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特開2024-124392フィッシングリール用ラインクリップ
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  • 特開-フィッシングリール用ラインクリップ 図1
  • 特開-フィッシングリール用ラインクリップ 図1A
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124392
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】フィッシングリール用ラインクリップ
(51)【国際特許分類】
   A01K 89/01 20060101AFI20240905BHJP
   A01K 89/015 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A01K89/01 B
A01K89/01 101B
A01K89/015 C
A01K89/015 L
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024031526
(22)【出願日】2024-03-01
(31)【優先権主張番号】63/488,073
(32)【優先日】2023-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521321985
【氏名又は名称】ピュア・フィッシング・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キャメロン アイヴィー
【テーマコード(参考)】
2B108
【Fターム(参考)】
2B108BB02
2B108CD01
2B108EH03
2B108FE02
(57)【要約】
【課題】利用が容易でありながら低姿勢であり、投げ込み距離を保持でき、且つラインを引き込む際にラインが切れる原因となるほど堅くは保持しないラインクリップを有するフィッシングリール・スプールを提供すること。
【解決手段】本発明によれば、ラインを所定位置に保持するフィッシングリール・スプールが提供される。スプールはスプール部とスカートとを含む。スプールは、ラインが所定位置で保持され得るように、緩んだラインがそれぞれ通過し且つ背後を通り得るスロット及びタブをさらに含む。スプールは付勢部材を含んでいてもよく、ラインを所定位置でさらに保持するため且つラインの挿入を補助するために二次部材を含んでいてもよい。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィッシングリール・スプールであって、
ラインを保持するためのスプール領域と、
スカートと、
開口として少なくとも部分的に前記スカートに形成されたスロットと、
前記スロットによって画成されたタブと、
前記スカートの内側部分上の付勢部材と
を有し、
前記スロットは、前記ラインの一部が前記スロット内へ通され得るように構成され、それにより前記ラインの第1の区域が前記タブの背後に位置し、且つ前記ラインの第2の区域が前記スロットから再び出るように延び、また
前記付勢部材は、前記タブに対して前記ラインを付勢することが可能である、フィッシングリール・スプール。
【請求項2】
前記付勢部材と前記スカートの前記内側部分との間に位置する二次部材をさらに有する、請求項1に記載のスプール。
【請求項3】
前記二次部材が、前記二次部材を前記スロットと整列させるための整列構造体を有する、請求項2に記載のスプール。
【請求項4】
前記付勢部材が、前記スカートの前記内側部分の直径と実質的に一致する直径を有するコイルばね又は波形ばねである、請求項1に記載のスプール。
【請求項5】
前記スカートの前記内側部分は、前記付勢部材が前記ラインを前記タブ又は前記スカートの内側部分に対して係合させるような位置に前記付勢部材を保持するためのアンカを含む、請求項1に記載のスプール。
【請求項6】
前記スプール領域は、
周囲に前記ラインが巻装されるように構成された管状区域と、
前記管状区域に実質的に垂直に突出している面と
を含み、
前記スカートは、前記面に実質的に垂直に、且つ前記面の外縁に隣接して延びている、請求項1に記載のスプール。
【請求項7】
前記面は、前記スプール領域に隣接する前記面の頂面の反対側の前記面の底面にアンカを含み、前記アンカは、前記付勢部材が前記ラインを前記タブ又は前記スカートの前記内側部分に対して係合されるような位置に前記付勢部材を保持することができる、請求項6に記載のスプール。
【請求項8】
前記スロットが、少なくとも部分的に前記面に延びている、請求項6に記載のスプール。
【請求項9】
前記タブが、前記スカートの外面を超えて突出していない、請求項1に記載のスプール。
【請求項10】
フィッシングリール・スプールであって、
ラインを保持するためのスプール領域と、
スカートと、
開口として前記スカートに形成されているスロットと、
前記スロットによって画成されたタブと
を有し、
前記スロット及び前記タブは前記ラインの一部を保持するように構成され、それにより前記スロット及び前記タブによって保持された前記ラインの前記一部は、十分な力が前記ラインに加えられない限り移動に抵抗する、フィッシングリール・スプール。
【請求項11】
前記スカートの内面に対して前記ラインを保持する力を与えることができる付勢部材をさらに有し、前記付勢部材によって与えられる前記力は、前記スロット及びタブによって保持された前記ラインの前記一部の移動に勝るように、十分な力の大きさを増大させる、請求項10に記載のスプール。
【請求項12】
前記付勢部材と前記スカートの前記内部の間に位置する二次部材をさらに有する、請求項11に記載のスプール。
【請求項13】
前記二次部材が、前記二次部材を前記スロットと整列させるための整列構造体を有する、請求項12に記載のスプール。
【請求項14】
前記スロットが一次スロットであり、前記二次部材が、前記一次スロットと整列する二次スロットを含む、請求項12に記載のスプール。
【請求項15】
前記タブが、前記スカートの外面と同一面内にある、請求項10に記載のスプール。
【請求項16】
フィッシングリール・スプールであって、
ラインを保持するためのスプール領域と、
スロットを有するスカートと
を有し、
前記スロットは、前記ラインの所定の区域が前記スロット内へ通され且つ前記スカートの内部の下に位置し得るように構成されている、フィッシングリール・スプール。
【請求項17】
前記スカートの前記内部に対して前記ラインを保持する力を与えることができる付勢部材をさらに有する、請求項16に記載のスプール。
【請求項18】
前記付勢部材と前記スカートの前記内部の間に位置する二次部材をさらに有する、請求項17に記載のスプール。
【請求項19】
前記二次部材が、前記二次部材を前記スロットと整列させるための整列構造体を有する、請求項18に記載のスプール。
【請求項20】
前記スロットが、第1の区域、第2の区域、及び第3の区域を含み、前記第1の区域、前記第2の区域、及び前記第3の区域のそれぞれが前記タブと隣接している、請求項16に記載のスプール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2023年3月2日に出願された米国仮特許出願第63/488,073号の利益を主張するものであり、その内容全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、一般にフィッシングリール・スプール用ラインクリップに関する。より詳細には、本発明は、スプールの外面から実質的に突出していないラインクリップを作成するためにスプール本体に一体形成されたスロット及びタブを有するスプールに関する。
【背景技術】
【0003】
ラインクリップの主要な機能は、緩んだラインの端部を所定位置で保持し、ラインのさらなる放出(unspooling)を回避することである。非常に様々な太さ及び剛性の多様なラインがあるため、最も細く最も柔軟なライン及び最も太く最も剛性のライン(すなわち種々の記憶性を有するライン)の両方を同一のラインクリップで確実に保持することは難しい場合がある。他の難点として、スピニング・リール・スプールに位置されるラインクリップについて、クリップは、投げ込み(casting)又は巻取り(retrieving)中にリールを操作する間に意図せずラインを捕らえることを回避するために、スプールの外面に対して低姿勢をさらに保たなくてはならないという点がある。この低姿勢の要件は、ラインをラインクリップ内に挿入することもさらに難しくする場合がある。このことにより、容易な利用性と意図しないラインの捕捉を防止することとの間で均衡をとるという問題が、従来のラインクリップの設計において生じる。さらに、このような従来のラインクリップ設計の下で配置されるラインはクリップを外方向へ移動させるため、その後クリップは、釣りの間に再び意図せずラインを捕らえる可能性が高くなる。
【0004】
ラインクリップは投げ込み距離を設定し保持するためにも時折使用される。ラインが所望の距離まで投げ込まれるか又はスプールから繰り出された後、ラインはその後、ラインクリップに配置される。ラインは巻き取られることができ、次の投げ込みにおいてクリップは投げ込みを同じ距離で止める。これにより、ライン及びライン上の任意の関連する餌は、繰り返し同じ距離に投げ込まれることができる。多数の既存のラインクリップ設計では、魚が餌に食いついてラインがラインクリップにより保持されている箇所までドラグ(drag)に逆らってラインを引き込んだ場合、ラインはラインクリップによって繰り出しを完全に止められるおそれがあり、場合によってはラインが切れる原因となる。
【0005】
従って、ラインクリップが利用は容易なままでありながらもそれと共に低姿勢であり、且つラインクリップが投げ込み距離を保持できる一方で魚がラインを引き込む際にラインが切れる原因となるほど堅くは保持しない、解決策が所望されている。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、ラインクリップとして機能するがスプールの本体から実質的に突出しない特徴を提供する。この特徴はスプールに対して剛直であり、いくつかの実施例においてはスプールと一体形成されていてもよい。開口(opening)がスプール本体に設けられており、従って好ましくは、スプールに収納されるラインの一部が上記特徴の内向面と接するように開口を通過することが可能となる。上記特徴の内向面に対してラインに力を加え、従ってラインを所定位置でさらに保持する付勢デバイスが設けられていてもよい。
【0007】
本発明のよりよい理解のため、以下の添付の図面への参照がなされてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施例に係るラインクリップとして機能する開口スロットを有するフィッシングリール・スプールの斜視図である。
図1A】本発明の他の実施例に係るラインクリップとして機能する開口スロットを有するフィッシングリール・スプールの斜視図である。
図2図1のフィッシングリール・スプールに巻きつけられて留められたラインを示す写真斜視図である。
図3図1のフィッシングリール・スプールの下方内側の写真斜視図である。
図4図1のフィッシングリール・スプールの追加構成要素を示す分解斜視図である。
図5図1のフィッシングリール・スプールの一実施例において使用され得るコイルばね付勢部材の斜視図である。
図6図1のフィッシングリール・スプールの一実施例において使用され得る波形ばね付勢部材の斜視図である。
図7A図1のフィッシングリール・スプールの側部立面図である。
図7B図7Aによるフィッシングリール・スプールの断面図である。
図7C図7Aによるフィッシングリール・スプールの断面図である。
図7D図7Aによるフィッシングリール・スプールの断面図である。
図7E図7Dによるフィッシングリール・スプールの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
スプール10の実施例が図1に図示される。スプール10は、フィッシングライン(図1では図示せず)が巻きつけられるか又は巻装され得るスプール中心部20を含む。スプール中心部20は管状形状の凹形スプール部22を好ましくは含む。スプール中心部20は、凹形スプール部22の管の中心軸線に垂直な平面において、凹形スプール部22の底部及び頂部からそれぞれ外向きに延在する底部及び頂部スプール面24、26も含んでいてもよい。底部及び頂部スプール面24、26は、実質的に円形であってもよく、好ましくは実質的に同様の直径を有していてもよい。
【0010】
スプール10は、底部スプール面24の外径から下方且つ頂部スプール面26と反対の方向に延在する管状形状であるスプール・スカート30も含む。底部スプール面24の外径はスプール・スカート30と接合しスプール・スカート頂部32を形成している。スプール・スカート30の管の反対側の遠位端はスプール・スカート底部34を形成している。
【0011】
スプール10は、スプール・スカート30及び底部スプール面24において、開口区域を有するスロット40をさらに含む。スロット40の一実施例は図1に示されており、実質的に径方向外向きに突き出ているスロットの第1の区域42を含む。いくつかの実施例において、第1の区域42は、底部スプール面24に沿って厳密な径方向外向きではない角度で、底部スプール面24の外径及びスプール・スカート頂部32へ配向されていてもよい。スロットの第1の区域42はスプール・スカート30内にも部分的に突き出ていてもよい。スロットの第2の区域44は、スロットの第1の区域42と接続していてもよく、スプール・スカート頂部32からスプール・スカート底部34に向かってスプール・スカート30を通り下方に突き出ていてもよい。スロットの第3の区域46は、スロットの第2の区域44のスプール・スカート頂部32と反対側の遠位端と接続していてもよく、スプール・スカート30を横切ってスプール・スカート頂部32及び底部34と実質的に平行な方向に突き出ていてもよい。スロットの第4の区域48は、スロットの第3の区域46の、スロットの第2の区域44が接続しスプール・スカート底部34に向かって突き出ている地点から反対側の遠位端と接続していてもよい。
【0012】
スロット40aの代替的実施例が図1Aに示されており、スプール・スカート30aにおいて略U字形状開口区域42aを含む。いくつかの実施例において、図1Aに示されるように、スロット40aのU字形状開口区域42aの上部は底部スプール面24aに部分的に突き出ていてもよい。他の実施例において、スロット40aのU字形状開口区域42aは完全にスプール・スカート30a内に位置されていてもよい。
【0013】
スロット40の形状は、スプール・スカート30の一部であるタブ49を画成してもよい(図1Aに示されるタブ49aも参照)。図2に示されるように、紐、ロープ、又はライン50がスプール中心部20の周りに巻きつけられ得る。巻きつけられていないライン50の余剰部は、ライン50がタブ49の背後を通りスロット40を再び通過するようにスロット40を通過されてもよい。例えば、余剰のライン50は、まずスロットの第1の区域42内へ通され、タブ49の背後を過ぎた後にスロットの第4の区域48から再び抜き出されてもよい。その後、ライン50は、ライン50がライン50の実質的な移動及び所望されない放出に抵抗できるように、スロット40及びタブ49と係合される。換言すれば、ライン50の一部は、タブ49の両側でスロット40に入り且つ抜け出ることによって、タブ49の背後に「掛止される」か又は「掛け回され」てもよい。
【0014】
図2に示される構成において、ライン50がタブ49の周りに掛かる際にライン50に「挟持」点(“pinch” points)を作ることによって生じるスロット40及びタブ49との摩擦係合を主に通じて、ライン50は移動及び放出に抵抗する。しかし、ライン50が十分な力で引かれる場合、この摩擦係合はなおも克服され得る。いくつかの例においてライン50は僅かに繰り出ることが可能であることが望ましい一方、特に低記憶性のラインに対しては、それを行うためにより大きな力を必要とすることが望ましい場合がある。それらの例において、摩擦係合の力の大きさを増加させるために付勢部材60が組み込まれてもよい。付勢部材60はスプール・スカート30の内側に配置され、スロット40と実質的に整列して支持される。付勢部材60は、タブ49又はスプール・スカート30の内側の他の部分に対してライン50に力を与える。付勢部材60は、ライン50に加えられる付勢力の量を変動させるために、材料、サイズ、形状、及び他の手段が変更されてもよい。
【0015】
他の実施例において、図3に示されるように、二次部材70が付勢部材60とスプール・スカート30の内側との間に設けられていてもよい。図4に示されるように、二次部材70は、二次部材70がスロット40と整列し続けるのを補助する整列構造体72を含んでいてもよい。二次部材70は、ライン50の巻きつけ中又は放出中にライン50がスロット40と適切に整列し係合し続けるのをさらに補助できる切欠又は逃げスロット(relief slot)74も含んでいてもよい。二次部材70は、ユーザがライン50をスロット40内に挿入するのを補助するようにも、又はスロット40内でライン50をさらに保持するようにも構成されていてもよい。二次部材70はさらに装飾目的のために使用されてもよい。
【0016】
いくつかの実施例において、付勢部材60は(図5に示されるような)コイルばね62、又は(図6に示されるような)波形ばね64であってもよい。各実施例において、付勢部材60は、スロット40と実質的に整列して支持され、二次部材70を使用して又は使用せずに、直接的又は間接的にライン50に摩擦力を与える。いくつかの実施例において、付勢部材60は、付勢部材60の力によってスプール・スカート30の内側内部で自己支持していてもよい。他の実施例において、付勢部材60は他の手段によってスプール10に固定される必要があってもよい。例えば、図3に示されるように、ねじ、ピン、又は付勢部材60をスプール10に固定若しくは固着するように好適に構成された任意の他のデバイスであってもよい付勢部材アンカ66によって、底部スプール面24の底面又はスカート30の内側部分に、付勢部材60が固定されていてもよい。
【0017】
上記のことから、本発明の様々な実施例が、自明であり本構造体に固有のさらなる他の利点と共に、先に記載されたような全ての目的及び利点を達成するようにうまく適合されていることが分かるであろう。本実施例の特定の特徴及び副組み合わせ(sub-combinations)は有用であり、他の特徴及び副組み合わせを参照せずに採用され得ることが理解されよう。
【0018】
本発明の多くの可能な実施例は本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなくなされ得るため、本明細書に記載されるか又は添付の図面に図示される全ての開示内容は単に例示的なものであって限定的ではないと解釈されるべきであることも理解されよう。上記に説明され且つ図面に図示された様々な構造物は単なる実例として提示され、本発明の概念、原理、及び範囲を限定することは意図されない。
【0019】
しかし、本発明の多くの変更、修正、変形、並びに他の用途及び応用が、本明細書及び添付の図面を検討した後に、当業者には明らかになるであろう。本発明の趣旨及び範囲から逸脱しないそのような変更、修正、変形、並びに他の用途及び応用は全て、添付の特許請求の範囲によってのみ限定される本発明により包含されるものとみなされる。
図1
図1A
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
【外国語明細書】