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特開2024-124372増幅された真空吸着力により反ったワークピースを取得するチャック
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  • 特開-増幅された真空吸着力により反ったワークピースを取得するチャック 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124372
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】増幅された真空吸着力により反ったワークピースを取得するチャック
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/683 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
H01L21/68 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024028355
(22)【出願日】2024-02-28
(31)【優先権主張番号】63/449,061
(32)【優先日】2023-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518327073
【氏名又は名称】コア フロー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100185269
【弁理士】
【氏名又は名称】小菅 一弘
(72)【発明者】
【氏名】イフェルガン オシュリ
【テーマコード(参考)】
5F131
【Fターム(参考)】
5F131AA02
5F131BA01
5F131BA19
5F131BA31
5F131BA32
5F131BA33
5F131BA39
5F131CA07
5F131DA33
5F131DA42
5F131EA03
5F131EA04
5F131EA05
5F131EB01
5F131EB02
5F131EB04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】反ったワークピースを取得するチャックを提供する
【解決手段】ワークピースを保持するチャック100は、それぞれが第1空間108aを画定し、複数の真空ポート102を備えたチャック表面101を形成する壁を有する1つ以上の第1コンパートメント108と、真空を一時的に維持するための第2空間109aを画定する第2コンパートメント109と、第2コンパートメントと1つ又は複数の第1コンパートメントのそれぞれとを流体的に接続し、かつ、それぞれが弁104を有し、弁が開かれる場合に導空気又は他のガスなどの流れを可能にし、弁が閉じられる場合に前記流れを防止する1つ又は複数の導管111と、弁を制御するコントローラと、を含み、1つ以上の導管のそれぞれの弁が閉じられる場合の第2コンパートメント内の真空を、1つ以上の導管のそれぞれの弁が開かれる場合に前記真空ポートが使用する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワークピースを取得して保持するチャックであって、
それぞれが第1空間を画定し、複数の真空ポートが分散されたチャック表面を形成する壁を有する1つ又は複数の第1コンパートメントと、
内部に真空を一時的に蓄積するための第2空間を画定する第2コンパートメントと、
前記第2コンパートメントと前記1つ又は複数の第1コンパートメントのそれぞれとを流体的に接続し、かつそれぞれが弁を有する1つ又は複数の導管であって、弁が開かれる場合に前記導管を通る流れを可能にし、弁が閉じられる場合に前記導管を通る流れを防止する1つ又は複数の導管と、を含み、
真空源が前記第2コンパートメントに流体的に接続され、かつ1つ以上の導管のそれぞれの弁が閉じられる場合に、真空は、前記第2コンパートメント内に一時的に蓄積され、
1つ以上の導管のそれぞれの弁が開かれる場合に、前記蓄積された真空は、前記チャック表面上の前記複数の真空ポートでの吸着力に影響を与えて、ワークピースを取得して保持する、チャック。
【請求項2】
1つ以上の導管のそれぞれの弁を閉じて、真空を前記第2コンパートメント内に一時的に蓄積させ、1つ以上の導管のそれぞれの弁を開いて、ワークピースを前記チャック表面に取得して保持するように構成されたコントローラを更に含む、請求項1に記載のチャック。
【請求項3】
前記1つ又は複数の第1コンパートメントは、複数の第1コンパートメントを含む、請求項1に記載のチャック。
【請求項4】
コントローラは、前記複数の第1コンパートメントの弁を個別に制御するように構成される、請求項3に記載のチャック。
【請求項5】
前記複数の第1コンパートメントは、同心円状に配置される、請求項3に記載のチャック。
【請求項6】
前記第1コンパートメントの真空ポートは、同心ストリップに配置される、請求項5に記載のチャック。
【請求項7】
前記同心ストリップのうちの少なくともいくつかは、互いに隣接する、請求項6に記載のチャック。
【請求項8】
前記同心ストリップのうちの少なくともいくつかは、前記チャック表面でギャップにより分離される、請求項6に記載のチャック。
【請求項9】
前記第2コンパートメントは、外部真空源に接続するための真空接続ポートを含む、請求項1に記載のチャック。
【請求項10】
前記複数の真空ポートは、前記チャック表面の周辺領域に分散される、請求項1に記載のチャック。
【請求項11】
前記複数の真空ポートは、1つ又は複数の分散パターンで前記チャック表面に分散される、請求項1に記載のチャック。
【請求項12】
前記1つ又は複数の第1コンパートメントは、単一のコンパートメントを含む、請求項1に記載のチャック。
【請求項13】
前記1つ又は複数の導管のうちの1つ以上の弁は、三方弁である、請求項1に記載のチャック。
【請求項14】
前記三方弁は、圧力源に接続されて、ワークピースを解放するために前記真空ポートでの圧力に影響を与えるように構成される、請求項13に記載のチャック。
【請求項15】
ワークピースと前記チャック表面との直接的な接触を防止するために、前記チャック表面に1つ又は複数の突起部を更に含む、請求項1に記載のチャック。
【請求項16】
ワークピースを取得して保持するチャックであって、
チャックはハウジングを含み、
前記ハウジングは、
それぞれが第1空間を画定し、複数の真空ポートが分散されたチャック表面を形成する壁を有する1つ又は複数の第1コンパートメントと、
前記1つ又は複数の第1コンパートメント内の吸着力に影響を与えて、ワークピースを取得して保持するために前記チャック表面上の複数の真空ポートでの吸着力を発生させる1つ又は複数の真空発生器と、を含む、チャック。
【請求項17】
前記1つ又は複数の真空発生器は、1つ又は複数のベンチュリ真空発生器を含む、請求項16に記載のチャック。
【請求項18】
前記1つ又は複数のベンチュリ真空発生器のそれぞれの排気ポートは、真空源に接続される、請求項17に記載のチャック。
【請求項19】
前記1つ又は複数のベンチュリ真空発生器を通る高圧の吹き込みを制御するコントローラを更に含む、請求項17に記載のチャック。
【請求項20】
前記コントローラは、前記1つ又は複数の真空発生器の動作を制御するように更に構成される、請求項19に記載のチャック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワークピースを保持するチャックに関する。より具体的には、本発明は、増幅された真空吸着力により反ったワークピースを取得するチャックに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの産業又は他のプロセスでは、様々な種類のワークピースを操作する必要がある。一般的に、チャックは、ワークピースを取得し、様々な種類の処理のためにワークピースを操作するために使用される。ワークピースが十分に薄いか又は軽い場合、チャックは、処理中にワークピースを正確に画定された位置に保持するために、ワークピースに吸着力を加えて動作することができる。
【0003】
例えば、半導体産業では、通常、例えば電子機器の製造のためにシリコンウェハを操作する必要がある。真空チャックは、そのようなウェハを取得し、かつコーティング、切削、機械加工、エッチング、研磨、検査などの処理又は他の処理中に保持することができる。用途によっては、ウェハが反った場合があるため、真空チャックがウェハを取得するために強力な吸着力を必要とする。
【0004】
用途によっては、ワークピースの取り扱いに厳格な清浄度要件があるため、非金属材料とワークピースとの接触を避けなければならない。例えば、半導体産業では、通常、シリコンウェハを、非金属材料との接触を避けるように操作する必要がある(例えば、ワークピースを真空で保持するためのゴムニップルの使用を避ける)。
【発明の概要】
【0005】
したがって、本発明の一実施形態において、ワークピースを取得して保持するチャックが提供される。チャックは、それぞれが第1空間を画定し、複数の真空ポートが分散されたチャック表面を形成する壁を有する1つ又は複数の第1コンパートメントを含んでもよい。チャックは、内部に真空を一時的に蓄積するための第2空間を画定する第2コンパートメントを更に含んでもよい。チャックは、第2コンパートメントと1つ又は複数の第1コンパートメントのそれぞれとを流体的に接続し、かつそれぞれが弁を有する1つ又は複数の導管であって、弁が開かれる場合に導管を通る流れを可能にし、弁が閉じられる場合に導管を通る流れを防止する1つ又は複数の導管を更に含んでもよい。真空源が第2コンパートメントに流体的に接続され、かつ1つ以上の導管のそれぞれの弁が閉じられる場合に、真空が第2コンパートメント内に一時的に蓄積され、1つ以上の導管のそれぞれの弁が開かれる場合に、蓄積された真空は、チャック表面上の複数の真空ポートでの吸着力に影響を与えて、ワークピースを取得して保持する。
【0006】
本発明のいくつかの実施形態において、チャックは、1つ以上の導管のそれぞれの弁を閉じて、真空を第2コンパートメント内に一時的に蓄積させ、1つ以上の導管のそれぞれの弁を開いて、ワークピースをチャック表面に取得して保持するように構成されたコントローラを更に含む。
【0007】
本発明のいくつかの実施形態において、1つ又は複数の第1コンパートメントは、複数の第1コンパートメントを含む。
【0008】
本発明のいくつかの実施形態において、コントローラは、複数の第1コンパートメントの弁を個別に制御するように構成される。
【0009】
本発明のいくつかの実施形態において、第1コンパートメントは、同心円状に配置される。
【0010】
本発明のいくつかの実施形態において、第1コンパートメントの真空ポートは、同心ストリップに配置される。
【0011】
本発明のいくつかの実施形態において、同心ストリップのうちの少なくともいくつかは、互いに隣接する。
【0012】
本発明のいくつかの実施形態において、同心ストリップのうちの少なくともいくつかは、チャック表面でギャップにより分離される。
【0013】
本発明のいくつかの実施形態において、第2コンパートメントは、外部真空源に接続するための真空接続ポートを含む。
【0014】
本発明のいくつかの実施形態において、複数の真空ポートは、チャック表面の周辺領域に分散される。
【0015】
本発明のいくつかの実施形態において、複数の真空ポートは、1つ又は複数の分散パターンでチャック表面に分散される。
【0016】
本発明のいくつかの実施形態において、1つ又は複数の第1コンパートメントは、単一のコンパートメントを含む。
【0017】
本発明のいくつかの実施形態において、1つ又は複数の導管のうちの1つ以上の弁は、三方弁である。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態において、三方弁は、圧力源に接続されて、ワークピースを解放するために真空ポートでの圧力に影響を与えるように構成される。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態において、チャックは、ワークピースとチャック表面との直接的な接触を防止するために、チャック表面に1つ又は複数の突起部を更に含む。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態において、ワークピースを取得して保持するチャックが提供される。チャックは、ハウジングを含み、ハウジングは、それぞれが第1空間を画定し、複数の真空ポートが分散されたチャック表面を形成する壁を有する1つ又は複数の第1コンパートメントと、1つ又は複数の第1コンパートメント内の吸着力に影響を与えて、ワークピースを取得して保持するためにチャック表面上の複数の真空ポートでの吸着力を発生させる1つ又は複数の真空発生器と、を含む。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態において、1つ又は複数の真空発生器は、1つ又は複数のベンチュリ真空発生器を含む。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態において、1つ又は複数のベンチュリ真空発生器のそれぞれの排気ポートは、真空源に接続される。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態において、チャックは、1つ又は複数のベンチュリ真空発生器を通る高圧の吹き込みを制御するコントローラを更に含む。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態において、チャックは、1つ又は複数のベンチュリ真空発生器を通る高圧の吹き込みを制御するコントローラを更に含む。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態において、チャックは、1つ又は複数の真空発生器の動作を制御するコントローラを更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明をよりよく理解し、その実際の用途を理解するために、以下の図を提供し、以下で参照する。これらの図は、単なる例として提供されるものであり、本発明の範囲を限定するものではないことに留意されたい。
【0027】
同様の構成要素については、同様の参照番号が付与される。
【0028】
図1】本発明のいくつかの実施形態による、増幅された真空吸着力により反ったワークピースを取得するチャックの断面を概略的に示し、該チャックは、反ったワークピースを取得して平坦化するように構成される。
図2A】本発明のいくつかの実施形態による、増幅された真空吸着力により反ったワークピースを取得するチャックの等角図を概略的に示し、該チャックは、反ったワークピースを取得して平坦化するように構成される。
図2B図2Aに示すチャックの一部を示し、チャックの真空を一時的に蓄積するための内部コンパートメントの動作に使用される三方弁を詳細に示す。
図3図2に示す、増幅された真空吸着力により反ったワークピースを取得するチャックの概略底面図である。
図4図3に示す、増幅された真空吸着力により反ったワークピースを取得するチャックの、明確にするためにカバープレートが取り外され、内部部分を示す場合の概略底面図である。
図5】本発明のいくつかの実施形態による、増幅された真空吸着力により反ったワークピースを取得するチャックの上面を示し、該チャックは、異なるサイズの略矩形のワークピースを取得して平坦化するように構成される。
図6】本発明のいくつかの実施形態による、増幅された真空吸着力により反ったワークピースを取得するチャックの、底部本体及びカバーが取り外された場合の底面図である。
図7】本発明のいくつかの実施形態による、突起部を備えた、増幅された真空吸着力により反ったワークピースを取得するチャックの周辺部の上面図である。
図8】本発明のいくつかの実施形態による、局所真空を発生させるエジェクタを備えた、増幅された真空吸着力により反ったワークピースを取得するチャックの側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下の詳細な説明では、本発明を完全に理解するために、多数の具体的な詳細が示されている。しかしながら、これらの具体的な詳細がなくても本発明を実施することができることは、当業者には理解されるであろう。また、本発明を不明瞭にしないように、周知の方法、手順、構成要素、モジュール、ユニット及び/又は回路については、詳細な説明を省略する。
【0030】
本発明の実施形態がこれらに限定されないが、例えば、「処理」、「コンピューティング」、「計算」、「決定」、「確立」、「解析」、「確認」などの用語を利用した議論は、コンピュータのレジスタ及び/又はメモリ内の物理(例えば、電子)量として表されるデータを、コンピュータのレジスタ及び/又はメモリ、或いは動作及び/又はプロセスを実行する命令を記憶できる他の非一時的な情報記憶媒体(例えば、メモリ)内の物理量として同様に表される他のデータに操作及び/又は変換するコンピュータ、コンピューティングプラットフォーム、コンピューティングシステム又は他の電子コンピューティングデバイスの動作及び/又はプロセスを表すものであってもよい。本発明の実施形態は、これらに限定されないが、本明細書で使用される用語「複数(plurality)」及び「複数(a plurality)」は、例えば、「多数(multiple)」又は「2つ以上(two or more)」を含んでもよい。用語「複数(plurality)」及び「複数(a plurality)」は、本明細書全体を通して、2つ以上の構成要素、装置、要素、ユニット、パラメータなどを説明するために使用されてもよい。明示的に述べられない限り、本明細書に記載された方法の実施形態は、特定の順序又は配列に限定されない。更に、記載された方法の実施形態又はその要素のいくつかは、同時に、同じ時点に、又は一緒に発生又は実行することができる。特に断らない限り、本明細書で使用される接続詞「又は」は、(記述された選択肢のいずれか又は全て)を含むように理解される。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態によれば、増幅された吸着力により反ったワークピースを取得するチャックが提供される。例えば、ワークピースは、1つ以上の電子コンポーネントに組み込むために処理されるシリコンウェハ、(例えば、タッチスクリーン又はディスプレイスクリーンに組み込むための)薄いガラス板、又は形成中若しくはその後の取り扱い中に反りが生じ得る他の種類の基板であってもよい。反りは、1軸又は2軸に沿う凹面曲率、1軸又は2軸に沿う凸面曲率、或いは、波状の表面及び鞍型など凹凸の曲率が混じり合ったものを示してもよい。本明細書におけるワークピースの凹面曲率及び凸面曲率とは、チャックの上部支持面に面し、チャックにより取得されて保持されるワークピースの表面を指す。
【0032】
真空源を使用して長いパイプを介して真空を加えると、強力な吸着力に影響を与え、かつチャックの支持面に維持することが非常に困難である。
【0033】
本発明のいくつかの態様において、ワークピースを取得して保持するチャックが提供され、該チャックは、ワークピースを取得することが望ましい場合に一時的に効果的な吸着力を提供することを目的とする真空を一時的に維持するための内部コンパートメントを含む。内部コンパートメントは、後述するように、遠隔真空源に(例えば、導管を介して)接続されるか又はチャック内の真空発生器に接続されるように構成される。
【0034】
真空を一時的に維持するための内部コンパートメントは、1つ又は複数の導管を介して他のコンパートメント内の密閉空間に流体的に連結され得て、その上壁がチャック表面として機能し、かつ上壁に真空ポートが設けられる。上記1つ以上の導管には、それぞれ、コントローラに連結された制御可能な弁が設けられてもよい。真空源による真空が内部コンパートメントに適用される場合(例えば、コントローラが、内部コンパートメントを真空源に接続する導管の弁を開く場合)に、真空は、内部コンパートメント内に維持することができる。
【0035】
ワークピースがチャック表面の上に配置され、ワークピースを取得することが望ましい場合、コントローラは、内部コンパートメント内の空間と他のコンパートメント内の空間とを連結する導管の1つ又は複数の弁の各弁を開き、真空に影響を与え、真空ポートを介して吸着力を発生させて、ワークピースを引き寄せ、かつチャック表面に保持する。その後、真空源による真空は広がり、ワークピースをチャック表面に保持するために使用される。
【0036】
ワークピースを解放することが望ましい場合、1つ以上の弁を開いて、周囲の空気をチャック表面の下にある密閉空間に流入させることにより、吸着力を破壊して、取り外されて搬送されるワークピースを解放することができる。
【0037】
本発明のいくつかの実施形態による、ワークピースを取得して保持するチャックは、チャック表面に分散された複数の真空ポートを含んでもよい。ポートの分散は、特定のタスクのために設計されてもよい。例えば、真空ポートは、チャック表面の側部又は一部の周辺に分散されてもよい。他のいくつかの例において、真空ポートは、チャック表面全体にわたって分散されてもよい。ポートの分散は、これらのポートが位置する表面全体にわたって一定であってもよく、変化してもよい。
【0038】
本発明のいくつかの実施形態において、第2空間内の真空は、1つ又は複数のベンチュリエジェクタを使用して内部コンパートメント内に発生することができる。
【0039】
図1は、本発明のいくつかの実施形態による、増幅された真空吸着力により反ったワークピースを取得するチャック100の断面図を概略的に示し、該チャック100は、反ったワークピースを取得して平坦化するように構成される。
【0040】
チャック100は、ワークピースを取得して保持するように設計された上部支持チャック表面101を含んでもよい。チャック表面は、チャック表面101の全領域にわたって分散されたか又はチャック表面101の特定の領域、例えば図1に示すように、周辺領域にわたって分散された複数の真空ポート102を含んでもよい。本発明の他の実施形態において、真空ポート102は、他の望ましい分散パターンで分散されてもよい(例えば、チャック表面101にわたる真空ポート102の3つの異なる分散を示す本願の図5を参照)。
【0041】
第1コンパートメント108は、チャック表面101で、第1コンパートメント108内に密閉された第1空間108aを画定し得て、チャック表面101は、ワークピースを支持し、保持するように構成され、コンパートメント108の上壁として機能する。第1コンパートメント108の下に位置する第2コンパートメント109は、第2空間109aを画定する。第1コンパートメント108及び第2コンパートメント109には、第1空間108aと第2空間109aとを流体的に接続するように、1つ又は複数の導管111が設けられる。第2コンパートメント109は、(例えば、遠隔真空ポンプに連結されたパイプを介して)真空源に接続するための真空接続ポート106を含んでもよい。
【0042】
本発明のいくつかの実施形態において、上記1つ又は複数の導管111のそれぞれは、第1コンパートメント108内の第1空間108aと第2コンパートメント109内の第2空間109aとの間の該導管内の、空気又は他のガスなどの流れを可能にするか又は防止するために、コントローラ103により開閉されるように構成された弁104を含んでもよい。
【0043】
弁104は、任意の種類の適切な弁、例えば、電気機械式弁、流体式弁又は何らかの他の動作原理に基づく機能性弁であってもよい。
【0044】
図2Aは、チャック100の概略等角図を示す。本発明のいくつかの実施形態によれば、真空ポート102は、チャック表面101の周辺にわたって分散される。異なる分散パターンは使用されてもよい。2つの導管111は、チャック表面101の下にある第1空間108aを、第1空間108の下にある第2空間109a(内部コンパートメント)に流体的に接続する(図1を参照)。2つの弁104は、2つの導管111を開閉するように構成される。
【0045】
本発明のいくつかの実施形態において、チャック表面101の中央部分の大部分にわたって延びる溝203に沿って能動的な真空が提供される。溝203は、各溝の両端に位置する真空ポート102に接続するように設計されるため、ワークピースがチャック表面の上に配置される場合、ワークピースの底面は、実質的に一部又は全ての溝をカバーすることにより、追加の真空力は、ワークピースの底部に作用して、ワークピースをチャック表面101に保持する。
【0046】
図2Bは、図2Aに示すチャックの一部を示し、チャックの真空を一時的に維持するための内部コンパートメントの動作に使用される三方弁を詳細に示す。
【0047】
本発明のいくつかの実施形態において、三方弁204は、内部コンパートメントの動作を制御するために使用されてもよい。導管111に三方弁204が設けられてもよく、三方弁204は、内部コンパートメント内に真空を蓄積させる(弁204が閉じられる場合)か又は内部コンパートメントの真空を真空ポート102に加える(弁204が開かれる場合)ために、導管111を開閉するように、コントローラ(103、図1を参照)により操作されるように構成される。三方弁204は、導管113を介して圧力源115に接続されてもよいため、保持されたワークピースからチャックグリップを解放することが望ましい場合、三方弁204は、コントローラにより操作されて、導管113を介して(第1コンパートメント108の)第1空間108aに圧力を提供して、ワークピースを解放し、チャック表面101の上に持ち上げて、ワークピースをピックアップして次の目的地に移送することができる。過剰な圧力を排出するために、排気弁205(図2Aを参照)が設けられてもよい。
【0048】
図3は、図2Aのチャック100の底面図を示す。チャック100の底部パネル307は、真空接続ポート106を含む。底部パネル307は、接着剤、ボルト、リベット又は他の固定手段によりチャック本体に固定されてもよい。
【0049】
図4は、明確にするために底部パネルプレート307が取り外され、下から見た、チャック表面101の内部の詳細を明らかにする、図3に示すチャック100の底面図である。
【0050】
第1コンパートメント108は、チャック表面101及び真空ポート102の下に密閉され、内部コンパートメント(第2コンパートメント109)を取り囲むことができる。第2コンパートメント109は、真空接続ポート306に接続された真空ポンプにより空気が汲み出され、導管111とコントローラにより操作される弁104を介する第1空間108との制御された流体連通が維持されてもよい。
【0051】
本発明のいくつかの実施形態において、チャック表面は、異なるサイズのワークピースを支持するように構成されてもよい。図5は、3つの異なるサイズの矩形のワークピースを取得して平坦化できるチャック表面101を備えたチャックの上面図である。これを達成するために、チャック表面は、同心ストリップに配置された3セットの真空ポートを提供するように設計される。最も外側の真空ポートストリップ517は、並置された内側の真空ポートストリップ518を取り囲み、更に内側にある第3真空ポートストリップ519は、所定の位置に配置され、他のストリップとの間にポートがないチャック表面のストリップであり、これらのストリップは、全てチャック表面の中央部分を取り囲み、チャック表面の中央部に真空ポート520がまばらに分散される(例えば、チャック表面101の中央位置から出現する真空ポート520の列)。
【0052】
中央の真空ポート配置(ポート520)は、ワークピースのエッジから遠く離れたワークピースを取得して保持するように設計され、真空ポートを備えた外側ストリップは、ワークピースの周辺領域を取得して保持するように設計され、ワークピースを取得して保持する(チャックに提供される可能性があるように、反ったワークピースを平坦化する)ために追加の吸着力を必要とする場合がある。
【0053】
図6は、チャック100の底面図を示し、チャック100の上部が図5に示される。この実施形態において、チャック表面101の下に内部空間108aを画定する複数の第1コンパートメント108が設けられ、それにより真空ポートの各ストリップは、その自身に対応する内部空間108aがある。真空ポートの各ストリップは、第1コンパートメント108の異なるインスタンスに流体的に接続される。例えば、第1コンパートメントの1つのインスタンス522は、真空ポート517に流体的に接続され、その下に配置され(図5を参照)、第1コンパートメントの別のインスタンス523は、真空ポート518に流体的に接続され、真空ポート518の下に配置され(図5を参照)、第1コンパートメントの更に別のインスタンス524は、真空ポート519に流体的に接続され、真空ポート519の下に配置され、また第1コンパートメントの更に別のインスタンス525は、真空ポート520に流体的に接続され、真空ポート520の下に配置される。第1コンパートメントの各インスタンス522、523、524及び525は、それぞれに制御可能な弁(例えば、弁104、弁205、図1を参照)が設けられた少なくとも1つ以上の導管を介して、内部コンパートメント(第2空間109、図1を参照)に流体的に接続されてもよい。各弁は、コントローラにより個別又は同時に操作されてもよい。
【0054】
本発明の他の実施形態において、内部空間108aは同心でなくてもよい。例えば、内部空間108aは、共通のエッジ又は共通の角を共有するように配置されてもよい。他の配置も考えられてもよい。
【0055】
図7は、チャック表面101の一部の上面図を示し、ここで、本発明のいくつかの実施形態によれば、複数の突起部706(例えば、突出バンプであり、チャック表面101と同じ材料又は異なる材料で製造される)がチャック表面101の上部に設けられて、真空ポート102により及ぼされる真空力によりチャック表面101に引き寄せられるワークピースを支持し、ワークピースとチャック100の上面との直接的な接触を回避する。ワークピースとチャックの上面との直接的な接触を避けることは、例えばチップ製造産業におけるシリコンウェハの取り扱いのいくつかのケースなど、チャックのいくつかの用途における作業要件である。突起部706には、シリコンバンプ、ゴムでカバーされた金属突起部、セラミック材料、又はチャックを使用する場合の特定の用途に適し適応する他の任意の材料を含んでもよい。
【0056】
図8は、本発明のいくつかの実施形態による、局所真空を発生させるエジェクタを備えた、増幅された真空吸着力により反ったワークピースを取得するチャックの側面断面図である。
【0057】
チャック800は、チャック表面101の下に第1コンパートメント108の1つ又は複数のインスタンス(図8の例では、壁812により分離された第1コンパートメントの2つのインスタンスがある)を含んでもよく、インスタンスのそれぞれが1つ又は複数の真空発生器802に流体的に接続される。様々な種類の真空発生器は使用されてもよい。図8に示す実施形態において、ベンチュリ真空発生器が使用される。
【0058】
図8に示す例において、第2コンパートメント109では、真空発生器によりベンチュリ真空発生器の真空入口が形成される。ベンチュリ真空発生器(エジェクタと呼ばれることもある)は、高圧源830に接続されて、エジェクタを通る空気又はガスの流れを生じさせるための入口804を含む。エジェクタの真空入口814は、第1コンパートメント108の各インスタンスに流体的に接続される。
【0059】
エジェクタからの排気は、別のコンパートメント805に保管されてもよい。真空コンパートメント109と高圧コンパートメント805は、流量制限器を介して流体的に連結されてもよい。真空コンパートメントは、エジェクタの吸着速度よりも小さい吸着速度で動作する真空接続ポート810を介して真空源840に接続されてもよい。本発明のいくつかの実施形態において、チャックの構造を支持するために柱806が設けられてもよい。
【0060】
コントローラ820は、真空発生器802、高圧源830、真空源840及びチャック800の1つ又は1つ以上の他の要素のいずれか又は全ての動作を制御するために設けられてもよい。
【0061】
異なる実施形態が本明細書で開示される。特定の実施形態の特徴を他の実施形態の特徴と組み合わせてもよい。したがって、特定の実施形態は複数の実施形態の特徴の組み合わせであってもよい。本発明の実施形態の以上の記載は、例示及び説明の目的で提示されたものである。網羅的になったり、本発明を開示された正確な形態に限定したりすることは意図されない。上記教示に照らして、多くの修正、変形、置換、変更及び等価物が可能であることは、当業者に理解されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神の範囲内にある全てのそのような修正及び変更を包含することを意図していることを理解されたい。
【0062】
本発明の特定の特徴が本明細書に例示され、説明されているが、多くの修正、置換、変更及び等価物が、当業者にはすぐに想到されるであろう。したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の精神の範囲内にある全てのそのような修正及び変更を包含することを意図していることを理解されたい。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
【外国語明細書】