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特開2024-124390収着式ヒートポンプおよび収着式循環法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124390
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】収着式ヒートポンプおよび収着式循環法
(51)【国際特許分類】
   F25B 15/00 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
F25B15/00 A
F25B15/00 301L
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024031335
(22)【出願日】2024-03-01
(31)【優先権主張番号】23159593
(32)【優先日】2023-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】523136514
【氏名又は名称】アー・ゲー・オー ゲー・エム・ベー・ハー エナギー プルス アンラーゲン
【氏名又は名称原語表記】AGO GmbH Energie + Anlagen
【住所又は居所原語表記】Am Goldenen Feld 23, 95326 Kulmbach, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】クラウス ラミング
【テーマコード(参考)】
3L093
【Fターム(参考)】
3L093BB03
3L093BB39
3L093LL05
(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、収着式ヒートポンプにおいて、高圧レベルを達成するための所要エネルギーを減じる。
【解決手段】収着式ヒートポンプ(1)において、冷媒(11)の高圧部分流(19)を中圧レベルから高圧レベルに圧縮して、高圧レベルで高圧吸収器(17)内に圧送する中間圧縮機(23)と、中圧吸収器(16)内で形成された濃縮溶液(24)を高圧レベルに加圧して、高圧レベルで高圧吸収器(17)内に圧送する中間ポンプ(21)とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
収着式ヒートポンプ(1,27,52)であって、
・ ガス状の冷媒(11,30)および液状の溶媒(12,29,53)と、
・ 前記溶媒(12,29,53)と前記冷媒(11,30)との単相の混合物である濃縮溶液(24,45)および濃溶液(14,32,59,66)と、
・ 吸収ユニット(2,28)であって、前記溶媒(12,29,53)の第1の部分流(50,54)が、中圧吸収器(16,39,57)内で中圧レベルにおいて前記冷媒(11,30)の中圧部分流(18)を吸収し、前記溶媒(12,29,53)の第2の部分流(51,55)が、高圧吸収器(17,40,63)内で高圧レベルにおいて前記冷媒(11,30)の高圧部分流(19,44)を吸収し、その際にそれぞれ発生した熱を前記収着式ヒートポンプ(1,27,52)の外側のヒートシンクに放出する、吸収ユニット(2,28)と、
・ 再生器(4,34)であって、前記吸収ユニット(2,28)からの前記濃溶液(14,32)が、低圧レベルにおいて前記収着式ヒートポンプ(1,27,52)の外側の熱源から熱を受け取り、その際に前記冷媒(11,30)を追い出す、再生器(4,34)と、
・ 前記濃溶液(14,32)を、前記吸収ユニット(2,28)から追い出した後に前記再生器(4,34)内に流入させるべく高圧から低圧に膨張させる絞り弁(3,33,68)と、
・ 前記溶媒(12,29)と前記冷媒(11,30)とを、前記再生器(4,34)から追い出した後に前記低圧から中圧に加圧するポンプ(7,37,56)および圧縮機(6,38)と
を備える、収着式ヒートポンプ(1,27,52)において、
前記冷媒(11,30)の前記高圧部分流(19,44)を前記中圧レベルから前記高圧レベルに圧縮して、該高圧レベルで前記高圧吸収器(17,40,63)内に圧送する中間圧縮機(23,43)と、前記中圧吸収器(16,39,57)内で形成された前記濃縮溶液(24,45)を前記高圧レベルに加圧して、該高圧レベルで前記高圧吸収器(17,40,63)内に圧送する中間ポンプ(21,47)とを備えることを特徴とする、収着式ヒートポンプ(1,27,52)。
【請求項2】
中間冷却器(25,49,60)であって、前記中圧レベルにある前記冷媒(11,30)の前記高圧部分流(19,44)が、特に前記高圧レベルにある前記濃縮溶液(24,45)に熱を放出する、中間冷却器(25,49,60)を備えることを特徴とする、請求項1記載の収着式ヒートポンプ(1,27,52)。
【請求項3】
溶液熱交換器(26,58,65)であって、前記部分流(50,51,54,55)のうちの一方の部分流が、前記高圧レベルにある前記濃溶液(14,32,66)から熱を受け取る、溶液熱交換器(26,58,65)を備えることを特徴とする、請求項1または2記載の収着式ヒートポンプ(1,27,52)。
【請求項4】
前記高圧吸収器(17,40,63)に対して並列に配置された付加吸収器(41,64)であって、前記部分流(50,51,54,55)のうちの一方の部分流が前記高圧レベルにおいて熱を受け取る、付加吸収器(41,64)を備えることを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の収着式ヒートポンプ(27,52)。
【請求項5】
前記中圧吸収器(16,39,57)および/または前記高圧吸収器(17,40,63)はプレート式熱交換器であることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の収着式ヒートポンプ(1,27,52)。
【請求項6】
前記溶媒(12,29,53)は水であり、前記冷媒(11,30)はアンモニアであることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の収着式ヒートポンプ(1,27,52)。
【請求項7】
収着式循環法であって、
・ ガス状の冷媒(11,30)および液状の溶媒(12,29,53)と、
・ 前記溶媒(12,29,53)と前記冷媒(11,30)との単相の混合物である濃縮溶液(24,45)および濃溶液(14,32,59,66)と
を含み、
・ 前記溶媒(12,29,53)の第1の部分流(50,54)が、中圧レベルにおいて前記冷媒(11,30)の中圧部分流(18)を吸収し、前記溶媒(12,29,53)の第2の部分流(51,55)が、高圧レベルにおいて前記冷媒(11,30)の高圧部分流(19,44)を吸収し、その際にそれぞれ発生した熱を前記収着式循環法の外側のヒートシンクに放出し、
・ 前記冷媒(11,30)を吸収した後に形成された前記濃溶液(14,32,59,66)を低圧レベルに膨張させ、該低圧レベルにおいて前記収着式循環法の外側の熱源から熱を受け取り、その際に前記冷媒(11,30)を追い出し、
・ 前記溶媒(12,29)と前記冷媒(11,30)とを低圧から中圧に加圧する、
収着式循環法において、
単に、前記冷媒(11,30)の前記高圧部分流(19,44)を前記中圧レベルから前記高圧レベルに圧縮し、前記中圧部分流(18)により濃縮された前記濃縮溶液(24,45)を前記中圧レベルから前記高圧レベルに加圧することを特徴とする、収着式循環法。
【請求項8】
前記ヒートシンクの熱媒(13)を、互いに並列に案内される2つの部分流に分割し、前記熱媒(13)の前記部分流のうちの第1の部分流には、前記中圧部分流(18)の吸収時に発生した前記熱を放出し、前記熱媒(13)の前記部分流のうちの第2の部分流には、前記高圧部分流(19,44)の吸収時に発生した前記熱を放出し、次いで、前記熱媒(13)の前記部分流を再び合流させることを特徴とする、請求項7記載の収着式循環法。
【請求項9】
前記ヒートシンクの熱媒(31)に、まず、前記中圧部分流の吸収時に発生した前記熱を放出し、次いで、前記高圧部分流(44)の吸収時に発生した前記熱を放出することを特徴とする、請求項7記載の収着式循環法。
【請求項10】
前記溶媒(53)を前記第1の部分流(54)と前記第2の部分流(55)とに分割することを特徴とする、請求項7から9までのいずれか1項記載の収着式循環法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、まず、収着式ヒートポンプであって、ガス状の冷媒および液状の溶媒と、この溶媒と冷媒との単相の混合物である濃縮溶液および濃溶液と、吸収ユニットであって、溶媒の第1の部分流が、中圧吸収器内で中圧レベルにおいて冷媒の中圧部分流を吸収し、溶媒の第2の部分流が、高圧吸収器内で高圧レベルにおいて冷媒の高圧部分流を吸収し、その際にそれぞれ発生した熱を収着式ヒートポンプの外側のヒートシンクに放出する、吸収ユニットと、再生器であって、吸収ユニットからの濃溶液が、低圧レベルにおいて収着式ヒートポンプの外側の熱源から熱を受け取り、その際に冷媒を追い出す、再生器と、濃溶液を、吸収ユニットから追い出した後に再生器内に流入させるべく高圧から低圧に膨張させる絞り弁と、溶媒と冷媒とを、再生器から追い出した後に低圧から中圧に加圧するポンプおよび圧縮機とを備える、収着式ヒートポンプに関する。本発明は、さらに、このような収着式ヒートポンプにおける収着式循環法に関する。
【0002】
このような収着式ヒートポンプおよびこのような収着式循環法は、欧州特許出願公開第3964770号明細書に基づき公知である。同明細書には、まず、溶媒と冷媒とを低圧レベルから高圧レベルに加圧して、高圧吸収器に圧送し、この高圧吸収器の上流側で中圧部分流を切り離して、中圧レベルに膨張させ、これによって、溶媒が、まず、残りの高圧部分流だけを吸収し、次いで、形成された濃縮溶液が、中圧吸収器内で中圧部分流を吸収することが提案される。
【0003】
課題
本発明の根底にある課題は、高圧レベルを達成するための所要エネルギーを減じることである。
【0004】
解決手段
公知の収着式ヒートポンプから出発して、本発明によれば、冷媒の高圧部分流を中圧レベルから高圧レベルに圧縮して、この高圧レベルで高圧吸収器内に圧送する中間圧縮機と、中圧吸収器内で形成された濃縮溶液を高圧レベルに加圧して、この高圧レベルで高圧吸収器内に圧送する中間ポンプとを設けることが提案される。
【0005】
このような本発明に係る収着式ヒートポンプは、低い温度レベルで熱を受け取り、この熱をより高いレベルで再び放出する。濃溶液は絞り弁内で冷却され、こうして、低温熱を受け取ることができる。ガス状の冷媒と液状の溶媒とは、分離されて吸収ユニットに供給される。
【0006】
本発明に係る収着式ヒートポンプでは、ガス状の凝集状態で高圧レベルに圧縮される冷媒の量が、先行技術に比べて中圧部分流の分だけ減じられている。これにより節約されるエネルギー消費は、濃縮溶液の付加的な質量流量を高圧レベルに加圧するための付加的なエネルギー消費よりも高い。中圧部分流の分だけ濃縮された濃縮溶液を加圧するための付加的な所要エネルギーは、中圧部分流を圧縮するための所要エネルギーよりも小さい。
【0007】
好ましくは、本発明に係る収着式ヒートポンプは、中間冷却器であって、中圧レベルにある冷媒の高圧部分流が熱を放出する、中間冷却器を有している。多くのヒートポンプ用途では、冷媒蒸気が圧縮中に許容できないほど高温になることなく、所要の圧力比を達成するために、圧縮機同士の間での蒸気の2段階の冷媒圧縮と中間冷却とが必要となる。
【0008】
特に、中間冷却器では、高圧レベルにある濃縮溶液が熱を受け取ってよい。このような本発明に係る収着式ヒートポンプでは、濃縮溶液が高圧部分流を冷却し、受け取った熱を高圧吸収器内でヒートシンクに提供する。
【0009】
好ましくは、本発明に係る収着式ヒートポンプは、溶液熱交換器であって、部分流のうちの一方の部分流が、高圧レベルにある濃溶液から熱を受け取る、溶液熱交換器を有している。受け取った熱は、その後、中圧吸収器内でヒートシンクに提供される。特に、溶媒は中圧レベルにおいて熱を受け取ってよい。
【0010】
好ましくは、本発明に係る収着用ヒートポンプは、高圧吸収器に対して並列に、部分流のうちの一方の部分流が高圧レベルにおいて熱を受け取る、付加吸収器を有している。ヒートシンクにおける幅、つまり、収着式ヒートポンプ内への熱媒の入口と収着式ヒートポンプからの熱媒の出口との間の温度差が、熱源における幅よりも著しく大きい場合には、ヒートシンクの熱媒が中圧吸収器内で平均的な温度レベルに予め加熱されてよい。しかしながら、中圧吸収器内で濃縮された濃縮溶液は、ほぼヒートシンクの流入温度に冷却される。高圧吸収器内への流入に先だって、濃縮溶液は、このような本発明に係る収着式ヒートポンプでは、ヒートシンクの流出温度に加熱される。特に、濃縮溶液は高圧レベルにおいて熱を受け取ってよい。
【0011】
好ましくは、本発明に係る収着用ヒートポンプでは、中圧吸収器および/または高圧吸収器はプレート式熱交換器である。このような吸収器は技術的に単純であり、保守をそれほど必要とせず、市場において多数の構成で廉価に提供されている。
【0012】
好ましくは、本発明に係る収着式ヒートポンプでは、溶媒は水であり、冷媒はアンモニアである。水およびアンモニアは天然の物質であり、冷凍技術において実証されている。
【0013】
公知の収着式循環法から出発して、本発明によれば、単に、冷媒の高圧部分流を中圧レベルから高圧レベルに圧縮し、中圧部分流により濃縮された濃縮溶液を中圧レベルから高圧レベルに加圧することが提案される。本発明に係る収着式循環法は、本発明に係る収着式ヒートポンプにおいて実施され、その前述した利点の点で同様に優れている。
【0014】
好ましくは、本発明に係る収着式循環法では、ヒートシンクの熱媒を、互いに並列に案内される2つの部分流に分割し、これらの部分流のうちの第1の部分流には、中圧部分流の吸収時に発生した熱を放出し、部分流のうちの第2の部分流には、高圧部分流の吸収時に発生した熱を放出し、次いで、部分流を再び合流させる。熱源における幅とヒートシンクにおける幅とが互いに極めて異なっている場合、このような本発明に係る収着式循環法では、可能な限り大きな中圧部分流が中圧レベルにおいて吸収され、その際に発生した熱がヒートシンクの熱媒に放出され、これによって、そこで、例えば蒸気が発生させられる。比較的乾燥した冷媒が中圧吸収器内で溶媒によって飽和しないようにするために、中圧吸収器には、吸収することができる程度の冷媒しか供給されない。残りの冷媒だけが高圧吸収器に導かれる。
【0015】
代替的に好ましくは、本発明に係る収着式循環法では、ヒートシンクの熱媒に、まず、中圧部分流の吸収時に発生した熱を放出し、次いで、高圧部分流の吸収時に発生した熱を放出する。ヒートシンクにおける幅が熱源における幅よりもかなり大きい場合には、ヒートシンクの熱媒が中圧吸収器内で予め加熱され、高圧吸収器内で初めて所望の流出温度に加熱される。
【0016】
好ましくは、本発明に係る収着式循環法では、溶媒を第1の部分流と第2の部分流とに分割する。その後、第1の部分流は、中圧部分流の吸収後にもはや高圧レベルに加圧される必要はない。
【0017】
以下に、本発明を複数の実施例に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】第1の本発明に係る収着式ヒートポンプを示す図である。
図2】第2の本発明に係る収着式ヒートポンプを示す図である。
図3】第3の本発明に係る収着式ヒートポンプを示す図である。
【0019】
実施例
図1に示した第1の本発明に係る収着式ヒートポンプ1は、吸収ユニット2、絞り弁3、再生器4、分離器5、圧縮機6、ポンプ7ならびに複数の導管8を有している。これらの導管8は、前述した要素をこの順序で接続して、環状に閉じられた系を形成している。この場合、圧縮機6は冷媒用分岐路9に配置されており、ポンプ7は、冷媒用分岐路9に対して並列に延在する、分離器5から吸収ユニット2への溶媒用分岐路10に配置されている。
【0020】
溶媒12としての水に冷媒11としてのアンモニア(NH)を用いた本発明に係る収着式循環法の1回のサイクルでは、吸収ユニット2において、3.3kg/sの溶媒12流が3.2kg/sの冷媒11流を吸収し、加熱出力をヒートシンクに放出する。このヒートシンクの熱媒13としての、100℃で吸収ユニット2内に流入した供給水は、110℃で飽和蒸気として吸収ユニット2から進出する。87℃で48barの高圧レベルにて吸収ユニット2から流出した6.5kg/sの濃溶液14流は、絞り弁3によって6barの低圧に膨張させられ、再生器4において、熱源から2610kWの出力で64℃に加熱される。このとき、70℃で再生器4内に流入した熱源の熱媒15が30℃に冷却される。後続の分離器5から、溶媒12流がポンプ7によって、また、冷媒11流が圧縮機6によって、それぞれ22barの中圧レベルに加圧され、吸収ユニット2内に圧送される。
【0021】
吸収ユニット2は、中圧吸収器16と高圧吸収器17とを有している。ヒートシンクの熱媒13は、中圧吸収器16と高圧吸収器17とへの流入に先だって、まず、2つの部分流に分割され、中圧吸収器16と高圧吸収器17とは部分流によって並列に通流され、この部分流は、中圧吸収器16と高圧吸収器17とからの流出後に再び合流させられる。吸収ユニット2内に中圧レベルにて160℃で流入する冷媒11は、まず、中圧部分流18と高圧部分流19とに分割される。中圧吸収器16では、溶媒12の第1の部分流50が中圧部分流18を吸収し、その際に303kWの加熱出力をヒートシンクの熱媒13に放出する。
【0022】
吸収ユニット2は、中圧分離器20、中間ポンプ21、絞り弁22および中間圧縮機23を有している。中圧吸収器16から110℃で流出した濃縮溶液24は、中圧分離器20において、まず、吸収されない冷媒11を分離し、中間ポンプ21によって高圧レベルに加圧され、3.7kg/sの第2の部分流51で高圧吸収器17内に圧送される。中圧分離器20からの冷媒11は、絞り弁22を介して高圧部分流19に合流させられ、この高圧部分流19と一緒に中間圧縮機23で同様に高圧レベルに圧縮され、その際に84℃から155℃に加熱され、2.8kg/sで高圧吸収器17内に案内される。
【0023】
吸収ユニット2は、中間冷却器25と溶液熱交換器26とを有している。中間冷却器25では、中圧レベルにある冷媒11の高圧部分流19が、高圧レベルにある濃縮溶液24に熱を放出し、この濃縮溶液24を126℃に加熱する。溶液熱交換器26では、中圧レベルにある溶媒12が、高圧レベルにある濃溶液14から熱を受け取る。
【0024】
再生器4、中圧吸収器16、高圧吸収器17、中間冷却器25および溶液熱交換器26は、プレート式熱交換器である。
【0025】
図2に示した第2の本発明に係る収着式ヒートポンプ27と、この収着式ヒートポンプ27内で実施される本発明に係る収着式循環法とは、第1の収着式ヒートポンプ1に実質的に相当している。1回のサイクルでは、第2の収着式ヒートポンプ27の吸収ユニット28において、6.7kg/sの溶媒29流が3.9kg/sの冷媒30流を吸収する。ヒートシンクの熱媒31は60℃で吸収ユニット28内に流入する。52℃未満で45barの高圧レベルにて吸収ユニット28から流出した11.2kg/sの濃溶液32流は、絞り弁33によって7.3barの低圧に膨張させられ、再生器34において4130kWの出力で38℃に加熱される。この場合、40℃未満で再生器34内に流入した熱源の熱媒35は35℃に冷却される。後続の分離器36から、溶液29流がポンプ37によって、また、冷媒30流が圧縮機38によって、それぞれ28barの中圧レベルに加圧され、吸収ユニット28内に圧送される。
【0026】
第1の収着式ヒートポンプ1と異なり、ヒートシンクの熱媒31が、まず、中圧吸収器39において2047kWの加熱出力で78℃に予め加熱され、次いで、高圧吸収器40において3464kWの加熱出力でさらに流出温度に加熱される。第2の収着式ヒートポンプ27は、付加吸収器41と更なる溶液熱交換器42とを付加的に有している。
【0027】
155℃で中間圧縮機43から流出した冷媒30の高圧部分流44と、濃縮溶液45とは、高圧吸収器40の上流側で分割され、それぞれ2つの部分流にて並列に高圧吸収器40と付加吸収器41とを通して案内され、次いで、それぞれ流出した濃溶液32の部分流が再び合流させられる。付加吸収器41内の濃縮溶液45の部分流は、絞り弁46によって制御される。中間ポンプ47の下流側では、中圧吸収器39から63℃未満で流出した7.3kg/sの濃縮溶液45流が、まず、更なる溶液熱交換器42において、高圧レベルにある濃溶液32によって97℃に加熱される。その後、濃縮溶液45が分割され、2つの絞り弁48によって制御されて、それぞれ3.65kg/sの部分流にて並列に中間冷却器49内で112℃にかつ付加吸収器41内で107℃に加熱され、再び合流させられ、110℃未満で高圧吸収器40と付加吸収器41とに案内される。
【0028】
図3に示した第3の本発明に係る収着式ヒートポンプ52と、この収着式ヒートポンプ52内で実施される本発明に係る収着式循環法とは、第2の収着式ヒートポンプ27に実質的に相当している。違いとしては、溶媒53が第1の部分流54と第2の部分流55とに分割される。
【0029】
第1の部分流54は、第1のポンプ56によって中圧レベルに加圧され、中圧吸収器57に圧送される。中圧吸収器57の上流側では、溶媒53の第1の部分流54が、溶液熱交換器58において、中圧吸収器57からの濃溶液59から熱を受け取り、中間冷却器60で高圧部分流61から熱を受け取る。
【0030】
第2の部分流55は、第2のポンプ62によって高圧レベルに加圧され、高圧吸収器63と付加吸収器64とに圧送される。高圧レベルにて、第2の部分流55は、更なる溶液熱交換器65内で高圧吸収器63と付加吸収器64とからの濃溶液66から熱を受け取る。
【0031】
高圧吸収器63と付加吸収器64とからの濃溶液66は、まず、中間絞り弁67で中圧レベルに膨張させられ、中圧吸収器からの濃溶液59に合流させられ、その後初めて、絞り弁68で低圧レベルに膨張させられる。
【符号の説明】
【0032】
1 収着式ヒートポンプ
2 吸収ユニット
3 絞り弁
4 再生器
5 分離器
6 圧縮機
7 ポンプ
8 導管
9 冷媒用分岐路
10 溶媒用分岐路
11 冷媒
12 溶媒
13 ヒートシンクの熱媒
14 濃溶液
15 熱源の熱媒
16 中圧吸収器
17 高圧吸収器
18 中圧部分流
19 高圧部分流
20 中圧分離器
21 中間ポンプ
22 絞り弁
23 中間圧縮機
24 濃縮溶液
25 中間冷却器
26 溶液熱交換器
27 収着式ヒートポンプ
28 吸収ユニット
29 溶媒
30 冷媒
31 ヒートシンクの熱媒
32 濃溶液
33 絞り弁
34 再生器
35 熱源の熱媒
36 分離器
37 ポンプ
38 圧縮機
39 中圧吸収器
40 高圧吸収器
41 付加吸収器
42 更なる溶液熱交換器
43 中間圧縮機
44 高圧部分流
45 濃縮溶液
46 絞り弁
47 中間ポンプ
48 絞り弁
49 中間冷却器
50 溶媒の第1の部分流
51 溶媒の第2の部分流
52 収着式ヒートポンプ
53 溶媒
54 溶媒の第1の部分流
55 溶媒の第2の部分流
56 第1のポンプ
57 中圧吸収器
58 溶液熱交換器
59 濃溶液
60 中間冷却器
61 高圧部分流
62 第2のポンプ
63 高圧吸収器
64 付加吸収器
65 溶液熱交換器
66 濃溶液
67 中間絞り弁
68 絞り弁
図1
図2
図3
【外国語明細書】