(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124357
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】コーティング剤及びその製造方法、硬化物、積層物、再生高分子原料の製造方法並びに再生高分子の製造方法
(51)【国際特許分類】
C09D 201/02 20060101AFI20240905BHJP
C09D 7/63 20180101ALI20240905BHJP
C09D 9/00 20060101ALI20240905BHJP
C08J 11/08 20060101ALI20240905BHJP
B29B 17/02 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
C09D201/02 ZAB
C09D7/63
C09D9/00
C08J11/08
B29B17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024024165
(22)【出願日】2024-02-21
(31)【優先権主張番号】P 2023031232
(32)【優先日】2023-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000168414
【氏名又は名称】荒川化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】橋本 祐希
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 良樹
(72)【発明者】
【氏名】山崎 彰寛
【テーマコード(参考)】
4F401
4J038
【Fターム(参考)】
4F401AA17
4F401AA22
4F401AD02
4F401AD07
4F401BA06
4F401BA13
4F401CA31
4F401CA41
4F401CA46
4F401CA49
4F401CA50
4F401CA54
4F401CB01
4F401EA07
4F401EA24
4J038CG141
4J038HA156
4J038JB27
4J038JB28
4J038JB34
4J038JC38
4J038NA12
4J038PC08
(57)【要約】 (修正有)
【課題】コーティング剤及びその製造方法、硬化物、積層物、再生高分子原料の製造方法並びに再生高分子の製造方法を提供すること。
【解決手段】コーティング剤であって、前記コーティング剤は、ポリマー、金属化合物及び水を含み、前記ポリマーは、不飽和有機酸非金属塩単位を含み、前記金属化合物は、2価以上の金属化合物である、コーティング剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コーティング剤であって、
前記コーティング剤は、ポリマー、多価金属イオン及び水を含み、
前記ポリマーは、不飽和有機酸非金属塩単位を含む、
コーティング剤。
【請求項2】
アジリジン架橋剤、メラミン架橋剤、オキサゾリン架橋剤、カルボジイミド架橋剤及びイソシアネート架橋剤からなる群から選択される1つ以上を含む、請求項1に記載のコーティング剤。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のコーティング剤の硬化物。
【請求項4】
請求項3に記載の硬化物を含む、積層物。
【請求項5】
洗浄工程を含み、
前記洗浄工程は、請求項4に記載の積層物と洗浄剤とを接触させる工程であり、
前記洗浄剤は、塩基を含む、
再生高分子原料の製造方法。
【請求項6】
ポリマー回収工程を含む、請求項5に記載の再生高分子原料の製造方法。
【請求項7】
非金属塩化工程を含み、
前記非金属塩化工程は、請求項6に記載の再生高分子原料の製造方法により得られたポリマーを非金属塩化する工程である、コーティング剤の製造方法。
【請求項8】
加熱工程を含み、
前記加熱工程は、請求項5又は6に記載の再生高分子原料の製造方法により得られた再生高分子原料を加熱する工程である、再生高分子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コーティング剤及びその製造方法、硬化物、積層物、再生高分子原料の製造方法並びに再生高分子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
地球環境保護の観点から、積層物の基材(高分子)のリサイクルが検討されている。リサイクルにおいて、基材上の機能層を除去する工程が実施される(特許文献1~2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-291690号公報
【特許文献2】特開2021-160351号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今回、基材と機能層との間にコーティング層を設けることを検討した。コーティング層(硬化物)の剥離除去性が優れている場合、機能層除去を効率的に実施できる。また、コーティング層には、様々な特性が要求される。本発明が解決しようとする課題は、延伸性、密着性、上塗り適正、剥離除去性が良好な硬化物を製造するためのコーティング剤を提供することとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示により以下の項目が提供される。
(項目1)
コーティング剤であって、
前記コーティング剤は、ポリマー、多価金属イオン及び水を含み、
前記ポリマーは、不飽和有機酸非金属塩単位を含む、
コーティング剤。
(項目2)
アジリジン架橋剤、メラミン架橋剤、オキサゾリン架橋剤、カルボジイミド架橋剤及びイソシアネート架橋剤からなる群から選択される1つ以上を含む、上記項目に記載のコーティング剤。
(項目3)
上記項目のいずれか1項に記載のコーティング剤の硬化物。
(項目4)
上記項目に記載の硬化物を含む、積層物。
(項目5)
洗浄工程を含み、
前記洗浄工程は、上記項目に記載の積層物と洗浄剤とを接触させる工程であり、
前記洗浄剤は、塩基を含む、
再生高分子原料の製造方法。
(項目6)
ポリマー回収工程を含む、上記項目に記載の再生高分子原料の製造方法。
(項目7)
非金属塩化工程を含み、
前記非金属塩化工程は、上記項目に記載の再生高分子原料の製造方法により得られたポリマーを非金属塩化する工程である、コーティング剤の製造方法。
(項目8)
加熱工程を含み、
前記加熱工程は、上記項目のいずれか1項に記載の再生高分子原料の製造方法により得られた再生高分子原料を加熱する工程である、再生高分子の製造方法。
【0006】
本開示において、上述した1又は複数の特徴は、明示された組み合わせに加え、さらに組み合わせて提供され得る。
【発明の効果】
【0007】
本発明の硬化物は、良好な剥離除去性、延伸性、密着性及び上塗り適正を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の全体にわたり、各物性値、含有量等の数値の範囲は、適宜(例えば下記の各項目に記載の値から選択して)設定され得る。具体的には、数値αとして、A3、A2、A1(A3>A2>A1とする)が例示される場合、数値αの範囲は、例えば、A3以下、A2以下、A3未満、A2未満、A1以上、A2以上、A1より大きい、A2より大きい、A1~A2(A1以上A2以下)、A1~A3、A2~A3、A1以上A3未満、A1以上A2未満、A2以上A3未満、A1より大きくA3未満、A1より大きくA2未満、A2より大きくA3未満、A1より大きくA3以下、A1より大きくA2以下、A2より大きくA3以下等が挙げられる。
【0009】
本発明が解決しようとする課題が解決される限りにおいて、各成分、条件、数値等は、特に限定されない。
【0010】
「αβ量(A/B)」は、B100αに対するAのβ量(α)を意味する。αは、例えば、質量%、モル%、質量部等が挙げられる。β量は、例えば、含有量、使用量等が挙げられる。「質量%含有量(A/B)」は、B100質量%に対するAの含有量(質量%)を意味する。
【0011】
「γ比(A/B)」は、式「A÷B」により算出されるγ比を意味する。γ比は、例えば、質量比、モル比等が挙げられる。
【0012】
「不揮発分」は、有機溶剤及び水以外の成分の合計質量を意味する。1つの実施形態において、「Aの不揮発分」は、A 1gを150℃で加熱して恒量に達した時点で残存した成分の合計質量を意味する。
【0013】
「(メタ)アクリル」は「アクリル及び/又はメタクリル」を意味する。「(メタ)アクリレート」は「アクリレート及び/又はメタクリレート」を意味する。「(メタ)アクリロイル」は「アクリロイル及び/又はメタクリロイル」を意味する。
【0014】
「C・・・」は、「炭素数・・・の」を意味する。例えば、「C1~6アルキル基」は、炭素数1~6のアルキル基を意味する。「C6アルキル基」は、炭素数6のアルキル基を意味する。
【0015】
アルキル基は、例えば、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基等が挙げられる。
【0016】
直鎖アルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、n-プロピル基、n-ブチル基、n-ペンチル基、n-ヘキシル基、n-ヘプチル基、n-オクチル基、n-ノニル基、n-デカメチル基等が挙げられる。
【0017】
「分岐アルキル基」は、直鎖アルキル基の少なくとも1つの水素原子がアルキル基によって置換された、環状構造を有さない基を意味する。
【0018】
分岐アルキル基は、例えば、i-プロピル基、ジエチルペンチル基、トリメチルブチル基、トリメチルペンチル基、トリメチルヘキシル基等が挙げられる。
【0019】
シクロアルキル基は、例えば、単環シクロアルキル基、架橋環シクロアルキル基、縮合環シクロアルキル基等が挙げられる。なお、シクロアルキル基の少なくとも1つの水素原子がアルキル基によって置換された基もシクロアルキル基とする。
【0020】
「単環」は、炭素の共有結合により形成された内部に橋かけ構造を有しない環状構造を意味する。「縮合環」は、2つ以上の単環が2つの原子を共有している(すなわち、それぞれの環の辺を互いに1つだけ共有(縮合)している)環状構造を意味する。「架橋環」は、2つ以上の単環が3つ以上の原子を共有している環状構造を意味する。
【0021】
単環シクロアルキル基は、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、3,5,5-トリメチルシクロヘキシル基等が挙げられる。
【0022】
架橋環シクロアルキル基は、例えば、トリシクロデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基等が挙げられる。
【0023】
なお、アルキル基には、直鎖アルキル基、分岐アルキル基、シクロアルキル基を組み合わせた基も含まれる。前記組み合わせた基は、例えば、シクロアルキルアルキル基等が挙げられる。
【0024】
[コーティング剤]
本開示は、コーティング剤であって、
前記コーティング剤は、ポリマー、多価金属イオン及び水を含み、
前記ポリマーは、不飽和有機酸非金属塩単位を含む、
コーティング剤に関する。
【0025】
<ポリマー>
ポリマーは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0026】
ポリマーは、不飽和有機酸非金属塩単位を含む。
【0027】
(不飽和有機酸)
不飽和有機酸は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0028】
不飽和有機酸は、例えば、不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、不飽和リン酸等が挙げられる。
【0029】
不飽和カルボン酸は、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。
【0030】
不飽和スルホン酸は、例えば、不飽和炭化水素スルホン酸、不飽和非炭化水素スルホン酸等が挙げられる。
【0031】
不飽和炭化水素スルホン酸は、例えば、ビニルスルホン酸、スチレンスルホン酸、(メタ)アリルスルホン酸等が挙げられる。
【0032】
不飽和非炭化水素スルホン酸は、例えば、(メタ)アクリルアミドt-ブチルスルホン酸等が挙げられる。
【0033】
不飽和リン酸は、例えば、ビニルホスホン酸、ビニルホスフェート、ビス((メタ)アクリロキシエチル)ホスフェート、モノメチル-2-(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェート、3-(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロパンリン酸等が挙げられる。
【0034】
非金属塩は、例えば、アミン塩等が挙げられる。
【0035】
アミン塩は、例えば、第1級アミン塩、第2級アミン塩、第3級アミン塩等が挙げられる。
【0036】
第1級アミン塩は、例えば、モノアルキルアミン塩、モノアリールアミン塩、モノアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0037】
モノアルキルアミン塩は、例えば、メチルアミン塩、エチルアミン塩、プロピルアミン塩、ブチルアミン塩等が挙げられる。
【0038】
モノアリールアミン塩は、例えば、アニリン塩、トルイジン塩、トリメチルアニリン塩、アニシジン塩、トリフルオロメチルアニリン塩等が挙げられる。
【0039】
モノアルカノールアミン塩は、例えば、エタノールアミン塩、プロパノールアミン塩等が挙げられる。
【0040】
第2級アミン塩は、例えば、ジアルキルアミン塩、ジアリールアミン塩、ジアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0041】
ジアルキルアミン塩は、例えば、ジメチルアミン塩、ジエチルアミン塩、ジプロピルアミン塩、ジブチルアミン塩、メチルエチルアミン塩、エチルプロピルアミン塩、プロピルブチルアミン塩等が挙げられる。
【0042】
ジアリールアミン塩は、例えば、ジフェニルアミン塩等が挙げられる。
【0043】
ジアルカノールアミン塩は、例えば、ジエタノールアミン塩、ジプロパノールアミン塩、エタノールプロパノールアミン塩等が挙げられる。
【0044】
第3級アミン塩は、例えば、トリアルキルアミン塩、トリアリールアミン塩、ジアルキルモノアリールアミン塩、トリアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0045】
トリアルキルアミン塩は、例えば、トリメチルアミン塩、トリエチルアミン塩、トリプロピルアミン塩、トリブチルアミン塩、ジメチルエチルアミン塩、メチルエチルプロピルアミン塩等が挙げられる。
【0046】
トリアリールアミン塩は、例えば、トリフェニルアミン塩等が挙げられる。
【0047】
ジアルキルモノアリールアミン塩は、例えば、ジメチルフェニルアミン塩、ジエチルフェニルアミン塩等が挙げられる。
【0048】
トリアルカノールアミン塩は、例えば、トリエタノールアミン塩、トリプロパノールアミン塩等が挙げられる。
【0049】
モル%含有量(不飽和有機酸非金属塩単位/ポリマー)は、例えば、100モル%、95モル%、90モル%、85モル%、80モル%、75モル%、70モル%、65モル%、60モル%、55モル%、50モル%、45モル%、40モル%、35モル%、30モル%、25モル%、20モル%、18モル%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、18モル%~100モル%が挙げられ、より好ましくは、30モル%~70モル%が挙げられ、さらに好ましくは、40モル%~60モル%が挙げられる。
【0050】
質量%含有量(不飽和有機酸非金属塩単位/ポリマー)は、例えば、100質量%、95質量%、90質量%、85質量%、80質量%、75質量%、70質量%、65質量%、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、10質量%~100質量%が挙げられ、より好ましくは、30質量%~70質量%が挙げられ、さらに好ましくは、40質量%~60質量%が挙げられる。
【0051】
中和率(不飽和有機酸非金属塩単位/不飽和有機酸単位)は、例えば、100%、95%、90%、85%、80%、75%、70%、65%、60%、55%、50%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記中和率は、好ましくは、50%~100%が挙げられる。
【0052】
・不飽和有機酸1価無機塩
ポリマーは、任意で、不飽和有機酸1価無機塩単位を含み得る。無機塩は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0053】
1価無機塩は、例えば、アルカリ金属塩、アンモニウム塩等が挙げられる。
【0054】
アルカリ金属塩は、例えば、リチウム塩、ナトリウム塩、カリウム塩等が挙げられる。
【0055】
質量%含有量(不飽和有機酸無機塩単位/ポリマー)は、例えば、10質量%、9質量%、7質量%、5質量%、3質量%、1質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~10質量%が挙げられる。
【0056】
モル%含有量(不飽和有機酸無機塩単位/ポリマー)は、例えば、10モル%、9モル%、7モル%、5モル%、3モル%、1モル%、0モル%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0モル%~10モル%が挙げられる。
【0057】
中和率(不飽和有機酸無機塩単位/不飽和有機酸単位)は、例えば、50%、45%、40%、35%、30%、25%、20%、15%、10%、5%、4%、2%、1%、0%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記中和率は、好ましくは、0%~50%が挙げられる。
【0058】
不飽和有機酸塩単位は、(1)不飽和有機酸塩をモノマーとして用いる方法、(2)不飽和有機酸をモノマーとして用いてポリマーを製造した後、塩により中和する方法のいずれによってもポリマーに導入される。
【0059】
(水酸基含有モノマー)
ポリマーは、任意で、水酸基含有モノマー単位を含み得る。水酸基含有モノマーは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0060】
水酸基含有モノマーは、例えば、水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有ビニルエーテル等が挙げられる。
【0061】
水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、水酸基含有直鎖(メタ)アクリル酸エステル、水酸基含有分岐(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0062】
水酸基含有直鎖(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4-ヒドロキシブチル等が挙げられる。
【0063】
水酸基含有分岐(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、(メタ)アクリル酸1-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸1-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-1-メチルエチル、(メタ)アクリル酸1-ヒドロキシ-2-メチルプロピル、(メタ)アクリル酸1-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸1-ヒドロキシ-1-メチル-プロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-1-メチル-プロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシ-1-メチル-プロピル、(メタ)アクリル酸1-エチル-2-ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸1-ヒドロキシ-2-メチル-プロピル、(メタ)アクリル酸2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピル、(メタ)アクリル酸3-ヒドロキシ-2-メチル-プロピル、(メタ)アクリル酸1,1-ジメチル-2-ヒドロキシエチル等が挙げられる。
【0064】
水酸基含有ビニルエーテルは、例えば、ヒドロキシアルキルビニルエーテル、ポリアルキレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられる。
【0065】
ヒドロキシアルキルビニルエーテルは、例えば、ヒドロキシ直鎖アルキルビニルエーテル、ヒドロキシ分岐アルキルビニルエーテル、ヒドロキシシクロアルキルビニルエーテル等が挙げられる。
【0066】
ポリアルキレングリコールモノビニルエーテルは、例えば、ポリメチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル等が挙げられる。
【0067】
モル%含有量(水酸基含有モノマー単位/ポリマー)は、例えば、60モル%、55モル%、50モル%、45モル%、40モル%、35モル%、30モル%、25モル%、20モル%、15モル%、10モル%、5モル%、4モル%、2モル%、1モル%、0.5モル%、0.1モル%、0モル%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0モル%~60モル%が挙げられ、より好ましくは、1モル%~60モル%が挙げられ、さらに好ましくは、10モル%~60モル%が挙げられる。
【0068】
質量%含有量(水酸基含有モノマー単位/ポリマー)は、例えば、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%、4質量%、2質量%、1質量%、0.5質量%、0.1質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~60質量%が挙げられ、より好ましくは、1質量%~60質量%が挙げられ、さらに好ましくは、10質量%~60質量%が挙げられる。
【0069】
(アルケニルアリール)
ポリマーは、任意で、アルケニルアリール単位を含み得る。アルケニルアリールは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0070】
アルケニルアリールは、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ビニルトルエン、クロルスチレン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0071】
モル%含有量(アルケニルアリール単位/ポリマー)は、例えば、20モル%、15モル%、10モル%、5モル%、0モル%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0モル%~20モル%が挙げられる。好ましい理由は、例えば、密着性向上等が挙げられる。
【0072】
質量%含有量(アルケニルアリール単位/ポリマー)は、例えば、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~20質量%が挙げられる。好ましい理由は、例えば、密着性向上等が挙げられる。
【0073】
(水酸基非含有(メタ)アクリル酸エステル)
ポリマーは、任意で、水酸基非含有(メタ)アクリル酸エステル単位を含み得る。水酸基非含有(メタ)アクリル酸エステルは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0074】
水酸基非含有(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、水酸基非含有直鎖(メタ)アクリル酸エステル、水酸基非含有分岐(メタ)アクリル酸エステル、水酸基非含有脂環(メタ)アクリル酸エステル、水酸基非含有置換(メタ)アクリル酸エステル等が挙げられる。
【0075】
水酸基非含有直鎖(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n-プロピル、(メタ)アクリル酸n-ブチル、(メタ)アクリル酸n-アミル、(メタ)アクリル酸n-ヘキシル、(メタ)アクリル酸n-オクチル、(メタ)アクリル酸n-ノニル、(メタ)アクリル酸n-デシル、(メタ)アクリル酸n-ウンデシル、ラウリル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ヘプタデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0076】
水酸基非含有分岐(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、(メタ)アクリル酸i-プロピル、(メタ)アクリル酸i-ブチル、(メタ)アクリル酸i-アミル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。
【0077】
水酸基非含有脂環(メタ)アクリル酸エステルは、例えば、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等が挙げられる。
【0078】
モル%含有量(水酸基非含有(メタ)アクリル酸エステル単位/ポリマー)は、例えば、40モル%、35モル%、30モル%、25モル%、20モル%、15モル%、10モル%、5モル%、0モル%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0モル%~40モル%が挙げられ、より好ましくは、0モル%~20モル%が挙げられる。
【0079】
質量%含有量(水酸基非含有(メタ)アクリル酸エステル単位/ポリマー)は、例えば、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~40質量%が挙げられ、より好ましくは、0質量%~20質量%が挙げられる。
【0080】
(上記以外のモノマー:その他モノマー)
ポリマーは、任意で、上記以外のモノマー(その他モノマー)単位を含み得る。その他モノマーは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0081】
その他モノマーは、例えば、アルケニル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロニトリル、多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0082】
質量%含有量(その他モノマー単位/ポリマー)は、例えば、5質量%未満、4質量%未満、2質量%未満、1質量%未満、0.1質量%未満、0質量%等が挙げられる。
【0083】
質量%(その他モノマー単位/不飽和有機酸、水酸基含有モノマー、アルケニルアリール、水酸基非含有(メタ)アクリル酸エステルのいずれか1つ)は、例えば、5質量%未満、4質量%未満、2質量%未満、1質量%未満、0.1質量%未満、0質量%等が挙げられる。
【0084】
モル%含有量(その他モノマー単位/ポリマー)は、例えば、5モル%未満、4モル%未満、2モル%未満、1モル%未満、0.1モル%未満、0モル%等が挙げられる。
【0085】
モル%(その他モノマー単位/不飽和有機酸、水酸基含有モノマー、アルケニルアリール、水酸基非含有(メタ)アクリル酸エステルのいずれか1つ)は、例えば、5モル%未満、4モル%未満、2モル%未満、1モル%未満、0.1モル%未満、0モル%等が挙げられる。
【0086】
(ポリマー物性)
数平均分子量(ポリマー)は、例えば、400000、350000、300000、250000、200000、150000、100000、90000、70000、50000、30000等が挙げられる。1つの実施形態において、上記数平均分子量は、好ましくは、30000~400000が挙げられる。
【0087】
重量平均分子量(ポリマー)は、例えば、500000、450000、400000、350000、300000、250000、200000、150000、100000、90000、70000、50000等が挙げられる。1つの実施形態において、上記重量平均分子量は、好ましくは、50000~500000が挙げられる。
【0088】
重量平均分子量、数平均分子量の測定条件は、例えば、下記条件等が挙げられる。
・測定機器:東ソー(株)製、GPC(型番:HLC-8420)
・カラム:製品名「PLgel MIXED-C」(Agilent Technology製)×2本
・溶離液:THF
・カラム温度:40℃
・検量線:単分散ポリスチレン
・検出器:RI
・ポリマーの濃度:0.2質量%
・測定方法:フィルターろ過後測定。
【0089】
ガラス転移温度(未中和ポリマー)は、例えば、150℃、145℃、140℃、135℃、130℃、125℃、120℃、115℃、110℃、105℃、100℃、95℃、90℃、85℃、80℃、79℃、75℃、70℃、65℃、60℃、55℃、50℃、49℃、48℃、45℃、40℃、35℃、30℃、25℃、21℃、20℃、15℃、10℃等が挙げられる。1つの実施形態において、上記ガラス転移温度は、好ましくは、10℃~150℃が挙げられ、より好ましくは、45℃~100℃が挙げられる。好ましい理由は、例えば、耐摩耗性向上等が挙げられる。
【0090】
ガラス転移温度は、Foxの式より算出される。
Foxの式:1/Tg=(Wa/Tga)+(Wb/Tgb)+・・・+(Wn/Tgn)
Tg:コポリマーのガラス転移温度(K)
Wa:モノマーAの質量%
Tga:モノマーAのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wb:モノマーBの質量%
Tgb:モノマーBのホモポリマーのガラス転移温度(K)
Wn:モノマーNの質量%
Tgn:モノマーNのホモポリマーのガラス転移温度(K)
【0091】
水酸基価(ポリマー)は、例えば、200mgKOH/g、175mgKOH/g、150mgKOH/g、125mgKOH/g、100mgKOH/g、75mgKOH/g、50mgKOH/g、25mgKOH/g、0mgKOH/g等が挙げられる。1つの実施形態において、上記水酸基価は、好ましくは、0mgKOH/g~200mgKOH/gが挙げられる。
【0092】
水酸基価は、JIS K0070(中和滴定法)に準拠する方法により測定される。
【0093】
ポリマー製造時において用いたモノマーの仕込み量が正確に把握でき、かつ重合率が高い場合、水酸基価は、下記式により算出できる。
水酸基価=[(全仕込み単量体1g中の水酸基含有単量体の仕込み質量×水酸基含有単量体一分子が有する水酸基の数)/水酸基含有単量体の分子量]×56.11(KOHの分子量)×1000
【0094】
1つの実施形態において、ポリマーは、好ましくは、水溶性ポリマーが挙げられる。
【0095】
「水溶性」は、25℃において、その化合物0.5gを100gの水に溶解した際に、水不溶分が0.5質量%未満(2.5mg未満)であることを意味する。
【0096】
(ポリマー製造方法)
ポリマー製造方法は、例えば、ラジカル重合等が挙げられる。
【0097】
ラジカル重合開始剤は、単独又は2種以上で使用され得る。ラジカル重合開始剤は、例えば、無機過酸化物、有機過酸化物、アゾ系化合物等が挙げられる。
【0098】
無機過酸化物は、例えば、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等が挙げられる。
【0099】
有機過酸化物は、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド等が挙げられる。
【0100】
アゾ系化合物は、例えば、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、ジメチル-2,2’-アゾビスイソブチレート等が挙げられる。
【0101】
質量部使用量(ラジカル重合開始剤/全モノマー成分)は、好ましくは、0.1質量部~5質量部が挙げられる。
【0102】
ポリマー製造において、連鎖移動剤が、任意で使用され得る。連鎖移動剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0103】
連鎖移動剤は、例えば、ラウリルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、2-メルカプトベンゾチアゾール、ブロモトリクロロメタン、α-メチルスチレンダイマー等が挙げられる。
【0104】
質量部使用量(連鎖移動剤/全モノマー成分)は、好ましくは、0質量部~5質量部が挙げられる。
【0105】
質量%含有量(ポリマー/コーティング剤不揮発分)は、例えば、80質量%、75質量%、70質量%、65質量%、60質量%、55質量%、50質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、50質量%~80質量%が挙げられる。
【0106】
<多価金属イオン>
多価金属イオンは、単独又は2種以上で使用され得る。
【0107】
「多価金属イオン」は、2価以上の金属イオンを意味する。
【0108】
多価金属イオンは、例えば、2価金属イオン、3価金属イオン、4価金属イオン等が挙げられる。
【0109】
多価金属イオンは、例えば、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、チタンイオン、ジルコニウムイオン、バナジウムイオン、クロムイオン、マンガンイオン、鉄イオン、コバルトイオン、ニッケルイオン、銅イオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、インジウムイオン、スズイオン等が挙げられる。
【0110】
1つの実施形態において、多価金属イオンは、好ましくは、チタンイオン、ジルコニウムイオン、マンガンイオン、コバルトイオン、銅イオンが挙げられる。好ましい理由は、例えば、硬化物の透明性向上等が挙げられる。
【0111】
1つの実施形態において、多価金属イオンは、多価金属イオン含有化合物としてコーティング剤に含まれる。
【0112】
多価金属イオン含有化合物は、多価金属イオン配位化合物、多価金属塩、多価金属含有環状オリゴマーが挙げられる。
【0113】
「多価金属イオン配位化合物」は、多価金属イオンと多価金属イオンに配位結合(非イオン結合)した配位子からなる化合物を意味する。
【0114】
1つの実施形態において、配位子数は、好ましくは、1個~4個が挙げられ、より好ましくは、1個~2個が挙げられる。
【0115】
多価金属イオン配位化合物は、例えば、多価金属キレート化合物等が挙げられる。
【0116】
多価金属キレート化合物は、例えば、多価金属アセチルアセトネート、多価金属エチルアセトアセテート、多価金属トリエタノールアミネート等が挙げられる。
【0117】
多価金属アセチルアセトネートは、例えば、マグネシウムアセチルアセトネート、カルシウムアセチルアセトネート、チタンアセチルアセトネート、ジルコニウムアセチルアセトネート、バナジウムアセチルアセトネート、クロムアセチルアセトネート、マンガンアセチルアセトネート、鉄アセチルアセトネート、コバルトアセチルアセトネート、ニッケルアセチルアセトネート、銅アセチルアセトネート、亜鉛アセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセトネート、インジウムアセチルアセトネート、スズアセチルアセトネート等が挙げられる。
【0118】
多価金属エチルアセトアセテートは、例えば、マグネシウムエチルアセトアセテート、カルシウムエチルアセトアセテート、チタンエチルアセトアセテート、ジルコニウムエチルアセトアセテート、バナジウムエチルアセトアセテート、クロムエチルアセトアセテート、マンガンエチルアセトアセテート、鉄エチルアセトアセテート、コバルトエチルアセトアセテート、ニッケルエチルアセトアセテート、銅エチルアセトアセテート、亜鉛エチルアセトアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテート、インジウムエチルアセトアセテート、スズエチルアセトアセテート等が挙げられる。
【0119】
多価金属トリエタノールアミネートは、例えば、マグネシウムトリエタノールアミネート、カルシウムトリエタノールアミネート、チタントリエタノールアミネート、ジルコニウムトリエタノールアミネート、バナジウムトリエタノールアミネート、クロムトリエタノールアミネート、マンガントリエタノールアミネート、鉄トリエタノールアミネート、コバルトトリエタノールアミネート、ニッケルトリエタノールアミネート、銅トリエタノールアミネート、亜鉛トリエタノールアミネート、アルミニウムトリエタノールアミネート、インジウムトリエタノールアミネート、スズトリエタノールアミネート等が挙げられる。
【0120】
「多価金属塩」は、多価金属イオンと陰イオンからなる化合物を意味する。
【0121】
1つの実施形態において、陰イオン数は、好ましくは、1個~4個が挙げられ、より好ましくは、1個~2個が挙げられる。
【0122】
多価金属塩は、多価金属アルコキシド、多価金属炭酸塩、多価金属カルボン酸塩、多価金属ハロゲン化物塩等が挙げられる。
【0123】
多価金属アルコキシドは、例えば、多価金属エトキシド、多価金属プロポキシド、多価金属ブトキシド等が挙げられる。
【0124】
多価金属エトキシドは、例えば、マグネシウムエトキシド、カルシウムエトキシド、チタンエトキシド、ジルコニウムエトキシド、バナジウムエトキシド、クロムエトキシド、マンガンエトキシド、鉄エトキシド、コバルトエトキシド、ニッケルエトキシド、銅エトキシド、亜鉛エトキシド、アルミニウムエトキシド、インジウムエトキシド、スズエトキシド等が挙げられる。
【0125】
多価金属プロポキシドは、例えば、マグネシウムプロポキシド、カルシウムプロポキシド、チタンプロポキシド、ジルコニウムプロポキシド、バナジウムプロポキシド、クロムプロポキシド、マンガンプロポキシド、鉄プロポキシド、コバルトプロポキシド、ニッケルプロポキシド、銅プロポキシド、亜鉛プロポキシド、アルミニウムプロポキシド、インジウムプロポキシド、スズプロポキシド等が挙げられる。
【0126】
多価金属ブトキシドは、例えば、マグネシウムブトキシド、カルシウムブトキシド、チタンブトキシド、ジルコニウムブトキシド、バナジウムブトキシド、クロムブトキシド、マンガンブトキシド、鉄ブトキシド、コバルトブトキシド、ニッケルブトキシド、銅ブトキシド、亜鉛ブトキシド、アルミニウムブトキシド、インジウムブトキシド、スズブトキシド等が挙げられる。
【0127】
多価金属炭酸塩は、例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸チタン、炭酸ジルコニウム、炭酸ジルコニウムアンモニウム、炭酸バナジウム、炭酸クロム、炭酸マンガン、炭酸鉄、炭酸コバルト、炭酸ニッケル、炭酸銅、炭酸亜鉛、炭酸アルミニウム、炭酸インジウム、炭酸スズ等が挙げられる。
【0128】
多価金属カルボン酸塩は、例えば、多価金属酢酸塩、多価金属ステアリン酸塩等が挙げられる。
【0129】
多価金属酢酸塩は、例えば、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸チタン、酢酸ジルコニウム、酢酸バナジウム、酢酸クロム、酢酸マンガン、酢酸鉄、酢酸コバルト、酢酸ニッケル、酢酸銅、酢酸亜鉛、酢酸アルミニウム、酢酸インジウム、酢酸スズ等が挙げられる。
【0130】
多価金属ステアリン酸塩は、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸チタン、ステアリン酸ジルコニウム、ステアリン酸バナジウム、ステアリン酸クロム、ステアリン酸マンガン、ステアリン酸鉄、ステアリン酸コバルト、ステアリン酸ニッケル、ステアリン酸銅、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸インジウム、ステアリン酸スズ等が挙げられる。
【0131】
多価金属ハロゲン化物塩は、例えば、多価金属塩化物塩、多価金属臭化物塩、多価金属ヨウ化物塩等が挙げられる。
【0132】
多価金属塩化物塩は、例えば、塩化マグネシウム、塩化カルシウム、塩化チタン、塩化ジルコニウム、塩化バナジウム、塩化クロム、塩化マンガン、塩化鉄、塩化コバルト、塩化ニッケル、塩化銅、塩化亜鉛、塩化アルミニウム、塩化インジウム、塩化スズ等が挙げられる。
【0133】
多価金属臭化物塩は、例えば、臭化マグネシウム、臭化カルシウム、臭化チタン、臭化ジルコニウム、臭化バナジウム、臭化クロム、臭化マンガン、臭化鉄、臭化コバルト、臭化ニッケル、臭化銅、臭化亜鉛、臭化アルミニウム、臭化インジウム、臭化スズ等が挙げられる。
【0134】
多価金属ヨウ化物塩は、例えば、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化チタン、ヨウ化ジルコニウム、ヨウ化バナジウム、ヨウ化クロム、ヨウ化マンガン、ヨウ化鉄、ヨウ化コバルト、ヨウ化ニッケル、ヨウ化銅、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化インジウム、ヨウ化スズ等が挙げられる。
【0135】
多価金属含有環状オリゴマーは、例えば、環状アルミニウムオキサイドイソプロピレート、環状アルミニウムオキサイドステアレート、環状アルミニウムオキサイドオクチレート等が挙げられる。
【0136】
質量%含有量(多価金属イオン/コーティング剤不揮発分)は、例えば、10質量%、9質量%、7質量%、5質量%、3質量%、1質量%、0.9質量%、0.7質量%、0.5質量%、0.3質量%、0.1質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0.1質量%~10質量%が挙げられる。
【0137】
<水>
水は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0138】
水は、例えば、超純水、純水、蒸留水、イオン交換水、水道水等が挙げられる。
【0139】
質量%含有量(水/コーティング剤)は、例えば、99質量%、95質量%、90質量%、85質量%、80質量%、75質量%、70質量%、65質量%、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、20質量%~99質量%が挙げられ、より好ましくは、50質量%~99質量%が挙げられる。
【0140】
質量%含有量(水/全溶媒)は、例えば、100質量%、95質量%、90質量%、85質量%、80質量%、75質量%、70質量%、65質量%、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、10質量%~100質量%が挙げられる。
【0141】
<架橋剤>
1つの実施形態において、上記コーティング剤は、任意で、架橋剤を含み得る。架橋剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0142】
架橋剤は、例えば、アジリジン架橋剤、メラミン架橋剤、オキサゾリン架橋剤、カルボジイミド架橋剤、イソシアネート架橋剤等が挙げられる。
【0143】
質量%含有量(架橋剤/コーティング剤不揮発分)は、例えば、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~50質量%が挙げられる。
【0144】
(アジリジン架橋剤)
アジリジン架橋剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0145】
「アジリジン架橋剤」は、アジリジニル基を2個以上有する化合物を意味する。
【0146】
アジリジニル基は、例えば、式(1)で表される基等が挙げられる。
【化1】
(式(1)中、R
1及びR
2は、水素原子又はC1~6アルキル基を表す。R
1及びR
2は、異なっていてもよい。)
【0147】
アジリジン架橋剤は、例えば、2官能アジリジン化合物、3官能アジリジン化合物、4官能アジリジン化合物等が挙げられる。
【0148】
2官能アジリジン化合物は、例えば、ネオペンチルグリコールジ(β-アジリジニルプロピオネ-ト)等が挙げられる。
【0149】
3官能アジリジン化合物は、例えば、式(2)の化合物、グリセロール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネ-ト]、2,4,6-トリス(1-アジリジニル)-1,3,5-トリアジン、2,4,6-トリス[2-メチル-(1-アジリジニル)]-1,3,5-トリアジン、トリ-(1-アジリジニル)ホスフィンオキシド等が挙げられる。
【化2】
(式(2)中、Xは、C1~6アルキル基又は水酸基含有C1~3アルキル基を表す。R
1及びR
2は、水素原子又はC1~6アルキル基を表す。R
1及びR
2は、異なっていてもよい。R
3は、水素原子又はメチル基を表す。)
【0150】
XがC1~6アルキル基である場合、式(2)の化合物は、例えば、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネ-ト]、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-(2-メチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-(2-エチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-(2-プロピル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-(2-ブチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-(2-ペンチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-(2-ヘキシル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-(2,3-ジメチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-(2,3-ジエチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-(2,3-ジエチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-(2,3-ジプロピル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-(2,3-ジブチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-(2,3-ジペンチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、トリメチロールプロパン-トリス[3-(1-(2,3-ヘキシル)アジリジニルプロピオネ-ト)]等が挙げられる。
【0151】
XがC1~3ヒドロキシアルキル基である場合、式(2)の化合物は、例えば、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-アジリジニル)プロピオネ-ト]、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-(2-メチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-(2-エチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-(2-プロピル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-(2-ブチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-(2-ペンチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-(2-ヘキシル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-(2,3-ジメチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-(2,3-ジエチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-(2,3-ジエチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-(2,3-ジプロピル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-(2,3-ジブチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-(2,3-ジペンチル)アジリジニルプロピオネ-ト)]、ペンタエリスリトール-トリス[3-(1-(2,3-ヘキシル)アジリジニルプロピオネ-ト)]等が挙げられる。
【0152】
4官能アジリジン化合物は、例えば、式(3)の化合物、テトラアジリジニルメタキシレンジアミン、テトラアジリジニルメチルパラキシレンジアミン等が挙げられる。
【0153】
【化3】
(式(3)中、R
1及びR
2は、水素原子又はC1~6アルキル基を表す。R
1及びR
2は、異なっていてもよい。R
3は、水素原子又はメチル基を表す。)
【0154】
式(3)の化合物は、例えば、ペンタエリスリトール-テトラ(1-アジリジニルプロピオネ-ト)、ペンタエリスリトール-テトラ[2-ヘキシル-(1-アジリジニル)プロピオネ-ト]、ペンタエリスリトール-テトラ[2,3-ジヘキシル-(1-アジリジニル)プロピオネ-ト]等が挙げられる。
【0155】
質量%含有量(アジリジン架橋剤/コーティング剤不揮発分)は、例えば、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%、4質量%、2質量%、1質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~50質量%が挙げられ、より好ましくは、20質量%~50質量%が挙げられる。
【0156】
(メラミン架橋剤)
メラミン架橋剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0157】
メラミン架橋剤は、例えば、下記メラミン化合物に由来する構成単位を含むメラミン樹脂等が挙げられる。
【化4】
(式中、R
m1~R
m6は、それぞれ独立に、水素原子、メチロール基、メトキシメチル基、エトキシメチル基、n-ブトキシメチル基及びイソブトキシメチル基から選択される。)
【0158】
1つの実施形態において、メラミン樹脂の平均重合度は、好ましくは、1.1~10が挙げられる。
【0159】
メラミン樹脂は、好ましくは、メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂が挙げられ、より好ましくは、フルエーテル型メチル化メラミン樹脂、フルエーテル型ブチル化メラミン樹脂、フルエーテル型メチル・ブチル化メラミン樹脂が挙げられる。
【0160】
「メチル化メラミン」は、上記Rm1~Rm6の少なくとも1つがメトキシメチル基であるメラミン化合物を意味する。「フルエーテル型メチル化メラミン」は、上記Rm1~Rm6の全てがメトキシメチル基であるメラミン化合物を意味する。「メチル化メラミン樹脂」は、メチル化メラミンに由来する構成単位のみから構成される樹脂を意味する。「フルエーテル型メチル化メラミン樹脂」は、フルエーテル型メチル化メラミンに由来する構成単位のみから構成される樹脂を意味する。
【0161】
「ブチル化メラミン」は、上記Rm1~Rm6の少なくとも1つがn-ブトキシメチル基、イソブトキシメチル基のいずれかであるメラミン化合物を意味する。「フルエーテル型ブチル化メラミン」は、上記Rm1~Rm6の全てがn-ブトキシメチル基、イソブトキシメチル基のいずれかであるメラミン化合物を意味する。「ブチル化メラミン樹脂」は、ブチル化メラミンに由来する構成単位のみから構成される樹脂を意味する。「フルエーテル型ブチル化メラミン樹脂」は、フルエーテル型ブチル化メラミンに由来する構成単位のみから構成される樹脂を意味する。
【0162】
「フルエーテル型メチル・ブチル化メラミン」は、上記Rm1~Rm6の少なくとも一つがメトキシメチル基であって、残りがそれぞれn-ブトキシメチル基、イソブトキシメチル基のいずれかであるメラミン化合物を意味する。「フルエーテル型メチル・ブチル化メラミン樹脂」は、フルエーテル型メチル・ブチル化メラミンに由来する構成単位のみから構成される樹脂を意味する。
【0163】
市販品(メラミン樹脂)は、例えば、サイメル300、サイメル301、サイメル303LF、サイメル350、サイメル370N、サイメル771、サイメル325、サイメル327、サイメル703、サイメル712、サイメル701、サイメル266、サイメル267、サイメル285、サイメル232、サイメル235、サイメル236、サイメル238、サイメル272、サイメル212、サイメル253、サイメル254、サイメル202、サイメル207、マイコート506(以上、オルネクスジャパン(株)製)、ニカラックMW-30M、ニカラックMW-30、ニカラックMW-30HM、ニカラックMW-390、ニカラックMW-100LM、ニカラックMX-750LM、ニカラックMW-22、ニカラックMS-21、ニカラックMS-11、ニカラックMW-24X、ニカラックMS-001、ニカラックMX-002、ニカラックMX-730、ニカラックMX-750、ニカラックMX-708、ニカラックMX-706、ニカラックMX-042、ニカラックMX-035、ニカラックMX-45、ニカラックMX-43、ニカラックMX-417、ニカラックMX-410(以上、(株)三和ケミカル製)、ユーバン20SB、ユーバン20SE60、ユーバン21R、ユーバン22R、ユーバン122、ユーバン125、ユーバン220、ユーバン225、ユーバン228、ユーバン2020(以上、三井化学(株)製)、アミディアJ-820-60、アミディアL-109-65、アミディアL-117-60、アミディアL-127-60、アミディア13-548、アミディアG-821-60、アミディアL-110-60、アミディアL-125-60、アミディアL-166-60B(以上、DIC(株)製)等が挙げられる。
【0164】
質量%含有量(メラミン架橋剤/コーティング剤不揮発分)は、例えば、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%、4質量%、2質量%、1質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~50質量%が挙げられ、より好ましくは、20質量%~50質量%が挙げられる。
【0165】
(オキサゾリン架橋剤)
オキサゾリン架橋剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0166】
オキサゾリン架橋剤は、例えば、オキサゾリンオリゴマー架橋剤、オキサゾリンポリマー架橋剤等が挙げられる。
【0167】
オキサゾリンオリゴマー架橋剤は、例えば、2,2’-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-メチレン-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-エチレン-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-トリメチレン-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-テトラメチレン-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-ヘキサメチレン-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-オクタメチレン-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-エチレン-ビス(4,4’-ジメチル-2-オキサゾリン)、2,2’-p-フェニレン-ビス(2-オキサゾリン)、2,2’-m-フェニレン-ビス(4,4’-ジメチル-2-オキサゾリン)、ビス(2-オキサゾリジニルシクロヘキサン)スルフィド、ビス(2-オキサゾリジニルノルボルナン)スルフィド等が挙げられる。
【0168】
オキサゾリンポリマー架橋剤は、例えば、炭素-炭素二重結合含有オキサゾリンの重合体等が挙げられる。
【0169】
炭素-炭素二重結合含有オキサゾリンは、例えば、2-イソプロペニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-2-オキサゾリン、2-ビニル-4-メチル-2-オキサゾリン等が挙げられる。
【0170】
市販品(オキサゾリン架橋剤)は、例えば、エポクロスWS-300、WS-500、WS-700(日本触媒(株)製)等が挙げられる。
【0171】
質量%含有量(オキサゾリン架橋剤/コーティング剤不揮発分)は、例えば、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%、4質量%、2質量%、1質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~50質量%が挙げられ、より好ましくは、20質量%~50質量%が挙げられる。
【0172】
(カルボジイミド架橋剤)
カルボジイミド架橋剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0173】
カルボジイミド架橋剤は、例えば、ポリ(4,4’-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(3,3’-ジメチル-4,4’-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(トリルカルボジイミド)、ポリ(p-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(m-フェニレンカルボジイミド)、ポリ(3,3’-ジメチル-4,4’-ジフェニルメタンカルボジイミド)、ポリ(ナフチレンカルボジイミド)、ポリ(1,6-ヘキサメチレンカルボジイミド)、ポリ(1,4-テトラメチレンカルボジイミド)、ポリ(1,3-シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(1,4-シクロヘキシレンカルボジイミド)、ポリ(1,3,5-トリエチルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(4,4’-メチレンビスシクロヘキシルカルボジイミド)、ポリ(1,3-ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(1-メチル-3,5-ジイソプロピルフェニレンカルボジイミド)、ポリ(イソプロピルフェニレンカルボジイミド)等が挙げられる。
【0174】
質量%含有量(カルボジイミド架橋剤/コーティング剤不揮発分)は、例えば、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%、4質量%、2質量%、1質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~50質量%が挙げられ、より好ましくは、20質量%~50質量%が挙げられる。
【0175】
(イソシアネート架橋剤)
イソシアネート架橋剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0176】
イソシアネート架橋剤は、例えば、ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0177】
「ポリイソシアネート」は、2個以上のイソシアネート基(-N=C=O)を有する化合物を意味する。
【0178】
ポリイソシアネートは、例えば、直鎖脂肪族ポリイソシアネート、分岐脂肪族ポリイソシアネート、脂環族ポリイソシアネート、芳香族ポリイソシアネート並びにこれらのビウレット体、イソシアヌレート体、アロファネート体、アダクト体等が挙げられる。
【0179】
直鎖脂肪族ポリイソシアネートは、例えば、メチレンジイソシアネート、ジメチレンジイソシアネート、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ヘプタメチレンジイソシアネート、オクタメチレンジイソシアネート、ノナメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0180】
分岐脂肪族ポリイソシアネートは、例えば、ジエチルペンチレンジイソシアネート、トリメチルブチレンジイソシアネート、トリメチルペンチレンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0181】
脂環族ポリイソシアネートは、例えば、単環脂環族ポリイソシアネート、架橋環脂環族ポリイソシアネート、縮合環脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0182】
単環脂環族ポリイソシアネートは、例えば、水添キシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロペンチレンジイソシアネート、シクロヘキシレンジイソシアネート、シクロヘプチレンジイソシアネート、シクロデシレンジイソシアネート、3,5,5-トリメチルシクロヘキシレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
【0183】
架橋環脂環族ポリイソシアネートは、例えば、トリシクロデシレンジイソシアネート、アダマンタンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が挙げられる。
【0184】
縮合環脂環族ポリイソシアネートは、例えば、ビシクロデシレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0185】
芳香族ポリイソシアネートは、例えば、単環芳香族ポリイソシアネート、縮合環芳香族ポリイソシアネート等が挙げられる。
【0186】
単環芳香族ポリイソシアネートは、例えば、4,4’-ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート等のジアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルテトラメチルメタンジイソシアネート等のテトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4’-ジベンジルイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、m-テトラメチルキシリレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0187】
縮合環芳香族ポリイソシアネートは、例えば、1,5-ナフチレンジイソシアネート等が挙げられる。
【0188】
ブロックイソシアネートも使用され得る。「ブロックイソシアネート」は、ポリイソシアネートのイソシアネート基がブロック剤で保護された化合物を意味する。
【0189】
質量%含有量(イソシアネート架橋剤/コーティング剤不揮発分)は、例えば、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%、4質量%、2質量%、1質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~50質量%が挙げられ、より好ましくは、20質量%~50質量%が挙げられる。
【0190】
<有機溶媒>
1つの実施形態において、上記コーティング剤は、任意で、有機溶媒を含み得る。有機溶媒は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0191】
有機溶媒は、例えば、アルコール溶媒等が挙げられる。
【0192】
アルコール溶媒は、例えば、メタノール、エタノール、1-プロパノール、イソプロパノール、ブタノール等が挙げられる。
【0193】
質量%含有量(有機溶媒/コーティング剤)は、例えば、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~60質量%が挙げられる。
【0194】
質量%含有量(有機溶媒/全溶媒)は、例えば、90質量%、85質量%、80質量%、75質量%、70質量%、65質量%、60質量%、55質量%、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~90質量%が挙げられ、より好ましくは、10質量%~90質量%が挙げられる。
【0195】
質量%含有量(アルコール以外の有機溶媒/コーティング剤)は、例えば、10質量%、9質量%、8質量%、7質量%、6質量%、5質量%、4質量%、3質量%、2質量%、1質量%、0質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、0質量%~10質量%が挙げられる。
【0196】
<添加剤>
上記コーティング剤には、上記のいずれにも該当しない剤を添加剤として含み得る。
【0197】
添加剤は、例えば、バインダー、消泡剤、防滑剤、防腐剤、防錆剤、pH調整剤、酸化防止剤、顔料、染料、滑剤、レベリング剤、ポリブタジエン、ポリイソプレン、ポリクロロプレン、ポリペンタジエン、ポリブテン、ポリイソブチレン、ポリスチレン、イソプレン・ブタジエン共重合体、スチレン・イソプレン共重合体、ポリオレフィン、シリコーン樹脂、アミン、カルボン酸無水物等が挙げられる。
【0198】
1つの実施形態において、質量%含有量(添加剤/コーティング剤不揮発分)は、好ましくは、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が挙げられる。
【0199】
1つの実施形態において、質量部含有量(添加剤/ポリマー、多価金属イオン、水、メラミン樹脂、有機溶媒のいずれか1つ)は、好ましくは、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が挙げられる。
【0200】
上記剤を分散・混合することにより、コーティング剤は、製造され得る。
【0201】
分散・混合手段は、例えば、乳化分散機、超音波分散装置等が挙げられる。
【0202】
用途(コーティング剤)は、例えば、剥離コーティング剤、熱硬化コーティング剤、熱硬化剥離コーティング剤、インライン用コーティング剤、インライン用プライマーコーティング剤、インライン用プライマー剥離コーティング剤、インライン用プライマー熱硬化剥離コーティング剤等が挙げられる。
【0203】
[硬化物]
本開示は、上記コーティング剤の硬化物に関する。
【0204】
1つの実施形態において、上記硬化物は、例えば、熱硬化物等が挙げられる。硬化条件は、例えば、後述の条件等が挙げられる。
【0205】
[積層物]
本開示は、上記硬化物を含む、積層物に関する。
【0206】
1つの実施形態において、積層物は、基材の片面又は両面にコーティング剤の硬化物を有する。
【0207】
硬化物量(積層物中)は、好ましくは、0.01g/m2~10g/m2が挙げられ、より好ましくは、0.05g/m2~5g/m2が挙げられる。
【0208】
1つの実施形態において、厚み(硬化物層)は、好ましくは、0.1μm~20μmが挙げられる。
【0209】
硬化方法(コーティング剤)は、例えば、加熱等が挙げられる。
【0210】
加熱方法は、例えば、循風乾燥機等が挙げられる。乾燥(硬化)温度は、例えば、70℃~170℃等が挙げられる。乾燥時間は、例えば、30秒~2分等が挙げられる。
【0211】
<基材>
基材は、例えば、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリイミド、ポリオレフィン、ポリエポキシ樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ABS樹脂、AS樹脂、ノルボルネン系樹脂等が挙げられる。
【0212】
ポリエステルは、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等が挙げられる。
【0213】
塗工方法は、例えば、スプレー、ロールコーター、リバースロールコーター、グラビアコーター、ナイフコーター、バーコーター、ドットコーター等が挙げられる。
【0214】
1つの実施形態において、厚み(基材)は、好ましくは、10μm~2000μmが挙げられる。
【0215】
<機能層>
1つの実施形態において、積層物は、任意で、機能層を含み得る。1つの実施形態において、機能層は、硬化物層の上に設けられる。
【0216】
機能層は、例えば、活性エネルギー線硬化物層、紫外線吸収層、低屈折率層、高屈折率層、帯電防止層、粘着層、剥離層等が挙げられる。
【0217】
1つの実施形態において、機能層は、活性エネルギー線硬化性組成物を硬化させることにより製造され得る。
【0218】
1つの実施形態において、厚さ(機能層)は、好ましくは、0.1μm~20μmが挙げられる。
【0219】
活性エネルギー線は、例えば、紫外線、電子線等が挙げられる。
【0220】
紫外線光源は、例えば、キセノンランプ、高圧水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
【0221】
高圧水銀灯を使用する場合、硬化条件は、好ましくは、下記条件等が挙げられる。
ランプ出力:25W/cm~160W/cm
UV照度:10mW/cm2~800mW/cm2
積算光量:25mJ/cm2~2000mJ/cm2
搬送速度:1m/分~50m/分
【0222】
電子線を使用する場合、硬化条件は、好ましくは、下記条件等が挙げられる。
加速電圧:10kV~300kV
搬送速度:5m/分~50m/分
【0223】
[再生高分子原料の製造方法]
本開示は、洗浄工程を含み、前記洗浄工程は、上記積層物と洗浄剤とを接触させる工程であり、前記洗浄剤は、塩基を含む、再生高分子原料の製造方法に関する。
【0224】
<洗浄工程>
洗浄手段は、単独又は2種以上で実施され得る。
【0225】
洗浄手段は、例えば、浸漬洗浄、シャワー洗浄、スプレー洗浄、超音波洗浄、液中ジェット洗浄、直通式洗浄(DIRECTPASS(登録商標))等が挙げられる。
【0226】
洗浄温度は、例えば、100℃、95℃、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、55℃、50℃、45℃、40℃、35℃、30℃、25℃、20℃等が挙げられる。1つの実施形態において、洗浄温度は、好ましくは、20℃~100℃が挙げられ、より好ましくは、40℃~80℃が挙げられる。
【0227】
洗浄時間は、例えば、90分、85分、80分、75分、70分、65分、60分、55分、50分、45分、40分、35分、30分、25分、20分、15分、10分、5分、4分、3分、2分、1分、0.5分等が挙げられる。1つの実施形態において、洗浄時間は、好ましくは、0.5分~90分が挙げられ、より好ましくは、0.5分~35分が挙げられ、さらに好ましくは、1分~30分が挙げられる。
【0228】
質量%除去量(洗浄工程において除去される硬化物/積層物中の硬化物)は、例えば、60質量%以上、70質量%以上、80質量%以上、90質量%以上、95質量%以上、99質量%以上、100質量%等が挙げられる。上記除去量は、好ましくは、95質量%以上が挙げられ、より好ましくは、99質量%以上が挙げられる。
【0229】
<洗浄剤>
洗浄剤は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0230】
(塩基)
洗浄剤は、塩基を含む。塩基は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0231】
塩基は、例えば、無機塩基、有機塩基等が挙げられる。
【0232】
無機塩基は、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、水酸化カリウム等が挙げられる。
【0233】
有機塩基は、例えば、アンモニア、アミン等が挙げられる。
【0234】
アミンは、例えば、上述の化合物等が挙げられる。
【0235】
質量%含有量(塩基/洗浄剤)は、例えば、50質量%、45質量%、40質量%、35質量%、30質量%、25質量%、20質量%、15質量%、10質量%、5質量%、4質量%、2質量%、1質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、1質量%~50質量%が挙げられる。
【0236】
(水)
洗浄剤は、水を含む。水は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0237】
質量%含有量(水/洗浄剤)は、例えば、99質量%、95質量%、90質量%、85質量%、80質量%、75質量%、70質量%、65質量%、60質量%、55質量%、50質量%等が挙げられる。1つの実施形態において、上記含有量は、好ましくは、50質量%~99質量%が挙げられる。
【0238】
(洗浄剤用添加剤)
前記洗浄剤は、任意で、上記のいずれにも該当しない剤(洗浄剤用添加剤)を含み得る。
【0239】
洗浄剤用添加剤は、例えば、界面活性剤、表面張力低下剤等が挙げられる。
【0240】
1つの実施形態において、質量部含有量(洗浄剤用添加剤/洗浄剤)は、例えば、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が挙げられる。
【0241】
1つの実施形態において、質量部含有量(洗浄剤用添加剤/酸、アルコール、水のいずれか)は、例えば、1質量部未満、0.1質量部未満、0.01質量部未満、0質量部等が挙げられる。
【0242】
洗浄剤の製造は、酸並びに必要に応じてアルコール、水及び添加剤が、分散・混合されることにより実施され得る。
【0243】
<洗浄剤除去工程>
再生高分子原料の製造方法は、任意で、洗浄剤除去工程を含み得る。洗浄剤除去工程は、単独又は2種以上で実施され得る。
【0244】
洗浄剤除去工程は、例えば、すすぎ工程、乾燥工程、拭取工程等が挙げられる。
【0245】
(すすぎ工程)
すすぎ工程は、例えば、水すすぎ等が挙げられる。すすぎ工程後、乾燥工程及び/又は拭取工程が、実施され得る。
【0246】
(乾燥工程)
乾燥工程は、例えば、自然乾燥、加熱乾燥、熱風乾燥、照射乾燥、真空乾燥等が挙げられる。
【0247】
乾燥温度は、例えば、120℃、115℃、110℃、105℃、100℃、95℃、90℃、85℃、80℃、75℃、70℃、65℃、60℃、55℃、50℃、45℃、40℃、35℃、30℃等が挙げられる。1つの実施形態において、乾燥温度は、好ましくは、30℃~120℃が挙げられる。
【0248】
乾燥時間は、例えば、10分、8分、6分、4分、3分、2分、1分等が挙げられる。1つの実施形態において、乾燥時間は、好ましくは、1分~10分が挙げられる。
【0249】
(拭取工程)
拭取材は、例えば、不織布、織布等が挙げられる。
【0250】
<粉砕工程>
再生高分子原料の製造方法は、任意で、粉砕工程を含み得る。
【0251】
粉砕手段は、例えば、粉砕機、クラッシャー、シュレッダー等が挙げられる。
【0252】
粉砕機は、例えば、単軸粉砕機、二軸粉砕機、三軸粉砕機、カッターミル等が挙げられる。
【0253】
再生高分子原料の製造方法において、各工程の順序は、例えば、下記の順序等が挙げられる。
(1)洗浄工程、(2)洗浄剤除去工程、(3)粉砕工程
(1)粉砕工程、(2)洗浄工程、(3)洗浄剤除去工程
【0254】
<ポリマー回収工程>
1つの実施形態において、再生高分子の製法方法は、任意で、ポリマー回収工程を含み得る。
【0255】
ポリマー回収工程は、酸滴下工程を含む。
【0256】
1つの実施形態において、再生高分子原料の製造方法の洗浄廃液に酸を滴下することにより、酸滴下工程は、実施され得る。
【0257】
(酸)
酸は、単独又は2種以上で使用され得る。
【0258】
酸は、例えば、無機酸等が挙げられる。
【0259】
無機酸は、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等が挙げられる。
【0260】
酸滴下量は、好ましくは、ポリマーが有する酸基が中和される量が挙げられる。
【0261】
ポリマー回収工程は、任意で、ろ過工程を含み得る。
【0262】
[コーティング剤の製造方法]
本開示は、非金属塩化工程を含み、前記非金属塩化工程は、上記再生高分子原料の製造方法により得られたポリマーを非金属塩化する工程である、コーティング剤の製造方法に関する。
【0263】
(非金属塩化工程)
非金属塩は、例えば、上述の塩等が挙げられる。
【0264】
非金属塩滴下量は、好ましくは、ポリマーが水溶性ポリマーになる程度まで、酸基がイオン化される量が挙げられる。
【0265】
ポリマーのリサイクル過程は、例えば、下記のもの等が挙げられる。
(1)コーティング剤
ポリマーは、非金属塩として存在している。すなわち、ポリマーのカウンターイオンは、非金属イオンである。
(2)硬化物(積層物)
ポリマーを加熱することにより、ポリマーのカウンターイオンが、非金属イオンから多価金属イオンに交換される。多価金属イオンに複数のポリマーが配位することにより、多価金属イオンが架橋剤の役割を果たす。
(3)再生高分子原料の製造方法(洗浄工程)
塩基含有洗浄液による洗浄により、ポリマーのカウンターイオンが、多価金属イオンから塩基イオンに交換される。このイオン交換の結果、架橋が解ける。
(4)再生高分子原料の製造方法(ポリマー回収工程)
酸を滴下することにより、ポリマーのカウンターイオンが、塩基イオンからプロトンに交換される。このイオン交換の結果、ポリマーは、電気的に中性となり、水溶液中に析出する。
(5)コーティング剤の製造方法
非金属塩を滴下することにより、ポリマーのカウンターイオンが、プロトンから非金属イオンに交換される。このイオン交換の結果、ポリマーは、非金属塩となる。
【0266】
[再生高分子の製造方法]
本開示は、加熱工程を含み、前記加熱工程は、上記再生高分子原料の製造方法により得られた再生高分子原料を加熱する工程である、再生高分子の製造方法に関する。
【0267】
加熱工程は、例えば、溶融工程、解重合工程等が挙げられる。
【0268】
<溶融工程>
溶融手段は、例えば、溶融機、ベント式押出機等が挙げられる。溶融温度は、再生高分子の融点以上であればよい。
【0269】
<解重合工程>
解重合触媒及びグリコールの存在下、解重合反応は、実施され得る。
【0270】
解重合温度は、好ましくは、120℃~210℃が挙げられる。
【0271】
解重合触媒は、好ましくは、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ金属水酸化物が挙げられ、より好ましくは、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムが挙げられる。
【0272】
質量%使用量(解重合触媒/再生高分子原料+グリコール)は、好ましくは、0.01質量%~10質量%が挙げられる。
【実施例0273】
以下、実施例及び比較例を通じて本発明を具体的に説明する。但し、上述の説明及び以下の実施例は、本発明を限定する目的で記載されていない。本発明は、特許請求の範囲のみにより限定される。以下特に説明がない限り、部、%等の数値は質量基準である。
【0274】
製造例1 ポリマー
撹拌器、還流冷却管、窒素導入管、温度計、滴下漏斗を2本備え付けた5口フラスコに、水 331.7部を入れ、80℃に昇温した。アクリル酸 50部、ヒドロキシエチルメタクリレート 20部、スチレン10部、アクリル酸ブチル20部、トリエチルアミン75.2部を混合し、滴下漏斗1に入れた。開始剤(NC-32P) 0.7部、水 35部を混合し、滴下漏斗2に入れた。滴下漏斗1、滴下漏斗2から2時間かけて滴下し、80℃で5時間保温した。その後、室温まで冷却し、水 32.5部を加え、ポリマー溶液(不揮発分25%)を得た。
【0275】
特段言及がない限り、下記例は、表のように変更した以外は、上記と同様に実施した。
【0276】
【表1】
開始剤:製品名「NC-32P」、日宝化学(株)製、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩
AA :アクリル酸
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート
St:スチレン
BA:ブチルアクリレート
TEA :トリエチルアミン
NH
3:28%アンモニア水
Na:ナトリウム(水酸化ナトリウム)
K:カリウム(水酸化カリウム)
ガラス転移温度(Tg):計算値(未中和ポリマー)
【0277】
実施例1-1 コーティング剤
ポリマー溶液1 100部、多価金属イオンとして「オルガチックスTC-400」、マツモトファインケミカル(株)製、チタントリエタノールアミネート:不揮発分79%) 17部、メラミン架橋剤として「ニカラックMX-035」、(株)三和ケミカル製、不揮発分80%) 3.1部、水 712部を混合してコーティング剤(不揮発分5%)を得た。
【0278】
特段言及がない限り、下記例は、表のように変更した以外は、上記と同様に実施した。
【0279】
【表2】
MX-035:製品名「ニカラックMX-035」、(株)三和ケミカル製、メラミン架橋剤、不揮発分80%
PZ-33:製品名「ケミタイト PZ-33」、(株)日本触媒製、アジリジン架橋剤(3官能)、不揮発分100%
DZ-22E:製品名「ケミタイト DZ-22E」、(株)日本触媒製、アジリジン架橋剤(2官能)、不揮発分29.0~33.0%
SV-02:製品名「カルボジライト SV-02」、日清紡ケミカル株式会社製、カルボジイミド架橋剤、不揮発分40%
Ti:チタントリエタノールアミネート:製品名「オルガチックスTC-400」、マツモトファインケミカル(株)製
Zr:炭酸ジルコニウムアンモニウム:製品名「ベイコート20」、日本軽金属(株)製
Mn:塩化マンガン
Co:塩化コバルト
Cu:酢酸銅
【0280】
積層物1製造(延伸性)
下記条件においてコーティング剤を塗工し、積層物を得た。
基材 :PETフィルム、製品名「A-PET」、ミネロン化成工業(株)製
基材厚さ :200μm
硬化条件 :80℃×5分の後、220℃×20秒
硬化物理論膜厚:1μm
【0281】
積層物2製造(剥離除去性、密着性、上塗り適正、耐摩耗性)
下記条件においてコーティング剤を塗工し、積層物を得た。
基材 :PETフィルム、製品名「ルミラーT60」、東レ(株)製
基材厚さ :50μm
硬化条件 :150℃×1分
硬化物理論膜厚:0.25μm
【0282】
<延伸性>
引張試験後のヘイズ値を測定した。
(評価基準)
○:ヘイズ値が1.5以下
×:ヘイズ値が1.5超過
【0283】
<密着性>
積層物に対し、碁盤目剥離試験を実施した。
碁盤目作製手段:カッターナイフ
碁盤目数 :100マス
碁盤目サイズ :1mm×1mm
粘着テープ :製品名「セロテープ(登録商標)」、ニチバン(株)製
引き剥がし方向:垂直方向
(評価基準)
○:残りマス目:95/100以上
×:残りマス目:94/100以下
【0284】
<上塗り適正>
積層物に、機能コーティング剤を塗布し、UV硬化させた。その後、外観を評価した。
機能コーティング剤:ジペンタエリスリトールポリアクリレート、製品名「A-9550W」、新中村化学工業(株)製
UV硬化条件 :300mJ
機能層理論膜厚 :1μm
(評価基準)
○:白化なし
×:白化あり
【0285】
<剥離除去性>
積層物を5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、各条件で剥離するか確認した。
(評価基準)
○:剥離する
×:剥離しない
【0286】
評価例:耐摩耗性
積層物に対し、ラビング試験を実施した。
ワイパー:セルロースワイパー、製品名「BEMCOT M-3II」、旭化成(株)製
荷重 :500g荷重/cm2
往復回数:20回
(評価基準)
○:傷なし
×:傷あり
【0287】
【0288】
実施例2-1:再生高分子原料製造
実施例1-1のコーティング剤を用いて製造した積層物2を5%水酸化ナトリウム水溶液中に23℃で30分浸漬させた。その後、イオン交換水ですすいだ。そして、500g荷重で20回擦ることにより、再生高分子原料を製造できた。
【0289】
特段言及がない限り、下記例は、表のように変更した以外は、上記と同様に実施した。
【0290】
【表4】
NaOH:水酸化ナトリウム
KOH:水酸化カリウム
TEA:トリエチルアミン
HCl:塩酸
PTS:パラトルエンスルホン酸
(評価基準)
○:目視にて上塗り層が除去できている
×:目視にて上塗り層が残存している
【0291】
実施例3:ポリマー回収
実施例2-1の洗浄廃液に塩酸を滴下し、洗浄液内をpH=3とした。滴下後に析出した沈殿をろ過することにより、ポリマーを回収した。
【0292】
実施例4:コーティング剤製造
実施例3で回収した粉体を100部、トリエチルアミン75.2部、多価金属イオンとして「オルガチックスTC-400」、マツモトファインケミカル(株)製、チタントリエタノールアミネート:不揮発分79%)87.6部、ラミン架橋剤として「ニカラックMX-035」、(株)三和ケミカル製、不揮発分80%)21.9部、水 4271.3部を混合してコーティング剤(不揮発分5%)を得た。
得られたコーティング剤について、上記手法により延伸性、剥離除去性、密着性、耐摩耗性、塗工後外観を評価した。評価結果は、実施例1-1と同様の結果であった。