(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124330
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】回路基板、その製造方法、およびこれを含む電子部品パッケージ
(51)【国際特許分類】
H05K 3/46 20060101AFI20240905BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20240905BHJP
H01L 25/00 20060101ALI20240905BHJP
H01L 25/07 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H05K3/46 Q
H01L23/12 F
H01L23/12 B
H01L25/00 B
H01L25/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023210902
(22)【出願日】2023-12-14
(31)【優先権主張番号】10-2023-0027847
(32)【優先日】2023-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(71)【出願人】
【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ-メカニックス カンパニーリミテッド.
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羅 鍾 錫
(72)【発明者】
【氏名】池 潤 ジェ
(72)【発明者】
【氏名】金 容 勳
(72)【発明者】
【氏名】李 承 恩
【テーマコード(参考)】
5E316
【Fターム(参考)】
5E316AA32
5E316AA43
5E316CC09
5E316CC10
5E316CC32
5E316CC33
5E316CC34
5E316CC37
5E316CC38
5E316CC39
5E316GG15
5E316GG22
5E316GG28
5E316HH24
5E316HH25
5E316JJ02
5E316JJ03
(57)【要約】 (修正有)
【課題】回路基板の厚さを最小化し、信頼性を確保する回路基板、その製造方法及びこれを含む電子部品パッケージを提供する。
【解決手段】回路基板Sは、第1絶縁層110と、第1回路配線210及び第2回路配線220を含む回路配線200と、回路配線に連結され、第1絶縁層の上部面110uの上に突出する上部面300uと下部面300dとを有する第1導電パッド300と、絶縁層内部の第2領域AR2において第1絶縁層の上部面と平行な境界面を有するように位置し、素子パッド420を含む回路素子400と、を含み、第1導電パッドの上部面の延長線と素子パッドの上部面420uは、第1絶縁層の上部面に垂直な方向に沿って互いに離隔し、第1導電パッドの上部面は、第1絶縁層の上部面の上に位置し、素子パッドの上部面は、第1絶縁層の上部面の下に位置する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁層と、
前記絶縁層内部の第1領域に位置する回路配線と、
前記回路配線に連結され、前記絶縁層の上部面の上に突出した上部面と前記絶縁層に埋め込まれた下部面とを有する第1導電パッドと、
前記絶縁層内部の前記第1領域とは異なる第2領域に位置し、素子パッドを含む回路素子と、を含み、
前記第1導電パッドの上部面の延長線と前記素子パッドの上部面は、前記絶縁層の上部面に垂直な方向に沿って互いに離隔し、
前記絶縁層の上部面に垂直な方向を基準として、前記第1導電パッドの上部面は、前記絶縁層の上部面の上に位置し、前記素子パッドの上部面は、前記絶縁層の上部面の下に位置することを特徴とする回路基板。
【請求項2】
前記第2領域において前記回路素子が位置した層と、前記第1領域において前記回路配線の一部が位置した層は、同一層に位置することを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項3】
前記素子パッドの幅は、前記第1導電パッドの幅よりも広いことを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項4】
前記回路素子は、
前記素子パッドが上部面に位置する素子本体と、
前記素子本体上に位置し、前記素子パッドと重なる第1開口部を有する素子絶縁層と、
をさらに含むことを特徴とする請求項3に記載の回路基板。
【請求項5】
前記素子本体の上部面を基準として、前記第1導電パッドの上部面の高さは、前記素子パッドの上部面の高さよりも高いことを特徴とする請求項4に記載の回路基板。
【請求項6】
前記回路素子は、前記第2領域において前記絶縁層の上部面と平行な境界面を有するように位置し、
前記回路配線の少なくとも一部は、前記境界面と同一層に配置されることを特徴とする請求項4に記載の回路基板。
【請求項7】
前記回路配線に連結され、前記絶縁層の下部面の下に突出した第2導電パッドと、
前記絶縁層の下部面を覆い、前記第2導電パッドと重なる第2開口部を有する第1ソルダレジスト層と、
をさらに含むことを特徴とする請求項4に記載の回路基板。
【請求項8】
前記絶縁層の上部面を覆い、前記第1導電パッドと重なる第3開口部を有する第2ソルダレジスト層をさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の回路基板。
【請求項9】
前記回路素子は、集積受動素子を含むことを特徴とする請求項1に記載の回路基板。
【請求項10】
キャリア基板上にバリア層および第1導電パッドを順次に形成し、
前記バリア層上に、前記第1導電パッドを覆い、第1絶縁層および前記第1絶縁層内に位置する第1回路配線を含む第1層ユニットを形成し、
前記第1層ユニットの一領域にキャビティを形成し、
回路素子を前記キャビティに位置させ、接着部材を用いて前記回路素子の素子パッドを前記バリア層と接着させ、
前記第1層ユニット上に前記キャビティを満たす第2絶縁層および前記第2絶縁層内に位置する第2回路配線を含む第2層ユニットを形成し、
前記バリア層から前記キャリア基板を分離し、
前記バリア層、前記接着部材、および前記第1絶縁層の上部面を順次にエッチングして、前記第1導電パッドを前記第1絶縁層の上部面の上に突出させること、
を含むことを特徴とする回路基板の製造方法。
【請求項11】
前記接着部材は、前記回路素子の素子本体を覆い、前記素子パッドと重なる第1開口部を有する素子絶縁層と前記バリア層とを接着することを特徴とする請求項10に記載の回路基板の製造方法。
【請求項12】
前記第2絶縁層上に前記第2回路配線に連結される第2導電パッドを形成し、
前記第2絶縁層上に前記第2導電パッドと重なる第2開口部を有する第1ソルダレジスト層を形成すること、
をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の回路基板の製造方法。
【請求項13】
前記素子パッドの幅は、前記第1導電パッドの幅よりも広く形成することを特徴とする請求項10に記載の回路基板の製造方法。
【請求項14】
前記第1層ユニットにキャビティを形成して前記バリア層を露出させることを特徴とする請求項10に記載の回路基板の製造方法。
【請求項15】
絶縁層と、
前記絶縁層内部の第1領域に位置する回路配線と、
前記回路配線に連結され、前記絶縁層の上部面の上に突出した上部面と前記絶縁層に埋め込まれた下部面とを有する第1導電パッドと、
前記絶縁層内部の前記第1領域とは異なる第2領域に位置し、素子パッドを含む回路素子と、を含む回路基板と、
前記回路基板上に位置する電子部品と、
前記電子部品に設けられ、前記第1導電パッドおよび前記素子パッドと電気的に連結された導電接着部材と、
を含み、
前記第1導電パッドの上部面の延長線と前記素子パッドの上部面は、前記絶縁層の上部面に垂直な方向に沿って互いに離隔し、
前記絶縁層の上部面に垂直な方向を基準として、前記第1導電パッドの上部面は、前記絶縁層の上部面の上に位置し、前記素子パッドの上部面は、前記絶縁層の上部面の下に位置することを特徴とする電子部品パッケージ。
【請求項16】
前記導電接着部材は、
前記電子部品の信号配線に設けられたバンプと、
前記バンプと前記第1導電パッドとを互いに接着する第1接着部材と、
前記バンプと前記素子パッドとを互いに接着する第2接着部材と、を含み、
前記第2接着部材の最大幅は、前記第1接着部材の最大幅よりも広いことを特徴とする請求項15に記載の電子部品パッケージ。
【請求項17】
前記第2領域において前記回路素子が位置した層と、前記第1領域において前記回路配線の一部が位置した層は、同一層に位置することを特徴とする請求項15に記載の電子部品パッケージ。
【請求項18】
前記素子パッドの幅は、前記第1導電パッドの幅よりも広いことを特徴とする請求項15に記載の電子部品パッケージ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板、その製造方法、およびこれを含む電子部品パッケージに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、高性能モバイル中央処理装置(CPU)の実現のために電力伝送網(Power Delivery Network、PDN)を向上させ、パッケージの薄膜化を実現しようとする努力が進められている。このためにコア部材(core member)のないコアレス(coreless)構造をベースとする埋め込み(embedding)構造が開発されており、特に、電力伝送網の向上のためにダイ(die)とキャパシタ(capacitor)との間の経路を縮小しようとする努力が進められている。
【0003】
ダイとキャパシタとの間の経路を縮小するためにダイとキャパシタとを直接連結しており、最近は、ダイとシリコンキャパシタとを直接連結する構造が開発されている。しかし、シリコンキャパシタのパッドの幅と、ダイと連結するための回路基板上のバンプパッドの幅とが互いに異なるので、パッド間の接合信頼性を確保することが難しい。
【0004】
また、回路基板の厚さを薄くするために、コア部材(core member)を有するコア基板にキャビティ(cavity)を形成し、キャビティの内部にキャパシタなどの受動素子を埋め込んで(embedding)いる。しかし、コア基板の場合、コア部材が所定の厚さを有するので、回路基板の厚さを最小化するのに限界がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、回路基板の厚さを最小化し、信頼性を確保できる回路基板、その製造方法、およびこれを含む電子部品パッケージを提供することにある。
【0007】
しかし、本発明が解決しようとする課題は上述した課題に限定されず、本発明に含まれている技術的思想の範囲で多様に拡張可能である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による回路基板は、絶縁層と、前記絶縁層内部の第1領域に位置する回路配線と、前記回路配線に連結され、前記絶縁層の上部面の上に突出した上部面と前記絶縁層に埋め込まれた下部面とを有する第1導電パッドと、前記絶縁層内部の前記第1領域とは異なる第2領域に位置し、素子パッドを含む回路素子と、を含み、前記第1導電パッドの上部面の延長線と前記素子パッドの上部面は、前記絶縁層の上部面に垂直な方向に沿って互いに離隔し、前記絶縁層の上部面に垂直な方向を基準として、前記第1導電パッドの上部面は、前記絶縁層の上部面の上に位置し、前記素子パッドの上部面は、前記絶縁層の上部面の下に位置する。
【0009】
前記第2領域において前記回路素子が位置した層と、前記第1領域において前記回路配線の一部が位置した層は、同一層に位置することができる。
前記素子パッドの幅は、前記第1導電パッドの幅よりも広い。
前記回路素子は、前記素子パッドが上部面に位置する素子本体と、前記素子本体上に位置し、前記素子パッドと重なる第1開口部を有する素子絶縁層とをさらに含むことができる。
前記素子本体の上部面を基準として、前記第1導電パッドの上部面の高さは、前記素子パッドの上部面の高さよりも高い。
前記回路素子は、前記第2領域において前記絶縁層の上部面と平行な境界面を有するように位置し、前記回路配線の少なくとも一部は、前記境界面と同一層に配置される。
前記回路基板は、前記回路配線に連結され、前記絶縁層の下部面の下に突出した第2導電パッドと、前記絶縁層の下部面を覆い、前記第2導電パッドと重なる第2開口部を有する第1ソルダレジスト層とをさらに含むことができる。
前記回路基板は、前記絶縁層の上部面を覆い、前記第1導電パッドと重なる第3開口部を有する第2ソルダレジスト層をさらに含むことができる。
前記回路素子は、集積受動素子を含むことができる。
【0010】
また、上記目的を達成するためになされた本発明の一態様による回路基板の製造方法は、キャリア基板上にバリア層および第1導電パッドを順次に形成し、前記バリア層上に、前記第1導電パッドを覆い、第1絶縁層および前記第1絶縁層内に位置する第1回路配線を含む第1層ユニットを形成し、前記第1層ユニットの一領域にキャビティを形成し、回路素子を前記キャビティに位置させ、接着部材を用いて前記回路素子の素子パッドを前記バリア層と接着させ、前記第1層ユニット上に前記キャビティを満たす第2絶縁層および前記第2絶縁層内に位置する第2回路配線を含む第2層ユニットを形成し、前記バリア層から前記キャリア基板を分離し、前記バリア層、前記接着部材、および前記第1絶縁層の上部面を順次にエッチングして、前記第1導電パッドを前記第1絶縁層の上部面の上に突出させることを含む。
【0011】
前記接着部材は、前記素子本体を覆い、前記素子パッドと重なる第1開口部を有する素子絶縁層と前記バリア層とを接着することができる。
前記回路基板の製造方法は、前記第2絶縁層上に前記第2回路配線に連結される第2導電パッドを形成し、前記第2絶縁層上に前記第2導電パッドと重なる第2開口部を有する第1ソルダレジスト層を形成することをさらに含むことができる。
前記素子パッドの幅は、前記第1導電パッドの幅よりも広く形成することができる。
前記第1層ユニットにキャビティを形成して前記バリア層を露出させることができる。
【0012】
さらに、上記目的を達成するためになされた本発明による電子部品パッケージは、絶縁層と、前記絶縁層内部の第1領域に位置する回路配線と、前記回路配線に連結され、前記絶縁層の上部面の上に突出した上部面と前記絶縁層に埋め込まれた下部面とを有する第1導電パッドと、前記絶縁層内部の前記第1領域とは異なる第2領域に位置し、素子パッドを含む回路素子と、を含む回路基板と、前記回路基板上に位置する電子部品と、前記電子部品に設けられ、前記第1導電パッドおよび前記素子パッドと電気的に連結された導電接着部材と、を含み、前記第1導電パッドの上部面の延長線と前記素子パッドの上部面は、前記絶縁層の上部面に垂直な方向に沿って互いに離隔し、前記絶縁層の上部面に垂直な方向を基準として、前記第1導電パッドの上部面は、前記絶縁層の上部面の上に位置し、前記素子パッドの上部面は、前記絶縁層の上部面の下に位置する。
【0013】
前記導電接着部材は、前記電子部品の信号配線に設けられたバンプと、前記バンプと前記第1導電パッドとを互いに接着する第1接着部材と、前記バンプと前記素子パッドとを互いに接着する第2接着部材と、を含み、前記第2接着部材の最大幅は、前記第1接着部材の最大幅よりも広い。
前記第2領域において前記回路素子が位置した層と、前記第1領域において前記回路配線の一部が位置した層は、同一層に位置することができる。
前記素子パッドの幅は、前記第1導電パッドの幅よりも広い。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、薄い厚さを有するコアレス基板に受動素子を埋め込んで回路基板の厚さを最小化することができる。したがって、回路基板を含む電子部品パッケージの薄膜化を容易に実現することができる。
また、絶縁層に埋め込まれた受動素子の素子パッドが回路基板の外部に露出するので、回路素子は、電子部品の配線に直接連結可能である。したがって、回路素子の信頼性を容易に確保することができる。
また、電子部品と直接電気的に連結される回路素子の素子パッドと回路基板の導電パッドとの間に段差を形成することによって、素子パッドに接着される接着部材の量が、導電パッドに接着される接着部材の量よりも大きくなり、導電接着部材の信頼性を確保することができる。
【0015】
さらに、接着部材の厚さを調節することによって、電子部品と直接電気的に連結される回路素子の素子パッドと回路基板の導電パッドとの間の段差を容易に調節することができる。
また、回路素子を位置させるキャビティを形成するための別途の工程を進行させず、ビアホールを形成する工程でキャビティを同時に形成可能なため、製造工程を単純化させて製造費用を節減することができる。
【0016】
しかし、本発明の効果は上述した効果に限定されるものではなく、本発明の思想および領域を逸脱しない範囲で多様に拡張可能であることは自明である。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図2】
図1の回路基板を含む電子部品パッケージの断面図である。
【
図3】一実施例による回路基板の製造方法を順に示す断面図である。
【
図4】一実施例による回路基板の製造方法を順に示す断面図である。
【
図5】一実施例による回路基板の製造方法を順に示す断面図である。
【
図6】一実施例による回路基板の製造方法を順に示す断面図である。
【
図7】一実施例による回路基板の製造方法を順に示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照して、本発明の様々な実施例について、本発明の属する技術分野における通常の知識を有する者が容易に実施できるように詳細に説明する。本発明は種々の異なる形態で実現可能であり、ここで説明する実施例に限定されない。
【0019】
本発明を明確に説明するために説明上不必要な部分は省略し、明細書全体にわたって同一または類似の構成要素については同一の参照符号を付す。
【0020】
また、図面は本明細書に開示された実施例を容易に理解できるようにするためのものに過ぎず、図面によって本明細書に開示された技術的思想は限定されず、本発明の思想および技術範囲に含まれるすべての変更、均等物乃至代替物を含むことが理解されなければならない。
【0021】
さらに、図面に示された各構成の大きさおよび厚さは説明の便宜のために任意に示したので、本発明は必ずしも図示のものに限定されない。図面において、様々な層および領域を明確に表現するために厚さを拡大して示した。そして、図面において、説明の便宜のために、一部の層および領域の厚さを誇張して示した。
【0022】
また、層、膜、領域、板などの部分が他の部分の「上に」あるとする時、これは、他の部分の「直上に」ある場合のみならず、その中間にさらに他の部分がある場合も含む。逆に、ある部分が他の部分の「直上に」あるとする時には中間に他の部分がないことを意味する。なお、基準となる部分の「上に」あるというのは、基準となる部分の上または下に位置することであり、必ずしも重力の反対方向側に「上に」位置することを意味するものではない。
【0023】
また、明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする時、これは、特に反対の記載がない限り、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに包含できることを意味する。
【0024】
さらに、明細書全体において、「平面上」とする時、これは対象部分を上から見た時を意味し、「断面上」とする時、これは対象部分を垂直に切断した断面を横から見た時を意味する。
【0025】
また、明細書全体において、「連結される」とする時、これは2以上の構成要素が直接的に連結されることだけを意味するのではなく、2以上の構成要素が他の構成要素を介して間接的に連結されること、物理的に連結されることだけでなく、電気的に連結されること、または位置や機能により異なる名称で称されたものの一切を意味することができる。
【0026】
以下、図面を参照して、多様な実施例と変形例を詳細に説明する。
【0027】
【0028】
図1に示すように、一実施例による回路基板は、絶縁層100と、回路配線200と、第1導電パッド300と、回路素子400と、第2導電パッド500と、第1ソルダレジスト層600とを含む。
【0029】
絶縁層100は、エポキシ樹脂、ポリイミド(polyimide)などのような熱硬化性樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリカーボネート(PC)、ポリ塩化ビニル(PVC)などのような熱可塑性樹脂、またはこれらと共にガラス繊維または無機フィラーのような補強剤を含む樹脂などを含む。例えば、絶縁層100は、プリプレグ(Prepreg)、ABF(Ajinomoto Buildup Film(登録商標))、PID(Photo Image-able Dielectric)などを含む。
【0030】
絶縁層100は、第1絶縁層110および第2絶縁層120を含む。第1絶縁層110の上部面110uの上に第1導電パッド300が突出し、第1絶縁層110の内部に回路配線200および第1導電パッド300が位置する。第2絶縁層120の内部に第2導電パッド500が位置し、第2絶縁層120は、第1ソルダレジスト層600と接触する。
【0031】
回路配線200は、第1絶縁層110内部の第1領域AR1に位置し、電気的信号を伝達する。回路配線200は、多様なパターンに配置される。回路配線200は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、またはこれらの合金などの導電性物質を含む。
【0032】
回路配線200は、第1回路配線210および第2回路配線220を含む。第1回路配線210は、第1導電パッド300と電気的に連結され、第1絶縁層110の内部に位置する。第2回路配線220は、第2導電パッド500と電気的に連結され、第2絶縁層120の内部に位置する。
【0033】
本実施例において、第1回路配線210は、ビア層を含めて3つの層で示されているが、必ずしもこれに限定されるものではなく、多様な層数で配置されてもよい。ここで、第1回路配線210は、テーパ状の側面を有するビア層VLと、ビア層VL上に配置された表面配線SWとを含む。
【0034】
ここで、絶縁層100と回路配線200は、別途のコア部材を含まないので、薄い厚さのコアレス基板をなす。
【0035】
第1導電パッド300は、第1回路配線210に連結され、第1絶縁層110の上部面110uの上に突出する。つまり、第1導電パッド300の上部面300uは、第1絶縁層110の上部面110uの上に突出し、第1導電パッド300の下部面300dは、第1絶縁層110の内部に埋め込まれる。第1導電パッド300は、銅(Cu)、金(Au)、銀(Ag)、ニッケル(Ni)などを含む。
【0036】
回路素子400は、第1絶縁層110内部の、第1領域AR1とは異なる第2領域AR2に位置する。回路素子400と第1絶縁層110は、互いに境界面BSを有して接触する。境界面BSは、第1絶縁層110の上部面110uと平行に配置される。第1回路配線210は、境界面BSと同一層に配置される。
【0037】
回路素子400は、シリコンキャパシタ(Si-capacitor)、シリコンブリッジ(Si-bridge)、セラミックキャパシタ(Ceramic capacitor)などの集積受動素子(Integrated Passive Device、IPD)を含む。
【0038】
ここで、第2領域AR2において回路素子400が位置した層と、第1領域AR1において第1回路配線210が位置した層は、同一層、例えば、同一の平面(X-Y平面)上に位置する。
【0039】
回路素子400は、素子本体410と、素子パッド420と、素子絶縁層430とを含む。
【0040】
素子本体410は、回路素子400の駆動回路などが位置し、回路素子400のメイン部分である。
【0041】
素子パッド420は、素子本体410と電気的に連結され、素子本体410の上部面410uに位置する。
【0042】
ここで、第1導電パッド300の上部面300uの延長線ELと素子パッド420の上部面420uは、第1絶縁層110の上部面110uに垂直な方向Zに沿って互いに所定間隔dだけ離隔する。また、素子本体410の上部面410uを基準として、第1導電パッド300の上部面300uの高さh1は、素子パッド420の上部面420uの高さh2よりも高い。
【0043】
そして、第1導電パッド300の上部面300uは、第1絶縁層110の上部面110uの上に位置し、素子パッド420の上部面420uは、第1絶縁層110の上部面100uの下に位置する。
【0044】
したがって、電子部品(EC、
図2参照)と直接電気的に連結される回路素子400の素子パッド420と回路基板Sの第1導電パッド300との間に段差が形成される。また、素子パッド420の幅W2は、第1導電パッド300の幅W1よりも広い。したがって、素子パッド420に接着される第2接着部材B2の量を、第1導電パッド300に接着される第1接着部材B1の量よりも大きくして、導電接着部材CBの接合信頼性を確保することができる。
【0045】
素子絶縁層430は、素子本体410上に位置し、素子本体410を覆って保護する。素子絶縁層430は、素子パッド420と重なる第1開口部OH1を有する。素子絶縁層430の上部面430uは、第1絶縁層110の上部面110uと同一の平面上に位置する。このように、絶縁層100に埋め込まれた素子パッド420が素子絶縁層430の第1開口部OH1を介して外部に露出するので、回路素子400は、電子部品(EC)の配線と直接連結可能である。したがって、回路素子400の信頼性を容易に確保することができる。
【0046】
また、絶縁層100と回路配線200とを含む薄い厚さのコアレス基板に受動素子を埋め込んで回路基板Sの厚さを最小化することができる。したがって、回路基板Sを含む電子部品パッケージの薄膜化を容易に実現することができる。
【0047】
第2導電パッド500は、第2回路配線220に連結され、第2絶縁層120の下部面120dの下に突出する。
【0048】
第1ソルダレジスト層600は、第2絶縁層120の下部面120dを覆い、第2導電パッド500と重なる第2開口部OH2を有する。第1ソルダレジスト層600は、ソルダレジスト(Solder resist)などの絶縁物質を含む。
【0049】
以下、
図1の回路基板を含む電子部品パッケージについて、図面を参照して詳しく説明する。
【0050】
図2は、
図1の回路基板を含む電子部品パッケージの断面図である。
【0051】
図2に示すように、一実施例による電子部品パッケージは、回路基板Sと、電子部品ECと、導電接着部材CBと、アンダーフィルUFとを含む。
【0052】
回路基板Sは、絶縁層100と、回路配線200と、第1導電パッド300と、回路素子400と、第2導電パッド500と、第1ソルダレジスト層600とを含む。回路基板Sに関する詳細な説明は上述しているので、詳しい説明は省略する。
【0053】
電子部品ECは、数百から数百万個以上の素子が1つのチップ内に集積化された集積回路ダイ(integrated circuit die)であってもよい。例えば、電子部品ECは、セントラルプロセッサ(例えば、CPU)、グラフィックプロセッサ(例えば、GPU)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ、暗号化プロセッサ、マイクロプロセッサ、マイクロコントローラなどのプロセッサチップ、具体的には、アプリケーションプロセッサ(Application Processor、AP)であってもよいが、これに限定されるものではなく、その他にも、揮発性メモリ(例えば、DRAM)、不揮発性メモリ(例えば、ROM)、フラッシュメモリなどのメモリや、アナログ-デジタルコンバータ、またはASIC(application-specific IC)などのロジックなどであってもよい。
【0054】
導電接着部材CBは、電子部品ECと第1導電パッド300とを電気的に連結する。導電接着部材CBは、電子部品ECの信号配線に設けられるバンプ(bump)CB1と、バンプCB1と第1導電パッド300との間に位置して接着性および導電性を向上させる補助接着部材CB2とを含む。バンプCB1は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、銀(Ag)、スズ(Sn)、金(Au)、ニッケル(Ni)、鉛(Pb)、チタン(Ti)、またはこれらの合金などの導電性物質を含む。補助接着部材CB2は、ソルダ(solder)などを含む。本実施例において、バンプCB1は、柱(pillar)形状であるが、必ずしもこれに限定されるものではなく、ボール(ball)形状のバンプも可能である。
【0055】
補助接着部材CB2は、第1接着部材B1および第2接着部材B2を含む。第1接着部材B1は、バンプCB1と第1導電パッド300とを互いに接着し、第2接着部材B2は、バンプCB1と素子パッド420とを互いに接着する。
【0056】
この時、素子本体410の上部面410uを基準として、第1導電パッド300の上部面300uの高さh1は、素子パッド420の上部面420uの高さh2よりも高く、素子パッド420の幅W2は、第1導電パッド300の幅W1よりも広いので、素子パッド420に接着される第2接着部材B2の最大幅D2は、第1導電パッド300に接着される第1接着部材B1の最大幅D1よりも広い。
【0057】
したがって、素子本体410の上部面410uを基準とした、第1導電パッド300の上部面300uの高さh1が、素子パッド420の上部面420uの高さh2よりも高い構造において、素子パッド420に接着される第2接着部材B2の量(表面積)を、第1導電パッド300に接着される第1接着部材B1の量(表面積)よりも大きくすることができる。
【0058】
このように、電子部品ECに直接電気的に連結される回路素子400の素子パッド420と回路基板Sの第1導電パッド300との間に段差を形成することによって、素子パッド420に接着される第2接着部材B2の量(表面積)を、第1導電パッド300に接着される第1接着部材B1の量(表面積)よりも大きくして、導電接着部材CBの信頼性を確保することができる。
【0059】
アンダーフィルUFは、電子部品ECと絶縁層100との間に満たされ、電子部品ECを固定する。
【0060】
以下、
図1と共に、
図3~
図7を参照して、一実施例による回路基板の製造方法について詳しく説明する。
【0061】
図3~
図7は、一実施例による回路基板の製造方法を順に示す断面図である。
【0062】
図3に示すように、キャリア基板CS上にバリア層BLを形成し、バリア層BL上に第1導電パッド300を形成する。キャリア基板CSは、後の工程でバリア層BLから分離可能な基板である。
【0063】
キャリア基板CSは、キャリアフィルムCS1と、キャリアフィルムCS1上に位置する離型層(release layer)CS2とを含む。キャリアフィルムCS1は、銅箔積層板などを含む。離型層CS2は、所定の外力によりバリア層BLから分離される。離型層CS2は、バリア層BLの構成物質とは異なる物質からなる。例えば、離型層CS2は、クロム(Cr)、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、コバルト(Co)、鉛(Pb)、銀(Ag)、タンタル(Ta)、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、チタン(Ti)、スズ(Sn)、スチール(Steel)、バナジウム(V)、またはこれらの組み合わせからなる。第1導電パッド300は、後の工程でキャビティCAが形成される第1絶縁層110内部の、第2領域AR2とは異なる第1領域AR1に対応する位置に形成される。
【0064】
図4に示すように、バリア層BL上に第1導電パッド300を覆う第1絶縁層110を形成する。そして、フォトエッチング工程を用いて、第1絶縁層110に第1導電パッド300と重なるビアホールVHを形成し、ビアホールVHを満たしてビア層VLを含む第1回路配線210を形成する。ビア層VLの側面は、逆テーパに形成される。第1回路配線210は、第1絶縁層110内部の第1領域AR1に形成される。ここで、第1絶縁層110および第1回路配線210は、共に第1層ユニット10をなす。そして、第1層ユニット10を繰り返し積層する。本実施例では、3つの第1層ユニット10を形成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、多様な数の第1層ユニット10を形成することができる。
【0065】
そして、第1絶縁層110のうちの最上部に位置する第1絶縁層にビアホールVHを形成すると同時に、バリア層BLの上部面BLUを露出するキャビティCAを形成する。キャビティCAは、第1絶縁層110内部の第2領域AR2に形成される。
【0066】
このように、回路素子400を位置させるキャビティCAを形成するための別途の工程を進行させず、ビアホールVHを形成する工程でキャビティCAを同時に形成可能なため、製造工程を単純化させて製造費用を節減することができる。
【0067】
図5に示すように、回路素子400をキャビティCAに位置させ、接着部材AMを用いて回路素子400の素子パッド420をバリア層BLと接着させる。この時、接着部材AMは、素子絶縁層430とも接着される。接着部材AMの厚さtを調節することによって、第1導電パッド300の上部面300uの延長線と素子パッド420の上部面420uとの間の所定間隔dを調節する。したがって、電子部品ECと直接電気的に連結される回路素子400の素子パッド420と回路基板Sの第1導電パッド300との間の段差を容易に調節することができる。
【0068】
図6に示すように、第1層ユニット上にキャビティCAを満たし、第1回路配線210を覆う第2絶縁層120を形成する。そして、フォトエッチング工程を用いて、第2絶縁層120に第1回路配線210と重なるビアホールVHを形成し、ビアホールVHを満たす第2回路配線220を形成する。ここで、第2絶縁層120および第2回路配線220は、共に第2層ユニット20をなす。本実施例では、1つの第2層ユニット20を形成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、第2層ユニット20を繰り返し積層することによって、多様な数の第2層ユニット20を形成することができる。
【0069】
そして、第2絶縁層120上に第2回路配線220に連結される第2導電パッド500を形成する。第2導電パッド500は、第2回路配線220と同一の物質からなる。そして、第2絶縁層120上に第2導電パッド500と重なる第2開口部OH2を有する第1ソルダレジスト層600を形成する。第2開口部OH2は、マスクを用いて、第1ソルダレジスト層600に露光、硬化、現像などの工程を進行させて形成する。
【0070】
図7に示すように、バリア層BLからキャリア基板CSを分離する。キャリア基板CSの離型層CS2は、バリア層BLとは異なる物質からなるので、離型層CS2は、バリア層BLから容易に分離される。
【0071】
図1に示すように、回路基板Sをひっくり返す。そして、バリア層BL、接着部材AM、及び第1絶縁層110の上部面110uを順次にエッチングして、第1導電パッド300を第1絶縁層110の上部面110uの上に突出させる。この時、素子絶縁層430と第1絶縁層110は同時にエッチングされるので、素子絶縁層430の上部面430uは、第1絶縁層110の上部面110uと同一の平面上に位置する。
【0072】
一方、上記一実施例では、第2導電パッドを保護する第1ソルダレジスト層のみが形成されたが、第1導電パッドを保護する第2ソルダレジスト層が形成される他の実施例も可能である。
【0073】
以下、
図8を参照して、他の実施例による回路基板について詳しく説明する。
【0074】
【0075】
図8に示す他の実施例は、
図1に示した一実施例と比較して、第2ソルダレジスト層だけを除いて実質的に同一であるので、繰り返しの説明は省略する。
【0076】
図8に示すように、他の実施例による回路基板は、絶縁層100と、回路配線200と、第1導電パッド300と、回路素子400と、第2導電パッド500と、第1ソルダレジスト層600と、第2ソルダレジスト層700とを含む。
【0077】
第2ソルダレジスト層700は、第1絶縁層110の上部面110uの上に位置して第1絶縁層110を保護する。第2ソルダレジスト層700は、第1導電パッド300と重なる第3開口部OH3を有する。したがって、第3開口部OH3を介して露出した第1導電パッド300は、導電接着部材CBを介して電子部品ECの信号配線と電気的に連結可能である。
【0078】
以上、本発明の好ましい一実施例について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、発明の詳細な説明および図面の範囲内で多様に変形して実施することが可能であり、これも本発明の範囲に属することは当然である。
【符号の説明】
【0079】
100:絶縁層
200:回路配線
300:第1導電パッド
400:回路素子
410:素子本体
420:素子パッド
430:素子絶縁層
500:第2導電パッド
600:第1ソルダレジスト層
700:第2ソルダレジスト層