IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社半導体エネルギー研究所の特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124465
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】記憶装置
(51)【国際特許分類】
   G11C 11/4091 20060101AFI20240905BHJP
   H10B 12/00 20230101ALI20240905BHJP
   H10B 41/70 20230101ALI20240905BHJP
   H01L 29/786 20060101ALI20240905BHJP
   G11C 11/405 20060101ALI20240905BHJP
   G11C 7/06 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
G11C11/4091 120
H10B12/00 801
H10B41/70
H01L29/78 612C
H01L29/78 613B
H01L29/78 618B
G11C11/405
G11C7/06 110
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024105119
(22)【出願日】2024-06-28
(62)【分割の表示】P 2021532545の分割
【原出願日】2020-07-06
(31)【優先権主張番号】P 2019130021
(32)【優先日】2019-07-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】八窪 裕人
(72)【発明者】
【氏名】石津 貴彦
(57)【要約】
【課題】データ読み出し時におけるアクセス時間を短くする記憶装置を提供する。
【解決手段】第1層と、第1層の上方に位置する第2層と、を有する記憶装置であって、第1層は、読み出し回路を有し、第2層は、第1メモリセルと、第2メモリセルと、を有する。読み出し回路は、Siトランジスタを有する。第1メモリセル及び第2メモリセルのそれぞれはOSトランジスタを有する。第1メモリセルは、読み出し回路に電気的に接続され、第2メモリセルは、読み出し回路に電気的に接続されている。読み出し回路から第1メモリセルに、第1メモリセルに保持されている第1データに応じた第1電流が流れ、かつ読み出し回路から第2メモリセルに、第2メモリセルに保持されている第2データに応じた第2電流が流れたとき、読み出し回路は、第1電流と、第2電流と、のそれぞれの電流量を比較して、第1データを読み出す。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1層と、第2層と、を有し、
前記第2層は、前記第1層の上方に位置し、
前記第1層は、読み出し回路を有し、
前記第2層は、第1メモリセルと、第2メモリセルと、を有し、
前記読み出し回路に含まれているトランジスタは、チャネル形成領域にシリコンを有し、
前記第1メモリセルに含まれているトランジスタ、及び前記第2メモリセルに含まれているトランジスタのそれぞれは、チャネル形成領域に金属酸化物を有し、
前記第1メモリセルは、第1配線を介して、前記読み出し回路に電気的に接続され、
前記第2メモリセルは、第2配線を介して、前記読み出し回路に電気的に接続され、
前記読み出し回路から前記第1メモリセルに、前記第1メモリセルに保持されている第1データに応じた第1電流が流れ、かつ前記読み出し回路から前記第2メモリセルに、前記第2メモリセルに保持されている第2データに応じた第2電流が流れたとき、前記読み出し回路は、前記第1電流と、前記第2電流と、の大小関係に応じて、前記第1データを読み出す機能を有する、
記憶装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、記憶装置、半導体装置、及び電子機器に関する。
【0002】
なお本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の技術分野は、物、動作方法、又は、製造方法に関するものである。又は、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、又は、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。そのため、より具体的に本明細書で開示する本発明の一態様の技術分野としては、半導体装置、表示装置、液晶表示装置、発光装置、蓄電装置、撮像装置、記憶装置、信号処理装置、プロセッサ、電子機器、システム、それらの駆動方法、それらの製造方法、又はそれらの検査方法を一例として挙げることができる。
【背景技術】
【0003】
近年、扱われるデータ量の増大に伴って、より大きな記憶容量を有する半導体装置が求められている。単位面積あたりの記憶容量を増加させるためには、メモリセルを積層して形成することが有効である(特許文献1、特許文献2、特許文献3参照)。メモリセルを積層して設けることにより、単位面積当たりの記憶容量をメモリセルの積層数に応じて増加させることができる。
【0004】
ところで、記憶装置に記録されているデータの読み出し方法としては、一例として、電圧読み出し型(VSA:Voltage Sensing Amplifier)と、電流読み出し型(CSA:Current Sensing Amplifier)と、が挙げられる。半導体装置の記憶容量が大きい場合、データの読み出し方法としては、電圧読み出し型よりも電流読み出し型のほうが好ましい場合がある。例えば、1本のビット線に電気的に接続されているメモリセルの数が多い場合、電圧読み出し型では、ビット線にかかる負荷(例えば、寄生容量)が大きくなるため、ビット線への特定電位のプリチャージ時間、及びディスチャージ時間が長くなり、判定可能な電位に達するまでのウェイト時間が長くなる。一方、電流読み出し型では、ビット線にかかる負荷が大きくなっても、高速にデータを読み出すことができる。非特許文献1には、電圧読み出し型と複数の種類の電流読み出し型とのそれぞれの条件において、ビット線に接続されているメモリセルの数と、アクセス時間と、の関係が示されている。非特許文献1には、ビット線に接続されているメモリセルの数が128個以上である場合、アクセス時間は、電圧読み出し型よりも電流読み出し型のほうが短くなることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願公開2011/0065270号明細書
【特許文献2】米国特許第9634097号明細書
【特許文献3】米国特許第9177872号明細書
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Shyh-Shyuan Sheu, et. al.,ISSCC Dig.Tech.Papers、pp.200-202、2011.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
記憶装置において、扱われるデータが大きくなる場合、例えば、1本のビット線に電気的に接続されているメモリセルの数が多くなる場合、アクセス時間も長くなる傾向がある。また、データ読み出し方法として、電圧読み出し型よりも電流読み出し型のほうがアクセス時間を短くすることができる場合があるが、データ読み出し時の消費電力は、電圧読み出し型よりも電流読み出し型のほうが大きくなる場合がある。
【0008】
本発明の一態様は、データ読み出し時におけるアクセス時間が短縮された記憶装置を提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、消費電力が低減された記憶装置を提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、回路面積が低減された記憶装置を提供することを課題の一とする。
【0009】
又は、本発明の一態様は、新規な半導体装置などを提供することを課題の一とする。又は、本発明の一態様は、上記半導体装置を有する電子機器を提供することを課題の一とする。
【0010】
なお本発明の一態様の課題は、上記列挙した課題に限定されない。上記列挙した課題は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお他の課題は、以下の記載で述べる、本項目で言及していない課題である。本項目で言及していない課題は、当業者であれば明細書又は図面等の記載から導き出せるものであり、これらの記載から適宜抽出することができる。なお、本発明の一態様は、上記列挙した課題、及び他の課題のうち、少なくとも一つの課題を解決するものである。なお、本発明の一態様は、上記列挙した課題、及び他の課題の全てを解決する必要はない。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)
本発明の一態様は、第1層と、第1層の上方に位置する第2層と、を有する記憶装置であって、第1層は、読み出し回路を有し、第2層は、第1メモリセルと、第2メモリセルと、を有する。読み出し回路に含まれているトランジスタは、チャネル形成領域にシリコンを有し、第1メモリセルに含まれているトランジスタ、及び第2メモリセルに含まれているトランジスタは、チャネル形成領域に金属酸化物を有する。第1メモリセルは、第1配線を介して、読み出し回路に電気的に接続され、第2メモリセルは、第2配線を介して、読み出し回路に電気的に接続されている。読み出し回路は、読み出し回路から第1メモリセルに、第1メモリセルに保持されている第1データに応じた第1電流が流れ、かつ読み出し回路から第2メモリセルに、第2メモリセルに保持されている第2データに応じた第2電流が流れたときに、第1電流と、第2電流と、の大小関係に応じて、第1データを読み出す機能を有する。
【0012】
(2)
また、上記(1)の構成において、読み出し回路が、第1トランジスタと、第2トランジスタと、を有してもよい。具体的な接続構成としては、第1トランジスタの第1端子は、第1配線に電気的に接続され、第2トランジスタの第1端子は、第2配線に電気的に接続されている。なお、第1トランジスタと、第2トランジスタと、は、nチャネル型トランジスタであることが好ましい。
【0013】
(3)
また、上記(2)の構成において、読み出し回路が、第3トランジスタと、第4トランジスタと、第5トランジスタと、第6トランジスタと、第7トランジスタと、第8トランジスタと、第9トランジスタと、第10トランジスタと、第1回路と、を有してもよい。具体的な接続構成としては、第1トランジスタの第2端子は、第3トランジスタの第1端子と、第5トランジスタの第1端子と、第5トランジスタのゲートと、第7トランジスタのゲートと、に電気的に接続され、第7トランジスタの第1端子は、第9トランジスタの第1端子と、第1回路の入力端子と、に電気的に接続されている。また、第2トランジスタの第2端子は、第4トランジスタの第1端子と、第6トランジスタの第1端子と、第6トランジスタのゲートと、第8トランジスタのゲートと、に電気的に接続され、第8トランジスタの第1端子は、第10トランジスタの第1端子と、第10トランジスタのゲートと、第9トランジスタのゲートと、に電気的に接続されている。なお、第9トランジスタと、第10トランジスタと、のそれぞれは、nチャネル型トランジスタであって、第3トランジスタと、第4トランジスタと、第5トランジスタと、第6トランジスタと、第7トランジスタと、第8トランジスタと、のそれぞれは、pチャネル型トランジスタであることが好ましい。第1回路は、第1回路の入力端子の第1電位に応じて、第1回路の出力端子から第1データの読み出し電位を出力する機能を有する。なお、第1電位は、第1電流と第2電流とに応じた電位である。
【0014】
(4)
また、上記(1)の構成において、読み出し回路が、第3トランジスタと、第4トランジスタと、第5トランジスタと、第6トランジスタと、第7トランジスタと、第8トランジスタと、第9トランジスタと、第10トランジスタと、第1回路と、を有してもよい。具体的な接続構成としては、第3トランジスタの第1端子は、第1配線と、第5トランジスタの第1端子と、第5トランジスタのゲートと、第7トランジスタのゲートと、に電気的に接続され、第7トランジスタの第1端子は、第9トランジスタの第1端子と、第1回路の入力端子と、に電気的に接続されている。また、第4トランジスタの第1端子は、第2配線と、第6トランジスタの第1端子と、第6トランジスタのゲートと、第8トランジスタのゲートと、に電気的に接続され、第8トランジスタの第1端子は、第10トランジスタの第1端子と、第10トランジスタのゲートと、第9トランジスタのゲートと、に電気的に接続されている。なお、第9トランジスタと、第10トランジスタと、のそれぞれは、nチャネル型トランジスタであって、第3トランジスタと、第4トランジスタと、第5トランジスタと、第6トランジスタと、第7トランジスタと、第8トランジスタと、のそれぞれは、pチャネル型トランジスタであることが好ましい。第1回路は、第1回路の入力端子の第1電位に応じて、第1回路の出力端子から第1データの読み出し電位を出力する機能を有する。なお、第1電位は、第1電流と第2電流とに応じた電位である。
【0015】
(5)
また、上記(1)乃至(4)のいずれか一の構成において、第1メモリセルは、第11トランジスタと、第12トランジスタと、第13トランジスタと、第1容量と、を有し、第2メモリセルは、第14トランジスタと、第15トランジスタと、第16トランジスタと、第2容量と、を有してもよい。具体的な接続構成としては、第11トランジスタのゲートは、第12トランジスタの第1端子と、第1容量の第1端子と、に電気的に接続され、第11トランジスタの第1端子は、第13トランジスタの第1端子に電気的に接続され、第13トランジスタの第2端子は、第1配線に電気的に接続されている。また、第14トランジスタのゲートは、第15トランジスタの第1端子と、第2容量の第1端子と、に電気的に接続され、第14トランジスタの第1端子は、第16トランジスタの第1端子に電気的に接続され、第16トランジスタの第2端子は、第2配線に電気的に接続されている。
【0016】
(6)
また、上記(1)乃至(4)のいずれか一の構成において、第1メモリセルは、第11トランジスタと、第12トランジスタと、第1容量と、を有し、第2メモリセルは、第14トランジスタと、第15トランジスタと、第2容量と、を有してもよい。具体的な構成としては、第11トランジスタのゲートは、第12トランジスタの第1端子と、第1容量の第1端子と、に電気的に接続され、第11トランジスタの第1端子は、第1配線に電気的に接続されている。また、第14トランジスタのゲートは、第15トランジスタの第1端子と、第2容量の第1端子と、に電気的に接続され、第14トランジスタの第1端子は、第2配線に電気的に接続されている。
【0017】
(7)
また、本発明の一態様は、上記(1)乃至(6)のいずれか一の記憶装置と、プロセッサと、を有する半導体装置である。なお、プロセッサは、第1層に含まれていることが好ましい。
【0018】
(8)
また、本発明の一態様は、上記(1)乃至(6)のいずれか一の記憶装置と、筐体と、を有する電子機器である。
【0019】
なお、本明細書等において、半導体装置とは、半導体特性を利用した装置であり、半導体素子(トランジスタ、ダイオード、フォトダイオード等)を含む回路、同回路を有する装置等をいう。また、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般をいう。例えば、集積回路、集積回路を備えたチップや、パッケージにチップを収納した電子部品は半導体装置の一例である。また、記憶装置、表示装置、発光装置、照明装置及び電子機器等は、それ自体が半導体装置であり、半導体装置を有している場合がある。
【0020】
また、本明細書等において、XとYとが接続されていると記載されている場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図又は文章に示された接続関係に限定されず、図又は文章に示された接続関係以外のものも、図又は文章に開示されているものとする。X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層など)であるとする。
【0021】
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示デバイス、発光デバイス、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、スイッチは、導通状態(オン状態)、又は、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有している。
【0022】
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可能とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号変換回路(デジタルアナログ変換回路、アナログデジタル変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(電源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など)、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅又は電流量などを大きく出来る回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生成回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能である。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信号がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。
【0023】
なお、XとYとが電気的に接続されている、と明示的に記載する場合は、XとYとが電気的に接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟んで接続されている場合)と、XとYとが直接接続されている場合(つまり、XとYとの間に別の素子又は別の回路を挟まずに接続されている場合)とを含むものとする。
【0024】
また、例えば、「XとYとトランジスタのソース(又は第1の端子など)とドレイン(又は第2の端子など)とは、互いに電気的に接続されており、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yの順序で電気的に接続されている。」と表現することができる。又は、「トランジスタのソース(又は第1の端子など)は、Xと電気的に接続され、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)はYと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yは、この順序で電気的に接続されている」と表現することができる。又は、「Xは、トランジスタのソース(又は第1の端子など)とドレイン(又は第2の端子など)とを介して、Yと電気的に接続され、X、トランジスタのソース(又は第1の端子など)、トランジスタのドレイン(又は第2の端子など)、Yは、この接続順序で設けられている」と表現することができる。これらの例と同様な表現方法を用いて、回路構成における接続の順序について規定することにより、トランジスタのソース(又は第1の端子など)と、ドレイン(又は第2の端子など)とを、区別して、技術的範囲を決定することができる。なお、これらの表現方法は、一例であり、これらの表現方法に限定されない。ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、など)であるとする。
【0025】
なお、回路図上は独立している構成要素同士が電気的に接続しているように図示されている場合であっても、1つの構成要素が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合もある。例えば配線の一部が電極としても機能する場合は、一の導電膜が、配線の機能、及び電極の機能の両方の構成要素の機能を併せ持っている。したがって、本明細書における電気的に接続とは、このような、一の導電膜が、複数の構成要素の機能を併せ持っている場合も、その範疇に含める。
【0026】
また、本明細書等において、「抵抗素子」とは、例えば、0Ωよりも高い抵抗値を有する回路素子、配線などとすることができる。そのため、本明細書等において、「抵抗素子」は、抵抗値を有する配線、ソース-ドレイン間に電流が流れるトランジスタ、ダイオード、コイルなどを含むものとする。そのため、「抵抗素子」という用語は、「抵抗」「負荷」「抵抗値を有する領域」などの用語に言い換えることができ、逆に「抵抗」「負荷」「抵抗値を有する領域」という用語は、「抵抗素子」などの用語に言い換えることができる。抵抗値としては、例えば、好ましくは1mΩ以上10Ω以下、より好ましくは5mΩ以上5Ω以下、更に好ましくは10mΩ以上1Ω以下とすることができる。また、例えば、1Ω以上1×10Ω以下としてもよい。
【0027】
また、本明細書等において、「容量素子」とは、例えば、0Fよりも高い静電容量の値を有する回路素子、静電容量の値を有する配線の領域、寄生容量、トランジスタのゲート容量などとすることができる。そのため、本明細書等において、「容量素子」は、1対の電極と、当該電極の間に含まれている誘電体と、を含む回路素子だけでなく、配線と配線との間に現れる寄生容量、トランジスタのソース又はドレインの一方とゲートとの間に現れるゲート容量などを含むものとする。また、「容量素子」「寄生容量」「ゲート容量」などという用語は、「容量」などの用語に言い換えることができ、逆に、「容量」という用語は、「容量素子」「寄生容量」「ゲート容量」などの用語に言い換えることができる。また、「容量」の「1対の電極」という用語は、「一対の導電体」「一対の導電領域」「一対の領域」などに言い換えることができる。なお、静電容量の値としては、例えば、0.05fF以上10pF以下とすることができる。また、例えば、1pF以上10μF以下としてもよい。
【0028】
また、本明細書等において、トランジスタは、ゲート、ソース、及びドレインと呼ばれる3つの端子を有する。ゲートは、トランジスタの導通状態を制御する制御端子である。ソース又はドレインとして機能する2つの端子は、トランジスタの入出力端子である。2つの入出力端子は、トランジスタの導電型(nチャネル型、pチャネル型)及びトランジスタの3つの端子に与えられる電位の高低によって、一方がソースとなり他方がドレインとなる。このため、本明細書等においては、ソースやドレインの用語は、言い換えることができるものとする。また、本明細書等では、トランジスタの接続関係を説明する際、「ソース又はドレインの一方」(又は第1電極、又は第1端子)、「ソース又はドレインの他方」(又は第2電極、又は第2端子)という表記を用いる。なお、トランジスタの構造によっては、上述した3つの端子に加えて、バックゲートを有する場合がある。この場合、本明細書等において、トランジスタのゲート又はバックゲートの一方を第1ゲートと呼称し、トランジスタのゲート又はバックゲートの他方を第2ゲートと呼称することがある。更に、同じトランジスタにおいて、「ゲート」と「バックゲート」の用語は互いに入れ換えることができる場合がある。また、トランジスタが、3以上のゲートを有する場合は、本明細書等においては、それぞれのゲートを第1ゲート、第2ゲート、第3ゲートなどと呼称することがある。
【0029】
また、本明細書等において、ノードは、回路構成やデバイス構造等に応じて、端子、配線、電極、導電層、導電体、不純物領域等と言い換えることが可能である。また、端子、配線等をノードと言い換えることが可能である。
【0030】
また、本明細書等において、「電圧」と「電位」は、適宜言い換えることができる。「電圧」は、基準となる電位からの電位差のことであり、例えば基準となる電位をグラウンド電位(接地電位)とすると、「電圧」を「電位」に言い換えることができる。なお、グラウンド電位は必ずしも0Vを意味するとは限らない。また、電位は相対的なものであり、基準となる電位が変わることによって、配線に与えられる電位、回路などに印加される電位、回路などから出力される電位なども変化する。
【0031】
また、本明細書等において、「高レベル電位」「低レベル電位」という用語は、特定の電位を意味するものではない。例えば、2本の配線において、両方とも「高レベル電位を供給する配線として機能する」と記載されていた場合、両方の配線が与えるそれぞれの高レベル電位は、互いに等しくなくてもよい。また、同様に、2本の配線において、両方とも「低レベル電位を供給する配線として機能する」と記載されていた場合、両方の配線が与えるそれぞれの低レベル電位は、互いに等しくなくてもよい。
【0032】
「電流」とは、電荷の移動現象(電気伝導)のことであり、例えば、「正の荷電体の電気伝導が起きている」という記載は、「その逆向きに負の荷電体の電気伝導が起きている」と換言することができる。そのため、本明細書等において、「電流」とは、特に断らない限り、キャリアの移動に伴う電荷の移動現象(電気伝導)をいうものとする。ここでいうキャリアとは、電子、正孔、アニオン、カチオン、錯イオン等が挙げられ、電流の流れる系(例えば、半導体、金属、電解液、真空中など)によってキャリアが異なる。また、配線等における「電流の向き」は、正電荷となるキャリアが移動する方向とし、正の電流量で記載する。換言すると、負電荷となるキャリアが移動する方向は、電流の向きと逆の方向となり、負の電流量で表現される。そのため、本明細書等において、電流の正負(又は電流の向き)について断りがない場合、「素子Aから素子Bに電流が流れる」等の記載は「素子Bから素子Aに電流が流れる」等に言い換えることができるものとする。また、「素子Aに電流が入力される」等の記載は「素子Aから電流が出力される」等に言い換えることができるものとする。
【0033】
また、本明細書等において、「第1」、「第2」、「第3」という序数詞は、構成要素の混同を避けるために付したものである。従って、構成要素の数を限定するものではない。また、構成要素の順序を限定するものではない。例えば、本明細書等の実施の形態の一において「第1」に言及された構成要素が、他の実施の形態、あるいは特許請求の範囲において「第2」に言及された構成要素とすることもありうる。また例えば、本明細書等の実施の形態の一において「第1」に言及された構成要素を、他の実施の形態、あるいは特許請求の範囲において省略することもありうる。
【0034】
また、本明細書等において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている場合がある。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。従って、明細書等で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。例えば、「導電体の上面に位置する絶縁体」の表現では、示している図面の向きを180度回転することによって、「導電体の下面に位置する絶縁体」と言い換えることができる。
【0035】
また、「上」や「下」の用語は、構成要素の位置関係が直上又は直下で、かつ、直接接していることを限定するものではない。例えば、「絶縁層A上の電極B」の表現であれば、絶縁層Aの上に電極Bが直接接して形成されている必要はなく、絶縁層Aと電極Bとの間に他の構成要素を含むものを除外しない。
【0036】
また、本明細書等において、「膜」、「層」などの語句は、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変更することが可能な場合がある。又は、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」という用語に変更することが可能な場合がある。又は、場合によっては、又は、状況に応じて、「膜」、「層」などの語句を使わずに、別の用語に入れ替えることが可能である。例えば、「導電層」又は「導電膜」という用語を、「導電体」という用語に変更することが可能な場合がある。又は、例えば、「絶縁層」「絶縁膜」という用語を、「絶縁体」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0037】
また、本明細書等において「電極」「配線」「端子」などの用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合なども含む。また、例えば、「端子」は「配線」や「電極」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。更に、「端子」の用語は、複数の「電極」「配線」「端子」などが一体となって形成されている場合なども含む。そのため、例えば、「電極」は「配線」又は「端子」の一部とすることができ、また、例えば、「端子」は「配線」又は「電極」の一部とすることができる。また、「電極」「配線」「端子」などの用語は、場合によって、「領域」などの用語に置き換える場合がある。
【0038】
また、本明細書等において、「配線」、「信号線」、「電源線」などの用語は、場合によっては、又は、状況に応じて、互いに入れ替えることが可能である。例えば、「配線」という用語を、「信号線」という用語に変更することが可能な場合がある。また、例えば、「配線」という用語を、「電源線」などの用語に変更することが可能な場合がある。また、その逆も同様で、「信号線」「電源線」などの用語を、「配線」という用語に変更することが可能な場合がある。「電源線」などの用語は、「信号線」などの用語に変更することが可能な場合がある。また、その逆も同様で「信号線」などの用語は、「電源線」などの用語に変更することが可能な場合がある。また、配線に印加されている「電位」という用語を、場合によっては、又は、状況に応じて、「信号」などという用語に変更することが可能な場合がある。また、その逆も同様で、「信号」などの用語は、「電位」という用語に変更することが可能な場合がある。
【0039】
本明細書等において、半導体の不純物とは、例えば、半導体層を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物である。不純物が含まれることにより、例えば、半導体に欠陥準位密度が高くなることや、キャリア移動度が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、主成分以外の遷移金属などがあり、特に、例えば、水素(水にも含まれる)、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。具体的には、半導体がシリコン層である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15族元素などがある。
【0040】
本明細書等において、スイッチとは、導通状態(オン状態)、又は、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流すか流さないかを制御する機能を有するものをいう。又は、スイッチとは、電流を流す経路を選択して切り替える機能を有するものをいう。一例としては、電気的なスイッチ、機械的なスイッチなどを用いることができる。つまり、スイッチは、電流を制御できるものであればよく、特定のものに限定されない。
【0041】
電気的なスイッチの一例としては、トランジスタ(例えば、バイポーラトランジスタ、MOSトランジスタなど)、ダイオード(例えば、PNダイオード、PINダイオード、ショットキーダイオード、MIM(Metal Insulator Metal)ダイオード、MIS(Metal Insulator Semiconductor)ダイオード、ダイオード接続のトランジスタなど)、又はこれらを組み合わせた論理回路などがある。なお、スイッチとしてトランジスタを用いる場合、トランジスタの「導通状態」とは、トランジスタのソース電極とドレイン電極が電気的に短絡されているとみなせる状態をいう。また、トランジスタの「非導通状態」とは、トランジスタのソース電極とドレイン電極が電気的に遮断されているとみなせる状態をいう。なおトランジスタを単なるスイッチとして動作させる場合には、トランジスタの極性(導電型)は特に限定されない。
【0042】
機械的なスイッチの一例としては、MEMS(マイクロ・エレクトロ・メカニカル・システム)技術を用いたスイッチがある。そのスイッチは、機械的に動かすことが可能な電極を有し、その電極が動くことによって、導通と非導通とを制御して動作する。
【0043】
本明細書において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」又は「概略平行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」又は「概略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
【発明の効果】
【0044】
本発明の一態様によって、データ読み出し時におけるアクセス時間が短縮された記憶装置を提供することができる。又は、本発明の一態様によって、消費電力が低減された記憶装置を提供することができる。又は、本発明の一態様によって、回路面積が低減された記憶装置を提供することができる。
【0045】
又は、本発明の一態様によって、新規な半導体装置などを提供することができる。又は、本発明の一態様によって、上記半導体装置を有する電子機器を提供することができる。
【0046】
なお本発明の一態様の効果は、上記列挙した効果に限定されない。上記列挙した効果は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお他の効果は、以下の記載で述べる、本項目で言及していない効果である。本項目で言及していない効果は、当業者であれば明細書又は図面等の記載から導き出せるものであり、これらの記載から適宜抽出することができる。なお、本発明の一態様は、上記列挙した効果、及び他の効果のうち、少なくとも一つの効果を有するものである。従って本発明の一態様は、場合によっては、上記列挙した効果を有さない場合もある。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1図1は、記憶装置の一例を示す回路図である。
図2図2A乃至図2Dは、記憶装置が有する回路の一例を示す回路図である。
図3図3は、半導体装置の一例を示す模式図である。
図4図4A、及び図4Bは、記憶装置の動作例を示すタイミングチャートである。
図5図5は、記憶装置の一例を示す回路図である。
図6図6は、記憶装置の一例を示す回路図である。
図7図7は、記憶装置の一例を示す回路図である。
図8図8は、記憶装置の構成例を説明する断面模式図である。
図9図9は、記憶装置の構成例を説明する断面模式図である。
図10図10は、記憶装置の構成例を説明する断面模式図である。
図11図11A乃至図11Cは、トランジスタの構成例を説明する断面模式図である。
図12図12A、及び図12Bは、トランジスタの構成例を説明する断面模式図である。
図13図13は、記憶装置の構成例を説明する断面模式図である。
図14図14A、及び図14Bは、トランジスタの構成例を説明する断面模式図である。
図15図15は、記憶装置の構成例を説明する断面模式図である。
図16図16Aは容量の構成例を示す上面図であり、図16B、及び図16Cは容量の構成例を示す断面斜視図である。
図17図17Aは容量の構成例を示す上面図であり、図17Bは容量の構成例を示す断面図であり、図17Cは容量の構成例を示す断面斜視図である。
図18図18AはIGZOの結晶構造の分類を説明する図であり、図18Bは結晶性IGZOのXRDスペクトルを説明する図であり、図18Cは結晶性IGZOの極微電子線回折パターンを説明する図である。
図19図19は、記憶装置の構成例を説明するブロック図である。
図20図20Aは半導体ウェハの一例を示す斜視図であり、図20Bはチップの一例を示す斜視図であり、図20C、及び図20Dは電子部品の一例を示す斜視図である。
図21図21A乃至図21Jは、製品の一例を説明する斜視図、又は、模式図である。
図22図22A乃至図22Eは、製品の一例を説明する斜視図、又は、模式図である。
図23図23A、及び図23Bは、回路計算の条件を説明する回路図である。
図24図24Aは、回路計算の条件を説明するグラフであり、図24B乃至図24Eは、回路計算の結果を説明するグラフである。
図25図25Aは、回路計算の条件を説明するグラフであり、図25B乃至図25Eは、回路計算の結果を説明するグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0048】
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い意味での金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む)、酸化物半導体(Oxide Semiconductor又は単にOSともいう)などに分類される。例えば、トランジスタのチャネル形成領域に金属酸化物が含まれている場合、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、金属酸化物が増幅作用、整流作用、及びスイッチング作用の少なくとも1つを有するトランジスタのチャネル形成領域を構成し得る場合、当該金属酸化物を、金属酸化物半導体(metal oxide semiconductor)と呼ぶことができる。また、OSトランジスタと記載する場合においては、金属酸化物又は酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
【0049】
また、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
【0050】
また、本明細書等において、各実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて、本発明の一態様とすることができる。また、1つの実施の形態の中に、複数の構成例が示される場合は、互いに構成例を適宜組み合わせることが可能である。
【0051】
なお、ある一つの実施の形態の中で述べる内容(一部の内容でもよい)は、その実施の形態で述べる別の内容(一部の内容でもよい)と、一つ若しくは複数の別の実施の形態で述べる内容(一部の内容でもよい)との少なくとも一つの内容に対して、適用、組み合わせ、又は置き換えなどを行うことができる。
【0052】
なお、実施の形態の中で述べる内容とは、各々の実施の形態(又は実施例)において、様々な図を用いて述べる内容、又は明細書に記載される文章を用いて述べる内容のことである。
【0053】
なお、ある一つの実施の形態において述べる図(一部でもよい)は、その図の別の部分、その実施の形態において述べる別の図(一部でもよい)と、一つ若しくは複数の別の実施の形態において述べる図(一部でもよい)との少なくとも一つの図に対して、組み合わせることにより、さらに多くの図を構成させることができる。
【0054】
本明細書に記載の実施の形態については、図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなく、その形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は、実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、実施の形態の発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、斜視図などにおいて、図面の明確性を期すために、一部の構成要素の記載を省略している場合がある。
【0055】
本明細書等において、複数の要素に同じ符号を用いる場合、特に、それらを区別する必要があるときには、符号に“_1”、“[n]”、“[m,n]”等の識別用の符号を付記して記載する場合がある。
【0056】
また、本明細書の図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値などに限定されない。例えば、ノイズによる信号、電圧、若しくは電流のばらつき、又は、タイミングのずれによる信号、電圧、若しくは電流のばらつきなどを含むことが可能である。
【0057】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の記憶装置の構成例と、当該記憶装置の動作例について、説明する。
【0058】
<構成例1>
図1は、本発明の一態様の記憶装置の構成例を示す回路図である。記憶装置100は、一例として、メモリセルアレイMCAと、読み出し回路RDCと、を有する。
【0059】
メモリセルアレイMCAは、一例として、複数のメモリセルMCと、複数のメモリセルMCrと、を有する。特に、メモリセルMCrは、メモリセルMCの参照メモリセルとして機能する。なお、メモリセルMCが、メモリセルMCrの参照メモリセルとして機能してもよい。また、メモリセルMC、及びメモリセルMCrは、NOSRAM(Nonvolatile Oxide Semiconductor Random Access Memory)(登録商標)と呼ばれるRAMの一例であって、ゲインセル型のメモリセルとして機能する。
【0060】
図1の記憶装置100は、例えば、メモリセルMCに1ビットのデータが書き込まれたとき、メモリセルMCrには、当該データの論理が反転されたデータが書き込まれる。なお、メモリセルMCrには、メモリセルMCに書き込まれるデータに関わらず、参照用のデータを書き込んでもよい。
【0061】
メモリセルMCは、一例として、トランジスタM1乃至トランジスタM3と、容量C1と、を有する。
【0062】
メモリセルMCにおいて、トランジスタM1の第1端子は、配線CVL2に電気的に接続され、トランジスタM1の第2端子は、トランジスタM3の第1端子に電気的に接続され、トランジスタM1のゲートは、トランジスタM2の第1端子と、容量C1の第1端子と、に電気的に接続されている。トランジスタM2の第2端子は、配線WBLに電気的に接続され、トランジスタM2のゲートは、配線WWLに電気的に接続されている。容量C1の第2端子は、配線CVL1に電気的に接続されている。トランジスタM3の第2端子は、配線BLに電気的に接続され、トランジスタM3のゲートは、配線RWLに電気的に接続されている。
【0063】
なお、図1の記憶装置100において、トランジスタM1のゲートと、トランジスタM2の第1端子と、容量C1の第1端子と、の電気的な接続点をノードNとしている。
【0064】
配線BLは、メモリセルMCに記憶されたデータを読み出し回路RDCに供給するための配線として機能する。つまり、配線BLは、読み出しビット線などと呼ばれることがある。
【0065】
配線WWLは、トランジスタM2のオン状態とオフ状態とを切り替えるための制御配線として機能する。トランジスタM2は、メモリセルMCにおける書き込みトランジスタとして機能するため、配線WWLは、書き込みワード線などと呼ばれることがある。
【0066】
配線RWLは、トランジスタM3のオン状態とオフ状態とを切り替えるための制御配線として機能する。トランジスタM3がオン状態のとき、トランジスタM1の第2端子と配線BLとの間が導通状態となるため、配線RWLは、読み出しワード線などと呼ばれることがある。
【0067】
配線WBLは、メモリセルMCに書き込むためのデータを供給するための配線として機能する。つまり、配線WBLは、書き込みビット線などと呼ばれることがある。
【0068】
配線CVL1は、定電圧を与える配線として機能する。当該定電圧としては、例えば、接地電位、低レベル電位などとすることができる。本実施の形態では、配線CVL1は、低レベル電位を与える配線として機能するものとする。
【0069】
配線CVL2は、定電圧を与える配線として機能する。当該定電圧としては、例えば、接地電位、低レベル電位、高レベル電位などとすることができる。本実施の形態では、配線CVL2は、低レベル電位を与える配線として機能するものとする。
【0070】
なお、図1の記憶装置100において、メモリセルMCrは、メモリセルMCと同様の構成となっている。そのため、メモリセルMCrが有する回路素子などには、メモリセルMCが有する回路素子などと区別をするため、符号に「r」を付している。つまり、メモリセルMCrは、トランジスタM1rと、トランジスタM2rと、トランジスタM3rと、容量C1rと、を有する。
【0071】
また、図1には、メモリセルMCの読み出しビット線として、配線BLを図示しているが、メモリセルMCrの読み出しビット線としては、配線BLBを図示している。メモリセルMCrにおいて、トランジスタM3rの第2端子は、配線BLBに電気的に接続されている。
【0072】
読み出し回路RDCは、配線BLに電気的に接続されているメモリセルMCに記憶されているデータを読み出す機能を有する。
【0073】
読み出し回路RDCは、一例として、トランジスタTr1乃至トランジスタTr5と、トランジスタTr1m乃至トランジスタTr5mと、回路OPCと、を有する。特に、図1の記憶装置100において、トランジスタTr1乃至トランジスタTr3、及びトランジスタTr1m乃至トランジスタTr3mをpチャネル型トランジスタとし、トランジスタTr4、トランジスタTr5、トランジスタTr4m、及びトランジスタTr5mをnチャネル型トランジスタとしている。
【0074】
また、図1には、読み出し回路RDCとメモリセルアレイMCAとを電気的に接続している配線BLに流れる電流IBLと、読み出し回路RDCとメモリセルアレイMCAとを電気的に接続している配線BLBに流れる電流IBLBと、を図示している。
【0075】
トランジスタTr1の第1端子は、トランジスタTr2の第1端子と、トランジスタTr2のゲートと、トランジスタTr3のゲートと、トランジスタTr4の第1端子と、に電気的に接続されている。トランジスタTr1の第2端子は、配線VDDLに電気的に接続され、トランジスタTr1のゲートは、配線SAENに電気的に接続されている。トランジスタTr2の第2端子は、配線VDDLに電気的に接続されている。トランジスタTr4の第2端子は、配線BLに電気的に接続され、トランジスタTr4のゲートは、配線VOLPに電気的に接続されている。トランジスタTr3の第1端子は、トランジスタTr5の第1端子と、回路OPCの入力端子に電気的に接続され、トランジスタTr3の第2端子は、配線VDDLに電気的に接続されている。また、回路OPCの出力端子は、配線OLに電気的に接続されている。
【0076】
トランジスタTr1mの第1端子は、トランジスタTr2mの第1端子と、トランジスタTr2mのゲートと、トランジスタTr3mのゲートと、トランジスタTr4mの第1端子と、に電気的に接続されている。トランジスタTr1mの第2端子は、配線VDDLに電気的に接続され、トランジスタTr1mのゲートは、配線SAENに電気的に接続されている。トランジスタTr2mの第2端子は、配線VDDLに電気的に接続されている。トランジスタTr4mの第2端子は、配線BLBに電気的に接続され、トランジスタTr4mのゲートは、配線VOLPに電気的に接続されている。トランジスタTr3mの第1端子は、トランジスタTr5mの第1端子と、トランジスタTr5のゲートと、トランジスタTr5mのゲートと、に電気的に接続され、トランジスタTr3mの第2端子は、配線VDDLに電気的に接続されている。
【0077】
トランジスタTr5の第2端子は、トランジスタTr5mの第2端子と、配線VSSLと、に電気的に接続されている。
【0078】
配線VDDLは、定電圧を与える配線として機能する。当該定電圧としては、例えば、高レベル電位などとすることができる。
【0079】
配線VSSLは、定電圧を与える配線として機能する。当該定電圧としては、例えば、接地電位、低レベル電位などとすることができる。
【0080】
配線SAENは、読み出し回路RDCに対してイネーブル信号を送信するための配線として機能する。例えば、記憶装置100において、配線SAENに高レベル電位を与えた時、読み出し回路RDCはディセーブル状態となって読み出し動作を行わず、また、配線SAENに低レベル電位を与えた時、読み出し回路RDCはイネーブル状態となって読み出し動作を行う。
【0081】
配線VOLPについては、後の動作例で説明する。
【0082】
図1の記憶装置100において、トランジスタTr2、及びトランジスタTr3によって、カレントミラー回路CMが構成されている。同様に、トランジスタTr2m、及びトランジスタTr3mによって、カレントミラー回路CMrが構成され、トランジスタTr5、及びトランジスタTr5mによって、カレントミラー回路CMdが構成されている。
【0083】
回路OPCは、回路OPCの入力端子に入力された電位に応じた電位を、回路OPCの出力端子に出力する機能を有する。一例としては、回路OPCは、回路OPCの入力端子に入力されるアナログ電位を、高レベル電位又は低レベル電位のデジタル電圧に変換して、回路OPCの出力端子に出力する機能を有してもよい。この場合、回路OPCは、一例として、比較器を有してもよい。
【0084】
また、回路OPCは、回路OPCの入力端子に流れた電流の量に応じた電圧を、回路OPCの出力端子から配線OLに出力する機能を有してもよい。この場合、回路OPCは、一例として、電流電圧変換回路を有する。なお、当該電圧は、メモリセルMCから読み出されたデータに相当する。このため、例えば、メモリセルMCに書き込まれているデータが1ビットである場合、当該電圧としては、高レベル電位、又は低レベル電位の一方とすればよいので、回路OPCは、一例として、比較器を有していてもよい。
【0085】
また、図1では、回路OPCの入力端子をトランジスタTr5の第1端子とトランジスタTr3の第1端子とに電気的に接続する構成としているが、回路OPCの回路構成によっては、回路OPCに更に入力端子を設けて、当該入力端子をトランジスタTr5mの第1端子とトランジスタTr3mの第1端子とに電気的に接続する構成としてもよい(図示しない。)。
【0086】
ここで、回路OPCの具体的な回路構成の例について説明する。回路OPCは、例えば、図2Aに示す構成とすることができる。図2Aに示す回路OPCは、一例として、トランジスタTr6と、負荷LE2と、比較器CMPと、を有する。
【0087】
図2Aにおいて、負荷LE2としては、例えば、抵抗、容量、ダイオード、トランジスタなどとすることができる。
【0088】
なお、図2Aには、回路OPCとその周辺の回路との接続構成を示すため、トランジスタTr3と、トランジスタTr5と、配線OLと、も図示している。
【0089】
トランジスタTr6のゲートは、トランジスタTr3の第1端子と、トランジスタTr5の第1端子と、に電気的に接続されている。つまり、トランジスタTr6のゲートは、回路OPCの入力端子に電気的に接続されている。トランジスタTr6の第1端子は、負荷LE2の第1端子と、比較器CMPの第1端子と、に電気的に接続され、トランジスタTr6の第2端子は、配線VALに電気的に接続されている。比較器CMPの出力端子は、配線OLに電気的に接続されている。つまり、比較器CMPの出力端子は、回路OPCの出力端子に電気的に接続されている。
【0090】
負荷LE2の第2端子は、配線VGL2に電気的に接続されている。比較器CMPの第2端子は、配線VBLに電気的に接続されている。
【0091】
配線VGL2は、定電圧を与える配線として機能する。当該定電圧としては、例えば、低レベル電位、接地電位などとすることができる。
【0092】
配線VALは、定電圧を与える配線として機能する。当該定電圧としては、例えば、高レベル電位などとすることができる。
【0093】
配線VBLは、定電圧を与える配線として機能する。当該定電圧としては、例えば、比較器CMPに与える参照電位などとすることができる。
【0094】
図2Aの回路OPCは、トランジスタTr6と負荷LE2とからなるソースフォロワ回路を有する。また、トランジスタTr3の第1端子、及びトランジスタTr5の第1端子の電位がトランジスタTr6のゲートに入力されることによって、トランジスタTr6の第1端子(負荷LE2の第1端子)の電位は、トランジスタTr6のゲートの電位とほぼ等しくなる。したがって、回路OPCは、回路OPCの入力端子に入力された電位とほぼ等しい電位を、比較器CMPの第1端子に入力することができる。
【0095】
比較器CMPは、比較器CMPの第1端子に入力された電位と、配線VBLから入力された参照電位とを比較して、高レベル電位又は低レベル電位を比較器CMPの出力端子に出力する。比較器CMPの出力端子に出力された電位は、メモリセルMCから読み出されたデータに応じた電位として扱うことができる。
【0096】
また、例えば、回路OPCは、図2Bに示す構成とすることができる。図2Bに示す回路OPCは、一例として、NOT回路RB1を有する。NOT回路RB1の入力端子は、トランジスタTr3の第1端子と、トランジスタTr5の第1端子と、に電気的に接続されている。つまり、NOT回路RB1の入力端子は、回路OPCの入力端子に電気的に接続されている。NOT回路RB1の出力端子は、配線OLに電気的に接続されている。つまり、NOT回路RB1の出力端子は、回路OPCの出力端子に電気的に接続されている。
【0097】
図2Bの回路OPCは、トランジスタTr3、及びトランジスタTr5に流れる電流に応じた電位を入力電位としてNOT回路に入力して、NOT回路から出力電位を得る回路である。
【0098】
また、図2Cの回路OPCのとおり、図2Bの回路OPCに、更にNOT回路RB2を設けて、NOT回路RB1とNOT回路RB2とを直列に接続した構成としてもよい。図2Bの回路OPCの出力電位の論理を反転した電位を得たい場合は、図2Cの回路OPCを用いることが好適である。
【0099】
また、例えば、回路OPCは、図2Dに示す構成とすることができる。図2Dに示す回路OPCは、一例として、トランジスタTr11乃至トランジスタTr15と、トランジスタTr11m乃至トランジスタTr14mと、NOT回路RBAと、NOT回路RBBと、を有する。図2Dの回路OPCは入力端子を2つ有し、入力端子の一方は、トランジスタTr5の第1端子とトランジスタTr3の第1端子とに電気的に接続され、入力端子の他方は、トランジスタTr5mの第1端子とトランジスタTr3mの第1端子とに電気的に接続されている。また、図2Dの回路OPCは出力端子を2つ有し、NOT回路RBAの出力端子は、配線OLに電気的に接続され、NOT回路RBBの出力端子は、配線OLBに電気的に接続されている。つまり、NOT回路RBAの出力端子は、回路OPCの一方の出力端子に電気的に接続され、NOT回路RBBの出力端子は、回路OPCの他方の出力端子に電気的に接続されている。なお、配線OLBは、配線OLと同様に、回路OPCから出力された電位を送信するための配線として機能する。
【0100】
トランジスタTr11の第1端子は、トランジスタTr12の第1端子と、トランジスタTr11mのゲートと、トランジスタTr12mのゲートと、トランジスタTr13mの第1端子と、NOT回路RBAの入力端子と、に電気的に接続されている。トランジスタTr11mの第1端子は、トランジスタTr12mの第1端子と、トランジスタTr11のゲートと、トランジスタTr12のゲートと、トランジスタTr13の第1端子と、NOT回路RBBの入力端子と、に電気的に接続されている。トランジスタTr12の第2端子は、トランジスタTr14の第1端子に電気的に接続されている。トランジスタTr12mの第2端子は、トランジスタTr14mの第1端子に電気的に接続されている。トランジスタTr14の第2端子と、トランジスタTr14mの第2端子と、は、トランジスタTr15の第1端子に電気的に接続されている。トランジスタTr14のゲートは、回路OPCの入力端子の一方に電気的に接続され、トランジスタTr14mのゲートは、回路OPCの入力端子の他方に電気的に接続されている。トランジスタTr15の第2端子は、配線VSSLに電気的に接続され、トランジスタTr15のゲートは、配線OENに電気的に接続されている。トランジスタTr11とトランジスタTr11mとトランジスタTr13とトランジスタTr13mとのそれぞれの第2端子は、配線VDDLに電気的に接続されている。トランジスタTr13のゲートと、トランジスタTr13mのゲートと、のそれぞれは、配線OENに電気的に接続されている。
【0101】
また、上述した接続構成によって、回路OPCは、トランジスタTr11、トランジスタTr11m、トランジスタTr12、及びトランジスタTr12mによるインバータループ回路を有する。
【0102】
配線OENは、回路OPCを駆動するための信号(例えば、低レベル電位や高レベル電位など)を送信する配線として機能する。
【0103】
例えば、配線OENに低レベル電位が入力された時、トランジスタTr13及びトランジスタTr13mはオン状態となり、トランジスタTr15はオフ状態となる。このとき、配線VDDLが与える定電圧(ここでは高レベル電位とする。)が、トランジスタTr11とトランジスタTr12とトランジスタTr11mとトランジスタTr12mのそれぞれのゲートに入力される。このため、トランジスタTr11及びトランジスタTr11mはオフ状態となり、トランジスタTr12及びトランジスタTr12mはオン状態となる。これにより、トランジスタTr12の第2端子には、トランジスタTr13mを介して配線VDDLからの電流が流れ、トランジスタTr12mの第2端子には、トランジスタTr13を介して配線VDDLからの電流が流れる。また、トランジスタTr15はオフ状態であるため、トランジスタTr12及びトランジスタTr12mのそれぞれの第2端子は、特定の電位にまでチャージされる。例えば、トランジスタTr12の第2端子の電位は、配線VDDLが与える定電圧よりもトランジスタTr12のしきい値電圧分低い電位となり、また、例えば、トランジスタTr12mの第2端子の電位は、配線VDDLが与える高レベル電位よりもトランジスタTr12mのしきい値電圧分低い電位となる。また、トランジスタTr13mがオン状態であるため、回路OPCは、回路OPCの一方の出力端子から配線OLに低レベル電位を出力することができる。また、トランジスタTr13がオン状態であるため、回路OPCは、回路OPCの他方の出力端子から配線OLBに低レベル電位を出力することができる。
【0104】
次に、例えば、配線OENの電位を低レベル電位から高レベル電位に変化させることで、トランジスタTr13及びトランジスタTr13mはオフ状態となり、トランジスタTr15はオン状態となる。
【0105】
ところで、図2Dの回路OPCにおいて、トランジスタTr14及びトランジスタTr14mが差動対として機能する。そのため、トランジスタTr12及びトランジスタTr12mのそれぞれの第2端子の電位は、トランジスタTr14及びトランジスタTr14mのそれぞれのゲートの電位に応じて変化する。
【0106】
例えば、トランジスタTr14のゲートの電位が、トランジスタTr14mのゲートの電位よりも高いとき、トランジスタTr12の第2端子の電位は、トランジスタTr12mの第2端子の電位よりも低くなる。このため、トランジスタTr11の第1端子とトランジスタTr12の第1端子との間の電位は、トランジスタTr11mの第1端子とトランジスタTr12mの第1端子との間の電位よりも低くなる。そして、上述したインバータループ回路は、トランジスタTr12がオン状態となり、トランジスタTr12mがオフ状態となるように動作する。結果として、NOT回路RBAの入力端子には、トランジスタTr11の第1端子とトランジスタTr12の第1端子との間の電位が入力されるため、回路OPCは、回路OPCの一方の出力端子から配線OLに高レベル電位を出力することができる。また、NOT回路RBBの入力端子には、トランジスタTr11mの第1端子とトランジスタTr12mの第1端子との間の電位が入力されるため、回路OPCは、回路OPCの他方の出力端子から配線OLBに低レベル電位を出力することができる。
【0107】
また、例えば、トランジスタTr14のゲートの電位が、トランジスタTr14mのゲートの電位よりも低いとき、トランジスタTr12の第2端子の電位は、トランジスタTr12mの第2端子の電位よりも高くなる。このため、トランジスタTr11の第1端子とトランジスタTr12の第1端子との間の電位は、トランジスタTr11mの第1端子とトランジスタTr12mの第1端子との間の電位よりも高くなる。そして、上述したインバータループ回路は、トランジスタTr12がオフ状態となり、トランジスタTr12mがオン状態となるように動作する。結果として、NOT回路RBAの入力端子には、トランジスタTr11の第1端子とトランジスタTr12の第1端子との間の電位が入力されるため、回路OPCは、回路OPCの一方の出力端子から配線OLに低レベル電位を出力することができる。また、NOT回路RBBの入力端子には、トランジスタTr11mの第1端子とトランジスタTr12mの第1端子との間の電位が入力されるため、回路OPCは、回路OPCの他方の出力端子から配線OLBに高レベル電位を出力することができる。
【0108】
ここで、読み出し回路RDCの構成と、電流IBLと電流IBLBとの大小について考える。電流IBLよりも電流IBLBが大きいとき、トランジスタTr5の第1端子及びトランジスタTr3の第1端子の電位は、トランジスタTr5mの第1端子及びトランジスタTr3mの第1端子の電位よりも低くなる。また、電流IBLよりも電流IBLBが小さいとき、トランジスタTr5の第1端子及びトランジスタTr3の第1端子の電位は、トランジスタTr5mの第1端子及びトランジスタTr3mの第1端子の電位よりも高くなる。
【0109】
したがって、図2Dの回路OPCは、トランジスタTr14mのゲートの電位よりも、トランジスタTr14のゲートの電位が低いときに、つまり、電流IBLよりも電流IBLBが大きいときに、配線OENの電位を低レベル電位から高レベル電位に変化させることによって、回路OPCの一方の出力端子から配線OLに低レベル電位を出力することができ、回路OPCの他方の出力端子から配線OLBに高レベル電位を出力することができる。一方、トランジスタTr14mのゲートの電位よりも、トランジスタTr14のゲートの電位が高いときに、つまり、電流IBLよりも電流IBLBが小さいときに、配線OENの電位を低レベル電位から高レベル電位に変化させることによって、回路OPCの一方の出力端子から配線OLに高レベル電位を出力することができ、回路OPCの他方の出力端子から配線OLBに低レベル電位を出力することができる。
【0110】
ところで、本実施の形態で説明した、トランジスタM1乃至トランジスタM3は、例えば、OSトランジスタであることが好ましい。また、トランジスタM1r乃至トランジスタM3rも、例えば、OSトランジスタであることが好ましい。つまり、メモリセルアレイMCAに含まれているトランジスタをOSトランジスタとすることが好ましい。なお、OSトランジスタについては、実施の形態3で詳述する。
【0111】
また、OSトランジスタのチャネル形成領域に含まれている金属酸化物としては、例えば、インジウム、元素M(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、又はマグネシウムなどから選ばれた一種、又は複数種の元素)、亜鉛から一又は複数選ばれる材料とすることができる。特に、インジウム、ガリウム、亜鉛からなる金属酸化物は、バンドギャップが高く、真性(I型ともいう。)、又は実質的に真性である半導体であって、当該金属酸化物のキャリア濃度は、1×1018cm-3以下であることが好ましく、1×1017cm-3未満であることがより好ましく、1×1016cm-3未満であることがさらに好ましく、1×1013cm-3未満であることがさらに好ましく、1×1012cm-3未満であることがさらに好ましい。なお、チャネル形成領域の金属酸化物のキャリア濃度の下限値については、特に限定は無いが、例えば、1×10-9cm-3とすることができる。また、当該金属酸化物がチャネル形成領域に含まれるOSトランジスタのオフ電流は、チャネル幅1μmあたり10aA(1×10-17A)以下、好ましくはチャネル幅1μmあたり1aA(1×10-18A)以下、さらには好ましくはチャネル幅1μmあたり10zA(1×10-20A)以下、さらに好ましくはチャネル幅1μmあたり1zA(1×10-21A)以下、さらに好ましくはチャネル幅1μmあたり100yA(1×10-22A)以下とすることができる。またOSトランジスタは、金属酸化物のキャリア濃度が低いため、OSトランジスタの温度が変化した場合でも、オフ電流は低いままとなる。例えば、OSトランジスタの温度が150℃であっても、オフ電流を、チャネル幅1μmあたり100zAとすることもできる。
【0112】
上記の通り、OSトランジスタはオフ電流が非常に小さい特性を有するため、特にトランジスタM1乃至トランジスタM3にOSトランジスタを適用することによって、それらのトランジスタのオフ電流をSiトランジスタよりも小さくすることができる。
【0113】
また、OSトランジスタには、バックゲートを設けることが容易である。そのため、一例として、図1のトランジスタM1乃至トランジスタM3、及びトランジスタM1r乃至トランジスタM3rには、バックゲートを図示している。なお、本発明の一態様は、トランジスタのバックゲートの接続構成に依らない。図1において、トランジスタM1乃至トランジスタM3、及びトランジスタM1r乃至トランジスタM3rには、バックゲートが図示されており、当該バックゲートの接続構成については図示されていないが、当該バックゲートの電気的な接続先は、設計の段階で決めることができる。例えば、バックゲートを有するトランジスタにおいて、そのトランジスタのオン電流を高めるために、ゲートとバックゲートとを電気的に接続してもよい。つまり、例えば、トランジスタM1のゲートとバックゲートとを電気的に接続してもよいし、また、トランジスタM2のゲートとバックゲートとを電気的に接続してもよいし、また、トランジスタM3のゲートとバックゲートとを電気的に接続してもよい。また、例えば、バックゲートを有するトランジスタにおいて、そのトランジスタのしきい値電圧を変動させるため、または、そのトランジスタのオフ電流を小さくするために、外部回路などと電気的に接続されている配線を設けて、当該配線とそのトランジスタのバックゲートを電気的に接続して、当該外部回路などによってそのトランジスタのバックゲートに電位を与えてもよい。
【0114】
また、本発明の一態様の半導体装置は、当該半導体装置に含まれるトランジスタの構造に依らない。例えば、図1に図示しているトランジスタM1乃至トランジスタM3、及びトランジスタM1r乃至トランジスタM3rは、バックゲートを有さないような構成、つまり、シングルゲート構造のトランジスタとしてもよい。また、一部のトランジスタはバックゲートを有している構成であり、別の一部のトランジスタは、バックゲートを有さない構成であってもよい。
【0115】
なお、上記のトランジスタの構造に関する変更例は、トランジスタM1乃至トランジスタM3、及びトランジスタM1r乃至トランジスタM3rだけに限定されない。例えば、トランジスタTr4、トランジスタTr4m、トランジスタTr14、トランジスタTr14m、更に、明細書の他の箇所に記載されているトランジスタ、又は他の図面に図示されているトランジスタについても同様である。
【0116】
一方、トランジスタTr1乃至トランジスタTr6と、トランジスタTr1m乃至トランジスタTr5mは、チャネル形成領域にシリコンを有するトランジスタ(以後、Siトランジスタと記載する。)であることが好ましい。シリコンとしては、例えば、非晶質シリコン(水素化アモルファスシリコンと呼ぶ場合がある)、微結晶シリコン、多結晶シリコン、単結晶シリコンなどを用いることができる。また、トランジスタTr4、トランジスタTr4m、トランジスタTr5、及びトランジスタTr5mは、SiトランジスタでなくOSトランジスタとしてもよい。
【0117】
ところで、本発明の一態様の記憶装置に含まれているトランジスタとしては、Siトランジスタ及びOSトランジスタ以外では、例えば、Geなどの半導体がチャネル形成領域に含まれるトランジスタ、ZnSe、CdS、GaAs、InP、GaN、SiGeなどの化合物半導体がチャネル形成領域に含まれるトランジスタ、カーボンナノチューブがチャネル形成領域に含まれるトランジスタ、有機半導体がチャネル形成領域に含まれるトランジスタ等とすることができる。
【0118】
ここで、メモリセルアレイMCAに含まれているトランジスタをOSトランジスタとし、読み出し回路RDCに含まれているトランジスタをSiトランジスタとすることを考える。このように、記憶装置100に含まれているトランジスタの構成を決めることによって、一例として、図3に示すとおり、Siトランジスタを含む読み出し回路RDCなどを、Siを含む半導体基板上に形成し、Siトランジスタの上方にOSトランジスタを含むメモリセルアレイMCAを設けることができる。
【0119】
図3は、記憶装置100を用いたインメモリーコンピューティングの構成例を3次元で示した模式図である。図3に示す半導体装置110は、層SILRと、層OSLR1と、層OSLR2と、を有する。
【0120】
層SILRは、Siを含む半導体基板上に形成されたSiトランジスタを含む複数の回路を有する。図3に示した半導体装置110では、一例として、層SILRは、駆動回路DRV1と、駆動回路DRV2と、プロセッサPRCと、を有する。
【0121】
層OSLR1と、層OSLR2と、は、層SILRの上方に設けられたOSトランジスタを含む複数の回路を有する。図3に示した半導体装置110では、一例として、層OSLR2は、メモリセルアレイMCAを有する。なお、層OSLR1もメモリセルアレイMCAを有してもよい。つまり、記憶装置100は、メモリセルアレイMCAを複数積層した構成としてもよい。また、層OSLR1は、メモリセルアレイMCAでなく、OSトランジスタによって構成される、記憶装置又は半導体装置における駆動回路などとしてもよい。
【0122】
また、図3では、OSトランジスタを含む層として、層OSLR1と、層OSLR2と、の2層を図示したが、本発明の一態様の記憶装置は、これに限定されない。半導体装置110が有するOSトランジスタを含む層は、1層としてもよいし、3層以上としてもよい。
【0123】
駆動回路DRV1と、駆動回路DRV2と、は、例えば、層OSLR1と、層OSLR2と、に含まれているメモリセルアレイMCAへのデータの書き込み、またはメモリセルアレイMCAからのデータの読み出しを行うための駆動回路として機能する。なお、図3に示した半導体装置110では、駆動回路DRV1は、一例として、記憶装置100の読み出し回路RDCを有する。
【0124】
プロセッサPRCは、例えば、記憶装置100を制御する機能を有する。具体的には、例えば、プロセッサPRCは、駆動回路DRV1と、駆動回路DRV2と、に対して、メモリセルアレイMCAへのデータの書き込み、またはメモリセルアレイMCAからのデータの読み出しを行うための命令信号を送信する機能を有する。
【0125】
また、プロセッサPRCは、例えば、演算器を有する回路としてもよい。具体的には、例えば、プロセッサPRCは、メモリセルアレイMCAから読み出したデータを用いて、演算を行って、演算結果をデータとしてメモリセルアレイMCAに書き込む機能を有してもよい。
【0126】
上記より、プロセッサPRCは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、積和演算器、関数回路などを有してもよい。
【0127】
図3に示す通り、半導体装置110を、Siトランジスタを有する回路を層SILRに設け、OSトランジスタを有する回路を層SILRの上方の層OSLR1(層OSLR2)に設けた構成にすることによって、記憶装置100の回路面積を低減することができる。また、プロセッサPRCの上方に、メモリセルアレイMCAを設けることによって、データ転送の際のオーバーヘッドに要する時間を低減することができ、記憶装置100の読み出し速度を速くすることができる。
【0128】
なお、本発明の一態様の記憶装置は、上述した記憶装置100の構成に限定されない。本発明の一態様の記憶装置は、状況に応じて、記憶装置100の構成を変更したものとしてもよい。例えば、記憶装置100において、配線CVL2、配線VSSLなどが与える定電圧が互いに等しい場合、配線CVL2、配線VSSLなどは、1本の配線としてまとめてもよい。
【0129】
<動作例>
次に、図1の記憶装置100の動作例について、説明する。
【0130】
図4Aは、メモリセルMC、及びメモリセルMCrのそれぞれにデータを書き込む動作の一例を示したタイミングチャートである。具体的には、図4Aのタイミングチャートは、時刻T11から時刻T15までの間及びその近傍の時刻での、配線WWLと、配線WBLと、配線RWLと、メモリセルMCのノードNと、メモリセルMCrのノードNrと、の電位の変化を示している。なお、図4Aでは、高レベル電位をHighと表記し、低レベル電位をLowと表記している。
【0131】
また、本動作例では、メモリセルMCrは、メモリセルMCの参照メモリセルとして機能するものとする。
【0132】
また、本動作例において、配線CVL1、及び配線CVL2が与える定電圧をそれぞれ接地電位とする。
【0133】
図4Aのタイミングチャートでは、メモリセルMCに、データとして高レベル電位を書き込む動作例を示している。
【0134】
時刻T11から時刻T12までの間において、配線WWL、配線WBL及び配線RWLのそれぞれには、低レベル電位が入力されている。特に、配線WWLは、メモリセルMCに含まれているトランジスタM2のゲートに電気的に接続されているため、トランジスタのM2のゲートには、低レベル電位が入力される。そのため、トランジスタM2は、オフ状態となる。また、配線RWLは、メモリセルMCに含まれているトランジスタM3のゲートに電気的に接続されているため、トランジスタのM3のゲートには、低レベル電位が入力される。そのため、トランジスタM3は、オフ状態となる。
【0135】
また、ノードN、ノードNrの電位については、この時点では不明としている。そのため、図4Aのタイミングチャートでは、時刻T11から時刻T12までの間における、ノードN、ノードNrの電位をハッチングで示している。
【0136】
時刻T12から時刻T13までの間において、配線WBLには、高レベル電位が入力されている。
【0137】
時刻T13から時刻T14までの間において、配線WWLには、高レベル電位が入力されている。これにより、トランジスタM2のゲートには、高レベル電位が入力される。そのため、トランジスタM2は、オン状態となる。
【0138】
トランジスタM2がオン状態になることにより、配線WBLと容量C1の第1端子との間が導通状態となる。このため、ノードNの電位は、配線WBLから入力される高レベル電位となる。
【0139】
時刻T14から時刻T15までの間において、配線WWLには、低レベル電位が入力されている。配線WWLは、メモリセルMCに含まれているトランジスタM2のゲートに電気的に接続されているため、トランジスタのM2のゲートには、低レベル電位が入力される。そのため、トランジスタM2は、オフ状態となる。
【0140】
トランジスタM2がオフ状態になることにより、配線WBLと容量C1の第1端子との間が非導通状態となる。このとき、メモリセルMCには、容量C1によって、ノードNの電位、つまり配線WBLから入力された高レベル電位が保持される。
【0141】
一方、メモリセルMCrには、メモリセルMCと同様の動作によって、メモリセルMCに書き込まれるデータの論理が反転されたデータを保持する。例えば、本動作例では、メモリセルMCに高レベル電位が保持されている場合、メモリセルMCrには、容量C1rによって、ノードNrの電位、つまり配線WBLから入力された低レベル電位が保持されているものとする。
【0142】
なお、配線WBLに与えられている高レベル電位は、メモリセルMCにデータが書き込まれた後では、時刻T12より前の電位(例えば、低レベル電位など)に戻してもよい。図4Aのタイミングチャートでは、時刻T15以降において、配線WBLの電位を高レベル電位から低レベル電位に変化させている。
【0143】
上記の動作例によって、メモリセルMC、及びメモリセルMCrに、データを書き込むことができる。また、上記では、メモリセルMCには高レベル電位を書き込む動作例を示したが、メモリセルMCに書き込まれるデータとしては、低レベル電位としてもよい。また、このとき、メモリセルMCrには、高レベル電位が書き込まれていることが好ましい。
【0144】
次に、メモリセルMCからデータを読み出す動作例について、説明する。
【0145】
図4Bは、メモリセルMC、及びメモリセルMCrのそれぞれからデータを読み出す動作の一例を示したタイミングチャートである。具体的には、図4Bのタイミングチャートは、時刻T21から時刻T23までの間及びその近傍の時刻での、配線RWLと、配線SAENと、配線BLと、配線BLBと、配線VOLPと、配線OLと、の電位の変化を示している。また、図4Bのタイミングチャートには、配線BLに流れる電流IBLと、配線BLBに流れる電流IBLBと、のそれぞれの電流量の変化も示している。なお、図4Bでは、高レベル電位をHighと表記し、低レベル電位をLowと表記している。
【0146】
また、本動作例では、配線VDDLが与える定電圧を高レベル電位とし、配線VSSLが与える定電圧を低レベル電位とする。
【0147】
時刻T21から時刻T22までの間において、配線SAENに低レベル電位が入力される。特に、配線SAENは、読み出し回路RDCに含まれているトランジスタTr1及びトランジスタTr1mのそれぞれのゲートに電気的に接続されているため、トランジスタTr1及びトランジスタTr1mのゲートには、低レベル電位が入力される。そのため、トランジスタTr1及びトランジスタTr1mは、オン状態となる。
【0148】
このとき、トランジスタTr4の第1端子には、トランジスタTr1を介して、配線VDDLからの高レベル電位が与えられる。同様に、トランジスタTr4mの第1端子には、トランジスタTr1mを介して、配線VDDLからの高レベル電位が与えられる。
【0149】
また、トランジスタTr2の第1端子と、トランジスタTr2のゲートと、トランジスタTr3のゲートには、トランジスタTr1を介して、配線VDDLからの高レベル電位が与えられる。このとき、トランジスタTr2及びトランジスタTr3のそれぞれのしきい値電圧が適切な範囲内であるものとすることで、トランジスタTr2及びトランジスタTr3のそれぞれはオフ状態となる。同様に、トランジスタTr2mの第1端子と、トランジスタTr2mのゲートと、トランジスタTr3mのゲートには、トランジスタTr1mを介して、配線VDDLからの高レベル電位が与えられる。このとき、トランジスタTr2m及びトランジスタTr3mのそれぞれのしきい値電圧が適切な範囲内であるものとすることで、トランジスタTr2m及びトランジスタTr3mのそれぞれはオフ状態となる。
【0150】
また、時刻T21から時刻T22までの間において、配線VOLPに電圧VREADが入力される。このため、読み出し回路RDCに含まれているトランジスタTr4及びトランジスタTr4mのそれぞれのゲートには、VREADが与えられる。
【0151】
トランジスタTr4は、例えば、配線BLに与える電流を調整するトランジスタとして機能する。例えば、トランジスタTr4のゲートにアナログ電位としてVREADが与えることによって、トランジスタTr4の第1端子と第2端子との間に、VREADに応じた電流を流すことができる。同様に、例えば、トランジスタTr4mのゲートにアナログ電位としてVREADが与えることによって、トランジスタTr4mの第1端子と第2端子との間に、VREADに応じた電流を流すことができる。
【0152】
なお、トランジスタTr4は、例えば、スイッチング素子として機能してもよい。具体的には、トランジスタTr4は、導通状態のときに、トランジスタTr4の第1端子に入力された電位を第2端子に出力するものとしてもよい。この場合、トランジスタTr4は、nチャネル型トランジスタとしてもよいし、pチャネル型トランジスタとしてもよい。
【0153】
ここで、例えば、メモリセルMC(メモリセルMCr)のトランジスタM1及びトランジスタM3(トランジスタM1r及びトランジスタM3r)がOSトランジスタであるとき、メモリセルMC(メモリセルMCr)に流れるIBL(IBLB)は、トランジスタM1及びトランジスタM3(トランジスタM1r及びトランジスタM3r)がSiトランジスタのときよりも小さくなる。メモリセルMC(メモリセルMCr)に流れるIBL(IBLB)が小さい場合、トランジスタTr4(トランジスタTr4m)はゲートにアナログ電位を与えて配線BL(配線BLB)に流れる電流を制御する必要が無い場合がある。この場合、トランジスタTr4は、スイッチング素子として機能させてもよい。一方、トランジスタM1及びトランジスタM3(トランジスタM1r及びトランジスタM3r)がSiトランジスタであるとき、メモリセルMC(メモリセルMCr)に流れるIBL(IBLB)が大きくなるため、トランジスタTr4(トランジスタTr4m)はゲートにアナログ電位を与えて配線BL(配線BLB)に流れる電流を制御する必要がある。このため、メモリセルMC(メモリセルMCr)のトランジスタM1及びトランジスタM3(トランジスタM1r及びトランジスタM3r)としてOSトランジスタを適用することで、トランジスタTr4(トランジスタTr4m)はスイッチング素子として用いることができるため、配線BL(配線BLB)に流れる電流を制御するためのトランジスタTr4(トランジスタTr4m)のゲートに入力するアナログ電位を生成する必要はなくなる。
【0154】
さらに、時刻T21から時刻T22までの間において、メモリセルアレイMCAに含まれている複数のメモリセルMCの一に電気的に接続されている配線RWLに高レベル電位が入力される。また、そのメモリセルMCの一に対応する参照メモリセルであるメモリセルMCrに電気的に接続されている配線RWLに高レベル電位が入力される。以後、複数のメモリセルMCの一を単にメモリセルMCと記載し、そのメモリセルMCに対応する参照メモリセルをメモリセルMCrと記載する。
【0155】
メモリセルMCに電気的に接続されている配線RWLに高レベル電位が入力されることによって、メモリセルMCに含まれているトランジスタM3がオン状態となる。また、メモリセルMCrに含まれているトランジスタM3rがオン状態となる。
【0156】
ところで、メモリセルMCに含まれているトランジスタM1の第2端子には、接地電位が入力されているため、トランジスタM1の第1端子-第2端子間に流れる電流は、トランジスタM1のゲートの電位(ノードNの電位)に応じて決まる。同様に、メモリセルMCrに含まれているトランジスタM1rの第2端子には、接地電位が入力されているため、トランジスタM1rの第1端子-第2端子間に流れる電流は、トランジスタM1rのゲート(ノードNr)の電位に応じて決まる。
【0157】
ここで、例えば、メモリセルMCに含まれているトランジスタM1のゲートの電位が高レベル電位であるとき、トランジスタM1のゲート-ソース間電圧は、高レベル電位と接地電位との電位差となる。このとき、トランジスタM1の第1端子-第2端子間に流れる電流をIVhighとする。また、例えば、トランジスタM1のゲートの電位が低レベル電位であるとき、トランジスタM1のゲート-ソース間電圧は、低レベル電位と接地電位との電位差となる。このとき、トランジスタM1の第1端子-第2端子間に流れる電流をIVlowとする。なお、トランジスタM1のゲート-ソース間電圧において、高レベル電位と接地電位との電位差は、低レベル電位と接地電位との電位差よりも高いため、IVhighは、IVlowよりも大きくなる。
【0158】
また、トランジスタM1の第1端子-第2端子間に電流が流れ、かつトランジスタM3がオン状態であるため、配線BLと配線CVL2との間が導通状態となる。トランジスタM1の第1端子-第2端子間に流れる電流がIVhighであるときの配線BLの電位をVLRSとし、トランジスタM1の第1端子-第2端子間に流れる電流がIVlowであるときの配線BLの電位をVHRSとする。なお、IVhighはIVlowよりも大きいため、VHRSはVLRSよりも高くなる。
【0159】
また、例えば、メモリセルMCrに含まれているトランジスタM1のゲートの電位が高レベル電位、又は低レベル電位であるとき、トランジスタM1の第1端子-第2端子間に流れる電流は、メモリセルMCと同様に、IVhigh又はIVlowとすることができる。また、同様に、トランジスタM1の第1端子-第2端子間に流れる電流がIVhighであるときの配線BLBの電位をVLRSとし、トランジスタM1の第1端子-第2端子間に流れる電流がIVlowであるときの配線BLBの電位をVHRSとしてもよい。
【0160】
また、例えば、メモリセルMCrに含まれているトランジスタM1rのゲートの電位は中間電位としてもよい。ここでの中間電位は、例えば、低レベル電位よりも高く、高レベル電位よりも低い電位とする。そして、トランジスタM1rのゲート-ソース間電圧が、中間電位-接地電位となるとき、トランジスタM1rの第1端子-第2端子間に流れる電流をIVrefとする。また、トランジスタM1rの第1端子-第2端子間に流れる電流がIVrefであるときの配線BLBの電位をVrefとする。なお、IVrefはIVlowよりも大きくIVhighよりも小さい電流とし、VrefはVLRSよりも高くVHRSよりも低い電位とする。
【0161】
なお、時刻T21から時刻T22までの間において、読み出し回路RDCは駆動状態ではないとものとする。ここでは、一例として、回路OPCから出力される電位(つまり、配線OLの電位)を低レベル電位とする。
【0162】
時刻T22から時刻T23までの間において、配線SAENに高レベル電位が入力される。これにより、トランジスタTr1及びトランジスタTr1mのそれぞれのゲートには、高レベル電位が入力されるため、トランジスタTr1及びトランジスタTr1mは、オフ状態となる。
【0163】
トランジスタTr1がオフ状態になると、配線BLの電流IBLは、トランジスタTr1を介してではなく、トランジスタTr2を介して、配線VDDLから流れるようになる。また、トランジスタTr2はダイオード接続の構成となっているため、トランジスタTr2のゲートの電位は、トランジスタTr2の第1端子-第2端子間に電流IBLが流れるような電位になる。
【0164】
また、トランジスタTr2とトランジスタTr3とによって、カレントミラー回路CMが構成されているため、トランジスタTr3の第1端子-第2端子間には、トランジスタTr2の第1端子-第2端子間に流れる電流IBLとほぼ等しい電流が流れる。なお、本動作例では、トランジスタTr3の第1端子-第2端子間に流れる電流をIBLとする。
【0165】
トランジスタTr1mがオフ状態になると、配線BLBの電流IBLBは、トランジスタTr1mを介してではなく、トランジスタTr2mを介して、配線VDDLから流れるようになる。また、トランジスタTr2mはダイオード接続の構成となっているため、トランジスタTr2mのゲートの電位は、トランジスタTr2mの第1端子-第2端子間に電流IBLBが流れるような電位になる。
【0166】
また、トランジスタTr2mとトランジスタTr3mとによって、カレントミラー回路CMrが構成されているため、トランジスタTr3mの第1端子-第2端子間には、トランジスタTr2mの第1端子-第2端子間に流れる電流IBLBとほぼ等しい電流が流れる。なお、本動作例では、トランジスタTr3mの第1端子-第2端子間に流れる電流をIBLBとする。
【0167】
次に、カレントミラー回路CMdについて考える。トランジスタTr3mの第1端子-第2端子間には、電流IBLBが流れるため、トランジスタTr5mの第1端子-第2端子間には、電流IBLBが流れる。このとき、トランジスタTr5mはダイオード接続の構成となっているため、トランジスタTr5mのゲートの電位は、トランジスタTr5mの第1端子-第2端子間に電流IBLBが流れるような電位になる。
【0168】
ところで、回路OPCは、回路OPCの入力端子の電位に応じた電位を、回路OPCの出力端子から出力する機能を有する場合、つまり、例えば、回路OPCの入力端子の入力インピーダンスが高く、回路OPCの入力端子に電流が流れない場合、トランジスタTr3の第1端子-第2端子間に流れる電流と、トランジスタTr5の第1端子-第2端子間に流れる電流と、は互いに等しくなるように、トランジスタTr3及びトランジスタTr5のそれぞれのインピーダンスが定まる。
【0169】
例えば、電流IBLBよりも電流IBLのほうが大きい場合、トランジスタTr5のインピーダンスが高くなるため、回路OPCの入力端子への入力電位は高くなる。一方、電流IBLBよりも電流IBLの方が小さい場合、トランジスタTr5のインピーダンスが低くなるため、回路OPCの入力端子への入力電位は低くなる。つまり、電流IBLが電流IBLBよりも大きいとき、回路OPCは回路OPCの一方の出力端子に高レベル電位を出力し、また、電流IBLが電流IBLBよりも小さいとき、回路OPCは回路OPCの一方の出力端子に低レベル電位を出力する。
【0170】
例えば、メモリセルMCに高レベル電位が保持され、メモリセルMCrに低レベル電位又は中間電位が保持されているとき、配線BLに流れる電流はIVhighとなり、配線BLBに流れる電流はIVlow、又はIVrefとなる。このとき、回路OPCは回路OPCの出力端子に高レベル電位を出力する。また、例えば、メモリセルMCに低レベル電位が保持され、メモリセルMCrに高レベル電位又は中間電位が保持されているとき、配線BLに流れる電流はIVhighとなり、配線BLBに流れる電流はIVlow、又はIVrefとなる。このとき、回路OPCは回路OPCの出力端子に低レベル電位を出力する。
【0171】
以上より、読み出し回路RDCは、時刻T21から時刻T23までの間、及びその近傍の動作を行うことによって、メモリセルMCに保持された電位を読み出すことができる。
【0172】
なお、本発明の一態様の記憶装置が行う動作は、本実施の形態で説明した動作例に限定されない。本実施の形態で説明した動作例は、状況に応じて適宜変更することができる。例えば、読み出し動作において、時刻T21に、配線RWLに高レベル電位を与え、かつ配線VOLPにVREADを与えているが、配線RWL及び配線VOLPに電位を与えるタイミングは互いに異なっていてもよい。具体的には、例えば、配線VOLPにVREADを与えた後に、配線RWLに高レベル電位を与える動作としてもよい。
【0173】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0174】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記の実施の形態で説明した記憶装置100とは異なる、別の構成例の記憶装置について説明する。
【0175】
<構成例2>
図5は、本発明の一態様の記憶装置の構成例を示す回路図である。記憶装置100Aは、記憶装置100の変形例であって、読み出し回路RDCにおいてトランジスタTr4及びトランジスタTr4mを設けていない点で、記憶装置100と異なる。
【0176】
記憶装置100Aには、トランジスタTr4が設けられていないため、配線BLに電流IBLを流さないようにするには、つまり、メモリセルアレイMCAからデータの読み出しを行わないときには、配線BLに電気的に接続されている全てのメモリセルMCにおいて、トランジスタM3をオフ状態にすればよい。また、全てのメモリセルMCのうちの一からデータを読み出すとき、そのメモリセルMCのトランジスタM3をオン状態にし、それ以外のメモリセルMCのトランジスタM3をオフ状態にすればよい。同様に、記憶装置100Aには、トランジスタTr4mが設けられていないため、配線BLBに電流IBLBを流さないようにするには、配線BLBに電気的に接続されている全てのメモリセルMCrにおいて、トランジスタM3rをオフ状態にすればよい。また、全てのメモリセルMCrのうちの一からデータを読み出すとき、そのメモリセルMCrのトランジスタM3rをオン状態にし、それ以外のメモリセルMCrのトランジスタM3rをオフ状態にすればよい。
【0177】
この場合、トランジスタM3、トランジスタM3rとしては、上述した通り、オフ電流を低くできるOSトランジスタを適用することが好ましい。
【0178】
記憶装置100Aは、記憶装置100にトランジスタTr4、及びトランジスタTr4mを設けない構成となっているため、記憶装置100Aは、記憶装置100よりも面積を低減して作製することができる。また、記憶装置100Aにおいて、トランジスタTr4、及びトランジスタTr4mのゲートに電圧を入力する必要がなくなるため、記憶装置100Aは、記憶装置100よりも消費電力を低減することができる。
【0179】
<構成例3>
図6に示す記憶装置100Bは、記憶装置100の変形例である。具体的には、記憶装置100Bは、記憶装置100の読み出し回路RDCにおいて、トランジスタTr4をトランジスタOTr4に置き換え、トランジスタTr4mをトランジスタOTr4mに置き換え、トランジスタTr5をトランジスタOTr5に置き換え、トランジスタTr5mをトランジスタOTr5mに置き換えた構成となっている。
【0180】
上述したとおり、記憶装置100において、トランジスタTr4、トランジスタTr4m、トランジスタTr5、及びトランジスタTr5mのそれぞれは、nチャネル型トランジスタである。そのため、トランジスタOTr4、トランジスタOTr4m、トランジスタOTr5、及びトランジスタOTr5mのそれぞれは、例えば、OSトランジスタを用いることができる。
【0181】
また、トランジスタTr1、トランジスタTr1m、トランジスタTr2、トランジスタTr2m、トランジスタTr3、トランジスタTr3m、及び回路OPCに含まれているトランジスタのそれぞれをSiトランジスタとする。
【0182】
ここで、読み出し回路RDC内において、トランジスタOTr4、トランジスタOTr4m、トランジスタOTr5、及びトランジスタOTr5mを含む回路を回路RDCaとし、トランジスタTr1、トランジスタTr1m、トランジスタTr2、トランジスタTr2m、トランジスタTr3、トランジスタTr3m、及び回路OPCを含む回路を回路RDCbとする。つまり、読み出し回路RDCにおいて、OSトランジスタを含む回路を回路RDCaとし、Siトランジスタを含む回路を回路RDCbとする。
【0183】
読み出し回路RDCに含まれているトランジスタを上述した通りに定義することにより、例えば、シリコンを有する半導体基板上にSiトランジスタを含む回路RDCbを形成して、回路RDCbの上方にOSトランジスタを含む回路RDCaを形成することができる。また、メモリセルアレイMCAは、回路RDCbの上方に回路RDCaと同時に形成されてもよいし、回路RDCaを形成した後に回路RDCaの上方に形成されてもよい。回路RDCaの上方に回路RDCbを形成することによって、読み出し回路RDCの回路面積を小さくすることができる。
【0184】
具体的には、例えば、記憶装置100Bを図3の半導体装置に適用する場合、層OSLR2にメモリセルアレイMCAを設け、層OSLR1に回路RDCaを設け、層SILRに回路RDCbを設ければよい。
【0185】
また、OSトランジスタのオン電流は、Siトランジスタのオン電流よりも小さくなる。配線BL、及び配線BLBに流れる電流の量が小さい場合、図1の記憶装置100の読み出し回路RDCに含まれているトランジスタTr4、及びトランジスタTr4mのそれぞれを、図6に示す記憶装置100Bのとおり、OSトランジスタである、トランジスタOTr4及びトランジスタOTr4mに置き換えることができる。
【0186】
なお、図6の記憶装置100Bは、カレントミラー回路CMdに含まれているトランジスタをOSトランジスタとして、カレントミラー回路CMdが回路RDCaに含まれている構成となっているが、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、図6の記憶装置100Bは、カレントミラー回路CMdに含まれているトランジスタをSiトランジスタとして、カレントミラー回路CMdが回路RDCbに含まれている構成としてもよい(図示しない)。この構成は、トランジスタTr5及びトランジスタTr5mに流れるオン電流を増やしたい場合に好適である。
【0187】
<構成例4>
図7は、本発明の一態様の記憶装置の構成例を示す回路図である。記憶装置100Cは、記憶装置100の変形例でもあって、メモリセルアレイMCAにおいて、メモリセルMC及びメモリセルMCrの構成が記憶装置100と異なっている。
【0188】
ここで、記憶装置100CのメモリセルアレイMCAに含まれているメモリセルMC及びメモリセルMCrの構成について説明する。
【0189】
記憶装置100Cに含まれているメモリセルMCは、記憶装置100に含まれているメモリセルMCにトランジスタM3を設けていない構成となっている。つまり、記憶装置100CのメモリセルMCは、トランジスタM1と、トランジスタM2と、容量C1と、を有する。
【0190】
記憶装置100CのメモリセルMCにおいて、トランジスタM1の第1端子は、配線CVL2に電気的に接続され、トランジスタM1の第2端子は、配線BLに電気的に接続され、トランジスタM1のゲートは、トランジスタM2の第1端子と、容量C1の第1端子と、に電気的に接続されている。トランジスタM2の第2端子は、配線WBLに電気的に接続され、トランジスタM2のゲートは、配線WWLに電気的に接続されている。容量C1の第2端子は、配線RWLに電気的に接続されている。
【0191】
なお、図7の記憶装置100Cにおいて、トランジスタM1のゲートと、トランジスタM2の第1端子と、容量C1の第1端子と、の電気的な接続点をノードNとしている。
【0192】
また、図7の記憶装置100Cにおいて、メモリセルMCrは、メモリセルMCと同様の構成となっている。そのため、メモリセルMCrが有する回路素子などには、メモリセルMCが有する回路素子などと区別をするため、符号に「r」を付している。つまり、メモリセルMCrは、トランジスタM1rと、トランジスタM2rと、容量C1rと、を有する。
【0193】
また、図7には、メモリセルMCの読み出しビット線として、配線BLを図示しているが、メモリセルMCrの読み出しビット線としては、配線BLBを図示している。メモリセルMCrにおいて、トランジスタM1rの第2端子は、配線BLBに電気的に接続されている。
【0194】
配線BL、配線BLB、配線WWL、配線WBL、及び配線CVL2のそれぞれの機能については、実施の形態1での図1の記憶装置100の記載を参酌する。
【0195】
配線RWLは、メモリセルアレイMCAに含まれている複数のメモリセルMCのうち、データの読み出しが行われるメモリセルMCを選択するための読み出しワード線として機能する。
【0196】
配線RWLを読み出しワード線として機能するには、例えば、あらかじめ、メモリセルMCにデータを書き込むときに配線RWLに高レベル電位を印加し、当該データを容量C1の第1端子に書き込んだ後にトランジスタM2をオフ状態にする。つまり、容量C1の第1端子にデータを書き込んだ後にノードNをフローティング状態にする。その後に、配線RWLに低レベル電位を与えて、トランジスタM1のゲート(ノードN)の電位を容量結合によって低下させて、トランジスタM1をオフ状態にする。そして、メモリセルMCからデータを読み出すときは、配線RWLが与える電位を低レベル電位から高レベル電位に変化させて、トランジスタM1をオン状態にすればよい。このとき、トランジスタM1の第1端子-第2端子間には、トランジスタM1のゲート-ソース間電圧に応じた電流が流れる。ここで、配線CVL2が与える定電位を接地電位としたとき、トランジスタM1の第1端子-第2端子間に流れる電流の量は、トランジスタM1のゲート(ノードN)の電位によって決まる。このとき、配線BLからトランジスタM1を介して配線CVL2に流れる電流の量から、メモリセルMCに書き込まれたデータを読み出すことができる。
【0197】
図1に示した記憶装置100では、メモリセルMC(メモリセルMCr)に含まれているトランジスタM3(トランジスタM3r)のオン状態又はオフ状態を切り替えることによって、メモリセルアレイMCAからデータの読み出しを行うメモリセルMC(メモリセルMCr)を選択することができる。一方、図7に示した記憶装置100Cでは、データの読み出しが行われないメモリセルMC(メモリセルMCr)において、そのメモリセルMC(メモリセルMCr)に電気的に接続されている配線RWLに低レベル電位を入力してトランジスタM1(トランジスタM1r)をオフ状態にして、かつデータの読み出しが行われるメモリセルMC(メモリセルMCr)において、そのメモリセルMC(メモリセルMCr)に電気的に接続されている配線RWLに高レベル電位を入力してトランジスタM1(トランジスタM1r)をオン状態にすることによって、メモリセルアレイMCAからデータの読み出しを行うメモリセルMC(メモリセルMCr)を選択することができる。
【0198】
記憶装置100Cは、記憶装置100のメモリセルMC(メモリセルMCr)にトランジスタM3(トランジスタM3r)を設けない構成となっているため、記憶装置100CのメモリセルMC(メモリセルMCr)を構成する回路面積を低減することができる。また、メモリセルアレイMCAにおいて、メモリセルMC(メモリセルMCr)の回路面積を低減した分に新たにメモリセルMC(メモリセルMCr)を設けることによって、メモリセルアレイMCAのセル密度を高くすることができる。
【0199】
なお、上述した記憶装置100A、記憶装置100B、及び記憶装置100Cの動作については、実施の形態1で説明した動作例を参酌する。
【0200】
なお、本発明の一態様の記憶装置は、上述した記憶装置100A、記憶装置100B、及び記憶装置100Cに限定されない。本発明の一態様の記憶装置は、状況に応じて、記憶装置100A、記憶装置100B、及び記憶装置100Cのそれぞれの回路構成を変更したものとしてもよい。
【0201】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0202】
(実施の形態3)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した記憶装置の構成例、及び記憶装置に適用できるトランジスタの構成例について説明する。
【0203】
<記憶装置の構成例>
図8に示す記憶装置は、トランジスタ300と、トランジスタ400と、トランジスタ500と、容量素子600と、を有している。図11Aは、トランジスタ400、及びトランジスタ500のチャネル長方向の断面図であり、図11Bは、トランジスタ400、及びトランジスタ500のチャネル幅方向の断面図であり、図11Cはトランジスタ300のチャネル幅方向の断面図である。
【0204】
トランジスタ400、及びトランジスタ500は、チャネル形成領域に金属酸化物を有するトランジスタ(OSトランジスタ)である。トランジスタ400、及びトランジスタ500は、オフ電流が小さく、また、高温でも電界効果移動度が変化しにくい特性を有する。トランジスタ400としては、例えば、上記実施の形態で説明したメモリセルアレイMCAのメモリセルMCに含まれているトランジスタM1などとすることができ、また、トランジスタ500としては、例えば、上記実施の形態で説明したメモリセルアレイMCAのメモリセルMCに含まれているトランジスタM2などとすることができる。特に、OSトランジスタはオフ電流が小さいため、トランジスタM2を、OSトランジスタとしてトランジスタ500にすることによって、オフ電流による、保持データの劣化を防ぐことができる。
【0205】
トランジスタ400は、例えば、トランジスタ300の上方に設けられ、トランジスタ500は、例えば、トランジスタ400の上方に設けられ、容量素子600は、例えば、トランジスタ500の上方に設けられている。なお、容量素子600は、例えば、上記実施の形態で説明したメモリセルアレイMCAのメモリセルMCに含まれている容量C1などとすることができる。なお、別の配線とノードNとの間に形成される寄生容量が大きい場合は、図8に示す容量素子600は必ずしも設けなくてもよい。
【0206】
また、図8の記憶装置では、トランジスタ500は、トランジスタ400の上方に設けられている構成を示しているが、本発明の一態様は、これに限定されない。例えば、トランジスタ500は、図9に示す通り、トランジスタ400と同時に設けられるように同じ高さに位置してもよい。なお、図9では、符号は、トランジスタ300、トランジスタ400、トランジスタ500、及び容量素子600のみ図示しており、それら以外の符号については省略している。
【0207】
トランジスタ300は、基板311上に設けられ、導電体316、絶縁体315、基板311の一部からなる半導体領域313、ソース領域又はドレイン領域として機能する低抵抗領域314a、及び低抵抗領域314bを有する。なお、トランジスタ300は、例えば、上記実施の形態で説明した記憶装置100の読み出し回路RDCに含まれているトランジスタTr1乃至トランジスタTr5、トランジスタTr1m乃至トランジスタTr5mのいずれか一などとすることができる。また、例えば、上記実施の形態で説明した記憶装置100の回路OPCに含まれているトランジスタなどとすることができる。
【0208】
また、基板311としては、半導体基板(例えば単結晶基板又はシリコン基板)を用いることが好ましい。
【0209】
トランジスタ300は、図11Cに示すように、半導体領域313の上面及びチャネル幅方向の側面が絶縁体315を介して導電体316に覆われている。このように、トランジスタ300をFin型とすることにより、実効上のチャネル幅が増大することによりトランジスタ300のオン特性を向上させることができる。また、ゲート電極の電界の寄与を高くすることができるため、トランジスタ300のオフ特性を向上させることができる。
【0210】
なお、トランジスタ300は、pチャネル型、あるいはnチャネル型のいずれでもよい。
【0211】
半導体領域313のチャネルが形成される領域、その近傍の領域、ソース領域、又はドレイン領域となる低抵抗領域314a、及び低抵抗領域314bなどにおいて、シリコン系半導体などの半導体を含むことが好ましく、単結晶シリコンを含むことが好ましい。又は、上述した領域は、例えば、Ge(ゲルマニウム)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、GaAs(ガリウムヒ素)、GaAlAs(ガリウムアルミニウムヒ素)などを有する材料で形成してもよい。結晶格子に応力を与え、格子間隔を変化させることで有効質量を制御したシリコンを用いた構成としてもよい。又はGaAsとGaAlAs等を用いることで、トランジスタ300をHEMT(High Electron Mobility Transistor)としてもよい。
【0212】
低抵抗領域314a、及び低抵抗領域314bは、半導体領域313に適用される半導体材料に加え、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元素、又はホウ素などのp型の導電性を付与する元素を含む。
【0213】
ゲート電極として機能する導電体316は、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元素、もしくはホウ素などのp型の導電性を付与する元素を含むシリコンなどの半導体材料、金属材料、合金材料、又は金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。
【0214】
なお、導電体の材料によって仕事関数が決まるため、当該導電体の材料を選択することで、トランジスタのしきい値電圧を調整することができる。具体的には、導電体に窒化チタンや窒化タンタルなどの材料を用いることが好ましい。さらに導電性と埋め込み性を両立するために導電体にタングステンやアルミニウムなどの金属材料を積層として用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが耐熱性の点で好ましい。
【0215】
なお、図8に示すトランジスタ300は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。例えば、半導体装置をOSトランジスタのみの単極性回路(nチャネル型トランジスタのみ、など同極性のトランジスタで構成される回路を意味する)とする場合、図10に示すとおり、トランジスタ300の構成を、酸化物半導体を用いているトランジスタ400、及びトランジスタ500と同様の構成にすればよい。なお、トランジスタ400、及びトランジスタ500の詳細については後述する。
【0216】
また、図示しないが、図10の記憶装置には、トランジスタ300の下方にSiトランジスタが設けられていてもよい。このような構成は、例えば、上記実施の形態で説明した記憶装置100Bに適用することができる。具体的には、記憶装置100Bにおいて、トランジスタM1をトランジスタ400とし、トランジスタM2をトランジスタ500とし、トランジスタOTr4、トランジスタOTr5、回路RDCaに含まれているトランジスタをトランジスタ300とし、回路RDCbに含まれているトランジスタを当該Siトランジスタとすればよい。
【0217】
トランジスタ300を覆って、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、及び絶縁体326が順に積層して設けられている。
【0218】
絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、及び絶縁体326として、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどを用いればよい。
【0219】
なお、本明細書中において、酸化窒化シリコンとは、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化シリコンとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を示す。また、本明細書中において、酸化窒化アルミニウムとは、その組成として窒素よりも酸素の含有量が多い材料を指し、窒化酸化アルミニウムとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多い材料を示す。
【0220】
絶縁体322は、その下方に設けられるトランジスタ300などによって生じる段差を平坦化する平坦化膜としての機能を有していてもよい。例えば、絶縁体322の上面は、平坦性を高めるために化学機械研磨(CMP)法等を用いた平坦化処理により平坦化されていてもよい。
【0221】
また、絶縁体324には、基板311、又はトランジスタ300などから、トランジスタ400、及びトランジスタ500が設けられる領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。
【0222】
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、例えば、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。ここで、トランジスタ400やトランジスタ500等の酸化物半導体を有する半導体素子に、水素が拡散することで、当該半導体素子の特性が低下する場合がある。したがって、トランジスタ400と、トランジスタ300との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
【0223】
水素の脱離量は、例えば、昇温脱離ガス分析法(TDS)などを用いて分析することができる。例えば、絶縁体324の水素の脱離量は、TDS分析において、膜の表面温度が50℃から500℃の範囲において、水素原子に換算した脱離量が、絶縁体324の面積当たりに換算して、10×1015atoms/cm以下、好ましくは5×1015atoms/cm以下であればよい。
【0224】
なお、絶縁体326は、絶縁体324よりも誘電率が低いことが好ましい。例えば、絶縁体326の比誘電率は4未満が好ましく、3未満がより好ましい。また例えば、絶縁体326の比誘電率は、絶縁体324の比誘電率の0.7倍以下が好ましく、0.6倍以下がより好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
【0225】
また、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、及び絶縁体326には、上層の配線などに電気的に接続される導電体328、及び導電体330が埋め込まれている。なお、導電体328、及び導電体330は、プラグ又は配線としての機能を有する。つまり、絶縁体322、絶縁体324、絶縁体326、導電体328、及び導電体330は、まとめて配線層として機能してもよい。また、プラグ又は配線としての機能を有する導電体は、複数の構造をまとめて同一の符号を付与する場合がある。また、本明細書等において、配線と、配線と接続するプラグとが一体物であってもよい。すなわち、導電体の一部が配線として機能する場合、及び導電体の一部がプラグとして機能する場合もある。
【0226】
各プラグ、及び配線(例えば、導電体328、導電体330等)の材料としては、金属材料、合金材料、金属窒化物材料、又は金属酸化物材料などの導電性材料を、単層又は積層して用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、タングステンを用いることが好ましい。又は、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。低抵抗導電性材料を用いることで配線抵抗を低くすることができる。
【0227】
絶縁体326、及び導電体330上に、更に配線層を設けてもよい。例えば、図8において、絶縁体350、絶縁体352、及び絶縁体354が順に積層して設けられている。また、絶縁体350、絶縁体352、及び絶縁体354には、導電体356が形成されている。導電体356は、トランジスタ300と接続するプラグ、又は配線としての機能を有する。なお、導電体356は、導電体328、及び導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0228】
上記において、導電体328及び導電体330を含む配線層と、導電体356を含む配線層と、について説明したが、本実施の形態に係る半導体装置はこれに限られるものではない。トランジスタ300の上方に設けられる配線層は1層にしてもよいし、導電体356を含む配線層と同様の配線層を3層以上にしてもよい。
【0229】
なお、例えば、絶縁体350は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体356は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体350が有する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、トランジスタ300と、トランジスタ400及びトランジスタ500と、は、バリア層により分離することができ、トランジスタ300から、トランジスタ400及びトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0230】
なお、水素に対するバリア性を有する導電体としては、例えば、窒化タンタル等を用いるとよい。また、窒化タンタルと導電性が高いタングステンを積層することで、配線としての導電性を保持したまま、トランジスタ300からの水素の拡散を抑制することができる。この場合、水素に対するバリア性を有する窒化タンタル層が、水素に対するバリア性を有する絶縁体350と接する構造であることが好ましい。
【0231】
また、図8では、一例として、絶縁体354、及び導電体356上に、絶縁体360が設けられている。例えば、絶縁体360は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。当該構成により、トランジスタ300と、トランジスタ400及びトランジスタ500とは、バリア層により分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ400及びトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0232】
トランジスタ300の上方には、絶縁体362が設けられている。絶縁体362としては、例えば、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、又は絶縁体326と同様の材料を用いることができる。
【0233】
また、絶縁体362上には絶縁体414、及び絶縁体416が、順に積層されて設けられている。絶縁体414、及び絶縁体416のいずれかは、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。
【0234】
例えば、絶縁体414には、例えば、基板311、又はトランジスタ300を設ける領域などから、トランジスタ500を設ける領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。したがって、絶縁体324と同様の材料を用いることができる。
【0235】
また、水素に対するバリア性を有する膜として、例えば、絶縁体414には、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物を用いることが好ましい。
【0236】
特に、酸化アルミニウムは、酸素、及びトランジスタの電気特性の変動要因となる水素、水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中及び作製後において、水素、水分などの不純物のトランジスタ400及びトランジスタ500への混入を防止することができる。また、トランジスタ400及びトランジスタ500を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、トランジスタ400及びトランジスタ500に対する保護膜として用いることに適している。
【0237】
また、例えば、絶縁体416には、絶縁体320と同様の材料を用いることができる。また、これらの絶縁体に、比較的誘電率が低い材料を適用することで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体416として、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
【0238】
また、絶縁体414、及び絶縁体416には、例えば、プラグ、又は配線として機能する導電体が埋め込まれていてもよい(図示しない)。また、当該導電体としては、例えば、導電体328、及び導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。また、当該導電体は、酸素、水素、及び水に対するバリア性を有する導電体であることが好ましい。当該構成により、トランジスタ300と、トランジスタ400及びトランジスタ500とは、酸素、水素、及び水に対するバリア性を有する層で、分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ400及びトランジスタ500への水素の拡散を抑制することができる。
【0239】
絶縁体416の上方には、トランジスタ400が設けられている。トランジスタ400は、例えば、トランジスタ500と同じ構成とすることができる。トランジスタ400の具体的な構成については、後述するトランジスタ500の内容を参酌する。
【0240】
トランジスタ400上には、絶縁体450、絶縁体452、及び絶縁体454が順に積層されて設けられている。また、絶縁体450、絶縁体452、及び絶縁体454には、導電体456が形成されている。なお、導電体456は、プラグ又は配線としての機能を有する。つまり、絶縁体450、絶縁体452、絶縁体454、及び導電体456は、まとめて配線層として機能してもよい。なお、導電体456は、導電体328、及び導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0241】
なお、例えば、絶縁体450は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。そのため、絶縁体450は、絶縁体324に用いることができる材料を適用することが好ましい。
【0242】
上記において、導電体456を含む配線層について説明したが、本実施の形態に係る半導体装置はこれに限られるものではない。導電体456を含む配線層と同様の配線層を2層以上にしてもよい。
【0243】
絶縁体454、及び導電体456上には絶縁体510、絶縁体512、絶縁体514、及び絶縁体516が、順に積層して設けられている。絶縁体510、絶縁体512、絶縁体514、及び絶縁体516のいずれかは、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。
【0244】
例えば、絶縁体510、及び絶縁体514には、例えば、絶縁体510の下方の領域などから、トランジスタ500を設ける領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。したがって、絶縁体324、絶縁体414などと同様の材料を用いることができる。
【0245】
また、例えば、絶縁体512、及び絶縁体516には、絶縁体320と同様の材料を用いることができる。また、これらの絶縁体に、比較的誘電率が低い材料を適用することで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体512、及び絶縁体516として、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
【0246】
また、絶縁体510、絶縁体512、絶縁体514、及び絶縁体516には、導電体518、及びトランジスタ500を構成する導電体(例えば、導電体503)等が埋め込まれている。なお、導電体518は、容量素子600、又はトランジスタ300と接続するプラグ、又は配線としての機能を有する。導電体518は、導電体328、及び導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0247】
特に、絶縁体510、及び絶縁体514と接する領域の導電体518は、酸素、水素、及び水に対するバリア性を有する導電体であることが好ましい。
【0248】
絶縁体516の上方には、トランジスタ500が設けられている。
【0249】
図11A、及び図11Bに示すように、トランジスタ500は、絶縁体514及び絶縁体516に埋め込まれるように配置された導電体503と、絶縁体516及び導電体503の上に配置された絶縁体520と、絶縁体520の上に配置された絶縁体522と、絶縁体522の上に配置された絶縁体524と、絶縁体524の上に配置された酸化物530aと、酸化物530aの上に配置された酸化物530bと、酸化物530b上に互いに離れて配置された導電体542a及び導電体542bと、絶縁体522の上方と導電体542a及び導電体542bの上方に配置され、導電体542aと導電体542bの間に重畳して開口が形成された絶縁体580と、開口の底面及び側面に配置された酸化物530cと、酸化物530cの形成面に配置された絶縁体550と、絶縁体550の形成面に配置された導電体560と、を有する。
【0250】
また、図11A、及び図11Bに示すように、酸化物530a、酸化物530b、導電体542a、及び導電体542bと、絶縁体580との間に絶縁体544が配置されることが好ましい。また、図11A、及び図11Bに示すように、導電体560は、絶縁体550の内側に設けられた導電体560aと、導電体560aの内側に埋め込まれるように設けられた導電体560bと、を有することが好ましい。また、図11A、及び図11Bに示すように、絶縁体580、導電体560、及び絶縁体550の上に絶縁体574が配置されることが好ましい。
【0251】
なお、以下において、酸化物530a、酸化物530b、及び酸化物530cをまとめて酸化物530という場合がある。
【0252】
なお、トランジスタ500では、チャネルが形成される領域と、その近傍において、酸化物530a、酸化物530b、及び酸化物530cの3層を積層する構成について示しているが、本発明の一態様はこれに限られるものではない。例えば、酸化物530bの単層、酸化物530bと酸化物530aの2層構造、酸化物530bと酸化物530cの2層構造、又は4層以上の積層構造を設ける構成にしてもよい。また、トランジスタ500では、導電体560を2層の積層構造として示しているが、本発明の一態様はこれに限られるものではない。例えば、導電体560が、単層構造であってもよいし、3層以上の積層構造であってもよい。また、図8図11A、及び図11Bに示すトランジスタ500は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
【0253】
ここで、導電体560は、トランジスタのゲート電極として機能し、導電体542a及び導電体542bは、それぞれソース電極又はドレイン電極として機能する。上記のように、導電体560は、絶縁体580の開口、及び導電体542aと導電体542bに挟まれた領域に埋め込まれるように形成される。導電体560、導電体542a及び導電体542bの配置は、絶縁体580の開口に対して、自己整合的に選択される。つまり、トランジスタ500において、ゲート電極を、ソース電極とドレイン電極の間に、自己整合的に配置させることができる。よって、導電体560を位置合わせのマージンを設けることなく形成することができるので、トランジスタ500の占有面積の縮小を図ることができる。これにより、半導体装置の微細化、高集積化を図ることができる。
【0254】
さらに、導電体560が、導電体542aと導電体542bの間の領域に自己整合的に形成されるので、導電体560は、導電体542a又は導電体542bと重畳する領域を有さない。これにより、導電体560と導電体542a及び導電体542bとの間に形成される寄生容量を低減することができる。よって、トランジスタ500のスイッチング速度を向上させ、高い周波数特性を有せしめることができる。
【0255】
導電体560は、第1のゲート(トップゲートともいう)電極として機能する場合がある。また、導電体503は、第2のゲート(ボトムゲートともいう)電極として機能する場合がある。その場合、導電体503に印加する電位を、導電体560に印加する電位と、連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ500のしきい値電圧を制御することができる。特に、導電体503に負の電位を印加することにより、トランジスタ500のしきい値電圧を0Vより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したがって、導電体503に負の電位を印加したほうが、印加しない場合よりも、導電体560に印加する電位が0Vのときのドレイン電流を小さくすることができる。
【0256】
導電体503は、酸化物530、及び導電体560と、重なるように配置する。これにより、導電体560、及び導電体503に電位を印加した場合、導電体560から生じる電界と、導電体503から生じる電界と、がつながり、酸化物530に形成されるチャネル形成領域を覆うことができる。本明細書等において、第1のゲート電極、及び第2のゲート電極の電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(S-channel)構造とよぶ。
【0257】
また、導電体503は、導電体518と同様の構成であり、絶縁体514及び絶縁体516の開口の内壁に接して導電体503aが形成され、さらに内側に導電体503bが形成されている。なお、トランジスタ500では、導電体503a及び導電体503bを積層する構成について示しているが、本発明の一態様はこれに限られるものではない。例えば、導電体503は、単層、又は3層以上の積層構造として設ける構成にしてもよい。
【0258】
ここで、導電体503aは、水素原子、水素分子、水分子、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい。)導電性材料を用いることが好ましい。又は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい。)導電性材料を用いることが好ましい。なお、本明細書において、不純物、又は酸素の拡散を抑制する機能とは、上記不純物、又は上記酸素のいずれか一又は、すべての拡散を抑制する機能とする。
【0259】
例えば、導電体503aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、導電体503bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。
【0260】
また、導電体503が配線の機能を兼ねる場合、導電体503bは、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする、導電性が高い導電性材料を用いることが好ましい。その場合、導電体503aは、必ずしも設けなくともよい。なお、導電体503bを単層で図示したが、積層構造としてもよく、例えば、チタン、又は窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
【0261】
絶縁体520、絶縁体522、及び絶縁体524は、第2のゲート絶縁膜としての機能を有する。
【0262】
ここで、酸化物530と接する絶縁体524は、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む絶縁体を用いることが好ましい。つまり、絶縁体524には、過剰酸素領域が形成されていることが好ましい。このような過剰酸素を含む絶縁体を酸化物530に接して設けることにより、酸化物530中の酸素欠損を低減し、トランジスタ500の信頼性を向上させることができる。なお、本明細書等では、金属酸化物中の酸素欠損をV(oxygen vacancy)と呼称する場合がある。
【0263】
酸素欠損(V)は、金属酸化物中に含まれる水素と、金属元素と結合している酸素と反応して水になることで、形成される場合がある。金属酸化物を用いたトランジスタは、金属酸化物中のチャネルが形成される領域に不純物または酸素欠損(V)が存在すると、電気特性が変動しやすく、信頼性が悪くなる場合がある。また、酸素欠損(V)近傍の水素が、酸素欠損(V)に水素が入った欠陥(以下、VHと呼称する場合がある。)を形成し、キャリアとなる電子を生成する場合がある。このため、酸化物半導体中のチャネルが形成される領域に酸素欠損が含まれていると、トランジスタはノーマリーオン特性(ゲート電極に電圧を印加しなくてもチャネルが存在し、トランジスタに電流が流れる特性)となりやすい。したがって、酸化物半導体中のチャネルが形成される領域では、不純物、酸素欠損、およびVHはできる限り低減されていることが好ましい。言い換えると、酸化物半導体中のチャネルが形成される領域は、キャリア濃度が低減され、i型(真性化)または実質的にi型であることが好ましい。
【0264】
過剰酸素領域を有する絶縁体として、具体的には、加熱により一部の酸素が脱離する酸化物材料を用いることが好ましい。加熱により酸素を脱離する酸化物とは、TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)分析にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm以上、好ましくは1.0×1019atoms/cm以上、さらに好ましくは2.0×1019atoms/cm以上、又は3.0×1020atoms/cm以上である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、又は100℃以上400℃以下の範囲が好ましい。
【0265】
また、上記過剰酸素領域を有する絶縁体と、酸化物530と、を接して加熱処理、マイクロ波処理、またはRF処理のいずれか一または複数の処理を行っても良い。当該処理を行うことで、酸化物530中の水、または水素を除去することができる。例えば、酸化物530において、VoHの結合が切断される反応が起きる、別言すると「VH→V+H」という反応が起きて、脱水素化することができる。このとき発生した水素の一部は、酸素と結合してHOとして、酸化物530、または酸化物530近傍の絶縁体から除去される場合がある。また、水素の一部は、導電体542a、及び導電体542bに拡散または捕獲(ゲッタリングともいう)される場合がある。
【0266】
また、上記マイクロ波処理は、例えば、高密度プラズマを発生させる電源を有する装置、または、基板側にRFを印加する電源を有する装置を用いると好適である。例えば、酸素を含むガスを用い、且つ高密度プラズマを用いることより、高密度の酸素ラジカルを生成することができ、基板側にRFを印加することで、高密度プラズマによって生成された酸素ラジカルを、効率よく酸化物530、または酸化物530近傍の絶縁体中に導入することができる。また、上記マイクロ波処理は、圧力を133Pa以上、好ましくは200Pa以上、さらに好ましくは400Pa以上とすればよい。また、マイクロ波処理を行う装置内に導入するガスとしては、例えば、酸素と、アルゴンとを用い、酸素流量比(O/(O+Ar))が50%以下、好ましくは10%以上30%以下で行うとよい。
【0267】
また、トランジスタ500の作製工程中において、酸化物530の表面が露出した状態で、加熱処理を行うと好適である。当該加熱処理は、例えば、100℃以上450℃以下、より好ましくは350℃以上400℃以下で行えばよい。なお、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気で行う。例えば、加熱処理は酸素雰囲気で行うことが好ましい。これにより、酸化物530に酸素を供給して、酸素欠損(V)の低減を図ることができる。また、加熱処理は減圧状態で行ってもよい。または、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で行ってもよい。または、酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰囲気で加熱処理した後に、連続して窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気で加熱処理を行っても良い。
【0268】
なお、酸化物530に加酸素化処理を行うことで、酸化物530中の酸素欠損を、供給された酸素により修復させる、別言すると「V+O→null」という反応を促進させることができる。さらに、酸化物530中に残存した水素に供給された酸素が反応することで、当該水素をHOとして除去する(脱水化する)ことができる。これにより、酸化物530中に残存していた水素が酸素欠損に再結合してVHが形成されるのを抑制することができる。
【0269】
また、絶縁体524が、過剰酸素領域を有する場合、絶縁体522は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子など)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)ことが好ましい。
【0270】
絶縁体522が、酸素や不純物の拡散を抑制する機能を有することで、酸化物530が有する酸素は、絶縁体520側へ拡散することがなく、好ましい。また、導電体503が、絶縁体524や、酸化物530が有する酸素と反応することを抑制することができる。
【0271】
絶縁体522は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウム及びハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)、又は(Ba,Sr)TiO(BST)などのいわゆるhigh-k材料を含む絶縁体を単層又は積層で用いることが好ましい。トランジスタの微細化、及び高集積化が進むと、ゲート絶縁膜の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁膜として機能する絶縁体にhigh-k材料を用いることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。
【0272】
特に、不純物、及び酸素などの拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)絶縁性材料であるアルミニウム、ハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体を用いるとよい。アルミニウム、ハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウム及びハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。このような材料を用いて絶縁体522を形成した場合、絶縁体522は、酸化物530からの酸素の放出や、トランジスタ500の周辺部から酸化物530への水素等の不純物の混入を抑制する層として機能する。
【0273】
又は、これらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。又はこれらの絶縁体を窒化処理してもよい。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコン又は窒化シリコンを積層して用いてもよい。
【0274】
また、絶縁体520は、熱的に安定していることが好ましい。例えば、酸化シリコン及び酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、好適である。また、high-k材料の絶縁体と、酸化シリコン又は酸化窒化シリコンと、を組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構造の絶縁体520を得ることができる。
【0275】
なお、図11A、及び図11Bのトランジスタ500では、3層の積層構造からなる第2のゲート絶縁膜として、絶縁体520、絶縁体522、及び絶縁体524が図示されているが、第2のゲート絶縁膜は、単層、2層、又は4層以上の積層構造を有していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構造に限定されず、異なる材料からなる積層構造でもよい。
【0276】
トランジスタ500は、チャネル形成領域を含む酸化物530に、酸化物半導体として機能する金属酸化物を用いることが好ましい。例えば、酸化物530として、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズ、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、又はマグネシウムなどから選ばれた一種、又は複数種の元素)等の金属酸化物を用いるとよい。特に、酸化物530として適用できるIn-M-Zn酸化物は、CAAC-OS(C-Axis Aligned Crystalline Oxide Semiconductor)、CAC-OS(Cloud-Aligned Composite Oxide Semiconductor)であることが好ましい。また、酸化物530として、In-Ga酸化物、In-Zn酸化物、In酸化物などを用いてもよい。
【0277】
また、トランジスタ500には、キャリア濃度の低い金属酸化物を用いることが好ましい。金属酸化物のキャリア濃度を低くする場合においては、金属酸化物中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。なお、金属酸化物中の不純物としては、例えば、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0278】
ところで、上述したとおり、酸化物530に酸素欠損が含まれている場合、酸素欠損に水素が入ることで、酸素欠損と水素とが結合しVHを形成する場合があり、VHはドナーとして機能し、キャリアである電子が生成されることがある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成する場合がある。従って、水素が多く含まれている金属酸化物を用いたトランジスタは、ノーマリーオン特性となりやすい。また、金属酸化物中の水素は、熱、電界などのストレスによって動きやすいため、金属酸化物に多くの水素が含まれると、トランジスタの信頼性が悪化する恐れもある。本発明の一態様においては、酸化物530中のVHをできる限り低減し、高純度真性または実質的に高純度真性にすることが好ましい。このように、VHが十分低減された金属酸化物を得るには、金属酸化物中の水分、水素などの不純物を除去すること(脱水、脱水素化処理と記載する場合がある。)と、金属酸化物に酸素を供給して酸素欠損を補填すること(加酸素化処理と記載する場合がある。)が重要である。VHなどの不純物が十分に低減された金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0279】
酸素欠損に水素が入った欠陥は、金属酸化物のドナーとして機能しうる。しかしながら、当該欠陥を定量的に評価することは困難である。そこで、金属酸化物においては、ドナー濃度ではなく、キャリア濃度で評価される場合がある。よって、本明細書等では、金属酸化物のパラメータとして、ドナー濃度ではなく、電界が印加されない状態を想定したキャリア濃度を用いる場合がある。つまり、本明細書等に記載の「キャリア濃度」は、「ドナー濃度」と言い換えることができる場合がある。
【0280】
よって、金属酸化物を酸化物530に用いる場合、金属酸化物中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、金属酸化物において、二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm未満、好ましくは1×1019atoms/cm未満、より好ましくは5×1018atoms/cm未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm未満とする。水素などの不純物が十分に低減された金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0281】
また、酸化物530に金属酸化物を用いる場合、導電体542a及び導電体542bと酸化物530とが接することで、酸化物530中の酸素が導電体542a及び導電体542bへ拡散し、導電体542a及び導電体542bが酸化する場合がある。導電体542a及び導電体542bが酸化することで、導電体542a及び導電体542bの導電率が低下する蓋然性が高い。なお、酸化物530中の酸素が導電体542a及び導電体542bへ拡散することを、導電体542a及び導電体542bが酸化物530中の酸素を吸収する、と言い換えることができる。
【0282】
また、酸化物530中の酸素が導電体542a及び導電体542bへ拡散することで、導電体542aと酸化物530bとの間、および、導電体542bと酸化物530bとの間に異層が形成される場合がある。当該異層は、導電体542a及び導電体542bよりも酸素を多く含むため、当該異層は絶縁性を有すると推定される。このとき、導電体542a又は導電体542bと、当該異層と、酸化物530bとの3層構造は、金属-絶縁体-半導体からなる3層構造とみなすことができ、MIS(Metal-Insulator-Semiconductor)構造と呼ぶ、またはMIS構造を主としたダイオード接合構造と呼ぶ場合がある。
【0283】
なお、上記異層は、導電体542a及び導電体542bと酸化物530bとの間に形成されることに限られず、例えば、異層が、導電体542a及び導電体542bと酸化物530cとの間に形成される場合がある。
【0284】
酸化物530においてチャネル形成領域にとして機能する金属酸化物は、バンドギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上のものを用いることが好ましい。このように、バンドギャップの大きい金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低減することができる。
【0285】
酸化物530は、酸化物530b下に酸化物530aを有することで、酸化物530aよりも下方に形成された構造物から、酸化物530bへの不純物の拡散を抑制することができる。また、酸化物530b上に酸化物530cを有することで、酸化物530cよりも上方に形成された構造物から、酸化物530bへの不純物の拡散を抑制することができる。
【0286】
なお、酸化物530は、各金属原子の原子数比が異なる複数の酸化物層の積層構造を有することが好ましい。具体的には、酸化物530aに用いる金属酸化物において、構成元素中の元素Mの原子数比が、酸化物530bに用いる金属酸化物における、構成元素中の元素Mの原子数比より、大きいことが好ましい。また、酸化物530aに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物530bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物530bに用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物530aに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物530cは、酸化物530a又は酸化物530bに用いることができる金属酸化物を、用いることができる。
【0287】
具体的には、酸化物530aとして、InとGaとZnとの原子数比がIn:Ga:Zn=1:3:4、または1:1:0.5の金属酸化物を用いればよい。また、酸化物530bとして、InとGaとZnとの原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:3、または1:1:1の金属酸化物を用いればよい。また、酸化物530cとして、InとGaとZnとの原子数比がIn:Ga:Zn=1:3:4、またGaとZnの原子数比がGa:Zn=2:1、またはGa:Zn=2:5の金属酸化物を用いればよい。また、酸化物530cを積層構造とする場合の具体例としては、InとGaとZnとの原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:3と、In:Ga:Zn=1:3:4との積層構造、またGaとZnの原子数比がGa:Zn=2:1と、InとGaとZnとの原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:3との積層構造、GaとZnの原子数比がGa:Zn=2:5と、InとGaとZnとの原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:3との積層構造、酸化ガリウムと、InとGaとZnとの原子数比がIn:Ga:Zn=4:2:3との積層構造などが挙げられる。
【0288】
また、例えば、酸化物530aに用いる金属酸化物における元素Mに対するInの原子数比が、酸化物530bに用いる金属酸化物における元素Mに対するInの原子数比より小さい場合、酸化物530bとして、InとGaとZnとの原子数比がIn:Ga:Zn=5:1:6またはその近傍、In:Ga:Zn=5:1:3またはその近傍、In:Ga:Zn=10:1:3またはその近傍などの組成であるIn-Ga-Zn酸化物を用いることができる。
【0289】
また、上述した以外の組成としては、酸化物530bには、例えば、In:Zn=2:1の組成、In:Zn=5:1の組成、In:Zn=10:1の組成、これらのいずれか一の近傍の組成などを有する金属酸化物を用いることができる。
【0290】
これらの酸化物530a、酸化物530b、酸化物530cを上記の原子数比の関係を満たして組み合わせることが好ましい。例えば、酸化物530a、および酸化物530cを、In:Ga:Zn=1:3:4の組成およびその近傍の組成を有する金属酸化物、酸化物530bを、In:Ga:Zn=4:2:3から4.1の組成およびその近傍の組成を有する金属酸化物とすることが好ましい。なお、上記組成は、基体上に形成された酸化物中の原子数比、またはスパッタターゲットにおける原子数比を示す。また、酸化物530bの組成として、Inの比率を高めることで、トランジスタのオン電流、または電界効果移動度などを高めることが出来るため好適である。
【0291】
また、酸化物530a及び酸化物530cの伝導帯下端のエネルギーが、酸化物530bの伝導帯下端のエネルギーより高くなることが好ましい。また、言い換えると、酸化物530a及び酸化物530cの電子親和力が、酸化物530bの電子親和力より小さいことが好ましい。
【0292】
ここで、酸化物530a、酸化物530b、及び酸化物530cの接合部において、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、酸化物530a、酸化物530b、及び酸化物530cの接合部における伝導帯下端のエネルギー準位は、連続的に変化又は連続接合するともいうことができる。このようにするためには、酸化物530aと酸化物530bとの界面、及び酸化物530bと酸化物530cとの界面において形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
【0293】
具体的には、酸化物530aと酸化物530b、酸化物530bと酸化物530cが、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする)ことで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、酸化物530bがIn-Ga-Zn酸化物の場合、酸化物530a及び酸化物530cとして、In-Ga-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、酸化ガリウムなどを用いるとよい。
【0294】
このとき、キャリアの主たる経路は酸化物530bとなる。酸化物530a、酸化物530cを上述の構成とすることで、酸化物530aと酸化物530bとの界面、及び酸化物530bと酸化物530cとの界面における欠陥準位密度を低くすることができる。そのため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さくなり、トランジスタ500は高いオン電流を得られる。
【0295】
酸化物530b上には、ソース電極、及びドレイン電極として機能する導電体542a、及び導電体542bが設けられる。導電体542a、及び導電体542bとしては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタンから選ばれた金属元素、又は上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いることが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物などを用いることが好ましい。また、窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物は、酸化しにくい導電性材料、又は、酸素を吸収しても導電性を維持する材料であるため、好ましい。更に、窒化タンタルなどの金属窒化物膜は、水素又は酸素に対するバリア性があるため好ましい。
【0296】
また、図11A、及び図11Bでは、導電体542a、及び導電体542bを単層構造として示したが、2層以上の積層構造としてもよい。例えば、窒化タンタル膜とタングステン膜を積層するとよい。また、チタン膜とアルミニウム膜を積層してもよい。また、タングステン膜上にアルミニウム膜を積層する二層構造、銅-マグネシウム-アルミニウム合金膜上に銅膜を積層する二層構造、チタン膜上に銅膜を積層する二層構造、タングステン膜上に銅膜を積層する二層構造としてもよい。
【0297】
また、チタン膜又は窒化チタン膜と、そのチタン膜又は窒化チタン膜上に重ねてアルミニウム膜又は銅膜を積層し、さらにその上にチタン膜又は窒化チタン膜を形成する三層構造、モリブデン膜又は窒化モリブデン膜と、そのモリブデン膜又は窒化モリブデン膜上に重ねてアルミニウム膜又は銅膜を積層し、さらにその上にモリブデン膜又は窒化モリブデン膜を形成する三層構造等がある。なお、酸化インジウム、酸化錫又は酸化亜鉛を含む透明導電材料を用いてもよい。
【0298】
また、図11Aに示すように、酸化物530の、導電体542a(導電体542b)との界面とその近傍には、低抵抗領域として、領域543a、及び領域543bが形成される場合がある。このとき、領域543aはソース領域又はドレイン領域の一方として機能し、領域543bはソース領域又はドレイン領域の他方として機能する。また、領域543aと領域543bに挟まれる領域にチャネル形成領域が形成される。
【0299】
酸化物530と接するように上記導電体542a(導電体542b)を設けることで、領域543a(領域543b)の酸素濃度が低減する場合がある。また、領域543a(領域543b)に導電体542a(導電体542b)に含まれる金属と、酸化物530の成分とを含む金属化合物層が形成される場合がある。このような場合、領域543a(領域543b)のキャリア濃度が増加し、領域543a(領域543b)は、低抵抗領域となる。
【0300】
絶縁体544は、導電体542a、及び導電体542bを覆うように設けられ、導電体542a、及び導電体542bの酸化を抑制する。このとき、絶縁体544は、酸化物530の側面を覆い、絶縁体524と接するように設けられてもよい。
【0301】
絶縁体544として、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、ネオジム、ランタン又は、マグネシウムなどから選ばれた一種、又は二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。また、絶縁体544として、窒化酸化シリコン又は窒化シリコンなども用いることができる。
【0302】
特に、絶縁体544として、アルミニウム、又はハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体である、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウム、及びハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。特に、ハフニウムアルミネートは、酸化ハフニウム膜よりも、耐熱性が高い。そのため、後の工程での熱処理において、結晶化しにくいため好ましい。なお、導電体542a、及び導電体542bが耐酸化性を有する材料、又は、酸素を吸収しても著しく導電性が低下しない場合、絶縁体544は、必須の構成ではない。求めるトランジスタ特性により、適宜設計すればよい。
【0303】
絶縁体544を有することで、絶縁体580に含まれる水、及び水素などの不純物が酸化物530c、絶縁体550を介して、酸化物530bに拡散することを抑制することができる。また、絶縁体580が有する過剰酸素により、導電体560が酸化するのを抑制することができる。
【0304】
絶縁体550は、第1のゲート絶縁膜として機能する。絶縁体550は、酸化物530cの内側(上面、及び側面)に接して配置することが好ましい。絶縁体550は、上述した絶縁体524と同様に、過剰に酸素を含み、かつ加熱により酸素が放出される絶縁体を用いて形成することが好ましい。
【0305】
具体的には、過剰酸素を有する酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素、及び窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンを用いることができる。特に、酸化シリコン、及び酸化窒化シリコンは熱に対し安定であるため好ましい。
【0306】
加熱により酸素が放出される絶縁体を、絶縁体550として、酸化物530cの上面に接して設けることにより、絶縁体550から、酸化物530cを通じて、酸化物530bのチャネル形成領域に効果的に酸素を供給することができる。また、絶縁体524と同様に、絶縁体550中の水又は水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁体550の膜厚は、1nm以上20nm以下とすることが好ましい。
【0307】
また、絶縁体550が有する過剰酸素を、効率的に酸化物530へ供給するために、絶縁体550と導電体560との間に金属酸化物を設けてもよい。当該金属酸化物は、絶縁体550から導電体560への酸素拡散を抑制することが好ましい。酸素の拡散を抑制する金属酸化物を設けることで、絶縁体550から導電体560への過剰酸素の拡散が抑制される。つまり、酸化物530へ供給する過剰酸素量の減少を抑制することができる。また、過剰酸素による導電体560の酸化を抑制することができる。当該金属酸化物としては、絶縁体544に用いることができる材料を用いればよい。
【0308】
なお、絶縁体550は、第2のゲート絶縁膜と同様に、積層構造としてもよい。トランジスタの微細化、及び高集積化が進むと、ゲート絶縁膜の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合があるため、ゲート絶縁膜として機能する絶縁体を、high-k材料と、熱的に安定している材料との積層構造とすることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。また、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。
【0309】
第1のゲート電極として機能する導電体560は、図11A、及び図11Bでは2層構造として示しているが、単層構造でもよいし、3層以上の積層構造であってもよい。
【0310】
導電体560aは、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(NO、NO、NOなど)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。又は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。導電体560aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、絶縁体550に含まれる酸素により、導電体560bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、又は酸化ルテニウムなどを用いることが好ましい。また、導電体560aとして、酸化物530に適用できる酸化物半導体を用いることができる。その場合、導電体560bをスパッタリング法で成膜することで、導電体560aの電気抵抗値を低下させて導電体にすることができる。これをOC(Oxide Conductor)電極と呼ぶことができる。
【0311】
また、導電体560bは、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体560bは、配線としても機能するため、導電性が高い導電体を用いることが好ましい。例えば、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電体560bは積層構造としてもよく、例えば、チタン、又は窒化チタンと上記導電性材料との積層構造としてもよい。
【0312】
絶縁体580は、絶縁体544を介して、導電体542a、及び導電体542b上に設けられる。絶縁体580は、過剰酸素領域を有することが好ましい。例えば、絶縁体580として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素、及び窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン、又は樹脂などを有することが好ましい。特に、酸化シリコン、及び酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため好ましい。特に、酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンは、後の工程で、容易に過剰酸素領域を形成することができるため好ましい。
【0313】
絶縁体580は、過剰酸素領域を有することが好ましい。加熱により酸素が放出される絶縁体580を、酸化物530cと接して設けることで、絶縁体580中の酸素を、酸化物530cを通じて、酸化物530へと効率良く供給することができる。なお、絶縁体580中の水又は水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。
【0314】
絶縁体580の開口は、導電体542aと導電体542bの間の領域に重畳して形成される。これにより、導電体560は、絶縁体580の開口、及び導電体542aと導電体542bに挟まれた領域に、埋め込まれるように形成される。
【0315】
半導体装置を微細化するに当たり、ゲート長を短くすることが求められるが、導電体560の導電性が下がらないようにする必要がある。そのために導電体560の膜厚を大きくすると、導電体560はアスペクト比が高い形状となりうる。本実施の形態では、導電体560を絶縁体580の開口に埋め込むように設けるため、導電体560をアスペクト比の高い形状にしても、工程中に導電体560を倒壊させることなく、形成することができる。
【0316】
絶縁体574は、絶縁体580の上面、導電体560の上面、及び絶縁体550の上面に接して設けられることが好ましい。絶縁体574をスパッタリング法で成膜することで、絶縁体550、及び絶縁体580へ過剰酸素領域を設けることができる。これにより、当該過剰酸素領域から、酸化物530中に酸素を供給することができる。
【0317】
例えば、絶縁体574として、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、又はマグネシウムなどから選ばれた一種、又は二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。
【0318】
特に、酸化アルミニウムはバリア性が高く、0.5nm以上3.0nm以下の薄膜であっても、水素、及び窒素の拡散を抑制することができる。したがって、スパッタリング法で成膜した酸化アルミニウムは、酸素供給源であるとともに、水素などの不純物のバリア膜としての機能も有することができる。
【0319】
また、絶縁体574の上に、層間膜として機能する絶縁体581を設けることが好ましい。絶縁体581は、絶縁体524などと同様に、膜中の水又は水素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。
【0320】
また、絶縁体581、絶縁体574、絶縁体580、及び絶縁体544に形成された開口に、導電体540a、及び導電体540bを配置する。導電体540a及び導電体540bは、導電体560を挟んで対向して設ける。導電体540a及び導電体540bは、後述する導電体546、及び導電体548と同様の構成である。
【0321】
絶縁体581上には、絶縁体582が設けられている。絶縁体582は、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。したがって、絶縁体582には、絶縁体514と同様の材料を用いることができる。例えば、絶縁体582には、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物を用いることが好ましい。
【0322】
特に、酸化アルミニウムは、酸素、及びトランジスタの電気特性の変動要因となる水素、水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中及び作製後において、水素、水分などの不純物のトランジスタ500への混入を防止することができる。また、トランジスタ500を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、トランジスタ500に対する保護膜として用いることに適している。
【0323】
また、絶縁体582上には、絶縁体586が設けられている。絶縁体586は、絶縁体320と同様の材料を用いることができる。また、これらの絶縁体に、比較的誘電率が低い材料を適用することで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体586として、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
【0324】
また、絶縁体520、絶縁体522、絶縁体524、絶縁体544、絶縁体580、絶縁体574、絶縁体581、絶縁体582、及び絶縁体586には、導電体546、及び導電体548等が埋め込まれている。
【0325】
導電体546、及び導電体548は、容量素子600、トランジスタ500、又はトランジスタ300と接続するプラグ、又は配線としての機能を有する。導電体546、及び導電体548は、導電体328、及び導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0326】
なお、トランジスタ500の形成後、トランジスタ500を囲むように開口を形成し、当該開口を覆うように、水素、または水に対するバリア性が高い絶縁体を形成してもよい。上述のバリア性の高い絶縁体でトランジスタ500を包み込むことで、外部から水分、および水素が侵入するのを防止することができる。または、複数のトランジスタ500をまとめて、水素、または水に対するバリア性が高い絶縁体で包み込んでもよい。なお、トランジスタ500を囲むように開口を形成する場合、例えば、絶縁体514または絶縁体522に達する開口を形成し、絶縁体514または絶縁体522に接するように上述のバリア性の高い絶縁体を形成すると、トランジスタ500の作製工程の一部を兼ねられるため、好適である。なお、水素、または水に対するバリア性が高い絶縁体としては、例えば、絶縁体522と同様の材料を用いればよい。
【0327】
続いて、トランジスタ500の上方には、容量素子600が設けられている。容量素子600は、導電体610と、導電体620、絶縁体630とを有する。
【0328】
また、導電体546、及び導電体548上に、導電体612を設けてもよい。導電体612は、トランジスタ500と接続するプラグ、又は配線としての機能を有する。導電体610は、容量素子600の電極としての機能を有する。なお、導電体612、及び導電体610は、同時に形成することができる。
【0329】
導電体612、及び導電体610には、モリブデン、チタン、タンタル、タングステン、アルミニウム、銅、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素を含む金属膜、又は上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化タンタル膜、窒化チタン膜、窒化モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。又は、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの導電性材料を適用することもできる。
【0330】
図8では、導電体612、及び導電体610は単層構造を示したが、当該構成に限定されず、2層以上の積層構造でもよい。例えば、バリア性を有する導電体と導電性が高い導電体との間に、バリア性を有する導電体、及び導電性が高い導電体に対して密着性が高い導電体を形成してもよい。
【0331】
絶縁体630を介して、導電体610と重畳するように、導電体620を設ける。なお、導電体620は、金属材料、合金材料、又は金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが好ましい。また、導電体などの他の構造と同時に形成する場合は、低抵抗金属材料であるCu(銅)やAl(アルミニウム)等を用いればよい。
【0332】
導電体620、及び絶縁体630上には、絶縁体650が設けられている。絶縁体650は、絶縁体320と同様の材料を用いて設けることができる。また、絶縁体650は、その下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜として機能してもよい。
【0333】
本構造を用いることで、酸化物半導体を有するトランジスタを用いた半導体装置において、電気特性の変動を抑制するとともに、信頼性を向上させることができる。又は、酸化物半導体を有するトランジスタを用いた半導体装置において、微細化又は高集積化を図ることができる。
【0334】
次に、図8図9図10に図示している、OSトランジスタの別の構成例について説明する。
【0335】
図12A、及び図12Bに示す構成のトランジスタ500は、図11A、及び図11Bに示すトランジスタ500の変形例であって、図12Aは、トランジスタ500のチャネル長方向の断面図であり、図12Bはトランジスタ500のチャネル幅方向の断面図である。なお、図12A、及び図12Bに示す構成は、トランジスタ300等、本発明の一態様の半導体装置が有する他のトランジスタにも適用することができる。
【0336】
図12A、及び図12Bに示す構成のトランジスタ500は、絶縁体501及び絶縁体502を有する点が、図11A、及び図11Bに示す構成のトランジスタ500と異なる。また、導電体540aの側面に接して絶縁体552が設けられ、導電体540bの側面に接して絶縁体552が設けられる点が、図11A、及び図11Bに示す構成のトランジスタ500と異なる。さらに、絶縁体520を有さない点が、図11A、及び図11Bに示す構成のトランジスタ500と異なる。
【0337】
図12A、及び図12Bに示す構成のトランジスタ500は、絶縁体512上に絶縁体501が設けられている。また、絶縁体574上、及び絶縁体501上に絶縁体502が設けられている。
【0338】
図12A、及び図12Bに示す構成のトランジスタ500では、絶縁体514、絶縁体516、絶縁体522、絶縁体524、絶縁体544、絶縁体580、及び絶縁体574が設けられており、絶縁体502がこれらを覆う構造になっている。つまり、絶縁体502は、絶縁体574の上面、絶縁体574の側面、絶縁体580の側面、絶縁体544の側面、絶縁体524の側面、絶縁体522の側面、絶縁体516の側面、絶縁体514の側面、絶縁体501の上面とそれぞれ接する。これにより、酸化物530等は、絶縁体502と絶縁体501によって外部から隔離される。
【0339】
絶縁体501及び絶縁体502は、水素(例えば、水素原子、水素分子などの少なくとも一)又は水分子の拡散を抑制する機能が高いことが好ましい。例えば、絶縁体501及び絶縁体502として、水素バリア性が高い材料である、窒化シリコン又は窒化酸化シリコンを用いることが好ましい。これにより、酸化物530に水素等が拡散することを抑制することができるので、トランジスタ500の特性が低下することを抑制することができる。よって、本発明の一態様の半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0340】
絶縁体552は、絶縁体581、絶縁体502、絶縁体574、絶縁体580、及び絶縁体544に接して設けられる。絶縁体552は、水素又は水分子の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。たとえば、絶縁体552として、水素バリア性が高い材料である、窒化シリコン、酸化アルミニウム、又は窒化酸化シリコン等の絶縁体を用いることが好ましい。特に、窒化シリコンは水素バリア性が高い材料であるので、絶縁体552として用いると好適である。絶縁体552として水素バリア性が高い材料を用いることにより、水又は水素等の不純物が、絶縁体580等から導電体540a及び導電体540bを通じて酸化物530に拡散することを抑制することができる。また、絶縁体580に含まれる酸素が導電体540a及び導電体540bに吸収されることを抑制することができる。以上により、本発明の一態様の半導体装置の信頼性を高めることができる。
【0341】
図13は、トランジスタ400及びトランジスタ500を図12A、及び図12Bに示す構成とした場合における、半導体装置の構成例を示す断面図である。導電体546の側面に、絶縁体552が設けられている。
【0342】
また、図12A、及び図12Bに示すトランジスタ500は、状況に応じて、トランジスタの構成を変更してもよい。例えば、図12A、及び図12Bのトランジスタ500は、変更例として、図14A、及び図14Bに示すトランジスタにすることができる。図14Aはトランジスタのチャネル長方向の断面図であり、図14Bはトランジスタのチャネル幅方向の断面図である。図14A、及び図14Bに示すトランジスタは、酸化物530cが酸化物530c1及び酸化物530c2の2層構造である点で、図12A、及び図12Bに示すトランジスタと異なる。
【0343】
酸化物530c1は、絶縁体524の上面、酸化物530aの側面、酸化物530bの上面及び側面、導電体542a及び導電体542bの側面、絶縁体544の側面、及び絶縁体580の側面と接する。酸化物530c2は、絶縁体550と接する。
【0344】
酸化物530c1として、例えばIn-Zn酸化物を用いることができる。また、酸化物530c2として、酸化物530cが1層構造である場合に酸化物530cに用いることができる材料と同様の材料を用いることができる。例えば、酸化物530c2として、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]、Ga:Zn=2:1[原子数比]、またはGa:Zn=2:5[原子数比]の金属酸化物を用いることができる。
【0345】
酸化物530cを酸化物530c1及び酸化物530c2の2層構造とすることにより、酸化物530cを1層構造とする場合より、トランジスタのオン電流を高めることができる。そのため、トランジスタは、例えばパワーMOSトランジスタとして適用することができる。なお、図11A、及び図11Bに示す構成のトランジスタが有する酸化物530cも、酸化物530c1と酸化物530c2の2層構造とすることができる。
【0346】
図14A、及び図14Bに示す構成のトランジスタは、例えば、図10に示すトランジスタ300に適用することができる。また、例えば、トランジスタ300は、前述のとおり、上記実施の形態で説明した記憶装置100Bの回路RDCaに含まれているトランジスタOTr4、トランジスタOTr5、トランジスタOTr4m、トランジスタOTr5mなどに適用することができる。なお、図14A、及び図14Bに示すトランジスタは、トランジスタ400、トランジスタ500などにも適用することができる。また、図14A、及び図14Bに示すトランジスタは、本発明の一態様の記憶装置に含まれている、トランジスタ400、及びトランジスタ500以外のトランジスタにも適用することができる。
【0347】
図15は、トランジスタ500を図11Aに示すトランジスタの構成とし、トランジスタ300を図14Aに示すトランジスタ構成とした場合における、半導体装置の構成例を示す断面図である。なお、図13と同様に、導電体546の側面に絶縁体552を設ける構成としている。図15に示すように、本発明の一態様の半導体装置は、トランジスタ300と、トランジスタ400と、トランジスタ500と、をOSトランジスタとしつつ、トランジスタ300と、トランジスタ400と、トランジスタ500と、のそれぞれを異なる構成にすることができる。
【0348】
次に、図8乃至図10図13、及び図15の記憶装置に適用できる容量素子について説明する。
【0349】
図16A乃至図16Cでは、図8乃至図10図13、及び図15に示す記憶装置に適用できる容量素子600の一例として容量素子600Aについて示している。図16Aは容量素子600Aの上面図であり、図16Bは容量素子600Aの一点鎖線L3-L4における断面を示した斜視図であり、図16Cは容量素子600Aの一点鎖線W3-L4における断面を示した斜視図である。なお、図16B、及び図16Cは、図を明瞭に示すために、導電体546と、導電体548と(導電体546と導電体548とをまとめて540と表記している)、導電体610と、導電体620と、絶縁体630と、を抜粋して示している。
【0350】
導電体610は、容量素子600Aの一対の電極の一方として機能し、導電体620は、容量素子600Aの一対の電極の他方として機能する。また、絶縁体630は、一対の電極に挟まれる誘電体として機能する。
【0351】
絶縁体630としては、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、窒化酸化ハフニウム、窒化ハフニウム、酸化ジルコニウムなどを用いればよく、積層または単層で設けることができる。
【0352】
また、例えば、絶縁体630には、酸化窒化シリコンなどの絶縁耐力が大きい材料と、高誘電率(high-k)材料との積層構造を用いてもよい。当該構成により、容量素子600Aは、高誘電率(high-k)の絶縁体を有することで、十分な容量を確保でき、絶縁耐力が大きい絶縁体を有することで、絶縁耐力が向上し、容量素子600Aの静電破壊を抑制することができる。
【0353】
なお、高誘電率(high-k)材料(高い比誘電率の材料)の絶縁体としては、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化物、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化窒化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化窒化物またはシリコンおよびハフニウムを有する窒化物などがある。
【0354】
または、絶縁体630は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO)または(Ba、Sr)TiO(BST)などのhigh-k材料を含む絶縁体を単層または積層で用いてもよい。例えば、絶縁体630を積層とする場合、酸化ジルコニウムと、酸化アルミニウムと、酸化ジルコニウムと、が順に形成された3層積層や、酸化ジルコニウムと、酸化アルミニウムと、酸化ジルコニウムと、酸化アルミニウムと、が順に形成された4層積層などを用いればよい。また、絶縁体630としては、ハフニウムと、ジルコニウムとが含まれる化合物などを用いても良い。半導体装置の微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁体、および容量素子に用いる誘電体の薄膜化により、トランジスタや容量素子のリーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体、および容量素子に用いる誘電体として機能する絶縁体にhigh-k材料を用いることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減、および容量素子の容量の確保が可能となる。
【0355】
容量素子600は、導電体610の下部において、導電体546と、導電体548とに電気的に接続されている。導電体546と、導電体548は、別の回路素子と接続するためのプラグ、又は配線として機能する。また図16A乃至図16Cでは、導電体546と、導電体548と、をまとめて導電体540と記載している。
【0356】
なお、図8乃至図10図13図15図16A乃至図16Cに示す容量素子600はプレーナ型であるが、容量素子の形状はこれに限定されない。例えば、容量素子600は、図17A乃至図17Cに示すシリンダ型の容量素子600Bとしてもよい。
【0357】
図17Aは容量素子600Bの上面図であり、図17Bは容量素子600Bの一点鎖線L3-L4における断面図であり、図17Cは容量素子600Bの一点鎖線W3-L4における断面を示した斜視図である。なお、図17Cは、図を明瞭に示すために、導電体546と、導電体548と(導電体546と導電体548とをまとめて540と表記している)、絶縁体631と、導電体610と、導電体620と、絶縁体630と、を抜粋して示している。
【0358】
図17Bにおいて、容量素子600Bは、導電体540が埋め込まれている絶縁体586上の絶縁体631と、開口部を有する絶縁体651と、一対の電極の一方として機能する導電体610と、一対の電極の他方として機能する導電体620と、を有する。
【0359】
絶縁体631としては、例えば、絶縁体586と同様の材料を用いることができる。
【0360】
また、絶縁体631には、導電体540に電気的に接続されるように導電体611が埋め込まれている。導電体611は、例えば、導電体330、導電体518と同様の材料を用いることができる。
【0361】
絶縁体651としては、例えば、絶縁体586と同様の材料を用いることができる。
【0362】
また、絶縁体651は、前述した通り、開口部を有し、当該開口部は導電体611に重畳している。
【0363】
導電体610は、当該開口部の底部と、側面と、に形成されている。つまり、導電体610は、導電体611に重畳し、かつ導電体611に電気的に接続されている。
【0364】
なお、導電体610の形成方法としては、エッチング法などによって絶縁体651に開口部を形成し、次に、スパッタリング法、ALD法などによって導電体610を成膜する。その後、CMP(Chemichal Mechanical Polishing)法などによって、開口部に成膜された導電体610を残して、絶縁体651上に成膜された導電体610を除去すればよい。
【0365】
絶縁体630は、絶縁体651上と、導電体610の形成面上と、に位置する。なお、絶縁体630は、容量素子において、一対の電極に挟まれる誘電体として機能する。
【0366】
導電体620は、絶縁体651の開口部が埋まるように、絶縁体630上に形成されている。
【0367】
絶縁体650は、絶縁体630と、導電体620と、を覆うように形成されている。
【0368】
図17に示すシリンダ型の容量素子600Bは、プレーナ型の容量素子600Aよりも静電容量の値を高くすることができる。
【0369】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0370】
(実施の形態4)
本実施の形態では、上記の実施の形態で説明したOSトランジスタに用いることができる金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう。)について説明する。
【0371】
金属酸化物は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、シリコン、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウム、コバルトなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
【0372】
<結晶構造の分類>
まず、酸化物半導体における、結晶構造の分類について、図18Aを用いて説明を行う。図18Aは、酸化物半導体、代表的にはIGZO(Inと、Gaと、Znと、を含む金属酸化物)の結晶構造の分類を説明する図である。
【0373】
図18Aに示すように、酸化物半導体は、大きく分けて「Amorphous(無定形)」と、「Crystalline(結晶性)」と、「Crystal(結晶)」と、に分類される。また、「Amorphous」の中には、completely amorphousが含まれる。また、「Crystalline」の中には、CAAC(c-axis-aligned crystalline)、nc(nanocrystalline)、及びCAC(cloud-aligned composite)が含まれる(excluding single crystal and poly crystal)。なお、「Crystalline」の分類には、single crystal、poly crystal、及びcompletely amorphousは除かれる。また、「Crystal」の中には、single crystal、及びpoly crystalが含まれる。
【0374】
なお、図18Aに示す太枠内の構造は、「Amorphous(無定形)」と、「Crystal(結晶)」との間の中間状態であり、新しい境界領域(New crystalline phase)に属する構造である。すなわち、当該構造は、エネルギー的に不安定な「Amorphous(無定形)」や、「Crystal(結晶)」とは全く異なる構造と言い換えることができる。
【0375】
なお、膜または基板の結晶構造は、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)スペクトルを用いて評価することができる。ここで、「Crystalline」に分類されるCAAC-IGZO膜のGIXD(Grazing-Incidence XRD)測定で得られるXRDスペクトルを図18Bに示す。なお、GIXD法は、薄膜法またはSeemann-Bohlin法ともいう。以降、図18Bに示すGIXD測定で得られるXRDスペクトルを、単にXRDスペクトルと記す。なお、図18Bに示すCAAC-IGZO膜の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]近傍である。また、図18Bに示すCAAC-IGZO膜の厚さは、500nmである。
【0376】
図18Bに示すように、CAAC-IGZO膜のXRDスペクトルでは、明確な結晶性を示すピークが検出される。具体的には、CAAC-IGZO膜のXRDスペクトルでは、2θ=31°近傍に、c軸配向を示すピークが検出される。なお、図18Bに示すように、2θ=31°近傍のピークは、ピーク強度が検出された角度を軸に左右非対称である。
【0377】
また、膜または基板の結晶構造は、極微電子線回折法(NBED:Nano Beam Electron Diffraction)によって観察される回折パターン(極微電子線回折パターンともいう。)にて評価することができる。CAAC-IGZO膜の回折パターンを、図18Cに示す。図18Cは、電子線を基板に対して平行に入射するNBEDによって観察される回折パターンである。なお、図18Cに示すCAAC-IGZO膜の組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]近傍である。また、極微電子線回折法では、プローブ径を1nmとして電子線回折が行われる。
【0378】
図18Cに示すように、CAAC-IGZO膜の回折パターンでは、c軸配向を示す複数のスポットが観察される。
【0379】
<<酸化物半導体の構造>>
なお、酸化物半導体は、結晶構造に着目した場合、図18Aとは異なる分類となる場合がある。例えば、酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、上述のCAAC-OS、及びnc-OSがある。また、非単結晶酸化物半導体には、多結晶酸化物半導体、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)、非晶質酸化物半導体、などが含まれる。
【0380】
ここで、上述のCAAC-OS、nc-OS、及びa-like OSの詳細について、説明を行う。
【0381】
[CAAC-OS]
CAAC-OSは、複数の結晶領域を有し、当該複数の結晶領域はc軸が特定の方向に配向している酸化物半導体である。なお、特定の方向とは、CAAC-OS膜の厚さ方向、CAAC-OS膜の被形成面の法線方向、またはCAAC-OS膜の表面の法線方向である。また、結晶領域とは、原子配列に周期性を有する領域である。なお、原子配列を格子配列とみなすと、結晶領域とは、格子配列の揃った領域でもある。さらに、CAAC-OSは、a-b面方向において複数の結晶領域が連結する領域を有し、当該領域は歪みを有する場合がある。なお、歪みとは、複数の結晶領域が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。つまり、CAAC-OSは、c軸配向し、a-b面方向には明らかな配向をしていない酸化物半導体である。
【0382】
なお、上記複数の結晶領域のそれぞれは、1つまたは複数の微小な結晶(最大径が10nm未満である結晶)で構成される。結晶領域が1つの微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の最大径は10nm未満となる。また、結晶領域が多数の微小な結晶で構成されている場合、当該結晶領域の大きさは、数十nm程度となる場合がある。
【0383】
また、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、スズ、チタンなどから選ばれた一種、または複数種)において、CAAC-OSは、インジウム(In)、及び酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛(Zn)、及び酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能である。よって、(M,Zn)層にはインジウムが含まれる場合がある。また、In層には元素Mが含まれる場合がある。なお、In層にはZnが含まれる場合もある。当該層状構造は、例えば、高分解能TEM像において、格子像として観察される。
【0384】
CAAC-OS膜に対し、例えば、XRD装置を用いて構造解析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane XRD測定では、c軸配向を示すピークが2θ=31°またはその近傍に検出される。なお、c軸配向を示すピークの位置(2θの値)は、CAAC-OSを構成する金属元素の種類、組成などにより変動する場合がある。
【0385】
また、例えば、CAAC-OS膜の電子線回折パターンにおいて、複数の輝点(スポット)が観測される。なお、あるスポットと別のスポットとは、試料を透過した入射電子線のスポット(ダイレクトスポットともいう。)を対称中心として、点対称の位置に観測される。
【0386】
上記特定の方向から結晶領域を観察した場合、当該結晶領域内の格子配列は、六方格子を基本とするが、単位格子は正六角形とは限らず、非正六角形である場合がある。また、上記歪みにおいて、五角形、七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリー)を確認することはできない。即ち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属原子が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
【0387】
なお、明確な結晶粒界が確認される結晶構造は、いわゆる多結晶(polycrystal)と呼ばれる。結晶粒界は、再結合中心となり、キャリアが捕獲されトランジスタのオン電流の低下、電界効果移動度の低下などを引き起こす可能性が高い。よって、明確な結晶粒界が確認されないCAAC-OSは、トランジスタの半導体層に好適な結晶構造を有する結晶性の酸化物の一つである。なお、CAAC-OSを構成するには、Znを有する構成が好ましい。例えば、In-Zn酸化物、及びIn-Ga-Zn酸化物は、In酸化物よりも結晶粒界の発生を抑制できるため好適である。
【0388】
CAAC-OSは、結晶性が高く、明確な結晶粒界が確認されない酸化物半導体である。よって、CAAC-OSは、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。従って、CAAC-OSを有する酸化物半導体は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する酸化物半導体は熱に強く、信頼性が高い。また、CAAC-OSは、製造工程における高い温度(所謂サーマルバジェット)に対しても安定である。したがって、OSトランジスタにCAAC-OSを用いると、製造工程の自由度を広げることが可能となる。
【0389】
[nc-OS]
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。別言すると、nc-OSは、微小な結晶を有する。なお、当該微小な結晶の大きさは、例えば、1nm以上10nm以下、特に1nm以上3nm以下であることから、当該微小な結晶をナノ結晶ともいう。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。例えば、nc-OS膜に対し、XRD装置を用いて構造解析を行うと、θ/2θスキャンを用いたOut-of-plane XRD測定では、結晶性を示すピークが検出されない。また、nc-OS膜に対し、ナノ結晶よりも大きいプローブ径(例えば50nm以上)の電子線を用いる電子線回折(制限視野電子線回折ともいう。)を行うと、ハローパターンのような回折パターンが観測される。一方、nc-OS膜に対し、ナノ結晶の大きさと近いかナノ結晶より小さいプローブ径(例えば1nm以上30nm以下)の電子線を用いる電子線回折(ナノビーム電子線回折ともいう。)を行うと、ダイレクトスポットを中心とするリング状の領域内に複数のスポットが観測される電子線回折パターンが取得される場合がある。
【0390】
[a-like OS]
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。a-like OSは、鬆又は低密度領域を有する。即ち、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。また、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、膜中の水素濃度が高い。
【0391】
<<酸化物半導体の構成>>
次に、上述のCAC-OSの詳細について、説明を行う。なお、CAC-OSは材料構成に関する。
【0392】
[CAC-OS]
CAC-OSとは、例えば、金属酸化物を構成する元素が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、またはその近傍のサイズで偏在した材料の一構成である。なお、以下では、金属酸化物において、一つまたは複数の金属元素が偏在し、該金属元素を有する領域が、0.5nm以上10nm以下、好ましくは、1nm以上3nm以下、またはその近傍のサイズで混合した状態をモザイク状、またはパッチ状ともいう。
【0393】
さらに、CAC-OSとは、第1の領域と、第2の領域と、に材料が分離することでモザイク状となり、当該第1の領域が、膜中に分布した構成(以下、クラウド状ともいう。)である。つまり、CAC-OSは、当該第1の領域と、当該第2の領域とが、混合している構成を有する複合金属酸化物である。
【0394】
ここで、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSを構成する金属元素に対するIn、Ga、およびZnの原子数比のそれぞれを、[In]、[Ga]、および[Zn]と表記する。例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSにおいて、第1の領域は、[In]が、CAC-OS膜の組成における[In]よりも大きい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、CAC-OS膜の組成における[Ga]よりも大きい領域である。または、例えば、第1の領域は、[In]が、第2の領域における[In]よりも大きく、且つ、[Ga]が、第2の領域における[Ga]よりも小さい領域である。また、第2の領域は、[Ga]が、第1の領域における[Ga]よりも大きく、且つ、[In]が、第1の領域における[In]よりも小さい領域である。
【0395】
具体的には、上記第1の領域は、インジウム酸化物、インジウム亜鉛酸化物などが主成分である領域である。また、上記第2の領域は、ガリウム酸化物、ガリウム亜鉛酸化物などが主成分である領域である。つまり、上記第1の領域を、Inを主成分とする領域と言い換えることができる。また、上記第2の領域を、Gaを主成分とする領域と言い換えることができる。
【0396】
なお、上記第1の領域と、上記第2の領域とは、明確な境界が観察できない場合がある。
【0397】
例えば、In-Ga-Zn酸化物におけるCAC-OSでは、エネルギー分散型X線分光法(EDX:Energy Dispersive X-ray spectroscopy)を用いて取得したEDXマッピングにより、Inを主成分とする領域(第1の領域)と、Gaを主成分とする領域(第2の領域)とが、偏在し、混合している構造を有することが確認できる。
【0398】
CAC-OSをトランジスタに用いる場合、第1の領域に起因する導電性と、第2の領域に起因する絶縁性とが、相補的に作用することにより、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSに付与することができる。つまり、CAC-OSとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。導電性の機能と絶縁性の機能とを分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。よって、CAC-OSをトランジスタに用いることで、高いオン電流(Ion)、高い電界効果移動度(μ)、および良好なスイッチング動作を実現することができる。
【0399】
酸化物半導体は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、CAC-OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0400】
<酸化物半導体を有するトランジスタ>
続いて、上記酸化物半導体をトランジスタに用いる場合について説明する。
【0401】
上記酸化物半導体をトランジスタに用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
【0402】
トランジスタには、キャリア濃度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。例えば、酸化物半導体のキャリア濃度は1×1017cm-3以下、好ましくは1×1015cm-3以下、さらに好ましくは1×1013cm-3以下、より好ましくは1×1011cm-3以下、さらに好ましくは1×1010cm-3未満であり、1×10-9cm-3以上である。なお、酸化物半導体膜のキャリア濃度を低くする場合においては、酸化物半導体膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性又は実質的に高純度真性と言う。なお、キャリア濃度の低い酸化物半導体を、高純度真性又は実質的に高純度真性な酸化物半導体と呼ぶ場合がある。
【0403】
また、高純度真性又は実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
【0404】
また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル形成領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
【0405】
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0406】
<不純物>
ここで、酸化物半導体中における各不純物の影響について説明する。
【0407】
酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体におけるシリコンや炭素の濃度と、酸化物半導体との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1017atoms/cm以下とする。
【0408】
また、酸化物半導体にアルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体中のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm以下、好ましくは2×1016atoms/cm以下にする。
【0409】
また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア濃度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を半導体に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。または、酸化物半導体において、窒素が含まれると、トラップ準位が形成される場合がある。この結果、トランジスタの電気特性が不安定となる場合がある。このため、SIMSにより得られる酸化物半導体中の窒素濃度を、5×1019atoms/cm未満、好ましくは5×1018atoms/cm以下、より好ましくは1×1018atoms/cm以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm以下にする。
【0410】
また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm未満、好ましくは1×1019atoms/cm未満、より好ましくは5×1018atoms/cm未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm未満にする。
【0411】
不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0412】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0413】
(実施の形態5)
本実施の形態では、上記の実施の形態の記憶装置100、記憶装置100A、記憶装置100B、記憶装置100Cなどに備えることができるコントロールロジック回路、行駆動回路、列駆動回路および出力回路について説明する。
【0414】
図19は、メモリ装置として機能する半導体装置の構成例を示すブロック図である。半導体装置710Eは、周辺回路780、およびメモリセルアレイ770を有する。周辺回路780は、コントロールロジック回路761、行駆動回路762、列駆動回路763、出力回路764を有する。
【0415】
メモリセルアレイ770は、複数のメモリセル742を有する。行駆動回路762は、ロウデコーダ771およびワード線ドライバ回路772を有する。列駆動回路763は、カラムデコーダ781、プリチャージ回路782、増幅回路783、および書き込み回路784を有する。プリチャージ回路782は、例えば、実施の形態1で説明した配線BL、配線BLBなどをプリチャージする機能を有する。増幅回路783は、例えば、メモリセルアレイ770から読み出されたデータ信号を増幅する機能を有する。具体的には、実施の形態1で説明した配線BL、及び配線BLBのそれぞれに流れる電流の差分電流に応じた電位を増幅する機能としてもよい。増幅されたデータ信号は、出力回路764を介して、デジタルのデータ信号RDATAとして半導体装置710Eの外部に出力される。
【0416】
半導体装置710Eには、外部から電源電圧として低電源電圧(VSS)、周辺回路780用の高電源電圧(VDD)、メモリセルアレイ770用の高電源電圧(VIL)が供給される。
【0417】
また半導体装置710Eには、制御信号(CE、WE、RE)、アドレス信号ADDR、データ信号WDATAが外部から入力される。アドレス信号ADDRは、ロウデコーダ771およびカラムデコーダ781に入力され、WDATAは書き込み回路784に入力される。
【0418】
コントロールロジック回路761は、外部からの入力信号(CE、WE、RE)を処理して、ロウデコーダ771、カラムデコーダ781の制御信号を生成する。CEは、チップイネーブル信号であり、WEは、書き込みイネーブル信号であり、REは、読み出しイネーブル信号である。コントロールロジック回路761が処理する信号は、これに限定されるものではなく、必要に応じて、他の制御信号を入力すればよい。例えば不良ビットを判定するための制御信号を入力し、特定のメモリセルのアドレスから読み出されるデータ信号を不良ビットとして特定してもよい。
【0419】
なお、上述の各回路あるいは各信号は、必要に応じて、適宜、取捨することができる。
【0420】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0421】
(実施の形態6)
本実施の形態は、上記実施の形態に示す半導体装置などが形成された半導体ウェハ、及び当該半導体装置が組み込まれた電子部品の一例を示す。
【0422】
<半導体ウェハ>
初めに、半導体装置などが形成された半導体ウェハの例を、図20Aを用いて説明する。
【0423】
図20Aに示す半導体ウェハ4800は、ウェハ4801と、ウェハ4801の上面に設けられた複数の回路部4802と、を有する。なお、ウェハ4801の上面において、回路部4802の無い部分は、スペーシング4803であり、ダイシング用の領域である。
【0424】
半導体ウェハ4800は、ウェハ4801の表面に対して、前工程によって複数の回路部4802を形成することで作製することができる。また、その後に、ウェハ4801の複数の回路部4802が形成された反対側の面を研削して、ウェハ4801の薄膜化してもよい。この工程により、ウェハ4801の反りなどを低減し、部品としての小型化を図ることができる。
【0425】
次の工程としては、ダイシング工程が行われる。ダイシングは、一点鎖線で示したスクライブラインSCL1及びスクライブラインSCL2(ダイシングライン、又は切断ラインと呼ぶ場合がある)に沿って行われる。なお、スペーシング4803は、ダイシング工程を容易に行うために、複数のスクライブラインSCL1が平行になるように設け、複数のスクライブラインSCL2が平行になるように設け、スクライブラインSCL1とスクライブラインSCL2が垂直になるように設けるのが好ましい。
【0426】
ダイシング工程を行うことにより、図20Bに示すようなチップ4800aを、半導体ウェハ4800から切り出すことができる。チップ4800aは、ウェハ4801aと、回路部4802と、スペーシング4803aと、を有する。なお、スペーシング4803aは、極力小さくなるようにするのが好ましい。この場合、隣り合う回路部4802の間のスペーシング4803の幅が、スクライブラインSCL1の切りしろと、又はスクライブラインSCL2の切りしろとほぼ同等の長さであればよい。
【0427】
なお、本発明の一態様の素子基板の形状は、図20Aに図示した半導体ウェハ4800の形状に限定されない。例えば、矩形の形状の半導体ウェハあってもよい。素子基板の形状は、素子の作製工程、及び素子を作製するための装置に応じて、適宜変更することができる。
【0428】
<電子部品>
図20Cに電子部品4700および電子部品4700が実装された基板(実装基板4704)の斜視図を示す。図20Cに示す電子部品4700は、モールド4711内にチップ4800aを有している。なお、図20Cに示すチップ4800aには、回路部4802が積層された構成を示している。つまり、回路部4802として、上記の実施の形態で説明した半導体装置を適用することができる。図20Cは、電子部品4700の内部を示すために、一部を省略している。電子部品4700は、モールド4711の外側にランド4712を有する。ランド4712は電極パッド4713と電気的に接続され、電極パッド4713はチップ4800aとワイヤ4714によって電気的に接続されている。電子部品4700は、例えばプリント基板4702に実装される。このような電子部品が複数組み合わされて、それぞれがプリント基板4702上で電気的に接続されることで実装基板4704が完成する。
【0429】
図20Dに電子部品4730の斜視図を示す。電子部品4730は、SiP(System in package)またはMCM(Multi Chip Module)の一例である。電子部品4730は、パッケージ基板4732(プリント基板)上にインターポーザ4731が設けられ、インターポーザ4731上に半導体装置4735、および複数の半導体装置4710が設けられている。
【0430】
電子部品4730では、半導体装置4710を有する。半導体装置4710としては、例えば、上記実施の形態で説明した半導体装置、広帯域メモリ(HBM:High Bandwidth Memory)などとすることができる。また、半導体装置4735は、CPU、GPU、FPGA、記憶装置などの集積回路(半導体装置)を用いることができる。
【0431】
パッケージ基板4732は、セラミック基板、プラスチック基板、またはガラスエポキシ基板などを用いることができる。インターポーザ4731は、シリコンインターポーザ、樹脂インターポーザなどを用いることができる。
【0432】
インターポーザ4731は、複数の配線を有し、端子ピッチの異なる複数の集積回路を電気的に接続する機能を有する。複数の配線は、単層または多層で設けられる。また、インターポーザ4731は、インターポーザ4731上に設けられた集積回路をパッケージ基板4732に設けられた電極と電気的に接続する機能を有する。これらのことから、インターポーザを「再配線基板」または「中間基板」と呼ぶ場合がある。また、インターポーザ4731に貫通電極を設けて、当該貫通電極を用いて集積回路とパッケージ基板4732を電気的に接続する場合もある。また、シリコンインターポーザでは、貫通電極として、TSV(Through Silicon Via)を用いることも出来る。
【0433】
インターポーザ4731としてシリコンインターポーザを用いることが好ましい。シリコンインターポーザでは能動素子を設ける必要が無いため、集積回路よりも低コストで作製することができる。一方で、シリコンインターポーザの配線形成は半導体プロセスで行なうことができるため、樹脂インターポーザでは難しい微細配線の形成が容易である。
【0434】
HBMでは、広いメモリバンド幅を実現するために多くの配線を接続する必要がある。このため、HBMを実装するインターポーザには、微細かつ高密度の配線形成が求められる。よって、HBMを実装するインターポーザには、シリコンインターポーザを用いることが好ましい。
【0435】
また、シリコンインターポーザを用いたSiPやMCMなどでは、集積回路とインターポーザ間の膨張係数の違いによる信頼性の低下が生じにくい。また、シリコンインターポーザは表面の平坦性が高いため、シリコンインターポーザ上に設ける集積回路とシリコンインターポーザ間の接続不良が生じにくい。特に、インターポーザ上に複数の集積回路を横に並べて配置する2.5Dパッケージ(2.5次元実装)では、シリコンインターポーザを用いることが好ましい。
【0436】
また、電子部品4730と重ねてヒートシンク(放熱板)を設けてもよい。ヒートシンクを設ける場合は、インターポーザ4731上に設ける集積回路の高さを揃えることが好ましい。例えば、本実施の形態に示す電子部品4730では、半導体装置4710と半導体装置4735の高さを揃えることが好ましい。
【0437】
電子部品4730を他の基板に実装するため、パッケージ基板4732の底部に電極4733を設けてもよい。図20Dでは、電極4733を半田ボールで形成する例を示している。パッケージ基板4732の底部に半田ボールをマトリクス状に設けることで、BGA(Ball Grid Array)実装を実現できる。また、電極4733を導電性のピンで形成してもよい。パッケージ基板4732の底部に導電性のピンをマトリクス状に設けることで、PGA(Pin Grid Array)実装を実現できる。
【0438】
電子部品4730は、BGAおよびPGAに限らず様々な実装方法を用いて他の基板に実装することができる。例えば、SPGA(Staggered Pin Grid Array)、LGA(Land Grid Array)、QFP(Quad Flat Package)、QFJ(Quad Flat J-leaded package)、またはQFN(Quad Flat Non-leaded package)などの実装方法を用いることができる。
【0439】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【0440】
(実施の形態7)
本実施の形態では、上記実施の形態で説明した半導体装置を有する電子機器の一例について説明する。なお、図21A乃至図21J図22A乃至図22Eには、当該半導体装置を有する電子部品4700が各電子機器に含まれている様子を図示している。
【0441】
[携帯電話]
図21Aに示す情報端末5500は、情報端末の一種である携帯電話(スマートフォン)である。情報端末5500は、筐体5510と、表示部5511と、を有しており、入力用インターフェースとして、タッチパネルが表示部5511に備えられ、ボタンが筐体5510に備えられている。
【0442】
情報端末5500は、上記実施の形態で説明した半導体装置を適用することで、アプリケーションの実行時に生成される一時的なファイル(例えば、ウェブブラウザの使用時のキャッシュなど)を保持することができる。
【0443】
[ウェアラブル端末]
また、図21Bには、ウェアラブル端末の一例である情報端末5900が図示されている。情報端末5900は、筐体5901、表示部5902、操作ボタン5903、操作子5904、バンド5905などを有する。
【0444】
ウェアラブル端末は、先述した情報端末5500と同様に、上記実施の形態で説明した半導体装置を適用することで、アプリケーションの実行時に生成される一時的なファイルを保持することができる。
【0445】
[情報端末]
また、図21Cには、デスクトップ型情報端末5300が図示されている。デスクトップ型情報端末5300は、情報端末の本体5301と、ディスプレイ5302と、キーボード5303と、を有する。
【0446】
デスクトップ型情報端末5300は、先述した情報端末5500と同様に、上記実施の形態で説明した半導体装置を適用することで、アプリケーションの実行時に生成される一時的なファイルを保持することができる。
【0447】
なお、上述では、電子機器としてスマートフォン、ウェアラブル端末、及びデスクトップ用情報端末を例として、それぞれ図21A、及び図21Cに図示したが、スマートフォン、及びデスクトップ用情報端末以外の情報端末を適用することができる。スマートフォン、及びデスクトップ用情報端末以外の情報端末としては、例えば、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型情報端末、ワークステーションなどが挙げられる。
【0448】
[電化製品]
また、図21Dには、電化製品の一例として電気冷凍冷蔵庫5800が図示されている。電気冷凍冷蔵庫5800は、筐体5801、冷蔵室用扉5802、冷凍室用扉5803等を有する。
【0449】
電気冷凍冷蔵庫5800に上記実施の形態で説明した半導体装置を適用することによって、電気冷凍冷蔵庫5800を、例えば、IoT(Internet of Things)として利用することができる。IoTを利用することによって、電気冷凍冷蔵庫5800は、電気冷凍冷蔵庫5800に保存されている食材、その食材の消費期限などの情報を、インターネットなどを通じて、上述したような情報端末などに送受信することができる。また、電気冷凍冷蔵庫5800は、当該情報を送信する際に、当該情報を一時ファイルとして、当該半導体装置に保持することができる。
【0450】
本一例では、電化製品として電気冷凍冷蔵庫について説明したが、その他の電化製品としては、例えば、掃除機、電子レンジ、電気オーブン、炊飯器、湯沸かし器、IH調理器、ウォーターサーバ、エアーコンディショナーを含む冷暖房器具、洗濯機、乾燥機、オーディオビジュアル機器などが挙げられる。
【0451】
[ゲーム機]
また、図21Eには、ゲーム機の一例である携帯ゲーム機5200が図示されている。携帯ゲーム機5200は、筐体5201、表示部5202、ボタン5203等を有する。
【0452】
更に、図21Fには、ゲーム機の一例である据え置き型ゲーム機7500が図示されている。据え置き型ゲーム機7500は、本体7520と、コントローラ7522を有する。なお、本体7520には、無線または有線によってコントローラ7522を接続することができる。また、図21Fには示していないが、コントローラ7522は、ゲームの画像を表示する表示部、ボタン以外の入力インターフェースとなるタッチパネルやスティック、回転式つまみ、スライド式つまみなどを備えることができる。また、コントローラ7522は、図21Fに示す形状に限定されず、ゲームのジャンルに応じて、コントローラ7522の形状を様々に変更してもよい。例えば、FPS(First Person Shooter)などのシューティングゲームでは、トリガーをボタンとし、銃を模した形状のコントローラを用いることができる。また、例えば、音楽ゲームなどでは、楽器、音楽機器などを模した形状のコントローラを用いることができる。更に、据え置き型ゲーム機は、コントローラを使わず、代わりにカメラ、深度センサ、マイクロフォンなどを備えて、ゲームプレイヤーのジェスチャー、及び/又は音声によって操作する形式としてもよい。
【0453】
また、上述したゲーム機の映像は、テレビジョン装置、パーソナルコンピュータ用ディスプレイ、ゲーム用ディスプレイ、ヘッドマウントディスプレイなどの表示装置によって、出力することができる。
【0454】
携帯ゲーム機5200に上記実施の形態で説明した半導体装置を適用することによって、低消費電力の携帯ゲーム機5200を実現することができる。また、低消費電力により、回路からの発熱を低減することができるため、発熱によるその回路自体、周辺回路、及びモジュールへの影響を少なくすることができる。
【0455】
更に、携帯ゲーム機5200に上記実施の形態で説明した半導体装置を適用することによって、ゲームの実行中に発生する演算に必要な一時ファイルなどの保持をおこなうことができる。
【0456】
図21E、及び図21Fでは、ゲーム機の一例として携帯ゲーム機を図示しているが、本発明の一態様の電子機器はこれに限定されない。本発明の一態様の電子機器としては、例えば、家庭用の据え置き型ゲーム機、娯楽施設(ゲームセンター、遊園地など)に設置されるアーケードゲーム機、スポーツ施設に設置されるバッティング練習用の投球マシンなどが挙げられる。
【0457】
[移動体]
上記実施の形態で説明した半導体装置は、移動体である自動車、及び自動車の運転席周辺に適用することができる。
【0458】
図21Gには移動体の一例である自動車5700が図示されている。
【0459】
自動車5700の運転席周辺には、スピードメーターやタコメーター、走行距離、燃料計、ギア状態、エアコンの設定などを表示することで、様々な情報を提供するインストゥルメントパネルが備えられている。また、運転席周辺には、それらの情報を示す表示装置が備えられていてもよい。
【0460】
特に当該表示装置には、自動車5700に設けられた撮像装置(図示しない。)からの映像を映し出すことによって、ピラーなどで遮られた視界、運転席の死角などを補うことができ、安全性を高めることができる。
【0461】
上記実施の形態で説明した半導体装置は、情報を一時的に保持することができるため、例えば、当該コンピュータを自動車5700の自動運転システムや当該コンピュータを道路案内、危険予測などを行うシステムなどにおける、必要な一時的な情報の保持に用いることができる。当該表示装置には、道路案内、危険予測などの一時的な情報を表示する構成としてもよい。また、自動車5700に備え付けられたドライビングレコーダの映像を保持する構成としてもよい。
【0462】
なお、上述では、移動体の一例として自動車について説明しているが、移動体は自動車に限定されない。例えば、移動体としては、電車、モノレール、船、飛行体(ヘリコプター、無人航空機(ドローン)、飛行機、ロケット)なども挙げることができる。
【0463】
[カメラ]
上記実施の形態で説明した半導体装置は、カメラに適用することができる。
【0464】
図21Hには、撮像装置の一例であるデジタルカメラ6240が図示されている。デジタルカメラ6240は、筐体6241、表示部6242、操作ボタン6243、シャッターボタン6244等を有し、また、デジタルカメラ6240には、着脱可能なレンズ6246が取り付けられている。なお、ここではデジタルカメラ6240を、レンズ6246を筐体6241から取り外して交換することが可能な構成としたが、レンズ6246と筐体6241とが一体となっていてもよい。また、デジタルカメラ6240は、ストロボ装置や、ビューファインダー等を別途装着することができる構成としてもよい。
【0465】
デジタルカメラ6240に上記実施の形態で説明した半導体装置を適用することによって、低消費電力のデジタルカメラ6240を実現することができる。また、低消費電力により、回路からの発熱を低減することができるため、発熱によるその回路自体、周辺回路、及びモジュールへの影響を少なくすることができる。
【0466】
[ビデオカメラ]
上記実施の形態で説明した半導体装置は、ビデオカメラに適用することができる。
【0467】
図21Iには、撮像装置の一例であるビデオカメラ6300が図示されている。ビデオカメラ6300は、第1筐体6301、第2筐体6302、表示部6303、操作キー6304、レンズ6305、接続部6306等を有する。操作キー6304及びレンズ6305は第1筐体6301に設けられており、表示部6303は第2筐体6302に設けられている。そして、第1筐体6301と第2筐体6302とは、接続部6306により接続されており、第1筐体6301と第2筐体6302の間の角度は、接続部6306により変更が可能である。表示部6303における映像を、接続部6306における第1筐体6301と第2筐体6302との間の角度に従って切り替える構成としてもよい。
【0468】
ビデオカメラ6300で撮影した映像を記録する際、データの記録形式に応じたエンコードを行う必要がある。上述した半導体装置を利用することによって、ビデオカメラ6300は、エンコードの際に発生する一時的なファイルの保持を行うことができる。
【0469】
[ICD]
上記実施の形態で説明した半導体装置は、植え込み型除細動器(ICD)に適用することができる。
【0470】
図21Jは、ICDの一例を示す断面模式図である。ICD本体5400は、バッテリー5401と、電子部品4700と、レギュレータと、制御回路と、アンテナ5404と、右心房へのワイヤ5402、右心室へのワイヤ5403とを少なくとも有している。
【0471】
ICD本体5400は手術により体内に設置され、二本のワイヤは、人体の鎖骨下静脈5405及び上大静脈5406を通過させて一方のワイヤ先端が右心室、もう一方のワイヤ先端が右心房に設置されるようにする。
【0472】
ICD本体5400は、ペースメーカのとしての機能を有し、心拍数が規定の範囲から外れた場合に心臓に対してペーシングを行う。また、ペーシングによって心拍数が改善しない場合(速い心室頻拍や心室細動など)、電気ショックによる治療が行われる。
【0473】
ICD本体5400は、ペーシング及び電気ショックを適切に行うため、心拍数を常に監視する必要がある。そのため、ICD本体5400は、心拍数を検知するためのセンサを有する。また、ICD本体5400は、当該センサなどによって取得した心拍数のデータ、ペーシングによる治療を行った回数、時間などを電子部品4700に記憶することができる。
【0474】
また、アンテナ5404で電力が受信でき、その電力はバッテリー5401に充電される。また、ICD本体5400は複数のバッテリーを有することにより、安全性を高くすることができる。具体的には、ICD本体5400の一部のバッテリーが使えなくなったとしても残りのバッテリーが機能させることができるため、補助電源としても機能する。
【0475】
また、電力を受信できるアンテナ5404とは別に、生理信号を送信できるアンテナを有していてもよく、例えば、脈拍、呼吸数、心拍数、体温などの生理信号を外部のモニタ装置で確認できるような心臓活動を監視するシステムを構成してもよい。
【0476】
[PC用の拡張デバイス]
上記実施の形態で説明した半導体装置は、PC(Personal Computer)などの計算機、情報端末用の拡張デバイスに適用することができる。
【0477】
図22Aは、当該拡張デバイスの一例として、持ち運びのできる、情報の記憶が可能なチップが搭載された、PCに外付けする拡張デバイス6100を示している。拡張デバイス6100は、例えば、USB(Universal Serial Bus)などでPCに接続することで、当該チップによる情報の記憶を行うことができる。なお、図22Aは、持ち運びが可能な形態の拡張デバイス6100を図示しているが、本発明の一態様に係る拡張デバイスは、これに限定されず、例えば、冷却用ファンなどを搭載した比較的大きい形態の拡張デバイスとしてもよい。
【0478】
拡張デバイス6100は、筐体6101、キャップ6102、USBコネクタ6103及び基板6104を有する。基板6104は、筐体6101に収納されている。基板6104には、上記実施の形態で説明した半導体装置などを駆動する回路が設けられている。例えば、基板6104には、電子部品4700、コントローラチップ6106が取り付けられている。USBコネクタ6103は、外部装置と接続するためのインターフェースとして機能する。
【0479】
[SDカード]
上記実施の形態で説明した半導体装置は、情報端末やデジタルカメラなどの電子機器に取り付けが可能なSDカードに適用することができる。
【0480】
図22BはSDカードの外観の模式図であり、図22Cは、SDカードの内部構造の模式図である。SDカード5110は、筐体5111、コネクタ5112及び基板5113を有する。コネクタ5112が外部装置と接続するためのインターフェースとして機能する。基板5113は筐体5111に収納されている。基板5113には、記憶装置及び記憶装置を駆動する回路が設けられている。例えば、基板5113には、電子部品4700、コントローラチップ5115が取り付けられている。なお、電子部品4700とコントローラチップ5115とのそれぞれの回路構成は、上述の記載に限定せず、状況に応じて、適宜回路構成を変更してもよい。例えば、電子部品に備えられている書き込み回路、ロードライバ、読み出し回路などは、電子部品4700でなく、コントローラチップ5115に組み込んだ構成としてもよい。
【0481】
基板5113の裏面側にも電子部品4700を設けることで、SDカード5110の容量を増やすことができる。また、無線通信機能を備えた無線チップを基板5113に設けてもよい。これによって、外部装置とSDカード5110との間で無線通信を行うことができ、電子部品4700のデータの読み出し、書き込みが可能となる。
【0482】
[SSD]
上記実施の形態で説明した半導体装置は、情報端末など電子機器に取り付けが可能なSSD(Solid State Drive)に適用することができる。
【0483】
図22DはSSDの外観の模式図であり、図22Eは、SSDの内部構造の模式図である。SSD5150は、筐体5151、コネクタ5152及び基板5153を有する。コネクタ5152が外部装置と接続するためのインターフェースとして機能する。基板5153は筐体5151に収納されている。基板5153には、記憶装置及び記憶装置を駆動する回路が設けられている。例えば、基板5153には、電子部品4700、メモリチップ5155、コントローラチップ5156が取り付けられている。基板5153の裏面側にも電子部品4700を設けることで、SSD5150の容量を増やすことができる。メモリチップ5155にはワークメモリが組み込まれている。例えば、メモリチップ5155には、DRAMチップを用いればよい。コントローラチップ5156には、プロセッサ、ECC回路などが組み込まれている。なお、電子部品4700と、メモリチップ5155と、コントローラチップ5115と、のそれぞれの回路構成は、上述の記載に限定せず、状況に応じて、適宜回路構成を変更してもよい。例えば、コントローラチップ5156にも、ワークメモリとして機能するメモリを設けてもよい。
【0484】
なお、本実施の形態は、本明細書で示す他の実施の形態と適宜組み合わせることができる。
【実施例0485】
本実施例では、実施の形態1で説明した記憶装置100の評価方法とその結果について説明する。当該評価方法としては、記憶装置100が適切に動作が行われているかを確認するため、回路シミュレータを用いて計算を行った。
【0486】
初めに、当該計算を行うための回路構成について説明する。図23Aは、図1の記憶装置100の回路を基として、回路シミュレータに入力した回路構成である。
【0487】
回路シミュレータに入力した回路構成としての記憶装置100Sは、読み出し回路RDCと、メモリセルMCと、メモリセルMCrと、容量C2と、容量C2mと、を有する。
【0488】
容量C2は、実施の形態1で説明した記憶装置100における配線BLにかかる負荷(例えば、寄生容量)として図示している。また、同様に、容量C2mは、記憶装置100における配線BLBにかかる負荷(例えば、寄生容量)として図示している。なお、本計算条件において、容量C2及び容量C2mの静電容量の値を40fFとしている。
【0489】
読み出し回路RDCは、トランジスタTr1乃至トランジスタTr5と、トランジスタTr1m乃至トランジスタTr5mと、トランジスタTr7と、トランジスタTr7mと、トランジスタTr8と、回路OPCと、を有する。
【0490】
メモリセルMCは、トランジスタM1と、トランジスタM3と、を有する。また、メモリセルMCrは、トランジスタM1rと、トランジスタM3rと、を有する。
【0491】
なお、トランジスタTr1、トランジスタTr1m、トランジスタTr7、及びトランジスタTr7mのそれぞれのサイズは、チャネル長を0.06μmとし、チャネル幅を0.48μmとしている。また、トランジスタTr2乃至トランジスタTr5、トランジスタTr8、及びトランジスタTr2m乃至トランジスタTr5mのそれぞれのサイズは、チャネル長を0.8μmとし、チャネル幅を0.48μmとしている。また、トランジスタM1、トランジスタM1r、トランジスタM3、及びトランジスタM3rのそれぞれのサイズは、チャネル長を60nmとし、チャネル幅を60nmとしている。
【0492】
なお、トランジスタTr1乃至トランジスタTr3と、トランジスタTr1m乃至トランジスタTr3mと、トランジスタTr7と、トランジスタTr7mと、は、pチャネル型トランジスタであって、トランジスタTr4、トランジスタTr4m、トランジスタTr5と、トランジスタTr5mと、トランジスタTr8と、トランジスタM1と、トランジスタM1rと、トランジスタM3と、トランジスタM3rと、は、nチャネル型トランジスタである。
【0493】
また、トランジスタTr1乃至トランジスタTr5と、トランジスタTr1m乃至トランジスタTr5mと、トランジスタTr7と、トランジスタTr7mと、トランジスタTr8と、は、Siトランジスタとしている。また、トランジスタM1と、トランジスタM1rと、トランジスタM3と、トランジスタM3rと、は、OSトランジスタとしている。
【0494】
回路OPCは、実施の形態1の記憶装置100に含まれている回路OPCと異なり、端子ITaと、端子ITbと、端子OTaと、端子OTbと、を有する。また、端子ITaと、端子ITbと、のそれぞれは、入力端子として機能し、端子OTaと、端子OTbと、のそれぞれは、出力端子として機能する。なお、回路OPCについては、後に詳述する。
【0495】
読み出し回路RDCにおいて、トランジスタTr1の第1端子は、トランジスタTr2の第1端子と、トランジスタTr2のゲートと、トランジスタTr3のゲートと、トランジスタTr4の第1端子と、に電気的に接続されている。トランジスタTr3の第1端子は、トランジスタTr7の第1端子と、トランジスタTr5の第1端子と、回路OPCの端子ITaと、に電気的に接続されている。トランジスタTr1mの第1端子は、トランジスタTr2mの第1端子と、トランジスタTr2mのゲートと、トランジスタTr3mのゲートと、トランジスタTr4mの第1端子と、に電気的に接続されている。トランジスタTr3mの第1端子は、トランジスタTr7mの第1端子と、トランジスタTr5のゲートと、トランジスタTr5mの第1端子と、トランジスタTr5mのゲートと、回路OPCの端子ITbと、に電気的に接続されている。トランジスタTr5の第2端子は、トランジスタTr5mの第2端子と、トランジスタTr8の第1端子と、に電気的に接続されている。トランジスタTr8の第2端子は、配線VSSLに電気的に接続され、トランジスタTr8のゲートは、配線SAENに電気的に接続されている。トランジスタTr1乃至トランジスタTr3のそれぞれの第2端子と、トランジスタTr1m乃至トランジスタTr3mのそれぞれの第2端子と、は、配線VDDLに電気的に接続されている。トランジスタTr7の第2端子と、トランジスタTr7mの第2端子と、は、配線VDLに電気的に接続されている。トランジスタTr4とトランジスタTr4mとのそれぞれのゲートは、配線VOLPに電気的に接続されている。
【0496】
配線VDDLは、実施の形態1で説明したとおり、定電圧を与える配線であって、本計算条件では、1.2Vの電圧を与える配線とした。
【0497】
配線VDLは、定電圧を与える配線として機能する。また、本計算条件では、0.6Vの電圧を与える配線とした。
【0498】
配線VSSLは、実施の形態1で説明したとおり、定電圧を与える配線であって、本計算条件では、0Vの電圧を与える配線とした。
【0499】
配線VOLPは、実施の形態1で説明した通り、トランジスタTr4及びトランジスタTr4mのそれぞれの第2端子に出力する電位を調整するための配線として機能する。また、本計算条件では、配線VOLPが与える電位を、0V、又は1.2Vとした。
【0500】
配線SAENは、実施の形態1で説明した通り、読み出し回路RDCをディスエーブル状態、又はイネーブル状態の切り替えを行うための配線として機能する。本計算条件では、配線SAENが与える電位を、0V、又は1.2Vとした。
【0501】
メモリセルMCにおいて、トランジスタM1の第1端子は、配線VSSLに電気的に接続され、トランジスタM1の第2端子は、トランジスタM3の第1端子に電気的に接続されている。トランジスタM1のゲートは、配線DALに電気的に接続され、トランジスタM3のゲートは、配線RWLに電気的に接続されている。なお、トランジスタM1の第1端子に電気的に接続されている配線VSSLは、実施の形態1で説明した配線CVL2に相当する。
【0502】
メモリセルMCrにおいて、トランジスタM1rの第1端子は、配線VSSLに電気的に接続され、トランジスタM1rの第2端子は、トランジスタM3rの第1端子に電気的に接続されている。トランジスタM1rのゲートは、配線REFLに電気的に接続され、トランジスタM3rのゲートは、配線RWLに電気的に接続されている。なお、トランジスタM1rの第1端子に電気的に接続されている配線VSSLは、実施の形態1で説明した配線CVL2に相当する。
【0503】
トランジスタTr4の第2端子は、容量C2の第1端子と、トランジスタM3の第2端子と、に電気的に接続されている。また、トランジスタTr4mの第2端子は、容量C2mの第1端子と、トランジスタM3rの第2端子と、に電気的に接続されている。なお、トランジスタTr4の第2端子と、トランジスタM3の第2端子と、の電気的接続点をノードBLNとし、トランジスタTr4mの第2端子と、トランジスタM3rの第2端子と、の電気的接続点をノードBLBNとする。
【0504】
配線RWLは、実施の形態1で説明した通り、メモリセルMC及びメモリセルMCrの読み出しワード線として機能する。本計算条件では、配線RWLは、低レベル電位として0V、高レベル電位として3.3Vを与える配線とした。
【0505】
配線DALは、トランジスタM1のゲートに電位を与えるための配線として機能し、実施の形態1における、ノードN(容量C1の第1端子)に相当する。本計算条件では、配線DALは、低レベル電位として0V、高レベル電位として2.5Vを与える配線とした。
【0506】
配線REFLは、トランジスタM1rのゲートに電位を与えるための配線として機能し、実施の形態1における、ノードNr(容量C1rの第1端子)に相当する。本計算条件では、配線REFLは、0.8Vを与える配線とした。
【0507】
次に、回路OPCについて、説明する。
【0508】
図23Bに示す回路OPCは、図2Dの回路OPCの構成を変更したものである。そのため、図2Dの回路OPCと内容が重複する部分については説明を省略する。
【0509】
図23Bの回路OPCは、トランジスタTr11乃至トランジスタTr17と、トランジスタTr11m乃至トランジスタTr14mと、トランジスタTr16mと、トランジスタTr17mと、容量C3と、容量C3mと、を有する。なお、トランジスタTr11と、トランジスタTr11mと、トランジスタTr13と、トランジスタTr13mと、トランジスタTr16と、トランジスタTr16mと、は、pチャネル型トランジスタであって、トランジスタTr12と、トランジスタTr12mと、トランジスタTr14と、トランジスタTr14mと、トランジスタTr15と、トランジスタTr17と、トランジスタTr17mと、は、nチャネル型トランジスタである。
【0510】
トランジスタTr11乃至トランジスタTr14、及びトランジスタTr11m乃至トランジスタTr14mのそれぞれのサイズは、チャネル長を0.2μmとし、チャネル幅を0.48μmとしている。また、トランジスタTr15のサイズは、チャネル長を0.4μmとし、チャネル幅を0.48μmとしている。また、トランジスタTr16及びトランジスタTr16mのサイズは、チャネル長を0.06μmとし、チャネル幅を0.48μmとしている。また、トランジスタTr17及びトランジスタTr17mのサイズは、チャネル長を0.06μmとし、チャネル幅を0.24μmとしている。
【0511】
また、トランジスタTr11乃至トランジスタTr17と、トランジスタTr11m乃至トランジスタTr14mと、トランジスタTr16mと、トランジスタTr17mと、はSiトランジスタとしている。
【0512】
図23Bの回路OPCには、NOT回路RBAと、NOT回路RBBと、を図示している。特に、NOT回路RBAは、図2Dの回路OPCに含まれるNOT回路RBAに相当する回路であって、トランジスタTr16mと、トランジスタTr17mと、を有する。また、NOT回路RBBは、トランジスタTr16と、トランジスタTr17と、を有する。
【0513】
容量C3は、端子OTaにかかる負荷(例えば、寄生容量)として図示している。また、同様に、容量C3mは、端子OTbにかかる負荷(例えば、寄生容量)として図示している。なお、本計算条件において、容量C3及び容量C3mの静電容量の値を1fFとしている。
【0514】
図2Dでは、トランジスタTr14のゲートは、回路OPCの一方の入力端子に相当する。そのため、図23Bの回路OPCでは、トランジスタTr14のゲートは、端子ITaに電気的に接続されている。また、図2Dでは、トランジスタTr14mのゲートは、回路OPCの他方の入力端子に相当する。そのため、図23Bの回路OPCでは、トランジスタTr14mのゲートは、端子ITbに電気的に接続されている。
【0515】
トランジスタTr16mのゲート及びトランジスタTr17mのゲートは、トランジスタTr13mの第1端子と、トランジスタTr11mのゲートと、トランジスタTr12mのゲートと、トランジスタTr11の第1端子と、トランジスタTr12の第1端子と、に電気的に接続されている。トランジスタTr16mの第1端子は、トランジスタTr17mの第1端子と、容量C3の第1端子と、端子OTaと、に電気的に接続されている。トランジスタTr16mの第2端子は、配線VDDLに電気的に接続されている。トランジスタTr17mの第2端子は、配線VSSLに電気的に接続されている。
【0516】
トランジスタTr16のゲート及びトランジスタTr17のゲートは、トランジスタTr13の第1端子と、トランジスタTr11のゲートと、トランジスタTr12のゲートと、トランジスタTr11mの第1端子と、トランジスタTr12mの第1端子と、に電気的に接続されている。トランジスタTr16の第1端子は、トランジスタTr17の第1端子と、容量C3mの第1端子と、端子OTbと、に電気的に接続されている。トランジスタTr16の第2端子は、配線VDDLに電気的に接続されている。トランジスタTr17の第2端子は、配線VSSLに電気的に接続されている。
【0517】
容量C3と容量C3mとのそれぞれの第2端子は、配線VSSLに電気的に接続されている。
【0518】
配線OENは、実施の形態1で説明した通り、回路OPCを動作するための信号を送信する配線として機能する。本計算条件では、配線OENは、低レベル電位として0V、高レベル電位として1.2Vを与える配線とした。
【0519】
図23A及び図23Bの回路構成における、回路シミュレータによる計算結果を、図24A乃至図24E、及び図25A乃至図25Eに示す。図24A乃至図24Eのそれぞれは、配線DALに3.3V(高レベル電位)を与えてメモリセルMCからデータを読み出した条件における、所定の個所の電位、又は所定の個所に流れる電流の変化を示したグラフであって、図25A乃至図25Eは、配線DALに0V(低レベル電位)を与えてメモリセルMCからデータを読み出した条件における、所定の個所の電位、又は所定の個所に流れる電流の変化を示したグラフである。
【0520】
<メモリセルMCから高レベル電位を読み出す場合>
図24Aは、図23A及び図23Bの読み出し回路RDCにおける、配線RWL、配線SAEN、配線VOLP、及び配線OENの電位の変化を示したグラフである。なお、図24Aでは、配線VOLPの電位の変化を示す線(実線)と、配線SAENの電位の変化を示す線(破線)と、が重なって図示されている。読み出し回路RDCの動作として、時刻100nsのときに、配線SAENに入力される電位を0Vから1.2Vに変化させ、配線VOLPに入力される電位を0Vから1.2Vに変化させ、配線RWLに入力される電位を0Vから3.3Vに変化させた。
【0521】
これによって、読み出し回路RDCのトランジスタTr4の第2端子から、メモリセルMCのトランジスタM3に、配線DALに応じた電流(ここではIBLとする)が流れ、また、読み出し回路RDCのトランジスタTr4mの第2端子から、メモリセルMCのトランジスタM3rに、配線REFLに応じた電流(ここではIBLBとする)が流れる。図24Bには、IBL及びIBLBの変化を示している。図24Bより、時刻110nsを過ぎたあたりでIBL及びIBLBが安定になっているのが分かる。なお、時刻110ns以降において、電流IBLはおよそ4.46μAであって、電流IBLBはおよそ3.42μAである。
【0522】
図24Cは、ノードBLNとノードBLBNとのそれぞれの電位の変化を示したグラフである。ノードBLNとノードBLBNのそれぞれの電位は、図24Cに示す計算結果より、時刻130nsあたりで安定となる。つまり、電圧が安定するまでの時間よりも、電流が安定するまでの時間の方が短いため、記憶装置100Sの読み出し動作は、電圧読み出し型(VSA)よりも電流読み出し型(CSA)のほうが適しているといえる。
【0523】
図24Dは、回路OPCの端子ITa及び端子ITbに入力された電位、つまり、トランジスタTr14及びトランジスタTr14mの差動対に入力される電位の変化を示したグラフである。時刻100nsのときに、配線SAEN、配線VOLP、及び配線RWLの電位を変化させることによって、図24Dより、端子ITaの電位は0.6Vから1.1Vに変化し、端子ITbの電位は0.6Vから0.68Vに変化していることが分かる。また、それぞれの電位は、時刻120nsを経過したあたりで安定していることが分かる。
【0524】
読み出し回路RDCの動作として、およそ時刻151nsを経過したときに、配線OENの電位を0Vから1.2Vに変化させた(図24A参照)。この動作によって、回路OPCが、回路OPCの端子ITa及び端子ITbに入力された電位に応じた電位を、回路OPCの端子OTa及び端子OTbから出力する。回路OPCの端子OTa及び端子OTbから出力された電位は、メモリセルMCからの読み出し電位となる。
【0525】
図24Eは、端子OTaから出力された電位の変化を示したグラフである。図24Eより、時刻150nsを経過した後に、端子OTaの電位が0Vから1.2Vにまで高くなっていることが分かる。メモリセルMCの配線DALに入力された高レベル電位を読み出すことで、回路OPCの端子OTaは、高レベル電位として1.2Vの電位を出力することが確認できた。
【0526】
<メモリセルMCから低レベル電位を読み出す場合>
図25Aは、図23A及び図23Bの読み出し回路RDCにおける、配線RWL、配線SAEN、配線VOLP、及び配線OENの電位の変化を示したグラフである。なお、図25Aでは、配線VOLPの電位の変化を示す線(実線)と、配線SAENの電位の変化を示す線(破線)と、が重なって図示されている。読み出し回路RDCの動作として、時刻200nsを経過したときに、配線SAENに入力される電位を0Vから1.2Vに変化させ、配線VOLPに入力される電位を0Vから1.2Vに変化させ、配線RWLに入力される電位を0Vから3.3Vに変化させた。
【0527】
このとき、読み出し回路RDCのトランジスタTr4の第2端子から、メモリセルMCのトランジスタM3に、配線DALに応じた電流IBLが流れ、また、読み出し回路RDCのトランジスタTr4mの第2端子から、メモリセルMCのトランジスタM3rに、配線REFLに応じた電流IBLBが流れる。図25Bには、IBL及びIBLBの変化を示している。図25Bより、時刻210nsを過ぎたあたりでIBL及びIBLBが安定になっているのが分かる。なお、時刻210ns以降において、電流IBLはおよそ1.56μAであって、電流IBLBはおよそ3.42μAである。
【0528】
図25Cは、ノードBLNとノードBLBNとのそれぞれの電位の変化を示したグラフである。ノードBLNとノードBLBNのそれぞれの電位は、図25Cに示す計算結果より、時刻230nsあたりで安定となる。つまり、電圧が安定するまでの時間よりも、電流が安定するまでの時間の方が短いことが分かる。
【0529】
図25Dは、回路OPCの端子ITa及び端子ITbに入力された電位に入力される電位の変化を示したグラフである。時刻200nsのときに、配線SAEN、配線VOLP、及び配線RWLの電位を変化させることによって、図25Dより、端子ITaの電位は0.6Vから0.1Vに変化し、端子ITbの電位は0.6Vから0.68Vに変化していることが分かる。また、それぞれの電位は、時刻220nsを経過したあたりで安定していることが分かる。
【0530】
読み出し回路RDCの動作として、およそ時刻251nsを経過したときに、配線OENの電位を0Vから1.2Vに変化させた(図25A参照)。この動作によって、回路OPCが、回路OPCの端子ITa及び端子ITbに入力された電位に応じた電位を、回路OPCの端子OTa及び端子OTbから出力する。回路OPCの端子OTa及び端子OTbから出力された電位は、メモリセルMCからの読み出し電位となる。
【0531】
図25Eは、端子OTaから出力された電位の変化を示したグラフである。図25Eより、時刻250nsを経過した後の端子OTaの電位は、0Vであることが分かる。メモリセルMCの配線DALに入力された低レベル電位を読み出すことで、回路OPCの端子OTaは、低レベル電位として0Vの電位を出力することが確認できた。
【符号の説明】
【0532】
MCA:メモリセルアレイ、RDC:読み出し回路、RDCa:回路、RDCb:回路、MC:メモリセル、MCr:メモリセル、CM:カレントミラー回路、CMr:カレントミラー回路、CMd:カレントミラー回路、OPC:回路、LE2:負荷、CMP:比較器、RB1:NOT回路、RB2:NOT回路、RBA:NOT回路、RBB:NOT回路、M1:トランジスタ、M1r:トランジスタ、M2:トランジスタ、M2r:トランジスタ、M3:トランジスタ、M3r:トランジスタ、Tr1:トランジスタ、Tr1m:トランジスタ、Tr2:トランジスタ、Tr2m:トランジスタ、Tr3:トランジスタ、Tr3m:トランジスタ、Tr4:トランジスタ、Tr4m:トランジスタ、Tr5:トランジスタ、Tr5m:トランジスタ、Tr6:トランジスタ、Tr7:トランジスタ、Tr7m:トランジスタ、Tr8:トランジスタ、Tr11:トランジスタ、Tr11m:トランジスタ、Tr12:トランジスタ、Tr12m:トランジスタ、Tr13:トランジスタ、Tr13m:トランジスタ、Tr14:トランジスタ、Tr14m:トランジスタ、Tr15:トランジスタ、Tr16:トランジスタ、Tr16m:トランジスタ、Tr17:トランジスタ、Tr17m:トランジスタ、OTr4:トランジスタ、OTr4m:トランジスタ、OTr5:トランジスタ、OTr5m:トランジスタ、C1:容量、C1r:容量、C2:容量、C2m:容量、C3:容量、C3m:容量、N:ノード、Nr:ノード、BLN:ノード、BLBN:ノード、WWL:配線、RWL:配線、WBL:配線、BL:配線、BLB:配線、SAEN:配線、VOLP:配線、OEN:配線、CVL1:配線、CVL2:配線、VDDL:配線、VDL:配線、VSSL:配線、VAL:配線、VBL:配線、VGL2:配線、OL:配線、OLB:配線、DAL:配線、REFL:配線、ITa:端子、ITb:端子、OTa:端子、OTb:端子、SILR:層、OSLR1:層、OSLR2:層、PRC:プロセッサ、DRV1:駆動回路、DRV2:駆動回路、100:記憶装置、100A:記憶装置、100B:記憶装置、100C:記憶装置、100S:記憶装置、110:半導体装置、300:トランジスタ、311:基板、313:半導体領域、314a:低抵抗領域、314b:低抵抗領域、315:絶縁体、316:導電体、320:絶縁体、322:絶縁体、324:絶縁体、326:絶縁体、328:導電体、330:導電体、350:絶縁体、352:絶縁体、354:絶縁体、356:導電体、360:絶縁体、362:絶縁体、400:トランジスタ、414:絶縁体、416:絶縁体、450:絶縁体、452:絶縁体、454:絶縁体、456:導電体、500:トランジスタ、501:絶縁体、502:絶縁体、503:導電体、503a:導電体、503b:導電体、510:絶縁体、512:絶縁体、514:絶縁体、516:絶縁体、518:導電体、520:絶縁体、522:絶縁体、524:絶縁体、530:酸化物、530a:酸化物、530b:酸化物、530c:酸化物、530c1:酸化物、530c2:酸化物、540:導電体、540a:導電体、540b:導電体、542a:導電体、542b:導電体、543a:領域、543b:領域、544:絶縁体、546:導電体、548:導電体、550:絶縁体、552:絶縁体、560:導電体、560a:導電体、560b:導電体、574:絶縁体、580:絶縁体、581:絶縁体、582:絶縁体、586:絶縁体、600:容量素子、600A:容量素子、600B:容量素子、610:導電体、611:導電体、612:導電体、620:導電体、621:導電体、630:絶縁体、631:絶縁体、650:絶縁体、651:絶縁体、710E:半導体装置、742:メモリセル、761:コントロールロジック回路、762:行駆動回路、763:列駆動回路、764:出力回路、770:メモリセルアレイ、771:ロウデコーダ、772:ワード線ドライバ回路、780:周辺回路、781:カラムデコーダ、782:プリチャージ回路、783:増幅回路、784:回路、4700:電子部品、4702:プリント基板、4704:実装基板、4710:半導体装置、4714:ワイヤ、4730:電子部品、4731:インターポーザ、4732:パッケージ基板、4733:電極、4735:半導体装置、4800:半導体ウェハ、4800a:チップ、4801:ウェハ、4801a:ウェハ、4802:回路部、4803:スペーシング、4803a:スペーシング、5110:SDカード、5111:筐体、5112:コネクタ、5113:基板、5115:コントローラチップ、5150:SSD、5151:筐体、5152:コネクタ、5153:基板、5155:メモリチップ、5156:コントローラチップ、5200:携帯ゲーム機、5201:筐体、5202:表示部、5203:ボタン、5300:デスクトップ型情報端末、5301:本体、5302:ディスプレイ、5303:キーボード、5400:ICD本体、5401:バッテリー、5402:ワイヤ、5403:ワイヤ、5404:アンテナ、5405:鎖骨下静脈、5406:上大静脈、5500:情報端末、5510:筐体、5511:表示部、5700:自動車、5800:電気冷凍冷蔵庫、5801:筐体、5802:冷蔵室用扉、5803:冷凍室用扉、5900:情報端末、5901:筐体、5902:表示部、5903:操作ボタン、5904:操作子、5905:バンド、6100:拡張デバイス、6101:筐体、6102:キャップ、6103:USBコネクタ、6104:基板、6106:コントローラチップ、6240:デジタルカメラ、6241:筐体、6242:表示部、6243:操作ボタン、6244:シャッターボタン、6246:レンズ、6300:ビデオカメラ、6301:第1筐体、6302:第2筐体、6303:表示部、6304:操作キー、6305:レンズ、6306:接続部、7520:本体、7522:コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25