,S4におけるクーラント機構の制御フローを示す図である。なお、本実施形態における保圧バルブ58A、ドローバックバルブ58B、オリフィスバルブ58Cは電圧が印加されていない状態において閉鎖された状態となるノーマルクローズタイプのバルブである。つまり、各バルブは常時閉鎖された状態であるが、制御部50の指令信号が入力されている場合には開放される。言うまでもないことであるが、各バルブについて電圧が印加されていない状態において開放された状態となるノーマルオープンタイプのバルブであったとしても、制御信号を適切に設定することで本実施形態と同様の機能を発揮させることは可能である。
【0050】
ステップS1は、ワークの加工中におけるクーラント機構の状態を示す。ステップS1においては、制御部50は、保圧バルブ58Aのみを開状態にする。つまり、ドローバックバルブ58Bおよびオリフィスバルブ58Cは、閉状態から変更されない。その上で、制御部50は、クーラントを流路F1に圧送するようにポンプ56を制御する。流路F1を圧送されたクーラントは、連通路L1および貫通路L2を介して工具Tの先端から吐出される。
【0051】
その後、制御部50は、工具Tからクーラントが吐出されることを停止させる指令、または、工具Tの交換指令を受けたとする。これにより、制御部50は、ポンプ56の駆動を停止し、ステップS2に示されるドローバック処理を実行する。
【0052】
より具体的には、ステップS2において、制御部50は、ドローバックバルブ58Bを閉状態から開状態に切り換える。また、制御部50は、保圧バルブ58Aを開状態に維持する。オリフィスバルブ58Cは閉状態に維持される。そして、制御部50は、少なくとも保圧バルブ58Aから工具Tの先端側の開口までにある分量のクーラントを流路F2へ戻す。典型的には、連通路L1、貫通路L2および流路F1に残っているクーラントが流路F2から排出される。これにより、クーラントが工具Tまたは主軸180から垂れることを防止することができる。
【0053】
好ましくは、分岐点P2または流路F2においてエゼクタ(図示しない)などの吸引機構が設けられる。ドローバック処理時において当該エゼクタには、たとえばポンプ56から供給される所定流量または所定圧力のクーラントが流れこむことにより、分岐点P2よりも下流側に対して吸引作用が発揮される。これにより、分岐点P2よりも下流側にあるクーラントは、流路F1から逆流して流路F2に流れる。
【0054】
制御部50は、ドローバック処理の実行後においてステップS3に示される充填処理を実行する。より具体的には、ステップS3において、制御部50は、保圧バルブ58Aを開状態から閉状態にする。その後、制御部50は、ポンプ56を駆動し、ポンプ56と保圧バルブ58Aとの間における流路F1をクーラントで満たす。これにより、貫通路L2を有する工具Tが新たに主軸180に装着された際に、クーラントが工具Tの先端から吐出されるまでの時間が短縮される。
【0055】
なお、ステップS3におけるクーラントの充填処理時には、図4の例に示すように制御部50は、ドローバックバルブ58Bを閉状態にしている。これにより、クーラントが流路F2から流れることを防止することができる。
【0056】
また、ステップS3におけるクーラントの充填処理時には、オリフィスバルブ58Cは、開状態であってもよいし、閉状態であってもよい。図4の例に示すように、制御部50は、オリフィスバルブ58Cを開状態にしている。オリフィスバルブ58Cが開状態であれば、ポンプ56を完全に停止させずに、最低駆動周波数で動かし続けたとしても流路内のクーラントの圧力が所定値よりも上昇しすぎるのを防ぐことができる。したがって、クーラントの吐出および停止が繰り返される場合であっても、従来のようにポンプ56を完全停止、起動を繰り返すことによる消費電力の増大を防ぐことができる。
【0057】
好ましくは、保圧バルブ58Aは、流路F1上の主軸180側に設けられる。当該主軸180側とは、流路F1上おける主軸180の近傍を示す。一例として、当該主軸180側は、流路F1の中心と主軸180との間の流路を表わす。他の例として、当該主軸180側は、分岐点P2または分岐点P3と主軸180との間の流路を表わす。保圧バルブ58Aが主軸180側に設けられることで、クーラントは、主軸180の近傍まで充填される。その結果、クーラントが工具Tの先端から吐出されるまでの時間をより短縮することができる。また、このようなクーラント吐出開始までの時間短縮を実現しながら、ポンプ56の発停の繰り返しを無くして省エネも実現できる。
【0058】
制御部50は、クーラントの充填処理の実行後においてステップS4に示される処理を実行する。より具体的には、ステップS4において、制御部50は、オリフィスバルブ58Cを開状態から閉状態にする。また、保圧バルブ58Aは閉状態に維持され、ドローバックバルブ58Bは閉状態に維持される。その後、制御部50は、ポンプ56を停止する。
【0059】
なお、上述では、ステップS4においてポンプ56を停止する例について説明を行ったが、ポンプ56がインバータ駆動の可変容量ポンプである場合には、制御部50は、最低駆動周波数でポンプ56を駆動し続ける必要がある。この場合には、ステップS4において、制御部50は、オリフィスバルブ58Cを開状態に維持しつつ、ポンプ56を最低駆動周波数で駆動する。当該最低駆動周波数は、ステップS3におけるポンプ56の駆動周波数よりも低い。
【0060】
<D.制御部50のハードウェア構成>
図5を参照して、上述の図2に示される制御部50のハードウェア構成について説明する。図5は、制御部50のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0061】
制御部50は、制御回路101と、ROM(Read Only Memory)102と、RAM(Random Access Memory)103と、通信インターフェイス104と、補助記憶装置120とを含む。これらのコンポーネントは、内部バス109に接続される。
【0062】
制御回路101は、たとえば、少なくとも1つの集積回路によって構成される。集積回路は、たとえば、少なくとも1つのCPU、少なくとも1つのGPU(Graphics Processing Unit)、少なくとも1つのASIC(Application Specific Integrated Circuit)、少なくとも1つのFPGA(Field Programmable Gate Array)、またはそれらの組み合わせなどによって構成され得る。
【0063】
制御回路101は、制御プログラム122などの各種プログラムを実行することで制御部50の動作を制御する。制御プログラム122は、上述の図3および図4に示される各種処理を実現するためのプログラムである。制御回路101は、制御プログラム122の実行命令を受け付けたことに基づいて、補助記憶装置120またはROM102からRAM103に制御プログラム122を読み出す。RAM103は、ワーキングメモリとして機能し、制御プログラム122の実行に必要な各種データを一時的に格納する。
【0064】
通信インターフェイス104は、フィールドネットワークを用いて外部機器と定周期通信を行なうためのインターフェイスである。当該外部機器は、たとえば、上述のポンプ56と、上述の保圧バルブ58Aと、上述のドローバックバルブ58Bと、上述のオリフィスバルブ58Cとを含む。フィールドネットワークとしては、たとえば、EtherCAT(登録商標)、EtherNet/IP(登録商標)、CC-Link(登録商標)、またはCompoNet(登録商標)などが採用される。
【0065】
補助記憶装置120は、たとえば、ハードディスクやフラッシュメモリなどの記憶媒体である。補助記憶装置120は、制御プログラム122などを格納する。なお、制御プログラム122の格納場所は、補助記憶装置120に限定されず、制御回路101の記憶領域(たとえば、キャッシュメモリ)、ROM102、RAM103、外部機器(たとえば、サーバー)などに格納されていてもよい。
【0066】
また、制御プログラム122は、単体のプログラムとしてではなく、任意のプログラムの一部に組み込まれて提供されてもよい。この場合、本実施の形態に従う各種の処理は、任意のプログラムと協働して実現される。このような一部のモジュールを含まないプログラムであっても、本実施の形態に従う制御プログラム122の趣旨を逸脱するものではない。さらに、制御プログラム122によって提供される機能の一部または全部は、専用のハードウェアによって実現されてもよい。さらに、少なくとも1つのサーバーが制御プログラム122の処理の一部を実行する所謂クラウドサービスのような形態で制御部50が構成されてもよい。
【0067】
<E.工具交換の前処理に係るフローチャート>
次に、図6を参照して、上述のATC160による工具交換の前処理に係るフローチャートについて説明する。図6は、工具交換の前処理の流れを示すフローチャートである。
【0068】
図6に示される処理は、工作機械100の制御部50が上述の制御プログラム122を実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部または全部が、CNC、回路素子、またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
【0069】
ステップS110において、制御部50は、上述の工具T(図2参照)を主軸180から取り外す工具交換指令を受けたか否かを判断する。制御部50は、当該工具交換指令を受けたと判断した場合(ステップS110においてYES)、制御をステップS112に切り替える。そうでない場合には(ステップS110においてNO)、制御部50は、図6に示される処理を終了する。
【0070】
ステップS112において、制御部50は、工具Tからのクーラントの吐出を停止するように上述のポンプ56を制御する。ここでポンプ56は、たとえば最低駆動周波数で駆動し続けさせてもよいし、完全に停止させてもよい。
【0071】
ステップS114において、制御部50は、クーラントのドローバック処理を開始する。より具体的には、制御部50は、保圧バルブ58Aを開状態にし、ドローバックバルブ58Bを開状態にし、オリフィスバルブ58Cを閉状態にする。これにより、連通路L1、貫通路L2および流路F1に残っているクーラントが流路F2から排出される。
【0072】
制御部50は、ステップS114におけるドローバック処理を開始してから所定時間が経過した後に制御をステップS114からステップS116に切り替える。当該所定時間は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。一例として、当該所定時間は、保圧バルブ58Aから工具Tの先端側の開口までにある分量のクーラントを流路F2に戻すのに要する時間以上に設定される。これにより、クーラントが工具Tまたは主軸180から垂れることを確実に防止することができる。
【0073】
ステップS116において、制御部50は、クーラントの充填処理を開始する。より具体的には、制御部50は、保圧バルブ58Aを閉状態にし、ドローバックバルブ58Bを閉状態にし、オリフィスバルブ58Cを開状態にする。その後、制御部50は、ポンプ56を駆動し、上述の流路F1にクーラントを圧送する。これにより、クーラントは、クーラントタンク52から保圧バルブ58Aまでの間の流路において充填される。
【0074】
制御部50は、ステップS116における充填処理を開始してから所定時間が経過した後に制御をステップS116からステップS118に切り替える。当該所定時間は、予め設定されていてもよいし、ユーザによって任意に設定されてもよい。一例として、クーラントタンク52から保圧バルブ58Aまでの間の流路にクーラントを充填するのに要する時間以上に設定される。
【0075】
ステップS118において、制御部50は、ATC160を制御し、工具交換処理を実行する。より具体的には、制御部50は、主軸180に装着されている工具Tを取り外すとともに、加工プログラムで指定された次使用工具を主軸180に装着する。
【0076】
<F.加工処理に係るフローチャート>
次に、図7を参照して、ワークの加工処理に係るフローチャートについて説明する。図7は、ワークの加工処理の流れを示すフローチャートである。
【0077】
図7に示される処理は、工作機械100の制御部50が上述の制御プログラム122を実行することにより実現される。他の局面において、処理の一部または全部が、CNC、回路素子、またはその他のハードウェアによって実行されてもよい。
【0078】
ステップS150において、制御部50は、たとえばワークを加工するための加工プログラムであるNCプログラムの入力を受け付けたか否かを判断する。制御部50は、NCプログラムを受け付けたと判断した場合(ステップS150においてYES)、制御をステップS160に切り替える。そうでない場合には(ステップS150においてNO)、制御部50は、図7に示される処理を終了する。
【0079】
ステップS160において、制御部50は、貫通路L2が形成されている上述の工具T(図2参照)を用いた加工であるか否かを判断する。一例として、制御部50は、予め登録されている工具が加工プログラムで呼び出された場合に、あるいは、加工プログラム内にスルースピンドルクーラントをオンにするMコードなどを検出した場合には、貫通路L2が形成されている工具Tを用いた加工であると判断する。制御部50は、上述の工具Tを用いた加工であると判断した場合(ステップS160においてYES)、制御をステップS162に切り替える。そうでない場合には(ステップS160においてNO)、制御部50は、制御をステップS166に切り替える。
【0080】
ステップS162において、制御部50は、保圧バルブ58Aを開状態にし、ドローバックバルブ58Bを閉状態にし、オリフィスバルブ58Cを閉状態にする。
【0081】
ステップS164において、制御部50は、工具Tからクーラントが吐出されるようにポンプ56を駆動する。
【0082】
ステップS166において、制御部50は、加工プログラムに従って主軸180を駆動し、ワークの加工処理を実行する。
【0083】
<G.その他>
前述した実施形態のクーラント機構は流路F3およびオリフィスバルブ58Cが設けられていたが、たとえばポンプ56を常時駆動し続けなくてもよい場合には、流路F3およびオリフィスバルブ58Cを省略した構成であってもよい。あるいはポンプ56を最も吐出容量の小さくなる最低駆動周波数で常時駆動し続けなくてはならない場合であっても、保圧バルブ58Aが閉じられた状態では、流路F2上のドローバックバルブ58Bを開き、ポンプ56から吐出されるクーラントの一部について流路F2を介してクーラントタンク52へ戻すようにしてもよい。なお、このような変形例においては、ドローバックバルブ58Bは開閉バルブではなく、その開度を調節できる制御バルブであるのが好ましい。ドローバック処理時には、ドローバックバルブ58Bをドローバック用の開度に開放し、充填処理時にはドローバックバルブ58Bの開度をドローバック用の開度よりも小さい充填開度に制御してもよい。このようにすれば、充填処理時には流路F2に所定の流路抵抗を発生させることができる。つまり、ポンプ56から吐出されたすべてのクーラントが流路F2を介してクーラントタンク52に戻されるのを防ぎ、ポンプ56から吐出された一部のクーラントだけを流路F2からクーラントタンク52に戻すことができる。したがって、流路F1において流路F2の分岐点よりも下流側であり、保圧バルブ58Aがある部分までの部分に対してポンプ56を駆動し続けながら充填処理を行うことが可能となる。
【0084】
今回開示された実施の形態は全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0085】
40A 工具収納部、40B 加工機本体、50 制御部、52 クーラントタンク、54 モータドライバ、55 モータ、56 ポンプ、58A 保圧バルブ、58B ドローバックバルブ、58C オリフィスバルブ、100 工作機械、101 制御回路、102 ROM、103 RAM、104 通信インターフェイス、109 内部バス、120 補助記憶装置、122 制御プログラム、150 マガジン、170 主軸頭、175 主軸筒、180 主軸、400 操作盤、405 ディスプレイ、406 操作キー、D ドア、F1 流路、F2 流路、F3 流路、FR 流体抵抗、L1 連通路、L2 貫通路、P2 分岐点、P3 分岐点、T 工具。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【手続補正書】
【提出日】2023-09-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通路が形成されており、当該貫通路の先端側の開口からクーラントを外部に吐出可能に構成された工具を用いてワークを加工することが可能な工作機械であって、
前記工具を装着可能に構成されており、当該工具が装着された際に前記貫通路に接続される連通路を有している主軸と、
前記連通路に接続されている第1流路にクーラントを圧送するためのポンプと、
前記第1流路または前記連通路に設けられた第1バルブと、
前記第1流路において前記ポンプと前記第1バルブとの間から分岐する第2流路に対して、前記第2流路の分岐点よりも前記第1バルブ側にあるクーラントを戻すかどうかを少なくとも切り替え可能な第2バルブとを備える、工作機械。
【請求項2】
前記第1バルブは、前記第1流路上に設けられており、
前記第1バルブと前記主軸との間における流路の長さは、前記第2バルブと前記主軸との間における流路の長さよりも短い、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記工作機械は、さらに、前記第1流路において前記ポンプと前記第1バルブの間から分岐している第3流路に設けられた第3バルブを備え、請求項1または2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記第1バルブは、前記第1流路上に設けられており、
前記第1バルブと前記主軸との間における流路の長さは、前記第3バルブと前記主軸との間における流路の長さよりも短い、請求項3に記載の工作機械。
【請求項5】
前記第1流路と前記第3流路との分岐点は、前記第1流路と前記第2流路との分岐点よりも前記主軸側に設けられている、請求項3に記載の工作機械。
【請求項6】
前記第1バルブが閉状態の際に、クーラントが前記ポンプと前記第1バルブとの間における前記第1流路に充填される、請求項1または2に記載の工作機械。
【請求項7】
前記第1バルブは、前記第1流路の中心と前記主軸との間における前記第1流路上に設けられている、請求項1または2に記載の工作機械。
【請求項8】
前記第1バルブは、前記分岐点と前記主軸との間における前記第1流路上に設けられている、請求項1または2に記載の工作機械。
【請求項9】
貫通路が形成されており、当該貫通路の先端側の開口からクーラントを外部に吐出可能に構成された工具を用いてワークを加工することが可能な工作機械であって、
前記工具を装着可能に構成されており、当該工具が装着された際に前記貫通路に接続される連通路を有している主軸と、
前記連通路に接続されている第1流路にクーラントを圧送するためのポンプと、
前記第1流路または前記連通路に設けられた第1バルブとを備え、前記第1バルブが閉状態の際に、クーラントが前記ポンプと前記第1バルブとの間における前記第1流路に充填される、工作機械。
【手続補正書】
【提出日】2024-02-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通路が形成されており、当該貫通路の先端側の開口からクーラントを外部に吐出可能に構成された工具を用いてワークを加工することが可能な工作機械であって、
前記工具を装着可能に構成されており、当該工具が装着された際に前記貫通路に接続される連通路を有している主軸と、
前記連通路に接続されている第1流路にクーラントを圧送するためのポンプと、
前記第1流路または前記連通路に設けられた第1バルブと、
前記第1流路において前記ポンプと前記第1バルブとの間から分岐する第2流路に対して、前記第2流路の分岐点よりも前記第1バルブ側にあるクーラントを戻すかどうかを少なくとも切り替え可能な第2バルブと、
前記第1流路において前記ポンプと前記第1バルブの間から分岐している第3流路に設けられた流体抵抗とを備える、工作機械。
【請求項2】
前記第1バルブは、前記第1流路上に設けられており、
前記第1バルブと前記主軸との間における流路の長さは、前記第2バルブと前記主軸と
の間における流路の長さよりも短い、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記第3流路に設けられた第3バルブを備える、請求項1または2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記第1バルブは、前記第1流路上に設けられており、
前記第1バルブと前記主軸との間における流路の長さは、前記第3バルブと前記主軸との間における流路の長さよりも短い、請求項3に記載の工作機械。
【請求項5】
前記第1流路と前記第3流路との分岐点は、前記第1流路と前記第2流路との分岐点よりも前記主軸側に設けられている、請求項1に記載の工作機械。
【請求項6】
前記第1バルブが閉状態の際に、クーラントが前記ポンプと前記第1バルブとの間における前記第1流路に充填される、請求項1または2に記載の工作機械。
【請求項7】
前記第1バルブは、前記第1流路の中心と前記主軸との間における前記第1流路上に設けられている、請求項1または2に記載の工作機械。
【請求項8】
前記第1バルブは、前記分岐点と前記主軸との間における前記第1流路上に設けられている、請求項1または2に記載の工作機械。
【請求項9】
貫通路が形成されており、当該貫通路の先端側の開口からクーラントを外部に吐出可能に構成された工具を用いてワークを加工することが可能な工作機械であって、
前記工具を装着可能に構成されており、当該工具が装着された際に前記貫通路に接続される連通路を有している主軸と、
前記連通路に接続されている第1流路にクーラントを圧送するためのポンプと、
前記第1流路または前記連通路に設けられた第1バルブと、
前記第1流路において前記ポンプと前記第1バルブの間から分岐している第3流路に設けられた流体抵抗とを備え、前記第1バルブが閉状態の際に、クーラントが前記ポンプと前記第1バルブとの間における前記第1流路に充填される、工作機械。
【手続補正書】
【提出日】2024-04-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貫通路が形成されており、当該貫通路の先端側の開口からクーラントを外部に吐出可能に構成された工具を用いてワークを加工することが可能な工作機械であって、
前記工具を装着可能に構成されており、当該工具が装着された際に前記貫通路に接続される連通路を有している主軸と、
前記連通路に接続されている第1流路にクーラントを圧送するためのポンプと、
前記第1流路または前記連通路に設けられた第1バルブと、
前記第1流路において前記ポンプと前記第1バルブとの間から分岐する第2流路に対して、前記第2流路の分岐点よりも前記第1バルブ側にあるクーラントを戻すかどうかを少なくとも切り替え可能な第2バルブと、
前記第1流路において前記ポンプと前記第1バルブの間から分岐している第3流路に設けられた流体抵抗とを備える、工作機械。
【請求項2】
前記第1バルブは、前記第1流路上に設けられており、
前記第1バルブと前記主軸との間における流路の長さは、前記第2バルブと前記主軸と
の間における流路の長さよりも短い、請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
前記第3流路に設けられた第3バルブを備える、請求項1または2に記載の工作機械。
【請求項4】
前記第1バルブは、前記第1流路上に設けられており、
前記第1バルブと前記主軸との間における流路の長さは、前記第3バルブと前記主軸との間における流路の長さよりも短い、請求項3に記載の工作機械。
【請求項5】
前記第1流路と前記第3流路との分岐点は、前記第1流路と前記第2流路との分岐点よりも前記主軸側に設けられている、請求項1に記載の工作機械。
【請求項6】
前記第1バルブが閉状態の際に、クーラントが前記ポンプと前記第1バルブとの間における前記第1流路に充填される、請求項1または2に記載の工作機械。
【請求項7】
前記第1バルブは、前記第1流路の中心と前記主軸との間における前記第1流路上に設けられている、請求項1または2に記載の工作機械。
【請求項8】
前記第1バルブは、前記分岐点と前記主軸との間における前記第1流路上に設けられている、請求項1または2に記載の工作機械。