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特開2024-124391外部励磁電気機械のためのロータデバイス
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  • 特開-外部励磁電気機械のためのロータデバイス 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124391
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】外部励磁電気機械のためのロータデバイス
(51)【国際特許分類】
   H02K 3/52 20060101AFI20240905BHJP
   H02K 3/24 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H02K3/52 F
H02K3/24 P
【審査請求】有
【請求項の数】14
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024031350
(22)【出願日】2024-03-01
(31)【優先権主張番号】10 2023 105 142.3
(32)【優先日】2023-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】510238096
【氏名又は名称】ドクター エンジニール ハー ツェー エフ ポルシェ アクチエンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Dr. Ing. h.c. F. Porsche Aktiengesellschaft
【住所又は居所原語表記】Porscheplatz 1, D-70435 Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン ブラウンベック
(72)【発明者】
【氏名】ロルフ グレーフ
【テーマコード(参考)】
5H603
5H604
【Fターム(参考)】
5H603AA12
5H603AA14
5H603BB09
5H603BB12
5H603CA02
5H603CA04
5H603CB02
5H603CC11
5H603CC17
5H603EE10
5H603FA22
5H604AA05
5H604BB10
5H604BB14
5H604CC02
5H604CC05
5H604CC16
5H604DB03
(57)【要約】      (修正有)
【課題】軽量かつコンパクトであると同時に特に強力であるロータデバイスを提供する。
【解決手段】外部励磁電気機械10のためのロータデバイス1は、複数のロータ歯4を有するロータベース本体3を備えたロータ2を有する。軸方向に延在する受容溝13が、ロータ歯4の間に、ロータ歯上に巻かれたロータ巻線5の少なくとも1つの巻線部分15を受容するように配置される。ロータ巻線を固定するための充填物6が、受容溝内に配置される。ロータ歯は各々、その半径方向外側端にカラー部分14を備え、これは充填物を受容溝内に確実に固定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部励磁電気機械(10)のための、特に、外部励磁同期モータ(20)のためのロータデバイス(1)であって、
複数のロータ歯(4)を有するロータベース本体(3)を備えた少なくとも1つのロータ(2)を有し、軸方向に延在する受容溝(13)が、前記ロータ歯(4)間に、前記ロータ歯(4)上に巻かれたロータ巻線(5)の少なくとも1つの巻線部分(15)を受容するように配置されており、前記ロータ巻線(5)を固定するための充填物(6)が、前記受容溝(13)内に配置されており、前記ロータ歯(4)が、その半径方向外側端に、前記充填物(6)を前記受容溝(13)内に確実に固定する少なくとも1つのカラー部分(14)を備える、
ロータデバイス(1)。
【請求項2】
前記ロータ歯(4)の前記カラー部分(14)が、意図された動作中に発生する遠心力から前記充填物(6)を確実に固定し、前記充填物(6)が、特に、これらの遠心力に耐えるように適切に構成されている、
先行請求項に記載のロータデバイス(1)。
【請求項3】
前記ロータ歯(4)が各々、前記受容溝(13)を円周方向に区画する少なくとも1つの支持部分(24)を備え、前記巻線部分(15)が、前記支持部分(24)に沿って延在し、前記カラー部分(14)が、半径方向外側で前記支持部分(24)に隣接し、前記カラー部分(14)が、円周方向において前記支持部分(24)を越えて突出し、前記受容溝(13)を半径方向外側で部分的に閉じる、
先行請求項のいずれか一項に記載のロータデバイス(1)。
【請求項4】
前記充填物(6)は、ブリッジ表面(26)を有し、前記ブリッジ表面(26)は各々、円周方向において隣接するロータ歯(4)の前記カラー部分(14)の間に延在し、且つ、前記カラー部分(14)に接触しない、
先行請求項のいずれか一項に記載のロータデバイス(1)。
【請求項5】
前記ブリッジ表面(26)が各々、陥凹するように構成されている、
先行請求項に記載のロータデバイス(1)。
【請求項6】
前記ブリッジ表面(26)が各々、半径方向内向きに湾曲したトラフ(36)を備える、
先行請求項のいずれか一項に記載のロータデバイス(1)。
【請求項7】
前記ブリッジ表面(26)が、放物線形状で半径方向内向きに湾曲している、
先行請求項に記載のロータデバイス(1)。
【請求項8】
前記ブリッジ表面(26)が、V字形状で半径方向内向きに延在している、
2つの先行請求項のいずれか一項に記載のロータデバイス(1)。
【請求項9】
前記ブリッジ表面(26)が、生体工学的に最適化された幾何学的形状(46)を備える、
5つの先行請求項のいずれか一項に記載のロータデバイス(1)。
【請求項10】
前記ブリッジ表面(26)が、対向する前記カラー部分(5)から距離を隔てて部分的に突出している、
6つの先行請求項のいずれか一項に記載のロータデバイス(1)。
【請求項11】
前記ロータ(2)を冷却するための少なくとも1つの冷却チャネル(7)が、前記充填物(6)内に形成されており、好ましくは、前記充填物(6)内の少なくとも1つの前記冷却チャネル(7)が、少なくともいくつかの前記受容溝(13)において軸方向に延在している、
先行請求項のいずれか一項に記載のロータデバイス(1)。
【請求項12】
少なくとも1つのロータシャフト(12)を備え、前記少なくとも1つの冷却チャネル(7)には、前記ロータシャフト(12)内を通る供給チャネル(17)を介して冷却流体が供給され得る、
先行請求項に記載のロータデバイス(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの冷却チャネル(7)が、前記ブリッジ表面(26)の下に少なくとも部分的に形成されている、
2つの先行請求項のいずれか一項に記載のロータデバイス(1)。
【請求項14】
前記充填物(6)が、前記巻線部分(15)を埋め込み、前記受容溝(13)内に延在する前記巻線部分(15)の間の空間を充填する、
先行請求項のいずれか一項に記載のロータデバイス(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のロータ歯を有するロータベース本体を備えた少なくとも1つのロータを有する、外部励磁電気機械のためのロータデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
ロータ歯の間には、軸方向に延在する受容溝が、ロータ歯上に巻かれたロータ巻線の少なくとも1つの巻線部分を受容するように、配置される。
【0003】
このようなロータデバイスは、典型的には、外部励磁同期モータに使用される。このようなモータの特定の利点は、高価な永久磁石が不要とされ得ることである。
【0004】
このようなロータデバイスの製造において、受容溝には、典型的に、その中に受容された巻線部分を固定するための追加的な部品が設けられる。その後、受容溝は、典型的に、カバースライドで閉じられる。最終的に、ロータ巻線及び受容溝は、樹脂で含浸又は封止される。
【0005】
ユニバーサルモータとして構成された外部励磁モータは、例えばWO2004/008603(A2)から公知である。その中に示されるロータでは、コイル巻線、整流器、及びロータシャフトは、少なくとも部分的にプラスチック材料でオーバーモールドされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第2004/008603号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
これに対して、本発明によって対処される課題は、従来のロータデバイスと比較して改善されたロータデバイスを提供することである。特に、ロータデバイスは、可能な限り軽量かつコンパクトであると同時に特に強力であるべきである。加えて、ロータデバイスは、構造が簡単で、製造が経済的であるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この問題は、請求項1に記載の特徴を有するロータデバイスによって解決される。本発明の好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。本発明の更なる利点及び特徴は、全般的説明及び例示的な実施形態の説明から明らかになる。
【0009】
本発明によるロータデバイスは、外部励磁電気機械用、特に外部励磁同期モータ用に提供される。ロータデバイスはまた、非同期モータ用に提供されてもよい。ロータデバイスは、ロータベース本体を有する少なくとも1つの(外部励磁された)ロータを備え、ロータベース本体は、複数のロータ歯(円周上に分散して配置され、半径方向及び軸方向に延在する)を有する。ロータ歯の間には、少なくとも1つの巻線部分を受容するための受容溝が配置される。巻線部分は、ロータ歯上に巻かれたロータ巻線の一部である。ロータ巻線を固定するための充填物は、受容溝内に配置される。ロータ歯は各々、その半径方向外側端に少なくとも1つのカラー部分を備える。カラー部分は、硬化した充填物を少なくとも1つの受容溝(カラー部分のロータ歯と関連付けられる)内に確実に固定する。
【0010】
本発明によるロータデバイスは、多くの利点を提供する。受容溝に配置された充填物とロータ歯のカラー部分による確実な固定とが組み合わさることで、大きな利点がもたらされる。これは、例えば、通常の追加的な部品及びカバースライドを省略できることを意味する。したがって、部品、重量、及び設置スペースを節約することができる。加えて、ロータデバイスの製造は、著しく簡素化される。例えば、巻線固定のための追加の部品の組付け及びカバースライドの組付けは、充填物の挿入又は成形工程によって置き換えられる。したがって、全体として、ロータデバイスは、より軽く、よりコンパクトにすることができ、同時に、構造的に単純な様式で実装され、経済的に製造され得る。
【0011】
好ましくは、ロータ歯のカラー部分は、意図された動作中に生じる遠心力に対して充填物を確実に固定する。特に、充填物は、これらの遠心力に耐えるように適切に構成される。特に、カラー部分は、遠心力を吸収し、特に、支持部分を介して半径方向内向きに遠心力をそらすのに好適であるように構成される。特に、カラー部分は、受容溝及び/又は支持部分の少なくとも一部分にわたって、好ましくは軸方向の全長にわたって延在する。
【0012】
特に、充填物は、少なくともカラー部分の半径方向下方の部分にも延在している。特に、充填物は、ロータ歯の間に配置されるカバースライド、及び/又は受容溝を覆うためにロータ歯の間に積極的に挿入される部品を置き換えるのに好適であるように構成される。
【0013】
好ましくは、ロータ歯は各々、ロータの円周方向に受容溝を区画する少なくとも1つの支持部分を備える。特に、受容溝内に受容された巻線部分は、支持部分に沿って延在する。特に、カラー部分は、半径方向外側で支持部分に隣接する。特に、カラー部分は、円周方向において支持部分を越えて突出している。特に、カラー部分は、円周方向において部分的に受容溝を越えて突出している。特に、カラー部分は、半径方向外側で受容溝を部分的に閉じる。
【0014】
特に、カラー部分は、円周方向の両側において支持部分を越えて突出している。言い換えれば、カラー部分は、支持部分を超えて円周方向に時計回り及び反時計回りに突出する。特に、支持部分とカラー部分とが一緒になって、ロータ歯のT字型の断面形状を形成する(軸方向に対して横切るように切断した断面において)。
【0015】
充填物がブリッジ表面を有することが好ましく、有利である。特に、ブリッジ表面は各々、円周方向において隣接するロータ歯のカラー部分の間に延在する。特に、ブリッジ表面は、カラー部分に接触しない。特に、ブリッジ表面は、露出するように構成される。特に、ブリッジ表面は、カラー部分に対して積極的に接触しない。
【0016】
ブリッジ表面は各々、(半径方向内向きに)陥凹していることが好ましい。特に、ブリッジ表面は各々、充填物からロータベース本体へ力を目標通りに伝達可能となるように好適に構成されている。
【0017】
それぞれのブリッジ表面は、充填物の(半径方向における)最大直径に対して(半径方向内向きに)陥凹していることが好ましく、有利である。陥凹部は特に、充填物の円周線に関連する。しかしながら、ブリッジ表面は、円周線と同一面であってもよい。
【0018】
ブリッジ表面は各々、少なくとも1つの半径方向内向きに湾曲したトラフを備えることが好ましい。特に、トラフは凹状である。特に、トラフは、カラー部分でその最大高さに達する。特に、トラフは、カラー部分の間(中央)でその最大深さに達する。特に、トラフは、軸方向又は需要溝の長手方向軸と平行に延在している。
【0019】
有利な更なる実施形態では、ブリッジ表面は各々、放物線形状で半径方向内向きに湾曲している。特に、トラフは、放物線形状で半径方向内向きに湾曲している。
【0020】
また、ブリッジ表面が各々、V字形状で半径方向内向きに延在してもよく、有利である。特に、トラフは、V字形状で半径方向内向きに延在している。特に、トラフは、トラフの最も深い点において鋭角又は鈍角で交わる側面を有する。特に、側面は平面(平坦)である。側面はまた、少なくとも部分的に湾曲してもよい。
【0021】
有利な実施形態では、ブリッジ表面が各々、生体工学的に最適化された幾何学的形状を備えることが提供される。特に、それぞれのブリッジ表面は、生体工学的に最適化された幾何学的形状で後退する。特に、トラフは、生体工学的に最適化された幾何学的形状を有する。例えば、上述の幾何学的形状は、このような生体工学的な最適化の基礎として機能する。特に、ブリッジ表面(好ましくはその断面構造)の幾何学的形状は、生体工学的に計算される。
【0022】
特に、生体性質の構造を支持するための設計パラダイムは、生体工学的な最適化のための大きな身体構造に適用される。特に、充填物は、ロータデバイスの動作中に予想される負荷がより大きい場所に配置される。特に、予想される負荷が低い場所では、充填物は省略される。特に、ブリッジ表面の幾何学的形状は、重量及び安定性のために最適化される。
【0023】
ブリッジ表面は、対向するカラー部分から距離を隔てて部分的に突出しているのが有利であり、好ましい。特に、それぞれのブリッジ表面は、カラー部分の下方において、カラー部分から距離をおいて延在している。しかしながら、ブリッジ表面が、対向するカラー部分の間にのみ形成されることも可能である。この場合、ブリッジ表面は、カラー部分から距離をおいて突出しない。特に、この場合、ブリッジ表面は、カラー部分の下方に延在しない。
【0024】
特に好ましい有利な更なる実施形態では、ロータを冷却するための少なくとも1つの冷却チャネルが、充填物内に形成される。少なくとも1つの冷却チャネルは、受容溝の少なくとも一部の充填物内を通ることが好ましい。例えば、少なくとも1つの冷却チャネルは、充填物内の各受容溝、又は2つおき、又は3つおき、又は4つおきの受容溝に形成される。受容溝は各々、少なくとも2つ、又は3つ、又は4つ以上の冷却チャネルを備えてもよい。
【0025】
特に、冷却チャネルは、軸方向又は受容溝の長手方向に延びる。冷却チャネルは、特に巻線部分を冷却するために使用される。冷却チャネルは、特に支持部分の間に位置し、カラー部分よりも半径方向内側に位置する。特に、冷却チャネルは、隣接する巻線部分の間を通る。特に、冷却チャネルは、液体冷却流体用に構成される。
【0026】
充填物及び少なくとも1つの冷却チャネルは、同じ成型方法を使用して同時に成形されてもよい。特に、少なくとも1つの冷却チャネルは、充填物の成形中に適切なツールで切り抜くことによって製造される。特に、充填物及び冷却チャネルは、トランスファー成形又は類似の一次成形プロセスによって製造される。しかしながら、充填物が成形された後に冷却チャネルを製造することも可能である。例えば、充填物は、冷却チャネルが切り出されるように局所的に除去される。
【0027】
特に、ロータデバイスは、少なくとも1つのロータシャフトを備える。好ましくは、少なくとも1つの冷却チャネルは、ロータシャフト内を通る供給チャネルを介して(液体)冷却流体を供給され得る。特に、ロータシャフトは、回転方向に固定された様式でロータに接続される。特に、ロータシャフトは、ステータに対して回転可能に取り付けられる。特に、少なくとも1つの流体接続部が、供給チャネルと少なくとも1つの冷却チャネルとの間に延在している。
【0028】
少なくとも1つの冷却チャネルは、少なくともブリッジ表面の(半径方向における)下方の部分に形成されることが好ましく、有利である。特に、冷却チャネルの長手方向軸は、少なくとも部分的に、トラフの長手方向軸に平行に延びる。特に、少なくとも1つの冷却チャネルは、ブリッジ表面の中心からロータシャフトまで延在する仮想線上に少なくとも部分的に位置する。特に、冷却チャネルはブリッジ表面に近い。受容溝内に設けられる全ての冷却チャネルは、ブリッジ表面の下に配置されることが可能である。
【0029】
充填物は巻線部分を埋め込み、かつ共通の受容溝内に延在する巻線部分の間の空間を(完全に)充填することが有利かつ好ましい。特に、充填物は、受容溝内を延在する巻線部分が完全に埋め込まれるように、空間を充填する。特に、巻線部分内の空間はまた、充填物によって充填される。特に、充填物はまた、円周方向にロータ歯及び/又は巻線部分と確実に接触する。
【0030】
特に、ロータは、励起場を生成するための永久磁石を備えていない。特に、ロータは、外部から励磁される。ロータ巻線は、特に励磁巻線として構成される。特に、受容溝は、軸方向に(それらの長手方向軸に対して)延在している。巻線部分は、特に支持部分上に巻かれている。
【0031】
ロータデバイスは、特に、少なくとも部分的に電動である車両のための走行用モータ、及び例えば、電気車両及び/又はハイブリッド車両のための走行用モータのために提供される。出願人は、このような車両を本発明によるロータデバイスで請求する権利を留保する。出願人は、本発明によるロータデバイスを有する(外部励磁された)電気機械を請求する権利を留保する。
【0032】
特に、充填物は、少なくとも1つの電気絶縁成型コンパウンドを含む。充填物は、特に成型プロセスによって導入される。充填物はまた、モールドと呼ばれてもよい。充填物は、特に成型プロセスによって、好ましくは射出成形によって製造される。特に、隣接するロータ歯のカラー部分は、充填物が成型プロセス後に受容溝を離れることができなくなるように、アンダーカットを提供する。充填物は、特に受容溝を閉じるために使用される。
【0033】
特に、円周方向に隣接するロータ歯のカラー部分は、それらの下方を半径方向に延在する受容溝を少なくとも部分的に閉じる。特に、受容溝内に受容されるそれぞれの充填物は、受容溝が通るロータ歯のカラー部分によって確実に固定される。特に、ロータ歯のカラー部分は、ロータ歯によって互いに分離された2つの隣接する受容溝を、少なくとも部分的に半径方向外側から閉じる。特に、対向するカラー部分間の距離は、対向する支持部分間の距離よりも小さい。特に、円周方向に対する受容溝の幅は、支持部分間の幅の方がカラー部分間の幅よりも小さい。
【発明の効果】
【0034】
本発明の更なる利点及び特徴は、添付の図を参照して以下に説明される例示的な実施形態に従う。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本発明によるロータデバイスの純粋な概略を示す正面断面図である。
図2】本発明によるロータデバイスの更なる実施形態の詳細を示す正面断面図である。
図3】本発明によるロータデバイスの別の更なる実施形態の詳細を示す正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
図1は、外部励磁電気機械10(ここでは詳細に示されていない)、及び、例えば外部励磁同期モータ20の本発明によるロータデバイス1を示す。ロータデバイス1は、ロータ2及びロータシャフト12を備え、ロータシャフト12は、ステータ(ここでは図示せず)上に回転可能に取り付けられる。ロータ2は、複数のロータ歯4とロータ歯4の間に延在する受容溝13とを有する、ロータベース本体3を備える。
【0037】
ロータ巻線5は、ロータ歯4上に受容され、その巻線部分15は、受容溝13内に延在している。ロータ歯4は各々、支持部分24と、支持部分24と軸方向外側に隣接するカラー部分14と、を備える。溝絶縁部25は、ロータ歯4と巻線部分15との間に配置される。
【0038】
受容溝13には、電気絶縁材料(例えば、デュロマー又は熱可塑性樹脂)で作製された充填物6がある。充填物6は、ロータ巻線5を固定し、受容溝13を閉じる役割を果たす。充填物6は、カラー部分14によって受容溝13内に確実に固定される。
【0039】
カラー部分14は、動作中に発生する遠心力を吸収し、それらを支持部分24を介してロータベース本体3内に向けて半径方向内側へ伝達する。結果として、本明細書に示されるロータデバイス1は、受容溝を覆うためにロータ歯4の間に積極的に挿入される部品や、例えばカバースライドを必要としない。加えて、巻線固定のための追加部品も省略することができる。したがって、充填物6及びその確実な固定は、いくつかの部品の機能的な統合を可能にする。
【0040】
金属カバースライドの排除には、機械10の電磁特性に悪影響を及ぼさないという利点もある。充填物6の絶縁特性が高いため、全体構造も特にコンパクトである(層厚がより薄い)。加えて、本明細書に示されるロータデバイス1の設計は、ロータ巻線5全体の最適化された熱接続を可能にする。
【0041】
対向するカラー部分の間に、充填物6は、カラー部分14によって確実に固定されていない露出したブリッジ表面26を有する。特定の目的に絞った方法による動作中に巻線部分15及び充填物6に作用する力を放散することができるように、ブリッジ表面26は、例えば、半径方向内側に湾曲した(凹状の)トラフ36を備える。
【0042】
このようなトラフ36の例を図2に示す。
【0043】
有利な実施形態では、ブリッジ表面26又はトラフ36は、生体工学的に最適化された幾何学的形状46を備えることができる。このような幾何学的形状は、理想的な触覚経路を提供する。
【0044】
追加的に又は代替的に、ブリッジ表面26は、カラー部分14と距離を隔てて部分的に突出することができる。このような実施形態は、例えば、図2及び図3でも見ることができる。ここで、ブリッジ表面26は、カラー部分14の各々の末端部分34から突出する。
【0045】
図3では、V字形状で半径方向内側に後退するブリッジ表面26が示されている。ここに示す実施例では、側面は、トラフ36の最も深い点で鋭角に交わっている。
【0046】
図1に示すロータデバイス1では、冷却チャネル7が充填物6内に形成される。2つの平行な冷却チャネル7が、各受容溝13内を通っている。冷却チャネル7には、ロータシャフト12内を通る供給チャネル17を介して、例えば液体等の冷却流体が供給される。冷却チャネル7は、それぞれのブリッジ表面26の下方に半径方向に並んで配置される。したがって、巻線部分15は、特に確実にかつ効果的に冷却される。放熱の増加により、機械10の高出力化が可能である。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2024-06-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部励磁電気機械(10)のための、特に、外部励磁同期モータ(20)のためのロータデバイス(1)であって、
複数のロータ歯(4)を有するロータベース本体(3)を備えた少なくとも1つのロータ(2)を有し、軸方向に延在する受容溝(13)が、前記ロータ歯(4)間に、前記ロータ歯(4)上に巻かれたロータ巻線(5)の少なくとも1つの巻線部分(15)を受容するように配置されており、前記ロータ巻線(5)を固定するための充填物(6)が、前記受容溝(13)内に配置されており、前記ロータ歯(4)が、その半径方向外側端に、前記充填物(6)を前記受容溝(13)内に確実に固定する少なくとも1つのカラー部分(14)を備える、
ロータデバイス(1)。
【請求項2】
前記ロータ歯(4)の前記カラー部分(14)が、意図された動作中に発生する遠心力から前記充填物(6)を確実に固定し、前記充填物(6)が、特に、これらの遠心力に耐えるように適切に構成されている、
求項に記載のロータデバイス(1)。
【請求項3】
前記ロータ歯(4)が各々、前記受容溝(13)を円周方向に区画する少なくとも1つの支持部分(24)を備え、前記巻線部分(15)が、前記支持部分(24)に沿って延在し、前記カラー部分(14)が、半径方向外側で前記支持部分(24)に隣接し、前記カラー部分(14)が、円周方向において前記支持部分(24)を越えて突出し、前記受容溝(13)を半径方向外側で部分的に閉じる、
求項1または2に記載のロータデバイス(1)。
【請求項4】
前記充填物(6)は、ブリッジ表面(26)を有し、前記ブリッジ表面(26)は各々、円周方向において隣接するロータ歯(4)の前記カラー部分(14)の間に延在し、且つ、前記カラー部分(14)に接触しない、
求項1または2に記載のロータデバイス(1)。
【請求項5】
前記ブリッジ表面(26)が各々、陥凹するように構成されている、
求項に記載のロータデバイス(1)。
【請求項6】
前記ブリッジ表面(26)が各々、半径方向内向きに湾曲したトラフ(36)を備える、
求項に記載のロータデバイス(1)。
【請求項7】
前記ブリッジ表面(26)が、放物線形状で半径方向内向きに湾曲している、
求項に記載のロータデバイス(1)。
【請求項8】
前記ブリッジ表面(26)が、V字形状で半径方向内向きに延在している、
求項に記載のロータデバイス(1)。
【請求項9】
前記ブリッジ表面(26)が、生体工学的に最適化された幾何学的形状(46)を備える、
求項に記載のロータデバイス(1)。
【請求項10】
前記ブリッジ表面(26)が、対向する前記カラー部分(5)から距離を隔てて部分的に突出している、
求項に記載のロータデバイス(1)。
【請求項11】
前記ロータ(2)を冷却するための少なくとも1つの冷却チャネル(7)が、前記充填物(6)内に形成されており、好ましくは、前記充填物(6)内の少なくとも1つの前記冷却チャネル(7)が、少なくともいくつかの前記受容溝(13)において軸方向に延在している、
求項1または2に記載のロータデバイス(1)。
【請求項12】
少なくとも1つのロータシャフト(12)を備え、前記少なくとも1つの冷却チャネル(7)には、前記ロータシャフト(12)内を通る供給チャネル(17)を介して冷却流体が供給され得る、
求項11に記載のロータデバイス(1)。
【請求項13】
なくとも1つの冷却チャネル(7)が、前記ブリッジ表面(26)の下に少なくとも部分的に形成されている、
求項に記載のロータデバイス(1)。
【請求項14】
前記充填物(6)が、前記巻線部分(15)を埋め込み、前記受容溝(13)内に延在する前記巻線部分(15)の間の空間を充填する、
求項1または2に記載のロータデバイス(1)。
【外国語明細書】