(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124448
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】作業車
(51)【国際特許分類】
A01C 11/02 20060101AFI20240905BHJP
B62D 49/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A01C11/02 350H
B62D49/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024103822
(22)【出願日】2024-06-27
(62)【分割の表示】P 2022176258の分割
【原出願日】2015-12-25
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】直本 哲
(72)【発明者】
【氏名】森下 孝文
(72)【発明者】
【氏名】青田 和樹
(72)【発明者】
【氏名】宮本 惇平
(72)【発明者】
【氏名】久保田 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】石見 憲一
(72)【発明者】
【氏名】宮西 吉秀
(72)【発明者】
【氏名】永田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】吉田 和正
(72)【発明者】
【氏名】目野 鷹博
(57)【要約】
【課題】走行機体の自動操向制御を用いて作業装置による作業を正確に行うことが可能となる乗用型田植機を提供する。
【解決手段】座席41を有した機体Cと、機体Cの後部に連結された苗植付装置Wと、衛星測位システムにより位置情報を取得する受信装置63とが備えられる。機体Cの幅方向における座席41よりも外側において、少なくとも機体Cの一部が、座席41の前端部よりも後方に位置する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
座席を有した機体と、
前記機体の後部に連結された苗植付装置と、
衛星測位システムにより位置情報を取得する受信装置と、を備え、
前記機体の幅方向における前記座席よりも外側において、
少なくとも前記機体の一部が、前記座席の前端部よりも後方に位置する乗用型田植機。
【請求項2】
前記機体が予備苗収容装置を有し、
前記予備苗収容装置は、複数の予備苗載置台を備え、複数の前記予備苗載置台が前記機体の上下方向に並ぶ第1状態と、複数の前記予備苗載置台が前記機体の前後方向に並ぶ第2状態とに切り換え可能であり、
前記予備苗収容装置の前記第2状態において、複数の前記予備苗載置台のうちの後から1番目の前記予備苗載置台の後端側部が、側面視で、前記座席の前端部よりも後方に位置する請求項1に記載の乗用型田植機。
【請求項3】
前記機体の幅方向における前記座席よりも外側、且つ、前記予備苗収容装置の後方において、機体部分から上方向きに立設された手摺りを備える請求項2に記載の乗用型田植機。
【請求項4】
前記手摺りの前端部が、前記座席の後端部よりも前方に位置する請求項3に記載の乗用型田植機。
【請求項5】
前記予備苗収容装置の前記第2状態において、前記後から1番目の前記予備苗載置台が、側面視で、前記座席と重複している請求項2~4のいずれか1項に記載の乗用型田植機。
【請求項6】
前記予備苗収容装置の前記第2状態において、前記後から1番目の前記予備苗載置台の前記後端側部が運転部の乗降口に入り込む請求項2~5のいずれか1項に記載の乗用型田植機。
【請求項7】
座席を有した機体と、
前記機体の後部に連結された苗植付装置と、
衛星測位システムにより位置情報を取得する受信装置と、を備え、
前記機体の幅方向における前記座席よりも外側において、
少なくとも前記機体の一部が、前記座席の後端部よりも前方に位置する乗用型田植機。
【請求項8】
前記機体の幅方向における前記座席よりも外側において機体部分から上方向きに立設された手摺りの前端部が、前記座席の後端部よりも前方に位置する請求項7に記載の乗用型田植機。
【請求項9】
前記機体が前輪及び後輪を有し、
前記受信装置の前端部が前記前輪の前端部よりも前方に位置する請求項1から8のいずれか1項に記載の乗用型田植機。
【請求項10】
前記受信装置の前端部が前記機体の前端部よりも後方に位置する請求項1から9のいずれか1項に記載の乗用型田植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行機体の自動操向制御が可能な作業車に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の作業車が、例えば、下記特許文献1に記載されている。この作業車には、走行装置(特許文献1では「前車輪」「後車輪」)を有する走行機体と、圃場に対する作業を行う作業装置(特許文献1では「苗植付作業装置」)と、走行装置を操向可能な操向ユニット(特許文献1では「パワステバルブ」「パワステシリンダ」「自動制御弁」等)と、が備えられている。さらに、この作業車には、衛星測位システムにより位置情報を取得する受信装置(特許文献1では「GPS受信機」)と、取得される位置情報に基づいて走行機体が直進走行するように、操向ユニットを制御する制御部(特許文献1では「コントローラ」)と、が備えられている。この作業車は、受信装置で取得される位置情報のみに基づいて操向ユニットを制御し、走行機体の自動操向制御を行うようになっている。
【0003】
また、下記特許文献2には、衛星測位システムにより位置情報を取得する受信装置と慣性情報を計測する慣性計測装置とが一体となった計測ユニットが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001-161112号公報
【特許文献2】米国特許第7346452号明細書(Fig.1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、衛星測位システムにより受信装置から取得される位置情報は、実際の位置とのズレが大きくなる場合もあり、そのような場合、上記特許文献1に記載の作業車では、走行機体の自動操向制御を用いて作業装置による作業を正確に行うことが難しくなっていた。
【0006】
また、電波障害等が生じやすい状況下では、受信装置により取得される位置情報の情報量が不十分となり、走行機体の自動操向制御を行うこと自体が難しくなっていた。
【0007】
このため、上記特許文献1に記載の作業車に、上記特許文献2に記載のように、衛星測位システムにより位置情報を取得する受信装置と慣性情報を計測する慣性計測装置とが一体となった計測ユニットを搭載し、受信装置により取得される位置情報と、慣性計測装置により計測される慣性情報と、に基づいて、走行機体の自動操向制御を行い、作業装置による作業の正確性をより向上させることが検討された。
【0008】
本発明の目的は、走行機体の自動操向制御を用いて作業装置による作業を正確に行うことが可能となる作業車を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の作業車は、走行装置を有する走行機体と、前記走行装置を操向可能な操向ユニットと、衛星測位システムにより位置情報を取得する受信装置と、慣性計測装置と、前記受信装置からの情報及び前記慣性計測装置からの情報に基づいて前記前記操向ユニットを制御する制御部と、が備えられ、前記走行機体の前部に設けられたボンネットが備えられ、前記ボンネットの上方を延びるフレームが備えられ、前記受信装置と前記慣性計測装置と、が前記走行機体における同じ箇所である前記フレームに支持されている。
また、本発明の作業車は、走行装置を有する走行機体と、前記走行装置を操向可能な操向ユニットと、衛星測位システムにより位置情報を取得する受信装置と、前記走行機体の傾きを検出する副慣性計測装置と、前記位置情報に基づいて、前記操向ユニットを制御する制御部と、が備えられ、前記受信装置と前記副慣性計測装置と、が前記走行機体における同じ箇所に配置されている。
また、本発明の作業車は、走行装置を有する走行機体と、圃場に対する作業を行う作業装置と、前記走行装置を操向可能な操向ユニットと、衛星測位システムにより位置情報を取得する受信装置と、慣性情報を計測する慣性計測装置と、前記走行機体を走行させる目標ラインを生成する生成部と、前記位置情報、及び、前記慣性情報に基づいて、前記走行機体が前記目標ラインに沿って走行するように、前記操向ユニットを制御する制御部と、が備えられ、前記受信装置と、前記慣性計測装置と、が前記走行機体における異なる箇所に配置されているものである。
【0010】
本発明によると、衛星測位システムにより位置情報を取得する受信装置と、慣性情報を計測する慣性計測装置と、が走行機体における異なる箇所に配置されている。
このため、例えば、受信装置を揺れが比較的大きくなる箇所に配置して、受信装置の位置情報の取得精度を向上できるとともに、慣性計測装置を揺れが比較的小さくなる箇所に配置して、慣性計測装置により計測される慣性情報の誤差を少なくできる。つまり、受信装置により取得される位置情報の精度と慣性計測装置により計測される慣性情報の精度との両方が向上し、受信装置と慣性計測装置との特性が両方とも生かすことが可能になる。
これにより、高精度の位置情報及び慣性情報を用いて操向ユニットの操向制御を行うことが可能になり、走行機体及び作業装置が目標ラインに沿って走行するように走行機体を正確に自動操向制御できるものとなる。
したがって、本発明によれば、走行機体の自動操向制御を用いて作業装置による作業を正確に行うことが可能となる。
【0011】
上記構成において、
前記慣性計測装置が、前記走行機体及び前記作業装置の前後方向における全長のうち前後方向中心の近傍の箇所に配置されていると好適である。
【0012】
本構成によれば、走行機体及び作業装置の前後方向における全長のうち前後方向中心の近傍の箇所は、例えば、走行機体及び作業装置の全体の旋回中心となるヨー軸の近傍に位置する箇所となっている。このような箇所に慣性計測装置を配置することにより、慣性計測装置により計測される慣性情報の誤差が小さくなり、慣性情報の正確な計測を行いやすくなる。
【0013】
上記構成において、
前記慣性計測装置が、前記走行装置の後車軸の近傍に位置する取付部材に取り付けられていると好適である。
【0014】
本構成によれば、走行装置の後車軸の近傍に位置する取付部材は、走行機体の走行中に揺れが生じにくくなっている。このような取付部材に慣性計測装置を取り付けることにより、慣性計測装置により計測される慣性情報の誤差が小さくなり、慣性情報の正確な計測を行いやすくなる。
【0015】
上記構成において、
前記作業装置が、圃場に対する苗の植え付けが可能な苗植付装置であり、
前記苗植付装置に補給するための予備苗を載置可能な複数の予備苗台と、
前記予備苗台を支持する左右一対の予備苗フレームと、
左右の前記予備苗フレームの上部に亘って連結される連結フレームと、が備えられ、
前記受信装置が、前記連結フレームに取り付けられていると好適である。
【0016】
本構成によれば、予備苗台を支持する左右の予備苗フレームを連結する、ある程度高い箇所に設置される連結フレームに受信装置が取り付けられているので、電波を遮る遮蔽物の少ない箇所に受信装置を配置できる。これにより、受信装置により取得される位置情報に途切れが生じにくくなる。また、走行中に予備苗フレームや連結フレームは揺れが比較的生じやすいので、例えば、受信装置により取得される位置情報に基づく走行機体が進行する方向の方位の検出精度を向上できる。
【0017】
上記構成において、
前記連結フレームは、前記受信装置が前記予備苗フレームの上端部よりも上方に位置する使用状態と、前記使用状態に対して上下反転し、前記受信装置が前記予備苗フレームの上端部よりも下方に位置する格納状態と、に状態変更可能となっていると好適である。
【0018】
本構成によれば、連結フレームを使用状態にすることにより、受信装置を予備苗フレームの上端部よりも高い箇所に位置するものとなるので、受信装置の使用時の電波の受信感度を向上できる。一方、連結フレームを格納状態にすることにより、予備苗フレームの上端部よりも低い箇所に位置するものとなるので、例えば、走行機体を納屋等に収容する際に、受信装置が邪魔にならず、例えば、納屋の入口上部等に受信装置をぶつけてしてしまう等の不都合を回避できる。
【0019】
上記構成において、
前記連結フレームが、左右方向に沿った左右軸心周りに回動可能、且つ、前記使用状態と前記格納状態で位置固定可能に、左右の前記予備苗フレームに支持されていると好適である。
【0020】
本構成によれば、連結フレームが左右軸心周りに回動可能となっているので、連結フレームを、受信装置を使用する使用状態と、受信装置を格納する格納状態と、に状態変更をしやすいものとなる。
【0021】
上記構成において、
前記連結フレームが、左右の前記予備苗フレームに対して着脱可能となっていると好適である。
【0022】
本構成によれば、連結フレームが着脱可能となっているので、受信装置を使用しない場合には、使用状態の連結フレームを予備苗フレームから取り外して、連結フレームを格納状態にして予備苗フレームに取り付けておくことができる。
【0023】
上記構成において、
前記受信装置に、ハーネスを接続するコネクタ部が備えられ、
前記コネクタ部が、前記受信装置から左右方向外側に延びていると好適である。
【0024】
本構成によれば、受信装置においてハーネスを接続するコネクタ部が、受信装置から左右方向外側に延びているので、例えば、コネクタ部を受信装置から前側に延ばす場合に比べて、走行中に前方から接近する木の枝等の障害物に受信装置のコネクタ部をぶつけにくくなる。
【0025】
上記構成において、
前記受信装置に、ハーネスを接続するコネクタ部が備えられ、
前記コネクタ部を保護するガード部材が備えられていると好適である。
【0026】
本構成によれば、走行中に木の枝等の障害物がコネクタ部に衝突しないようにガード部材により好適に保護されるものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図5】自動操向制御に係る制御構成を示すブロック図である。
【
図6】自動操向制御の動作を説明する上面視の説明図である。
【
図7】目標ラインの生成等について説明する上面視の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面に基づいて説明する。
図1~
図3に示されるように、農作業車のうちの植播系水田作業車である乗用型の田植機(「作業車」の一例)には、走行装置Aを有する走行機体Cと、圃場に対する作業を行う作業装置と、が備えられている。田植機の作業装置は、圃場に対する苗の植え付けが可能な苗植付装置Wである。なお、
図2に示す矢印Fが走行機体Cの「前」、矢印Bが走行機体Cの「後」、矢印Lが走行機体Cの「左」、矢印Rが走行機体Cの「右」である。
【0029】
図1に示されるように、走行装置Aとしては、左右一対の前車輪10と左右一対の後車輪11とが備えられている。走行機体Cには、走行装置Aにおける左右の前車輪10を操向可能な操向ユニットUが備えられている。
【0030】
図1~
図3に示されるように、走行機体Cの前部には、開閉式のボンネット12が備えられている。ボンネット12内には、エンジン13が備えられている。ボンネット12の先端位置には、指標ラインLN(
図6参照)を確認するための棒状のセンターマスコット14が備えられている。
図1、
図3に示されるように、走行機体Cには、前後方向に沿って延びる枠状の機体フレーム15が備えられている。機体フレーム15の前部には、支持支柱フレーム16が立設されている。
【0031】
〔苗植付装置について〕
図1に示されるように、苗植付装置Wは、油圧シリンダで構成される昇降シリンダ20の伸縮作動により昇降作動するリンク機構21を介して、走行機体Cの後端に昇降自在に連結されている。
【0032】
図1、
図2に示されるように、苗植付装置Wには、4個の伝動ケース22、各伝動ケース22の後部の左側部及び右側部に回転自在に支持された回転ケース23、各回転ケース23の両端部に備えられた一対のロータリ式の植付アーム24、圃場の田面を整地する複数の整地フロート25、植え付け用のマット状苗が載置される苗載せ台26等が備えられている。つまり、苗植付装置Wは、8条植え型式に構成されている。
【0033】
このように構成された苗植付装置Wは、苗載せ台26を左右に往復横送り駆動しながら、伝動ケース22から伝達される動力により各回転ケース23を回転駆動して、苗載せ台26の下部から各植付アーム24により交互に苗を取り出して圃場の田面に植え付けるようになっている。
【0034】
〔予備苗台について〕
図1~
図3に示されるように、走行機体Cにおけるボンネット12の左右側部には、苗植付装置Wに補給するための予備苗を載置可能な複数(例えば4つ)の通常予備苗台28(「予備苗台」の一例)、苗植付装置Wに補給するための予備苗を載置可能な1つのレール式予備苗台29(「予備苗台」の一例)が備えられている。また、走行機体Cにおけるボンネット12の左右側部には、各通常予備苗台28とレール式予備苗台29とを支持する左右一対の予備苗フレーム30と、左右の予備苗フレーム30の上部に亘って連結される連結フレーム31と、が備えられている。連結フレーム31は、前面視で、U字状の形状となっている。連結フレーム31の左右端部は、それぞれ、連結ブラケット32を介して、左右の予備苗フレーム30の上部に連結されている。
【0035】
〔マーカ装置について〕
図1に示されるように、苗植付装置Wの左右側部には、それぞれ、圃場の田面に指標ラインLN(
図6、
図7参照)を形成するためのマーカ装置33が備えられている。左右のマーカ装置33は、それぞれ、圃場の田面に接地して走行機体Cの走行に伴い圃場の田面に指標ラインLNを形成する作用姿勢、及び、圃場の田面から上方に離れた格納姿勢に操作自在に構成されている。
【0036】
図1に示されるように、左右のマーカ装置33には、それぞれ、上下に揺動自在に苗植付装置Wに支持されたマーカアーム34と、マーカアーム34の先端部に自由回転自在に支持された周方向に複数の凸部体を有する回転体35と、が備えられている。また、左右右のマーカ装置33を作用姿勢及び格納姿勢に操作するマーカ用電動モータ(図示なし)が備えられている。各マーカ装置33は、作用姿勢にすることにより、走行機体Cの操向に伴って回転体35が地面を転動して、上面視で、点線状の指標ラインLN(
図6参照)を形成するようになっている。
【0037】
〔運転部について〕
図1~
図3に示されるように、走行機体Cの中央部には、各種の運転操作が行われる運転部40が備えられている。運転部40には、運転者が着座可能な運転座席41、操縦塔42、前車輪10の手動の操向操作用のステアリングホイールにより構成される操向ハンドル43、前後進の切り換え操作や走行速度を変更操作が可能な主変速レバー44、操作レバー45等が備えられている。運転座席41は、走行機体Cの中央部に備えられている。操縦塔42に、操向ハンドル43、主変速レバー44、操作レバー45等が操作自在に備えられている。運転部40の足元部位には、搭乗ステップ46が設けられている。搭乗ステップ46の左右の外側位置には、補助ステップ47が設けられている。ボンネット12の左右両側には、搭乗ステップ46に段差なく連なる乗降通路としての乗降ステップ48が設けられている。乗降ステップ48の横外側に、左右の予備苗フレーム30がそれぞれ配置されている。
【0038】
〔操作レバーについて〕
図2、
図3に示される操作レバー45は、操向ハンドル43の下側の右横側に備えられている。詳細な図示はしないが、操作レバー45は中立位置から、上方の上昇位置、下方の下降位置、後方の右マーカ位置、及び、前方の左マーカ位置、の十字方向に操作自在に構成され、中立位置に付勢されている。
【0039】
操作レバー45を上昇位置に操作すると、植付クラッチ(図示なし)が遮断状態に操作されて、苗植付装置Wが上昇し、左右のマーカ装置33(
図1参照)が格納姿勢に操作される。操作レバー45を下降位置に操作すると、植付クラッチ(図示なし)が遮断状態に操作され、左右のマーカ装置33が格納姿勢に操作され、苗植付装置Wが下降する。中央の整地フロート25が圃場の田面に接地すると、苗植付装置Wが圃場の田面に接地して停止した状態となる。
【0040】
操作レバー45を右マーカ位置に操作すると、右のマーカ装置33が格納姿勢から作用姿勢になる。操作レバー45を左マーカ位置に操作すると、左のマーカ装置33が格納姿勢から作用姿勢になる。
【0041】
運転部40の操縦塔42には、押圧操作式の自動操向スイッチ50(
図5参照)が備えられている。自動操向スイッチ50は、操向ユニットUの自動操向の入り切りの切り換え操作を行うことが可能に構成されている。また、主変速レバー44には、操向ユニットUの自動操向制御に用いるティーチング方向TA(
図6参照)を登録するための登録スイッチ52(
図5参照)が備えられている。登録スイッチ52には、押圧操作式の第一登録ボタン52Aと、押圧操作式の第二登録ボタン52Bと、が備えられている。
【0042】
〔操向ユニットについて〕
図4に示されるように、操向ユニットUには、上述の操向ハンドル43、操向ハンドル43に連動連結されるステアリング操作軸54、ステアリング操作軸54の回動に伴って揺動するピットマンアーム55、ピットマンアーム55に連動連結される左右の連繋機構56、ステアリングモータ58、ステアリング操作軸54にステアリングモータ58を連動連結するギヤ機構57等が備えられている。
【0043】
ステアリング操作軸54は、ピットマンアーム55、左右の連繋機構56を介して、左右の前車輪10に、それぞれ、連動連結されている。ステアリング操作軸54の回転量は、ステアリング操作軸54の下端部に備えられるロータリエンコーダからなる操向角センサ60(
図5参照)により検出されるようになっている。
【0044】
操向ユニットUの手動操向を行う場合には、運転者が操向ハンドル43を操作する操作力に、ステアリングモータ58による操向ハンドル43の操作に応じた補助力を付与してステアリング操作軸54を回動操作し、前車輪10の操向角度を変更するようになっている。一方、操向ユニットUの自動操向を行う場合には、ステアリングモータ58を駆動して、ステアリングモータ58の駆動力によりステアリング操作軸54を回動操作し、前車輪10の操向角度を変更するようになっている。
【0045】
〔受信装置を有する計測ユニットと慣性計測装置について〕
図1~
図3、
図5に示されるように、走行機体Cには、衛星測位システムにより位置情報を取得する受信装置63及び主に、走行機体Cの傾き(ピッチ角、ロール角)を検出可能な副慣性計測装置64(「慣性計測装置」に相当)を有する計測ユニット61と、慣性情報を計測する主慣性計測装置62と、が備えられている。
【0046】
主慣性計測装置62、及び、副慣性計測装置64は、それぞれ、IMU(Inertial Measurement Unit)により構成されている。
【0047】
受信装置63及び副慣性計測装置64を有する計測ユニット61と、主慣性計測装置62と、は走行機体Cにおける異なる箇所に配置されている。また、受信装置63及び副慣性計測装置64を有する計測ユニット61と、主慣性計測装置62と、は走行機体Cにおける左右中心線CL上に配置されている。
【0048】
上述の衛星測位システム(GNSS:Global Navigation Satelite System)には、その代表的なものとしてGPS(Global Positioning System)が挙げられる。GPSは、地球の上空を周回する複数のGPS衛星や、GPS衛星の追跡と管制を行う管制局や、測位を行う対象(走行機体C)が備える受信装置63を使用して受信装置63の位置を計測するものである。受信装置63は、衛星測位システムにより走行機体Cの位置情報を取得するために用いられる。
【0049】
図1~
図3に示されるように、受信装置63を有する計測ユニット61は、板状の支持プレート65を介して、連結フレーム31に取り付けられている。受信装置63を有する計測ユニット61は、走行機体Cの前部位置(特に、前車輪10よりも前側)に配置されている。このため、走行機体Cが進行方位を変更した場合には、走行機体Cの後端位置と比較して走行機体Cの前部位置の方が左右方向への変位量が大きく、受信装置63により取得される走行機体Cの自機位置NMの変化を高感度で検知できる。
【0050】
図3等に示されるように、連結フレーム31は、受信装置63を有する計測ユニット61が予備苗フレーム30の上端部よりも上方に位置する使用状態S1と、使用状態S1に対して上下反転し、受信装置63が予備苗フレーム30の上端部よりも下方に位置する格納状態S2と、に状態変更可能となっている。説明を加えると、連結フレーム31は、左右方向に沿った左右軸心X周りに回動可能、且つ、連結ブラケット32により、使用状態S1と格納状態S2の各状態で位置固定可能に、左右の予備苗フレーム30に支持されている。
【0051】
図1、
図3等に示されるように、連結フレーム31を使用状態S1にすることにより、受信装置63が、連結フレーム31と予備苗フレーム30とにより、高い箇所に支持されるものとなるので、走行機体Cの走行に伴い、予備苗フレーム30と連結フレーム31の撓みにより、受信装置63が揺れやすく、受信装置63により取得される位置情報に基づく走行機体Cの自機位置NMや自機方位NAの検出を精度よく行うことができる。さらに、連結フレーム31を使用状態S1にすることにより、受信装置63が走行機体Cにおける最上位の箇所に位置するものとなるため、受信装置63の電波の受信感度を高めることができ、受信装置63に電波障害が生じにくいものとなる。
【0052】
図2、
図3に示されるように、計測ユニット61の受信装置63には、ハーネス66を接続するコネクタ部67が備えられている。コネクタ部67は、計測ユニット61の受信装置63から左右方向外側に延びている。ハーネス66は、連結フレーム31、予備苗フレーム30に沿わせて配索されている。さらに、コネクタ部67を保護するガード部材68が備えられている。ガード部材68は、支持プレート65に取り付けられている。ガード部材68は、コネクタ部67の前側を保護するようになっている。
【0053】
図1に示されるように、主慣性計測装置62は、走行機体C及び苗植付装置Wの前後方向における全長のうち前後方向中心の近傍の箇所に配置されている。説明を加えると、主慣性計測装置62は、走行機体Cの進行方向の旋回中心(走行機体Cのヨー軸の軸心)の近傍に配置されている。
【0054】
具体的には、走行機体Cの後部には、後車輪11に駆動力を伝達する後車軸72を回動自在に支持する後車軸フレーム73(「取付部材」に相当)が備えられている。後車軸フレーム73は、走行装置Aの後車軸72の近傍に位置する剛性を有する部材となっている。主慣性計測装置62は、この後車軸フレーム73に取り付けられている。
【0055】
説明を加えると、
図1、
図2に示されるように、主慣性計測装置62は、苗植付装置Wの近傍に位置している。また、主慣性計測装置62は、運転座席41の後側下方に位置している。
【0056】
図5に示されるように、主慣性計測装置62には、主に、走行機体Cのヨー角度(走行機体Cの旋回角度)の角速度を検出可能なジャイロセンサ70と、互いに直交する3軸方向の加速度を検出可能な加速度センサ71と、が備えられている。つまり、主慣性計測装置62により計測される慣性情報には、ジャイロセンサ70により検出される方位変化情報と、加速度センサ71により検出される位置変化情報と、が含まれている。上述のように、主慣性計測装置62を、走行機体Cの進行方向の旋回中心の近傍に配置していることから、ジャイロセンサ70に生じる方位変化情報の積算誤差を小さく抑えることが可能になるとともに、加速度センサ71による位置変化情報の検出精度が高いものとなる。
【0057】
〔制御構成について〕
図5に示されるように、走行機体Cには、操向ユニットUの自動操向についての制御を行う制御装置75が備えられている。制御装置75には、情報記憶部76と、ティーチング記憶部77と、旋回検出部78と、開始判定部79と、情報補正部80と、走行機体Cを走行させる目標ラインLMを生成する生成部81と、状態検出部82と、位置情報、及び、慣性情報に基づいて、走行機体Cが目標ラインLMに沿って走行するように、操向ユニットUを制御する制御部83と、が備えられている。
【0058】
制御装置75には、受信装置63と、副慣性計測装置64と、主慣性計測装置62におけるジャイロセンサ70、加速度センサ71、操向角センサ60、自動操向スイッチ50、登録スイッチ52等の情報が入力されている。
【0059】
情報記憶部76は、受信装置63から取得される位置情報を、時間毎に記憶していくように構成されている。
【0060】
ティーチング記憶部77は、登録スイッチ52の操作に基づいて、情報記憶部76に記憶された位置情報のうち2点の位置情報を用いて、ティーチング方向TAを算出するように構成されている。
【0061】
旋回検出部78は、操向角センサ60から入力される操向ユニットUのステアリング操作軸54の操向角情報に基づいて、走行機体Cの旋回開始、及び、走行機体Cの旋回終了を検出するように構成されている。
【0062】
開始判定部79は、走行機体Cの自動操向制御を開始するか否かの判定を行うように構成されている。
【0063】
情報補正部80は、走行機体Cの自動操向制御の開始毎に、主慣性計測装置62により計測される慣性情報のうちジャイロセンサ70により検出される情報の積算誤差を、受信装置63により取得される位置情報、及び、副慣性計測装置64により計測される情報と、に基づいて補正処理を行うように構成されている。
【0064】
生成部81は、ティーチング方向TAと、走行機体Cの自動操向制御の開始時の自機位置NM、及び、自機方位NAに基づいて、目標ラインLMを生成するように構成されている。
【0065】
状態検出部82は、走行機体Cの自動操向制御中に、走行機体Cの自機位置NMと目標ラインLMとの距離偏差(ズレ距離)と、走行機体Cの自機方位NAとティーチング方向TAとの角度偏差(ズレ角度)と、を検出するように構成されている。
【0066】
制御部83は、状態検出部82から入力される情報に基づいて、操向ユニットUのステアリングモータ58の駆動を制御するように構成されている。
【0067】
〔自動操向制御について〕
一例として、上面視で四角形の水田において苗の植え付け作業を行う場合について説明する。
図6に示されるように、まず、走行機体Cを圃場内の畦際の或る第一位置Q1に位置させ、登録スイッチ52の第一登録ボタン52A(
図5参照)を操作する。そして、苗植付装置Wを上昇させ、且つ、整地フロート25を接地させた状態で、第一位置Q1から側部側の畦際の直線形状に沿って、走行機体Cを直進走行させ、反対側の畦際近くの第二位置Q2まで移動させてから、登録スイッチ52の第二登録ボタン52B(
図5参照)を操作する。これにより、第一位置Q1において受信装置63により取得された位置情報と第二位置Q2において受信装置63により取得された位置情報とから、第一位置Q1と第二位置Q2とを結ぶ方向であるティーチング方向TAが生成される。
【0068】
次に、
図6に示されるように、操向ハンドル43の操作により、走行機体Cを手動で旋回させる。操向角センサ60により、走行機体Cの旋回開始が検出されると、苗植付装置W、整地フロート25、マーカ装置33とが、圃場の田面から自動的に上昇される。走行機体Cの旋回が終了すると、走行機体Cの旋回終了位置Q3が、操向角センサ60の検出結果に基づいて検出される。
【0069】
走行機体Cの旋回終了位置Q3が検出されてから一定時間が経過するまで、且つ、自機方位NAとティーチング方向TAとのズレ角度が所定範囲内となるまで、自動操向スイッチ50の操作入力を受け付けない不感帯が設定されている。つまり、走行機体Cの状態が不感帯にある間は、自動操向スイッチ50が操作されても、自動操向制御は開始されない。走行機体Cの状態が不感帯にある間に、運転者は、センターマスコット14の先端部を見る目線の先に、指標ラインLNが合致するように、操向ユニットUを手動操向して、走行機体Cの位置合わせを行うことができる。
【0070】
そして、走行機体Cの状態が不感帯を抜けると、自動操向スイッチ50の操作入力が受け付けられ、自動操向スイッチ50が操作されると、制御開始位置Q4において受信装置63における位置情報い基づく走行機体Cの自機位置NM、自機方位NAが記憶される。そして、受信装置63が設置されている位置から、走行機体Cの自機方位NAの方向に所定距離離れた箇所から、ティーチング方向TAと平行な直線状の目標ラインLMが生成される。これとともに、主慣性計測装置62により計測される情報が、受信装置63により取得された自機位置NMの位置情報、及び、受信装置63により取得された自機位置NMの位置情報と直前位置の位置情報に基づいて算出された自機方位NAに基づいて補正される。
【0071】
なお、
図6では、図示の都合上、マーカ装置33により形成された指標ラインLNと、目標ラインLMとを少しずらしてあるが、実際は、運転者の目線が、センターマスコット14の先端部と指標ラインLNとが一致するように、手動の位置合わせが行われるので、指標ラインLNと略一致するように目標ラインLMが生成される。
【0072】
そして、これとともに、主に主慣性計測装置62に基づく、走行機体Cの自動操向制御が開始される。つまり、自動操向制御においては、主慣性計測装置62が主に用いられ、受信装置63が主慣性計測装置62の補正用に用いられる。具体的には、制御開始位置Q4における受信装置63により取得された位置情報に基づく自機位置NMと自機方位NAと、主慣性計測装置62のジャイロセンサ70により計測される角速度を積分処理して求められる方位変化情報と、主慣性計測装置62の加速度センサ71により計測される加速度を積分処理して求められる位置変化情報と、に基づいて、現在の自機位置NMや自機方位NAを求める。そして、現在の自機位置NMや自機方位NAが、目標ラインLM、ティーチング方向TAと合致するように操向ユニットUの自動操向が行われ、走行機体Cの自動操向制御が行われる。
【0073】
走行機体Cの自動操向制御中に、自機方位NAとティーチング方向TAとの角度偏差(ズレ角度)がなく、自機位置NMと目標ラインLMとの距離偏差(ズレ距離)がない場合、操向ユニットUは操向制御されない。
また、走行機体Cの自動操向制御中に、自機方位NAとティーチング方向TAとの角度偏差(ズレ角度)があり、自機位置NMと目標ラインLMとの距離偏差(ズレ距離)がない場合、操向ユニットUは、自機方位NAとティーチング方向TAとの角度偏差(ズレ角度)をなくす方向に操向制御される。
また、走行機体Cの自動操向制御中に、自機方位NAとティーチング方向TAとの角度偏差(ズレ角度)があり、自機位置NMと目標ラインLMとの距離偏差(ズレ距離)がある場合には、操向ユニットUは、自機方位NAとティーチング方向TAとの角度偏差(ズレ角度)をなくす方向に操向制御される。
また、走行機体Cの自動操向制御中に、自機方位NAとティーチング方向TAとの角度偏差(ズレ角度)がなく、自機位置NMと目標ラインLMとの距離偏差(ズレ距離)がある場合、操向ユニットUは、自機位置NMと目標ラインLMとの距離偏差(ズレ距離)をなくす方向に操向制御される。
これにより、走行機体Cが、目標ラインLMに沿って正確に走行するものとなる。
【0074】
このように、走行機体Cの自動操向制御中には、受信装置63により取得される位置情報が必須ではないので、仮に、走行機体Cの自動操向制御中に、受信装置63に電波障害等が発生した場合であっても、主慣性計測装置62により計測される慣性情報に基づいて走行機体Cの自動操向制御を継続でき、苗植付装置Wによる苗の植え付けを目標ラインLMに沿って正確に行うことができる。
【0075】
そして、走行機体Cが畦際に接近すると、運転者が自動操向スイッチ50を操作することにより、走行機体Cの自動操向制御が停止され、手動操向に切り換わる。そして、畦際で同様に旋回操作を行い、同様の操作を繰り返して、圃場への苗の植え付けを行ってゆく。これにより、運転者は、苗植付装置Wによる圃場への苗の植え付け中に操向ハンドル43の手動操作を行う必要がなく、苗の植え付け作業を、より正確に、より簡単に行うことができる。
【0076】
〔自機位置の設定について〕
図7に示されるように、受信装置63は、走行機体Cの前部に配置されているが、データ処理の基準となる自機位置NMは、受信装置63の実際の設置位置ではなく、主慣性計測装置62の近傍位置に設定されている。データ処理の基準となる自機位置NMの設定は、受信装置63と自機位置NMとする箇所までの距離、及び、受信装置63や主慣性計測装置62に基づいて算出される自機方位NAに基づいて求められるようになっている。目標ラインLMに沿って正確に走行させたいのは、苗植付装置Wであるので、自機位置NMを、このように、苗植付装置Wの近傍に設定することにより、苗植付装置Wが目標ラインLMに沿って正確に走行するように、走行機体Cの自動操向制御が行うことができるものとなる。
【0077】
〔予備苗フレーム、通常予備苗台、レール式予備苗台、の関係について〕
図3に示されるように、左右の予備苗フレーム30には、それぞれ、支持支柱フレーム16に固定される固定部85と、固定部85から上向きに延びて左右内側に向けて傾斜する傾斜部86と、傾斜部86から上向きに延びる縦部87と、が備えられている。つまり、予備苗フレーム30の縦部87は、支持支柱フレーム16、及び、予備苗フレーム30の固定部85に対して、左右内側に所定距離Dだけオフセットしている。
【0078】
図1~
図3に示されるように、複数の通常予備苗台28は、それぞれ、予備苗フレーム30の縦部87に設けられる前後方向に沿いつつ前方に向かうにつれて左右内側に傾斜した前後軸心Y周りに揺動可能に予備苗フレーム30に支持されている。通常予備苗台28は、横姿勢E1と、縦姿勢E2と、に姿勢変更可能に構成されている。
【0079】
図1~
図3に示されるように、通常予備苗台28を、横姿勢E1にすると、通常予備苗台28の載置面が略水平な状態となる。一方、通常予備苗台28を、横姿勢E1から縦姿勢E2にする際には、各通常予備苗台28を前後軸心Y周りに揺動して縦向きにする。これにより、縦姿勢E2の各通常予備苗台28が、予備苗フレーム30の縦部87側に寄った左右方向にコンパクトな状態となる。
【0080】
図1~
図3に示されるレール式予備苗台29には、前載置台88と、中央載置台89と、後載置台90と、が備えられている。中央載置台89は、一対の支持ブラケット91を介して、支持支柱フレーム16に固定されている。前載置台88は、左右方向に沿った前横軸心P1周りに揺動可能に中央載置台89の前端部に連結されている。後載置台90は、左右方向に沿った後横軸心P2周りに揺動自在に中央載置台89の後端部に連結されている。
図1に示されるように、レール式予備苗台29は、展開状態F1と、折り畳み状態F2とに状態変更可能に構成されている。レール式予備苗台29を展開状態F1にすると、中央載置台89を中心にして、中央載置台89の前側に前載置台88が展開され、中央載置台89の後側に後載置台90が展開される。つまり、レール式予備苗台29を展開状態F1にすると、前載置台88と、中央載置台89と、後載置台90と、が前後に順に並ぶ状態となる。
【0081】
図1に示されるように、レール式予備苗台29を展開状態F1から折り畳み状態F2にする際には、中央載置台89の前端に位置する前横軸心P1周りに前載置台88を揺動させて、中央載置台89の上側に前載置台88を折り畳んで位置させ、中央載置台89の後端に位置する後横軸心P2周りに後載置台90を揺動させて、中央載置台89の上側に後載置台90を位置させる。これにより、レール式予備苗台29を前後方向にコンパクトな折り畳み状態F2とすることができる。
【0082】
図1に示されるように、複数の通常予備苗台28は、縦並びで配置され、レール式予備苗台29は、最下段の通常予備苗台28の下方に配置されている。
【0083】
すなわち、
図1~
図3から理解されるように、予備苗フレーム30の縦部87を、支持支柱フレーム16、及び、予備苗フレーム30の固定部85に対して、左右内側に所定距離Dだけオフセットさせていることに加え、複数の通常予備苗台28を予備苗フレーム30の縦部87側に寄った左右方向にコンパクトな状態となった縦姿勢E2に姿勢変更して左右内側にオフセット可能にしていることにより、レール式予備苗台29を、予備苗フレーム30や通常予備苗台28に干渉することなく、展開状態F1から折り畳み状態F2に支障なく状態変更できるようになっている。また、複数の通常予備苗台28の方を左右内側にオフセット可能にしていることにより、例えば、レール式予備苗台29を左右外側にオフセットさせるよりも、走行機体Cの全体の左右幅を小さくできる。
【0084】
〔別実施形態〕
以下、本発明の別実施形態について説明する。下記の各別実施形態は、矛盾が生じない限り、複数組み合わせて上記実施形態に適用してもよい。なお、本発明の範囲は、これら実施形態の内容に限定されるものではない。
【0085】
(1)上記実施形態では、主に、主慣性計測装置62により計測される慣性情報に基づいて走行機体Cの自動操向制御を行い、主慣性計測装置62により計測される慣性情報を受信装置63により取得される位置情報に基づいて補正するものが例示されているが、これに限られない。例えば、主に、受信装置63により取得される位置情報に基づいて走行機体Cの自動操向制御を行い、受信装置63により取得される位置情報を、主慣性計測装置62により計測される慣性情報に基づいて補正するようにしてもよい。
【0086】
(2)上記実施形態では、連結フレーム31が、左右方向に沿った左右軸心X周りに回動可能、且つ、使用状態S1と格納状態S2で位置固定可能に、左右の予備苗フレーム30に支持されているものが例示されているが、これに限られない。例えば、左右の予備苗フレーム30に対して着脱可能となっていてもよい。この場合、使用状態S1の連結フレーム31を、予備苗フレーム30から取り外し、上下反転させて、予備苗フレーム30に再び取り付けることにより、連結フレーム31が格納状態S2になる。
【0087】
(3)上記実施形態では、受信装置63を一定の箇所に固定しているものが例示されているが、これに限られない。例えば、
図8に示されるように、予備苗フレーム30に取り付け固定され、走行機体Cの前後方向に沿って延びるレール部材100上に、前後方向に沿って移動可能な状態で受信装置63が配置されていてもよい。これにより、受信装置63を、レール部材100上の2点間を移動させることにより、走行機体Cが停止したまま、走行機体Cの自機方位NA、受信装置63により取得される2点の位置情報に基づいて求めることができる。
【0088】
(4)上記実施形態では、受信装置63を一つだけ備えているものが例示されているが、これに限られない。例えば、受信装置63が二つ以上備えられていてもよい。このようにすることで、走行機体Cが停止中においても、一つの受信装置63により取得される位置情報と、他の受信装置63により取得される位置情報と、に基づいて、走行機体Cの自機方位NAを求めることが可能となる。
【0089】
(5)上記実施形態では、コネクタ部67が、受信装置63の側面部から左右方向外側に延びているものが例示されているが、これに限られない。例えば、コネクタ部67が、受信装置63の上面部から上方に延びていたり、受信装置63の下面部から下方に延びていたり、受信装置63の前面部から前方に延びていたり、受信装置63の後面部から後方に延びていたりしてもよい。この場合、コネクタ部67を保護するガード部材68も、コネクタ部67の箇所に設けてあると好ましい。
【0090】
(6)上記実施形態では、ガード部材68が支持プレート65に取り付けられているものが例示されているが、これに限られない。例えば、ガード部材68が受信装置63自体に取り付けられていてもよい。
【0091】
(7)上記実施形態では、作業装置として、苗植付装置Wが備えられているものが例示されているが、これに限られない。例えば、作業装置として、苗植付装置Wに加えて、施肥装置や薬剤散布装置等が備えられていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、作業装置として苗植付装置を備える上記乗用型の田植機以外にも、例えば、作業装置として播種装置を備える植播系水田作業車である乗用型の直播機、作業装置としてプラウ等を備えるトラクタ、若しくは、作業装置として刈取部等を備えるコンバイン等の農作業車、または、作業装置としてバケット等を備える建設作業車等の種々の作業車に利用できる。
【符号の説明】
【0093】
28 :通常予備苗台(予備苗台)
29 :レール式予備苗台(予備苗台)
30 :予備苗フレーム
31 :連結フレーム
63 :受信装置
66 :ハーネス
67 :コネクタ部
68 :ガード部材
72 :後車軸
73 :後車軸フレーム(取付部材)
81 :生成部
83 :制御部
A :走行装置
C :走行機体
U :操向ユニット
W :苗植付装置(作業装置)
S1 :使用状態
S2 :格納状態
LM :目標ライン
X :左右軸心