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特開2024-124499環境形成装置及び環境形成装置用撮影装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124499
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】環境形成装置及び環境形成装置用撮影装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 17/00 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
G01N17/00
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024107988
(22)【出願日】2024-07-04
(62)【分割の表示】P 2023151096の分割
【原出願日】2019-11-12
(71)【出願人】
【識別番号】000108797
【氏名又は名称】エスペック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】寺尾 公志
(57)【要約】
【課題】カメラの故障が少なく、長期にわたって使用することができる環境形成装置用撮影装置を開発することを課題とする。
【解決手段】 環境形成装置に使用される環境形成装置用撮影装置であって、前記環境形成装置は、所定の環境に調節可能な環境形成室と、当該環境形成室と外部を繋ぐ貫通孔を備えたものであり、カメラ36と、内筒部材31と、前記内筒部材31を覆う外筒部材30と、送風機48を有し、前記内筒部材31の内部によって第一通風空間40が構成され、前記内筒部材31と前記外筒部材30の間によって第二通風空間41が構成され、前記送風機48によって前記第一通風空間40又は前記第二通風空間41の一方を経由して前記カメラ36に向かって送風され、前記第一通風空間40又は第二通風空間41の他方を経由して排気されることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
環境形成装置に使用される環境形成装置用撮影装置であって、前記環境形成装置は、所定の環境に調節可能な環境形成室と、当該環境形成室と外部を繋ぐ貫通孔を備えたものであり、
前記環境形成装置用撮影装置は、カメラと、内筒部材と、前記内筒部材を覆う一方の端部が封鎖された外筒部材と、外部からの気体を供給するポートと、を有し、
前記内筒部材の内部によって第一通風空間が構成され、前記内筒部材と前記外筒部材の間によって第二通風空間が構成され、
前記ポートは、前記第一通風空間又は前記第二通風空間につながる位置に設けられ、
前記ポートから供給された気体が、前記第一通風空間又は前記第二通風空間の一方を経由して前記カメラに向かって流れ、前記隙間を通過して前記第一通風空間又は前記第二通風空間の他方を経由して排気される空気の流れが生じ、前記第一通風空間又は前記第二通風空間の他方を経由して排気されるよう構成されており、
前記カメラは、当該カメラ断面の前記内筒部材の径方向の大きさが前記内筒部材の内径より小さく、前記内筒部材の前記一方の端部側において、前記内筒部材の内壁と前記カメラの前記内筒部材内に位置する部分との間に隙間を設けた状態で配置されていることを特徴とする環境形成装置用撮影装置。
【請求項2】
環境形成装置に使用される環境形成装置用撮影装置であって、前記環境形成装置は、所定の環境に調節可能な環境形成室と、当該環境形成室と外部を繋ぐ貫通孔を備えたものであり、
前記環境形成装置用撮影装置は、カメラと、内筒部材と、前記内筒部材を覆う一方の端部が封鎖された外筒部材と、外部からの気体を供給するポートと、を有し、
前記内筒部材の内部によって第一通風空間が構成され、前記内筒部材と前記外筒部材の間によって第二通風空間が構成され、
前記ポートは、前記第一通風空間又は前記第二通風空間につながる位置に設けられ、
前記ポートから供給された気体が、前記第一通風空間又は前記第二通風空間の一方を経由して前記カメラに向かって流れ、前記隙間を通過して前記第一通風空間又は前記第二通風空間の他方を経由して排気される空気の流れが生じ、前記第一通風空間又は前記第二通風空間の他方を経由して排気されるよう構成されており、
前記カメラは、当該カメラ断面の前記内筒部材の径方向の大きさが前記内筒部材の内径より小さいことを特徴とする環境形成装置用撮影装置。
【請求項3】
環境形成装置に使用される環境形成装置用撮影装置であって、前記環境形成装置は、所定の環境に調節可能な環境形成室と、当該環境形成室と外部を繋ぐ貫通孔を備えたものであり、
前記環境形成装置用撮影装置は、カメラと、内筒部材と、前記内筒部材を覆う外筒部材を有し、
前記内筒部材の内部によって第一通風空間が構成され、前記内筒部材と前記外筒部材の間によって第二通風空間が構成され、
外部から気体が供給されて前記第一通風空間又は前記第二通風空間の一方を経由して前記カメラに向かって送風され、前記第一通風空間又は第二通風空間の他方を経由して排気されるよう構成されており、
前記カメラは、当該カメラ断面の前記内筒部材の径方向の大きさが前記内筒部材の内径より小さく、前記内筒部材の前記一方の端部側において、前記内筒部材の内壁と前記カメラの前記内筒部材内に位置する部分との間に隙間を設けた状態で配置されていることを特徴とする環境形成装置用撮影装置。
【請求項4】
環境形成装置に使用される環境形成装置用撮影装置であって、前記環境形成装置は、所定の環境に調節可能な環境形成室と、当該環境形成室と外部を繋ぐ貫通孔を備えたものであり、
前記環境形成装置用撮影装置は、カメラと、内筒部材と、前記内筒部材を覆う外筒部材を有し、
前記内筒部材の内部によって第一通風空間が構成され、前記内筒部材と前記外筒部材の間によって第二通風空間が構成され、
外部から気体が供給されて前記第一通風空間又は前記第二通風空間の一方を経由して前記カメラに向かって送風され、前記第一通風空間又は第二通風空間の他方を経由して排気されるよう構成されており、
前記カメラは、当該カメラ断面の前記内筒部材の径方向の大きさが前記内筒部材の内径より小さいことを特徴とする環境形成装置用撮影装置。
【請求項5】
先端部に透明部材が装着され、当該透明部材は、昇温機能を有するものであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の環境形成装置用撮影装置。
【請求項6】
先端部またはその近傍に照明が設けられていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の環境形成装置用撮影装置。
【請求項7】
前記照明は、前記カメラの入光部に対して環状に設置されていることを特徴とする請求項6に記載の環境形成装置用撮影装置。
【請求項8】
前記環境形成装置は、本体側係合部を有し、
前記環境形成装置用撮影装置は、結合部材を有し、当該結合部材は開口と撮影装置側係合部を有し、
前記撮影装置側係合部は前記本体側係合部と係合可能であり、前記開口に前記外筒部材と前記内筒部材が挿通されていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の環境形成装置用撮影装置。
【請求項9】
所定の環境に調節可能な環境形成室と、当該環境形成室と外部を繋ぐ貫通孔を備え、当該貫通孔に請求項1乃至8のいずれかに記載の環境形成装置用撮影装置が装着されていることを特徴とする環境形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環境形成装置に装着されてその内部を撮影する環境形成装置用撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
環境形成装置の一例として環境試験装置が知られている。環境試験装置は、試験室(環境形成室)を有しており、温度環境(例えば、高温や低温)や湿度環境(例えば、高湿度や低湿度)等の所定の環境を試験室内に人工的に作り出すことができるものである。
環境試験装置の試験室は、略密閉された空間であり、中が見えない場合がある。
環境試験装置の分野においては、試験室内の様子をカメラで撮影して外部でモニターしたり、試験室内の様子を連続的に撮影して記録しておきたいという要求がある。
特許文献1には、試験室内にカメラが挿入された環境試験装置が開示されている。特許文献1に開示された環境試験装置では、カメラが収容されたケースに給気用エアチューブと排気用エアチューブが接続されており、ケース内に乾燥空気が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平6-43552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された環境試験装置は、試験室内にカメラが配置されているので、試験室内の様子を撮影することができる。
しかしながら、特許文献1に開示された環境試験装置は、カメラの耐久性が低くなってしまうという懸念がある。
即ち、環境試験装置の試験室内は、高温や低温等の過酷な環境となることが多く、試験室内に配置されたカメラは、この様な過酷な環境にさらされることとなる。カメラは精密機械であり、使用可能な温度範囲や湿度範囲は限られている。環境試験中における試験室内の温度等は、カメラの使用可能な温度範囲等を超える場合が多い。
【0005】
特許文献1に開示された環境試験装置においても、温度対策がなされている。即ち特許文献1に開示された環境試験装置では、前記した様に、カメラが収容されたケースに給気用エアチューブと排気用エアチューブが接続されており、ケース内に乾燥空気が供給される。
しかしながら、特許文献1に開示された構造によると、ケース内でフレッシュな空気と、熱交換後の空気が混合され、カメラの周囲をフレッシュな空気で覆うことができない可能性がある。
そのため特許文献1に開示された構成によると、カメラが早期に破損してしまうという懸念がある。
【0006】
本発明は、従来技術の上記した問題点に注目し、カメラの故障が少なく、長期にわたって使用することができる環境形成装置用撮影装置を開発することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記した課題を解決するための態様は、環境形成装置に使用される環境形成装置用撮影装置であって、前記環境形成装置は、所定の環境に調節可能な環境形成室と、当該環境形成室と外部を繋ぐ貫通孔を備えたものであり、前記環境形成装置用撮影装置は、カメラと、内筒部材と、前記内筒部材を覆う外筒部材と、送風機を有し、前記内筒部材の内部によって第一通風空間が構成され、前記内筒部材と前記外筒部材の間によって第二通風空間が構成され、前記送風機によって前記第一通風空間又は前記第二通風空間の一方を経由して前記カメラに向かって送風され、前記第一通風空間又は第二通風空間の他方を経由して排気されることを特徴とする環境形成装置用撮影装置である。
上記した課題を解決するための具体的態様は、環境形成装置に使用される環境形成装置用撮影装置であって、前記環境形成装置は、所定の環境に調節可能な環境形成室と、当該環境形成室と外部を繋ぐ貫通孔を備えたものであり、前記環境形成装置用撮影装置は、カメラと、内筒部材と、前記内筒部材を覆う一方の端部が封鎖された外筒部材と、外部からの気体を供給するポートと、を有し、前記内筒部材の内部によって第一通風空間が構成され、前記内筒部材と前記外筒部材の間によって第二通風空間が構成され、前記ポートは、前記第一通風空間又は前記第二通風空間につながる位置に設けられ、前記ポートから供給された気体が、前記第一通風空間又は前記第二通風空間の一方を経由して前記カメラに向かって流れ、前記隙間を通過して前記第一通風空間又は前記第二通風空間の他方を経由して排気される空気の流れが生じ、前記第一通風空間又は前記第二通風空間の他方を経由して排気されるよう構成されており、前記カメラは、当該カメラ断面の前記内筒部材の径方向の大きさが前記内筒部材の内径より小さく、前記内筒部材の前記一方の端部側において、前記内筒部材の内壁と前記カメラの前記内筒部材内に位置する部分との間に隙間を設けた状態で配置されていることを特徴とする環境形成装置用撮影装置である。
上記した課題を解決するためのもう一つの具体的態様は、環境形成装置に使用される環境形成装置用撮影装置であって、前記環境形成装置は、所定の環境に調節可能な環境形成室と、当該環境形成室と外部を繋ぐ貫通孔を備えたものであり、前記環境形成装置用撮影装置は、カメラと、内筒部材と、前記内筒部材を覆う一方の端部が封鎖された外筒部材と、外部からの気体を供給するポートと、を有し、前記内筒部材の内部によって第一通風空間が構成され、前記内筒部材と前記外筒部材の間によって第二通風空間が構成され、前記ポートは、前記第一通風空間又は前記第二通風空間につながる位置に設けられ、前記ポートから供給された気体が、前記第一通風空間又は前記第二通風空間の一方を経由して前記カメラに向かって流れ、前記隙間を通過して前記第一通風空間又は前記第二通風空間の他方を経由して排気される空気の流れが生じ、前記第一通風空間又は前記第二通風空間の他方を経由して排気されるよう構成されており、前記カメラは、当該カメラ断面の前記内筒部材の径方向の大きさが前記内筒部材の内径より小さいことを特徴とする環境形成装置用撮影装置である。
【0008】
本態様の環境形成装置用撮影装置は、貫通孔を有する環境形成装置に装着されて使用される。
本態様の環境形成装置用撮影装置は、外筒部材を有し、当該外筒部材の中に、内筒部材がある。本態様の環境形成装置用撮影装置では、内筒部材が内蔵された状態の外筒部材が、環境形成装置の貫通孔に挿入される。
そして送風機によって第一通風空間又は第二通風空間の一方を経由してカメラに向かって送風される。カメラに吹き付けられる送風は、おおむねフレッシュな空気である。送風された空気は、前記第一通風空間又は第二通風空間の他方を経由して排気される。そのためフレッシュな空気と熱交換後の昇温された空気が混合されることが少なく、カメラに対してフレッシュな空気を吹き付けることができる。
【0009】
同様の課題を解決するためのもう一つの態様は、環境形成装置に使用される環境形成装置用撮影装置であって、前記環境形成装置は、所定の環境に調節可能な環境形成室と、当該環境形成室と外部を繋ぐ貫通孔を備えたものであり、前記環境形成装置用撮影装置は、カメラと、内筒部材と、前記内筒部材を覆う外筒部材と、送風機を有し、前記内筒部材の内部によって第一通風空間が構成され、前記内筒部材と前記外筒部材の間によって第二通風空間が構成され、前記カメラは前記第一通風空間又は前記第二通風空間の先端側の位置にあり、前記送風機は前記第一通風空間又は前記第二通風空間の基端側の位置にあることを特徴とする環境形成装置用撮影装置である。
【0010】
本態様環境形成装置用撮影装置では、カメラが第一通風空間又は第二通風空間の先端側の位置にあり、送風機は第一通風空間又は第二通風空間の基端側の位置にある。そのため送風機の送風は、第一通風空間又は第二通風空間の基端側から導入され、先端側に設置されたカメラに向かって送風される。カメラに吹き付けられる送風は、フレッシュな空気である。送風された空気は、第一通風空間又は第二通風空間の他方を経由して排気される。そのため、フレッシュな空気と熱交換後の昇温された空気が混合されることが少なく、カメラに対してフレッシュな空気を吹き付けることができる。
【0011】
同様の課題を解決するためのさらにもう一つの態様は、環境形成装置に使用される環境形成装置用撮影装置であって、前記環境形成装置は、所定の環境に調節可能な環境形成室と、当該環境形成室と外部を繋ぐ貫通孔を備えたものであり、前記環境形成装置用撮影装置は、カメラと、内筒部材と、前記内筒部材を覆う外筒部材を有し、前記内筒部材の内部によって第一通風空間が構成され、前記内筒部材と前記外筒部材の間によって第二通風空間が構成され、前記第一通風空間又は前記第二通風空間の一方を経由して前記カメラに向かって送風され、前記第一通風空間又は第二通風空間の他方を経由して排気されることを特徴とする環境形成装置用撮影装置である。
上記した課題を解決するためのもう一つの具体的態様は、環境形成装置に使用される環境形成装置用撮影装置であって、前記環境形成装置は、所定の環境に調節可能な環境形成室と、当該環境形成室と外部を繋ぐ貫通孔を備えたものであり、前記環境形成装置用撮影装置は、カメラと、内筒部材と、前記内筒部材を覆う外筒部材を有し、前記内筒部材の内部によって第一通風空間が構成され、前記内筒部材と前記外筒部材の間によって第二通風空間が構成され、外部から気体が供給されて前記第一通風空間又は前記第二通風空間の一方を経由して前記カメラに向かって送風され、前記第一通風空間又は第二通風空間の他方を経由して排気されるよう構成されており、前記カメラは、当該カメラ断面の前記内筒部材の径方向の大きさが前記内筒部材の内径より小さく、前記内筒部材の前記一方の端部側において、前記内筒部材の内壁と前記カメラの前記内筒部材内に位置する部分との間に隙間を設けた状態で配置されていることを特徴とする環境形成装置用撮影装置である。
上記した課題を解決するためのもう一つの具体的態様は、環境形成装置に使用される環境形成装置用撮影装置であって、前記環境形成装置は、所定の環境に調節可能な環境形成室と、当該環境形成室と外部を繋ぐ貫通孔を備えたものであり、前記環境形成装置用撮影装置は、カメラと、内筒部材と、前記内筒部材を覆う外筒部材を有し、前記内筒部材の内部によって第一通風空間が構成され、前記内筒部材と前記外筒部材の間によって第二通風空間が構成され、外部から気体が供給されて前記第一通風空間又は前記第二通風空間の一方を経由して前記カメラに向かって送風され、前記第一通風空間又は第二通風空間の他方を経由して排気されるよう構成されており、前記カメラは、当該カメラ断面の前記内筒部材の径方向の大きさが前記内筒部材の内径より小さいことを特徴とする環境形成装置用撮影装置である。
【0012】
本態様についても前記した態様と同様、第一通風空間又は第二通風空間の一方を経由してカメラに向かって送風される。カメラに吹き付けられる送風は、フレッシュな空気である。送風された空気は、前記第一通風空間又は第二通風空間の他方を経由して排気される。そのため、フレッシュな空気と熱交換後の昇温された空気が混合されることが少なく、カメラに対してフレッシュな空気を吹き付けることができる。
【0013】
上記した各態様において、先端部に透明部材が装着され、当該透明部材は、昇温機能を有するものであることが望ましい。
【0014】
本態様によると、透明部材の温度を上げることにより、透明部材に結露や曇りが発生することを防ぐことができる。
【0015】
上記した各態様において、先端部またはその近傍に照明が設けられていることが望ましい。
【0016】
本態様によると、試験室等の内部を照明で照らしつつ撮影を行うことができる。
【0017】
上記した態様において、前記照明は、前記カメラの入光部に対して環状に設置されていることが望ましい。
【0018】
本態様によると、カメラに照明が写り込みにくい。
【0019】
上記した各態様において、前記環境形成装置は、本体側係合部を有し、前記環境形成装置用撮影装置は、結合部材を有し、当該結合部材は開口と撮影装置側係合部を有し、前記撮影装置側係合部は前記本体側係合部と係合可能であり、前記開口に前記外筒部材と前記内筒部材が挿通されていることが望ましい。
【0020】
本態様の環境形成装置用撮影装置が取り付けられる対象の環境試験装置は、本体側係合部を有している。
本態様の環境形成装置用撮影装置は、本体側係合部を利用して環境形成装置に固定することができる。
【0021】
環境試験装置に関する態様は、所定の環境に調節可能な環境形成室と、当該環境形成室と外部を繋ぐ貫通孔を備え当該貫通孔に上記したいずれかの環境形成装置用撮影装置が装着されていることを特徴とする環境形成装置である。
【0022】
本態様の環境試験装置は、環境形成室内を撮影することができる。
上記した課題を解決するためのもう一つの具体的態様は、環境形成装置に使用される環境形成装置用撮影装置であって、前記環境形成装置は、所定の環境に調節可能な環境形成室と、当該環境形成室と外部を繋ぐ貫通孔を備えたものであり、前記環境形成装置には本体側係合部があり、前記環境形成装置用撮影装置は、本体部と取付部材を有し、前記本体部は、カメラと、当該カメラを保持する筒体部と、を有し、前記取付部材は、前記本体側係合部と係合可能な撮影装置側係合部を備えた結合部材と、開口を有する取付金具と、を有し、前記撮影装置側係合部を前記本体側係合部と係合させることによって、前記取付部材を前記環境形成装置の貫通孔の部位に固定することが可能であり、前記本体部を前記取付部材に固定して前記筒体部が前記貫通孔に挿入された状態で、前記カメラを前記環境形成装置に取り付けることが可能であることを特徴とする環境形成装置用撮影装置である。
上記した課題を解決するためのもう一つの具体的態様は、環境形成装置に使用される環境形成装置用撮影装置であって、前記環境形成装置は、所定の環境に調節可能な環境形成室と、当該環境形成室と外部を繋ぐ貫通孔を備えたものであり、前記環境形成装置には本体側係合部があり、前記環境形成装置用撮影装置は、カメラと、内筒部材と、前記内筒部材を覆う一方の端部が封鎖された外筒部材とが一体化された本体部と、取付部材と、外部の送風装置からの気体を供給するポートと、を有し、前記内筒部材の内部によって第一通風空間が構成され、前記内筒部材と前記外筒部材の間によって第二通風空間が構成され、前記送風装置によって前記第一通風空間又は前記第二通風空間の一方を経由して前記カメラに向かって送風され、前記第一通風空間又は第二通風空間の他方を経由して排気され、前記ポートは、前記第一通風空間又は前記第二通風空間につながる位置に設けられ、前記取付部材は、前記本体側係合部と係合可能な撮影装置側係合部を備えた結合部材と、開口を有する取付金具と、を有し、前記撮影装置側係合部を前記本体側係合部と係合させることによって、前記取付部材を前記環境形成装置の貫通孔の部位に固定することが可能であり、前記本体部を前記取付部材に固定して前記筒体部が前記貫通孔に挿入された状態で、前記カメラを前記環境形成装置に取り付けることが可能であることを特徴とする環境形成装置用撮影装置である。
【発明の効果】
【0023】
本発明の環境形成装置用撮影装置は、カメラの故障が少なく、長期にわたって使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の実施形態の環境形成装置用撮影装置が装着された環境試験装置の斜視図である。
図2図1の環境試験装置の貫通孔部の概略断面図である。
図3図1の環境形成装置用撮影装置の先端部分の斜視図であって、封止ガラスを外して筒状体の内部を観察した状態を示す。
図4】本発明の実施形態の環境形成装置用撮影装置を後方側から観察した斜視図である。
図5図4の環境形成装置用撮影装置の分解斜視図である。
図6】環境形成装置用撮影装置を環境形成装置に装着する手順を示す貫通孔部分の斜視図である。
図7図6に続く工程を示す貫通孔部分の斜視図である。
図8図7に続く工程を示す貫通孔部分の斜視図である。
図9】環境形成装置用撮影装置が装着される前の環境試験装置の斜視図である。
図10図9の環境試験装置の内部構造を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下さらに本発明の実施形態について説明する。
最初に環境形成装置用撮影装置1が装着される環境形成装置について簡単に説明する。 環境形成装置は、具体的には環境試験装置であり、以下、環境試験装置100と称する。また環境形成装置用撮影装置1を撮影装置1と略称する場合がある。
【0026】
環境試験装置(環境形成装置)100は、例えば高温環境や、低温環境、高湿度環境等を人工的に作り出すものである。
環境試験装置100は、図10の様な環境調整システムを備えている。環境試験装置100は、試験室(環境形成室)3、冷却機5、加熱ヒータ6、加湿装置7及び送風機8を備えている。試験室(環境形成室)3は、断熱壁2を用いて形成された断熱槽の一部によって構成されている。
環境試験装置100には、試験室3と連通する空気流路10があり、当該空気流路10に前記した冷却機5の蒸発器11と、加熱ヒータ6、加湿装置7及び送風機8が設けられている。また、空気流路10の出口側に、温度センサー12と湿度センサー13が設けられている。環境試験装置100では、前記した空気流路10内の部材と、温度センサー12及び湿度センサー13によって空気調和装置15が構成されている。
【0027】
環境試験装置100は、空気調和装置15によって、試験室3内に所望の温度・湿度環境を作る。
【0028】
環境試験装置100は、図9図10の様に、試験室3と外部とを連通する貫通孔101を有している。貫通孔101は、ケーブル孔と称されるものであり、センサー等の電線を挿通するための孔である。
【0029】
環境試験では、前記した試験室3に被試験物16を置き、被試験物16を過酷な環境にさらしてその変化を観察する。
環境試験では、試験中における被試験物16の変化の進行具合を観察するため、被試験物16にセンサー17が取り付けられる場合がある。例えば外形の変化を観察するためのストレインゲージが取り付けられたり、抵抗変化を測定するための電極が取り付けられたりする場合がある。あるいは被試験物16の表面温度を測定するために温度センサーが取り付けられることもある。さらには、被試験物16に通電するための電線が取り付けられる場合もある。
【0030】
貫通孔101は、主として上記した様な電線を挿通する用途に設けられたものである。従って、電線を挿通する必要が無い場合には、図9に示すように、貫通孔101に蓋102が装着されている。
本実施形態では、貫通孔101は、図2図5図6図7の様に管状部材105で作られており、その一端は、試験室3の外側に突出している。管状部材105の突出部107には、外ネジ(本体側係合部)106が形成されている。また管状部材105にはフランジ110、111があり、試験室3の断熱壁2がフランジ110、111で挟まれている。
蓋102には、図6の様に内ネジ109が形成されている。
蓋102は、環境試験装置100側の外ネジ(本体側係合部)106に、自己の内ネジ109を係合させて、環境試験装置100に取り付けられている。
【0031】
次に撮影装置1について説明する。
撮影装置1は、図5の様に、筒体部20、送風ユニット21、カバー部材22及び取付部材23よって構成されている。本実施形態では、筒体部20、送風ユニット21、カバー部材22の三者が一体化されて本体部25が構成されている。
筒体部20は、図2、3の様に、外筒部材30、内筒部材31、カメラユニット32及び封止ガラス(透明部材)33を有している。なお、図2は、撮影装置1の内部構造を概念的に説明するものであり、作図の関係上、各部が簡略化されている。また取付部材23の一部が省略されている。
【0032】
外筒部材30は、耐熱性、耐寒性を有する素材で作られた管である。外筒部材30は、断熱性を有する素材で作られていてもよい。特に、外筒部材30が長い場合には、断熱性を有する素材で作られていることが望ましい。
外筒部材30は、前記した環境試験装置100の貫通孔101の内径と略等しい外径を有し、貫通孔101にほぼ隙間なく挿入可能な外径の管である。
内筒部材31は、その外径が、外筒部材30の内径よりも相当に小さい管である。内筒部材31の全長は、外筒部材30の全長よりも短い。
【0033】
カメラユニット32は、カメラ36、フード部材37及び照明部材38によって構成されている。
カメラ36は、小型のデジタルカメラであり、動画及び静止画を撮影することができる。
カメラ36は入光部51を有し、入光部51から光を取り入れて撮影することができる。
フード部材37は、内面が黒色の筒である。
照明部材38は、図3の様に、例えば発光素子50が円環状に配置されたものである。発光素子50は、例えばLEDであり、点光源である。照明部材38は、ドーナツ状の基板に、点光源たる発光素子50が多数取り付けられたものである。
発光素子50の数は任意であるが、複数であることが望ましい。例えば3以上であることが推奨され、間隔をあけて環状に配置されることが望ましいが、一個の光源だけであってもよい。
照明部材38は、点光源に限定されるものではなく、面状発光体や線状の発光体であってもよい。発光原理についてもLEDに限定されるものではない。照明部材38は発光素子50で作られたものに限定されない。
【0034】
カメラ36の入光部51およびその前方の周囲は、フード部材37によって覆われている。フード部材37は、カメラ36の入光部51を同心状に取り巻いている。
照明部材38は、フード部材37のさらに外側にある。照明部材38は、フード部材37を同心状に取り巻いている。
カメラユニット32は、前記したカメラ36、フード部材37及び照明部材38が一体化されたものであり、一つの部品として取り扱うことができる。
【0035】
カメラ36、フード部材37及び照明部材38の位置関係は、重要である。
フード部材37は、照明部材38の光が直接カメラ36に入射されず、且つカメラ36の視野角から外れる内径及び長さのものが選択される。
【0036】
封止ガラス(透明部材)33は、ヒータガラスと称されるガラスであり、昇温機能を備えている。
具体的には、封止ガラス(透明部材)33は、透明な耐熱ガラスに膜状のヒータ(図示せず)が取り付けられたものであり、リード線53に通電することによって発熱する。
【0037】
筒体部20は、外筒部材30の内部に内筒部材31とカメラユニット32が内蔵され、外筒部材30の先端に封止ガラス(透明部材)33が装着されたものである。
外筒部材30と内筒部材31は、同心状に配置されており、外筒部材30は、内筒部材31の外周を覆っている。内筒部材31の先端側は、図2の様に、外筒部材30内に収まっている。
これに対し、内筒部材31の基端側は、図2の様に、外筒部材30の基端側から突出している。
内筒部材31の内部は、第一通風空間40として機能する。また外筒部材30と内筒部材31の間には隙間があり、当該隙間によって、第二通風空間41が構成されている。
【0038】
カメラユニット32は、外筒部材30内であって、内筒部材31の先端部に設けられている。内筒部材31の先端開口部の内面とカメラ36との間には、隙間42がある。また内筒部材31の中心線の延長上にカメラ36が設置されている。
封止ガラス(透明部材)33は、オーリング等の封止部材43を介して外筒部材30の先端に装着されている。外筒部材30の先端側は、封止ガラス(透明部材)33によって気密性を有する状態で封鎖されている。
封止ガラス(透明部材)33とカメラユニット32の距離は、発光素子50の光が封止ガラス(透明部材)33の表面で反射しても、カメラ36に入射しない距離である。
【0039】
送風ユニット21は、図2の様に小型の送風機48を有している。送風ユニット21は、支持部材45に送風機48が取り付けられたものである。送風機48は、プロペラ状の羽根46を有する軸流送風機である。羽根46は、モータ47によって回転する。
送風ユニット21は、図2の様に、内筒部材31の基端部に設置されている。羽根46の位置は、おおむね内筒部材31の開口円の領域に収まり、第二通風空間41側にははみ出していない。
【0040】
カバー部材22は、図5の様に、一面が開口し、他の5面が壁で覆われた四角形のケースである。
即ちカバー部材22は、正面壁60、上面壁61、下面壁62及び左右の側面壁63、65を有している。カバー部材22の裏面側は開放されている。
カバー部材22の正面壁60には、吸気開口70がある。カバー部材22の上面壁61、及び下面壁62には、排気開口71が形成されている。
【0041】
カバー部材22の左右の側面壁63、65には、係止金具72が設けられている。係止金具72は、トグル機構を備えた係止部材の引っ張り側部材である。
前記した筒体部20と送風ユニット21は、図示しないネジ等によってカバー部材22に固定されており、筒体部20と送風ユニット21及びカバー部材22が一体化されて本体部25が構成されている。
【0042】
次に取付部材23について説明する。
取付部材23は、図5図7の様に、取付金具73と、結合部材75によって構成されている。
取付金具73は、図5図7の様に、概略形状が凹型の金具であり、カバー部材22の正面壁60と対向する正面壁76と、左右の側面壁77、78を有している。
正面壁76の中央には、大きな開口66が設けられている。
左右の側面壁77、78には、係止片80が設けられている。
【0043】
結合部材75は、開口81が設けられた円形の部材であり、蓋102と同様に、内面に内ネジ(撮影装置側係合部)108が形成されている。
【0044】
取付部材23は、環境試験装置100の貫通孔101を形成する管状部材105に取り付けられる。
具体的には、環境試験装置100から突出している管状部材105の突出部107に、取付金具73の開口66を合わせ、その外側から結合部材75を管状部材105の外ネジ106に係合させている。即ち、結合部材75の内ネジ108を管状部材105の外ネジ106に係合して、結合部材75を管状部材105の突出部107に取り付け、結合部材75と管状部材105のフランジ110との間に取付金具73を挟み込んでいる。
なお、フランジ110と取付金具73の間、及び取付金具73と結合部材75の間には、オーリング等の封止部材82、83が介在されている。
【0045】
撮影装置1の取付手順は、図6乃至図8の通りである。
最初に、取付部材23を環境試験装置100の貫通孔101を形成する管状部材105に取り付ける。即ち、図6の様に、環境試験装置100の管状部材105から既設の蓋102を取り外す。
続いて、図7の様に、管状部材105の突出部107に封止部材82、取付金具73、封止部材83及び結合部材75を順次装着し、結合部材75を締め込んで取付金具73を固定する。
【0046】
こうして、図8の様に、取付金具73を管状部材105の外側の端部に固定する。
その後、取付金具73に本体部25を取り付ける。具体的には、環境試験装置100の貫通孔101に本体部25の筒体部20を挿入する。
本体部25の筒体部20は、結合部材75の開口81及び取付金具73の開口66に挿入されて、環境試験装置100の貫通孔101に至る。筒体部20の外筒部材30及び内筒部材31は、いずれも結合部材75の開口81、取付金具73の開口66及び貫通孔101に挿通されている。
【0047】
撮影装置1の本体部25は、カバー部材22と取付金具73の凹側同士が向き合うようにして、取付金具73に取り付けられる。そして、カバー部材22の側面壁63、65に設けられた係止金具72を取付金具73の係止片80と係合させることによって、本体部25が取付部材23と一体化される。
その結果、筒体部20が貫通孔101に挿入された状態で、撮影装置1が、環境試験装置100に取り付けられる。
【0048】
図2は、撮影装置1が環境試験装置100に取り付けられた状態の概略を示す断面図である。
撮影装置1の本体部25の内、送風ユニット21は、断熱槽の外にある。筒体部20の大半は、断熱壁2を貫通する貫通孔101内にあり、その先端が、試験室3を臨む位置にある。
試験室3と、本体部25の外筒部材30内は、封止ガラス(透明部材)33で仕切られており、両者の間は気密状態が保たれている。
本体部25内のカメラ36の入光部51は、試験室3側に向いている。また照明部材38についても、試験室3側に向いている。
【0049】
次に、撮影装置1の機能について説明する。
本実施形態の環境試験装置100を使用して、環境試験が行われ、その間の試験室3内の様子が撮影装置1で撮影される。
即ち、公知の環境試験と同様、試験室3内が所望の高温環境や低温環境に調節され、その中に物品が載置され、環境試験が実施される。
【0050】
撮影に際しては、撮影装置1の照明部材38が点灯される。照明部材38は、試験室3側に向いており、照明部材38が発する光によって、試験室3内の物品が照らされる。
ここで、カメラユニット32はフード部材37を有し、当該フード部材37が、カメラ36の入光部51を取り巻いている。
これにより、照明部材38の光をフード部材37で遮り、直接カメラ36に入射しないようにしている。
またフード部材37はカメラ36の入光部51に対して十分に大きく、且つその全長は短くなるよう構成される。これにより、カメラ36の視野にフード部材37が入らず、フード部材37が映像に写り込むことがないようにしている。
また照明部材38は、フード部材37の外側を環状に取り巻いて配置されており、反射光が入光部51に入る懸念も低い。
【0051】
試験室3内が高温環境や低温環境である場合には、撮影装置1の送風ユニット21のモータ47を駆動する。
送風ユニット21の送風機48によって、カバー部材22の吸気開口70から外気が吸引される。当該外気は、内筒部材31の内部で構成される第一通風空間40を通過し、直接的にカメラ36に吹き付けられる。
【0052】
本体部25の外筒部材30の先端は封止ガラス(透明部材)33で封鎖されているから、送風は、カメラ36の領域を通過したのち、外筒部材30と内筒部材31の間に形成されている第二通風空間41に入り、筒体部20の基端側に戻る。そして当該空気は、カバー部材22の排気開口71から排気される。即ち、本実施形態では、撮影装置1内が、送風機48を起点として、内筒部材31内の第一通風空間40、隙間42を経由してカメラ36の周囲空間に至る行き側流路と、カメラ36の周囲空間から、外筒部材30と内筒部材31の間に形成されている第二通風空間41を経て排気開口71に至る戻り側流路に区分されており、空気の滞留が起こりにくい。
【0053】
そのため本実施形態の撮影装置1によると、常にフレッシュな外気がカメラ36に吹き付けられ、カメラ36の雰囲気温度が一定の許容範囲内に収まる。湿度についても同様であり、カメラ36の周囲の湿度は、外気の湿度と略同じであり、一定の許容範囲内に収まる。
そのため、カメラ36に不具合を生じさせにくい。
【0054】
また試験室3内が低温環境に調節される場合には、封止ガラス(透明部材)33のヒータに通電し、封止ガラス(透明部材)33の表面温度を試験室3内の温度よりも高い温度に保温する。
その結果、封止ガラス(透明部材)33の内面及び外面への霜付きや曇りが防止される。
【0055】
本実施形態の撮影装置1では、カメラ36、フード部材37及び照明部材38が一つのカメラユニット32となっている。
また本実施形態の撮影装置1では、送風ユニット21側についてもユニット化されている。
そのため本実施形態の撮影装置は、部品の互換性が高く、各種の環境試験装置に適用することができる。
即ち、撮影装置1が装着される貫通孔101はケーブル孔であり、複数の環境試験装置で同じ内径のケーブル孔が用いられている場合がある。
また、貫通孔101の長さは断熱壁2の厚さに依存し、環境試験装置の用途、容量、グレード等によって相違する場合がある。
【0056】
ケーブル孔の径が同じで断熱壁の厚さが異なる場合に備え、長さだけが異なる外筒部材30用の管と内筒部材31用の管を、複数用意しておけば、貫通孔101の長さに応じて管を選択して、カメラユニット32、送風ユニット21及びカバー部材22を組み合わせることにより、各環境試験装置100に応じた撮影装置1を完成させることができる。
【0057】
以上説明した撮影装置は、内筒部材31の基端側に送風ユニット21を取り付け、内筒部材31によって構成される第一通風空間40を行き側流路とし、カメラ36に向かって送風した。本発明は、この構成に限定されるものではなく、外筒部材30と内筒部材31の間で形成される第二通風空間41の基端側に送風ユニット21を取り付けてもよい。本構成によると、送風は、第二通風空間41を通過してカメラ36に吹き付けられ、内筒部材31によって構成される第一通風空間40を戻り側流路として排気される。
【0058】
また環境試験装置100から離れた位置に送風機を設置し、ダクト等で送風機と第一通風空間40又は第二通風空間41を接続してもよい。また、送風は送風機以外の送風装置を用いてなされてもよい。例えばコンプレッサーで圧縮した空気を撮影装置に供給してもよい。試験室3内が低温である場合には、除湿した空気を撮影装置に供給してもよい。あらかじめ加熱や冷却した空気を撮影装置に供給して、結露等を防ぐことも考えられる。
空気に代わって、窒素等の他の気体を撮影装置に供給してもよい。
【0059】
外部から気体を供給する構成を採用する場合には、第一通風空間40又は第二通風空間41につながるポートを設けることが推奨される。例えば、当該ポートをカバー部材22に設けたり、別途のボードに第一通風空間40又は第二通風空間41につながるポートを設け、当該ボードを撮影装置の本体部25に固定したり、環境試験装置100の側面に取り付けてもよい。
【0060】
以上説明した実施形態では、管状部材105の突出部107に設けられている既設の外ネジ(本体側係合部)106を利用して撮影装置1を環境試験装置100に取り付けたが、他の方法によって撮影装置1を取り付けてもよい。
例えば、ボルト等の締結要素を使用して、環境試験装置100の側面に直接、撮影装置を取り付けてもよい。
また、接着剤や磁石によって、環境試験装置100の側面に撮影装置を取り付けてもよい。
【0061】
以上説明した実施形態では、環境試験装置を例として説明したが、本発明の対象は環境試験装置に限定されるものではなく、オーブン等の加熱処理を行う装置や、空調機能を備えた保管庫等の環境形成装置に広く利用できるものである。
【0062】
以上説明した実施形態では、ケーブル孔に撮影装置1を装着したが、他の貫通孔を活用してもよい。例えば、試験室3内の物品に外力を与えるためのロッドやアーム等を挿通する貫通孔や、外部に設置された空調装置と試験室3をダクトで繋ぐための貫通孔、センサーを挿入するための貫通孔に撮影装置1を装着してもよい。
【0063】
以上説明した実施形態は、環境形成装置に使用される環境形成装置用撮影装置であって、前記環境形成装置は、所定の環境に調節可能な環境形成室と、当該環境形成室と外部を繋ぐ貫通孔を備え、前記環境形成装置には本体側係合部があり、前記環境形成装置用撮影装置は、カメラと、当該カメラを保持するカメラ保持部材と、結合部材を有し、当該結合部材は開口と撮影装置側係合部を有し、前記撮影装置側係合部は前記本体側係合部と係合可能であり、前記カメラを前記貫通孔に挿入した状態で、前記撮影装置側係合部を前記本体側係合部と係合させることによって前記カメラを前記環境形成装置に固定することが可能であることを特徴とする環境形成装置用撮影装置である。
【符号の説明】
【0064】
1 撮影装置(環境形成装置用撮影装置)
3 試験室(環境形成室)
20 筒体部
21 送風ユニット
22 カバー部材
23 取付部材
25 本体部
30 外筒部材
31 内筒部材
32 カメラユニット
33 封止ガラス(透明部材)
36 カメラ
37 フード部材
38 照明部材
40 第一通風空間
41 第二通風空間
48 送風機
50 発光素子
73 取付金具
75 結合部材
100 環境試験装置(環境形成装置)
101 貫通孔
105 管状部材
106 外ネジ(本体側係合部)
108 内ネジ(撮影装置側係合部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10