(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124466
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/336 20060101AFI20240905BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20240905BHJP
H10B 12/00 20230101ALI20240905BHJP
H10B 41/70 20230101ALI20240905BHJP
H10B 99/00 20230101ALI20240905BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240905BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
H01L29/78 619A
H01L29/78 618B
H10B12/00 621
H10B12/00 671C
H10B12/00 671Z
H10B12/00 801
H10B41/70
H10B99/00 441
H01L27/06 102A
H01L27/088 E
H01L27/088 331E
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024105120
(22)【出願日】2024-06-28
(62)【分割の表示】P 2023069866の分割
【原出願日】2018-08-28
(31)【優先権主張番号】P 2017170022
(32)【優先日】2017-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017170023
(32)【優先日】2017-09-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017238210
(32)【優先日】2017-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】竹内 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】村川 努
(72)【発明者】
【氏名】駒形 大樹
(72)【発明者】
【氏名】松林 大介
(72)【発明者】
【氏名】石原 典隆
(72)【発明者】
【氏名】野中 裕介
(57)【要約】
【課題】良好な電気特性を有し、高集積化が可能な半導体装置を提供する。
【解決手段】第1の絶縁体と、第1の絶縁体上の酸化物と、酸化物上の第2の絶縁体と、
第2の絶縁体上の第1の導電体と、第1の絶縁体の上面、酸化物の側面、酸化物の上面、
第2の絶縁体の側面および第1の導電体の側面に接する、第3の絶縁体と、第3の絶縁体
上の第4の絶縁体と、を有し、第3の絶縁体は、第1の絶縁体を露出する開口を有し、第
4の絶縁体は、開口を介して第1の絶縁体と接する半導体装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の絶縁体と、
前記第1の絶縁体上の酸化物と、
前記酸化物上の第2の絶縁体と、
前記第2の絶縁体上の第1の導電体と、
前記第1の絶縁体の上面、前記酸化物の側面、前記酸化物の上面、前記第2の絶縁体の側面および前記第1の導電体の側面に接する、第3の絶縁体と、
前記第3の絶縁体上の第4の絶縁体と、を有し、
前記第3の絶縁体は、前記第1の絶縁体を露出する開口を有し、
前記第4の絶縁体は、前記開口を介して前記第1の絶縁体と接する、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、半導体装置、ならびに半導体装置の作製方法に関する。または、本
発明の一態様は、半導体ウエハ、モジュールおよび電子機器に関する。
【0002】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装
置全般を指す。トランジスタなどの半導体素子をはじめ、半導体回路、演算装置、記憶装
置は、半導体装置の一態様である。表示装置(液晶表示装置、発光表示装置など)、投影
装置、照明装置、電気光学装置、蓄電装置、記憶装置、半導体回路、撮像装置および電子
機器などは、半導体装置を有すると言える場合がある。
【0003】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明
の一態様は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様
は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マ
ター)に関するものである。
【背景技術】
【0004】
近年、半導体装置の開発が進められ、LSIやCPUやメモリが主に用いられている。
CPUは、半導体ウエハから切り離された半導体集積回路(少なくともトランジスタおよ
びメモリ)を有し、接続端子である電極が形成された半導体素子の集合体である。
【0005】
LSIやCPUやメモリなどの半導体回路(ICチップ)は、回路基板、例えばプリン
ト配線板に実装され、様々な電子機器の部品の一つとして用いられる。
【0006】
また、絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜を用いてトランジスタを構成す
る技術が注目されている。当該トランジスタは集積回路(IC)や画像表示装置(単に表
示装置とも表記する)のような電子デバイスに広く応用されている。トランジスタに適用
可能な半導体薄膜としてシリコン系半導体材料が広く知られているが、その他の材料とし
て酸化物半導体が注目されている。
【0007】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流が
小さいことが知られている。例えば、酸化物半導体を用いたトランジスタのリーク電流が
低いという特性を利用した低消費電力のCPUなどが開示されている(特許文献1参照)
。
【0008】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタとして、セルフアライン構造のトランジスタ
が提案されている。当該セルフアライン構造のトランジスタとして、ソース領域及びドレ
イン領域上に金属膜を形成し、当該金属膜に対して熱処理を行うことで、金属膜を高抵抗
化させるとともに、ソース領域およびドレイン領域を低抵抗化させる方法が開示されてい
る(特許文献2参照)。
【0009】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタの作製方法として、ソース領域及びドレイン
領域上に金属膜を形成したのち熱処理を行い、その後、当該金属膜を通過してドーパント
を導入することで、ソース領域およびドレイン領域を低抵抗化させる方法が開示されてい
る(特許文献3参照)。
【0010】
また、近年では電子機器の小型化、軽量化に伴い、トランジスタなどを高密度に集積し
た集積回路の要求が高まっている。また、集積回路を含む半導体装置の生産性の向上が求
められている。
【0011】
トランジスタに適用可能な半導体薄膜として、シリコン系半導体材料が広く知られてい
るが、その他の材料として酸化物半導体が注目されている。酸化物半導体としては、例え
ば、酸化インジウム、酸化亜鉛などの一元系金属の酸化物のみでなく、多元系金属の酸化
物も知られている。多元系金属の酸化物の中でも、特に、In-Ga-Zn酸化物(以下
、IGZOとも呼ぶ)に関する研究が盛んに行われている。
【0012】
IGZOに関する研究により、酸化物半導体において、単結晶でも非晶質でもない、C
AAC(c-axis aligned crystalline)構造およびnc(n
anocrystalline)構造が見出された(非特許文献1乃至非特許文献3参照
)。非特許文献1および非特許文献2では、CAAC構造を有する酸化物半導体を用いて
トランジスタを作製する技術も開示されている。さらに、CAAC構造およびnc構造よ
りも結晶性の低い酸化物半導体でさえも、微小な結晶を有することが、非特許文献4およ
び非特許文献5に開示されている。
【0013】
さらに、IGZOを活性層として用いたトランジスタは極めて低いオフ電流を持ち(非
特許文献6参照)、その特性を利用したLSIおよびディスプレイが報告されている(非
特許文献7および非特許文献8参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2012-257187号公報
【特許文献2】特開2011-228622号公報
【特許文献3】特開2013-016782号公報
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】S. Yamazaki et al., “SID Symposium Digest of Technical Papers”, 2012, volume 43, issue 1, pp.183-186
【非特許文献2】S. Yamazaki et al., “Japanese Journal of Applied Physics”, 2014, volume 53, Number 4S, pp.04ED18-1-04ED18-10
【非特許文献3】S. Ito et al., “The Proceedings of AM-FPD’13 Digest of Technical Papers”, 2013, pp.151-154
【非特許文献4】S. Yamazaki et al., “ECS Journal of Solid State Science and Technology”, 2014, volume 3, issue 9, pp.Q3012-Q3022
【非特許文献5】S. Yamazaki, “ECS Transactions”,2014, volume 64, issue 10, pp.155-164
【非特許文献6】K. Kato et al., “Japanese Journal of Applied Physics”, 2012, volume 51, pp.021201-1-021201-7
【非特許文献7】S. Matsuda et al., “2015 Symposium on VLSI Technology Digest of Technical Papers”, 2015, pp.T216-T217
【非特許文献8】S. Amano et al., “SID Symposium Digest of Technical Papers”, 2010, volume 41, issue 1, pp.626-629
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
特許文献2においては、ソース領域およびドレイン領域を低抵抗化させる際に、ソース
領域およびドレイン領域上に金属膜を形成し、当該金属膜に対して酸素雰囲気下で熱処理
を行っている。熱処理を行うことで、酸化物半導体膜のソース領域およびドレイン領域中
には金属膜の構成元素がドーパントとして入り込んで、ソース領域およびドレイン領域を
低抵抗化させている。また、酸素雰囲気下で熱処理を行うことで、導電膜を酸化させ、当
該導電膜を高抵抗化させている。ただし、酸素雰囲気下で熱処理を行っているため、酸素
が酸化物半導体膜中から金属膜へ引き抜かれにくい。
【0017】
また、特許文献2においては、チャネル形成領域の酸素濃度については記載されている
が、水、水素などの不純物の濃度については、言及されていない。すなわち、チャネル形
成領域の高純度化(水、水素などの不純物の低減化、代表的には脱水または脱水素化)が
行われていないため、ノーマリーオンのトランジスタ特性となりやすいといった問題があ
った。なお、ノーマリーオンとは、ゲートに電圧を印加しなくてもチャネルが存在し、ト
ランジスタに電流が流れてしまう状態のことである。一方でノーマリ-オフとは、ゲート
に電圧を印加しない状態では、トランジスタに電流が流れない状態である。
【0018】
上述の問題に鑑み、本発明の一態様は、トランジスタのソース領域およびドレイン領域
を安定して低抵抗化させるとともに、チャネル形成領域を高純度化させることで良好な電
気特性を有する半導体装置を提供することを課題の一つとする。
【0019】
または、本発明の一態様は、微細化または高集積化が可能な半導体装置を提供すること
を課題の一つとする。または、本発明の一態様は、良好な電気特性を有する半導体装置を
提供することを課題の一つとする。または、本発明の一態様は、生産性の高い半導体装置
を提供することを課題の一つとする。
【0020】
または、本発明の一態様は、長期間においてデータの保持が可能な半導体装置を提供す
ることを課題の一つとする。または、本発明の一態様は、情報の書き込み速度が速い半導
体装置を提供することを課題の一つとする。または、本発明の一態様は、設計自由度が高
い半導体装置を提供することを課題の一つとする。または、本発明の一態様は、低消費電
力の半導体装置を提供することを課題の一つとする。または、本発明の一態様は、新規な
半導体装置を提供することを課題の一つとする。
【0021】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の
一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課
題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、
図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の一態様は、第1の絶縁体と、第1の絶縁体上の酸化物と、酸化物上の第2の絶
縁体と、第2の絶縁体上の第1の導電体と、第1の絶縁体の上面、酸化物の側面、酸化物
の上面、第2の絶縁体の側面および第1の導電体の側面に接する、第3の絶縁体と、第3
の絶縁体上の第4の絶縁体と、を有し、第3の絶縁体は、第1の絶縁体を露出する開口を
有し、第4の絶縁体は、開口を介して第1の絶縁体と接する半導体装置である。
【0023】
また、本発明の一態様は、第1の絶縁体と、第1の絶縁体上の開口を有する第1の酸化
物と、第1の酸化物上の第2の酸化物と、第2の酸化物上の第2の絶縁体と、第2の絶縁
体上の第1の導電体と、第1の絶縁体の上面、第1の酸化物の側面、第2の酸化物の側面
、第2の酸化物の上面、第2の絶縁体の側面および第1の導電体の側面に接する、第3の
絶縁体と、第3の絶縁体上の第4の絶縁体と、を有し、第3の絶縁体は、第1の絶縁体を
露出する開口を有し、第4の絶縁体は、第3の絶縁体の開口を介して第1の絶縁体と接す
る半導体装置である。
【0024】
また、上記において、第1の絶縁体および第4の絶縁体は、第3の絶縁体よりも酸素を
透過し易いことが好ましい。
【0025】
また、酸化物は、Inと、元素M(MはAl、Ga、Y、またはSn)と、Znと、を
有することが好ましい。
【0026】
また、第1の酸化物は、Inと、元素M(MはAl、Ga、Y、またはSn)と、Zn
と、を有し、第2の酸化物は、Inと、元素M(MはAl、Ga、Y、またはSn)と、
Znと、を有することが好ましい。
【0027】
また、第2の酸化物は、第1の酸化物よりも酸素を透過し易いことが好ましい。
【0028】
また、第3の絶縁体は、アルミニウム、およびハフニウムの一方または両方を含む酸化
物であることが、好ましい。
【0029】
また、本発明の一態様は、基板上に第1の絶縁体を形成し、第1の絶縁体の上に、酸化
物層を形成し、酸化物層の上に、第1の絶縁膜およびダミーゲート膜を順に成膜し、第1
の絶縁膜およびダミーゲート膜を加工して、第2の絶縁体、およびダミーゲート層を形成
し、第1の絶縁体、酸化物層、およびダミーゲート層に接する、金属を含む第1の膜を形
成し、窒素を含む雰囲気で第1の加熱処理を行い、第1の膜を除去し、第1の絶縁体、酸
化物層およびダミーゲート層を覆って、第2の絶縁膜を成膜し、第2の絶縁膜を加工する
ことで、開口を有する第3の絶縁体を形成し、第3の絶縁体上に、第3の絶縁膜を成膜し
、第1のCMP処理を行うことによって、ダミーゲート層、第3の絶縁体および第3の絶
縁膜の一部を、ダミーゲート層の一部が露出するまで除去し、ダミーゲート層をエッチン
グすることによって、第2の絶縁体を露出させ、導電体膜を成膜し、第2のCMP処理を
行うことによって、導電体膜の一部を、第3の絶縁膜が露出するまで除去して、第1の導
電体層および第4の絶縁体を形成し、第4の絶縁体に酸素を注入し、第1の導電体層上お
よび第4の絶縁体上に第5の絶縁体を形成し、酸素を含む雰囲気で第2の加熱処理を行う
、半導体装置の作製方法である。
【0030】
また、上記において、第1の膜は、アルゴン、窒素、及び酸素の中から選ばれるいずれ
か一または複数のガスを用いて、スパッタリング法により形成されることが好ましい。
【0031】
また、上記において、第2の加熱処理を行うことで、酸素は、開口および第1の絶縁体
を介して、酸化物層に注入されることが好ましい。
【0032】
また、酸素の注入は、イオン注入法、イオンドーピング法、プラズマ処理法、およびプ
ラズマイマージョンイオンインプランテーション法から選ばれた一を用いてもよい。
【0033】
また、酸素の注入は、イオン注入法を用いて行ってもよい。
【発明の効果】
【0034】
本発明の一態様により、良好な電気特性を有する半導体装置を提供することができる。
または、本発明の一態様により、微細化または高集積化が可能な半導体装置を提供するこ
とができる。または、本発明の一態様により、生産性の高い半導体装置を提供することが
できる。
【0035】
または、長期間においてデータの保持が可能な半導体装置を提供することができる。ま
たは、データの書き込み速度が速い半導体装置を提供することができる。または、設計自
由度が高い半導体装置を提供することができる。または、低消費電力の半導体装置を提供
することができる。または、新規な半導体装置を提供することができる。
【0036】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の
一態様は、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書
、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項
などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【
図1】本発明の一態様に係る半導体装置の上面図および断面図。
【
図4】本発明の一態様に係る半導体装置の上面図および断面図。
【
図5】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
【
図6】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
【
図7】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
【
図8】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
【
図9】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
【
図10】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
【
図11】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
【
図12】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
【
図13】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
【
図14】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
【
図15】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
【
図16】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
【
図17】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
【
図18】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
【
図19】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
【
図20】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
【
図21】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
【
図22】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
【
図23】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
【
図24】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
【
図25】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
【
図26】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
【
図27】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
【
図28】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
【
図29】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
【
図30】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
【
図31】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を示す上面図および断面図。
【
図32】酸化物半導体のエネルギーバンド構造を説明する図。
【
図33】本発明の一態様に係る半導体装置の上面図および断面図。
【
図34】本発明の一態様に係る半導体装置の回路図。
【
図35】本発明の一態様に係る半導体装置の断面図。
【
図36】本発明の一態様に係る半導体装置の平面図。
【
図37】本発明の一態様に係る半導体装置の平面図。
【
図38】本発明の一態様に係る記憶装置の構成例を示す断面図。
【
図39】本発明の一態様に係る記憶装置の構成例を示す断面図。
【
図40】本発明の一態様に係る記憶装置の構成例を示す断面図。
【
図41】本発明の一態様に係る記憶装置の構成例を示すブロック図。
【
図42】本発明の一態様に係る記憶装置の構成例を示す回路図。
【
図43】本発明の一態様に係る記憶装置の構成例を示す回路図。
【
図44】本発明の一態様に係る記憶装置の構成例を示すブロック図。
【
図45】本発明の一態様に係る記憶装置の構成例を示すブロック図、および回路図。
【
図46】本発明の一態様に係るAIシステムの構成例を示すブロック図。
【
図47】本発明の一態様に係るAIシステムの応用例を説明するブロック図。
【
図48】本発明の一態様に係るAIシステムを組み込んだICの構成例を示す斜視模式図。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。但し、実施の形態は多くの異
なる態様で実施することが可能であり、趣旨およびその範囲から逸脱することなくその形
態および詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。したがって、
本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0039】
また、図面において、大きさ、層の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されてい
る場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお図面は、理想的な例
を模式的に示したものであり、図面に示す形状または値などに限定されない。例えば、実
際の製造工程において、エッチングなどの処理により層やレジストマスクなどが意図せず
に目減りすることがあるが、理解を容易とするために図に反映しないことがある。また、
図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で
共通して用い、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、同様の機能を指す場合
には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0040】
また、特に上面図(「平面図」ともいう)や斜視図などにおいて、発明の理解を容易と
するため、一部の構成要素の記載を省略する場合がある。また、一部の隠れ線などの記載
を省略する場合がある。
【0041】
また、本明細書などにおいて、第1、第2等として付される序数詞は便宜上用いるもの
であり、工程順または積層順を示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第
2の」または「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書等
に記載されている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致し
ない場合がある。
【0042】
また、本明細書において、「上に」、「下に」などの配置を示す語句は、構成同士の位
置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関
係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。したがって、明細書で説
明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0043】
例えば、本明細書等において、XとYとが接続されている、と明示的に記載されている
場合は、XとYとが電気的に接続されている場合と、XとYとが機能的に接続されている
場合と、XとYとが直接接続されている場合とが、本明細書等に開示されているものとす
る。したがって、所定の接続関係、例えば、図または文章に示された接続関係に限定され
ず、図または文章に示された接続関係以外のものも、図または文章に記載されているもの
とする。
【0044】
ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、
層、など)であるとする。
【0045】
XとYとが直接的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可
能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダ
イオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に接続されていない場合で
あり、XとYとの電気的な接続を可能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容
量素子、インダクタ、抵抗素子、ダイオード、表示素子、発光素子、負荷など)を介さず
に、XとYとが、接続されている場合である。
【0046】
XとYとが電気的に接続されている場合の一例としては、XとYとの電気的な接続を可
能とする素子(例えば、スイッチ、トランジスタ、容量素子、インダクタ、抵抗素子、ダ
イオード、表示素子、発光素子、負荷など)が、XとYとの間に1個以上接続されること
が可能である。なお、スイッチは、オンオフが制御される機能を有している。つまり、ス
イッチは、導通状態(オン状態)、または、非導通状態(オフ状態)になり、電流を流す
か流さないかを制御する機能を有している。または、スイッチは、電流を流す経路を選択
して切り替える機能を有している。なお、XとYとが電気的に接続されている場合は、X
とYとが直接的に接続されている場合を含むものとする。
【0047】
XとYとが機能的に接続されている場合の一例としては、XとYとの機能的な接続を可
能とする回路(例えば、論理回路(インバータ、NAND回路、NOR回路など)、信号
変換回路(DA変換回路、AD変換回路、ガンマ補正回路など)、電位レベル変換回路(
電源回路(昇圧回路、降圧回路など)、信号の電位レベルを変えるレベルシフタ回路など
)、電圧源、電流源、切り替え回路、増幅回路(信号振幅または電流量などを大きく出来
る回路、オペアンプ、差動増幅回路、ソースフォロワ回路、バッファ回路など)、信号生
成回路、記憶回路、制御回路など)が、XとYとの間に1個以上接続されることが可能で
ある。なお、一例として、XとYとの間に別の回路を挟んでいても、Xから出力された信
号がYへ伝達される場合は、XとYとは機能的に接続されているものとする。なお、Xと
Yとが機能的に接続されている場合は、XとYとが直接的に接続されている場合と、Xと
Yとが電気的に接続されている場合とを含むものとする。
【0048】
また、本明細書等において、トランジスタとは、ゲートと、ドレインと、ソースとを含
む少なくとも三つの端子を有する素子である。そして、ドレイン(ドレイン端子、ドレイ
ン領域またはドレイン電極)とソース(ソース端子、ソース領域またはソース電極)の間
にチャネルが形成される領域を有しており、チャネルが形成される領域を介して、ソース
とドレインとの間に電流を流すことができるものである。なお、本明細書等において、チ
ャネルが形成される領域とは、電流が主として流れる領域をいう。
【0049】
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路
動作において電流の方向が変化する場合などには入れ替わることがある。このため、本明
細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができる場合があ
る。
【0050】
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトラ
ンジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重
なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース
電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つ
のトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。すなわ
ち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、
本明細書では、チャネル長は、チャネルが形成される領域における、いずれか一の値、最
大値、最小値または平均値とする。
【0051】
チャネル幅とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジス
タがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領
域、またはチャネルが形成される領域における、チャネル長方向を基準として垂直方向の
チャネルが形成される領域の長さを言う。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル
幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。すなわち、一つのトランジスタのチャネ
ル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チ
ャネルが形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする
。
【0052】
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルが形成される領域におけるチャ
ネル幅(以下、「実効的なチャネル幅」ともいう)と、トランジスタの上面図において示
されるチャネル幅(以下、「見かけ上のチャネル幅」ともいう)と、が異なる場合がある
。例えば、ゲート電極が半導体の側面を覆う場合、実効的なチャネル幅が、見かけ上のチ
ャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつ
ゲート電極が半導体の側面を覆うトランジスタでは、半導体の側面に形成されるチャネル
形成領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、見かけ上のチャネル幅よりも、実
効的なチャネル幅の方が大きくなる。
【0053】
このような場合、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある
。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知とい
う仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的な
チャネル幅を正確に測定することは困難である。
【0054】
そこで、本明細書では、見かけ上のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:S
urrounded Channel Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細
書では、単にチャネル幅と記載した場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャ
ネル幅を指す場合がある。または、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、
実効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネ
ル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込みチャネル幅などは、断面TEM像などを解析する
ことなどによって、値を決定することができる。
【0055】
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃
度が0.1原子%未満の元素は不純物と言える。不純物が含まれることにより、例えば、
半導体のDOS(Density of States)が高くなることや、結晶性が低
下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、半導体の特性を
変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第13族元素、第14族
元素、第15族元素、および酸化物半導体の主成分以外の遷移金属などがあり、例えば、
水素、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。酸化物
半導体の場合、水も不純物として機能する場合がある。また、酸化物半導体の場合、例え
ば不純物の混入によって酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコンである
場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素
、第2族元素、第13族元素、第15族元素などがある。
【0056】
なお、本明細書等において、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸
素の含有量が多いものである。例えば、好ましくは酸素が55原子%以上65原子%以下
、窒素が1原子%以上20原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素
が0.1原子%以上10原子%以下の濃度範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シ
リコン膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものである。例えば、好
ましくは窒素が55原子%以上65原子%以下、酸素が1原子%以上20原子%以下、シ
リコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以下の濃度
範囲で含まれるものをいう。
【0057】
また、本明細書等において、「膜」という用語と、「層」という用語とは、互いに入れ
替えることが可能である。例えば、「導電層」という用語を、「導電膜」という用語に変
更することが可能な場合がある。または、例えば、「絶縁膜」という用語を、「絶縁層」
という用語に変更することが可能な場合がある。
【0058】
また、本明細書等において、「絶縁体」という用語を、絶縁膜または絶縁層と言い換え
ることができる。また、「導電体」という用語を、導電膜または導電層と言い換えること
ができる。また、「半導体」という用語を、半導体膜または半導体層と言い換えることが
できる。
【0059】
また、本明細書等に示すトランジスタは、明示されている場合を除き、電界効果トラン
ジスタとする。また、本明細書等に示すトランジスタは、明示されている場合を除き、n
チャネル型のトランジスタとする。よって、そのしきい値電圧(「Vth」ともいう)は
、明示されている場合を除き、0Vよりも大きいものとする。
【0060】
また、本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角
度で配置されている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。ま
た、「略平行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態
をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されて
いる状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直
」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
【0061】
なお、本明細書において、バリア膜とは、水素などの不純物および酸素の透過を抑制す
る機能を有する膜のことであり、該バリア膜に導電性を有する場合は、導電性バリア膜と
呼ぶことがある。
【0062】
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い意味での金属
の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む
)、酸化物半導体(Oxide Semiconductorまたは単にOSともいう)
などに分類される。例えば、トランジスタの活性層に金属酸化物を用いた場合、当該金属
酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、OS FETと記載する場合にお
いては、酸化物または酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
【0063】
また、本明細書等において、ノーマリーオフとは、ゲートに電圧を印加しない、または
ゲートに接地電位を与えたときに、トランジスタに流れるチャネル幅1μmあたりの電流
が、室温において1×10-20A以下、85℃において1×10-18A以下、または
125℃において1×10-16A以下であることをいう。
【0064】
(実施の形態1)
以下では、本発明の一態様に係るトランジスタ200を有する半導体装置の一例につい
て説明する。
【0065】
<半導体装置の構成例1>
図1は、本発明の一態様に係るトランジスタ200、およびトランジスタ200周辺の
上面図および断面図である。
【0066】
図1(A)は、トランジスタ200を有する半導体装置の上面図である。また、
図1(
B)、および
図1(C)は当該半導体装置の断面図である。ここで、
図1(B)は、
図1
(A)にA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネ
ル長方向の断面図でもある。また、
図1(C)は、
図1(A)にA3-A4の一点鎖線で
示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図でもある。なお
、
図1(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いている。
【0067】
本発明の一態様の半導体装置は、トランジスタ200と、層間膜として機能する絶縁体
210、絶縁体212、絶縁体280、絶縁体282および絶縁体283を有する。また
、トランジスタ200と電気的に接続し、配線として機能する導電体203、およびプラ
グとして機能する導電体240(導電体240aおよび導電体240b)とを有する。
【0068】
なお、導電体203は、絶縁体212に埋め込まれるように形成される。ここで、導電
体203の上面の高さと、絶縁体212の上面の高さは同程度にできる。なお導電体20
3は、単層とする構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例
えば、導電体203を2層以上の積層構造としてもよい。また、構造体が積層構造を有す
る場合、形成順に序数を付与し、区別する場合がある。
【0069】
また、導電体240は、絶縁体273、絶縁体280、絶縁体282および絶縁体28
3の開口の内壁に接して形成されている。ここで、導電体240の上面の高さと、絶縁体
283の上面の高さは同程度にできる。なお、トランジスタ200では、導電体240が
単層である構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、
導電体240は、2層以上の積層構造でもよい。
【0070】
[トランジスタ200]
図1(B)に示すように、トランジスタ200は、基板(図示せず)の上に配置された
絶縁体214および絶縁体216と、絶縁体214および絶縁体216に埋め込まれるよ
うに配置された導電体205(導電体205aおよび導電体205b)と、絶縁体216
および導電体205の上に配置された絶縁体220と、絶縁体220の上に配置された絶
縁体222と、絶縁体222の上に配置された絶縁体224と、絶縁体224の上に配置
された酸化物230(酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230c)と、酸
化物230の上に配置された絶縁体250と、絶縁体250上に配置された導電体260
(導電体260a、および導電体260b)と、絶縁体224の上面、酸化物230aの
側面、酸化物230bの側面、酸化物230bの上面、酸化物230cの側面、絶縁体2
50の側面、および導電体260の側面に接して配置された絶縁体273と、を有する。
また、絶縁体273は、絶縁体224を露出する開口を有し、絶縁体280は、該開口を
介して絶縁体224と接する。導電体260は、導電体260aおよび導電体260bを
有し、導電体260bの底面および側面を包むように導電体260aが配置される。ここ
で、
図1(B)に示すように、導電体260の上面は、絶縁体280の上面と略一致する
。
【0071】
なお、トランジスタ200では、酸化物230a、および酸化物230b、および酸化
物230cの3層を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるもので
はない。例えば、酸化物230bの単層、酸化物230bと酸化物230aの2層構造、
酸化物230bと酸化物230cの2層構造、または4層以上の積層構造を設ける構成に
してもよい。また、トランジスタ200では、導電体260aおよび導電体260bを積
層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。
【0072】
また、トランジスタ200は、チャネルが形成される領域(以下、チャネル形成領域と
もいう)を含む酸化物230(酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230c
)に、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう)を用いる
ことが好ましい。
【0073】
チャネル形成領域に酸化物半導体を用いたトランジスタ200は、非導通状態において
極めてリーク電流が小さいため、低消費電力の半導体装置を提供できる。また、酸化物半
導体は、スパッタリング法などを用いて成膜できるため、高集積型の半導体装置を構成す
るトランジスタ200に用いることができる。
【0074】
例えば、酸化物230として、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリ
ウム、イットリウム、錫、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル
、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウ
ム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種
)等の金属酸化物を用いるとよい。特に、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリ
ウム、または錫であると好適である。また、酸化物230として、In-Ga酸化物また
はIn-Zn酸化物を用いてもよい。
【0075】
ここで、酸化物半導体を構成する元素の他に、アルミニウム、ルテニウム、チタン、タ
ンタル、クロム、タングステン、などの金属元素を酸化物半導体に添加することで、酸化
物半導体の一部に金属化合物が形成され、低抵抗化する場合がある。なお、アルミニウム
、チタン、タンタル、タングステンなどを用いることが好ましい。酸化物半導体に、金属
元素を添加するには、例えば、酸化物半導体上に、当該金属元素を含む金属膜、金属元素
を有する窒化膜、または金属元素を有する酸化膜を設けるとよい。また、当該膜を設ける
ことで、当該膜と酸化物半導体との界面、または当該界面近傍に位置する酸化物半導体中
の一部の酸素が当該膜などに吸収され、酸素欠損を形成し、酸化物半導体の当該界面近傍
が低抵抗化する場合がある。
【0076】
また、酸化物半導体上に、金属膜、金属元素を有する窒化膜、または金属元素を有する
酸化膜を設けた後、窒素を含む雰囲気下で、熱処理を行うとよい。窒素を含む雰囲気下で
の熱処理により、金属膜から金属元素が酸化物半導体へ拡散し、酸化物半導体に金属元素
を添加することができる。
【0077】
また、酸化物半導体に存在する水素は、酸化物半導体の低抵抗化した領域に拡散し、低
抵抗化した領域に存在する酸素欠損の中に入った場合、比較的安定な状態となる。また、
酸化物半導体に存在する酸素欠損中の水素は、250℃以上の熱処理によって、酸素欠損
から抜け出し、酸化物半導体の低抵抗化した領域に拡散し、低抵抗化した領域に存在する
酸素欠損の中に入り、比較的安定な状態となることがわかっている。従って、熱処理によ
って、酸化物半導体の低抵抗化した領域は、より低抵抗化し、低抵抗化していない酸化物
半導体は、高純度化(水、水素などの不純物の低減)し、より高抵抗化する傾向がある。
【0078】
また、酸化物半導体は、水素、または窒素などの不純物元素が存在すると、キャリア密
度が増加する。酸化物半導体中の水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になり、
酸素欠損を形成する場合がある。当該酸素欠損に水素が入ることで、キャリア密度が増加
する。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生
成することがある。つまり、窒素、または水素を有する酸化物半導体は、低抵抗化される
。
【0079】
従って、酸化物半導体に選択的に金属元素、並びに、水素、および窒素などの不純物元
素を添加することで、酸化物半導体に高抵抗領域、および低抵抗領域を設けることができ
る。つまり、酸化物230を選択的に低抵抗化することで、島状に加工した酸化物230
に、キャリア密度が低い半導体として機能する領域と、ソース領域、またはドレイン領域
として機能する低抵抗化した領域を設けることができる。
【0080】
ここで、
図1(B)において一点鎖線で囲む、選択的に低抵抗化した酸化物230を含
む領域239の拡大図を
図2に示す。
【0081】
図2に示すように、酸化物230は、トランジスタ200のチャネル形成領域として機
能する領域234と、トランジスタ200のソース領域またはドレイン領域として機能す
る領域231(領域231a、および領域231b)と、を有する。
【0082】
ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231は、酸素濃度が低く、キャリ
ア濃度が高い、低抵抗化した領域である。また、チャネル形成領域として機能する領域2
34は、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域231よりも、酸素濃度が高
く、キャリア密度が低い高抵抗領域である。
【0083】
なお、領域231は、金属元素、並びに水素、および窒素などの不純物元素、の少なく
とも一の濃度が領域234よりも高いことが好ましい。
【0084】
例えば、領域231は、酸化物230が有する金属元素の他に、アルミニウム、ルテニ
ウム、チタン、タンタル、タングステン、クロムなどの金属元素の中から選ばれるいずれ
か一つまたは複数の金属元素を有することが好ましい。
【0085】
酸化物230を選択的に低抵抗化するには、例えば、アルミニウム、ルテニウム、チタ
ン、タンタル、タングステン、クロム、インジウムなどの導電性を高める金属元素、およ
び不純物の少なくとも一を、所望の領域に添加すればよい。なお、不純物としては、酸素
欠損を形成する元素、または酸素欠損に捕獲される元素などを用いればよい。例えば、当
該元素として、水素、ホウ素、炭素、窒素、フッ素、リン、硫黄、塩素、チタン、希ガス
等が挙げられる。また、希ガスの代表例としては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプ
トン、およびキセノン等がある。
【0086】
領域231を形成するために、例えば、酸化物230に接して、金属元素を有する膜を
設ければよい。なお、金属元素を有する膜として、金属膜、金属元素を有する酸化膜、ま
たは金属元素を有する窒化膜を用いることができる。その際、金属元素を有する膜と、酸
化物230との界面に、化合物層である層242が形成されていてもよい。なお、層24
2は、金属元素を有する膜の成分と、酸化物230の成分とを含む金属化合物を有する層
とする。例えば、層242として、酸化物230中の金属元素と、添加された金属元素と
が、合金化した層であってもよい。
【0087】
このように酸化物230に、金属元素が添加されることで、酸化物230中に、層24
2が形成され、領域231を低抵抗化することができる。なお、層242は、必ずしも、
酸化物230中に形成されていなくともよい。例えば、層242は、酸化物230の表面
、または金属元素を有する膜と、酸化物230と、の界面に形成されてもよい。
【0088】
従って、領域231は、層242を含む場合がある。つまり、本明細書では、ソース領
域またはドレイン領域として機能する領域が、領域231とする。
【0089】
また、
図1、および
図2では、領域234および領域231が、酸化物230bに形成
されているが、これに限られない。例えば、これらの領域は酸化物230a、および酸化
物230cにも、形成されていてもよい。また、
図1、および
図2では、各領域の境界を
、酸化物230の上面に対して略垂直に表示しているが、本実施の形態はこれに限られる
ものではない。例えば、領域231aと領域234の境界が、酸化物230bの下面近傍
では、
図1(B)におけるA1側に後退する形状になる場合があり、領域231bと領域
234の境界が酸化物230bの下面近傍では、
図1(B)におけるA2側に後退する形
状になる場合がある。
【0090】
また、酸化物230において、各領域の境界は明確に検出することが困難な場合がある
。各領域内で検出される金属元素、並びに水素、および窒素などの不純物元素の濃度は、
領域ごとの段階的な変化に限らず、各領域内でも連続的に変化(グラデーションともいう
)していてもよい。つまり、チャネル形成領域に近い領域であるほど、金属元素、並びに
水素、および窒素などの不純物元素の濃度が減少していればよい。
【0091】
なお、
図2において、酸化物230の低抵抗化した領域を、層242として示す。なお
、本明細書等において、層242の範囲については、
図2の範囲に限定されない。例えば
、酸化物230と導電体240との界面近傍の領域、または領域231における、酸化物
230の上面から酸化物230の下面までの領域に、上記低抵抗化した層242が形成さ
れる場合がある。なお、他の図面においても同様である。
【0092】
また、領域231と、金属膜、金属元素を有する窒化膜、または金属元素を有する酸化
膜とが、接した状態で、窒素を含む雰囲気下において熱処理を行うとよい。当該熱処理に
より、金属膜から、酸化物230の領域231へ、金属元素が拡散し、領域231に金属
元素を添加することができる。なお、その際、酸化物230の領域231と、金属元素と
が、合金化してもよい。酸化物230の領域231と金属元素が、合金化することで、酸
化物半導体に添加された金属元素は、比較的安定な状態となるため、信頼性の高い半導体
装置を提供することができる。
【0093】
また、酸化物230中の水素は、領域231に拡散し、領域231に存在する酸素欠損
の中に入った場合、比較的安定な状態となる。また、領域234に存在する酸素欠損中の
水素は、250℃以上の熱処理によって、酸素欠損から抜け出し、領域231に拡散し、
領域231に存在する酸素欠損の中に入り、比較的安定な状態となる。従って、熱処理に
よって、領域231は、より低抵抗化し、領域234は、高純度化(水、水素などの不純
物の低減)し、より高抵抗化する。
【0094】
ここで、金属膜、金属元素を有する酸化膜、または金属元素を有する窒化膜が、水素を
吸収する特性を有する場合、酸化物230中の水素は、当該膜へと吸収される。従って、
酸化物230中の不純物である水素を低減することができる。また、金属膜、金属元素を
有する酸化膜、または金属元素を有する窒化膜は、後の工程で、酸化物230から吸収し
た水素とともに除去してもよい。
【0095】
なお、金属膜、金属元素を有する酸化膜、または金属元素を有する窒化膜は、必ずしも
除去しなくともよい。例えば、金属膜、金属元素を有する酸化膜、または金属元素を有す
る窒化膜が、酸化物230から吸収した酸素により、酸化し、絶縁体となり、高抵抗化し
ている場合は、当該膜を残存させてもよい。その場合、当該膜は層間膜として機能する場
合がある。
【0096】
また、例えば、金属膜、金属元素を有する酸化膜、または金属元素を有する窒化膜に、
導電性を有する領域が残存している場合、熱処理を行うことにより、導電性を有する領域
を酸化させることで、当該膜は絶縁体となり、高抵抗化する。当該熱処理は、例えば、酸
化性雰囲気下で行うことが好ましい。また、金属膜、金属元素を有する酸化膜、または金
属元素を有する窒化膜の近傍に酸素を有する構造体がある場合、熱処理を行うことで、金
属膜、金属元素を有する酸化膜、または金属元素を有する窒化膜は、当該構造体が有する
酸素と反応し、酸化する場合がある。
【0097】
金属膜、金属元素を有する酸化膜、または金属元素を有する窒化膜を、絶縁体として残
存させることで、層間膜として機能させることができる。
【0098】
例えば、金属膜、金属元素を有する酸化膜、または金属元素を有する窒化膜は、0.5
nm以上5nm以下、好ましくは1nm以上2nm以下の膜厚で設けることが好ましい。
例えば、0.5nm以上5nm以下のアルミニウムを、加熱処理により酸化させると0.
7nm以上8nm以下の酸化アルミニウムとなる場合がある。なお、上記酸化性雰囲気下
で熱処理を行う場合には、酸化物230と、金属膜、金属元素を有する酸化膜、または金
属元素を有する窒化膜とが、接した状態で、窒素を含む雰囲気下において一度熱処理を行
ったあとに行うと好適である。窒素を含む雰囲気下において、一度熱処理を行うことで、
酸化物230中の酸素が金属膜、金属元素を有する酸化膜、または金属元素を有する窒化
膜に拡散しやすくなる。
【0099】
ここで、酸化物半導体を用いたトランジスタは、酸化物半導体中のチャネルが形成され
る領域に不純物及び酸素欠損が存在すると、電気特性が変動しやすく、信頼性が悪くなる
場合がある。また、酸化物半導体中のチャネルが形成される領域に酸素欠損が含まれてい
ると、トランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、チャネルが形成される
領域234中の酸素欠損はできる限り低減されていることが好ましい。
【0100】
絶縁体273としては、水または水素などの不純物、および酸素の透過を抑制する機能
を有する酸化物を用いるとよい。例えば、酸化アルミニウムまたは酸化ハフニウムなどを
用いることが好ましい。絶縁体273は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PL
D法またはALD法などを用いて行うことができる。絶縁体273としては、例えば、A
LD法を用いて、酸化物を成膜するとよい。酸化物をALD法を用いて成膜することによ
り、段差形状上に成膜する場合でも、欠陥の少ない被覆性の優れた緻密な薄膜を成膜する
ことができる。また、絶縁体224および絶縁体280は、絶縁体273よりも酸素を透
過しやすい。
【0101】
図1に示すように、絶縁体273は、絶縁体224上にあって、酸化物230の側面、
酸化物230の上面、絶縁体250の側面、導電体260の側面を覆うように配置されて
いる。また、絶縁体273は、絶縁体224を露出する開口を有し、絶縁体280は、該
開口を介して絶縁体224と接する。導電体260の上面は絶縁体282で覆われている
。絶縁体282としては、絶縁体273と同様に水または水素などの不純物、および酸素
の透過を抑制する機能を有する酸化物を用いるとよい。
【0102】
つまり、トランジスタ200は、酸素の透過を抑制する機能を有する酸化物である絶縁
体273および絶縁体282で覆われている。ここで、化学量論的組成を満たす酸素より
も多くの酸素を含む(過剰酸素ともいう)絶縁体280をトランジスタ200上に、絶縁
体273を介して配置することで、絶縁体280に含まれる過剰酸素は、絶縁体273が
有する開口を介して絶縁体224に拡散し、さらに絶縁体224を介して、チャネル形成
領域である、領域234に注入することができる。また、絶縁体282によって、過剰酸
素の上方への拡散を抑制することができる。また、絶縁体273によって、絶縁体280
に含まれる過剰酸素の導電体260への拡散を抑制することができるので、導電体260
の酸化を抑制することができる。その他の経路についても、絶縁体273によって、過剰
酸素の透過は抑制される。
【0103】
図1に示すような構成とすることで、絶縁体280が有する過剰酸素を効率よく領域2
34に注入することができるので、酸化物230の領域234における酸素欠損を低減す
ることができる。
【0104】
過剰酸素を含む絶縁体280は、絶縁体280の形成後に、絶縁体280に酸素を注入
する処理を行うことで形成することができる。酸素を注入する処理としては、例えば、酸
素を含むガスを用いて、スパッタリング法によって、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム
、酸化シリコン膜などを成膜すればよい。
【0105】
本実施の形態では、絶縁体280の形成後に、絶縁体282として、酸素を含むガスを
用いて、スパッタリング法によって、酸化アルミニウムを成膜する。該酸化アルミニウム
を、絶縁体280上に成膜することで酸素を絶縁体280中に注入することができる。
【0106】
その他の処理としては、酸素を含むガスを用いたプラズマ処理、イオン注入装置を用い
て酸素イオンを注入する処理などがある。例えば、高密度プラズマ源を有する装置を用い
て、酸素を含むガスによるプラズマを照射することによって、酸素を絶縁体280へ注入
することができる。または、イオン注入装置を用いて酸素イオンを絶縁体280へ注入す
ることができる。
【0107】
特に、イオン注入装置を用いたイオン注入は、イオン注入量、イオン注入の深さをそれ
ぞれ独立に制御することができるので好ましい。つまり、最適な注入量および最適な注入
深さで絶縁体280に酸素を注入する事ができるので、性能のバラツキの小さい高性能な
トランジスタを有する半導体装置の生産が可能となる。注入量および注入深さは、絶縁体
280の膜厚、トランジスタの大きさ、トランジスタの配置密度、トランジスタの配置に
よって、適宜、最適化することができる。
【0108】
上記構成、または上記工程を組み合わせることで、酸化物230を選択的に低抵抗化す
ることができる。
【0109】
酸化物230に低抵抗領域を形成する際に、ゲート電極として機能する導電体260を
マスクとすることで、自己整合的に酸化物230は低抵抗化する。そのため、複数のトラ
ンジスタ200を同時に形成する場合、トランジスタ間の電気特性バラつきを小さくする
ことができる。また、トランジスタ200のチャネル長は、導電体260の幅により決定
され、導電体260の幅を最小加工寸法とすることにより、トランジスタ200の微細化
が可能となる。
【0110】
以上より、各領域の範囲を適宜選択することにより、回路設計に合わせて、要求に見合
う電気特性を有するトランジスタを容易に提供することができる。
【0111】
また、酸化物半導体は、スパッタリング法などを用いて成膜できるため、高集積型の半
導体装置を構成するトランジスタに用いることができる。また、チャネル形成領域に酸化
物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流(オフ電流)が
小さいため、低消費電力の半導体装置を提供できる。
【0112】
以上より、オン電流が大きいトランジスタを有する半導体装置を提供することができる
。または、オフ電流が小さいトランジスタを有する半導体装置を提供することができる。
または、電気特性の変動を抑制し、安定した電気特性を有すると共に、信頼性を向上させ
た半導体装置を提供することができる。
【0113】
以下では、本発明の一態様に係るトランジスタ200を有する半導体装置の詳細な構成
について説明する。
【0114】
導電体203は、
図1(A)、および
図1(C)に示すように、チャネル幅方向に延伸
されており、導電体205に電位を印加する配線として機能する。なお、導電体203は
、絶縁体212に埋め込まれて設けることが好ましい。
【0115】
導電体205は、酸化物230、および導電体260と、重なるように配置する。また
、導電体205は、導電体203の上面に接して設けるとよい。また、導電体205は、
絶縁体214および絶縁体216に埋め込まれて設けることが好ましい。
【0116】
ここで、導電体260は、第1のゲート(トップゲートともいう)電極として機能する
場合がある。また、導電体205は、第2のゲート(ボトムゲートともいう)電極として
機能する場合がある。その場合、導電体205に印加する電位を、導電体260に印加す
る電位と、連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ200の閾値電圧を制
御することができる。特に、導電体205に負の電位を印加することにより、トランジス
タ200の閾値電圧を0Vより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したが
って、導電体205に負の電位を印加したほうが、印加しない場合よりも、導電体260
に印加する電位が0Vのときのドレイン電流を小さくすることができる。
【0117】
また、導電体203上に導電体205を設けることで、第1のゲート電極、および配線
としての機能を有する導電体260と、導電体203との距離を適宜設計することが可能
となる。つまり、導電体203と導電体260の間に絶縁体214および絶縁体216な
どが設けられることで、導電体203と導電体260の間の寄生容量を低減し、導電体2
03と導電体260の間の絶縁耐圧を高めることができる。
【0118】
また、導電体203と導電体260の間の寄生容量を低減することで、トランジスタ2
00のスイッチング速度を向上させ、高い周波数特性を有するトランジスタにすることが
できる。また、導電体203と導電体260の間の絶縁耐圧を高めることで、トランジス
タ200の信頼性を向上させることができる。よって、絶縁体214および絶縁体216
の膜厚を厚くすることが好ましい。なお、導電体203の延伸方向はこれに限られず、例
えば、トランジスタ200のチャネル長方向に延伸されてもよい。
【0119】
なお、導電体205は、
図1(A)に示すように、酸化物230、および導電体260
と重なるように配置する。また、導電体205は、酸化物230における領域234より
も、大きく設けるとよい。特に、
図1(C)に示すように、導電体205は、酸化物23
0の領域234のチャネル幅方向と交わる端部よりも外側の領域においても、延伸してい
ることが好ましい。
【0120】
上記構成を有することで、導電体260、および導電体205に電位を印加した場合、
導電体260から生じる電界と、導電体205から生じる電界とがつながり、酸化物23
0に形成されるチャネル形成領域を電気的に取り囲むことができる。
【0121】
つまり、第1のゲート電極としての機能を有する導電体260の電界と、第2のゲート
電極としての機能を有する導電体205の電界によって、領域234のチャネル形成領域
を電気的に取り囲むことができる。本明細書において、第1のゲート電極、および第2の
ゲート電極の電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構造を
、surrounded channel(S-channel)構造とよぶ。
【0122】
また、導電体205では、絶縁体214および絶縁体216の開口の内壁に接して第1
の導電体が形成され、さらに内側に第2の導電体が形成されている。ここで、第1の導電
体および第2の導電体の上面の高さと、絶縁体216の上面の高さは同程度にできる。な
お、トランジスタ200では、第1の導電体および第2の導電体を積層する構成について
示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、導電体205は、単層、
または3層以上の積層構造としてもよい。
【0123】
ここで、導電体205、または導電体203の第1の導電体は、水素原子、水素分子、
水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子など
の不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい)導電性材料を用い
ることが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の
拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)導電性材料を用いることが好ま
しい。なお、本明細書において、不純物、または酸素の拡散を抑制する機能とは、上記不
純物、または上記酸素のいずれか一または、すべての拡散を抑制する機能とする。
【0124】
導電体205、または導電体203の第1の導電体が酸素の拡散を抑制する機能を持つ
ことにより、導電体205、または導電体203の第2の導電体が酸化して導電率が低下
することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料として
は、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウムまたは酸化ルテニウムなどを用いるこ
とが好ましい。したがって、導電体205、または導電体203の第1の導電体としては
、上記導電性材料を単層または積層で用いればよい。これにより、水素、水などの不純物
が、導電体203、および導電体205を通じて、トランジスタ200側に拡散するのを
抑制することができる。
【0125】
また、導電体205の第2の導電体は、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成
分とする導電性材料を用いることが好ましい。なお、導電体205の第2の導電体を単層
で図示したが、積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料と
の積層としてもよい。
【0126】
また、導電体203の第2の導電体は、配線として機能するため、導電体205の第2
の導電体より導電性が高い導電体を用いることが好ましい。例えば、銅、またはアルミニ
ウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電体203の第2の導電
体は積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層とし
てもよい。
【0127】
特に、導電体203の第2の導電体に、銅を用いることが好ましい。銅は抵抗が小さい
ため、配線等に用いることが好ましい。一方、銅は拡散しやすいため、酸化物230に拡
散することで、トランジスタ200の電気特性を低下させる場合がある。そこで、例えば
、絶縁体214には、銅の透過性が低い酸化アルミニウム、または酸化ハフニウムなどの
材料を用いることで、銅の拡散を抑えることができる。
【0128】
なお、導電体205、絶縁体214、および絶縁体216は必ずしも設けなくともよい
。その場合、導電体203の一部が第2のゲート電極として機能することができる。
【0129】
絶縁体210および絶縁体214は、水または水素などの不純物が、基板側からトラン
ジスタ200に混入するのを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。した
がって、絶縁体210および絶縁体214は、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、
窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑
制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好ましい。
または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能
を有する(上記酸素が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好ましい。
【0130】
例えば、絶縁体210として酸化アルミニウムなどを用い、絶縁体214として窒化シ
リコンなどを用いることが好ましい。これにより、水素、水などの不純物が絶縁体210
および絶縁体214を介して基板側からトランジスタ200側に拡散するのを抑制するこ
とができる。または、絶縁体224などに含まれる酸素が、絶縁体210および絶縁体2
14を介して基板側に、拡散するのを抑制することができる。
【0131】
また、導電体203の上に導電体205を積層して設ける構成にすることにより、導電
体203と導電体205の間に絶縁体214を設けることができる。ここで、導電体20
3の第2の導電体に銅など拡散しやすい金属を用いても、絶縁体214として窒化シリコ
ンなどを設けることにより、当該金属が絶縁体214より上の層に拡散するのを抑制する
ことができる。
【0132】
また、層間膜として機能する絶縁体212、絶縁体216、および絶縁体280は、絶
縁体210、または絶縁体214よりも比誘電率が低いことが好ましい。比誘電率が低い
材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
【0133】
例えば、絶縁体212、絶縁体216、および絶縁体280として、酸化シリコン、酸
化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル
、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(Sr
TiO3)または(Ba,Sr)TiO3(BST)などの絶縁体を単層または積層で用
いることができる。またはこれらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス
、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化
イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。またはこれらの絶縁体を窒化処理し
てもよい。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化シリコンを積層し
て用いてもよい。
【0134】
絶縁体220、絶縁体222、および絶縁体224は、ゲート絶縁体としての機能を有
する。
【0135】
ここで、酸化物230と接する絶縁体224には、化学量論的組成を満たす酸素よりも
多くの酸素を含む酸化物絶縁体を用いることが好ましい。つまり、絶縁体224には、過
剰酸素領域が形成されていることが好ましい。このような過剰酸素を含む絶縁体を酸化物
230に接して設けることにより、酸化物230中の酸素欠損を低減し、トランジスタ2
00の信頼性を向上させることができる。
【0136】
過剰酸素領域を有する絶縁体として、具体的には、加熱により一部の酸素が脱離する酸
化物材料を用いることが好ましい。加熱により酸素を脱離する酸化物とは、昇温脱離ガス
分析(TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)分
析)にて、酸素原子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018atoms/cm3以
上、好ましくは1.0×1019atoms/cm3以上、さらに好ましくは2.0×1
019atoms/cm3以上、または3.0×1020atoms/cm3以上である
酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上7
00℃以下、または100℃以上400℃以下の範囲が好ましい。
【0137】
また、絶縁体224が、過剰酸素領域を有する場合、絶縁体222は、酸素(例えば、
酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透
過しにくい)ことが好ましい。
【0138】
絶縁体222が、酸素の拡散を抑制する機能を有することで、絶縁体224が有する過
剰酸素領域の酸素は、絶縁体220側へ拡散することなく、効率よく酸化物230へ供給
することができる。また、導電体205が、絶縁体224が有する過剰酸素領域の酸素と
反応することを抑制することができる。
【0139】
絶縁体222は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジ
ルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3
)または(Ba,Sr)TiO3(BST)などのいわゆるhigh-k材料を含む絶縁
体を単層または積層で用いることが好ましい。トランジスタの微細化、および高集積化が
進むと、ゲート絶縁体の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲー
ト絶縁体として機能する絶縁体にhigh-k材料を用いることで、物理膜厚を保ちなが
ら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減が可能となる。
【0140】
特に、不純物、および酸素などの拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにく
い)絶縁性材料であるアルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶
縁体を用いるとよい。アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶
縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む
酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。このような材料を用い
て絶縁体222を形成した場合、絶縁体222は、酸化物230からの酸素の放出や、ト
ランジスタ200の周辺部から酸化物230への水素等の不純物の混入を抑制する層とし
て機能する。
【0141】
または、これらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニ
ウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、
酸化ジルコニウムを添加してもよい。またはこれらの絶縁体を窒化処理してもよい。上記
の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコンまたは窒化シリコンを積層して用いてもよい
。
【0142】
また、絶縁体220は、熱的に安定していることが好ましい。例えば、酸化シリコンお
よび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、好適である。また、high-k材料
の絶縁体を酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンと組み合わせることで、熱的に安定かつ
比誘電率の高い積層構造の絶縁体220を得ることができる。
【0143】
なお、絶縁体220、絶縁体222、および絶縁体224が、2層以上の積層構造を有
していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構造に限定されず、異なる材料からな
る積層構造でもよい。
【0144】
酸化物230は、酸化物230aと、酸化物230a上の酸化物230bと、酸化物2
30b上の酸化物230cと、を有する。酸化物230b下に酸化物230aを有するこ
とで、酸化物230aよりも下方に形成された構造物から、酸化物230bへの不純物の
拡散を抑制することができる。また、酸化物230b上に酸化物230cを有することで
、酸化物230cよりも上方に形成された構造物から、酸化物230bへの不純物の拡散
を抑制することができる。
【0145】
なお、酸化物230は、各金属原子の原子数比が異なる酸化物による、積層構造を有す
ることが好ましい。具体的には、酸化物230aに用いる金属酸化物において、構成元素
中の元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、構成元素中の元
素Mの原子数比より、大きいことが好ましい。また、酸化物230aに用いる金属酸化物
において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物におけ
る、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物230bに
用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物230aに用いる
金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。また、
酸化物230cは、酸化物230aまたは酸化物230bに用いることができる金属酸化
物を、用いることができる。
【0146】
また、酸化物230aおよび酸化物230cの伝導帯下端のエネルギーが、酸化物23
0bの伝導帯下端のエネルギーより高くなることが好ましい。言い換えると、酸化物23
0aおよび酸化物230cの電子親和力が、酸化物230bの電子親和力より小さいこと
が好ましい。
【0147】
ここで、酸化物230a、酸化物230b、および酸化物230cの接合部において、
伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、酸化物230a、酸化
物230b、および酸化物230cの接合部における伝導帯下端のエネルギー準位は、連
続的に変化または連続接合するともいうことができる。このようにするためには、酸化物
230aと酸化物230bとの界面、および酸化物230bと酸化物230cとの界面に
おいて形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
【0148】
具体的には、酸化物230aと酸化物230bまたは酸化物230bと酸化物230c
が、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする)ことで、欠陥準位密度が低い混合層
を形成することができる。例えば、酸化物230bがIn-Ga-Zn酸化物の場合、酸
化物230aおよび酸化物230cとして、In-Ga-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物
、酸化ガリウムなどを用いるとよい。
【0149】
このとき、キャリアの主たる経路は酸化物230bとなる。酸化物230a、酸化物2
30cを上述の構成とすることで、酸化物230aと酸化物230bとの界面、および酸
化物230bと酸化物230cとの界面における欠陥準位密度を低くすることができる。
そのため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さくなり、トランジスタ200は高
いオン電流を得られる。
【0150】
電子親和力または伝導帯下端のエネルギー準位Ecは、
図32に示すように、真空準位
Evacと価電子帯上端のエネルギーEvとの差であるイオン化ポテンシャルIpと、バ
ンドギャップEgから求めることができる。イオン化ポテンシャルIpは、例えば、紫外
線光電子分光分析(UPS:Ultraviolet Photoelectron S
pectroscopy)装置を用いて測定することができる。エネルギーギャップEg
は、例えば、分光エリプソメータを用いて測定することができる。
【0151】
また、酸化物230は、領域231および領域234を有する。なお、トランジスタ2
00をオンさせると、領域231a、または領域231bは、ソース領域、またはドレイ
ン領域として機能する。一方、領域234の少なくとも一部は、チャネルが形成される領
域として機能する。
【0152】
トランジスタ200において、ソース領域およびドレイン領域として機能する領域23
1と、チャネルが形成される領域234との間に領域231よりも高抵抗な領域が形成さ
れないため、トランジスタのオン電流、および移動度を大きくすることができる。ソース
領域およびドレイン領域と、第1のゲート電極(導電体260)とが重ならないため、両
者の間で不要な容量が形成されることを抑制できる。
【0153】
酸化物230は、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともい
う)を用いることが好ましい。例えば、領域234となる金属酸化物としては、バンドギ
ャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上のものを用いることが好ましい。このよ
うに、バンドギャップの大きい金属酸化物を用いることで、トランジスタのオフ電流を低
減することができる。
【0154】
酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流が小さい
ため、低消費電力の半導体装置を提供できる。また、酸化物半導体は、スパッタリング法
などを用いて成膜できるため、高集積型の半導体装置を構成するトランジスタに用いるこ
とができる。
【0155】
絶縁体250は、ゲート絶縁体として機能する。絶縁体250は、酸化物230cの上
面に接して配置することが好ましい。絶縁体250は、加熱により酸素が放出される絶縁
体を用いて形成することが好ましい。絶縁体250は、例えば、TDS分析にて、酸素分
子に換算しての酸素の脱離量が1.0×1018molecules/cm3以上、好ま
しくは1.0×1019molecules/cm3以上、さらに好ましくは2.0×1
019molecules/cm3以上、または3.0×1020molecules/
cm3以上である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度として
は100℃以上700℃以下の範囲が好ましい。
【0156】
具体的には、過剰酸素を有する酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、
窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素およ
び窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンを用いることができる。特に
、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンは熱に対し安定であるため好ましい。
【0157】
加熱により酸素が放出される絶縁体を、絶縁体250として、酸化物230cの上面に
接して設けることにより、絶縁体250から、酸化物230bの領域234に効果的に酸
素を供給することができる。また、絶縁体224と同様に、絶縁体250中の水または水
素などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁体250の膜厚は、1nm以
上20nm以下とするのが好ましい。
【0158】
また、絶縁体250が有する過剰酸素を、効率的に酸化物230へ供給するために、金
属酸化物を絶縁体250上に設けてもよい。その場合、金属酸化物は、絶縁体250から
の酸素拡散を抑制することが好ましい。酸素の拡散を抑制する金属酸化物を設けることで
、絶縁体250から導電体260への過剰酸素の拡散が抑制される。つまり、酸化物23
0へ供給する過剰酸素量の減少を抑制することができる。また、過剰酸素による導電体2
60の酸化を抑制することができる。
【0159】
なお、金属酸化物は、ゲート絶縁体の一部としての機能を有する場合がある。したがっ
て、絶縁体250に酸化シリコンや酸化窒化シリコンなどを用いる場合、金属酸化物は、
比誘電率が高いhigh-k材料である金属酸化物を用いることが好ましい。当該積層構
造とすることで、熱に対して安定、かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。し
たがって、物理膜厚を保持したまま、トランジスタ動作時に印加するゲート電位の低減が
可能となる。また、ゲート絶縁体として機能する絶縁体の等価酸化膜厚(EOT)の薄膜
化が可能となる。
【0160】
また、金属酸化物は、第1のゲート電極の一部としての機能を有してもよい。例えば、
酸化物230として用いることができる酸化物半導体を、金属酸化物として用いることが
できる。その場合、導電体260をスパッタリング法で成膜することで、該金属酸化物の
電気抵抗値を低下させて導電体とすることができる。これをOC(Oxide Cond
uctor)電極と呼ぶことができる。該金属酸化物を有することで、導電体260から
の電界の影響を弱めることなく、トランジスタ200のオン電流の向上を図ることができ
る。
【0161】
また、絶縁体250と、金属酸化物との物理的な厚みにより、導電体260と、酸化物
230との間の距離を保つことで、導電体260と酸化物230との間のリーク電流を抑
制することができる。また、絶縁体250、および金属酸化物との積層構造を設けること
で、導電体260と酸化物230との間の物理的な距離、および導電体260から酸化物
230へかかる電界強度を、容易に適宜調整することができる。
【0162】
具体的には、金属酸化物として、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム
、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、または、
マグネシウムなどから選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物を用いること
ができる。また、酸化物230に用いることができる酸化物半導体を低抵抗化することで
、金属酸化物として用いることができる。
【0163】
特に、アルミニウム、またはハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体である
、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハ
フニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。特に、ハフニウムアルミネートは
、酸化ハフニウム膜よりも、耐熱性が高い。そのため、後の工程での熱処理において、結
晶化しにくいため好ましい。
【0164】
第1のゲート電極として機能する導電体260は、導電体260a、および導電体26
0a上の導電体260bを有する。導電体260aは、導電体205の第1の導電体と同
様に、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO
、NO2など)、銅原子などの不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いる
ことが好ましい。または、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子などの少なくとも一)の拡
散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
【0165】
導電体260aが酸素の拡散を抑制する機能を持つことにより、絶縁体250、および
金属酸化物が有する過剰酸素により、導電体260bが酸化して導電率が低下することを
抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば
、タンタル、窒化タンタル、ルテニウムまたは酸化ルテニウムなどを用いることが好まし
い。
【0166】
また、導電体260bは、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電
性材料を用いることが好ましい。また、導電体260は、配線として機能するため、導電
性が高い導電体を用いることが好ましい。例えば、タングステン、銅、またはアルミニウ
ムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電体260bは積層構造と
してもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との積層としてもよい。
【0167】
また、
図1(C)に示すように、導電体205が、酸化物230の領域234のチャネ
ル幅方向と交わる端部よりも外側の領域において、延伸している場合、導電体260は、
当該領域において、絶縁体250を介して、導電体205と重畳していることが好ましい
。つまり、酸化物230の側面の外側において、導電体205と、絶縁体250と、導電
体260とは、積層構造を形成することが好ましい。
【0168】
上記構成を有することで、導電体260、および導電体205に電位を印加した場合、
導電体260から生じる電界と、導電体205から生じる電界と、がつながり、酸化物2
30に形成されるチャネル形成領域を電気的に取り囲むことができる。
【0169】
つまり、第1のゲート電極としての機能を有する導電体260の電界と、第2のゲート
電極としての機能を有する導電体205の電界によって、領域234のチャネル形成領域
を電気的に取り囲むことができる。
【0170】
また、酸化物230、絶縁体273を覆って、層間膜として機能する絶縁体280を設
けることが好ましい。絶縁体280は、絶縁体224などと同様に、膜中の水または水素
などの不純物濃度が低減されていることが好ましい。また、上述のように絶縁体280は
過剰酸素を有することが好ましい。なお、絶縁体280の上に絶縁体210と同様の絶縁
体282を設けても良い。絶縁体282をスパッタリング法で成膜することで、絶縁体2
80の不純物を低減することができる。また、絶縁体282上に絶縁体280と同様の絶
縁体283を設けてもよい。
【0171】
また、絶縁体283、絶縁体282、絶縁体280および絶縁体273に形成された開
口に、導電体240aおよび導電体240bを配置する。導電体240aおよび導電体2
40bは、導電体260を挟んで対向して設ける。なお、導電体240aおよび導電体2
40bの上面の高さは、絶縁体283の上面と、同一平面上としてもよい。
【0172】
導電体240aは、トランジスタ200のソース領域およびドレイン領域の一方として
機能する領域231aと接しており、導電体240bはトランジスタ200のソース領域
およびドレイン領域の他方として機能する領域231bと接している。よって、導電体2
40aはソース電極およびドレイン電極の一方として機能でき、導電体240bはソース
電極およびドレイン電極の他方として機能できる。
【0173】
なお、絶縁体283、絶縁体282、絶縁体280および絶縁体273の開口の内壁に
接して導電体240aが形成されている。当該開口の底部の少なくとも一部には酸化物2
30の領域231aが位置しており、導電体240aが領域231aと接する。同様に、
絶縁体280および絶縁体273の開口の内壁に接して導電体240bが形成されている
。当該開口の底部の少なくとも一部には酸化物230の領域231bが位置しており、導
電体240bが領域231bと接する。
【0174】
また、
図3は、
図1(A)にA5-A6の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トラン
ジスタ200のチャネル幅方向の導電体240aと、酸化物230と、が接する領域の断
面図である。なお、導電体240bと酸化物230と、が接する領域についても同様の構
成である。
【0175】
図3(A)に示すように、導電体240aは、少なくとも酸化物230の上面と接し、
さらに酸化物230の側面と接することが好ましい。特に、導電体240aは、酸化物2
30のチャネル幅方向と交わる側面において、A5側の側面、およびA6側の側面の双方
または一方と接することが好ましい。つまり、導電体240aと、酸化物230とが接す
る領域が鞍のような断面形状を有する(鞍面コンタクトと呼ぶことができる)。また、導
電体240aが、酸化物230のチャネル長方向と交わる側面において、A1側の側面と
接する構成にしてもよい。なお、導電体240aと、酸化物230と、が接する領域は、
図3(A)の一例に限らず、例えば、
図3(B)に示すように、導電体240aが酸化物
230の上面および酸化物230のA5側の側面と接する領域を有していてもよい。また
、導電体240aが、酸化物230のチャネル長方向と交わる側面において、A1側の側
面と接する構成にしてもよい。また、
図3(C)に示すように、導電体240aが、酸化
物230のA6側の側面と接する領域を有してもよい。このような構成とすることで、導
電体240aと、酸化物230と、が接する領域の面積を大きくすることができるので、
導電体240aと、酸化物230と、のコンタクト抵抗を低くすることができて好ましい
。これにより、トランジスタのソース電極およびドレイン電極の微細化を図りつつ、オン
電流を大きくすることができる。導電体240aは、タングステン、銅、またはアルミニ
ウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体240aは積層構
造としてもよい。
【0176】
ここで、例えば、絶縁体283、絶縁体282、絶縁体280および絶縁体273に開
口を形成する際に、酸化物230において、領域231の低抵抗化した領域である層24
2が除去されてもよい。その場合、導電体240に用いる導電体として、金属膜、金属元
素を有する窒化膜、または金属元素を有する酸化膜を用いるとよい。つまり、酸化物23
0と導電体240とが接することで、酸化物230中に、新たな低抵抗化した領域が形成
される。当該低抵抗化した領域が形成されることで、酸化物230と導電体240とのコ
ンタクト抵抗を低減することができる。導電体240は、例えば、アルミニウム、ルテニ
ウム、チタン、タンタル、タングステン、などの金属元素を含むことが好ましい。
【0177】
また、導電体240を積層構造とする場合、絶縁体283、絶縁体282、絶縁体28
0および絶縁体273と接する導電体には、導電体205の第1の導電体などと同様に、
水または水素などの不純物の透過を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ま
しい。例えば、タンタル、窒化タンタル、チタン、窒化チタン、ルテニウムまたは酸化ル
テニウムなどを用いることが好ましい。また、水または水素などの不純物の透過を抑制す
る機能を有する導電性材料は、単層または積層で用いてもよい。当該導電性材料を用いる
ことで、絶縁体283より上層から水素、水などの不純物が、導電体240aおよび導電
体240bを通じて酸化物230に混入するのを抑制することができる。
【0178】
また、図示しないが、導電体240aの上面、および導電体240bの上面に接して配
線として機能する導電体を配置してもよい。配線として機能する導電体は、タングステン
、銅、またはアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、当
該導電体は、積層構造としてもよく、例えば、チタン、窒化チタンと上記導電性材料との
積層としてもよい。なお、当該導電体は、導電体203などと同様に、絶縁体に設けられ
た開口に埋め込むように形成してもよい。
【0179】
<半導体装置の構成例2>
図4は、本発明の一態様に係るトランジスタ200a、およびトランジスタ200a周
辺の上面図および断面図である。
【0180】
図4(A)は、トランジスタ200aを有する半導体装置の上面図である。また、
図4
(B)、および
図4(C)は当該半導体装置の断面図である。ここで、
図4(B)は、図
4(A)にA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200aのチ
ャネル長方向の断面図でもある。また、
図4(C)は、
図4(A)にA3-A4の一点鎖
線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200aのチャネル幅方向の断面図でもある
。なお、
図4(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いている。
【0181】
本発明の一態様の半導体装置は、トランジスタ200aと、層間膜として機能する絶縁
体210、絶縁体212、絶縁体280、絶縁体282および絶縁体283を有する。ま
た、トランジスタ200aと電気的に接続し、配線として機能する導電体203、および
プラグとして機能する導電体240とを有する。
【0182】
なお、導電体203は、絶縁体212に埋め込まれるように形成される。ここで、導電
体203の上面の高さと、絶縁体212の上面の高さは同程度にできる。なお導電体20
3は、単層とする構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例
えば、導電体203を2層以上の積層構造としてもよい。また、構造体が積層構造を有す
る場合、形成順に序数を付与し、区別する場合がある。
【0183】
また、導電体240は、絶縁体273、絶縁体280絶縁体282および絶縁体283
の開口の内壁に接して形成されている。ここで、導電体240の上面の高さと、絶縁体2
83の上面の高さは同程度にできる。なお、トランジスタ200aでは、導電体240が
単層である構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、
導電体240は、2層以上の積層構造でもよい。また、導電体260の上面の高さと、絶
縁体280の上面の高さは、略一致する。
【0184】
[トランジスタ200a]
図4に示すように、トランジスタ200aは、基板(図示せず)の上に配置された絶縁
体214および絶縁体216と、絶縁体214および絶縁体216に埋め込まれるように
配置された導電体205と、絶縁体216と導電体205の上に配置された絶縁体220
と、絶縁体220の上に配置された絶縁体222と、絶縁体222の上に配置された絶縁
体224と、絶縁体224の上に配置された酸化物230(酸化物230a、酸化物23
0b、および酸化物230c)と、酸化物230の上に配置された絶縁体250と、絶縁
体250上に配置された導電体260(導電体260a、および導電体260b)と、導
電体260上の絶縁体270と、絶縁体224の上面、酸化物230aの側面、酸化物2
30bの側面、酸化物230bの上面、酸化物230cの側面、絶縁体250の側面、導
電体260の側面および絶縁体270の側面に接して配置された絶縁体273と、絶縁体
273を介して、導電体260の側面に配置された絶縁体275と、を有する。また、絶
縁体273は、絶縁体224を露出する開口を有し、絶縁体280は、該開口を介して絶
縁体224と接する。導電体260は、導電体260aおよび導電体260bを有し、導
電体260bの底面および側面を包むように導電体260aが配置される。ここで、
図4
(B)に示すように、絶縁体270の上面は、絶縁体273の上面および絶縁体275の
上面と略一致する。
【0185】
トランジスタ200aは、絶縁体270および絶縁体275を有するところが、前述の
トランジスタ200と異なる。
【0186】
絶縁体270および絶縁体275としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化シリコン
、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコンおよび窒化シリコンを用いることができる。
【0187】
また、絶縁体283、絶縁体282、絶縁体280および絶縁体273の開口は、絶縁
体275の側面が露出するように形成する。このように形成するには、絶縁体282およ
び絶縁体280の開口形成時に絶縁体275のエッチング速度が、絶縁体280のエッチ
ング速度に比べて著しく小さい開口条件とすることが好ましい。絶縁体275のエッチン
グ速度を1とすると、絶縁体280のエッチング速度は好ましくは5以上であり、より好
ましくは10以上である。このようにすることで、自己整合的に開口を形成することがで
き、開口とゲート電極との位置合わせのマージンが広くなり、開口とゲート電極との間隔
を小さく設計することができるので、半導体装置の高集積化が可能となる。また、本発明
の一態様であるトランジスタ200aの構成では、例えば、開口形成時に、開口が絶縁体
270の上面と重なる位置にずれた場合でも、導電体260と、導電体240aまたは導
電体240bとが、電気的に短絡することを防ぐことができる。即ち、開口形成時に絶縁
体275と同様に、絶縁体270のエッチング速度が、絶縁体280のエッチング速度に
比べて著しく小さい開口条件とすればよい。従って、絶縁体270としては、絶縁体27
5と同様の材料を用いることができる。
【0188】
ここで、絶縁体283、絶縁体282、絶縁体280および絶縁体273に形成された
開口に、導電体240aおよび導電体240bを配置する。導電体240aおよび導電体
240bは、導電体260を挟んで対向して設ける。なお、導電体240aおよび導電体
240bの上面の高さは、絶縁体283の上面と、同一平面上としてもよい。
【0189】
導電体240aは、トランジスタ200aのソース領域およびドレイン領域の一方とし
て機能する領域231aと接しており、導電体240bはトランジスタ200aのソース
領域およびドレイン領域の他方として機能する領域231bと接している。よって、導電
体240aはソース電極およびドレイン電極の一方として機能でき、導電体240bはソ
ース電極およびドレイン電極の他方として機能できる。
【0190】
なお、絶縁体283、絶縁体282、絶縁体280および絶縁体273の開口の内壁に
接して導電体240aが形成されている。当該開口の底部の少なくとも一部には酸化物2
30の領域231aが位置しており、導電体240aが領域231aと接する。同様に、
絶縁体283、絶縁体282、絶縁体280および絶縁体273の開口の内壁に接して導
電体240bが形成されている。当該開口の底部の少なくとも一部には酸化物230の領
域231bが位置しており、導電体240bが領域231bと接する。
【0191】
また、
図4(B)に示すように、トランジスタ200aは、導電体260と、導電体2
40aと、の間に寄生容量が形成される。同様に、導電体260と、導電体240bと、
の間に寄生容量が形成される。当該寄生容量は、導電体260と、導電体240a(導電
体240b)と、の間に配置される絶縁体のチャネル長方向の膜厚を大きくすることで低
減される。
【0192】
従って、トランジスタ200aに絶縁体273に加えて絶縁体275を設けることで、
寄生容量を低減することができる。絶縁体275のチャネル長方向の膜厚と絶縁体273
のチャネル長方向の膜厚との合計値が、酸化シリコン膜に換算した膜厚(EOT:Equ
ivalent Oxide Thickness)として、10nm以上50nm以下
、好ましくは15nm以上30nmとする。また、絶縁体275としては、例えば、酸化
アルミニウム、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコンおよび窒化シリコン
を用いることができる。寄生容量を低減することで、トランジスタ200aを高速に動作
することができる。その他の構成、効果などについては、トランジスタ200の説明を参
酌することができる。
【0193】
<半導体装置の構成材料>
以下では、半導体装置に用いることができる構成材料について説明する。
【0194】
<基板>
トランジスタ200およびトランジスタ200aを形成する基板としては、例えば、絶
縁体基板、半導体基板または導電体基板を用いればよい。絶縁体基板としては、例えば、
ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコニア基板(イットリア安定化ジル
コニア基板など)、樹脂基板などがある。また、半導体基板としては、例えば、シリコン
、ゲルマニウムなどの半導体基板、または炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガ
リウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムからなる化合物半導体基板などがあ
る。さらには、前述の半導体基板内部に絶縁体領域を有する半導体基板、例えばSOI(
Silicon On Insulator)基板などがある。導電体基板としては、黒
鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板などがある。または、金属の窒化物を有す
る基板、金属の酸化物を有する基板などがある。さらには、絶縁体基板に導電体または半
導体が設けられた基板、半導体基板に導電体または絶縁体が設けられた基板、導電体基板
に半導体または絶縁体が設けられた基板などがある。または、これらの基板に素子が設け
られたものを用いてもよい。基板に設けられる素子としては、容量素子、抵抗素子、スイ
ッチ素子、発光素子、記憶素子などがある。
【0195】
また、基板として、可撓性基板を用いてもよい。なお、可撓性基板上にトランジスタを
設ける方法としては、非可撓性の基板上にトランジスタを作製した後、トランジスタを剥
離し、可撓性基板である基板に転置する方法もある。その場合には、非可撓性基板とトラ
ンジスタとの間に剥離層を設けるとよい。また、基板が伸縮性を有してもよい。また、基
板は、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有してもよい。または、
基板は、元の形状に戻らない性質を有してもよい。基板は、例えば、5μm以上700μ
m以下、好ましくは10μm以上500μm以下、さらに好ましくは15μm以上300
μm以下の厚さとなる領域を有する。基板を薄くすると、トランジスタを有する半導体装
置を軽量化することができる。また、基板を薄くすることで、ガラスなどを用いた場合に
も伸縮性を有する場合や、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有す
る場合がある。そのため、落下などによって基板上の半導体装置に加わる衝撃などを緩和
することができる。すなわち、丈夫な半導体装置を提供することができる。
【0196】
可撓性基板である基板としては、例えば、金属、合金、樹脂もしくはガラス、またはそ
れらの繊維などを用いることができる。また、基板として、繊維を編みこんだシート、フ
ィルムまたは箔などを用いてもよい。可撓性基板である基板は、線膨張率が低いほど環境
による変形が抑制されて好ましい。可撓性基板である基板としては、例えば、線膨張率が
1×10-3/K以下、5×10-5/K以下、または1×10-5/K以下である材質
を用いればよい。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(
ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネート、アクリルなどがある。特に
、アラミドは、線膨張率が低いため、可撓性基板である基板として好適である。
【0197】
<絶縁体>
絶縁体としては、絶縁性を有する酸化物、窒化物、酸化窒化物、窒化酸化物、金属酸化
物、金属酸化窒化物、金属窒化酸化物などがある。
【0198】
例えば、トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化によ
り、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体に、
high-k材料を用いることで物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時の低電圧化
が可能となる。一方、層間膜として機能する絶縁体には、比誘電率が低い材料を用いるこ
とで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。したがって、絶縁体の機能に応
じて、材料を選択するとよい。
【0199】
また、比誘電率の高い絶縁体としては、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニ
ウム、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化物、アルミニウムおよびハフニウムを
有する酸化窒化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化物、シリコンおよびハフニウ
ムを有する酸化窒化物またはシリコンおよびハフニウムを有する窒化物などがある。
【0200】
また、比誘電率が低い絶縁体としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シ
リコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、
炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンまたは樹脂などがあ
る。
【0201】
また、特に、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定である。そのため、
例えば、樹脂と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の低い積層構造とすること
ができる。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロ
ン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネートまたはアクリルなどがある。また、
例えば、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンは、比誘電率の高い絶縁体と組み合わせ
ることで、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。
【0202】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、水素などの不純物および酸素の透過を抑
制する機能を有する絶縁体で囲うことによって、トランジスタの電気特性を安定にするこ
とができる。
【0203】
水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体としては、例えば、
ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩
素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオ
ジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。
具体的には、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体として、
酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリ
ウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タン
タルなどの金属酸化物、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどを用いることができる
。
【0204】
特に、酸化アルミニウムはバリア性が高く、0.5nm以上3.0nm以下の薄膜であ
っても、水素、および窒素の拡散を抑制することができる。また、酸化ハフニウムは、酸
化アルミニウムよりもバリア性が低いが、膜厚を厚くすることによりバリア性を高めるこ
とができる。したがって、酸化ハフニウムの膜厚を調整することで、水素、および窒素の
適切な添加量を調整することができる。
【0205】
例えば、ゲート絶縁体の一部として機能する絶縁体224および絶縁体250は、過剰
酸素領域を有する絶縁体であることが好ましい。例えば、過剰酸素領域を有する酸化シリ
コンまたは酸化窒化シリコンを酸化物230と接する構造とすることで、酸化物230が
有する酸素欠損を補償することができる。
【0206】
また、例えば、ゲート絶縁体の一部として機能する絶縁体222において、アルミニウ
ム、ハフニウム、およびガリウムの一種または複数種の酸化物を含む絶縁体を用いること
ができる。特に、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体
として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化
物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。
【0207】
例えば、絶縁体220には、熱に対して安定である酸化シリコンまたは酸化窒化シリコ
ンを用いることが好ましい。ゲート絶縁体を、熱に対して安定な膜と、比誘電率が高い膜
との積層構造とすることで、物理膜厚を保持したまま、ゲート絶縁体の等価酸化膜厚(E
OT)の薄膜化が可能となる。
【0208】
上記積層構造とすることで、ゲート電極からの電界の影響を弱めることなく、オン電流
の向上を図ることができる。また、ゲート絶縁体の物理的な厚みにより、ゲート電極と、
チャネルが形成される領域との間の距離を保つことで、ゲート電極とチャネル形成領域と
の間のリーク電流を抑制することができる。
【0209】
絶縁体212、絶縁体216、絶縁体270、絶縁体275、絶縁体280および絶縁
体283は、比誘電率の低い絶縁体を有することが好ましい。例えば、絶縁体212、絶
縁体216、絶縁体270、絶縁体275、絶縁体280および絶縁体283は、酸化シ
リコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シ
リコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を
有する酸化シリコンまたは樹脂などを有することが好ましい。または、絶縁体212、絶
縁体216、絶縁体270、絶縁体275、絶縁体280および絶縁体283は、酸化シ
リコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シ
リコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコンまたは空
孔を有する酸化シリコンと、樹脂と、の積層構造を有することが好ましい。酸化シリコン
および酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、樹脂と組み合わせることで、熱的に
安定かつ比誘電率の低い積層構造とすることができる。樹脂としては、例えば、ポリエス
テル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカー
ボネートまたはアクリルなどがある。
【0210】
絶縁体210、絶縁体214、絶縁体222、絶縁体273および絶縁体282として
は、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体を用いればよい。
絶縁体210、絶縁体214、絶縁体222、絶縁体273および絶縁体282としては
、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化
ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジムまた
は酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどを用いれば
よい。
【0211】
<導電体>
導電体としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チ
タン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネ
シウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウムなどから選ばれた金属元素
を1種以上含む材料を用いることができる。また、リン等の不純物元素を含有させた多結
晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイ
ドを用いてもよい。
【0212】
また、上記の材料で形成される導電層を複数積層して用いてもよい。例えば、前述した
金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい
。また、前述した金属元素を含む材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層
構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、窒
素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。
【0213】
なお、トランジスタのチャネル形成領域に酸化物を用いる場合において、ゲート電極と
して機能する導電体には、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を
組み合わせた積層構造を用いることが好ましい。この場合は、酸素を含む導電性材料をチ
ャネル形成領域側に設けるとよい。酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設ける
ことで、当該導電性材料から離脱した酸素がチャネル形成領域に供給されやすくなる。
【0214】
特に、ゲート電極として機能する導電体として、チャネルが形成される金属酸化物に含
まれる金属元素および酸素を含む導電性材料を用いることが好ましい。また、前述した金
属元素および窒素を含む導電性材料を用いてもよい。例えば、窒化チタン、窒化タンタル
などの窒素を含む導電性材料を用いてもよい。また、インジウム錫酸化物、酸化タングス
テンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタ
ンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化
物、シリコンを添加したインジウム錫酸化物を用いてもよい。また、窒素を含むインジウ
ムガリウム亜鉛酸化物を用いてもよい。このような材料を用いることで、チャネルが形成
される金属酸化物に含まれる水素を捕獲することができる場合がある。または、外方の絶
縁体などから混入する水素を捕獲することができる場合がある。
【0215】
導電体260、導電体203、導電体205、および導電体240としては、アルミニ
ウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングス
テン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリ
リウム、インジウム、ルテニウムなどから選ばれた金属元素を1種以上含む材料を用いる
ことができる。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電
気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
【0216】
<金属酸化物>
酸化物230として、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体と
もいう)を用いることが好ましい。以下では、本発明に係る酸化物230に適用可能な金
属酸化物について説明する。
【0217】
金属酸化物は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウ
ムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、
イットリウムまたはスズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、チタン、鉄
、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム
、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、ま
たは複数種が含まれていてもよい。
【0218】
ここでは、金属酸化物が、インジウム、元素Mおよび亜鉛を有するIn-M-Zn酸化
物である場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたは
錫などとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、チタン、鉄、ニッ
ケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフ
ニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどがある。ただし、元素Mとして、前
述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
【0219】
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal ox
ide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(me
tal oxynitride)と呼称してもよい。
【0220】
[金属酸化物の構成]
以下では、本発明の一態様で開示されるトランジスタに用いることができるCAC(C
loud-Aligned Composite)-OSの構成について説明する。
【0221】
なお、本明細書等において、CAAC(c-axis aligned crysta
l)、およびCAC(Cloud-Aligned Composite)と記載する場
合がある。なお、CAACは結晶構造の一例を表し、CACは機能、または材料の構成の
一例を表す。
【0222】
CAC-OSまたはCAC-metal oxideとは、材料の一部では導電性の機
能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有す
る。なお、CAC-OSまたはCAC-metal oxideを、トランジスタの活性
層に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(または正孔)を流す機能であり
、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性
の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Of
fさせる機能)をCAC-OSまたはCAC-metal oxideに付与することが
できる。CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、それぞれの機能
を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
【0223】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、導電性領域、および絶
縁性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶
縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子
レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料
中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察
される場合がある。
【0224】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、導電性領域と、
絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3n
m以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
【0225】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、異なるバンドギャップ
を有する成分により構成される。例えば、CAC-OSまたはCAC-metal ox
ideは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因する
ナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際
に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャッ
プを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有
する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記
CAC-OSまたはCAC-metal oxideをトランジスタのチャネル形成領域
に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流
、および高い電界効果移動度を得ることができる。
【0226】
すなわち、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、マトリックス複合
材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal
matrix composite)と呼称することもできる。
【0227】
[金属酸化物の構造]
酸化物半導体(金属酸化物)は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半
導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC-OS(c-
axis aligned crystalline oxide semicondu
ctor)、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline ox
ide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS
:amorphous-like oxide semiconductor)および非
晶質酸化物半導体などがある。
【0228】
CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のナノ結晶が連
結し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する
領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列
の向きが変化している箇所を指す。
【0229】
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合
がある。また、歪みにおいて、五角形、および七角形などの格子配列を有する場合がある
。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウ
ンダリーともいう)を確認することは難しい。すなわち、格子配列の歪みによって、結晶
粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向に
おいて酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離
が変化することなどによって、歪みを許容することができるためである。
【0230】
また、CAAC-OSは、インジウム、および酸素を有する層(以下、In層)と、元
素M、亜鉛、および酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶
構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置
換可能であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In,M,Zn
)層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In,
M)層と表すこともできる。
【0231】
CAAC-OSは結晶性の高い金属酸化物である。一方、CAAC-OSは、明確な結
晶粒界を確認することが難しいため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにく
いといえる。また、金属酸化物の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下す
る場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損(Vo:oxygen v
acancyともいう)など)の少ない金属酸化物ともいえる。したがって、CAAC-
OSを有する金属酸化物は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する
金属酸化物は熱に強く、信頼性が高い。
【0232】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上
3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるナ
ノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。し
たがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導
体と区別が付かない場合がある。
【0233】
なお、インジウムと、ガリウムと、亜鉛と、を有する金属酸化物の一種である、インジ
ウム-ガリウム-亜鉛酸化物(以下、IGZO)は、上述のナノ結晶とすることで安定な
構造をとる場合がある。とくに、IGZOは、大気中では結晶成長がし難い傾向があるた
め、大きな結晶(ここでは、数mm、または数cm)よりも小さな結晶(例えば、上述の
ナノ結晶)とする方が、構造的に安定となる場合がある。
【0234】
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する金属酸
化物である。a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。すなわち、a-li
ke OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。
【0235】
酸化物半導体(金属酸化物)は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。
本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-li
ke OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0236】
[金属酸化物を有するトランジスタ]
続いて、上記金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合について説明
する。
【0237】
なお、上記金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、高い電界効
果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実
現することができる。
【0238】
また、トランジスタには、キャリア密度の低い金属酸化物を用いることが好ましい。金
属酸化物膜のキャリア密度を低くする場合においては、金属酸化物膜中の不純物濃度を低
くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準
位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性という。例えば、金属酸化物は
、キャリア密度が8×1011/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満、さ
らに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10-9/cm3以上とすればよ
い。
【0239】
また、高純度真性または実質的に高純度真性である金属酸化物膜は、欠陥準位密度が低
いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
【0240】
また、金属酸化物のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長
く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い
金属酸化物をチャネル形成領域に有するトランジスタは、電気特性が不安定となる場合が
ある。
【0241】
したがって、トランジスタの電気特性を安定にするためには、金属酸化物中の不純物濃
度を低減することが有効である。また、金属酸化物中の不純物濃度を低減するためには、
近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、ア
ルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0242】
また、トランジスタの半導体に用いる金属酸化物として、結晶性の高い薄膜を用いるこ
とが好ましい。該薄膜を用いることで、トランジスタの安定性または信頼性を向上させる
ことができる。該薄膜として、例えば、単結晶金属酸化物の薄膜または多結晶金属酸化物
の薄膜が挙げられる。しかしながら、単結晶金属酸化物の薄膜または多結晶金属酸化物の
薄膜を基板上に形成するには、高温またはレーザー加熱の工程が必要とされる。よって、
製造工程のコストが増加し、さらに、スループットも低下してしまう。
【0243】
2009年に、CAAC構造を有するIn-Ga-Zn酸化物(CAAC-IGZOと
呼ぶ)が発見されたことが、非特許文献1および非特許文献2で報告されている。ここで
は、CAAC-IGZOは、c軸配向性を有する、結晶粒界が明確に確認されない、低温
で基板上に形成可能である、ことが報告されている。さらに、CAAC-IGZOを用い
たトランジスタは、優れた電気特性および信頼性を有することが報告されている。
【0244】
また、2013年には、nc構造を有するIn-Ga-Zn酸化物(nc-IGZOと
呼ぶ)が発見された(非特許文献3参照)。ここでは、nc-IGZOは、微小な領域(
例えば、1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有し、異なる該領域
間で結晶方位に規則性が見られないことが報告されている。
【0245】
非特許文献4および非特許文献5では、上記のCAAC-IGZO、nc-IGZO、
および結晶性の低いIGZOのそれぞれの薄膜に対する電子線の照射による平均結晶サイ
ズの推移が示されている。結晶性の低いIGZOの薄膜において、電子線が照射される前
でさえ、1nm程度の結晶性IGZOが観察されている。よって、ここでは、IGZOに
おいて、完全な非晶質構造(completely amorphous struct
ure)の存在を確認できなかった、と報告されている。さらに、結晶性の低いIGZO
の薄膜と比べて、CAAC-IGZOの薄膜およびnc-IGZOの薄膜は電子線照射に
対する安定性が高いことが示されている。よって、トランジスタの半導体として、CAA
C-IGZOの薄膜またはnc-IGZOの薄膜を用いることが好ましい。
【0246】
金属酸化物を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流が小さい、
具体的には、トランジスタのチャネル幅1μmあたりのオフ電流がyA/μm(10-2
4A/μm)オーダである、ことが非特許文献6に示されている。例えば、金属酸化物を
用いたトランジスタのリーク電流が低いという特性を利用した低消費電力のCPUなどが
開示されている(非特許文献7参照)。
【0247】
また、金属酸化物を用いたトランジスタのリーク電流が低いという特性を利用した、該
トランジスタの表示装置への応用が報告されている(非特許文献8参照)。表示装置では
、表示される画像が1秒間に数十回切り換っている。1秒間あたりの画像の切り換え回数
はリフレッシュレートと呼ばれている。また、リフレッシュレートを駆動周波数と呼ぶこ
ともある。このような人の目で知覚が困難である高速の画面の切り換えが、目の疲労の原
因として考えられている。そこで、表示装置のリフレッシュレートを低下させて、画像の
書き換え回数を減らすことが提案されている。また、リフレッシュレートを低下させた駆
動により、表示装置の消費電力を低減することが可能である。このような駆動方法を、ア
イドリング・ストップ(IDS)駆動と呼ぶ。
【0248】
CAAC構造およびnc構造の発見は、CAAC構造またはnc構造を有する金属酸化
物を用いたトランジスタの電気特性および信頼性の向上、ならびに、製造工程のコスト低
下およびスループットの向上に貢献している。また、該トランジスタのリーク電流が低い
という特性を利用した、該トランジスタの表示装置およびLSIへの応用研究が進められ
ている。
【0249】
[不純物]
ここで、金属酸化物中における各不純物の影響について説明する。
【0250】
金属酸化物において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、金属酸
化物において欠陥準位が形成される。このため、金属酸化物におけるシリコンや炭素の濃
度と、金属酸化物との界面近傍のシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIM
S:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られ
る濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms
/cm3以下とする。
【0251】
また、金属酸化物にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形
成し、キャリアを生成する場合がある。したがって、アルカリ金属またはアルカリ土類金
属が含まれている金属酸化物をチャネル形成領域に用いたトランジスタはノーマリーオン
特性となりやすい。このため、金属酸化物中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃
度を低減することが好ましい。具体的には、SIMSにより得られる金属酸化物中のアル
カリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ま
しくは2×1016atoms/cm3以下にする。
【0252】
また、金属酸化物において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア
密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている金属酸化物をチャネル形
成領域に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。したがって、当該金属
酸化物において、チャネル形成領域の窒素はできる限り低減されていることが好ましい。
例えば、金属酸化物中の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm
3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018
atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする
。
【0253】
また、金属酸化物に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため
、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子
が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャ
リアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている金属酸化物を用いた
トランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。
【0254】
また、金属酸化物に含まれる水素は、金属酸化物中に浅い欠陥準位(sDOS:sha
llow level Density of States)を形成する場合がある。
浅い欠陥準位とは、伝導帯下端の近くに位置する界面準位をさす。浅い欠陥準位は、金属
酸化物中の高密度領域と低密度領域の境界近傍に存在することが推定される。ここでは、
金属酸化物中の高密度領域と低密度領域は、領域に含まれる水素の量で区別する。すなわ
ち、低密度領域と比較して、高密度領域は、水素をより多く含む領域とする。金属酸化物
中の高密度領域と低密度領域の境界近傍は、両領域間の応力歪によって、微小なクラック
が生じやすく、該クラック近傍に酸素欠損およびインジウムのダングリングボンドが発生
し、ここに、水素または水などの不純物が局在することで、浅い欠陥準位が形成されるも
のと推定される。
【0255】
また、上記金属酸化物中の高密度領域は、低密度領域よりも結晶性が高くなる場合があ
る。また、上記金属酸化物中の高密度領域は、低密度領域よりも膜密度が高くなる場合が
ある。また、上記金属酸化物が、インジウムと、ガリウムと、亜鉛と、有する組成の場合
、高密度領域は、インジウムと、ガリウムと、亜鉛と、を有し、低密度領域は、インジウ
ムと、亜鉛と、を有する場合がある。別言すると、低密度領域は、高密度領域よりもガリ
ウムの割合が少ない場合がある。
【0256】
なお、上記浅い欠陥準位は、酸素欠損に起因すると推定される。金属酸化物中の酸素欠
損が増えると、浅い欠陥準位密度とともに深い欠陥準位密度(dDOS:deep le
vel Density of States)も増えると推定される。これは、深い欠
陥準位も酸素欠損によるものだと考えられるためである。なお、深い欠陥準位とは、バン
ドギャップの中央付近に位置する欠陥準位をさす。
【0257】
したがって、金属酸化物中の酸素欠損を抑制することで、浅い欠陥準位及び深い欠陥準
位の双方の準位密度を低減させることが可能となる。また、浅い欠陥準位については、金
属酸化物の成膜時の温度を調整することで、ある程度制御できる可能性がある。具体的に
は、金属酸化物の成膜時の温度を、170℃またはその近傍、好ましくは130℃または
その近傍、さらに好ましくは室温とすることで、浅い欠陥準位密度を低減することができ
る。
【0258】
また、金属酸化物の浅い欠陥準位は、金属酸化物を半導体として用いたトランジスタの
電気特性に影響を与える。即ち、浅い欠陥準位によって、トランジスタのドレイン電流-
ゲート電圧(Id-Vg)特性において、ゲート電圧Vgに対するドレイン電流Idの変
化が緩やかとなり、トランジスタのオフ状態からオン状態への立ち上がり特性の良し悪し
の目安の1つである、S値(Subthreshold Swing、SSとも言う)が
悪化する。これは浅い欠陥準位に電子がトラップされたためと考えられる。
【0259】
このため、金属酸化物中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的に
は、金属酸化物において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms
/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1
018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満
とする。不純物が十分に低減された金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用い
ることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0260】
[真空ベークの効果]
ここでは、金属酸化物に含まれる、弱いZn-O結合について説明し、該結合を構成す
る酸素原子および亜鉛原子を低減する方法の一例について示す。
【0261】
金属酸化物を用いたトランジスタにおいて、トランジスタの電気特性の不良に繋がる欠
陥の一例として酸素欠損がある。例えば、膜中に酸素欠損が含まれている金属酸化物を用
いたトランジスタは、しきい値電圧がマイナス方向に変動しやすく、ノーマリーオン特性
となりやすい。これは、金属酸化物に含まれる酸素欠損に起因したドナーが生成され、キ
ャリア濃度が増加するためである。トランジスタがノーマリーオン特性を有すると、動作
時に動作不良が発生しやすくなる、または非動作時の消費電力が高くなるなどの、様々な
問題が生じる。
【0262】
また、モジュールを作製するための接続配線を形成する工程における熱履歴(サーマル
バジェット)により、しきい値電圧の変動、寄生抵抗の増大、などのトランジスタの電気
特性の劣化、該電気特性の劣化に伴う電気特性のばらつきの増大、などの問題がある。こ
れらの問題は、製造歩留りの低下に直結するため、対策の検討は重要である。また、長期
間の使用によって起こるトランジスタの特性変化(経年変化)を短時間で評価することが
できるストレス試験でも電気特性の劣化が生じる。該電気特性の劣化は、製造の過程で行
われる高温処理、またはストレス試験時に与えられる電気的なストレスによって金属酸化
物中の酸素が欠損することに起因すると推測される。
【0263】
金属酸化物中には、金属原子との結合が弱く、酸素欠損となりやすい酸素原子が存在す
る。特に、金属酸化物がIn-Ga-Zn酸化物である場合は、亜鉛原子と酸素原子とが
弱い結合(弱いZn-O結合、ともいう)を形成しやすい。ここで、弱いZn-O結合と
は、製造の過程で行われる高温処理、またはストレス試験時に与えられる電気的なストレ
スによって切断される程度の強さで結合した、亜鉛原子と酸素原子の間に生じる結合であ
る。弱いZn-O結合が金属酸化物中に存在すると、熱履歴または電流ストレスによって
、該結合が切断され、酸素欠損が形成される。酸素欠損が形成されることにより、熱履歴
に対する耐性、電気的ストレスに対する耐性などといった、トランジスタの安定性が低下
する。
【0264】
亜鉛原子と多く結合している酸素原子と、該亜鉛原子との間に生じる結合は、弱いZn
-O結合である場合がある。ガリウム原子と比べて、亜鉛原子は、酸素原子との結合が弱
い。したがって、亜鉛原子と多く結合している酸素原子は欠損しやすい。すなわち、亜鉛
原子と酸素原子との間に生じる結合は、その他の金属との結合よりも弱いと推測される。
【0265】
また、金属酸化物中に不純物が存在する場合、弱いZn-O結合が形成されやすいと推
測される。金属酸化物中の不純物としては、例えば、水分子や水素がある。金属酸化物中
に水分子や水素が存在することで、水素原子が、金属酸化物を構成する酸素原子と結合す
る(OH結合ともいう)場合がある。金属酸化物を構成する酸素原子は、In-Ga-Z
n酸化物が単結晶である場合、金属酸化物を構成する金属原子4つと結合している。しか
しながら、水素原子と結合した酸素原子は、2つまたは3つの金属原子と結合している場
合がある。酸素原子に結合している金属原子の数が減少することで、該酸素原子は欠損し
やすくなる。なお、OH結合を形成している酸素原子に亜鉛原子が結合している場合、該
酸素原子と該亜鉛原子との結合は弱いと推測される。
【0266】
また、弱いZn-O結合は、複数のナノ結晶が連結する領域に存在する歪みに形成され
る場合がある。ナノ結晶は六角形を基本とするが、該歪みにおいて、五角形、および七角
形などの格子配列を有する。該歪みでは、原子間の結合距離が一様でないため、弱いZn
-O結合が形成されていると推測される。
【0267】
また、弱いZn-O結合は、金属酸化物の結晶性が低い場合に形成されやすいと推測さ
れる。金属酸化物の結晶性が高い場合、金属酸化物を構成する亜鉛原子は、酸素原子4つ
または5つと結合している。しかし、金属酸化物の結晶性が低くなると、亜鉛原子と結合
する酸素原子の数が減少する傾向がある。亜鉛原子に結合する酸素原子の数が減少すると
、該亜鉛原子は欠損しやすくなる。すなわち、亜鉛原子と酸素原子との間に生じる結合は
、単結晶で生じる結合よりも弱いと推測される。
【0268】
上記の弱いZn-O結合を構成する酸素原子および亜鉛原子を低減することで、熱履歴
または電気的ストレスによる酸素欠損の形成を抑制し、トランジスタの安定性を向上させ
ることができる。なお、弱いZn-O結合を構成する酸素原子のみを低減し、弱いZn-
O結合を構成する亜鉛原子が減少しない場合、該亜鉛原子近傍に酸素原子を供給すると、
弱いZn-O結合が再形成される場合がある。したがって、弱いZn-O結合を構成する
亜鉛原子および酸素原子を低減することが好ましい。
【0269】
弱いZn-O結合を構成する酸素原子および亜鉛原子を低減する方法の一つとして、金
属酸化物を成膜した後、真空ベークを実施する方法が挙げられる。真空ベークとは、真空
雰囲気下で行う加熱処理のことである。真空雰囲気は、ターボ分子ポンプ等で排気を行う
ことで維持される。なお、処理室の圧力は、1×10-2Pa以下、好ましくは1×10
-3Pa以下とすればよい。また、加熱処理時の基板の温度は、300℃以上、好ましく
は400℃以上とすればよい。
【0270】
真空ベークを実施することで、弱いZn-O結合を構成する酸素原子および亜鉛原子を
低減することができる。また、真空ベークによって金属酸化物に熱が与えられるため、弱
いZn-O結合を構成する酸素原子および亜鉛原子を低減した後、金属酸化物を構成する
原子が再配列することで、4つの金属原子と結合している酸素原子が増える。したがって
、弱いZn-O結合を構成する酸素原子および亜鉛原子を低減するとともに、弱いZn-
O結合が再形成されるのを抑制することができる。
【0271】
また、金属酸化物中に不純物が存在する場合、真空ベークを実施することで、金属酸化
物中の水分子または水素を放出し、OH結合を低減することができる。金属酸化物中のO
H結合が減少することで、4つの金属原子と結合している酸素原子の割合が増える。また
、水分子または水素が放出される際、金属酸化物を構成する原子が再配列することで、4
つの金属原子と結合している酸素原子が増える。したがって、弱いZn-O結合が再形成
されるのを抑制することができる。
【0272】
以上のように、金属酸化物を成膜した後、真空ベークを実施することで、弱いZn-O
結合を構成する酸素原子および亜鉛原子を低減することができる。したがって、該工程に
より、トランジスタの安定性を向上することができる。また、トランジスタの安定性が向
上することで、材料や形成方法の選択の自由度が高くなる。
【0273】
<半導体装置の作製方法1>
次に、
図1に示す、本発明に係るトランジスタ200を有する半導体装置について、作
製方法を
図6乃至
図20を用いて説明する。また、
図6乃至
図20において、各図の(A
)は上面図を示す。また、各図の(B)は、(A)に示すA1-A2の一点鎖線で示す部
位に対応する断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図でもある。ま
た、各図の(C)は、(A)にA3-A4の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり
、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図でもある。なお、各図の(A)の上面図
では、図の明瞭化のために一部の要素を省いている。
【0274】
まず、基板(図示しない)を準備し、当該基板上に絶縁体210を成膜する。絶縁体2
10の成膜は、スパッタリング法、化学気相成長(CVD:Chemical Vapo
r Deposition)法、分子線エピタキシー(MBE:Molecular B
eam Epitaxy)法、パルスレーザ堆積(PLD:Pulsed Laser
Deposition)法、またはALD(Atomic Layer Deposit
ion)法などを用いて行うことができる。
【0275】
なお、CVD法は、プラズマを利用するプラズマCVD(PECVD:Plasma
Enhanced CVD)法、熱を利用する熱CVD(TCVD:Thermal C
VD)法、光を利用する光CVD(Photo CVD)法などに分類できる。さらに用
いる原料ガスによって金属CVD(MCVD:Metal CVD)法、有機金属CVD
(MOCVD:Metal Organic CVD)法に分けることができる。
【0276】
プラズマCVD法は、比較的低温で高品質の膜が得られる。また、熱CVD法は、プラ
ズマを用いないため、被処理物へのプラズマダメージを小さくすることが可能な成膜方法
である。例えば、半導体装置に含まれる配線、電極、素子(トランジスタ、容量素子など
)などは、プラズマから電荷を受け取ることでチャージアップする場合がある。このとき
、蓄積した電荷によって、半導体装置に含まれる配線、電極、素子などが破壊される場合
がある。一方、プラズマを用いない熱CVD法の場合、こういったプラズマダメージが生
じないため、半導体装置の歩留まりを高くすることができる。また、熱CVD法では、成
膜中のプラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜が得られる。
【0277】
また、ALD法も、被処理物へのプラズマダメージを小さくすることが可能な成膜方法
である。また、ALD法は、成膜中のプラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜
が得られる。なお、ALD法で用いるプリカーサには炭素などの不純物を含むものがある
。このため、ALD法により設けられた膜は、他の成膜法により設けられた膜と比較して
、炭素などの不純物を多く含む場合がある。なお、不純物の定量は、X線光電子分光法(
XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)を用い
て行うことができる。
【0278】
CVD法およびALD法は、ターゲットなどから放出される粒子が堆積する成膜方法と
は異なり、被処理物の表面における反応により膜が形成される成膜方法である。したがっ
て、被処理物の形状の影響を受けにくく、良好な段差被覆性を有する成膜方法である。特
に、ALD法は、優れた段差被覆性と、優れた厚さの均一性を有するため、アスペクト比
の高い開口部の表面を被覆する場合などに好適である。ただし、ALD法は、比較的成膜
速度が遅いため、成膜速度の速いCVD法などの他の成膜方法と組み合わせて用いること
が好ましい場合もある。
【0279】
CVD法およびALD法は、原料ガスの流量比によって、得られる膜の組成を制御する
ことができる。例えば、CVD法およびALD法では、原料ガスの流量比によって、任意
の組成の膜を成膜することができる。また、例えば、CVD法およびALD法では、成膜
しながら原料ガスの流量比を変化させることによって、組成が連続的に変化した膜を成膜
することができる。原料ガスの流量比を変化させながら成膜する場合、複数の成膜室を用
いて成膜する場合と比べて、搬送や圧力調整に掛かる時間を要さない分、成膜に掛かる時
間を短くすることができる。したがって、半導体装置の生産性を高めることができる場合
がある。
【0280】
本実施の形態では、絶縁体210として、スパッタリング法によって酸化アルミニウム
を成膜する。また、絶縁体210は、多層構造としてもよい。例えば、スパッタリング法
によって酸化アルミニウムを成膜し、当該酸化アルミニウム上に、ALD法によって酸化
アルミニウムを成膜する構造としてもよい。または、ALD法によって酸化アルミニウム
を成膜し、当該酸化アルミニウム上に、スパッタリング法によって酸化アルミニウムを成
膜する構造としてもよい。
【0281】
次に絶縁体210上に、導電体203となる導電膜を成膜する。導電体203となる導
電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを
用いて行うことができる。また、導電体203となる導電膜は、多層膜とすることができ
る。本実施の形態では、導電体203となる導電膜としてタングステンを成膜する。
【0282】
次に、リソグラフィー法を用いて、導電体203となる導電膜を加工し、導電体203
を形成する。
【0283】
なお、リソグラフィー法では、まず、マスクを介してレジストを露光する。次に、露光
された領域を、現像液を用いて除去または残存させてレジストマスクを形成する。次に、
当該レジストマスクを介してエッチング処理することで導電体、半導体または絶縁体など
を所望の形状に加工することができる。例えば、KrFエキシマレーザ光、ArFエキシ
マレーザ光、EUV(Extreme Ultraviolet)光などを用いて、レジ
ストを露光することでレジストマスクを形成すればよい。また、基板と投影レンズとの間
に液体(例えば水)を満たして露光する、液浸技術を用いてもよい。また、前述した光に
代えて、電子ビームやイオンビームを用いてもよい。なお、電子ビームやイオンビームを
用いる場合には、マスクは不要となる。なお、レジストマスクの除去には、アッシングな
どのドライエッチング処理を行う、ウェットエッチング処理を行う、ドライエッチング処
理後にウェットエッチング処理を行う、またはウェットエッチング処理後にドライエッチ
ング処理を行うことができる。
【0284】
また、レジストマスクの代わりに絶縁体や導電体からなるハードマスクを用いてもよい
。ハードマスクを用いる場合、導電体203となる導電膜上にハードマスク材料となる絶
縁膜や導電膜を形成し、その上にレジストマスクを形成し、ハードマスク材料をエッチン
グすることで所望の形状のハードマスクを形成することができる。導電体203となる導
電膜のエッチングは、レジストマスクを除去してから行っても良いし、レジストマスクを
残したまま行っても良い。後者の場合、エッチング中にレジストマスクが消失することが
ある。導電体203となる導電膜のエッチング後にハードマスクをエッチングにより除去
しても良い。一方、ハードマスクの材料が後工程に影響が無い、あるいは後工程で利用で
きる場合、必ずしもハードマスクを除去する必要は無い。
【0285】
ドライエッチング装置としては、平行平板型電極を有する容量結合型プラズマ(CCP
:Capacitively Coupled Plasma)エッチング装置を用いる
ことができる。平行平板型電極を有する容量結合型プラズマエッチング装置は、平行平板
型電極の一方の電極に高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極の一方
の電極に複数の異なった高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それ
ぞれに同じ周波数の高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞれ
に周波数の異なる高周波電源を印加する構成でもよい。または高密度プラズマ源を有する
ドライエッチング装置を用いることができる。高密度プラズマ源を有するドライエッチン
グ装置は、例えば、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupl
ed Plasma)エッチング装置などを用いることができる。
【0286】
次に、絶縁体210上、導電体203上に絶縁体212となる絶縁膜を成膜する。絶縁
体212となる絶縁体の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法また
はALD法などを用いて行うことができる。本実施の形態では、絶縁体212となる絶縁
膜として、CVD法によって酸化シリコンを成膜する。
【0287】
ここで、絶縁体212となる絶縁膜の膜厚は、導電体203の膜厚以上とすることが好
ましい。例えば、導電体203の膜厚を1とすると、絶縁体212となる絶縁膜の膜厚は
、1以上3以下とする。本実施の形態では、導電体203の膜厚の膜厚を150nmとし
、絶縁体212となる絶縁膜の膜厚を350nmとする。
【0288】
次に、絶縁体212となる絶縁膜にCMP(chemical Mechanical
Polishing)処理を行うことで、絶縁体212となる絶縁膜の一部を除去し、
導電体203の表面を露出させる。これにより、上面が平坦な、導電体203と、絶縁体
212を形成することができる(
図6参照)。
【0289】
ここでは、上記と異なる導電体203の形成方法について以下に説明する。
【0290】
絶縁体210上に絶縁体212を成膜する。絶縁体212の成膜は、スパッタリング法
、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
【0291】
次に、絶縁体212に絶縁体210に達する開口を形成する。開口とは、例えば、溝や
スリットなども含まれる。また、開口が形成された領域を指して開口部とする場合がある
。開口の形成はウェットエッチングを用いてもよいが、ドライエッチングを用いるほうが
微細加工には好ましい。また、絶縁体210は、絶縁体212をエッチングして溝を形成
する際のエッチングストッパ膜として機能する絶縁体を選択することが好ましい。例えば
、溝を形成する絶縁体212に酸化シリコン膜を用いた場合は、絶縁体210は窒化シリ
コン膜、酸化アルミニウム膜、酸化ハフニウム膜を用いるとよい。
【0292】
開口の形成後に、導電体203となる導電膜を成膜する。該導電膜は、酸素の透過を抑
制する機能を有する導電体を含むことが望ましい。たとえば、窒化タンタル、窒化タング
ステン、窒化チタンなどを用いることができる。またはタンタル、タングステン、チタン
、モリブデン、アルミニウム、銅、モリブデンタングステン合金との積層膜とすることが
できる。導電体203となる導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、
PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
【0293】
本実施の形態では、導電体203となる導電膜を、多層構造とする。まず、スパッタリ
ング法によって窒化タンタルを成膜する。または、該窒化タンタルの上に窒化チタンを積
層した膜を成膜する。このような金属窒化物を導電体203となる導電膜の下層に用いる
ことにより、後述する導電体203となる導電膜の上層の導電膜として銅などの拡散しや
すい金属を用いても、当該金属が導電体203から外に拡散するのを防ぐことができる。
【0294】
次に、導電体203となる導電膜の上層の導電膜を成膜する。該導電膜の成膜は、メッ
キ法、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行
うことができる。本実施の形態では、導電体203となる導電膜の上層の導電膜として、
銅などの低抵抗導電性材料を成膜する。
【0295】
次に、CMP処理を行うことで、導電体203となる導電膜の上層、ならびに導電体2
03となる導電膜の下層の一部を除去し、絶縁体212を露出する。その結果、開口部の
みに、導電体203となる導電膜が残存する。これにより、上面が平坦な、導電体203
を形成することができる。なお、当該CMP処理により、絶縁体212の一部が除去され
る場合がある。以上が、導電体203の異なる形成方法である。
【0296】
次に、絶縁体212、および導電体203上に絶縁体214を成膜する。絶縁体214
の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用
いて行うことができる。本実施の形態では、絶縁体214として、CVD法によって窒化
シリコンを成膜する。このように、絶縁体214として、窒化シリコンなどの銅が透過し
にくい絶縁体を用いることにより、導電体203の第2の導電体に銅など拡散しやすい金
属を用いても、当該金属が絶縁体214より上の層に拡散するのを抑制することができる
。
【0297】
次に、絶縁体214上に絶縁体216を成膜する。絶縁体216の成膜は、スパッタリ
ング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる
。本実施の形態では、絶縁体216として、CVD法によって酸化シリコンを成膜する。
【0298】
次に、絶縁体214および絶縁体216に、導電体203に達する開口を形成する。開
口の形成にはウェットエッチング法を用いてもよいが、ドライエッチング法を用いるほう
が微細加工には好ましい。
【0299】
開口の形成後に、導電体205aとなる導電膜を成膜する。導電体205aとなる導電
膜は、酸素の透過を抑制する機能を有する導電性材料を含むことが好ましい。例えば、窒
化タンタル、窒化タングステン、窒化チタンなどを用いることができる。またはタンタル
、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、モリブデンタングステン合金
との積層膜とすることができる。導電体205aとなる導電膜の成膜は、スパッタリング
法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。
【0300】
本実施の形態では、導電体205aとなる導電膜として、スパッタリング法によって窒
化タンタルを成膜する。
【0301】
次に、導電体205aとなる導電膜上に、導電体205bとなる導電膜を成膜する。当
該導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法
などを用いて行うことができる。
【0302】
本実施の形態では、導電体205bとなる導電膜として、CVD法によって窒化チタン
を成膜し、当該窒化チタン上にCVD法によってタングステンを成膜する。
【0303】
次に、CMP処理を行うことで、導電体205aとなる導電膜、ならびに導電体205
bとなる導電膜の一部を除去し、絶縁体216を露出する。その結果、開口部のみに、導
電体205aとなる導電膜および導電体205bとなる導電膜が残存する。これにより、
上面が平坦な、導電体205aおよび導電体205bを含む導電体205を形成すること
ができる(
図6参照)。なお、当該CMP処理により、絶縁体216の一部が除去される
場合がある。
【0304】
次に、絶縁体216、および導電体205上に絶縁体220を成膜する。絶縁体220
の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用
いて行うことができる。本実施の形態では、絶縁体220として、CVD法によって酸化
シリコンを成膜する。
【0305】
次に、絶縁体220上に絶縁体222を成膜する。絶縁体222として、アルミニウム
およびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を成膜するとよい。なお、アル
ミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニ
ウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミ
ネート)などを用いることが好ましい。アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方
の酸化物を含む絶縁体は、酸素、水素、および水に対するバリア性を有する。絶縁体22
2が、水素および水に対するバリア性を有することで、トランジスタ200の周辺に設け
られた構造体に含まれる水素、および水が、絶縁体222を通じてトランジスタ200の
内側へ拡散することが抑制され、酸化物230中の酸素欠損の生成を抑制することができ
る。
【0306】
絶縁体222の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはA
LD法などを用いて行うことができる。
【0307】
次に、絶縁体222上に絶縁膜224Aを成膜する。絶縁膜224Aの成膜は、スパッ
タリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことがで
きる(
図6参照)。本実施の形態では、絶縁膜224Aとして、CVD法によって酸化シ
リコンを成膜する。
【0308】
続いて、加熱処理を行うと好ましい。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好まし
くは300℃以上500℃以下、さらに好ましくは320℃以上450℃以下で行えばよ
い。なお、加熱処理は、窒素または不活性ガス雰囲気、または酸化性ガスを10ppm以
上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気で行う。また、加熱処理は減圧状態で行っ
てもよい。または、加熱処理は、窒素または不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離
した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、または10%以上含む雰
囲気で加熱処理を行ってもよい。
【0309】
本実施の形態では、絶縁膜224Aの成膜後に窒素雰囲気にて400℃の温度で1時間
の加熱処理を行う。当該加熱処理によって、絶縁膜224Aに含まれる水素や水などの不
純物を除去することなどができる。
【0310】
また、加熱処理は、絶縁体220成膜後、および絶縁体222の成膜後のそれぞれのタ
イミングで行うこともできる。当該加熱処理は、上述した加熱処理条件を用いることがで
きるが、絶縁体220成膜後の加熱処理は、窒素を含む雰囲気中で行うことが好ましい。
【0311】
ここで、絶縁膜224Aに過剰酸素領域を形成するために、減圧状態で酸素を含むプラ
ズマ処理を行ってもよい。酸素を含むプラズマ処理は、例えばマイクロ波を用いた高密度
プラズマを発生させる電源を有する装置を用いることが好ましい。または、基板側にRF
(Radio Frequency)を印加する電源を有してもよい。高密度プラズマを
用いることにより、高密度の酸素ラジカルを生成することができ、基板側にRFを印加す
ることで、高密度プラズマによって生成された酸素ラジカルを効率よく絶縁膜224A内
に導くことができる。または、この装置を用いて不活性ガスを含むプラズマ処理を行った
後に、脱離した酸素を補うために酸素を含むプラズマ処理を行ってもよい。なお、当該プ
ラズマ処理の条件を適宜選択することにより、絶縁膜224Aに含まれる水素や水などの
不純物を除去することができる。その場合、加熱処理は行わなくてもよい。
【0312】
次に、絶縁膜224A上に、酸化膜230Aと、酸化膜230Bを順に成膜する(
図6
参照)。なお、上記酸化膜は、大気環境にさらさずに連続して成膜することが好ましい。
大気開放せずに成膜することで、酸化膜230A、および酸化膜230B上に大気環境か
らの不純物または水分が付着することを防ぐことができ、酸化膜230Aと酸化膜230
Bとの界面近傍を清浄に保つことができる。
【0313】
酸化膜230A、および酸化膜230Bの成膜はスパッタリング法、CVD法、MBE
法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。
【0314】
例えば、酸化膜230A、および酸化膜230Bをスパッタリング法によって成膜する
場合は、スパッタリングガスとして酸素、または、酸素と希ガスの混合ガスを用いる。ス
パッタリングガスに含まれる酸素の割合を高めることで、成膜される酸化膜中の過剰酸素
を増やすことができる。また、上記の酸化膜をスパッタリング法によって成膜する場合は
、上記のIn-M-Zn酸化物ターゲットを用いることができる。
【0315】
特に、酸化膜230Aの成膜時に、スパッタリングガスに含まれる酸素の一部が絶縁膜
224Aに供給される場合がある。したがって、酸化膜230Aのスパッタリングガスに
含まれる酸素の割合は70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは100%とす
ればよい。
【0316】
また、酸化膜230Bをスパッタリング法で形成する場合、スパッタリングガスに含ま
れる酸素の割合を1%以上30%以下、好ましくは5%以上20%以下として成膜すると
、酸素欠乏型の酸化物半導体が形成される。酸素欠乏型の酸化物半導体をチャネル形成領
域に用いたトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られる。
【0317】
本実施の形態では、酸化膜230Aとして、スパッタリング法によって、In:Ga:
Zn=1:1:0.5[原子数比](2:2:1[原子数比])のターゲットを用いて成
膜する。また、酸化膜230Bとして、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=
4:2:2[原子数比]、4:2:1[原子数比]、あるいは4:2:0[原子数比](
In:Ga=4:2[原子数比])、のターゲットを用いて成膜する。なお、各酸化膜は
、成膜条件、および原子数比を適宜選択することで、酸化物230に求める特性に合わせ
て形成するとよい。
【0318】
次に、加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、上述した加熱処理条件を用いることがで
きる。加熱処理によって、酸化膜230A、および酸化膜230B中の水素や水などの不
純物を除去することなどができる。本実施の形態では、窒素雰囲気にて400℃の温度で
1時間の処理を行った後に、連続して酸素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行
う。
【0319】
次に、酸化膜230A、および酸化膜230Bを島状に加工して、酸化物230a、お
よび酸化物230bを形成する。なお、当該工程において、絶縁膜224Aの酸化物23
0aと重ならない領域の膜厚が、絶縁膜224Aの酸化物230aと重なる領域よりも薄
くなるように絶縁体224を形成してもよい(
図7参照)。
【0320】
ここで、酸化物230a、および酸化物230bは、少なくとも一部が導電体205と
重なるように形成する。また、酸化物230a、および酸化物230bの側面は、絶縁体
222の上面に対し、概略垂直であることが好ましい。酸化物230a、および酸化物2
30bの側面が、絶縁体222の上面に対し、概略垂直であることで、複数のトランジス
タ200を設ける際に、小面積化、高密度化が可能となる。または、酸化物230a、お
よび酸化物230bの側面と絶縁体222の上面のなす角が鋭角になる構成にしてもよい
。その場合、酸化物230a、および酸化物230bの側面と絶縁体222の上面のなす
角は60°以上70°未満が好ましい。この様な形状とすることで、これより後の工程に
おいて、絶縁体273などの被覆性が向上し、鬆などの欠陥を低減することができる。
【0321】
また、酸化物230a、および酸化物230bの側面と、酸化物230bの上面との間
に、湾曲面を有する。つまり、側面の端部と上面の端部は、湾曲していることが好ましい
(以下、ラウンド状ともいう)。湾曲面は、例えば、酸化物230bの端部において、曲
率半径が、3nm以上10nm以下、好ましくは、5nm以上6nm以下とする。端部に
角を有さないことで、以降の成膜工程における膜の被覆性が向上する。
【0322】
なお、当該酸化膜の加工はリソグラフィー法を用いて行えばよい。また、当該加工はド
ライエッチング法やウェットエッチング法を用いることができる。ドライエッチング法に
よる加工は微細加工に適している。
【0323】
また、ドライエッチングなどの処理を行うことによって、エッチングガスなどに起因し
た不純物が酸化物230a、および酸化物230bなどの表面または内部に付着または拡
散することがある。不純物としては、例えば、フッ素または塩素などがある。
【0324】
上記の不純物などを除去するために、洗浄を行う。洗浄方法としては、洗浄液など用い
たウェット洗浄、プラズマを用いたプラズマ処理、または熱処理による洗浄などがあり、
上記洗浄を適宜組み合わせて行ってもよい。
【0325】
ウェット洗浄としては、シュウ酸、リン酸、またはフッ化水素酸などを炭酸水または純
水で希釈した水溶液を用いて洗浄処理を行ってもよい。または、純水または炭酸水を用い
た超音波洗浄を行ってもよい。本実施の形態では、純水または炭酸水を用いた超音波洗浄
を行う。
【0326】
続いて、加熱処理を行ってもよい。加熱処理には、前述の加熱処理の条件を用いること
ができる。
【0327】
次に、絶縁体224、酸化物230a、および酸化物230bの上に、酸化膜230C
となる酸化膜を成膜する。
【0328】
酸化膜230Cとなる酸化膜の成膜はスパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD
法、またはALD法などを用いて行うことができる。酸化物230cに求める特性に合わ
せて、酸化膜230A、または酸化膜230Bと同様の成膜方法を用いて、酸化膜230
Cとなる酸化膜を成膜すればよい。本実施の形態では、酸化膜230Cとなる酸化膜とし
て、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]のターゲッ
トを用いて成膜する。
【0329】
次に、リソグラフィー法によって、酸化膜230Cとなる酸化膜を加工し、酸化膜23
0Cを形成する(
図8参照)。
【0330】
続いて、酸化膜230C上に、絶縁膜250Aおよびダミーゲート膜262Aを順に成
膜する(
図8参照)。
【0331】
まず、絶縁膜250Aを成膜する。絶縁膜250Aは、スパッタリング法、CVD法、
MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて成膜することができる。絶縁膜250
Aとして、CVD法により、酸化窒化シリコンを成膜することが好ましい。なお、絶縁膜
250Aを成膜する際の成膜温度は、350℃以上450℃未満、特に400℃前後とす
ることが好ましい。絶縁膜250Aを、400℃で成膜することで、不純物が少ない絶縁
膜を成膜することができる。
【0332】
なお、マイクロ波で酸素を励起し、高密度な酸素プラズマを発生させ、当該酸素プラズ
マに絶縁膜250Aを曝すことで、絶縁膜250Aへ酸素を導入することができる。
【0333】
また、加熱処理を行ってもよい。加熱処理には、前述の加熱処理条件を用いることがで
きる。当該加熱処理によって、絶縁膜250Aの水分濃度および水素濃度を低減させるこ
とができる。
【0334】
ダミーゲート膜262Aは、加工してダミーゲートとして使用する。ダミーゲートとは
、仮のゲート電極のことである。つまり、ダミーゲート膜262Aを加工することで、仮
のゲート電極を形成し、後の工程において該ダミーゲートを除去し、代わりに導電膜等に
よるゲート電極を形成する。従って、ダミーゲート膜262Aは微細加工が容易であり、
かつ、除去も容易な膜を用いることが好ましい。
【0335】
ダミーゲート膜262Aの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法
またはALD法などを用いて行うことができる。例えば、絶縁体、半導体、または導電体
を用いることができる。具体的には、ポリシリコン、微結晶シリコン、アモルファスシリ
コンなどのシリコン、アルミニウム、チタン、タングステンなどの金属膜などを用いれば
よい。または、塗布法を用いて、樹脂膜を形成しても良い。樹脂としては、例えば、フォ
トレジスト、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、
ポリイミド、ポリカーボネートまたはアクリルなどがある。樹脂膜を塗布法によって形成
することで、ダミーゲート膜262Aの表面を平坦にすることができる。このように、ダ
ミーゲート膜262Aの表面を平坦にすることで、微細加工が容易となり、さらに、除去
も容易となる。
【0336】
また、ダミーゲート膜262Aは、異なる膜種を用いて多層膜とすることもできる。例
えば、ダミーゲート膜262Aを導電膜と該導電膜上に樹脂膜を形成する2層構造とする
ことができる。ダミーゲート膜をこのような構造とすることで、例えば、後のCMP工程
において、該導電膜がCMP処理のストッパ膜として機能する場合がある。または、CM
P処理の終点検出が可能となる場合があり、加工ばらつきの低減が可能となる場合がある
。
【0337】
次に、リソグラフィー法によって、酸化膜230C、絶縁膜250Aおよびダミーゲー
ト膜262Aをエッチングし、酸化物230c、絶縁体250およびダミーゲート層26
2Bを形成する(
図9参照)。酸化物230c、絶縁体250およびダミーゲート層26
2Bは、少なくとも一部が、導電体205および酸化物230と重なるように形成する。
【0338】
また、酸化物230cの側面、絶縁体250の側面およびダミーゲート層262Bの側
面は、同一面内であることが好ましい。
【0339】
また、酸化物230cの側面、絶縁体250の側面およびダミーゲート層262Bの側
面が共有する同一面は、基板の上面に対し、概略垂直であることが好ましい。つまり、断
面形状において、酸化物230c、絶縁体250、ダミーゲート層262Bは、基板の上
面に対する角度が、90°近傍であることが好ましい。
【0340】
次に、絶縁体224、酸化物230、絶縁体250およびダミーゲート層262Bを覆
って、膜242Aを成膜する(
図10参照)。なお、膜242Aは、0.5nm以上5n
m以下、好ましくは、1nm以上3nm以下の膜厚にするとよい。膜242Aには、金属
膜、金属元素を有する窒化膜、または金属元素を有する酸化膜を用いる。膜242Aは、
例えば、アルミニウム、ルテニウム、チタン、タンタル、タングステン、クロムなどの金
属元素を含む膜とする。なお、膜242Aの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MB
E法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。
【0341】
続いて、加熱処理を行う。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300
℃以上500℃以下、さらに好ましくは320℃以上450℃以下で行えばよい。なお、
加熱処理は、窒素または不活性ガス雰囲気で行う。また、加熱処理は減圧状態で行っても
よい。例えば、膜242Aの成膜後に窒素雰囲気にて400℃の温度で1時間の加熱処理
を行う。
【0342】
窒素を含む雰囲気下での熱処理により、膜242Aから、上述した金属元素が酸化物2
30へ拡散し、酸化物230に金属元素を添加することができる。また、酸化物230の
膜242Aとの界面近傍における酸素が膜242Aに吸収される場合がある。その結果、
酸化物230の膜242Aとの界面近傍が金属化合物となり、低抵抗化する。なお、その
際、酸化物230の一部と、上述した金属元素とが、合金化してもよい。酸化物230の
一部と金属元素が、合金化することで、酸化物230に添加された金属元素は、比較的安
定な状態となるため、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0343】
また、酸化物230中の水素は、領域231に拡散し、領域231に存在する酸素欠損
の中に入った場合、比較的安定な状態となる。また、領域234に存在する酸素欠損中の
水素は、250℃以上の熱処理によって、酸素欠損から抜け出し、領域231に拡散し、
領域231に存在する酸素欠損の中に入り、比較的安定な状態となる。従って、熱処理に
よって、領域231は、より低抵抗化し、領域234は、高純度化(水、水素などの不純
物の低減)し、より高抵抗化する。
【0344】
また、窒素または不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、酸化性ガスを10ppm以上
、1%以上、または10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、25
0℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下、さらに好ましくは320
℃以上450℃以下で行えばよい。
【0345】
また、膜242Aに導電性を有する領域が残存している場合、酸化性雰囲気下で熱処理
を行うことにより、導電性を有する領域を酸化させることで、膜242Aは絶縁体となり
、高抵抗化する。膜242Aを、絶縁体として残存させることで、層間膜として機能させ
ることができる。
【0346】
上記膜242Aの成膜工程、または加熱処理において、膜242Aに、酸化物230中
の酸素が吸収されることで、領域231に酸素欠損が生じる場合がある。酸化物230中
の水素が、当該酸素欠損に入ることで、領域231のキャリア密度は、増加する。従って
、酸化物230の領域231は、n型となり、低抵抗化される。
【0347】
続いて、膜242Aを除去する。なお、金属膜、金属元素を有する酸化膜、または金属
元素を有する窒化膜は、必ずしも除去しなくともよい。例えば、金属膜、金属元素を有す
る酸化膜、または金属元素を有する窒化膜が、酸化物230から吸収した酸素により、酸
化し、絶縁体となり、高抵抗化している場合は、当該膜を残存させてもよい。その場合、
当該膜は層間膜として機能する場合がある。本工程では、ドライエッチング法やウェット
エッチング法を用いることができる。膜242Aを除去することで、膜242Aに吸収さ
れた酸化物230中の水素を同時に除去することができる。従って、トランジスタ200
中の不純物である水素を低減することができる。なお、酸化物230の低抵抗化した領域
近傍を層242として斜線を付して示す(
図11参照)。
【0348】
次に、絶縁膜273Aを成膜する(
図12参照)。絶縁膜273Aの成膜は、スパッタ
リング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができ
る。
【0349】
絶縁膜273Aは、被覆性に優れたALD法により成膜することが好ましい。ALD法
を用いることで、ダミーゲート層262Bなどにより形成された段差部においても、酸化
物230c、絶縁体250およびダミーゲート層262Bの側面に対して、均一な厚さを
有する絶縁膜273Aを形成することができる。また、ALD法を用いることで、緻密な
薄膜を成膜することができる。
【0350】
絶縁膜273Aとして、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シ
リコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素
を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン、または樹脂などを有することが好
ましい。特に、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため好ましい
。
【0351】
一方、絶縁膜273Aとして、バリア性を有する酸化アルミニウムなどを設けてもよい
。例えば、導電体260が酸化しやすい金属膜である場合、バリア性を有する絶縁体を用
いることで、導電体260が絶縁体273の外方からの酸素で酸化することを抑制するこ
とができる。これにより、導電体260の抵抗値が上がることを抑制することができる。
【0352】
絶縁膜273Aとして、ALD法を用いて酸化アルミニウムを設ける場合、絶縁膜27
3Aの膜厚は、0.5nm以上20nm以下、好ましくは、1nm以上10nm以下とす
る。
【0353】
次に、リソグラフィー法によって、絶縁膜273Aを加工し、開口を有する絶縁体27
3Bを形成する。(
図13参照)。
【0354】
次に、絶縁体273B上に、絶縁体280となる絶縁膜を成膜する。絶縁体280とな
る絶縁膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法な
どを用いて行うことができる。
【0355】
次に、絶縁体280となる絶縁膜、ダミーゲート層262B、および絶縁体273Bの
一部をダミーゲート層262Bの一部が露出するまで除去し、絶縁体280、ダミーゲー
ト262および絶縁体273を形成する(
図14参照)。絶縁体280、ダミーゲート2
62および絶縁体273の形成にはCMP処理を用いることが好ましい。
【0356】
また、上述のようにダミーゲート膜262Aを、例えば、導電膜と該導電膜上に樹脂膜
を形成する2層構造の膜とすることで、CMP工程において、該導電膜がCMP処理のス
トッパ膜として機能する場合がある。または、該導電膜によりCMP処理の終点検出が可
能となる場合があり、ダミーゲート262の高さのばらつきの低減が可能となる場合があ
る。
図14に示すように、ダミーゲート262の上面と、絶縁体273および絶縁体28
0の上面が略一致する。
【0357】
次に、ダミーゲート262を除去する。ダミーゲート262の除去は、ウェットエッチ
ング、ドライエッチング、またはアッシングなどを用いて行うことができる。または、適
宜、上記の処理を複数組み合わせて行ってもよい。例えば、アッシング処理の後に、ウェ
ットエッチング処理を行ってもよい。ダミーゲート262を除去することにより、絶縁体
250の表面が露出する(
図15参照)。
【0358】
次に、導電膜260Aaおよび導電膜260Abを成膜する。導電膜260Aaおよび
導電膜260Abの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはA
LD法などを用いて行うことができる。例えば、CVD法を用いることが好ましい。本実
施の形態では、ALD法を用いて、導電膜260Aaを成膜し、CVD法を用いて導電膜
260Abを成膜する(
図16参照)。
【0359】
次に、CMP処理によって、導電膜260Aaおよび導電膜260Abを絶縁体280
が露出するまで研磨することによって、導電体260aおよび導電体260bを有する導
電体260を形成する(
図17参照)。
【0360】
次に、酸素を絶縁体280へ注入する処理を行ってもよい。酸素を注入する処理として
は、酸素を含むガスを用いたプラズマ処理、イオン注入装置を用いて酸素イオンを注入す
る処理などがある。例えば高密度プラズマ源を有する装置を用いて、酸素を含むガスによ
るプラズマを照射することによって、酸素を絶縁体280へ注入することができる。本実
施の形態では、イオン注入装置を用いて、酸素イオンを注入する(
図17参照)。
【0361】
イオン注入装置を用いたイオン注入は、イオン注入量、イオン注入の深さをそれぞれ独
立に制御することができるので好ましい。つまり、最適な注入量および最適な注入深さで
絶縁体280に酸素を注入する事ができるので、性能のバラツキの小さい高性能なトラン
ジスタを有する半導体装置の生産が可能となる。注入量および注入深さは、絶縁体280
の膜厚、トランジスタの大きさ、トランジスタの配置密度、トランジスタの配置によって
、適宜、最適化すればよい。
【0362】
また、絶縁体280上に、絶縁体282となる絶縁膜を形成することによって、酸素を
絶縁体280へ注入してもよい。絶縁体282となる絶縁膜の成膜は、スパッタリング法
、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。絶縁
体282となる絶縁膜としては、例えば、スパッタリング法によって、酸化アルミニウム
膜を成膜することが好ましい。スパッタリング法によって、酸素を含むガスを用いて酸化
アルミニウム膜を成膜することによって、絶縁体280中へ酸素を注入することができる
。つまり、絶縁体280は過剰酸素を有する。また、絶縁体280が有する水素が酸化物
230へ拡散することを抑制することができる場合がある(
図18参照)。
【0363】
これ以降の工程で加熱処理を行ってもよい。加熱処理を行うことにより、絶縁体280
に含まれる過剰酸素を絶縁体273の開口を通り、絶縁体224を介して酸化物230へ
注入することができる。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以
上500℃以下、さらに好ましくは320℃以上450℃以下で行えばよい。なお、加熱
処理は、酸素ガスを含む雰囲気で行うことが好ましい。また、加熱処理は減圧状態で行っ
てもよい。例えば、酸素を含む雰囲気にて400℃の温度で1時間の加熱処理を行う。
【0364】
次に絶縁体282上に、絶縁体283となる絶縁体を成膜してもよい。絶縁体283と
なる絶縁膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD
法などを用いて行うことができる(
図19参照)。
【0365】
次に、絶縁体273、絶縁体280、絶縁体282および絶縁体283に、酸化物23
0の領域231に達する開口を形成する(
図20参照)。当該開口の形成は、リソグラフ
ィー法を用いて行えばよい。
【0366】
次に、導電体240aおよび導電体240bとなる導電膜を成膜する。導電体240a
および導電体240bとなる導電膜は、水または水素など不純物の透過を抑制する機能を
有する導電体を含む積層構造とすることが望ましい。たとえば、窒化タンタル、窒化チタ
ンなどと、タングステン、モリブデン、銅など、と、の積層とすることができる。導電体
240となる導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法または
ALD法などを用いて行うことができる。
【0367】
ここで、例えば、絶縁体273、絶縁体280、絶縁体282および絶縁体283に開
口を形成する際に、酸化物230における領域231の低抵抗化した領域を除去してもよ
い。当該開口に導電体240aおよび導電体240bとなる導電膜を成膜すると、酸化物
230と、導電体240aおよび導電体240bとなる導電膜とが接する領域を有するた
め、当該領域に金属化合物、または酸素欠損が形成され、酸化物230と、導電体240
aおよび導電体240bとなる導電膜と、の接触領域を低抵抗化することができる。当該
接触領域を低抵抗化することで、酸化物230と、導電体240aおよび導電体240b
と、の十分なオーミック接触を確保することができる。従って、導電体240aおよび導
電体240bとなる導電膜は、例えば、アルミニウム、ルテニウム、チタン、タンタル、
タングステン、クロムなどの金属元素を含むことが好ましい。
【0368】
次に、CMP処理を行うことで、導電体240aおよび導電体240bとなる導電膜の
一部を除去し、絶縁体283を露出する。その結果、上記開口のみに、当該導電膜が残存
することで上面が平坦な導電体240aおよび導電体240bを形成することができる(
図1参照)。
【0369】
また、開口の側壁部に酸化アルミニウムを形成した後に、導電体240aおよび導電体
240bを形成してもよい。開口の側壁部に酸化アルミニウムを形成することで、外方か
らの酸素の透過を抑制し、導電体240aおよび導電体240bの酸化を防止することが
できる。また、導電体240aおよび導電体240bから、水、水素などの不純物が外部
に拡散することを防ぐことができる。該酸化アルミニウムは、開口にALD法などを用い
て酸化アルミニウムを成膜し、異方性エッチングを行うことで形成することができる。
【0370】
以上により、
図6乃至
図20に示す半導体装置の作製方法を用いることで、
図1に示す
トランジスタ200を有する半導体装置を作製することができる。
【0371】
<半導体装置の作製方法2>
次に、
図4に示す、本発明に係るトランジスタ200aを有する半導体装置について、
作製方法を
図21乃至
図31を用いて説明する。また、
図21乃至
図31において、各図
の(A)は上面図を示す。また、各図の(B)は、(A)に示すA1-A2の一点鎖線で
示す部位に対応する断面図である。また、各図の(C)は、(A)にA3-A4の一点鎖
線で示す部位に対応する断面図である。なお、各図の(A)の上面図では、図の明瞭化の
ために一部の要素を省いている。
【0372】
図12に示す、絶縁膜273Aの成膜までは、<半導体装置の作製方法1>に示すトラ
ンジスタ200を有する半導体装置の作製方法を参酌する。
【0373】
次に、絶縁膜273A上に、絶縁膜275Aを成膜する。絶縁膜275Aの成膜は、ス
パッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことが
できる(
図21参照)。
【0374】
次に、絶縁膜275Aに異方性のエッチング処理を行い、絶縁体275Bを形成する(
図22参照)。
【0375】
上記異方性のエッチング処理としては、ドライエッチング処理を行うことが好ましい。
これにより、基板面に略平行な面に成膜された当該絶縁膜を除去して、絶縁体275Bを
自己整合的に形成することができる。
【0376】
次に、リソグラフィー法によって、絶縁膜273Aを加工し、開口を有する絶縁体27
3Bを形成する。(
図23参照)。
【0377】
次に、絶縁体273B、酸化物230、絶縁体275B、およびダミーゲート層262
Bを覆って、絶縁体280となる絶縁膜を成膜する。絶縁体280となる絶縁膜の成膜は
、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うこ
とができる。
【0378】
次に、絶縁体280となる絶縁膜、ダミーゲート層262B、絶縁体273Bおよび絶
縁体275Bの一部をダミーゲート層262Bの一部が露出するまで除去し、絶縁体28
0、ダミーゲート262、絶縁体273、および絶縁体275を形成する(
図24参照)
。絶縁体280、ダミーゲート262、絶縁体273、および絶縁体275の形成にはC
MP処理を用いることが好ましい。
【0379】
また、上述のようにダミーゲート膜262Aを、例えば、導電膜と該導電膜上に樹脂膜
を形成する2層構造の膜とすることで、CMP工程において、該導電膜がCMP処理のス
トッパ膜として機能する場合がある。または、該導電膜によりCMP処理の終点検出が可
能となる場合があり、ダミーゲート262の高さのばらつきの低減が可能となる場合があ
る。図に示すように、ダミーゲート262の上面と、絶縁体273および絶縁体280の
上面が略一致する。
【0380】
次に、ダミーゲート262を除去する。ダミーゲート262の除去は、ウェットエッチ
ング、ドライエッチング、またはアッシングなどを用いて行うことができる。または、適
宜、上記の処理を複数組み合わせて行ってもよい。例えば、アッシング処理の後に、ウェ
ットエッチング処理を行ってもよい。ダミーゲート262を除去することにより、絶縁体
250の表面が露出する(
図25参照)。
【0381】
次に、導電膜260Aaおよび導電膜260Abを成膜する。導電膜260Aaおよび
導電膜260Abの成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはA
LD法などを用いて行うことができる。例えば、CVD法を用いることが好ましい。本実
施の形態では、ALD法を用いて、導電膜260Aaを成膜し、CVD法を用いて導電膜
260Abを成膜する(
図26参照)。
【0382】
次に、CMP処理によって、導電膜260Aaおよび導電膜260Abを絶縁体280
が露出するまで研磨することによって、導電体260Baおよび導電体260Bbを有す
る導電体260Bを形成する(
図27参照)。
【0383】
次に、導電体260Baおよび導電体260Bbの一部を除去し、導電体260Bを薄
膜化し、導電体260aおよび導電体260bを形成する。薄膜化は、ウェットエッチン
グまたはドライエッチングを用いることができる。また、薄膜化する厚さは導電体260
Bの厚さの1/4程度とすることが好ましい(
図28参照)。
【0384】
次に、絶縁体270となる絶縁膜を成膜する。絶縁体270となる絶縁膜の成膜は、ス
パッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことが
できる。例えば、絶縁体270となる絶縁膜として、絶縁体275と同様の材料を用いる
ことが好ましい。
【0385】
次に、CMP処理によって、絶縁体270となる絶縁膜を絶縁体280が露出するまで
研磨することによって、絶縁体270を形成することができる(
図28参照)。
【0386】
次に、酸素を絶縁体280へ注入する処理を行ってもよい。酸素を注入する処理として
は、酸素を含むガスを用いたプラズマ処理、イオン注入装置を用いて酸素イオンを注入す
る処理などがある。例えば高密度プラズマ源を有する装置を用いて、酸素を含むガスによ
るプラズマを照射することによって、酸素を絶縁体280へ注入することができる。本実
施の形態では、イオン注入装置を用いて、酸素イオンを注入する(
図28参照)。
【0387】
イオン注入装置を用いたイオン注入は、イオン注入量、イオン注入の深さをそれぞれ独
立に制御することができるので好ましい。つまり、最適な注入量および最適な注入深さで
絶縁体280に酸素を注入する事ができるので、性能のバラツキの小さい高性能なトラン
ジスタを有する半導体装置の生産が可能となる。注入量および注入深さは、絶縁体280
の膜厚、トランジスタの大きさ、トランジスタの配置密度、トランジスタの配置によって
、適宜、最適化すればよい。
【0388】
また、絶縁体280上に、絶縁体282となる絶縁膜を形成することによって、酸素を
絶縁体280へ注入してもよい。絶縁体282となる絶縁膜の成膜は、スパッタリング法
、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD法などを用いて行うことができる。絶縁
体282となる絶縁膜としては、例えば、スパッタリング法によって、酸化アルミニウム
膜を成膜することが好ましい。スパッタリング法によって、酸素を含むガスを用いて酸化
アルミニウム膜を成膜することによって、絶縁体280中へ酸素を注入することができる
。つまり、絶縁体280は過剰酸素を有する。また、絶縁体280が有する水素が酸化物
230へ拡散することを抑制することができる場合がある(
図29参照)。
【0389】
これ以降の工程で加熱処理を行ってもよい。加熱処理を行うことにより、絶縁体280
に含まれる過剰酸素を絶縁体273の開口を通り、絶縁体224を介して酸化物230へ
注入することができる。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以
上500℃以下、さらに好ましくは320℃以上450℃以下で行えばよい。なお、加熱
処理は、酸素ガスを含む雰囲気で行うことが好ましい。また、加熱処理は減圧状態で行っ
てもよい。例えば、酸素を含む雰囲気にて400℃の温度で1時間の加熱処理を行う。
【0390】
次に絶縁体282上に、絶縁体283となる絶縁体を成膜してもよい。絶縁体283と
なる絶縁膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、またはALD
法などを用いて行うことができる(
図30参照)。
【0391】
次に、絶縁体273、絶縁体280、絶縁体282および絶縁体283に、酸化物23
0の領域231に達する開口を形成する(
図31参照)。当該開口の形成は、リソグラフ
ィー法を用いて行えばよい。ここで、導電体240が、絶縁体275の側面に接して設け
られるように、当該開口を形成する。当該開口は、絶縁体275をほとんどエッチングし
ない条件で形成されることが好ましく、即ち絶縁体275のエッチング速度に比べて絶縁
体280のエッチング速度が大きいことが好ましい。絶縁体275のエッチング速度を1
とすると、絶縁体280のエッチング速度は好ましくは5以上であり、より好ましくは1
0以上である。この様な開口条件とすることで、開口部を領域231へ自己整合的に配置
することができるので微細なトランジスタの作製ができる。また、例えば、開口が絶縁体
270の上面と重なる位置にずれた場合でも、絶縁体270のエッチング速度が、絶縁体
275と同様に、絶縁体280のエッチング速度に比べて著しく小さい開口条件とすれば
開口が導電体260に達することがない。即ち、導電体260と、導電体240aまたは
導電体240bと、が、電気的に短絡することを防ぐことができる。従って、リソグラフ
ィー工程において、導電体260と、開口と、の位置ずれに対する許容範囲が大きくなる
ので歩留まりの向上が期待できる。
【0392】
次に、導電体240aおよび導電体240bとなる導電膜を成膜する。導電体240a
および導電体240bとなる導電膜は、水または水素など不純物の透過を抑制する機能を
有する導電体を含む積層構造とすることが望ましい。たとえば、窒化タンタル、窒化チタ
ンなどと、タングステン、モリブデン、銅など、と、の積層とすることができる。導電体
240となる導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法または
ALD法などを用いて行うことができる。
【0393】
ここで、例えば、絶縁体273、絶縁体280、絶縁体282および絶縁体283に開
口を形成する際に、酸化物230における領域231の低抵抗化した領域を除去してもよ
い。当該開口に導電体240aおよび導電体240bとなる導電膜を成膜すると、酸化物
230と、導電体240aおよび導電体240bとなる導電膜とが接する領域を有するた
め、当該領域に金属化合物、または酸素欠損が形成され、酸化物230と、導電体240
aおよび導電体240bとなる導電膜と、の接触領域を低抵抗化することができる。当該
接触領域を低抵抗化することで、酸化物230と、導電体240aおよび導電体240b
と、の十分なオーミック接触を確保することができる。従って、導電体240aおよび導
電体240bとなる導電膜は、例えば、アルミニウム、ルテニウム、チタン、タンタル、
タングステン、クロムなどの金属元素を含むことが好ましい。
【0394】
次に、CMP処理を行うことで、導電体240aおよび導電体240bとなる導電膜の
一部を除去し、絶縁体283を露出する。その結果、上記開口のみに、当該導電膜が残存
することで上面が平坦な導電体240aおよび導電体240bを形成することができる(
図4参照)。
【0395】
また、開口の側壁部に酸化アルミニウムを形成した後に、導電体240aおよび導電体
240bを形成してもよい。開口の側壁部に酸化アルミニウムを形成することで、外方か
らの酸素の透過を抑制し、導電体240aおよび導電体240bの酸化を防止することが
できる。また、導電体240aおよび導電体240bから、水、水素などの不純物が外部
に拡散することを防ぐことができる。該酸化アルミニウムは、開口にALD法などを用い
て酸化アルミニウムを成膜し、異方性エッチングを行うことで形成することができる。
【0396】
以上により、
図21乃至
図31に示す半導体装置の作製方法を用いることで、
図4に示
すトランジスタ200aを有する半導体装置を作製することができる。
【0397】
本発明の一態様により、良好な電気特性を有する半導体装置を提供することができる。
または、本発明の一態様により、オフ電流の小さい半導体装置を提供することができる。
または、本発明の一態様により、オン電流の大きい半導体装置を提供することができる。
または、本発明の一態様により、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。また
は、本発明の一態様により、微細化または高集積化が可能な半導体装置を提供することが
できる。または、本発明の一態様により、低消費電力の半導体装置を提供することができ
る。または、本発明の一態様により、生産性の高い半導体装置を提供することができる。
【0398】
本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組
み合わせて用いることができる。
【0399】
<半導体装置の変形例>
以下では、
図5を用いて、先の<半導体装置の構成例1>および<半導体装置の構成例
2>で示したものとは異なる、本発明の一態様に係るトランジスタ200を有する半導体
装置の一例について説明する。
【0400】
図5(A)は、トランジスタ200を有する半導体装置の上面図である。また、
図5(
B)、および
図5(C)は、当該半導体装置の断面図である。ここで、
図5(B)は、図
5(A)にA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャ
ネル長方向の断面図でもある。また、
図5(C)は、
図5(A)にA3-A4の一点鎖線
で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図でもある。な
お、
図5(A)の上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いている。
【0401】
なお、
図5に示す半導体装置において、<半導体装置の構成例1>および<半導体装置
の構成例2>に示した半導体装置(
図1および
図4参照)を構成する構成要素と同機能を
有する構成要素には、同符号を付記する。
【0402】
以下、トランジスタ200の構成について、それぞれ
図5を用いて説明する。なお、本
項目においても、トランジスタ200の構成材料については<半導体装置の構成例1>お
よび<半導体装置の構成例2>で詳細に説明した材料を用いることができる。
【0403】
図5に示す半導体装置は、<半導体装置の構成例1>および<半導体装置の構成例2>
に示した半導体装置(
図1および
図4参照)とは、絶縁体224と、酸化物230aとの
間に、開口を有する酸化物230dが設けられている点が異なる。酸化物230aは、酸
化物230dに設けられた開口を介して絶縁体224と接する。
【0404】
酸化物230dに用いる材料は、酸化物230a、および酸化物230bと比較して、
Ga、およびZnの比率が大きいものが好ましい。具体的には、酸化物230dに用いる
金属酸化物において、構成元素中の元素Mの原子数比が、酸化物230aに用いる金属酸
化物における、構成元素中の元素Mの原子数比より小さく、酸化物230bに用いる金属
酸化物における、構成元素中の元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化
物230dに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物23
0aに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比、および酸化物230
bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好まし
い。例えば、酸化物230dとして、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=1
:3:4[原子数比]のターゲットを用いて形成された酸化膜を用いることができる。
【0405】
酸化物230dとして、酸素を透過しにくい材料を用いることが好ましい。一方、酸化
物230dは、領域234と重畳する位置に開口を有している。そのため、絶縁体224
に含まれる酸素は、該開口を通って、酸化物230a、および酸化物230bに拡散する
。
図5(B)に示す矢印は、絶縁体280、および絶縁体224に含まれる酸素が、拡散
する様子を可視化したものである。絶縁体280に含まれる酸素は、絶縁体273に設け
られた開口を通って絶縁体224に拡散する。また、絶縁体224の酸素は、酸化物23
0dに設けられた開口を通って、酸化物230a、および酸化物230bの領域234に
拡散する。なお、酸化物230a、および酸化物230bに供給される酸素は、領域23
1まで拡散してもよい。トランジスタ200に酸化物230dを設けることにより、効率
よく領域234に酸素を供給することができる。
【0406】
酸化物230dを有するトランジスタ200を作製する場合、絶縁体224上に酸化物
230dとなる酸化膜(以降、酸化膜230Dと称する)を形成する。次に、酸化膜23
0Dに開口部を形成する。該開口部は、導電体205や、導電体203と重なるように形
成する。また、該開口は、後工程にて形成される、酸化物230の領域234と重なるよ
うに形成されることが好ましい。
【0407】
次に、酸化膜230D上に、上記<半導体装置の作製方法1>と同様に、酸化膜230
A、酸化膜230Bを形成する。該膜の形成前後に、適宜熱処理を行ってもよい。
【0408】
次に、リソグラフィー法を用いて酸化膜230B、酸化膜230A、および酸化膜23
0Dを島状に加工し、酸化物230b、酸化物230a、および酸化物230dを形成す
る。当該加工はドライエッチング法やウェットエッチング法を用いることができる。ドラ
イエッチング法による加工は微細加工に適している。
【0409】
以降、上記<半導体装置の作製方法1>と同様の工程を行うことにより、酸化物230
dを有するトランジスタ200を作製することができる。
【0410】
本実施の形態に示す構成、構造、方法などは、他の実施の形態に示す構成、構造、方法
などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0411】
(実施の形態2)
本実施の形態では、上記実施の形態とは異なる、記憶装置として機能する半導体装置の
一形態を、
図33乃至
図36を用いて説明する。
【0412】
<記憶装置1>
図33(A)(B)に記憶装置を構成するセル600を示す。セル600は、トランジ
スタ200a、トランジスタ200b、容量素子100a、および容量素子100bを有
している。
図33(A)は、セル600の上面図である。また、
図33(B)は、
図33
(A)にA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図である。なお、
図33(A)の上面図
では、図の明瞭化のために一部の要素を省いている。
【0413】
セル600は、トランジスタ200aおよびトランジスタ200bを有し、トランジス
タ200aの上に重畳して容量素子100aを有し、トランジスタ200bの上に重畳し
て容量素子100bを有する。セル600では、トランジスタ200aとトランジスタ2
00b、および容量素子100aと容量素子100bは、対称に配置される場合がある。
よって、トランジスタ200aとトランジスタ200bは同様の構成を有することが好ま
しく、容量素子100aと容量素子100bは同様の構成を有することが好ましい。
【0414】
セル600は、トランジスタ200aおよびトランジスタ200b上の絶縁体283の
上に絶縁体130を有し、絶縁体130の上に絶縁体150を有する。ここで、絶縁体1
50は、絶縁体283に用いることができる絶縁体を用いればよい。
【0415】
さらに、絶縁体150の上に導電体160を有する。また、絶縁体273、絶縁体28
0、絶縁体282、絶縁体283、絶縁体130、および絶縁体150に形成された開口
に埋め込まれるように導電体240が設けられる。導電体240の下面は領域231と接
し、導電体240の上面は導電体160と接している。
【0416】
トランジスタ200aおよびトランジスタ200bは、上記実施の形態に示すトランジ
スタ200を用いることができる。よって、トランジスタ200aおよびトランジスタ2
00bの構成については、上記トランジスタ200の記載を参酌することができる。また
、
図33(A)(B)において、トランジスタ200a、トランジスタ200bの要素の
符号は省略している。なお、
図33(A)(B)に示すトランジスタ200aおよびトラ
ンジスタ200bは一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適
切なトランジスタを用いればよい。
【0417】
トランジスタ200aとトランジスタ200bは、両方とも酸化物230を共有してお
り、トランジスタ200aのソースおよびドレインの一方と、トランジスタ200bのソ
ースおよびドレインの一方は、共有されている。よって、トランジスタ200aのソース
およびドレインの一方と、トランジスタ200bのソースおよびドレインの一方は、導電
体240と電気的に接続している。これにより、トランジスタ200aおよびトランジス
タ200bのコンタクト部が共有され、プラグとコンタクトホールの数を低減することが
できる。このように、ソースおよびドレインの一方と電気的に接続する配線を共有するこ
とで、メモリセルアレイの占有面積を縮小することができる。
【0418】
[容量素子100aおよび容量素子100b]
図33(A)(B)に示すように、容量素子100aは、トランジスタ200aと重畳
する領域に設ける。同様に、容量素子100bは、トランジスタ200bと重畳する領域
に設ける。なお、容量素子100bは、容量素子100aが有する構造と、それぞれ対応
する構造を有する。以下において、容量素子100aの詳細な構造について説明するが、
特にことわりが無い限り容量素子100bについては、容量素子100aの説明を参酌す
ることができる。
【0419】
容量素子100aは、導電体110、絶縁体130、絶縁体130上の導電体120を
有する。ここで、導電体110および導電体120は、導電体203、導電体205、ま
たは導電体260などに用いることができる導電体を用いればよい。
【0420】
容量素子100aは、絶縁体273、絶縁体280、絶縁体282、および絶縁体28
3が有する開口に形成されている。当該開口の、底面、および側面において、下部電極と
して機能する導電体110と、上部電極として機能する導電体120が、誘電体として機
能する絶縁体130を挟んで対向する。ここで、容量素子100aの導電体110は、ト
ランジスタ200aのソースまたはドレインの他方に接して形成されている。
【0421】
特に、絶縁体280、および絶縁体283が有する開口の深さを深くすることで、投影
面積は変わらず、容量素子100aの静電容量を大きくすることができる。従って、容量
素子100aは、シリンダー型(底面積よりも、側面積の方が大きい)とすることが好ま
しい。
【0422】
上記構成とすることで、容量素子100aの単位面積当たりの静電容量を大きくでき、
半導体装置の微細化または高集積化を推し進めることができる。また、絶縁体280、お
よび絶縁体283の膜厚により、容量素子100aの静電容量の値を、適宜設定すること
ができる。従って、設計自由度が高い半導体装置を提供することができる。
【0423】
また、絶縁体130は、比誘電率の大きい絶縁体を用いることが好ましい。例えば、ア
ルミニウム及びハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体を用いることができる
。アルミニウム及びハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アル
ミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムア
ルミネート)などを用いることが好ましい。
【0424】
また、絶縁体130は、積層構造であってもよい、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シ
リコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミ
ニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などから、2層以上を
選び積層構造としても良い。例えば、ALD法によって、酸化ハフニウム、酸化アルミニ
ウムおよび酸化ハフニウムを順に成膜し、積層構造とすることが好ましい。酸化ハフニウ
ムおよび酸化アルミニウムの膜厚は、それぞれ、0.5nm以上5nm以下とする。この
ような積層構造とすることで、静電容量値が大きく、かつ、リーク電流の小さな容量素子
100aとすることができる。
【0425】
なお、導電体110、または導電体120は、積層構造であってもよい。例えば、導電
体110、または導電体120は、チタン、窒化チタン、タンタル、または窒化タンタル
を主成分とする導電性材料と、タングステン、銅、またはアルミニウムを主成分とする導
電性材料と、の積層構造としてもよい。また、導電体110、または導電体120は、単
層構造としてもよいし、3層以上の積層構造としてもよい。
【0426】
[セルアレイの構造]
次に、上記のセルを行列またはマトリクス状に配置した、セルアレイの一例について、
図34乃至
図37を用いて説明する。
【0427】
図34は、
図33に示すセル600を、マトリクス状に配置した一形態を示す回路図で
ある。
図35は、
図34に示す回路図のセル600と、セル600に隣接するセル601
の近傍の断面構造を示す模式図である。
図36は、
図34に示す回路図の配線WL、配線
BL、および酸化物230のレイアウトを示した模式図である。
図34乃至
図37では、
配線BLの延伸方向をx方向とし、配線WLの延伸方向をy方向とし、xy平面に垂直な
方向をz方向とする。なお、
図34、
図36および
図37では、セルを3×3個配置する
例を示しているが、本実施の形態はこれに限られることなく、セルアレイに含まれるメモ
リセルまたは配線等の、個数及び配置は、適宜設定すればよい。また、
図36および
図3
7の上面図では、図の明瞭化のために、
図34に示す一部の要素を省いている。
【0428】
図34に示すように、セルを構成するトランジスタ200aとトランジスタ200bの
ソースおよびドレインの一方が共通の配線BL(BL01、BL02、BL03)と電気
的に接続する。また、当該配線BLは、x方向に配列されたセルが有するトランジスタ2
00aとトランジスタ200bのソースおよびドレインの一方とも電気的に接続する。一
方、セルを構成する、トランジスタ200aの第1のゲートと、トランジスタ200bの
第1のゲートは、それぞれ異なる配線WL(WL01乃至WL06)と電気的に接続する
。また、これらの配線WLは、y方向に配列されたセルが有する、トランジスタ200a
の第1のゲートと、トランジスタ200bの第1のゲートと、それぞれ電気的に接続する
。
【0429】
また、セルが有する、容量素子100aの一方の電極、および容量素子100bの一方
の電極は、配線PLと電気的に接続する。例えば、配線PLはy方向に延伸して形成すれ
ばよい。
【0430】
また、各セルが有するトランジスタ200aおよびトランジスタ200bには第2のゲ
ートBGが設けられていてもよい。第2のゲートBGに印加される電位により、トランジ
スタのしきい値を制御することができる。当該第2のゲートBGはトランジスタ400と
接続されており、第2のゲートBGに印加される電位は、トランジスタ400によって制
御することができる。
【0431】
例えば、
図35に示すように、導電体160をx方向に延伸させて配線BLとして機能
させ、導電体260をy方向に延伸させて配線WLとして機能させ、導電体120をy方
向に延伸させて配線PLとして機能させることができる。また、導電体203をy方向に
延伸させて第2のゲートBGに接続する配線として機能させることもできる。
【0432】
また、
図35に示すように、セル600が有する容量素子100bの一方の電極として
機能する導電体120が、セル601が有する容量素子100aの一方の電極をも兼ねる
構成とすることが好ましい。また、図示しないが、セル600が有する容量素子100a
の一方の電極として機能する導電体120が、セル600の左側に隣接するセルの容量素
子の一方の電極を兼ねている。セル601の右側のセルについても同様の構成となってい
る。従って、セルアレイを構成することができる。当該セルアレイの構成とすることで、
隣り合うセルの間隔を小さくすることができるので、セルアレイの投影面積を小さくする
ことができ、高集積化が可能となる。
【0433】
また、
図36に示すように、酸化物230および配線WLをマトリクス状に配置するこ
とで、
図34に示す回路図の半導体装置を形成することができる。ここで、配線BLは、
配線WLおよび酸化物230とは異なる層に設けることが好ましい。特に、配線BLより
も、下層に容量素子100a、および容量素子100bを設けることで、酸化物230の
長辺方向と、配線BLが、概略平行になるレイアウトを実現することができる。従って、
セルのレイアウトを単純化することができ、設計の自由度が向上し、工程コストを低減す
ることができる。
【0434】
また、
図36では、酸化物230の長辺が配線WLの延伸方向と概略直交するように、
酸化物230および配線WLを設けたが、これに限られるものではない。例えば、
図37
に示すように酸化物230の長辺が配線WLの延伸方向と直交せず、酸化物230の長辺
が配線WLの延伸方向に対して傾けて配置されるレイアウトにしてもよい。このように傾
けて配置することにより、例えば、容量素子100aおよび容量素子100bと、配線B
Lとが、交錯することなく配置することができるので、容量素子100aおよび容量素子
100bが、z方向に伸長することができ、容量素子100aおよび容量素子100bの
容量を大きくすることができる。好ましくは、酸化物230の長辺と配線WLのなす角が
、20°以上70°以下、好ましくは30°以上60°以下になるように、酸化物230
と配線WLを設ければよい。
【0435】
また、当該セルアレイを平面のみでなく積層する構成としてもよい。複数のセルアレイ
を積層することにより、セルアレイの占有面積を増やすことなく、セルを集積して配置す
ることができる。つまり、3Dセルアレイを構成することができる。
【0436】
以上のように、本発明の一態様により、微細化または高集積化が可能な半導体装置を提
供することができる。または、本発明の一態様により、良好な電気特性を有する半導体装
置を提供することができる。または、本発明の一態様により、オフ電流の小さい半導体装
置を提供することができる。または、本発明の一態様により、オン電流の大きいトランジ
スタを提供することができる。または、本発明の一態様により、信頼性の高い半導体装置
を提供することができる。または、本発明の一態様により、低消費電力の半導体装置を提
供することができる。または、本発明の一態様により、生産性の高い半導体装置を提供す
ることができる。
【0437】
本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組
み合わせて用いることができる。
【0438】
(実施の形態3)
本実施の形態では、半導体装置の一形態を、
図38乃至
図40を用いて説明する。
【0439】
<記憶装置1>
図38および
図40に示す記憶装置は、トランジスタ300と、トランジスタ200、
および容量素子100を有している。
図38および
図40は、トランジスタ200および
トランジスタ300のチャネル長方向の断面図である。
図39には、トランジスタ300
とその近傍のチャネル幅方向の断面図を示す。
【0440】
トランジスタ200は、酸化物半導体を有する半導体層にチャネルが形成されるトラン
ジスタである。トランジスタ200は、オフ電流が小さいため、これを記憶装置に用いる
ことにより長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動
作を必要としない、あるいは、リフレッシュ動作の頻度が極めて少ないため、記憶装置の
消費電力を十分に低減することができる。
【0441】
図38、および
図40に示す記憶装置において、配線1001はトランジスタ300の
ソースと電気的に接続され、配線1002はトランジスタ300のドレインと電気的に接
続されている。また、配線1003はトランジスタ200のソースおよびドレインの一方
と電気的に接続され、配線1004はトランジスタ200のトップゲートと電気的に接続
され、配線1006はトランジスタ200のボトムゲートと電気的に接続されている。そ
して、トランジスタ300のゲート、およびトランジスタ200のソースおよびドレイン
の他方は、容量素子100の電極の一方と電気的に接続され、配線1005は容量素子1
00の電極の他方と電気的に接続されている。
【0442】
図38、および
図40に示す記憶装置は、トランジスタ300のゲートの電位が保持可
能という特性を有することで、以下に示すように、情報の書き込み、保持、読み出しが可
能である。
【0443】
情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、配線1004の電位を、トランジ
スタ200が導通状態となる電位にして、トランジスタ200を導通状態とする。これに
より、配線1003の電位が、トランジスタ300のゲート、および容量素子100の電
極の一方と電気的に接続するノードSNに与えられる。即ち、トランジスタ300のゲー
トには、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位レベルを与
える電荷(以下Lowレベル電荷、Highレベル電荷という)のどちらかが与えられる
ものとする。その後、配線1004の電位を、トランジスタ200が非導通状態となる電
位にして、トランジスタ200を非導通状態とすることにより、ノードSNに電荷が保持
される(保持)。
【0444】
トランジスタ200のオフ電流が小さい場合、ノードSNの電荷は長期間にわたって保
持される。
【0445】
次に情報の読み出しについて説明する。配線1001に所定の電位(定電位)を与えた
状態で、配線1005に適切な電位(読み出し電位)を与えると、配線1002は、ノー
ドSNに保持された電荷量に応じた電位をとる。これは、トランジスタ300をnチャネ
ル型とすると、トランジスタ300のゲートにHighレベル電荷が与えられている場合
の見かけ上のしきい値電圧Vth_Hは、トランジスタ300のゲートにLowレベル電
荷が与えられている場合の見かけ上のしきい値電圧Vth_Lより低くなるためである。
ここで、見かけ上のしきい値電圧とは、トランジスタ300を「導通状態」とするために
必要な配線1005の電位をいうものとする。したがって、配線1005の電位をVth
_HとVth_Lの間の電位V0とすることにより、ノードSNに与えられた電荷を判別
できる。例えば、書き込みにおいて、ノードSNにHighレベル電荷が与えられていた
場合には、配線1005の電位がV0(>Vth_H)となれば、トランジスタ300は
「導通状態」となる。一方、ノードSNにLowレベル電荷が与えられていた場合には、
配線1005の電位がV0(<Vth_L)となっても、トランジスタ300は「非導通
状態」のままである。このため、配線1002の電位を判別することで、ノードSNに保
持されている情報を読み出すことができる。
【0446】
<記憶装置1の構造>
本発明の一態様の記憶装置は、
図38に示すようにトランジスタ300、トランジスタ
200、容量素子100を有する。トランジスタ200はトランジスタ300の上方に設
けられ、容量素子100はトランジスタ300、およびトランジスタ200の上方に設け
られている。
【0447】
トランジスタ300は、基板311上に設けられ、導電体316、絶縁体315、基板
311の一部からなる半導体領域313、およびソース領域またはドレイン領域として機
能する低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bを有する。
【0448】
トランジスタ300は、
図39に示すように、半導体領域313の上面およびチャネル
幅方向の側面が絶縁体315を介して導電体316に覆われている。このように、トラン
ジスタ300をFin型とすることにより、実効的なチャネル幅が増大することによりト
ランジスタ300のオン特性を向上させることができる。また、ゲート電極の電界の寄与
を高くすることができるため、トランジスタ300のオフ特性を向上させることができる
。
【0449】
トランジスタ300は、pチャネル型、あるいはnチャネル型のいずれでもよい。
【0450】
半導体領域313のチャネルが形成される領域、その近傍の領域、ソース領域、または
ドレイン領域となる低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bなどにおいて、シリ
コン系半導体などの半導体を含むことが好ましく、単結晶シリコンを含むことが好ましい
。または、Ge(ゲルマニウム)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、GaAs(ガリ
ウムヒ素)、GaAlAs(ガリウムアルミニウムヒ素)などを有する材料で形成しても
よい。結晶格子に応力を与え、格子間隔を変化させることで有効質量を制御したシリコン
を用いた構成としてもよい。またはGaAsとGaAlAs等を用いることで、トランジ
スタ300をHEMT(High Electron Mobility Transi
stor)としてもよい。
【0451】
低抵抗領域314a、および低抵抗領域314bは、半導体領域313に適用される半
導体材料に加え、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する元素、またはホウ素などのp
型の導電性を付与する元素を含む。
【0452】
ゲート電極として機能する導電体316は、ヒ素、リンなどのn型の導電性を付与する
元素、もしくはホウ素などのp型の導電性を付与する元素を含むシリコンなどの半導体材
料、金属材料、合金材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を用いることができる
。
【0453】
なお、導電体の材料により、仕事関数が定まるため、導電体の材料を変更することで、
しきい値電圧を調整することができる。具体的には、導電体に窒化チタンや窒化タンタル
などの材料を用いることが好ましい。さらに導電性と埋め込み性を両立するために導電体
にタングステンやアルミニウムなどの金属材料を積層として用いることが好ましく、特に
タングステンを用いることが耐熱性の点で好ましい。
【0454】
なお、
図38に示すトランジスタ300は一例であり、その構造に限定されず、回路構
成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
【0455】
トランジスタ300を覆って、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶
縁体326が順に積層して設けられている。
【0456】
絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326として、例えば、酸
化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、
酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウムなどを用いればよい。
【0457】
絶縁体322は、その下方に設けられるトランジスタ300などによって生じる段差を
平坦化する平坦化膜としての機能を有していてもよい。例えば、絶縁体322の上面は、
平坦性を高めるために化学機械研磨(CMP)法等を用いた平坦化処理により平坦化され
ていてもよい。
【0458】
また、絶縁体324には、基板311、またはトランジスタ300などから、トランジ
スタ200が設けられる領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を
用いることが好ましい。
【0459】
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、例えば、CVD法で形成した窒化シリ
コンを用いることができる。ここで、トランジスタ200等の酸化物半導体を有する半導
体素子に、水素が拡散することで、該半導体素子の特性が低下する場合がある。従って、
トランジスタ200と、トランジスタ300との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いる
ことが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜と
する。
【0460】
水素の脱離量は、例えば、TDSなどを用いて分析することができる。例えば、絶縁体
324の水素の脱離量は、TDS分析において、膜の表面温度が50℃から500℃の範
囲において、水素原子に換算した脱離量が、絶縁体324の面積当たりに換算して、10
×1015atoms/cm2以下、好ましくは5×1015atoms/cm2以下で
あればよい。
【0461】
なお、絶縁体326は、絶縁体324よりも比誘電率が低いことが好ましい。例えば、
絶縁体326の比誘電率は4未満が好ましく、3未満がより好ましい。また例えば、絶縁
体326の比誘電率は、絶縁体324の比誘電率の0.7倍以下が好ましく、0.6倍以
下がより好ましい。比誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量
を低減することができる。
【0462】
また、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、および絶縁体326には容量素子
100、またはトランジスタ200と電気的に接続する導電体328、および導電体33
0等が埋め込まれている。なお、導電体328、および導電体330はプラグ、または配
線として機能する。また、プラグまたは配線として機能する導電体は、複数の構造をまと
めて同一の符号を付与する場合がある。また、本明細書等において、配線と、配線と電気
的に接続するプラグとが一体物であってもよい。すなわち、導電体の一部が配線として機
能する場合、および導電体の一部がプラグとして機能する場合もある。
【0463】
各プラグ、および配線(導電体328、および導電体330等)の材料としては、金属
材料、合金材料、金属窒化物材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を、単層また
は積層で用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなど
の高融点材料を用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが好ましい。また
は、アルミニウムや銅などの低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。低抵抗導電性
材料を用いることで配線抵抗を低くすることができる。
【0464】
絶縁体326、および導電体330上に、配線層を設けてもよい。例えば、
図38にお
いて、絶縁体350、絶縁体352、及び絶縁体354が順に積層して設けられている。
また、絶縁体350、絶縁体352、及び絶縁体354には、導電体356が形成されて
いる。導電体356は、プラグ、または配線として機能する。なお導電体356は、導電
体328、および導電体330と同様の材料を用いて形成することができる。
【0465】
なお、例えば、絶縁体350は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有す
る絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体356は、水素に対するバリア性を有す
る導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体350が有
する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成されることが好ましい。当該
構成により、トランジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離するこ
とができ、トランジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することが
できる。
【0466】
なお、水素に対するバリア性を有する導電体としては、例えば、窒化タンタル等を用い
るとよい。また、窒化タンタルと導電性が高いタングステンを積層することで、配線とし
ての導電性を保持したまま、トランジスタ300からの水素の拡散を抑制することができ
る。この場合、水素に対するバリア性を有する窒化タンタル層が、水素に対するバリア性
を有する絶縁体350と接する構造であることが好ましい。
【0467】
絶縁体350、および導電体356上に、配線層を設けてもよい。例えば、
図38にお
いて、絶縁体360、絶縁体362、及び絶縁体364が順に積層して設けられている。
また、絶縁体360、絶縁体362、及び絶縁体364には、導電体366が形成されて
いる。導電体366は、プラグ、または配線として機能する。なお導電体366は、導電
体328、および導電体330と同様の材料を用いて形成することができる。
【0468】
なお、例えば、絶縁体360は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有す
る絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体366は、水素に対するバリア性を有す
る導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体360が有
する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成されることが好ましい。当該
構成により、トランジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離するこ
とができ、トランジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することが
できる。
【0469】
絶縁体364、および導電体366上に、配線層を設けてもよい。例えば、
図38にお
いて、絶縁体370、絶縁体372、及び絶縁体374が順に積層して設けられている。
また、絶縁体370、絶縁体372、及び絶縁体374には、導電体376が形成されて
いる。導電体376は、プラグ、または配線として機能する。なお導電体376は、導電
体328、および導電体330と同様の材料を用いて形成することができる。
【0470】
なお、例えば、絶縁体370は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有す
る絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体376は、水素に対するバリア性を有す
る導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体370が有
する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成されることが好ましい。当該
構成により、トランジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離するこ
とができ、トランジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することが
できる。
【0471】
絶縁体374、および導電体376上に、配線層を設けてもよい。例えば、
図38にお
いて、絶縁体380、絶縁体382、及び絶縁体384が順に積層して設けられている。
また、絶縁体380、絶縁体382、及び絶縁体384には、導電体386が形成されて
いる。導電体386は、プラグ、または配線として機能する。なお導電体386は、導電
体328、および導電体330と同様の材料を用いて形成することができる。
【0472】
なお、例えば、絶縁体380は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有す
る絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体386は、水素に対するバリア性を有す
る導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体380が有
する開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体が形成される。当該構成により、ト
ランジスタ300とトランジスタ200とは、バリア層により分離することができ、トラ
ンジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
【0473】
上記において、導電体356を含む配線層、導電体366を含む配線層、導電体376
を含む配線層、および導電体386を含む配線層、について説明したが、本実施の形態に
係る記憶装置はこれに限られるものではない。導電体356を含む配線層と同様の配線層
を3層以下にしてもよいし、5層以上にしてもよい。
【0474】
絶縁体384上には絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体216
が、順に積層して設けられている。絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、および
絶縁体216のいずれかは、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ま
しい。
【0475】
例えば、絶縁体210、および絶縁体214には、例えば、基板311、またはトラン
ジスタ300を設ける領域などから、トランジスタ200を設ける領域に、水素や不純物
が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。従って、絶縁体324
と同様の材料を用いることができる。
【0476】
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、CVD法で形成した窒化シリコンを用
いることができる。ここで、トランジスタ200等の酸化物半導体を有する半導体素子に
、水素が拡散することで、該半導体素子の特性が低下する場合がある。従って、トランジ
スタ200と、トランジスタ300との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好
ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
【0477】
また、水素に対するバリア性を有する膜として、例えば、絶縁体210、および絶縁体
214には、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物を用い
ることが好ましい。
【0478】
特に、酸化アルミニウムは、酸素、およびトランジスタの電気特性の変動要因となる水
素、水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、
酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分など
の不純物のトランジスタ200への混入を防止することができる。また、トランジスタ2
00を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、トランジス
タ200に対する保護膜として用いることに適している。
【0479】
また、例えば、絶縁体212、および絶縁体216には、絶縁体320と同様の材料を
用いることができる。また、比較的比誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に
生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体212、および絶縁体216と
して、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
【0480】
また、絶縁体210、絶縁体212、絶縁体214、および絶縁体216には、導電体
218、及びトランジスタ200を構成する導電体等が埋め込まれている。なお、導電体
218は、容量素子100、またはトランジスタ300と電気的に接続するプラグ、また
は配線としての機能を有する。導電体218は、導電体328、および導電体330と同
様の材料を用いて形成することができる。
【0481】
特に、絶縁体210、および絶縁体214と接する領域の導電体218は、酸素、水素
、および水に対するバリア性を有する導電体であることが好ましい。当該構成により、ト
ランジスタ300とトランジスタ200とは、酸素、水素、および水に対するバリア性を
有する層で、分離することができ、トランジスタ300からトランジスタ200への水素
の拡散を抑制することができる。
【0482】
絶縁体216の上方には、トランジスタ200が設けられている。なお、トランジスタ
200の構造には、先の実施の形態で説明した半導体装置が有するトランジスタの構造を
用いればよい。また、
図38に示すトランジスタ200は一例であり、その構造に限定さ
れず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
【0483】
トランジスタ200の上方には、絶縁体280を設ける。
【0484】
絶縁体280上には、絶縁体282が設けられている。絶縁体282は、酸素や水素に
対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。従って、絶縁体282には、絶縁体
214と同様の材料を用いることができる。例えば、絶縁体282には、酸化アルミニウ
ム、酸化ハフニウム、酸化タンタルなどの金属酸化物を用いることが好ましい。
【0485】
特に、酸化アルミニウムは、酸素、およびトランジスタの電気特性の変動要因となる水
素、水分などの不純物、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、
酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中および作製後において、水素、水分など
の不純物のトランジスタ200への混入を防止することができる。また、トランジスタ2
00を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、トランジス
タ200に対する保護膜として用いることに適している。
【0486】
また、絶縁体282上には、絶縁体283が設けられている。絶縁体283は、絶縁体
320と同様の材料を用いることができる。また、比較的比誘電率が低い材料を層間膜と
することで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体283と
して、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜などを用いることができる。
【0487】
また、絶縁体220、絶縁体222、絶縁体280、絶縁体282、および絶縁体28
3には、導電体246、および導電体248等が埋め込まれている。
【0488】
導電体246、および導電体248は、容量素子100、トランジスタ200、または
トランジスタ300と電気的に接続するプラグ、または配線として機能する。導電体24
6、および導電体248は、導電体328、および導電体330と同様の材料を用いて形
成することができる。
【0489】
続いて、トランジスタ200の上方には、容量素子100が設けられている。容量素子
100は、導電体110と、導電体120、および絶縁体130とを有する。
【0490】
また、導電体246、および導電体248上に、導電体112を設けてもよい。導電体
112は、容量素子100、トランジスタ200、またはトランジスタ300と電気的に
接続するプラグ、または配線として機能する。導電体110は、容量素子100の電極と
して機能する。なお、導電体112、および導電体110は、同時に形成することができ
る。
【0491】
導電体112、および導電体110には、モリブデン、チタン、タンタル、タングステ
ン、アルミニウム、銅、クロム、ネオジム、スカンジウムから選ばれた元素を含む金属膜
、または上述した元素を成分とする金属窒化物膜(窒化タンタル膜、窒化チタン膜、窒化
モリブデン膜、窒化タングステン膜)等を用いることができる。又は、インジウム錫酸化
物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛
酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、イ
ンジウム亜鉛酸化物、酸化ケイ素を添加したインジウム錫酸化物などの導電性材料を用い
ることもできる。
【0492】
図38では、導電体112、および導電体110を単層構造で示したが、当該構成に限
定されず、2層以上の積層構造でもよい。例えば、バリア性を有する導電体と導電性が高
い導電体との間に、バリア性を有する導電体、および導電性が高い導電体に対して密着性
が高い導電体を形成してもよい。
【0493】
また、導電体112、および導電体110上に、容量素子100の誘電体として、絶縁
体130を設ける。絶縁体130は、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸
化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミ
ニウム、窒化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化窒化ハフニウム、窒化酸化ハフニウム
、窒化ハフニウムなどを用いればよく、積層または単層で設けることができる。
【0494】
例えば、絶縁体130には、酸化窒化シリコンなどの絶縁耐力が大きい材料を用いると
よい。当該構成により、容量素子100は、絶縁体130を有することで、絶縁耐力が向
上し、容量素子100の静電破壊を抑制することができる。
【0495】
絶縁体130上に、導電体110と重畳するように、導電体120を設ける。なお、導
電体120は、金属材料、合金材料、または金属酸化物材料などの導電性材料を用いるこ
とができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデンなどの高融点材料を用
いることが好ましく、特にタングステンを用いることが好ましい。また、導電体などの他
の構造と同時に形成する場合は、低抵抗金属材料であるCu(銅)やAl(アルミニウム
)等を用いればよい。
【0496】
導電体120、および絶縁体130上には、絶縁体150が設けられている。絶縁体1
50は、絶縁体320と同様の材料を用いて設けることができる。また、絶縁体150は
、その下方の凹凸形状を被覆する平坦化膜として機能してもよい。
【0497】
本構造を用いることで、酸化物半導体を有するトランジスタを用いた半導体装置におい
て、電気特性の変動を抑制すると共に、信頼性を向上させることができる。または、オン
電流が大きい酸化物半導体を有するトランジスタを提供することができる。または、オフ
電流が小さい酸化物半導体を有するトランジスタを提供することができる。または、低消
費電力の半導体装置を提供することができる。
【0498】
<記憶装置1の変形例>
以下では、
図40を用いて、本発明の一態様に係る記憶装置の一例について説明する。
【0499】
図40は、容量素子100、トランジスタ200、およびトランジスタ300を有する
記憶装置の断面図である。なお、
図40に示す記憶装置において、先の実施の形態、およ
び<記憶装置1の構造>に示した半導体装置、および記憶装置を構成する構成要素と同機
能を有する構成要素には、同符号を付記する。
【0500】
図40に示す記憶装置は、<記憶装置1の構造>に示した記憶装置と、先の実施の形態
で説明したセル600を設けた点において異なる。
【0501】
具体的には、
図40に示す記憶装置は、一部の構成が容量素子100とトランジスタ2
00とで共有されているセル600を有する
【0502】
上記構造により、セル600と、トランジスタ300との一部、または全体が、重畳す
ることで、記憶装置の投影面積を小さくすることができる。従って、セル600の微細化
、または高集積化が容易となる。また、工程短縮が可能となる。
【0503】
(実施の形態4)
本実施の形態では、
図41乃至
図43を用いて、本発明の一態様に係る、酸化物を半導
体に用いたトランジスタ(以下、OSトランジスタと呼ぶ)、および容量素子が適用され
ている記憶装置の一例として、NOSRAM(登録商標)について説明する。NOSRA
Mとは「Nonvolatile Oxide Semiconductor RAM」
の略称であり、ゲインセル型(2T型、3T型)のメモリセルを有するRAMを指す。な
お、以下において、NOSRAMのようにOSトランジスタを用いたメモリ装置を、OS
メモリと呼ぶ場合がある。
【0504】
NOSRAMでは、メモリセルにOSトランジスタが用いられるメモリ装置(以下、「
OSメモリ」と呼ぶ)が適用されている。OSメモリは、少なくとも容量素子と、容量素
子の充放電を制御するOSトランジスタを有するメモリである。OSトランジスタが極小
オフ電流のトランジスタであるので、OSメモリは優れた保持特性をもち、不揮発性メモ
リとして機能させることができる。
【0505】
<NOSRAM>
図41にNOSRAM1600の構成例を示す。
図41に示すNOSRAM1600は
、メモリセルアレイ1610、コントローラ1640、行ドライバ1650、列ドライバ
1660、出力ドライバ1670を有する。なお、NOSRAM1600は、1のメモリ
セルで多値データを記憶する多値NOSRAMである。
【0506】
メモリセルアレイ1610は複数のメモリセル1611、複数のワード線WWL、RW
L、ビット線BL、ソース線SLを有する。ワード線WWLは書き込みワード線であり、
ワード線RWLは読み出しワード線である。NOSRAM1600では、1のメモリセル
1611で3ビット(8値)のデータを記憶する。
【0507】
コントローラ1640は、NOSRAM1600全体を統括的に制御し、データWDA
[31:0]の書き込み、データRDA[31:0]の読み出しを行う。コントローラ1
640は、外部からのコマンド信号(例えば、チップイネーブル信号、書き込みイネーブ
ル信号など)を処理して、行ドライバ1650、列ドライバ1660および出力ドライバ
1670の制御信号を生成する。
【0508】
行ドライバ1650は、アクセスする行を選択する機能を有する。行ドライバ1650
は、行デコーダ1651、およびワード線ドライバ1652を有する。
【0509】
列ドライバ1660は、ソース線SLおよびビット線BLを駆動する。列ドライバ16
60は、列デコーダ1661、書き込みドライバ1662、DAC(デジタル-アナログ
変換回路)1663を有する。
【0510】
DAC1663は3ビットのデジタルデータをアナログ電圧に変換する。DAC166
3は32ビットのデータWDA[31:0]を3ビットごとに、アナログ電圧に変換する
。
【0511】
書き込みドライバ1662は、ソース線SLをプリチャージする機能、ソース線SLを
電気的に浮遊状態にする機能、ソース線SLを選択する機能、選択されたソース線SLに
DAC1663で生成した書き込み電圧を入力する機能、ビット線BLをプリチャージす
る機能、ビット線BLを電気的に浮遊状態にする機能等を有する。
【0512】
出力ドライバ1670は、セレクタ1671、ADC(アナログ-デジタル変換回路)
1672、出力バッファ1673を有する。セレクタ1671は、アクセスするソース線
SLを選択し、選択されたソース線SLの電圧をADC1672に送信する。ADC16
72は、アナログ電圧を3ビットのデジタルデータに変換する機能を持つ。ソース線SL
の電圧はADC1672において、3ビットのデータに変換され、出力バッファ1673
はADC1672から出力されるデータを保持する。
【0513】
なお、本実施の形態に示す、行ドライバ1650、列ドライバ1660、および出力ド
ライバ1670の構成は、上記に限定されるものではない。メモリセルアレイ1610の
構成または駆動方法などに応じて、これらのドライバおよび当該ドライバに接続される配
線の配置を変更してもよいし、これらのドライバおよび当該ドライバに接続される配線の
有する機能を変更または追加してもよい。例えば、上記のソース線SLが有する機能の一
部を、ビット線BLに有せしめる構成にしてもよい。
【0514】
なお、上記においては、各メモリセル1611に保持させる情報量を3ビットとしたが
、本実施の形態に示す記憶装置の構成はこれに限られない。各メモリセル1611に保持
させる情報量を2ビット以下にしてもよいし、4ビット以上にしてもよい。例えば、各メ
モリセル1611に保持させる情報量を1ビットにする場合、DAC1663およびAD
C1672を設けない構成にしてもよい。
【0515】
<メモリセル>
図42(A)はメモリセル1611の構成例を示す回路図である。メモリセル1611
は2T型のゲインセルであり、メモリセル1611はワード線WWL、RWL、ビット線
BL、ソース線SL、配線BGLに電気的に接続されている。メモリセル1611は、ノ
ードSN、OSトランジスタMO61、トランジスタMP61、容量素子C61を有する
。OSトランジスタMO61は書き込みトランジスタである。トランジスタMP61は読
み出しトランジスタであり、例えばpチャネル型Siトランジスタで構成される。容量素
子C61はノードSNの電圧を保持するための保持容量である。ノードSNはデータの保
持ノードであり、ここではトランジスタMP61のゲートに相当する。
【0516】
メモリセル1611の書き込みトランジスタがOSトランジスタMO61で構成されて
いるため、NOSRAM1600は長時間データを保持することが可能である。
【0517】
図42(A)の例では、書き込みと読み出しで共通のビット線が設けられているが、図
42(B)に示すように、書き込みビット線として機能する、ビット線WBLと、読み出
しビット線として機能する、ビット線RBLとを設けてもよい。
【0518】
図42(C)-
図42(E)にメモリセルの他の構成例を示す。
図42(C)-
図42
(E)には、書き込み用のビット線WBLと読み出し用のビット線RBLを設けた例を示
しているが、
図42(A)のように書き込みと読み出しで共有されるビット線を設けても
よい。
【0519】
図42(C)に示すメモリセル1612は、メモリセル1611の変形例であり、読み
出しトランジスタをnチャネル型トランジスタ(MN61)に変更したものである。トラ
ンジスタMN61はOSトランジスタであってもよいし、Siトランジスタであってもよ
い。
【0520】
メモリセル1611、1612において、OSトランジスタMO61はバックゲートの
無いOSトランジスタであってもよい。
【0521】
図42(D)に示すメモリセル1613は、3T型ゲインセルであり、ワード線WWL
、RWL、ビット線WBL、RBL、ソース線SL、配線BGL、PCLに電気的に接続
されている。メモリセル1613は、ノードSN、OSトランジスタMO62、トランジ
スタMP62、トランジスタMP63、容量素子C62を有する。OSトランジスタMO
62は書き込みトランジスタである。トランジスタMP62は読み出しトランジスタであ
り、トランジスタMP63は選択トランジスタである。
【0522】
図42(E)に示すメモリセル1614は、メモリセル1613の変形例であり、読み
出しトランジスタおよび選択トランジスタをnチャネル型トランジスタ(MN62、MN
63)に変更したものである。トランジスタMN62、MN63はOSトランジスタであ
ってもよいし、Siトランジスタであってもよい。
【0523】
メモリセル1611-1614に設けられるOSトランジスタは、バックゲートの無い
トランジスタでもよいし、バックゲートが有るトランジスタであってもよい。
【0524】
上記においては、メモリセル1611などが並列に接続された、いわゆるNOR型の記
憶装置について説明したが、本実施の形態に示す記憶装置はこれに限られるものではない
。例えば、以下に示すようなメモリセル1615が直列に接続された、いわゆるNAND
型の記憶装置にしてもよい。
【0525】
図43はNAND型のメモリセルアレイ1610の構成例を示す回路図である。
図43
に示すメモリセルアレイ1610は、ソース線SL、ビット線RBL、ビット線WBL、
ワード線WWL、ワード線RWL、配線BGL、およびメモリセル1615を有する。メ
モリセル1615は、ノードSN、OSトランジスタMO63、トランジスタMN64、
容量素子C63を有する。ここで、トランジスタMN64は、例えばnチャネル型Siト
ランジスタで構成される。これに限られず、トランジスタMN64は、pチャネル型Si
トランジスタ、であってもよいし、OSトランジスタであってもよい。
【0526】
以下では、
図43に示すメモリセル1615aおよびメモリセル1615bを例として
説明する。ここで、メモリセル1615aまたはメモリセル1615bのいずれかに接続
する配線、または回路素子の符号については、aまたはbの符号を付して表す。
【0527】
メモリセル1615aにおいて、トランジスタMN64aのゲートと、OSトランジス
タMO63aのソースおよびドレインの一方と、容量素子C63aの電極の一方とは、電
気的に接続されている。また、ビット線WBLとOSトランジスタMO63aのソースお
よびドレインの他方とは、電気的に接続されている。また、ワード線WWLaと、OSト
ランジスタMO63aのゲートとは、電気的に接続されている。また、配線BGLaと、
OSトランジスタMO63aのバックゲートとは、電気的に接続されている。そして、ワ
ード線RWLaと、容量素子C63aの電極の他方は電気的に接続されている。
【0528】
メモリセル1615bは、ビット線WBLとのコンタクト部を対称の軸として、メモリ
セル1615aと対称的に設けることができる。よって、メモリセル1615bに含まれ
る回路素子も、上記メモリセル1615aと同じように配線と接続される。
【0529】
さらに、メモリセル1615aが有するトランジスタMN64aのソースは、メモリセ
ル1615bのトランジスタMN64bのドレインと電気的に接続される。メモリセル1
615aが有するトランジスタMN64aのドレインは、ビット線RBLと電気的に接続
される。メモリセル1615bが有するトランジスタMN64bのソースは、複数のメモ
リセル1615が有するトランジスタMN64を介してソース線SLと電気的に接続され
る。このように、NAND型のメモリセルアレイ1610では、ビット線RBLとソース
線SLの間に、複数のトランジスタMN64が直列に接続される。
【0530】
図43に示すメモリセルアレイ1610を有する記憶装置では、同じワード線WWL(
またはワード線RWL)に接続された複数のメモリセル(以下、メモリセル列と呼ぶ)ご
とに、書き込み動作および読み出し動作を行う。例えば、書き込み動作は次のように行う
ことができる。書き込みを行うメモリセル列に接続されたワード線WWLにOSトランジ
スタMO63がオン状態となる電位を与え、書き込みを行うメモリセル列のOSトランジ
スタMO63をオン状態にする。これにより、指定したメモリセル列のトランジスタMN
64のゲートおよび容量素子C63の電極の一方にビット線WBLの電位が与えられ、該
ゲートに所定の電荷が与えられる。それから当該メモリセル列のOSトランジスタMO6
3をオフ状態にすると、該ゲートに与えられた所定の電荷を保持することができる。この
ようにして、指定したメモリセル列のメモリセル1615にデータを書き込むことができ
る。
【0531】
また、例えば、読み出し動作は次のように行うことができる。まず、読み出しを行うメ
モリセル列に接続されていないワード線RWLに、トランジスタMN64のゲートに与え
られた電荷によらず、トランジスタMN64がオン状態となるような電位を与え、読み出
しを行うメモリセル列以外のトランジスタMN64をオン状態とする。それから、読み出
しを行うメモリセル列に接続されたワード線RWLに、トランジスタMN64のゲートが
有する電荷によって、トランジスタMN64のオン状態またはオフ状態が選択されるよう
な電位(読み出し電位)を与える。そして、ソース線SLに定電位を与え、ビット線RB
Lに接続されている読み出し回路を動作状態とする。ここで、ソース線SL-ビット線R
BL間の複数のトランジスタMN64は、読み出しを行うメモリセル列を除いてオン状態
となっているため、ソース線SL-ビット線RBL間のコンダクタンスは、読み出しを行
うメモリセル列のトランジスタMN64の状態(オン状態またはオフ状態)によって決定
される。読み出しを行うメモリセル列のトランジスタMN64のゲートが有する電荷によ
って、トランジスタのコンダクタンスは異なるから、それに応じて、ビット線RBLの電
位は異なる値をとることになる。ビット線RBLの電位を読み出し回路によって読み出す
ことで、指定したメモリセル列のメモリセル1615から情報を読み出すことができる。
【0532】
容量素子C61、容量素子C62、または容量素子C63の充放電によってデータを書
き換えるため、NOSRAM1600は原理的には書き換え回数に制約はなく、かつ、低
エネルギーで、データの書き込みおよび読み出しが可能である。また、長時間データを保
持することが可能であるので、リフレッシュ頻度を低減できる。
【0533】
上記実施の形態に示す半導体装置をメモリセル1611、1612、1613、161
4、1615に用いる場合、OSトランジスタMO61、MO62、MO63としてトラ
ンジスタ200を用い、容量素子C61、C62、C63として容量素子100を用い、
トランジスタMP61、MP62、MP63、MN61、MN62、MN63、MN64
としてトランジスタ300を用いることができる。これにより、トランジスタと容量素子
一組当たりの上面視における占有面積を低減することができるので、本実施の形態に係る
記憶装置をさらに高集積化させることができる。よって、本実施の形態に係る記憶装置の
単位面積当たりの記憶容量を増加させることができる。
【0534】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態などに示す構成と適宜組み合わせて用いる
ことができる。
【0535】
(実施の形態5)
本実施の形態では、
図44および
図45を用いて、本発明の一態様に係る、酸化物を半
導体に用いたトランジスタ(以下、OSトランジスタと呼ぶ)、および容量素子が適用さ
れている記憶装置の一例として、DOSRAM(登録商標)について説明する。DOSR
AMとは、「Dynamic Oxide Semiconductor RAM」の略
称であり、1T(トランジスタ)1C(容量)型のメモリセルを有するRAMを指す。
【0536】
DOSRAMでは、メモリセルにOSトランジスタが用いられるメモリ装置(以下、「
OSメモリ」と呼ぶ)が適用されている。OSメモリは、少なくとも容量素子と、容量素
子の充放電を制御するOSトランジスタを有するメモリである。OSトランジスタが極小
オフ電流のトランジスタであるので、OSメモリは優れた保持特性をもち、不揮発性メモ
リとして機能させることができる。
【0537】
<DOSRAM1400>
図44にDOSRAMの構成例を示す。
図44に示すように、DOSRAM1400は
、コントローラ1405、行回路1410、列回路1415、メモリセルおよびセンスア
ンプアレイ1420(以下、「MC-SAアレイ1420」と呼ぶ)を有する。
【0538】
行回路1410はデコーダ1411、ワード線ドライバ回路1412、列セレクタ14
13、センスアンプドライバ回路1414を有する。列回路1415はグローバルセンス
アンプアレイ1416、入出力回路1417を有する。グローバルセンスアンプアレイ1
416は複数のグローバルセンスアンプ1447を有する。MC-SAアレイ1420は
メモリセルアレイ1422、センスアンプアレイ1423、グローバルビット線GBLL
、GBLRを有する。
【0539】
(MC-SAアレイ1420)
MC-SAアレイ1420は、メモリセルアレイ1422をセンスアンプアレイ142
3上に積層した積層構造をもつ。グローバルビット線GBLL、GBLRはメモリセルア
レイ1422上に積層されている。DOSRAM1400では、ビット線の構造に、ロー
カルビット線とグローバルビット線とで階層化された階層ビット線構造が採用されている
。
【0540】
メモリセルアレイ1422は、N個(Nは2以上の整数)のローカルメモリセルアレイ
1425<0>-1425<N-1>を有する。
図45(A)にローカルメモリセルアレ
イ1425の構成例を示す。ローカルメモリセルアレイ1425は、複数のメモリセル1
445、複数のワード線WL、複数のビット線BLL、BLRを有する。
図45(A)の
例では、ローカルメモリセルアレイ1425の構造はオープンビット線型であるが、フォ
ールデッドビット線型であってもよい。
【0541】
図45(B)に共通のビット線BLL(BLR)に接続される、一組のメモリセル14
45aおよびメモリセル1445bの回路構成例を示す。メモリセル1445aはトラン
ジスタMW1a、容量素子CS1a、端子B1a、B2aを有し、ワード線WLa、ビッ
ト線BLL(BLR)に接続される。また、メモリセル1445bはトランジスタMW1
b、容量素子CS1b、端子B1b、B2bを有し、ワード線WLb、ビット線BLL(
BLR)に接続される。なお、以下において、メモリセル1445aおよびメモリセル1
445bのいずれかを特に限定しない場合は、メモリセル1445およびそれに付属する
構成にaまたはbの符号を付さない場合がある。
【0542】
トランジスタMW1aは容量素子CS1aの充放電を制御する機能をもち、トランジス
タMW1bは容量素子CS1bの充放電を制御する機能をもつ。トランジスタMW1aの
ゲートはワード線WLaに電気的に接続され、第1端子はビット線BLL(BLR)に電
気的に接続され、第2端子は容量素子CS1aの第1端子に電気的に接続されている。ま
た、トランジスタMW1bのゲートはワード線WLbに電気的に接続され、第1端子はビ
ット線BLL(BLR)に電気的に接続され、第2端子は容量素子CS1bの第1端子に
電気的に接続されている。
【0543】
容量素子CS1の第2端子は端子B2に電気的に接続されている。端子B2には、定電
圧(例えば、低電源電圧)が入力される。
【0544】
上記実施の形態に示す半導体装置をメモリセル1445a、1445bに用いる場合、
トランジスタMW1aとしてトランジスタ200a、トランジスタMW1bとしてトラン
ジスタ200bを用い、容量素子CS1aとして容量素子100a、容量素子CS1bと
して容量素子100bを用いることができる。これにより、トランジスタと容量素子一組
当たりの上面視における占有面積を低減することができるので、本実施の形態に係る記憶
装置を高集積化させることができる。よって、本実施の形態に係る記憶装置の単位面積当
たりの記憶容量を増加させることができる。
【0545】
トランジスタMW1はバックゲートを備えており、バックゲートは端子B1に電気的に
接続されている。そのため、端子B1の電圧によって、トランジスタMW1の閾値電圧を
変更することができる。例えば、端子B1の電圧は固定電圧(例えば、負の定電圧)であ
ってもよいし、DOSRAM1400の動作に応じて、端子B1の電圧を変化させてもよ
い。
【0546】
トランジスタMW1のバックゲートをトランジスタMW1のゲート、第1端子、または
第2端子に電気的に接続してもよい。あるいは、トランジスタMW1にバックゲートを設
けなくてもよい。
【0547】
センスアンプアレイ1423は、N個のローカルセンスアンプアレイ1426<0>-
1426<N-1>を有する。ローカルセンスアンプアレイ1426は、1のスイッチア
レイ1444、複数のセンスアンプ1446を有する。センスアンプ1446には、ビッ
ト線対が電気的に接続されている。センスアンプ1446は、ビット線対をプリチャージ
する機能、ビット線対の電圧差を増幅する機能、この電圧差を保持する機能を有する。ス
イッチアレイ1444は、ビット線対を選択し、選択したビット線対とグローバルビット
線対との間を導通状態にする機能を有する。
【0548】
ここで、ビット線対とは、センスアンプによって、同時に比較される2本のビット線の
ことをいう。グローバルビット線対とは、グローバルセンスアンプによって、同時に比較
される2本のグローバルビット線のことをいう。ビット線対を一対のビット線と呼ぶこと
ができ、グローバルビット線対を一対のグローバルビット線と呼ぶことができる。ここで
は、ビット線BLLとビット線BLRが1組のビット線対を成す。グローバルビット線G
BLLとグローバルビット線GBLRとが1組のグローバルビット線対をなす。以下、ビ
ット線対(BLL,BLR)、グローバルビット線対(GBLL,GBLR)とも表す。
【0549】
(コントローラ1405)
コントローラ1405は、DOSRAM1400の動作全般を制御する機能を有する。
コントローラ1405は、外部からの入力されるコマンド信号を論理演算して、動作モー
ドを決定する機能、決定した動作モードが実行されるように、行回路1410、列回路1
415の制御信号を生成する機能、外部から入力されるアドレス信号を保持する機能、内
部アドレス信号を生成する機能を有する。
【0550】
(行回路1410)
行回路1410は、MC-SAアレイ1420を駆動する機能を有する。デコーダ14
11はアドレス信号をデコードする機能を有する。ワード線ドライバ回路1412は、ア
クセス対象行のワード線WLを選択する選択信号を生成する。
【0551】
列セレクタ1413、センスアンプドライバ回路1414はセンスアンプアレイ142
3を駆動するための回路である。列セレクタ1413は、アクセス対象列のビット線を選
択するための選択信号を生成する機能をもつ。列セレクタ1413の選択信号によって、
各ローカルセンスアンプアレイ1426のスイッチアレイ1444が制御される。センス
アンプドライバ回路1414の制御信号によって、複数のローカルセンスアンプアレイ1
426は独立して駆動される。
【0552】
(列回路1415)
列回路1415は、データ信号WDA[31:0]の入力を制御する機能、データ信号
RDA[31:0]の出力を制御する機能を有する。データ信号WDA[31:0]は書
き込みデータ信号であり、データ信号RDA[31:0]は読み出しデータ信号である。
【0553】
グローバルセンスアンプ1447はグローバルビット線対(GBLL,GBLR)に電
気的に接続されている。グローバルセンスアンプ1447はグローバルビット線対(GB
LL,GBLR)間の電圧差を増幅する機能、この電圧差を保持する機能を有する。グロ
ーバルビット線対(GBLL,GBLR)へのデータの書き込み、および読み出しは、入
出力回路1417によって行われる。
【0554】
DOSRAM1400の書き込み動作の概要を説明する。入出力回路1417によって
、データがグローバルビット線対に書き込まれる。グローバルビット線対のデータは、グ
ローバルセンスアンプアレイ1416によって保持される。アドレス信号が指定するロー
カルセンスアンプアレイ1426のスイッチアレイ1444によって、グローバルビット
線対のデータが、対象列のビット線対に書き込まれる。ローカルセンスアンプアレイ14
26は、書き込まれたデータを増幅し、保持する。指定されたローカルメモリセルアレイ
1425において、行回路1410によって、対象行のワード線WLが選択され、選択行
のメモリセル1445にローカルセンスアンプアレイ1426の保持データが書き込まれ
る。
【0555】
DOSRAM1400の読み出し動作の概要を説明する。アドレス信号によって、ロー
カルメモリセルアレイ1425の1行が指定される。指定されたローカルメモリセルアレ
イ1425において、対象行のワード線WLが選択状態となり、メモリセル1445のデ
ータがビット線に書き込まれる。ローカルセンスアンプアレイ1426によって、各列の
ビット線対の電圧差がデータとして検出され、かつ保持される。スイッチアレイ1444
によって、ローカルセンスアンプアレイ1426の保持データの内、アドレス信号が指定
する列のデータが、グローバルビット線対に書き込まれる。グローバルセンスアンプアレ
イ1416は、グローバルビット線対のデータを検出し、保持する。グローバルセンスア
ンプアレイ1416の保持データは入出力回路1417に出力される。以上で、読み出し
動作が完了する。
【0556】
容量素子CS1の充放電によってデータを書き換えるため、DOSRAM1400には
原理的には書き換え回数に制約はなく、かつ、低エネルギーで、データの書き込みおよび
読み出しが可能である。また、メモリセル1445の回路構成が単純であるため、大容量
化が容易である。
【0557】
トランジスタMW1はOSトランジスタである。OSトランジスタはオフ電流が極めて
小さいため、容量素子CS1から電荷がリークすることを抑えることができる。したがっ
て、DOSRAM1400の保持時間はDRAMに比べて非常に長い。したがってリフレ
ッシュの頻度を低減できるため、リフレッシュ動作に要する電力を削減できる。よって、
DOSRAM1400は大容量のデータを高頻度で書き換えるメモリ装置、例えば、画像
処理に利用されるフレームメモリに好適である。
【0558】
MC-SAアレイ1420が積層構造であることよって、ローカルセンスアンプアレイ
1426の長さと同程度の長さにビット線を短くすることができる。ビット線を短くする
ことで、ビット線容量が小さくなり、メモリセル1445の保持容量を低減することがで
きる。また、ローカルセンスアンプアレイ1426にスイッチアレイ1444を設けるこ
とで、長いビット線の本数を減らすことができる。以上の理由から、DOSRAM140
0のアクセス時に駆動する負荷が低減され、消費電力を低減することができる。
【0559】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態などに示す構成と適宜組み合わせて用いる
ことができる。
【0560】
(実施の形態6)
本実施の形態では、
図46を用いて、上記実施の形態に示す半導体装置を適用した、A
Iシステムについて説明を行う。
【0561】
図46はAIシステム4041の構成例を示すブロック図である。AIシステム404
1は、演算部4010と、制御部4020と、入出力部4030を有する。
【0562】
演算部4010は、アナログ演算回路4011と、DOSRAM4012と、NOSR
AM4013と、FPGA4014と、を有する。DOSRAM4012およびNOSR
AM4013として、上記実施の形態に示す、DOSRAM1400およびNOSRAM
1600を用いることができる。
【0563】
制御部4020は、CPU(Central Processing Unit)40
21と、GPU(Graphics Processing Unit)4022と、P
LL(Phase Locked Loop)4023と、SRAM(Static R
andom Access Memory)4024と、PROM(Programma
ble Read Only Memory)4025と、メモリコントローラ4026
と、電源回路4027と、PMU(Power Management Unit)40
28と、を有する。
【0564】
入出力部4030は、外部記憶制御回路4031と、音声コーデック4032と、映像
コーデック4033と、汎用入出力モジュール4034と、通信モジュール4035と、
を有する。
【0565】
演算部4010は、ニューラルネットワークによる学習または推論を実行することがで
きる。
【0566】
アナログ演算回路4011はA/D(アナログ/デジタル)変換回路、D/A(デジタ
ル/アナログ)変換回路、および積和演算回路を有する。
【0567】
アナログ演算回路4011はOSトランジスタを用いて形成することが好ましい。OS
トランジスタを用いたアナログ演算回路4011は、アナログメモリを有し、学習または
推論に必要な積和演算を、低消費電力で実行することが可能になる。
【0568】
DOSRAM4012は、OSトランジスタを用いて形成されたDRAMであり、DO
SRAM4012は、CPU4021から送られてくるデジタルデータを一時的に格納す
るメモリである。DOSRAM4012は、OSトランジスタを含むメモリセルと、Si
トランジスタを含む読み出し回路部を有する。上記メモリセルと読み出し回路部は、積層
された異なる層に設けることができるため、DOSRAM4012は、全体の回路面積を
小さくすることができる。
【0569】
ニューラルネットワークを用いた計算は、入力データが1000を超えることがある。
上記入力データをSRAM4024に格納する場合、SRAM4024は回路面積に制限
があり、記憶容量が小さいため、上記入力データを小分けにして格納せざるを得ない。D
OSRAM4012は、限られた回路面積でも、メモリセルを高集積に配置することが可
能であり、SRAM4024に比べて記憶容量が大きい。そのため、DOSRAM401
2は、上記入力データを効率よく格納することができる。
【0570】
NOSRAM4013はOSトランジスタを用いた不揮発性メモリである。NOSRA
M4013は、フラッシュメモリや、ReRAM(Resistive Random
Access Memory)、MRAM(Magnetoresistive Ran
dom Access Memory)などの他の不揮発性メモリと比べて、データを書
き込む際の消費電力が小さい。また、フラッシュメモリやReRAMのように、データを
書き込む際に素子が劣化することもなく、データの書き込み可能回数に制限が無い。
【0571】
また、NOSRAM4013は、1ビットの2値データの他に、2ビット以上の多値デ
ータを記憶することができる。NOSRAM4013は多値データを記憶することで、1
ビット当たりのメモリセル面積を小さくすることができる。
【0572】
また、NOSRAM4013は、デジタルデータの他にアナログデータを記憶すること
ができる。そのため、アナログ演算回路4011は、NOSRAM4013をアナログメ
モリとして用いることもできる。NOSRAM4013は、アナログデータのまま記憶す
ることができるため、D/A変換回路やA/D変換回路が不要である。そのため、NOS
RAM4013は周辺回路の面積を小さくすることができる。なお、本明細書においてア
ナログデータとは、3ビット(8値)以上分解能を有するデータのことを指す。上述した
多値データがアナログデータに含まれる場合もある。
【0573】
ニューラルネットワークの計算に用いられるデータやパラメータは、一旦、NOSRA
M4013に格納することができる。上記データやパラメータは、CPU4021を介し
て、AIシステム4041の外部に設けられたメモリに格納してもよいが、内部に設けら
れたNOSRAM4013の方が、より高速且つ低消費電力に上記データやパラメータを
格納することができる。また、NOSRAM4013は、DOSRAM4012よりもビ
ット線を長くすることができるので、記憶容量を大きくすることができる。
【0574】
FPGA4014は、OSトランジスタを用いたFPGAである。本実施の形態のFP
GAは、コンフィギュレーションメモリ、およびレジスタにOSメモリを適用することが
できる。ここでは、このようなFPGAを「OS-FPGA」と呼ぶ。AIシステム40
41は、FPGA4014を用いることによって、後述する、ディープニューラルネット
ワーク(DNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、再帰型ニューラルネッ
トワーク(RNN)、自己符号化器、深層ボルツマンマシン(DBM)、深層信念ネット
ワーク(DBN)などの、ニューラルネットワークの接続をハードウェアで構成すること
ができる。上記のニューラルネットワークの接続をハードウェアで構成することで、より
高速に実行することができる。
【0575】
FPGA4014はOS-FPGAである。OS-FPGAは、SRAMで構成される
FPGAよりもメモリの面積を小さくすることができる。そのため、コンテキスト切り替
え機能を追加しても面積増加が少ない。また、OS-FPGAはブースティングによりデ
ータやパラメータを高速に伝えることができる。
【0576】
AIシステム4041は、アナログ演算回路4011、DOSRAM4012、NOS
RAM4013、およびFPGA4014を1つのダイ(チップ)の上に設けることがで
きる。そのため、AIシステム4041は、高速且つ低消費電力に、ニューラルネットワ
ークの計算を実行することができる。また、アナログ演算回路4011、DOSRAM4
012、NOSRAM4013、およびFPGA4014は、同じ製造プロセスで作製す
ることができる。そのため、AIシステム4041は、低コストで作製することができる
。
【0577】
なお、演算部4010は、DOSRAM4012、NOSRAM4013、およびFP
GA4014を、全て有する必要はない。AIシステム4041が解決したい課題に応じ
て、DOSRAM4012、NOSRAM4013、およびFPGA4014の一または
複数を、選択して設ければよい。
【0578】
AIシステム4041は、解決したい課題に応じて、ディープニューラルネットワーク
(DNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、再帰型ニューラルネットワー
ク(RNN)、自己符号化器、深層ボルツマンマシン(DBM)、深層信念ネットワーク
(DBN)などの手法を実行することができる。PROM4025は、これらの手法の少
なくとも1つを実行するためのプログラムを保存することができる。また、当該プログラ
ムの一部または全てを、NOSRAM4013に保存してもよい。
【0579】
ライブラリとして存在する既存のプログラムは、GPUの処理を前提としているものが
多い。そのため、AIシステム4041はGPU4022を有することが好ましい。AI
システム4041は、学習と推論で用いられる積和演算のうち、律速となる積和演算を演
算部4010で実行し、それ以外の積和演算をGPU4022で実行することができる。
そうすることで、学習と推論を高速に実行することができる。
【0580】
電源回路4027は、論理回路用の低電源電位を生成するだけではなく、アナログ演算
のための電位生成も行う。電源回路4027はOSメモリを用いてもよい。電源回路40
27は、基準電位をOSメモリに保存することで、消費電力を下げることができる。
【0581】
PMU4028は、AIシステム4041の電力供給を一時的にオフにする機能を有す
る。
【0582】
CPU4021およびGPU4022は、レジスタとしてOSメモリを有することが好
ましい。CPU4021およびGPU4022はOSメモリを有することで、電力供給が
オフになっても、OSメモリ中にデータ(論理値)を保持し続けることができる。その結
果、AIシステム4041は、電力を節約することができる。
【0583】
PLL4023は、クロックを生成する機能を有する。AIシステム4041は、PL
L4023が生成したクロックを基準に動作を行う。PLL4023はOSメモリを有す
ることが好ましい。PLL4023はOSメモリを有することで、クロックの発振周期を
制御するアナログ電位を保持することができる。
【0584】
AIシステム4041は、DRAMなどの外部メモリにデータを保存してもよい。その
ため、AIシステム4041は、外部のDRAMとのインターフェースとして機能するメ
モリコントローラ4026を有することが好ましい。また、メモリコントローラ4026
は、CPU4021またはGPU4022の近くに配置することが好ましい。そうするこ
とで、データのやり取りを高速に行うことができる。
【0585】
制御部4020に示す回路の一部または全ては、演算部4010と同じダイの上に形成
することができる。そうすることで、AIシステム4041は、高速且つ低消費電力に、
ニューラルネットワークの計算を実行することができる。
【0586】
ニューラルネットワークの計算に用いられるデータは外部記憶装置(HDD(Hard
Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)など)に保
存される場合が多い。そのため、AIシステム4041は、外部記憶装置とのインターフ
ェースとして機能する外部記憶制御回路4031を有することが好ましい。
【0587】
ニューラルネットワークを用いた学習と推論は、音声や映像を扱うことが多いので、A
Iシステム4041は音声コーデック4032および映像コーデック4033を有する。
音声コーデック4032は、音声データのエンコード(符号化)およびデコード(復号)
を行い、映像コーデック4033は、映像データのエンコードおよびデコードを行う。
【0588】
AIシステム4041は、外部センサから得られたデータを用いて学習または推論を行
うことができる。そのため、AIシステム4041は汎用入出力モジュール4034を有
する。汎用入出力モジュール4034は、例えば、USB(Universal Ser
ial Bus)やI2C(Inter-Integrated Circuit)など
を含む。
【0589】
AIシステム4041は、インターネットを経由して得られたデータを用いて学習また
は推論を行うことができる。そのため、AIシステム4041は、通信モジュール403
5を有することが好ましい。
【0590】
アナログ演算回路4011は、多値のフラッシュメモリをアナログメモリとして用いて
もよい。しかし、フラッシュメモリは書き換え可能回数に制限がある。また、多値のフラ
ッシュメモリは、エンベディッドで形成する(演算回路とメモリを同じダイの上に形成す
る)ことが非常に難しい。
【0591】
また、アナログ演算回路4011は、ReRAMをアナログメモリとして用いてもよい
。しかし、ReRAMは書き換え可能回数に制限があり、記憶精度の点でも問題がある。
さらに、2端子でなる素子であるため、データの書き込みと読み出しを分ける回路設計が
複雑になる。
【0592】
また、アナログ演算回路4011は、MRAMをアナログメモリとして用いてもよい。
しかし、MRAMは抵抗変化率が低く、記憶精度の点で問題がある。
【0593】
以上を鑑み、アナログ演算回路4011は、OSメモリをアナログメモリとして用いる
ことが好ましい。
【0594】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態などに示す構成と適宜組み合わせて用いる
ことができる。
【0595】
(実施の形態7)
<AIシステムの応用例>
本実施の形態では、上記実施の形態に示すAIシステムの応用例について
図47を用い
て説明を行う。
【0596】
図47(A)は、
図46で説明したAIシステム4041を並列に配置し、バス線を介
してシステム間での信号の送受信を可能にした、AIシステム4041Aである。
【0597】
図47(A)に図示するAIシステム4041Aは、複数のAIシステム4041_1
乃至AIシステム4041_n(nは自然数)を有する。AIシステム4041_1乃至
AIシステム4041_nは、バス線4098を介して互いに接続されている。
【0598】
また
図47(B)は、
図46で説明したAIシステム4041を
図47(A)と同様に
並列に配置し、ネットワークを介してシステム間での信号の送受信を可能にした、AIシ
ステム4041Bである。
【0599】
図47(B)に図示するAIシステム4041Bは、複数のAIシステム4041_1
乃至AIシステム4041_nを有する。AIシステム4041_1乃至AIシステム4
041_nは、ネットワーク4099を介して互いに接続されている。
【0600】
ネットワーク4099は、AIシステム4041_1乃至AIシステム4041_nの
それぞれに通信モジュールを設け、無線または有線による通信を行う構成とすればよい。
通信モジュールは、アンテナを介して通信を行うことができる。例えばWorld Wi
de Web(WWW)の基盤であるインターネット、イントラネット、エクストラネッ
ト、PAN(Personal Area Network)、LAN(Local A
rea Network)、CAN(Campus Area Network)、MA
N(Metropolitan Area Network)、WAN(Wide Ar
ea Network)、GAN(Global Area Network)等のコン
ピュータネットワークに各電子装置を接続させ、通信を行うことができる。無線通信を行
う場合、通信プロトコル又は通信技術として、LTE(Long Term Evolu
tion)、GSM(Global System for Mobile Commu
nication:登録商標)、EDGE(Enhanced Data Rates
for GSM Evolution)、CDMA2000(Code Divisio
n Multiple Access 2000)、W-CDMA(登録商標)などの通
信規格、またはWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBe
e(登録商標)等のIEEEにより通信規格化された仕様を用いることができる。
【0601】
図47(A)、(B)の構成とすることで、外部のセンサ等で得られたアナログ信号を
別々のAIシステムで処理することができる。例えば、生体情報のように、脳波、脈拍、
血圧、体温等といった情報を脳波センサ、脈波センサ、血圧センサ、温度センサといった
各種センサで取得し、別々のAIシステムでアナログ信号を処理することができる。別々
のAIシステムのそれぞれで信号の処理、または学習を行うことで一つのAIシステムあ
たりの情報処理量を少なくできる。そのため、より少ない演算量で信号の処理、または学
習を行うことができる。その結果、認識精度を高めることができる。それぞれのAIシス
テムで得られた情報から、複雑に変化する生体情報を瞬時に統合的に把握することができ
るといったことが期待できる。
【0602】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いること
ができる。
【0603】
(実施の形態8) 本実施の形態は、上記実施の形態に示すAIシステムが組み込まれた
ICの一例を示す。
【0604】
上記実施の形態に示すAIシステムは、CPU等のSiトランジスタでなるデジタル処
理回路と、OSトランジスタを用いたアナログ演算回路、OS-FPGAおよびDOSR
AM、NOSRAM等のOSメモリを、1のダイに集積することができる。
【0605】
図48に、AIシステムを組み込んだICの一例を示す。
図48に示すAIシステムI
C7000は、リード7001及び回路部7003を有する。AIシステムIC7000
は、例えばプリント基板7002に実装される。このようなICチップが複数組み合わさ
れて、それぞれがプリント基板7002上で電気的に接続されることで電子部品が実装さ
れた基板(実装基板7004)が完成する。回路部7003には、上記実施の形態で示し
た各種の回路が1のダイに設けられている。回路部7003は、先の実施の形態に示すよ
うに、積層構造をもち、Siトランジスタ層7031、配線層7032、OSトランジス
タ層7033に大別される。OSトランジスタ層7033をSiトランジスタ層7031
に積層して設けることができるため、AIシステムIC7000の小型化が容易である。
【0606】
図48では、AIシステムIC7000のパッケージにQFP(Quad Flat
Package)を適用しているが、パッケージの態様はこれに限定されない。
【0607】
CPU等のデジタル処理回路と、OSトランジスタを用いたアナログ演算回路、OS-
FPGAおよびDOSRAM、NOSRAM等のOSメモリは、全て、Siトランジスタ
層7031、配線層7032およびOSトランジスタ層7033に形成することができる
。すなわち、上記AIシステムを構成する素子は、同一の製造プロセスで形成することが
可能である。そのため、本実施の形態に示すICは、構成する素子が増えても製造プロセ
スを増やす必要がなく、上記AIシステムを低コストで組み込むことができる。
【0608】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いること
ができる。
【0609】
(実施の形態9)
<電子機器>
本発明の一態様に係る半導体装置は、様々な電子機器に用いることができる。
図49お
よび
図50に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いた電子機器の具体例を示す。
【0610】
図49(A)に示すロボット2000は、演算装置2001、センサ2002、ライト
2003、リフト2004、駆動部2005、移動機構2011を備えており、移動しな
がら静止画や動画を撮影することができる。このようなロボットは、警備システムや、監
視システムとして用いることができる。
【0611】
ロボット2000は、さらに、通信手段2006、スピーカ2007、マイクロフォン
2008、表示部2009、発光部2010などを備えていてもよい。
【0612】
演算装置2001には、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることができる。また
、演算装置2001には、本発明の一態様に係るAIシステムが組み込まれたICを用い
ることができる。センサ2002は、ロボット2000の周囲を撮影する、カメラとして
の機能を有する。ライト2003は、センサ2002でロボット2000の周囲を撮影す
る際のライトとして用いることができる。なお、センサ2002で、静止画を撮影する際
には、ライト2003は、フラッシュライトとして機能することが好ましい。センサ20
02は、リフト2004を介して、ロボット本体と接続されている。センサ2002の高
さは、リフト2004により調整することができる。リフト2004は、伸縮式であるこ
とが好ましい。また、リフト2004は、複数のブームにより構成された折り畳み式のも
のでもよい。また、ロボット2000には、駆動部2005と、駆動部2005に接続さ
れた移動機構2011が設けられているため、センサ2002による撮像範囲、すなわち
監視範囲が広がり、好ましい。
【0613】
通信手段2006は、センサ2002により撮像された情報を管理者や、管理者が所有
するサーバへ送信することができる。また、センサ2002により撮像された情報を演算
装置2001にて解析し、犯罪、事故、火災などの非常事態と判断された場合は、警備会
社、警察、消防署、医療機関、土地や建物のオーナーへ連絡することができる。スピーカ
2007は、犯罪者への警告、怪我人や急病人への問いかけ、避難の誘導など、ロボット
周囲に情報の発信を行うことができる。マイクロフォン2008は、ロボット2000の
周囲の音声の取得に用いることができる。また、通信手段2006、およびスピーカ20
07と合わせて用いることで、ロボット2000は電話としての機能を有することができ
る。ロボット2000の周囲にいる人は、管理者や任意の人と会話することができる。表
示部2009は、任意の情報を表示することができる。非常時の場合は、災害情報や避難
経路を表示することができる。また、通信手段2006、スピーカ2007、およびマイ
クロフォン2008と合わせて用いることで、ロボット2000はテレビ電話としての機
能を有することができる。ロボット2000の周囲にいる人は、管理者や任意の人と表示
部2009を見ながら会話することができる。
【0614】
発光部2010は、ロボット2000の進行方向や停止状態を文字や光で示すことがで
きる。また、非常事態を示してもよい。
【0615】
図49(B)は、ロボット2000の構成を示すブロック図である。演算装置2001
は、センサ2002により得られた映像などの情報から、ライト2003の点灯や消灯、
明るさの調整を行う。また、リフト2004の高さの調整、あるいは、駆動部2005の
制御を行い、ロボット2000や、センサ2002の位置合わせを行う。また、駆動部2
005の動作状況を、発光部2010を用いて示すことができる。また、通信手段200
6を用いて、センサ2002やマイクロフォン2008から得られたロボット2000の
周囲の情報を管理者、または管理者が所有するサーバに送信することができる。また、演
算装置2001や、管理者の判断により、スピーカ2007や表示部2009を用いて、
ロボット2000の周囲に情報を発信することができる。
【0616】
センサ2002に用いるセンサとして、周囲が暗くても撮像が可能なセンサを用いる場
合は、ライト2003は設けなくてもよい。このようなセンサとして、受光部にセレン(
Se)を用いたイメージセンサを用いることができる。
【0617】
このようなロボット2000は、商業施設や、オフィスの警備に用いることができる。
センサ2002やマイクロフォン2008から得られた情報は、演算装置2001やサー
バに保存される。保存された情報は、AIシステムにより解析され、物品の紛失や破損、
不審者の侵入、火災などの災害などの異常の有無を判断する。情報の解析には、ディープ
ラーニングを用いてもよい。異常が発生したと判断した場合、ロボット2000は、管理
者への連絡および周囲への情報発信を行い、周囲の状況を記録する。
【0618】
また、ロボット2000は、農作物の生育状況の監視に用いてもよい。田んぼや畑に設
置されたロボット2000は、センサ2002により、農作物の葉、あるいは実の形、大
きさ、色を監視し、病気になっていないか、害虫の付着が無いかを判断する。ロボット2
000には、移動機構2011が設けられているため、広範囲の農作物の生育状況を監視
することができる。また、ロボット2000には、リフト2004が設けられているため
、農作物の種類や、生育状況によらず、任意の高さの葉や実を監視することができる。監
視結果は、通信手段2006を用いて生産者に送られ、生産者は、農作物に必要な肥料や
農薬の種類、量、散布時期を判断することができる。また、演算装置2001を用いて、
監視結果を、AIシステムにより解析し、農作物に必要な、肥料や農薬の種類、量、散布
時期を判断して、生産者に通知してもよい。監視結果の解析には、ディープラーニングを
用いてもよい。
【0619】
図50(A)は、ロボット6001を用いた、仕分けシステム6000を示す。ロボッ
ト6001は、演算装置6002、ブーム6003、およびアーム6004を備えている
。また、ロボット6001は有線、または無線の通信手段6011を備えていてもよい。
また、仕分けシステム6000は、センサ6009を有する筐体6008を備えている。
筐体6008は、通信手段6010を有している。筐体6008は、仕分けシステム60
00、または仕分け作業エリアの天井、壁、梁(いずれも図示せず)に設けられる。また
、筐体6008は、ロボット6001に設けられていてもよい。例えば、ブーム6003
、またはアーム6004に設けられていてもよい。筐体6008がロボット6001に設
けられている場合は、センサ6009により得られた情報は、通信手段6010、および
通信手段6011を介さず、演算装置6002に送られ、処理されてもよい。
【0620】
ブーム6003は、可動式となっており、アーム6004を所望の位置に配置すること
ができる。また、アーム6004は伸縮式としてもよい。所望の物品6007上に配置さ
れたアームを伸ばし、所望の物品6007を掴み、アーム6004を縮めた後、ブーム6
003によりアーム6004を移動してもよい。
【0621】
仕分けシステム6000は、容器6005内の物品6007を容器6006に移動させ
ることができる。容器6005と容器6006は、同一形状でも良いし、異なる形状でも
よい。また、一つの容器6005に入れられた複数の物品6007を複数の容器6006
に移動して振り分けてもよい。
【0622】
容器6005、および容器6006として、コンテナ、段ボール箱、商品を梱包する箱
、ケース、フィルム、または袋、食品保管用のバット、弁当箱などが用いられる。また、
容器6005、および容器6006の少なくとも一方は、鍋やフライパンなどの調理器具
でもよい。
【0623】
演算装置6002には、本発明の一態様に係る半導体装置を用いることができる。また
、演算装置6002には、本発明の一態様に係るAIシステムが組み込まれたICを用い
ることができる。
【0624】
センサ6009は、容器6005の位置、容器6006の位置、容器6005内、およ
び容器6005内の物品6007の状態を読み取り、通信手段6010を用いて演算装置
6002に情報を送信する。情報の送信は無線または、有線で行う。また、通信手段60
10を用いずに、有線にて情報を送信してもよい。演算装置6002は、送信された情報
の解析を行う。ここで、物品6007の状態とは、形、数、物品6007同士の重なりな
どのことを指す。演算装置6002は、センサ6009からの情報をもとに解析を行い、
物品6007の詳細情報を導出する。演算装置6002、またはロボット6001と通信
可能なサーバに保存されたデータと比較し、物品6007の三次元形状や、堅さ(柔らか
さ)を導出する。また、物品6007の三次元形状や堅さ(柔らかさ)から、アーム60
04の形状を変えることができる。
【0625】
物品6007の詳細情報を導出するには、AIシステムを用いた解析を利用することが
できる。情報の解析には、ディープラーニングを用いてもよい。
【0626】
図50(B)は、一対の板6021が水平方向に移動し、物品6007を挟むことがで
きるアームである。一対の板6021が中心に向かって水平方向に移動することで、物品
6007を挟むことができる。このようなアームは、物品6007を面で捉えることがで
き、立方体や直方体など、柱状の形を有する物品6007を掴むのに適している。
図50
(C)は、複数のバー6022が水平方向に移動し、物品6007を挟むことができるア
ームである。複数のバー6022が中心に向かって水平方向に移動することで、物品60
07を挟むことができる。このようなアームは、物品6007を点で捉えることができ、
球状の形を有する物品6007、または物品6007の形が一定でない場合、すなわち不
定型な物品6007を掴むに適している。なお、
図50(C)では、バー6022の数を
4本としたが、本実施の形態はこれに限らない。バー6022は3本でもよいし、5本以
上でも良い。
図50(D)は、一対の板6023が、共通の軸を中心に、お互いが近づく
ように回転することで物品6007を挟むことができるアームである。このようなアーム
は、物品6007を面で捉えることができ、紙やフィルムなど、薄膜状の形を有する物品
6007を掴むのに適している。
図50(E)は、一対のかぎ状の板6024が、共通の
軸を中心に、お互いの先端が近づくように回転することで物品6007を挟むことができ
るアームである。このようなアームは、物品6007を点、または線で捉えることができ
、紙やフィルムなど、薄膜状の形を有する物品6007や、より小さい粒状の形を有する
物品6007を掴むのに適している。また、
図50(F)に示すように、アームの先端に
ヘラ6025を取り付け、より小さい粒状の形を有する物品6007をすくってもよい。
【0627】
図50(A)乃至
図50(F)に示すアームは、一例であり、本発明の一態様はこれら
の形状に限らない。また、各アームの用途の説明も一例であり、本発明の一態様はこれら
の記載に限らない。
【0628】
ロボット6001は、演算装置6002からの信号に基づき、ブーム6003を動かし
、アーム6004を、容器6005内の所望の物品6007上に移動する。伸縮式のアー
ム6004の場合、アーム6004を伸ばし、アーム6004の先端を物品6007の高
さまで降ろす。アームの先端を動かし、所望の物品6007を掴む。物品6007を掴ん
だまま、アームを縮める。再びブーム6003を動かし、アーム6004を、容器600
6の所望の位置に移動する。このとき、容器6006に対する物品6007の角度を調整
する為、アーム6004を回転してもよい。アーム6004を伸ばし、物品6007を容
器6006に配置し、アーム6004は、物品6007を放す。以上の操作を繰り返し行
い、ロボット6001は、物品6007を容器6005から容器6006に移動させるこ
とができる。
【0629】
容器6005、および容器6006の位置情報、および物品6007の状態をAIシス
テムを用いて解析しているため、物品6007の形状や堅さによらず、確実に物品600
7を移動することができる。物品6007の例としては、立方体、または直方体の箱、ま
たは任意の形状の箱やケースに詰められた物品だけでなく、卵、ハンバーグやコロッケな
ど、成形された加工食品、ジャガイモやトマトなど、不定形な野菜などの食品、ネジやナ
ットなどの機械部品、紙やフィルムなどの薄膜などが挙げられる。本実施の形態に示した
仕分けシステム6000は、物品6007の形状や堅さを考慮してアームの形状を変える
ことができるため、上記に例示した物品6007を、形状や堅さによらず、容器6005
から容器6006に移動させることができる。
【0630】
例えば、本発明の一態様の半導体装置を用いた記憶装置は、上述した電子機器の制御情
報や、制御プログラムなどを長期間保持することができる。本発明の一態様に係る半導体
装置を用いることで、信頼性の高い電子機器を実現することができる。
【0631】
また、例えば、上述した電子機器の演算装置などに、上記AIシステムが組み込まれた
ICを用いることができる。これにより、本実施の形態に示す電子機器は、AIシステム
によって、状況に応じた的確な動作を、低消費電力で行うことができる。
【0632】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施すること
が可能である。
【0633】
(実施の形態10)
<電子機器>
本発明の一態様に係る半導体装置は、様々な電子機器に用いることができる。
図51に
、本発明の一態様に係る半導体装置を用いた電子機器の具体例を示す。
【0634】
図51(A)に、モニタ830を示す。モニタ830は、表示部831、筐体832、
スピーカ833等を有する。さらに、LEDランプ、操作キー(電源スイッチ、または操
作スイッチを含む)、接続端子、各種センサ、マイクロフォン等を有することができる。
またモニタ830は、リモコン操作機834により、操作することができる。
【0635】
またモニタ830は、放送電波を受信して、テレビジョン装置として機能することがで
きる。
【0636】
モニタ830が受信できる放送電波としては、地上波、または衛星から送信される電波
などが挙げられる。また放送電波として、アナログ放送、デジタル放送などがあり、また
映像及び音声、または音声のみの放送などがある。例えばUHF帯(300MHz以上3
GHz以下)またはVHF帯(30MHz以上300MHz以下)のうちの特定の周波数
帯域で送信される放送電波を受信することができる。また例えば、複数の周波数帯域で受
信した複数のデータを用いることで、転送レートを高くすることができ、より多くの情報
を得ることができる。これによりフルハイビジョンを超える解像度を有する映像を、表示
部831に表示させることができる。例えば、4K-2K、8K-4K、16K-8K、
またはそれ以上の解像度を有する映像を表示させることができる。
【0637】
また、インターネットやLAN(Local Area Network)、Wi-F
i(登録商標)などのコンピュータネットワークを介したデータ伝送技術により送信され
た放送のデータを用いて、表示部831に表示する画像を生成する構成としてもよい。こ
のとき、モニタ830にチューナを有さなくてもよい。
【0638】
また、モニタ830は、コンピュータと接続し、コンピュータ用モニタとして用いるこ
とができる。また、コンピュータと接続したモニタ830は、複数の人が同時に閲覧可能
となり、会議システムに用いることができる。また、ネットワークを介したコンピュータ
の情報の表示や、モニタ830自体のネットワークへの接続により、モニタ830をテレ
ビ会議システムに用いることができる。
【0639】
また、モニタ830はデジタルサイネージとして用いることもできる。
【0640】
例えば、本発明の一態様の半導体装置を表示部の駆動回路や、画像処理部に用いること
ができる。本発明の一態様の半導体装置を表示部の駆動回路や、画像処理部に用いること
で、高速な動作や信号処理を低消費電力にて実現できる。
【0641】
また、本発明の一態様の半導体装置を用いたAIシステムをモニタ830の画像処理部
に用いることで、ノイズ除去処理、階調変換処理、色調補正処理、輝度補正処理などの画
像処理を行うことができる。また、解像度のアップコンバートに伴う画素間補間処理や、
フレーム周波数のアップコンバートに伴うフレーム間補間処理などを実行することができ
る。また、階調変換処理は、画像の階調数を変換するだけでなく、階調数を大きくする場
合の階調値の補間を行うことができる。また、ダイナミックレンジを広げる、ハイダイナ
ミックレンジ(HDR)処理も、階調変換処理に含まれる。
【0642】
図51(B)に示すビデオカメラ2940は、筐体2941、筐体2942、表示部2
943、操作スイッチ2944、レンズ2945、および接続部2946等を有する。操
作スイッチ2944およびレンズ2945は筐体2941に設けられており、表示部29
43は筐体2942に設けられている。また、ビデオカメラ2940は、筐体2941の
内側にアンテナ、バッテリなどを備える。そして、筐体2941と筐体2942は、接続
部2946により接続されており、筐体2941と筐体2942の間の角度は、接続部2
946により変えることが可能な構造となっている。筐体2941に対する筐体2942
の角度によって、表示部2943に表示される画像の向きの変更や、画像の表示/非表示
の切り換えを行うことができる。
【0643】
例えば、本発明の一態様の半導体装置を表示部の駆動回路や、画像処理部に用いること
ができる。本発明の一態様の半導体装置を表示部の駆動回路や、画像処理部に用いること
で、高速な動作や信号処理を低消費電力にて実現できる。
【0644】
また、本発明の一態様の半導体装置を用いたAIシステムをビデオカメラ2940の画
像処理部に用いることで、ビデオカメラ2940周囲の環境に応じた撮影が実現できる。
具体的には、周囲の明るさに応じて最適な露出で撮影を行うことができる。また、逆光に
おける撮影や屋内と屋外など、明るさの異なる状況を同時に撮影する場合では、ハイダイ
ナミックレンジ(HDR)撮影を行うことができる。
【0645】
また、AIシステムは、撮影者の癖を学習し、撮影のアシストを行うことができる。具
体的には、撮影者の手振れの癖を学習し、撮影中の手振れを補正することで、撮影した画
像には手振れによる画像の乱れが極力含まれないようにすることができる。また、撮影中
にズーム機能を用いる際には、被写体が常に画像の中心で撮影されるようにレンズの向き
などを制御することができる。
【0646】
図51(C)に示す情報端末2910は、筐体2911、表示部2912、マイク29
17、スピーカ部2914、カメラ2913、外部接続部2916、および操作スイッチ
2915等を有する。表示部2912には、可撓性基板が用いられた表示パネルおよびタ
ッチスクリーンを備える。また、情報端末2910は、筐体2911の内側にアンテナ、
バッテリなどを備える。情報端末2910は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブ
レット型情報端末、タブレット型パーソナルコンピュータ、電子書籍端末等として用いる
ことができる。
【0647】
例えば、本発明の一態様の半導体装置を用いた記憶装置は、上述した情報端末2910
の制御情報や、制御プログラムなどを長期間保持することができる。
【0648】
また、本発明の一態様の半導体装置を用いたAIシステムを情報端末2910の画像処
理部に用いることで、ノイズ除去処理、階調変換処理、色調補正処理、輝度補正処理など
の画像処理を行うことができる。また、解像度のアップコンバートに伴う画素間補間処理
や、フレーム周波数のアップコンバートに伴うフレーム間補間処理などを実行することが
できる。また、階調変換処理は、画像の階調数を変換するだけでなく、階調数を大きくす
る場合の階調値の補間を行うことができる。また、ダイナミックレンジを広げる、ハイダ
イナミックレンジ(HDR)処理も、階調変換処理に含まれる。
【0649】
また、AIシステムは、ユーザーの癖を学習し、情報端末2910の操作のアシストを
行うことができる。AIシステムを搭載した情報端末2910は、ユーザーの指の動きや
、目線などからタッチ入力を予測することができる。
【0650】
図51(D)に示すラップトップ型パーソナルコンピュータ2920は、筐体2921
、表示部2922、キーボード2923、およびポインティングデバイス2924等を有
する。また、ラップトップ型パーソナルコンピュータ2920は、筐体2921の内側に
アンテナ、バッテリなどを備える。
【0651】
例えば、本発明の一態様の半導体装置を用いた記憶装置は、ラップトップ型パーソナル
コンピュータ2920の制御情報や、制御プログラムなどを長期間保持することができる
。
【0652】
また、本発明の一態様の半導体装置を用いたAIシステムをラップトップ型パーソナル
コンピュータ2920の画像処理部に用いることで、ノイズ除去処理、階調変換処理、色
調補正処理、輝度補正処理などの画像処理を行うことができる。また、解像度のアップコ
ンバートに伴う画素間補間処理や、フレーム周波数のアップコンバートに伴うフレーム間
補間処理などを実行することができる。また、階調変換処理は、画像の階調数を変換する
だけでなく、階調数を大きくする場合の階調値の補間を行うことができる。また、ダイナ
ミックレンジを広げる、ハイダイナミックレンジ(HDR)処理も、階調変換処理に含ま
れる。
【0653】
また、AIシステムは、ユーザーの癖を学習し、ラップトップ型パーソナルコンピュー
タ2920の操作のアシストを行うことができる。AIシステムを搭載したラップトップ
型パーソナルコンピュータ2920は、ユーザーの指の動きや、目線などから表示部29
22へのタッチ入力を予測することができる。また、テキストの入力においては、過去の
テキスト入力情報や、前後のテキストや写真などの図から入力予測を行い、変換のアシス
トを行う。これにより、入力ミスや変換ミスを極力低減することができる。
【0654】
図51(E)は、自動車の一例を示す外観図、
図51(F)は、ナビゲーション装置8
60を示している。自動車2980は、車体2981、車輪2982、ダッシュボード2
983、およびライト2984等を有する。また、自動車2980は、アンテナ、バッテ
リなどを備える。ナビゲーション装置860は、表示部861、操作ボタン862、及び
外部入力端子863を具備する。自動車2980とナビゲーション装置860は、それぞ
れ独立していても良いが、ナビゲーション装置860が自動車2980に組み込まれ、連
動して機能する構成とするのが好ましい。
【0655】
例えば、本発明の一態様の半導体装置を用いた記憶装置は、自動車2980やナビゲー
ション装置860の制御情報や、制御プログラムなどを長期間保持することができる。ま
た、本発明の一態様の半導体装置を用いたAIシステムを自動車2980の制御装置など
に用いることで、AIシステムは、ドライバーの運転技術や癖を学習し、安全運転のアシ
ストや、ガソリンやバッテリなどの燃料を効率的に利用する運転のアシストを行うことが
できる。安全運転のアシストとしては、ドライバーの運転技術や癖を学習するだけでなく
、自動車2980の速度や移動方法といった自動車の挙動、ナビゲーション装置860に
保存された道路情報などを複合的に学習し、走行中のレーンから外れることの防止や、他
の自動車、歩行者、構造体などとの衝突回避が実現できる。具体的には、進行方向に急カ
ーブが存在する場合、ナビゲーション装置860はその道路情報を自動車2980に送信
し、自動車2980の速度の制御や、ハンドル操作のアシストを行うことができる。
【0656】
本実施の形態は、他の実施の形態などに記載した構成と適宜組み合わせて実施すること
が可能である。
【符号の説明】
【0657】
100:容量素子、100a:容量素子、100b:容量素子、110:導電体、112
:導電体、120:導電体、130:絶縁体、150:絶縁体、160:導電体、200
:トランジスタ、200a:トランジスタ、200b:トランジスタ、203:導電体、
205:導電体、205a:導電体、205b:導電体、210:絶縁体、212:絶縁
体、214:絶縁体、216:絶縁体、218:導電体、220:絶縁体、222:絶縁
体、224:絶縁体、224A:絶縁膜、230:酸化物、230a:酸化物、230A
:酸化膜、230b:酸化物、230B:酸化膜、230c:酸化物、230C:酸化膜
、230d:酸化物、230D:酸化膜、231:領域、231a:領域、231b:領
域、232a:領域、232b:領域、234:領域、239:領域、240:導電体、
240a:導電体、240b:導電体、242:層、242A:膜、246:導電体、2
48:導電体、250:絶縁体、250A:絶縁膜、260:導電体、260a:導電体
、260Aa:導電膜、260Ab:導電膜、260b:導電体、260B:導電体、2
60Ba:導電体、260Bb:導電体、262:ダミーゲート、262A:ダミーゲー
ト膜、262B:ダミーゲート層、270:絶縁体、273:絶縁体、273A:絶縁膜
、273B:絶縁体、275:絶縁体、275A:絶縁膜、275B:絶縁体、280:
絶縁体、282:絶縁体、283:絶縁体、286:絶縁体、300:トランジスタ、3
11:基板、313:半導体領域、314a:低抵抗領域、314b:低抵抗領域、31
5:絶縁体、316:導電体、320:絶縁体、322:絶縁体、324:絶縁体、32
6:絶縁体、328:導電体、330:導電体、350:絶縁体、352:絶縁体、35
4:絶縁体、356:導電体、360:絶縁体、362:絶縁体、364:絶縁体、36
6:導電体、370:絶縁体、372:絶縁体、374:絶縁体、376:導電体、38
0:絶縁体、382:絶縁体、384:絶縁体、386:導電体、400:トランジスタ
、600:セル、601:セル、830:モニタ、831:表示部、832:筐体、83
3:スピーカ、834:リモコン操作機、860:ナビゲーション装置、861:表示部
、862:操作ボタン、863:外部入力端子、1001:配線、1002:配線、10
03:配線、1004:配線、1005:配線、1006:配線、1400:DOSRA
M、1405:コントローラ、1410:行回路、1411:デコーダ、1412:ワー
ド線ドライバ回路、1413:列セレクタ、1414:センスアンプドライバ回路、14
15:列回路、1416:グローバルセンスアンプアレイ、1417:入出力回路、14
20:MC-SAアレイ、1422:メモリセルアレイ、1423:センスアンプアレイ
、1425:ローカルメモリセルアレイ、1426:ローカルセンスアンプアレイ、14
44:スイッチアレイ、1445:メモリセル、1445a:メモリセル、1445b:
メモリセル、1446:センスアンプ、1447:グローバルセンスアンプ、1600:
NOSRAM、1610:メモリセルアレイ、1611:メモリセル、1612:メモリ
セル、1613:メモリセル、1614:メモリセル、1615:メモリセル、1615
a:メモリセル、1615b:メモリセル、1640:コントローラ、1650:行ドラ
イバ、1651:行デコーダ、1652:ワード線ドライバ、1660:列ドライバ、1
661:列デコーダ、1662:書き込みドライバ、1663:DAC、1670:出力
ドライバ、1671:セレクタ、1672:ADC、1673:出力バッファ、2000
:ロボット、2001:演算装置、2002:センサ、2003:ライト、2004:リ
フト、2005:駆動部、2006:通信手段、2007:スピーカ、2008:マイク
ロフォン、2009:表示部、2010:発光部、2011:移動機構、2910:情報
端末、2911:筐体、2912:表示部、2913:カメラ、2914:スピーカ部、
2915:操作スイッチ、2916:外部接続部、2917:マイク、2920:ラップ
トップ型パーソナルコンピュータ、2921:筐体、2922:表示部、2923:キー
ボード、2924:ポインティングデバイス、2940:ビデオカメラ、2941:筐体
、2942:筐体、2943:表示部、2944:操作スイッチ、2945:レンズ、2
946:接続部、2980:自動車、2981:車体、2982:車輪、2983:ダッ
シュボード、2984:ライト、、4010:演算部、4011:アナログ演算回路、4
012:DOSRAM、4013:NOSRAM、4014:FPGA、4020:制御
部、4021:CPU、4022:GPU、4023:PLL、4024:SRAM、4
025:PROM、4026:メモリコントローラ、4027:電源回路、4028:P
MU、4030:入出力部、4031:外部記憶制御回路、4032:音声コーデック、
4033:映像コーデック、4034:汎用入出力モジュール、4035:通信モジュー
ル、4041:AIシステム、4041_n:AIシステム、4041_1:AIシステ
ム、4041A:AIシステム、4041B:AIシステム、4098:バス線、409
9:ネットワーク、6000:システム、6001:ロボット、6002:演算装置、6
003:ブーム、6004:アーム、6005:容器、6006:容器、6007:物品
、6008:筐体、6009:センサ、6010:通信手段、6011:通信手段、60
21:板、6022:バー、6023:板、6024:板、6025:ヘラ、7000:
AIシステムIC、7001:リード、7002:プリント基板、7003:回路部、7
004:実装基板、7031:Siトランジスタ層、7032:配線層、7033:OS
トランジスタ層
【手続補正書】
【提出日】2024-07-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の絶縁体と、
前記第1の絶縁体上の酸化物と、
前記酸化物上の第2の絶縁体と、
前記第2の絶縁体上の第1の導電体と、
前記第1の導電体上の第2の導電体と、
前記酸化物上の第3の絶縁体と、
前記第3の絶縁体上の第4の絶縁体と、
前記第4の絶縁体上の第5の絶縁体と、を有し、
前記酸化物は、Inを有し、
前記第3の絶縁体は、前記第1の絶縁体の上面に接する領域と、前記酸化物の側面に接する領域と、前記酸化物の上面に接する領域と、前記第2の絶縁体の側面に接する領域と、前記第1の導電体の側面に接する領域と、を有し、
前記第3の絶縁体は、前記第1の絶縁体を露出する開口を有し、
前記第4の絶縁体は、前記第3の絶縁体の開口を介して前記第1の絶縁体に接する領域を有し、
前記第5の絶縁体は、前記第4の絶縁体に接する領域と、前記第3の絶縁体に接する領域と、前記第2の導電体に接する領域と、前記第1の導電体に接する領域と、を有する、半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の絶縁体および前記第4の絶縁体は、前記第3の絶縁体よりも酸素を透過し易い、半導体装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2において、
前記第3の絶縁体は、アルミニウム、およびハフニウムの一方または両方を含む酸化物である、半導体装置。