IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ スティロン ヨーロッパ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツングの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124371
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】耐薬品性PMMA合金
(51)【国際特許分類】
   C08L 33/10 20060101AFI20240905BHJP
   C08L 25/12 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
C08L33/10
C08L25/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024028123
(22)【出願日】2024-02-28
(31)【優先権主張番号】23159759
(32)【優先日】2023-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】510288530
【氏名又は名称】トリンゼオ ヨーロッパ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ジー, ジャシン ジェイソン
(72)【発明者】
【氏名】ヴー, フエン
【テーマコード(参考)】
4J002
【Fターム(参考)】
4J002BC06Y
4J002BG06W
4J002BG06X
4J002GB01
4J002GN00
4J002GP01
4J002GQ00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、高流量、高耐熱性、及び優れた耐薬品性を有するポリマー合金組成物を提供する。
【解決手段】ポリマー合金は、スチレン-アクリロニトリル(SAN)またはアクリロニトリル-スチレン-アクリレート(ASA)コポリマーとブレンドされ、好ましくは別の高分子量(メタ)アクリルポリマーとブレンドされた、高分子量、疎水性アクリルポリマーを含有する。この合金は、自動車用LEDレンズ及び医療機器に特に有用である。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル合金組成物であって、
a)5~99.8重量パーセント、好ましくは10~80重量パーセント、最も好ましくは15~60重量パーセントの疎水性アクリルコポリマーであって、
1)tert-ブチルシクロヘキシルメタクリレート、3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びそれらの混合物から選択される0.1~20重量パーセント、好ましくは0.3~10重量パーセント、より好ましくは0.5~5重量%のモノマー単位と、
2)50~80重量パーセントのメチルメタクリレートモノマー単位と、
3)任意選択的に、0~49.9重量パーセントの、メチルメタクリレートと共重合可能な他のモノマー単位と、を含み、
前記パーセントが前記疎水性アクリルコポリマーにおける総モノマーに基づき、前記コポリマーが、114℃~135℃、好ましくは115℃~130℃、より好ましくは117℃~125℃のTgを有する、前記疎水性アクリルコポリマーと、
b)任意選択的に、他の(メタ)アクリルポリマーと、
c)0.2~30重量パーセント、好ましくは1~15重量パーセント、最も好ましくは1~7重量パーセントの、スチレン/アクリロニトリルコポリマー(SAN)及びアクリロニトリル/スチレン/アクリレート(ASA)コポリマーからなる群から選択される少なくとも1つのコポリマーと、を含み、
前記合金中のポリマーa)、b)、及びc)のパーセンテージが100%となる、前記アクリル合金組成物。
【請求項2】
前記他の(メタ)アクリルポリマーが、前記合金組成物中に30~94.8重量パーセントの前記ポリマーを含む、請求項1に記載のアクリル合金組成物。
【請求項3】
前記組成物が、前記組成物中に総ポリマーに基づいて、5~50重量パーセント、好ましくは10~40重量パーセント、より好ましくは20~45重量パーセントの衝撃改質剤を更に含む、請求項1及び2のいずれか1項に記載のアクリル合金組成物。
【請求項4】
前記tert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、及び/または3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートモノマー単位が、30/70~97/3、より好ましくは40/60~80/20、最も好ましくは50/50~75/25のトランス/シス比を有する、請求項1~3のいずれか1項に記載のアクリル合金組成物。
【請求項5】
メチルメタクリレートと共重合可能な前記任意選択的な他のモノマー単位が、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、アルファメチルスチレン、無水マレイン酸、マレイミド、イソボルニルメタクリレート、ノルボルニルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アクリルアミド及びメタクリルアミド、ならびにそれらの混合物からなる群から選択される、0.01~25重量パーセントの高Tgコモノマーを含む、請求項1~4のいずれか1項に記載のアクリル合金組成物。
【請求項6】
メチルメタクリレートと共重合可能な前記任意選択的な他のモノマー単位が、0.01~6重量パーセントのメタクリル酸、好ましくは0.1~4重量パーセント、より好ましくは0.5~3重量パーセントのメタクリル酸を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のアクリル合金組成物。
【請求項7】
前記疎水性アクリルコポリマーが、55,000g/モル~250,000g/モル、好ましくは70,000g/モル~200,000g/モル、より好ましくは85,000g/モル超~200,000g/モルの重量平均分子量を有する、請求項1~6のいずれか1項に記載のアクリル合金組成物。
【請求項8】
前記SANポリマーが、150,000g/モル超、好ましくは175,000g/モル超、より好ましくは200,000g/モル超の重量平均分子量を有する、請求項1~7のいずれか1項に記載のアクリル合金組成物。
【請求項9】
前記衝撃改質剤が、100~300nmの体積平均粒子径を有するコアシェルポリマー、アクリルブロックコポリマー、及び自己組織化、ナノ構造化ポリマーからなる群から選択される、請求項3に記載のアクリル合金組成物。
【請求項10】
前記衝撃改質剤が、1~20重量パーセントの自己組織化、ナノ構造化ポリマーと、5~40重量パーセントの1つ以上のコアシェル衝撃改質剤とのブレンドである、請求項9に記載のアクリル合金組成物。
【請求項11】
前記組成物が、少なくとも89%、好ましくは少なくとも90%、及びより好ましくは少なくとも91%のTWLT、ならびにASTM法D1003を使用して、3.2mm厚のプラーク上で測定される場合、4%未満、好ましくは3%未満、及び最も好ましくは2%未満の光学ヘイズを有し、光学的に透明である、請求項1~10のいずれか1項に記載のアクリル合金組成物。
【請求項12】
前記コポリマーが、589nmの波長で1.47~1.50の屈折率を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載のアクリル合金組成物。
【請求項13】
前記組成物が、1つ以上の他の相溶性ポリマー、好ましくは、ポリ(メチル(メタ)アクリレート/エチル(メタ)アクリレート)のコポリマーを更に含む、請求項1~12のいずれか1項に記載のアクリル合金組成物。
【請求項14】
ポリマー固体の重量に基づいて、50~3500ppmの1つ以上の酸化防止剤を更に含む、請求項1~13のいずれか1項に記載のアクリル合金組成物。
【請求項15】
請求項1~14に記載のアクリル合金組成物を含む、物品であって、前記物品が、自動車用フロントレンズ、薄肉部品、照明パイプ、ソーラーバックシート、携帯電話のバックカバー内の保護フィルム、光学レンズ、ディスプレイ/電子機器用の光学フィルム、医療用途、サイネージ、建築及び建設におけるフィルム、電気自動車(EV)充電ステーション、熱成形可能シート、射出成形部品、押出表面層、(共)押出シート及びプロファイル、ならびに複合材料からなる群から選択される、前記物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高流量、高耐熱性、及び優れた耐薬品性を有するポリマー合金組成物に関する。ポリマー合金は、高分子量、及び/またはスチレン-アクリロニトリルコポリマーとブレンドされた疎水性アクリルポリマーを含有する。この合金は、自動車用LEDレンズ及び医療機器に特に有用である。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性ポリマー及びコポリマー、特に(メタ)アクリルポリマーは、透明性、機械的特性、及び加工性などの優れた特性を有し、自動車部品、電気部品、産業部品、光学材料、家庭用電化製品の様々な部品、美容部品、雑貨などの様々な分野で広く使用されている。
【0003】
高Tgアクリルポリマーは、自動車用フロントインナーレンズ、薄肉部品、照明パイプ、電子機器の光学保護/位相差フィルム、ソーラーパネル/フィルム、携帯電話のバックカバー、家庭用電化製品、複合材料など、高い光学的透明性及び高耐熱性を必要とする用途に有用である。自動車用LEDフロントインナーレンズ及び薄肉部品の高熱アクリルコポリマーの市場は急速に増加すると予想される。加えて、高熱アクリルフィルムは、LED/OLEDディスプレイに使用される。
【0004】
メチルメタクリレート/メタクリル酸コポリマーなどの高Tgアクリルコポリマーは、US2018/0362688に記載されている。高分子量疎水性ポリ(メタ)アクリレートコポリマーは、US2022/0177622及びUS2002/0356281に記載されている。
【0005】
自動車、ならびに医療機器(例えば、キュベット、マイクロ流体部品)の用途における薄肉レンズのための高いメルトフローとともに、pMMA物品における不十分な耐薬品性に関連する問題がある。耐薬品性の改善の必要性があるが、50N下で少なくとも103℃の十分に高いビカット軟化温度及び十分に高いスパイラルフロー距離を維持することが望まれる。
【0006】
驚くべきことに、新世代の疎水性pMMAコポリマーを標準的なpMMA及び/またはpMMA/SANブレンドに組み込んだ場合、標準的な対照単独と比較して、一般的な極性有機溶媒(エタノール、及びイソプロピルアルコール(IPA)など)に対する耐薬品性の有意な改善が観察された。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、高Tg、疎水性アクリルコポリマーとスチレン-アクリロニトリルコポリマーとの合金が、高流量、高耐熱性、及び優れた耐薬品性(エタノール、IPA、エタノール/水、IPA/水)を提供することを実証し、加えて、これらの合金は、3.2mm成形プラークにおいて高光透過率(>91%)及び低ヘイズ(<=2%)をもたらした。加えて、50N下のビカット軟化温度の観点からも、100℃超、更には102℃超で十分な高耐熱性を達成した。
【0008】
標準的な高分子量アクリルコポリマーを合金に添加したとき、所望の特性に更なる改善が見られた。疎水性pMMA、高MW pMMA、及びSANを有する組成物は、SANなしまたは高MW pMMAなしのpMMA組成物と比較して、高い光学性能/透明度(w.高LT>90%及びヘイズ<3%)の著しい損失なしに、より優れた耐薬品性(エタノールに対する)を提供することが見出された。
【0009】
新しい疎水性pMMA合金は、照明パイプ、薄肉部品、光学フロント薄型レンズ、内部薄型レンズ、(共)押出シート、窓プロファイル、手すり及びデッキ、熱成形可能なシート、医療機器、光学フィルム、電子部品などを形成するために使用され得る。この独自の疎水性技術的ソリューションは、自動車、電子機器、医療機器、電気自動車(EV)充電ステーション、サイネージ、建築及び建設におけるフィルム、ソーラーパネルバックシート、及び高耐熱性及び耐薬品性のpMMA製品の観点からの他の用途で使用することができる。
【0010】
特定の理論に拘束されるものではないが、疎水性pMMAコポリマーは、分子相溶化剤として機能し、標準的なpMMAと疎水性SANとの間の相溶性を、おそらくナノメートルスケールでさえも、非常に小さいスケールで更に改善すると考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
「コポリマー」は、コポリマーを含む2つ以上の異なるモノマー単位を有するポリマー、及びターポリマー及びテトラポリマーなどの3つ以上の異なるモノマーを有するポリマーを意味するために使用される。したがって、用語「コポリマー、ターポリマー、及びテトラポリマー」は、複数のタイプのコモノマーを有する任意のポリマーを包含する。「ポリマー」は、ホモポリマー及びコポリマーの両方を意味するために使用される。ポリマーは、直鎖、分岐、星形、くし形、ブロック、または任意の他の構造であってもよい。ポリマーは、均一であってもよく、不均一であってもよく、コモノマー単位の勾配分布を有してもよい。引用される全ての参考文献は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で使用される場合、別途記載されない限り、パーセントは、重量パーセントを意味するものとする。分子量は、ポリメチルメタクリレート標準物質を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によって測定される重量平均分子量である。ポリマーがいくつかの架橋を含有し、不溶性ポリマー画分のためにGPCを適用することができない場合、ゲルからの抽出後の可溶性画分/ゲル画分または可溶性画分分子量を使用して重量平均分子量を決定する。
【0012】
本明細書で使用される「疎水性」とは、pMMAコポリマーが少なくとも0.2重量%のtert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート及び/または3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート疎水性モノマー単位を含有することを意味する。
【0013】
本明細書で使用される「(メタ)アクリル」または「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレートの両方を示す。本明細書で使用される「アクリルポリマー」とは、主に(メタ)アクリルモノマー単位に基づくポリマーを意味する。
【0014】
一実施形態では、本発明の疎水性コポリマーは、85℃/85%RH試験に合格する。別の実施形態では、本発明の疎水性コポリマーは、-40℃~80℃/85%RH湿度凍結サイクル試験に合格する。本発明者らは、高光透過率、高流量、高耐熱性、及び優れた耐薬品性を有する合金を得るために、スチレン-アクリロニトリル含有コポリマーとの疎水性PMMAコポリマーを含有する合金を調製した。高分子量pMMAを合金に添加することによって、特性が更に改善される。
【0015】
疎水性高Tgコポリマーまたはターポリマー
「高Tgモノマー」とは、重合すると、116℃超、好ましくは120℃超、より好ましくは130℃超のTgを有するポリマーを生成するモノマーを指す。有用な疎水性、高Tgモノマーの例として、限定されないが、トランス/シス異性体の特定のブレンド範囲としてのtert-ブチルシクロヘキシルメタクリレート、及び3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、及びその異性体ブレンドが挙げられる。
【0016】
疎水性の高Tgモノマーを、メチルメタクリレート、及び任意選択的に他のアクリルモノマーと重合させて、本発明の合金の疎水性の高Tgコポリマー及びテルポリマーを形成する。本発明の合金は、5~99.8重量パーセント、好ましくは10~80重量パーセント、より好ましくは15~50重量パーセントの疎水性高Tgコポリマーまたはターポリマーを含有する。
【0017】
疎水性高Tgコポリマーまたはターポリマーは、0.1~20重量パーセント、好ましくは0.3~10重量パーセント、より好ましくは0.5~5重量パーセントの疎水性モノマーを含有する。
【0018】
Tert-ブチルシクロヘキシルメタクリレート
Tert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートは、以下の構造式を有する:
【化1】
【0019】
モノマーは、99.8/0.2~85/15、好ましくは60/40~80/20、及びより好ましくは50/50~75/25のトランス/シス比を有する、シス及びトランス型の混合物である。
【0020】
最終コポリマー中のtert-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートのレベルは、一般に、0.2~20重量パーセントの範囲であり、より好ましくは、0.5~10重量パーセントのtert-ブチルシクロヘキシルメタクリレートがコポリマーで使用される。わずか1重量パーセント、更には0.5重量パーセントのtert-ブチルシクロヘキシルメタクリレートが、疎水性特性を有するコポリマーを提供することが見出されている。本発明のコポリマーのTgは、116℃~135℃である。
【0021】
3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート
3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートは、以下の構造式を有する:
モノマーは、シス型とトランス型との混合物である。
【0022】
最終コポリマー中の3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートのレベルは、一般に、0.2~20重量パーセントの範囲であり、より好ましくは、0.5~10重量パーセントのtert-ブチルシクロヘキシルメタクリレートがコポリマーで使用される。わずか1重量パーセント、更には0.5重量パーセントのtert-ブチルシクロヘキシルメタクリレートが、疎水性特性を有するコポリマーを提供することが見出されている。本発明のコポリマーのTgは、116℃~135℃である。
【化2】
【0023】
最終コポリマー中のtert-ブチルシクロヘキシルメタクリレートまたは3,3,5-トリメチルシクロヘキシルメタクリレートのレベルは、一般に、コポリマー中の全モノマー単位に基づいて、0.2~20重量パーセント、より好ましくは0.5~10重量パーセントの範囲である。わずか1重量パーセント、更には0.5重量パーセントのtert-ブチルシクロヘキシルメタクリレートが、疎水性特性を有するコポリマーを提供することが見出されている。本発明のコポリマーのTgは、116℃~140℃である。
【0024】
アクリルモノマー、MMA
疎水性の高Tgモノマーのうちの1つ以上は、1つ以上の他のモノマーと共重合される。本発明の好ましい実施形態では、コポリマーは、コポリマーを構成する少なくとも50重量パーセントのメチルメタクリレートモノマー単位、好ましくは少なくとも70重量パーセント、より好ましくは少なくとも80重量パーセントのメチルメタクリレートモノマー単位を含有する。
【0025】
本発明のコポリマーは、疎水性、高Tgモノマー(複数可)、及びメチルメタクリレートに加えて、0~49.5重量%の他のアクリレート及びメタクリレートモノマーを含み得、またはスチレン、アルファメチルスチレン、アクリロニトリル、及び架橋剤が低レベルで含まれるが、これらに限定されない他のエチレン性不飽和モノマーもモノマー混合物に存在し得る。好適なアクリレート及びメタクリレートコモノマーには、メチルアクリレート、エチルアクリレート及びエチルメタクリレート、ブチルアクリレート及びブチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート及びイソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート及びラウリルメタクリレート、ステアリルアクリレート及びステアリルメタクリレート、イソボルニルアクリレート及びイソボルニルメタクリレート、メトキシエチルアクリレート及びメトキシメタクリレート、2-エトキシエチルアクリレート及び2-エトキシエチルメタクリレート、ならびにジメチルアミノエチルアクリレート及びジメチルアミノエチルメタクリレートモノマーが含まれるが、これらに限定されない。(メタ)アクリル酸、例えばメタクリル酸及びアクリル酸は、モノマー混合物に有用であり得る。カルボキシル官能性に加えて、エポキシ(グリシジルメタクリレートなど)、ヒドロキシル、及び無水物官能基を含む官能性コモノマーを介して、他の官能性を高分子量アクリルプロセス補助剤に添加することができる。官能性モノマー単位(官能基を有するモノマー単位)は、アクリルポリマーの最大70重量パーセント、好ましくは最大50重量パーセントで存在し得る。
【0026】
好ましい実施形態では、アクリルコポリマーは、115℃超、より好ましくは120℃超、125℃超、130℃超、135℃超、更には140℃超の高いTgを有する。tert-ブチルシクロヘキシルメタクリレート及び3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートに加えて、他の高Tgモノマーは、任意選択的に、0~25重量パーセント、より好ましくは0~10重量パーセントのレベルで存在し得る。他の高Tgモノマーは、親水性、疎水性であり、または中性の特性を有し得、メタクリル酸、アクリル酸、イタコン酸、アルファメチルスチレン、無水マレイン酸、マレイミド、イソボルニルメタクリレート、ノルボルニルメタクリレート、t-ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アクリルアミド、及びメタクリルアミドを含むが、これらに限定されない。
【0027】
一実施形態では、MMA/メタクリル酸及び3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートのターポリマーは、有用なターポリマーを提供する。
【0028】
一実施形態では、tert-ブチルシクロヘキシルメタクリレート及び/または3,3,5-トリメチルシクロヘキシル(メタ)アクリレートの疎水性効果は、より低いレベルで使用される親水性コモノマーの親水性効果を克服し、全体的な疎水性コポリマーを生成するのに十分な強さであることが見出された。
【0029】
ポリマーブレンド中の疎水性高熱pMMAコポリマーの重量平均分子量は、70,000g/モル超、好ましくは80,000g/モル超、より好ましくは90,000g/モル超である。疎水性pMMAコポリマーの分子量を増加させると、耐薬品性が増加する。
【0030】
本発明の疎水性コポリマーは、溶液重合、乳化重合、及び懸濁重合を含むがこれらに限定されない、溶融重合によって得られる。
【0031】
高分子量アクリルポリマー
任意選択的に、好ましくは、1つ以上のアクリルポリマーが本発明の合金組成物にブレンドされる。本発明の好ましい実施形態では、コポリマーは、コポリマーを構成する少なくとも50重量パーセントのメチルメタクリレートモノマー単位、好ましくは少なくとも70重量パーセント、より好ましくは少なくとも80重量パーセントのメチルメタクリレートモノマー単位を含有する。メチルメタクリレートと重合可能な他のモノマーには、アクリルコモノマーとして上に列挙したものが含まれる。
【0032】
合金に使用されるアクリルポリマーは、70,000g/モル超、好ましくは80,000g/モル超、好ましくは90,000g/モル超、より好ましくは100,000g/モル超の重量平均分子量を有する。分子量の増加は、耐薬品性の増加をもたらす。
【0033】
アクリロニトリル、スチレンコポリマー
本発明の合金組成物は、アクリロニトリル及びスチレンモノマー単位を含有する1つ以上のコポリマーを0.2~30重量パーセント含有する。有用なコポリマーとしては、スチレン/アクリロニトリル(SAN)及びアクリロニトリル/スチレン/アクリレート(ASA)コポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0034】
アクリロニトリル、スチレンコポリマーは、15~50重量パーセントのアクリロニトリル単位、好ましくは20~40重量パーセントを含有する。
【0035】
本発明のアクリロニトリル、スチレンコポリマーは、合金の重量に基づいて、0.2~30重量パーセントで使用される。
【0036】
屋外の黄変の問題を回避するために、1~20重量%、好ましくは1~10重量%、より好ましくは1~7重量%のSANまたはASAコポリマーが合金ブレンド中に存在する。医療機器などの屋内用途では、より高いレベルのSANまたはASAコポリマーを使用して、より優れた耐薬品性を提供するとともに、製品をより費用対効果の高いものにすることができる。
【0037】
アクリロニトリル、スチレンコポリマーの重量平均分子量は、150,000g/モル超、好ましくは175,000g/モル超、より好ましくは200,000g/モル超である。
【0038】
添加剤
本発明の合金は、熱可塑性樹脂に使用される典型的な添加剤とブレンドすることができる。これらには、充填剤、表面改質添加剤、加工助剤、繊維、潤滑剤、マット剤、熱安定剤、難燃剤、相乗剤、マット剤、顔料、または着色剤が含まれるが、これらに限定されない。
【0039】
マット剤の例としては、限定されないが、様々な形状の架橋ポリマー粒子が挙げられる。ポリマー組成物に含まれる充填剤及び添加剤の量は、ポリマー、添加剤及び充填剤の合計重量の約0.01%~約70%であってもよい。一般に、約5%~約45%、約10%~約40%の量が含まれる。
【0040】
衝撃改質剤
衝撃改質剤は、本発明の合金に組み込むことができる。好適な衝撃改質剤は、コアシェル衝撃改質剤を含む、それらからなる、またはそれらから本質的になり得る。加えて、アクリル衝撃改質剤(Trinseo AltuglasのMPD80HFまたはMPD85T、及び小衝撃改質剤-SIMなど)を本発明のコポリマーまたはそれを含む組成物に添加して、耐水性及び高耐熱性を改善するために、疎水性であり、高い熱性能を有する、耐衝撃性のpMMA樹脂を提供することができる。衝撃改質組成物は、衝撃改質剤及び本発明のコポリマーを含む組成物の総重量に基づいて、5~50重量%、好ましくは10~48重量%、より好ましくは20~45重量%の衝撃改質剤を含み得る。衝撃改質剤は、コアシェル衝撃改質剤、アクリルブロックコポリマー、または自己組織化、ナノ構造化ポリマー、またはそれらの任意の組み合わせのうちの少なくとも1つを含む、それらからなる、またはそれらから本質的になり得る。
【0041】
他のポリマーとのブレンド
他のポリマーは、本発明のコポリマーとブレンドされ得る。例えば、ポリ(メチル(メタ)アクリレート)/エチル(メタ)アクリレート)コポリマー、ポリ(メチルメタクリレート)/メタクリレートコポリマー、ポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデン及びヘキサフルオロプロペンのコポリマー、ポリ乳酸、ならびにこれらの組み合わせを本発明の合金とブレンドして、ポリマー組成物を提供してもよい。
【0042】
酸化防止剤
一実施形態では、選択された酸化防止剤は、255~275℃などの高温での合金の熱安定性を改善し、高温での黄変を低減するために使用され得る。最終合金組成物中の抗酸化剤の負荷は、組成物の総重量に基づいて、約50ppm~3500ppm、好ましくは約100ppm~約2500ppmのレベルである。有用な酸化防止剤の非限定的な例としては、立体障害フェノール、有機リン酸塩ヒンダードアミン系光安定剤(HALS)、ベンゾトリアゾール、トリアジン、ベンゾフェノン、及びシアノアクリレートが挙げられる。例えば、コポリマーは、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、立体障害フェノール、有機リン酸塩、ヒンダードアミン、及びそれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを含む100~2000ppm重量または2500ppm重量の酸化防止剤を含み得る。これらの酸化防止剤は、255℃~275℃などの高温での樹脂の熱安定性を改善し、高温での黄変を低減するために使用される。最終的な樹脂製剤中の酸化防止剤の負荷レベルは、100ppm~2000ppm重量、または150ppm~1900ppm、または200ppm~1800ppm、または150ppm~1500ppm、または100ppm~1000ppm重量の範囲である。
【0043】
用途
本発明の合金は熱可塑性であり、シート、フィルム、照明パイプ及びレンズに容易に成形することができる。
【0044】
優れた熱安定性、耐薬品性、高分子量、耐湿性、及び優れた光学特性により、本発明の合金は、特に、照明パイプ、薄肉部品、光学フロント薄型レンズ、内部薄型レンズ、(共)押出フィルム、(共)押出シート/プロファイル、熱成形可能なシート、鋳造シート、複合材料、ソーラーパネルバックシート、窓プロファイル、手すり及びデッキ、医療機器、光学フィルム、電子部品、サイネージ、建築及び建設におけるフィルムなどを形成するのに有用である。本発明の高熱アクリルフィルムは、LED/OLEDディスプレイに使用され得る。省エネOLED技術がLED/LCD技術に取って代わるために広く使用されている場合、OLED用の新しい薄型偏光子の需要は、LCD/LED TV用の従来の偏光子と比較して増加する可能性がある。
【0045】
本明細書内では、実施形態は、明確で簡潔な仕様を書くことを可能にする方法で説明されているが、実施形態は、本発明から分離することなく種々に組み合わされてもよく、または分離されてもよいことが意図されており、理解されるであろう。例えば、本明細書に記載の全ての好ましい特徴は、本明細書に記載の本発明の全ての態様に適用可能であることを理解されたい。
【0046】
本発明の非限定的な態様を以下に要約する。
【実施例0047】
試験方法:
A.メルトフローレート(MFR)測定:メルトフローレート測定におけるポリマーには、Instron Ceast MF30装置を使用した。ダイ温度を230℃に制御し、一方、ローディングセル重量を3.8kgにした。乾燥したペレットを、T未満の20℃付近で8時間にわたって使用した。
B.ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC):Waters Alliance 2695及びWaters Differential Refractometer 2410を使用して、ポリマー分子量測定を行った。カラムは、2つのPL Gel mixed Cカラム及びガードカラム(7.8mm I.D.×30cm、5μm)をベースとした。THF(HPLCグレード)を溶媒として選択した。温度を35℃に制御した。550~1,677,000g/モルの範囲のM(ピーク分子量)の10のポリ(メチルメタクリレート)標準を較正に使用した。
C.示差走査熱量測定(DSC):アクリルポリマーのガラス転移温度は、第2の加熱中に、TA器具Q2000DSCを使用して、N中で10℃/分の加熱速度で測定した。第1の加熱を使用して、試料を10℃/分の加熱速度で170℃に加熱し、次いで、試料を10℃/分の冷却速度で0℃まで冷却した。試料重量を5~10mgに制御した。
D.総光透過率:150mm積分球を有するPerkin Elmer Lambda950を使用して、透過モードでフィルム及び/またはプラーク試料からの全光透過率を測定した。選択されたUV/Vis波長範囲は、UV/Vis領域で200nm~800nmであった。
E.ヘイズ:透明なフィルム及び/またはプラーク試料の光学ヘイズを、ASTM方法D1003の下でBYK HazeGard Plusを使用して測定した。
F.屈折率:屈折率を589nmの選択された波長で計算しながら、Metricon Incからの光学プリズムカプラMetricon2010を使用して、402nm、518nm、及び636.5nmの3つの異なる波長でポリマーフィルムの屈折率を測定した。
G.引張強度及び伸び:引張バーの引張強度、弾性率及び伸びは、23℃/48時間で事前条件付けされた後、ASTM D638法を使用して、5mm/分のクロスヘッド速度でInstron Model4202を使用して評価した。引張は長さが6インチであったが、幅は0.50インチであった。試料の厚さは0.125インチであった。
H.NMR:試料は、約200mgのペレットを約4mlのCDClに、13C NMR用の別個の10mm NMRチューブに溶解させることによって調製した。Hスペクトルは、MAAの誘導体化の前後に、25℃で5mmH/19F/13C TXOプローブを有するBruker AV III HD 500(11.07T)分光計上で得た。13Cスペクトルを、50℃で10mmのBBOプローブを用いてBruker AV400(9.4T)上で取得した。
I.ビカット軟化温度:試料を、ASTM法D1525を使用して、10N及び50Nの外力下でInstron HV6M中で試験した。試料加熱速度を50℃/時間の速度で制御した。射出成形された試料を、Tg値より約20℃低い温度で16時間アニーリングし、試験前に乾燥機オーブン内に保管した。
J.スパイラルフロー距離:スパイラルフロー距離は、25.4mm/秒のねじ速度とともに、18.3MPaの射出成形圧力下で、260℃のバレル温度で3mmの厚さで測定した。
K.耐薬品性試験:4mmの厚さのISO引張バーの破断破壊時間(秒)を、カンチレバービーム構成下の耐薬品性試験に利用した。表面定数応力は20MPa~40MPaの範囲で印加した。エタノール、イソプロピルアルコール、メチルエチルケトンなどの異なる有機溶媒を選択することができる。印加重量と支点の間の距離は、70cmに制御する。溶媒(例えば、エタノール)に浸した濾紙を支点に配置した。
L.平均粒子径:希釈された溶液(0.1~0.2重量%)中に分散されたコアシェル衝撃改質剤をSiウェーハ基板上にスピンコーティングし、70℃で1時間乾燥させる。試料を、Southbay Technologies(モデルIBSe)のイオンビームコーターを用いてイリジウムの薄層でコーティングし、様々な倍率で日立SU8010電界放出SEMを用いて画像化した。粒径分析には、カスタムソフトウェアを使用した。衝撃改質剤粒子の平均直径は、SEM画像中の個々の粒子の200を超えるものに基づいて、中央値の直径とともに決定される。衝撃改質剤粒子の体積平均直径を報告する。
【0048】
実施例1.(合成例)
(0.95%tert-ブチルシクロヘキシルメタクリレートを含有するpMMAコポリマーMW2204
この実施例は、メチルメタクリレート及びtert-ブチルシクロヘキシルメタクリレート(73%トランス/27%シス異性体比を有する)の高分子量コポリマーの調製を示す。9858.5部のメチルメタクリレート及び100部のtert-ブチルシクロヘキシルメタクリレートを、N下、0℃付近の反応容器に、100rpmの機械的撹拌速度で充填した。加えて、(Arkemaからの)Luperox(登録商標)531を、2.0部のレベルで開始剤として使用し、n-ドデシルメルカプタン(Aldrichからのn-DDM)の38.5部を、ジ-tert-ドデシルジスルフィド(ArkemaからのDtDDS)の1.0部とともに連鎖移動剤として使用した。重合反応は、160℃で7時間行われた。変換率が50%を超えると、残留モノマーを通気システムで除去した。得られたポリマーを、240℃のダイ温度で単軸スクリュー押出機に通し、一方、バレル温度は225~245℃であった。溶融流は、ペレット化する前に水浴を通過した。次いで、コポリマーを3~4mmの長さの樹脂ペレットにペレット化し、乾燥機オーブン中100℃で8時間乾燥させた。ポリマーのメルトフローレートは、3.8kg下で230℃で5.35g/10分であることが測定された。得られたポリマーの屈折率を、589nmで1.491で測定した。
【0049】
得られたポリマーは、H NMRを使用して、pMMA/tert-ブチルシクロヘキシルメタクリレート(99.05/0.95w/w)の組成を有することが確認された。コポリマーのシンジオタクチシティは、13C NMRを使用して44.5ppmの化学シフトから51%と決定され、アイソタクティシティ及びアタクティシティは、45.5ppm及び45.0ppmから8%及び41%と測定された。樹脂のガラス転移温度は、10℃/分の加熱速度で、DSCを使用して、N中で115℃であることが測定された。試料を100℃で16時間アニールした後、116℃及び112℃で、10N及び50N下でビカット軟化温度を検出した。GPCを用いて、樹脂の重量平均分子量Mwは、Mw/Mn(多分散性)値1.85とともに、82,000g/モルと測定された。3.2mmプラークからの光透過率は、150mm積分球を有するLambda950を使用して、560nmで92.1%であることが測定され、一方、ヘイズメーター(BYKからのHaze Gard Plus)を使用して、ヘイズが0.5%であることが測定された。試験試料の引張弾性率は3.2GPaであったが、引張強度は10%の引張伸びとともに75MPaであった。18.3MPaの成形圧力下で、260℃で3mmの厚さで108.9cmのスパイラルフロー距離を得た。3mm試験試料の破断破壊時間は、99.99%エタノールを用いた38MPaの一定の表面応力下で12秒であることが測定された。
【0050】
実施例2.(合成例)
(3.88%のtert-ブチルシクロヘキシルメタクリレートを含有するpMMAコポリマーMW2112)。
この実施例は、メチルメタクリレート及びtert-ブチルシクロヘキシルメタクリレート(72%トランス/28%シス異性体比を有する)の高分子量コポリマーの調製を示す。9466部のメチルメタクリレート及び400部のtert-ブチルシクロヘキシルメタクリレートを、N下、0℃付近の反応容器に、100rpmの機械的撹拌速度で充填した。加えて、(Arkemaからの)Luperox(登録商標)531を、1.6部のレベルで開始剤として使用し、n-ドデシルメルカプタン(Aldrichからのn-DDM)の35.3部を、ジ-tert-ドデシルジスルフィド(ArkemaからのDtDDS)の1.0部とともに連鎖移動剤として使用した。重合反応は、160℃で7時間行われた。変換率が約50%に達すると、残留モノマーを通気システムで除去した。得られたポリマーを、240℃のダイ温度で単軸スクリュー押出機に通し、一方、バレル温度は225~245℃であった。溶融流は、ペレット化する前に水浴を通過した。次いで、ポリマーを3~4mmの長さの樹脂ペレットにペレット化し、乾燥オーブン中100℃で8時間乾燥させた。ポリマーのメルトフローレートは、3.8kg下で230℃で4.08g/10分であることが測定された。得られたポリマーの屈折率を、589nmで1.490で測定した
【0051】
得られたポリマーは、H NMRを使用して、pMMA/tert-ブチルシクロヘキシルメタクリレート(96.12/3.88w/w)の組成を有することが確認された。コポリマーのシンジオタクチシティは、13C NMRを使用して44.5ppmの化学シフトから50%と決定され、アイソタクティシティ及びアタクティシティは、45.5ppm及び45.0ppmから8%及び42%と測定された。樹脂のガラス転移温度は、10℃/分の加熱速度で、DSCを使用して、N中で116℃であることが測定され、一方、ビカット温度は、10N及び50N下で、114℃及び108℃で検出された。GPCを用いて、樹脂の重量平均分子量Mwは、Mw/Mn(多分散性)値2.1とともに、85,000g/モルと測定された。3.2mmプラークからの光透過率は、150mm積分球を有するLambda950を使用して、560nmで92.3%であることが測定され、一方、ヘイズメーター(BYKからのHaze Gard Plus)を使用して、ヘイズが0.6%であることが測定された。試験試料の引張弾性率は3.2GPaであったが、引張強度は12%の引張伸びとともに73MPaであった。18.3MPaの成形圧力下で260℃で3mmの厚さで106cmのスパイラルフロー距離を得た。3mm試験試料の破断破壊時間は、99.99%エタノールを用いた38MPaの一定の表面応力下で15秒であることが測定された。
【0052】
実施例3.(疎水性pMMA/高分子量pMMAの合金)
MW2009/20%Q-クリーン:20重量%のAltuglas(登録商標)QクリーンpMMA樹脂を、210℃のダイ温度での溶融配合により、80重量%のMW2009疎水性pMMAコポリマーとブレンドした。Q-クリーンは、150,000g/モルの重量平均分子量及び2.0の多分散性(Mw/Mn)を有するpMMA/エチルアクリレート(97/3w/w)から作製した。Altuglas MW2009は、tert-ブチルシクロヘキシルメタクリレート(99.0/1.0w/w)を含有し、重量平均分子量85,000g/モル、及びその多分散性(Mw/Mn)が1.89であるpMMAコポリマーから作製した。pMMAコポリマー合金のガラス転移温度は、10℃/分の加熱速度でDSCを使用して、N中で116℃であることが測定され、一方、ビカット温度は、10N及び50N下で、117℃及び112℃でそれぞれ検出された。GPCを用いて、樹脂の重量平均分子量Mwは、Mw/Mn(多分散性)値2.07とともに、102,000g/モルと測定された。3.2mmプラークからの光透過率は、150mm積分球を有するLambda950を使用して、560nmで92.1%であることが測定され、一方、ヘイズメーター(BYKからのHaze Gard Plus)を使用して、ヘイズが0.5%であることが測定された。試験試料の引張弾性率は3.2GPaであったが、引張強度は20%の引張伸びとともに76MPaであった。
【0053】
ポリマーのメルトフローレートは、3.8kg下で230℃で2.45g/10分であることが測定された。18.3MPaの成形圧力下で260℃で3mmの厚さで102.7cmのスパイラルフロー距離を得た。3mm試験試料の破断破壊時間は、99.99%エタノールを用いた38MPaの一定の表面応力下で40秒であることが測定された。
【0054】
実施例4.(疎水性pMMA/高分子量pMMAの合金)
MW2112/30%Q-クリーン:30重量%のAltuglas(登録商標)QクリーンpMMA樹脂を、210℃のダイ温度での溶融配合により、70重量%のMW2112疎水性pMMAコポリマーとブレンドした。Q-クリーンは、150,000g/モルの重量平均分子量及び2.0の多分散性(Mw/Mn)を有するpMMA/エチルアクリレート(97/3w/w)から作製した。Altuglas(登録商標)MW2112は、86,000g/モルの重量平均分子量及び2.1の多分散性(Mw/Mn)を有するtert-ブチルシクロヘキシルメタクリレート(96.1/3.9w/w)を含有するpMMAコポリマーから作製した。pMMAコポリマー合金のガラス転移温度は、10℃/分の加熱速度でDSCを使用して、N中で115℃であることが測定され、一方、ビカット温度は、10N及び50N下で、115℃及び111℃でそれぞれ検出された。GPCを用いて、樹脂の重量平均分子量Mwは、Mw/Mn(多分散性)値2.46とともに、117,000g/モルと測定された。3.2mmプラークからの光透過率は、150mm積分球を有するLambda950を使用して、560nmで92.1%であることが測定され、一方、ヘイズメーター(BYKからのHaze Gard Plus)を使用して、ヘイズが0.8%であることが測定された。試験試料の引張弾性率は3.1GPaであったが、引張強度は16%の引張伸びとともに75MPaであった。
【0055】
ポリマーのメルトフローレートは、3.8kg下で230℃で2.27g/10分であることが測定された。260℃で18.3MPaの成形圧力下で3mmの厚さで102.0cmのスパイラルフロー距離を得た。3mm試験試料の破断破壊時間は、99.99%エタノールを用いた38MPaの一定の表面応力下で55秒であることが測定された。
【0056】
実施例5.(疎水性pMMA/SAN合金)
MW2009/5%SAN:95重量%のAltuglas MW2009 pMMA樹脂を、210℃のダイ温度での溶融配合により、5重量%のSAN疎水性コポリマーとブレンドした。MW2009は、85,000g/モルの重量平均分子量及び1.89の多分散性(Mw/Mn)を有するpMMA/tert-ブチルシクロヘキシルメタクリレート(99/1w/w)コポリマーから作製した。SANは、Ineosによって製造されたポリ(スチレン-co-アクリロニトリル(64/36w/w)から作製され、重量平均分子量は205,000g/モルであり、その多分散性(Mw/Mn)は2.38であった。pMMA/SAN合金のガラス転移温度は、10℃/分の加熱速度でDSCを使用して、N中で113℃であることが測定され、一方、ビカット温度は、10N及び50N下で、117℃及び113℃でそれぞれ検出された。GPCを用いて、樹脂の重量平均分子量Mwは、Mw/Mn(多分散性)値1.92とともに、99,000g/モルと測定された。3.2mmプラークからの光透過率は、150mm積分球を有するLambda950を使用して、560nmで90.6%であることが測定され、一方、ヘイズメーター(BYKからのHaze Gard Plus)を使用して、ヘイズが0.9%であることが測定された。試験試料の引張弾性率は3.2GPaであったが、引張強度は8%の引張伸びとともに75MPaであった。
【0057】
ポリマーのメルトフローレートは、3.8kg下で230℃で4.51g/10分であることが測定された。260℃で18.3MPaの成形圧力下で3mmの厚さで108.4cmのスパイラルフロー距離を得た。3mm試験試料の破断破壊時間は、99.99%エタノールを用いた38MPaの一定の表面応力下で18秒であることが測定された。
【0058】
実施例6.(疎水性pMMAコポリマー、高分子量PMMA及びSANの合金)
V045/MW2204/SAN:65重量%のAltuglas V045 pMMA樹脂を、30重量%のMW2204疎水性pMMA、及び210℃のダイ温度での溶融配合による5重量%のSAN(Ineos由来)コポリマーとブレンドした。Altuglas MW2204は、tert-ブチルシクロヘキシルメタクリレート(99.05/0.95w/w)を含有するpMMAコポリマーから作製され、重量平均分子量は82,000g/モルであり、その多分散性(Mw/Mn)は1.85であった。pMMAコポリマー合金のガラス転移温度は、10℃/分の加熱速度でDSCを使用して、N中で109℃であることが測定され、一方、ビカット温度は、10N及び50N下で、111℃及び106℃でそれぞれ検出された。GPCを用いて、樹脂の重量平均分子量Mwは、Mw/Mn(多分散性)値2.01とともに、117,000g/モルと測定された。3.2mmプラークからの光透過率は、150mm積分球を有するLambda950を使用して、560nmで90.6%であることが測定され、一方、ヘイズメーター(BYKからのHaze Gard Plus)を使用して、ヘイズが0.9%であることが測定された。試験試料の引張弾性率は3.2GPaであったが、引張強度は16%の引張伸びとともに73MPaであった。
【0059】
ポリマーのメルトフローレートは、3.8kg下で230℃で2.96g/10分であることが測定された。260℃で18.3MPaの成形圧力下で3mmの厚さで102.3cmのスパイラルフロー距離を得た。3mm試験試料の破断破壊時間は、99.99%エタノールを用いた38MPaの一定の表面応力下で244秒であることが測定された。
【0060】
実施例7.(疎水性pMMAコポリマー、高分子量pMMA及びSANの合金)V045/MW2009/SAN-70/25/5:
70重量%のAltuglas(登録商標)V045 pMMA樹脂を、25重量%のMW2009疎水性pMMA、及び210℃のダイ温度での溶融配合による5重量%のSANコポリマーとブレンドした。V045樹脂は、pMMA/エチルアクリレート(94.6/5.4w/w)から作製され、重量平均分子量は125,000g/モルであり、その多分散性(Mw/Mn)は2.0であった。Altuglas(登録商標)MW2009は、tert-ブチルシクロヘキシルメタクリレート(99/1w/w)を含有するpMMAコポリマーから作製され、重量平均分子量は85,000g/モルであり、その多分散性(Mw/Mn)は2であり、一方、SANは、ポリ(スチレン-co-アクリロニトリル(64/36w/w)から作製され、重量平均分子量は205,000g/モルであり、その多分散性(Mw/Mn)2.38であった。pMMAコポリマー合金のガラス転移温度は、10℃/分の加熱速度でDSCを使用して、N中で109℃であることが測定され、一方、ビカット温度は、10N及び50N下で、110℃及び106℃でそれぞれ検出された。GPCを用いて、樹脂の重量平均分子量Mwは、Mw/Mn(多分散性)値1.98とともに、123,000g/モルと測定された。3.2mmプラークからの光透過率は、150mm積分球を有するLambda950を使用して、560nmで91.4%であることが測定され、一方、ヘイズメーター(BYKからのHaze Gard Plus)を使用して、ヘイズが1%であることが測定された。試験試料の引張弾性率は3.0GPaであったが、引張強度は35%の引張伸びとともに71MPaであった。
【0061】
ポリマーのメルトフローレートは、3.8kg下で230℃で2.50g/10分であることが測定された。260℃で18.3MPaの成形圧力下で3mmの厚さで99.8cmのスパイラルフロー距離を得た。3mm試験試料の破断破壊時間は、99.99%エタノールを用いた38MPaの一定の表面応力下で235秒であることが測定された。
【0062】
実施例8.(疎水性pMMAコポリマー、高分子量pMMA及びSANの合金)V045/MW2009/SAN-70/20/10:
70重量%のAltuglas(登録商標)V045 pMMA樹脂を、20重量%のMW2009疎水性pMMA、及び210℃のダイ温度での溶融配合による10重量%のSANコポリマーとブレンドした。V045樹脂は、pMMA/エチルアクリレート(94.6/5.4w/w)から作製され、重量平均分子量は120,000g/モルであり、その多分散性(Mw/Mn)は2.0であった。Altuglas(登録商標)MW2009は、tert-ブチルシクロヘキシルメタクリレート(99/1w/w)を含有するpMMAコポリマーから作製され、重量平均分子量は85,000g/モルであり、その多分散性(Mw/Mn)は2であり、一方、SANは、ポリ(スチレン-co-アクリロニトリル(64/36w/w)から作製され、重量平均分子量は205,000g/モルであり、その多分散性(Mw/Mn)2.38であった。pMMAコポリマー合金のガラス転移温度は、10℃/分の加熱速度でDSCを使用して、N中で109℃であることが測定され、一方、ビカット温度は、10N及び50N下で、109℃及び105℃でそれぞれ検出された。GPCを用いて、樹脂の重量平均分子量Mwは、Mw/Mn(多分散性)値2.0とともに、130,000g/モルと測定された。3.2mmプラークからの光透過率は、150mm積分球を有するLambda950を使用して、560nmで91.2%であることが測定され、一方、ヘイズメーター(BYKからのHaze Gard Plus)を使用して、ヘイズが1.1%であることが測定された。試験試料の引張弾性率は3.1GPaであったが、引張強度は29%の引張伸びとともに73MPaであった。
【0063】
ポリマーのメルトフローレートは、3.8kg下で230℃で2.61g/10分であることが測定された。260℃で18.3MPaの成形圧力下で3mmの厚さで100.2cmのスパイラルフロー距離を得た。3mm試験試料の破断破壊時間は、99.99%エタノールを用いた38MPaの一定の表面応力下で449秒であることが測定された。
【表1】
【表2】
【0064】
比較例1.Altuglas(登録商標)V825T pMMAコポリマーは、H NMRを使用して、pMMA/エチルアクリレート(99.4/0.6w/w)の組成を有することが確認された。V825T樹脂のガラス転移温度は、10℃/分の加熱速度でDSCを使用して、N中で115℃であることが測定され、一方、ビカット温度は、10N及び50N下で、114℃及び108℃でそれぞれ検出された。GPCを用いて、樹脂の重量平均分子量Mwは、Mw/Mn(多分散性)値1.87とともに、98,000g/モルと測定された。3.2mmプラークからの光透過率は、150mm積分球を有するLambda950を使用して、560nmで92.3%であることが測定され、一方、ヘイズメーター(BYKからのHaze Gard Plus)を使用して、ヘイズが0.4%であることが測定された。試験試料の引張弾性率は3.1GPaであったが、引張強度は12%の引張伸びとともに75MPaであった。
【0065】
ポリマーのメルトフローレートは、3.8kg下で230℃で2.69g/10分であることが測定された。260℃で18.3MPaの成形圧力下で3mmの厚さで100.6cmのスパイラルフロー距離を得た。3mm試験試料の破断破壊時間は、99.99%エタノールを用いた38MPaの一定の表面応力下で23秒であることが測定された。
【0066】
比較例2.Altuglas(登録商標)V920T pMMAコポリマーは、H NMRを使用して、pMMA/エチルアクリレート(94.4/5.4w/w)の組成を有することが確認された。V920T樹脂のガラス転移温度は、10℃/分の加熱速度でDSCを使用して、N中で107℃であることが測定され、一方、ビカット温度は、10N及び50N下で、107℃及び100℃でそれぞれ検出された。GPCを用いて、樹脂の重量平均分子量Mwは、Mw/Mn(多分散性)値1.95とともに、85,000g/モルと測定された。3.2mmプラークからの光透過率は、150mm積分球を有するLambda950を使用して、560nmで92.3%であることが測定され、一方、ヘイズメーター(BYKからのHaze Gard Plus)を使用して、ヘイズが0.4%であることが測定された。試験試料の引張弾性率は3.1GPaであったが、引張強度は7%の引張伸びとともに65MPaであった。
【0067】
ポリマーのメルトフローレートは、3.8kg下で230℃で7.27g/10分であることが測定された。206℃で18.3MPaの成形圧力下で3mmの厚さで109.4cmのスパイラルフロー距離を得た。3mm試験試料の破断破壊時間は、99.99%エタノールを用いた38MPaの一定の表面応力下で8秒であることが測定された。
【0068】
比較例3.Plexiglas(登録商標)V045 pMMAコポリマーは、H NMRを使用して、pMMA/エチルアクリレート(94.4/5.4w/w)の組成を有することが確認された。V045樹脂のガラス転移温度は、10℃/分の加熱速度でDSCを使用して、N中で107℃であることが測定され、一方、ビカット温度は、10N及び50N下で、107℃及び100℃でそれぞれ検出された。GPCを用いて、樹脂の重量平均分子量Mwは、Mw/Mn(多分散性)値1.95とともに、120,000g/モルと測定された。3.2mmプラークからの光透過率は、150mm積分球を有するLambda950を使用して、560nmで92.3%であることが測定され、一方、ヘイズメーター(BYKからのHaze Gard Plus)を使用して、ヘイズが0.4%であることが測定された。試験試料の引張弾性率は3.1GPaであったが、引張強度は15%の引張伸びとともに72MPaであった。
【0069】
ポリマーのメルトフローレートは、3.8kg下で230℃で2.01g/10分であることが測定された。260℃で18.3MPaの成形圧力下で3mmの厚さで95.5cmのスパイラルフロー距離を得た。3mm試験試料の破断破壊時間は、99.99%エタノールを用いた38MPaの一定の表面応力下で397秒であることが測定された。
【0070】
比較例4.Plexiglas(登録商標)Q-クリーンpMMAコポリマーは、H NMRを使用して、pMMA/エチルアクリレート(97/3w/w)の組成を有することが確認された。Plexiglas(登録商標)Q-クリーン樹脂のガラス転移温度は、10℃/分の加熱速度でDSCを使用して、N中で110℃であることが測定され、一方、ビカット温度は、10N及び50N下で、110℃及び107℃でそれぞれ検出された。GPCを用いて、樹脂の重量平均分子量Mwは、Mw/Mn(多分散性)値2.0とともに、150,000g/モルと測定された。3.2mmプラークからの光透過率は、150mm積分球を有するLambda950を使用して、560nmで92.3%であることが測定され、一方、ヘイズメーター(BYKからのHaze Gard Plus)を使用して、ヘイズが0.4%であることが測定された。試験試料の引張弾性率は3.1GPaであったが、引張強度は30%の引張伸びとともに71MPaであった。
【0071】
ポリマーのメルトフローレートは、3.8kg下で230℃で0.64g/10分であることが測定された。260℃で18.3MPaの成形圧力下で3mmの厚さで79.6cmのスパイラルフロー距離を得た。3mmの試験試料の破断破壊時間は、99.99%エタノールを用いた38MPaの一定の表面応力下で、900秒超であることが測定された。
【0072】
比較例5.IneosSANコポリマーは、H NMRを使用して、ポリ(スチレン-co-アクリロニトリル(64/36w/w)の組成を有することが確認された。SAN樹脂のガラス転移温度は、10℃/分の加熱速度で、DSCを使用して、N中で106℃であることが測定され、一方、ビカット温度は、107℃及び101℃で、10N及び50N下でそれぞれ検出された。GPCを用いて、樹脂の重量平均分子量Mwは、Mw/Mn(多分散性)値2.38とともに、205,000g/モルと測定された。3.2mmプラークからの光透過率は、150mm積分球を有するLambda950を使用して、560nmで90.1%であることが測定され、一方、ヘイズメーター(BYKからのHaze Gard Plus)を使用して、ヘイズが0.8%であることが測定された。試験試料の引張弾性率は3.4GPaであったが、引張強度は5%の引張伸びとともに72MPaであった。
【0073】
ポリマーのメルトフローレートは、3.8kg下で230℃で7.25g/10分であることが測定された。260℃で18.3MPaの成形圧力下で3mmの厚さで104.2cmのスパイラルフロー距離を得た。3mmの試験試料の破断破壊時間は、99.99%エタノールを用いた38MPaの一定の表面応力下で、900秒超であることが測定された。
【0074】
比較可能な実施例6.(Tg=約117℃で1.0%tert-ブチルシクロヘキシルメタクリレートを含有するpMMAコポリマーMW2009)。この実施例は、メチルメタクリレート及びtert-ブチルシクロヘキシルメタクリレート(62%トランス/38%シス異性体比を有する)の高分子量コポリマーの調製を示す。ポリマーのメルトフローレートは、3.8kg下で230℃で3.75g/10分であることが測定された。
【0075】
得られたポリマーは、H NMRを使用して、pMMA/tert-ブチルシクロヘキシルメタクリレート(99.0/1.0w/w)の組成を有することが確認された。コポリマーのシンジオタクチシティは、13C NMRを使用して44.5ppmの化学シフトから50%と決定され、アイソタクティシティ及びアタクティシティは、45.5ppm及び45.0ppmから8%及び42%と測定された。樹脂のガラス転移温度は、10℃/分の加熱速度で、DSCを使用して、N中で117℃であることが測定された。試料を100℃で16時間アニールした後、117℃及び113℃で、10N及び50N下でビカット軟化温度を検出した。GPCを用いて、樹脂の重量平均分子量Mwは、Mw/Mn(多分散性)値1.89とともに、85,000g/モルと測定された。3.2mmプラークからの光透過率は、150mm積分球を有するLambda950を使用して、560nmで92.3%であることが測定され、一方、ヘイズメーター(BYKからのHaze Gard Plus)を使用して、ヘイズが0.5%であることが測定された。試験試料の引張弾性率は3.2GPaであったが、引張強度は10%の引張伸びとともに70MPaであった。260℃で18.3MPaの成形圧力下で3mmの厚さで105cmのスパイラルフロー距離を得た。3mm試験試料の破断破壊時間は、99.99%エタノールを用いた38MPaの一定の表面応力下で15秒であることが測定された。
【0076】
実施例の概要:
実施例から分かるように、疎水性pMMA、高MW pMMA、及びSANを有する組成物は、SANなしまたは高MW pMMAなしの実施例と比較して、高い光学性能/透明度(w.高LT>90%及びヘイズ<3%)の任意の有意な損失なしに、より優れた耐薬品性(エタノールに対する)を提供する。
【外国語明細書】