(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124316
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】伸縮性有機発光ダイオードおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
H10K 77/10 20230101AFI20240905BHJP
H10K 59/00 20230101ALI20240905BHJP
H10K 59/90 20230101ALI20240905BHJP
H10K 50/10 20230101ALI20240905BHJP
H10K 71/80 20230101ALI20240905BHJP
H10K 71/00 20230101ALI20240905BHJP
【FI】
H10K77/10
H10K59/00
H10K59/90
H10K50/10
H10K71/80
H10K71/00
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023183105
(22)【出願日】2023-10-25
(31)【優先権主張番号】10-2023-0027926
(32)【優先日】2023-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】518366555
【氏名又は名称】コリア アドバンスト インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ユ・スンヒョブ
(72)【発明者】
【氏名】イ・ドンギュン
(72)【発明者】
【氏名】ムン・ハンオル
(72)【発明者】
【氏名】キム・テヒョン
(72)【発明者】
【氏名】キム・スボン
【テーマコード(参考)】
3K107
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC41
3K107CC43
3K107CC45
3K107DD17
3K107DD39
3K107FF01
(57)【要約】
【課題】伸縮性有機発光ダイオードおよびその製造方法を提供する。
【解決手段】一実施形態によると、伸縮性有機発光ダイオードは、垂直方向に突出した状態で配列をなす複数の孤立領域、および前記孤立領域を互いに連結して前記垂直方向に伸縮する隠し発光領域を含む。
【選択図】
図1a
【特許請求の範囲】
【請求項1】
伸縮性有機発光ダイオードであって、
垂直方向に突出した状態で配列をなす複数の孤立領域、および
前記孤立領域を互いに連結して前記垂直方向に伸縮する隠し発光領域
を含む、伸縮性有機発光ダイオード。
【請求項2】
前記隠し発光領域は、
前記伸縮性有機発光ダイオードが水平方向に収縮するときに、前記孤立領域の表面に現れずに前記孤立領域の間の空間内に隠れるようにバックリングされていることを特徴とする、
請求項1に記載の伸縮性有機発光ダイオード。
【請求項3】
前記伸縮性有機発光ダイオードは、
前記水平方向に延長するときに、前記隠し発光領域が前記孤立領域の間から露出されることによって発光面積を保証することを特徴とする、
請求項2に記載の伸縮性有機発光ダイオード。
【請求項4】
前記伸縮性有機発光ダイオードは、
水平平面上の4軸以上の引張力が加えられて前記水平方向に延長可能であることを特徴とする、
請求項3に記載の伸縮性有機発光ダイオード。
【請求項5】
前記伸縮性有機発光ダイオードは、
前記垂直方向に突出した状態で前記配列をなす複数の固定領域が形成された、伸縮性を有するベース層
をさらに含み、
前記孤立領域は、
前記固定領域上に整列して接合されていることを特徴とする、
請求項1に記載の伸縮性有機発光ダイオード。
【請求項6】
前記固定領域は、
前記ベース層に水平方向に引張力が加えられる場合、前記水平方向に延長せずに固定形状を維持するように、前記ベース層とは異なる物質で形成されることを特徴とする、
請求項5に記載の伸縮性有機発光ダイオード。
【請求項7】
前記伸縮性有機発光ダイオードは、
前記水平方向に延長するときに、前記ベース層のうちで前記固定領域が形成されていない領域が前記水平方向に延長することに応答して、前記隠し発光領域を前記孤立領域の間から露出させることを特徴とする、
請求項6に記載の伸縮性有機発光ダイオード。
【請求項8】
前記伸縮性有機発光ダイオードは、
前記ベース層のうちで前記固定領域が形成されていない領域に水平平面上の4軸以上の前記引張力が加えられて前記ベース層のうちで前記固定領域が形成されていない領域が前記水平方向に延長することによって、前記水平方向に延長可能であることを特徴とする、
請求項7に記載の伸縮性有機発光ダイオード。
【請求項9】
前記隠し発光領域は、
前記孤立領域のうちで対角方向に隣接する孤立領域の間に対応する領域が空き構造を有することを特徴とする、
請求項1に記載の伸縮性有機発光ダイオード。
【請求項10】
前記伸縮性有機発光ダイオードは、
前記孤立領域および前記隠し発光領域と電気的に接続する少なくとも1つの電極
をさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の伸縮性有機発光ダイオード。
【請求項11】
前記孤立領域および前記隠し発光領域は、
同一物質で一括形成されることを特徴とする、請求項1に記載の伸縮性有機発光ダイオード。
【請求項12】
伸縮性有機発光ダイオードであって、
垂直方向に突出した状態で配列をなす複数の孤立領域、および
前記孤立領域を互いに連結した状態で、前記伸縮性有機発光ダイオードが水平方向に収縮するときに前記孤立領域の表面に現れずに前記孤立領域の間の空間内に隠れるようにバックリングされた後、前記伸縮性有機発光ダイオードが前記水平方向に延長するときに前記孤立領域の間から露出される隠し発光領域
を含む、伸縮性有機発光ダイオード。
【請求項13】
伸縮性有機発光ダイオードの製造方法であって、
伸縮性を有する物質で有機発光ダイオード層(前記有機発光ダイオード層は、垂直方向に突出した状態で配列をなす複数の孤立領域および前記孤立領域の間を連結する隠し発光領域を含む)を形成する段階、
前記垂直方向に突出した状態で配列をなす、複数の固定領域が形成された伸縮性を有するベース層を準備する段階、
前記ベース層に引張力を加えて前記ベース層を水平方向に延長した状態で、前記固定領域上に前記孤立領域を接合する段階、および
前記ベース層に加えられた引張力を除去して前記ベース層を収縮させ、前記隠し発光領域を前記垂直方向にバックリングする段階
を含む、伸縮性有機発光ダイオードの製造方法。
【請求項14】
前記隠し発光領域を前記垂直方向にバックリングする段階は、
前記ベース層が前記水平方向に収縮するときに、前記隠し発光領域が前記孤立領域の表面に現れずに前記孤立領域の間の空間内に隠れるように前記隠し発光領域を前記垂直方向にバックリングする段階であることを特徴とする、
請求項13に記載の伸縮性有機発光ダイオードの製造方法。
【請求項15】
前記固定領域は、
前記ベース層に前記引張力が加えられた場合、前記水平方向に延長せずに固定形状を維持するように、前記ベース層とは異なる物質で形成されることを特徴とする、
請求項13に記載の伸縮性有機発光ダイオードの製造方法。
【請求項16】
前記ベース層を準備する段階は、
前記引張力に強靭な物質で前記固定領域を形成する段階、および
前記伸縮性を有する物質で前記固定領域に接合される前記ベース層を形成する段階
を含むことを特徴とする、請求項15に記載の伸縮性有機発光ダイオードの製造方法。
【請求項17】
前記孤立領域を接合する段階は、
前記ベース層のうちで前記固定領域が形成されていない領域を前記水平方向に延長した状態で、前記固定領域上に前記孤立領域を整列させた状態で接合する段階
を含むことを特徴とする、請求項15に記載の伸縮性有機発光ダイオードの製造方法。
【請求項18】
前記固定領域上に前記孤立領域を整列した状態で接合する段階は、
前記ベース層のうちで前記固定領域が形成されていない領域に水平平面上の4軸以上の前記引張力を加えて、前記ベース層のうちで前記固定領域が形成されていない領域を前記水平方向に延長する段階
を含むことを特徴とする、請求項17に記載の伸縮性有機発光ダイオードの製造方法。
【請求項19】
前記有機発光ダイオード層を形成する段階は、
前記孤立領域と前記隠し発光領域を同一物質で一括形成することを特徴とする、
請求項13に記載の伸縮性有機発光ダイオードの製造方法。
【請求項20】
前記有機発光ダイオード層を形成する段階は、
前記隠し発光領域上、前記孤立領域のうちで対角方向に隣接する孤立領域の間に対応する領域を空き構造で形成する段階
を含むことを特徴とする、請求項13に記載の伸縮性有機発光ダイオードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
以下の実施形態は、伸縮性を有する有機発光ダイオード(Organic Light-Emitting Diode:OLED)技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のディスプレイ産業は、フレキシブルやフォルダブルのような、向上したフォームファクタのディスプレイを製作することに焦点を当てている。
【0003】
伸縮性有機発光ダイオードは、究極のフォームファクタを備えたディスプレイプラットフォームであって、従来の伸縮性有機発光ダイオードは、孤立領域と孤立領域を接続し、水平方向に収縮/延長するインターコネクタを含む構造を有する。
【0004】
しかし、従来の伸縮性有機発光ダイオードは、収縮状態から延長するときにインターコネクタ部分が水平方向に伸びる構造を有するため、空間が生じ、面積比が減少するという限界を抱えている。
【0005】
これにより、伸縮時に面積比が減少するという限界を克服するための技術が求められている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一実施形態は、従来の構造のダイオードよりも格段に改善された発光面積比を実現するという課題と、外部衝撃に対して機械的安定性を有するという課題を達成するために、垂直方向に伸縮する隠し発光領域を含む構造の伸縮性有機発光ダイオードを提案する。
【0007】
また、一実施形態は、孤立領域の変形率を最小化するという課題を達成するために、伸縮性を有するベース層およびその上に形成された固定領域を伸縮ウエハとして使用しながら、固定形状を維持する固定領域上に有機発光ダイオード層の孤立領域を整列および接合する構造を実現する、伸縮性有機発光ダイオードを提案する。
【0008】
また、一実施形態は、2軸に延長する従来の構造の、ダイオードが曲がった形状のエッジを有するという限界を克服し、曲がった形状でなく直線に近い均一形状のエッジを実現するという課題を達成するために、水平平面上の4軸以上の方向に延長可能な伸縮性有機発光ダイオードを提案する。
【0009】
本発明が解決しようとする技術課題が上述したものに限定されてはならず、本発明の技術思想および領域から逸脱しない範囲内で多様に拡張されてよい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態によると、伸縮性有機発光ダイオードは、垂直方向に突出した状態で配列をなす複数の孤立領域、および前記孤立領域を互いに連結して前記垂直方向に伸縮する隠し発光領域を含んでよい。
【0011】
一側によると、前記隠し発光領域は、前記伸縮性有機発光ダイオードが水平方向に収縮するときに、前記孤立領域の表面に現れずに前記孤立領域の間の空間内に隠れるようにバックリングされていることを特徴としてよい。
【0012】
他の一側によると、前記伸縮性有機発光ダイオードは、前記水平方向に延長するときに、前記隠し発光領域が前記孤立領域の間に露出されることにより、発光面積を保証することを特徴としてよい。
【0013】
また他の一側によると、前記伸縮性有機発光ダイオードは、水平平面上の4軸以上の引張力が加えられ、前記水平方向に延長可能であることを特徴としてよい。
【0014】
また他の一側によると、前記伸縮性有機発光ダイオードは、前記垂直方向に突出した状態で前記配列なす複数の固定領域が形成された、伸縮性を有するベース層をさらに含み、前記孤立領域は、前記固定領域上に整列して接合されていることを特徴としてよい。
【0015】
また他の一側によると、前記固定領域は、前記ベース層に水平方向に引張力が加えられる場合、前記水平方向に延長せずに固定形状を維持するように、前記ベース層とは異なる物質で形成されることを特徴としてよい。
【0016】
また他の一側によると、前記伸縮性有機発光ダイオードは、前記水平方向に延長するときに、前記ベース層のうちで前記固定領域が形成されていない領域が前記水平方向に延長することに応答して前記隠し発光領域を前記孤立領域の間に露出させることを特徴としてよい。
【0017】
また他の一側によると、前記伸縮性有機発光ダイオードは、前記ベース層のうちで前記固定領域が形成されていない領域に水平平面上の4軸以上の前記引張力が加えられて前記ベース層のうちで前記固定領域が形成されていない領域が前記水平方向に延長することにより、前記水平方向に延長可能であることを特徴としてよい。
【0018】
また他の一側によると、前記隠し発光領域は、前記孤立領域のうちで対角方向に隣接する孤立領域の間に対応する領域は、空き構造を有することを特徴としてよい。
【0019】
また他の一側によると、前記伸縮性有機発光ダイオードは、前記孤立領域および前記隠し発光領域と電気的に接続する少なくとも1つの電極をさらに含むことを特徴としてよい。
【0020】
さらに他の一側によると、前記孤立領域および前記隠し発光領域は、同一物質で一括形成されることを特徴としてよい。
【0021】
一実施形態によると、伸縮性有機発光ダイオードは、垂直方向に突出した状態で配列をなす複数の孤立領域、および前記孤立領域を互いに連結した状態で、前記伸縮性有機発光ダイオードが水平方向に収縮したときに前記孤立領域の表面に現れずに前記孤立領域間の空間内に隠れるようにバックリングされ、前記伸縮性有機発光ダイオードが前記水平方向に延長したときに前記孤立領域間に露出される隠し発光領域を含んでよい。
【0022】
一実施形態によると、伸縮性有機発光ダイオードの製造方法は、伸縮性を有する物質で有機発光ダイオード層(前記有機発光ダイオード層は、垂直方向に突出した状態で配列をなす複数の孤立領域、および前記孤立領域の間を連結する隠し発光領域を含む)を形成する段階、前記垂直方向に突出した状態で配列をなす複数の固定領域が形成された伸縮性を有するベース層を準備する段階、前記ベース層に引張力を加えて前記ベース層を水平方向に延長した状態で、前記固定領域上に前記孤立領域を接合する段階、および前記ベース層に加えられた引張力を除去して前記ベース層を収縮させ、前記隠し発光領域を前記垂直方向にバックリングする段階を含んでよい。
【0023】
一側によると、前記隠し発光領域を前記垂直方向にバックリングする段階は、前記ベース層が前記水平方向に収縮するときに、前記隠し発光領域が前記孤立領域の表面に現れずに前記孤立領域間の空間内に隠れるように、前記隠し発光領域を前記垂直方向にバックリングする段階であることを特徴としてよい。
【0024】
他の一側によると、前記固定領域は、前記ベース層に前記引張力が加えられる場合、前記水平方向に延長せずに固定形状を維持するように、前記ベース層とは異なる物質で形成されることを特徴としてよい。
【0025】
また他の一側によると、前記ベース層を準備する段階は、前記引張力に強靭な物質で前記固定領域を形成する段階、および前記伸縮性を有する物質で前記固定領域に接着する前記ベース層を形成する段階とを含むことを特徴としてよい。
【0026】
また他の一側によると、前記孤立領域を接合する段階は、前記ベース層のうちで前記固定領域が形成されていない領域を前記水平方向に延長した状態で、前記固定領域上に前記孤立領域を整列させた状態で接合する段階を含むことを特徴としてよい。
【0027】
また他の一側によると、前記固定領域上に前記孤立領域を整列させた状態で接合する段階は、前記ベース層のうちで前記固定領域が形成されていない領域に水平平面上の4軸以上の前記引張力を加え、前記ベース層のうちで前記固定領域が形成されていない領域を前記水平方向に延長する段階を含むことを特徴としてよい。
【0028】
また他の一側によると、前記有機発光ダイオード層を形成する段階は、前記孤立領域と前記隠し発光領域を同一物質で一括形成することを特徴としてよい。
【0029】
さらに他の一側によると、前記有機発光ダイオード層を形成する段階は、前記隠し発光領域上の前記孤立領域のうちで対角方向に隣接する孤立領域の間に対応する領域を空き構造で形成する段階を含んでよい。
【発明の効果】
【0030】
一実施形態は、垂直方向に伸縮する隠し発光領域を含む構造の伸縮性有機発光ダイオードを提案することにより、従来の構造のダイオードよりも格段に改善された発光面積比を実現するという効果と、外部衝撃に対して機械的安定性を発揮するという効果を達成することができる。
【0031】
また、一実施形態は、伸縮性を有するベース層およびその上に形成された固定領域を伸縮ウエハとして使用しながら、固定形状を維持する固定領域上に有機発光ダイオード層の孤立領域を整列および接合した構造を実現する伸縮性有機発光ダイオードを提案することにより、孤立領域の変形率を最小化するという効果を達成することができる。
【0032】
さらに、一実施形態は、水平平面上の4軸以上の方向に延長可能な伸縮性有機発光ダイオードを提案することにより、2軸に延長する従来の構造のダイオードが曲がった形状のエッジを有するという限界を克服し、曲がった形状でなく直線に近い均一な形状のエッジを実現するという効果を達成することができる。
【0033】
本発明の効果が上述したものに限定されてはならず、本発明の技術思想および領域から逸脱しない範囲内で多様に拡張されてよい。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1a】一実施形態における、伸縮性有機発光ダイオードを示した図である。
【
図2a】一実施形態における、伸縮性有機発光ダイオードの優秀性を説明するための図である。
【
図3】一実施形態における、伸縮性有機発光ダイオードの製作方法を示したフローチャートである。
【
図4a】
図3に示した段階310の詳細工程を示した図である。
【
図5a】
図3に示した段階320の詳細工程を示した図である。
【
図6a】
図3に示した段階330~340の詳細工程を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら詳しく説明する。ただし、本発明が、実施形態によって制限あるいは限定されてはならない。なお、各図面に示した同一の参照符号は、同一の部材を示す。
【0036】
また、本明細書で使用する用語(Terminology)は、本発明の好ましい実施形態を適切に表現するために使用するものに過ぎず、視聴者、運営者の意図、または本発明が属する分野の慣習などによって異なることがある。したがって、このような用語は、本明細書の全般に記載された内容に基づいて定義されなければならない。例えば、本明細書に記載された単数形は、文脈で特別に言及しない限り、複数形も含む。また、本明細書で使用する「含む(comprise)」および/または「含む(comprising)」は、記述する構成要素、段階、動作、および/または素子のうちの1つ以上の他の構成要素、段階、動作、および/または素子の存在または追加を排除するものでない。
【0037】
また、本発明の多様な実施形態は、互いに異なるが、相互排他的である必要はないということが理解されなければならない。例えば、ここに記載されている特定の形状、構造、および特性は、一実施形態と関連して、本発明の技術的思想および範囲を逸脱しない範囲内で他の実施形態で実現されてよい。また、提示された各実施形態の範囲において、個別の構成要素の位置、配置、または構成は、本発明の技術的思想および範囲を逸脱しない範囲内で変更されてもよいことが理解されなければならない。
【0038】
以下で記載する「水平方向」は、重力の方向と直交する方向を意味し、「垂直方向」は、「水平方向」と直交する方向を意味する。
【0039】
図1a~1cは、一実施形態における、伸縮性有機発光ダイオードを示した図であり、
図2a~2cは、一実施形態における、伸縮性有機発光ダイオードの優秀性を説明するための図である。より詳しく説明すると、
図1aは、伸縮性有機発光ダイオードが収縮した状態を示した図であり、
図1bは、伸縮性有機発光ダイオードが中間程度まで延長した状態を示した図であり、
図1cは、伸縮性有機発光ダイオードが完全に延長した状態を示した図である。
【0040】
一実施形態に係る伸縮性有機発光ダイオード100は、ベース層110、有機発光ダイオード層120、および少なくとも1つの電極(図示せず)を含んでよい。
【0041】
ベース層110は、伸縮性を有する物質(例えば、Ecoflex(登録商標) 0020)で形成されてよく、ベース層110上には、垂直方向に突出した状態で配列をなす複数の固定領域111が形成されてよい。
【0042】
このとき、固定領域111は、ベース層110に水平方向の引張力が加わる場合、水平方向に延長せずに固定形状を維持するように、ベース層110とは異なる物質(例えば、PDMS)で形成されてよい。すなわち、固定領域111が形成されたベース層110は、異種の弾性重合体をなしてよい。
【0043】
したがって、ベース層100が水平方向に延長されるということは、ベース層100のうちで固定領域111が形成されていない領域が水平方向に延長されることを意味してよく、伸縮性有機発光ダイオード100の水平方向への延長は、ベース層100のうちで固定領域111が形成されていない領域が水平方向に延長されることによって可能となる。
【0044】
有機発光ダイオード層120は、垂直方向に突出した状態で配列をなす複数の孤立領域121、および孤立領域121を互いに連結して垂直方向に伸縮する隠し発光領域122を含んでよい。以下、隠し発光領域122は、孤立領域121を互いに連結する役割も担うことから、インターコネクタまたは伸縮性インターコネクタと呼ばれてもよい。
【0045】
孤立領域121および隠し発光領域122は、同一物質で一括形成されてよいが、これに制限あるいは限定されてはならない。
【0046】
孤立領域121は、固定領域111に整列して接合されてよい。これにより、孤立領域121は、伸縮性有機発光ダイオード100が水平方向に延長したとしても、固定形状を維持する固定領域111により、延長せずに固定形状を維持することができる。
【0047】
ここで、隠し発光領域122が垂直方向に伸縮するということは、伸縮性有機発光ダイオード100が水平方向に収縮するときに、
図1aに示した拡大部分のように、隠し発光領域122が孤立領域121の表面に現れずに孤立領域121の間の空間内に隠れるように垂直方向にバックリングされた後、伸縮性有機発光ダイオード100が水平方向に延長するときに、
図1bおよび1cに示した拡大部分のように、隠し発光領域122が垂直方向に移動して孤立領域121の間から露出されることを意味する。
【0048】
このように、隠し発光領域122は、
図2aに示すように垂直方向に伸縮するため、
図2bに示すように、水平方向に伸縮する既存の構造の面積比よりも格段に改善された面積比を有することができることを
図2cのように証明することができる。既存の構造よりも面積比が改善されるということは、既存の構造と同じサイズで製作される場合に、既存の構造よりも増加した発光面積を有するということを意味する(発光面積が保証される)。
【0049】
上述したように、伸縮性有機発光ダイオード100が水平方向に延長するとき、ベース層110のうちで固定領域111が形成されていない領域だけが水平方向に延長するため、隠し発光領域122は、ベース層110のうちで固定領域111が形成されていない領域だけが水平方向に延長することに対応して孤立領域121の間に露出するようになる。
【0050】
このとき、隠し発光領域122は、孤立領域121のうちで対角方向に隣接する孤立領域121の間に対応する領域122-1が空き構造を有してよいる。これは、伸縮性有機発光ダイオード100が水平方向に収縮するときに、隠し発光領域122が孤立領域121の表面に現れずに孤立領域121の間の空間内にすべて隠れるようにするためである。
【0051】
以上で説明した水平方向への延長は、水平平面上に4軸以上の引張力が加わることによってなされてよい。すなわち、以上で説明した水平方向への延長は、水平平面上の4軸以上の方向への延長を意味する。
【0052】
また、図には示していないが、伸縮性有機発光ダイオード100は、孤立領域121および隠し発光領域122と電気的に接続する、少なくとも1つの電極(図示せず)をさらに含んでよい。
【0053】
以上で説明した一実施形態に係る伸縮性有機発光ダイオード100は、垂直方向に伸縮する隠し発光領域122を含むことにより、従来の構造のダイオードよりも格段に改善された発光面積比を実現するという効果と、隠し発光領域122が外部衝撃に対して機械的安定性をもたらすという効果を達成することができる。
【0054】
また、以上で説明した一実施形態に係る伸縮性有機発光ダイオード100は、伸縮性を有するベース層100およびその上に形成される固定領域111を伸縮性ウエハとして使用しながら、固定形状を維持する固定領域111上に有機発光ダイオード層120の孤立領域121を整列および接合した構造を実現することにより、孤立領域121の変形率を最小化するという効果を達成することができる。
【0055】
さらに、以上で説明した一実施形態に係る伸縮性有機発光ダイオード100は、水平平面上の4軸以上の方向に延長が可能であるため、2軸に延長する従来の構造のダイオードが曲がった形状のエッジを有するという限界を克服し、曲がった形状なく直線に近い均一な形状のエッジを実現するという効果を達成することができる。
【0056】
以下、上述した構造の伸縮性有機発光ダイオード100の製作方法について説明する。
【0057】
図3は、一実施形態における、伸縮性有機発光ダイオードの製作方法を示したフローチャートであり、
図4a~4hは、
図3の段階310の詳細工程を示した図であり、
図5a~5dは、
図3の段階320の詳細工程を示した図であり、
図6a~6cは、
図3の段階330~340の詳細工程を示した図である。以下で説明する伸縮性有機発光ダイオードの製作方法は、自動化および機械化された製作システムによって実行されることを前提とし、段階310~340が実行されて製作された結果物は、上述した構造の伸縮性有機発光ダイオード100であってよい。
【0058】
段階S310で、製作システムは、伸縮性を有する物質で有機発光ダイオード層120を形成してよい。
【0059】
ここで、有機発光ダイオード層120は、垂直方向に突出した状態で配列をなす複数の孤立領域121、および孤立領域121間を連結する隠し発光領域122を含んでよい。
【0060】
孤立領域121および隠し発光領域122は、同一の物質で一括形成されてよく、隠し発光領域122は、孤立領域121のうちで対角方向に隣接する孤立領域121の間に対応する領域122-1が空き構造を有してよい。
【0061】
段階310は、
図4a~4hに示した工程によってなされてよい。例えば、製造システムは、
図4aに示すように、ウエハ上にポリイミドを8000rpm、30s、3aclの条件で1μmでコーティングする工程、
図4bに示すように、ポリイミド上にアルミニウムを200nmでスパッタリングする工程、
図4cに示すように、フォトレジスト(PR)をアルミニウム上にコーティングする工程、
図4dに示すように、マスクを利用してフォトレジストをパターニングする工程、
図4eに示すように、アルミニウム湿式エッチングを実行する工程、
図4fに示すように、フォトレジストストリッピングを実行する工程、
図4gに示すように、ポリイミドの一部領域に対して一定の深さの乾式エッチングを実行してポリイミドパターンを形成する工程、
図4hに示すように、ポリイミドパターンに有機発光ダイオードを蒸着してレーザリフトオフを実行する工程により、有機発光ダイオード層120を形成してよい。
【0062】
段階320で、製作システムは、垂直方向に突出した状態で配列をなす複数の固定領域111が形成された、伸縮性を有するベース層110を準備してよい。
【0063】
このとき、固定領域111は、有機発光ダイオード層120の孤立領域121よりも狭い間隔の配列をなしてよい。したがって、固定領域111は、ベース層110のうちで固定領域111が形成されていない領域が水平方向に延長する場合、孤立領域121と同じ間隔の配列となる。これは、以下で説明する段階330において、ベース層110のうちで固定領域111が形成されていない領域が水平方向に延長することによって固定領域111が孤立領域121と整列するようにするためである。
【0064】
固定領域111は、ベース層110に水平方向の引張力が加わる場合、水平方向に延長せずに固定形状を維持するように、ベース層110とは異なる物質で形成されてよい。
【0065】
したがって、段階320は、引張力に強靭な物質で固定領域111を形成する第1段階、および伸縮性を有する物質で固定領域111と接合するベース層110を形成する第2段階を含んでよい。
【0066】
段階320は、
図5a~5dに示した工程によってなされてよい。例えば、製造システムは、
図5aに示すように、表面にパターンが形成されたアルミニウムモールド上にPDMSを形成し、
図5bに示すように、PDMSが形成されたアルミニウムモールドの表面にガラスを利用したドクターブレードを実行して固定領域111を形成する工程、
図5cに示すように、固定領域111にEcoflex(登録商標) 0020でベース層110を形成する工程、
図5dに示すように、スペーサを利用して固定領域111が接合されたベース層110をアルミニウムモールドから分離する工程により、固定領域111が形成されたベース層110を準備してよい。
【0067】
段階330で、製作システムは、ベース層110に引張力を加えてベース層110を水平方向に延長した状態で、固定領域111上に孤立領域121を接合してよい。
【0068】
具体的には、段階330において、製作システムは、ベース層110のうちで固定領域111が形成されていない領域を水平方向に延長した状態で、固定領域110上に孤立領域121を整列させた状態で接合してよい。
【0069】
このとき、ベース層110のうちで固定領域111が形成されていない領域の水平方向への延長は、ベース層110のうちで固定領域111が形成されていない領域に水平平面上の4軸以上の引張力が加わることによってなされてよい。
【0070】
段階S340で、製造システムは、ベース層110に加えられた引張力を除去してベース層110を収縮させ、隠し発光領域122を垂直方向にバックリングしてよい。
【0071】
より詳細には、段階S340において、製造システムは、ベース層110が水平方向に収縮したとき、隠し発光領域122が孤立領域121の表面に現れずに孤立領域121の間の空間内に隠れるように、隠し発光領域122を垂直方向にバックリングしてよい。
【0072】
したがって、製作が完了した伸縮性有機発光ダイオード100は、水平方向に収縮するときには、隠し発光領域122が孤立領域121の表面に現れずに孤立領域121の間の空間内に隠れるようにし、水平方向に延長するときには、隠し発光領域122が垂直方向に移動して孤立領域121の間から露出されるようにすることができる。
【0073】
段階330~340は、
図6a~6cに示した工程によってなされてよい。
【0074】
例えば、製造システムは、
図6aに示すように、ベース層110に水平平面上の4軸以上の引張力を加えた後、固定領域111上に接着剤を塗布する工程、
図6bに示すように、接着剤によって固定領域111上に孤立領域121を選択的に接合する工程、
図6cに示すように、ベース層110に加えられた引張力を除去してベース層110を収縮させて、隠し発光領域122を垂直方向にバックリングする工程により、固定領域111上に孤立領域121を接合して隠し発光領域122を垂直方向にバックリングしてよい。
【0075】
以上のように、実施形態を、限定された実施形態および図面に基づいて説明したが、当業者であれば、上述した記載から多様な修正および変形が可能であろう。例えば、説明された技術が、説明された方法とは異なる順序で実行されたり、かつ/あるいは、説明されたシステム、構造、装置、回路などの構成要素が、説明された方法とは異なる形態で結合されたりまたは組み合わされたり、他の構成要素または均等物によって対置されたり置換されたとしても、適切な結果を達成することができる。
【0076】
したがって、異なる実施形態であっても、特許請求の範囲と均等なものであれば、添付の特許請求の範囲に属する。
【符号の説明】
【0077】
100:伸縮性有機発光ダイオード
110:ベース層
111:固定領域
120:有機発光ダイオード層
121:孤立領域
122:隠し発光領域