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特開2024-124329ローカルに一意のMACアドレス解決を有するネットワークインターフェース及び方法
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  • 特開-ローカルに一意のMACアドレス解決を有するネットワークインターフェース及び方法 図1A
  • 特開-ローカルに一意のMACアドレス解決を有するネットワークインターフェース及び方法 図1B
  • 特開-ローカルに一意のMACアドレス解決を有するネットワークインターフェース及び方法 図2
  • 特開-ローカルに一意のMACアドレス解決を有するネットワークインターフェース及び方法 図3
  • 特開-ローカルに一意のMACアドレス解決を有するネットワークインターフェース及び方法 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124329
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ローカルに一意のMACアドレス解決を有するネットワークインターフェース及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04L 61/25 20220101AFI20240905BHJP
【FI】
H04L61/25
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023208431
(22)【出願日】2023-12-11
(31)【優先権主張番号】18/177,043
(32)【優先日】2023-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】300057230
【氏名又は名称】セミコンダクター・コンポーネンツ・インダストリーズ・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ベルト, ピエルジョルジオ
(72)【発明者】
【氏名】ストーレイ, カイル
(57)【要約】      (修正有)
【課題】動的に割り当てられた媒体アクセス制御ネットワークがローカルに一意であることを保証するためのデバイス及び方法を提供する。
【解決手段】ネットワークインターフェースは、通信媒体を介してメッセージを送信するために送信バッファ204に結合され、通信媒体を介して受信したメッセージを記憶するために受信バッファ206に結合されたトランシーバ202を含み、受信したメッセージの各々は、媒体アクセス制御(MAC)アドレスを含むソースフィールドを含む。ネットワークノードは、通信媒体を介してメッセージを搬送するためのネットワーク通信プロトコルを実装するためにトランシーバに結合されたネットワークインターフェースコントローラ208を含み、ネットワークインターフェースコントローラは、ネットワークインターフェースのためのローカルに一意のMACアドレスを動的に決定する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークインターフェースであって、
通信媒体を介して送信メッセージを送るために送信バッファに結合され、前記通信媒体を介して受信された受信メッセージを記憶するために受信バッファに結合されたトランシーバであって、前記送信メッセージの各々が媒体アクセス制御(MAC)アドレスを含むソースフィールドを含む、トランシーバと、
前記通信媒体を介して前記送信メッセージ及び前記受信メッセージを搬送するためのネットワーク通信プロトコルを実装するために前記トランシーバに結合されたネットワークインターフェースコントローラであって、前記ネットワークインターフェースのためのローカルに一意のMACアドレスを動的に決定するように構成されている、ネットワークインターフェースコントローラと、を備える、ネットワークインターフェース。
【請求項2】
前記ローカルに一意のMACアドレスを動的に決定することの一部として、前記ネットワークインターフェースコントローラは、仮MACアドレスを決定し、前記通信媒体を介して前記仮MACアドレスについてのクレームメッセージをブロードキャストし、前記クレームメッセージは、関連付けられた送信時間を有し、
前記ネットワークインターフェースコントローラは、前記クレームメッセージをブロードキャストする際に、タイミングウィンドウを開始するように構成されており、前記タイミングウィンドウが正常に経過した場合に、前記仮MACアドレスを前記ローカルに一意のMACアドレスとして採用するように更に構成されており、
前記タイミングウィンドウが正常に経過した後、前記ネットワークインターフェースコントローラは、任意の競合クレームメッセージに対して、前記競合クレームメッセージ内の前記仮MACアドレスに対する優先度を示すアサーションメッセージで応答する、請求項1に記載のネットワークインターフェース。
【請求項3】
前記ネットワークインターフェースコントローラは、前記タイミングウィンドウ中に、競合クレームメッセージが前記送信時間に先行する受信時間で受信された場合に、仮MACアドレス決定、クレームメッセージブロードキャスト、及びタイミングウィンドウ開始を繰り返すように構成されており、
前記ネットワーク通信プロトコルは、前記通信媒体の使用を一度に多くとも1つの送信機に制限する、請求項2に記載のネットワークインターフェース。
【請求項4】
ネットワークインターフェース方法であって、
通信媒体を介して送信メッセージを送り、前記通信媒体を介して受信された受信メッセージを記憶するためにトランシーバを使用することであって、前記送信メッセージの各々が、媒体アクセス制御(MAC)アドレスを含むソースフィールドを含む、ことと、
前記送信メッセージの前記ソースフィールドにおいて使用されるローカルに一意のMACアドレスを、
仮MACアドレスを生成することと、
前記通信媒体を介して前記仮MACアドレスについてのクレームメッセージをブロードキャストすることであって、前記クレームメッセージは、関連付けられた送信時間を有する、ことと、
前記タイミングメッセージをブロードキャストする際に、タイミングウィンドウを開始することと、
前記タイミングウィンドウが正常に経過した場合に、前記仮MACアドレスを前記ローカルに一意のMACアドレスとして採用することと、によって動的に決定することと、
前記タイミングウィンドウが正常に経過した後に、任意の競合クレームメッセージに対して、前記競合クレームメッセージ内の前記仮MACアドレスに対する優先度を示すアサーションメッセージで応答することと、を含む、ネットワークインターフェース方法。
【請求項5】
前記タイミングウィンドウ中に、競合クレームメッセージが前記送信時間に先行する受信時間で受信された場合、前記生成すること、前記ブロードキャストすること、及び前記開始することを繰り返すことと、
競合アサーションクレームメッセージが受信されたときに、前記生成すること、前記ブロードキャストすること、及び前記開始することを繰り返すことと、を更に含む、請求項4に記載のネットワークインターフェース方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ネットワークのための媒体アクセス制御に関し、より詳細には、動的に割り当てられた媒体アクセス制御ネットワークがローカルに一意であることを保証するためのデバイス及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの有線及び無線ネットワーキングプロトコルでは、各デバイス又はネットワークインターフェースは、ネットワーク媒体(例えば、ケーブル、光ファイバ、無線周波数信号伝達)を介して送信されるメッセージのためのソースインジケータ及び/又は宛先インジケータとしての役割を果たすことができる、媒体アクセス制御(Media Access Control、MAC)アドレスを割り当てられる。多くの場合、プロトコルは、メッセージがメッセージの意図された宛先に到着することを保証するために、MACアドレスが一意でなければならないと規定する。
【0003】
この一意性は、デバイスの不揮発性メモリに埋め込まれたグローバルに一意のMACアドレスを各デバイスに割り当てることによって達成することができる。米国電気電子学会(Institute of Electrical and Electronics Engineers、IEEE)は、レジストリを運営しており、このレジストリを通じて、製造者は、割り当てられた組織固有識別子(Organizationally Unique Identifier、OUI)を取得して、製造者の装置のMACアドレスの一部として使うことができる。次に、製造者は、グローバルな一意性を提供するために選択する方法が何であれ、製造者のデバイスのMACアドレスの残りの部分を決定することができる。
【0004】
イーサネット規格ファミリー(IEEE 802.3)が普及しており、数百又は数千ものノードが共有ネットワークに配線され得る多くの産業用途及び自動車用途に採用されている。毎年数千万台の車両を販売する自動車産業と、今後普及するインターネットオブシングス(IoT)との間で、センサ及び他の電子デバイスの製造業者は、未割り当てMACアドレスの供給を使い果たす非常に現実的な可能性に直面している。追加のOUIを確保しようとする者は、より多くのものを得ることができるが、関連するコストは馬鹿にならない。代替的な一意性ソリューションが求められる。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本明細書では、ローカルに一意のMACアドレスをネットワークノードに提供するための方法及びネットワークインターフェースが開示される。1つの例示的なネットワークインターフェースは、通信媒体を介して送信メッセージを送るために送信バッファに結合され、通信媒体を介して取得された受信メッセージを記憶するために受信バッファに結合されたトランシーバであって、上記メッセージの各々が媒体アクセス制御(MAC)アドレスを含むソースフィールドを含む、トランシーバと、通信媒体を介してメッセージを搬送するためのネットワーク通信プロトコルを実装するためにトランシーバに結合されたネットワークインターフェースコントローラであって、ネットワークインターフェースコントローラは、ネットワークインターフェースのためのローカルに一意のMACアドレスを動的に決定するように構成されている、ネットワークインターフェースコントローラと、を含む。
【0006】
例示的なネットワークインターフェース方法は、トランシーバを使用して、通信媒体を介してメッセージを送信し、通信媒体を介して受信されたメッセージを記憶することであって、上記メッセージの各々が、媒体アクセス制御(MAC)アドレスを含むソースフィールドを含む、ことと、メッセージのソースフィールドにおいて使用されるローカルに一意のMACアドレスを動的に決定する、ことと、を含む。例示的なネットワークノードは、ホストデバイスに結合されたネットワークインターフェースを含み、ネットワークインターフェースは、通信媒体上の全ての他のノードにローカルクレームメッセージをブロードキャストすることであって、ローカルクレームメッセージは、ネットワークインターフェースによって選択されたMACアドレスを指定する、ことと、ローカルクレームメッセージの送信時間を、所定の間隔が経過する前に受信されたMACアドレスを指定する任意のリモートクレームメッセージの送信時間と比較することと、所定の間隔が経過した後に受信されたMACアドレスを指定する任意のリモートクレームメッセージに対して、MACアドレスを指定するアサートメッセージをブロードキャストすることによって応答することと、を行うように構成されている。
【0007】
前述のネットワークインターフェース及び方法の各々は、任意の好適な組み合わせにおいて、以下の任意選択の特徴のうちの1つ以上と組み合わせて使用され得る。1.ローカルに一意のMACアドレスを動的に決定することは、仮MACアドレスを生成することと、通信媒体を介して、仮MACアドレスに対するクレームメッセージをブロードキャストすることと、を含み、クレームメッセージは、関連付けられた送信時間を有する。2.仮MACアドレスは、ランダム値又は擬似ランダム値を使用して決定される。3.ローカルに一意のMACアドレスを動的に決定することは、クレームメッセージをブロードキャストする際にタイミングウィンドウを開始することを含む。4.ローカルに一意のMACアドレスを動的に決定することは、タイミングウィンドウが正常に経過した場合、仮MACアドレスをローカルに一意のMACアドレスとして採用することを含む。5.ネットワークインターフェースコントローラは、タイミングウィンドウが正常に経過した後に受信される任意の競合クレームメッセージに対して、競合クレームメッセージ内の仮MACアドレスに対する優先度を示すアサーションメッセージで応答するように構成されている。6.タイミングウィンドウ中に、競合クレームメッセージが上記送信時間に先行する受信時間で受信された場合、上記の生成すること、ブロードキャストすること、及び開始することを繰り返すこと。7.競合するアサーションクレームメッセージが受信されたときに、上記の生成すること、ブロードキャストすること、及び開始することを繰り返すこと。8.ネットワーク通信プロトコルは、通信媒体の使用を一度に多くとも1つの送信機に制限する。9.ネットワーク通信プロトコルはタイムトリガイーサネットである。10.ネットワークインターフェースは、IEEE規格802.3、802.11、及び802.15ファミリー内の少なくとも1つの規格に準拠する物理層インターフェースを採用する。11.メッセージのうちの少なくともいくつかは、宛先フィールドにローカルに一意のMACアドレスを含むユニキャストメッセージである。12.ローカルクレームメッセージの送信時間がリモートクレームメッセージの送信時間より遅い場合、ネットワークインターフェースは、別のMACアドレスを指定する別のローカルクレームメッセージをブロードキャストする。13.ネットワークインターフェースは、別のMACアドレスを指定する別のローカルクレームメッセージをブロードキャストすることによって、MACアドレスを指定する任意のリモートアサートメッセージに応答するように更に構成されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1A】例示的なネットワークを示す。
図1B】例示的なネットワークパケットを示す。
図2】例示的なネットワークインターフェースのブロック図である。
図3】例示的なMACアドレス解決方法の状態図である。
図4】例示的な方法を更に示すイベントのタイムラインである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の説明及び添付の図面は、本開示を限定するためではなく、説明の目的で提供されることを理解されたい。言い換えれば、以下の説明及び添付の図面は、当業者が、特許請求の範囲内に入る全ての変形例、均等物、及び代替例を認識し、理解するための基礎を提供する。
【0010】
図1Aは、電気バス若しくはケーブル、光ファイバ、又は無線周波数信号伝達などの通信媒体102によって相互接続された複数のネットワークノード(ノードAからノードD)を有する例示的なネットワークを示す。ネットワークノードの例としては、コンピュータ、ネットワークルータ、ネットワークスイッチ、ネットワークブリッジ、ネットワークストレージ、ネットワーク接続センサ、コントローラ、及びIoT機器が挙げられる。これらのネットワークノードは、プロセッサ、マイクロコントローラ、又は特定用途向け集積回路などのホストデバイスに結合された1つ以上のネットワークインターフェースを含む。ネットワークノードは、IEEE802.3(イーサネット)、802.11(無線ローカルエリアネットワーク)、又は802.15(無線パーソナルエリアネットワーク)などのIEEE802(ネットワーク)規格のうちの1つに準拠する物理層インターフェース及び通信プロトコルを使用してもよい。これらは、開示されたアドレス解決方法及びインターフェースを例示するために本明細書で使用されるネットワークタイプであるが、本明細書で提供される開示は、ソースアドレス及び/又は宛先アドレスを有するメッセージを提供するネットワークメッセージを使用する他の通信媒体、ネットワークインターフェース、及び通信プロトコルに容易に適用可能である。
【0011】
図示の通信媒体102は、ノードのうちの1つから残りのノードにネットワークパケットを搬送することができる。特定の好ましい実装形態では、通信媒体102は、一度に1つの送信機のみをサポートし、それによって、通信媒体102によって搬送されるパケットのシーケンスが順序付けられたシーケンスで配列されることを保証する。同時に動作しようと試みる複数の送信機は、いずれかのパケットの受信を妨げるか、又は関連するネットワークプロトコルの規格に従って解決されるネットワーク衝突を引き起こす場合がある。単一送信機の実装の例としては、衝突検出付きキャリア検知多重アクセス(carrier-sense multiple access with collision detection、CSMA/CD)、PHYレベル衝突回避(PHY-level collision avoidance、PLCA)、及びタイムトリガイーサネット(TTE)が挙げられる。
【0012】
上記のネットワーク規格の場合、各ネットワークパケットは、図1Bに示すように、プリアンブル110、ヘッダ112、ペイロード114、チェックサム116、及びパケット間ギャップスペーサ118を有するデータフレームを含む。ヘッダ112は、開始デリミタ120と、パケットの所望の宛先のMACアドレスを有する宛先フィールド122と、パケットのソースノードのMACアドレスを有するソースフィールド124と、任意選択のタグ、パケットタイプ、及びペイロード長などの情報のための他のフィールド126とを含み得る。いくつかの実装形態では、ヘッダ112は、メッセージタイプ、例えば、MACアドレスを暫定的にクレームするメッセージ、又はMACアドレスの所有権をアサートするメッセージを指定するフィールドを更に含む。あるいは、パケットタイプ情報はペイロードの一部として提供されてもよい。宛先フィールド122が所与のノードのMACアドレスを指定するとき、パケットはユニキャストメッセージである。ブロードキャストメッセージの場合、ネットワークプロトコル(上記で識別された標準プロトコルを含む)は、パケットが通信媒体102上の全てのノードに向けられていることを示すために宛先フィールド122内で使用される予約済みMACアドレスを提供することができる。
【0013】
通信媒体102を介して通信するために、ノードA~Dの各々は、図2に示される例示的なネットワークインターフェースなどのネットワークインターフェースを含む。例示的なネットワークインターフェースは、データストリーム送信又は受信の複数のレーンをサポートするトランシーバ202を含む。トランシーバ202は、ネットワークインターフェースコントローラ208の制御下で動作して、実装されたネットワークプロトコルが許可するときに送信バッファ204から送信メッセージを送り、プロトコルが指示するとき、例えば、メッセージが宛先フィールドにネットワークインターフェースのMACアドレスを有するブロードキャストメッセージ又はユニキャストメッセージであるときに受信バッファ206に受信メッセージを記憶する。ネットワークインターフェースコントローラ208は、関連するネットワークプロトコルのための適切な有限状態マシン(finite state machine、FSM)を実装するための特定用途向け集積回路(application specific integrated circuit、ASIC)、又は不揮発性メモリからのファームウェアを実行するプログラム可能プロセッサの形態をとり得る。いずれの場合も、構成レジスタ210のセットは、ホストデバイスによる使用のためのメモリマップされたインターフェースを提供し得る。ホストデバイスは、内部バスインターフェース212を介して構成レジスタ210にアクセスし、パラメータ値を設定し、ステータスレジスタを監視して、ネットワークを介した通信を調整することができる。発信メッセージは、直接メモリアクセス技術を使用して内部バスインターフェース212を介して送信バッファ204に書き込まれてもよく、着信メッセージは、受信バッファ206から同様に取り出されてもよい。
【0014】
図3は、ネットワークインターフェースのローカルに一意のMACアドレスを動的に決定する例示的な方法の状態図である。アドレスはプリセットされるのではなく必要なときに決定されるので、決定は「動的」であり、結果として得られるアドレスは、通信媒体102に接続された他のノードによって共有されないので、ローカルに一意である。この状態図は、選択されたネットワーク通信プロトコルを実装するための標準的な有限状態マシンの一部として、ネットワークインターフェースコントローラ208によって実装されてもよい。各ネットワークノードは、例示的なMACアドレス解決方法を実装することが好ましいが、以下で更に説明するように、この方法は、この方法を実装しない規格準拠ノードとの下位互換性を提供する形で実装することができる。
【0015】
状態図は、初期状態302を有する。ネットワークインターフェースコントローラ208は、電源が投入されるか、さもなければ初期状態302に入ると、新しい仮MACアドレスを選択する。この選択は、乱数又は擬似乱数発生器、例えば、クロック、センサ測定値、ダイレベルトレーサビリティ(die-level traceability、DLT)コードなどの一意の識別子、及び/又は他のソースから1つ以上のシード値を取得し、そこから一連の1つ以上の予測不可能な値を導出するモジュールを使用して実行され得る。導出された値は、他の製造業者に割り当てられたアドレスとの任意のアドレス衝突を回避するために、任意選択でOUIと組み合わせることができる。EUI-48ナンバリング規格によって指定されたMACアドレスフォーマットは、MACアドレスがグローバルに一意のアドレスであるかどうか、又はMACアドレスがローカルに決定されるかどうかを示すための予約ビットを含むことに留意されたい。この予約ビットは、割り当てられたアドレスとの競合を回避するために、OUIに依存するのではなく設定することができる。
【0016】
ネットワークインターフェースコントローラ208は、初期状態302を出て、通信媒体102上の他のノードにクレームメッセージを送信することによってチェック状態304に入る。(コントローラ208によって送信されるこのクレームメッセージはローカルに生成されるので、本明細書では「リモート」クレームメッセージと呼ばれることがある、他のノードからコントローラ208によって受信されるクレームメッセージとは対照的に、以下では「ローカル」クレームメッセージと呼ばれることがある。同様に、「ローカル」アサートメッセージ及び「リモート」アサートメッセージは、それぞれ、コントローラ208によって別のノードに送信されるアサートメッセージ、及びコントローラ208によって別のノードから受信されるアサートメッセージに対応する。)
【0017】
クレームメッセージは、現在、いかなる標準ネットワーク通信プロトコルの一部でもなく、標準ブロードキャストデータフレーム又はパケットフォーマットを使用することができるが、メッセージをクレームメッセージとして識別するフィールド又は値を含むことになる。クレームメッセージは、仮MACアドレスをソース識別子として使用し、それによってクレームしようとしているMACアドレスを示すことができるが、そうである必要はない。ソース識別子としてMACアドレスを使用しない場合、クレームメッセージは、他の場所で仮MACアドレスを指定する。
【0018】
ローカルクレームメッセージを送信すると、ネットワークインターフェースコントローラ208はタイミングウィンドウを開始する。タイミングウィンドウは、クレームメッセージに応答する機会を他の各ノードに与えるように設定される。通信媒体102が合計N個のノードをサポートし、各々がTsの持続時間を有する時分割多重化(time division multiplexed、TDM)スロットを提供する場合、タイミングウィンドウは、例えば2×N×Tsに設定され得、各ノードに応答する少なくとも2つの機会を与える。ほとんどの場合、タイミングウィンドウは正常に、すなわち競合クレームメッセージ又は競合アサートメッセージが受信されることなく経過することが予想される。リモートクレームメッセージが現在のノードの仮MACアドレス又は(状態306において)有効MACアドレスと一致する仮MACアドレスを指定する場合、リモートクレームメッセージは、競合している。同様に、リモートアサートメッセージが現在のノードの仮MACアドレス又は有効MACアドレスと一致する有効MACアドレスを示す場合、リモートアサートメッセージは、競合している。そのような競合するメッセージがなければ、タイミングウィンドウは正常に経過し、ネットワークインターフェースコントローラ208は有効状態306に入る。
【0019】
有効状態306において、ネットワークインターフェースコントローラ208は、仮MACアドレスを、ローカルに一意であると判定された有効MACアドレスとして採用する。その後、ネットワークインターフェースコントローラ208は、アサートメッセージを送信することによって、任意の競合クレームメッセージに即座に応答する。状態310は、ローカルアサートメッセージが送信されるまでしか持続しない一時的な遷移状態であり、その後、ネットワークインターフェースコントローラ208は有効状態306に戻る。
【0020】
クレームメッセージと同様に、アサートメッセージは、現在任意の標準ネットワーク通信プロトコルの一部ではない特別な目的のアサートメッセージであってもよく、標準ブロードキャストデータフレーム又はパケットフォーマットを使用することができるが、アサートメッセージとしてメッセージを識別するフィールド又は値を含むことになる。MACアドレスが検証されているので、アサートメッセージは、有効MACアドレスをソース識別子として使用することが好ましい。
【0021】
しかしながら、特別な目的のアサートメッセージを使用する必要がない場合があることに留意されたい。有効MACアドレスをソース識別子として使用する競合クレームメッセージへの任意の応答は、アサートメッセージとして機能する。この特性は、開示されたアドレス解決方法を実装しないノードとの下位互換性を有利に促進することができる。ネットワークインターフェースコントローラ208が現在どの状態302、304、306にあるかにかかわらず、競合アサートの受信(reception of a conflicting assert、RCA)メッセージにより、ネットワークインターフェースコントローラ208は、初期状態302に再び入り、新しい仮MACアドレスの選択から始まるプロセスを繰り返す。
【0022】
ネットワークインターフェースコントローラ208が初期状態302にある間の競合クレームの受信(reception of a conflicting claim、RCC)メッセージにより、同様に、プロセスが新しい仮MACアドレスの選択から再開される。ネットワークインターフェースコントローラ208がチェック状態304にある間の競合クレームメッセージの受信により、テスト状態308に進み、そこで、ネットワークインターフェースコントローラ208は、競合クレームメッセージが、ローカルクレームメッセージが送信される前に受信されたか後に受信されたかを判定する(状態302から304への遷移によって表されるように)。先に示したように、ネットワーク通信プロトコルが通信媒体102上で一度に1つの送信機のみを提供する場合、メッセージは必然的に、容易に決定することができる順序付けられたシーケンスで送信された。ローカルクレームメッセージが最初に送信された場合、ネットワークインターフェースコントローラ208は、チェック状態304に戻り、任意選択でウィンドウタイマを再初期化する。一方、競合クレームメッセージが最初に送信された場合、ネットワークインターフェースコントローラ208は、初期状態302から始まるプロセスを再開する。
【0023】
相対タイミングの決定は、様々な方法で実施することができる。1つのアプローチは、ローカルクレームメッセージが送信される時間を追跡し、その送信時間を競合クレームメッセージが受信される時間と比較することである。おそらくより簡単なアプローチは、ローカルクレームメッセージが送信バッファ204に置かれ、送信のために待ち行列に入れられたときにフラグをセットし、ローカルクレームメッセージの送信が完了したときにフラグをリセットさせることである。競合クレームメッセージが受信されたとき、ネットワークインターフェースコントローラ208は、フラグをチェックして、ローカルクレームメッセージの送信がまだ保留中であるかどうか、又は既に完了したかどうかを判定することができる。
【0024】
開示される方法の背景にある仕組みを更に説明するために、図4は、4つのネットワークノードによって経験され得るイベントのタイムラインである。時刻t0において、ノードA、B、及びCが初期化され、仮MACアドレスを選択する。(ノードDは、プロセスの後の方でネットワークに追加されると想定される)。選択されたアドレスはランダムであることが好ましいが、説明のために、図4は、各ノードが最初に同じ仮MACアドレス、この場合は「0」を選択する最悪の場合の状況を示す。選択されたアドレスの周りの破線の輪郭は、各ノードが初期状態にあることを示す。選択されたアドレスの周りの実線はチェック状態を示し、アドレスの周りの太線は有効状態を示す。
【0025】
時刻t1において、ノードAは、クレームメッセージを他のノードにブロードキャストして、ノードAの仮MACアドレスとして「0」をクレームし、チェック状態に入る。仮想的な待ち行列遅延のために、ノードBは、その後、時間t2においてノードBの仮MACアドレスとしてアドレス「0」に対する競合クレームメッセージをブロードキャストし、チェック状態に入る。時刻t3において、各ノードは、受信したメッセージを処理する。チェック状態にあり、競合クレームメッセージを受信したノードAは、メッセージの相対タイミングを評価し、ローカルクレームメッセージが送信された後に競合クレームメッセージが受信されたことを判定する。したがって、ノードAはチェック状態のままである。同様にチェック状態にあり、競合クレームメッセージを受信したノードBは、相対タイミングを評価するが、ローカルクレームメッセージが送信される前に競合クレームメッセージが受信されたことを知る。したがって、ノードBは初期状態に戻り、異なる仮MACアドレスを選択する。前述のように、この選択はランダムであることが好ましいが、ここでは説明のために「1」として示されている。初期状態にあり、競合クレームメッセージを受信したノードCは、初期状態に再び入り、ここでは説明のために「1」として示される新しい仮MACアドレスを選択する。
【0026】
時刻t4において、ノードCは、クレームメッセージを他のノードにブロードキャストして、ノードCの仮MACアドレスとして「1」をクレームし、チェック状態に入る。待ち行列遅延のために、ノードBは、その後、ノードBの仮MACアドレスとしてアドレス「1」に対する競合クレームメッセージをブロードキャストし、チェック状態に入る。時刻t6において、各ノードは、受信したメッセージを処理する。ノードAの仮アドレスは「0」であるので、アドレス「1」に対する受信されたクレームメッセージは、ノードAの仮アドレスと競合しない。チェック状態にあり、ノードBの仮アドレスに対する競合クレームメッセージを受信したノードBは、相対タイミングを評価し、ローカルクレームメッセージが送信される前に競合クレームメッセージが受信されたことを知る。したがって、ノードBは初期状態に戻り、ここでは「2」として示されている異なる仮MACアドレスを選択する。チェック状態にあり、ノードCの仮アドレスに対する競合クレームメッセージを受信したノードCは、相対タイミングを評価し、ローカルクレームメッセージが送信された後に競合クレームメッセージが受信されたことを判定する。したがって、ノードCはチェック状態のままである。
【0027】
時刻t7において、ノードBは、仮MACアドレス「2」に対するクレームメッセージを送信する。これは、他のノードによって現在選択されている仮アドレスとのいかなる競合も提示しない。
【0028】
様々なウィンドウタイマが経過すると(時間範囲t8として示される)、ノードは、チェック状態から有効状態に遷移し、それぞれの仮MACアドレスを有効MACアドレスとして採用する。
【0029】
時刻t9において、ノードDがネットワークに追加され、仮MACアドレス「0」(単に最悪の場合の例を提示するため)を使用して初期状態に入る。ノードDは、仮アドレス「0」に対するクレームメッセージをブロードキャストし、チェック状態に入る。ノードAは、アドレス「0」の優先所有権を示すアサートメッセージをブロードキャストすることによって、時間t10において競合クレームメッセージに応答する。時刻t11において、競合アサートメッセージを受信したノードDは、初期状態に戻り、異なる仮MACアドレスを選択する。このプロセスは、ノードDによって選択された仮MACアドレスが他のノードにアドレス競合を提示しなくなるまで継続する。
【0030】
仮MACアドレス選択が適切にランダムに行われる場合、競合の可能性は極めて低く、アドレス解決プロセスは非常に迅速に完了する。ネットワーク媒体上のメッセージの物理層のシリアル化は、選択されたMACアドレスがローカルに一意であると保証することを可能にする。
【0031】
上記の開示を検討すると、当業者は、本開示の範囲内にあるものとして様々な変形例、均等物、及び代替例を認識するであろう。以下の特許請求の範囲は、該当する場合、全てのかかる変形例、均等物、及び代替例を包含すると解釈されることが意図される。
図1A
図1B
図2
図3
図4
【外国語明細書】