(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124502
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ニット滑り止め品
(51)【国際特許分類】
A41B 11/12 20060101AFI20240905BHJP
A61F 13/08 20060101ALI20240905BHJP
A61F 13/00 20240101ALI20240905BHJP
A41B 11/00 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A41B11/12 Z
A61F13/08
A61F13/00 355A
A61F13/00 355P
A41B11/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】26
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024108065
(22)【出願日】2024-07-04
(62)【分割の表示】P 2021560333の分割
【原出願日】2020-03-13
(31)【優先権主張番号】62/826,364
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/817,126
(32)【優先日】2020-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521440574
【氏名又は名称】エラスティック・セラピー・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ドニー・ハンプトン・ラインベリー
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・テッド・スミス
(57)【要約】
【課題】ニット滑り止め品を提供する。
【解決手段】治療用医療デバイスはニット滑り止め部分を有するニット衣類を含み、前記ニット滑り止め部分は配置構成された編成されたヤーンの繰り返しパターンを含み、繰り返しパターンは1/70/34S撚りS撚りヤーンを含む第1の低摩擦ヤーンと、200dtexシリコーンヤーンを含む第1の高摩擦ヤーンと、第1の低摩擦ヤーンとは反対の方向の撚りを有する1/70/34Z撚りヤーンを含む第2の低摩擦ヤーンと、200dtexシリコーンヤーンを含む第2の高摩擦ヤーンとを含み、第1および第2の高摩擦ヤーンは第1の低摩擦ヤーンおよび第2の低摩擦ヤーンとともに適所に保持され、前記高摩擦ヤーンは衣類の滑り止め特性を向上させるため滑り止め部分で着用者の皮膚に接触するように露出されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニット整形外科用医療デバイスであって、
ニット滑り止め部分を含むニット品であって、前記滑り止め部分はヤーンの繰り返しパターンを含むニット表面を有し、ヤーンの前記繰り返しパターンは
1/70/34S撚りヤーンを含む第1の低摩擦ヤーンと、
200dtexシリコーンヤーンを含む第1の高摩擦ヤーンと、
1/70/34Z撚りヤーンを含む第2の低摩擦ヤーンと、
200dtexシリコーンヤーンを含む第2の高摩擦ヤーンとを含む、ニット品を含み、
前記第1および第2の高摩擦ヤーンは、前記第1および第2の低摩擦ヤーンとともに適所に保持され、前記高摩擦ヤーンは衣類の滑り止め特性を向上させるため前記滑り止め部分で着用者の皮膚に接触するように露出されているニット整形外科用医療デバイス。
【請求項2】
前記繰り返しパターンは、天竺編みである請求項1に記載の整形外科用医療デバイス。
【請求項3】
前記繰り返しパターンは、引き上げ編みである請求項1に記載の整形外科用医療デバイス。
【請求項4】
前記繰り返しパターンは、浮き編みである請求項1に記載の整形外科用医療デバイス。
【請求項5】
前記ニット品は、圧迫靴下である請求項1から4のいずれか一項に記載の整形外科用医療デバイス。
【請求項6】
前記圧迫靴下は、近位端および遠位端を備え、前記近位端が前記遠位端よりも脚上で高くなるように使用者の脚の一部に密接にフィットするように成形され、前記ニット滑り止め部分は、前記近位端の一部として編成される請求項5に記載の整形外科用医療デバイス。
【請求項7】
前記滑り止め部分は、前記使用者の脚の、膝と踝との間の部分に接触するように前記ニット品上に構造化される請求項6に記載の整形外科用医療デバイス。
【請求項8】
前記滑り止め部分は、前記使用者の脚の、膝と腰との間の部分に接触するように構造化される請求項6に記載の整形外科用医療デバイス。
【請求項9】
前記ニット品は、膝ブレースである請求項1から4のいずれか一項に記載の整形外科用医療デバイス。
【請求項10】
前記膝ブレースは、近位端および遠位端を備え、前記膝ブレースは、前記近位端が前記遠位端よりも脚上で高くなるように使用者の前記脚の一部を覆うように構成され、前記ニット滑り止め部分は、前記近位端の一部上に配置構成される請求項9に記載の整形外科用医療デバイス。
【請求項11】
前記膝ブレースは、近位端および遠位端を備え、前記膝ブレースは、前記近位端が前記遠位端よりも脚上で高くなるように使用者の前記脚の一部を覆うように構成され、前記ニット滑り止め部分は、前記近位端および前記遠位端の一部上に配置構成される請求項9に記載の整形外科用医療デバイス。
【請求項12】
前記近位端上の前記滑り止め部分は、着用者の脚の、膝と腰との間の部分に接触するように前記膝ブレース上に位置決めされる請求項10に記載の整形外科用医療デバイス。
【請求項13】
前記ニット品は、前記ニット滑り止め部分の一部ではない第1のニット部分をさらに含み、前記第1のニット部分は前記ニット滑り止め部分と異なるヤーンの繰り返しパターンを含み、前記第1のニット部分および前記ニット滑り止め部分は、両方とも同じ編機で前記衣類中に形成される請求項1から12のいずれか一項に記載の整形外科用医療デバイス。
【請求項14】
ニット品とニット滑り止め部分とを含む治療用医療デバイスを編成する方法であって、
編機上で、物品の少なくとも一セクションを編成するステップであって、前記物品の前記セクションは滑り止め部分を有しない、ステップと、
前記物品を取り外すことなく前記編機上で、前記物品の滑り止め部分を編成するステップであって、前記滑り止め部分は繰り返しパターンで配置構成されているヤーンを有し、前記ヤーンは
1/70/34S撚りヤーンを含む第1の低摩擦ヤーンと、
200dtexシリコーンヤーンを含む第1の高摩擦ヤーンと、
1/70/34Z撚りヤーンを含む第2の低摩擦ヤーンと、
200dtexシリコーンヤーンを含む第2の高摩擦ヤーンとを含む、ステップとを含む方法。
【請求項15】
前記繰り返しパターンは、引き上げ編みである請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記繰り返しパターンは、浮き編みである請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記物品は、圧迫靴下である請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記圧迫靴下は、近位端および遠位端を備え、前記近位端が前記遠位端よりも脚上で高くなるように使用者の前記脚の一部を覆うように構成され、前記ニット滑り止め部分は、前記近位端の一部として編成される請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記物品は、前記物品が着用されたときに前記近位端が着用者の前記脚に、膝より下で接触するように構成される請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記物品は、前記物品が着用されたときに前記近位端が着用者の前記脚に、膝より上で接触するように構成される請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記物品は、前記物品が着用されたときに前記近位端が着用者の前記脚に、膝のところで接触するように構成される請求項14から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記物品は、膝ブレースである請求項14から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記膝ブレースは、近位端および遠位端を備え、前記近位端が前記遠位端よりも脚上で高くなるように使用者の前記脚の、膝の周りの、一部を覆うように構成され、前記ニット滑り止め部分は、前記近位端の一部として編成される請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記膝ブレースは、近位端および端を備え、前記近位端が前記遠位端よりも脚上で高くなるように使用者の前記脚の、前記膝の周りの、一部を覆うように構成され、前記ニット滑り止め部分は、前記遠位端の一部として編成される請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記膝ブレースは、近位端および遠位端を備え、前記近位端が前記遠位端よりも脚上で高くなるように使用者の前記脚の、膝の周りの、一部を覆うように構成され、前記ニット滑り止め部分は、前記近位端および前記遠位端の一部として編成される請求項22に記載の方法。
【請求項26】
ニット整形外科用品であって、
第1のニットセクションと、
前記第1のニットセクションから連続的に編成される第2のニットセクションであって、前記第2のニットセクションはヤーンの繰り返しパターンを含む滑り止め部分を有し、ヤーンの前記繰り返しパターンは
1/70/34S撚りヤーンを含む第1の低摩擦ヤーン、
200dtexシリコーンヤーンを含む第1の高摩擦ヤーン、
1/70/34Z撚りヤーンを含む第2の低摩擦ヤーン、および
200dtexシリコーンヤーンを含む第2の高摩擦ヤーンからなり、前記高摩擦ヤーンは衣類の滑り止め特性を向上させるために前記ニット整形外科用品の着用者の皮膚に接触するように前記繰り返しパターンにおいて露出されている、第2のニットセクションとを含むニット整形外科用品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、参照により全体が本明細書に組み込まれている、2019年3月29日に出願した米国仮出願第62/826,364号、名称「Knitted Anti-Slip Article」および2020年3月12日に出願した米国非仮出願第16/817,126号、名称「Knitted Anti-Slip Article」の利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、一般的に、ニット製品(knitted product)の滑り止め部分に関するものである。より具体的には、本開示は、たとえば、圧迫靴下または膝ブレースで使用され得るデバイスまたは衣類のニット滑り止め布地部分に関するものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
多数のイノベーションが本明細書に開示されており、各々イノベーションの様々な実施形態に含まれ得る複数の態様を有する。1つのイノベーションは、ニット滑り止め部分を含むニット品(knitted article)を含むニット整形外科用医療デバイス(knitted orthopedic medical device)であり、滑り止め部分はヤーンの繰り返しパターンを含むニット表面を有する。一実施形態において、ヤーンの繰り返しパターンは、第1の低摩擦ヤーン、高摩擦ヤーン、および第2の低摩擦ヤーンを含むことができる。一例において、第1の低摩擦ヤーンは、1/70/34S撚りナイロンヤーンであり、第1の高摩擦ヤーンは、200dtexシリコーンヤーンであり、第2の低摩擦ヤーンは、1/70/34Z撚りナイロンヤーンであってよい。別の実施形態において、ヤーンの繰り返しパターンは、第1の低摩擦ヤーン、第1の高摩擦ヤーン、第2の低摩擦ヤーン、および第2の高摩擦ヤーンを含むことができる。一例において、第1の低摩擦ヤーンは、1/70/34S撚りナイロンヤーンであり、第1の高摩擦ヤーンは、200dtexシリコーンヤーンであり、第2の低摩擦ヤーンは、1/70/34Z撚りナイロンヤーンであってよく、第2の高摩擦ヤーンは200dtexシリコーンヤーンを含む。高摩擦ヤーンは、第1および第2の低摩擦ヤーンとともに適所に保持される。高摩擦ヤーンは、衣類の滑り止め特性を向上させるために滑り止め部分で着用者の皮膚に接触するように露出されている。
【0004】
そのような物品の実施形態は、1つまたは複数の追加の態様(または特徴)を有し得る。一実施形態において、ヤーンの繰り返しパターンは、天竺編みである。一実施形態において、繰り返しパターンは、引き上げ編みである。一実施形態において、繰り返しパターンは、浮き編みである。他の繰り返しパターンも使用され得る。滑り止め部分が編成され得る物品の一例では、ニット品は圧迫靴下である。圧迫靴下は、近位端および遠位端を備えることができ、近位端が遠位端よりも脚上で高くなるように、圧迫靴下の着用者の脚の一部に密接にフィットするように整形されており、ニット滑り止め部分は、近位端の一部として編成されている。滑り止め部分は、物品の端部、たとえば、ウェルトの内側で物品に編成することができる。一例において、圧迫靴下上の滑り止め部分は、圧迫靴下の着用者の脚の、膝と足首との間の部分に接触するように物品中に編成され得る。別の例において、圧迫靴下上の滑り止め部分は、使用者の脚の、膝と腰との間の部分に接触するように物品中に編成され得る。膝ブレースは、ニット滑り止め部分を組み込むことができるニット品の別の例である。一実施形態において、膝ブレースは、近位端および遠位端を含むことができ、膝ブレースは、近位端が遠位端よりも脚上で高くなるように膝ブレースの着用者の脚の一部を覆うように構成され、ニット滑り止め部分は、近位端の一部上に配置構成される。一実施形態において、膝ブレースは、近位端および遠位端を含むことができ、膝ブレースは、近位端が遠位端よりも脚上で高くなるように着用者の脚の一部を覆うように構成され、ニット滑り止め部分は、近位端および遠位端の一部上に配置構成される。肘ブレースは、滑り止め部分を組み込むことができる物品の別の例である。そのような物品は、ニット滑り止め部分の一部ではないニット部分(たとえば、物品の本体部)を含む。物品の本体部およびニット滑り止め部分は、両方とも同じ編機で物品中に形成される。
【0005】
別のイノベーションは、ニット品とニット滑り止め部分とを含む治療用医療デバイスを編成する方法を含む。この方法は、編機を使用して、物品の少なくとも一セクションを編成することであって、物品のそのセクションは滑り止め部分を有しない、編成することと、物品を取り外すことなく編機上で、物品の滑り止め部分を編成することであって、滑り止め部分は繰り返しパターンで配置構成されているヤーンを有する、編成することとを含むことができ、ヤーンは、1/70/34S撚りS撚りヤーンを含む第1の低摩擦ヤーンと、200dtexシリコーンヤーンを含む第1の高摩擦ヤーンと、1/70/34Z撚りヤーンを含む第2の低摩擦ヤーンと、200dtexシリコーンヤーンを含む第2の高摩擦ヤーンとを含むことができる。
【0006】
そのような方法の実施形態は、1つまたは複数の追加のプロセスまたは態様を有し得る。方法の様々な実施形態において、ヤーンの繰り返しパターンは、天竺編み、引き上げ編み、または浮き編みとすることができる。他の繰り返しパターンも使用され得る。そのような方法を使用して滑り止め部分が編成され得る物品の一例では、ニット品は圧迫靴下である。別の例では、ニット品は、膝ブレースまたは肘ブレースである。そのような物品は、ニット滑り止め部分の一部ではないニット部分(たとえば、物品の本体部)を含む。物品の本体部およびニット滑り止め部分は、両方とも同じ編機で物品中に形成される。
【0007】
別のイノベーションは、第1のニットセクションと、第1のニットセクションから連続的に編成された第2のニットセクションとを有するニット整形外科用品を含み、第2のニットセクションはヤーンの繰り返しパターンを含む滑り止め部分を有する。一実施形態において、ヤーンの繰り返しパターンは、1/70/34S撚りヤーンを含む第1の低摩擦ヤーン、200dtexシリコーンヤーンを含む第1の高摩擦ヤーン、1/70/34Z撚りヤーンを含む第2の低摩擦ヤーン、および200dtexシリコーンヤーンを含む第2の高摩擦ヤーンのみを含み、高摩擦ヤーンは衣類の滑り止め特性を向上させるために物品の着用者の皮膚に接触するように繰り返しパターンで露出されている。別の実施形態において、ヤーンの繰り返しパターンは、1/70/34S撚りヤーンを含む第1の低摩擦ヤーン、200dtexシリコーンヤーンを含む高摩擦ヤーン、および1/70/34Z撚りヤーンを含む第2の低摩擦ヤーンのみを含み、高摩擦ヤーンは衣類の滑り止め特性を向上させるために物品の着用者の皮膚に接触するように繰り返しパターンで露出されている。
【0008】
開示されている態様は、以下では、開示されている態様を説明するために提供され、制限するために提供されていない、添付図面および付録と併せて説明され、類似の記号表示は類似の要素を指す。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態による、滑り止め部分を含む圧迫衣の一例を示す図である。
【
図2】
図1に示されている衣類のウェルトの内側表面の一部を例示する図である。
【
図4】ニット滑り止め部分の一実施形態に関係する3ヤーン天竺表編みを例示する図であり、3ヤーン天竺表編みは滑り止め部分全体に対して繰り返し可能である。
【
図5】ニット滑り止め部分の一実施形態に関係する4ヤーン引き上げ表編みを例示する図であり、4ヤーン引き上げ表編みは滑り止め部分全体に対して繰り返し可能である。
【
図6】ニット滑り止め部分の一実施形態に関係する4ヤーン浮き編みを例示する図であり、4ヤーン浮き編みは滑り止め部分全体に対して繰り返し可能である。
【
図7】ブレース上に組み込まれているニット滑り止め部分の一例を示す図である。
【
図8A】圧迫靴下の近位端のウェルトの内側に来てニット滑り止め部分が着用者の脚に接触するように編成された編み物の滑り止め部分を含む圧迫靴下のウェルトの内側に組み込まれたニット滑り止め部分の一例を示す図であり、
図8Aに例示されている圧迫靴下は、ニット滑り止め部分が膝と腰との間の脚の部分に接触するように構成されている。
【
図8B】圧迫靴下の近位端のウェルトの内側に来てニット滑り止め部分が着用者の脚に接触するように編成された編み物の滑り止め部分を含む圧迫靴下のウェルトの内側に組み込まれたニット滑り止め部分の一例を示す図であり、
図8Bに図示されている圧迫靴下は、ニット滑り止め部分が膝の下の脚の部分に接触するように構成されている。
【
図9】編機によって製作される滑り止め部分を有する衣類の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次の詳細な説明は、本発明のいくつかの特定の特徴および実施形態に向けられたものである。本明細書で提供される説明は、様々な変更および多数の実施形態を可能にするので、特定の例示的な実施形態は、図面に例示され、本明細書において詳細に説明される。しかしながら、本発明は、多数の異なる方法で具現化され得る。本明細書の態様は、多種多様な形態で具現化され得ること、および本明細書で開示されている任意の特定の構造、機能、またはその両方は、本発明の1つまたは複数の実施形態を単に代表しているにすぎないことは明らかであろう。本明細書において開示されている態様は、他の態様とは独立して実装されてよく、これらの態様のうち2つまたはそれ以上が、様々な方法で組み合わされ得る。たとえば、デバイスを実装するか、または方法を実施するのに、本明細書に記載されている態様をいくつでも使用してよい。それに加えて、そのようなデバイスは、本明細書に記載されている態様の1つまたは複数に加えた、またはそれ以外の他の構造、機能、または構造と機能を使用して、実装され得るか、またはそのような方法が実施され得る。したがって、本明細書の説明は、本開示を特定の実施態様に限定することを意図されておらず、本開示の精神および技術的範囲から逸脱しないすべての変更、等価物、および代替物が本開示に包含されることは理解されるべきである。明細書において提供される説明において、背景技術のいくつかの詳細な説明は、本開示の本質を不必要にわかりにくくする可能性があるとみなされるときに、省略される。
【0011】
治療医療用圧迫衣は、静脈およびリンパ管障害の管理を支援するために比較的広い範囲にわたって使用されている。そのような衣類の目的は、重力または疾病過程によって引き起こされる人体解剖学的構造内の圧力上昇の効果に対抗することである。これらは、また、活動的でない、寝たきりの人によって、血栓塞栓事象を予防するために使用されてもよい。この場合のそのような衣類の目的は、血液の流れの方向性を維持することであり、それによって表在静脈および深部静脈内の血栓形成のリスクを低減するのを助ける。
【0012】
より具体的には、治療用ストッキングは、典型的には、脚の間質に所定の圧迫をもたらすために、かなり正確に定義され、制御された圧力プロファイルを有する。治療医療用勾配圧迫衣は、四肢において静脈およびリンパ液の圧力をより正常なレベルに維持するために、十分な外周逆圧をもたらすように設計されており、それにより四肢からの静脈血およびリンパ液の移動を補助する。圧迫の別の重要な効果は、静脈容積の減少である。静脈容積の減少は、静脈流速の増加につながる。勾配圧迫療法の正確な作用機序はまだ研究中であるが、皮膚および皮下組織の微小循環血行動態の改善が圧迫療法の効果に寄与し得る。慢性静脈不全、リンパ浮腫、および他の浮腫の原因となる病状を有する患者にとって、浮腫軽減および浮腫予防が目標である。皮下の圧力は、弾性圧迫によって上昇する。皮下組織圧のこのような上昇は、毛細血管からの体液漏出に有利に働く経毛細血管力に対抗するように作用する。
【0013】
今日、市場には様々な治療医療用勾配圧迫衣が出回っている。たとえば、様々な説明の治療用ストッキングが利用可能である。残念ながら、現在の治療用ストッキングには、着用者の脚から滑り落ちてしまう傾向があり、それによってストッキングの利点が損なわれる。滑りを防ぐために、入手できる治療用ストッキングは弾性バンドを含み得る。しかしながら、現在の物品に弾性バンドを付けるには、別の手作業による裁縫作業が必要となり、生産コストが高くなる。したがって、着用者の脚から滑り落ちることに抵抗する、効果的で安価な治療医療圧迫衣が依然として必要である。
【0014】
本発明の一目的は、整形外科用品に組み込まれるニット滑り止め部分を形成することである。一例では、滑り止め部分は、圧迫靴下の1つまたは複数の部分、たとえば、膝上または膝下の着用者の脚に配置されるウェルト上に組み込まれる。別の例では、滑り止め部分は、膝ブレースの1つまたは複数の部分に組み込まれる。別の例では、滑り止め部分は、肘ブレースの1つまたは複数の部分に組み込まれる。別の例では、滑り止め部分は、踝ブレースの1つまたは複数の部分に組み込まれる。好ましくは、滑り止め部分は、物品の主要部分の製造に使用される編機で、高摩擦ヤーンと低摩擦ヤーンとの組合せで編成される。滑り止め部分は、着用者の皮膚に接触する物品の一部になるように物品中に編成される。
【0015】
本明細書において説明されているヤーンの特定の組合せの選択で、滑り止め部分を形成することができる。一例では、滑り止め部分は、1本の高摩擦ヤーンと2本の低摩擦ヤーンとを使用して編成することによって形成される。別の例では、滑り止め部分は、2本の高摩擦ヤーンと2本の低摩擦ヤーンとを使用して編成することによって形成される。高摩擦ヤーンは、約180デシテックス(dtex)から約220dtexの重量を有するシリコーンヤーンであってよい。高摩擦ヤーンは、約190デシテックス(dtex)から約210dtexの重量を有するシリコーンヤーンであってよい。一例では、滑り止め部分の高摩擦ヤーンは、約200dtexの重量を有するシリコーンヤーンであってよい。別の例では、滑り止め部分の高摩擦ヤーンは、約200dtexの重量を有するシリコーンヤーンであってよい。別の例では、滑り止め部分の高摩擦ヤーンは、約205dtex未満の重量を有するシリコーンヤーンであってよい。別の数を説明する文脈において、本明細書で使用されているような「約」という語は、その数値のプラスまたはマイナス10%の範囲を示すことを意味する。たとえば、「約100」は、一般的に、90から110の範囲を指す。
【0016】
ニット滑り止め部分は、物品に縫い付けられるのではなく、物品の編成プロセスの一部として物品中に編成される。滑り止め部分を物品中に編成することには、多数の利点があり得る。第1に、これは、製品に取り付けられる別個の部分品ではなく、ニット製品の一部であるため、別個のステップで取り付けられる代わりに、物品とともに製作され得るのでコストがあまりかからない場合がある。第2に、製品との一体化が高いように見えるので、買い手にとって魅力的な、より優れた美的外観を有し得る。第3に、そのような滑り止め部分は、物品が作られるのと同じ編機で作製できるので、製造がより容易になり得る。第4に、滑り止め部分は、物品の編成が滑り止め部分に直接移行するので別々に縫い付けられたバンドよりもソフトでより好ましい「感触」を有し得る。第5に、心臓により近い位置にある製品の部分に滑り止め機能を付け、圧迫を減らすことができるので別々に縫い付けられたバンドに比べて効果的であり得る。一般的に、圧迫製品は、心臓から最も遠い位置にある製品の部分により大きな圧迫を加えるべきである。滑りを止めるために、太ももまでの高さの圧迫靴下は、使用者の太もも(たとえば、使用者の太ももの中央部)に接触する滑り止め部分を必要とするが、使用者の心臓から遠い位置にある領域内の使用者の脚にもたらされる圧迫よりも大きい圧迫を使用者の太ももにもたらさない。同様に、柔らかい膝ブレースは、膝から数インチの高さにある使用者の太ももに接触する滑り止め部分を必要とする。太ももの形状は一般的に「漏斗」状なので、滑り止め部分は、圧迫性が高い、すなわち、太ももの周りできついことが要求されるが、これは圧迫製品を使用することによって対処が試みられようとしているのとは反対である。本発明は、使用者の太ももに接触する滑り止め部が形成されることを可能にし、使用者の四肢への圧迫を少なくしながら滑りを効果的に防ぎ、それにより圧迫製品が心臓から遠い位置にある製品の部分により強い圧迫を加えることを可能にする。
【0017】
滑り止めサポートが実装された製品では、滑り止め部分は、製品を編成するのと同じ機械を使用して製品中に編成される。製品は、滑り止め部分が製品中に編成されている間、編機から取り出されないので、製品には1つまたは複数の連続しない滑り止めが含まれ得る。すなわち、製品に対して、滑り止め部分は、1つまたは複数の滑り止めニット部分を含むことができる。
【0018】
一実施形態において、滑り止め部分は、ヤーンのある配置構成、すなわち、200dtexシリコーンヤーンの2つの異なるフィードで供給される1つの高摩擦ヤーンと、2つの低摩擦ヤーン(たとえば、1/70/34S撚り、63dtex、および1/70/34/Z撚り63dtex)とを含む。滑り止め部分の圧迫力は、シリンダーのサイズ、針、編成パターン、編機のプログラミング、および/またはヤーンに基づき決定され得る。本発明は、柔らかい膝ブレースおよび圧迫靴下、さらには使用者の皮膚に当てて配設され、適所に保たれることが望まれる他の製品、たとえば、靴下、切断後手足付け根カバー、動物(たとえば、馬)に使用される圧迫製品、圧迫タイツ、圧迫トップス、アームスリーブ、レッグスリーブ、および他のスポーツアパレルで使用され、さらにはその後製品において使用される横編みを作製し得る。
【0019】
次に図を参照すると、
図1は本発明の一実施形態による、滑り止め部分を含む圧迫物品の一例を示している。ここで、圧迫物品は、滑り止め部分125を組み込んだストッキング100である。ストッキング100は、ストッキング100が配置されている脚の部分を圧迫する役割を果たすニット本体部分105を有する。脚の圧迫は、たとえば、脚に体液が蓄積して腫れる下肢浮腫、および静脈機能不全の症状を治療するのに有用であり得る。ストッキング100の遠位端110のところの足部分150は、踵部分135およびつま先部分140を含む。この実施形態では、つま先部分140は、つま先がストッキング100の外に伸長することを可能にする開口155を備える。いくつかの実施形態において、ストッキング100は、着用者の踵の形状にうまく形状適合するように整形された踵部分135を有し得る。
【0020】
ストッキング100は、近位端115のところにウェルト120を備える。本明細書において使用されている「ウェルト」は、一般的に、ニット布地が折り目131で折り返されてストッキング100の一部を形成する構成に関係する広義の用語である。ニット布地の折り重ねは、内側壁128と外側壁129とを形成し、「内側」および「外側」は、布地の一部が使用者による着用のために通常の構成の物品に面する方向を示す相対語である。すなわち、「内側」壁128は、物品の着用者の身体部分(たとえば、腕または脚)に向かって面する表面を含み、「外側」壁129は、身体部分から離れる方向に面する表面を含む。
【0021】
ウェルト120は、ストッキング100の周りに延在し、外側壁129および内側壁128を含む。ウェルト120は、折り返された布地が本体部105に取り付けられているウェルトルーピングライン132から、ストッキング100の近位端115におけるウェルト125の頂部折り目131まで延在する。ストッキング100は、頂部折り目131を画成するように折り重ねられ、頂部折り目131は、外側壁129と内側壁128とを連結する。滑り止め部分125は、滑り止め部分125がストッキング100の着用者の脚の一部に隣接し、接触する形で位置決めされるようにウェルト125の内側壁128の少なくとも一部に編成される。滑り止め部分125は、内側壁128の下側端126から上端127まで延在することができる。滑り止め部分125は、内側壁128の全周にわたって一様に延在することができる。いくつかの実施形態において、滑り止め部分125は、内側壁128のすべて、または実質的にすべてに含まれる。滑り止め部分125におけるウェルト120のいくつかの特徴は、
図2および
図3を参照してさらに説明される。
【0022】
図2は、
図1に示されているストッキング100に対するウェルト120の内側壁128の一部200の一例を示している。
図3は、
図2に例示されている部分200の断面を示している。内側壁128の様々なセクション上のパターンは、異なるセクションを示すことだけを意図されており、その部分に関連する特定の編みを示すものではない。
【0023】
図2および3に図示されているように、内側壁128の部分200は、ストッキングがそれ自体の上に折り返されてウェルト120を形成する頂部折り目131を含む。ウェルト120は、頂部折り目131から滑り止め部分125の上側端部127まで延在する内側頂部133を含む。滑り止め部分125は、様々なサイズ(たとえば、長さ「L」)をとり得る。いくつかの例において、滑り止め部分の長さLは、1mm、2mm、3mm、4mm、5mm、6mm、7mm、8mm、9mm、10mm、11mm、12mm、13mm、14mm、15mm、16mm、17mm、18mm、19mm、20mm、21mm、22mm、23mm、24mm、25mm、26mm、1~2cm、2~3cm、3~4cm、4~5cm、5~6cm、6~7cm、7~8cm、8~9cm、9~10cm、10~12cm、12~14cm、14~16cm、16~18cm、18~20cm、または20cm超の長さまたはこれらの隣接して示されている長さの間のうちのいずれかのおおよその長さであってよい。例示的な物品において、滑り止め部分が1つある。別の例示的な物品では、滑り止め部分が2つある。別の例示的な物品では、滑り止め部分が3つある。別の例示的な物品では、滑り止め部分が4つまたはそれ以上ある。典型的には、滑り止め部分125は、上側端部127と下側端部126の間の内側壁128全体に沿って配置されている。いくつかの実施形態において、滑り止め部分は、内側壁128(現在示されている)上の複数の滑り止め領域を含むことができる。言い換えると、滑り止め部分は、上側端部127および下側端部126を有する第1のセクションと、各々、上側端部127および下側端部126を有する1つまたは複数の追加のセクションとを備えることができる。そのような実施形態において、各セクション間のウェルト120は、滑り止め部分の一部ではない(たとえば、高摩擦ヤーンを含まない)ニット領域を含んでいてもよい。
【0024】
ウェルト内側底部134は、滑り止め部分125の下側端部126から、ウェルト123が本体部分105に取り付ける場所であるループライン132内のウェルトまで延在する。「A」とラベル付けされた滑り止め部分125の一部分は、
図4~
図6に示されており、これは滑り止め部分125を形成するために使用することができるヤーン配置構成における編みの3つの例を示している。
【0025】
図4~
図6は、滑り止め部分125を形成するために開示されているシリコーンヤーンとともに使用され得る編みの3つの例を示している。様々なステッチパターンは、ヤーンをピックアップするのに十分な高さに上がるように独立した針を選択することに由来する。これは、針選択が作用し始める場所であり、たとえば、1×1、1×2、1×3、7×1、および1×1が交互する。送り毎の針毎の選択は、
図5および
図6の引き上げ編みおよび浮き編みがどのように行われるかである。天竺編み(
図4)は、すべての針を使って編成される。「1×1」は、それらの針のうちの半分の針で(1本おきに)編成することを示している。「1×2」は、1本の針を上に、2本の針を下にして編成することを示す(またはその逆)。「1×3」は、1本の針を上に、3本の針を下にして編成することを示す(またはその逆)。「7×1」は、7本の針を上に、1本の針を下にして編成することを示す。「1×1」交互は、1コースおきに反対側の針がニット位置まで上がってくることを示し、これは、物品(たとえば、ストッキング)のメッシュの外観を作り出し、高摩擦ヤーンおよび低摩擦ヤーンの両方を使用して行うことができる。
【0026】
低摩擦ヤーンは、S撚りまたはZ撚りであってよい。S撚りヤーンは、反時計回りに紡がれたヤーンであり、通常、右綾を作るために使用される。Z撚りヤーンは、反対方向に紡がれ、左綾を作るのに使われる。ヤーンの方向と綾の方向を反対にすることによって、仕上げ材料は、対応するヤーンおよび綾織りで作られた布地よりも柔らかい。縫糸が作製されるときに、通常は2本または3本のストランド(1つまたは複数のプライとも称される)を撚り合わされた、複数のストランドで製作されるが、6本または8本ほどのストランドを撚り合わせたものを有する場合もあり得る。個別のストランドに対する最初の撚り(または第1の撚り)は、S撚りであるべきである。次いで、これらのストランドは、最終のZ撚りで撚り合わされて、糸を形成する。反対の撚りを有する糸もいくつかある。ハンドキルティング用の糸、編み物用の糸、織物用の糸の中には、最終S撚りを有するものもある。反対の撚りを有する糸を使用する場合、その糸で縫うときに糸が締まるのではなく緩む。
【0027】
図4は、
図2に示されている滑り止め部分125の領域Aであり、ニット滑り止め部分125の一実施形態に関係する3ヤーン表編み(または「天竺」編み)400のコース401およびウェール402を示している。天竺編みでは、すべての針が物品の編成に使用される。例示されている3ヤーン天竺編み400は、滑り止め部分125全体について繰り返され得る。この実施形態は1本の高摩擦ヤーンを含むけれども、他の実施形態は2本またはそれ以上の高摩擦ヤーンを含んでもよい。たとえば、
図5および
図6に示されている例は、各々2本の高摩擦ヤーンを含む。
【0028】
図4の例では、3つの例示されているコースは、1本の高摩擦ヤーン410および2本の低摩擦ヤーン405、415から形成されている。好ましくは、2本の低摩擦ヤーン405、415の撚りは反対になっている。高摩擦ヤーン410は、200dtexシリコーンヤーンである。低摩擦ヤーン405は、ナイロン1/70/34S撚り63dtexヤーンであり、低摩擦ヤーン415は、ナイロン1/70/34Z撚り63dtexヤーンであってよい。代替的に、低摩擦ヤーン405は、ナイロン1/70/34Z撚り63dtexヤーンであり、低摩擦ヤーン415は、1/70/34S撚り63dtexヤーンであってよい。他の高摩擦ヤーンの使用も企図されている。たとえば、以下で一覧にされている高摩擦ヤーンのいずれかを使用する。
PA/SI39/61 85dtex PA39%-SI61%
PA/SI28/72 130dtex PA28%-SI72%
PA/SI/PVA 166dtex PA22%-SI55%-PVA23%
PA/SI37/63 200dtex PA37%-SI63%
PA/SI35/65 365dtex PA35%-SI65%
PA/SI35/65 350dtex PA35%-SI65%
PA/SI70/30 700dtex PA70%-SI30%
PA/SI80/20 1200dtex PA80%-SI20%
1600 1/101 Murielグリップシリコーンヤーン
【0029】
様々な重さの高摩擦ヤーンも訴えることができるが、多くの実施形態では、1本または2本(またはそれ以上)のシリコーン37/63 200dtexヤーンおよび2本の低摩擦ヤーンを使用するニットパターンを有する滑り止め部分が好ましい。天竺表編みパターンは、様々な実施形態において好ましいものとすることができるので、滑り止め部分125に隆起テクスチャを形成しない。他の例における低摩擦ヤーン405、415の特性は異なっていてもよく、任意の他の好適な材料であってよい。
図4に例示されている天竺編み、または
図5および
図6に例示されている引き上げ編みもしくは浮き編みによって形成される滑り止め部125は、それぞれ、少なくとも部分的に、滑り止め部と衣類の本体との間に縫い目がなく衣類の本体からバンドへのスムーズな移行を可能にするので、滑り止め部125が接触する着用者の身体の部分(たとえば、太もも、ふくらはぎ、足首、腕など)に対する制限を生じさせない。滑り止め部分内に編成されているシリコーンヤーンは、皮膚にくっつき衣類を適所に保持するように設計されている。
【0030】
図5は、
図2に示されている滑り止め部分125の領域Aを例示しており、これはニット滑り止め部分125の一実施形態に関係する4ヤーン引き上げ編み500のコース501およびウェール502を示している。引き上げ編みでは、編機の針は、ヤーンをピックアップするのに十分な高さであるが、針のラッチをクリアするのに十分な高さではなく、この編みは、クリア位置に送られるまで保持される。4ヤーン引き上げ編みは、滑り止め部分125全体で繰り返し可能である。
【0031】
図5の例では、4つの例示されているコースは、2本の高摩擦ヤーン510、520および2本の低摩擦ナイロンヤーン505、515から形成される。高摩擦ヤーン510およびヤーン520は、200dtexシリコーンヤーンである。低摩擦ヤーン505は、1/70/34S撚り63dtexヤーンであり、低摩擦ヤーン515は、1/70/34Z撚り63dtexヤーンであってよい。代替的に、低摩擦ヤーン505は、ナイロン1/70/34Z撚り63dtexヤーンであり、低摩擦ヤーン515は、1/70/34S撚り63dtexヤーンであってよい。好ましくは、2本の低摩擦ヤーン505、515の撚りは反対になっている。他の例における低摩擦ヤーン405、415の特性は異なっていてもよく、任意の他の好適な材料であってよい。
【0032】
図6は、
図2に示されている滑り止め部分125の領域Aを例示しており、これはニット滑り止め部分125の一実施形態に関係する4ヤーン浮き編み600のコース601およびウェール602を示している。浮き編みを使用して物品を編成するときに、不要なヤーンは、針の後ろに置かれる。浮き編みは、たとえば、ストッキング品構造においてパターンおよびメッシュを作製するために使用され得る。4ヤーン浮き編みは、滑り止め部分125全体で繰り返し可能である。
【0033】
図6の例では、4つの例示されているコース601は、2本の高摩擦ヤーン610、620および2本の低摩擦ナイロンヤーン605、615から形成されている。高摩擦ヤーン610およびヤーン620は、200dtexシリコーンヤーンである。低摩擦ヤーン605は、1/70/34S撚り63dtexヤーンであってもよく、低摩擦ヤーン615は、1/70/34Z撚り63dtexヤーンであってよい。代替的に、低摩擦ヤーン605は、ナイロン1/70/34Z撚り63dtexヤーンであってもよく、低摩擦ヤーン615は、1/70/34S撚り63dtexヤーンであってよい。好ましくは、2本の低摩擦ヤーン605、615の撚りは反対になっている。他の例における低摩擦ヤーン605、615の特性は異なっていてもよく、任意の他の好適な材料であってよい。
【0034】
図7は、整形外科用品、この例では着用者の脚701上に示されているブレース700に組み込まれたニット滑り止め部分の一例を示している。ブレース700は、近位端705と遠位端710とを含み、近位端705は着用者の心臓に近い位置にある。ブレース700は、近位端705上に配設されている第1のウェルト715を含む。ブレース700は、遠位端710上に配設されている第2のウェルト720も含む。一実施形態において、第1のウェルト715は、着用者の脚701に接触するようにウェルト715の内側壁に配設されている滑り止め部分を含み得る。いくつかの実施形態において、ブレース700は、着用者の脚にも接触するようにウェルト720の内側壁に配設されている第2の滑り止め部分を含む。
【0035】
図8Aおよび
図8Bは、圧迫靴下のウェルトの内側壁に組み込まれているニット滑り止め部分の一例を各々示している。
図8Aでは、圧迫靴下800は、滑り止め部分が膝より上の着用者の脚801に接触するようにウェルト805の内側壁にニット滑り止め部分を有するウェルト805を含む。
図8Bでは、圧迫靴下850は、滑り止め部分が膝802より下の着用者の脚801に接触するようにウェルト855の内側壁にニット滑り止め部分を有するウェルト855を含む。
【0036】
非整形外科用品も、滑り止め部分を備え得る。たとえば、布地に組み込まれた高摩擦ヤーンによってモックリブが作製され得る。リビングは、1×1、2×1、3×1のリビングを使用して製作され、針をタック位置に選択し、次いで、弾性ヤーンを布地に敷くことによって作ることができる。別の例では、高摩擦ヤーンは、ストッキングの高摩耗領域において使用され(たとえば、スライスされたヤーンとして)、様々なサイズおよび形状の滑り止めゾーンを作ることができる。別の例では、サンドイッチテリーは、シンカーを使用してナイロンヤーンを布地の内側のテリーヤーンの間にサンドイッチし、さらに布地の外側にも持ってくるものである。サンドイッチテリーの製作は、高摩擦ヤーンまたは低摩擦ヤーンを含み得る。
【0037】
図9は、編機によって編成される滑り止め部分を有する物品の一例を示す。そのような物品は、圧迫靴下であってよい。この物品は、4つのフィードを使って編成されている。フィード1は、高摩擦ヤーンである、PA/SI37/63 200dtexヤーンである。フィード2は、低摩擦ヤーンである、ナイロン1/70/34S撚りヤーンである。フィード3は、高摩擦ヤーンである、PA/SI37/63 200dtexヤーンである。フィード4は、低摩擦ヤーンである、ナイロン1/70/34Z撚りヤーンである。他の例では、本明細書において開示されている他の高摩擦ヤーンも使用することができる。
【0038】
ニット整形外科用デバイスの実施形態のいくつかの追加例が以下で説明される。
【0039】
実施形態Aは、ニット滑り止め部分を含むニット品を含むニット整形外科用医療デバイスを含み、滑り止め部分はヤーンの繰り返しパターンを含むニット表面を有し、ヤーンの繰り返しパターンは1/70/34S撚りヤーンを含む第1の低摩擦ヤーンと、200dtexシリコーンヤーンを含む第1の高摩擦ヤーンと、1/70/34Z撚りヤーンを含む第2の低摩擦ヤーンと、200dtexシリコーンヤーンを含む第2の高摩擦ヤーンとを含み、前記第1および第2の高摩擦ヤーンは、前記第1および第2の低摩擦ヤーンとともに適所に保持され、前記高摩擦ヤーンは衣類の滑り止め特性を向上させるため滑り止め部分で着用者の皮膚に接触するように露出されている。整形外科用医療デバイスの他の例は、実施形態Aおよび1つまたは複数の追加の特徴を含むことができる。たとえば、実施形態Bは、実施形態Aの特徴を含むことができ、前記繰り返しパターンは、天竺編みである。実施形態Cは、実施形態Aの特徴を含むことができ、前記繰り返しパターンは、引き上げ編みである。実施形態Dは、実施形態Aの特徴を含むことができ、前記繰り返しパターンは、浮き編みである。実施形態Eは、実施形態A~Dのいずれか一項の特徴を含むことができ、前記ニット品は、圧迫靴下である。実施形態Fは、実施形態Eの特徴を含むことができ、圧迫靴下は、近位端および遠位端を備え、近位端が遠位端よりも脚上で高くなるように使用者の脚の一部に密接にフィットするように整形されており、ニット滑り止め部分は、近位端の一部として編成されている。実施形態Gは、実施形態Fの特徴を含むことができ、前記滑り止め部分は、使用者の脚の、膝と踝との間の部分に接触するように物品上に構造化される。実施形態Hは、実施形態Fの特徴を含むことができ、前記滑り止め部分は、使用者の脚の、膝と腰との間の部分に接触するように構造化される。実施形態Iは、実施形態A~Dの特徴を含むことができ、前記ニット品は、膝ブレースである。実施形態Jは、実施形態Iの特徴を含むことができ、膝ブレースは、近位端および遠位端を備え、膝ブレースは、近位端が遠位端よりも脚上で高くなるように使用者の脚の一部を覆うように構成され、ニット滑り止め部分は、近位端の一部上に配置構成される。実施形態Kは、実施形態Iの特徴を含むことができ、膝ブレースは、近位端および遠位端を備え、膝ブレースは、近位端が遠位端よりも脚上で高くなるように使用者の脚の一部を覆うように構成され、ニット滑り止め部分は、近位端および遠位端の一部上に配置構成される。実施形態Lは、実施形態Jの特徴を含むことができ、近位端上の滑り止め部分は、着用者の脚の、膝と腰との間の部分に接触するように膝ブレース上に位置決めされる。実施形態Mは、実施形態A~Lのいずれか1つを含むことができ、前記物品は、ニット滑り止め部分の一部ではない第1のニット部分をさらに含み、第1のニット部分はニット滑り止め部分と異なるヤーンの繰り返しパターンを含み、第1のニット部分およびニット滑り止め部分は、両方とも同じ編機で衣類中に形成される。
【0040】
実施形態Nは、ニット品とニット滑り止め部分とを含む治療用医療デバイスを編成する方法を含み、この方法は、編機上で、物品の少なくとも一セクションを編成することであって、物品のそのセクションは滑り止め部分を有しない、編成することと、編機上で物品を取り外すことなく、物品の滑り止め部分を編成することであって、滑り止め部分は繰り返しパターンで配置構成されているヤーンを有し、ヤーンは1/70/34S撚りS撚りヤーンを含む第1の低摩擦ヤーンと、200dtexシリコーンヤーンを含む第1の高摩擦ヤーンと、1/70/34Z撚りヤーンを含む第2の低摩擦ヤーンと、200dtexシリコーンヤーンを含む第2の高摩擦ヤーンとを含む、編成することとを含む。実施形態Oは、実施形態Nの特徴を含むことができ、前記繰り返しパターンは、引き上げ編みである。実施形態Pは、実施形態Nの特徴を含むことができ、前記繰り返しパターンは、浮き編みである。実施形態Qは、実施形態N~Pの特徴を含むことができ、前記物品は、圧迫靴下である。実施形態Rは、実施形態Qの特徴を含むことができ、前記圧迫靴下は、近位端および遠位端を備え、近位端が遠位端よりも脚上で高くなるように使用者の脚の一部を覆うように構成されており、ニット滑り止め部分は、近位端の一部として編成されている。実施形態Sは、実施形態N~Rの特徴を含むことができ、前記物品は、物品が着用されたときに近位端が着用者の脚に、膝より下で接触するように構成される。実施形態Tは、実施形態N~Rの特徴を含むことができ、前記物品は、物品が着用されたときに近位端が着用者の脚に、膝より上で接触するように構成される。実施形態Uは、実施形態N~Rの特徴を含むことができ、前記物品は、物品が着用されたときに近位端が着用者の脚に、膝のところで接触するように構成される。実施形態Vは、実施形態N~Pの特徴を含むことができ、前記物品は、膝ブレースである。実施形態Wは、実施形態Vの特徴を含むことができ、膝ブレースは、近位端および遠位端を備え、近位端が遠位端よりも脚上で高くなるように使用者の脚の、膝の周りの、一部を覆うように構成されており、ニット滑り止め部分は、近位端の一部として編成されている。実施形態Xは、実施形態Vの特徴を含むことができ、膝ブレースは、近位端および遠位端を備え、近位端が遠位端よりも脚上で高くなるように使用者の脚の、膝の周りの、一部を覆うように構成されており、ニット滑り止め部分は、遠位端の一部として編成されている。実施形態Yは、実施形態Vの特徴を含むことができ、膝ブレースは、近位端および遠位端を備え、近位端が遠位端よりも脚上で高くなるように使用者の脚の、膝の周りの、一部を覆うように構成されており、ニット滑り止め部分は、近位端および遠位端の一部として編成される。
【0041】
実施形態Zは、第1のニットセクションと、第1のニットセクションから連続的に編成された第2のニットセクションとを備える、ニット整形外科用品を含み、第2のニットセクションはヤーンの繰り返しパターンを含む滑り止め部分を有し、ヤーンの繰り返しパターンは、1/70/34S撚りヤーンを含む第1の低摩擦ヤーン、200dtexシリコーンヤーンを含む第1の高摩擦ヤーン、1/70/34Z撚りヤーンを含む第2の低摩擦ヤーン、および200dtexシリコーンヤーンを含む第2の高摩擦ヤーンからなり、高摩擦ヤーンは衣類の滑り止め特性を向上させるために物品の着用者の皮膚に接触するように繰り返しパターンで露出されている。
【0042】
本明細書において使用されている用語の大部分は、例示的な実施形態が関連する技術分野で広く使用されてきた一般的な用語である。しかしながら、本明細書において使用されている用語のいくつかは、この技術分野の技術者の意図、先例、または新しい技術を反映して作成されることがある。さらに、本明細書において使用されている用語のいくつかは、本出願人によって任意に選択され得る。この場合、これらの用語は、以下で詳細に定義される。したがって、本明細書において使用されている特定の用語は、その固有の意味および本開示の全体的な文脈に基づき理解されるべきである。
【0043】
本明細書で使用されているように、「1つの(または使わない場合もある)」および「その(使わない場合もある)」(英語原文の単数形の冠詞「a」、「an」、および「the」)は、文脈上明らかにそうでないことを示していない限り、複数形も含むことが意図されている。さらに、「備える、含む」および/または「備えること、含むこと」という言い回しは、本明細書内で使用されているときに、記載されている特徴、整数、工程、動作、要素、構成要素、および/またはそれらからなる群の存在を明示するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント(または構成要素)、および/またはそれらからなる群の存在もしくは追加を除外しないこともさらに理解されるであろう。
【0044】
本明細書で使用されているように、「および/または」という言い回しは、関連する列挙されている項目のうちの1つまたは複数のありとあらゆる組合せを含む。「の少なくとも1つ」などの表現は、要素のリストに先行しているときに、要素のリスト全体を修正し、リストの個別の要素を修正しない。見出しは、参照のために本明細書に含まれ、様々なセクションを特定する助けとなるものである。これらの見出しは、それに関して説明されている概念の範囲を制限することを意図されていない。そのような概念は、明細書全体を通して適用可能性を有するものとしてよい。
【0045】
開示されている実装形態の前記の説明は、任意の当業者が本開示を作製するかまたは利用するのを可能にするようになされている。これらの実装形態に対し様々な修正を加えられることは、当業者にはたやすく理解できるであろうし、また本明細書で定義されている一般原理は、本開示の精神または範囲から逸脱することなく他の実装形態にも適用され得る。したがって、本開示は、本明細書に示されている実装形態に限定されることを意図されておらず、本明細書で開示されている原理および新規性のある特徴と一致する最も広い範囲が与えられることを意図されている。
【符号の説明】
【0046】
100 ストッキング
105 本体部分
110 遠位端
115 近位端
120 ウェルト
125 滑り止め部分
126 下側端部滑り止め部分
127 上側端部滑り止め部分
128 ウェルト内側壁
129 ウェルト外側壁
131 ウェルト頂部折り目
132 ウェルトルーピングライン
133 ウェルト内側頂部
134 ウェルト内側底部
135 踵部分
137 ウェルト長
140 つま先部分
150 足部分
155 開口
200 ウェルト内側壁の部分
400 ニット天竺編み
401 コース
402 ウェール
405 第1の低摩擦ヤーン
410 高摩擦ヤーン
415 第2の低摩擦ヤーン
500 ニット引き上げ編み
501 コース
502 ウェール
505 第1の低摩擦ヤーン
510 第1の高摩擦ヤーン
515 第2の低摩擦ヤーン
520 第2の高摩擦ヤーン
600 ニット浮き編み
601 コース
602 ウェール
605 第1の低摩擦ヤーン
610 第1の高摩擦ヤーン
615 第2の低摩擦ヤーン
620 第2の高摩擦ヤーン
700 ブレース
701 着用者の脚
705 近位端
710 遠位端
715 第1のウェルト
720 第2のウェルト
800 圧迫靴下、太もも長
801 脚
802 膝
805 ウェルト、太ももに接触するように構成されている
850 圧迫靴下、膝丈
855 ウェルト、ふくらはぎに接触するように構成されている
900 編機
【手続補正書】
【提出日】2024-08-02
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ニット整形外科用医療デバイスであって、
ニット滑り止め部分を含むニット品であって、前記滑り止め部分はヤーンの繰り返しパターンを含むニット表面を有し、ヤーンの前記繰り返しパターンは
ナイロン1/70/34S撚りヤーンを含む第1の低摩擦ヤーンと、
200dtexシリコーンヤーンを含む第1の高摩擦ヤーンと、
ナイロン1/70/34Z撚りヤーンを含む第2の低摩擦ヤーンと、
200dtexシリコーンヤーンを含む第2の高摩擦ヤーンからなる、ニット品を含み、
前記第1の低摩擦ヤーンと前記第2の低摩擦ヤーンの撚りは反対であり、
前記第1および第2の高摩擦ヤーンは、前記第1および第2の低摩擦ヤーンとともに適所に保持され、前記高摩擦ヤーンは衣類の滑り止め特性を向上させるため前記滑り止め部分で着用者の皮膚に接触するように露出されているニット整形外科用医療デバイス。
【請求項2】
前記繰り返しパターンは、天竺編みである請求項1に記載のニット整形外科用医療デバイス。
【請求項3】
前記繰り返しパターンは、引き上げ編みである請求項1に記載のニット整形外科用医療デバイス。
【請求項4】
前記繰り返しパターンは、浮き編みである請求項1に記載のニット整形外科用医療デバイス。
【請求項5】
前記ニット品は、圧迫靴下である請求項1から4のいずれか一項に記載のニット整形外科用医療デバイス。
【請求項6】
前記圧迫靴下は、近位端および遠位端を備え、前記近位端が前記遠位端よりも脚上で高くなるように使用者の脚の一部に密接にフィットするように成形され、前記ニット滑り止め部分は、前記近位端の一部として編成される請求項5に記載のニット整形外科用医療デバイス。
【請求項7】
前記滑り止め部分は、前記使用者の脚の、膝と踝との間の部分に接触するように前記ニット品上に構造化される請求項6に記載のニット整形外科用医療デバイス。
【請求項8】
前記滑り止め部分は、前記使用者の脚の、膝と腰との間の部分に接触するように構造化される請求項6に記載のニット整形外科用医療デバイス。
【請求項9】
前記ニット品は、膝ブレースである請求項1から4のいずれか一項に記載のニット整形外科用医療デバイス。
【請求項10】
前記膝ブレースは、近位端および遠位端を備え、前記膝ブレースは、前記近位端が前記遠位端よりも脚上で高くなるように使用者の前記脚の一部を覆うように構成され、前記ニット滑り止め部分は、前記近位端の一部上に配置構成される請求項9に記載のニット整形外科用医療デバイス。
【請求項11】
前記膝ブレースは、近位端および遠位端を備え、前記膝ブレースは、前記近位端が前記遠位端よりも脚上で高くなるように使用者の前記脚の一部を覆うように構成され、前記ニット滑り止め部分は、前記近位端および前記遠位端の一部上に配置構成される請求項9に記載のニット整形外科用医療デバイス。
【請求項12】
前記近位端上の前記滑り止め部分は、着用者の脚の、膝と腰との間の部分に接触するように前記膝ブレース上に位置決めされる請求項10に記載のニット整形外科用医療デバイス。
【請求項13】
前記ニット品は、前記ニット滑り止め部分の一部ではない第1のニット部分をさらに含み、前記第1のニット部分は前記ニット滑り止め部分と異なるヤーンの繰り返しパターンを含み、前記第1のニット部分および前記ニット滑り止め部分は、両方とも同じ編機で前記衣類中に形成される請求項1から12のいずれか一項に記載のニット整形外科用医療デバイス。
【請求項14】
ニット品とニット滑り止め部分とを含む治療用医療デバイスを編成する方法であって、
編機上で、物品の少なくとも一セクションを編成するステップであって、前記物品の前記セクションは滑り止め部分を有しない、ステップと、
前記物品を取り外すことなく前記編機上で、前記物品の滑り止め部分を編成するステップであって、前記滑り止め部分は繰り返しパターンで配置構成されているヤーンを有し、前記ヤーンは
ナイロン1/70/34S撚りヤーンを含む第1の低摩擦ヤーンと、
200dtexシリコーンヤーンを含む第1の高摩擦ヤーンと、
ナイロン1/70/34Z撚りヤーンを含む第2の低摩擦ヤーンと、
200dtexシリコーンヤーンを含む第2の高摩擦ヤーンからなる、ステップとを含み、
前記第1の低摩擦ヤーンと前記第2の低摩擦ヤーンの撚りは反対である、方法。
【請求項15】
前記繰り返しパターンは、引き上げ編みである請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記繰り返しパターンは、浮き編みである請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記物品は、圧迫靴下である請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記圧迫靴下は、近位端および遠位端を備え、前記近位端が前記遠位端よりも脚上で高くなるように使用者の前記脚の一部を覆うように構成され、前記ニット滑り止め部分は、前記近位端の一部として編成される請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記物品は、前記物品が着用されたときに前記近位端が着用者の前記脚に、膝より下で接触するように構成される請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記物品は、前記物品が着用されたときに前記近位端が着用者の前記脚に、膝より上で接触するように構成される請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記物品は、前記物品が着用されたときに前記近位端が着用者の前記脚に、膝のところで接触するように構成される請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記物品は、膝ブレースである請求項14から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記膝ブレースは、近位端および遠位端を備え、前記近位端が前記遠位端よりも脚上で高くなるように使用者の前記脚の、膝の周りの、一部を覆うように構成され、前記ニット滑り止め部分は、前記近位端の一部として編成される請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記膝ブレースは、近位端および遠位端を備え、前記近位端が前記遠位端よりも脚上で高くなるように使用者の前記脚の、膝の周りの、一部を覆うように構成され、前記ニット滑り止め部分は、前記遠位端の一部として編成される請求項22に記載の方法。
【請求項25】
前記膝ブレースは、近位端および遠位端を備え、前記近位端が前記遠位端よりも脚上で高くなるように使用者の前記脚の、膝の周りの、一部を覆うように構成され、前記ニット滑り止め部分は、前記近位端および前記遠位端の一部として編成される請求項22に記載の方法。
【請求項26】
ニット整形外科用品であって、
第1のニットセクションと、
前記第1のニットセクションから連続的に編成される第2のニットセクションであって、前記第2のニットセクションはヤーンの繰り返しパターンを含む滑り止め部分を有し、ヤーンの前記繰り返しパターンは
ナイロン1/70/34S撚りヤーンを含む第1の低摩擦ヤーン、
200dtexシリコーンヤーンを含む第1の高摩擦ヤーン、
ナイロン1/70/34Z撚りヤーンを含む第2の低摩擦ヤーン、および
200dtexシリコーンヤーンを含む第2の高摩擦ヤーンからなり、前記高摩擦ヤーンは衣類の滑り止め特性を向上させるために前記ニット整形外科用品の着用者の皮膚に接触するように前記繰り返しパターンにおいて露出されており、
前記第1の低摩擦ヤーンと前記第2の低摩擦ヤーンの撚りは反対である、第2のニットセクションとを含むニット整形外科用品。
【外国語明細書】