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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124304
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】内視鏡先端部及び内視鏡
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/018 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
A61B1/018 514
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023145565
(22)【出願日】2023-09-07
(31)【優先権主張番号】63/449,350
(32)【優先日】2023-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】304050923
【氏名又は名称】オリンパスメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】諏訪 高広
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161AA01
4C161BB04
4C161CC06
4C161DD03
4C161FF35
4C161FF43
4C161HH24
(57)【要約】
【課題】処置具の挿通性を向上させること。
【解決手段】内視鏡先端部10は、処置具が挿通される処置具挿通孔127を有する先端構成部12と、先端構成部12に対して回動可能に配置される軸部材142と、軸部材142が係合する穴132を有し、軸部材142とともに回動することによって起上状態または倒置状態に設定され、処置具挿通孔127から突出した処置具に当接して処置具の突出方向を調整する処置具起上台13とを備える。処置具起上台13の基端側には、処置具に当接して処置具の突出方向を調整する処置具案内面131が設けられている。穴132には、処置具案内面131との離間距離が最も小さい位置を含み、軸部材142に当接する第1の平面が設けられている。処置具案内面131は、処置具起上台13が倒置状態に設定されている時に、先端構成部12の長手方向と交差する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
処置具が挿通される処置具挿通孔を有する先端構成部と、
前記先端構成部に対して回動可能に配置される軸部材と、
前記軸部材が係合する穴を有し、前記軸部材とともに回動することによって前記先端構成部の長手方向に対して起上した起上状態、または倒置した倒置状態に設定され、前記処置具挿通孔から突出した前記処置具に当接して前記処置具の突出方向を調整する処置具起上台とを備え、
前記処置具起上台の基端側には、
前記処置具に当接して前記処置具の突出方向を調整する処置具案内面が設けられ、
前記穴には、
前記処置具案内面との離間距離が最も小さい位置を含み、前記軸部材に当接する第1の平面が設けられ、
前記処置具案内面は、
前記処置具起上台が前記倒置状態に設定されている時に、前記先端構成部の長手方向と交差する内視鏡先端部。
【請求項2】
前記処置具案内面は、
前記処置具起上台が前記倒置状態に設定されている時に、前記処置具挿通孔の先端部における延在方向と同一方向に延在する請求項1に記載の内視鏡先端部。
【請求項3】
前記処置具案内面は、
前記先端構成部の長手方向に直交する断面で見た場合に、直線形状を有する請求項1に記載の内視鏡先端部。
【請求項4】
前記穴には、
前記軸部材に当接する第2の平面が設けられ、
前記第1の平面を延長した延長面と前記第2の平面を延長した延長面とは、
鋭角をなす請求項3に記載の内視鏡先端部。
【請求項5】
前記処置具起上台には、
前記処置具起上台の外面から前記穴まで貫通し、前記軸部材を前記第1の平面及び前記第2の平面に対して押し当てるためのビスが挿通されるネジ穴が設けられている請求項4に記載の内視鏡先端部。
【請求項6】
前記穴は、
前記処置具起上台を貫通する貫通穴である請求項1に記載の内視鏡先端部。
【請求項7】
前記穴は、
前記処置具起上台を貫通しない止まり穴である請求項1に記載の内視鏡先端部。
【請求項8】
前記処置具案内面は、
前記先端構成部の長手方向に直交する断面で見た場合に、曲線形状を有する請求項1に記載の内視鏡先端部。
【請求項9】
前記穴には、
前記軸部材に当接する第2の平面が設けられ、
前記第1の平面を延長した延長面と前記第2の平面を延長した延長面とは、
鋭角をなす請求項8に記載の内視鏡先端部。
【請求項10】
前記処置具起上台には、
前記処置具起上台の外面から前記穴まで貫通し、前記軸部材を前記第1の平面及び前記第2の平面に対して押し当てるためのビスが挿通されるネジ穴が設けられている請求項9に記載の内視鏡先端部。
【請求項11】
前記処置具起上台には、
前記処置具案内面の周囲の一部に第3の平面が設けられている請求項8に記載の内視鏡先端部。
【請求項12】
前記処置具起上台よりも先端側に位置する超音波探触子をさらに備える請求項1に記載の内視鏡先端部。
【請求項13】
先端に内視鏡先端部が設けられ、被検体内に挿入される挿入部を備え、
前記内視鏡先端部は、
処置具が挿通される処置具挿通孔を有する先端構成部と、
前記先端構成部に対して回動可能に配置される軸部材と、
前記軸部材が係合する穴を有し、前記軸部材とともに回動することによって前記先端構成部の長手方向に対して起上した起上状態、または倒置した倒置状態に設定され、前記処置具挿通孔から突出した前記処置具に当接して前記処置具の突出方向を調整する処置具起上台とを備え、
前記処置具起上台の基端側には、
前記処置具に当接して前記処置具の突出方向を調整する処置具案内面が設けられ、
前記穴には、
前記処置具案内面との離間距離が最も小さい複数の位置を含み、前記軸部材に当接する第1の平面が設けられ、
前記処置具案内面は、
前記処置具起上台が前記倒置状態に設定されている時に、前記先端構成部の長手方向と交差する内視鏡。
【請求項14】
前記処置具案内面は、
前記処置具起上台が前記倒置状態に設定されている時に、前記処置具挿通孔の先端部における延在方向と同一方向に延在する請求項13に記載の内視鏡。
【請求項15】
前記内視鏡先端部は、
前記処置具起上台よりも先端側に位置する超音波探触子をさらに備える請求項13に記載の内視鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内視鏡先端部及び内視鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、柔軟で細長い挿入部を人等の被検体内に挿入し、当該被検体内を観察する内視鏡が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特許文献1に記載の内視鏡では、挿入部の先端には、以下に示す先端構成部、回動機構、及び処置具起上台が設けられている。
先端構成部には、穿刺針等の処置具が挿通される処置具挿通孔が設けられている。
回動機構は、先端構成部に対して回動可能に配置される軸部材を備える。
処置具起上台は、軸部材とともに回動することによって先端構成部の長手方向に対して起上した起上状態、または倒置した倒置状態に設定され、処置具挿通孔から突出した処置具に当接して当該処置具の突出方向を調整する。この処置具起上台には、軸部材が係合する穴と、処置具に当接して当該処置具の突出方向を調整する処置具案内面とが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2016/021231号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、処置具起上台の穴と軸部材との係合状態によっては、処置具案内面における基端部分の高さ位置が比較的に高い位置に設定されてしまう場合がある。このような場合には、処置具挿通孔から突出した処置具が処置具案内面に引っ掛かり易く、当該処置具の挿通性が損なわれてしまう。
そこで、処置具の挿通性を向上させることができる技術が要望されている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、処置具の挿通性を向上させることができる内視鏡先端部及び内視鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る内視鏡先端部は、処置具が挿通される処置具挿通孔を有する先端構成部と、前記先端構成部に対して回動可能に配置される軸部材と、前記軸部材が係合する穴を有し、前記軸部材とともに回動することによって前記先端構成部の長手方向に対して起上した起上状態、または倒置した倒置状態に設定され、前記処置具挿通孔から突出した前記処置具に当接して前記処置具の突出方向を調整する処置具起上台とを備え、前記処置具起上台の基端側には、前記処置具に当接して前記処置具の突出方向を調整する処置具案内面が設けられ、前記穴には、前記処置具案内面との離間距離が最も小さい位置を含み、前記軸部材に当接する第1の平面が設けられ、前記処置具案内面は、前記処置具起上台が前記倒置状態に設定されている時に、前記先端構成部の長手方向と交差する。
【0007】
本発明に係る内視鏡は、先端に内視鏡先端部が設けられ、被検体内に挿入される挿入部を備え、前記内視鏡先端部は、処置具が挿通される処置具挿通孔を有する先端構成部と、前記先端構成部に対して回動可能に配置される軸部材と、前記軸部材が係合する穴を有し、前記軸部材とともに回動することによって前記先端構成部の長手方向に対して起上した起上状態、または倒置した倒置状態に設定され、前記処置具挿通孔から突出した前記処置具に当接して前記処置具の突出方向を調整する処置具起上台とを備え、前記処置具起上台の基端側には、前記処置具に当接して前記処置具の突出方向を調整する処置具案内面が設けられ、前記穴には、前記処置具案内面との離間距離が最も小さい複数の位置を含み、前記軸部材に当接する第1の平面が設けられ、前記処置具案内面は、前記処置具起上台が前記倒置状態に設定されている時に、前記先端構成部の長手方向と交差する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る内視鏡先端部及び内視鏡によれば、処置具の挿通性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施の形態に係る内視鏡システムを示す図である。
図2図2は、内視鏡先端部の構成を示す図である。
図3図3は、内視鏡先端部の構成を示す図である。
図4図4は、処置具起上台の構成を示す図である。
図5図5は、処置具起上台の構成を示す図である。
図6図6は、実施の形態の変形例1を説明する図である。
図7図7は、実施の形態の変形例2を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、図面を参照して、本発明を実施するための形態(以下、実施の形態)について説明する。なお、以下に説明する実施の形態によって本発明が限定されるものではない。さらに、図面の記載において、同一の部分には同一符号を付している。
【0011】
〔内視鏡システムの概略構成〕
図1は、実施の形態に係る内視鏡システム1を示す図である。
内視鏡システム1は、超音波内視鏡を用いて人等の被検体内の超音波診断を行うシステムである。この内視鏡システム1は、図1に示すように、超音波内視鏡2と、超音波観測装置3と、内視鏡観察装置4と、表示装置5とを備える。
【0012】
超音波内視鏡2は、本発明に係る内視鏡に相当する。この超音波内視鏡2は、一部を被検体内に挿入可能とし、当該被検体内の体壁に向けて超音波パルスを送信するとともに当該被検体によって反射された超音波エコーを受信してエコー信号を出力する機能、及び当該被検体内を撮像することで画像信号を出力する機能を有する。
なお、超音波内視鏡2の詳細な構成については、後述する「超音波内視鏡の構成」において説明する。
本実施の形態では、本発明に係る内視鏡として、超音波内視鏡2を採用したが、これに限らず、十二指腸内視鏡等の超音波探触子11を有さない内視鏡を採用しても構わない。
【0013】
超音波観測装置3は、超音波ケーブル31(図1)を経由して超音波内視鏡2に電気的に接続し、当該超音波ケーブル31を経由して当該超音波内視鏡2にパルス信号を出力するとともに当該超音波内視鏡2からエコー信号を入力する。そして、超音波観測装置3では、当該エコー信号に所定の処理を施すことで超音波画像を生成する。
内視鏡観察装置4には、超音波内視鏡2の後述する内視鏡用コネクタ9(図1)が着脱自在に接続される。この内視鏡観察装置4は、図1に示すように、ビデオプロセッサ41と、光源装置42とを備える。
【0014】
ビデオプロセッサ41は、内視鏡用コネクタ9を経由して超音波内視鏡2からの画像信号を入力する。そして、ビデオプロセッサ41は、当該画像信号に所定の処理を施して内視鏡画像を生成する。
光源装置42は、内視鏡用コネクタ9を経由して被検体内を照明する照明光を超音波内視鏡2に供給する。
【0015】
表示装置5は、液晶または有機EL(Electro Luminescence)を用いたディスプレイであり、超音波観測装置3によって生成された超音波画像や、内視鏡観察装置4によって生成された内視鏡画像等を表示する。
【0016】
〔超音波内視鏡の構成〕
超音波内視鏡2は、図1に示すように、挿入部6と、操作部7と、ユニバーサルコード8と、内視鏡用コネクタ9とを備える。
なお、以下に記載する「先端側」は、挿入部6の先端側(被検体内への挿入方向の先端側)を意味する。また、以下に記載する「基端側」は、挿入部6の先端から離間する側を意味する。
【0017】
挿入部6は、被検体内に挿入される部分である。この挿入部6は、図1に示すように、内視鏡先端部10と、湾曲部61と、可撓管62とを備える。
ここで、挿入部6、操作部7、ユニバーサルコード8、及び内視鏡用コネクタ9の内部には、光源装置42から供給された照明光を伝送するライトガイド(図示略)と、上述したパルス信号及びエコー信号を伝送する振動子ケーブルC1(図3参照)と、画像信号を伝送する信号ケーブル(図示略)とが引き回されているとともに、流体を流通させるための管路(図示略)が設けられている。
【0018】
内視鏡先端部10は、挿入部6の先端に設けられている。
なお、内視鏡先端部10の詳細な構成については、後述する「内視鏡先端部の構成」において説明する。
湾曲部61は、内視鏡先端部10の基端側に連結され、湾曲可能とする。
可撓管62は、湾曲部61の基端側に連結され、可撓性を有する。
【0019】
操作部7は、挿入部6の基端側に連結され、医師等から各種操作を受け付ける部分である。この操作部7は、図1に示すように、湾曲部61を湾曲操作するための湾曲ノブ71と、各種操作を行うための複数の操作部材72とを備える。
また、操作部7には、湾曲部61及び可撓管62の内部に設けられたチューブ(図示略)に連通し、当該チューブに処置具(図示略)を挿通するための処置具挿入口73が設けられている。
【0020】
ユニバーサルコード8は、操作部7から延在し、上述したライトガイド(図示略)、振動子ケーブルC1、上述した信号ケーブル(図示略)、及び上述した管路(図示略)が配設されたコードである。
内視鏡用コネクタ9は、ユニバーサルコード8の端部に設けられている。そして、内視鏡用コネクタ9は、超音波ケーブル31が接続されるとともに、内視鏡観察装置4に刺し込まれることでビデオプロセッサ41及び光源装置42に接続する。
【0021】
〔内視鏡先端部の構成〕
図2及び図3は、内視鏡先端部10の構成を示す図である。具体的に、図2は、内視鏡先端部10を示す斜視図である。図3は、挿入部6の中心軸Ax(図2)を含む平面によって内視鏡先端部10を切断した断面を示す図である。
内視鏡先端部10は、図2及び図3に示すように、超音波探触子11と、先端構成部12と、処置具起上台13と、回動機構14(図5参照)とを備える。
【0022】
超音波探触子11は、コンベックス型の超音波探触子であり、凸型の円弧を形成する状態で規則的に配列された複数の超音波振動子(図示略)を有する。なお、超音波探触子11としては、コンベックス型の超音波探触子に限らず、ラジアル型の超音波探触子を採用しても構わない。
ここで、超音波振動子は、音響レンズ、圧電素子、及び整合層を有し、被検体内の体壁よりも内部の超音波断層画像に寄与する超音波エコーを取得する。
【0023】
そして、超音波探触子11は、超音波ケーブル31及び振動子ケーブルC1を経由して超音波観測装置3から入力したパルス信号を超音波パルスに変換して被検体内に送信する。また、超音波探触子11は、被検体内で反射された超音波エコーを電気的なエコー信号に変換し、振動子ケーブルC1及び超音波ケーブル31を経由して超音波観測装置3に出力する。
【0024】
以上説明した超音波探触子11は、図3に示すように、処置具起上台13よりも先端側(図3中、下側)に配置されている。
【0025】
先端構成部12は、樹脂材料等から構成された硬質部材であり、中心軸Axに沿って延在する略円柱形状を有する。
この先端構成部12において、先端側の外周面には、先端に向かうにしたがって当該先端構成部12を先細形状とする傾斜面121(図2)が設けられている。
そして、先端構成部12には、基端から先端まで貫通した取付用孔122(図3)、基端から傾斜面121までそれぞれ貫通した照明用孔123(図2)、撮像用孔124(図2)、送気送水用孔125(図2)、及び処置具チャンネル126(図2図3)等が設けられている。
【0026】
取付用孔122は、超音波探触子11が取り付けられる孔である。そして、取付用孔122の内部には、図3に示すように、超音波探触子11に電気的に接続する振動子ケーブルC1が挿通される。
【0027】
照明用孔123の内部には、上述したライトガイド(図示略)の出射端側と、当該ライトガイドの出射端から出射された照明光を被検体内に照射する照明レンズ1231(図2)とが配設されている。
撮像用孔124の内部には、被検体内に照射され、当該被検体内で反射された光(被写体像)を集光する対物光学系1241(図2)、及び当該対物光学系1241によって集光された被写体像を撮像する撮像素子(図示略)が配設されている。そして、当該撮像素子によって撮像された画像信号は、上述した信号ケーブル(図示略)を経由して内視鏡観察装置4(ビデオプロセッサ41)に伝送される。
【0028】
送気送水用孔125は、上述した管路(図示略)の一部を構成し、撮像用孔124に向けて送気または送水し、対物光学系1241の外面を洗浄するための孔である。
【0029】
処置具チャンネル126は、処置具挿入口73から挿入部6の内部の上述したチューブ(図示略)に挿通された処置具(図示略)を外部に突出させる通路である。この処置具チャンネル126は、図3に示すように、処置具挿通孔127及び収納溝128を備える。
処置具挿通孔127は、先端構成部12の基端から先端側に延在し、処置具(図示略)が挿通される部分である。
収納溝128は、処置具挿通孔127に連通するとともに、当該処置具挿通孔127から中心軸Axに沿って先端側に延在した溝である。
【0030】
処置具起上台13は、回動軸RAx(図3)を中心として回動可能に収納溝128の内部に収納されている。そして、処置具起上台13は、回動軸RAxを中心として回動することによって中心軸Axに対して起上した起上状態、または倒置した倒置状態に設定され、処置具挿通孔127を通して収納溝128に挿通された処置具(図示略)に当接して当該処置具の突出方向を調整する。図3では、起上状態に設定された処置具起上台13を一点鎖線によって図示し、倒置状態に設定された処置具起上台13を実線によって図示している。
なお、処置具起上台13の詳細な構成については、後述する「処置具起上台の構成」において説明する。
【0031】
回動機構14は、医師等による操作部7への操作に応じて、処置具起上台13を回動させる機構である。
なお、回動機構14の詳細な構成については、後述する「処置具起上台の構成」において説明する。
【0032】
〔処置具起上台の構成〕
図4及び図5は、処置具起上台13の構成を示す図である。具体的に、図4は、図3の一部を拡大した図である。図5は、挿入部6の中心軸Axに直交する平面によって図3のV-V線の位置で内視鏡先端部10を切断した断面図である。
先ず、処置具起上台13の構成を説明する前に、回動機構14の構成を説明する。
回動機構14は、図5に示すように、収納溝128の側方に位置し、先端構成部12の外面から当該収納溝128に向けて窪む凹部129内に設置される。
【0033】
凹部129の底部1291は、収納溝128を構成する一方の側壁1281(図5)によって構成される。当該側壁1281は、回動軸RAxに直交する壁部である。
また、底部1291の回動軸RAx上には、図5に示すように、側壁1281を貫通し、凹部129と収納溝128とを連通する第1の貫通孔1292が設けられている。この第1の貫通孔1292は、回動軸RAxと同軸となる平面視円形状を有する。
【0034】
さらに、凹部129の開口1293には、図5に示すように、蓋体1294が取り付けられる。この蓋体1294は、開口1293と略同一の平面形状を有し、当該開口1293に取り付けられることによって、凹部129を閉塞する。
【0035】
そして、回動機構14は、図5に示すように、軸受部材141と、軸部材142とを備える。
軸受部材141は、図5に示すように、第2の貫通孔1412を有する円環状の軸受部本体1411を有し、当該軸受部本体1411が第1の貫通孔1292に挿通された状態で、ネジ(図示略)によって凹部129内に設置される。そして、軸受部材141は、軸受部本体1411によって、回動軸RAxを中心として軸部材142を回動可能に支持する。
【0036】
軸部材142は、図5に示すように、軸部材本体1421と、アーム1422とを備える。
軸部材本体1421は、回動軸RAxに沿って延在する略円柱形状を有する。この軸部材本体1421は、第2の貫通孔1412に挿通された状態で回動軸RAxを中心として回動可能に軸支される。また、軸部材本体1421は、収納溝128に突出して配置される突出部1423(図5)を有する。当該突出部1423は、収納溝128に配置される処置具起上台13に接続する。
【0037】
アーム1422は、軸部材本体1421の外周面に対して固定され、医師等による操作部7へのユーザ操作に応じて進退するワイヤWの一端と係合する。
そして、医師等による操作部7へのユーザ操作に応じてワイヤWが進退すると、アーム1422は、回動軸RAxを中心として軸部材本体1421及び処置具起上台13と一体的に回動する。すなわち、処置具起上台13が回動することによって、処置具挿通孔127を通して収納溝128に挿通された処置具(図示略)の突出方向が調整される。
【0038】
処置具起上台13は、回動軸RAxに沿って延在する柱状体によって構成されている。
この処置具起上台13には、図4及び図5に示すように、処置具案内面131と、穴132と、ネジ穴133と、第3の平面134とが設けられている。
【0039】
処置具案内面131は、柱状体である処置具起上台13おいて、基端側(図4中、上側)の外周面の図4中、左側に設けられ、処置具挿通孔127を通して収納溝128に挿通された処置具(図示略)に当接して当該処置具の突出方向を調整する面である。
この処置具案内面131は、中心軸Axに直交する断面で見た場合に、図5に示すように、図5中、下方に窪む円弧形状(曲線形状)を有する。また、処置具案内面131は、中心軸Axを含む平面によって切断した断面で見た場合に、図4に示すように、直線形状を有する。そして、処置具案内面131は、処置具起上台13が倒置状態に設定されている時に、基端側(図3中、上側)が図3中、右側に位置し、先端側(図3中、下側)が図3中、左側に位置し、処置具挿通孔127の先端部における延在方向と同一方向に延在する(図3)。すなわち、処置具案内面131は、処置具起上台13が倒置状態に設定されている時に、中心軸Axと交差する。
【0040】
穴132は、図5に示すように、処置具起上台13における回動軸RAxに沿う両側面のうち、凹部129側の側面から他方の側面に向けて延在する止まり穴であって、軸部材142における突出部1423が係合する。
この穴132には、図4に示すように、第1,第2の平面1321,1322が設けられている。
【0041】
第1の平面1321は、処置具案内面131との離間距離が最も小さい複数の位置を含み、突出部1423の外面に当接する平面である。ここで、当該複数の位置と、処置具案内面131との各離間距離は、全て同一の場合の他、0.2mm~0.5mm程度の差がある場合もある。
【0042】
第2の平面1322は、穴132における基端側(図4中、上側)に位置し、突出部1423の外面に当接する平面である。ここで、第1の平面1321を延長した延長面と第2の平面1322を延長した延長面とは、鋭角をなす。
【0043】
そして、突出部1423の外面には、図4に示すように、第1の平面1321に当接する第1の平面1424と、第2の平面1322に当接する第2の平面1425とが設けられている。
【0044】
ネジ穴133は、図4に示すように、処置具起上台13において、先端側(図4中、下側)の外面の図4中、右側から第1,第2の平面1321,1322を除く穴132の内面まで直線状に貫通するネジ穴である。このネジ穴133には、ビスSCが挿通される。そして、ビスSCは、ネジ穴133に挿通されることによって、突出部1423を第1,第2の平面1321,1322に対して押し当てる。
【0045】
第3の平面134は、図4及び図5に示すように、処置具起上台13の外面において、処置具案内面131を挟んで中心軸Axに沿う両側にそれぞれ設けられた平面である。
【0046】
以上説明した本実施の形態によれば、以下の効果を奏する。
本実施の形態に係る内視鏡先端部10では、処置具案内面131は、処置具起上台13が倒置状態に設定されている時に、中心軸Axと交差しつつ、処置具挿通孔127の先端部における延在方向と同一方向に延在する。また、穴132は、処置具案内面131との離間距離が最も小さい複数の位置を含み、突出部1423の外面に当接する第1の平面1321を有する。
このため、処置具案内面131と処置具挿通孔127との位置関係において、当該処置具案内面131が不要に膨出することがない。
したがって、本実施の形態に係る内視鏡先端部10によれば、処置具挿通孔127から突出した処置具が処置具案内面131に引っ掛かることを抑制することができ、当該処置具の挿通性を向上させることができる。
【0047】
また、穴132における第1,第2の平面1321,1322の各延長面は、鋭角をなす。このため、穴132の形状によって、処置具案内面131を不要に膨出させてしまうことがなく、処置具の挿通性をより一層向上させることができる。
【0048】
(その他の実施形態)
ここまで、本発明を実施するための形態を説明してきたが、本発明は上述した実施の形態によってのみ限定されるべきものではない。
上述した実施の形態では、内視鏡システム1は、超音波画像を生成する機能、及び内視鏡画像を生成する機能の双方を有していたが、これに限らず、いずれかの機能のみを有する構成としても構わない。
上述した実施の形態において、内視鏡システム1は、医療分野に限らず、工業分野において、機械構造物等の被検体の内部を観察する内視鏡システムとしても構わない。
上述した実施の形態において、以下に示す変形例1,2の構成を採用しても構わない。
【0049】
(変形例1)
図6は、実施の形態の変形例1を説明する図である。具体的に、図6は、図5に対応した図である。
上述した実施の形態において、処置具案内面131の形状を図6に示した本変形例1の形状としても構わない。
具体的に、本変形例1に係る処置具案内面131は、中心軸Axに直交する断面で見た場合に、図6に示すように、回動軸RAxに平行となる直線形状を有する。また、処置具案内面131は、中心軸Axを含む平面によって切断した断面で見た場合に、直線形状を有する。そして、処置具案内面131は、処置具起上台13が倒置状態に設定されている時に、中心軸Axと交差するとともに、処置具挿通孔127の先端部における延在方向と同一方向に延在する。
【0050】
以上説明した本変形例1に係る処置具案内面131を採用した場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果を奏する。
【0051】
(変形例2)
図7は、実施の形態の変形例2を説明する図である。具体的に、図7は、図5に対応した図である。
上述した実施の形態において、穴132の形状を図7に示した本変形例2の形状としても構わない。
具体的に、本変形例2に係る穴132は、処置具起上台13における回動軸RAxに沿う両側面を貫通する貫通穴であって、上述した実施の形態と同様に、第1,第2の平面1321,1322を有する。
【0052】
以上説明した本変形例2に係る穴132を採用した場合であっても、上述した実施の形態と同様の効果を奏する。
【符号の説明】
【0053】
1 内視鏡システム
2 超音波内視鏡
3 超音波観測装置
4 内視鏡観察装置
5 表示装置
6 挿入部
7 操作部
8 ユニバーサルコード
9 内視鏡用コネクタ
10 内視鏡先端部
11 超音波探触子
12 先端構成部
13 処置具起上台
14 回動機構
31 超音波ケーブル
41 ビデオプロセッサ
42 光源装置
61 湾曲部
62 可撓管
71 湾曲ノブ
72 操作部材
73 処置具挿入口
121 傾斜面
122 取付用孔
123 照明用孔
124 撮像用孔
125 送気送水用孔
126 処置具チャンネル
127 処置具挿通孔
128 収納溝
129 凹部
131 処置具案内面
132 穴
133 ネジ穴
134 第3の平面
141 軸受部材
142 軸部材
1231 照明レンズ
1241 対物光学系
1281 側壁
1291 底部
1292 第1の貫通孔
1293 開口
1294 蓋体
1321 第1の平面
1322 第2の平面
1411 軸受部本体
1412 第2の貫通孔
1421 軸部材本体
1422 アーム
1423 突出部
1424 第1の平面
1425 第2の平面
Ax 中心軸
C1 振動子ケーブル
RAx 回動軸
SC ビス
W ワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7