(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124409
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】未燃燃料の燃焼装置
(51)【国際特許分類】
F23G 5/16 20060101AFI20240905BHJP
F23J 15/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
F23G5/16 E
F23J15/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
【公開請求】
(21)【出願番号】P 2024090960
(22)【出願日】2024-06-04
(71)【出願人】
【識別番号】000211123
【氏名又は名称】中外炉工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100129791
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 真由美
(74)【代理人】
【識別番号】100144200
【弁理士】
【氏名又は名称】奥西 祐之
(72)【発明者】
【氏名】大倉 莉奈
(72)【発明者】
【氏名】田口 脩平
(72)【発明者】
【氏名】河本 祐作
【テーマコード(参考)】
3K070
3K078
【Fターム(参考)】
3K070DA06
3K070DA52
3K070DA60
3K078AA02
3K078BA02
3K078BA25
3K078CA04
3K078CA12
(57)【要約】
【課題】低コストで、未燃燃料を燃焼させる燃焼装置を提供する。
【解決手段】
燃料の燃焼によって燃焼排ガスBを生成する炉体10と、炉体10に接続されて燃焼排ガスBが流入する排気部20と、排気部20に接続されて排気部20に自燃用空気Aを供給する供給部30と、燃焼排ガスBに対する自燃用空気Aの供給量を調整する調整弁45と、燃焼排ガスBに含まれる未燃燃料の濃度を検出するセンサ47と、を備え、調整弁45は、センサ47によって検出された未燃燃料の濃度に応じて自燃用空気Aの供給量を調整することによって、燃焼排ガスBに含まれる未燃燃料を自然発火で燃焼させる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料の燃焼によって燃焼排ガスを生成する炉体と、
前記炉体に接続されて前記燃焼排ガスが流入する排気部と、
前記排気部に接続されて前記排気部に自燃用空気を供給する供給部と、
前記燃焼排ガスに対する前記自燃用空気の供給量を調整する調整弁と、
前記燃焼排ガスに含まれる未燃燃料の濃度を検出するセンサと、を備え、
前記調整弁は、前記センサによって検出された前記未燃燃料の濃度に応じて前記自燃用空気の前記供給量を調整することによって、前記燃焼排ガスに含まれる前記未燃燃料を自然発火で燃焼させる、燃焼装置。
【請求項2】
前記供給部への前記自燃用空気の供給を遮断する遮断弁をさらに備える、請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記排気部は、前記炉体の上部に配設される、請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記未燃燃料は、未燃アンモニアである、請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項5】
前記供給部は、前記排気部において前記燃焼排ガスの流れ方向に対して対向するように角度を持って配設される、請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項6】
前記センサは、前記排気部において前記供給部よりも上流側に配設される、請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項7】
前記炉体は、一対のリジェネバーナを有する、請求項1に記載の燃焼装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、未燃燃料を燃焼させる燃焼装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1や特許文献2は、炉体内で発生した燃焼排ガスに含まれる未燃燃料を、炉体の下流側の排気管に設けられたバーナを用いて加熱するとともに空気を供給することによって、未燃燃料を燃焼させることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2023-176186号公報
【特許文献2】特開平11-082963号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
燃焼排ガスに含まれる未燃燃料を燃焼させるためにバーナ(継続的な着火源として働く)を設けることは、コストアップになるという問題を有する。また、未燃燃料としてアンモニアのような非常に燃えにくい燃料を含む場合、厳密な空気比制御を行う必要があるという問題を有する。
【0005】
そこで、この発明の課題は、低コストで、未燃燃料を燃焼させる燃焼装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、この発明の一態様に係る燃焼装置は、
燃料の燃焼によって燃焼排ガスを生成する炉体と、
前記炉体に接続されて、前記燃焼排ガスが流入する排気部と、
前記排気部に接続されて前記排気部に自燃用空気を供給する供給部と、
前記燃焼排ガスに対する前記自燃用空気の供給量を調整する調整弁と、
前記燃焼排ガスに含まれる未燃燃料の濃度を検出するセンサと、を備え、
前記調整弁は、前記センサによって検出された前記未燃燃料の濃度に応じて前記自燃用空気の前記供給量を調整することによって、前記燃焼排ガスに含まれる前記未燃燃料を自然発火で燃焼させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、センサによって検出された未燃燃料の濃度に応じて、自燃用空気の最適な供給量が調整されることによって、燃焼排ガスに含まれる未燃燃料を自然発火で燃焼させることができるので、外界への未燃燃料の排出防止を低コストで実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る燃焼装置を模式的に説明する図である。
【
図2】実施の形態2に係る燃焼装置を模式的に説明する図である。
【
図3】(A)は、変形例1に係る燃焼装置を模式的に説明する図である。(B)は、変形例2に係る燃焼装置を模式的に説明する図である。(C)は、変形例3に係る燃焼装置を模式的に説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、この発明に係る燃焼装置1の実施の形態を説明する。なお、以下の説明では、必要に応じて特定の方向あるいは位置を示す用語(例えば、「上流」、「下流」、「上」、「下」、「右」、「左」を含む用語)を用いるが、それらの用語の使用は、図面を参照した本開示の理解を容易にするためであって、それらの用語の意味によって本開示の技術的範囲が限定されるものではない。また、以下の実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りは、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0010】
〔燃焼装置の全体構成〕
図1は、実施の形態1に係る燃焼装置1を模式的に説明する図である。
図1を参照しながら、燃焼装置1の全体構成を説明する。
【0011】
図1に示すように、燃焼装置1は、例えば、炉体10と、排気部20と、供給部30と、自燃制御部40と、を備える。
【0012】
炉体10の内部には、図示しない直火型バーナが配置され、直火型バーナには、燃料および燃焼用空気が供給される。これにより、炉体10の内部においては、直火型バーナによる燃焼によって燃焼排ガスBが生成される。燃焼排ガスBは、燃焼しきれなかった未燃燃料を含んでいる。直火型バーナの燃料として、例えば、アンモニアを含む燃料が使用される。これにより、化石燃料の燃焼により発生する二酸化炭素を削減することに貢献できる。
【0013】
以下では、アンモニアを含む燃料を使用する態様について説明する。
【0014】
排気部20は、炉体10に接続されて、未燃燃料を含む燃焼排ガスBを自然発火で燃焼させること(以下、自燃という。)を行った後に未燃燃料を含まない排気Kを排気部20の出口28を通じて外部に排出するように構成されている。炉体10と排気部20との接続部分には、燃焼排ガスBの入口として働く接続開口27が配設されている。直火型バーナの燃焼動作によって炉体10の内部で生成された燃焼排ガスBは、接続開口27を通じて、排気部20に流入する。排気部20の内部では、例えば、燃焼排ガスBが下方から上方に流れる。
【0015】
排気部20は、例えば、炉体10の下流側の上部に設けられる。アンモニアを含む燃料を燃焼させた場合、炉体10の上部における燃焼排ガスBの温度は、例えば、1000℃~1300℃の高温になる。燃焼の上昇気流によって炉体10の上部に集まった高温の燃焼排ガスBが排気部20に供給されることによって、燃焼排ガスBに含まれる未燃のアンモニア燃料(以下、未燃アンモニアという。)の自燃が容易になる。
【0016】
供給部30は、排気部20に接続されて排気部20の内部に自燃用空気Aを供給する。供給部30は、供給口32を有し、供給口32を通じて自燃用空気Aを燃焼排ガスBに供給する。供給部30は、排気部20において燃焼排ガスBの流れ方向に対して対向するように角度を持って配設される。これにより、燃焼排ガスBに対する自燃用空気Aの混合度合いが向上するので、燃焼排ガスBに含まれる未燃アンモニアの自燃が容易になる。
【0017】
なお、排気部20では未燃アンモニアが単独で燃焼せず結果的に空気と混合して燃焼するが、ここでは説明の便宜上「自燃」と呼び、そのために添加する空気を「自燃用空気」と呼ぶ。
【0018】
供給部30は、例えば、炉体10の側に向けて斜め下向きに配設される。供給部30は、例えば、排気部20の内壁面に対して30度から60度の角度で傾斜している。
【0019】
排気部20における自燃制御は、自燃制御部40によって行われる。自燃制御部40は、制御部41と、遮断弁43と、調整弁45と、センサ47と、を有する。
【0020】
遮断弁43および調整弁45は、供給部30の上流側に配置される。遮断弁43は、供給部30への自燃用空気Aの供給を遮断するために弁を閉じる動作と、供給部30に自燃用空気Aを供給するために弁を開くという動作とを行う。これにより、供給部30への自燃用空気Aの供給が不要な場合、自燃用空気Aの供給を直ちに遮断して、ランニングコストを低減できる。調整弁45は、供給部30と遮断弁43とをつなぐ経路に位置して、供給部30に対する自燃用空気Aの供給量を調整するという動作を行う。
【0021】
センサ47は、例えば、燃焼排ガスBに含まれる未燃アンモニアの濃度を検出するアンモニアセンサである。センサ47は、排気部20において供給部30よりも上流側に配設される。これにより、燃焼排ガスBに含まれる未燃アンモニアの濃度を正確に検出して、自燃用空気Aの供給量の調整に的確にフィードバックできる。
【0022】
遮断弁43、調整弁45およびセンサ47は、制御部41に電気的に接続されている。制御部41は、例えばコンピュータであり、演算部(CPU:中央演算装置)と、記憶部(ROMやRAMなどのメモリ)とを含む。制御部41は、センサ47によって検出された未燃アンモニアの濃度に関する信号を受け取る。制御部41は、遮断弁43の開閉に関する信号を送出し、調整弁45の開度に関する信号を送出する。すなわち、制御部41は、センサ47によって検出された未燃アンモニアの濃度に応じて、自燃用空気Aの供給量を調整して、燃焼排ガスBに含まれる未燃アンモニアを自然発火で燃焼させる最適な自燃用空気Aの供給量を定める機能を有する。
【0023】
したがって、センサ47によって検出された未燃アンモニアの濃度に応じて、自燃用空気Aの最適な供給量が調整されることによって、燃焼排ガスBに含まれる未燃アンモニアを自然発火で燃焼させることができるので、外部への未燃アンモニアの排出防止を低コストで実現できる。
【0024】
アンモニアは、法規などにより、可燃性や引火性に基づいて「可燃性ガス」に分類され、健康・環境への有害性に基づいて「毒性ガス」に分類されている。例えば、アンモニアの濃度が25ppm以上になると不快感を生じさせて、さらに高濃度になると身体に悪影響を及ぼすと言われている。そのため、アンモニアの許容濃度は、25ppmとして規制されている。したがって、排気部20の出口28から排出される排気Kに含まれる未燃アンモニアの濃度が、25ppm未満になるように、自燃用空気Aの供給量が調整される。これにより、排気部20の出口28から排出される排気Kが、燃焼装置1の周囲環境に悪影響を及ぼすことを防止できる。
【0025】
〔実施の形態2〕
図2を参照しながら、実施の形態2に係る燃焼装置1を説明する。
図2は、実施の形態2に係る燃焼装置1を模式的に説明する図である。
【0026】
図2に示すように、実施の形態2に係る燃焼装置1は、炉体10の左右の側壁に対向配置された一対の一側リジェネバーナ51および他側リジェネバーナ52を有するリジェネレイティブ型の燃焼装置1である。
図2に示す燃焼装置1では、一側リジェネバーナ51および他側リジェネバーナ52が、炉体10の内部において、火炎Fによる燃焼と、燃焼排ガスBの吸引とを交互に行う。
【0027】
一側リジェネバーナ51は、一側燃料ノズル57、一側空気ノズル59および一側蓄熱体53を有し、他側リジェネバーナ52は、他側燃料ノズル58、他側空気ノズル60および他側蓄熱体54を有する。一側蓄熱体53および他側蓄熱体54を流れる給気Jと排気Kとが交互に切り替わることにより、給気Jの加熱と排気Kの熱回収とが交互に行われる。
【0028】
一側蓄熱体53を含む一側蓄熱部に流入する燃焼排ガスB(未燃燃料を含む)、および、他側蓄熱体54を含む他側蓄熱部に流入する燃焼排ガスB(未燃燃料を含む)に対しても、それぞれ、一側空気ノズル59および他側空気ノズル60から空気を投入し自燃させるように構成されている。
【0029】
火炎Fの燃焼によって生成される燃焼排ガスBは、炉圧の変動を防ぐために、燃焼排ガスBの80%~90%を、一側火口55または他側火口56を通じて、一側蓄熱体53または他側蓄熱体54に交互に吸引される。一方、火炎Fの燃焼によって生成される燃焼排ガスBの10%~20%は、接続開口27を通じて排気部20に流入する。排気部20に流入した燃焼排ガスBは、高温を有するので、燃焼排ガスBに含まれる未燃アンモニアの自燃が容易になる。
【0030】
図2では、排気部20が、燃焼排ガスBの吸引を行う他側リジェネバーナ52の傍に位置するように図示されているが、炉体10の上部であればどこでもよい。
【0031】
図2に示す燃焼装置1も、
図1と同様の供給部30および自燃制御部40を有する。
【0032】
供給部30は、排気部20に接続されて排気部20の内部に自燃用空気Aを供給する。供給部30は、供給口32を有し、供給口32を通じて自燃用空気Aを燃焼排ガスBに供給する。供給部30は、排気部20において燃焼排ガスBの流れ方向に対して対向するように角度を持って配設される。これにより、燃焼排ガスBに対する自燃用空気Aの混合度合いが向上するので、燃焼排ガスBに含まれる未燃アンモニアの自燃が容易になる。供給部30は、例えば、炉体10の側に向けて斜め下向きに配設される。供給部30は、例えば、排気部20の内壁面に対して30度から60度の角度で傾斜している。
【0033】
排気部20における自燃制御は、自燃制御部40によって行われる。自燃制御部40は、制御部41と、遮断弁43と、調整弁45と、センサ47と、を有する。自燃制御部40の構成および動作は、実施の形態1と同じであるので説明を省略する。
【0034】
したがって、大幅な省エネルギー性能を有するリジェネレイティブ型の燃焼装置1においても、外部への未燃アンモニアの排出防止を低コストで実現できる。
【0035】
〔変形例〕
図3を参照しながら、変形例に係る燃焼装置1を説明する。
図3において、(A)は、変形例1に係る燃焼装置1を模式的に説明する図であり、(B)は、変形例2に係る燃焼装置1を模式的に説明する図であり、(C)は、変形例3に係る燃焼装置1を模式的に説明する図である。
【0036】
図3に示すように、炉体10の上部に接続される排気部20は、側面視で、例えば、L字状に屈曲した形状を有する。排気部20は、上流側から下流側に向けて、第1延在部22と、内コーナー部23および外コーナー部24と、第2延在部25と、を有する。第1延在部22は、炉体10の長手方向に対して交差する方向に延在し、第2延在部25は、炉体10の長手方向に沿って延在する。内コーナー部23および外コーナー部24は、第1延在部22および第2延在部25が交わるコーナー部分である。
【0037】
図3に示す排気部20では、燃焼排ガスBは、接続開口27を通じて流入し、第1延在部22を流れたあと、内コーナー部23および外コーナー部24において流れ方向を変え、第2延在部25を流れ、排気Kとして排気部20の出口28から排出される。
【0038】
図3の(A)では、供給部30は、外コーナー部24において、屈曲する前の燃焼排ガスBの流れ方向に対して対向するように角度を持って、炉体10の側に向けて斜め下向きに配設されている。供給部30は、例えば、第1延在部22の内壁面に対して30度から60度の角度で傾斜している。例えば、供給口32が内コーナー部23の方を向いている。これにより、燃焼排ガスBに対する自燃用空気Aの混合度合いが向上するので、燃焼排ガスBに含まれる未燃アンモニアの自燃が容易になる。
【0039】
図3の(B)では、供給部30は、内コーナー部23において、屈曲した後の燃焼排ガスBの流れ方向に対して対向するように角度を持って、外コーナー部24に向けて斜め上向きに配設されている。供給部30は、例えば、第2延在部25の内壁面に対して30度から60度の角度で傾斜している。例えば、供給口32が外コーナー部24の方を向いている。つまり、コーナー部で屈曲して流れてきた燃焼排ガスBに対向するように自燃用空気Aが供給される。これにより、燃焼排ガスBに対する自燃用空気Aの混合度合いが向上するので、燃焼排ガスBに含まれる未燃アンモニアの自燃が容易になる。
【0040】
図3の(C)では、供給部30は、第2延在部25において、燃焼排ガスBの流れ方向に対して対向するように角度を持って、内コーナー部23に向けて斜め下向きに配設されている。供給部30は、例えば、第2延在部25の内壁面に対して30度から60度の角度で傾斜している。例えば、供給口32が内コーナー部23の方を向いている。つまり、コーナー部で屈曲して流れてきた燃焼排ガスBに対向するように自燃用空気Aが供給される。これにより、燃焼排ガスBに対する自燃用空気Aの混合度合いが向上するので、燃焼排ガスBに含まれる未燃アンモニアの自燃が容易になる。
【0041】
この発明の具体的な実施の形態について説明したが、この発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、この発明の範囲内で種々変更して実施することができる。
【0042】
上記実施の形態では、燃料として使用されるアンモニアは気体であるが、液体のアンモニアを燃料として使用してもよい。
【0043】
上記実施の形態では、炉体10の内部での燃焼に使用される燃料としてアンモニアを含む燃料を例示したが、アンモニアを含む燃料による燃焼というのは、アンモニアの専焼の場合と、アンモニアと他の燃料との混焼の場合とを含んでいる。そして、炉体10の内部での燃焼に使用される燃料として、都市ガスや水素ガスやオイルや石炭なども使用可能であり、これらの燃料を使用する場合、未燃燃料は水素ガスや炭化水素系ガスであり、センサ47は水素センサや炭化水素系センサである。
【0044】
上記実施の形態では、排気部20における自燃制御は、制御部41によって行われる態様であるが、作業者がセンサ47で検出された未燃アンモニアの濃度をモニターして調整弁45の開度を調整することによって適切に自燃させる態様であってもよい。
【0045】
この発明および実施形態をまとめると、次のようになる。
【0046】
この発明の第1態様に係る燃焼装置1は、
燃料の燃焼によって燃焼排ガスBを生成する炉体10と、
前記炉体10に接続されて前記燃焼排ガスBが流入する排気部20と、
前記排気部20に接続されて前記排気部20に自燃用空気Aを供給する供給部30と、
前記燃焼排ガスBに対する前記自燃用空気Aの供給量を調整する調整弁45と、
前記燃焼排ガスBに含まれる未燃燃料の濃度を検出するセンサ47と、を備え、
前記調整弁45は、前記センサ47によって検出された前記未燃燃料の濃度に応じて前記自燃用空気Aの前記供給量を調整することによって、前記燃焼排ガスBに含まれる前記未燃燃料を自然発火で燃焼させることを特徴とする。
【0047】
上記態様によれば、センサ47によって検出された未燃燃料の濃度に応じて、自燃用空気Aの最適な供給量が調整されることによって、燃焼排ガスBに含まれる未燃燃料を自然発火で燃焼させることができるので、外界への未燃燃料の排出防止を低コストで実現できる。
【0048】
また、第2態様に係る燃焼装置1は、上記第1態様において、
前記供給部30への前記自燃用空気Aの供給を遮断する遮断弁43をさらに備える。
【0049】
上記態様によれば、供給部30への自燃用空気Aの供給が不要な場合、自燃用空気Aの供給を直ちに遮断して、ランニングコストを低減できる。
【0050】
また、第3態様に係る燃焼装置1は、上記第1態様において、
前記排気部20は、前記炉体10の上部に配設される。
【0051】
上記態様によれば、燃焼の上昇気流によって炉体10の上部に集まった高温の燃焼排ガスBを排気部20に供給できるので、燃焼排ガスBに含まれる未燃燃料の自燃が容易になる。
【0052】
また、第4態様に係る燃焼装置1は、上記第1態様において、
前記未燃燃料は、未燃アンモニアである。
【0053】
上記態様によれば、毒性のある未燃アンモニアが外部に排出されることを防止できる。
【0054】
また、第5態様に係る燃焼装置1は、上記第1態様において、
前記供給部30は、前記排気部20において前記燃焼排ガスBの流れ方向に対して対向するように角度を持って配設される。
【0055】
上記態様によれば、燃焼排ガスBに対する自燃用空気Aの混合度合いが向上するので、燃焼排ガスBに含まれる未燃アンモニアの自燃が容易になる。
【0056】
また、第6態様に係る燃焼装置1は、上記第1態様において、
前記センサ47は、前記排気部20において前記供給部30よりも上流側に配設される。
【0057】
上記態様によれば、燃焼排ガスBに含まれる未燃燃料の濃度を正確に検出して、自燃用空気Aの供給量の調整に的確にフィードバックできる。
【0058】
また、第6態様に係る燃焼装置1は、上記第1態様において、
前記炉体10は、一対のリジェネバーナ51,52を有する。
【0059】
上記態様によれば、大幅な省エネルギー性能を有するリジェネレイティブ型の燃焼装置1においても、外部への未燃燃料の排出防止を低コストで実現できる。
【符号の説明】
【0060】
1…燃焼装置
10…炉体
20…排気部
22…第1延在部
23…内コーナー部
24…外コーナー部
25…第2延在部
27…接続開口(入口)
28…出口
30…供給部
32…供給口
40…自燃制御部
41…制御部
43…遮断弁
45…調整弁
47…センサ
51…一側リジェネバーナ
52…他側リジェネバーナ
53…一側蓄熱体
54…他側蓄熱体
55…一側火口
56…他側火口
57…一側燃料ノズル
58…他側燃料ノズル
59…一側空気ノズル
60…他側空気ノズル
A…自燃用空気
B…燃焼排ガス
F…火炎
J…給気
K…排気
【手続補正書】
【提出日】2024-09-04
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料の燃焼によって燃焼排ガスを生成する炉体と、
前記炉体に接続されて前記燃焼排ガスが流入する排気部と、
前記排気部に接続されて前記排気部に自燃用空気を供給する供給部と、
前記燃焼排ガスに対する前記自燃用空気の供給量を調整する調整弁と、
前記燃焼排ガスに含まれる未燃燃料の濃度を検出するセンサと、を備え、
前記調整弁は、前記センサによって検出された前記未燃燃料の濃度に応じて前記自燃用空気の前記供給量を調整することによって、前記燃焼排ガスに含まれる前記未燃燃料を自然発火で燃焼させる、燃焼装置であって、
前記未燃燃料は、未燃アンモニアであり、
前記炉体は、一対のリジェネバーナを有し、
前記排気部は、前記炉体の下流側の上部であって、燃焼排ガスの吸引を行う側のリジェネバーナの傍に位置するように設けられる、燃焼装置。
【請求項2】
前記供給部への前記自燃用空気の供給を遮断する遮断弁をさらに備える、請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項3】
前記供給部は、前記排気部において前記燃焼排ガスの流れ方向に対して対向するように角度を持って配設される、請求項1に記載の燃焼装置。
【請求項4】
前記センサは、前記排気部において前記供給部よりも上流側に配設される、請求項1に記載の燃焼装置。