(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124399
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】車両用ホイールを覆うカバーおよび、既存の技術に顕著な革新および利点を加えた車両用ホイールを覆うカバーの製造方法
(51)【国際特許分類】
B60C 27/18 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
B60C27/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】34
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024031985
(22)【出願日】2024-03-04
(31)【優先権主張番号】P202330182
(32)【優先日】2023-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】ES
(71)【出願人】
【識別番号】524082362
【氏名又は名称】イッセ セーフティ、エス.エル
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルス チャパーロ、アイザック
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車両用ホイールを覆うカバーの使用時にホイール上の正しい配置位置を維持し、また、その密着性能および/または摩擦工学的、および、機械的特性全般を向上する。
【解決手段】環状に配置されて、その形状から生じる環状形状の周回経路を有する織物バンドで構成され、この織物バンドが、車両ホイールの外側領域を覆って包むことができる比率を持つ、車両用ホイールを覆うカバー。この織物バンドは、その周回経路に沿った中央部を有し、バンドの少なくとも1つの隣接する側面部は、同じバンドの中央部の表面密度の値よりも低い表面密度の値を有するという特徴を持ち、さらにこのバンドは、1つの同じ織物片または繊維体により形成されていることから、その中央部と少なくとも1つの隣接する側面部との間の相互接触において、織物または繊維は連続性を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環状に配置され、環状形状から生じる周回経路を有する織物バンド(1)から形成される、車両用ホイールを覆うカバーであって、
バンド(1)が、車両用ホイール(2)の外側領域を覆い、包むことができるような割合を持ち、前記織物バンド(1)が周回経路に沿った中央部(11)と、同じ前記周回経路に沿った前記中央部(11)に隣接する少なくとも1つの側面部(12)とを有し、前記バンド(1)の少なくとも1つの隣接する前記側面部(12)が、同じ前記バンド(1)の前記中央部(11)の表面密度の値よりも低い表面密度の値を有することを特徴とし、
前記バンド(1)が、中央部(11)と前記少なくとも1つの隣接する側面部(12)との間の相互接触において織物または布の連続性を有し、前記バンド(1)は、1つの同じ織物片または本体として形成されている、車両用ホイールを覆うカバー。
【請求項2】
前記バンド(1)が前記車両用ホイール(2)の少なくとも回転バンド(21)および少なくとも側面部(22)の全部または一部を覆うことができる、請求項1に記載の車両用ホイールを覆うカバー。
【請求項3】
前記バンド(1)の前記中央部(11)が、ホイール(2)の少なくとも前記回転バンド(21)に対応し、少なくとも1つの前記側面部(12)が、同じ前記ホイール(2)の少なくとも1つの側面部(22)に対応する、請求項2に記載の車両用ホイールを覆うカバー。
【請求項4】
前記バンド(1)の前記中央部(11)が、前記回転バンド(21)に対応し、前記ホイール(2)の少なくとも1つの前記側面部(22)の一部に対応している、請求項3に記載の車両用ホイールを覆うカバー。
【請求項5】
前記バンド(1)の前記中央部(11)の両側に、前記バンド(1)の環状形状の周回経路に沿う少なくとも2つの隣接する側面部(12)が存在し、その結果、前記バンド(1)の前記中央部(11)の両側に、前記バンド(1)の環状形状の周回経路をたどる、少なくとも2つの連接する側面部(12)が存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の車両用ホイールを覆うカバー。
【請求項6】
前記バンド(1)の前記中央部(11)が、少なくともホイール(2)の回転バンド(21)に対応し、及び、少なくとも1つの隣接する側面部(12)が、前記ホイール(2)のそれぞれの側面(22)に対応する、請求項3又は請求項4を引用する場合の、請求項5に記載の車両用ホイールを覆うカバー。
【請求項7】
前記バンド(1)が、前記バンド(1)の前記環状形状の周回経路に沿う前記中央部(11)の両側に配置された隣接側面部(12)を有する、請求項6に記載の車両用ホイールを覆うカバー。
【請求項8】
前記バンド(1)の側面部(12)が、同じバンド(1)の中央部(11)に対して対称性を持つ、請求項5を引用する場合の、請求項6または請求項7に記載の車両用ホイールを覆うカバー。
【請求項9】
前記バンド(1)が、前記バンド(1)の前記環状形状の周回経路に沿う側面部の少なくとも1つに弾性手段(13)を組み込んでいる、請求項1~8のいずれか一項に記載の車両ホイールを覆うカバー。
【請求項10】
全部または一部が高分子材料または同様の材料で作られている、請求項1~9のいずれか一項に記載の車両用ホイールを覆うカバー。
【請求項11】
ホイール(2)がタイヤを内蔵する、請求項1~10のいずれか一項に記載の車両用ホイールを覆うカバー。
【請求項12】
前記バンド(1)の前記中央部(11)が、その表面に突起(14)を有する、請求項1~11のいずれか一項に記載の車両用ホイールを覆うカバー。
【請求項13】
前記突起(14)が直線状に配置されている、請求項12に記載の車両用ホイールを覆うカバー。
【請求項14】
前記突起(14)が直線状かつ矩形状に配置されている、請求項13に記載の車両用ホイールを覆うカバー。
【請求項15】
前記突起(14)が直線状かつ矩形状に配置され、前記バンド(1)の環状配置の軸線と平行な向きを有する、請求項14に記載の車両用ホイールを覆うカバー。
【請求項16】
前記織物バンド(1)が、その構成織物の全体的または部分的な形状に金属糸を組み込んでいる、請求項1~15のいずれか一項に記載の車両用ホイールを覆うカバー。
【請求項17】
前記金属糸の全部また一部がチタン製である、請求項16に記載の車両用ホイールを覆うカバー。
【請求項18】
前記金属糸の全部また一部がステンレス製である、請求項16に記載の車両用ホイールを覆うカバー。
【請求項19】
前記バンド(1)の突起(14)が金属性である、請求項12~15のいずれか一項を引用する場合の、請求項16~18のいずれか一項に記載の車両用ホイールを覆うカバー。
【請求項20】
前記バンド(1)がその構成において、少なくともポリマー製または類似の性質の糸および金属製または類似の性質の糸を同時に組み込んでいる、請求項1~19のいずれか一項に記載の車両用ホイールを覆うカバー。
【請求項21】
縦糸(100)が縦糸ビーム(101)から供給されて縦糸ビーム(101)に沿って配列および送り出され、横糸(200)がクリール(201)から供給されて、クリール(201)に沿って配列および送り出されることで、縦糸ビーム(101)と横糸クリール(201)とが相互に位置決めされ、織物バンド(1)の形成を可能にする車両ホイールを覆うカバーの製造方法であって、
供給される前記縦糸(100)の量および/または特性が、同じ前記縦糸ビーム(101)に沿って不均質であり、その結果、前記織物バンド(1)が、同じ前記縦糸ビーム(101)に沿って供給される前記縦糸(100)の量および/または特性の不均質性に応じて、その表面に沿って異なる表面密度を有する、車両ホイールを覆うカバーの製造方法。
【請求項22】
供給される前記横糸(200)の数量および/または特性が、前記クリール(201)に沿って不均質であり、その結果として、前記織物バンド(1)は、表面に、前記クリール(201)から供給された異なる前記横糸(200)の結果である突起(14)を有し、前記突起(14)は、前記クリール(201)から供給された前記横糸(200)の配列方向に配置されている、請求項21に記載の車両用ホイールを覆うカバーの製造方法。
【請求項23】
異なる前記横糸(200)が異なる太さを有する、請求項22に記載の車両用ホイールを覆うカバーの製造方法。
【請求項24】
同一の前記クリール(201)に供給される複数の前記横糸(200)を集めた結果として、異なる前記横糸(200)となる、請求項22又は請求項23に記載の車両用ホイールを覆うカバーの製造方法。
【請求項25】
前記縦糸(100)および/または前記横糸(200)の全部または一部が金属製である、請求項21~24のいずれか一項に記載の車両用ホイールを覆うカバーの製造方法。
【請求項26】
前記縦糸(100)および/または前記横糸(200)の全部または一部がチタン製である、請求項25に記載の車両用ホイールを覆うカバーの製造方法。
【請求項27】
前記縦糸(100)および/または前記横糸(200)の全部または一部がステンレス鋼製である、請求項25に記載の車両用ホイールを覆うカバーの製造方法。
【請求項28】
前記縦糸(100)および/または前記横糸(200)を、少なくともポリマー性または類似の性質のものと、少なくとも金属製または類似の性質のものとを同時に交編する、請求項25~27のいずれか一項に記載の車両用ホイールを覆うカバーの製造方法。
【請求項29】
請求項21に記載の製造方法から得られる、請求項1~15のいずれか一項に記載の車両用ホイールを覆うカバー。
【請求項30】
請求項22、または請求項23、または請求項24のいずれか一項に記載の車両用ホイールカバーの製造方法から得られる、請求項12~15のいずれか一項に記載の車両用ホイールを覆うカバー。
【請求項31】
請求項25に記載の製造方法から得られる、請求項16に記載の車両用ホイールを覆うカバー。
【請求項32】
請求項26に記載の製造方法から得られる、請求項17に記載の車両用ホイールを覆うカバー。
【請求項33】
請求項27に記載の製造方法から得られる、請求項18に記載の車両用ホイールを覆うカバー。
【請求項34】
請求項28に記載の製造方法から得られる、請求項20に記載の車両用ホイールを覆うカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明登録出願書の目的は、車両用ホイールを覆うカバーおよび車両用のホイールを覆うカバーの製造方法の登録であり、既存の技術に顕著な革新および利点を加えたものである。
【0002】
具体的に言えば、本発明は、車両用ホイールを覆うカバーおよびその特殊な配置によって車両用ホイールを覆うカバーの使用に際し、より向上した性能を発揮することを可能にする車両用ホイールを覆うカバーの製造方法を提案するものである。
【背景技術】
【0003】
現状の技術によれば、車両用ホイールを覆うために使用されている既存のホイールカバーは環状の繊維帯からなるカバーであり、特に、濡れた路面、雪のまたは氷の路面のような望ましくない滑りを生じやすい路面で回転するときに、ホイールの適切な路面との密着を確保することを主な目的として開発されたことは周知の事実である。
【0004】
このようなカバーは良好な特性が知られているにもかかわらず、使用中、ホイールの回転の結果、カバーがホイールの正しい位置から移動し、完全に外れてしまうことさえあることもまた知られている。
【0005】
この状況下では、主に前述のカバーが取り付けられて、車両用ホイールを覆っている時、カバーがホイールと同じ回転運動を受ける結果として、ホイールが外側に向かう慣性や遠心力を受けて、カバーがホイールを覆う位置から外れる、あるいは少なくともカバーがホイール上の正しい位置に収まらなくなる可能性が生じる。
【0006】
また、現時点での技術状況によるカバーは、異なる路面における密着性を大幅に改善する余地がある。または、摩擦工学的特性(トライボロジー)および一般的な機械的特性、並びに耐性を改善することができる。これは、濡れた路面、雪道または凍結路面のような困難な回転面において特に必要である。
【0007】
本発明は、車両用ホイールを覆うカバー使用時に、ホイール上の正しい配置場所の維持という点で、また、その密着性能および摩擦工学的/および機械的特性全般を向上させる。さらに、耐久性向上という点における性能も大幅に改善させることができることから現状の課題の解決および解消に寄与するものである。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、環状に取り付けられる織物バンドから構成される、車両用ホイールを覆うカバーを提供する目的で開発された。車両用ホイールの外周に一定の割合で巻き付けて覆うように取り付けられることから、織物バンドの中央部の周回経路に沿って、少なくとも中央部に隣接する側面部の表面の密度は同じバンドの中央部表面の密度より低くなる。さらに、バンドは一体の織物から構成されているため、織物の中央部と少なくとも隣接する側面部の相互接触において継続性を持つ。
【0009】
車両用ホイールを覆うカバーにおいて、バンドは車両用ホイールの少なくとも回転バンドおよび側面全体または一部を覆うように取り付けることが望ましい。
【0010】
あるいは、車両用ホイールを覆うカバーにおいて、バンドの中央部は少なくともホイールの回転バンドに対応し、また、少なくとも1つの側面部は、同じホイールの少なくとも1つの側面(全体)に対応する。
【0011】
あるいは、車両用ホイールを覆うカバーにおいて、バンドの中央部は少なくとも回転バンドに対応し、また、ホイールの少なくとも1つの側面の一部に対応する。
【0012】
あるいは、車両用ホイールを覆うカバーにおいて、少なくとも2つの隣接する側面部が存在し、その結果、バンドの中央部両側において少なくとも1つの隣接する側面部はバンドの環状の形状の周回経路と同じ経路をたどることになる。
【0013】
車両用ホイールを覆うカバーにおいて、バンドの中央部はホイールの回転バンドに対応し、また、少なくとも隣接する側面部゛はホイールの各側面に対応することが望ましい。
【0014】
車両用ホイールを覆うカバーにおいて、バンドには、バンドの環状の周回経路をたどる、中央部の各側面部に配置される隣接側面部が備わっていることが望ましい。
【0015】
さらに、車両用ホイールを覆うカバーではバンドの側面部は同じバンドの中央部に対して対称形になっている。
【0016】
さらに車両用ホイールを覆うカバーでは環状の周回経路に沿って、バンドの少なくとも1つの側面部に弾力性のある方法がとりいれられる。
【0017】
あるいは、車両用ホイールを覆うカバーはポリマー(高分子材料)またはその類似材料で製造されている。
【0018】
車両用ホイールを覆うカバーに関しては、ホイールがタイヤを内蔵することが望ましい。
【0019】
さらに、車両用ホイールを覆うカバーにおいてバンドの中央部表面には突起がある。
【0020】
車両用ホイールを覆うカバーでは、突起が直線的に配置されていることが望ましい。
【0021】
車両用ホイールを覆うカバーでは突起は直線的かつ矩形的に配置されていることが望ましい。
【0022】
車両用ホイールを覆うカバーでは突起は直線的かつ矩形的に配置され、バンドの環状配置の軸線に平行な向きであることが望ましい。
【0023】
あるいは、車両用ホイールを覆うカバーにおいて、繊維状のバンドはその構成する織物の全部または一部に金属製の糸を組み込んでいる。
【0024】
あるいは、車両用ホイールを覆うカバーにおいて金属糸はその全部または一部がチタンである。
【0025】
あるいは、車両用ホイールを覆うカバーにおいて金属糸の全部または一部はステンレス鋼である。
【0026】
あるいは、車両用ホイールを覆うカバーにおいてバンドの突起は金属製である。
【0027】
あるいは、車両用ホイールを覆うカバーにおいてバンドの突起は形成上、少なくともポリマー性または類似の性質の糸と金属製または類似の性質の糸とが同時に組み込まれている。
【0028】
縦糸ビームおよび縦糸ビームに沿った縦糸の配列および供給、および、クリール(糸巻軸架)から供給され、クリールに沿った横糸の配列と供給によって構成され、縦糸ビームおよびクリールは相互に位置決めされて、織られたバンドを送り出すことができ、供給された縦糸の数量および/または特性は同じ縦糸ビームに沿って不均一であり、その結果として、供給される織物の縦糸の数量および/または特性が不均一になることに伴い、縦糸に沿って異なる表面密度を有する車両用ホイールを覆うカバーを製造する方法。
【0029】
さらに、車両用ホイールを覆うカバーの製造方法において、供給される横糸の数量および/または性質はクリールに沿って不均一であり、その結果、織られたバンドはその表面にクリールから供給された前記の異なる横糸の結果生じる突起を有し、クリールから供給される横糸の配列方向に向けて配置される。
【0030】
あるいは、本発明の車両用ホイールを覆うカバーの製造方法において、異なる横糸は異なる太さを有する。
【0031】
あるいは、本発明の車両用ホイールを覆うカバーの製造方法において、異なる横糸は同一のクリールに供給された複数の横糸を接合した結果生じるものである。
【0032】
あるいは、本説明の車両用ホイールを覆うカバーの製造方法において、縦糸および/または横糸の全部または一部は金属製である。
【0033】
あるいは、本説明の車両用ホイールを覆うカバーの製造方法において、縦糸および/または横糸の全部または一部はチタン製である。
【0034】
あるいは、本説明の車両用ホイールを覆うカバーの製造方法において、縦糸および/または横糸の全部または一部はステンレス鋼製である。
【0035】
あるいは、本説明の車両用ホイールを覆うカバーの製造方法において、少なくとも高分子または類似の性質を有する縦糸および/または横糸と少なくとも金属または類似の性質を有する縦糸および/または横糸とを同時に交編させる。
【0036】
車両用ホイールを覆うカバーの製造方法から得られる車両用ホイールを覆うカバー
【0037】
この発明のおかげで、車両用ホイールを覆うカバーの使用時にホイール上の正しい配置位置を維持し、また、その密着性能および/または摩擦工学的、および、機械的特性を総合的に改善するという点でも性能が大幅に改善される。
【0038】
車両用ホイールを覆うカバーのさらなる特性および利点は、望まれる実施形態の説明からも明らかなように、添付の図面に例示されているがこれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【
図1】本発明の車両用ホイールを覆うカバーの望ましい使用形態を示す透視図と概略図であり、ホイール上での使用も示している。
【
図2】本発明の車両用ホイールを覆うカバーの望ましい使用形態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0040】
図1に概略的に示されるように、提案された発明の車両用ホイールを覆うカバーは、環状に配置される織物バンド1から構成され、このバンドは、軸線を有し、
図1に湾曲した矢印で示され、この環状の形状から生じる周回経路をたどることができると想定される。
【0041】
この望ましい実施方法ではバンド1はポリマーまたは類似の材料で作られる。
【0042】
バンド1が車両のホイール2の外側領域を覆い包むような比例割合になっており、ホイール2はバンド1によって既に覆われているものとして
図1に示されている。
【0043】
また、この望ましい形態では、ホイール2にはタイヤが組み込まれている。
【0044】
図1に示すこの望ましい形態にみられるように、本発明の車両用ホイールを覆うカバーのバンド1は、回転バンド21および車両のホイール2の側面22を覆うように配置されている。
【0045】
本発明自体によれば、織られたバンド1はその周回経路に沿った中央部11と中央部11に隣接する少なくとも1つの側面部12とを有し、上述した周回経路を基準として
図1に曲線の矢印で示されている。
図1に示すこの望ましい形態ではバンド1の中央部11の両側に1つずつ配置された2つの側面部12があり、
図1では中央部の11のどちらか一方に配置された1つの側面部12のみが見える。
【0046】
図1にもみられるように、本発明の車両用ホイールを覆うカバーでは、バンド1の中央部11はホイール2の少なくとも回転バンド21に対応し、またはそれを覆い、側面部12は同じホイールの側面22に対応するかまたはそれを覆っている。
【0047】
本発明のいくつかの望ましい実施形態では、中央部11はホイール2の側面22の一部まで延長して覆うことも可能である。
【0048】
一方、本発明の車両用ホイールを覆うカバーにおいて、バンド1は回転バンド21およびホイール2の側面22を覆うバンド1の正しい調整および位置決めを支援し確実にするために、その側縁に弾性的手段13を組み込んでいる。
【0049】
提案された発明の車両用ホイールを覆うカバーは、織物バンド1において中央部11に隣接する側面部12が同じバンド1の中央部11の表面密度の値よりも低い表面密度の値を有するという特殊性を持つ。
【0050】
この技術的細部は、提案された本発明の車両用ホイールを覆うカバーの使用において非常に重要な技術的利点を示すことを意味する。
【0051】
このことは、本発明のカバーが車両のホイール2を覆うように配置される時、ホイール2の機能は、
図1が示す如く、それ自体で転がり回転しなければならないという現在の技術状況において知られている事実に起因する。
【0052】
このことはさらに、ホイール2を覆って配置される本発明の車両用ホイールを覆うカバーのバンド1がホイール2と同じ回転運動を受けることを意味し、ホイール2の外側に向かって同じバンド1に慣性力および遠心力がかかる結果、バンド1の側面部12がバンド1の側縁上の弾性手段13の抵抗に打ち勝つとしても、ホイール2の側面22上の正しい位置から滑り落ちてしまうという危険性を伴う。
【0053】
この技術的詳細は中央部11に隣接する側面部12が同じバンドの中央部11の表面密度の値よりも低い表面密度の値を有するという事実を説明したものであり、隣接する側面部12が受ける遠心力は、ホイール2とバンド1の同じ回転運動によって同じバンド1の中央部11が受ける力よりも著しく低いことを意味する。
【0054】
そのおかげで、バンド1の側面部12はホイール2の回転運動による遠心力によって滑ったり動いたりすることなく、ホイール2の側面22上の正しい位置をはるかに良好に維持することができる。
【0055】
側面部12およびバンド1自体を正しい位置に維持することにより、ホイール2の回転運動が行われる際に、側面部12およびベルト1自体が車両自体の異なる内部要素により、もつれたり、擦れたりまたはそのほかの事象が起こる可能性も回避される。
【0056】
これに加えて、本発明の車両用ホイールを覆うカバーは、その説明された配置のおかげでホイール2におけるより高い回転速度が、側面部12およびバンド自体の正しい位置からの逸脱を伴うことなく、車両がより高速度で走行することを可能にする。
【0057】
そのうえ、本発明の車両用ホイールを覆うカバーにおいて言及される表面密度の差により、使用中、バンド1の中央部11では隣接する側面部12よりもしわの発生が少ないと考えられる。
【0058】
したがって、説明したホイール2上のバンド1の位置決めによれば、回転バンド21にはしわがより少なく、同じホイール2の側面22にはしわがより多く生じると考えられる。つまり、本発明の車両用ホイールを覆うカバーはより耐久度が高いと想定される。なぜならばしわは使用中に破損しやすく、ホイール2の回転バンド21の摩耗および応力は側面22の摩耗および応力よりも大きいのであるが、回転バンド21のしわは明確に少ないことから最終的な耐久性はより大きくなる。
【0059】
本発明の車両用ホイールを覆うカバーは複数の望ましい実施形態を提供することができる。例えばバンド1の中央部11の表面密度の値よりも低い、異なる表面密度の値を有する、中央部11の両側に隣接する側面部12の形態の複数性も含まれる。
【0060】
また、
図1に示すこの望ましい実施形態では同じバンドにおいて、側面部12はバンド1の中央部11に対して対称(シンメトリ-)である。
【0061】
本発明の車両用ホイールを覆うカバーにおける別の非常に重要な技術的詳細は、バンド1がその中央部11と隣接する側面部12との間の相互接触において織物または繊維の連続性を有することであり、したがってバンド1は同一の織物片または本体によって形成され、構成されると想定される。
【0062】
このことは、本発明の車両用ホイールを覆うカバーにおいて、バンド1の中央部11と側面部12とを縫合や類似のやり方で接合するなどの、ホイール2の回転中に受ける応力および摩耗の下での破損や剥離のかなりの危険性を伴うことになる接合の必要がないことを意味する。
【0063】
バンド1の中央部11と側面部12との間の繊維の連続性のおかげで、本発明のカバーのバンド1は縫製されず、単一の織物、または本体として縫製機械から直接製造されるという事実によって、使用中にその領域で起こり得る破損および剥離に対して高い耐久性を有する。
【0064】
本発明の車両用ホイールを覆うカバーにおけるもう1つの付加的な詳細は、
図1にみられるように、バンド1がその中央部11において表面にいくつかの突起14を有することが可能となることである。
【0065】
図1に示す実施形態では、突起14は直線的かつ矩形に配置され、バンド1の環状配置の軸線に平行な向きで配列されている。
【0066】
バンド1の中央部11にあるこれらの突起14は摩擦工学的特性を示すことができ、例えば濡れた路面や雪の路面など、滑りやすい路面においてホイール2の回転中に本発明の車両用ホイールを覆うカバーの地面への正しい密着を保証するのに非常に有用である。
【0067】
突起14はまた、バンド1、および本発明の車両用ホイールを覆うカバーの使用時の機械的引張特性の向上をもたらす。
【0068】
本発明の車両用ホイールを覆うカバーの他の望ましい実施形態では、織物バンド1は、その構成織物の全体的または部分的な形成において、チタンや、ステンレス鋼の糸等、または他の適切な金属材料もしくは金属合金材料等の金属的性質の糸を組み込むこともできる。
【0069】
このようにして、提案された本発明の車両用ホイールを覆うカバーの機械的特性および引張性能を著しく向上させることができ、使用中のより厳しい応力下での耐久性および/または抵抗力をより向上させることができる。
【0070】
したがって、突起14は、金属製も可能であり、これにより機械的特性および性能が改善される。
【0071】
したがって、本発明の車両用ホイールを覆うカバーは、その使用において期待される具体的な異なるニーズや要請に応じて、ポリマー製、または金属製などの異なる性質の糸の同時可変性を示すことが可能な織物バンドを有することができ、したがって複数の使用ニーズや要請、および/または期待される商品化に適応することができる。
【0072】
本発明はまた、車両用ホイールを覆う特定のカバーの製造方法も含む。
【0073】
図2に概略が示されるように、前記の製造方法は繊維機械または織機を用いた縦糸100および横糸200の配置と供給からなる。
【0074】
縦糸100は繊維機械または織機の一部である縦糸ビームまたは縦糸折り畳み機、または縦糸クリールから供給され、これに沿って送り出される。
【0075】
横糸200は同じ繊維機械または織機の横糸クリール201から供給されてこれに沿って送り出され、技術的に既に知られているように縦糸ビーム101とクリール201との間の相互位置決めがなされている。
【0076】
図2に概観が示されるように、縦糸100は縦糸ビーム101から
図2に単一方向で示されている方向に供給される。そして横糸200はコーンまたはクリールコーン201から供給され、同じ織機のグリッパー(図面には示されてはいない)によって、
図2の二重の矢印で示される単一方向に縦糸100に対しては横方向に、連続して往復し、分配される。
【0077】
縦糸ビーム101上の縦糸100およびクリール201上の横糸200の前述の配置および供給、並びにそれらの相互の交編の結果、例えば上述のような可能性のあるケースにおける特定の車両用ホイールカバーのための織物バンド1が得られる。
【0078】
本発明に含まれる製造方法は、さらに、縦糸ビーム101から供給される縦糸100の数量および/または特性の分布や配分が同じ縦糸ビーム101に沿って不均質、または可変であるという詳細も含む。
【0079】
図2に概観が示されるように、この望ましい実施形態では縦糸100は縦糸ビーム101に沿って異なる太さに変化するという特性を有する。これは当初製造方法から得られる織物バンド1が同じ縦糸ビーム101に沿って供給される縦糸100の数量および/または特性の分布や配分の不均質性または可変性に応じて、その表面に沿って異なる表面密度を有することを意味する。
【0080】
本説明に含まれる同じ製造方法は横糸200の数量および/または特性の分布や配分が同じクリール201に沿って不均質かつ可変であるという付加的な詳細を示すこともできる。したがって、前記製造方法から得られる織物バンド1は、例えば上述されたある可能なケースにおいては、クリール201から供給される前記の異なる横糸200が表面に線状の突起14を持ち、この突起14は、クリール201から送り出される横糸200の配列方向に向いて配置されていることを意味する。
【0081】
本説明に含まれる製造方法の好ましい実施形態において、横糸200は例えば
図2に概観が示されるように、クリール201に沿って異なる厚さを有することが可能である。あるいは、複数の横糸200を同時に接合し、その結果として厚さを増加させてもよい。つまり、このような方法で、クリール201から供給される結果的に太くなった横糸200に対応する、上述した突起14が形成される。
【0082】
本発明に含まれる製造方法の別の望ましい実施形態では、縦糸100および/または横糸200はその全部または一部がチタン、ステンレス鋼などの金属製、または他の適切な金属材料もしくは金属合金である可能性がある。
【0083】
したがって、本発明に記載の製造方法は、車両用ホイールを覆うカバーに期待される正確かつ具体的な異なるニーズおよび要請に従って、異なる性質の縦糸100や横糸200に、例えばポリマーまたは金属を織り交ぜることも可能にし、結果として使用および/または販売に関する複数の期待されるニーズに適応することができる。
【0084】
本発明に含まれる製造方法は、製造速度を向上させるという技術的利点もある。
【0085】
また、異なる色の縦糸100および横糸200を組み込むことができるため、織られたバンドの色調に望まれる配分を与えることができるという利点もある。
【0086】
本発明は、上述したように車両用ホイールを覆うカバーを含み、上述したような製造方法によって製造された可能性があるならば、特殊性を有するものも含まれる。
【0087】
特に、織られたバンド1の中央部11と、中央部11に隣接する側面部12において、側面部12の表面密度の値が、同じバンド1の中央部11の表面密度の値よりも低い、提案された本発明の車両用ホイールを覆うカバーについて上記で説明した詳細は、同発明に記載され、含まれている製造方法によって達成することが可能である。
【0088】
具体的には、縦糸ビーム101から支給され縦糸ビーム101に沿って送り出される縦糸100の数量の多寡および/または特性の分布および配分における不均質性と可変性は、
図2にも概略が示されるように、製造から得られたバンド1が、隣接する縦方向の側面部12の表面密度よりも高い表面密度を持つ縦方向の中央部11を有する可能性があることを意味する。
【0089】
縦糸ビーム101から供給されて、縦糸ビーム101に沿って送り出され、配分される縦糸100の数量の多寡、または縦糸ビーム101に沿ったこれらの縦糸100の異なる特性、例えばそれらの太さに応じて、
図2に概略的に見ることができるように、隣接する側面部12の表面密度よりも大きい表面密度を有する中央部がバンド1に形成される。
【0090】
バンド1が同じ織物片または本体によって形成されるので、バンド1がその中央部11とその側面部12との間に織物の連続性を持つという、上述の本発明の車両用ホイールを覆うカバーについて言及された他の非常に重要な詳細も、本発明に記載され含まれる製造方法の結果である可能性がある。
【0091】
実際、本発明の記述に含まれる製造方法によって、中央部11と隣接する側面部12の間に織物として連続性を持たせ、中間の縫い目を必要とすることなく、同じ織物バンド1内に形成することが可能である。バンド1は同一の織物片または本体として形成され、単一の織物としてこの目的に適した織物機械から直接製造される。その結果、
図2にも見られるように、同じ織物のバンド1内の中央部11と隣接する側面部12との間に縫い目を必要としないという、上記で説明した利点が得られる。
【0092】
バンド1の中央部11が、改良された摩擦工学特性および機械的引張特性を有する突起14をその表面に持ち、本発明の車両用ホイールを覆うカバーに存在する他の可能性の詳細も、同じ本発明記載に含まれる製造方法によって達成することができる。
【0093】
実際、本発明に含まれる製造方法によって、バンド1の中央部11の表面に突起14を形成することができる。これは、クリール201から供給される横糸の数量および/または特性の非均質性や可変性により、製造の結果、バンド1内においてクリール201から供給され、それに沿って送り出される、より太い糸を使用する、もしくは何本かを接合した横糸200の方向に配置される突起14が生じると考えられる。
図2では、より太い横糸200によってバンド1に形成される突起14を見ることができる。
【0094】
本発明の車両用ホイールを覆うカバーおよび車両用ホイールを覆うカバーの製造方法による製造において使用される詳細、形状、寸法および他の付属要素並びに材料は、技術的に同等であり、本発明の本質および以下の特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱しない他のものと適切に置き換えることができる。
【外国語明細書】