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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124345
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】車両用制御装置及び車両用制御方法
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/08 20200101AFI20240905BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240905BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20240905BHJP
   G08G 1/09 20060101ALI20240905BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
B60W50/08
B60W60/00
B60W50/14
G08G1/09 V
G08G1/16 F
G08G1/16 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】29
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024014972
(22)【出願日】2024-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2023032174
(32)【優先日】2023-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】久米 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】和泉 一輝
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA30
3D241BA51
3D241BA60
3D241BB05
3D241BC01
3D241CD05
3D241CE04
3D241DC01Z
3D241DC25Z
3D241DC51Z
3D241DC57Z
3D241DD11Z
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF04
5H181FF05
5H181FF07
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
5H181LL20
(57)【要約】
【課題】乗員の乗車時から自動運転での走行が行われる場合に、乗員にとっての利便性を向上させることを可能とする。
【解決手段】LV2以上の自動運転を発進時から開始可能であるとともに、手動運転からその自動運転への切り替えも可能な車両で用いることが可能な自動運転ECU10であって、運転者から受け付ける、自車における操作を特定する操作特定部107と、手動運転からLV2以上の自動運転への切り替え時には、予め定められた複数の操作である特定操作を操作特定部107で特定したことを条件とせずに、LV2以上の自動運転での走行開始を許可する一方、自車の発進時には、特定操作を操作特定部107で特定したことをもとに、自動運転での発進を許可する許可部183とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵及び加減速のいずれも支援する自動運転を発進時から開始可能であるとともに、手動運転から前記自動運転への切り替えも可能な車両で用いることが可能な車両用制御装置であって、
前記車両の運転者から受け付ける、前記車両における操作を特定する操作特定部(107)と、
手動運転から前記自動運転への切り替え時には、予め定められた複数の操作である特定操作を前記操作特定部で特定したことを条件とせずに、前記自動運転での走行開始を許可する一方、前記車両の発進時には、前記特定操作を前記操作特定部で特定したことをもとに、前記自動運転での発進を許可する許可部(183,183b,183c)とを備える車両用制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
手動運転から前記自動運転への切り替えも可能な車両で用いることが可能であり、
前記車両の走行駆動源を作動させる操作が行われたことをトリガに、前記自動運転での発進が可能となる自動運転モードに設定する一方、前記特定操作以外の手動運転を要求するための操作を前記操作特定部で特定した場合には、前記自動運転モードから手動運転で走行を行う手動運転モードに切り替えるモード設定部(182)を備える車両用制御装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の走行駆動源を作動させる操作が行われたことをトリガに、前記自動運転での発進が可能となる自動運転モードに設定するモード設定部(182)を備えるものであり、
前記自動運転モードで行わせる運転の自動化レベルを予め設定するレベル設定部(104)を備える車両用制御装置。
【請求項4】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の走行駆動源を作動させる操作入力が行われたことをトリガに発進が可能になる運転の自動化レベルを予め設定するレベル設定部(104)を備える車両用制御装置。
【請求項5】
請求項3又は4に記載の車両用制御装置であって、
前記車両、前記車両の走行環境、及び前記車両の運転者の少なくともいずれかについての情報である自車関連情報を取得する情報取得部(106)と、
前記車両の車室内に設けられる報知装置(18)から報知を行わせる報知制御部(121)とを備え、
前記報知制御部は、前記情報取得部で取得した前記自車関連情報に応じて、前記車両の発進時から行わせる運転の自動化レベルとして前記運転者に推奨する自動化レベルを提案する報知を行わせる車両用制御装置。
【請求項6】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の走行駆動源を作動させる操作が行われたことをトリガに、前記自動運転での発進が可能となる自動運転モードに設定するモード設定部(182)を備えるものであり、
前記車両が前記自動運転を行うことのできない状況の発生を予測する状況予測部(181)を備え、
前記モード設定部は、前記車両の発進後の所定距離若しくは所定時間内に前記自動運転を行うことのできない状況の発生を前記状況予測部で予測した場合には、前記車両の走行駆動源を作動させる操作が行われた場合であっても、前記自動運転モードに設定せず、手動運転で走行を行う手動運転モードに設定する車両用制御装置。
【請求項7】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の走行駆動源を作動させる操作が行われたことをトリガに発進が可能になる前記自動運転の自動化レベルを予め設定するレベル設定部(104)を備えるものであり、
前記許可部は、前記車両の発進時に前記特定操作を前記操作特定部で特定したことをもとに許可する前記自動運転の自動化レベルが、前記運転者の睡眠が許可される自動化レベルである睡眠許可レベル以上の場合に、前記睡眠許可レベル未満の場合よりも、前記特定操作の操作数を少なくする車両用制御装置。
【請求項8】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の走行駆動源を作動させる操作を、遠隔操作と前記車両の入力装置の操作とのいずれでも行うことができる車両で用いることが可能であり、
前記許可部は、前記車両の走行駆動源を作動させる操作が、前記遠隔操作によって行われた場合に、前記入力装置の操作で行われた場合よりも、前記特定操作の操作数を多くする車両用制御装置。
【請求項9】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記許可部は、前記車両の発進が、後退での発進の場合に、前進での発進の場合よりも、前記特定操作の操作数を多くする車両用制御装置。
【請求項10】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の走行駆動源を作動させる操作を、遠隔操作と前記車両の入力装置の操作とのいずれでも行うことができる車両で用いることが可能であり、
前記車両での運転者の周辺監視の要否を切り替える監視要否切替部(105)を備え、
前記監視要否切替部は、前記車両の走行駆動源を作動させる操作が、前記入力装置の操作で行われた場合には、前記周辺監視を不要に切り替える一方、前記車両の走行駆動源を作動させる操作が、前記遠隔操作によって行われた場合には、前記周辺監視を必要に切り替える車両用制御装置。
【請求項11】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記車両での運転者の周辺監視の要否を切り替える監視要否切替部(105)を備えるものであり、
前記監視要否切替部は、前記車両の発進が、前進での発進の場合には、前記周辺監視を不要に切り替える一方、前記車両の発進が、後退での発進の場合には、前記周辺監視を必要に切り替える車両用制御装置。
【請求項12】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
手動運転から前記自動運転へ切り替えて前記自動運転を行う手動発進状態と、前記自動運転を発進時から開始して前記自動運転を行う自動発進状態とで、前記車両の停止を許可する位置である停止可能位置を変化させる第1制限部(184)を備える車両用制御装置。
【請求項13】
請求項12に記載の車両用制御装置であって、
前記第1制限部は、前記手動発進状態の場合よりも前記自動発進状態の場合の方が、前記自動運転から手動運転への運転交代が発生しにくい領域である安全領域への停止に制限されるように、前記停止可能位置を変化させる車両用制御装置。
【請求項14】
請求項13に記載の車両用制御装置であって、
前記第1制限部は、前記自動運転の目的地として前記安全領域以外を設定できないようにすることで、前記安全領域への停止に制限されるように前記停止可能位置を変化させる車両用制御装置。
【請求項15】
請求項13に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の走行環境を特定する走行環境特定部(101b)と、
前記自動発進状態であって、且つ、前記走行環境特定部で特定する前記走行環境をもとに、前記安全領域で停止できないことを特定した場合に、前記車両が行う前記自動運転の自動化レベルを下げるレベル切替部(108b)を備える車両用制御装置。
【請求項16】
請求項12に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の発進の目的を特定する目的特定部(112)を備え、
前記許可部(183b)は、前記自動発進状態であって、且つ、前記目的特定部で特定する前記車両の発進の目的が出社若しくは帰宅の場合に、前記車両の発進の目的が出社及び帰宅のいずれでもない場合に比べ、発進の条件となる前記特定操作の操作量を減らす車両用制御装置。
【請求項17】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記自動運転を発進時から開始して前記自動運転を行うことが可能か否かを判定する自動発進判定部(113)と、
前記車両の車室内に設けられる報知装置(18)から報知を行わせる報知制御部(121b)とを備え、
前記報知制御部は、前記車両への前記運転者の乗車時に、前記自動運転を発進時から開始して前記自動運転を行うことができると前記自動発進判定部で判定した場合に、発進時から前記自動運転を行うことを提案する報知である自動発進提案報知を行わせる一方、前記自動運転を発進時から開始して前記自動運転を行うことができないと前記自動発進判定部で判定した場合には、前記自動発進提案報知を行わせない車両用制御装置。
【請求項18】
請求項17に記載の車両用制御装置であって、
前記報知制御部は、前記車両への前記運転者の乗車時に、前記自動運転を発進時から開始して前記自動運転を行うことができないと前記自動発進判定部で判定した場合に、前記自動運転を発進時から開始して前記自動運転を行うことができないことを知らせる報知を行わせる車両用制御装置。
【請求項19】
請求項17に記載の車両用制御装置であって、
前記許可部(183c)は、前記報知制御部での前記自動発進提案報知に対して、前記特定操作を前記操作特定部で特定した後の規定時間内に、前記車両に対する前記車両の乗員の操作に起因する前記車両の停止が発生した場合には、再発進時に、発進時からの前記自動運転での走行開始を制限する車両用制御装置。
【請求項20】
請求項1に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の自動運転での発進からの経過量を特定する経過量特定部(110)と、
前記車両の自動運転での発進後、前記経過量特定部で前記経過量が規定値に達したと特定するまでは、前記経過量が規定値に達したと特定後に比べ、前記車両の加速を制限する第2制限部(184d)とを備える車両用制御装置。
【請求項21】
操舵及び加減速のいずれも支援する自動運転を発進時から開始可能であるとともに、電動シートのリクライニング制御も行う車両で用いることが可能な車両用制御装置であって、
前記車両の自動運転での発進からの経過量を特定する経過量特定部(110)と、
前記車両の自動運転での発進後、前記経過量特定部で前記経過量が規定値に達したと特定するまでは、前記リクライニング制御と、前記車両の運転者に許可する運転以外の行為であるセカンドタスクとのうちの少なくともいずれかである対象動作を抑制する抑制部(111,111e)とを備える車両用制御装置。
【請求項22】
請求項21に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の走行環境を特定する走行環境特定部(101e)を備え、
前記抑制部(111e)は、前記対象動作の抑制を解除する解除タイミングを、前記走行環境特定部で特定する前記走行環境に応じて変化させる車両用制御装置。
【請求項23】
請求項22に記載の車両用制御装置であって、
前記抑制部は、前記走行環境特定部で特定する前記走行環境が、安定した走行が一定距離以上続くと推定される道路の走行となった場合に、前記対象動作の抑制を解除する車両用制御装置。
【請求項24】
請求項21に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の車室内に設けられる報知装置(18)から報知を行わせる報知制御部(121e)を備えるものであって、
前記報知制御部は、前記抑制部で前記対象動作の抑制中に、前記対象動作を実行しようとする前記運転者の操作が検出された場合に、前記対象動作の抑制中であることを示す報知と前記対象動作の抑制が解除される地点を示す報知との少なくともいずれかを行わせる車両用制御装置。
【請求項25】
請求項21に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の発進の目的を特定する目的特定部(112)を備え、
前記抑制部は、前記目的特定部で特定する前記車両の発進の目的が、出社であるか帰宅であるかで、前記対象動作の抑制を切り替える車両用制御装置。
【請求項26】
請求項25に記載の車両用制御装置であって、
前記抑制部は、前記目的特定部で特定する前記車両の発進の目的が帰宅である場合には、発進時から前記対象動作の抑制を解除する一方、前記目的特定部で特定する前記車両の発進の目的が出社である場合には、発進時からの前記対象動作の抑制の解除を行わない車両用制御装置。
【請求項27】
請求項21に記載の車両用制御装置であって、
前記抑制部は、前記車両が前記自動運転で過去に走行したことのある経路を走行する場合には、発進時から前記対象動作の抑制を解除する車両用制御装置。
【請求項28】
操舵及び加減速のいずれも支援する自動運転を発進時から開始可能であるとともに、手動運転から前記自動運転への切り替えも可能な車両で用いることが可能な車両用制御方法であって、
少なくとも1つのプロセッサにより実行される、
前記車両の運転者から受け付ける、前記車両における操作を特定する操作特定工程と、
手動運転から前記自動運転への切り替え時には、予め定められた複数の操作である特定操作を前記操作特定工程で特定したことを条件とせずに、前記自動運転での走行開始を許可する一方、前記車両の発進時には、前記特定操作を前記操作特定工程で特定したことをもとに、前記自動運転での発進を許可する許可工程とを含む車両用制御方法。
【請求項29】
操舵及び加減速のいずれも支援する自動運転を発進時から開始可能であるとともに、電動シートのリクライニング制御も行う車両で用いることが可能な車両用制御方法であって、
少なくとも1つのプロセッサにより実行される、
前記車両の自動運転での発進からの経過量を特定する経過量特定工程と、
前記車両の自動運転での発進後、前記経過量特定工程で前記経過量が規定値に達したと特定するまでは、前記リクライニング制御と、前記車両の運転者に許可する運転以外の行為であるセカンドタスクとのうちの少なくともいずれかである対象動作を抑制する抑制工程とを含む車両用制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両用制御装置及び車両用制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、自動運転機能を備える車両において、手動運転と自動運転とを切り替える技術が開示されている。特許文献1には、自動運転可能なエリアにおいて、運転者による自動運転への切り替え操作を検出することにより、自動運転機能の作動を開始させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2017/154396号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、手動運転から自動運転へ移行する場合が想定されているが、車両の発進時から自動運転での走行が行われる場合もあり得る。このような車両の発進時から自動運転での走行が行われる場合にも、乗員にとっての利便性を向上させることが求められる。
【0005】
この開示の1つの目的は、乗員の乗車時から自動運転での走行が行われる場合に、乗員にとっての利便性を向上させることを可能とする車両用制御装置及び車両用制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的は独立請求項に記載の特徴の組み合わせにより達成され、また、下位請求項は、開示の更なる有利な具体例を規定する。特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、1つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【0007】
上記目的を達成するために、本開示の第1の車両用制御装置は、操舵及び加減速のいずれも支援する自動運転を発進時から開始可能であるとともに、手動運転から自動運転への切り替えも可能な車両で用いることが可能な車両用制御装置であって、車両の運転者から受け付ける、車両における操作を特定する操作特定部(107)と、手動運転から自動運転への切り替え時には、予め定められた複数の操作である特定操作を操作特定部で特定したことを条件とせずに、自動運転での走行開始を許可する一方、車両の発進時には、特定操作を操作特定部で特定したことをもとに、自動運転での発進を許可する許可部(183,183b,183c)とを備える。
【0008】
上記目的を達成するために、本開示の第1の車両用制御方法は、操舵及び加減速のいずれも支援する自動運転を発進時から開始可能であるとともに、手動運転から自動運転への切り替えも可能な車両で用いることが可能な車両用制御方法であって、少なくとも1つのプロセッサにより実行される、車両の運転者から受け付ける、車両における操作を特定する操作特定工程と、手動運転から自動運転への切り替え時には、予め定められた複数の操作である特定操作を操作特定工程で特定したことを条件とせずに、自動運転での走行開始を許可する一方、車両の発進時には、特定操作を操作特定工程で特定したことをもとに、自動運転での発進を許可する許可工程とを含む。
【0009】
以上の構成によれば、自動運転での発進を行うのに、手動運転から自動運転への切り替え時には必要とならない、車両における操作を必要とする。よって、この操作を必要としない場合に比べ、乗員が発進に対する心構えができた状態で発進を行うことが可能になる。また、発進に必要とする操作を、予め定められた複数の操作とすることで、誤操作による自動運転での発進の許可を抑制することが可能になる。その結果、乗員の乗車時から自動運転での走行が行われる場合に、乗員にとっての利便性を向上させることが可能になる。
【0010】
上記目的を達成するために、本開示の第2の車両用制御装置は、操舵及び加減速のいずれも支援する自動運転を発進時から開始可能であるとともに、電動シートのリクライニング制御も行う車両で用いることが可能な車両用制御装置であって、車両の自動運転での発進からの経過量を特定する経過量特定部(110)と、車両の自動運転での発進後、経過量特定部で経過量が規定値に達したと特定するまでは、リクライニング制御と、車両の運転者に許可する運転以外の行為であるセカンドタスクとのうちの少なくともいずれかである対象動作を抑制する抑制部(111,111e)とを備える。
【0011】
上記目的を達成するために、本開示の第2の車両用制御方法は、操舵及び加減速のいずれも支援する自動運転を発進時から開始可能であるとともに、電動シートのリクライニング制御も行う車両で用いることが可能な車両用制御方法であって、少なくとも1つのプロセッサにより実行される、車両の自動運転での発進からの経過量を特定する経過量特定工程と、車両の自動運転での発進後、経過量特定工程で経過量が規定値に達したと特定するまでは、リクライニング制御と、車両の運転者に許可する運転以外の行為であるセカンドタスクとのうちの少なくともいずれかである対象動作を抑制する抑制工程とを含む。
【0012】
以上の構成によれば、自動運転での発進直後は、運転者が運転以外に注意を向けにくくすることが可能になる。よって、自動運転での発進直後の、外乱の多い状況において、運転者が車外への注意を払いやすくなる。従って、自動運転での不測の事態にも運転者が対応しやすくなる。その結果、乗員の乗車時から自動運転での走行が行われる場合に、乗員にとっての利便性を向上させることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態1における車両用システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図2】実施形態1における自動運転ECUの概略的な構成の一例を示す図である。
図3】実施形態1における自動運転ECUでの発進時関連処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図4】実施形態2における車両用システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図5】実施形態2における自動運転ECUの概略的な構成の一例を示す図である。
図6】実施形態3における車両用システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図7】実施形態3における自動運転ECUの概略的な構成の一例を示す図である。
図8】実施形態3における自動運転ECUでの停止制限関連処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図9】実施形態4における車両用システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図10】実施形態4における自動運転ECUの概略的な構成の一例を示す図である。
図11】実施形態5における車両用システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図12】実施形態5における自動運転ECUの概略的な構成の一例を示す図である。
図13】実施形態6における車両用システムの概略的な構成の一例を示す図である。
図14】実施形態6における自動運転ECUの概略的な構成の一例を示す図である。
図15】実施形態6における自動運転ECUでの抑制解除関連処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図面を参照しながら、開示のための複数の実施形態を説明する。なお、説明の便宜上、複数の実施形態の間において、それまでの説明に用いた図に示した部分と同一の機能を有する部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する場合がある。同一の符号を付した部分については、他の実施形態における説明を参照することができる。
【0015】
(実施形態1)
<車両用システム1の概略構成>
以下、本開示の実施形態1について図面を用いて説明する。図1に示す車両用システム1は、自動運転が可能な車両(以下、自動運転車両)で用いることが可能なものである。車両用システム1は、図1に示すように、自動運転ECU10、近距離通信モジュール(以下、NFCM)11、広域通信モジュール(以下、WFCM)12、ロケータ13、地図データベース(以下、地図DB)14、車両状態センサ15、周辺監視センサ16、車両制御ECU17、報知装置18、室内カメラ19、ユーザ入力装置20、及びHCU(Human Machine Interface Control Unit)21を含んでいる。例えば、自動運転ECU10、NFCM11、WFCM12、ロケータ13、地図DB14、車両状態センサ15、周辺監視センサ16、車両制御ECU17、及びHCU21は、車内LAN(図1のLAN参照)と接続される構成とすればよい。車両用システム1を用いる車両は、必ずしも自動車に限るものではないが、以下では自動車に用いる場合を例に挙げて説明を行う。
【0016】
自動運転車両の自動運転の段階(以下、自動化レベル)としては、例えばSAEが定義しているように、複数のレベルが存在し得る。自動化レベルは、例えば以下のようにLV0~5に区分される。
【0017】
LV0は、システムが介入せずに運転者が全ての運転タスクを実施するレベルである。運転タスクは動的運転タスクと言い換えてもよい。運転タスクは、例えば操舵、加減速、及び周辺監視とする。LV0は、いわゆる手動運転に相当する。LV1は、システムが操舵と加減速とのいずれかを支援するレベルである。LV1は、いわゆる運転支援に相当する。LV2は、システムが操舵と加減速とのいずれをも支援するレベルである。LV2は、いわゆる部分運転自動化に相当する。なお、LV1~2も自動運転の一部であるものとする。
【0018】
例えば、LV1~2の自動運転は、安全運転に係る監視義務(以下、単に監視義務)が運転者にある自動運転とする。つまり、監視義務あり自動運転に相当する。なお、LV0~LV2の運転が監視義務のある運転に相当する。監視義務としては、目視による周辺監視がある。LV1~2の自動運転は、セカンドタスクが許可されない自動運転と言い換えることができる。セカンドタスクとは、運転者に対して許可される運転以外の行為であって、予め規定された特定行為である。セカンドタスクは、セカンダリアクティビティ,アザーアクティビティ等と言い換えることもできる。セカンドタスクは、自動運転システムからの運転操作の引き継ぎ要求にドライバが対応することを妨げてはならないとされる。一例として、動画等のコンテンツの視聴,スマートフォン等の操作,読書,食事等の行為が、セカンドタスクとして想定される。
【0019】
LV3の自動運転は、特定の条件下ではシステムが全ての運転タスクを実施可能であり、緊急時に運転者が運転操作を行うレベルである。LV3の自動運転では、システムから運転交代の要求があった場合に、運転手が迅速に対応可能であることが求められる。この運転交代は、車両側のシステムから運転者への周辺監視義務の移譲と言い換えることもできる。LV3は、いわゆる条件付運転自動化に相当する。LV4の自動運転は、対応不可能な道路,極限環境等の特定状況下を除き、システムが全ての運転タスクを実施可能なレベルである。LV4は、いわゆる高度運転自動化に相当する。LV5の自動運転は、あらゆる環境下でシステムが全ての運転タスクを実施可能なレベルである。LV5は、いわゆる完全運転自動化に相当する。LV4,LV5の自動運転は、例えば高精度地図データが整備された走行区間で実施可能とすればよい。高精度地図データについては後述する。
【0020】
例えば、LV3以上の自動運転は、監視義務が運転者にない自動運転とする。つまり、監視義務なし自動運転に相当する。LV3以上の自動運転は、セカンドタスクが許可される自動運転と言い換えることができる。例えば、LV4以上の自動運転は、運転者の睡眠が許可される自動運転とする。つまり、睡眠許可自動運転に相当する。自動化レベルのLV4は、睡眠許可レベルに相当する。本施形態の自動運転車両は、例えば自動化レベルが切り替え可能とすればよい。自動化レベルは、LV0~5のうちの一部のレベル間でのみ切り替え可能な構成であってもよい。本実施形態では、自動運転車両が、少なくともLV2以上の自動運転を発進時から実施可能であるものとする。発進時とは、無人の自動運転車両に乗員が乗車して発進するときを指す。
【0021】
NFCM11は、近距離無線通信を行うための通信モジュールである。NFCM11は、自車の乗員の携帯端末との間で通信接続が確立した場合に、その携帯端末との間で近距離無線通信を行う。近距離無線通信とは、例えば通信範囲が最大でも数十メートル程度におさまる無線通信とする。近距離無線通信としては、例えばBluetooth(登録商標) Low Energyに準拠した無線通信を用いればよい。携帯端末としては、例えば多機能携帯電話機,ウェアラブルデバイス等が挙げられる。
【0022】
WFCM12は、自車の外部のセンタとの間で、無線通信を介して情報の送受信を行う。つまり、広域通信を行う。WFCM12は、センタから渋滞情報等を広域通信で受信する。WFCM12は、他車との間で、無線通信を介して情報の送受信を行ってもよい。つまり、車車間通信を行ってもよい。WFCM12は、路側に設置された路側機との間で、無線通信を介して情報の送受信を行ってもよい。つまり、路車間通信を行ってもよい。路車間通信を行う場合、WFCM12は、路側機を介して、自車の周辺車両から送信されるその周辺車両の情報を受信してもよい。また、WFCM12は、センタを介して、自車の周辺車両から送信されるその周辺車両の情報を広域通信で受信してもよい。
【0023】
ロケータ13は、GNSS(Global Navigation Satellite System)受信機及び慣性センサを備えている。GNSS受信機は、複数の測位衛星からの測位信号を受信する。慣性センサは、例えばジャイロセンサ及び加速度センサを備える。ロケータ13は、GNSS受信機で受信する測位信号と、慣性センサの計測結果とを組み合わせることにより、自車の車両位置(以下、自車位置)を逐次測位する。自車位置は、例えば緯度経度の座標で表されるものとすればよい。なお、自車位置の測位には、車両に搭載された車速センサから逐次出力される信号から求めた走行距離も用いる構成としてもよい。
【0024】
図DB14は、不揮発性メモリであって、高精度地図データを格納している。高精度地図データは、ナビゲーション機能での経路案内に用いられる地図データよりも高精度な地図データである。高精度地図データには、例えば道路の三次元形状情報,車線数情報,各車線に許容された進行方向を示す情報等の自動運転に利用可能な情報が含まれている。他にも、高精度地図データには、例えば区画線等の路面標示について、両端の位置を示すノード点の情報が含まれていてもよい。地図DB14には、経路案内に用いられる地図データも格納すればよい。なお、ロケータ13は、道路の三次元形状情報を用いることで、GNSS受信機を用いない構成としてもよい。例えば、ロケータ13は、道路の三次元形状情報と、周辺監視センサ16での検出結果とを用いて、自車位置を特定する構成としてもよい。道路の三次元形状情報は、REM(Road Experience Management)によって撮像画像をもとに生成されたものであってもよい。
【0025】
なお、外部サーバから配信される地図データを、WFCM12を介して広域通信で受信し、地図DB14に格納してもよい。この場合、地図DB14を揮発性メモリとし、WFCM12が自車位置に応じた領域の地図データを逐次取得する構成としてもよい。
【0026】
車両状態センサ15は、自車の各種状態を検出するためのセンサ群である。車両状態センサ15としては、車速センサ,アクセルストロークセンサ、シートベルトセンサ等がある。車速センサは、自車の速度を検出する。アクセルストロークセンサは、アクセルペダルの踏み込み量を検出する。シートベルトセンサは、乗員のシートベルトの装着状態に応じた信号を出力する。つまり、シートベルトセンサは、乗員のシートベルトの装着の有無を検出する。車両状態センサ15は、検出したセンシング情報を車内LANへ出力する。なお、車両状態センサ15で検出したセンシング情報は、自車に搭載されるECUを介して車内LANへ出力される構成であってもよい。
【0027】
周辺監視センサ16は、自車の周辺環境を監視する。一例として、周辺監視センサ16は、歩行者,他車等の移動物体、及び路上の落下物等の静止物体といった自車周辺の障害物を検出する。他にも、自車周辺の走行区画線等の路面標示を検出する。周辺監視センサ16は、例えば、自車周辺の所定範囲を撮像する周辺監視カメラ、自車周辺の所定範囲に探査波を送信する探査波センサである。探査波センサとしては、ミリ波レーダ、ソナー、LIDAR(Light Detection and Ranging/Laser Imaging Detection and Ranging)等が挙げられる。所定範囲は、自車の前後左右を少なくとも部分的に含む範囲としてもよい。周辺監視カメラは、逐次撮像する撮像画像をセンシング情報として自動運転ECU10へ逐次出力する。探査波センサは、障害物によって反射された反射波を受信した場合に得られる受信信号に基づく走査結果をセンシング情報として自動運転ECU10へ逐次出力する。
【0028】
車両制御ECU17は、自車の走行制御を行う電子制御装置である。走行制御としては、加減速制御及び/又は操舵制御が挙げられる。車両制御ECU17としては、操舵制御を行う操舵ECU、加減速制御を行うパワーユニット制御ECU及びブレーキECU等がある。車両制御ECU17は、自車に搭載された各走行制御デバイスへ制御信号を出力することで走行制御を行う。走行制御デバイスとしては、電子制御スロットル,ブレーキアクチュエータ,EPS(Electric Power Steering)モータ等が挙げられる。
【0029】
報知装置18は、自車に設けられて、自車の室内へ向けて報知を行う。つまり、報知装置18は、自車の乗員に向けて報知を行う。報知装置18は、HCU21の指示に従って報知を行う。報知装置18としては、例えば表示装置,音声出力装置等が挙げられる。
【0030】
表示装置は、情報を表示することで報知を行う。表示装置としては、例えばメータMID(Multi Information Display),CID(Center Information Display),HUD(Head-Up Display)等を用いることができる。メータMIDは、自車の室内のうちの運転席の正面に設けられる表示装置である。一例として、メータMIDは、メータパネルに設けられる構成とすればよい。CIDは、自車のインスツルメントパネルの中央に配置される表示装置である。HUDは、車室内のうちの例えばインスツルメントパネルに設けられる。HUDは、プロジェクタによって形成される表示像を、投影部材としてのフロントウインドシールドに既定された投影領域に投影する。フロントウインドシールドによって車室内側に反射された画像の光は、運転席に着座する運転者によって知覚される。これにより、運転者は、フロントウインドシールドの前方にて結像される表示像の虚像を、前景の一部と重ねて視認可能となる。HUDは、フロントウインドシールドの代わりに、運転席の正面に設けられるコンバイナに表示像を投影する構成としてもよい。音声出力装置は、音声を出力することで報知を行う。音声出力装置としては、スピーカ等が挙げられる。
【0031】
室内カメラ19は、自車の車室内の所定範囲を撮像する撮像装置である。室内カメラ19は、少なくとも自車の運転席を含む範囲を撮像することが好ましい。室内カメラ19は、自車の運転席の他、助手席及び後部座席を含む範囲を撮像しても構わない。室内カメラ19は、例えば近赤外光源及び近赤外カメラと、これらを制御する制御ユニット等とによって構成される。室内カメラ19は、近赤外光源によって近赤外光を照射された自車の乗員を、近赤外カメラによって撮影する。
【0032】
ユーザ入力装置20は、自車の乗員からの入力を受け付ける。ユーザ入力装置20は、乗員からの操作入力を受け付ける操作デバイスとすればよい。操作デバイスとしては、メカニカルなスイッチであってもよいし、表示装置と一体となったタッチスイッチであってもよい。
【0033】
HCU21は、プロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、I/O、これらを接続するバスを備えるコンピュータを主体として構成される。HCU21は、不揮発性メモリに記憶された制御プログラムを実行することにより、乗員と自車のシステムとのやり取りに関する各種の処理を実行する。HCU21は、ユーザ入力装置20で乗員から受け付けた入力の情報を取得する。HCU21は、NFCM11で乗員の携帯端末から受信した情報を取得する。HCU21は、報知装置18から報知を行わせる。HCU21は、室内カメラ19で撮像した撮像画像を取得する。HCU21は、室内カメラ19で撮像した撮像画像から、自車の乗員の状態を特定する。HCU21は、画像認識技術によって、自車の乗員の顔向き,視線方向の検出を行えばよい。自車の乗員の状態は、室内カメラ19の制御ユニットで特定してもよい。
【0034】
自動運転ECU10は、例えばプロセッサ、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、I/O、これらを接続するバスを備えるコンピュータを主体として構成される。自動運転ECU10は、不揮発性メモリに記憶された制御プログラムを実行することにより、自動運転に関する処理を実行する。この自動運転ECU10が車両用制御装置に相当する。なお、自動運転ECU10の構成については以下で詳述する。
【0035】
<自動運転ECU10の概略構成>
続いて、図2を用いて自動運転ECU10の概略構成についての説明を行う。自動運転ECU10は、図2に示すように、走行環境認識部101、HCU通信部102、監視有無特定部103、レベル設定部104、監視要否切替部105、情報取得部106、操作特定部107、行動判断部108、及び制御実行部109を機能ブロックとして備える。また、コンピュータによって自動運転ECU10の各機能ブロックの処理が実行されることが、車両用制御方法が実行されることに相当する。なお、自動運転ECU10が実行する機能の一部又は全部を、1つ或いは複数のIC等によりハードウェア的に構成してもよい。また、自動運転ECU10が備える機能ブロックの一部又は全部は、プロセッサによるソフトウェアの実行とハードウェア部材の組み合わせによって実現されてもよい。
【0036】
走行環境認識部101は、自車位置、地図データ、及び周辺監視センサ16から取得するセンシング情報から、自車の走行環境を認識する。自車位置は、ロケータ13から取得すればよい。地図データは、地図DB14から取得すればよい。一例として、走行環境認識部101は、これらの情報を用いて、自車の周囲の物体の位置、形状、及び移動状態を認識し、実際の走行環境を再現した仮想空間を生成する。走行環境認識部101では、センシング情報から、自車の周辺車両について、その存在,自車に対する相対位置,自車に対する相対速度等も走行環境として認識すればよい。また、走行環境認識部101では、自車位置及び地図データから、地図上での自車位置を認識すればよい。走行環境認識部101は、WFCM12を介して周辺車両等の位置情報,速度情報等を取得できる場合には、これらの情報も用いて走行環境を認識すればよい。
【0037】
HCU通信部102は、HCU21へ向けた情報の出力処理と、HCU21からの情報の取得処理とを行う。HCU通信部102は、ユーザ入力装置20で受け付けた入力の情報を取得する。HCU通信部102は、NFCM11で受信した情報を取得する。HCU通信部102は、室内カメラ19で撮像した画像の情報等を取得する。HCU通信部102は、報知処理部121をサブ機能ブロックとして備える。報知処理部121は、HCU21に指示を送ることで、報知装置18での報知を間接的に制御する。つまり、報知処理部121は、自車の乗員に向けて報知を行わせる。この報知処理部121が報知制御部に相当する。報知処理部121での処理の詳細については、後述する。
【0038】
監視有無特定部103は、自車の運転者による周辺監視の有無を特定する。監視有無特定部103は、HCU21で特定した自車の乗員の状態をもとに、自車の運転者による周辺監視の有無を特定すればよい。例えば、監視有無特定部103は、HCU21で特定した運転者の顔向き,視線方向等から、運転者による周辺監視の有無を特定すればよい。
【0039】
レベル設定部104は、後述する自動運転モードで行わせる運転の自動化レベルを予め設定する。自動運転モードとは、LV2以上の自動運転での発進が可能となるモードである。レベル設定部104は、ユーザ入力装置20で受け付ける、自動化レベルを設定する入力に応じて、自動化レベルを設定すればよい。レベル設定部104は、ユーザ入力装置20で受け付けた入力の情報を、HCU21を介して取得すればよい。レベル設定部104では、例えばLV2~LV5の自動化レベルが設定されるものとする。レベル設定部104での自動化レベルの設定は、例えば今回の乗車時よりも前の乗車時に行われているものとすればよい。なお、レベル設定部104での自動化レベルの設定は、今回の乗車時の、発進時よりも前に行われているものであってもよい。
【0040】
監視要否切替部105は、自車での運転者の周辺監視の要否を切り替える。言い換えると、監視要否切替部105は、自車での運転者の周辺監視の要否を設定する。監視要否切替部105は、周辺監視を必要に切り替える場合には、自車の自動化レベルに応じた処理を行うことが好ましい。例えば、自車の自動化レベルがLV3未満の場合には、HCU21に指示を行い、報知装置18から運転者に周辺監視を促す報知を行わせればよい。一方、自車の自動化レベルがLV3以上の場合には、監視有無特定部103で周辺監視ありと特定されることを、自車の自動運転での発進を許可する条件に追加すればよい。
【0041】
監視要否切替部105は、自車の走行駆動源を作動させる操作が、入力装置の操作で行われた場合には、周辺監視を不要に切り替えればよい。走行駆動源としては、内燃機関又はモータジェネレータが挙げられる。内燃機関を始動させるための操作は、イグニッション電源のオンである。モータジェネレータを始動させるための操作は、システムメインリレー電源のオンである。イグニッション電源及びシステムメインリレー電源のオンは、例えばパワースイッチのオンによって実現されればよい。以降では、イグニッション電源及びシステムメインリレー電源のオンは、パワースイッチのオンによって実現されるものとして説明する。パワースイッチが、ここで言うところの入力装置に相当する。一方、監視要否切替部105は、自車の走行駆動源を作動させる操作が、遠隔操作によって行われた場合には、周辺監視を必要に切り替えればよい。遠隔操作は、自車の乗員の携帯端末から行われるものとすればよい。遠隔操作によって走行駆動源を作動させる場合には、携帯端末から走行駆動源の作動を指示する信号を送信すればよい。この信号は、NFCM11で受信すればよい。自車の走行駆動源を作動させる操作が遠隔操作によって行われる場合、運転者が自車に乗車していない可能性がある。このような場合は、運転者が自車の周辺監視をできていない可能性が高い。以上の構成によれば、運転者が自車の周辺監視をできていない可能性が高いか否かで、周辺監視の要否を切り替えることが可能になる。
【0042】
監視要否切替部105は、自車の発進が、前進での発進の場合には、周辺監視を不要に切り替えてもよい。一方、監視要否切替部105は、自車の発進が、後退での発進の場合には、周辺監視を必要に切り替えてもよい。自車の発進が、前進での発進か後退での発進かは、後述する走行計画部181で決定する走行計画から特定すればよい。例えば、走行計画部181は、自車が後退でしか発進できない状態で駐車されている場合に、後退で発進する走行計画を決定すればよい。一方、走行計画部181は、自車が前進で発進できる状態で駐車されている場合には、前進で発進する走行計画を決定すればよい。自車が後退で発進する場合、前進で発進する場合に比べ、発進する方向の周辺監視を運転者が意図せず行うことのできる可能性が低い。これに対して、以上の構成によれば、発進する方向の周辺監視を運転者が意図せず行うことのできる可能性が低い場合に、運転者の周辺監視を必要と切り替えることが可能になる。
【0043】
情報取得部106は、自車関連情報を取得する。自車関連情報とは、自車、自車の走行環境、及び自車の運転者の少なくともいずれかについての情報である。自車についての情報は、例えば自車が予定する走行距離とすればよい。運転者についての情報は、運転者の体調とすればよい。情報取得部106は、自車の走行環境としては、走行環境認識部101で認識した走行環境を取得すればよい。情報取得部106は、自車が予定する走行距離については、後述する走行計画部181で決定する走行計画から取得すればよい。情報取得部106は、運転者の体調については、NFCM11を介して、運転者の携帯端末から取得すればよい。この場合、運転者の携帯端末には、運転者から入力された運転者の体調の情報が格納されているものとする。運転者の体調の情報については、生体センサによって検出される構成としてもよい。なお、自車関連情報は、例示した以外の情報を含む構成としてもよい。
【0044】
報知処理部121は、情報取得部106で取得した自車関連情報に応じて、発進推奨レベルを提案する報知(以下、レベル提案報知)を行わせればよい。例えば、運転者の体調が悪い場合には、体調が良い場合よりも高い自動化レベルを提案する報知を行わせればよい。また、運転者がストレス状態である場合には、ストレス状態でない場合よりも低い自動化レベルを提案する報知を行わせればよい。これにより、運転者が運転を行うことでストレス発散することが可能になる。また、予定する走行距離が長くなるのに応じて、より高い自動化レベルを提案する報知を行わせればよい。これにより、運転者の負荷が大きくなりそうな状況であるほど、運転者の負荷を軽減するようにできる。他にも、走行環境が自動運転に向いていないほど、より低い自動化レベルを提案する報知を行わせればよい。これにより、頻繁に手動運転への運転交代が要求される状況を生じにくくする。発進推奨レベルとは、自車の発進時から行わせる運転の自動化レベルとして運転者に推奨する自動化レベルである。発進推奨レベルには、自動化レベル0を含んでもよい。レベル提案報知を受けた運転者は、提案された自動化レベルの設定入力を、ユーザ入力装置20に行うことになる。そして、ユーザ入力装置20で設定入力を受け付けた自動化レベルが、レベル設定部104で設定される。以上の構成によれば、運転者にとって好ましいと推定される自動化レベルで発進時からの自動運転を行うことが可能になる。
【0045】
操作特定部107は、自車の運転者から受け付ける、自車における操作を特定する。自車における操作は、ユーザ入力装置20で受け付ける操作が挙げられる。このような操作としては、自車の目的地を設定する操作(以下、目的地設定操作)が挙げられる。他にも、このような操作としては、自動運転を開始するためのボタンの操作(以下、自動運転ボタン操作)が挙げられる。自動運転を開始するためのボタンとしては、例えばステアリングに設けられた機械的なスイッチを用いる等すればよい。また、自車における操作として、自車の装備品の操作が挙げられる。このような操作としては、アクセルペダルの操作(以下、アクセル操作)が挙げられる。他にも、このような操作としては、シートベルトの着用操作(以下、シートベルト着用操作)が挙げられる。操作特定部107での処理が、操作特定工程に相当する。
【0046】
行動判断部108は、運転者と自車のシステムとの間で運転操作の制御主体を切り替える。行動判断部108は、運転操作の制御権がシステム側にある場合、走行環境認識部101による走行環境の認識結果に基づき、自車を走行させる走行計画を決定する。行動判断部108は、走行計画部181、モード設定部182、及び許可部183をサブ機能ブロックとして備える。
【0047】
走行計画部181は、自車を自動運転で走行させる走行計画を決定する。走行計画部181は、走行計画として、長中期の走行計画と、短期の走行計画とを決定する。長中期の走行計画では、設定された目的地に自車を向かわせるための予定経路が決定される。走行計画部181は、この予定経路を、ナビゲーション機能の経路探索と同様にして決定すればよい。走行計画部181は、予定経路を走行する際の設定車速も決定すればよい。走行計画部181は、走行環境認識部101で生成した自車の周囲の仮想空間を用いて、長中期の走行計画に従った走行を実現するための短期の走行計画を決定する。具体的に、短期の走行計画として、車線変更のための操舵、速度調整のための加減速、及び障害物回避のための操舵及び制動等の実行を決定する。
【0048】
また、走行計画部181は、走行計画として、自車の自動化レベルの切り替えの計画(以下、レベル切替計画)も決定すればよい。走行計画部181は、予測可能な状況について、レベル切替計画を決定する。例えば、道路種別に応じて許可される自動化レベルが異なる場合には、自車が走行予定の走行区間の道路種別に応じて、レベル切替計画を決定する。また、走行計画部181は、自車が自動運転を行うことのできない状況(以下、自動運転不可状況)の発生を予測する。よって、走行計画部181は、状況予測部に相当する。自動運転不可状況としては、道路工事等が挙げられる。走行計画部181は、自車の発進後の所定距離若しくは所定時間内に自動運転不可状況が発生する地点に到達するか否かを判断する。自車の発進する地点は、予定される出発地とすればよい。所定距離若しくは所定時間は、発進後に運転交代が行われると煩わしいと推定される距離若しくは時間とすればよい。所定距離及び所定時間は、任意に設定可能な値とすればよい。自車の発進後の所定時間内に自動運転不可状況が発生する地点に到達するか否かは、予定している車速から判断すればよい。そして、走行計画部181は、到達すると推定した場合には、出発地から自動運転不可状況が発生する地点まで手動運転を行う走行計画を決定すればよい。一方、走行計画部181は、到達しないと推定した場合には、自動運転不可状況が発生する地点の手前で手動運転への運転交代を行う走行計画を決定すればよい。
【0049】
モード設定部182は、自車の発進時のモードを設定する。このモードとしては、手動運転モードと、自動運転モードとがあるものとする。自動運転モードは、自動運転での発進が可能となるモードである。手動運転モードは、手動運転で発進するモードである。自動運転モードでは、レベル設定部104で設定されている自動化レベルでの発進を可能とする。これによれば、運転者の要望に応じた自動化レベルの自動運転での発進を行うことが可能になる。
【0050】
モード設定部182は、自車の走行駆動源を作動させる操作が行われたことをトリガに、自動運転モードに設定する。つまり、モード設定部182は、パワースイッチがオンされたことをトリガに、自動運転モードに設定する。一方、モード設定部182は、手動運転を要求するための操作を操作特定部107で特定した場合には、自動運転モードから手動運転モードに切り替える。手動運転を要求するための操作とは、後述する特定操作以外の操作とする。手動運転を要求するための操作としては、例えば手動運転を要求するための専用スイッチの操作が挙げられる。この専用スイッチは、タッチスイッチであってもよい。以上の構成によれば、自動運転で発進することが自車のデフォルトの設定であったとしても、運転者の要望に応じて、手動運転で自車の発進を行うことが可能になる。
【0051】
また、モード設定部182は、レベル設定部104で自動化レベルが0に設定されている場合には、以下のようにする構成としてもよい。モード設定部182は、自動化レベルが0に設定されている場合には、パワースイッチがオンされた場合に、手動運転モードに設定する構成としてもよい。この構成によっても、運転者の要望に応じて、手動運転で自車の発進を行うことが可能になる。
【0052】
モード設定部182は、自車の発進後の所定距離若しくは所定時間内に自動運転不可状況の発生を走行計画部181で予測した場合には、手動運転モードに設定する。この設定は、自車の走行駆動源を作動させる操作が行われた場合であっても行われる。つまり、自動運転モードに設定せずに、手動運転モードに設定する。所定距離若しくは所定時間は、前述したように、発進後に運転交代が行われると煩わしいと推定される距離若しくは時間とすればよい。所定距離及び所定時間は、任意に設定可能な値とすればよい。これによれば、発進後にすぐに手動運転に運転交代が行われる煩わしさを抑えることが可能になる。
【0053】
許可部183は、自動運転での走行開始を許可する。この場合の許可とは、自動運転での走行を禁止しないことであってもよいし、自動運転での走行を禁止する制限を解除することであってもよい。ここで言うところの自動運転とは、操舵及び加減速のいずれも支援する自動運転とする。つまり、少なくともLV2以上の自動運転とする。以下についても同様とする。許可部183での処理が、許可工程に相当する。
【0054】
許可部183は、自車の発進時には、特定操作を操作特定部107で特定したことをもとに、自動運転での発進を許可する。特定操作は、予め定められた複数の操作とする。特定操作には、パワースイッチをオンする操作を含まない構成とすればよい。例えば、特定操作は、前述の目的地設定操作、自動運転ボタン操作、及びアクセル操作の3つの操作とすればよい。なお、特定操作は、前述の目的地設定操作、自動運転ボタン操作、アクセル操作、及びシートベルト操作の4つの操作としてもよい。特定操作は、上述の例に限らないものとする。特定操作には、手動運転を要求するための専用スイッチの操作を含まない。特定操作には、手動運転での発進時に必須となる操作を含んでも構わないが、特定操作は、手動運転での発進時に必須となる操作の組み合わせとは異なっている。特定操作には、手動運転での発進時に必須とならない操作を含んでいる。一方、許可部183は、手動運転から自動運転への切り替え時には、特定操作を操作特定部107で特定したことを条件とせずに、自動運転での走行開始を許可する。
【0055】
以上の構成によれば、自動運転での発進を行うのに、手動運転から自動運転への切り替え時には必要とならない、自車における操作を必要とする。よって、この操作を必要としない場合に比べ、乗員が発進に対する心構えができた状態で発進を行うことが可能になる。また、発進に必要とする操作を、予め定められた複数の操作とすることで、誤操作による自動運転での発進の許可を抑制することが可能になる。その結果、乗員の乗車時から自動運転での走行が行われる場合に、乗員にとっての利便性を向上させることが可能になる。
【0056】
許可部183は、監視要否切替部105で周辺監視を必要に切り替えが行われており、且つ、自車の自動化レベルがLV3以上の場合には、以下のようにしてもよい。許可部183は、監視有無特定部103で周辺監視ありと特定されることを、自車の自動運転での発進を許可する条件に追加してもよい。つまり、許可部183は、自車の発進時に、特定操作を操作特定部107で特定し、且つ、監視有無特定部103で周辺監視ありと特定した場合に、自動運転での発進を許可してもよい。これによれば、運転者が周辺監視を行った方が好ましい場合に、周辺監視が実施されたことを条件に追加し、自動運転での発進を許可することが可能になる。従って、自動運転での不測の事態にも運転者が対応しやすくなる。その結果、乗員の乗車時から自動運転での走行が行われる場合に、乗員にとっての利便性をより向上させることが可能になる。
【0057】
許可部183は、レベル設定部104で設定されている自動化レベルがLV4以上の場合に、LV3未満の場合よりも、特定操作の操作数を少なくすればよい。レベル設定部104で設定されている自動化レベルとは、自車の発進時に特定操作を操作特定部107で特定したことをもとに許可する自動運転の自動化レベルである。LV4以上の自動運転は、運転者に要求される操作が少ないことに価値がある。以上の構成によれば、LV4以上の自動運転の価値の低下を抑えつつ、乗員にとっての利便性を向上させることが可能になる。
【0058】
許可部183は、自車の走行駆動源を作動させる操作が、遠隔操作によって行われた場合に、入力装置の操作で行われた場合よりも、特定操作の操作数を多くすればよい。入力装置の操作とは、パワースイッチを乗員がオンにする操作とすればよい。自車の走行駆動源を作動させる操作が遠隔操作によって行われる場合、運転者が自車の周辺監視をできずに、走行駆動源を作動させている可能性が高い。これに対して、以上の構成によれば、特定操作の操作数を多くすることで、運転者が自車の周辺監視をできずに自動運転での発進が許可される状況を生じにくくする。
【0059】
許可部183は、自車の発進が、後退での発進の場合に、前進での発進の場合よりも、特定操作の操作数を多くすればよい。前述したように、自車の発進が、前進での発進か後退での発進かは、走行計画部181で決定する走行計画から特定すればよい。自車が後退で発進する場合、前進で発進する場合に比べ、発進する方向の周辺監視を運転者が意図せず行うことのできる可能性が低い。これに対して、以上の構成によれば、特定操作の操作数を多くすることで、運転者が自車の発進する方向の周辺監視をできずに自動運転での発進が許可される状況を生じにくくする。
【0060】
制御実行部109は、運転操作の制御権が自車のシステム側にある場合に、車両制御ECU17との連携により、走行制御を実行する。制御実行部109は、行動判断部108にて決定された走行計画に従って、自車の加減速制御及び操舵制御等の走行制御を実行する。つまり、制御実行部109は、自動運転を行わせる。
【0061】
<自動運転ECU10での発進時関連処理>
ここで、図3のフローチャートを用いて、自動運転ECU10での発進時に関連する処理(以下、発進時関連処理)の流れの一例について説明する。図3のフローチャートは、自車の走行駆動源が作動した場合に開始される構成とすればよい。なお、自車の走行駆動源の作動は、自車への乗員乗車前の遠隔操作によっても、自車への乗員乗車後のパワースイッチのオンによっても可能とする。図3のフローチャートでは、特定操作の操作数が、操作数の多いものから順に、「多」,「中」,「少」に区分されるものとして説明を行う。
【0062】
まず、ステップS1では、モード設定部182で自動運転モードに設定されていた場合(S1でYES)には、ステップS2に移る。一方、モード設定部182で手動運転モードに設定されていた場合(S1でNO)には、ステップS3に移る。ステップS2では、手動運転を要求するための操作を操作特定部107で特定した場合(S2でYES)には、ステップS3に移る。一方、手動運転を要求するための操作を操作特定部107で特定しなかった場合(S2でNO)には、ステップS5に移る。一例としては、自車の走行駆動源の作動から一定時間経過内に、手動運転を要求するための操作を特定できなかった場合に、S5に移ればよい。以上の例に限らず、自車の発進が開始されるまでの間に、手動運転を要求するための操作を操作特定部107で特定した場合には、S3に移る構成としてもよい。
【0063】
ステップS3では、手動運転で自車を発進させ、発進時関連処理を終了する。手動運転では、例えば、以下の条件を満たした際に、自車を発進させればよい。条件の1つは、シフトポジションが中立位置若しくは駐車位置となったこととすればよい。条件の1つは、パーキングブレーキが解除されたする。条件の1つは、アクセルペダルが踏み込まれたこととすればよい。
【0064】
ステップS4では、自車の走行駆動源の作動が、遠隔操作によって行われた場合(S4でYES)には、ステップS5に移る。一方、自車の走行駆動源の作動が、パワースイッチのオンによって行われた場合(S4でNO)には、ステップS7に移る。
【0065】
ステップS5では、監視要否切替部105が、周辺監視を必要に設定する。ステップS6では、許可部183が、特定操作の操作数を、「多」と決定し、ステップS12に移る。例えば、操作数「多」では、特定操作を、目的地設定操作、自動運転ボタン操作、アクセル操作、及びシートベルト操作の4つの操作とすればよい。
【0066】
ステップS7では、自車が後退で発進する場合(S7でYES)には、ステップS8に移る。一方、自車が前進で発進する場合(S7でNO)には、ステップS10に移る。ステップS8では、監視要否切替部105が、周辺監視を必要に設定する。ステップS9では、許可部183が、特定操作の操作数を、「中」と決定し、ステップS12に移る。例えば、操作数「中」では、特定操作を、目的地設定操作、自動運転ボタン操作、及びアクセル操作の3つの操作とすればよい。
【0067】
ステップS10では、監視要否切替部105が、周辺監視を不要に設定する。ステップS11では、許可部183が、特定操作の操作数を、「少」と決定し、ステップS12に移る。例えば、操作数「少」では、特定操作を、自動運転ボタン操作及びアクセル操作の2つの操作とすればよい。
【0068】
ステップS12では、許可部183が、自車が自動運転での発進条件を満たしたと判断した場合(S12でYES)には、自動運転での発進を許可し、ステップS13に移る。一方、許可部183が、自車が自動運転での発進条件を満たしていないと判断した場合(S12でNO)には、S12の処理を繰り返す。監視要否切替部105で周辺監視を必要に設定していた場合、自動運転での発進条件は、以下となる。自動運転での発進条件は、監視有無特定部103で周辺監視ありと特定し、且つ、特定操作を操作特定部107で特定したこととなる。一方、監視要否切替部105で周辺監視を不要に設定していた場合、自動運転での発進条件は、以下となる。自動運転での発進条件は、特定操作を操作特定部107で特定したこととなる。
【0069】
ステップS13では、制御実行部109が、自動運転で自車を発進させ、発進時関連処理を終了する。なお、発進時関連処理は、パワースイッチがオフになった場合にも終了する。図3のフローチャートで示した例では、S8の処理で監視要否切替部105が周辺監視を必要に設定する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。S8の処理で監視要否切替部105が周辺監視を不要に設定する構成としてもよい。
【0070】
(実施形態2)
<車両用システム1aの概略構成>
以下、本開示の実施形態2について図面を用いて説明する。図4に示す車両用システム1aは、リクライニング制御も行う自動運転車両で用いることが可能なものである。リクライニング制御とは、自車の電動シートのリクライニング角度の制御である。例えば、電動シートのリクライニング角度は、電動で変化可能なものとする。
【0071】
車両用システム1aは、図4に示すように、自動運転ECU10a、WFCM12、ロケータ13、地図DB14、車両状態センサ15、周辺監視センサ16、車両制御ECU17、報知装置18、HCU21a、及びシートECU22を含んでいる。前述したように、それまでの説明に用いた図に示した部分と同一の機能を有する部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する。HCU21aについては、自動運転ECU10aから出力される情報に従った処理を行う点を除けは、実施形態1のHCU21と同様である。
【0072】
シートECU22は、自車のシート位置の調整といったシート環境についての制御に関する各種の処理を実行する電子制御装置である。ここでは、自車のシートが、スライド位置及びリクライニング角度を電動で変化可能な電動シートであるものとして説明を行う。シートとしては、運転席,助手席,後部座席が挙げられる。電動シートは、運転席,助手席,後部座席のうちの一部のみであってもよい。シートECU22は、自車のシート位置を調整するためのモータ(以下、シートモータ)を制御することでシート位置を調整する。シートモータとしては、スライド位置を調整するスライドモータ,リクライニング角度を調整するリクライニングモータが挙げられる。スライド位置とは、自車の前後方向に対するシートの調整位置を示す。リクライニング角度とは、シートバックの傾きの調整角度を示す。シートバックは、背もたれ部と言い換えることができる。シートECU22は、スライド位置及びリクライニング角度を検出する。シートECU22は、スライド位置を、例えばスライドモータの回転角から検出すればよい。シートECU22は、リクライニング角度を、リクライニングモータの回転角から検出すればよい。
【0073】
<自動運転ECU10aの概略構成>
続いて、図5を用いて自動運転ECU10aの概略構成についての説明を行う。自動運転ECU10aは、走行環境認識部101、HCU通信部102a、行動判断部108a、制御実行部109、経過量特定部110、及び抑制部111を機能ブロックとして備える。この自動運転ECU10aも車両用制御装置に相当する。また、コンピュータによって自動運転ECU10aの各機能ブロックの処理が実行されることが、車両用制御方法が実行されることに相当する。
【0074】
HCU通信部102aは、報知処理部121をサブ機能ブロックとして備える。HCU通信部102aは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1のHCU通信部102と同様である。詳細については後述する。行動判断部108aは、走行計画部181をサブ機能ブロックとして備える。行動判断部108aは、一部の処理が必須でない点を除けば、実施形態1の行動判断部108と同様である。制御実行部109は、行動判断部108aにて決定された走行計画に従って、自車の加減速制御及び操舵制御等の走行制御を実行する。
【0075】
経過量特定部110は、自車の自動運転での発進からの経過量を特定する。経過量特定部110は、自車の自動運転での発進を、制御実行部109での走行制御から判断すればよい。経過量は、自車の自動運転での発進からの経過時間とすればよい。経過量は、自車の自動運転での発進からの走行距離としてもよい。経過量特定部110での処理が、経過量特定工程に相当する。
【0076】
抑制部111は、自車の自動運転での発進後、経過量特定部110で経過量が規定値に達したと特定するまでは、以下のようにする。抑制部111は、リクライニング制御と、セカンドタスクとのうちの少なくともいずれかである対象動作を抑制する。規定値は、自動運転の発進後の外乱が多いと推定される期間に相当する経過時間若しくは走行距離とすればよい。規定値は、任意に設定可能とすればよい。抑制部111での処理が、抑制工程に相当する。
【0077】
リクライニング制御の抑制は、リクライニング制御の禁止とすればよい。リクライニング制御の抑制は、リクライニング角度の調整量を、抑制しない場合に比べて小さくすることであってもよい。リクライニング制御の抑制は、リクライニング角度の調整速度を、抑制しない場合に比べて遅くすることであってもよい。抑制部111は、リクライニング制御の抑制を、シートECU22に指示を行うことで実現すればよい。セカンドタスクの抑制は、セカンドタスクの禁止とすればよい。セカンドタスクの禁止は、セカンドタスクにあたる表示,音声出力の禁止とすればよい。セカンドタスクの禁止は、禁止されるセカンドタスクを示す表示を、報知装置18のうちの表示器で行わせることとしてもよい。セカンドタスクの抑制は、セカンドタスクにあたる報知装置18からの音声出力の音量を、抑制しない場合に比べで小さくすることであってもよい。セカンドタスクの抑制は、セカンドタスクにあたる表示を可能とする表示器を、抑制しない場合に比べて少なくすることであってもよい。抑制部111は、セカンドタスクの抑制を、HCU21に指示を行うことで実現すればよい。
【0078】
リクライニング制御の抑制、及びセカンドタスクの抑制を行うと、運転者が運転以外に注意を向けにくくなる。従って、以上の構成によれば、自動運転での発進直後は、運転者が運転以外に注意を向けにくくすることが可能になる。よって、自動運転での発進直後の、外乱の多い期間は、運転者が車外への注意を払いやすくなる。従って、自動運転での不測の事態にも運転者が対応しやすくなる。その結果、乗員の乗車時から自動運転での走行が行われる場合に、乗員にとっての利便性を向上させることが可能になる。なお、実施形態2の構成は、実施形態1の構成と組み合わせても構わない。例えば、自車の自動運転での発進の許可について、実施形態1で説明した構成を適用してもよい。
【0079】
(実施形態3)
前述の実施形態の構成に限らず、以下の実施形態3の構成としてもよい。以下では、実施形態3の構成の一例について図を用いて説明する。
【0080】
<車両用システム1bの概略構成>
図6に示す車両用システム1bは、自動運転車両で用いることが可能なものである。車両用システム1bは、図6に示すように、自動運転ECU10b、NFCM11、WFCM12、ロケータ13、地図DB14、車両状態センサ15、周辺監視センサ16、車両制御ECU17、報知装置18、室内カメラ19、ユーザ入力装置20、及びHCU21を含んでいる。車両用システム1bは、自動運転ECU10の代わりに自動運転ECU10bを含む点を除けば、実施形態1の車両用システム1と同様である。
【0081】
<自動運転ECU10bの概略構成>
続いて、図7を用いて自動運転ECU10bの概略構成についての説明を行う。自動運転ECU10bは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。自動運転ECU10bは、走行環境認識部101b、HCU通信部102b、監視有無特定部103、レベル設定部104、監視要否切替部105、情報取得部106、操作特定部107、行動判断部108b、制御実行部109、目的特定部112、及び自動発進判定部113を備える。自動運転ECU10bは、走行環境認識部101の代わりに走行環境認識部101bを備える。自動運転ECU10bは、HCU通信部102の代わりにHCU通信部102bを備える。自動運転ECU10bは、HCU通信部102の代わりにHCU通信部102bを備える。自動運転ECU10bは、行動判断部108の代わりに行動判断部108bを備える。自動運転ECU10bは、目的特定部112及び自動発進判定部113を備える。自動運転ECU10bは、これらの点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。この自動運転ECU10bも車両用制御装置に相当する。また、コンピュータによって自動運転ECU10bの各機能ブロックの処理が実行されることが、車両用制御方法が実行されることに相当する。
【0082】
走行環境認識部101bは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の走行環境認識部101と同様である。以下では、この異なる点について説明する。走行環境認識部101bは、安全領域か否かも区別して認識することが好ましい。ここでの安全領域とは、停車についての領域である。安全領域は、自動運転から手動運転への運転交代が発生しにくい領域である。安全領域は、走行路に比べ、外乱が少ない領域と言い換えてもよい。安全領域としては、例えばバス停,駐車場等が挙げられる。また、走行環境認識部101bは、安全領域に停車可能か否かも認識すればよい。走行環境認識部101bは、安全領域に停車可能か否かを、安全領域に一定以上の大きさの障害物が存在するか否かで判別すればよい。安全領域に停車可能でない状況は、例えばバス停留所,駐車場等の渋滞によって生じる。走行環境認識部101bが走行環境特定部に相当する。
【0083】
目的特定部112は、自車の発進の目的を特定する。自車の発進の目的を以下では、発進目的と呼ぶ。発進は、前述したように、無人の自動運転車両に乗員が乗車して発進するときを指す。目的特定部112は、例えば自車のパワースイッチがオンになった場合に、発進目的を特定すればよい。発進目的には、出社,帰宅が挙げられる。発進目的として、出社,帰宅以外にも、ショッピング等も挙げられる。目的特定部112は、例えば目的地から発進目的を推定し、発進目的を特定すればよい。例えば、目的地が自車のユーザの会社の場合には、発進目的を出社と特定すればよい。ユーザの会社の位置は、予め自車の不揮発性メモリに登録しておくものとすればよい。目的地が自車のユーザの自宅の場合には、発進目的を帰宅と特定すればよい。ユーザの自宅の位置は、予め自車の不揮発性メモリに登録しておくものとすればよい。ユーザの自宅の位置は、自車位置として測位される頻度,継続時間の高い位置から特定してもよい。目的地が店舗の場合には、発進目的をショッピングと特定すればよい。店舗の位置は、地図DB14の地図データから特定すればよい。
【0084】
自動発進判定部113は、自車が自動運転を発進時から開始して自動運転を行うことが可能か否かを判定する。自動運転を発進時から開始して自動運転を行うことを、以下では自動発進運転と呼ぶ。自動発進判定部113は、例えば天候,経路状況,自動運転に用いるソフトウェアの更新状況等から、自動発進運転が可能か否かを判定すればよい。例えば、雪,濃霧等の自動運転に適さない天候の場合、自動発進運転が可能でないと判定すればよい。例えば、経路における発進後の所定距離内に手動運転への運転交代が必要となる地点が存在する経路状況の場合に、自動発進運転が可能でないと判定してもよい。例えば、自動運転に用いるソフトウェアのアップデートが完了していない場合に、自動発進運転が可能でないと判定してもよい。天候については、周辺監視カメラの撮像画像から走行環境認識部101bで認識すればよい。天候については、センタからWFCM12を介して取得する天候情報から自動発進判定部113が特定してもよい。
【0085】
行動判断部108bは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の行動判断部108と同様である。以下では、この異なる点について説明する。行動判断部108bは、走行計画部181、モード設定部182、許可部183b、制限部184をサブ機能ブロックとして備える。行動判断部108bは、許可部183の代わりに許可部183bを備える。行動判断部108bは、制限部184を備える。行動判断部108bは、これらの点を除けば、実施形態1の行動判断部108と同様である。
【0086】
制限部184は、自車の停止を許可する位置(以下、停止可能位置)を変化させる。制限部184は、手動発進状態と自動発進状態とで、停止可能位置を変化させる。この制限部184が第1制限部に相当する。手動発進状態とは、手動運転から自動運転へ切り替えて自動運転を行う状態である。自動発進状態とは、自動運転を発進時から開始して自動運転を行う状態である。以上の構成によれば、運転者が発進時の運転操作に関与しない状況と関与する状況とで、停止可能位置を適切に変化させることで、安全性を高めることが可能になる。
【0087】
制限部184は、手動発進状態の場合よりも自動発進状態の場合の方が、安全領域への停止に制限されるように停止可能位置を変化させることが好ましい。ここでの安全領域とは、自動運転から手動運転への運転交代が発生しにくい領域である。自動運転から手動運転への運転交代が発生しにくい領域とは、車速が抑えられる傾向が高かったり、外乱が入りにくかったりする領域である。安全領域としては、バス停留所,駐車場が挙げられる。自動発進状態の場合、運転者は発進時から運転操作を行っていないため、車両停止後に急な運転操作を求められても対応しにくい可能性がある。これに対して、以上の構成によれば、自動発進状態の場合に、安全領域への停止に制限されるようにするので、このような問題を生じにくくすることができる。
【0088】
また、制限部184は、手動発進状態の場合よりも自動発進状態の場合の方が、安全領域への停止に制限されるように、停止可能位置を変化させる場合、以下のようにすることが好ましい。制限部184は、自動運転の目的地として安全領域以外を設定できないようにすることで、安全領域への停止に制限されるように停止可能位置を変化させることが好ましい。安全領域以外としては、例えば路上駐車の禁止が適用される領域が挙げられる。以上の構成によれば、より容易に、安全領域への停止に制限することが可能になる。制限部184は、例えばHCU通信部102bを介してHCU21に指示を送信することで、目的地設定操作において、自動運転の目的地として安全領域以外を設定できないようにすればよい。なお、制限部184は、路上駐車の禁止が適用される領域への停止を禁止するような制限を行わない構成としてもよい。
【0089】
また、行動判断部108bは、自車が行う自動運転の自動化レベルを変化させてもよい。行動判断部108bが、レベル切替部に相当する。行動判断部108bは、手動発進状態の場合よりも自動発進状態の場合の方が、安全領域への停止に制限されるように停止可能位置を変化させる場合、以下のようにすることが好ましい。行動判断部108bは、自動発進状態であって、且つ、自車が安全領域で停止できないことを特定した場合に、自車が行う自動運転の自動化レベルを下げることが好ましい。一例としては、自動化レベルをレベル2以下に下げればよい。行動判断部108bは、自車が安全領域で停止できないことを、走行環境認識部101bで認識して特定する走行環境をもとに特定すればよい。一例として、安全領域が他車両等の障害物で塞がれていた場合に、自車が安全領域で停止できないものとすればよい。以上の構成によれば、安全領域への停止ができない場合に、運転者に少なくとも一部の操作を委ね、より安全に停止させることを可能にする。
【0090】
許可部183bは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の許可部183と同様である。以下では、この異なる点について説明する。許可部183bは、自動発進状態であって、且つ、発進目的が出社若しくは帰宅の場合に、発進目的が出社及び帰宅のいずれでもない場合に比べ、発進の条件となる特定操作の操作量を減らすことが好ましい。発進目的は、目的特定部112で特定したものを用いる。例えば、自動運転での発進の条件となる特定操作が3つの場合には、3つよりも減らせばよい。以上の構成によれば、出社,帰宅といった日常的に慣れた走行については、特定操作を減らして煩わしさを低減することが可能になる。許可部183bは、自動発進状態であって、且つ、発進目的が出社及び帰宅のいずれでもない場合には、例えば特定操作の操作量をデフォルトのままとすればよい。
【0091】
HCU通信部102bは、報知処理部121bをサブ機能ブロックとして備える。HCU通信部102bは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1のHCU通信部102と同様である。報知処理部121bも報知制御部に相当する。以下では、この異なる点について説明する。報知処理部121bは、自車への運転者の乗車時に、自動発進運転が可能と自動発進判定部113で判定した場合に、自動発進提案報知を行わせることが好ましい。自動発進提案報知は、発進時から自動運転を行うことを提案する報知である。報知処理部121bは、自車への運転者の乗車時であることを、パワースイッチがオンになったこと等から判断すればよい。報知処理部121bは、HUC21を介して、報知装置18から自動発進提案報知を行わせればよい。報知処理部121bは、自動発進運転が可能でないと自動発進判定部113で判定した場合には、自動発進提案報知を行わせなければよい。以上の構成によれば、自動発進運転が可能な場合に、自動発進運転が可能なことを運転者が知ることが可能になる。よって、自動発進運転が可能な場合に、運転者が余分な運転操作を行わずに自車を発進させることが可能になる。
【0092】
報知処理部121bは、自車への運転者の乗車時に、自動発進運転が可能でないと自動発進判定部113で判定した場合に、以下の報知を行わせることが好ましい。報知処理部121bは、自動運転を発進時から開始して自動運転を行うことができないことを知らせる報知を行わせることが好ましい。これによれば、自動発進運転が可能でない場合に、自動発進運転が可能でないことを運転者が知ることが可能になる。よって、自動発進運転が可能でないにもかかわらず、運転者が自動発進運転を行わせようと特定操作を行う無駄を、抑えることが可能になる。
【0093】
<自動運転ECU10bでの停止制限関連処理>
ここで、図8のフローチャートを用いて、自動運転ECU10bでの停止可能位置の変化に関連する処理(以下、停止制限関連処理)の流れの一例について説明する。図8のフローチャートは、自車の走行駆動源が作動した場合に開始される構成とすればよい。
【0094】
まず、ステップS21では、自車が自動発進状態の場合(S21でYES)には、ステップS24に移る。一方、自車が手動発進状態の場合(S21でNO)には、ステップS22に移る。S21では、モード設定部182で自動運転モードに設定されていた場合に、自動発進状態とすればよい。一方、モード設定部182で手動運転モードに設定されていた場合に、手動発進状態とすればよい。
【0095】
ステップS22では、制限部184が、停止可能位置をデフォルトのままとする。デフォルトの停止可能位置は、例えば法令で駐停車が禁止された場所以外とすればよい。デフォルトの停止可能位置には、安全領域以外の領域も含む。ステップS23では、設定された目的地に自動で停止し、停止制限関連処理を終了する。この目的地は、法令で駐停車が禁止された場所以外であるものとする。
【0096】
ステップS24では、制限部184が、安全領域への停止に制限されるように停止可能位置を制限する。ステップS25では、目的特定部112で特定している発進目的が出社若しくは帰宅の場合(S25でYES)には、ステップS26に移る。一方、目的特定部112で特定している発進目的が出社及び帰宅のいずれでもない場合(S25でNO)には、ステップS27に移る。
【0097】
ステップS26では、許可部183bが、発進の条件となる特定操作の操作量を減らし、ステップS28に移る。例えば、デフォルトでの特定操作を、目的地設定操作、自動運転ボタン操作、アクセル操作、及びシートベルト操作の4つの操作とした場合、3つ以下の操作とすればよい。一方、ステップS27では、許可部183bが、発進の条件となる特定操作の操作量をデフォルトのままとし、ステップS28に移る。なお、S24の処理は、S26若しくはS27の後であって、且つ、S28の処理の前のタイミングで行う構成としてもよい。
【0098】
ステップS28では、行動判断部108bが、自車が安全領域で停止できることを特定した場合(S28でYES)には、ステップS29に移る。一方、行動判断部108bが、自車が安全領域で停止できないことを特定した場合(S28でNO)には、ステップS30に移る。ステップS29では、制御実行部109が、自車を安全領域に自動で停止させ、停止制限関連処理を終了する。
【0099】
ステップS30では、行動判断部108bが、自車が行う自動運転の自動化レベルを下げる。この自動化レベルの変更により、運転者は、運転者の運転操作によって、安全領域近辺の、停止できる空きのある位置に停止させることになる。ステップS31では、停止制限関連処理の終了タイミングであった場合(S31でYES)には、停止制限関連処理を終了する。停止制限関連処理の終了タイミングとしては、自車のパワースイッチのオフ等が挙げられる。一方、停止制限関連処理の終了タイミングでなかった場合(S31でNO)には、S21に戻って処理を繰り返す。
【0100】
(実施形態4)
前述の実施形態の構成に限らず、以下の実施形態4の構成としてもよい。以下では、実施形態4の構成の一例について図を用いて説明する。
【0101】
<車両用システム1cの概略構成>
図9に示す車両用システム1cは、自動運転車両で用いることが可能なものである。車両用システム1cは、図9に示すように、自動運転ECU10c、NFCM11、WFCM12、ロケータ13、地図DB14、車両状態センサ15、周辺監視センサ16、車両制御ECU17、報知装置18、室内カメラ19、ユーザ入力装置20、及びHCU21を含んでいる。車両用システム1cは、自動運転ECU10の代わりに自動運転ECU10cを含む点を除けば、実施形態1の車両用システム1と同様である。
【0102】
<自動運転ECU10cの概略構成>
続いて、図10を用いて自動運転ECU10cの概略構成についての説明を行う。自動運転ECU10cは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。自動運転ECU10cは、走行環境認識部101、HCU通信部102b、監視有無特定部103、レベル設定部104、監視要否切替部105、情報取得部106、操作特定部107、行動判断部108c、制御実行部109、及び自動発進判定部113を備える。自動運転ECU10bは、HCU通信部102の代わりにHCU通信部102bを備える。自動運転ECU10cは、行動判断部108の代わりに行動判断部108cを備える。自動運転ECU10cは、自動発進判定部113を備える。自動運転ECU10cは、これらの点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。この自動運転ECU10cも車両用制御装置に相当する。また、コンピュータによって自動運転ECU10cの各機能ブロックの処理が実行されることが、車両用制御方法が実行されることに相当する。
【0103】
HCU通信部102b、目的特定部112、及び自動発進判定部113は、実施形態3で説明したのと同様であるものとする。行動判断部108cは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の行動判断部108と同様である。以下では、この異なる点について説明する。行動判断部108cは、走行計画部181、モード設定部182、及び許可部183cをサブ機能ブロックとして備える。行動判断部108cは、許可部183の代わりに許可部183cを備える点を除けば、実施形態1の行動判断部108と同様である。
【0104】
許可部183cは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の許可部183と同様である。以下では、この異なる点について説明する。許可部183cは、自動発進提案報知に対して、特定操作を操作特定部107で特定した後の規定時間内に、乗員操作起因停止が発生した場合に、再発進時に、発進時からの自動運転での走行開始を制限する。自動発進提案報知は、例えば報知処理部121bの指示で行うものとする。規定時間は、特定操作の特定の直後と言える程度に短い時間とすればよく、任意に設定可能とすればよい。乗員操作起因停止は、自車に対する自車の乗員の操作に起因する自車の停止である。自車の停止の起因となる操作の例としては、自車の急転舵,自車の緊急停止ボタンの操作等が挙げられる。ここでの自動運転での走行開始の制限とは、速度の制限であってもよいし、加速度の制限であってもよいし、自動運転での走行開始の禁止であってもよい。
【0105】
特定操作後に乗員操作起因停止が発生した場合、何らかの外的要因により停止が必要となったと推定される。以上の構成によれば、このような場合に、自動運転での走行開始の制限を行うことで、制限を行わない場合よりも、安全に発進することを可能にする。自動運転での走行開始の制限として、自動運転での走行開始の禁止を行う場合には、発進を運転者に任せることで、安全に発進することを可能にする。
【0106】
(実施形態5)
前述の実施形態の構成に限らず、以下の実施形態5の構成としてもよい。以下では、実施形態5の構成の一例について図を用いて説明する。
【0107】
<車両用システム1dの概略構成>
図11に示す車両用システム1dは、自動運転車両で用いることが可能なものである。車両用システム1dは、図11に示すように、自動運転ECU10d、NFCM11、WFCM12、ロケータ13、地図DB14、車両状態センサ15、周辺監視センサ16、車両制御ECU17、報知装置18、室内カメラ19、ユーザ入力装置20、及びHCU21を含んでいる。車両用システム1dは、自動運転ECU10の代わりに自動運転ECU10dを含む点を除けば、実施形態1の車両用システム1と同様である。
【0108】
<自動運転ECU10dの概略構成>
続いて、図12を用いて自動運転ECU10dの概略構成についての説明を行う。自動運転ECU10dは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。自動運転ECU10dは、走行環境認識部101、HCU通信部102、監視有無特定部103、レベル設定部104、監視要否切替部105、情報取得部106、操作特定部107、行動判断部108d、制御実行部109、及び経過量特定部110を備える。自動運転ECU10dは、行動判断部108の代わりに行動判断部108dを備える。自動運転ECU10cは、経過量特定部110を備える。自動運転ECU10dは、これらの点を除けば、実施形態1の自動運転ECU10と同様である。この自動運転ECU10dも車両用制御装置に相当する。また、コンピュータによって自動運転ECU10dの各機能ブロックの処理が実行されることが、車両用制御方法が実行されることに相当する。
【0109】
経過量特定部110は、実施形態2で説明したのと同様であるものとする。前述したように、経過量は、自車の自動運転での発進からの経過時間であってもよいし、自車の自動運転での発進からの走行距離としてもよい。行動判断部108dは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の行動判断部108と同様である。以下では、この異なる点について説明する。行動判断部108dは、走行計画部181、モード設定部182、許可部183、及び制限部184dをサブ機能ブロックとして備える。行動判断部108dは、制限部184dを備える点を除けば、実施形態1の行動判断部108と同様である。
【0110】
制限部184dは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態3の制限部184と同様である。以下では、この異なる点について説明する。制限部184dは、自車の自動運転での発進後、経過量特定部110で経過量が規定値に達したと特定するまでは、経過量が規定値に達したと特定後に比べ、自車の加速を制限する。この制限部184dが第2制限部に相当する。規定値は、自動運転の発進後の外乱が多いと推定される期間に相当する経過時間若しくは走行距離とすればよい。規定値は、任意に設定可能とすればよい。以上の構成によれば、自動運転の発進後の外乱が多いと推定される期間、自車の加速を制限することが可能になる。よって、自動運転の発進時に、自車の乗員に不安を感じさせにくくなる。
【0111】
(実施形態6)
前述の実施形態の構成に限らず、以下の実施形態6の構成としてもよい。以下では、実施形態6の構成の一例について図を用いて説明する。
【0112】
<車両用システム1eの概略構成>
図13に示す車両用システム1eは、自動運転車両で用いることが可能なものである。車両用システム1eは、図13に示すように、自動運転ECU10e、NFCM11、WFCM12、ロケータ13、地図DB14、車両状態センサ15、周辺監視センサ16、車両制御ECU17、報知装置18、室内カメラ19、ユーザ入力装置20、及びHCU21eを含んでいる。車両用システム1eは、自動運転ECU10の代わりに自動運転ECU10eを含む。車両用システム1eは、HCU21の代わりにHCU21eを含む。自動運転ECU10eは、これらの点を除けば、実施形態2の車両用システム1aと同様である。HCU21eについては、自動運転ECU10eから出力される情報に従った処理を行う点を除けは、実施形態1のHCU21と同様である。
【0113】
<自動運転ECU10eの概略構成>
続いて、図14を用いて自動運転ECU10eの概略構成についての説明を行う。自動運転ECU10eは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態2の自動運転ECU10aと同様である。自動運転ECU10eは、走行環境認識部101e、HCU通信部102e、行動判断部108a、制御実行部109、経過量特定部110、抑制部111e、及び目的特定部112を備える。自動運転ECU10eは、走行環境認識部101の代わりに走行環境認識部101eを備える。自動運転ECU10eは、HCU通信部102aの代わりにHCU通信部102eを備える。自動運転ECU10eは、行動判断部108aの代わりに行動判断部108eを備える。自動運転ECU10eは、抑制部111の代わりに抑制部111eを備える。自動運転ECU10cは、目的特定部112を備える。自動運転ECU10eは、これらの点を除けば、実施形態2の自動運転ECU10aと同様である。この自動運転ECU10eも車両用制御装置に相当する。また、コンピュータによって自動運転ECU10eの各機能ブロックの処理が実行されることが、車両用制御方法が実行されることに相当する。
【0114】
目的特定部112は、実施形態3で説明したのと同様であるものとする。走行環境認識部101eは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1の走行環境認識部101と同様である。以下では、この異なる点について説明する。走行環境認識部101eは、特定道路の走行か否かも区別して認識することが好ましい。ここでの安全領域とは、停車についての領域である。ここでの特定道路とは、安定した走行が一定距離以上続くと推定される道路である。特定道路としては、例えば自動車専用道路,高速道路,右左折地点が一定距離存在しない道路等が挙げられる。一定距離は、対象動作を乗員がゆとりをもって継続できると推定される距離とすればよく、任意に設定可能とすればよい。走行環境認識部101eは、ロケータ13で測位する自車位置及び地図DB14から取得する地図データから、特定道路の走行か否かを認識すればよい。この走行環境認識部101eも走行環境特定部に相当する。
【0115】
抑制部111eは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態2の抑制部111と同様である。以下では、この異なる点について説明する。抑制部111eは、対象動作の抑制を解除する解除タイミングを、走行環境に応じて変化させる。つまり、抑制部111eは、自動運転での発進後、経過量特定部110で特定する経過量が規定値に達する前であっても、対象動作の抑制を解除する解除タイミングを、走行環境に応じて変化させる。走行環境は、走行環境認識部101eで認識して特定したものを用いればよい。対象動作は、前述したように、リクライニング制御とセカンドタスクとのうちの少なくともいずれかである。自動運転での発進後、経過量が規定値に達する前であっても、自車の走行環境によっては、対象動作の抑制を解除しても、対象動作の抑制による効果を損ねにくいタイミングがある。これに対して、以上の構成によれば、対象動作の抑制を解除する解除タイミングを、走行環境に応じて変化させることで、対象動作の抑制による効果を損ねにくいタイミングで対象動作の抑制を解除することが可能になる。
【0116】
抑制部111eは、走行環境が、前述の特定道路の走行となった場合に、対象動作の抑制を解除することが好ましい。特定道路では、外乱が少なく、自動運転での不測の事態が生じにくい。つまり、運転者が運転以外に注意を向けても問題が生じにくい。よって、以上の構成によれば、自動運転での発進後、経過量が規定値に達する前であっても、運転者が運転以外に注意を向けても問題が生じにくいタイミングで対象動作を許可することが可能になる。その結果、無駄に対象動作を抑制せずに済み、乗員にとっての利便性を向上させることが可能になる。
【0117】
抑制部111eは、目的特定部112で特定する発進目的が、出社であるか帰宅であるかで、対象動作の抑制を切り替えることが好ましい。これによれば、発進目的が、出社であるか帰宅であるかで対象動作の抑制を切り替えた方が乗員にとって好ましい場合に、乗員にとって好ましいように対象動作の抑制を切り替えることが可能になる。
【0118】
抑制部111eは、目的特定部112で特定する発進目的が帰宅である場合には、発進時から対象動作の抑制を解除することが好ましい。一方、抑制部111eは、目的特定部112で特定する発進目的が出社である場合には、発進時からの対象動作の抑制の解除を行わないことが好ましい。帰宅時には、出社時に比べ、乗員が疲労している可能性が高い。これに対して、以上の構成によれば、乗員が疲労している可能性がより高い場合に、発進時からの対象動作の抑制の解除を行い、乗員がリフレッシュしやすくすることを可能にする。
【0119】
抑制部111eは、目的特定部112で特定する発進目的が帰宅である場合には、発進時からリクライニング制御及びセカンドタスクのいずれの抑制も解除する構成とすればよい。一方、抑制部111eは、目的特定部112で特定する発進目的が出社である場合には、発進時から抑制の解除を行う対象動作を、リクライニング制御及びセカンドタスクのうちのセカンドタスクのみとしてもよい。出社時には、帰宅時に比べ、自車が走行する経路を乗員に確認して欲しい要求がある。これに対して、以上の構成によれば、出社時及び帰宅時のいずれもセカンドタスクを許可することで、乗員にとっての利便性を向上させることを可能しつつ、出社時にはリクライニング制御は抑制し、上述の要求を満たすことも可能にする。
【0120】
抑制部111eは、自車が自動運転で過去に走行したことのある経路を走行する場合には、発進時から対象動作の抑制を解除することが好ましい。自車が自動運転で過去に走行したことのある経路(以下、過去走行経路)は、自車の走行履歴から抑制部111eが判断すればよい。ここでの過去とは、同日中の過去であっても構わない。過去走行経路を再度走行する場合、自車が走行する経路を乗員が確認する必要性は低い。以上の構成によれば、このように乗員が確認する必要性が低い経路を走行する際に、発進時から対象動作を許可し、乗員にとっての利便性の向上を優先することが可能になる。
【0121】
HCU通信部102eは、報知処理部121eをサブ機能ブロックとして備える。HCU通信部102eは、一部の処理が異なる点を除けば、実施形態1のHCU通信部102と同様である。以下では、この異なる点について説明する。報知処理部121eは、抑制部111eで対象動作の抑制中に、対象動作を実行しようとする運転者の操作が検出された場合に、以下の報知を行わせることが好ましい。報知処理部121eは、対象動作抑制中報知と抑制解除地点報知との少なくともいずれかの報知である喚起報知を行わせることが好ましい。対象動作抑制中報知は、対象動作の抑制中であることを示す報知である。抑制解除地点報知は、対象動作の抑制が解除される地点を示す報知である。対象動作の抑制が解除される地点は、例えば自車の予定経路のうちの特定道路への進入地点とすればよい。
【0122】
対象動作を実行しようとする運転者の操作は、例えばHCU21eが、以下のようにして検出すればよい。リクライニング制御であれば、シート位置の調整を指示するための操作入力を操作デバイスで受け付けたことをもとに検出すればよい。セカンドタスクについても、セカンドタスクの実行に必要な操作入力を自車の操作デバイスで受け付けたことをもとに検出すればよい。セカンドタスクについては、室内カメラ19と同様のカメラで撮像した運転者の画像を画像認識することで、セカンドタスクを実行しようとする運転者の操作を検出してもよい。報知処理部121eは、HCU21eでの対象動作を実行しようとする運転者の操作の検出結果を用いて、前述の喚起報知を行わせればよい。以上の構成によれば、対象動作を行おうとする乗員に、対象動作が許可されていないことを認識させることが容易になる。報知処理部121eも報知制御部に相当する。
【0123】
<自動運転ECU10eでの抑制解除関連処理>
ここで、図15のフローチャートを用いて、自動運転ECU10eでの対象動作の抑制の解除に関連する処理(以下、抑制解除関連処理)の流れの一例について説明する。図15のフローチャートは、例えば自車の自動運転での発進時に開始される構成とすればよい。
【0124】
まず、ステップS41では、抑制部111eが、自車の予定経路が過去走行経路と判断した場合(S41でYES)には、ステップS42に移る。一方、抑制部111eが、自車の予定経路が過去走行経路でないと判断した場合(S41でNO)には、ステップS44に移る。
【0125】
ステップS42では、抑制部111eがリクライニング制御及びセカンドタスクのいずれの対象動作の抑制も解除し、ステップS43に移る。ステップS43では、抑制解除関連処理の終了タイミングであった場合(S43でYES)には、抑制解除関連処理を終了する。抑制解除関連処理の終了タイミングとしては、自車のパワースイッチのオフ等が挙げられる。一方、抑制解除関連処理の終了タイミングでなかった場合(S43でNO)には、S43の処理を繰り返す。
【0126】
ステップS44では、目的特定部112で特定する発進目的が帰宅であった場合(S44でYES)には、ステップS42に移る。一方、目的特定部112で特定する発進目的が帰宅でなかった場合(S44でNO)には、ステップS45に移る。目的特定部112で特定する発進目的が帰宅でなかった場合とは、例えば発進目的が出社であった場合が挙げられる。
【0127】
ステップS45では、抑制部111eが、自車の走行環境が特定道路の走行となったと判断した場合(S45でYES)には、ステップS42に移る。一方、抑制部111eが、自車の走行環境が特定道路の走行となったと判断していない場合(S45でNO)には、ステップS46に移る。
【0128】
ステップS46では、抑制部111eが、経過量特定部110で経過量が規定値に達したと特定した場合(S46でYES)には、ステップS42に移る。一方、抑制部111eが、経過量特定部110で経過量が規定値に達したと特定していない場合(S46でNO)には、ステップS47に移る。
【0129】
ステップS47では、HCU21eが、対象動作を実行しようとする運転者の操作を検出した場合(S47でYES)には、ステップS48に移る。一方、HCU21eが、対象動作を実行しようとする運転者の操作を検出していない場合(S47でNO)には、ステップS49に移る。
【0130】
ステップS48では、報知処理部121eが喚起報知を行わせ、ステップS49に移る。ステップS49では、抑制解除関連処理の終了タイミングであった場合(S49でYES)には、抑制解除関連処理を終了する。一方、抑制解除関連処理の終了タイミングでなかった場合(S49でNO)には、S46に戻って処理を繰り返す。
【0131】
(実施形態7)
前述の実施形態では、自動運転ECU10,10a,10b,10c,10d,10eが車両用制御装置に相当する構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、自動運転ECU10,10a,10b,10c,10d,10e以外のECUが車両用制御装置に相当する構成としてもよい。また、前述の実施形態では、自動運転ECU10,10a,10b,10c,10d,10eに走行環境認識部101,101b,101eを備える構成を示したが、必ずしもこれに限らない。例えば、自動運転ECU10,10a,10b,10c,10d,10e以外のECUが走行環境認識部101,101b,101eの機能を担う構成としてもよい。この場合、自動運転ECU10,10a,10b,10c,10d,10eは、走行環境認識部101,101b,101eの機能を担うECUで認識した情報を取得し、走行環境を特定すればよい。この場合、走行環境認識部101b,101eの機能を担うECUが、走行環境特定部に相当する。
【0132】
なお、本開示は、上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。また、本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された1つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路により、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと1つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された1つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0133】
(開示されている技術的思想)
この明細書は、以下に列挙された複数の項に記載された複数の技術的思想を開示している。いくつかの項は、後続の項において先行する項を択一的に引用する多項従属形式(a multiple dependent form)により記載されている場合がある。さらに、いくつかの項は、他の多項従属形式の項を引用する多項従属形式(a multiple dependent form referring to another multiple dependent form)により記載されている場合がある。これらの多項従属形式で記載された項は、複数の技術的思想を定義している。
【0134】
(技術的思想1)
操舵及び加減速のいずれも支援する自動運転を発進時から開始可能であるとともに、手動運転から前記自動運転への切り替えも可能な車両で用いることが可能な車両用制御装置であって、
前記車両の運転者から受け付ける、前記車両における操作を特定する操作特定部(107)と、
手動運転から前記自動運転への切り替え時には、予め定められた複数の操作である特定操作を前記操作特定部で特定したことを条件とせずに、前記自動運転での走行開始を許可する一方、前記車両の発進時には、前記特定操作を前記操作特定部で特定したことをもとに、前記自動運転での発進を許可する許可部(183)とを備える車両用制御装置。
【0135】
(技術的思想2)
技術的思想1に記載の車両用制御装置であって、
手動運転から前記自動運転への切り替えも可能な車両で用いることが可能であり、
前記車両の走行駆動源を作動させる操作が行われたことをトリガに、前記自動運転での発進が可能となる自動運転モードに設定する一方、前記特定操作以外の手動運転を要求するための操作を前記操作特定部で特定した場合には、前記自動運転モードから手動運転で走行を行う手動運転モードに切り替えるモード設定部(182)を備える車両用制御装置。
【0136】
(技術的思想3)
技術的思想1又は2に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の走行駆動源を作動させる操作が行われたことをトリガに、前記自動運転での発進が可能となる自動運転モードに設定するモード設定部(182)を備えるものであり、
前記自動運転モードで行わせる運転の自動化レベルを予め設定するレベル設定部(104)を備える車両用制御装置。
【0137】
(技術的思想4)
技術的思想1に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の走行駆動源を作動させる操作入力が行われたことをトリガに発進が可能になる運転の自動化レベルを予め設定するレベル設定部(104)を備える車両用制御装置。
【0138】
(技術的思想5)
技術的思想3又は4に記載の車両用制御装置であって、
前記車両、前記車両の走行環境、及び前記車両の運転者の少なくともいずれかについての情報である自車関連情報を取得する情報取得部(106)と、
前記車両の車室内に設けられる報知装置(18)から報知を行わせる報知制御部(121)とを備え、
前記報知制御部は、前記情報取得部で取得した前記自車関連情報に応じて、前記車両の発進時から行わせる運転の自動化レベルとして前記運転者に推奨する自動化レベルを提案する報知を行わせる車両用制御装置。
【0139】
(技術的思想6)
技術的思想1~5のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の走行駆動源を作動させる操作が行われたことをトリガに、前記自動運転での発進が可能となる自動運転モードに設定するモード設定部(182)を備えるものであり、
前記車両が前記自動運転を行うことのできない状況の発生を予測する状況予測部(181)を備え、
前記モード設定部は、前記車両の発進後の所定距離若しくは所定時間内に前記自動運転を行うことのできない状況の発生を前記状況予測部で予測した場合には、前記車両の走行駆動源を作動させる操作が行われた場合であっても、前記自動運転モードに設定せず、手動運転で走行を行う手動運転モードに設定する車両用制御装置。
【0140】
(技術的思想7)
技術的思想1~6のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の走行駆動源を作動させる操作が行われたことをトリガに発進が可能になる前記自動運転の自動化レベルを予め設定するレベル設定部(104)を備えるものであり、
前記許可部は、前記車両の発進時に前記特定操作を前記操作特定部で特定したことをもとに許可する前記自動運転の自動化レベルが、前記運転者の睡眠が許可される自動化レベルである睡眠許可レベル以上の場合に、前記睡眠許可レベル未満の場合よりも、前記特定操作の操作数を少なくする車両用制御装置。
【0141】
(技術的思想8)
技術的思想1~7のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の走行駆動源を作動させる操作を、遠隔操作と前記車両の入力装置の操作とのいずれでも行うことができる車両で用いることが可能であり、
前記許可部は、前記車両の走行駆動源を作動させる操作が、前記遠隔操作によって行われた場合に、前記入力装置の操作で行われた場合よりも、前記特定操作の操作数を多くする車両用制御装置。
【0142】
(技術的思想9)
技術的思想1~8のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記許可部は、前記車両の発進が、後退での発進の場合に、前進での発進の場合よりも、前記特定操作の操作数を多くする車両用制御装置。
【0143】
(技術的思想10)
技術的思想1~9のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の走行駆動源を作動させる操作を、遠隔操作と前記車両の入力装置の操作とのいずれでも行うことができる車両で用いることが可能であり、
前記車両での運転者の周辺監視の要否を切り替える監視要否切替部(105)を備え、
前記監視要否切替部は、前記車両の走行駆動源を作動させる操作が、前記入力装置の操作で行われた場合には、前記周辺監視を不要に切り替える一方、前記車両の走行駆動源を作動させる操作が、前記遠隔操作によって行われた場合には、前記周辺監視を必要に切り替える車両用制御装置。
【0144】
(技術的思想11)
技術的思想1~9のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記車両での運転者の周辺監視の要否を切り替える監視要否切替部(105)を備えるものであり、
前記監視要否切替部は、前記車両の発進が、前進での発進の場合には、前記周辺監視を不要に切り替える一方、前記車両の発進が、後退での発進の場合には、前記周辺監視を必要に切り替える車両用制御装置。
【0145】
(技術的思想12)
技術的思想1~11のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
手動運転から前記自動運転へ切り替えて前記自動運転を行う手動発進状態と、前記自動運転を発進時から開始して前記自動運転を行う自動発進状態とで、前記車両の停止を許可する位置である停止可能位置を変化させる第1制限部(184)を備える車両用制御装置。
【0146】
(技術的思想13)
技術的思想12に記載の車両用制御装置であって、
前記第1制限部は、前記手動発進状態の場合よりも前記自動発進状態の場合の方が、前記自動運転から手動運転への運転交代が発生しにくい領域である安全領域への停止に制限されるように、前記停止可能位置を変化させる車両用制御装置。
【0147】
(技術的思想14)
技術的思想13に記載の車両用制御装置であって、
前記第1制限部は、前記自動運転の目的地として前記安全領域以外を設定できないようにすることで、前記安全領域への停止に制限されるように前記停止可能位置を変化させる車両用制御装置。
【0148】
(技術的思想15)
技術的思想13又は14に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の走行環境を特定する走行環境特定部(101b)と、
前記自動発進状態であって、且つ、前記走行環境特定部で特定する前記走行環境をもとに、前記安全領域で停止できないことを特定した場合に、前記車両が行う前記自動運転の自動化レベルを下げるレベル切替部(108b)を備える車両用制御装置。
【0149】
(技術的思想16)
技術的思想12~15のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の発進の目的を特定する目的特定部(112)を備え、
前記許可部(183b)は、前記自動発進状態であって、且つ、前記目的特定部で特定する前記車両の発進の目的が出社若しくは帰宅の場合に、前記車両の発進の目的が出社及び帰宅のいずれでもない場合に比べ、発進の条件となる前記特定操作の操作量を減らす車両用制御装置。
【0150】
(技術的思想17)
技術的思想1~16のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記自動運転を発進時から開始して前記自動運転を行うことが可能か否かを判定する自動発進判定部(113)と、
前記車両の車室内に設けられる報知装置(18)から報知を行わせる報知制御部(121b)とを備え、
前記報知制御部は、前記車両への前記運転者の乗車時に、前記自動運転を発進時から開始して前記自動運転を行うことができると前記自動発進判定部で判定した場合に、発進時から前記自動運転を行うことを提案する報知である自動発進提案報知を行わせる一方、前記自動運転を発進時から開始して前記自動運転を行うことができないと前記自動発進判定部で判定した場合には、前記自動発進提案報知を行わせない車両用制御装置。
【0151】
(技術的思想18)
技術的思想17に記載の車両用制御装置であって、
前記報知制御部は、前記車両への前記運転者の乗車時に、前記自動運転を発進時から開始して前記自動運転を行うことができないと前記自動発進判定部で判定した場合に、前記自動運転を発進時から開始して前記自動運転を行うことができないことを知らせる報知を行わせる車両用制御装置。
【0152】
(技術的思想19)
技術的思想17又は18に記載の車両用制御装置であって、
前記許可部(183c)は、前記報知制御部での前記自動発進提案報知に対して、前記特定操作を前記操作特定部で特定した後の規定時間内に、前記車両に対する前記車両の乗員の操作に起因する前記車両の停止が発生した場合には、再発進時に、発進時からの前記自動運転での走行開始を制限する車両用制御装置。
【0153】
(技術的思想20)
技術的思想1~19のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の自動運転での発進からの経過量を特定する経過量特定部(110)と、
前記車両の自動運転での発進後、前記経過量特定部で前記経過量が規定値に達したと特定するまでは、前記経過量が規定値に達したと特定後に比べ、前記車両の加速を制限する第2制限部(184d)とを備える車両用制御装置。
【0154】
(技術的思想21)
操舵及び加減速のいずれも支援する自動運転を発進時から開始可能であるとともに、電動シートのリクライニング制御も行う車両で用いることが可能な車両用制御装置であって、
前記車両の自動運転での発進からの経過量を特定する経過量特定部(110)と、
前記車両の自動運転での発進後、前記経過量特定部で前記経過量が規定値に達したと特定するまでは、前記リクライニング制御と、前記車両の運転者に許可する運転以外の行為であるセカンドタスクとのうちの少なくともいずれかである対象動作を抑制する抑制部(111,111e)とを備える車両用制御装置。
【0155】
(技術的思想22)
技術的思想21に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の走行環境を特定する走行環境特定部(101e)を備え、
前記抑制部(111e)は、前記対象動作の抑制を解除する解除タイミングを、前記走行環境特定部で特定する前記走行環境に応じて変化させる車両用制御装置。
【0156】
(技術的思想23)
技術的思想22に記載の車両用制御装置であって、
前記抑制部は、前記走行環境特定部で特定する前記走行環境が、安定した走行が一定距離以上続くと推定される道路の走行となった場合に、前記対象動作の抑制を解除する車両用制御装置。
【0157】
(技術的思想24)
技術的思想21~23のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の車室内に設けられる報知装置(18)から報知を行わせる報知制御部(121e)を備えるものであって、
前記報知制御部は、前記抑制部で前記対象動作の抑制中に、前記対象動作を実行しようとする前記運転者の操作が検出された場合に、前記対象動作の抑制中であることを示す報知と前記対象動作の抑制が解除される地点を示す報知との少なくともいずれかを行わせる車両用制御装置。
【0158】
(技術的思想25)
技術的思想21~24のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記車両の発進の目的を特定する目的特定部(112)を備え、
前記抑制部は、前記目的特定部で特定する前記車両の発進の目的が、出社であるか帰宅であるかで、前記対象動作の抑制を切り替える車両用制御装置。
【0159】
(技術的思想26)
技術的思想25に記載の車両用制御装置であって、
前記抑制部は、前記目的特定部で特定する前記車両の発進の目的が帰宅である場合には、発進時から前記対象動作の抑制を解除する一方、前記目的特定部で特定する前記車両の発進の目的が出社である場合には、発進時からの前記対象動作の抑制の解除を行わない車両用制御装置。
【0160】
(技術的思想27)
技術的思想21~26のいずれか1項に記載の車両用制御装置であって、
前記抑制部は、前記車両が前記自動運転で過去に走行したことのある経路を走行する場合には、発進時から前記対象動作の抑制を解除する車両用制御装置。
【符号の説明】
【0161】
1,1a,1b,1c,1d,1e 車両用システム、10,10a,10b,10c,10d,10e 自動運転ECU(車両用制御装置)、18 報知装置、101b,101e 走行環境認識部(走行環境特定部)、104 レベル設定部、105 監視要否切替部、106 情報取得部、107 操作特定部、108b 行動判断部(レベル切替部)、110 経過量特定部、111,111e 抑制部、112 目的特定部、113 自動発進判定部、121,121b,121e 報知処理部(報知制御部)、181 走行計画部(状況予測部)、182 モード設定部、183,183b,183c 許可部,184 制限部(第1制限部)、184d 制限部(第2制限部)
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