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特開2024-124347車両制御装置、車両制御方法、プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124347
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法、プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 40/08 20120101AFI20240905BHJP
   G08G 1/00 20060101ALI20240905BHJP
   B60W 50/00 20060101ALI20240905BHJP
   B60W 30/10 20060101ALI20240905BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20240905BHJP
   B60W 60/00 20200101ALI20240905BHJP
【FI】
B60W40/08
G08G1/00 X
B60W50/00
B60W30/10
B60W50/14
B60W60/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】36
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024016518
(22)【出願日】2024-02-06
(31)【優先権主張番号】P 2023031311
(32)【優先日】2023-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【弁理士】
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】久米 拓弥
(72)【発明者】
【氏名】和泉 一輝
【テーマコード(参考)】
3D241
5H181
【Fターム(参考)】
3D241BA12
3D241BA15
3D241BA49
3D241BA51
3D241BA60
3D241BB16
3D241BB17
3D241CA00
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CD27
3D241CD29
3D241CE01
3D241CE02
3D241CE03
3D241CE04
3D241CE05
3D241DA55Z
3D241DB02Z
3D241DB05Z
3D241DB07Z
3D241DB09Z
3D241DB12Z
3D241DB16Z
3D241DC37Z
3D241DC42Z
3D241DC50Z
3D241DC55Z
3D241DC59Z
3D241DD10B
5H181AA06
5H181AA16
5H181BB04
5H181BB05
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC11
5H181CC12
5H181CC14
5H181CC24
5H181FF04
5H181FF05
5H181LL09
(57)【要約】
【課題】自動運転車が車線変更する際の乗員の安全性および安心感を向上可能な技術を提供する。
【解決手段】自動運転ECU30が備えるプロセッサ31は、通信インターフェースを介して受信する車両状況を示す信号に基づいて、車両状況が特定状況に該当するか否かを判定する。特定状況は、立っている乗員がいる状況や、自動運転バスを初めて利用する乗員がいる状況など、通常時よりも丁寧な制御が必要な状況であって良い。特定状況は、自動車専用道路を走行中などであっても良い。プロセッサ31は、車両状況が特定状況に該当する場合には、特定状況に該当しない場合に比べて、目標レーンへの横移動がゆっくりと実行されるように、加減速又は操舵に係る制御パラメータ(例えば操舵速度や操舵量)の値を変更する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
他の装置と通信するための通信インターフェース(34)と、
前記通信インターフェースを介して受信した信号に基づいて、車両の自動運転制御に関連する処理を実行する制御部(31)と、を備える車両制御装置であって、
前記制御部は、
前記通信インターフェースを介して車両状況を示す状況信号を受信することと、
前記状況信号に基づいて前記車両状況の情報を取得することと、
前記車両状況の情報に基づいて前記自動運転制御による車線変更のための加減速又は操舵に係る制御パラメータの値を調整することと、
調整後の前記制御パラメータの値を車線変更にかかる車両制御に反映させることと、を実施するように構成されている車両制御装置。
【請求項2】
前記状況信号は、車内状況を示す信号である車内状況信号を含む、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記状況信号に基づいて前記車内状況が特定状況に該当するか否かを判断することと、
前記車内状況が前記特定状況に該当する場合、前記車内状況が前記特定状況に該当しない場合よりも、車線変更の開始から完了までの時間が長くなるように前記制御パラメータを設定することと、を実施するように構成されている、請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記状況信号に基づいて前記車両の乗員数が所定数以上か否かを判断することと、
前記乗員数が前記所定数以上の場合には、前記乗員数が前記所定数未満の場合よりも、車線変更の開始から完了までの時間が長くなるように前記制御パラメータを設定することと、を実施するように構成されている、請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記状況信号に基づいて車内に立っている乗員が存在するか否かを判断することと、
前記車内に立っている乗員が存在する場合、前記車内に立っている乗員が存在しない場合よりも、車線変更の開始から完了までの時間が長くなるように前記制御パラメータを設定することと、を実施するように構成されている、請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記状況信号に基づいて前記車内状況が特定状況に該当するか否かを判断し、
前記車内状況が前記特定状況に該当する場合には、前記車内状況が前記特定状況に該当しない場合よりも、車線変更中の速度の変化度合いを小さくする、請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記状況信号に基づいて前記車内状況が特定状況に該当するか否かを判断し、
前記車内状況が前記特定状況に該当する場合には、車線変更の途中で一時的に目標レーンに向けた横移動を休止する制御設定を適用するように構成されている、請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記状況信号に基づいて前記車内において乗員が存在する場所の情報を取得することと、
乗員が存在する場所の情報に基づいて前記制御パラメータの値を調整することと、を実施するように構成されている、請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記状況信号に基づいて前記車両の特定エリアに存在する乗員の数である特定エリア乗員数を取得することと、
前記特定エリア乗員数の増加に伴って前記制御パラメータの絶対値を低下させることと、を実施するように構成されている、請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項10】
前記車両は、前記自動運転制御によって乗員を目的地まで運ぶ輸送サービスに供される車両であって、
前記制御部は、
前記状況信号に基づいて乗員毎の前記輸送サービスの利用回数を取得することと、
乗員毎の前記利用回数の最小値である最小利用回数を取得することと、
前記最小利用回数が所定値以上である場合には、前記最小利用回数が前記所定値未満である場合よりも前記制御パラメータの絶対値を大きい値に設定すること、を実施するように構成されている、請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項11】
前記制御部は、
前記状況信号に基づいて車外を見ていない乗員の数又は比率を取得することと、
前記車外を見ていない乗員の数又は比率が多いほど前記制御パラメータの絶対値を低下させること、を実施するように構成されている、請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項12】
前記車両状況の情報は、前記車両が停車予定の地点である停車予定地点についての情報と、前記車両が走行している地点である現在位置についての情報を含み、
前記制御部は、
前記停車予定地点についての情報と前記現在位置についての情報とに基づいて、前記現在位置が前記停車予定地点から所定距離以内となる停車準備区間であるか否かを判定することと、
前記停車準備区間にて車線変更を実施する場合には、前記停車準備区間ではない道路区間にて車線変更をする場合よりも、車線変更のための前記制御パラメータの絶対値を低く設定することと、を実施するように構成されている、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項13】
前記制御部は、
前記車両の乗員に対しての車線変更を行うことの報知である車線変更報知を行うことと、
前記車内状況に基づいて前記車線変更報知のタイミング又は強度を変更することと、を実施するように構成されている、請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項14】
前記制御部は、
前記車両の乗員に対しての車線変更を行うことの報知である車線変更報知を行うことと、
前記状況信号に基づいて前記車両の乗員数が所定数以上か否かを判断することと、
前記乗員数が前記所定数以上の場合、前記乗員数が前記所定数未満の場合よりも、前記車線変更報知の音量を大きくする、請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項15】
前記制御部は、
前記車両の乗員に対しての車線変更を行うことの報知である車線変更報知を実施可能に構成されており、
前記状況信号に基づいて前記車内に存在する表示装置を見ている乗員の数又は比率が所定値以上か否かを判断し、
前記表示装置を見ている乗員の数又は比率が前記所定値未満である場合には、車線変更を行うことを報知するための音声メッセージを前記車両に搭載されたスピーカから出力させる一方、
前記表示装置を見ている乗員の数又は比率が前記所定値以上である場合には、前記音声メッセージを前記スピーカから出力させない、請求項2に記載の車両制御装置。
【請求項16】
前記状況信号は、前記車両が走行する道路である走行路に関する情報を示す信号を含み、
前記車両状況の情報は、前記走行路に関する情報を含む、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項17】
前記状況信号は、前記車両が走行する道路である走行路に関する情報を示す信号を含み、
前記車両状況の情報は、前記走行路に関する情報を含み、
前記制御部は、
前記走行路に関する情報に基づいて、前記走行路の種別を判断することと、
前記走行路が自動車専用道路である場合には、前記走行路が前記自動車専用道路でない場合よりも、車線変更の開始から完了までの時間が長くなるように前記制御パラメータを設定することと、を実施するように構成されている、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項18】
前記状況信号は、前記車両が走行する道路である走行路に関する情報を示す信号を含み、
前記車両状況の情報は、前記走行路の道路幅に関する情報を含み、
前記制御部は、
前記道路幅が閾値以上である場合には、前記道路幅が前記閾値以上でない場合よりも、車線変更の開始から完了までの時間が長くなるように前記制御パラメータを設定することと、を実施するように構成されている、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項19】
前記状況信号は、前記車両が走行する道路である走行路に関する情報を示す信号を含み、
前記車両状況の情報は、前記走行路の種別に関する情報を含み、
前記制御部は、
前記走行路が自動車専用道路である場合には、車線変更の途中で一時的に目標レーンに向けた横移動を休止するように、前記車線変更の遂行パターンを設定し、
前記走行路が前記自動車専用道路ではない場合には、前記横移動を休止することなく前記車線変更が完了するように前記車線変更の遂行パターンを設定するように構成されている、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項20】
前記状況信号は、前記車両が走行する道路である走行路に関する情報を示す信号を含み、
前記車両状況の情報は、前記走行路の道路幅に関する情報を含み、
前記制御部は、
前記道路幅が閾値以上である場合には、車線変更の途中で一時的に目標レーンに向けた横移動を休止するように、前記車線変更の遂行パターンを設定し、
前記道路幅が前記閾値未満である場合には、前記横移動を休止することなく前記車線変更が完了するように、前記車線変更の遂行パターンを設定するように構成されている、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項21】
前記車両は、運転操作の自動化のレベルである自動運転レベルを変更可能に構成されており、
前記車両状況の情報は、前記自動運転レベルを示す情報を含み、
前記制御部は、
前記自動運転レベルが所定値以上である場合には、車線変更の途中で一時的に目標レーンに向けた横移動を休止するように前記車線変更の遂行パターンを設定し、
前記自動運転レベルが所定値未満である場合には、前記横移動を休止することなく前記車線変更が完了するように前記車線変更の遂行パターンを設定するように構成されている、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項22】
前記車両状況の情報は、走行経路の情報を含み、
前記制御部は、
前記走行経路の情報に基づいて、前記車両が車線変更する地点である複数の車線変更予定地点を取得し、
前記走行経路の情報に基づいて、複数の前記車線変更予定地点のそれぞれにおける操舵量を推定し
前記車線変更予定地点ごとの操舵量をもとに、前記車線変更予定地点の中で前記操舵量が最大となる地点である最大操舵地点を特定し、
前記最大操舵地点での前記操舵量を、他の前記車線変更予定地点における前記操舵量に反映するように構成されている請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項23】
前記最大操舵地点は、前記操舵量が所定値未満となる前記車線変更予定地点の中で、前記操舵量が最大となる地点である、請求項22に記載の車両制御装置。
【請求項24】
前記車両の前記自動運転制御は、車線変更によって先行車を追い越す追越制御を含み、
前記追越制御は、前記追越制御を開始する時点において前記車両が走行中のレーンである巡航レーンから前記巡航レーンに隣接するレーンである隣接レーンへ移動するための第1の車線変更と、前記隣接レーンから前記巡航レーンへ戻るための第2の車線変更と、を含み、
前記車両状況の情報は、車線変更の計画を含み、
前記制御部は、
前記第1の車線変更では、前記隣接レーンに向けた横移動を休止することなく前記車線変更を完了させる制御設定を適用し、
前記第2の車線変更では、前記巡航レーンに向かう途中で一時的に横移動を休止する制御設定を適用するように構成されている請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項25】
前記車両の前記自動運転制御は、前記車両が走行しているレーンである巡航レーンに存在する先行車を追い越す追越制御を含み、
前記追越制御は、前記追越制御を開始する時点において前記車両が走行中のレーンである巡航レーンから前記巡航レーンに隣接するレーンである隣接レーンへ移動するための第1の車線変更と、前記隣接レーンから前記巡航レーンへ戻るための第2の車線変更と、を含み、
前記車両状況の情報は、車線変更の計画を含み、
前記制御部は、
前記第1の車線変更では、横移動を少なくとも1回休止する制御設定を適用し、
前記第2の車線変更では、横移動を少なくとも1回休止する制御設定を適用し、
前記第2の車線変更における前記横移動の休止回数は、前記第1の車線変更における前記横移動の休止回数よりも多く設定するように構成されている請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項26】
前記自動運転制御は、先行車を追い越す追越制御を含み、
前記追越制御は、前記追越制御を開始する時点において前記車両が走行中のレーンである巡航レーンから前記巡航レーンに隣接する隣接レーンへ移動するための第1の車線変更と、前記隣接レーンから前記巡航レーンへ戻るための第2の車線変更と、を含み、
前記状況信号は、前記隣接レーン上における後続車両と前記車両の車間距離を示す信号をさらに含み、
前記車両状況の情報は、車線変更の計画と、前記車間距離を含み、
前記制御部は、
前記第2の車線変更を行う際に、前記車間距離が所定距離未満である場合には、前記巡航レーンに向けた横移動を休止することなく前記車線変更を完了させる制御設定を適用し、
前記第2の車線変更を行う際に、前記車間距離が所定距離以上である場合には、前記車線変更の途中で一時的に巡航レーンに向けた前記横移動を休止する制御設定を適用するように構成されている請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項27】
前記状況信号は、前記車両の監視席に保安員が存在しているか否かを示す信号を含み、
前記車両状況の情報は、前記保安員が存在するか否かを含み、
前記制御部は、
前記保安員が存在しない場合には、前記車線変更の途中で一時的に目標レーンに向けた横移動を休止する前記車線変更の遂行パターンを適用し、
前記保安員が存在する場合には、前記横移動を休止することなく前記車線変更を完了させる前記車線変更の遂行パターンを適用するように構成されている、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項28】
前記自動運転制御は、前記車両の走行レーン上に障害物が存在する場合に車線変更によって前記障害物を回避する回避制御を含み、
前記車両状況の情報は、前記車両の前方に障害物があるか否かと、車線変更の計画を含み、
前記制御部は、
前記車両状況の情報に基づいて、予定されている車線変更が前記障害物を回避するための臨時の車線変更であるか否かを判断し、
予定されている前記車線変更が前記臨時の車線変更であるか否かに応じて、前記制御パラメータを異ならせるように構成されている、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項29】
前記制御部は、
予定された前記車線変更が前記臨時の車線変更である場合には、横移動を休止することなく前記車線変更を完了させる前記車線変更の遂行パターンを適用し、
予定された前記車線変更が前記臨時の車線変更でない場合には、車線変更の途中で一時的に横移動を休止する前記車線変更の遂行パターンを適用するように構成されている、請求項28に記載の車両制御装置。
【請求項30】
前記状況信号は、前記車両への乗員の搭乗を示す信号を含み、
前記車両状況の情報は、前記乗員の搭乗からの経過時間を含み、
前記制御部は、
前記経過時間が所定時間未満である場合には、前記経過時間が前記所定時間以上である場合よりも、車線変更の開始から完了までの時間が長くなるように前記制御パラメータを設定するように構成されている、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項31】
前記自動運転制御は、先行車を車線変更によって追い越す追越制御を含み、
前記状況信号は、車内状況を表す信号を含み、
前記車両状況の情報は、乗員の総数と、立っている乗員の有無を含み、
前記制御部は、
前記乗員の総数が閾値以上であるか、または前記立っている乗員が存在する場合には、前記乗員の総数が前記閾値未満かつ前記立っている乗員が存在しない場合に比べて、前記追越制御の実行条件を厳しくするように構成されている請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項32】
前記自動運転制御は、先行車を車線変更によって追い越す追越制御を含み、
前記状況信号は、車内状況を表す信号を含み、
前記車両状況の情報は、乗員の総数と、立っている乗員の有無を含み、
前記制御部は、
前記乗員の総数が閾値以上であるか、または前記車内に立っている乗員が存在する場合には、前記追越制御を禁止し、
前記乗員の総数が前記閾値未満かつ前記車内に立っている乗員が存在しない場合には、前記追越制御を許可するように構成されている、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項33】
前記制御部は、
前記車両の走行開始からの車線変更の実行回数をカウントし、
前記実行回数が所定値以上となった場合には、前記実行回数が前記所定値未満である場合よりも、前記制御パラメータの絶対値を増加させるように構成されている、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項34】
前記制御部は、
前記自動運転制御を実施するものであって、
前記状況信号に基づいて調整された前記制御パラメータを用いて自動的な車線変更を実施するように構成されている、請求項1から33のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【請求項35】
自動運転制御が実施可能に構成された車両で実行される車両制御方法であって、
通信インターフェースを介して車両状況を示す状況信号を受信することと、
前記状況信号に基づいて前記車両状況の情報を取得することと、
前記車両状況の情報に基づいて車線変更のための加減速及び操舵に係る制御パラメータを調整することと、
調整後の前記制御パラメータの値を車線変更にかかる車両制御に反映させることと、を含む車両制御方法。
【請求項36】
コンピュータに請求項35に記載の車両制御方法を実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ドライバによる操作を必要としない自動運転制御が実施可能に構成された車両における車線変更の制御技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の自動運転技術の進歩により、ドライバの運転操作によらず自律的に走行できるドライバレス車両の開発が行われている。ドライバレス車両は、バスやタクシー等といったサービス車両として用いられることが想定される。ドライバレス車両では、乗員の安全性を確保するとともに、乗員に安心感を与えるような走行制御(挙動)が求められる。
【0003】
特許文献1は、ドライバレス車両において、乗員の安全を確保する技術を開示している。具体的には、カメラによって立っている乗員が不安定な姿勢であることを検出した場合に、減速又は停止することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-36795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示の構成では、乗員の姿勢が安定しているときの車両制御については開示がない。換言すれば、ドライバレス車両が通常の走行を行っているときの乗員の安全性および安心感を、さらに高めるための制御については特許文献1には開示されていない。ドライバレス車両が車線変更する際には、直進時に比べて乗員に不安を与えやすい。また、車線変更時には乗員に横方向の加速度が作用するため、定速直進時に比べて、乗員がよろめく可能性が高まりうる。
【0006】
本開示は、上記の検討又は着眼点に基づいて成されたものであり、その目的の1つは、自動運転車が車線変更する際の乗員の安全性および安心感を向上可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ここに開示される車両制御装置は、他の装置と通信するための通信インターフェース(34)と、通信インターフェースを介して受信した信号に基づいて、車両の自動運転制御に関連する処理を実行する制御部(31)と、を備える車両制御装置であって、制御部は、通信インターフェースを介して車両状況を示す状況信号を受信することと、状況信号に基づいて車両状況の情報を取得することと、車両状況の情報に基づいて自動運転制御による車線変更のための加減速又は操舵に係る制御パラメータの値を調整することと、調整後の制御パラメータの値を車線変更にかかる車両制御に反映させることと、を実施するように構成されている。
【0008】
上記車両制御装置によれば、車内の状況又は道路の状態などといった、車両の内部又は外部の状況(つまり車両状況)に応じて車線変更時の車両挙動が変更される。よって、車線変更する際の乗員の安全性および安心感を高める事ができる。
【0009】
また本開示の車両制御方法は、自動運転制御が実施可能に構成された車両で実行される車両制御方法であって、通信インターフェースを介して車両状況を示す状況信号を受信することと、状況信号に基づいて車両状況の情報を取得することと、車両状況の情報に基づいて車線変更のための加減速及び操舵に係る制御パラメータを調整することと、調整後の制御パラメータの値を車線変更にかかる車両制御に反映させることと、を含む。
【0010】
上記の車両制御方法によれば、車両状況に応じて車線変更時の車両挙動が変更される。そのため、車線変更する際の乗員の安全性および安心感を高める事ができる。
【0011】
なお、特許請求の範囲に記載した括弧内の符号は、一つの態様として後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示すものであって、本開示の技術的範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】自動運転システムの全体構成を示す図である。
図2】車載システムの構成を示すブロック図である。
図3】無線通信装置が車内にあるユーザ端末と通信接続している状態を示す図である。
図4】乗員センサの一例を示す図である。
図5】乗員情報の一例を示す図である。
図6】自動運転ECUの機能ブロック図である。
図7】状況ごとの制御パラメータの一例を示す図である。
図8】自動運転ECUの作動の概要を説明するためのフローチャートである。
図9】自動運転ECUの作動の一例を示すフローチャートである。
図10】自動運転ECUの他の作動例を示すフローチャートである。
図11】自動運転ECUの他の作動例を示すフローチャートである。
図12】車内状況に応じてLC様式を変更する場合の制御ルールを示した図である。
図13】連続移動様式を説明するための図である。
図14】段階移動様式を説明するための図である。
図15】段階移動様式の他の例を示す図である。
図16】自動運転ECUの他の作動例を示すフローチャートである。
図17】自動運転ECUの他の作動例を示すフローチャートである。
図18】特定エリア乗員数に応じた加速度の変更例を示す図である。
図19】自動運転ECUの他の作動例を示すフローチャートである。
図20】自動運転ECUの他の作動例を示すフローチャートである。
図21】自動運転ECUの他の作動例を示すフローチャートである。
図22】自動運転ECUの他の作動例を示すフローチャートである。
図23】報知制御にかかる自動運転ECUの他の作動例を示すフローチャートである。
図24】自動運転ECUの他の作動例を示すフローチャートである。
図25】道路種別に応じて制御ルールを変更する自動運転ECUの作動例を示すフローチャートである。
図26】車線変更に係る車両挙動の均一化を図る自動運転ECUの作動例を示すフローチャートである。
図27】車内状況に応じて追越制御の実行条件を変更する処理のフローチャートである。
図28】追越制御における第1の車線変更と第2の車線変更とで車両挙動を変更する処理のフローチャートである。
図29】予定されている車線変更が臨時の車線変更か否かで車両挙動を変更する処理のフローチャートである。
図30】システム構成の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態について図を用いて説明する。本開示は以下の実施形態に限定されるものではなく、以降で述べる種々の変形例も本開示の技術的範囲に含まれる。また、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で変更して実施されてよい。種々の補足や変形例などは、技術的な矛盾が生じない範囲において適宜組み合わせて実施されてよい。変形例の組み合わせによって生じる、明示しない構成も本開示の範囲に含まれる。本開示では、同一の機能を有する部材については、同一の符号を付し、その説明を省略することがある。同一の機能を有する部材については、同一又は類似する名称を付していることがある。同一又は類似する構成の一部のみに言及している場合、他の部分については他の箇所に記載の説明を適用することができる。
【0014】
本開示は、自動運転システムSysが実質的に使用される地域の法律又は慣習に応じて、部分的に又は全体的に適宜最適化されてよい。以下では一例として自動運転システムSysが左側通行の地域で使用される場合を想定して説明する。上記想定に伴い、進行方向に向かって左端のレーンを第1レーンと呼び、その右に隣接するレーンを第2レーンと呼ぶ。第3レーンとは、第2レーンの右側に隣接するレーンを意味する。自動運転システムSysが右側通行の地域で使用される場合、以下の第1レーンは右端のレーンと解され、第2レーンとは第1レーンの左側に隣接するレーンと解されて良い。
【0015】
<前置き>
図1は、本開示に係る自動運転システムSysの概略的な構成の一例を示す図である。本開示の自動運転システムSysは、図1に示すように車載システム1と管制センタ8とを含む。車載システム1は自動運転バスHvに搭載されているシステムである。車載システム1は、運行管理ECU20と自動運転ECU30を含む。また、本実施形態の自動運転システムSysは、任意の要素として、ユーザ端末9を含む。なお、図1では自動運転バスHvを1台しか示していないが、管制センタ8が管理する自動運転バスHvは複数台存在しても良い。
【0016】
自動運転バスHvは、外界センサ11の検出結果に基づいて自律的に(自動で)走行可能に構成されたバスである。自動運転は、本開示の自動運転(automated driving)との記載は、自律走行(autonomous driving)あるいは自動走行(self-driving)などと言い換えられても良い。自動運転バスHvは、管制センタ8の管理のもと保安員が乗車せずに運行可能に構成された旅客車両である。自動運転バスHvはドライバレスな自動運転車に相当する。自動運転バスHvは、無人運行バスや、ロボットバスなどと言い換えられて良い。
【0017】
自動運転バスHvは、予め設定された運行ルートを定期的に走行するバスであってよい。また、自動運転バスHvは、ユーザからの乗車要求に基づいて柔軟に走行ルートを変更する、いわゆるオンデマンドバスに相当するバスであっても良い。自動運転バスHvは、シャトルバスやスクールバスであってもよい。自動運転バスHvは、複数の座席と、つり革と、手すりとを備えていて良い。
【0018】
もちろん、車載システム1が搭載されている車両は、バスとしての形態を保持する車両に限定されない。車載システム1は、運転手が搭乗せずに自律的に走行するタクシーであるロボットタクシーに適用されても良い。本開示の構成は、多様な形式のサービスカーに適用可能である。車載システム1は、オーナーカーに搭載されていても良い。以降では車載システム1が搭載されている車両(つまり自動運転バスHv)を、自車両とも記載する。
【0019】
自車両は、運転操作の自動化のレベルである自動運転レベルを変更可能に構成されていて良い。自動運転レベルとしては、例えばSAEが定義しているように、レベル0~5に区分される。レベル0は、システムが介入せずに運転者が全ての運転タスクを実施するレベルである。運転タスクは動的運転タスクと言い換えてもよい。運転タスクは、操舵、加減速、及び周辺監視を含む。レベル0は、いわゆる手動運転に相当する。レベル1は、システムが操舵と加減速とのいずれかを支援するレベルである。レベル1は、いわゆる運転支援に相当する。レベル2は、システムが操舵と加減速の両方を支援するレベルである。レベル2は、いわゆる部分運転自動化に相当する。レベル3は、高速道路等の特定の場所ではシステムが全ての運転タスクを実施可能であり、緊急時に運転者が運転操作を行うレベルである。レベル3は、いわゆる条件付運転自動化に相当する。レベル4は、対応不可能な道路,極限環境等の特定状況下を除き、システムが全ての運転タスクを実施可能なレベルである。レベル4は、いわゆる高度運転自動化に相当する。レベル5は、あらゆる環境下でシステムが全ての運転タスクを実施可能なレベルである。レベル5は、いわゆる完全運転自動化に相当する。以下における自動運転制御とは自動運転レベル4相当の制御と解されて良い。もちろん、自動運転制御は自動運転レベル5相当の制御であっても良い。また他の実施形態において、自動運転制御は自動運転レベル3相当の制御であっても良い。
【0020】
自動運転バスHvは、保安員の操作又は管制センタ8からの指示に基づいて、自動運転を開始するように構成されていて良い。保安員は、運行管理のために自動運転バスHvに乗車する人物であって乗務員又は監視員とも称されうる。自動運転バスHvにおいて、保安員の乗車は任意の要素であってよい。前述の通り、本実施形態の自動運転バスHvは、保安員が乗車していない(ドライバレスな)バスである。それに伴い、自動運転バスHvは、運転席に相当する監視席を有していない。他の実施形態において自動運転バスHvは、保安員が乗車するバスであってよい。自動運転バスHvは、監視席を有していてよい。監視席は、発進及び停車などを指示するためのタブレットが配置された座席であってもよい。なお、保安員が実際に一部又は全部の運転タスクを実施している場合、保安員はドライバと呼ばれてよい。
【0021】
管制センタ8は、自動運転バスHvの運行状況等を管理するセンタである。自動運転バスHvは、セルラー回線を用いて管制センタ8と相互にデータ通信可能に構成されている。セルラー通信は、LTE(Long Term Evolution)や4G、5Gなどに準拠した無線通信である。セルラー通信は携帯電話回線を利用した通信と解されて良い。自動運転バスHvは、自車両の現在位置や、車内の様子、周辺状況などを示すデータを管制センタ8に逐次送信する。
【0022】
管制センタ8は、自動運転バスHvの運行を管理するための構成として、オペレータ向けのHMI(Human Machine Interface)システムを備える。オペレータ向けのHMIシステムは、自動運転バスHvについての各種情報を表示するためのディスプレイと、オペレータの指示を受け付けるための入力装置と、ヘッドセットとを含んでいて良い。管制センタ8は、当該HMIシステムを介して自動運転バスHvに対するオペレータの指示を受け付けると、当該指示に対応する制御信号を自動運転バスHvに送信する。なお、ここでのオペレータとは、管制センタ8において自動運転バスHvの運行状況を管理するスタッフを指す。管制センタ8では、1人のオペレータが複数台(例えば2~8台)の自動運転バスHvの運行を監視することがある。
【0023】
管制センタ8は、ユーザデータベース81を備える。81は、ユーザ毎の情報が保存されているデータベースである。管制センタ8は、乗車予定のユーザの情報あるいは乗車手続きが完了したユーザの情報を自動運転バスHvに配信してよい。なお、ユーザデータベース81は管制センタ8とは異なるセンタが備えていても良い。また、本開示の管制センタ8は、物理的に異なる複数のセンタ/サーバによって実現されていて良い。
【0024】
ユーザ端末9は、スマートフォンなどの、ユーザが携帯している端末である。ユーザは、自動運転バスHvの乗員となりうる人物である。以降における乗員との記載はユーザ/乗客などと適宜言い換えられて良い。ユーザ端末9は、ディスプレイとタッチパネルとカメラとを備える情報処理端末である。ユーザ端末9は、セルラー回線又はWi-Fi(登録商標)回線を用いてインターネットに接続可能に構成されている。
【0025】
ユーザ端末9は、自動運転バスHvの利用に係る所定のアプリケーションであるバスアプリがインストールされた、上記機能を備える情報処理端末であってよい。ユーザ端末9は、バスアプリが動作することによって、ユーザ端末9は、ユーザが自動運転バスHvの利用予約を行うためのデバイスとして機能しうる。
【0026】
また、車載システム1及びユーザ端末9はそれぞれ近距離通信を実施可能に構成されている。ここでの近距離通信とは、実質的な通信可能距離が1mから30m、最大でも100m程度となる所定の近距離無線通信規格に準拠した通信を指す。ここでの近距離通信の規格としては、Bluetooth(登録商標)Low Energyや、Wi-Fi等を採用することができる。ユーザ端末9が近距離通信機能を備える事により、自動運転バスHvは、乗車中のユーザが所持するユーザ端末9と通信接続可能となる。ユーザ端末9は、自動運転バスHvと接続している状態において、自動運転バスHvから受信する信号に基づき自動運転バスHvの運行に係る情報を表示するように構成されていても良い。
【0027】
自動運転バスHvのドア付近には、乗車手続きのための設備である受付端末が配置されている。受付端末は、カメラやNFCリーダ、スマートフォン、タブレット端末などであってよい。運行管理ECU20は、受付端末からの信号に基づき乗車手続きが完了したユーザを特定し、当該ユーザを乗員とみなす。車載システム1は、ドア付近に配置されたカメラの映像を用いて自動運転バスHvに乗車するユーザの顔を認証することにより、乗車予約済みのユーザか否かを判定してよい。顔認証の結果は決済などにも使用されて良い。乗車手続きは、顔認証に限らず、2次元コードの読み取りや、近接場通信(NFC:Near Field Communication)などによって実施されても良い。移動手段としての自動運転バスHvを運行させるサービスを本開示では自動運転バスサービスと称する。自動運転バスサービスが輸送サービスに相当する。
【0028】
<車載システム1の全体構成について>
車載システム1は、図2に示すように、外界センサ11、車両状態センサ12、ロケータ13、無線通信装置14、車内ディスプレイ15、車内スピーカ16、乗員センサ17、車外向けディスプレイ18、及びアクチュエータ19を備える。また、車載システム1は、運行管理ECU20、及び、自動運転ECU30を備える。部材名称中のECUは、Electronic Control Unitの略であり、電子制御装置を意味する。
【0029】
各装置はそれぞれ、車両内に構築された通信ネットワークである車載ネットワーク101を介して相互通信可能に接続されていてよい。なお、図2に示すネットワークトポロジーは一例であって適宜変更されてよい。車載ネットワーク101の規格としては、Controller Area Network(以降、CAN:登録商標)や、イーサネット(登録商標)、FlexRay(登録商標)など、多様な規格を採用可能である。
【0030】
外界センサ11は、検出範囲に存在する物体を検出するセンサである。外界センサ11は、自車両の周辺環境をセンシングする自律センサと解する事ができる。外界センサ11は、自車両周辺を監視するセンサであることから、周辺監視センサと言い換えられても良い。
【0031】
外界センサ11は、所定の検出対象物の存在及びその位置を検出するように構成されている。外界センサ11は、周辺監視カメラ、ミリ波レーダ、LiDAR(Light Detection and Ranging/Laser Imaging Detection and Ranging)、又はソナーであってよい。車載システム1は、複数の外界センサ11を備えていてよい。車載システム1は、外界センサ11として、それぞれ撮影方向が異なる複数の周辺監視カメラと、複数のミリ波レーダとを備えていてよい。周辺監視カメラは自車両の外側、所定方向を撮像するように配置されている車載カメラである。周辺監視カメラは、ディープラーニングを適用した識別器を用いて、撮影映像から検出対象として登録されている物体を検出及び識別する。検出対象物には、歩行者や、他車両などの移動体が含まれる。
【0032】
外界センサ11は、所定の地物も検出可能に構成されていてよい。外界センサ11が検出対象とする地物には、道路端、中央分離帯、路面標示などが含まれる。路面標示とはレーンの境界を示す車線区画線や、横断歩道、停止線、導流帯などである。外界センサ11は、ガードレールや道路標識、信号機などの立体構造物を検出可能に構成されていても良い。外界センサ11は、検出結果を示すデータを車載ネットワーク101に出力する。車載ネットワーク101に出力された検出結果は、自動運転ECU30や運行管理ECU20などといった多様なECUにて参照及び利用される。以降における運行管理ECU20等との記載は、運行管理ECU20、自動運転ECU30、又はその他のECUと読み替えられて良い。
【0033】
なお、外界センサ11が生成する観測データに基づき物体を認識する機能は、自動運転ECU30など、センサ外のECU(Electronic Control Unit)が備えていてもよい。車載システム1内における機能配置は適宜変更されてよい。ここでの観測データとは、カメラが生成する映像/画像データや、LiDARが生成する3次元点群データ、ミリ波レーダ/ソナーが取得する探査波の受信結果データなどを指す。
【0034】
車両状態センサ12は、自車両の状態に関する情報を検出するセンサ群である。車両状態センサ12には、車速センサ、転舵角センサ、加速度センサ、ヨーレートセンサ等が含まれる。車速センサは、自車の車速を検出する。転舵角センサは、車両前後方向又は車軸に対するタイヤの角度である転舵角を検出する。転舵角は切れ角とも呼ばれうる。加速度センサは、縦加速度と横加速度を検出する。縦加速度は、自車の前後方向に作用する加速度である。横加速度は車体の左右方向に作用する加速度である。ヨーレートセンサは、自車両に作用するヨーレート(角速度)を検出する。車両状態センサ12は、検出対象とする物理状態量の現在の値(つまり検出結果)を示すデータを車載ネットワーク101に出力する。
【0035】
なお、車載システム1が備えるセンサの種類は適宜設計されればよく、上述した全てのセンサを備えている必要はない。また、車載システム1は、降雨を検出するセンサ(いわゆるレインセンサ)や、ジャークを検出するセンサなど、上記以外のセンサを備えていてよい。ジャークは、加速度の時間変化量を示すパラメータであって、加加速度や躍度などと呼ばれうる。
【0036】
ロケータ13は、複数の情報を組み合わせる複合測位により、自車両の高精度な位置情報を生成する装置である。自車両の位置情報は、緯度、経度、及び高度の3次元座標で表される。ロケータ13は、GNSS受信機と地図記憶装置を備えていて良い。GNSS受信機は、GNSS(Global Navigation Satellite System)を構成する測位衛星から送信される航法信号(以降、測位信号)を受信することで、当該GNSS受信機の現在位置を逐次検出するデバイスである。
【0037】
地図記憶装置は、地図データを保持する記憶媒体である。地図記憶装置に保存されている地図データは、道路の3次元形状や、レーン区画線などの路面標示の設置位置、交通標識の設置位置等を、自動運転等に必要な精度で示す、いわゆる高精度3次元地図データ(HDマップ)であってもよい。地図記憶装置は、道路の接続関係を示す、ナビゲーション用の地図を記憶していても良い。ナビゲーション用の地図は、現在位置から目的地までの経路探索に供されてよい。ロケータ13は、GNSS受信機の測位結果と、加速度センサの出力と、地図データと、を組み合わせることにより、自車両の位置を算出しても良い。ロケータ13が算出した車両位置情報は車載ネットワーク101に出力され、運行管理ECU20等によって参照される。
【0038】
無線通信装置14は、運行管理ECU20などの車載装置が管制センタ8と無線通信を行うための構成である。無線通信装置14は、少なくともセルラー通信モジュールを備える。セルラー通信モジュールは、セルラー通信のためのアンテナ及び送受信回路を含むモジュールである。
【0039】
また、無線通信装置14は、図3に示すように、近距離通信モジュール141を備えていて良い。近距離通信モジュール141は、近距離通信を実施するためのモジュールであって、近距離通信用のアンテナ及び送受信回路を含む。近距離通信モジュール141は、運行管理ECU20等の指示に基づき、車内にあるユーザ端末9と通信接続しうる。なお、図3に示すSRCは、Short Range Communicationの略であって、近距離通信を表す。
【0040】
近距離通信モジュール141が接続するユーザ端末9は、乗車手続きが完了したユーザに紐づくユーザ端末9に限定されて良い。運行管理ECU20は、乗車手続き済みのユーザの情報をもとに、車内にあるユーザ端末9を特定して良い。ユーザの情報には、当該ユーザが所持するユーザ端末9のデバイス情報が含まれていて良い。無線通信装置14が近距離通信モジュール141を備えることにより、運行管理ECU20はユーザ端末9とデータ通信可能となる。図3に示すユーザ端末9A~9Dは、乗員としてのユーザA~Dが所持するユーザ端末9である。
【0041】
その他、無線通信装置14は、他車両との無線通信である車車間通信や、路側機との無線通信である路車間通信を実施可能に構成されていてもよい。路側機とは道路沿いに設置されている通信設備を指す。無線通信装置14はセルラーV2Xを実施可能に構成されていても良い。
【0042】
車内ディスプレイ15は、車内に配置されたディスプレイである。車内ディスプレイ15は、運行管理ECU20等から入力された映像信号に対応する画像を表示する。車内ディスプレイ15は、車室内の天井付近など、乗員から見やすい位置に配置されている。車内ディスプレイ15は自動運転バスHvが備えるドアの上側などに配置されていてよい。車載システム1は、複数の車内ディスプレイ15を備えていても良い。
【0043】
車内スピーカ16は、音を出力する装置である。本開示における「音」との表現には、音声や音楽も含まれる。車内スピーカ16は、運行管理ECU20等から入力された音声信号に対応する音を出力する。車内スピーカ16は、車室内の天井や壁等に配置されている。車載システム1は複数の車内スピーカ16を備えていても良い。
【0044】
乗員センサ17は、車内における乗員の様子を示す情報を生成し、出力するセンサである。車載システム1は、乗員センサ17として、図4に示すように、車内カメラ171、車内マイク172、着座センサ173、及びサーマルカメラ174を備える。
【0045】
車内カメラ171は、乗員の様子を撮像可能なように、車室内に設置された可視光カメラである。車内カメラ171は、1台であってもよいし、複数台設けられていても良い。車内カメラ171は、映像信号を運行管理ECU20等に出力する。なお、映像信号は、映像データ、画像データ、又は画像フレームなどと言い換えられて良い。
【0046】
車内マイク172は、乗員の音声を取得するための装置(いわゆるマイクロフォン)である。車内マイク172は、車内の音声に対応する電気信号を運行管理ECU20等に出力する。車内マイク172もまた複数箇所に分散配置されていても良い。着座センサ173は、乗員が着座していることを検知するセンサである。着座センサ173は、シート毎に設けられていてよい。着座センサ173は、座席の着座面に埋設された圧力センサであってよい。
【0047】
サーマルカメラ174は、人体から放射されている遠赤外線の強弱を検知することで温度を計測するデバイスである。サーマルカメラ174は、天井部等、車内の任意の箇所に設置されている。サーマルカメラ174は、撮影範囲における温度分布を示す映像信号(いわゆるサーモグラフィ)を運行管理ECU20等に出力する。サーマルカメラ174が出力する映像信号は、乗員の位置や、乗員の体温、姿勢などを運行管理ECU20が特定するための材料として使用されてよい。
【0048】
車載システム1は、ミリ波レーダや、LiDARなどを乗員センサ17として備えていても良い。自動運転バスHvの吊り革及び手すりには、乗員によって把持されているか否かを検出するためのセンサとして把持センサが設けられていても良い。把持センサは感圧式のタッチセンサであってもよいし、静電容量式のタッチセンサであってもよいし、荷重を検知する荷重センサであってもよい。
【0049】
種々の乗員センサ17は、車内の状況、具体的には乗員の状態を特定するための信号を、運行管理ECU20等に送信する。なお、観測データに基づく乗員の状態判定(認識)は、乗員センサ17、運行管理ECU20、及び自動運転ECU30のいずれが実施しても良い。車内状況の解析にかかる機能の配置は適宜変更されて良い。車内状況の解析にかかる一部の機能は管制センタ8が備えていても良い。本実施形態では運行管理ECU20が、各乗員センサ17からの入力信号を解析することにより、乗員情報を取得する。
【0050】
車外向けディスプレイ18は、自動運転バスHvの周囲に存在する人に向けて情報を表示するための装置である。車外向けディスプレイ18は、表示面が車外に向いた姿勢で自動運転バスHvの外面部又は窓枠の内側に取り付けられている。車外向けディスプレイ18は液晶ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ、又はその他の様式のディスプレイであってよい。車外向けディスプレイ18は、運行管理ECU20等から入力された映像信号に応じた画像を表示する。
【0051】
アクチュエータ19は、自動運転バスHvが走行するための機械要素(例えばモータ)である。アクチュエータ19には、制動装置や、操舵アクチュエータ、電子スロットルなどが含まれてよい。制動装置はブレーキアクチュエータであってよい。操舵アクチュエータには、EPS(Electric Power Steering)モータが含まれてよい。各種アクチュエータ19は自動運転ECU30から出力される制御信号に従って作動する。なお、自動運転ECU30とアクチュエータ19との間には、操舵制御を行う操舵ECUや、加減速制御を行うパワーユニット制御ECU、及びブレーキECU等、他のECUが介在していてもよい。
【0052】
運行管理ECU20は、自動運転バスHvの運行を管理するためのECUである。運行管理ECU20は、自動運転バスHvそのものの状態や、車内の様子、車外の状況を見守り、必要に応じて管制センタ8に通知したり、緊急制御を実施したりする。運行管理ECU20は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ストレージ、及びこれらの構成を接続するバスラインなどを備えた、コンピュータを含む。また、自動運転ECU30は、車載ネットワーク101を介して他の車載デバイスと通信するための回路を含む。
【0053】
運行管理ECU20は、乗車時の認証結果、利用予約情報、乗員センサ17からの入力信号、及びユーザ端末9からの信号の一部又は全部に基づき、乗員情報を生成する。乗員情報は、乗員についての情報である。乗員情報は、車内状況を示す情報に相当する。また、総乗員数や、着席している乗員の数、立っている乗員の数、乗員毎の年齢層などは、乗員構成を示す情報と言うことができる。乗員情報は乗員構成情報と言い換えられて良い。車内状況は、乗員状況と言い換えられて良い。状況との記載は状態と言い換えられて良い。
【0054】
乗員情報には、乗員数や、車内における乗員の位置などが含まれる。乗員数は、自動運転バスHvの車内に存在する乗員の数である。車内における乗員の位置は、座席番号などで表現されても良いし、前方エリア/後方エリアといったエリア区分で表現されて良い。前方エリアとは、車室の中心よりも進行方向側のエリアであり、後方エリアは車室の中心よりも進行方向とは逆側のエリアである。
【0055】
乗員情報は、乗員毎の情報である個別情報を含んで良い。個別情報とは、乗車姿勢、視線方向、及び健康状態を含んで良い。乗車姿勢は、座席に座っているか、立っているかで表現されて良い。また、立っている場合の乗車姿勢は、つり革/ポールを把持しているか否かに細分化されて良い。乗車姿勢は、(1)座っている、(2)つり革/ポールを把持して立っている、(3)つり革/ポールを把持せずに立っている、の3段階で表現されてよい。視線方向は車外を見ているか否かで表現されてよい。健康状態は熱の有無で表現されて良い。
【0056】
乗員情報は、乗員の年齢情報を含んでいても良い。乗客の年齢は、プライバシー保護のため、14歳以下の第1年齢層、15歳以上65歳未満の第2年齢層、及び、65歳以上の第3年齢層に区分して判定されてよい。年齢層の区分数は一例であって4つ以上に区分されても良い。第3年齢層は高齢層と言い換えることができる。乗員情報は、自動運転バスサービスの利用回数を含んでいても良い。利用回数は、管制センタ8が管理する自動運転バスの搭乗回数に相当する。
【0057】
これらの乗員情報の一部又は全部は、車内カメラ171の撮影画像を解析することで特定されてよい。もちろん、運行管理ECU20は、車内カメラ171の画像、着座センサ173、及びサーマルカメラ174など、複数種類の乗員センサ17の入力信号を組み合わせることにより、乗員ごとの情報を取得しても良い。運行管理ECU20は、ユーザデータベース81を参照することで、乗車しているユーザの情報を取得してもよい。ユーザの情報は、ユーザの年齢や、利用回数、ユーザ端末9のデバイス情報などが含んでいて良い。運行管理ECU20は、利用回数や年齢区分などの個別情報を、ユーザデータベース81の参照により取得してもよい。乗車しているユーザの情報は、乗車手続き/乗車予約が完了したことに基づいて、管制センタ8から自動運転バスHvに配信されても良い。
【0058】
また、乗員情報は、ユーザがユーザ端末9を操作中か否かを示す情報を含んでいても良い。ユーザ端末9を操作中か否かは、近距離通信にて、ユーザ端末9から画面の点灯状態に係る情報を取得することで特定されて良い。画面の点灯状態に係る情報は、画面がオンかオフか、つまりディスプレイが点灯しているか否かを直接的に又は間接的に示す情報であってよい。バスアプリは、ユーザ端末9をユーザが操作中か否かを示す情報、あるいは、画面の点灯状態に係る情報を自動運転バスHvに送信するように構成されていてよい。
【0059】
運行管理ECU20は、乗員ごとに識別番号(以降、乗員ID)を付与して、乗車姿勢などの個別情報を管理して良い。乗員IDは、運行中において乗員ごとに異なる番号であればよい。或る乗員に割り当てる乗員IDは、運行開始後からその乗員が乗車するまでに乗車した合計人数に1を加えた値であってよい。運行管理ECU20は、図5に示すようなテーブルで乗員情報を管理してよい。
【0060】
運行管理ECU20は、乗員数や、乗員ごとの体温、乗車姿勢、車内における乗員の位置などを示す乗員情報を自動運転ECU30に定期的に送信する。運行管理ECU20は、乗員情報を車内状態報告として管制センタ8に定期送信しても良い。運行管理ECU20は、車内カメラの映像など、乗員センサ17の出力信号を管制センタ8に送信してよい。さらに運行管理ECU20は、車載システム1の状態(つまり車両状態)、及び車外の状況を示すデータを定期的に管制センタ8に送信してよい。運行管理ECU20と管制センタ8とのデータ通信は、無線通信装置14との連携によって実施される。運行管理ECU20が送信した自動運転バスHvの車外映像等は、オペレータ向けのディスプレイに表示される。運行管理ECU20が自動運転バスHvの車外、車内、車両状態を示すデータを逐次送信することにより、オペレータは自動運転バスHvの運行状態を確認可能となる。
【0061】
自動運転ECU30は、外界センサ11の検出結果などをもとにアクチュエータ19を制御することにより、運転操作の全部をドライバ(人間)の代わりに実行するECUである。自動運転ECU30は自動運行装置と言い換えられてよい。
【0062】
自動運転ECU30は、プロセッサ31、メモリ32、ストレージ33、入出力インターフェース34等を備えたコンピュータであってよい。プロセッサ31は、メモリ32と結合された演算処理のためのハードウェアである。プロセッサ31は、CPUやGPU(Graphics Processing Unit)等の演算コアを少なくとも一つ含む。プロセッサ31は、メモリ32へのアクセスにより、種々の演算処理を実行する。プロセッサ31が制御部に相当する。
【0063】
ストレージ33は、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶媒体である。ストレージ33には、プロセッサ31によって実行されるプログラムである車両制御プログラムが格納されている。プロセッサ31が車両制御プログラムを実行することは、車両制御プログラムに対応する方法である車両制御方法が実行されることに相当する。
【0064】
入出力インターフェース34は、車載ネットワーク101を介してプロセッサ31が他の車載装置と通信するための回路である。入出力インターフェース34は、通信ケーブルが接続されるコネクタ及び車載ネットワーク101の通信規格に準拠したPHYチップなどを含む。入出力インターフェース34は、自動運転バスHvに搭載されている多様な車載装置からの信号を受信する。なお、入出力インターフェース34は、管制センタ8から送信された信号も無線通信装置14を介して受信する。入出力インターフェース34と通信する他の装置には、車載装置のみならず、管制センタ8やユーザ端末9が含まれて良い。入出力インターフェース34が通信インターフェースに相当する。
【0065】
自動運転ECU30は、ストレージ33に保存されている車両制御プログラムを実行することにより、図6に示す種々の機能ブロックに対応する機能を提供する。すなわち、自動運転ECU30は機能ブロックとして、乗員情報受信部F1、制御ルール変更部F2、及び制御計画部F3を備える。
【0066】
乗員情報受信部F1は、入出力インターフェース34を介して、運行管理ECU20から乗員情報を受信する構成である。運行管理ECU20から出力される乗員情報を示す信号が状況信号(特に車内状況信号)に相当する。車内状況信号は、状況信号の一例である。なお、乗員情報を生成する主体は運行管理ECU20に限定されない。他の態様として、自動運転ECU30が、乗員センサ17の出力信号又はユーザデータベース81の登録情報をもとに乗員情報を取得しても良い。乗員センサ17の出力信号又はユーザデータベース81の登録情報を示す信号もまた、車内状況を示す信号(つまり状況信号)に相当する。さらなる他の態様として、乗員情報の生成機能は管制センタ8が備えていても良い。管制センタ8は、乗員センサ17の出力信号又はユーザデータベース81の登録情報をもとに乗員情報を生成し、車載システム1に送信するよう構成されていても良い。管制センタ8から送信される乗員情報を示す信号もまた状況信号に相当しうる。乗員情報受信部F1としてのプロセッサ31は、状況信号に基づいて、総乗員数といった車両状況の情報を取得してよい。車両状況の情報は、総乗員数、乗員の位置、乗車姿勢、立っている乗員の数(有無)、乗員の視線方向、乗員の年齢層、乗員の健康状態、及び、乗員の利用回数の一部又は全部を含んでいて良い。乗員の位置は、車内において乗員が存在する場所を意味する。乗員の位置を取得することは、車内の特定エリアに存在する乗員の数を取得することに相当する。
【0067】
制御ルール変更部F2は、自動運転制御を実施する上での制御ルールを、シチュエーションに応じて変更する構成である。制御ルールは、自動運転バスHvの挙動に係る複数の制御パラメータのそれぞれについての設定値を含む。制御ルールは、目標とする走行速度や、加速度の許容範囲、減速度の許容範囲などを含む。制御ルールは、制御パラメータセットと言い換えられて良い。
【0068】
制御ルールは、例えば図7に示すように、標準速度(V)、最大速度(MV)、標準加速度(A)、最大加速度(MA)、標準減速度(B)、最大減速度(MB)、最大操舵速度(MS)、許容ヨーレート(MYR)、許容ジャーク(MJ)に対する設定値を含む。標準速度は、制御上の走行速度の目標値である。最大速度(MV)は、自動運転制御において許容する走行速度の最大値(換言すれば上限値)を表す制御パラメータである。後述する制御計画部F3は、最大速度の設定値を超えないように走行計画を作成する。
【0069】
標準加速度は、加速時に適用する加速度の目標値である。最大加速度は、自動運転制御において許容する加速度の最大値(換言すれば上限値)を表す制御パラメータである。標準減速度は、減速時に適用する加速度の目標値である。最大減速度は、自動運転制御において許容する減速度の最大値(換言すれば上限値)を表す制御パラメータである。減速度は、絶対値で表現されてよい。他の態様として減速度は負の加速度で表現されても良い。
【0070】
標準操舵速度は、操舵速度の目標値である。最大操舵速度は、自動運転制御において許容する操舵速度の最大値(換言すれば上限値)を表す制御パラメータである。制御計画部F3は、最大操舵速度を超過しない範囲で、車線変更時や右折時、左折時の制御計画を作成する。許容ヨーレートは、許容するヨーレートの上限値である。制御計画部F3は、ヨーレートが許容ヨーレートを超過しないように制御計画を作成してよい。許容ジャークは、許容するジャークの上限値である。
【0071】
加速度や減速度、操舵速度などの絶対値が小さいほど、乗員の安全性、快適性は高まる。なお、標準加速度、標準減速度、標準操舵速度は、あくまでも速度制御/制御計画のための参考値である。自動運転ECU30は、実際には許容範囲の中で、交通状況に応じた速度や加速度、減速度を適用する。標準速度や、標準加速度、標準減速度は、自動運転バスHvの走行が安定している場合に適用される値と解されて良い。
【0072】
自動運転ECU30には、シチュエーションごとの制御ルールが設定されている。自動運転ECU30には、現行レーンを維持しながら走行する場合に適用される制御ルールであるLK用ルール(図7のLK_RL)と、車線変更する場合に適用される制御ルールであるLC用ルール(LC_RL)と、が設定されている。本開示において、LKはレーンキープの略であり、LCはレーンチェンジの略である。現行レーンは、自動運転バスHvが走行中のレーンである。現行レーンは、エゴレーンと呼ばれても良い。現行レーンは、車線変更における移動元レーンに相当する。もちろん自動運転ECU30には、右折時の制御ルールや、左折時の制御ルール、交差点接近時の制御ルール、衝突回避時の制御ルール、退避走行時の制御ルールなど、シーンに応じた制御ルールが設定されていて良い。
【0073】
また、本実施形態の自動運転ECU30には、複数のLC用ルールが設定されている。具体的には、第1状況用ルール(RL21)と、第2状況用ルール(RL22)と、を備える。第1状況用ルールは、車内が第1状況(STATE1)に該当する場合に適用される制御ルールである。第2状況用ルールは、車内が特定の第2状況(STATE2)に該当する場合に適用される制御ルールである。制御ルール変更部F2としてのプロセッサ31は、車内状況に応じて複数の制御ルールを使い分ける。第1状況、第2状況は互いに異なる車内状況であればよい。本実施形態では第1状況は車内に立っている人がいない状態に対応し、第2状況は車内に立っている人がいる状態に対応する。
【0074】
図7に示すv0、v1、v2、a0、a1、a2、ma0、ma1、ma2等は、状況に応じた制御パラメータの値を表している。図7に示す例においてはレーンキープ時には、制御ルール変更部F2はV=v0に設定し、車内が第1状況での車線変更時にはV=v1に設定する。また、車内が第2状況での車線変更時には、制御ルール変更部F2はV=v2に設定する。v0、v1、v2等は具体的な速度の値を表す。v1は60km/hなど、自動運転バスHvの管理者によって設定された一定値であってもよいし、道路に設定されている制限速度に応じた値であっても良い。v1、v2も事前設定された値であっても良いし、道路に設定されている制限速度に応じた値であってよい。v1及びv2は、v0を基準として定まる値であって良い。制御ルール同士は、複数の制御パラメータの一部の値が異なっていればよい。v0、v1、及びv2は、v0=v2<v1の関係を有していても良い。ma0、ma1、及びma2は同じ値であっても良い。
【0075】
第2状況用ルールは、第1状況用ルールよりも、車線変更に伴って乗員に作用する縦加速度又は横加速度が小さくなるように設計されている。第2状況用ルールは、第1状況用ルールよりも、時間をかけて(緩やかに/ゆっくりと)車線変更するように設計されている。
【0076】
第2状況用ルールの標準加速度(a2)、標準操舵速度(s2)、及び最大操舵速度(ms2)は、第1状況用ルールの標準加速度(a1)、標準操舵速度(s1)、及び最大操舵速度(ms1)よりも小さい値に設定されている。第2状況用ルールの許容ヨーレート(yr2)、及び許容ジャーク(j2)も、第1状況用ルールの許容ヨーレート(yr1)、及び許容ジャーク(j1)よりも小さい値に設定されていてよい。標準速度(v1、v2)など、一部の項目の値は同じであってもよい。
【0077】
もちろん、第1状況用ルールと第2状況用ルールとで、標準加速度、最大加速度、標準操舵速度、及び最大操舵速度の全ての項目の値が互いに異なっている必要はない。第1状況用ルールと第2状況用ルールは、標準加速度のみが異なっており、他の項目の値は同一であってもよい。また、第1状況用ルールと第2状況用ルールは、標準操舵速度のみが異なっており、他の項目の値は同一であってもよい。第2状況用ルールは、第1状況用ルールよりも、許容ヨーレートと許容ジャークのいずれか一方又は両方が小さく設定されても良い。
【0078】
なお、第1状況用ルール、第2状況用ルールは、車線変更時専用の制御ルールでなくともよい。自動運転用ルールは、複数シーンに共用するルールとして、車内が第1状況である場合のための第1状況用ルールと、車内が第2状況用ルールとを備えていても良い。
【0079】
制御計画部F3は、外界センサ11の検出結果と、地図記憶装置に保存されている地図データとを用いて自動運転バスHvの制御計画を作成する構成である。制御計画は、加減速のスケジュール情報や、操舵角の制御スケジュール情報、車線変更を行う地点の情報、乗員に車線変更や停車を予告するタイミングなどの情報を含みうる。自動運転ECU30は、外界センサ11の検出結果及び地図データの少なくともいずれか一方に基づいて時刻毎の加速度(減速度)や、操舵量、操舵速度などを含む制御計画を作成する。自動運転制御には、現行レーン上の障害物を車線変更によって回避する回避制御、及び、先行車を車線変更によって追い越す追越制御が含まれていてよい。その際、制御計画部F3は、走行速度や、車体に作用する加減速度、ヨーレート、ジャークなどが、制御ルールに規定される上限値(最大値)を超過しないように制御計画を作成する。また、制御計画部F3は、交通状況が許容する限りにおいて、標準速度や標準減速度、標準操作速度などに従った走行制御を計画する。これにより自動運転バスHvの挙動は、走行シーン及び車内の状況に応じた車両挙動となる。なお、制御計画の作成にかかる処理の一部は管制センタ8が備えていても良い。
【0080】
自動運転ECU30は、制御計画部F3にて生成された制御計画に基づき、アクチュエータ19毎の制御量を決定し、各アクチュエータ19に制御信号を出力する。また、自動運転ECU30は制御計画及び外部環境に基づき、方向指示器やヘッドライト、ハザードランプ等の点灯/消灯なども制御する。自動運転ECU30が作成した制御計画の概要は、運行管理ECU20にも通知されてよい。自動運転ECU30は、車線変更や停車、発進、右左折の実施タイミングを示すデータを運行管理ECU20に送信してよい。
【0081】
自動運転ECU30は、図8に示すように、定期的に/所定のイベント発生時に、運行管理ECU20から車内状況を示す信号(つまり状況信号)を受信し(S11)、当該受信した状況信号に基づいて車内状況を特定する(S12)。そして、自動運転ECU30は、現在の車内状況に応じた制御ルールを用いて自動運転制御を実施する(S13)。
【0082】
車内状況を特定することは、車内状況が通常時とは異なる制御ルールを適用すべき特定状況であるか否かを判定することを含む。つまり、プロセッサ31は、状況信号に基づいて車内状況が特定状況に該当するか否かを判断する。特定状況は、車内に立っている乗員がいる状況であってよい。第1状況は特定状況ではない状況(つまり通常時)に相当し、第2状況が特定状況に相当する。プロセッサ31は、状況信号に基づいて立っている乗員の有無を判断してよい。状況信号は、車内カメラ171の映像信号又は着座センサ173の出力信号、サーマルカメラ174の出力映像など、乗員の乗車姿勢を特定可能な信号であってよい。運行管理ECU20が乗員ごとの乗車姿勢を示す信号を出力可能二構成されている場合、状況信号は、乗員ごとの乗車姿勢を示す信号であっても良い。状況信号は、立っている乗員の有無を直接的に示すデータ信号であってもよい。
【0083】
なお、自動運転ECU30には、LC用ルールとして、第3状況用ルールや第4状況用ルールなどが設定されていても良い。第1状況以外が特定状況であってよい。つまり特定状況は複数の状況を含んでいて良い。特定状況は、通常時よりも丁寧な(優しい)な車両制御が必要な状況と解されて良い。特定状況用の制御ルールは、通常時向けの制御ルールよりも、乗員に作用する加速度/ジャーク/ヨーレートが小さくなるように設定されている。
【0084】
自動運転にかかる制御パラメータの設定値は、乗客の安全性や乗り心地を鑑みて設定されていてよい。ただし、全ての車線変更を第2状況用ルールで実施すると、渋滞を招いたり、車線変更が失敗したりしうる。第1状況用ルール及びLK用ルールは、乗客の安全性及び乗り心地に加えて、他の交通との協調性や、移動時間に対応する利便性なども考慮して設定されていてよい。第1状況用ルール及びLK用ルールが適用されている状態を本開示では通常モードと称する。また、第2状況用ルールが適用されている状態が、丁寧モードとも称する。自動運転ECU30は、車内状況が特定状況である場合に限り丁寧モードで走行することにより、乗客の安全性や、乗り心地、利便性などの要求を充足可能となる。
【0085】
<作動例(1)>
図9は、車線変更の準備処理における自動運転ECU30の作動の一例を示すフローチャートである。車線変更の準備処理は、車線変更のための制御ルール(つまり制御パラメータ)を選択する工程を含む。そのため、車線変更の準備処理は、車線変更に向けた制御パラメータの変更処理と解されて良い。車線変更の準備処理は、図9に示すようにステップS101~S105を含みうる。各ステップはいずれもプロセッサ31によって実行される。以下の処理の実行主体としてのプロセッサ31との記載は、状況監視ECU30/乗員情報受信部F1/報告部F2/異常検出部F3/異常対応部F4と読み替えられてよい。
【0086】
ステップS101はプロセッサ31が、直近所定時間以内に車線変更を実施するか否かを判定するステップである。自動運転バスHvの走行経路として車線変更地点が設定されている場合、プロセッサ31は、当該車線変更地点と現在位置との距離、及び走行速度に基づいて直近所定時間以内に車線変更を実施するか否かを判定してよい。直近所定時間以内に車線変更を実施する予定がある場合、プロセッサ31はステップS102を実行する。一方、直近所定時間以内に車線変更を実施する予定がある場合には、プロセッサ31は本フローを終了してよい。
【0087】
なお、ステップS101は、車線変更を実施する必要があるか否かを判定するステップであっても良い。プロセッサ31は、現在走行中の道路区間における走行予定のレーンと現行レーンとが乖離している場合に、車線変更を実施する必要があると判定して良い。走行予定のレーンは前方交差点での移動方向(右折/左折/直進など)に応じて決定されて良い。プロセッサ31は、自車両の前方に路上駐車車両などの障害物を検出している場合には、車線変更の必要ありと判定してよい。プロセッサ31は、車線変更の必要ありと判定した場合にステップS102以降を実施するように構成されていてもよい。
【0088】
なお、プロセッサ31は、定期的にステップS102以降の処理を実施するように構成されていてよい。また、プロセッサ31は、自動運転バスHvのドアを閉じて発進する際にステップS102以降の処理を実施しても良い。乗員毎の乗車姿勢及び乗車位置などといった車内状況は、発進後においては大きくは変化しないことが期待できるためである。
【0089】
ステップS102は、プロセッサ31が運行管理ECU20から乗員情報を取得するステップである。ステップS102は、プロセッサ31が車内状況を特定するステップと解されて良い。ステップS102は、プロセッサ31自身が、乗員センサ17からの入力信号に基づいて車内状況を特定するステップであっても良い。また、ステップS102は、プロセッサ31が、管制センタ8から車内状況を示す信号を受信し、当該受信信号に基づいて車内状況を特定するステップであってもよい。
【0090】
前述の通り、第1状況は車内に立っている人がいない場合に対応し、第2状況は車内に立っている人がいる場合に対応する。車内状況を特定することは、車内に立っている人がいるか否かを判定することを含んで良い。S102は、車内に立っている乗員の有無を判定するステップであって良い。
【0091】
プロセッサ31は、車内に立っている乗客がいる場合(S103 YES)、プロセッサ31は、車線変更時の制御ルールとして第2状況用ルールを選択する(S104)。選択した制御ルールは、車線変更にかかる制御の計画、及び、車線変更中における車両制御に反映される。これにより、第2状況用ルールに従った態様で車線変更が実行されることとなる。また、プロセッサ31は、車内に立っている乗客がいない場合(S103 NO)、プロセッサ31は、LC用ルールとして第1状況用ルールを選択する(S105)。これにより、第1状況用ルールに従った態様で車線変更が実行されることとなる。このようなステップS103は、車内状況が特定状況に該当するか否かを判定するステップに相当する。
【0092】
前述の通り、第2状況用ルールは、第1状況用ルールよりも、車線変更の開始から完了までの時間が長くなるように各種制御パラメータが設定されている。故に、上記の制御態様によれば、車内に立っている乗員が存在する場合には、車内に立っている乗員が存在しない場合よりも現行レーン(換言すれば移動元レーン)から目標レーンへの横移動が緩やかに実行される。その結果、車線変更に伴って乗員がよろめく恐れを低減できる。また、周辺車両もまた自動運転バスHvの動きに応じた制御を実施しやすくなる。よって、自動運転バスHvは、より安全、かつ、より快適な車線変更を実施可能となる。
【0093】
なお、第2状況用ルールは、第1状況用ルールよりも横移動がゆっくりであれば良く、走行速度そのものは低減されなくてよい。第2状況用ルールの標準速度は、第1状況用ルールの標準速度と同じであって良い。ところで、車内状況が特定状況に該当することは、乗員構成が特定条件を充足することに対応する。ステップS103は乗員構成が特定条件を充足しているか否かを判定するステップと解されても良い。
【0094】
<作動例(2)>
特定状況は、乗員数が所定の閾値(以降、乗員数用閾値)を超過している状況であっても良い。プロセッサ31は、状況信号に基づいて乗員数が乗員数用閾値以上か否かを判断してよい。状況信号は、車内カメラ171の映像信号又は着座センサ173の出力信号など、乗員数を特定可能な信号であってよい。状況信号は、乗員数を直接的に示すデータ信号であってもよい。乗員数用閾値は、6人や8人、10人など、座席数に応じた値に設定されて良い。乗員数用閾値は、座席数に設定されても良い。乗員数用閾値は、立っている乗客が発生する値、あるいは、車内が混んでいるとみなされる値に設定されていて良い。車内が混んでいる状況において或る乗員がよろめいて他の乗員と接触/近接すると、よろめいた乗員だけでなく、他の乗員も不快に感じうる。車内が混んでいる場合には、車線変更制御としてより丁寧な制御が求められうる。
【0095】
図10は、上記の着想に基づく自動運転ECU30の作動例を示すフローチャートである。図10に示すステップS201~S204は、前述のステップS102~S105と並列的に/置き換えられて実施されてよい。
【0096】
ステップS201は、ステップS102に対応するステップであって、プロセッサ31が運行管理ECU20から提供される乗員情報に基づき、車内状況を特定するステップである。ステップS201は、現在の乗員数を特定するステップであってよい。
【0097】
ステップS202はプロセッサ31が、ステップS201で取得した乗員数と事前設定されている乗員数用閾値とを比較するステップである。ステップS202に示す「P_Num」は乗員数を表し、「ThP」は乗員数用閾値を表す。ステップS202は、車内状況が特定状況に該当するか否かを判定するステップと解されて良い。
【0098】
プロセッサ31は、乗員数が乗員数用閾値以上である場合(S202 YES)、プロセッサ31は、LC用ルールとして第2状況用ルールを選択する(S203)。これにより、自動運転ECU30は、第2状況用ルールに従った態様で車線変更を実行する。一方、プロセッサ31は、乗員数が乗員数用閾値未満である場合(S202 NO)、プロセッサ31は、LC用ルールとして第1状況用ルールを選択する(S204)。これにより、自動運転ECU30は、第1状況用ルールに従った態様で車線変更を実行する。
【0099】
上記の制御態様によれば、乗員数が所定値以上である場合には、乗員数が所定値未満である場合よりも、現行レーンから目標レーンへの横移動がゆっくりと実行される。そのため、車線変更に伴って乗員がよろめく恐れを低減できる。また、車内が混んでいる場合において、よろめいた乗員が他の乗員に接触する恐れも低減できる。ひいては、乗員同士のトラブルが生じる恐れも低減できる。よって、自動運転バスの安全性及び快適性を高めることが可能となる。
【0100】
<作動例(3)>
自動運転ECU30は、追い越しのための車線変更時は、加速しながら横移動をするように構成されていても良い。一方、加速を伴う車線変更は、定速での車線変更よりも乗員がよろめきやすい。よって、プロセッサ31は、車内状況が第2状況(つまり特定状況)に該当する場合には、第1状況(つまり通常時)に比べて、車線変更時に適用する加速度を小さくするように構成されていて良い。つまりa1>a2≧0の関係を充足するように、各パラメータの値は設定されていて良い。通常時の加速度(a1)は2.0m/s^2である一方、特定状況下における加速度(a2)は1.0m/s^2などに設定されていて良い。このようにプロセッサ31は、特定状況に該当する場合には、車内状況が特定状況に該当しない場合よりも、車線変更中の速度の変化度合いが小さくなるように制御パラメータの値を変更してよい。なお、ここでの第2状況とは、前述のように立っている乗員がいる状況であってもよいし、乗員数が乗員数用閾値を超過している状況であっても良い。さらに特定状況は後述の多様な状況であってよい。
【0101】
図11は、上記技術的思想に対応する自動運転ECU30の作動例を示すフローチャートである。図11に示すステップS301~S304は、前述のステップS102~S105と並列的に/置き換えられて実施されてよい。
【0102】
ステップS301は、ステップS102に対応するステップであって、プロセッサ31が運行管理ECU20から提供される乗員情報に基づき、車内状況が特定状況に該当するか否かを特定するステップである。プロセッサ31は、車内状況が特定状況に該当する場合(S302 YES)、車線変更中の加速度として第2加速度を適用する(S303)。第2加速度は第2制御ルールにおける標準加速度であってよい。ステップS303は制御ルールとして第2状況用ルールを適用するステップと解されて良い。
【0103】
また、プロセッサ31は、車内状況が特定状況に該当しないと判定した場合(S302
NO)、車線変更中の加速度として第1加速度を適用する(S304)。第1加速度は第1制御ルールにおける標準加速度であってよい。ステップS304は制御ルールとして第1状況用ルールを適用するステップと解されて良い。
【0104】
立っている乗員がいる状況が特定状況に設定されている構成においては、プロセッサ31は、立っている乗客がいる場合には、立っている乗客がいない場合に比べて、車線変更中の速度の変化度合いを小さくする。また、乗員数が乗員数用閾値を超過している状況が特定状況に設定されている構成では、プロセッサ31は、乗員数が乗員数用閾値を超過している場合、乗員数が乗員数用閾値を超過していない場合に比べて、車線変更中の速度の変化度合いを小さくする。
【0105】
上記の制御態様によれば、車内状況が特定状況に該当する場合には、車内状況が特定状況に該当しない場合よりも穏やかに加速しながら車線変更を実施する。車線変更中の速度の変化度合いが小さくなるため、車線変更に伴って乗員がよろめく恐れを低減できる。
【0106】
また、車線変更は必ずしも加速を伴わなくともよい。プロセッサ31は車内状況が特定状況に該当する場合には、定速で車線変更を実施するように構成されていても良い。第2加速度(a2)は0であってもよい。
【0107】
特定状況は、特定状態にある乗員が存在する状況であっても良い。特定状態にある乗員とは、立っており、且つ、つり革/手すりを把持していない乗員など、よろめきやすい姿勢で乗車している乗員であってよい。また、特定状態にある乗員とは、第3年齢層に該当する人や、妊婦、病人などであってよい。病人とは発熱症状を有する人物であって良い。
【0108】
<作動例(4)>
自動運転ECU30は、車線変更に係る横移動の進め方であるLC様式として、第1状況においては連続移動を採用する一方、第2状況においては段階移動を採用するように構成されていても良い。LC用ルールは、図12に示すように、LC様式を指定するデータを含んでいても良い。
【0109】
連続移動は、図13に示すように、現行レーンの中心から目標レーンまでの中心までの横移動を休止することなく完了させることを指す。図13図15に示す「TL」は目標レーンを表し、CLは現行レーン(移動元レーン)を表している。
【0110】
一方、段階移動は、図14に示すように現行レーンの中心から目標レーンまでの中心までの横移動を段階的に実施することを指す。段階移動は、第1休止状態と第2休止状態とを含む。休止状態とは、横移動を一時休止した状態であって、目標レーンと移動元レーンの間にある境界線に対する自車両の横位置を一定とし続ける状態である。
【0111】
第1休止状態は、目標レーン側(例えば右)の車輪が境界線を踏んでいる/隣接している状態であって良い。目標レーン側の車輪が境界線に隣接している状態とは、境界線と車輪との距離が0.1m以内である状態であってよい。第1休止状態は遷移前休止状態と言い換えられてよい。自動運転ECU30は、段階移動においては、移動方向にある自車両の側面/前輪が境界線と重なったタイミングで操舵角を0度に戻し、横移動を一時休止する。休止状態の継続時間は2秒や2.5秒、3秒などであってよい。休止状態が長すぎると、周辺車両のドライバが困惑しうる。休止状態の継続時間は4秒以下であってよい。自動運転ECU30は、第1休止状態の継続時間が満了したタイミングで目標レーンに向けた横移動を再開させる。
【0112】
第2休止状態は、移動元レーン側(例えば左)の車輪が境界線を踏んでいる/隣接している状態であって良い。第2休止状態は遷移後休止状態と言い換えられてよい。自動運転ECU30は、移動元レーン側の前輪が境界線と重なったタイミングで操舵角を0度に戻し、横移動を一時休止する。第2休止状態の継続時間もまた2秒や3秒などであってよい。自動運転ECU30は、第2休止状態の継続時間が満了したタイミングで目標レーンの中心に向けた横移動を再開させる。
【0113】
上記のような段階移動では、全体としての横移動量は変わらずとも、1回当たりの横移動量が小さくなる。本開示の開発者らは、自動運転バスの乗車試験を実施したところ、次の知見を得た。すなわち、移動元レーンの中心から目標レーンの中心まで一気に移動する場合よりも、段階的に移動したほうが、乗員は横移動していることを感じにくいといった知見を得た。よって段階移動を実施することにより、乗員の不安感を低減する効果が期待できる。また、段階移動に依れば、自動運転バスHvが車線変更しようとしていることを認識しやすくなるため、安全性が高まる効果も期待できる。ただし、段階移動では、車線変更の開始から終了までに少なくとも1回の休止状態を挟むため、車線変更の開始から終了までの時間は長くなりうる。段階移動を採用することは、車線変更を開始してから終了するまでの時間が長くなるように時刻毎の制御パラメータを決定することに対応する。
【0114】
なお、横移動を一時停止する回数である休止回数は、2回に限らず、段階移動の休止回数は、図15に示すように1回であってもよい。横移動を休止するタイミングを本開示では休止タイミング又はオフセットポイントとも称する。休止タイミングは、目標レーン側の車輪が境界線に重なったタイミング、又は、目標レーン側の車輪が境界線に隣接したタイミングに限定されない。車体が目標レーン側に所定量はみ出たタイミング、換言すれば車体が境界線をまたいでいる状態であってもよい。段階移動は、移動元レーンと目標レーンとの境界線に対する自動運転バスHvの横位置が所定位置となったタイミングで一時的に目標レーンに向けた横移動を休止する工程を少なくとも1回含んでいればよい。本開示では目標レーン内に車体が入る前、つまり移動元レーンにおいて横移動を休止することを遷移前オフセット又は遷移前休止と称する。また、目標レーンに車体の一部又は全部が入った状態で横移動を休止することを遷移後オフセット又は遷移後休止と称する。また、本開示では移動元レーン内での休止と目標レーン内での休止とを含む段階移動を2段階移動と称し、休止状態を1回だけ含む段階移動を1段階移動と称する。1段階移動において、横移動を休止するタイミングは、上記の通り、目標レーン側の車輪が境界線を踏んだ/隣接したタイミングであってもよいし、その他のタイミングであってもよい。
【0115】
LC様式は、車線変更の遂行パターンと言い換えられて良い。LC様式を設定することは、車線変更の遂行パターンを設定することに相当する。LC様式の指定は、フラグなどによって実現されて良い。LC様式を指定するフラグをLCパターンフラグとも称する。プロセッサ31は、LCパターンフラグが0の場合には遂行パターンを連続移動に設定し、LCパターンフラグが1の場合には遂行パターンを段階移動に設定するよう構成されていてよい。LCパターンフラグもまた、制御パラメータの1つと解されて良い。
【0116】
なお、LC様式として連続移動を採用することは、横移動を休止することなく車線変更を完了させる制御設定を適用することに相当する。また、LC様式として連続移動を採用することは、目標レーンに向けた横移動を休止することなく完了するように車線変更の遂行パターンを設定することに相当する。LC様式として段階移動を採用することは車線変更の途中で一時的に目標レーンに向けた横移動を休止する制御設定を適用することに対応する。換言すれば、LC様式として段階移動を採用することは、車線変更の途中で一時的に横移動を休止するように車線変更の遂行パターンを設定することに相当する。車線変更の途中とは、目標レーンに向かう途中、例えば目標レーンの中心に向かう途中と解されて良い。目標レーンに向けた横移動とは、目標レーンの中心に向けた横移動であってよい。車線変更における目標レーン内の目標地点は、目標レーンの中心から所定量ずれた地点であってもよい。目標地点はシーンに応じて動的に設定されてもよい。目標地点は、目標レーンにおける先行車の横位置に応じて決定されて良い。
【0117】
図16は、上記の自動運転ECU30の作動例を示すフローチャートであって、ステップS311~S314を含む。ステップS311は、ステップS102に対応するステップであって、プロセッサ31が運行管理ECU20から提供される乗員情報に基づき、車内状況が特定状況に該当するか否かを特定するステップである。ここでの特定状況は、立っている乗員が存在する状況や乗員数が乗員数用閾値を超過している状況など、任意の状況であってよい。
【0118】
プロセッサ31は、車内状況が特定状況に該当する場合(S312 YES)、段階移動の様式にて車線変更を実施する(S313)。ステップS313は制御ルールとして第2状況用ルールを適用するステップと解されて良い。また、プロセッサ31は、車内状況が特定状況に該当しないと判定した場合(S312 NO)、連続移動の様式にて車線変更を実施する(S314)。ステップS314は制御ルールとして第1状況用ルールを適用するステップと解されて良い。ステップS312~S314は上述した種々のフローチャートと適宜組み合わせて/代替的に実行されて良い。
【0119】
<作動例(5)>
プロセッサ31は、車内における乗員の位置分布に応じて、車線変更時の制御ルールを変更してもよい。一般的に、車両の中心から離れた場所ほど、乗員に作用する加速度が大きくなる。自動運転バスHvには、他の場所に比べて乗員に加速度が作用しやすいエリアである特定エリアが設定されていても良い。自動運転バスHvの中心とは、前輪と後輪の中間地点から、所定量前方寄りとなる箇所であってよい。自動運転バスHvの中心は、自動運転バスHvの重心であって良い。自動運転バスHvの中心が前方エリアに場合、後方エリアが特定エリアとなりうる。特定状況は、特定エリアに存在する乗員の数である特定エリア乗員数が所定値以上である状況であってもよい。以下では、後方エリアが特定エリアである場合について、図17を用いて例示する。図17に示すフローチャートは、ドアを閉めたタイミングあるいは発進したタイミングで実施されて良い。
【0120】
図17に示すステップS321は、プロセッサ31が、車内における乗員毎の位置を取得し、車内状況が特定状況に該当するか否かを特定するステップである。ここでの特定状況は、後方エリアに存在する乗員の数(つまり特定エリア乗員数)が所定の切替閾値以上である状況であってよい。図17中のRP_Numは特定エリア乗員数を表しており、ThRPは、切替閾値を示している。
【0121】
プロセッサ31は、特定エリア乗員数が切替閾値以上である場合(S322 YES)、制御ルールとして第2状況用ルールを適用する(S323)。一方、プロセッサ31は、特定エリア乗員数が切替閾値未満である場合(S322 NO)、制御ルールとして第1状況用ルールを適用する(S324)。
【0122】
以上の構成によれば、特定エリア乗員数が切替閾値以上である場合には、特定エリア乗員数が切替閾値未満である場合に比べて、自動運転ECU30は緩やかに目標レーンへの横移動を行う事となる。よって、車内に車酔いした乗員が発生する恐れを低減できる。
【0123】
なお、プロセッサ31は、特定エリア乗員数が増大するにつれて、標準加速度や標準操舵速度といった、実効的な制御パラメータの絶対値を徐々に小さくしてもよい。図18は、特定エリア乗員数の増加に伴う標準加速度の変更例を示すグラフである。図18の横軸は特定エリア乗員数を、縦軸は標準加速度を表している。ThRP1、ThRP2は、標準加速度の値を変更するための特定エリア乗員数を表している。ThRP1は1人、ThRP2は3人などに設定されてよい。a21、a22、a23は、自動運転制御に適用される標準加速度を示している。a21、a22、a23は、max>a21>a22>a23の関係を有する。maxは最大加速度の設定値である。a21は1.2m/s^2、a22は1.0m/s^2、a23は0.8m/s^2などに設定されていて良い。図18では標準加速度を3段階変化させるパターンを示しているが、標準加速度を変化させる段階数は、2段階であってもよいし、4段階以上であっても良い。標準操舵速度/操舵量も特定エリア乗員数が多いほど小さくなるように変更されて良い。
【0124】
<作動例(6)>
プロセッサ31は、車内状況として、自動運転バスHvの利用が初めてユーザ/慣れていないユーザが乗車しているか否かを判定して良い。自動運転バスHvの利用が初めてユーザ/慣れていないユーザは、自動運転バスHvの利用に慣れているユーザに比べて、自動的な車線変更に対して不安を覚えやすい。プロセッサ31は、乗員の中に自動運転バスHvに慣れていないユーザがいる場合には、通常時よりもゆっくりと横移動を実施するように構成されていても良い。換言すれば、乗員の中に自動運転バスHvに慣れていないユーザが存在する状況が、特定状況に設定されていてよい。
【0125】
自動運転バスHvの挙動にユーザが慣れている度合い(以降、習熟度)は、乗員の自動運転バスサービスの利用回数によって概略的に評価可能である。よって、プロセッサ31は、乗員ごとの利用回数の最小値である最小利用回数が所定値を超過しているか否かに応じて、自動運転そのものあるいは自動運転による車線変更にかかる制御パラメータを変更しても良い。特定状況は、最小利用回数が所定値以下である状況であってもよい。
【0126】
図19は上記の技術的思想に対応するプロセッサ31の作動を示すフローチャートであって、ステップS331~S335を含む。図19に示すステップS331は、プロセッサ31が、乗員情報として、乗員毎の利用回数を取得するステップである。乗員の利用回数は、ユーザデータベース81を参照することにより特定されて良い。また、乗員の利用回数は、ユーザ端末9から取得しても良い。
【0127】
ステップS332は、ステップS331で取得した乗員毎の利用回数のうち、最も小さい値を最小利用回数として取得するステップである。ステップS333は、最小利用回数が所定の閾値を超過しているか否かを判定するステップである。図中の「MinN」は最小利用回数を、「ThN」は利用回数に対する閾値を示している。利用回数に対する閾値(ThN)は4回や6回などに設定されていて良い。ステップS333は、車内状況が特定状況に該当するか否かを判定するステップと解されて良い。
【0128】
プロセッサ31は、最小利用回数が閾値以上である場合(S333 YES)、制御ルールとして第2状況用ルールを適用する(S334)。一方、プロセッサ31は、最小利用回数が閾値未満である場合(S333 NO)、制御ルールとして第1状況用ルールを適用する(S335)。
【0129】
なお、他の態様として、プロセッサ31は、最小利用回数が大きいほど、標準加速度や標準操舵速度といった、実効的な制御パラメータの絶対値を大きくするように構成されていても良い。
【0130】
<作動例(7)>
車内にはユーザ端末9の操作等により、車外を見ていない乗員が存在することが想定される。車外を見ていない乗員は、車外を見ている乗員に比べて、自動運転バスHvがもうすぐ車線変更しそうかどうかを予測しにくい。よって、車外を見ていない乗員は、車外を見ている乗員に比べて、車線変更や旋回等によってふらつきやすい。
【0131】
そのような事情からプロセッサ31は、車外を見ていない乗員の数/比率が所定値以上である場合には、車外を見ていない乗員の数/比率が所定値未満である場合に比べて、操舵速度/操舵量等を小さくしてもよい。車内状況は、車外を見ていない乗員の数/比率を含んでいて良い。また、車外を見ていない乗員の数/比率が所定値以上である状況が、特定状況であってよい。
【0132】
図20は、上記技術的思想に対応するプロセッサ31の作動を示すフローチャートであって、ステップS341~S345を含む。図20に示すステップS341は、プロセッサ31が、乗員情報として、車外を見ている乗員の数を取得するステップである。乗員が車外を見ているか否かは、車内カメラ171の映像を解析することで定まる乗員の顔の向きに基づいて判定されて良い。プロセッサ31は、車内カメラ171の映像信号を解析することにより、車両状況の情報として車外を見ていない乗員の数/比率を取得してよい。
【0133】
ステップS342は、車外を見ていない乗員の数/比率を算出するステップである。車外を見ていない乗員の比率とは、車内にいる乗員の総数に対する車外を見ていない乗員の数の割合に相当する。ステップS343は、車外を見ていない乗員の数/比率が所定の閾値以上であるか否かを判定するステップである。図中の「X」は車外を見ていない乗員の数/比率を表しており、「ThX」は車外を見ていない乗員の数/比率に対する閾値を示している。車外を見ていない乗員の数に対する閾値(ThX)は、3や5などに設定されていて良い。車外を見ていない乗員の比率に対する閾値は0.3や0.5などに設定されていて良い。ステップS343は、車内状況が特定状況に該当するか否かを判定するステップと解されて良い。
【0134】
プロセッサ31は、車外を見ていない乗員の数/比率が閾値以上である場合(S343
YES)、制御ルールとして第2状況用ルールを適用する(S344)。一方、プロセッサ31は、車外を見ていない乗員の数/比率が閾値未満である場合(S343 NO)、制御ルールとして第1状況用ルールを適用する(S345)。
【0135】
上記のプロセッサ31は、車外を見ていない乗員の数/比率が大きいほど、標準加速度や標準操舵速度といった、実効的な制御パラメータの絶対値を小さくする構成の一例に相当する。
【0136】
ところで、プロセッサ31は、ユーザ端末9を操作中の乗員を、車外を見ていない乗員と見なしてよい。ユーザ端末9を操作中か否かは、バスアプリから送信されてくる画面の点灯状態に係る情報に基づいて特定されて良い。ステップS342はユーザ端末9を操作中の乗員の数/比率を取得するステップであっても良い。プロセッサ31は、ユーザ端末9を操作中の乗員の数/比率が多いほど、標準加速度や標準操舵速度、操舵量といった、実効的な制御パラメータの絶対値を小さくしてもよい。車内カメラ171の映像信号又はユーザ端末9からの信号が、車外を見ていない乗員の数又は比率に関連する状況信号に相当する。
【0137】
<作動例(8)>
プロセッサ31はLCカウント値が所定の所定値以下である場合には、制御パラメータの絶対値を相対的に小さい値に低減するように構成されても良い。換言すれば、プロセッサ31は、LCカウント値が大きくなるにつれて、標準加速度や標準操舵速度といった、実効的な制御パラメータの絶対値を徐々に大きくしてもよい。上記の制御態様によっても、自動運転バスHvの利用が初めてユーザ/慣れていないユーザの不安感を軽減可能となる。
【0138】
LCカウント値は、ユーザの乗り/降りのための停車地点を出発してから車線変更を実施した回数を示す変数である。つまり、LCカウント値が車線変更の実行回数を示す。プロセッサ31は、車線変更を実施する度にLCカウント値をインクリメントする。また、プロセッサ31は、新たな乗客が乗車する度に、LCカウント値を0に戻しても良い。当該構成は、プロセッサ31は、出発直後は加減速/操舵量に係る制限を厳しくし、経時的に制限を緩和する構成に相当する。
【0139】
図21は、LCカウント値の増加に伴う操舵速度の変更例を示すグラフである。図21の横軸はLCカウント値を、縦軸は操舵速度を表している。T1、T2は、操舵速度の値を変更するための時間を表している。C1は2、C2は6などに設定されてよい。s21、s22、s23は、自動運転制御に適用される標準操舵速度を示している。s21、s22、s23は、msx>s21>s22>s23の関係を有する。msxは最大操舵速度である。s23はLCカウント値が第1回数(C1)を超過するまで適用される操舵速度である。s22はLCカウント値が第1回数(C1)を超過してから第2回数(C2)を超過するまで適用される操舵速度である。s21はLCカウント値が第2回数(C2)よりも大きい場合において適用される操舵速度である。
【0140】
図21では操舵速度を3段階変化させるパターンを示しているが、操舵速度を変化させる段階数は、2段階であってもよいし、4段階以上であっても良い。プロセッサ31は、標準加速度、標準減速度などについてもLCカウント値の増大に伴って段階的に/連続的に大きくしてよい。プロセッサ31は、許容ヨーレートや許容ジャークなどの制御パラメータについても、LCカウント値の増大に伴って、一定の範囲内で徐々に大きくしてよい。
【0141】
<作動例(9)>
自動運転バスHvが停車予定地点の直前で車線変更すると、停車予定地点で自動運転バスHvの到着を待っている人を驚かせてしまう恐れがある。そのような事情から、自動運転ECU30は、停車予定地点から所定距離以内となる道路区間である停車準備区間で車線変更する場合には、停車準備区間外で車線変更する場合よりも、緩やかに横移動を実施することが好ましい。停車準備区間は、停車予定地点までの残り距離が50m未満となる区間であってよい。停車予定地点は、バス停など、ユーザの乗車/下車が行われる地点である。
【0142】
図22は、上記技術的思想に対応するプロセッサ31の作動を示すフローチャートであって、ステップS401~S402を含む。図22に示す処理フローは、定期的に実行されてよい。図22に示すステップS401は、プロセッサ31が、ロケータ13からの入力信号に基づいて自動運転バスHvの現在位置を示す情報(例えば緯度、経度)取得するステップである。ステップS402は、停車予定地点を取得するステップである。停車予定地点は、管制センタ8から取得しても良いし、自動運転ECU30に事前登録されていてもよい。
【0143】
ステップS403は、ステップS401で取得した現在位置を示す情報と、ステップS402で取得した停車予定地点とに基づいて、現在走行している地点が停車準備区間に該当するか否かを判定する。具体的にはプロセッサ31は、現在位置の情報と停車予定地点の情報とから停車予定地点までの残り距離を算出し、当該残り距離が所定値未満である場合に、現在位置が停車準備区間と判定してよい。
【0144】
プロセッサ31は、現在位置が停車準備区間に該当する場合(S403 YES)、LCルールとして第2状況用ルールを選択する(S404)。一方、プロセッサ31は、現在位置が停車準備区間に該当しない場合(S403 NO)、車内状況に応じた制御ルールを適用する(S405)。現在位置が停車準備区間に該当せず、且つ、車内状況が特定状況でもない場合、プロセッサ31はLCルールとして第1状況用ルールを選択する。
【0145】
なお、現在位置が停車準備区間に該当する場合に適用するLCルールは、第2状況用ルールよりもさらに横移動が緩やかに行われるように操舵速度等が設定された、第3状況用ルールであってもよい。操舵速度や操舵量が小さいほど、あるいは、車速が小さいほど、目標レーンへの横移動が緩やかに行われうる。第3状況用ルールは、第1状況用ルールよりも、標準速度が抑制されたルールであってよい。また、第3状況用ルールは、第1状況用ルールよりも目標レーンへの入射角が小さくなるように設定されたルールであってよい。
【0146】
上記のようにプロセッサ31は、現在位置が停車準備区間に該当する場合には、現在位置が停車準備区間に該当しない場合よりも、加減速又は操舵にかかる制御パラメータの絶対値を低く設定してよい。その他、プロセッサ31は、現在位置が停車準備区間に該当する場合には、車線変更が完了した時点での停車予定地点までの残り距離がなるべく大きくなるように制御計画を作成しても良い。車線変更の実施地点が停車予定地点から離れているほど、停車予定地点で待っているユーザが自動運転バスHvの挙動に対して不安を覚える恐れを低減できる。上記のように車両状況の情報は、現在位置、走行経路、及び、停車予定地点にかかる情報を含んでいて良い。状況信号は、現在位置を示す信号、及び、地図データ信号を含んでいて良い。
【0147】
<報知制御について>
プロセッサ31は、車線変更の予告や、停車の予告、右折/左折の予告など、車両挙動にかかる報知を乗員に向けて実施する。プロセッサ31は、車内状況に応じて、車線変更の報知を行うタイミング及び報知態様を変更しても良い。報知態様の変更は、音声出力の有無、車内ディスプレイ15へ表示する画像の大きさ、ユーザ端末9のディスプレイへの表示の有無などを変更することに対応する。報知態様を変更することは、車線変更の報知の強度を変更することに対応する。音声出力を伴う報知は、音声出力を伴わない報知よりも報知強度は高い。また、車内ディスプレイ15に表示する画像のサイズが大きいほど/輝度が高いほど、報知強度は高まる。さらに、表示画像を点滅させることは、表示画像を点滅させない場合よりも報知強度は高い。
【0148】
プロセッサ31は、図23に示すように、乗員数が所定値以上である場合(S501 YES)、車線変更報知の音量レベルを2に設定し(S502)、乗員数が所定値未満の場合には音量レベルを1に設定してよい(S503)。ステップS501は、乗員数が所定値以上であるか否かをプロセッサ31が判定するステップである。音量レベルは値が大きいほど、音量が大きいことを意味するパラメータである。乗員が多い場合には、乗員同士の会話により、音声アナウンスが聞き取りづらくなることが予想され。乗員が多い場合には音量を上げることにより、乗員が音声アナウンスを聞き逃す恐れを低減できる。
【0149】
また、第3年齢層の乗員の中には、聴力が低下している人がいる可能性がある。そのような事情から、プロセッサ31は、乗員の中に第3年齢層の人がいる場合には、乗員の中に第3年齢層の人がいない場合よりも音量レベルを上げても良い。当該制御によれば、聴力が低下している乗員が、音声アナウンスを聞き逃す恐れを低減できる。
【0150】
プロセッサ31は、ユーザ端末9を操作している乗員の数又は比率が所定値以上である場合には、音を用いた車線変更報知は行わないようにしてもよい。つまり、プロセッサ31は、ユーザ端末9を操作している乗員の数又は比率が所定値以上である場合には、車線変更報知として、車線変更することを予告する音声アナウンスは出力しないように構成されていてよい。プロセッサ31は、ユーザ端末9を操作している乗員の数又は比率が所定値以上である場合、車内ディスプレイ15には目立たない態様で車線変更を実施することを示す画像を表示しても良い。上記の制御態様によれば、ユーザ端末9上でマルチメディアを楽しんでいる乗員にわずらわしさを感じさせてしまう恐れを低減できる。ユーザ端末9を操作している乗員は、携帯端末を操作している乗員と解されて良い。
【0151】
図24は上記技術的思想に対応するプロセッサ31の作動を示すフローチャートであってステップS511~S514を含む。ステップS511は、運行管理ECU20からユーザ端末9を操作している乗員の数又は比率を取得するステップである。プロセッサ31は、ユーザ端末9からの信号をもとに、車両状況の情報としてユーザ端末9を操作している乗員の数/比率を取得してよい。プロセッサ31は、車内カメラ171の映像信号を解析することにより、ユーザ端末9を操作している乗員の数/比率を取得してもよい。
【0152】
ステップS512は、ユーザ端末9を操作している乗員の数又は比率が所定の閾値を超過しているか否かを判定するステップである。図中の「X1」はユーザ端末9を操作している乗員の数又は比率を表している。また「ThX1」はユーザ端末9を操作している乗員の数又は比率に対する閾値を表している。プロセッサ31は、ユーザ端末9を操作している乗員の数又は比率が閾値以上である場合には音声なし報知を実施する一方(S513)、ユーザ端末9を操作している乗員の数又は比率が閾値未満である場合には音声あり報知を実施してよい。音声なし報知とは、音声メッセージの出力を伴わない報知であって、車内ディスプレイ15への画像表示であってよい。音声あり報知とは、音声メッセージの出力と車内ディスプレイ15への画像表示の両方による報知であってよい。他の態様として、プロセッサ31は、ユーザ端末9を操作している乗員の数又は比率が閾値以上である場合には、車線変更にかかる報知を完全に停止してもよい。
【0153】
<変形例>
以上ではプロセッサ31が、車内状況に応じて、車線変更にかかる制御パラメータの設定値を変更する構成について述べた。他の実施形態において、プロセッサ31は、自車両の外部状況に応じて車線変更にかかる制御パラメータの設定値を変更するように構成されていてもよい。車両状況は外部状況を含んでいてよい。外部状況は、走行路の種別、走行路の幅、路面状態、天気、現行レーンの交通状況、及び、隣接レーンの交通状況の一部又は全部を含んでいて良い。現行レーンの交通状況は、先行車との距離、及び、後続車との距離の少なくともいずれか一方を含んでいてよい。先行車は、現行レーンにおいて自車両の前方を走行している他車両のうち、自車両から最も近い位置にある他車両を意味する。後続車は、現行レーンにおいて自車両の後方を走行している他車両のうち、自車両から最も近い位置にある他車両を意味する。隣接レーンは、現行レーンの右側(左側)に隣接するレーンを意味する。隣接レーンの交通状況とは、隣接レーン上を走行する他車両の位置及び走行速度を含んでいて良い。
【0154】
プロセッサ31は、走行路の種別に応じて、制御パラメータの設定値を変更してよい。ここでの走行路とは、自車両が走行している道路であってよい。また、走行路は、車線変更を行う際に自車両が走行している道路と解されても良い。走行路の種別は、自動車専用道路と一般道路を含んでいてよい。自動車専用道路とは、歩行者や自転車の進入が禁止されている道路である。高速道路といった有料道路が自動車専用道路である。一般道路とは、自動車専用道路ではない道路と解されて良い。プロセッサ31は、地図データに基づいて走行路の種別を特定して良い。プロセッサ31は、ロケータ13から走行路に関する情報を示す信号を状況信号として受信して良い。走行路に関する情報は、走行路の種別又は幅などを含んでいて良い。以降における道路種別とは主として走行路の種別を意味する。また、道路幅とは走行路の幅を意味する。
【0155】
プロセッサ31は、自動車専用道路を走行している場合には、一般道路を走行している場合に比べて、時間をかけて(緩やかに/ゆっくりと)車線変更するように設計されていてよい。例えばプロセッサ31は、自動車専用道路では、一般道路に比べて、より小さい操舵量及び操舵速度で車線変更を実施するように構成されていて良い。また、プロセッサ31は、自動車専用道路では、一般道路に比べて、許容する横加速度の上限値を小さく設定してよい。
【0156】
図25は当該思想に基づくプロセッサ31の作動例を示すフローチャートであって、ステップS611~S614を含む。ステップS611はプロセッサ31が地図データを参照し、道路種別を取得するステップである。ステップS611は、1分ごとなど、定期的に実行されて良い。ステップS612は、ステップS611を受けて、走行路が自動車専用道路であるか否かを判定するステップである。走行路が自動車専用道路であると判定した場合(S612 YES)、プロセッサ31はステップS613にて第2状況用ルールを適用して良い(S613)。また、走行路が自動車専用道路ではないと判定した場合(S612 NO)、プロセッサ31はステップS614にて第1状況用ルールを適用して良い(S614)。自動車専用道路では一般道路に比べて走行速度が大きい可能性が高い。自動車専用道路は一般道路に比べて交通の流れが早い。自動車専用道路では一般道路に比べてゆっくりと車線変更することで乗員に安心感を与える効果が期待できる。また、一般道路では自動車専用道路に比べて速やかに車線変更することで、周辺車両のドライバに違和感やストレスを与える恐れを低減する効果が期待できる。
【0157】
なお、一般道路は、第1の一般道と第2の一般道とに区分されていて良い。第1の一般道は、センターラインが設けられている道路であってよい。第1の一般道路は、幹線道路又は主要道路と呼ばれうる。第1の一般道路は、片側2車線以上の道路であってもよい。第2の一般道は、センターラインのない道路、換言すれば車線のない道路であってよい。第2の一般道は、生活道路と呼ばれうる。他の実施形態においては、道路幅が所定値を超える一般道路が第1の一般道と定義され、道路幅が所定値以下の一般道路が第2の一般道と定義されていても良い。その他、一般道は、2種類ではなく、3つ以上に細分化されていてよい。第1の一般道は片側3車線以上の道路であり、第2の一般道は片側2車線の道路であり、第3の一般道はその他の道路であってよい。このように一般道路は、車線数又は道路幅に応じて2つ以上に細分化されていてよい。プロセッサ31は第1の一般道においては第2の一般道に比べて、車線変更の開始から完了までの時間が長くなるように横移動にかかる制御パラメータを設定してよい。このようにプロセッサ31は、道路幅が広いほど、車線変更の開始から完了までの時間が長くなるように横移動にかかる制御パラメータを設定してよい。
【0158】
プロセッサ31は、道路幅に応じて、制御パラメータを変更してよい。プロセッサ31は、ロケータ13等からの信号に基づいて、車両状況の情報として道路幅情報を取得してよい。プロセッサ31は、道路幅が所定の幅閾値以上である場合には、道路幅が幅閾値未満である場合に比べて、時間をかけて(緩やかに/ゆっくりと)車線変更するように設計されていてよい。例えばプロセッサ31は、道路幅が幅閾値以上の道路を走行している場合では、道路幅が幅閾値未満の道路を走行している場合に比べて、より小さい操舵量及び操舵速度で車線変更を実施するように構成されていて良い。また、プロセッサ31は、道路幅が幅閾値以上の道路を走行中の場合は、道路幅が幅閾値未満の道路を走行中の場合に比べて、許容する横加速度の上限値を小さく設定してよい。道路幅が大きいほど、交通の流れは早くなりうる。幅が大きい道路では幅が小さい道路に比べてゆっくりと車線変更することで乗員に安心感を与える効果が期待できる。幅が小さい道路では幅が大きい道路に比べて速やかに車線変更することで、周辺車両のドライバに違和感やストレスを与える恐れを低減する効果できる。前述のステップS611は、プロセッサ31が地図データ又は外界センサ11からの信号に基づいて、道路幅を取得するステップであってもよい。前述のステップS612は、ステップS611を受けて、道路幅が幅閾値以上であるか否かを判定するステップであってよい。道路幅が幅閾値以上であると判定した場合、プロセッサ31はステップS613にて第2状況用ルールを適用して良い。また、道路幅が幅閾値未満であると判定した場合、プロセッサ31はステップS614にて第1状況用ルールを適用して良い。
【0159】
プロセッサ31は、車線変更を行う道路の種別又は幅に応じて、段階移動を行うか否かを変更して良い。例えばプロセッサ31は、自動車専用道路ではLC様式として段階移動を採用する一方、一般道路ではLC様式として連続移動を採用するように構成されていて良い。また、プロセッサ31は、自動車専用道路ではLC様式として2段階移動を採用し、第1の一般道路では1段階移動を採用し、第2の一般道では連続移動を採用するように構成されていて良い。プロセッサ31は、幅が所定値以上の道路ではLC様式として段階移動を採用する一方、幅が所定値未満の道路ではLC様式として連続移動を採用するように構成されていて良い。1段階移動に含まれる横移動の休止は、遷移後休止であってよい。もちろん、1段階移動に含まれる横移動の休止は、遷移前休止であってもよい。
【0160】
さらにプロセッサ31は、段階移動を行う場合、道路種別又は幅に応じて休止状態の継続時間を変更してよい。プロセッサ31は、自動車専用道路で段階移動を行う場合には、一般道路にて段階移動を行う場合よりも、休止状態の継続時間を所定量長く設定して良い。一般道路における休止状態の継続時間は1秒又は2秒であり、自動車専用道路における休止状態の継続時間は3秒又は4秒に設定されて良い。プロセッサ31は、走行路の規模が大きいほど、休止状態の継続時間を長くするように構成されていて良い。走行路の規模が大きいほどゆっくりと車線変更することで、乗員に不安を与えるおそれを低減できる。また、周囲の交通参加者も、自動運転バスHvの車線変更に対して適切に応答しやすくなる。
【0161】
プロセッサ31は、トリップを通して、車線変更にかかる車両挙動がなるべく均一となるように、制御パラメータを調整するよう構成されていて良い。例えばプロセッサ31は、目的地までの走行経路においてLC予定地点をすべて抽出し、LC予定地点ごとの横移動パラメータを決定する。LC予定地点は、右折、左折、分岐、又は合流のために、進路に応じたレーンへの移動が必要な地点である。車両状況の情報は、走行経路の情報として、LC予定地点を含んでいて良い。ここでの地点とは、一定値以上の長さを有する区間と解釈されて良い。
【0162】
横移動パラメータは、車線変更時の挙動を規定するパラメータである。操舵量、操舵速度、及び横加速度などが横移動パラメータに該当する。横移動パラメータは、必要な横移動量と、車線変更の制限時間によって決定されてよい。横移動パラメータは操舵量と操舵速度であってもよい。車線変更の制限時間とは、車線変更可能な期間の長さを表す。第1分岐点から第2分岐点までの間に車線変更を1回する必要がある場合、第1分岐点から第2分岐点までの所要時間が制限時間となりうる。当該制限時間は、第1分岐点から第2分岐点までの距離と、当該区間の平均速度によって算出されて良い。必要な横移動量とは車線変更を行わなければならない回数に対応する。第1分岐点を通過する際には第1レーンを走行し、かつ、第2分岐点を通過する際には第3レーンを走行予定の場合、必要な車線変更の回数は2となる。必要な車線変更の回数が多いほど1回の車線変更に割当可能な時間は短くなる。LC予定地点ごとの横移動パラメータは、道路構造などをもとに推定されて良い。走行経路の情報は、LC予定地点での道路構造を示すデータを含んでいて良い。
【0163】
プロセッサ31は、決定した横移動パラメータに基づいて、複数のLC予定地点のうち、最も横移動にかかる車両挙動(例えば操舵量)が大きくなる地点であるビジー地点を検出してよい。ビジー地点は、操舵速度又は横加速度が最大となる地点であってもよい。ビジー地点は、最大操舵地点に相当する。プロセッサ31は、ビジー地点での制御パラメータ(例えば操舵量)を、他の地点での車線変更にも適用してもよい。これは、車線変更時の車両挙動が道路ごとに変化すると乗員に違和感を与える恐れがあるといった懸念に基づいて導入される構成である。上記制御によれば、トリップを通して車両挙動が均一になりうる。その結果、車線変更時の振る舞いに乗員が不安を覚える可能性を低減できる。ここでのトリップとは出発から到着、または、自動運転開始から自動運転終了までの一連の走行を意味する。
【0164】
図26は上記思想に対応するプロセッサ31の作動例を示すフローチャートであって、ステップS621~S623を含む。ステップS621は、目的地に応じて決定された走行経路と地図データとに基づいて走行経路上のLC予定地点を抽出するステップである。ステップS621は、目的地の設定や、リルートに反応して実施されて良い。ステップS622は、複数のLC予定地点の中からビジー地点を特定するステップである。基本的な戦略としては、短期間で車線変更する必要がある地点が、ビジー地点となりうる。ステップS623は、ビジー地点の制御ルール(例えば操舵速度など)を他のLC予定地点に適用するステップである。当該構成によれば、LC予定地点での車両挙動が略均一化されうる。その結果、乗員が車両挙動に違和感を覚えたり、不安を感じたりするおそれを低減できる。
【0165】
しかしながら、上記構成では、ゆっくり車線変更すればいい区間においても急いで車線変更するケースが発生しうる。そのような事情から、車両挙動の均一化に際して、他の地点に適用可能な制御パラメータには、上限及び下限が設定されていて良い。ビジー地点での制御パラメータが所定範囲を逸脱している場合、その次に車両挙動が大きい地点での制御パラメータを他の地点での車線変更にも適用してよい。ビジー地点は、操舵量が所定値未満となるLC予定地点の中で、操舵量が最大となる地点であってよい。プロセッサ31は、横移動にかかる車両挙動が所定範囲に収まる地点のなかで車両挙動が最大となる地点の制御パラメータを、他の地点での車線変更にも適用するよう構成されていて良い。上記の構成によれば、乗員が車両挙動に違和感を覚えたり不安を感じたりするおそれをより一層低減できる。
【0166】
自動運転ECU30は、自動的に先行車を追い越す制御(以降、追越制御)を実施可能に構成されていて良い。例えば自動運転ECU30は、先行車の走行速度が自車両の設定車速よりも所定値以上小さく、かつ、隣接レーンに十分なスペースが存在する場合には、追越制御を実行するように構成されていて良い。プロセッサ31は、目的地到達のための車線変更だけでなく、追い越しや障害物回避のための車線変更を計画及び実施するように構成されていて良い。車両状況の情報は、車線変更の計画を含んでいてよい。
【0167】
追越制御は、追い越しレーンに移るための第1の車線変更と、追い越しレーンから元のレーンに戻るための第2の車線変更とを含む。以下では便宜上、追越制御を開始する前において自車両が走行しているレーンを巡航レーンと称し、巡航レーンに隣接するレーンを隣接レーンと称する。第1の車線変更は、巡航レーンから離脱する動きであることから、離脱の車線変更と言い換えられて良い。第2の車線変更は、巡航レーンへ戻る動きであることから、復帰の車線変更と言い換えられて良い。以下の隣接レーンは追い越しレーンと読み替えられて良い。左側通行の地域においては巡航レーンの右側レーンが隣接レーンとなりうる。隣接レーンは、追い越しための一時的に走行するレーンである。巡航レーンは、追い越しや障害物回避以外のシーンにおいて(つまり基本的に)、自車両が走行するレーンである。第1の車線変更において、巡航レーンが移動元レーンに相当し、隣接レーンが目標レーンに相当する。第2の車線変更において、隣接レーンが移動元レーンに相当し、巡航レーンが目標レーンに相当する。
【0168】
追い越しに伴う第1、第2の車線変更に対しても上記の制御は適用されてよい。例えば乗員数、乗車姿勢、又は健康状態といった車内状況に応じて、車線変更時にかかる車両挙動を変更させて良い。また、プロセッサ31は車内状況に応じて追越制御の実行条件を変更して良い。プロセッサ31は、乗員が多いほど、追越制御の実施条件である押越条件を厳しくしてよい。追越条件は、自車の設定車速と先行車の速度の差である速度差が閾値以上であることを含んでよい。速度差は、自車の設定車速から先行車の速度を減算した値であってよい。速度差は、接近速度であってもよい。追越条件が速度差の閾値を含む場合、追越条件を厳しくすることは、速度差の閾値を大きくすることを含んでいて良い。プロセッサ31は、乗員数が所定値未満であり、且つ、立っている乗員がいない場合、速度差の閾値をデフォルト値に設定する一方、乗員数が所定値以上である場合又は立っている乗員が存在する場合、速度差の閾値をデフォルト値よりも所定量大きい値に設定してよい。デフォルト値は10km/hなどであってよい。デフォルト値よりも所定量大きい値とは20km/hなどであってよい。追越条件は、隣接レーンにおける空きスペースの大きさを含んでいて良い。追越条件が空きスペースの大きさを含む場合、追越条件を厳しくすることは、追い越しに必要な空きスペースの大きさを増大させることを含んでいて良い。追越条件を厳しくすることは、追い越しに必要な空きスペースの長さを100mから150mに拡大することであってよい。上記構成によれば、自動運転バスHvは、車内が混んでいるほど追い越しを控えるように振る舞う。よって、乗員の転倒リスクを低減できる。
【0169】
また、追越条件を厳しくすることは、追越制御を禁止することを含んでいて良い。プロセッサ31は、乗員数が所定値未満であり、且つ、立っている乗員がいない場合には追越制御を許可する一方、乗員数が所定値以上である場合又は立っている乗員が存在する場合には追越制御を禁止してよい。他の実施形態においてプロセッサ31は、立っている乗員が存在しない場合には乗員数に関わらず、追越制御を必要に応じて実施するように構成されていて良い。また、プロセッサ31は、乗員数が所定値未満である場合には乗員の姿勢に関わらず、追越制御を必要に応じて実施するように構成されていて良い。上記の構成によれば、乗員の転倒リスクをより一層低減できる。
【0170】
図27は上記思想に対応するプロセッサ31の作動例を示すフローチャートであって、ステップS631~S633を含む。ステップS631は、運行管理ECU20から車内状況を示す信号を受信するステップである。ステップS631は定期的に実行されても良いし、所定のイベント検出時に実行されても良い。所定のイベントとしては、先行車との車間距離が所定値となったことなどであってよい。ステップS632は、受信した信号に基づいて車内状況を特定するステップである。ステップS633は、特定した車内状況に応じて追越制御の実行条件を変更するステップである。追越制御の実行条件を厳しくすることは、第1の車線変更の開始条件を厳しくすることであって良い。
【0171】
ところで、第1の車線変更を実施する前は、先行車によって先行車よりも前の交通状況をプロセッサ31は認識しにくい。第1の車線変更を実施して初めて先行車よりも先の交通状況を認識可能となるケースも想定される。特に、先行車がトラックなどの大型車である場合には、上記の傾向が顕著となる。加えて、プロセッサ31は、隣接レーンに移ってはじめて巡航レーンにおける先行車の前の交通状況を認識可能となることもありうる。第2の車線変更は、第1の車線変更以前においては認識できていない交通状況の中で行われうる。第2の車線変更は、第1の車線変更よりも難易度が高いケースがありうる。
【0172】
そのような事情から、第2の車線変更は、第1の車線変更に比べてより一層丁寧に実行することが好ましい。例えばプロセッサ31は、図28に示すように、第1の車線変更時は連続移動方式を適用し(S643)、第2の車線変更は段階移動方式を適用してよい(S645)。具体的には、プロセッサ31は、第2の車線変更時は、遷移前休止を含む段階移動によって、隣接レーンから巡航レーンに戻るように構成されていて良い。隣接レーンから巡航レーンに戻る過程に遷移前休止を含めることにより、巡航レーンを走行する車両のドライバに対して、車線変更の意思を伝えやすくなる。第2の車線変更は、遷移前休止に加えて、遷移後休止を含んでいても良い。なお、図28に示すステップS641は、追越制御の実行計画を取得するステップである。ステップS642は次に予定されている車線変更が第1の車線変更であるか否かを判定するステップである。ステップ643は第1の車線変更時には遂行パターンを連続移動に設定するステップである。また、ステップ644は第2の車線変更時には遂行パターンを段階移動に設定するステップである。追越制御は、1台だけを追い越す制御に限定されない。追越制御は、複数の車両を追い越す制御であっても良い。プロセッサ31は、隣接レーンに移動後において検知される巡航レーン上の空きスペースの横に移動してから、遷移前休止を含む第2の車線変更を実行するよう構成されていて良い。
【0173】
一方、交通状況によっては第2の車線変更を速やかに(連続的に)に実施する必要があるシーンも想定される。例えば隣接レーンを走行中、隣接レーン内の後続車両が急速に自車両に接近しているシーンなどである。そのような事情から、第2の車線変更に遷移前休止を含めるか否かは追い越しレーン上に後方車両が存在するかどうかで変更されて良い。自車両に接近中の後方車両が存在する場合には、遷移前休止を省略してもよい。自車両に接近中の後方車両は、TTC(time to collision)が所定値(例えば7秒)未満の後方車両と解されて良い。上記の構成によれば、後方車両のドライバに違和感を与えるおそれを低減できる。また、交通の流れを円滑にする効果が期待できる。
【0174】
その他、プロセッサ31は、第1の車線変更では車線変更の遂行パターン(つまりLC様式)を1段階移動に設定し、第2の車線変更では車線変更の遂行パターンを2段階移動に設定してもよい。第2の車線変更時には、第1の車線変更時に比べて、横移動の段階数(換言すれば休止回数)を増やすことにより、安全性を高めることができる。また、プロセッサ31は、第1の車線変更の休止状態に到達した際の外界センサ11の検出情報から、先行車の前が混雑していることを検出した場合、追越制御を中止してもよい。追越制御を中止する場合、プロセッサ31は、追越制御を中止することを車外向けディスプレイ18及び車内ディスプレイ15の少なくともいずれか一方に表示してよい。
【0175】
自動運転バスHvには保安員用の席である監視席が設けられていて良い。プロセッサ31は乗員センサ17の信号を元に監視席に保安員が着座しているか否かを判断してよい。車両状況の情報は、監視席に保安員が着座しているか否かを含んでいて良い。そして、プロセッサ31は、監視席に保安員が着座していないと判断した場合には、段階移動の様式で車線変更を実施する一方、監視席に保安員が着座していると判断した場合には、連続移動の様式で車線変更を実施して良い。監視席に保安員がいる場合、保安員が他の交通とコミュニケーションを取ったり、保安員が運転操作に介入したりすることにより、自車両と他車両との過剰接近を防ぐことが期待できるためである。なお、監視席に保安員が存在しているか否かを示す状況信号は、監視席に設けられた着座センサ173の出力信号又は車内カメラ171の映像信号であってよい。
【0176】
車線変更には、事前に計画された車線変更と、その場しのぎの車線変更が存在しうる。事前に計画された車線変更は、地図データに基づいて事前に計画された車線変更である。事前に計画された車線変更とは、地図データ又は路側機から配信される道路情報に基づいて、車線変更開始の30秒以上前(より好ましくは1分以上前)に計画された車線変更と解されて良い。前述のLC予定地点での車線変更が、事前に計画された車線変更である。事前に計画された車線変更は、走行経路に従った車線変更又は地図ベースの車線変更と言い換えられて良い。一方、その場しのぎの車線変更は、出発時には予見困難な障害物を回避するための車線変更である。出発時には予見困難な障害物は、地図に登録されていない障害物であって、外界センサ11や無線通信を用いて検出される障害物である。その場しのぎの車線変更は、アドホックな車線変更、又は臨時の車線変更と言い換えられて良い。なお、追い越しのための車線変更(例えば第1の車線変更)も、その場しのぎの車線変更に含まれて良い。
【0177】
障害物の回避等のためのその場しのぎの車線変更は、事前に計画された車線変更に比べて、準備期間が短くなりうる。また、その場しのぎの車線変更は、事前に計画された車線変更に比べて迅速に完了させる必要がある。そのような事情から、プロセッサ31は、事前に計画された車線変更とその場しのぎの変更とで、車線変更にかかる制御パラメータを変更してよい。プロセッサ31は、事前に計画された車線変更は段階移動の様式で実行する一方、その場しのぎの車線変更は連続移動の様式で実行するよう構成されていて良い。プロセッサ31は、上記処理を実行するために、車両状況の情報として、前方の障害物情報と、車線変更の計画とを取得してよい。障害物情報は、無線通信装置14又は外界センサ11からの信号に基づいて取得してよい。車線変更の計画は、外界センサ11等の信号に基づいてプロセッサ31自身が生成してよい。車線変更の計画は、運行管理ECU20又は管制センタ8から受信しても良い。制御計画は車線変更の計画を含んでいて良い。
【0178】
図29は車線変更のタイプに応じて制御パラメータを変更する処理の一例を示すフローチャートであってステップS651~S654を含む。当該フローチャートは、車線変更を開始する所定時間前に実行されて良い。ステップS651は、外界センサ11の出力信号をもとに前方の交通状況を取得するステップである。ステップS652は、ステップS651で取得した交通状況をもとに、予定されている車線変更が、その場しのぎの車線変更であるか否かを判定するステップである。プロセッサ31は、外界センサ11で障害物が検出されている場合、予定されている車線変更はその場しのぎの車線変更と判断して良い。プロセッサ31は、予定されている車線変更はその場しのぎの車線変更であると判断した場合(S652 YES)、ステップS653においてLC様式を連続移動に設定する。プロセッサ31は、予定されている車線変更が事前に計画された車線変更であると判断した場合(S652 NO)、ステップS653においてLC様式を段階移動に設定する。上記構成によれば障害物回避等のための車線変更は、速やかに実行されるため、自動運転バスHvが障害物に過剰接近するおそれを低減できる。また、走行経路に従った(つまり普段の)車線変更は、障害物回避のための車線変更よりもゆっくり実行されるため、乗員に安心感を高めることができる。なお、プロセッサ31は、外界センサ11で障害物が検出されたことを受けて計画された車線変更をその場しのぎの車線変更とみなしてよい。また、プロセッサ31は地図データや路側機から配信される交通情報をもとに計画された車線変更を事前計画された車線変更として取り扱ってよい。車線変更の目的は、フラグ等で管理させてもよい。
【0179】
その他、プロセッサ31は、走行時間に応じて、車線変更にかかる制御パラメータを変更して良い。ここでの走行時間は、停留所等を出発してからの経過時間であってよい。また、走行時間は、乗員の搭乗からの経過時間であっても良い。プロセッサ31は、ドアの開閉信号をもとに乗員の搭乗時刻を取得しても良いし、受付端末から乗車手続きを受け付けたことを示す信号を受信したことを受けて、搭乗時刻を取得してもよい。プロセッサ31は、着座センサ173又は車内カメラ171からの信号をもとに乗員の乗車を検出し、車両状況の情報として走行時間を管理して良い。走行時間もまた、走行シーンを構成する要素の1つと解されて良い。
【0180】
プロセッサ31は、走行時間が閾値未満である場合には車線変更の制御ルールとして第2状況用ルールを適用する。一方、プロセッサ31は、走行時間が閾値以上である場合には制御ルールとして第1状況用ルールを適用してよい。プロセッサ31は、走行時間が長くなるほど、標準操舵速度といった、横加速度に関連する制御パラメータの絶対値を大きくするように構成されていても良い。上記の構成によれば、乗員が乗った直後は、一定時間経過後に比べてゆっくりと車線変更が実施される。これにより、乗員に不安感を与える恐れを低減できる。また、一定時間経過後は、乗車直後に比べて短時間で車線変更を完了させる。これにより、周囲のドライバに違和感を与えるおそれを低減できる。
【0181】
本開示はドライバレスな自動運転車両に限らず、自動運転レベル3、4、又は5の自動運転可能に構成されたオーナーカーに適用されても良い。自動運転ECU30が、複数の自動運転レベルを変更可能に構成されている場合、プロセッサ31は、ドライバの操作信号に基づいて、自動運転レベルを制御してよい。プロセッサ31は、自動運転の開始を指示する操作信号を受信したことに基づいて、自動運転レベル4に設定し、自動運転制御を開始して良い。プロセッサ31は、自動運転レベルが所定値以上であるときに自動運転制御にかかる処理として、車両の走行を制御する。またプロセッサ31は、ドライバの運転操作(ブレーキやステアリング)を検知したことに基づいて、自動運転レベルを4から0(又は1、2)に設定して良い。プロセッサ31はドライバの操作信号に基づいて、自動運転レベル2相当の制御を実施してよい。自動運転レベル2においても、プロセッサ31は、ドライバが周辺を監視していることを条件に、自動的な車線変更(例えば追い越し)を実行する。
【0182】
プロセッサ31は、ステアリング等の操作部材からの信号又は管制センタ8からの信号をもとに、適用するべき自動運転レベルを判断し、その判断結果に応じた処理を実施してよい。このように車両状況の情報は、自動運転レベルの情報を含んでいて良い。プロセッサ31は、自動運転レベルに応じて車線変更に係る制御パラメータを変更して良い。プロセッサ31は、自動運転レベルが所定値(例えば3又は4)以上である場合には、車線変更の遂行パターンを段階移動に設定し、自動運転レベルが所定値未満である場合には、車線変更の遂行パターンを連続移動に設定するよう構成されていてよい。上記構成によれば、自動運転レベル2のときの自動的な車線変更制御は、ドライバの監視のもと実行されるため、連続移動によっても安全性を担保できる。また、自動運転レベル3又は4のときは、段階的に車線変更が実施される。これにより、安全性を高めることができる。
【0183】
<システム構成の変形例>
以上では図2に示すように自動運転ECU30と運行管理ECU20とが別の装置として構成されている態様について述べたがこれに限らない。運行管理ECU20が、自動運転ECU30の機能の一部又は全部を備えていても良い。また、図30に示すように運行管理ECU20が制御ルール変更部F2を備えていてもよい。その場合、自動運転ECU30は、制御ルール変更部F2から指示された制御ルールに従って自動運転を実施する。さらに、制御ルール変更部F2は、管制センタ8が備えていても良い。管制センタ8が、自動運転バスHvから受信する車内映像等に基づいて車内状況を特定し、車内状況に応じた制御パラメータを使用するように自動運転バスHvに指示してもよい。自動運転ECU30は管制センタ8から指示された制御パラメータを用いて自動運転を実施しても良い。自動運転ECU30において、制御計画を作成するプロセッサと、車両制御を実行するプロセッサは別であってもよい。プロセッサ31は、車線変更に係る制御パラメータを調整する機能は有するものの、車線変更の実行機能は有していなくとも良い。
【0184】
<付言(1)>
本開示には以下の技術的思想も含まれる。また、以下の種々の技術的思想に対応する車両制御方法及びプログラムもまた本開示に含まれる。
【0185】
[技術的思想1]
他の装置と通信するための通信インターフェース(34)と、
前記通信インターフェースを介して受信した信号に基づいて、車両の自動運転制御に関連する処理を実行する制御部(31)と、を備える車両制御装置であって、
前記制御部は、
前記通信インターフェースを介して車両状況を示す状況信号を受信することと、
前記状況信号に基づいて前記車両状況の情報を取得することと、
前記車両状況の情報に基づいて前記自動運転制御による車線変更のための加減速又は操舵に係る制御パラメータの値を調整することと、
調整後の前記制御パラメータの値を車線変更にかかる車両制御に反映させることと、を実施するように構成されている車両制御装置。
【0186】
[技術的思想2]
前記状況信号は、車内状況を示す信号である車内状況信号を含む、技術的思想1に記載の車両制御装置。
【0187】
[技術的思想3]
前記制御部は、
前記状況信号に基づいて前記車内状況が特定状況に該当するか否かを判断することと、
前記車内状況が前記特定状況に該当する場合、前記車内状況が前記特定状況に該当しない場合よりも、車線変更の開始から完了までの時間が長くなるように前記制御パラメータを設定することと、を実施するように構成されている、技術的思想2に記載の車両制御装置。
【0188】
[技術的思想4]
前記制御部は、
前記状況信号に基づいて前記車両の乗員数が所定数以上か否かを判断することと、
前記乗員数が前記所定数以上の場合には、前記乗員数が前記所定数未満の場合よりも、車線変更の開始から完了までの時間が長くなるように前記制御パラメータを設定することと、を実施するように構成されている、技術的思想2又は3に記載の車両制御装置。
【0189】
[技術的思想5]
前記状況信号に基づいて車内に立っている乗員が存在するか否かを判断することと、
前記車内に立っている乗員が存在する場合、前記車内に立っている乗員が存在しない場合よりも、車線変更の開始から完了までの時間が長くなるように前記制御パラメータを設定することと、を実施するように構成されている、技術的思想2から4のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0190】
[技術的思想6]
前記制御部は、
前記状況信号に基づいて前記車内状況が特定状況に該当するか否かを判断し、
前記車内状況が特定状況に該当する場合には、前記車内状況が特定状況に該当しない場合よりも、車線変更中の速度の変化度合いを小さくする、技術的思想2から5のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0191】
[技術的思想7]
前記制御部は、
前記状況信号に基づいて前記車内状況が特定状況に該当するか否かを判断し、
前記車内状況が特定状況に該当する場合には、車線変更の途中で一時的に目標レーンに向けた横移動を休止する制御設定を適用するように構成されている、技術的思想2から6のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0192】
[技術的思想8]
前記制御部は、
前記状況信号に基づいて前記車内において乗員が存在する場所の情報を取得することと、
乗員が存在する場所の情報に基づいて前記制御パラメータの値を調整することと、を実施するように構成されている、技術的思想2から7のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0193】
[技術的思想9]
前記制御部は、
前記状況信号に基づいて前記車両の特定エリアに存在する乗員の数である特定エリア乗員数を取得することと、
前記特定エリア乗員数の増加に伴って前記制御パラメータの絶対値を低下させることと、を実施するように構成されている、技術的思想2から8のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0194】
[技術的思想10]
前記車両は、前記自動運転制御によって乗員を目的地まで運ぶ輸送サービスに供される車両であって、
前記制御部は、
前記状況信号に基づいて乗員毎の前記輸送サービスの利用回数を取得することと、
乗員毎の前記利用回数の最小値である最小利用回数を取得することと、
前記最小利用回数が所定値以上である場合には、前記最小利用回数が所定値未満である場合よりも前記制御パラメータの絶対値を大きい値に設定すること、を実施するように構成されている、技術的思想2から9のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0195】
[技術的思想11]
前記制御部は、
前記状況信号に基づいて車外を見ていない乗員の数又は比率を取得することと、
前記車外を見ていない乗員の数又は比率が多いほど前記制御パラメータの絶対値を低下させること、を実施するように構成されている、技術的思想2から10のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0196】
[技術的思想12]
前記車両状況の情報は、前記車両が停車予定の地点である停車予定地点についての情報と、前記車両が走行している地点である現在位置についての情報を含み、
前記制御部は、
前記停車予定地点についての情報と前記現在位置についての情報とに基づいて、前記現在位置が前記停車予定地点から所定距離以内となる停車準備区間であるか否かを判定することと、
前記停車準備区間にて車線変更を実施する場合には、前記停車準備区間ではない道路区間にて車線変更をする場合よりも、車線変更のための前記制御パラメータの絶対値を低く設定することと、を実施するように構成されている、技術的思想1から11のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0197】
[技術的思想13]
前記制御部は、
前記車両の乗員に対しての車線変更を行うことの報知である車線変更報知を行うことと、
前記車内状況に基づいて前記車線変更報知のタイミング又は強度を変更することと、を実施するように構成されている、技術的思想2から12のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0198】
[技術的思想14]
前記制御部は、
前記車両の乗員に対しての車線変更を行うことの報知である車線変更報知を行うことと、
前記状況信号に基づいて前記車両の乗員数が所定数以上か否かを判断することと、
前記乗員数が前記所定数以上の場合、前記乗員数が前記所定数未満の場合よりも、前記車線変更報知の音量を大きくする、技術的思想2から13のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0199】
[技術的思想15]
前記制御部は、
前記車両の乗員に対しての車線変更を行うことの報知である車線変更報知を実施可能に構成されており、
前記状況信号に基づいて前記車内に存在する表示装置を見ている乗員の数又は比率が所定値以上か否かを判断し、
前記表示装置を見ている乗員の数又は比率が前記所定値未満である場合には、車線変更を行うことを報知するための音声メッセージを前記車両に搭載されたスピーカから出力させる一方、
前記表示装置を見ている乗員の数又は比率が前記所定値以上である場合には、前記音声メッセージをスピーカから出力させない、技術的思想2から14のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0200】
[技術的思想16]
前記状況信号は、前記車両が走行する道路である走行路に関する情報を示す信号を含み、
前記車両状況の情報は、走行路に関する情報を含む、技術的思想1から15のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0201】
[技術的思想17]
前記状況信号は、前記車両が走行する道路である走行路に関する情報を示す信号を含み、
前記車両状況の情報は、前記走行路に関する情報を含み、
前記制御部は、
前記走行路に関する情報に基づいて、前記走行路の種別を判断することと、
前記走行路が自動車専用道路である場合には、前記走行路が前記自動車専用道路でない場合よりも、車線変更の開始から完了までの時間が長くなるように前記制御パラメータを設定することと、を実施するように構成されている、技術的思想1から16のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0202】
[技術的思想18]
前記状況信号は、前記車両が走行する道路である走行路に関する情報を示す信号を含み、
前記車両状況の情報は、前記走行路の道路幅に関する情報を含み、
前記制御部は、
前記道路幅が前記閾値以上である場合には、前記道路幅が前記閾値以上でない場合よりも、車線変更の開始から完了までの時間が長くなるように前記制御パラメータを設定することと、を実施するように構成されている、技術的思想1から17のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0203】
[技術的思想19]
前記状況信号は、前記車両が走行する道路である走行路に関する情報を示す信号を含み、
前記車両状況の情報は、前記走行路の種別に関する情報を含み、
前記制御部は、
前記走行路が自動車専用道路である場合には、車線変更の途中で一時的に前記目標レーンに向けた横移動を休止するように、前記車線変更の遂行パターンを設定し、
前記走行路が前記自動車専用道路ではない場合には、前記横移動を休止することなく前記車線変更が完了するように前記車線変更の遂行パターンを設定するように構成されている、技術的思想1から18のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0204】
[技術的思想20]
前記状況信号は、前記車両が走行する道路である走行路に関する情報を示す信号を含み、
前記車両状況の情報は、前記走行路の道路幅に関する情報を含み、
前記制御部は、
前記道路幅が前記閾値以上である場合には、車線変更の途中で一時的に前記目標レーンに向けた横移動を休止するように、前記車線変更の遂行パターンを設定し、
前記道路幅が前記閾値未満である場合には、前記横移動を休止することなく前記車線変更が完了するように、前記車線変更の遂行パターンを設定するように構成されている、技術的思想1から19のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0205】
[技術的思想21]
前記車両は、運転操作の自動化のレベルである自動運転レベルを変更可能に構成されており、
前記車両状況の情報は、前記自動運転レベルを示す情報を含み、
前記制御部は、
前記自動運転レベルが所定値以上である場合には、車線変更の途中で一時的に前記目標レーンに向けた横移動を休止するように前記車線変更の遂行パターンを設定し、
前記自動運転レベルが所定値未満である場合には、前記横移動を休止することなく前記車線変更が完了するように前記車線変更の遂行パターンを設定するように構成されている、技術的思想1から20のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0206】
[技術的思想22]
前記車両状況の情報は、走行経路の情報を含み、
前記制御部は、
前記走行経路の情報に基づいて、前記車両が車線変更する地点である車線変更予定地点を取得し、
前記車線変更予定地点における操舵量を推定し
前記車線変更予定地点ごとの操舵量をもとに、前記操舵量が最大となる地点である最大操舵地点を特定し、
前記最大操舵地点での前記操舵量を、他の前記車線変更予定地点における前記操舵量に反映するように構成されている技術的思想1から21のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0207】
[技術的思想23]
前記最大操舵地点は、前記操舵量が所定値未満となる前記車線変更予定地点の中で、前記操舵量が最大となる地点である、技術的思想22に記載の車両制御装置。
【0208】
[技術的思想24]
前記車両の前記自動運転制御は、車線変更によって先行車を追い越す追越制御を含み、
前記追越制御は、前記巡航レーンから前記巡航レーンに隣接する隣接レーンへ移動するための第1の車線変更と、前記隣接レーンから前記巡航レーンへ戻るための第2の車線変更と、を含み、
前記車両状況の情報は、車線変更の計画を含み、
前記制御部は、
前記第1の車線変更では、前記横移動を休止することなく前記車線変更を完了させる制御設定を適用し、
前記第2の車線変更では、前記巡航レーンに向かう途中で一時的に前記巡航レーンに向けた横移動を休止する制御設定を適用するように構成されている技術的思想1から23のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0209】
[技術的思想25]
前記車両の前記自動運転制御は、前記車両が走行しているレーンである巡航レーンに存在する先行車を追い越す追越制御を含み、
前記追越制御は、前記巡航レーンから前記巡航レーンに隣接する隣接レーンへ移動するための第1の車線変更と、前記隣接レーンから前記巡航レーンへ戻るための第2の車線変更と、を含み、
前記車両状況の情報は、車線変更の計画を含み、
前記制御部は、
前記第1の車線変更では、横移動を少なくとも1回休止する制御設定を適用し、
前記第2の車線変更では、横移動を少なくとも1回休止する制御設定を適用し、
前記第2の車線変更における前記横移動の休止回数は、前記第1の車線変更における前記横移動の休止回数よりも多く設定するように構成されている技術的思想1から24のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0210】
[技術的思想26]
前記自動運転制御は、先行車を追い越す追越制御を含み、
前記追越制御は、前記巡航レーンから前記巡航レーンに隣接する隣接レーンへ移動するための第1の車線変更と、前記隣接レーンから前記巡航レーンへ戻るための第2の車線変更と、を含み、
前記状況信号は、前記自車両と前記隣接レーン上における後続車両との車間距離を示す信号をさらに含み、
前記車両状況の情報は、車線変更の計画と、前記車間距離を含み、
前記制御部は、
前記第2の車線変更を行う際に、前記車間距離が所定距離未満である場合には、前記横移動を休止することなく前記車線変更を完了させる制御設定を適用し、
前記第2の車線変更を行う際に、前記車間距離が所定距離以上である場合には、前記車線変更の途中で一時的に巡航レーンに向けた前記横移動を休止する制御設定を適用するように構成されている技術的思想1から23のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0211】
[技術的思想27]
前記状況信号は、前記車両の監視席に保安員が存在しているか否かを示す信号を含み、
前記車両状況の情報は、前記監視員が存在するか否かを含み、
前記制御部は、
前記監視員が存在しない場合には、前記車線変更の途中で一時的に前記目標レーンに向けた横移動を休止するように、前記車線変更の遂行パターンを設定し、
前記監視員が存在する場合には、前記横移動を休止することなく完了するように前記車線変更の遂行パターンを設定するように構成されている、技術的思想1から26のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0212】
[技術的思想28]
前記自動運転制御は、前記車両の走行レーン上に障害物が存在する場合に車線変更によって前記障害物を回避する回避制御を含み、
前記車両状況の情報は、前記車両の前方に障害物があるか否かと、車線変更の計画を含み、
前記制御部は、
前記車両状況の情報に基づいて、予定されている車線変更が前記障害物を回避するための臨時の車線変更であるか否かを判断し、
予定されている前記車線変更が前記臨時の車線変更であるか否かに応じて、前記制御パラメータを異ならせるように構成されている、技術的思想1から27のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0213】
[技術的思想29]
前記制御部は、
予定された前記車線変更が前記臨時の車線変更である場合には、横移動を休止することなく前記車線変更が完了するように前記車線変更の遂行パターンを設定し、
予定された前記車線変更が前記臨時の車線変更でない場合には、車線変更の途中で一時的に前記目標レーンに向けた横移動を休止するように前記車線変更の遂行パターンを設定するように構成されている、技術的思想28に記載の車両制御装置。
【0214】
[技術的思想30]
前記状況信号は、前記車両への乗員の搭乗を示す信号を含み、
前記車両状況の情報は、前記乗員の搭乗からの経過時間を含み、
前記制御部は、
前記経過時間が前記所定時間未満である場合には、前記経過時間が前記所定時間以上である場合よりも、車線変更の開始から完了までの時間が長くなるように前記制御パラメータを設定するように構成されている、技術的思想1から29のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0215】
[技術的思想31]
前記自動運転制御は、先行車を車線変更によって追い越す追越制御を含み、
前記状況信号は、車内状況を表す信号を含み、
前記車両状況の情報は、乗員の総数と、立っている乗員の有無を含み、
前記制御部は、
前記乗員の総数が閾値以上または前記立っている乗員が存在する場合には、前記乗員の総数が前記閾値未満かつ前記立っている乗員が存在しない場合に比べて、前記追越制御の実行条件を厳しくするように構成されている技術的思想1から30のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0216】
[技術的思想32]
前記自動運転制御は、先行車を車線変更によって追い越す追越制御を含み、
前記状況信号は、車内状況を表す信号を含み、
前記車両状況の情報は、乗員の総数と、立っている乗員の有無を含み、
前記制御部は、
前記乗員数が前記所定数以上または前記車内に立っている乗員が存在する場合には、前記追越制御を禁止し、
前記乗員数が前記所定数未満かつ前記車内に立っている乗員が存在しない場合には、前記追越制御を許可するように構成されている、技術的思想1から31のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0217】
[技術的思想33]
前記制御部は、
前記車両の走行開始からの車線変更の回数をカウントすることと、
車線変更の回数の増加に伴って前記制御パラメータの絶対値を増加させること、を実施するように構成されている、技術的思想1から32のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0218】
[技術的思想34]
前記制御部は、
前記自動運転制御を実施するものであって、
前記状況信号に基づいて調整された前記制御パラメータを用いて自動的な車線変更を実施するように構成されている、技術的思想1から33のいずれか1つに記載の車両制御装置。
【0219】
なお、技術的思想7、19~21、24、26、27、29において、横移動を一時的に休止するタイミングは、移動元レーンと目標レーンとの境界線に対する前記車両の横位置が所定位置となったタイミングであって良い。
【0220】
<付言(2)>
本開示に示す種々のフローチャートはいずれも一例であって、フローチャートを構成するステップの数や、処理の実行順は適宜変更可能である。各フローチャートに示す制御は矛盾のない範囲で組み合わせて/並列的に実行されてよい。取得、判定、検出、生成、及び算出といった表現は相互に言い換えられて良い。情報を取得することは、受信信号に基づいて状況を判断すること、状態を検出すること、パラメータを算出すること、又は、情報を生成することを含んでいて良い。プロセッサ31が或る情報を取得することには、当該プロセッサが他の装置/センサから入力された信号を元に当該情報を生成したり、状況を判断することも含まれる。上記説明における、画像の表示や、メッセージ送信、アクチュエータの駆動などといったプロセッサ31によるアクションは、他の装置との協働によって実施されるものと解されて良い。上記アクションに係る説明は、プロセッサ31がアクションを実現するための信号を生成し、出力するものと解されて良い。
【0221】
本開示に記載の装置、システム、並びにそれらの手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサを構成する専用コンピュータにより、実現されてもよい。本開示に記載の装置及びその手法は、専用ハードウェア論理回路を用いて実現されてもよい。本開示に記載の装置及びその手法は、コンピュータプログラムを実行するプロセッサと一つ以上のハードウェア論理回路との組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。プロセッサは、CPUや、MPU、GPU、DFP(Data Flow Processor)など、任意の演算コアであってよい。運行管理ECU20のプロセッサ31(換言すれば制御部)が備える機能の一部又は全部は、ハードウェアとして実現されても良い。運行管理ECU20が備える機能の一部又は全部は、システムオンチップ(SoC:System-on-Chip)、IC(Integrated Circuit)、及びFPGA(Field-Programmable Gate Array)のいずれかを用いて実現されていてもよい。上記のプロセッサ31等によるアクションは、無線通信装置14やディスプレイ、スピーカ、アクチュエータ19といった、他の装置との協働により実現されるものと解釈されて良い。
【0222】
本開示のコンピュータプログラムは、コンピュータにより実行される1つ以上のインストラクションを含む。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体(non- transitory tangible storage medium)に記憶されていてよい。コンピュータプログラムの記録媒体は、HDD(Hard-disk Drive)やSSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等、多様な媒体であってよい。
【符号の説明】
【0223】
1 車載システム、8 管制センタ、9 ユーザ端末、11 外界センサ、12 車両状態センサ、14 無線通信装置、15 車内ディスプレイ(表示装置)、16 車内スピーカ、17 乗員センサ、18 車外向けディスプレイ、19 アクチュエータ、20 運行管理ECU、30 自動運転ECU、31 プロセッサ(制御部)、32 メモリ、33 ストレージ、34 入出力インターフェース(通信インターフェース)、Hv 自動運転バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
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図14
図15
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