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特開2024-124383時計師用ベンチのための前腕支持部及び時計師用ベンチ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124383
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】時計師用ベンチのための前腕支持部及び時計師用ベンチ
(51)【国際特許分類】
   G04D 1/00 20060101AFI20240905BHJP
   A47B 96/18 20060101ALI20240905BHJP
   A47B 13/00 20060101ALI20240905BHJP
   B25H 1/02 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
G04D1/00
A47B96/18 G
A47B96/18 D
A47B13/00 Z
B25H1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024030829
(22)【出願日】2024-02-29
(31)【優先権主張番号】23159283
(32)【優先日】2023-03-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】599091346
【氏名又は名称】ロレックス・ソシエテ・アノニム
【氏名又は名称原語表記】ROLEX SA
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】マキシム バルベ
(72)【発明者】
【氏名】ギョーム ジェルビー
【テーマコード(参考)】
3B053
3C012
【Fターム(参考)】
3B053NP07
3B053NQ05
3B053NQ08
3B053NQ10
3C012BB00
(57)【要約】      (修正有)
【課題】長期にわたって作業経験の低下をもたらすことのある姿勢を課すことなく、任意の作業動作を正確に行うことを可能にする、時計師用ベンチのための前腕支持部を提供する。
【解決手段】時計師用ベンチのための前腕支持部10であって、時計師用ベンチに結合されるように配設された結合部分11と、結合部分11に連結された第1のアーム12と、第1のアーム12に連結された第2のアーム13と、第2のアーム13に連結され、かつ操作者の前腕を支持するように配設された前腕支持パッド14と、を備え、前腕支持部10は、関節運動システムを備え、関節運動システムは、少なくとも、結合部分11と第1のアーム12との間に配設され、かつ結合部分11と第1のアーム12とを接続している第1の球関節16と、第1のアーム12と第2のアーム13との間に配設され、かつ第1のアーム12と第2のアーム13とを接続している第2の球関節17と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時計師用ベンチのための前腕支持部(10)であって、
-時計師用ベンチに結合されるように配設された結合部分(11)と、
-前記結合部分(11)に連結された第1のアーム(12)と、
-前記第1のアーム(12)に連結された第2のアーム(13)と、
-前記第2のアーム(13)に連結され、かつ操作者の前腕を支持するように配設された前腕支持パッド(14)と、を備え、
前記前腕支持部(10)は、関節運動システムを備え、前記関節運動システムは、少なくとも、
-前記結合部分(11)と前記第1のアーム(12)との間に配設され、かつ前記結合部分(11)と前記第1のアーム(12)とを接続している第1の球関節(16)と、
-前記第1のアーム(12)と前記第2のアーム(13)との間に配設され、かつ前記第1のアーム(12)と前記第2のアーム(13)とを接続している第2の球関節(17)と、を備えることを特徴とする、前腕支持部(10)。
【請求項2】
-前記第1のアーム(12)は、前記結合部分(11)に連結された第1の端部と、第2の端部と、を備え、
-前記第2のアーム(13)は、前記第1のアーム(12)の前記第2の端部に連結された第1の端部と、前記前腕支持パッド(14)に連結された第2の端部と、を備えており、
前記第1のアーム(12)は、
-前記第1の端部において、第1の雄型球関節、又は第1の雄型球関節を受容するための第1のハウジングと、
-前記第2の端部において、第2の雄型球関節、又は第2の雄型球関節を受容するための第2のハウジングと、を備える、請求項1に記載の前腕支持部(10)。
【請求項3】
前記関節運動システムは、前記第2のアーム(13)と前記前腕支持パッド(14)との間に配設された、第1の摺動連結部又は第1の摺動枢動連結部を備える、請求項1又は2に記載の前腕支持部(10)。
【請求項4】
前記前腕支持パッド(14)は、前記第2のアーム(13)に取り外し可能に取り付けられている、請求項1~3のいずれか一項に記載の前腕支持部(10)。
【請求項5】
前記関節運動システムは、前記結合部分(11)と時計師用ベンチとの間の摺動連結結合を可能にするために、前記結合部分(11)上に配設されたキャリッジ(11.1)又はランナ又は摺動体又は摺動路を備える、請求項1~4のいずれか一項に記載の前腕支持部(10)。
【請求項6】
少なくとも1つの係止デバイスであって、少なくとも前記第1の球関節(16)及び前記第2の球関節(17)を備える前記関節運動システムの少なくとも1つの関節運動部に接続され、かつ前記関節運動システムの前記少なくとも1つの関節運動部に、
-前記関節運動システムの前記少なくとも1つの関節運動部を自由に移動させることができる係止解除状態と、
-前記関節運動システムの前記少なくとも1つの関節運動部を阻止する係止状態と、を課するように配設されている、少なくとも1つの係止デバイスを備え、
かつ、少なくとも1つの係止デバイスを作動させることを可能にするように意図されたマンマシンインターフェースを有する少なくとも1つの係止制御デバイスを備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の前腕支持部(10)。
【請求項7】
前記係止デバイスは、
-前記第1の球関節(16)及び前記第2の球関節(17)のうちの一方の周りに配設された少なくとも2つのハーフシェル(12.1a、12.1b、12.1c、12.1d)と、
-前記係止状態において前記2つのハーフシェル(12.1a、12.1b、12.1c、12.1d)に対して挟持力を加え、かつ前記係止解除状態において前記2つのハーフシェル(12.1a、12.1b、12.1c、12.1d)に対する前記挟持力を解放するように配設された挟持部材(12.8)と、を備える、請求項6に記載の前腕支持部(10)。
【請求項8】
前記係止デバイスは、前記係止状態において前記第2のアーム(13)と前記前腕支持パッド(14)との間の相対移動を阻止し、かつ前記係止解除状態において前記第2のアーム(13)と前記前腕支持パッド(14)との間の相対移動を可能にするように配設された可動制動装置を備える、請求項3に従属する請求項6又は7に記載の前腕支持部(10)。
【請求項9】
前記係止デバイスは、空気圧式及び/若しくは液圧式、並びに/又は電気式である、請求項6~8のいずれか一項に記載の前腕支持部(10)。
【請求項10】
前記係止デバイスは、前記関節運動システムの前記関節運動部のうちの複数の関節運動部又は全ての関節運動部に接続されており、それらを集中的に及び/又は同時に係止又は係止解除する、請求項6~9のいずれか一項に記載の前腕支持部(10)。
【請求項11】
時計師用ベンチであって、
-時計を受容するように配設された作業テーブル(21)と、
-前記作業テーブル(21)を支持し、操作者のために前記作業テーブル(21)上に少なくとも1つの作業面又は1つの作業ステーションを画定し、作業場の床に載置するように配設されたフレーム(20)と、を備え、
前記時計師用ベンチは、少なくとも1つの取付レール(22)であって、特に前記作業テーブル(21)の下に配設され、前記作業面又は前記作業ステーションに面し、前記少なくとも1つの取付レール(22)に沿って調整可能な位置で、前記時計師用ベンチに結合される少なくとも1つの作業モジュールを受容するように配設されている、少なくとも1つの取付レール(22)を備え、
かつ前記少なくとも1つの取付レール(22)に沿って調整可能な位置で、前記時計師用ベンチの前記少なくとも1つの取付レール(22)に結合される少なくとも1つの作業モジュールを形成する、請求項1~10のいずれか一項に記載の前腕支持部(10)を備えることを特徴とする、時計師用ベンチ。
【請求項12】
前記少なくとも1つの取付レール(22)に結合される少なくとも1つの作業モジュールであって、
-前記操作者に向かって前記作業テーブル(21)の張出し部を形成するテーブルノーズピース(30)、又は
-前記作業テーブル(21)によって画定される作業平面に対して突出して配設されたテーブル縁部若しくは隆起肩部(40)、又は
-特に光学式読取装置(60)のための器具支持部であって、器具、具体的には光学式読取装置を支持するように配設されている、器具支持部、又は
-衝撃吸収クッション(50)、又は
-作業工具を支持するように配設された工具ホルダ、又は
-引き出し、
を形成する、少なくとも1つの作業モジュール、を備える、請求項11に記載の時計師用ベンチ。
【請求項13】
前記少なくとも1つの取付レール(22)に結合される前記少なくとも1つの作業モジュールは、前記少なくとも1つの取付レール(22)上に結合部分(11)を備え、前記結合部分(11)は、
-前記少なくとも1つの取付レール(22)上で取り外し可能かつ係止可能なランナ若しくはキャリッジ、又は
-前記少なくとも1つの取付レール(22)上で可逆的弾性インターロックを可能にするように少なくとも1つの弾性部分が配設されている、ランナ若しくはキャリッジ、又は
-前記少なくとも1つの取付レール(22)の軸方向を中心とした回転移動において前記少なくとも1つの取付レール(22)上に係合されるように配設された、ランナ若しくはキャリッジ、を備える、請求項11又は12に記載の時計師用ベンチ。
【請求項14】
前記少なくとも1つの取付レール(22)は、前記作業テーブル(21)の周縁部及び/又は前記フレーム(20)の周縁部に対して面一であるか又は凹んでいる、請求項11~13のいずれか一項に記載の時計師用ベンチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、時計の組み立て、調整、補修作業又は装飾の動作を行う操作者のための作業ステーションに関する。換言すれば、本発明は、時計師用ベンチに関し、具体的には、微細で正確な動作を行う目的で、操作者が前腕を載置するか、又は前腕を支援することを可能にする前腕支持部を備える時計師用ベンチに関する。
【0002】
(先行技術)
時計師用ベンチの先行技術では、例えば、文献スイス国特許第715504(B1)号明細書が知られており、当該特許は、関節運動式前腕支持部を有する時計師用ベンチを開示している。しかしながら、提案される解決策では、操作者が作業者の作業ステーションを全てのニーズに合わせて調整することも、容易な方法で調整することも可能にしない。換言すれば、前述の文献に開示されているような時計師用ベンチは、特に前腕支持部に関して、調整の可能性を制限することがあり、構成するのが非常に容易でも人間工学的でもないこともある。その結果、操作者にとって作業上の不快感が生じ、次回の作業動作に快適でかつ好適な構成を見つけようとする際の時間損失が生じることがある。これら全ては、例えば、作業経験の悪化及び/又は筋骨格障害などの回避されるべき不都合をもたらすことがある。
【発明の概要】
【0003】
本発明の1つの目的は、上述した先行技術の欠点に対応することであり、具体的には、操作者が操作者の作業ステーションを最適に、迅速かつ容易に制御して、完全に快適に、かつ長期にわたって作業経験の低下をもたらすことのある姿勢を課すことなく、任意の作業動作を正確に行うことを可能にする、時計師用ベンチのための前腕支持部を提案することである。本発明の別の態様は、同じ目的を追求する時計師用ベンチを提案することである。
【0004】
この目的のために、本発明の第1の態様は、時計師用ベンチのための前腕支持部であって、
-時計師用ベンチに結合されるように配設された結合部分と、
-結合部分に連結された第1のアームと、
-第1のアームに連結された第2のアームと、
-第2のアームに連結され、かつ操作者の前腕を支持するように配設された前腕支持パッドと、を備え、
前腕支持部は、関節運動システムを備え、関節運動システムは、少なくとも、
-結合部分と第1アームとの間に配設され、かつ結合部分と第1アームとを接続する第1球関節と、
-第1のアームと第2のアームとの間に配設され、かつ第1のアームと第2のアームとを接続する第2の球関節と、を備えることを特徴とする、前腕支持部に関する。
【0005】
上述の実施形態による前腕支持部は、2つの球関節によって、一方ではベンチに(結合部分を介して)連結され、他方では前腕支持パッドに(第2のアームを介して)連結された第1のアームを備える。このような球関節は、時計師用ベンチに対する前腕支持パッドの位置を完全に自由に調整することを可能にする。実際に、球関節は、球関節によって連結された、又は堅固に接続された2つの部品間に自由な3つの自由度(この場合、3回転)を残すことを可能にする。その結果、第1のアームを時計師用ベンチに対して直交軸の周りに3回転で枢動させ、第2のアームと第1のアームとの間で同じことを行うことが可能である。時計師用ベンチに対する前腕支持パッドの空間における位置を調整する可能性は、直交座標系の軸X、Y又はZに沿った位置と、これらの軸に対する傾きの両方において増大する。
【0006】
一実施形態によれば、
-第1のアームは、結合部分に接続された第1の端部と、第2の端部とを備えることができ、
-第2のアームは、第1のアームの第2の端部に連結された第1の端部と、前腕支持パッドに連結された第2の端部とを備えることができ、
第1のアームは、
-第1の端部において、第1の雄型球関節要素、又は第1の雄型球関節要素を受容するための第1のハウジングと、
-第2の端部において、第2の雄型球関節要素、又は第2の雄型球関節要素を受容するための第2のハウジングと、を備えることができる。換言すれば、第1のアームは、2つの雄型球関節要素、又は各々が雄型球関節要素を受容するように意図された2つのハウジングを備えることができる。代替的に、第1のアームは、一方の端部に雄型球関節要素を備え、他方の端部にハウジングを備えることができる。
【0007】
一実施形態によれば、第1のアームが対称であるように、第1の雄型球関節要素は、第2の雄型球関節要素と同一とすることができ、又は第1のハウジングは、第2のハウジングと同一とすることができる。
【0008】
上述した実装形態によれば、第1のアームは対称である、すなわち、第1のアームは、結合部分と第2のアームとの間に、一方の方向にも他方の方向にも取り付けることができ、これにより、前腕支持部を製造する動作が簡略化されることになる。もちろん、代替として、組み立て及び整備中に位置コーディングを可能にするために、第1のアームを非対称にし、差異のある球関節を設けることもできる。
【0009】
一実施形態によれば、関節運動システムは、第2のアームと前腕支持パッドとの間に配設された、第1の摺動連結部又は第1の摺動枢動連結部を備えることができる。摺動連結部は、第2のアームと前腕支持パッドとの間の相対的な並進移動を可能にすることができる。摺動枢動連結部は、第2のアームと前腕支持パッドとの間の、特に前腕支持部の長手方向における、並進及び並進方向の周りの回転の相対移動を可能にすることができる。これらのタイプの連結部は、時計師用ベンチに対する前腕支持パッドの空間における位置を、直交基準系のX軸、Y軸又はZ軸に沿った位置及びこれらの軸に対する傾きの両方において調整するための更に多くの可能性を提供することを可能にする。
【0010】
一実施形態によれば、前腕支持パッドは、第2のアームに取り外し可能に取り付けることができる。これにより、前腕支持パッドの1つのモデルを別のモデルと交換すること、及び/又はパッドを摺動路上で再配向することを可能にすることができる。
【0011】
一実施形態によれば、前腕支持部は、前腕支持パッドを移動させるように配設された電動化手段を備えることができる。人間工学は、電動補助部によって更に改善することができる。
【0012】
一実施形態によれば、前腕支持部は、関節運動システムのうちの少なくとも1つの関節運動部のための電動補助部を含むことができる。操作者の好ましい調整を検索するためのマンマシンインターフェースによって操作者によって構成可能な位置メモリは、人間工学を更に改善することができる。
【0013】
一実施形態によれば、関節運動システムは、キャリッジ又はランナ又は摺動体又は摺動路を備えることができ、結合部分と時計師用ベンチとの間の摺動連結結合を可能にするために結合部分上に配設される。キャリッジは、例えば、時計師用ベンチの誘導経路に沿って移動され、前腕支持部の残りの部分を支持するように意図された、可動部分とすることができる。ランナは、少なくとも1つの平坦な誘導表面を有し、それ自体を時計師用ベンチのレールに結合し、誘導に関与するように意図された、結合部分に属する部材とすることができる。具体的には、時計師用ベンチのレールに結合してその上を摺動するU字形のボールランナを設けることが可能である。代替的に、摺動体は、ラインに追従する誘導部であり、トラックと結合し、トラックの中を又はトラック上を移動するように意図された結合部分の一部とすることができる。また、代替的に、摺動路は、時計師用ベンチのレール、突出部又はインデックスに結合して、その上を摺動するように意図された結合部分の溝部とすることができる。
【0014】
一実施形態によれば、前腕支持部は、少なくとも1つの係止デバイスであって、関節運動システム(少なくとも第1の球関節及び第2の球関節、並びに場合によっては少なくとも1つの摺動連結部又は摺動枢動連結部を備える)の少なくとも1つの関節運動部に接続され、かつ関節運動システムの当該少なくとも1つの関節運動部に、
-関節運動システムの当該少なくとも1つの関節運動部を自由に移動させることができる係止解除状態と、
-関節運動システムの当該少なくとも1つの関節運動部を阻止する係止状態と、を課するように配設されている、少なくとも1つの係止デバイス、を備えることができる。
加えて、前腕支持部は、少なくとも1つの係止デバイスを作動させることを可能にするように意図されたマンマシンインターフェースを有する少なくとも1つの制御デバイスを備えることができる。
【0015】
係止デバイスは、構成設定を凍結することを可能にし、次いで、操作者が時計師用ベンチ上で快適かつ人間工学的に作業することを可能にすることができる。好ましくは、係止デバイスは、関節運動システムの関節運動部のうちの複数の関節運動部又は全ての関節運動部に接続されており、それらを集中的に及び/又は同時に係止又は係止解除する。したがって、このタイプの係止制御デバイスは、任意選択的に、単一のコマンドで係止デバイスの係止及び係止解除を可能にすることができる。
【0016】
一実施形態によれば、係止デバイスは、
-第1の球関節及び第2の球関節のうちの少なくとも一方の周りに配設された少なくとも2つのハーフシェルと、
-係止状態において2つのハーフシェルに対して挟持力を加え、係止解除状態において2つのハーフシェルに対する挟持力を解放するように配設された挟持部材と、を備えることができる。挟持力は、締付力とすることができる。ハーフシェルを、例えば第1のアームの中に収容することが可能であり、第1のアームを、例えばハーフシェルの締め付けを可能にするために穿孔することができる。各球関節の周りに一対のハーフシェルを設けることが可能である。
【0017】
一実施形態によれば、係止デバイスは、係止状態において第2のアームと前腕支持パッドとの間の相対移動を阻止し、係止解除状態において第2のアームと前腕支持パッドとの間の相対移動を可能にするように配設された可動制動装置を備えることができる。例示的な一実施形態によれば、摩擦によって前腕支持パッドを阻止するように前腕支持パッドと接触することができる、アクチュエータに結合された歯止めパッドを子受けることが可能である。
【0018】
一実施形態によれば、係止デバイスは、予応力の状態を関節運動デバイスに課すように設けることができ、この予応力の状態では、関節運動部は、応力下に置かれ、前腕支持部の部材の重量の作用よりも大きい摩擦力を及ぼす。これにより、係止解除されても、予応力が加えられた状態の関節運動デバイスは、その構成を変化させず、又はそれ自体の重量の作用下で移動若しくは変位を受けない。係止状態と完全に自由な状態との間に漸進的及び/又は線形的及び/又は増分的な通過を提供し、予応力が加えられた状態を漸進的及び/又は線形的及び/又は増分的に修正することが可能である。ねじ又は圧力調整を使用する制御により、予応力が加えられた状態を調整することを可能にすることができる。
【0019】
一実施形態によれば、係止デバイスは、空気圧式及び/若しくは液圧式、並びに/又は電気式とすることができる。
【0020】
一実施形態によれば、係止デバイスは、関節運動システムの関節運動部うちの複数の関節運動部又は全ての関節運動部にさえ接続されており、それらを集中的に及び/又は同時に係止又は係止解除することができる。
【0021】
一実施形態によれば、前腕支持部は、第1のアーム又は第2のアームに配設された制御基板を備えることができ、制御基板は、係止制御デバイスのマンマシンインターフェースを支持することができる。
【0022】
一実施形態によれば、制御基板は、位置を調整可能とすることができる。
【0023】
一実施形態によれば、関節運動システムは、
-第1の球関節の3つの回転自由度のうちの少なくとも1つにおける角度移動を制限するように、又は第1の球関節の3つの回転自由度のうちの少なくとも2つ又は全てにおける角度移動を制限するように配設された第1の止め部、及び/又は
-第2の球関節の回転における3つの自由度のうちの少なくとも1つにおける角度移動を制限するように、又は第2の球関節の少なくとも2つ若しくは3つ全ての自由度における角度移動を制限するように配設された第2の止め部と、を備えることができる。したがって、第1の止め部及び/又は第2の止め部は、角度付き移動を制限することができ、例えば、係止解除中に(自由にされた、又は変形可能にされた)デバイスが大きな高さにわたって激しく落下又は移動することを制限することができる。そのような止め部は、例えば、完全な係止解除の場合に前腕支持部が完全に垂直に垂れ下がることを防止又は回避することができ、これは、操作者が自分の作業ステーションを構成する際に役立てることができる。
【0024】
本開示の第2の態様は、時計師用ベンチであって、
-組み立て又は装飾の動作などの動作の対象となり得る時計を受容するように配設された作業テーブルと、
-作業テーブルを支持し、操作者のために作業テーブル上に少なくとも1つの作業面又は1つの作業ステーションを画定し、作業場の床に載置されるように配設されたフレームと、を備え、
時計師用ベンチは、取付レールであって、特に作業テーブルの下に配設され、作業面又は作業ステーションに面し、当該少なくとも1つの取付レールに沿って調整可能な位置で、時計師用ベンチに結合される少なくとも1つの作業モジュールを受容するように配設されている、取付レールを備えることを特徴とする、時計師用ベンチに関する。上述した実装形態による時計師用ベンチは、好ましくは作業テーブルの下に設けられた少なくとも1つの取付レールを備え、この取付レールは、作業者が作業テーブルにアクセスするのを妨げず、作業モジュールを取り外し可能及び/又は調整可能に取り付けることを依然として可能にする。作業テーブルへのアクセスに影響を与えることなく、調整及び/又は構成の可能性が増大する。
【0025】
一実施形態によれば、関節運動システムの少なくとも1つの関節運動部は、段階的カーソルタイプ又は停止カーソルタイプの一組の機械的カーソルを含むことができ、これは、好ましい位置決めへのその後の調整を容易にするために、操作者によって作動され、所定の位置に係止可能である。
【0026】
一実施形態によれば、少なくとも1つの球関節は、離散位置及び/又は好ましい若しくは特定の調整などの調整マークを含む。ノッチ付きシステムを介して前腕支持部のアームと協働するボールを考慮することができ、この場合、インデックス付けは、例えば、保持相補形態を有する第2の要素と協働する歯を有する第1の要素を使用する。この構成は、好ましい位置決めへの調整を容易にすることを可能にする。
【0027】
一実施形態によれば、当該少なくとも1つの取付レールは、作業テーブルの長さ又は幅の少なくとも四分の一、更には少なくとも三分の一、更には少なくとも半分にわたって延在することができる。以下を提供することが可能である。
-単一の取付レールであって、作業テーブルの全長にわたるが、端部と端部を接して取り付けられたいくつかの要素からなる、単一の取付レール、
-2つの取付レールであって、各々が時計師用ベンチの一方の側に設けられ、かつ作業ステーションで中断されている、2つの取付レール、
-平行な取付レールであって、作業テーブルの下に設けられ、各々が特定のモジュール専用である、平行な取付レール。
【0028】
当該少なくとも1つのレールは、異なる実施形態によれば、単一の構成要素の形態であってもよく、又はいくつかの部分から作製されてもよい。
【0029】
一実施形態によれば、時計師用ベンチは、第1の態様による前腕支持部を備えることができ、時計師用ベンチの当該少なくとも1つの取付レールに結合される少なくとも1つの作業モジュールを、当該少なくとも1つの取付レールに沿って調整可能な位置に形成する。
【0030】
一実施形態によれば、時計師用ベンチは、当該少なくとも1つの取付レールに結合される少なくとも1つの作業モジュールであって、
-操作者に向かって作業テーブルの張出し部を形成するテーブルノーズピース、又は
-作業テーブルによって画定される作業平面に対して突出して配設されたテーブル縁部若しくは隆起肩部、又は
-特に光学式読取装置のための器具支持部であって、器具、具体的には光学式読取装置を支持するように配設されている、器具支持部、又は
-衝撃吸収クッション、又は
-作業工具を支持するように配設された工具ホルダ、又は
-引き出し
を形成する、1つの作業モジュールを備えることができる。
【0031】
一実施形態によれば、当該少なくとも1つの取付レールに結合される当該少なくとも1つの作業モジュールは、当該少なくとも1つの取付レール上に結合部分を備えることができ、結合部分は、
-当該少なくとも1つの取付レール上で取り外し可能かつ係止可能なランナ若しくはキャリッジ、又は
-取付レール上で可逆的弾性インターロックを可能にするように少なくとも1つの弾性部分が配設されている、ランナ又はキャリッジ、又は
-当該少なくとも1つの取付レールの軸方向の周りの回転移動において当該少なくとも1つの取付レール上に係合されるように配設された、ランナ又はキャリッジ(非対称であってもなくてもよい)を備える。
【0032】
一実施形態によれば、当該少なくとも1つの取付レールは、作業テーブルの周縁部及び/又はフレームの周縁部に対して面一であるか又は凹んでいてもよい。換言すれば、一実施形態によれば、当該少なくとも1つの取付レールは、作業テーブルの底部を越えて延在しない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本発明の他の特徴及び利点は、決して限定するものではない例として与えられ、添付図面によって例示される、本発明の実施形態の以下の詳細な記載を読めば、より明らかになるであろう。
【0034】
図1】フレームと、作業テーブルと、作業テーブルの下に配設された取付レールに結合された作業モジュールとを備える、本発明による時計師用ベンチの全体斜視図を示す。
【0035】
図2】作業モジュールが作業テーブルの下に配設された取付レールに結合されている、図1の作業テーブルの部分図を示す。
【0036】
図3】前腕支持部を形成する、図1の作業モジュールの斜視底面図を示す。
【0037】
図4図3の前腕支持部の第1のアームの詳細図を示す。
【0038】
図5図3の前腕支持部の第2のアームの詳細図を示す。
【0039】
図6】テーブルノーズピースを形成する、図1の作業モジュールの斜視上面図を示す。
【0040】
図7】隆起肩部を形成する、図1の作業モジュールの斜視上面図を示す。
【0041】
図8図7の隆起肩部の別の斜視図を示す。
【0042】
図9】衝撃吸収クッションを形成する、図1の作業モジュールの斜視上面図を示す。
【0043】
図10図9の衝撃吸収クッションの正面図を示す。
【0044】
図11】光学式読取装置支持部を形成する、図1の作業モジュールの斜視上面図を示す。
【0045】
図12図11の光学式読取装置支持部の側面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、本発明による時計師用ベンチの全体斜視図を示し、本時計師用ベンチは、
-フレーム20と、
-フレームによって支持された作業テーブル21と、
-作業テーブル21の下に、2つの横の列に配設された保管引き出しと、
-作業テーブル21の下に配設された取付レール22と、
-取付レール22に結合された前腕支持部10によって形成される2つの作業モジュールと、
-テーブルノーズピース30によって形成される作業モジュールであって、同様に取付レール33に連結され、かつ2つの前腕支持部10の間に配設される、作業モジュールと、を備える。
【0047】
図1において、取付レール22は、作業テーブル21の下に配設され、作業テーブル21の周縁と面一に取り付けられており、それにより、取付レールは、作業テーブル21を押したい、又は作業テーブル21に接近したい可能性がある操作者の邪魔にならない、及び/又は障害物を形成しないことに留意されたい。作業テーブル21上での小さな寸法の時計の取り扱いは、妨げられることも、損なわれることもない。
【0048】
図2は、図1の作業テーブル21の部分図を示し、以下の作業モジュールが取付レール22に結合されている。以下のことに留意されたい。
-前腕支持部10、
-テーブルノーズピース30、
-隆起肩部40。
【0049】
取付レールに結合される各作業モジュールは、取付レール22に沿って移動させることができ、それにより、操作者は、自身のニーズに応じて図1の時計師用ベンチを構成することができ、時計の組み立て、補修作業、調整、あるいは装飾の動作など、あれこれの作業動作を行うことができることに留意されたい。これにより、例えば図1の2つの前腕支持部10の間の中心距離など、作業モジュール間の相対位置を容易に調整することができる。
【0050】
以下に詳細に説明するように、各作業モジュールを、取付レール22に沿って移動させ、取付レール22に可逆的に結合し、取付レール22上で係止/係止解除することができ、それにより、信頼性の高い使用及び堅牢な構造を保証しながら、大きなモジュール性及び多数の可能な使用を提供する。
【0051】
図3は、前腕支持部10を形成する図1の作業モジュールの斜視底面図を示しており、作業モジュールは、具体的には、
-取付レール22に結合された結合部分11と、
-結合部分11に連結された第1のアーム12と、
-第1のアーム12に連結された第2のアーム13と、
-第2のアーム13に連結され、かつ操作者の前腕を支持するように配設された前腕支持パッド14と、
-結合部分11と第1のアーム12との間に配設された第1の球関節16と、
-第1のアーム12と第2のアーム13との間に配設された第2の球関節17と、
-第2のアーム13と前腕支持パッド14との間に配設された摺動肘掛け連結部19と、を備える。
【0052】
詳細には、結合部分11は、具体的には、
-摺動連結部を形成するために取付レール22に結合されたランナ又はキャリッジ11.1と、
-キャリッジ11.1に取り付けられ、かつ第1の球関節16の第1の雄型球関節要素を支持する第1の中間支持部11.2と、
-取付レール22上のキャリッジ11.1の係止可能かつ取り外し可能な係合を達成するための制御ノブ11.3と、を備える。
【0053】
キャリッジ11.1は、非対称とすることができるキャリッジ、又は制御ノブ11.3を介してねじ込むことによって係止して、取付レール22に容易に取り付け/取り外しできるように傾斜可能な挟持部とすることができ、これは、代替的に、ばね式位置決めインデックスとすることができる。
【0054】
第1のアーム12は、第1の球関節16及び第2の球関節17の2つの雌型球関節要素ハウジングを備え、かつ係止制御デバイスのマンマシンインターフェース18を受容する制御盤15を支持する。
【0055】
第2のアーム13は、一方で第2の球関節17.2の第2の雄型球関節要素の接続ロッドを受容し、他方で誘導シャフト13.3のための挟持部を支持する第2の中間支持部13.1を備える。
【0056】
前腕支持パッド14は、操作者の前腕を受容又は支持するように配設された支持クッション14.1と、摺動肘掛け連結部19を形成するために第2のアーム13の誘導シャフト13.3のための挟持部と係合される誘導シャフト14.2とを備える。支持クッション14.1の下面は、図3に示される位置以外の位置に誘導シャフト14.2を取り付ける役割を果たすことができる自由取り付け穴14.3を備えることに留意されたい。
【0057】
図4は、その構造を明確に示すために、第1のアーム12を上面図で示している。第1のアーム12は、第1の球関節16の第1の雌型球関節要素ハウジング16.1と、第2の球関節17の第2の雌型球関節要素ハウジング17.1とを備える。第1の雌型球関節要素ハウジング16.1及び第2の雌型球関節要素ハウジング17.1は各々、第1のアーム12に取り付けられた2つのハーフシェル、それぞれ12.1a及び12.1b、12.1c及び12.1dによって形成されている。第1の球関節16は、第2の球関節17よりも大きな直径を有しており、その理由が以下に説明されることになることに留意されたい。
【0058】
また、第1のアーム12は、中央開口部12.5を有する2つの壁部12.7を分離する中央凹部12.4を有するようにその全長にわたって穿孔されており、中央リング12.6が、隙間を有して中央凹部12.4内に取り付けられ、中央開口部12.5に面して配設されていることに留意されたい。ハーフシェル12.1a及び12.1b、12.1c及び12.1dを挟持し、これにより、第1の球関節16及び第2の球関節17を係止又は阻止するために、2つの壁部12.7を一緒にするように、中央開口部12.5を通して挟持部材12.8(ねじシステム、アクチュエータなど)を取り付けることが考慮され得る。次いで、中央リング12.6は、過度の変形及び/又は応力を回避するための止め具としての役割を果たし、フード12.3が中央凹部12.4を覆う。
【0059】
第1のアーム12は、その長さにわたって穿孔されており、これにより、具体的には、球関節16及び17(具体的には、球関節16及び17のハーフシェル12.1a及び12.1b、12.1c及び12.1d)の導入が可能になることに留意されたい。球関節16のための一対のハーフシェル12.1a~12.1b及び球関節17のための一対のハーフシェル12.1c~12.1dは、ボールの各々を部分的に取り囲み、第1のアーム12の長手方向端部に位置決めされた開口部の各々に導入される。取り付けねじは、ハーフシェル/ボールアセンブリを第1のアーム12上に保持することを可能にする。第1のアーム12の中に存在する挟持部材12.8(例えば、少なくとも1つの空気圧アクチュエータ)によって、第1のアーム12の側壁部に力を印加してそれらを一緒に移動させ、ハーフシェル/ボールアセンブリを締め付けることによって係止力を印加することができる。
【0060】
ボールの係止システム内で、第1のアーム12の側壁部を挟持することは、ハーフシェル/ボールアセンブリに対して弾性力を印加する。これにより、ボールが係止される。ハーフシェルは耐摩耗性でなければならず、アームは比較的弾性でなければならない。
【0061】
ボールハウジングを第1のアーム12の中に直接機械加工するのではなく、上述のハーフシェルのシステムを交換可能な要素として使用することが適切であり得、これが、高い機械加工コスト及び複雑な製造を回避することを可能にすることに留意されたい。更に、摩耗した場合、上述したハーフシェルシステムの各摩耗部分の交換は、デバイスの完全な分解を必要としない。
【0062】
最後に、係止状態では、各球関節16、17上のトルクは、特にシステムの完全な展開の場合に、第1のアーム12の第2の端部(第2のアーム13の側)よりも第1のアーム12の第1の端部(結合部分11の側)で大きくなり得ることに留意されたい。任意の滑りに抵抗し、第1のアーム12の同じ締付力で第1の球関節16及び第2の球関節17の両方の係止を保証するために、第1の球関節16の雌型球状ハウジング及び雄型球関節要素の直径が第2の球関節17の直径よりも大きいことが任意選択的に提供され得、これは、幾何学的形状及びボール上のハーフシェルの接触面の差につながる。
【0063】
図5は、図3の前腕支持部の第2のアーム13の詳細図を示している。図5は、誘導シャフト挟持部13.3の方向における横断面図である。一方で、第2の球関節17の第2の雄型球関節要素17.2の接続ロッド13.2を受容し、他方で、誘導シャフト挟持部13.3を支持する第1の中間支持部13.1が見られる。誘導シャフト挟持部13.3の間に配設された可動制動装置13.4(例えば、摩擦歯止めランナ)の存在も注目に値する。可動制動装置13.4は、例えば、垂直に移動して支持クッション14.1の下壁部と接触するようにロッドレスアクチュエータに結合することができ、これにより、誘導シャフト挟持部13.3内に受容される誘導シャフト14.2によって形成される摺動連結部を(可逆的に)係止する可能性を提供する。
【0064】
以下のことに留意されたい。
-第1の球関節、第2の球関節及び摺動肘掛け連結部19は、結合部分と時計師用ベンチとの間の摺動連結結合を可能にするために、結合部分上に配設された関節運動デバイスを形成し、関節運動デバイスは、キャリッジ又はランナ又は摺動体又は摺動路を備えることができる。
-第1のアームの穿孔構造、中央開口部12.5を通過する挟持デバイス12.8、並びに可動制動装置13.4は、関節運動デバイスの係止デバイスを形成するか、又は少なくともその一部を形成する。
【0065】
関節運動デバイスは、取付レール22(フレーム20)と支持クッション14.1との間の相対位置を調整するための複数の可能性を操作者に提供することを可能にする。具体的には、第1の球関節16は、第1のアーム12を結合部分11に対して3つの回転自由度で移動させることを可能にし、同様に、第2の球関節17で第2のアーム13と第1のアーム12との間で移動させることを可能にする。摺動肘掛け連結部19は、取付レール22に沿って並進移動することができる結合部分11と同様に、他の調整位置を提供することを可能にする。
【0066】
係止デバイスは、手動で(例えば、ねじ又はばね部材を用いて)制御することができるが、有利には、電気式又は空気圧式又は液圧式の制御デバイスを係止制御デバイスとして設けることができ、ここでは、マンマシンインターフェース18が制御盤15上に設けられている。これらの係止/係止解除動作を個々に、互いに独立して行うために、1つ以上のアクチュエータを設けることができる。代替的に、関節運動デバイスの全ての関節運動部を同時に係止若しくは阻止するように、又はそれらの全てを一緒に阻止解除するように、係止デバイス全体を制御することが可能である。この場合、これは集中型係止デバイスである。また、互いに独立したある特定の係止/係止解除動作と、共通又は集中方式で行われる他の係止/係止解除動作とを有する中間ソリューションを提供することも可能である。
【0067】
また、同じ係止デバイス、及び集中型係止デバイスの場合にはその係止制御デバイスを用いて、取付レール22上の結合部分11の係止を制御することも可能である。この目的のために、制御ノブ11.3にアクチュエータを追加することが可能である。
【0068】
図6は、テーブルノーズピース30を形成する図1の作業モジュールの斜視上面図を示しており、テーブルノーズピース30は、具体的には、
-テーブル延長部31と、
-テーブル延長部31を支持するキャリッジ32であって、具体的には、持ち上げ及び/又は回転によって取付レール22に迅速に組み付け/取付レール22から迅速に分解することができるように、図示の実施例では、非対称形状を有する、キャリッジ32と、
-インデックスを移動させるために枢動することができる係止ノブ33であって、展開位置では、キャリッジ32を取付レール22上に係止し、後退位置では、キャリッジ32を取付レール22から分解することを可能にする、係止ノブ33と、を備える。
【0069】
テーブル延長部31は、特定の部品又はツールをその上に配置することができるように、作業テーブル21の平面と同じ平面に位置することが意図されていることに留意されたい。
【0070】
図7及び図8は、隆起肩部40を形成する図1の作業モジュールの斜視図を示しており、隆起肩部40は、
-作業テーブル21の作業平面を越えて延在するように配設された縁部41と、
-取付レール22への迅速な組み立て/取付レール22からの迅速な分解を可能にする可撓性タブを有するクリップキャリッジ42と、を備える。
【0071】
これにより、作業テーブル21上に配置された部品が床に落ちるのを防止するために、操作者は、隆起肩部40を取付レール22に沿って迅速に位置決め/結合差し込み/移動/分解することができる。
【0072】
図9及び図10は、衝撃吸収クッション50を形成する図2の作業モジュールの斜視図及び正面図をそれぞれ示しており、衝撃吸収クッション50は、
-操作者を支持することができるクッション部分51と、
-クッション部分51を支持するキャリッジ32であって、図6のテーブルノーズピース30と同様に、持ち上げ及び/又は回転によって取付レール22に迅速に組み付け/取付レール22から迅速に分解することができるように、図示の実施例では、非対称形状を有する、キャリッジ32と、
図6のテーブルノーズピース30に関して、インデックスを移動させるために枢動することができる係止ノブ33であって、インデックスは、展開位置では、非対称キャリッジ32を取付レール22上に係止し、後退位置では、非対称キャリッジ32を取付レール22から分解することを可能にする、係止ノブ33と、を備える。
【0073】
図11及び図12は、それぞれ、器具、具体的には光学式読取装置の支持部を形成する図1の作業モジュールの斜視図及び側面図を示しており、支持部は、
-器具、具体的には光学式読取装置(例えばバーコード読取装置)を受容するように意図された支持フォーク61と、
-取付レール22への迅速な組み立て/取付レール22からの迅速な分解を可能にする1つ以上の可撓性タブを有するクリップキャリッジ62と、を備える。
【0074】
これにより、記載の時計師用ベンチは、複数の作業モジュールを容易にかつ可逆的に受容することができ、全ての作業モジュールは、取付レール22に沿って位置を調整可能であり、取付レール22は、好ましくは、作業テーブル21を越えて延在しないことが理解される。人間工学が改善され、モジュール性が特に増大する。
【0075】
前腕支持部10に関して、その使用は、1つの好ましい実施形態による係止デバイスの単一の制御によって単純であり、そのアーキテクチャは、特にその形態に関して、操作者の希望に合わせて、及び/又は行われる動作に合わせて、それ自体を調整するための非常に様々な調整を提供することに留意されたい。
工業用途
【0076】
本発明による時計師用ベンチ、前腕支持部及び作業モジュール、並びにそれらの製造は、工業用途に適している。
【0077】
本発明の範囲から逸脱することなく、本明細書に記載される本発明の異なる実施形態に対して、当業者に明らかな様々な修正及び/又は改善を適用することができることが理解されよう。
【0078】
具体的には、作業モジュールは、時計製作に好適な他の機能(構成要素、器具又はツールの照明、洗浄、プロビジョニング又は保管など)に適合し、かつ/又はそのために提供することができることに留意されたい。
【0079】
他の中間又は追加の関節運動部を追加することが可能であることにも留意されたい(第1のアーム及び/又は第2のアームは、長さが調整可能とすることができ、図3に例示するように、摺動前腕連結部の代わりに摺動枢動連結部を設けることができる)。
【0080】
係止デバイスは、電動式とするか、又は記載の実施例のように補助部を設けることができるが、たとえ長期的に筋骨格障害を回避するために補助システムが好ましい場合であっても、弾性トグル挟持部、格納式インデックス又はねじシステムなど、手動挟持及び/又は係止システムを設けることができる。
【0081】
例えば前腕支持パッド14と第2のアーム13との間の相対運動など、ある特定の調整を自動化又は支援するために、前腕支持部を電動化することが可能である。例えば、空気圧式、電気式又は液圧式の補助部を提供することが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【外国語明細書】