(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124423
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ハンドモデル
(51)【国際特許分類】
A63H 3/36 20060101AFI20240905BHJP
G09B 25/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A63H3/36 G
G09B25/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024102169
(22)【出願日】2024-06-25
(62)【分割の表示】P 2022074734の分割
【原出願日】2022-04-28
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年1月20日(13時00分)にhttps://twitter.com/kotobukiyas/status/1484012839555989505 にて発表
(71)【出願人】
【識別番号】596130152
【氏名又は名称】株式会社壽屋
(74)【代理人】
【識別番号】110003317
【氏名又は名称】弁理士法人山口・竹本知的財産事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100075166
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 巖
(74)【代理人】
【識別番号】100133167
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100169627
【弁理士】
【氏名又は名称】竹本 美奈
(72)【発明者】
【氏名】白髭 創
(57)【要約】
【課題】 人間の手指の可動域及び非可動域を良好に再現する仕組みや、多様な人間の手指の表現を再現する仕組みを提供する。
【解決手段】 関節部及び中手部からなる中心部材を有し、前記関節部は、第1の外側部と第1の内側部と、からなり、前記第1の外側部は、前記第1の内側部を回動可能に収容し、前記第1の外側部は、少なくとも1つのガイド部を有し、前記第1の外側部の前記ガイド部は、前記第1の内側部の3つの回転軸のうちの1つの回転軸の周りでの1軸の回転を制限する。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
関節部及び中手部からなる中心部材を有し、
前記関節部は、第1の外側部と第1の内側部と、からなり、
前記第1の外側部は、前記第1の内側部を回動可能に収容し、
前記第1の外側部は、少なくとも1つのガイド部を有し、
前記第1の外側部の前記ガイド部は、前記第1の内側部の3つの回転軸のうちの1つの回転軸の周りでの1軸の回転を制限する
ハンドモデル。
【請求項2】
前記関節部は、拇指関節部を有し、
前記拇指関節部は、前記第1の外側部に対して固定的に取り付けられた第2の外側部と、前記第2の外側部内に回動可能に収容され、親指中手部と接続された第2の内側部と、を有する
請求項1に記載のハンドモデル。
【請求項3】
関節部及び中手部からなる中心部材を有し、
前記関節部は、第1の外側部と拇指関節部と、からなり、
前記拇指関節部は、前記第1の外側部に対して固定的に取り付けられた第2の外側部と、前記第2の外側部内に回動可能に収容され、親指中手部と接続された第2の内側部と、を有する
ハンドモデル。
【請求項4】
前記親指中手部が拡張部を有し、
前記拡張部には、前記親指中手部以外の中手部と接触可能な接触突起部が設けられており、
前記拡張部は、前記親指中手部の内部に少なくとも部分的に収容可能である
請求項2又は3に記載のハンドモデル。
【請求項5】
前記中手部及び前記中手部に直接又は間接的に接続している少なくとも1つの他の中手部、のうち少なくとも1つは、第2の関節部を介して、各指部の基節部と接続しており、
前記基節部は、前記第2の関節部を介して、少なくとも2軸の回動が可能である
請求項1又は3に記載のハンドモデル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハンドモデルに関する。
【背景技術】
【0002】
本技術分野の背景技術として、特開2022-28002号公報(特許文献1)がある。この公報には、「下腕部80の延長上に設けられる手首110と、手首110に連結される手の甲115と、手の甲115に連結される親指120Aを含む複数の指120を備える人形体の手の関節構造であって、手の甲115は、手首110が連結される側の部分において、切欠部131と、切欠部131を間にして形成される突出部132とを備え、手首110は、その先端部が手の甲115の切欠部131内に配置された状態で、手首110の位置から変位した突出部132の箇所に埋設される第1ボールジョイント141を介して連結されているとともに、第1ボールジョイント141を中心にして、手の甲115に対して回動できるようになっている」と記載されている(要約参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1には、人間に近い動作を行い得る人形体の肢体端部の関節構造の仕組みが記載されている。しかしながら、前記特許文献1には、人間の手指の可動域及び非可動域を良好に再現する仕組みや、多様な人間の手指の表現を再現する仕組みについて検討がなされていない。
そこで、本発明は、人間の手指の可動域及び非可動域を良好に再現する仕組みや、多様な人間の手指の表現を再現する仕組みを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。
本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、関節部及び中指中手部からなる中心部材を有し、前記関節部は、第1の外側部と第1の内側部と、からなり、前記第1の外側部は、前記第1の内側部を回動可能に収容し、前記第1の外側部は、少なくとも1つのガイド部を有し、前記第1の外側部の前記ガイド部は、前記第1の内側部の3つの回転軸のうちの1つの回転軸の周りでの1軸の回転を制限することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、人間の手指の可動域及び非可動域を良好に再現する仕組みや、多様な人間の手指の表現を再現する仕組みを提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】
図1Aは、複数の可動部からなるハンドモデル1の外観図の例である。
【
図2】
図2は、中心部材200の外観図の例である。
【
図3】
図3は、CM関節部20の外側部220と内側部300の関係を説明する説明図の例である。
【
図4】
図4は、第1の回動方向RD1での内側部300の回動を説明する説明図の例である。
【
図5】
図5は、第2の回動方向RD2での内側部300の回動を説明する説明図の例である。
【
図6】
図6は、CM関節部20が
図5Aの状態にあるときのハンドモデル1の外観図の例である。
【
図7】
図7は、CM関節部20が
図5Cの状態にあるときのハンドモデル1の外観図の例である。
【
図8】
図8は、第1の回動方向RD1での内側部300の回動を説明する説明図の例である。
【
図9】
図9は、CM関節部20が
図8の状態にあるときのハンドモデル1の外観図の例である。
【
図10】
図10は、親指中手部115、人差し指中手部125、及び、中指中手部135の関係を説明する説明図の例である。
【
図11】
図11は、親指中手部115の可動域を説明する説明図の例である。
【
図12】
図12は、親指中手部115が
図11の状態にあるときのハンドモデル1の外観図の例である。
【
図13】
図13は、親指中手部115の回動範囲を拡張する拡張機構を説明する説明図の例である。
【
図14】
図14は、親指中手部115が
図13の状態にあるときのハンドモデル1の外観図の例である。
【
図15】
図15は、親指中手部115の異なる2つの姿勢を説明する説明図の例である。
【
図18】
図18は、各指部30の中手部10の接続状態を説明する説明図の例である。
【
図19】
図19は、より平らな状態の中手部10を説明する説明図の例である。
【
図20】
図20は、より丸まった状態の中手部10を説明する説明図の例である。
【
図21】
図21は、指部30の構成を説明する説明図の例である。
【
図23】
図23は、MP関節部40を説明する説明図の例である。
【
図24】
図24は、MP関節部40の回動を説明する説明図の例である。
【
図25】
図25は、中指部130の撓屈及び尺屈を説明するハンドモデル1の外観図の例である。
【
図26】
図26は、MP関節部40の回動を説明する説明図の例である。
【
図27】
図27は、MP関節部40の回動量が異なるハンドモデル1の外観図の例である。
【
図28】
図28は、IP関節部50の構成を説明する説明図の例である。
【
図29】
図29は、DIP関節部52の背屈及び掌屈を説明する説明図の例である。
【
図30】
図30は、MP関節部40及びIP関節部50の可動域を説明するハンドモデル1の外観図の例である。
【
図31】
図31は、MP関節部40及びIP関節部50の可動域の一例を説明するハンドモデル1の別の外観図の例である。
【
図32】
図32は、分割した状態のCM関節部20を説明する説明図の例である。
【
図33】
図33は、各指部30の中手部10の接続状態を説明する説明図の別の例である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施例を図面を用いて説明する。なお、以下の実施例においては右手を例に挙げて説明をするが、左右を逆転させることで左手にも適用可能である。例えば、後述の各構成要素を左右反転させた構成とすることにより、後述の実施例を左手のハンドモデルとして適用することができる。また、その場合でも、後述の各関節部の構造は、右手のハンドモデル及び左手のハンドモデルで共通化してもよい。
なお、
図1等のハンドモデル1は、その外観に関しては、成人の手を模倣した形状で設計されている。別の実施形態では、ハンドモデル1は、その外観に関して、例えば各部の比率や外形に関して、乳幼児や高齢者の手の外観を模倣した形状で設計されていてもよい。なお、各部の外形は、例えば肉付き具合や骨の浮き出し具合等を再現した形状や輪郭等も考慮して設計することができる。
【0009】
図1Aは、複数の可動部からなるハンドモデル1の外観図の例である。
図1Aのハンドモデル1は、人の手を模しており、例えば、各指中手部10、CM関節部(手根中手関節部)20、各指部30、MP関節部(中手指節関節部)40、IP関節部(指節間関節部)50等を有している。
CM関節部20は、関節部の一例である。
MP関節部40は、第2の関節部の一例である。
【0010】
図1Aのハンドモデル1は、一般的な成人の手の大きさに類似の大きさで設計されているが、それに限らず、例えば乳児や幼児の手の大きさに類似の大きさなど、様々な大きさで設計することが可能である。
特に、ハンドモデル1を義手として用いる構成では、ハンドモデル1の大きさは、義手の装着者の手の大きさ、或いは義手の装着者個人の体型に対して平均的な手の大きさ、に基づいた大きさであるとよい。
【0011】
また、
図1Aから
図33に示す各構成要素の大きさや長さの比率も同様に、一般的な成人の手指の各部に対応する比率で設計されている。しかしながら、別の実施例では、人間とは異なる動物、特に、哺乳類霊長目の動物、例えばチンパンジーやオランウータン、等の手指の各部の大きさや長さの比率に対応した比率で設計することも可能である。そのような構成のハンドモデル1では、ハンドモデル1の可動域や非可動域を、それぞれの動物の手指の可動域や非可動域に対応させて設計するとよりよい。
【0012】
例えば、ハンドモデル1が、持ち運びがより容易な、一般的な成人の手の大きさよりも小型の、大きさで設計されていると、ハンドモデル1を様々な場所に携帯しやすくなるので、ユーザは、様々な状況で、例えば場所や時間帯に関わらず、ハンドモデル1を用いたスケッチの練習等を行いやすくなる。
また別の例では、ハンドモデル1が、遠い距離からでも視認しやすい、一般的な成人の手の大きさよりも大型の、大きさで設計されていると、例えば教室内等で、ハンドモデル1から離れた位置にいる人(例えば美術やデッサンの授業や講義を受ける生徒)でも、良好にハンドモデル1を視認して、ハンドモデル1を用いたスケッチの練習等を行いやすくなる。例えば美術学校などで、同じハンドモデル1を、複数の生徒がデッサンする場合などでは、そのような大型のハンドモデル1の利用が好ましい。
【0013】
ハンドモデル1は、人間の手指の可動域及び非可動域を良好に再現することができる。例えば、ハンドモデル1の可動域及び非可動域は、通常の状態の人間の手指の可動域及び非可動域を再現するように設計されているとよい。しかしながら、ハンドモデル1の可動域及び非可動域は、必ずしも通常の状態の人間の手指の可動域及び非可動域を再現する必要はない。
例えば別の実施形態では、ハンドモデル1は、少なくとも1つの関節部が脱臼、亜脱臼した状態の人間の手の可動域及び非可動域を再現する構成であってもよい。
更に、ハンドモデル1の可動域及び非可動域は、炎症や関節症、例えば変形性関節症、等を患っている患者の手指において、少なくとも1つの関節に対して、痛みを感じ始める角度の前後で、可動域と非可動域を設定してもよい。そのような構成では、痛みを感じ始める角度は、例えば対象となる関節症に関する統計的なデータに基づいて選択したり、その都度変更したりすることができるとよりよい。
【0014】
例えば、病院や、医療、看護、福祉等に関する大学や専門学校等の講義、実習、研修等においては、学生や研修生らは、怪我や障害のある患者の手の可動域や非可動域を再現したハンドモデル1を用いて、3次元的な対象物に実際に触れながら、例えば脱臼や亜脱臼をしている人間の手の可動域や非可動域、について学習することができる。
また、個々のハンドモデル1ごとに、怪我や障害に応じて異なる可動域や非可動域の設定を各関節に割り当てて、1つ又は複数の怪我や障害を組み合わせて再現することも可能であるので、学生や研修生らに対して、効率的に各種の怪我や障害の状態の例を提示することができる。
更に、ハンドモデル1は、怪我や障害のある動物の手指の状態を再現することも可能である。そのような構成のハンドモデル1は、例えば獣医師等に対して、遭遇することが稀であるような動物の怪我や障害の状態を学習する機会を提供することもできる。
【0015】
本明細書中では、後述の親指部110、人差し指部120、中指部130、薬指部140、小指部150の5つの中手部をまとめて各指中手部10と称することもある。同様にハンドモデル1の親指部110、人差し指部120、中指部130、薬指部140、小指部150を、親指、人差し指、中指、薬指、小指と称することもある。
【0016】
図1Bは、
図1Aのハンドモデル1の取り得る形態の外観図の例である。
図1B(1)は、各指部30を離した状態のハンドモデル1を、手の甲側から見た図である。
図1B(2)は、各指部30を離した状態のハンドモデル1を、手のひら側から見た図である。
図1B(3)は、各指部30を近づけた状態のハンドモデル1を、手の甲側から見た図である。
図1B(4)は、各指部30を近づけた状態のハンドモデル1を、手のひら側から見た図である。
【0017】
図1A、
図1Bの実施形態のハンドモデル1では、人差し指部120、中指部130、薬指部140、小指部150の各指部30は、基節部31、中節部32及び末節部33からなり、親指部110は、基節部31及び末節部33からなる。
【0018】
中手部10と各指部30の基節部31は、MP関節部40を介して互いに接続されている。
基節部31と中節部32は、PIP関節部(近位指節間関節部)51を介して互いに接続されており、中節部32と末節部33は、DIP関節部(遠位指節間関節部)52を介して互いに接続されている。
なお、本明細書において「近位」とは、腕端部60やハンドモデル1に繋がる仮想の腕や身体により近い位置を意味し、「遠位」とは腕端部60やハンドモデル1に繋がる仮想の腕や身体からより離れた位置を意味する。
【0019】
CM関節部20には腕端部60が接続している。
より具体的には、CM関節部20の内側部300に対して腕端部60が固定的に接続されており、腕端部60は、CM関節部20の内側部300を、CM関節部20の外側部220に対して回動可能に支持する。
なお、「回動」という用語は「回転」と読み替えてもよい。
【0020】
CM関節部20は、腕端部60と固定的に接続される内側部300と、内側部300を回動可能に収容する外側部220からなる。
CM関節部20の外側部220は、以下に
図2から
図4を用いて詳細に説明するように、中指中手部135と一体的に又は中指中手部135に対して固定的に形成されている。
【0021】
CM関節部20の外側部220には、直接的に又は間接的に、親指中手部115、人差し指中手部125、薬指中手部145、小指中手部155が、中指中手部135に対して可動的に接続している。そのような構成では特に、親指中手部115、人差し指中手部125、薬指中手部145、小指中手部155は、CM関節部20の外側部220に対して可動的であるとよい。
【0022】
人の親指に対応する親指部110は、基節部31及び末節部33と、基節部31を親指中手部115に対して回動可能に接続するMP関節部40と、基節部31と末節部33を回動可能に接続するIP関節部50と、から構成されている。
【0023】
各指部30の基節部31、中節部32及び末節部33と、MP関節部40、IP関節部50はそれぞれ類似の構成を有しており、以下の説明において、例えば人の中指に対応する中指部130の基節部31、中節部32及び末節部33と、MP関節部40、IP関節部50に関する説明は、人差し指部120、薬指部140、小指部150に対しても同様に適用できる。
【0024】
人の人差し指、中指、薬指、小指の4指に対応する各指部30は、それぞれ、基節部31、中節部32、末節部33と、基節部31を中手部10に対して回動可能に接続するMP関節部40、基節部31を中節部32に対して回動可能に接続するPIP関節部51、末節部33を中節部32に対して回動可能に接続するDIP関節部52、から構成されている。以下の説明では、PIP関節部51とDIP関節部52をまとめて、IP関節部50と称することもある。
【0025】
PIP関節部51とDIP関節部52は、IP関節部50として、類似の又は同様の、構成を有している。
MP関節部40とIP関節部50は、可動域に関して、特には可動の自由度に関して、異なる構成を有している。
これらの点については、
図22から
図29等を用いてより具体的に説明する。
【0026】
図2は、中心部材200の外観図の例である。
図2では、中心部材200は、CM関節部20の外側部220と中指中手部135が固定的に接続し、CM関節部20の内側部300を除いた状態で、図示されている。
【0027】
CM関節部20の外側部220は、CM関節部20の内側部300を収容する。
CM関節部20の外側部220は、更に、
図10を用いて具体的に説明する親指用の拇指CM関節部1011の一部を構成する拇指CM関節部1011の外側部221を有している。
更に、CM関節部20の外側部220は、人差し指中手部125を支持する第1の支持突起226、及び、薬指中手部145を支持する第2の支持突起227、を有している。
【0028】
CM関節部20の外側部220は、第1の外側部の一例であり、CM関節部20の内側部300は第1の内側部の一例である。
親指用の拇指CM関節部1011は拇指関節部の一例である。
拇指CM関節部1011の外側部221は第2の外側部の一例である。
【0029】
図18を用いて具体的に説明するように、人差し指中手部125は、第1の支持突起用挿入穴1810を有し、また、薬指中手部145は、第2の支持突起用挿入穴1820を有しているよい。そのような構成では、第1の支持突起226が第1の支持突起用挿入穴1810に挿入されていること、また、第2の支持突起227が第2の支持突起用挿入穴1820に挿入されていることで、人差し指中手部125及び薬指中手部145は、CM関節部20の外側部220に対する回動が可能な状態を維持したまま、CM関節部20の外側部220に保持され得る。
【0030】
CM関節部20の外側部220は、第1の直線状ガイド縁222及び第2の直線状ガイド縁223、及び、第1の曲線状ガイド縁224及び第2の曲線状ガイド縁225、を有している。
第1の直線状ガイド縁222及び第2の直線状ガイド縁223は、第1のガイド部400を形成する。
第1の曲線状ガイド縁224及び第2の曲線状ガイド縁225は、第2のガイド部500を形成する。
【0031】
L-L’間に破線で示された中心軸230は、中心部材200の長手方向に延びる直線であり、例えば、CM関節部20の外側部220が形成する部分球殻の中心やCM関節部20の内側部300の球体部分の中心を通り、第1の曲線状ガイド縁224及び第2の曲線状ガイド縁225が存在する平面に平行に延びる直線である。
【0032】
図3は、CM関節部20の外側部220と内側部300の関係を説明する説明図の例である。
図3(A)は、CM関節部20を、外側部220と内側部300を分離した状態で、図示している。
図3(B)は、CM関節部20を、外側部220に内側部300が収容された状態で、図示している。 なお、実際の使用状態では、CM関節部20は、
図3(A)のように外側部220と内側部300を、損傷や変形なしに分離することはできない構成としてもよいが、外側部220を複数の部材から構成した上で、内側部300を挟み込む形で複数の部材を嵌合させることで組み立てを容易にすることができるようにしてもよいし、組み立てた後に分離することができる構成としてもよい。
【0033】
図3(B)に図示する符号RD1、RD2を付した両矢印は、外側部220に収容された状態の内側部300の可能な第1の回動方向(許容される第1の回動方向)RD1及び第2の回動方向(許容される第2の回動方向)RD2を示している。
外側部220に収容された状態の内側部300は、
図4(A)に両矢印で示される第3の回動方向(制限される回動方向)RD3での回動を、少なくとも一部の範囲において、制限する構成であるとよい。
なお、制限するとは、回動を妨げることを含み、ある程度のあそび(回動)は許容される。
【0034】
それにより、内側部300の3自由度での回動運動を制限して、外側部220は内側部300を、収容することができる。
3自由度での回動運動とは、例えば、中心軸230に対するピッチ回転、ヨー回転、ロール回転からなる回動運動である。
図3(B)の実施形態では、中心軸230に対するロール回転を制限することで、内側部300の3自由度での回動運動を制限することができる。例えばロール回転をしないようにする、または、ロール回転をピッチ回転や、ヨー回転と比べてしにくくするように構成することができる。
【0035】
なお、中心軸230に対するピッチ回転、ヨー回転、ロール回転はそれぞれ、内側部300の回転の3つの回転軸での回転の例であり、ロール回転は、3つの回転軸のうちの1つの回転軸の周りでの1軸の回転の例である。
【0036】
中指中手部135は、中指中手部135の掌側面360と中指中手部135の甲側面210の間に、中指中手部135の内壁部340を有している。
内壁部340は、親指中手部115側で、親指中手部用の収容部350や後述の拇指球部受容部1520を形成している。
【0037】
図32は、分割した状態のCM関節部20を説明する説明図の例である。
CM関節部20は、例えば
図3から
図5等に従う構成に代えて、
図32に従う構成を有していてもよい。
図32に従う構成を有するCM関節部20の外側部220は、第1半体3210、第2半体3220を組み合わせて形成される。
【0038】
第1半体3210には拇指CM関節部1011の外側部221及び第1筒状部材3211が設けられている。第2半体3220には第2筒状部材3221及び中指中手部135との接続部3222が設けられている。第1筒状部材3211には螺子を挿通できるようになっており、螺子を締めるまたは緩めることにより第2筒状部材3221との距離を調節することができるようになっており、これにより、内側部300との間で生じる摩擦力を調整できるようにしている。なお、外側部221についても同様に、第1半体3210、第2半体3220のように2つの半体を組み合わせて構成するようにするとともに、2つの半体のそれぞれにネジを挿通させるネジ穴を設け、ネジを挿通させることで内側部300との摩擦力を調整することができるようにしてもよい。
中指中手部135との接続部3222と同様の接続部は、第1半体3210にも設けられており、それらは対になって、中指中手部135側の対応する接続部と接続し、中指中手部135とCM関節部20の間の固定的な接続を保持する。
CM関節部20の個々の構成要素のより具体的な構成や機能については、後述する。
【0039】
例えば
図3から
図5や
図32等に従う構成のCM関節部20を備えるハンドモデル1では、CM関節部20の外側部220と、CM関節部20の内側部300との間に生じる摩擦力に基づいて、CM関節部20やCM関節部20より遠位の構成要素の、腕端部60に対する、動かしやすさや姿勢の保持のしやすさ等を、調整することができる。
例えば、デッサンモデルとして利用されるハンドモデル1では、CM関節部20の外側部220と、CM関節部20の内側部300との間に、比較的大きな摩擦力が生じる構成とすることで、CM関節部20やCM関節部20より遠位の構成要素が、腕端部60に対して、より動きにくい構成とすることができる。それにより、セッティング後のハンドモデル1の移動や保管の間などに、振動や衝突や加速度変化等によって、ハンドモデル1が腕端部60に対して望まれない姿勢に変形することを、より確実に避けることができる。
【0040】
例えば、義手として利用されるハンドモデル1では、CM関節部20の外側部220と、CM関節部20の内側部300との間に、比較的小さな摩擦力が生じる構成とすることで、腕端部60に対するCM関節部20の角度などの状態が、ユーザの日常生活の中での動きに応じて、より変化しやすい構成とすることができる。それにより、ハンドモデル1を備えた義手を装着したユーザの日常的な動き、特に義手を装着した腕の動き、に応じて、例えば、動きの向きや速さや加速度の変化に基づいて、腕端部60に対するCM関節部20の角度などの状態が、変化するので、実際の人間の手の動きと類似の、自然な動きを、自然な可動域内で、再現することができる。
【0041】
ハンドモデル1では、上述の摩擦力やハンドモデル1の可動域及び非可動域の設定に基づいて、電気的な制御部や駆動部なしでも、ユーザの動きの中で実際の人間の手の動き、例えば揺れ等を、良好に再現することができる。
更に、ハンドモデル1は、各関節部の摩擦力、例えばCM関節部20の外側部220とCM関節部20の内側部300との間に生じる摩擦力、を調節可能な構成であるとよい。そのような構成については、
図32を用いて後述する。
【0042】
図4は、第1の回動方向RD1での内側部300の回動を説明する説明図の例である。
図4(A)は、CM関節部20を、CM関節部20の外側部220とCM関節部20の内側部300を分離した状態で、図示している。
図4(B)は、CM関節部20を、CM関節部20の外側部220にCM関節部20の内側部300が収容された状態で、図示している。
【0043】
図4(A)では、破線で第1のガイド部400が示されている。第1のガイド部400は、外側部220の第1の直線状ガイド縁222及び第2の直線状ガイド縁223に挟まれた空間であり、その幅は第1のガイド突起310及び第2のガイド突起320が通過可能な長さを有している。
第1のガイド部400は、少なくとも1つのガイド部の一例である。
【0044】
図4(A)では、更に、外側部220が形成する部分球殻の中心を通る中心軸230が図示されている。制限される第3の回動方向RD3は、この中心軸230を中心とした回動の方向である。
【0045】
図4(A)では、内側部300は第1のガイド突起310、第2のガイド突起320、及び、接続突起330を有している。接続突起330は、内側部300を腕端部60と接続するための接続部であって、接続突起330には鉤部410が設けられており、鉤部410は、接続突起330を介して内側部300と接続された腕端部60が空転することを防止する。
【0046】
なお、
図4(A)の実施形態では第1のガイド部400は、手のひら側と手の甲側の間で連続して繋がった直線的な空所として形成されている。代替的に、第1のガイド部400は、手のひら側の第1の空所と手の甲側の第2の空所の2つに分断された空所として形成されていてもよい。
【0047】
図4(B)では、第1のガイド部400の一部が破線で示されている。
図4Bでは、第1のガイド突起310は第1のガイド部400の範囲外に存在しており、第2のガイド突起320は第1のガイド部400の範囲内に存在している。
【0048】
図4(B)の状態では、破線で表された第1のガイド部400は、外側部220の第1の直線状ガイド縁222及び第2の直線状ガイド縁223に挟まれた空間であり、その幅は第1のガイド突起310及び第2のガイド突起320が通過可能な長さを有している。
【0049】
図4(B)の状態では、第1のガイド部400内の第2のガイド突起320は、第1の直線状ガイド縁222及び第2の直線状ガイド縁223によって、第1のガイド部400の幅方向での移動を制限されている。それにより、内側部300の中心軸230の周りでの第3の回動方向RD3の回動が妨げられる。
【0050】
特に、第1のガイド部400の幅が第1のガイド突起310及び第2のガイド突起320の幅と適合する構成、例えば、第1のガイド突起310及び第2のガイド突起320が第1のガイド部400内で第1の直線状ガイド縁222及び第2の直線状ガイド縁223と接触する構成、では、内側部300の中心軸230の周りでの第3の回動方向RD3の回動をより確実に制限することができる。
【0051】
本実施形態に従うハンドモデル1は、人間の手や腕が橈側外転及び掌側外転する場合に、手首よりも先の手指が、手首に対する回転を制限されている状態を、良好に再現することができる。
【0052】
なお、第3の回動方向RD3は、中心軸230に対するロール角で定義される回動の方向と理解してもよい。
同様に、第1の回動方向RD1及び第2の回動方向RD2は、それぞれ中心軸230に対するヨー角及びピッチ角で定義される回動の方向と理解してもよい。
【0053】
後述の説明では、ヨー角で定義される回動を、撓屈、尺屈という用語を用いて説明する。同様に、そして、ピッチ角で定義される回動を、掌屈、背屈という用語を用いて説明する。
更に、各指部30のMP関節部40及びIP関節部50に関しても同様に、各指部30の基節部31、中節部32、末節部33の長手軸に対して、ヨー角で定義される回動、及び、ピッチ角で定義される回動を、それぞれ、撓屈、尺屈という用語、及び、掌屈、背屈という用語を用いて説明する。
【0054】
図5は、第2の回動方向RD2での内側部300の回動を説明する説明図の例である。
図5(A)は、内側部300が、
図5(B)に図示されている内側部300の中央位置から、手のひら側へ回動した状態を、手の甲側から手のひら側へ向かう方向で見た図と、中心軸230と平行な方向で見た図と、で示している。
図5(A)では、内側部300の第1のガイド突起310は手のひら側で第1のガイド部400内に位置しており、第2のガイド突起320及び接続突起330は第2のガイド部500内に位置している。
なお、内側部300の中央位置とは、例えば、内側部300の接続突起330が、中心軸230と重なる位置である。
【0055】
図5(B)は、内側部300が、内側部300の中央位置にある状態を、手の甲側から手のひら側へ向かう方向で見た図と、中心軸230と平行な方向で見た図と、で示している。内側部300の中央位置では、内側部300の接続突起330は、例えば中心部材200の中心軸230と重なっているとよい。
図5(B)では、内側部300の第1のガイド突起310は手のひら側で、そして、第2のガイド突起320は手の甲側で、それぞれ第1のガイド部400内に位置しており、接続突起330は第2のガイド部500内に位置している。
【0056】
図5(C)は、内側部300が、
図5(B)に図示されている内側部300の中央位置から、手の甲側へ回動した状態を、手の甲側から手のひら側へ向かう方向で見た図と、中心軸230と平行な方向で見た図と、で示している。
図5(C)では、内側部300の第2のガイド突起320は手の甲側で第1のガイド部400内に位置しており、第1のガイド突起310及び接続突起330は第2のガイド部500内に位置している。なお、詳細な説明は省略するが、
図5(A)や
図5(C)で示すように第2の回動方向RD2に沿って回動した場合、人間の手首の間接の可動範囲と同様の可動範囲とするために、限界位置において腕端部60のCM関節部20側の淵部と外側部220が接触することによりそれ以上の移動が規制されるよう構成されている。
【0057】
図6は、CM関節部20が
図5(A)の状態にあるときのハンドモデル1の外観図の例である。
図6(A)は、CM関節部20が
図5(A)の状態にあるときのハンドモデル1を上方から見た外観図の例である。
図6(B)は、CM関節部20が
図5(A)の状態にあるときのハンドモデル1を側方から見た外観図の例である。
【0058】
図6(A)、
図6(B)の状態のハンドモデル1では、
図5(A)との関連で説明したように、内側部300の第1のガイド突起310は第1のガイド部400内に位置しているので、接続突起330を介して内側部300と固定的に接続された腕端部60が、外側部220内で第3の回動方向RD3に回動することを、より確実に制限することが可能である。
【0059】
外側部220内で制限されている内側部300の第3の回動方向RD3での回動のような手首部分に対する手指部分の回動は、本実施例とは構造が異なる人間の腕や手の解剖学的な構造でも同様に制限されている。それによりハンドモデル1は、実際の人間の腕や手の可動域と非可動域の双方を、良好に再現することができる。
【0060】
図7は、CM関節部20が
図5(A)の状態にあるときのハンドモデル1の外観図の例である。
図7(A)は、CM関節部20が
図5(A)の状態にあるときのハンドモデル1を上方から見た外観図の例である。
【0061】
図7(B)は、CM関節部20が
図5(A)の状態にあるときのハンドモデル1を側方から見た外観図の例である。
図7(C)は、
図7(A)の破線で囲われた範囲700の拡大図の例である。
【0062】
図7(A)から
図7(C)の状態のハンドモデル1では、
図5(A)との関連で説明したように、内側部300の第2のガイド突起320は第1のガイド部400内に位置しているので、接続突起330を介して内側部300と固定的に接続された腕端部60が、外側部220内で第3の回動方向(制限される回動方向)RD3に回動することをより確実に制限することが可能である。
【0063】
図6の場合と同様に、外側部220内で制限されている内側部300の第3の回動方向RD3での回動は、本実施例とは構造が異なる人間の腕や手の解剖学的な構造でも同様に制限されている。
図6の場合と同様に、
図7の場合でも、ハンドモデル1は、実際の人間の腕や手の可動域と非可動域の双方を、良好に再現することができる。
【0064】
腕端部60は、その近位側の端部に固定部材挿入穴710を有しているとよい。固定部材挿入穴710には、ハンドモデル1とは別の物体に設けられ固定部材を、挿入することができるとよりよい。ハンドモデル1とは別の物体は、例えば、ハンドモデル1を机や棚に置くための台座や、ハンドモデル1と統合してより大きな身体モデルを構成するための前腕部材や、前腕義手や上腕義手のハンド部との接続部等である。なお、
図7に示す固定部材挿入穴710の周囲に設けられた小さな4つの穴(穴の数は他の数でもよい)で固定する構成であってもよい。
【0065】
ユーザは、固定部材挿入穴710に挿入された固定部材、或いは、固定部材を有する台座や前腕部材、を持ってハンドモデル1を動かすことで、一度セッティングしたハンドモデル1の状態をより安定的に維持したまま、ハンドモデル1全体を動かすことができる。それにより、ユーザは、上下左右前後の様々な角度から、同じ状態のハンドモデル1を観察し、例えばスケッチ等の練習等を安定的に行うことができる。
【0066】
更に、義手としてハンドモデル1を利用した場合では、例えば写真撮影などの際に手指の細部に至るまで家族や友人等と同様のポーズを取りやすくなり、義手の装着者のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)の向上に寄与することもできる。ハンドモデル1を義手として使用する場合、ハンドモデル1は、固定部材挿入穴710での接続の解除によって、例えば別の機能や構成を有するハンド部、例えば鈎状のハンド部、と取り替え可能であると、日常生活の場面に応じた使い分けが可能となるのでよりよい。
【0067】
腕端部60は、拇指CM関節部1011の外側部221の輪郭形状、特に3次元的な輪郭形状、に対応する、例えばぴったりと重なり合う、凹部720を有しているとよい。それにより、CM関節部20の可動域をより柔軟に設計することができる。
【0068】
図8は、第1の回動方向RD1での内側部300の回動を説明する説明図の例である。
図8(A)は、内側部300が、
図8(B)に図示されている内側部300の中央位置から、小指側へ回動した状態を示している。
図8(A)では、内側部300の第1のガイド突起310及び第2のガイド突起320は第1のガイド部400内に位置している。接続突起330は第2のガイド部500内に位置しており、第1の曲線状ガイド縁224に接触している。
【0069】
図8(B)は、内側部300が、内側部300の中央位置にある状態を示している。内側部300の中央位置では、内側部300の接続突起330は、例えば中心部材200の中心軸230と重なっているとよい。
【0070】
第1の曲線状ガイド縁224及び第2の曲線状ガイド縁225は、内側部300の第1のガイド突起310及び第2のガイド突起320の中心を通る中心線L2-L2’に対して非対称的に設計させているとよい。
特に、第1の曲線状ガイド縁224の親指側端部点810と中心線L2-L2’との間の第1の距離820が、第2の曲線状ガイド縁225の小指側端部点830と中心線L2-L2’との間の第2の距離840よりも、短く設計されていると、人間の実際の手首の可動域及び非可動域をより高い再現度で模倣することができるのでよりよい。
なお、第1の距離820及び第2の距離840は、中心軸230に平行な方向で見たときの距離である。
【0071】
図8(C)は、内側部300が、
図8(B)に図示されている内側部300の中央位置から、親指側へ回動した状態を示している。
図8(C)では、
図8(A)と同様に、内側部300の第1のガイド突起310及び第2のガイド突起320は第1のガイド部400内に位置している。接続突起330は第2のガイド部500内に位置しており、第2の曲線状ガイド縁225に接触している。
【0072】
図9は、CM関節部20が
図8の状態にあるときのハンドモデル1の外観図の例である。
図9(A)は、CM関節部20が
図8(A)の状態にあるときのハンドモデル1を手の甲側から見た外観図の例である。
図9(B)は、CM関節部20が
図8(C)の状態にあるときのハンドモデル1を手の甲側から見た外観図の例である。
【0073】
なお、
図9(A)の状態で、接続突起330が第1の曲線ガイド縁に接触した状態を維持したまま、腕端部60を動かすと、第1のガイド突起310及び第2のガイド突起320の少なくとも一方は第1のガイド部400内を移動する。接続突起330が第1の曲線状ガイド縁224から離れ、次に第2の曲線状ガイド縁225へ接触するように、腕端部60を動かすと、第1のガイド突起310及び第2のガイド突起320の少なくとも一方は第1のガイド部400内で移動し、ハンドモデル1は
図9(B)の状態へ移行する。
【0074】
図10は、親指中手部115、人差し指中手部125、及び、中指中手部135の関係を説明する説明図の例である。
図10(A)は、親指、人差し指、及び、中指のそれぞれの中手部10(115、125、135)が接続した状態を説明する説明図の例である。
【0075】
図10(B)は、親指、人差し指、及び、中指のそれぞれの中手部10(115、125、135)を分解した状態を説明する説明図の例である。
中心部材200は、中指中手部135に設けられたヒンジ接続部(蝶板状接続部)1000を介して、人差し指中手部125と接続している。中指中手部135と人差し指中手部125は、ヒンジ接続部1000の周りで互いに僅かに回動可能である。
【0076】
中心部材200は、CM関節部20の拇指CM関節部1011を介して、親指中手部115と接続している。
拇指CM関節部1011は、拇指CM関節部1011の内側部1020と拇指CM関節部1011の外側部221とから構成されている。拇指CM関節部1011は、親指中手部115が中指中手部135に対して1自由度から3自由度で回動可能であるように、構成されているとよい。
拇指CM関節部1011の内側部1020は第2の内側部の一例である。
【0077】
親指中手部115の回動に関しては、以下に
図11から
図17を用いて具体的に説明する。
図11は、親指中手部115の可動域を説明する説明図の例である。
図11(A)は、拇指CM関節部1011が第1の外側位置まで動いた状態を図示している。拇指CM関節部1011の第1の外側位置では、親指中手部115の接触突起部1100は、人差し指中手部125のストッパー壁部1120の最外接触位置1121に接触している。
【0078】
親指中手部115が手の甲側から手のひら側へ向かう方向へ回動すると、接触突起部1100は、人差し指中手部125のストッパー壁部1120と接触する。それにより、人差し指中手部125のストッパー壁部1120は、親指中手部115が手のひら面を超えて手のひら側へ回動(掌屈)することを制限する。
【0079】
図11(B)は、拇指CM関節部1011が内側位置まで動いた状態を図示している。拇指CM関節部1011の内側位置では、親指中手部115の接触突起部1100は、例えば中指中手部135の内壁部340に、接触していてもよい。
【0080】
拇指CM関節部1011は、第1の外側位置から内側位置まで動く間に、親指中手部115に対して複数の軌道の移動可能性を提供することができるとよい。例えば、親指中手部115は、第1の外側位置から内側位置へ移動する際に、拇指CM関節部1011の周りで異なる回動移動をすることができる、又は、傾きや向きや姿勢に関して異なる状態を取ることができるとよい。
【0081】
図12は、親指中手部115が
図11の状態にあるときのハンドモデル1の外観図の例である。
図12(A)は、拇指CM関節部1011が
図11(A)の状態にあるときのハンドモデル1を手のひら側から見た外観図の例である。
【0082】
図12(B)は、拇指CM関節部1011が
図11(B)の状態にあるときのハンドモデル1を手のひら側から見た外観図の例である。
親指中手部115は、
図12(A)の状態から
図12(B)の状態へ移動する間、人差し指中手部125の領域内を円滑に移動することができる。
また、いずれの状態でも、親指部110のMP関節部40及びIP関節部50は、円滑に回動することができる。
【0083】
同様に、いずれの状態でも、人差し指部120から小指部150のMP関節部40及びIP関節部50も、円滑に回動することができる。
拇指CM関節部1011の状態が、各指部30の各MP関節部40及びIP関節部50の回動を阻害しないことで、本実施形態に従うハンドモデル1は、人間の手指が表現する形態を非常に良好に再現することができる。
【0084】
図13は、親指中手部115の回動範囲を拡張する拡張機構を説明する説明図の例である。
図13(A)は、親指中手部115を、親指中手部115本体と拡張部1300を分離した状態で、図示している。また、
図13(A)は、拡張部1300として、収容状態にある拡張部1300と、拡張状態にある拡張部1300を別々に図示している。
拡張部1300は回動凸部1321を有している。
図13(B)の組み立て状態では、回動凸部1321は、親指中手部115本体の回動凹部1320内に収容されている。それにより、拡張部1300は収容状態から拡張状態までの間で連続的に回動することができる。
【0085】
図13(B)は、拡張部1300が収容された状態にある親指中手部115を図示している。
図13(C)は、拡張部1300が拡張された状態にある親指中手部115を図示している。
【0086】
図14は、親指中手部115が
図13の状態にあるときのハンドモデル1の外観図の例である。
図14(A)は、親指中手部115が
図13(B)の状態にあるときのハンドモデル1を手のひら側から見た外観図の例である。
図14(B)は、親指中手部115が
図13(C)の状態にあるときのハンドモデル1を手のひら側から見た外観図の例である。
【0087】
図14(A)の状態から
図14(B)の状態へ移動する間、親指中手部115の接触突起部1100は、例えば、人差し指のストッパー壁部1120の最外接触位置1121に接触したまま、拡張部1300は回動部1330の周りで連続的に回動し、親指中手部115は更に外側へ移動することができる。なお、
図14(B)の状態となると、拡張部突起部1301の移動がストッパー凹部1311により規制されることにより、拡張部1300のそれ以上の移動が規制される。
【0088】
また、図示は省略するが、拡張部突起部1301の円弧面の逆側端部には
図13(A)の奥行方向と手前方向に向けてストッパー凹部1311に嵌合し回動するピンが設けられており、当該ストッパー凹部1311は円弧上の溝となっており、円弧上に当該ピンをガイドするようになっている。これにより、拡張部1300を円弧上に回動させることができるとともに、拡張した際の最大可動範囲を規制することができる。
【0089】
拡張部1300が収容状態から拡張状態へ移動する間でも、親指部110のMP関節部40及びIP関節部50は、円滑に回動することができる。同様に、いずれの状態でも、人差し指部120から小指部150のMP関節部40及びIP関節部50も、円滑に回動することができる。
【0090】
拡張部1300の状態が、各指部30の各MP関節部40及びIP関節部50の回動を阻害しないことで、本実施形態に従うハンドモデル1は、人間の手指が表現する形態をより一層良好に再現することができる。
【0091】
図15は、親指中手部115の異なる2つの姿勢を説明する説明図の例である。
図15(A)は、中心軸230と略平行な方向で見た、親指中手部115の表側が手の甲側の方向を向く姿勢を、説明する説明図の例である。
図15(B)は、中心軸230と略平行な方向で見た、親指中手部115の表側が手のひら側の方向を向く姿勢を、説明する説明図の例である。
【0092】
図15(A)及び
図15(B)では、親指中手部115の表側が向く方向は、親指中手部115の、MP関節部用取り付け凹部1500の平面に対して垂直な方向として設定されている。
なお、親指中手部115の表側とは、親指中手部115の甲側と読み替えてもよい。ハンドモデル1では、人間の手指と同様に、親指中手部115の表側(甲側)は、ハンドモデル1の手のひら側へ向くことができる。
【0093】
図15(C)は、
図15(A)の姿勢の親指中手部115を手のひら側から見た外観図の例である。
図15(D)は、
図15(B)の姿勢の親指中手部115を手のひら側から見た外観図の例である。
【0094】
図15(C)の姿勢では、親指中手部115の回動部1330は、親指中手部115の拇指球部1510よりも中心部材200側に位置している。
図15(D)の姿勢では、親指中手部115の拇指球部1510は、親指中手部115の回動部1330よりも中心部材200側に位置している。拇指球部1510は、
図15(D)の姿勢から、中指中手部135の拇指球部受容部1520に接触するまで、更に中心部材200側へ移動することも可能である。なお、拇指球部1510の中心部材200側への移動する際の最大可動範囲は、親指中手部115が外側部220と接触する位置として設計されている。
また、拇指球部受容部1520は、親指中手部115用の収容部350と空間的に接続した構成であるとよい。そのような構成では、拇指球部受容部1520は、親指中手部115用の収容部350としても機能することができる、同様に、親指中手部115用の収容部350は拇指球部受容部1520としても機能することができる。
【0095】
親指中手部115が、
図15に図示された異なる姿勢を取ることができることにより、本実施形態のハンドモデル1は、人の手が表現する様々な形状を、非常に良好に再現することができる。
【0096】
追加的に、本実施形態のハンドモデル1は、人の手が解剖学的な構成の制限から表現することができない形状を再現することを防止する機能を、有しているとよい。この点については、
図17A、
図17Bを用いてより具体的に説明する。
【0097】
図16は、親指中手部115が
図15(B)、
図15(D)の姿勢にあるときのハンドモデル1の外観図の例である。
図16(A)は、親指中手部115が
図15(B)、
図15(D)の姿勢にあるハンドモデル1の手のひらを上から見た外観図の例である。
図16(B)は、親指中手部115が
図15(B)、
図15(D)の姿勢にあるハンドモデル1を指先側から手首側に向かって見た外観図の例である。
【0098】
図16(A)では、親指中手部115の大部分が人差し指中手部125及び中指中手部135に重なっている。
図16(A)、
図16(B)のハンドモデル1では、親指部110を折り曲げ、更に残りの4指を折り曲げることで、握りこぶしの形状にすることができる。そのようにして得られたハンドモデル1の握りこぶし形状は、親指中手部115が
図15(B)、
図15(D)の姿勢にあることによって、人間の手による握りこぶしの形状を非常に良好に再現することができる。
【0099】
図17Aは、
図15(A)の姿勢に対応する親指中手部115の可動域を説明するハンドモデル1の外観図の例である。
図17A(1)では、接触突起部1100は、
図15(A)と同様に、ストッパー壁部1120の最外接触位置1121で人差し指中手部125と接触している。
図17A(2)では、接触突起部1100は、中指中手部135の親指中手部115用の収容部内に収容されている。その際、接触突起部1100は、親指中手部115用の収容部350に接触していてもよい。
【0100】
図15(A)の姿勢に対応する親指中手部115は、
図17A(1)のように接触突起部1100がストッパー壁部1120の最外接触位置1121で人差し指中手部125と接触する状態から、
図17A(2)のように接触突起部1100が親指中手部115用の収容部350内に収容された状態、特には接触突起部1100が親指中手部115用の収容部350に接触した状態、の間で動くことができる。
【0101】
親指中手部115の拇指CM関節部1011の周りでの回動であって、図面の紙面に対して鉛直に立ち上がるような回動は、
図17A(1)では、接触突起部1100がストッパー壁部1120に接触することによって、また同様に、
図17A(2)では、拡張部収容領域1310付近の外面がストッパー壁部1120に接触することによって、非常に狭い回動範囲内に制限される。非常に狭い回動範囲は、例えば人差し指中手部125の空洞幅によって決定される。なお、中指中手部135(親指中手部115用の収容部350の壁面)にのみ接触することにより回動範囲を規制するようにしてもよく、ストッパー壁部1120と中指中手部135の双方に接触することにより回動を規制してもよい。
なお、拡張部収容領域1310付近の外面は、親指中手部115の手のひら側の外面とみなしても良い。
【0102】
それにより、本実施形態のハンドモデル1では、人間の手の親指や拇指球の実際の可動域から想定される可動域を超えて、親指中手部115が動くことを、より確実に制限することができる。
【0103】
図17Bは、
図15(B)の姿勢に対応する親指中手部115の可動域を説明するハンドモデル1の外観図の例である。
図17B(1)でも、接触突起部1100は、ストッパー壁部1120の最外接触位置1121で人差し指中手部125と接触している。
図17B(2)では、親指中手部上縁1720がストッパー壁部1120の接触縁1710と接触している。
【0104】
図15(B)の姿勢に対応する親指中手部115は、
図17B(1)のように接触突起部1100がストッパー壁部1120の最外接触位置1121で人差し指中手部125と接触する状態から、
図17B(2)のように親指中手部上縁1720がストッパー壁部1120の接触縁1710と接触した状態の間で動くことができる。
【0105】
なお、
図17B(2)では、親指中手部上縁1720がストッパー壁部1120の接触縁1710と接触する状態で、親指中手部115の移動が止められているが、人差し指中手部125及び中指中手部135に対する親指中手部115の傾き等に応じて、親指中手部115は、親指中手部115の拇指球部1510が中指中手部135の拇指球部受容部1520に受容されるまで、特には拇指球部受容部1520に接触するまで、移動することもできる。
【0106】
その場合も、親指中手部上縁1720はストッパー壁部1120の接触縁1710と接触したままであり得る。なお、親指中手部上縁1720やストッパー壁部1120の接触縁1710の設計に応じて、親指中手部115は、親指中手部115の拇指球部1510が中指中手部135の拇指球部受容部1520に受容される状態では、親指中手部上縁1720はストッパー壁部1120の接触縁1710から離れる構成であってもよい。
【0107】
親指中手部115が
図15(B)の姿勢であると、親指中手部115の拇指CM関節部1011の周りでの回動であって、図面の紙面に対して鉛直に立ち上がるような回動は、
図17B(1)、
図17B(2)の双方で、拡張部1300が拡張部収容領域1310から露出した状態で、接触突起部1100がストッパー壁部1120に接触することによって、制限される。
【0108】
従って、
図17A(1)、
図17A(2)の状態のハンドモデル1と比較して、つまり、
図17A(1)、
図17A(2)の姿勢の親指中手部115と比較して、
図17B(1)、
図17B(2)の姿勢の親指中手部115は、例えば人差し指中手部125の空洞幅によって決定される、非常に狭い回動範囲よりも、拡張部1300によって拡張された回動範囲分だけ、より広い可動域で親指中手部115の拇指CM関節部1011の周りでの回動であって、図面の紙面に対して鉛直に立ち上がるような回動を、行うことができる。
【0109】
図18は、各指部30の中手部10の接続状態を説明する説明図の例である。
図18(A)は、親指中手部115、人差し指中手部125、中指中手部135(中心部材200)、及び、小指中手部155が接続した状態を図示している。
図18(B)は、親指中手部115、人差し指中手部125、中指中手部135(中心部材200)、及び、小指中手部155が分離した状態を図示している。
図18(C)は、各指部30の中手部10を接続するヒンジ接続部1000の一例を図示している。
【0110】
各ヒンジ接続部1000は、その長手方向が、中心部材200の中心軸230の方向に対して傾いて方向決めされているとよい。それにより、人間の手の解剖学的な構成とは完全に異なる構成でありながら、若干放射状に広がってCM関節と接続する各指の中手骨を有する人間の手の可動域を、より良好に再現することができる。
【0111】
例えば、ヒンジ接続部1000の周りでの各指中手部10の回動移動により、中手部10全体は、以下の
図19及び
図20で説明するような、状態を取ることが可能となり、それにより、ハンドモデル1はより実際の手の動きや姿勢や形状をより良好に模倣することが可能となる。
【0112】
図33は、各指部30の中手部10の接続状態を説明する説明図の別の例である。
図33(A)は、親指中手部115、人差し指中手部125、中指中手部135(中心部材200)、及び、小指中手部155が分離した状態を図示している。
図33(B)は、
図33(A)の実施例における中指中手部135(中心部材200)のCM関節部20の外側部220を、手の甲側から手のひら側へ向かう方向で見た状態を、図示している。
図33(C)は、
図33(A)の実施例における中指中手部135(中心部材200)のCM関節部20の外側部220を、中指中手部135の遠位端側から近位端側へ向かう方向で見た状態を、図示している。
【0113】
図18の実施形態とは異なり、
図33の実施形態では、中指中手部135と薬指中手部145の間と、薬指中手部145と小指中手部155との間には、それぞれ、破線の円で概略的に示した球状接続部3310が設けられている。
球状接続部3310としては、ボールジョイントや、
図28を用いて詳細に説明するIP関節部50用の関節部材等を、使用することができる。
【0114】
例えば、IP関節部50用の関節部材を球状接続部3310として使用する構成では、IP関節部50用の関節部材を、ヒンジ接続部1000と回動方向が対応するように各指部30のIP関節部50と比べて約90°回転させた状態で、取り付けることで、ヒンジ接続部1000と同様の回動方向を実現することができる。
そのような構成では、例えば、
図28に図示する近位接続部2811に対応する構成部分が中指中手部135に設けられた不図示の凹部に固定的に収容され、同様に、遠位接続部2821に対応する構成部分が薬指中手部145に設けられた不図示の凹部に固定的に収容される。なお、近位接続部2811に対応する構成部分が薬指中手部145に取り付けられ、遠位接続部2821に対応する構成部分が中指中手部135に取り付けられてもよい。
【0115】
人差し指中手部125と中指中手部135との間のヒンジ接続部1000も同様に、球状接続部3310(例えばIP関節部50用の関節部材)に置き換えることも可能であるが、ヒンジ接続部1000を用いた構成では、上述した親指中手部115の回動の、可能な回動範囲或いは回動空間をより大きく確保しやすい。
【0116】
更に、
図33(A)の実施形態では、小指中手部155は、第3の支持突起3320を有している。第3の支持突起3320は、
図2を用いて説明した第1の支持突起226及び第2の支持突起227と同様に、小指中手部155を支持する役割を担う。そのため、CM関節部20の外側部220には、
図33(B)、
図33(C)に示されているように、対応する位置に第3の支持突起用挿入穴3330が設けられている。
【0117】
第1から第3の支持突起226、227、3320、及び、第1から第3の支持突起用挿入穴1810、1820、3330、のそれぞれを、各指中手部10に設けるか、CM関節部側に設けるか、は設計に応じて変更することができる。
また、第1から第3の支持突起226、227、3320の長さ、形状(例えば円柱形状、円錐台形状等)、大きさ(例えば直径や幅)、各指中手部10やCM関節部20の外側部220における位置は、ハンドモデル1の各構成要素、特には各指中手部10や各指部30の、可動域及び非可動域の設計や、摩擦力に基づくそれらの動きやすさ或いは動きにくさ、等に応じて設計することができる。
同様に、第1から第3の支持突起用挿入穴1810、1820、3330、の深さ、形状(円形状、楕円形状、直線形状、曲線形状等)、各指中手部10やCM関節部20の外側部220における位置も、ハンドモデル1の各構成要素、特には各指中手部10や各指部30の、可動域及び非可動域の設計や、摩擦力に基づくそれらの動きやすさ或いは動きにくさ、等に応じて設計することができる。
【0118】
例えば、第1から第3の支持突起226、227、3320が、第1から第3の支持突起用挿入穴1810、1820、3330に対して、接触し、それらの間に十分な摩擦力が生じる構成では、人差し指中手部125、薬指中手部145、小指中手部155は、CM関節部20の外側部220に対する位置関係を、例えばハンドモデル1の移動や搬送に伴う振動や衝撃や加速度の変化等に対して、安定的に保持することができる。
それにより、例えば、デッサンモデルとして利用するため、ハンドモデル1を準備室から美術室へ移動する場合等でも、ハンドモデル1の形状を安定的に保持することができる。その結果、デッサンを行う生徒は、前回デッサン時と同様の状態のハンドモデル1を用いてデッサンを再開することができる。
【0119】
このように、ヒンジ接続部1000と球状接続部3310を組み合わせて使用することにより、また、第1から第3の支持突起及び第1から第3の支持突起用挿入穴の取り付け位置や寸法を適宜設定することにより、
図33(A)の実施形態では、
図18の実施形態と比べて、より高い再現性で、人間の手の可動域及び非可動域を模倣し、且つその状態を安定的に保持することができる。
【0120】
図19は、より平らな状態の中手部10を説明する説明図の例である。
図19(A)は、より平らな状態の人差し指、中指、及び、小指の4指の中手部10(以下「4指中手部10」とも称する)の手の甲側を見た図である。各指部30の中手部10はそれぞれ、後述の
図20(A)の実施形態と比べて、より近接して存在している。各指部30の中手部10はそれぞれ接触しているとよい。
【0121】
図19(B)は、より平らな状態の4指中手部10を指先側から手首側に向かって見た図である。第1の仮想曲線1910は、4指中手部10のそれぞれに設けられたMP関節収容凹部1900の中心付近を通る仮想の曲線である。
第1の仮想曲線1910は、
図19の状態の4指中手部10の曲がり具合を概略的に表している。それにより、人間の手の膨らみをより良好に再現することができる。
【0122】
なお、
図19(B)の実施形態に従うハンドモデル1では、第1の仮想曲線1910は図中で上に凸、つまり手のひらから手の甲の方向へ向かって凸、の曲線で表されているが、ハンドモデル1の設計によっては、直線状であってもよい。
【0123】
また、ハンドモデル1の設計上は、第1の仮想曲線1910は、図中で下に凸、つまり手の甲から手のひらの方向へ向かって凸、の曲線とすることも可能であるが、例えば人間の手の構成を再現する場合は、そのような構成を避けると、リアリティをより高めることができるのでよい。
【0124】
図19(C)は、中手部全体が
図19(A)、
図19(B)の姿勢にあるときのハンドモデル1の外観図の例である。
図19(C)の実施形態では、ハンドモデル1の中手部10の手のひら部分は、比較的ぴったりと、設置面に接触している。
【0125】
図20は、より丸まった状態の中手部10を説明する説明図の例である。
図20(A)は、より丸まった状態の4指中手部10の手の甲側を見た図である。各指部30の中手部10はそれぞれ、後述の
図19(A)の実施形態と比べて、より離れて存在している。
図20(A)では、各指部30の中手部10の間には、それぞれの中手部10に沿って、僅かな隙間2000が存在している。
【0126】
図20(B)は、より丸まった状態の4指中手部10を指先側から手首側に向かって見た図である。第2の仮想曲線2010は、第1の仮想曲線1910と同様に、4指中手部10のそれぞれに設けられたMP関節収容凹部1900の中心付近を通る仮想の曲線である。
【0127】
第2の仮想曲線2010は、
図20の状態の4指中手部10の曲がり具合を概略的に表している。第2の仮想曲線2010は、同じく
図20(B)に図示された、
図19(B)における第1の仮想曲線1910よりも、より大きな曲率を有している。
【0128】
第2の仮想曲線2010の、第1の仮想曲線1910と比べてより大きな曲率は、
図18(C)に図示したヒンジ接続部1000の周りでの各指中手部10の回動によって、実現することができ、それにより、人間の手が表現する手の膨らみを良好に再現することができる。
【0129】
上記の構造により、ハンドモデル1は、
図20(B)の状態では、小指中手部155の最も内側の点(最も中心軸230側の点)である小指中手部155の最内点2020が、中指中手部135の範囲まで中心軸230側へ移動している。この場合、小指中手部155が、例えば
図15(D)のように同じく中心軸230側へ回動した親指中手部115と、接触できる構成であるとよりよい。
【0130】
このような構成によって、ハンドモデル1は、例えば人の手指において親指の先端と小指の先端を接触させた場合に、拇指球と小指球が接触するような状態を再現することができる。
【0131】
図20(C)は、中手部10全体が
図20(A)、
図20(B)の姿勢にあるときのハンドモデル1の外観図の例である。
図20(C)の実施形態では、ハンドモデル1の手のひらは、中手部10全体で設置面からわずかに離れており、主に各指部30で設置面に接触している。
【0132】
図21は、指部30の構成を説明する説明図の例である。
図21(A)は、親指部110と親指中手部115及び中指部130と中心部材200を、手の甲側から見た図である。
図21(A)の中指範囲2120については、
図22でより詳細に説明する。
図21(B)は、親指部110と親指中手部115及び中指部130と中心部材200を、手のひら側から見た図である。
【0133】
図21(A)及び
図21(B)では、人差し指部120、薬指部140、小指部150及びそれらの中手部は、図示を省略しているが、以下の中指部130に関する説明は、それらの各指部30に対しても同様に適用できる。
【0134】
図22は、
図21の中指範囲2120を説明する説明図の例である。
図22では、
図21の中指範囲2120で囲われた中指部130と中指部130が接続する中心部材200の先端部分を、それぞれの部分ごとに分離した状態で図示している。
【0135】
中指中手部135の遠位端と中指基節部2101の間にはMP関節部40が設けられており、MP関節部40は、中指基節部2101を中指中手部135に対して、撓屈・尺屈方向、及び、背屈・掌屈方向、に回動可能に接続している。
【0136】
なお、撓屈・尺屈方向での回動とは、中指基節部2101が中指中手部135に対して小指部150から親指部110へ向かう撓屈方向での回動、及び、中指基節部2101が中指中手部135に対して親指部110から小指部150へ向かう尺屈方向での回動、を意味している。
また、背屈・掌屈方向での回動とは、中指基節部2101が中指中手部135に対して手の甲側へ反り上がる背屈方向での回動、及び、中指基節部2101が中指中手部135に対して手のひら側へ折り曲がる掌屈方向での回動、を意味している。
【0137】
中指基節部2101と中指中節部2102の間にはPIP関節部51が設けられており、PIP関節部51は、中指中節部2102を中指基節部2101に対して、背屈・掌屈方向に、回動可能に接続する一方、撓屈・尺屈方向での回動は制限する。
【0138】
同様に、中指中節部2102と中指末節部2103の間にはDIP関節部52が設けられており、DIP関節部52は、中指末節部2103を中指中節部2102に対して、背屈・掌屈方向に、回動可能に接続する一方、撓屈・尺屈方向での回動は制限する。
【0139】
図23は、MP関節部40を説明する説明図の例である。
図23(A)は、MP関節部40を手の甲側から見た状態を示している。
図23(B)は、MP関節部40を薬指部140から人差し指部120へ向かう方向で見た状態を示している。
図23(C)は、MP関節部40の構成要素を分解して図示している。
【0140】
MP関節基部2300は、その一部が、各指中手部10の遠位端部に設けられたMP関節収容凹部1900に固定的に取り付けられて収容される。
MP関節基部2300には、MP関節部40の第1回動部(MP関節撓尺屈部)2310が、MP関節部40の第2回動部(MP関節背掌屈部)2320を介して、取り付けられる。なお、詳細な説明は省略するが、MP関節基部2300及び第1回動部(MP関節撓尺屈部)2310はそれぞれ複数の部材を組み合わせることにより構成され、組み立ての際には第2回動部(MP関節背掌屈部)2320を挟み込むこと形で組み立てられる。
【0141】
MP関節部40の第1回動部2310の遠位接続部2311は、各指基節部31の近位端部に設けられた、凹部に固定的に取り付けられて収容される。
MP関節部40は、第2の回動支持部2322の周りでの第4の回動方向RD4での、撓屈回動及び尺屈回動が可能な構成を有している。なお、詳細な説明は省略するが、第2の回動支持部2322はリベット状に形成され、第2回動部2320に設けられた凹部に嵌め込まれる構成となることで第1回動部2310と連結している。また、
図23では図示を省略しているが、第2の回動支持部2322の前面は基節部31で覆われるようになっており、基節部31により第1回動部2310と連結させる場合、第2の回動支持部2322は必ずしも設けなくてもよい。
【0142】
また、MP関節部40は、第1の回動支持部2302の周りでの第5の回動方向RD5での、背屈回動及び掌屈回動が可能な構成を有している。
MP関節部40の第1回動部2310、及び、MP関節部40の第2回動部2320の具体的な、回動状態については、以下に
図24から
図28を用いて説明する。
【0143】
図24は、MP関節部40の回動を説明する説明図の例である。
図24(A)は、MP関節部40が撓屈した状態の中心部材200及び中指基節部2101を、つまり、中指基節部2101が親指側へ回動した状態を、その状態におけるMP関節部40の拡大図とともに示している。
図24(B)は、
図24(A)の撓屈した状態の中心部材200及び中指基節部2101を、掌側から見た図を示している。
【0144】
MP関節部40の回動範囲は、一方では、MP関節部40自体の構成によって規定され、他方では、中指中手部135の遠位端輪郭2200及び中指基節部2101の近位端輪郭2210の形状によっても規定される。
【0145】
MP関節部40の回動は、例えば、中指基節部2101の長手方向に対するピッチ回転である掌屈・背屈及びヨー回転である撓屈・尺屈を組み合わせた回転移動である。
MP関節部40の回動は、ピッチ角の0°からのずれに基づいて、可能なヨー角の大きさが変化する
MP関節部40の回動は、ピッチ角の0°からのずれが大きくなるほど、可能なヨー角が小さくなる。
【0146】
ピッチ角の0°からのずれの大きさによる、可能なヨー角の変化は、特には、中指中手部135の遠位端輪郭2200と、中指基節部2101の近位端輪郭2210とが、ピッチ角の0°からのずれが大きくなるほど、より小さいヨー角で接触するように設計されていることによって、実現することができる。
上記の構成は、中指部130以外の各指部110、120、140、150でも同様である。
【0147】
特に、MP関節部40の撓屈・尺屈の回動範囲は、MP関節部40の背屈・掌屈の回動が0°の時に最大となり、MP関節部40の背屈・掌屈の回動が大きくなるにつれて、減少するとよい。それにより、人間の指における可動域及び非可動域を、より良好に再現することができる。
【0148】
上記の回動範囲は、MP関節部40の背屈・掌屈の回動が大きくなる程、中指中手部135の遠位端輪郭2200及び中指基節部2101の近位端輪郭2210がより撓屈・尺屈のより狭い回動範囲で互いに接触し、それ以上の撓屈・尺屈の回動を妨げることによって、実現することができる。
【0149】
図25は、中指部130の撓屈及び尺屈を説明するハンドモデル1の外観図の例である。
図25(A)は、中指部130の撓屈及び尺屈の角度がほぼ0°のハンドモデル1の外観図の例である。
図25(A)、
図25(B)及び
図25(C)では、人差し指部120は撓屈しており、薬指部140及び小指部150は尺屈している。
【0150】
図25(B)は、中指部130が撓屈したハンドモデル1の外観図の例である。
図25(C)は、中指部130が尺屈したハンドモデル1の外観図の例である。
【0151】
図26は、MP関節部40の回動を説明する説明図の例である。
図26(A)は、MP関節部40が掌屈した状態の中心部材200及び中指基節部2101を、つまり、中指基節部2101が手のひら側へ回動した状態を、その状態におけるMP関節部40の拡大図とともに、親指側から小指側へ向かって見た図で示している。
【0152】
図26(B)は、MP関節部40が背屈した状態の中心部材200及び中指基節部2101を、つまり、中指基節部2101が手の甲側へ回動した状態を、親指側から小指側へ向かって見た図で示している。
【0153】
図26(A)の状態におけるMP関節部40の掌屈の回動範囲と
図26(B)の状態におけるMP関節部40の背屈の回動範囲は、中指中手部135の遠位端輪郭2200及び中指基節部2101の近位端輪郭2210の形状に基づき、それらの接触によって、規定されるとよい。
つまり、MP関節部40は、中指中手部135及び中指基節部2101が互いに接触して止まるまで、掌屈及び背屈することができるとよい。
【0154】
追加的に又は代替的に、MP関節部40の掌屈や背屈の回動範囲は、
図28を用いて説明するMP関節部40そのものの構成に基づいて設計されていてもよい。
【0155】
特に、MP関節部40の掌屈の回動範囲は、MP関節部40の背屈の回動範囲よりも大きく設計されているとよい。それにより、人間の指における可動域及び非可動域を、より良好に再現することができる。
【0156】
図27は、MP関節部40の回動量が異なるハンドモデル1の外観図の例である。
図27(A)は、各指部30のMP関節部40が略90°掌屈した状態のハンドモデル1の外観図の例である。
図27(B)は、各指部30のMP関節部40が略30°から45°掌屈した状態のハンドモデル1の外観図の例である。
【0157】
図27(B)のハンドモデル1における小指のMP関節部2710及び薬指のMP関節部2720、
図27(A)のハンドモデル1における小指のMP関節部2710及び薬指のMP関節部2720よりも、より僅かにしか掌屈していない。
また、
図27(B)のハンドモデル1における薬指のMP関節部2720は、小指のMP関節部2710よりも、より僅かにしか掌屈していない。
【0158】
図27(A)、
図27(B)のどちらのハンドモデル1においても、小指のPIP関節部2730及び薬指のPIP関節部2740は、どちらも略完全に掌屈している。
図27(B)の小指のDIP関節部2750は、略真っ直ぐであり、ほとんど掌屈も背屈もしていない
図27(A)の小指のDIP関節部2750よりも、掌屈している。その結果、
図27(B)の小指の中節部2760は、
図27(A)の小指の中節部2760よりも、設置面から立ち上がっている。これは、中指部130についても同様である。
【0159】
図27(A)、
図27(B)に図示するハンドモデル1の姿勢は、ハンドモデル1が取り得る姿勢の一例である。各指部30のMP関節部40やIP関節部50を、個別に動かすことで、ユーザは、ハンドモデル1の姿勢を容易且つ様々に変更することができる、特に、連続的に、ごく僅かな変化から、非常に大きな変化まで、実際の人間の手が表現できる姿勢を再現や模倣させることができる。
【0160】
図28は、IP関節部50の構成を説明する説明図の例である。
図28(A)は、組み上がった状態のIP関節部50と、分解した状態のIP関節部50とを、手の甲側から手のひら側へ向かって見た図を示している。
【0161】
IP関節部50は、近位接続部2811で近位側の中節部32や基節部31と固定的に接続されるIP関節固定部2810と、遠位接続部2821で遠位側の末節部33や中節部32と固定的に接続されるIP関節回動部2820から構成されている。
【0162】
IP関節回動部2820は、回動軸体2823を有しており、その周りで遠位接続部2821を介して固定的に接続された末節部33や中節部32と共に、回動することができる。なお、回動軸体2823と遠位接続部2821の間にあそび(空間)を設けることによりIP関節部50を撓屈・尺屈可能な構成としてもよい。
【0163】
IP関節固定部2810は、固定部突起2812を有している。固定部突起2812は、IP関節回動部2820の回動部段差2822と接触することによって、IP関節回動部2820のそれ以上の回動を制限する。
【0164】
図28(B)は、
図28(A)のIP関節部50を、それぞれ回動軸体2823の軸方向で見た図である。
IP関節回動部2820の2つの回動部段差2822の間には、回動範囲2824が設けられている。
2つの回動部段差2822は、それぞれ、IP関節回動部2820の最大掌屈回動位置と最大背屈回動位置に対応する。
【0165】
2つの回動部段差2822の位置と、回動範囲2824の大きさは、同一であると製造及び組み立てをより安価且つ簡易に実施できるので良い。
しかしながら、2つの回動部段差2822の位置と、回動範囲2824の大きさは、指部30ごとに異なって設計し、より多くのバリエーションを提供してもよい。
【0166】
図28(C)は、
図28(A)のIP関節部50が掌屈した状態を、それぞれ回動軸体2823の軸方向で見た図である。
図28(B)、
図28(C)において破線の四角で表されている固定部突起2812の位置2813は、それぞれの回動状態において、IP関節固定部2810の固定部突起2812の、回動範囲2824内での位置を示している。
【0167】
図28の実施例は、IP関節固定部2810を遠位側の末節部33や中節部32と固定的に接続し、IP関節回動部2820を近位側の中節部32や基節部31と固定的に接続した構成へ変更することも可能である。
【0168】
図29は、DIP関節部52の背屈及び掌屈を説明する説明図の例である。
図29(A)は、DIP関節部52が背屈した状態の中節部32及び末節部33を、つまり、末節部33が手の甲側へ掌屈回動した状態を、その状態におけるDIP関節部52の拡大図とともに示している。
【0169】
図29(B)は、DIP関節部52が撓屈した状態の中節部32及び末節部33を、つまり、末節部33が手のひら側へ背屈回動した状態を、その状態におけるDIP関節部52の拡大図とともに示している。
【0170】
図29(A)では、DIP関節部52は略最大背屈回動位置まで回動している。
図29(B)では、DIP関節部52は略最大掌屈回動位置まで回動している。
中節部32の中節部遠位端輪郭2920と末節部33の末節部近位端輪郭2930は、最大背屈回動位置、及び、最大掌屈回動位置で、互いにぴったりと接触するように設計されているとよい。
なお、上述の固定部突起2812及び回動部段差2822との接触により、回動範囲を制限する構成に代えて、又は、追加して、中節部遠位端輪郭2920と末節部近位端輪郭2930による接触を用いて回動範囲の制限する構成を適用することも可能である。
【0171】
図30は、MP関節部40及びIP関節部50の可動域を説明するハンドモデル1の外観図の例である。
図30の実施形態では、ハンドモデル1の人差し指部120は全体が背屈しており、特に、基節部31及び末節部33の背屈具合が大きい。また、人差し指部120は、尺屈し、図面奥側を指している。
【0172】
中指部130は、略撓屈・尺屈も、背屈・掌屈もしておらず、略真っ直ぐに伸びている。
薬指部140は、全体が掌屈しており、薬指部140の末節部33は、親指部110の末節部33と接触している。
【0173】
小指部150は、全体が薬指部140よりも更に掌屈している。
各指部30はそれぞれ、独立して撓屈・尺屈、及び、背屈・掌屈することができるので、ハンドモデル1は、非常に良好に人の手の動きや形状やポーズを模倣や再現することができる。
【0174】
本実施形態に従うハンドモデル1によって実現可能な手の形状の別のバリエーションを、更に以下に
図31を用いて説明する。
図31は、MP関節部40及びIP関節部50の可動域の一例を説明するハンドモデル1の別の外観図の例である。
【0175】
図31(A)は、人差し指部120と中指部130を交差させた状態のハンドモデル1の外観図の例である。
図31(B)は、
図31(A)の状態のハンドモデル1を親指側から小指側へ向かって見た外観図の例である。
【0176】
図31のハンドモデル1では、人差し指部120のMP関節部3110は尺屈しており、中指部130のMP関節部3120は撓屈及び掌屈している。その結果、人差し指部120及び中指部130は互いに交差している。
また、人差し指部120のDIP関節部3115は掌屈しており、中指DIP関節部3125は背屈している。
それにより、交差した人差し指部120と中指部130は、輪(空所)を形成している。
【0177】
このようにして、ハンドモデル1は、非常に良好に人の手の動きや形状やポーズを模倣や再現することができる。その結果、ハンドモデルを参照して手の形状を描写する際にリアリティの高い表現をすることができる。
なお、上記実施の形態では、人間の腕や手の解剖学的な構造での可動範囲と同様の可動範囲とするために、関節部を介して隣り合う部材(例えばMP関節部40を挟む中手部10と基節部31)が接触することで可動範囲を制限している。このようにすることで、それぞれの部材の端部の形状を微調整することで可動範囲を適切に調整することができる。
【0178】
また、上記実施の形態では説明の便宜上、各関節部やヒンジ接続部の回動する部分において隙間を設ける形で説明したが、実際のハンドモデル1については隙間を設けることなく回動する部分の部材をそれぞれ当接させることで摩擦力等により、例えばユーザがハンドモデル1の各関節のセッティングを行った後に手を放したとしても、関節の回動角度を固定した状態で維持できるようにすることが望ましい。その場合、特にCM関節部20や拇指CM関節部1011は特に、その先の部材を支えるために大きな負荷がかかることから強く当接させるとよい。
【0179】
例えばCM関節部20に関しては、
図32に示すように、外側部220を複数の部材、例えば外側部220の第1半体3210及び第2半体3220、で構成し、それぞれの部材の内側に第2の回動方向RD2に垂直に突設された筒状部材、例えば第1筒状部材3211及び第2筒状部材3221、を内側部300の筒状部材挿入穴3230を貫通させるように設け、二つの筒状部材3211、3221をネジ等で結合させ、ネジ等を締めることで二つの筒状部材3211、3221が近寄るように構成し、外側部220と内側部300の当接する力を調整できるようにすればよい。このようにすればハンドモデルを利用する個人が自ら当接する強度を調節できるようになる。
【0180】
なおこのように構成する場合、筒状部材3211、3221が挿通される内側部300の部分に内側部300の回動を阻害しないように長孔の筒状部材挿入穴3230を設けるようにすればよい。また、拇指CM関節部1011に関しては、外側部221と内側部1020の当接に加え、親指中手部115に外側部221を覆い当接させる部材を設け、外側部221と内側部1020の当接する力をより強くするようにしてもよい。
なお、上記実施の形態において各関節部の各部材は一体的なものとして説明しているが、複数の部材から構成するようにしてもよく、そのようにすれば、当接している状態での摩擦力の調整を行いやすくすることができる。
【0181】
図1Aから
図31を用いて説明したハンドモデル1は、説明のためハンドモデル1の個々の構成要素が露出しているが、例えば、疑似的な皮膚構造物としての樹脂等からなる膜構造物によって、覆われていてもよい。そのような実施形態では、ハンドモデル1の外観をより一層、人間の手の外観に似せることができる。
追加的に又は代替的に、ハンドモデル1は布や織物等からなる衣装構造物(例えば手袋等)によって、覆われていてもよい。
【0182】
また、
図7(A)の腕端部60の上方の端面に固定部材挿入穴710を設けていることで、例えば台座に設けられた棒状の固定部材を固定部材挿入穴710に差し込むことにより、手首に対して上方向に指が位置する角度以外の角度でハンドモデル1を固定することができるようになり、手の描写の際のデッサン見本としての利便性を向上させることができる。
【0183】
また、ハンドモデル1を義手として使用する場合、左右の手の指を組み合わせたり、義手側の手(ハンドモデル1)で指差しや頬杖を行ったり等、日常生活で生じ得る様々な手の形状や姿勢を自然且つ安定的に模倣や再現することができるので、周囲の人物に義手であることが気づかれにくいだけでなく、ユーザ本人のクオリティ・オブ・ライフ(QOL)も向上させることができる。
【0184】
更に、ハンドモデル1は、上述の各構成要素のうち少なくとも1つ、特には少なくとも1つの関節部、を機械的、電気的に制御して駆動可能な駆動部やアクチュエータを備えていてもよい。そのようなハンドモデル1は、ロボットハンド、ロボットアーム、マニピュレータ、電動義手等として利用することもできる。そのような利用においても、ハンドモデル1は、人の手指の形状や姿勢を非常に良好に再現することができる。更に、駆動部やアクチュエータの出力や、各構成要素の強度に応じて、実際に物体をつまんだり掴んだりすることも可能である。
【0185】
例えば、ユーザは、人差し指部120のMP関節部40、IP関節部50を機械的、電気的に制御して駆動可能な駆動部を設けた構成のハンドモデル1を義手として利用することができる。そのような場合では、ユーザは、手を握った状態から指差しした状態へと自然にハンドモデル1の状態を変化させることができるので、日常生活における利便性が格段に向上する。
【0186】
そのような構成では、バッテリや通信装置や処理装置等と電気的に接続された駆動部は、例えばウェアラブルセンサ等の検出装置によって取得された義手装着者の脳波(EEG:Electro Encephalo Graphy)や皮膚電位等の生体電位の特定の信号に基づいて、制御される。特定の信号とは、例えば義手装着者が「指差しする」と意識した時や実際に指差しをしようと腕等の筋肉を収縮させた時等に発生する特徴的な信号であるとよい。検出装置によって検出された生体電位の特定の信号は、通信装置を介して、処理装置へ送られ、その後、処理装置は、受信した生体電位の特定の信号に基づいて、駆動部を動かす。それにより、義手装着者は、物理的なスイッチ等の操作を行うことなく、ハンドモデル1を、例えば手を握った状態から指差しした状態へ、変更することができる。上記の構成は特に、義手として利用されるハンドモデル1の人差し指MP関節部3110に適用するとよく、例えば人差し指部120の基節部31内又は人差し指中手部125の遠位端領域に収容されたモータによって、人差し指MP関節部3110を回動することができるとよりよい。
【0187】
なお、本発明は上記した実施例に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記した実施例は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施例の構成の一部を他の実施例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施例の構成に他の実施例の構成を加えることも可能である。また、各実施例の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0188】
なお、上述の実施例は少なくとも特許請求の範囲に記載の構成を開示している。
【0189】
また、本発明は、少なくとも下記の実施例(1)から(23)を含む。
本発明は更に、下記の実施例(1)から(23)を組み合わせた構成を含む。
【0190】
実施例(1)
CM関節部及び中指中手部からなる中心部材を有し、
前記CM関節部は、第1の外側部と第1の内側部と、からなり、
前記第1の外側部は、前記第1の内側部を回動可能に収容し、
前記第1の外側部は、少なくとも1つのガイド部を有し、
前記第1の外側部の前記ガイド部は、前記第1の内側部の3つの回転軸のうちの1つの回転軸の周りでの1軸の回転を制限する
ハンドモデル。
【0191】
実施例(2)
前記第1の内側部は、少なくとも1つのガイド突起を有し、
前記ガイド部は、前記ガイド部内での前記ガイド突起の動きを制限することで、前記1軸の回転を制限する
ハンドモデル。
【0192】
実施例(3)
前記外側部は、前記ガイド部として、第1のガイド縁及び第2のガイド縁で挟まれた第1のガイド部を有し、
前記外側部は、前記第1のガイド部内での、前記ガイド突起と前記第1のガイド縁又は前記第2のガイド縁との間の接触することにより、前記ガイド突起の動きを制限し、前記内側部の前記1軸の回転を制限する
ハンドモデル。
【0193】
実施例(4) 前記ガイド突起は、前記外側部の手の甲側又は手のひら側で、前記第1のガイド縁又は前記第2のガイド縁と接触する
ハンドモデル。
【0194】
実施例(5) 前記第1の内側部は、前記ガイド突起として、第1のガイド突起及び第2のガイド突起を有し、
前記第1のガイド突起は、前記外側部の手の甲側又は手のひら側で、前記第1のガイド縁又は前記第2のガイド縁と接触し、
前記第2のガイド突起は、前記第1のガイド突起とは反対側で、前記第1のガイド縁又は前記第2のガイド縁と接触する
ハンドモデル。
【0195】
実施例(6)
前記外側部は、前記ガイド部として、第3のガイド縁及び第4のガイド縁で挟まれた第2のガイド部を有し、
前記第1の内側部は、少なくとも1つの接続部を有し、
前記外側部は、前記第2のガイド部の範囲内での前記接続部の位置に応じて、第1のガイド突起及び第2のガイド突起の両方又は一方を、前記第1のガイド部内に収める
ハンドモデル。
【0196】
実施例(7)
前記第1の内側部は、前記接続部を介して、腕端部と接続している
ハンドモデル。
【0197】
実施例(8)
制限される前記1軸の回転が、前記内側部の中心を通り、前記中心部材の長手方向に延びる回転軸の周りのロール回転である
請求項1に記載のハンドモデル。
【0198】
実施例(9)
前記CM関節部は、拇指CM関節部を有し、
前記拇指CM関節部は、前記第1の外側部に対して固定的に取り付けられた第2の外側部と、前記第2の外側部内に回動可能に収容され、親指中手部と接続された第2の内側部と、を有する
ハンドモデル。
【0199】
実施例(10)
前記第2の外側部は、前記第2の内側部を、少なくとも部分的に、3軸の回転が可能であるように、収容する
ハンドモデル。
【0200】
実施例(11)
前記中指中手部が人差し指中手部と接続しており、
前記人差し指中手部はストッパー壁部を備え、
前記中指中手部は内側壁部を備え、
前記親指中手部の前記3軸の回転の範囲が、前記ストッパー壁部及び前記内壁部の少なくとも一方との接触により、制限される
ハンドモデル。
【0201】
実施例(12)
前記親指中手部が、回転に基づいて、第1の姿勢及び第2の姿勢を取り得て、
前記第1の姿勢では、前記3軸の回転の範囲が、前記ストッパー壁部との接触により、制限され、
前記第2の姿勢では、前記3軸の回転の範囲が、前記ストッパー壁部及び前記内壁部との接触により、制限される
ハンドモデル。
【0202】
実施例(13)
前記親指中手部が、接触突起部を有し、
前記親指中手部の前記3軸の回転の範囲が、前記接触突起部及び前記ストッパー壁部との接触により、制限される
ハンドモデル。
【0203】
実施例(14)
前記親指中手部が拡張部を有し、前記接触突起部は、前記拡張部に設けられており、
前記拡張部は、前記親指中手部の内部に少なくとも部分的に収容可能である
ハンドモデル。
【0204】
実施例(15)
前記接触突起部は、前記親指中手部の内部には収容されない
ハンドモデル。
【0205】
実施例(16)
前記拡張部は、前記接触突起部が前記人差し指中手部と接触したまま、前記拡張部の収容状態から拡張状態へ、移行可能である
ハンドモデル。
【0206】
実施例(17)
前記中指中手部は、第1の回動接続部を介して人差し指中手部と接続し、第2の回動接続部を介して薬指中手部と接続しており、
前記薬指中手部は、第3の回動接続部を介して小指中手部と接続しており、
前記第1の回動接続部から前記第3の回動接続部、及び、前記拇指CM関節部の回動状態に基づいて、前記親指中手部と前記小指中手部が接触可能である
ハンドモデル。
【0207】
実施例(18)
前記中指中手部は、直接又は間接的に、親指中手部、人差し指中手部、薬指中手部、小指中手部と接続しており、
これらの中手部の少なくとも1つは、MP関節部を介して、各指部の基節部と接続しており、
前記基節部は、前記MP関節部を介して、少なくとも2軸の回転が可能である
ハンドモデル。
【0208】
実施例(19)
前記2軸の回転が、前記基節部の長手方向に対するピッチ回転及びヨー回転を組み合わせた回転であり、
ピッチ角の0°からのずれに基づいて、前記2軸の回転の可能なヨー角の大きさが変化する
ハンドモデル。
【0209】
実施例(20)
前記ピッチ角の0°からのずれが大きくなるほど、前記2軸の回転の可能なヨー角が小さくなる
ハンドモデル。
【0210】
実施例(21)
前記各指部の中手部の遠位端と、前記各指部の基節部の近位端とが、前記ピッチ角の0°からのずれが大きくなるほど、より小さい前記ヨー角で接触し、それにより前記2軸の回転を制限する
ハンドモデル。
【0211】
実施例(22)
CM関節部及び中指中手部からなる中心部材と、
前記CM関節部は、第1の外側部及び拇指CM関節部を有し、
前記拇指CM関節部は、前記第1の外側部に対して固定的に取り付けられた第2の外側部と、前記第2の外側部内に回動可能に収容され、親指中手部と接続された第2の内側部と、を有する
ハンドモデル。
【0212】
実施例(23)
CM関節部及び中指中手部からなる中心部材を有し、
前記中指中手部は、直接又は間接的に、親指中手部、人差し指中手部、薬指中手部、小指中手部と接続しており、
これらの中手部の少なくとも1つは、MP関節部を介して、各指部の基節部と接続しており、
前記基節部は、前記MP関節部を介して、少なくとも2軸の回転が可能である
ハンドモデル。
【符号の説明】
【0213】
1…ハンドモデル、10…中手部、20…CM関節部、30…指部、40…MP関節部、50…IP関節部、51…PIP関節部、52…DIP関節部、60…腕端部、220…CM関節部20の外側部、300…CM関節部20の内側部、400…第1のガイド部、500…第2のガイド部、1011…拇指CM関節部、1100…接触突起部、1300…拡張部
【手続補正書】
【提出日】2024-08-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1中手部と、
第1指部と、
前記第1中手部と前記第1指部を接続する第1関節部と、
を有し、
前記第1指部は、前記第1関節部を介した前記第1中手部に対する移動であって、少なくとも第1回動軸の周りの第1回動と第2回動軸の周りの第2回動とを組み合わせた移動、が可能に構成されている、
ハンドモデル。
【請求項2】
前記第1関節部は少なくとも、第1関節基部と第1関節回動部と、を有し、
前記第1関節基部は、前記第1関節部の近位接続部と、回動支持部と、を有し、
前記第1関節回動部は、前記第1関節部の遠位接続部と、前記回動支持部を取り囲む少なくとも1つの穴部と、を有し、
前記第1関節部は、前記近位接続部で前記第1中手部と接続しており、
前記第1関節部は、前記遠位接続部で前記第1指部と接続しており、
前記穴部は、前記第1関節回動部が、前記回動支持部に対して、前記第1回動軸の周りの前記第1回動と前記第2回動軸の周りの前記第2回動とを組み合わせた移動が可能であるように、前記回動支持部を取り囲んでいる、
請求項1に記載のハンドモデル。
【請求項3】
前記第1回動は、前記第1中手部に対する前記第1指部の掌屈及び/又は背屈に関するピッチ回動、であり、
前記第2回動は、前記第1中手部に対する前記第1指部の撓屈及び/又は尺屈に関するヨー回動、であり、
前記第1指部の移動は、前記ピッチ回動の大きさに関連して、前記ヨー回動の可動範囲の大きさが変化する、
請求項2に記載のハンドモデル。
【請求項4】
前記第1中手部と、前記第1指部とが、前記掌屈及び/又は前記背屈に関する前記ピッチ回動が最大の場合に、前記第1指部が前記第1中手部にはまり込んで、前記ヨー回動を妨げるような、輪郭形状を有している、
請求項3に記載のハンドモデル。
【請求項5】
前記第1中手部が、拡張部と、前記拡張部を少なくとも部分的に収容可能な第1中手部本体部と、を有し、
前記拡張部は、前記第1中手部本体部に対して回動可能に接続されており、
前記拡張部は、前記拡張部の前記第1中手部本体部に対する回動に応じて、前記第1中手部本体部内に収容された状態と、前記第1中手部本体部外に露出された状態と、を取ることができる拡張部本体部、を有する、
請求項1から4のいずれか一項に記載のハンドモデル。
【請求項6】
第2関節部と、
前記第1中手部を前記第2関節部に対して移動可能に接続する第3関節部と、
前記第2関節部と直接的または間接的に接続している第2中手部と、
を更に有し、
前記拡張部本体部が前記第1中手部本体部外に露出された状態での前記第2中手部から離れる第1方向への前記第1中手部の可動範囲が、前記拡張部本体部が前記第1中手部本体部内に収容された状態での前記第1方向への前記第1中手部の可動範囲よりも、大きい、
請求項5に記載のハンドモデル。
【請求項7】
前記第2中手部は、中空部と、前記中空部を少なくとも部分的に取り囲む第2中手部本体部であって、前記拡張部との接触に基づいて前記第1中手部の前記第2関節部に対する移動を制限する第2中手部本体部と、を有する、
請求項6に記載のハンドモデル。
【請求項8】
前記拡張部は、前記第2中手部本体部と接触する接触位置に基づいて、前記第1中手部の前記第2関節部に対する移動を制限する、突起部を有し、
前記拡張部は、前記突起部が前記接触位置で前記第2中手部本体部の一部と接触した状態で、前記拡張部本体部が、前記拡張部の前記第1中手部本体部に対する回動に応じて、前記第1中手部本体部内に収容された状態と、前記第1中手部本体部外に露出された状態と、を取ることができるように、前記第1中手部本体部に対して回動可能に接続されている、
請求項7に記載のハンドモデル。
【請求項9】
第3中手部と、
前記第2関節部に対して移動可能であるように、且つ、前記拡張部と前記第2中手部本体部とが接触したまま、前記第3中手部に対して移動可能であるように、前記第2中手部を前記第3中手部と、接続する第1接続部と、
を更に有する、
請求項8に記載のハンドモデル。
【請求項10】
第4中手部と、
第5中手部と、
前記第2関節部に対して移動可能であるように、前記第4中手部を前記第3中手部と、接続する第2接続部と、
前記第2関節部に対して移動可能であるように、前記第5中手部を前記第4中手部と、接続する第3接続部と、
を更に有する、
請求項9に記載のハンドモデル。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。