(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124529
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】折畳みニチノール薄板に成形されたコイル
(51)【国際特許分類】
A61B 18/14 20060101AFI20240905BHJP
G01L 5/00 20060101ALI20240905BHJP
G01L 1/04 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
A61B18/14
G01L5/00 Z
G01L1/04
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024109494
(22)【出願日】2024-07-08
(62)【分割の表示】P 2022121429の分割
【原出願日】2017-11-08
(31)【優先権主張番号】15/347,242
(32)【優先日】2016-11-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】511099630
【氏名又は名称】バイオセンス・ウエブスター・(イスラエル)・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Biosense Webster (Israel), Ltd.
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アサフ・ゴバリ
(72)【発明者】
【氏名】アンドレス・クラウディオ・アルトマン
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー・トーマス・ビークラー
(72)【発明者】
【氏名】ジョセフ・トーマス・キース
(72)【発明者】
【氏名】ケビン・ジャスティン・ヘレラ
(72)【発明者】
【氏名】ジャイン・リュー
(57)【要約】
【課題】 接触力センサを有するカテーテルを提供すること。
【解決手段】 接触力センサが、弾力性部材が2つの接触する要素の間に挿入されているばねを使用して構成される。弾力性部材に接続された拡張部が、要素と接触している。要素のうちの少なくとも1つに加えられる力が、要素の互いに対する変位と相関するばねの変形を生じさせる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
装置であって、
近位部分、及び患者の体腔への挿入のための遠位部分を有する可撓性の挿入チューブと、
前記挿入チューブの前記近位部分を前記遠位部分に結合する弾力性部材であって、前記弾力性部材は、形状固定された弾性材料を備え、前記弾力性部材は、中央開口を有するリング状の本体部分と、前記リング状の本体部分の外縁部から延びており、かつ、前記挿入チューブの前記近位部分及び前記遠位部分とそれぞれ接触している複数の近位延長部及び複数の遠位延長部を有しており、前記近位延長部及び前記遠位延長部は、前記リング状の本体部分の前記外縁部に沿って順に見ていくと、前記外縁部から交互に延びている、弾力性部材と、を備え、
前記遠位部分に加えられた力によって、前記近位部分に対して前記遠位部分が変位して、前記弾力性部材の変形を生じさせ、
前記近位延長部のそれぞれは前記近位部分と接触する第1の脚部を含み、前記遠位延長部のそれぞれは前記遠位部分と接触する第2の脚部を含み、前記第1の脚部は、前記挿入チューブの近位方向に延びており、前記第2の脚部は、前記挿入チューブの遠位方向に延びている、装置。
【請求項2】
前記弾力性部材の前記リング状の本体部分は前記中央開口を取り囲む中央リングを備え、前記中央リングは、波状に湾曲する複数の湾曲部分を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記弾力性部材の前記リング状の本体部分は、中央リングを備え、前記第1の脚部及び前記第2の脚部は、前記中央リングに対して、それぞれ反対の第1及び第2の垂直方向に延在する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記弾力性部材は、前記第1の脚部及び前記第2の脚部を前記中央リングにそれぞれ接続する第1の連結部及び第2の連結部を更に備えている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記近位部分及び前記遠位部分は、端面を有し、前記第1の脚部及び前記第2の脚部は、前記近位部分及び前記遠位部分の前記端面とそれぞれ接触する、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の脚部及び前記第2の脚部は、前記近位部分及び前記遠位部分をそれぞれ抱持する、請求項4に記載の装置。
【請求項7】
前記弾力性部材の前記リング状の本体部分は中央リングを備え、前記第1の脚部および前記第2の脚部は前記中央リングから延在し、接合部で分岐して枝部を形成している、請求項1に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(著作権情報)
本特許文献の開示の一部には、著作権保護の対象となる資料が含まれる。著作権者は、特許文献又は特許情報開示のうちの任意のものによる複製に対して、それが特許商標庁特許出願又は記録において明らかであるとき、異議を唱えないが、そうでなければ、たとえ何であっても全ての著作権を保有する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、中空のプローブ及びカテーテルに関する。より詳細には、本発明は、接触力センサを有するカテーテルに関する。
【背景技術】
【0003】
心房細動等の心不整脈は、心臓組織の諸領域が、隣接組織に電気信号を異常に伝導することによって正常な心周期を阻害し、非同期的な律動を引き起こす場合に発生する。
【0004】
不整脈を治療するための手技としては、不整脈を発生させている信号の発生源を外科的に破壊することと、そのような信号の伝導路を破壊することが挙げられる。カテーテルを介してエネルギーを印加して心臓組織を選択的にアブレーションすることによって、心臓の一部分から別の部分への望ましくない電気信号の伝播を停止又は変更することが時に可能である。アブレーション法は、非伝導性の損傷部位を形成することによって望ましくない電気経路を破壊するものである。
【0005】
標的組織との物理的な電極の接触を実証することは、アブレーションエネルギーの送達を制御するために重要である。当該技術分野において、組織と電極との接触を実証する試みはこれまで広範に行われ、様々な技法が提案されてきた。例えば、米国特許第6,695,808号は、選択された患者の組織又は器官領域を処置するための装置を記載している。プローブは、その領域に押しつけられ得る接触面を有し、それにより接触圧力を生じさせる。圧力変換器が接触圧力を測定する。この構成は、接触力の存在及び規模の指標となる情報を機器のユーザーに提供することにより、医療機器を、解剖学的表面と過剰には接触しないが、しっかりと定置しなければならないという、処置の必要性を満たすと言われている。
【0006】
参照により本明細書に援用される、本発明の譲受人に譲渡されたBonyakらの米国特許出願第14/937,998号は、プローブ内の対称接触力センサを記載している。弾力性部材は、先端部をプローブの遠位部分に結合し、そして、組織を係合するときに先端部に加えられる圧力に反応して変形するように構成される。プローブの遠位部分にある位置センサは、プローブの遠位部分に対する先端部の位置を感知する。相対位置は、弾力性部材の変形に反応して変化する。位置センサは、位置センサ内に位置する磁場発生器によって生成された磁場に反応して先端部の位置を示す信号を生成する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
従来の接触力センサ内に見られるばねは、例えば、ニチノールチューブ材料から切断することによって個々に調製される。本発明の実施形態は、接触力センサを有するカテーテル、及び、平面の金属薄板から切断されて最終形態へと形状固定されるばね設計を使用して、カテーテルを製造する方法を提供する。その設計は、大量生産に適合され、そして、医療用カテーテル内の接触力センサに対して必要とされるような小規模空間に収められ得る。
【0008】
本発明の実施形態に従って装置が提供され、同装置では、ばねが、2つの接触する要素の間に挿入された弾力性部材を有する。弾力性部材に接続された拡張部が、要素と接触しており、要素のうちの少なくとも1つに加えられた力が、互いに対する要素の変位と相関するばねの変形を生じさせる。
【0009】
装置の一態様によれば、弾力性部材は中央リングを含み、リングの第1のセグメントが平面の片側に配置され、そして、第2のセグメントが平面の別の側に配置されている。変形は、第1のセグメント及び第2のセグメントを平面に接近させることを含む。
【0010】
装置の別の態様によれば、弾力性部材は、中央リングを含み、同リングは、その中央点に向かう方及びそれから離れる方への半径方向振動を有する正弦波構成を有する。
【0011】
装置の一態様によれば、弾力性部材は、複数のセクタを含む中央リングを含み、セクタのそれぞれは、2つのヘアピンカーブに成形されている。
【0012】
装置の更なる態様によれば、変形は、要素のうちの少なくとも1つの、要素のうちの別の1つに対するねじれを含む。
【0013】
装置の更なる態様によれば、拡張部は、中央リングに付着された複数の脚部を備え、第1の脚部及び第2の脚部が、リングに対して、それぞれ反対の第1及び第2の垂直方向にそれぞれ延在する。
【0014】
装置の更に別の態様では、第1の連結部及び第2の連結部は、第1の脚部及び第2の脚部を、平面に関してそれぞれ反対の角度でリングにそれぞれ接続し、変形は、角度の減少を含む。
【0015】
装置の更に別の態様によれば、第1の脚部及び第2の脚部は、それぞれの要素の端面に接触する。
【0016】
装置の更なる態様によれば、第1の脚部及び第2の脚部は、それぞれの要素を抱持する。
【0017】
本発明の実施形態によれば装置が更に提供され、同装置は、近位部分、及び患者の体腔への挿入のための遠位部分を有する可撓性挿入チューブと、挿入チューブの近位部分を遠位部分に結合する弾力性部材と、を含む。弾力性部材は、形状固定された弾性材料から成形され、挿入チューブの近位部分及び遠位部分とそれぞれ接触している近位及び遠位拡張部を有する。遠位部分を通して加えられた力は、遠位部分に対する近位部分の変位と相関する弾力性部材の変形を生じさせる。
【0018】
本発明の実施形態によれば医療用プローブを製造する方法が更に提供され、同方法は、近位部分及び遠位部分を有する細長いプローブを提供することによって実行される。遠位部分は、その上に電極が配置されている。方法は、弾力性部材を金属薄板から成形することによって更に実行され、弾力性部材は、弾性部分及び付着部分を有する。付着部分は、プローブの近位部分及び遠位部分を係合するように構成されている。方法は、弾力性部材を形状固定することと、遠位部分を通して加えられた力が、遠位部分に対する近位部分の変位と相関する弾力性部材の変形を生じさせるように、弾力性部材を近位部分及び遠位部分に結合することによって弾力性部材を接触力センサとして構成することと、によって更に実行される。
【0019】
方法の一態様によれば、弾力性部材を成形することは、ばね型を金属薄板から切断することを含む。
【0020】
方法の更に別の態様によれば、切断することは、レーザ切断によって実行される。
【0021】
方法の更なる態様によれば、弾力性部材を成形することは、ばね型を金属薄板からスタンピングすることを含む。
【0022】
方法の別の態様によれば、金属薄板は、薄膜スパッタニチノール、冷間加工ニチノール、ベリリウム銅合金、コバルトクロム合金、又はステンレス鋼合金であってもよい。
【0023】
方法の一態様によれば、形状固定することは、金属薄板をオーブン内で加熱することによって実行される。
【0024】
方法の更なる態様によれば、形状固定することは、スタンピングプロセスの一部分として金属薄板を熱間成形することによって実行される。
【0025】
方法の更なる態様によれば、スタンピングは、一連のダイによる累進的スタンピングを含む。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明をより深く理解するために、本発明の詳細な説明を例として参照するが、同説明は、以下の図面と併せて読むべきものであり、図中、同様の要素には同様の参照数字が付されている。
【
図1】本発明の開示された実施形態に従う、カテーテル法手順を心臓において実行するためのシステムの絵画的な図である。
【
図2】本発明の実施形態に従う、接触力センサを有する心臓カテーテルの遠位部分の慨略図である。
【
図3】本発明の実施形態に従う、形状固定前のばね型の立面図である。
【
図4】本発明の実施形態に従う、形状固定後の
図3に示す型の側面図である。
【
図5】本発明の実施形態に従う、
図4に示す型の斜視側面図である。
【
図6】本発明の代替実施形態に従う、形状固定ばねの斜視図である。
【
図7】本発明の代替実施形態に従う、
図6に示す形状固定ばねのより大きく傾いた立面図である。
【
図8】本発明の代替実施形態に従う、2つのシリンダの間に設置された圧縮ばねの立面図である。
【
図9】本発明の代替実施形態に従うばね型及び形状固定ばねを示す。
【
図10】本発明の代替実施形態に従う形状固定ばねを示す。
【
図11】本発明の代替実施形態に従う形状固定ばねを示す。
【
図12】本発明の代替実施形態に従う形状固定ばねを示す。
【
図13】本発明の代替実施形態に従うばね型及び形状固定ばねを示す。
【
図14】本発明の代替実施形態に従う形状固定ばねを示す。
【
図15】本発明の代替実施形態に従う形状固定ばねを示す。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下の説明では、本発明の様々な原理が十分に理解されるように、多くの具体的な詳細について記載する。しかしながら、これらの詳細の全てが本発明を実施するうえで必ずしも必要であるとは限らない点は当業者には明らかであろう。この場合、一般的な概念を無用に分かりにくくすることのないよう、周知の回路、制御論理、並びに従来のアルゴリズム及びプロセスに対するコンピュータプログラム命令の詳細については、詳しく示していない。
【0028】
参照により本明細書に援用される文書は本出願の一体部分と見なされるべきであり、いずれかの用語が、それらの援用された文書内で、本明細書で明示的又は暗示的に行われる定義と相反するように定義される場合を除き、本明細書における定義のみが考慮されるべきである。
【0029】
システムの概要
ここで図面に移って、最初に
図1を参照すると、同図は、本発明の開示される実施形態に従って構成されかつ動作可能である、生きている対象の心臓12において電気的活動を評価してアブレーション処置を実施するためのシステム10の絵画的な図である。このシステムは、被験者の血管系を通じて、心臓12の室又は血管構造内に操作者16によって経皮的に挿入されるカテーテル14を備えている。通常は医師である操作者16が、カテーテルの遠位先端部18を、例えば、アブレーション標的部位で心臓壁と接触させる。その開示が参照により本明細書に援用される、米国特許第6,226,542号及び同第6,301,496号、並びに本願と同一譲受人に譲渡された米国特許第6,892,091号に開示される方法に従って、電気的活動マップが作成され得る。システム10の要素を具現化する1つの市販の製品は、Biosense Webster,Inc.(3333 Diamond Canyon Road,Diamond Bar,CA 91765)より入手可能な、CARTO(登録商標)3システムとして入手可能である。このシステムは、本明細書に説明される本発明の原理を具現化するように、当業者によって変更されてもよい。
【0030】
例えば電気的活性マップの評価によって異常と判定された領域は、例えば心筋に高周波エネルギーを加える、遠位先端部18での1つ又は複数の電極に、カテーテル内のワイヤを通じて高周波電流を流すことなどにより熱エネルギーを加えることによってアブレーションすることができる。エネルギーが組織に吸収されることにより、組織の電気的興奮を恒久的に失わせる程度(通常、約60℃)まで組織を加熱する。成功裏に行われた場合、この処置によって心臓組織に非伝導性の損傷部が形成され、この損傷部が、不整脈を引き起こす異常な電気経路を遮断する。本発明の原理は、異なる心室に適用されて、多数の異なる心不整脈を診断及び治療することができる。
【0031】
カテーテル14は、通常、操作者16がアブレーションに望ましいようにカテーテルの遠位部分を操縦、位置決め、及び向き決めすることを可能にするのに好適な制御部をその上に有するハンドル20を備えている。操作者16を補助するために、カテーテル14の遠位部分には、コンソール24内に配置されたプロセッサ22に信号を提供する位置センサ(図示せず)が収容されている。プロセッサ22は、後述のような幾つかの処理機能を果たすことができる。更に、カテーテル14は、接触力センサを備え、これについては下記に説明する。
【0032】
アブレーションエネルギー及び電気信号を、遠位先端部18に又は遠位先端部18の付近に配置される、1つ又は複数のアブレーション電極32を通じて、コンソール24に至るケーブル34を介し、心臓12へ/心臓12から、搬送することができる。ペーシング信号及び他の制御信号は、コンソール24から、ケーブル34及び電極32を通して、心臓12へと搬送することができる。また、コンソール24に接続された感知電極33は、アブレーション電極32間に配置されており、ケーブル34への接続部を有する。
【0033】
ワイヤ接続部35はが、コンソール24を、体表面電極30、並びにカテーテル14の位置座標及び向き座標を測定するための位置決めサブシステムの他の構成要素と連結する。プロセッサ22又は別のプロセッサ(図示せず)は、位置決めサブシステムの要素であってよい。参照により本明細書に援用される、Govariらに発行された米国特許第7,536,218号において教示されているように、電極32及び体表面電極30を使用して、アブレーション部位における組織インピーダンスを測定してもよい。温度センサ(図示せず)、典型的には、熱電対又はサーミスタが、電極32のそれぞれの上に、又は電極32のそれぞれの付近に載置されてもよい。
【0034】
コンソール24は、通常、1つ又は複数のアブレーション電力発生装置25を収容している。カテーテル14は、例えば、高周波エネルギー、超音波エネルギー、及びレーザ生成光エネルギーなどの任意の周知のアブレーション技術を使用して心臓にアブレーションエネルギーを伝えるように適合させることができる。このような方法は、参照により本明細書に援用されている、本願と同一譲受人に譲渡された米国特許第6,814,733号、同第6,997,924号、及び同第7,156,816号に開示されている。
【0035】
一実施形態において、この位置決めサブシステムは、磁場生成コイル28を使用して、既定の作業体積内に磁場を生成し、カテーテルにおけるこれらの磁場を検知することによって、カテーテル14の位置及び向きを判定する、磁気位置追跡の配置構成を含む。位置決めサブシステムは、参照により本明細書に援用される米国特許第7,756,576号、及び上記の米国特許第7,536,218号に記載されている。
【0036】
上述したように、カテーテル14は、コンソール24に連結され、これにより操作者16は、カテーテル14の機能を観察及び調節できる。コンソール24は、プロセッサ、好ましくは適当な信号処理回路を有するコンピュータを含む。プロセッサは、モニタ29を駆動するように結合されている。信号処理回路は、典型的には、例えば、カテーテル14内の遠位に配置された電気センサ、温度センサ、及び接触力センサ等のセンサ、並びに複数の位置感知電極(図示せず)によって生成されたる信号を含む、カテーテル14からの信号を受信、増幅、フィルタリング、及びデジタル化する。デジタル化された信号は、コンソール24及び位置決めシステムによって受信され、かつ使用されることにより、カテーテル14の位置及び向きを計算し、そして電極からの電気信号を分析する。
【0037】
電気解剖学的マップを生成するために、プロセッサ22は、典型的には、電気解剖学的マップ生成装置と、画像位置合わせプログラムと、画像又はデータ解析プログラムと、モニタ29上にグラフィカル情報を提示するように構成されたグラフィカルユーザインタフェースと、を備える。
【0038】
簡略化のため図には示されていないが、通常、システム10には、他の要素も含まれる。例えば、システム10は、心電図(ECG)モニタを含んでもよく、このECGモニタは、ECG同期信号をコンソール24に供給するために、1つ又は複数の体表面電極から信号を受信するように連結される。上記に述べたように、システム10は、典型的にはまた、患者の身体の外側に付着された外部貼付式参照パッチ、又は心臓12に対する固定位置に維持された状態で心臓12に挿入されている内部置きカテーテル(internally-placed catheter)のいずれかに参照位置センサをも有する。カテーテル14にアブレーション部位を冷却するための液体を通して循環させるための従来のポンプ及びラインが設けられている。システム10は、MRIユニット等のような外部の画像診断法からの画像データを受信してもよく、そして、画像を生成及び表示するためのプロセッサ22によって組み込まれ得るか、又は呼び出され得る画像プロセッサを含んでもよい。
【0039】
ここで
図2を参照すると、
図2は、本発明の実施形態に従う、心臓カテーテル37の遠位端部分の概略図である。発明の実施形態に従って構成された接触力センサは、カテーテルの一部分39に配置される。接触力センサを除いて、カテーテル37は、本発明の譲受人に譲渡された、Govariらによる米国特許出願公開第2009/0093806号に記載されたカテーテルであってもよく、その内容は参照により本明細書に援用される。カテーテル37は、可撓性挿入チューブであって、同チューブは、患者の体腔への挿入のための遠位部分41と、体腔内の組織と接触させられるように構成されている遠位先端部43と、を有する。弾力性部材45は、近位部分47を遠位部分41に結合する。本開示において、近位部分47及び遠位部分41等の部材は、互いに対して動き、そして、弾力性部材45に付着する部材であって、「接続要素」とも呼ばれる。「近位」及び「遠位」なる用語は、カテーテルの部分を区別するために本明細書で任意に用いられる。これらの用語は、カテーテル自体の実際の構成に関して物理的な意味をもたない。
【0040】
遠位部分41は、矢印49によって示された、遠位先端部43に及ぼされる圧力に反応して、近位部分47に対して動くこと及び曲がることができる。
図2の実施形態では、弾力性部材45は、2つの接続要素46と48との間に挿入されている。脚部50、52は、リング部分54の平面からそれぞれ反対の垂直方向に延在し、そして、電磁コイルが0.1mm位の小ささであり得る距離だけ離間されるように接続要素46、48の端面に接触している。電磁コイル62、64が、弾力性部材45の両側に提供されることにより、弾力性部材45が先端圧力に反応して変形するときに、カテーテル37の近位部分47に対する遠位先端部43の変位を測定する。
【0041】
第1の実施形態
ここで
図3を参照すると、同図は、本発明の実施形態に従う、形状固定前のばね型51の立面図である。型は、薄膜スパッタ又は冷間加工ニチノール等の金属薄板から切断され、次いで、所望の形状に成形又は形状固定される。その代替として、型は、ベリリウム銅合金、コバルトクロム合金、又はステンレス鋼合金から作成されてもよい。形状固定を達成する一方法は、型をオーブン内で高温に曝すことである。形状固定に必要な温度及び別の運転条件は、ばねに使用される材料に従って、当該技術分野において周知であり、例えば、ニチノールは、一般に30分間で520℃の高温まで昇温され、次いで急冷される。その代替として、金属薄板が、累進的スタンピング、例えば、ばね成形の完成が達成されるまで、異なるダイによる、金属上での一連の動作の実行を受けてもよい。型51は、波形模様に切られた輪郭を有する内側開放空間55を囲む閉鎖曲線を成形する中央リング部分53を有する。6つの脚部57が、開放空間55から外向きに放射状に広がっている。スタンピングは、金属を熱間成形することを含んでもよい。
【0042】
再び
図2を参照すると、リング部分54が、カテーテル37の近位部分47と遠位部分41との間で圧縮ばねとして作用する弾性部分を構成する。ばねの作用は、圧縮力を近位部分47に対する遠位部分41の変位と相関させる。脚部50、52が、接続要素46、48への付着部分を形成する。
図2の実施形態では、脚部50、52は、遠位部分41と近位部分47との間に所望の分離を提供する。ある種類のカテーテルでは、電極が遠位部分にあり、そして、カテーテルシャフトが近位部分を形成する。
【0043】
ここで、
図4及び
図5を参照すると、両図は、それぞれ、型51の側面図及び斜視図である。型51は、本発明の実施形態に従って、静止位置で形状固定されている。脚部57が、交互方向にリング部分53の平面58(破線で示される)に90°の角度で曲げられている。更に、リング部分53のセグメントが、平面58の1つの側に配置されている。圧縮力が、矢印59によって示されるように脚部57に加えられると、リング部分53が変形を受け、リング部分53は、扁平状態に近づく傾向にあり、そして、全ての部分が平面58に接近するか、又はその上に位置する。圧縮力が除去されると、リング部分53は、
図4の構成に戻る。
【0044】
この実施形態及び以下の実施形態は、量産されることにより、単位原価を低下させる。設計は、平坦な金属薄板から切断され、スタンピングされ、又は別の態様で成形され、そして、それらの最終形態へと形状固定される。心臓カテーテル用途でのかかるばねの一般的な厚さ寸法は、約0.5mmである。ばねの弾性部分の厚さを最小化することが、心臓カテーテルにおいて重要であり、その理由は、2つの接続要素が一般に送信器と受信器とを具備し、両者はここでは1.5mmを超えない距離だけ分離され得るからである。更に、金属薄板をあるパターンにレーザ切断することによって、溶接が不要になり、その結果、単位原価を低く維持するだけでなく、従来の溶接ばねと比較して信頼性を改善する。
【0045】
第2の実施形態
ここで
図6及び
図7を参照すると、両図は、本発明の代替実施形態に従う形状固定ばね61の立面図である。この実施形態では、脚部63が、中央リング65の平面の両側で角度69、73、典型的には平面から26度をなす連結部67によって中央リング65に接続されている。連結部67は、開窓部71を含み、同開窓部は、軸方向変位を増加させるが、半径方向(又は横方向)変位には最小の影響しか及ぼさない。圧縮力が脚部63に加えられると、角度69、73を減少させ、圧縮力が除去されると、それは逆転される。
【0046】
第3の実施形態
ここで
図8を参照すると、同図は、本発明の代替実施形態に従う、2つのシリンダ77、79の間に設置された圧縮ばね75の立面図である。ばね75は、本明細書の実施形態のうちのいずれであってもよい。ばね自体の中心部分81は、上記のような圧縮ばねとして機能する。シリンダ77、79は、保持又は把持機能を有する脚部83によって抱持されて、ばね75をシリンダ77、79に固着する。
【0047】
第4の実施形態
ここで
図9を参照すると、同図は、ばね型85と、本発明の代替実施形態に従ってばね型85から調整された形状固定ばね87と、を示す。この実施形態では、脚部89は、中央リング91から延在し、そして、接合部93で二又に分かれて分岐95、97を成形する。
【0048】
ばね87では、前述の実施形態で説明されたように、4つの脚部89が、リング91の平面の上方及び下方に曲げられている。いくつかの適用では、脚部89は、それぞれの接触構造、例えば、カテーテル(
図1)の遠位部分41と近位部分47とが離間された状態を維持する。分岐95、97は、別の適用のために内側に曲げられることにより、ばね75(
図8)に類似した保持又は把持機能を提供する。
【0049】
第5の実施形態
ここで
図10を参照すると、同図は、本発明の代替実施形態に従う形状固定ばね99を示す。4つの脚部101を有するばね99の構造は、ばね87(
図9)に類似しているが、但し、中央リング103が、中央リング103の中央点105に向かう方及びそれから離れる方に、概して半径方向に振動している正弦波構成に成形されていることは除かれる。全長寸法は、同じ直径の円形リングの周長を超え、そして、送信器コイルと受信記コイルとの間の一層密着した配置を可能にする。
【0050】
第6の実施形態
ここで
図11を参照すると、同図は、本発明の代替実施形態に従う形状固定ばね107を示す。この変形物は、脚部113を接続する中央リング111のセクタ109(セクタ109のうちの1つが破線で示される)が2つのヘアピンカーブに作られていることを除いて、
図10の実施形態に類似している。ばね107は、上記のように圧縮ばねとして作用することができ、そして、側方(又は半径方向)移動を可能にするようにも機能してもよい。
【0051】
第7の実施形態
ここで
図12を参照すると、同図は、本発明の代替実施形態に従う形状固定ばね121を示す。配置構成は、4つの脚部の代わりに6つの脚部123があることを除いて、ばね99(
図10)に類似している。この設計は、ばね121がばね99と比較して相対的に大きい圧縮力に耐えることを可能にする。
【0052】
第8の実施形態
ここで
図13を参照すると、同図は、本発明の代替実施形態に従う、ばね型125、及び、ばね型85から調製された形状固定ばね127を示す。この実施形態では、6つの脚部129が、中央リング133に成形された外側に向いたループ131に付着している。
図13の左側に示すように、6つの脚部129は、中央リングの中心130に向かって内側に延在し、このことが、最終的な成形ばね形態125の外径を低減する。
【0053】
第9の実施形態
ここで
図14を参照すると、同図は、本発明の代替実施形態に従う形状固定ばね135を示す。この実施形態は、脚部139を中央リング141と接続する連結部137が、開窓部付きではなくむしろ中実であることを除いて、ばね61(
図6)に類似しており、このことが、金属スタンピング動作に対してプロセスをより単純にする。
【0054】
第10の実施形態
ここで
図15を参照すると、同図は、本発明の代替実施形態に従う形状固定ばね143を示す。この実施形態では、6つの脚部145があり、同脚部は、中央リング149から延在するそれぞれの細長いループ147に付着されている。ループ147の他に、リング149は、ループ147と交互し、そして、脚部に付着しない付加的な外側に延在するループ151を備える。付加的なループは、剛性を減少させ、そして、応力をより大きい面積に分散させることにより、結果としてより頑健な設計をもたらす。
【0055】
当業者であれば、本発明が上記で具体的に図示及び記載されたものに限定されない点を理解するであろう。むしろ、本発明の範囲は、上述の様々な特徴の組合せ及び部分的組合せ、並びに上記の説明を読むことで当業者には想到されるであろう、先行技術にはない上述の特徴の変形例及び改変例をも含むものである。
【0056】
〔実施の態様〕
(1) 装置であって、
2つの接触する要素の間に挿入された弾力性部材を有するばねを備え、前記弾力性部材、及び
前記弾力性部材に接続された拡張部が、前記要素と接触しており、前記要素のうちの少なくとも1つに加えられた力が、互いに対する前記要素の変位と相関する前記ばねの変形を生じさせる、装置。
(2) 前記弾力性部材は、第1のセグメント及び第2のセグメントを有する中央リングを備え、前記第1のセグメントは、平面の片側に配置され、前記第2のセグメントは、前記平面の別の側に配置されており、前記変形は、前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントを前記平面に接近させることを含む、実施態様1に記載の装置。
(3) 前記弾力性部材は、中央リングを備え、前記リングは、前記リングの中央点に向かう方及びそれから離れる方への半径方向振動を有する正弦波構成を有する、実施態様1に記載の装置。
(4) 前記弾力性部材は、複数のセクタを備える中央リングを備え、前記セクタのそれぞれは、2つのヘアピンカーブに成形されている、実施態様1に記載の装置。
(5) 前記変形は、前記要素のうちの少なくとも1つの、前記要素のうちの別の1つに対するねじりを含む、実施態様4に記載の装置。
【0057】
(6) 前記拡張部は、第1の脚部及び第2の脚部を含む、中央リングに付着された複数の脚部を備え、前記第1の脚部及び前記第2の脚部は、前記リングに対して、それぞれ反対の第1及び第2の垂直方向にそれぞれ延在する、実施態様1に記載の装置。
(7) 前記第1の脚部及び前記第2の脚部を、平面に関してそれぞれ反対の角度で前記リングにそれぞれ接続する第1の連結部及び第2の連結部を更に備え、前記変形は、前記角度の減少を含む、実施態様6に記載の装置。
(8) 前記第1の脚部及び前記第2の脚部は、それぞれの要素の端面に接触する、実施態様7に記載の装置。
(9) 前記第1の脚部及び前記第2の脚部は、それぞれの要素を抱持する、実施態様7に記載の装置。
(10) 装置であって、
近位部分、及び患者の体腔への挿入のための遠位部分を有する可撓性挿入チューブと、
前記挿入チューブの前記近位部分を前記遠位部分に結合する弾力性部材であって、前記弾力性部材は、形状固定された弾性材料を備え、前記弾力性部材は、前記挿入チューブの前記近位部分及び前記遠位部分とそれぞれ接触している近位及び遠位拡張部を有する、弾力性部材と、を備え、
前記遠位部分を通して加えられた力が、前記遠位部分に対する前記近位部分の変位と相関する前記弾力性部材の変形を生じさせる、装置。
【0058】
(11) 前記弾力性部材は、第1のセグメント及び第2のセグメントを有する中央リングを備え、前記第1のセグメントは、平面の片側に配置され、前記第2のセグメントは、前記平面の別の側に配置されており、前記変形は、前記第1のセグメント及び前記第2のセグメントを前記平面に接近させることを含む、実施態様10に記載の装置。
(12) 前記弾力性部材は、中央リングを備え、前記リングは、前記リングの中央点に向かう方及びそれから離れる方への半径方向振動を有する正弦波構成を有する、実施態様10に記載の装置。
(13) 前記弾力性部材は、複数のセクタを備える中央リングを備え、
前記セクタのそれぞれは、2つのヘアピンカーブへと巻き込まれている、実施態様10に記載の装置。
(14) 前記近位部分は、前記遠位部分から離間され、前記弾力性部材は、それらの間に挿入されており、前記変形は、前記遠位部分に対する前記近位部分のねじりによって生じさせられる、実施態様13に記載の装置。
(15) 前記弾力性部材は、中央リングを備え、前記近位拡張部及び前記遠位拡張部は、前記リングに対して、それぞれ反対の第1及び第2の垂直方向に延在する、実施態様10に記載の装置。
【0059】
(16) 前記近位拡張部及び前記遠位拡張部を、平面に関してある角度で前記リングにそれぞれ接続する第1の連結部及び第2の連結部を更に備え、前記変形は、前記角度の変化を含む、実施態様15に記載の装置。
(17) 前記近位部分及び前記遠位部分は、端面を有し、前記近位拡張部及び前記遠位拡張部は、前記近位部分及び前記遠位部分の前記端面とそれぞれ接触する、実施態様16に記載の装置。
(18) 前記近位拡張部及び前記遠位拡張部は、前記近位部分及び前記遠位部分をそれぞれ抱持する、実施態様16に記載の装置。
(19) 医療用プローブを製造する方法であって、
近位部分、及び電極をそれ自体の上に有する遠位部分を有する細長いプローブを提供する工程と、
弾力性部材を金属薄板から成形する工程であって、前記弾力性部材は、弾性部分及び付着部分を有し、前記付着部分は、前記プローブの前記近位部分及び前記遠位部分を係合するように構成されている、工程と、
前記弾力性部材を形状固定する工程と、
前記遠位部分を通して加えられた力が、前記遠位部分に対する前記近位部分の変位と相関する前記弾力性部材の変形を生じさせるように、前記弾力性部材を前記近位部分及び前記遠位部分に結合することによって前記弾力性部材を接触力センサとして構成する工程と、
を含む、方法。
(20) 弾力性部材を成形することは、ばね型を金属薄板から切断することを含む、実施態様19に記載の方法。
【0060】
(21) 切断することは、レーザ切断によって実行される、実施態様20に記載の方法。
(22) 弾力性部材を成形することは、ばね型を金属薄板からスタンピングすることを含む、実施態様19に記載の方法。
(23) 前記金属薄板は、薄膜スパッタニチノール、冷間加工ニチノール、ベリリウム銅合金、コバルトクロム合金、及びステンレス鋼合金からなる群のうちの1つを含む、実施態様19に記載の方法。
(24) 形状固定することは、前記金属薄板をオーブン内で加熱することによって実行される、実施態様19に記載の方法。
(25) 形状固定することは、スタンピングプロセスの一部として前記金属薄板を熱間成形することによって実行される、実施態様19に記載の方法。
【0061】
(26) スタンピングすることは、一連のダイによる累進的スタンピングを含む、実施態様25に記載の方法。
【外国語明細書】