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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124325
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】コネクタおよびコネクタユニット
(51)【国際特許分類】
   H05K 1/02 20060101AFI20240905BHJP
   H01R 13/03 20060101ALI20240905BHJP
   H05K 1/14 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H05K1/02 L
H01R13/03 Z
H05K1/02 J
H05K1/02 B
H05K1/14 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023200061
(22)【出願日】2023-11-27
(31)【優先権主張番号】P 2023031434
(32)【優先日】2023-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108523
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 雅博
(74)【代理人】
【識別番号】100187931
【弁理士】
【氏名又は名称】澤村 英幸
(72)【発明者】
【氏名】木澤 友貴
(72)【発明者】
【氏名】井上 真弥
(72)【発明者】
【氏名】重良 直史
(72)【発明者】
【氏名】徳山 貴志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 雅史
(72)【発明者】
【氏名】市川 和志
(72)【発明者】
【氏名】長岡 将太郎
(72)【発明者】
【氏名】松本 拳斗
【テーマコード(参考)】
5E338
5E344
【Fターム(参考)】
5E338AA01
5E338AA05
5E338AA12
5E338AA16
5E338BB56
5E338CD13
5E338EE22
5E338EE53
5E344CD18
5E344DD07
5E344EE12
5E344EE27
(57)【要約】
【課題】小型化することが可能なコネクタおよびコネクタユニットを提供する。
【解決手段】コネクタ100Aは、絶縁層20、導体層30および金属支持層10を含み、他の接続部品との接続に用いられる。導体層30は、実装部を有し、絶縁層20の一方の面に形成される。金属支持層10は、折曲部A1~A3を有し、絶縁層20の他方の面に形成される。金属支持層10が折曲部A1~A3に沿って折り曲げられることにより、他の接続部品と接続するための接続領域40が形成される。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の接続部品との接続に用いられるコネクタであって、
絶縁層と、
実装部を有し、前記絶縁層の一方の面に形成される導体層と、
折曲部を有し、前記絶縁層の他方の面に形成される金属支持層とを備え、
前記金属支持層が前記折曲部に沿って折り曲げられることにより、前記他の接続部品と接続するための接続領域が形成された、コネクタ。
【請求項2】
前記接続領域は、凸形状または凹形状を有する、請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記折曲部に沿った前記金属支持層の折り曲げ角度は、20度以上150度以下である、請求項1または2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記接続領域には、前記他の接続部品と接触する複数の接点部が第1の方向に延び、かつ前記第1の方向に交差する第2の方向に並ぶように設けられる、請求項1または2記載のコネクタ。
【請求項5】
前記実装部は、前記複数の接点部にそれぞれ電気的に接続される複数のパッド部を含む、請求項4記載のコネクタ。
【請求項6】
前記複数のパッド部の少なくとも一部は、前記第2の方向に交差する方向に並ぶように設けられる、請求項5記載のコネクタ。
【請求項7】
前記複数のパッド部の少なくとも一部は、前記第1の方向に並ぶように設けられる、請求項5記載のコネクタ。
【請求項8】
前記複数のパッド部の少なくとも一部は、千鳥状に並ぶように設けられる、請求項5記載のコネクタ。
【請求項9】
前記複数の接点部は、前記導体層の一部として形成される、請求項4記載のコネクタ。
【請求項10】
前記導体層と前記金属支持層とは電気的に接続され、
前記複数の接点部は、前記金属支持層の一部として形成される、請求項4記載のコネクタ。
【請求項11】
前記金属支持層は、前記折曲部に沿って形成された溝部を有する、請求項1または2記載のコネクタ。
【請求項12】
前記金属支持層は、2以上の前記折曲部を有し、
前記接続領域は、前記金属支持層が2以上の前記折曲部に沿って折り曲げられることにより形成される、請求項1または2記載のコネクタ。
【請求項13】
請求項1または2記載のコネクタである第1のコネクタと、
前記第1のコネクタの前記接続領域に接続される第2のコネクタとを含む、コネクタユニット。
【請求項14】
他の接続部品との接続に用いられるコネクタであって、
絶縁層と、
実装部を有し、前記絶縁層の一方の面に形成される導体層と、
折曲部を有し、前記絶縁層の他方の面に形成される金属支持層とを備え、
前記金属支持層は、前記折曲部に沿って折り曲げ可能であり、
前記他の接続部品と接触するための接点部が前記折曲部をまたぐように設けられる、コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタおよびコネクタユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器における回路基板同士を接続するためにコネクタが用いられる。コネクタは、導電性の複数のコンタクトを含み、半田付け等により一方の回路基板に実装される。一方の回路基板に実装されたコネクタの複数のコンタクトは、他方の回路基板に実装されたコネクタの複数のコンタクトにそれぞれ接触される。これにより、回路基板間の電気的な結合が成立する。
【0003】
特許文献1には、複数のコンタクトが一列に配列されたコネクタが記載されている。複数のコンタクトは、導電性の金属薄板材料から打抜きまたはプレス加工により形成され、一列に配置された複数のスロットに挿入される。ここで、各スロットは、中央連結部と、その両端部における2個の脚部とを含む。各コンタクトは、スロットの中央連結部または脚部のいずれかに選択的に挿入可能である。これにより、隣接するコンタクトの間のピッチを第1のピッチと、第1のピッチよりも小さい第2のピッチとの間で変更することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-185871号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、モバイル機器等の電子機器の小型化に伴い、電子機器に搭載される回路基板を小型化するとともに、回路基板の接続に用いられるコネクタを小型化することが要求されている。そのため、コネクタの複数のコンタクトの幅を小さくするとともに、複数のコンタクト間のピッチを小さくする必要がある。
【0006】
しかしながら、特許文献1においては、金属薄板材料の加工精度の限界により、コンタクトの幅を小さくすることは困難である。また、回路基板において、コンタクトを実装するためのランド部は、半田の接触による短絡の防止のため、比較的大きく離間して配置される。この場合、複数のコンタクトも比較的大きく離間して設けられることとなり、複数のコンタクト間のピッチを小さくすることができない。
【0007】
本発明の目的は、小型化することが可能なコネクタおよびコネクタユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一局面に従うコネクタは、他の接続部品との接続に用いられるコネクタであって、絶縁層と、実装部を有し、前記絶縁層の一方の面に形成される導体層と、折曲部を有し、前記絶縁層の他方の面に形成される金属支持層とを備え、前記金属支持層が前記折曲部に沿って折り曲げられることにより、前記他の接続部品と接続するための接続領域が形成される。
【0009】
本発明の他の局面に従うコネクタユニットは、上記のコネクタである第1のコネクタと、前記第1のコネクタの前記接続領域に接続される第2のコネクタとを含む。
【0010】
本発明のさらに他の局面に従うコネクタは、他の接続部品との接続に用いられるコネクタであって、絶縁層と、実装部を有し、前記絶縁層の一方の面に形成される導体層と、折曲部を有し、前記絶縁層の他方の面に形成される金属支持層とを備え、前記金属支持層は、前記折曲部に沿って折り曲げ可能であり、前記他の接続部品と接触するための接点部が前記折曲部をまたぐように設けられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、コネクタおよびコネクタユニットを小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1の実施の形態に係るコネクタユニットの構成を示す斜視図である。
図2】折り曲げ前のコネクタの構成を示す平面図である。
図3】一方のコネクタの構成を示す図である。
図4】他方のコネクタの構成を示す図である。
図5】コネクタ集合体シートを示す斜視図である。
図6】コネクタの製造方法の一例を説明するための図である。
図7】コネクタの製造方法の一例を説明するための図である。
図8】コネクタの製造方法の一例を説明するための図である。
図9】コネクタの製造方法の一例を説明するための図である。
図10】コネクタの製造方法の一例を説明するための図である。
図11】コネクタの製造方法の一例を説明するための図である。
図12】コネクタの製造方法の一例を説明するための図である。
図13】コネクタの製造方法の一例を説明するための図である。
図14】コネクタの製造方法の一例を説明するための図である。
図15】コネクタの製造方法の一例を説明するための図である。
図16】コネクタの製造方法の一例を説明するための図である。
図17】コネクタの製造方法の一例を説明するための図である。
図18】溝部の断面形状の一例を示す拡大図である。
図19】溝部の断面形状の他の例を示す拡大図である。
図20】変形例におけるコネクタ集合体シートを示す斜視図である。
図21】変形例におけるコネクタ集合体シートの製造方法の一例を説明するためのである。
図22】変形例におけるコネクタ集合体シートの製造方法の一例を説明するためのである。
図23】変形例におけるコネクタ集合体シートの製造方法の一例を説明するためのである。
図24】変形例におけるコネクタ集合体シートの製造方法の一例を説明するためのである。
図25】本発明の第2の実施の形態に係るコネクタの構成を示す平面図である。
図26】折り曲げ後の図25のコネクタの平面図である。
図27図26のコネクタの側面図である。
図28図26のコネクタの端面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
1.第1の実施の形態
(1)コネクタの構成
以下、本発明の一実施の形態に係るコネクタおよびコネクタユニットについて図面を参照しながら説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るコネクタユニットの構成を示す斜視図である。図1に示すように、コネクタユニット1は、2個のコネクタ100を含む。各コネクタ100は、金属支持層10、絶縁層20および導体層30を含む積層体が所定の形状に折り曲げられることにより製造される。図1では、構造の理解を容易にするために、金属支持層10にハッチングパターンが付され、絶縁層20にドットパターンが付されている。
【0014】
以下の説明では、2個のコネクタ100を区別する場合は、2個のコネクタ100をそれぞれコネクタ100A,100Bと呼ぶ。コネクタ100Aは、プラグ型コネクタであり、折り曲げられることにより形成された凸部101を有する。コネクタ100Bは、レセプタクル型コネクタであり、折り曲げられることにより形成された凹部102を有する。コネクタ100Aの凸部101とコネクタ100Bの凹部102とが嵌合することにより、互いの導体層30が接触する。これにより、コネクタ100Aとコネクタ100Bとが電気的に接続される。
【0015】
図2は、折り曲げ前のコネクタ100の構成を示す平面図である。図2に示すように、折り曲げ前においては、金属支持層10は略矩形状を有する。金属支持層10の長手方向を第1の方向と呼び、金属支持層10の幅方向を第2の方向と呼ぶ。金属支持層10は、例えばバネ特性を有する材料により形成される。本例では、金属支持層10はステンレス鋼により形成される。絶縁層20は、例えば樹脂材料を含み、金属支持層10上の全面に形成される。本例では、絶縁層20はポリイミドを含む。絶縁層20の厚みは、例えば3μm以上30μm以下である。
【0016】
導体層30は、例えば銅を含み、絶縁層20上に形成される。導体層30は、複数の導体パターン31および複数のパッド部32を有する。複数の導体パターン31は、第1の方向に延びかつ第2の方向に並ぶように絶縁層20上に設けられる。各導体パターン31の幅は、例えば10μm以上400μm以下であり、50μm以上250μm以下であることが好ましく、50μm以上150μm以下であることがより好ましい。導体パターン31のピッチ(隣り合う導体パターン31間の間隔)は、例えば50μm以上400μm以下であり、50μm以上250μm以下であることが好ましく、より好ましくは0.2mm(200μm)以下である。この場合、コネクタ100を容易に小型化することができる。複数のパッド部32は、絶縁層20の第1の方向における一端部に設けられ、複数の導体パターン31の端部にそれぞれ接続される。複数のパッド部32は、半田により図示しない回路基板の複数のランド部にそれぞれ接続される。これにより、コネクタ100が回路基板に実装される。
【0017】
本例では、導体層30は、6個の導体パターン31および6個のパッド部32を含む。6個の導体パターン31を区別する場合は、6個の導体パターン31をそれぞれ導体パターン31a~31fと呼ぶ。また、6個のパッド部32を区別する場合は、6個のパッド部32をそれぞれパッド部32a~32fと呼ぶ。
【0018】
パッド部32a,32bは、第1の方向に並ぶように配置される。パッド部32c,32dは、第1の方向に並ぶように配置される。パッド部32e,32fは、第1の方向に並ぶように配置される。また、パッド部32a,32c,32eは第2の方向に並び、パッド部32b,32d,32fは第2の方向に並ぶ。導体パターン31a,31c,31eは、それぞれパッド部32a,32c,32eから第1の方向に延びる。導体パターン31b,31d,31fは、それぞれパッド部32b,32d,32fから第2の方向に突出しつつ、屈曲して第1の方向に延びる。
【0019】
この構成によれば、導体パターン31a~31fが、第2の方向にこの順で並ぶ状態で第1の方向に延びる。ここで、一部のパッド部32は、第2の方向に並ばずに第1の方向に並ぶので、隣接する導体パターン31間のピッチが小さい場合でも、複数のパッド部32間のピッチが比較的大きく維持される。これにより、隣接する導体パターン31間のピッチを小さくしつつ、コネクタ100を回路基板に実装した際の半田によるパッド部32間の短絡を防止することができる。
【0020】
コネクタ100についての構成は図2を用いて説明されたので、以下、コネクタ100A,100Bの各々についてのさらなる特徴について説明する。図3は、一方のコネクタ100Aの構成を示す図である。図3の左部には折り曲げ前のコネクタ100Aの平面図が示され、図3の右部には折り曲げ後のコネクタ100Aの斜視図が示される。図3の左部に示すように、コネクタ100Aの金属支持層10は、第2の方向に延び、かつ第1の方向にこの順で並ぶ3個の折曲部A1,A2,A3を有する。
【0021】
本例では、折曲部A2,A3を含むコネクタ100Aの領域が、コネクタ100Bに接続されるための接続領域40となる。すなわち、接続領域40における導体パターン31の部分が、コネクタ100Bの導体パターン31と接触するための接点部41となる。したがって、接点部41は、折曲部A2,A3をまたぐように設けられる。図3の左部には、各導体パターン31における接点部41がハッチングパターンで示される。接点部41には、ニッケルめっきまたは金(Au)めっきが形成されてもよい。この場合、接点部41の電気接続性が向上する。
【0022】
コネクタ100Aは、金属支持層10が内側になり、導体層30が外側になるように折曲部A1~A3に沿って折り曲げられる。本例では、各折曲部A1~A3におけるコネクタ100Aの折り曲げ角度は略90度である。すなわち、金属支持層10において、各折曲部A1~A3を挟む2個の領域の成す角度が略90度になるようにコネクタ100Aが折り曲げられる。
【0023】
コネクタ100Aが折り曲げられることにより、図3の右部に示すように、接続領域40が凸形状になる。これにより、コネクタ100Aに凸部101が形成される。折り曲げ後において、コネクタ100Aの第2の方向(幅方向)、高さ方向および奥行方向の各寸法は、例えば1mm以上3mm以下である。なお、図3の右部の例では、上下方向が高さ方向であり、幅方向および高さ方向に直交する方向が奥行方向である。
【0024】
図4は、他方のコネクタ100Bの構成を示す図である。図4の左部には折り曲げ前のコネクタ100Bの平面図が示され、図4の右部には折り曲げ後のコネクタ100Bの斜視図が示される。図4の左部に示すように、コネクタ100Bの金属支持層10は、第2の方向に延び、かつ第1の方向にこの順で並ぶ6個の折曲部B1~B6を有する。
【0025】
本例では、折曲部B4,B5を含むコネクタ100Bの領域が、コネクタ100Aに接続されるための接続領域40となる。すなわち、接続領域40における導体パターン31の部分が、コネクタ100Aの導体パターン31と接触するための接点部41となる。したがって、接点部41は、折曲部B4,B5をまたぐように設けられる。図4の左部には、各導体パターン31における接点部41がハッチングパターンで示される。コネクタ100Aと同様に、接点部41には、ニッケルめっきまたは金めっきが形成されてもよい。
【0026】
コネクタ100Bは、金属支持層10が内側になり、導体層30が外側になるように折曲部B1~B6に沿って折り曲げられる。本例では、各折曲部B1~B6におけるコネクタ100Bの折り曲げ角度は略90度である。すなわち、金属支持層10において、各折曲部B1~B6を挟む2個の領域の成す角度が略90度になるようにコネクタ100Bが折り曲げられる。
【0027】
コネクタ100Bが折り曲げられることにより、図4の右部に示すように、接続領域40が凹形状になる。これにより、コネクタ100Bに凹部102が形成される。折り曲げ後において、コネクタ100Bの第2の方向(幅方向)、高さ方向および奥行方向の各寸法は、例えば1mm以上3mm以下である。なお、図4の右部の例では、上下方向が高さ方向であり、幅方向および高さ方向に直交する方向が奥行方向である。
【0028】
(2)コネクタの製造方法
図5は、コネクタ集合体シートを示す斜視図である。図5に示すように、本実施の形態においては、ロール・トゥ・ロール方式により複数のコネクタ100が整列された状態でコネクタ集合体シート2上に形成される。コネクタ100Aとコネクタ100Bとは、別個のコネクタ集合体シート2上に形成されてもよい。
【0029】
以下、コネクタ集合体シート2上に形成される1個のコネクタ100の断面を参照しつつ、コネクタ100の製造方法を説明する。図6図17は、コネクタ100の製造方法の一例を説明するための図である。図6図17は、図2のコネクタ100のA-A線断面図に対応する。なお、図6図17ではコネクタ100Aの製造方法が説明されるが、図10図12において、折曲部A1~A3に代えて折曲部B1~B6が金属支持層10に形成される点を除いて、コネクタ100Bの製造方法も同様である。
【0030】
まず、図6に示すように、例えばステンレス鋼からなる金属シート2Aを準備する。金属シート2Aの厚みは、例えば50μm以上である。金属シート2Aの材料は、ステンレス鋼に限らず、アルミニウム等の他の金属であってもよい。次に、図7に示すように、マスク110を金属シート2Aの特定の部分に形成する。マスク110は、例えば感光性のドライフィルムレジストが露光および現像することにより形成されてもよい。
【0031】
続いて、エッチング液を用いてマスク110から露出する金属シート2Aの部分にエッチングを行う。エッチング液は、例えば塩化第二鉄液であってもよい。これにより、図8に示すように、マスク110から露出する金属シート2Aの部分が除去され、金属シート2A上に金属支持層10が形成される。その後、図9に示すように、金属支持層10からマスク110が除去される。
【0032】
次に、図10に示すように、複数(本例では3つ)の直線状のスリット121を有するマスク120を金属支持層10に形成する。マスク120の形成方法は、マスク110の形成方法と同様である。続いて、エッチング液を用いてマスク120のスリット121から露出する金属支持層10の部分に比較的短い時間だけエッチングを行う。エッチング液は、図7図8の工程で用いられるエッチング液と同じであってもよい。これにより、図11に示すように、金属支持層10に複数(本例では3つ)の直線状の浅い溝部a1,a2,a3が形成される。
【0033】
その後、図12に示すように、金属支持層10からマスク120が除去される。金属支持層10において、溝部a1~a3が形成された部分がそれぞれ金属支持層10の折曲部A1~A3となる。また、折曲部A2,A3を含む領域がコネクタ100の接続領域40となる。なお、図10図12の工程は、図7図9の工程よりも先に行われてもよい。また、溝部a1~a3は、図10図12の工程に代えて、例えばYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)レーザ等を用いたレーザ加工により形成されてもよい。
【0034】
次に、図13に示すように、金属支持層10の上面に絶縁層20を形成する。絶縁層20は、金属支持層10の上面の全面に感光性樹脂前駆体を塗布し、紫外線を用いて感光性樹脂前駆体を露光することにより形成されてもよい。本例では、絶縁層20の材料は、ポリイミドであるが、エポキシ等の他の樹脂であってもよい。続いて、図14に示すように、絶縁層20の上面を覆うようにシード層30Aを形成する。シード層30Aは、例えばスパッタリングにより形成される。シード層30Aの材料としては、例えば、クロム、銅、ニッケル、チタンまたはこれらの合金が挙げられる。
【0035】
その後、図15に示すように、所定のパターン開口131を有するマスク130をシード層30Aの上面に形成する。マスク130の形成方法は、マスク110の形成方法と同様である。次に、図16に示すように、例えば銅めっきによりマスク130のパターン開口131を通してシード層30Aの上面に導体層30を形成する。導体層30は、複数の導体パターン31および複数のパッド部32を含む。また、接続領域40における導体パターン31の部分が接点部41となる。
【0036】
続いて、図17に示すように、マスク130およびシード層30Aの露出部分を順次除去する。なお、図17では、シード層30Aの図示を省略する。マスク130およびシード層30Aの露出部分が除去されることにより、折り曲げ前の複数のコネクタ100Aが形成された図5のコネクタ集合体シート2が完成する。図14図17では、導体層30がセミアディティブ法により形成されるが、実施の形態はこれに限定されない。導体層30は、アディティブ法により形成されてもよいし、サブトラクティブ法により形成されてもよい。
【0037】
その後、コネクタ集合体シート2からコネクタ100Aを回収する。最後に、回収されたコネクタ100Aを折曲部A1~A3に沿って折り曲げる。これにより、図3の右部のコネクタ100Aが完成する。上記の製造方法によれば、コネクタ100の製造において、接着剤層を用いる必要がない。これにより、コネクタ100の耐熱性を向上させることができる。
【0038】
(3)溝部の断面形状
図18は、溝部a1~a3の断面形状の一例を示す拡大図である。図18は、図2のコネクタ100のA-A線断面図に対応する。後述する図19においても同様である。また、図18および後述する図19においては、溝部a1のみが図示され、溝部a2,a3の図示が省略されるが、溝部a2,a3の断面形状は、溝部a1の断面形状と同様である。
【0039】
図18に示すように、溝部a1は、矩形の断面形状を有してもよい。ここで、折曲部A1を中心とした第1の方向における溝部a1の長さをXとし、溝部a1の深さをYとし、金属支持層10の厚みをTとする。この場合、Xは、0.5×T以上であることが好ましく、5×T以上であることがより好ましく、6×T以上であることがさらに好ましい。また、Yは、0.4×T以上であることが好ましく、0.5×T以上であることがより好ましい。ただし、金属支持層10は絶縁層20および導体層30を支持する必要があるため、YはT未満である。
【0040】
図19は、溝部a1~a3の断面形状の他の例を示す拡大図である。図19に示すように、溝部a1は、テーパ状の断面形状を有してもよい。具体的には、溝部a1の深さが大きくなるにつれて、第1の方向における溝部a1の長さは、漸次小さくなってもよい。したがって、第1の方向において、金属支持層10の表面部の溝部a1の長さをXとし、溝部a1の底面部の長さをZとすると、ZはXよりも小さくてもよい。
【0041】
(4)効果
本実施の形態に係るコネクタ100においては、絶縁層20の一方の面に実装部としてパッド部32を有する導体層30が形成される。また、絶縁層20の他方の面に折曲部A1~A3または折曲部B1~B6を有する金属支持層10が形成される。金属支持層10が折曲部A1~A3または折曲部B1~B6に沿って折り曲げられることにより、接続領域40が形成される。
【0042】
この構成によれば、配線回路基板の製造技術を用いてコネクタ100を製造することが可能である。そのため、接続領域40を小型に形成することができる。また、配線回路基板の製造技術により導体層30のパターンを任意に形成可能であるため、実装部の配置の自由度が向上する。したがって、接続領域40が小型に形成された場合でも、半田により実装部が回路基板等に実装される際に短絡が発生しないように実装部を配置することができる。これらの結果、コネクタ100を小型化することができる。
【0043】
具体的には、接続領域40には、他のコネクタ100と接触する複数の接点部41が第1の方向に延び、かつ第1の方向に交差する第2の方向に並ぶように設けられる。この場合、コネクタ100を種々の電気信号の伝送に用いることができる。また、配線回路基板の製造技術により、第2の方向において、各接点部41の幅を小さくするとともに、複数の接点部41間のピッチを小さくすることが可能である。そのため、複数の接点部41が第2の方向に並ぶように設けられる場合でも、コネクタ100を小型化することができる。
【0044】
また、導体層30の実装部は、複数の接点部41にそれぞれ電気的に接続される複数のパッド部32を含む。この場合、パッド部32を介して対応する接点部41に電気信号を伝送することができる。ここで、実装部の配置の自由度が向上されているので、複数のパッド部32のピッチを複数の接点部41のピッチに一致させる必要がない。
【0045】
そこで、複数のパッド部32の少なくとも一部は、第1の方向に並ぶように設けられる。この配置によれば、コネクタ100の小型化を妨げることなく、少なくとも一部のパッド部32間のピッチを十分に大きく維持することが可能である。これにより、コネクタ100を小型化しつつ、パッド部32を回路基板等に実装した際の半田によるパッド部32間の短絡を容易に防止することができる。
【0046】
また、本実施の形態では、導体層30の導体パターン31の一部を用いて接続領域40に複数の接点部41が形成され、金属支持層10は接続領域40の複数の導体パターン31に対向するように配置される。この場合、複数の接点部41への電磁ノイズが遮蔽される。これにより、コネクタ100により伝送される電気信号に電磁ノイズが混入することを防止することができる。
【0047】
コネクタ100Aの金属支持層10は、折曲部A1~A3に沿ってそれぞれ形成された溝部a1~a3を有する。同様に、コネクタ100Bの金属支持層10は、折曲部B1~B6に沿ってそれぞれ形成された溝部を有する。この場合、折曲部A1~A3または折曲部B1~B6に沿って金属支持層10を容易に折り曲げることができる。
【0048】
コネクタユニット1は互いに接続されるコネクタ100A,100Bを含むので、コネクタユニット1を小型化することが可能である。これにより、コネクタユニット1をモバイル機器等の小型の電子機器に搭載することができる。
【0049】
(5)変形例
図20は、変形例におけるコネクタ集合体シート2を示す斜視図である。図20に示すように、変形例においては、ロール・トゥ・ロール方式により複数のコネクタ100が一列に整列された状態でコネクタ集合体シート2上に形成される。また、コネクタ集合体シート2には、一列に整列された複数のコネクタ100を挟むように、二列に整列された複数の貫通孔2aが形成される。
【0050】
コネクタ集合体シート2の出荷時には、図示しない搬送装置の突起部が貫通孔2aに挿入される。この状態で、突起部が駆動することにより、コネクタ集合体シート2が一方向に送り出される。すなわち、貫通孔2aは、コネクタ集合体シート2を搬送するためのスプロケットホールとして用いられる。各貫通孔2aは、円形状を有するが、実施の形態はこれに限定されにない。各貫通孔2aは、矩形状等の他の形状を有してもよい。
【0051】
複数のコネクタ100と複数の貫通孔2aとは対応していなくてもよいが、本例では、1つのコネクタ100に2つの貫通孔2aが対応する。2つの貫通孔2aは、対応するコネクタ100の両側方にそれぞれ配置される。以下、変形例におけるコネクタ集合体シート2の製造方法を説明する。
【0052】
図21図24は、変形例におけるコネクタ集合体シート2の製造方法の一例を説明するためのである。図21図24は、図20のコネクタ集合体シート2のB-B線断面図に対応する。変形例におけるコネクタ集合体シート2の製造時には、まず、図6図13の工程が実行される。図13の工程の後、図21に示すように、第2の方向における絶縁層20の両端部の近傍にそれぞれ貫通孔21を形成する。次に、図22に示すように、絶縁層20上において、2つの貫通孔21の間に導体層30を形成する。導体層30の形成方法は、図14図17における導体層30の形成方法と同様である。
【0053】
絶縁層20上に導体層30が形成されることにより、コネクタ100が完成する。なお、本例では、図23に示すように、導体層30を覆うように、ポリイミド等の樹脂からなるカバー層50を絶縁層20上に形成する。カバー層50の形成方法は、図13における絶縁層20の形成方法と同様である。カバー層50の形成は、図6図17におけるコネクタ100の製造方法と同様に省略されてもよい。
【0054】
最後に、絶縁層20の各貫通孔21と重なるように、金属支持層10に貫通孔12を形成する。貫通孔21と貫通孔12とにより貫通孔2aが構成される。これにより、コネクタ集合体シート2が完成する。貫通孔12の形成方法は、図7図9における金属支持層10の加工方法と同様である。また、貫通孔12は、貫通孔21が形成されるよりも先に形成されてもよく、絶縁層20が形成されるよりも先に形成されてもよい。したがって、貫通孔12は、図7図9における金属支持層10(金属シート2A)の加工時に形成されてもよい。
【0055】
(6)実施例
以下の実施例では、溝部a1~a3の構造と、折り曲げに対するコネクタ100の耐破損性との関係をシミュレーションにより評価した。この評価においては、種々のコネクタ100の導体層30の公称ひずみを算出した。また、参考実施例として、溝部a1~a3を有しないコネクタ100の導体層30の公称ひずみを算出した。さらに、金属支持層10の厚みが等しいコネクタ100について、参考実施例の導体層30の公称ひずみに対する各実施例の導体層30の公称ひずみの変化率(以下、ひずみ変化率と呼ぶ。)を算出した。ひずみ変化率が90%以上のコネクタ100を「△」と評価し、ひずみ変化率が90%未満のコネクタ100を「〇」と評価した。
【0056】
実施例1~8に係るコネクタ100は、図18に図示された構造を有する。すなわち、実施例1~8においては、溝部a1~a3は矩形の断面形状を有する。実施例1~8の溝部a1~a3の長さ(X)は、それぞれ25μm、50μm、100μm、250μm、300μm、600μm、900μmおよび1500μmである。実施例1~8の溝部a1~a3の深さ(Y)はいずれも25μmであり、金属支持層10の厚み(T)はいずれも50μmである。一方、参考実施例1に係るコネクタ100は、溝部a1~a3が形成されない点を除き、実施例1~8に係るコネクタ100と同様の構造を有する。
【0057】
【表1】
【0058】
表1には、実施例1~8に係るコネクタ100の評価結果が示される。表1に示すように、参考実施例1の導体層30に対する実施例1~8の導体層30のひずみ変化率は、それぞれ97.9%、91.4%、94.0%、79.6%、82.0%、83.9%、84.0%および83.9%となった。そのため、実施例1~3に係るコネクタ100の評価は「△」となり、実施例4~8に係るコネクタ100の評価は「〇」となった。
【0059】
実施例9~11に係るコネクタ100は、図19に図示された構造を有する。すなわち、実施例9~11においては、溝部a1~a3はテーパ状の断面形状を有する。実施例9のXは300μmであり、溝部a1~a3の底面部の長さ(Z)は250μmである。実施例10のXは325μmであり、Zは275μmである。実施例11のXは350μmであり、Zは300μmである。実施例9~11のYはいずれも25μmであり、Tはいずれも50μmである。すなわち、実施例9~11における溝部a1~a3のテーパ面の角度は、垂直方向に対して45度である。
【0060】
【表2】
【0061】
表2には、実施例9~11に係るコネクタ100の評価結果が示される。表2に示すように、表1の参考実施例1の導体層30に対する実施例9~11の導体層30のひずみ変化率は、それぞれ79.6%、81.0%および82.3%となった。そのため、実施例9~11に係るコネクタ100の評価は「〇」となった。
【0062】
実施例12~15に係るコネクタ100は、図18に図示された構造を有する。実施例12~15においては、Yが互いに異なる。実施例12~15のYは、それぞれ5μm、10μm、15μmおよび20μmである。実施例12~15のXはいずれも300μmであり、Tはいずれも50μmである。また、比較例として、Yが50μmである点を除き、実施例12~15に係るコネクタ100と同様の構造を有するコネクタの耐破損性についての評価を行った。すなわち、比較例に係るコネクタにおいては、折曲部の金属支持層が完全に除去されている。
【0063】
【表3】
【0064】
表3には、実施例12~15に係るコネクタ100および比較例に係るコネクタの評価結果が示される。表3に示すように、表1の参考実施例1の導体層30に対する実施例12~15の導体層30のひずみ変化率は、それぞれ99.3%、94.7%、91.6%および87.7%となった。そのため、実施例12~14に係るコネクタ100の評価は「△」となり、実施例15に係るコネクタ100の評価は「〇」となった。一方、比較例においては、絶縁層および導体層が十分に支持されなかった。そのため、コネクタの評価を「×」にした。
【0065】
なお、表1の実施例5~8においては、導体層30の公称ひずみだけでなく、金属支持層10の公称ひずみも大きく低減した。同様に、表2の実施例9~11および表3の実施例12~15においても、金属支持層10の公称ひずみが大きく低減した。
【0066】
実施例16~18に係るコネクタ100は、図18に図示された構造を有する。実施例16~18においては、Tが互いに異なる。また、YはTの50%である。実施例16のYは12.5μmであり、Tは25μmである。実施例17のYは37.5μmであり、Tは75μmである。実施例18のYは50μmであり、Tは100μmである。実施例16~18のXはいずれも300μmである。一方、参考実施例2~4に係るコネクタ100は、溝部a1~a3が形成されない点を除き、それぞれ実施例16~18に係るコネクタ100と同様の構造を有する。
【0067】
【表4】
【0068】
表4には、実施例16~18に係るコネクタ100の評価結果が示される。表4に示すように、参考実施例2の導体層30に対する実施例16の導体層30のひずみ変化率は、89.1%となった。参考実施例3の導体層30に対する実施例17の導体層30のひずみ変化率は、68.7%となった。参考実施例4の導体層30に対する実施例18の導体層30のひずみ変化率は、72.0%となった。そのため、実施例16~18に係るコネクタ100の評価は「〇」となった。なお、表1の実施例5に既に記載した通り、Tが50μmである場合、コネクタ100の評価は「〇」である。
【0069】
以上の実施例1~18から、Xが0.5×T以上の溝部a1~a3が金属支持層10に形成されることにより、折り曲げに対するコネクタ100の耐破損性が向上することが確認された。また、Xが5×T以上であり、Yが0.4×T以上である場合には、コネクタ100の耐破損性がより向上することが確認された。さらに、Xが6×T以上である場合には、金属支持層10の公称ひずみが大きく低減するため、コネクタ100の耐破損性がさらに向上することが確認された。また、溝部a1~a3の断面形状がテーパ状である場合でも、コネクタ100耐破損性は、溝部a1~a3の断面形状が矩形である場合と同等になることが確認された。
【0070】
2.第2の他の実施の形態
第1の実施の形態において、導体パターン31の一部が接点部41として設けられるが、実施の形態はこれに限定されない。金属支持層10の一部が接点部41として設けられてもよい。図25は、本発明の第2の実施の形態に係るコネクタ100の構成を示す平面図である。図26は、折り曲げ後の図25のコネクタ100の平面図である。図27は、図26のコネクタ100の側面図である。図28は、図26のコネクタ100の端面図である。図25に示すように、本実施の形態においては、絶縁層20は、第2の方向に延びる矩形状を有する。
【0071】
導体層30は、複数(本例では12個)のパッド部32およびパッド部33を含む。各パッド部32は、円形状を有する。半数のパッド部32は、絶縁層20の一方の長辺に沿って第2の方向に等間隔で並ぶように絶縁層20の上面に形成される。残り半数のパッド部32は、絶縁層20の他方の長辺に沿って第2の方向に等間隔で並ぶように絶縁層20の上面に形成される。パッド部33は、第2の方向に延びる矩形状を有し、絶縁層20の上面の中央に形成される。
【0072】
金属支持層10は、導体層30の複数のパッド部32にそれぞれ対応する複数の金属パターン11を含む。半数の金属パターン11は、第2の方向に等間隔で並びかつ絶縁層20の一方の長辺から第1の方向に突出するように絶縁層20の下面に形成される。残り半数の金属パターン11は、第2の方向に等間隔で並びかつ絶縁層20の他方の長辺から第1の方向に突出するように絶縁層20の下面に形成される。
【0073】
各金属パターン11の一方の端部(以下、基端部と呼ぶ。)は、対応するパッド部32と重なる。各金属パターン11の基端部と、対応するパッド部32とは、絶縁層20を貫通するように設けられた図示しない導通部材により電気的に接続される。3個の折曲部A1,A2,A3は、第2の方向に延び、かつ基端部からその反対側の先端部に向かってこの順で並ぶように各金属パターン11に設けられる。
【0074】
本例では、折曲部A2,A3を含むコネクタ100の領域が接続領域40となる。すなわち、接続領域40における金属パターン11の部分が接点部41となる。したがって、接点部41は、折曲部A2,A3をまたぐように設けられる。図25には、各金属パターン11における接点部41がハッチングパターンで示される。接点部41には、ニッケルめっきまたは金めっきが形成されてもよい。
【0075】
図26図28に示すように、金属支持層10の各金属パターン11は、折曲部A1~A3に沿って下方折り曲げられる。この場合、接続領域40の各接点部41が凸形状になる。これにより、コネクタ100に複数の凸部101が形成される。したがって、コネクタ100はプラグ型コネクタとなる。コネクタ100の各凸部101と他のレセプタクル型コネクタの各凹部とが嵌合することにより、コネクタ100とレセプタクル型コネクタとが電気的に接続される。
【0076】
図25図28の本実施の形態に係るコネクタ100は、凸部101を有するプラグ型コネクタであるが、実施の形態はこれに限定されない。コネクタ100は、凹部102を有するレセプタクル型コネクタであってもよい。この場合、コネクタ100は、各金属パターン11が折曲部A1~A3に代えて折曲部B1~B6を有する点を除き、図26図28のコネクタ100と同様の構成を有する。
【0077】
このように、本実施の形態においては、金属支持層10の一部が接点部41として設けられる。また、導体層30と金属支持層10とは電気的に接続される。ここで、接続領域40において、絶縁層20および導体層30が金属支持層10に積層されなくてもよい。この構成によれば、折曲部A1~A3または折曲部B1~B6において、金属支持層10から絶縁層20または導体層30が剥離することが確実に防止される。
【0078】
3.他の実施の形態
(1)第1の実施の形態において、複数のパッド部32の少なくとも一部は第1の方向に並ぶように設けられるが、実施の形態はこれに限定されない。複数のパッド部32の少なくとも一部は、第2の方向に交差する方向に並ぶように設けられてもよい。したがって、複数のパッド部32の少なくとも一部は、千鳥状に並ぶように設けられてもよい。
【0079】
これらの構成においても、コネクタ100の小型化を妨げることなく、少なくとも一部のパッド部32間のピッチを大きく維持することが可能である。これにより、接点部41間のピッチを小さくしつつ、パッド部32を回路基板等に実装した際の半田によるパッド部32間の短絡を防止することができる。一方で、コネクタ100を十分に小型化可能である場合には、全部のパッド部32が第2の方向に並ぶように設けられてもよい。
【0080】
(2)上記実施の形態において、折曲部A1~A3または折曲部B1~B6に沿った金属支持層10の折り曲げ角度は90度であるが、実施の形態はこれに限定されない。金属支持層10の折り曲げ角度は、他の角度であってもよい。ここで、金属支持層10の折り曲げ角度は、20度以上150度以下であることが好ましい。この場合、折り曲げにより金属支持層10が損傷することがより確実に防止される。
【0081】
(3)上記実施の形態において、接続領域40は、凸形状または凹形状を有する。したがって、金属支持層10は、2個以上の折曲部A1~A3または折曲部B1~B6を有する。この場合、コネクタ100が他の接続部品により確実に接触する。これにより、コネクタ100の接続の信頼性を向上させることができる。
【0082】
しかしながら、実施の形態はこれに限定されない。コネクタ100が十分な信頼性で他の接続部品に接触する限り、金属支持層10は1個の折曲部を有すればよく、接続領域40は凸形状または凹形状を有しなくてもよい。例えば、コネクタユニット1において、互いに接続される2個以上の金属支持層10は同一の形状を有してもよい。
【0083】
(4)上記実施の形態において、金属支持層10の所定の位置に溝部が形成されることにより折曲部A1~A3または折曲部B1~B6が形成されるが、これに限定されない。金属支持層10に線状の印等が形成されることにより折曲部A1~A3または折曲部B1~B6が形成されてもよい。あるいは、折曲部A1~A3または折曲部B1~B6で金属支持層10を折曲可能であれば、金属支持層10に特に何も形成されなくてもよい。
【0084】
(5)上記実施の形態において、コネクタ100は折り曲げられた状態で流通されるが、実施の形態はこれに限定されない。コネクタ100は、折り曲げられる前の状態で流通されてもよい。
【0085】
この場合でも、コネクタ100においては、絶縁層20の一方の面に実装部を有する導体層30が形成される。また、絶縁層20の他方の面に折曲部A1~A3または折曲部B1~B6を有する金属支持層10が形成される。金属支持層10は折曲部A1~A3または折曲部B1~B6に沿って折り曲げ可能であり、接点部41は折曲部A1~A3または折曲部B1~B6をまたぐように設けられる。
【0086】
この構成によれば、コネクタ100は、折り曲げられる前の状態で流通される。コネクタ100の流通後、コネクタ100の使用者が金属支持層10を折曲部A1~A3または折曲部B1~B6に沿って折り曲げることにより、他の接続部品と接続するための接続領域40を形成することが可能である。
【0087】
4.請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応関係
以下、請求項の各構成要素と実施の形態の各部との対応の例について説明するが、本発明は下記の例に限定されない。請求項の各構成要素として、請求項に記載されている構成または機能を有する他の種々の要素を用いることもできる。
【0088】
上記実施の形態においては、コネクタ100がコネクタの例であり、コネクタ100A,100Bの一方がコネクタの他の例であり、コネクタ100A,100Bの他方が他の接続部品の例である。絶縁層20が絶縁層の例であり、パッド部32,33が実装部の例であり、導体層30が導体層の例であり、折曲部A1~A1,B1~B6が折曲部の例である。
【0089】
金属支持層10が金属支持層の例であり、接続領域40が接続領域の例であり、接点部41が接点部の例であり、パッド部32がパッド部の例であり、溝部a1~a3が溝部の例である。コネクタ100A,100Bの一方が第1のコネクタの例であり、コネクタ100A,100Bの他方が第2のコネクタの例であり、コネクタユニット1がコネクタユニットの例である。
【0090】
5.実施の形態の総括
(第1項)第1項に係るコネクタは、
他の接続部品との接続に用いられるコネクタであって、
絶縁層と、
実装部を有し、前記絶縁層の一方の面に形成される導体層と、
折曲部を有し、前記絶縁層の他方の面に形成される金属支持層とを備え、
前記金属支持層が前記折曲部に沿って折り曲げられることにより、前記他の接続部品と接続するための接続領域が形成される。
【0091】
このコネクタにおいては、絶縁層の一方の面に実装部を有する導体層が形成され、絶縁層の他方の面に折曲部を有する金属支持層が形成される。金属支持層が折曲部に沿って折り曲げられることにより、接続領域が形成される。
【0092】
この構成によれば、配線回路基板の製造技術を用いてコネクタを製造することが可能である。そのため、接続領域を小型に形成することができる。また、配線回路基板の製造技術により導体層のパターンを任意に形成可能であるため、実装部の配置の自由度が向上する。したがって、接続領域が小型に形成された場合でも、半田により実装部が回路基板等に実装される際に短絡が発生しないように実装部を配置することができる。これらの結果、コネクタを小型化することができる。
【0093】
(第2項)第1項に記載のコネクタにおいて、
前記接続領域は、凸形状または凹形状を有してもよい。
【0094】
この場合、コネクタが他の接続部品により確実に接触する。これにより、コネクタの接続の信頼性を向上させることができる。
【0095】
(第3項)第1項または第2項に記載のコネクタにおいて、
前記折曲部に沿った前記金属支持層の折り曲げ角度は、20度以上150度以下であってもよい。
【0096】
この場合、折り曲げにより金属支持層が損傷することがより確実に防止される。
【0097】
(第4項)第1項~第3項のいずれか一項に記載のコネクタにおいて、
前記接続領域には、前記他の接続部品と接触する複数の接点部が第1の方向に延び、かつ前記第1の方向に交差する第2の方向に並ぶように設けられてもよい。
【0098】
この場合、コネクタを種々の電気信号の伝送に用いることができる。また、配線回路基板の製造技術により、各接点部の幅を小さくするとともに、複数の接点部間のピッチを小さくすることが可能である。そのため、複数の接点部が第2の方向に並ぶように設けられる場合でも、コネクタを小型化することができる。
【0099】
(第5項)第4項に記載のコネクタにおいて、
前記実装部は、前記複数の接点部にそれぞれ電気的に接続される複数のパッド部を含んでもよい。
【0100】
この場合、パッド部を介して対応する接点部に電気信号を伝送することができる。
【0101】
(第6項)第5項に記載のコネクタにおいて、
前記複数のパッド部の少なくとも一部は、前記第2の方向に交差する方向に並ぶように設けられてもよい。
【0102】
この場合、コネクタの小型化を妨げることなく、少なくとも一部のパッド部間のピッチを比較的大きく維持することが可能である。これにより、接点部間のピッチを小さくしつつ、パッド部を回路基板等に実装した際の半田によるパッド部間の短絡をより確実に防止することができる。
【0103】
(第7項)第5項に記載のコネクタにおいて、
前記複数のパッド部の少なくとも一部は、前記第1の方向に並ぶように設けられてもよい。
【0104】
この場合、少なくとも一部のパッド部間のピッチを十分に大きく維持することが可能である。これにより、パッド部を回路基板等に実装した際の半田によるパッド部間の短絡を容易に防止することができる。
【0105】
(第8項)第5項に記載のコネクタにおいて、
前記複数のパッド部の少なくとも一部は、千鳥状に並ぶように設けられてもよい。
【0106】
この場合、少なくとも一部のパッド部間のピッチを十分に大きく維持することが可能である。これにより、パッド部を回路基板等に実装した際の半田によるパッド部間の短絡を容易に防止することができる。
【0107】
(第9項)第4項~第8項のいずれか一項に記載のコネクタにおいて、
前記複数の接点部は、前記導体層の一部として形成されてもよい。
【0108】
この場合、導体層の一部を用いて複数の接点部を容易に形成することができる。また、金属支持層は、接続領域の複数の接点部に対向するように配置されるので、複数の接点部への電磁ノイズが遮蔽される。そのため、コネクタにより伝送される電気信号に電磁ノイズが混入することを防止することができる。
【0109】
(第10項)第4項~第8項のいずれか一項に記載のコネクタにおいて、
前記導体層と前記金属支持層とは電気的に接続され、
前記複数の接点部は、前記金属支持層の一部として形成されてもよい。
【0110】
この場合、金属支持層の一部を用いて複数の接点部を容易に形成することができる。
【0111】
(第11項)第1項~第10項のいずれか一項に記載のコネクタにおいて、
前記金属支持層は、前記折曲部に沿って形成された溝部を有してもよい。
【0112】
この場合、折曲部に沿って金属支持層を容易に折り曲げることができる。
【0113】
(第12項)第1項~第11項のいずれか一項に記載のコネクタにおいて、
前記金属支持層は、2以上の前記折曲部を有し、
前記接続領域は、前記金属支持層が2以上の前記折曲部に沿って折り曲げられることにより形成されてもよい。
【0114】
この場合、コネクタが他の接続部品により確実に接触する。これにより、コネクタの接続の信頼性を向上させることができる。
【0115】
(第13項)第13項に係るコネクタユニットは、
第1項~第12項のいずれか一項に記載のコネクタである第1のコネクタと、
前記第1のコネクタの前記接続領域に接続される第2のコネクタとを含む。
【0116】
この場合、コネクタユニットを小型化可能であるので、コネクタユニットをモバイル機器等の小型の電子機器に搭載することができる。
【0117】
(第14項)第14項に係るコネクタは、
他の接続部品との接続に用いられるコネクタであって、
絶縁層と、
実装部を有し、前記絶縁層の一方の面に形成される導体層と、
折曲部を有し、前記絶縁層の他方の面に形成される金属支持層とを備え、
前記金属支持層は、前記折曲部に沿って折り曲げ可能であり、
前記他の接続部品と接触するための接点部が前記折曲部をまたぐように設けられてもよい。
【0118】
このコネクタにおいては、絶縁層の一方の面に実装部を有する導体層が形成され、絶縁層の他方の面に折曲部を有する金属支持層が形成される。金属支持層は折曲部に沿って折り曲げ可能であり、接点部は折曲部をまたぐように設けられる。この場合、金属支持層を折曲部に沿って折り曲げることにより、他の接続部品と接続するための接続領域を形成することが可能である。
【0119】
この構成によれば、配線回路基板の製造技術を用いてコネクタを製造することが可能である。そのため、接続領域を小型に形成することができる。また、配線回路基板の製造技術により導体層のパターンを任意に形成可能であるため、実装部の配置の自由度が向上する。したがって、接続領域が小型に形成された場合でも、半田により実装部が回路基板等に実装される際に短絡が発生しないように実装部を配置することができる。これらの結果、コネクタを小型化することができる。
【符号の説明】
【0120】
1…コネクタユニット,2…コネクタ集合体シート,2A…シート,2a,12,21…貫通孔,10…金属支持層,11…金属パターン,20…絶縁層,30…導体層,30A…シード層,31,31a~31f…導体パターン,32,32a~32f,33…パッド部,40…接続領域,41…接点部,50…カバー層,100,100A,100B…コネクタ,101…凸部,102…凹部,110,120,130…マスク,121…スリット,131…パターン開口,A1~A3,B1~B6…折曲部,a1~a3…溝部
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