(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124530
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の改善剤
(51)【国際特許分類】
A23L 33/10 20160101AFI20240905BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240905BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240905BHJP
A61P 5/24 20060101ALI20240905BHJP
A61K 31/355 20060101ALI20240905BHJP
A61K 31/353 20060101ALI20240905BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240905BHJP
A23L 33/15 20160101ALI20240905BHJP
【FI】
A23L33/10
A61P25/00
A61P15/00
A61P5/24
A61K31/355
A61K31/353
A61P43/00 121
A23L33/15
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024109506
(22)【出願日】2024-07-08
(62)【分割の表示】P 2021186980の分割
【原出願日】2017-03-07
(31)【優先権主張番号】P 2016044883
(32)【優先日】2016-03-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000206956
【氏名又は名称】大塚製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100122301
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 憲史
(74)【代理人】
【識別番号】100170520
【弁理士】
【氏名又は名称】笹倉 真奈美
(72)【発明者】
【氏名】上野 友美
(72)【発明者】
【氏名】出口 智子
(72)【発明者】
【氏名】小野田 敦子
(57)【要約】
【課題】女性特有の身体的及び/又精神的不快症状改善効果が高く、かつ、手軽に摂取出
来るタイプの改善剤を提供すること。
【解決手段】本発明は、γ-トコフェロール及び/又はエクオールを含む女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の改善剤を提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
γ-トコフェロール及びエクオールを含む女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の改善剤。
【請求項2】
γ-トコフェロールとエクオールとがそれぞれ別個の剤として含まれる、請求項1記載の改善剤。
【請求項3】
γ-トコフェロールとエクオールとが同一の剤として含まれる、請求項1記載の改善剤。
【請求項4】
前記女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状が、痛み、否定的感情、集中力、及び行動の変化からなる群から選択される1つ以上である請求項1~3のいずれか1項に記載の改善剤。
【請求項5】
女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状が、月経前及び/又は月経中の身体的及び/又は精神的不快症状である、請求項1~4のいずれか1項に記載の改善剤。
【請求項6】
γートコフェロールとエクオールの配合割合(総量の重量比)が1:0.0001~1:500である、請求項1~5のいずれか1項に記載の改善剤。
【請求項7】
γ-トコフェロールの1日摂取量が0.1~1000mg、及びエクオールの1日摂取量が0.1~50mgになるように摂取するための、請求項1~6のいずれか1項に記載の改善剤。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか1項に記載の改善剤を含む飲食品。
【請求項9】
飲食品の形態である、請求項1~7のいずれか1項に記載の改善剤。
【請求項10】
γ-トコフェロールを含む女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の改善剤。
【請求項11】
前記女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状が、痛み、否定的感情、集中力、及び行動の変化からなる群から選択される1つ以上である請求項10に記載の改善剤。
【請求項12】
前記女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状が、月経前及び/又は月経中の身体的及び/又は精神的不快症状である、請求項10又は11に記載の改善剤。
【請求項13】
γ-トコフェロールの1日摂取量が0.1~1000mgになるように摂取するための、請求項10~12のいずれか1項に記載の改善剤。
【請求項14】
請求項10~13のいずれか1項に記載の改善剤を含む飲食品。
【請求項15】
飲食品の形態である、請求項10~13のいずれか1項に記載の改善剤。
【請求項16】
エクオールを含む女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の改善剤。
【請求項17】
前記女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状が、月経前及び/又は月経中の身体的及び/又は精神的不快症状である、請求項16に記載の改善剤。
【請求項18】
前記女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状が、痛み、否定的感情、集中力、及び行動の変化からなる群から選択される1つ以上である、請求項16又は17に記載の改善剤。
【請求項19】
エクオールの1日摂取量が0.1~50mgになるように摂取するための、請求項16~18のいずれか1項に記載の改善剤。
【請求項20】
請求項16~19のいずれか1項に記載の改善剤を含む飲食品。
【請求項21】
飲食品の形態である、請求項16~19のいずれか1項に記載の改善剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の改善剤に関する。
【背景技術】
【0002】
女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状とは、女性ホルモン等の変動等が一因と言われる不快症状である。女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状には、月経前の身体的及び/又は精神的不快症状(月経前症候群「PMS」ともいう)、及び生理痛を含む月経中の身体的及び/又は精神的不快症状、ならびに生理不順、不正出血、自律神経失調症、不妊、更年期障害などから生じる不快症状がある。
【0003】
例えば、PMSは、主に、月経前3~10日の間続き、月経開始とともに軽快ないし消失する症状である。エストロゲン(卵胞ホルモン)及びプロゲステロン(黄体ホルモン)の急激な低下が原因の一つとして挙げられるが、その他多くの要因から起こると考えられており、PMSの原因は未だ不明である。PMSの症状としては、眠気、腰痛、下腹部痛、頭痛、易疲労性、肩こり、むくみ、乳房の張り、めまい、肌荒れ、ニキビ、憂うつ、不安、倦怠感、無気力、集中力低下、イライラする等の様々な症状が挙げられる。
【0004】
また、月経中の身体的及び/又は精神的不快症状には、下腹部痛、腰痛、頭痛等の身体的な痛み、全身の倦怠感やだるさ等漠然とした痛み、イライラする、無気力、憂うつ、怒りっぽい、吐き気、胃痛、食欲不振、下痢、めまい等の様々な症状がある。月経中の身体的及び/又は精神的不快症状の原因もまた、多くの要因から起こると考えられており、未だ不明である。
【0005】
女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の治療や予防は、その原因がはっきりしないことや、個々で症状の特徴や期間が異なることから、対症療法や、食生活の改善、運動の習慣、ストレスの解消等の自己管理により症状を緩和する方法がとられることが一般的である。
【0006】
例えば、PMSの対症療法については、様々な成分の有効性が研究されており、大豆イソフラボンアグリコン、特にダイゼインを含むPMSの治療剤(特許文献1)が報告されている。さらに、ダイゼインの代謝によって生成されるエクオールのPMSに対する影響について研究されている(非特許文献1)。また、むくみ等の水分貯留症状を改善するために、γ-トコフェロールの使用が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】東京医療保健大学紀要、第1号2006年、第39-42頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
多くの女性が女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状を経験しており、重篤なケースでは日常生活に支障をきたすこともある。一方、女性の社会進出が進み、外出先等で手軽に摂取出来るタイプの女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の改善剤が希望されている。しかしながら、女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の改善効果が高く、かつ、手軽に摂取出来るタイプの改善剤は未だ開発されていない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の状況下、本発明者らは、手軽に摂取出来るタイプの、女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状改善剤を開発すべく鋭意研究した。その結果、γ-トコフェロール及び/又はエクオールを組み合わせて投与することにより、女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状、例えば月経前及び/又は月経中の身体的及び/又は精神的不快症状が顕著に改善されることを見出し、本発明を完成させた。
【0011】
すなわち、本発明は、
[1]γ-トコフェロール及びエクオールを含む女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の改善剤、
[2]γ-トコフェロールとエクオールとがそれぞれ別個の剤として含まれる、[1]記載の改善剤、
[3]γ-トコフェロールとエクオールとが同一の剤として含まれる、[1]記載の改善剤、
[4]前記女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状が、痛み、否定的感情、集中力、及び行動の変化からなる群から選択される1つ以上である、[1]~[3]に記載の改善剤、
[5]前記女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状が、月経前及び/又は月経中の身体的及び/又は精神的不快症状である、[1]~[4]のいずれかに記載の改善剤、
[6]γ-トコフェロールとエクオールの配合割合(総量の重量比)が1:0.0001~1:500である、[1]~[5]のいずれかに記載の改善剤、
[7]エクオールとして、エクオール含有大豆胚軸発酵物を含む、[1]~[6]のいずれかに記載の改善剤、
[8]γ-トコフェロールの1日摂取量が0.1~1000mg、及びエクオールの1日摂取量が0.1~50mgになるように摂取するための、[1]~[7]のいずれかに記載の改善剤、
[9][1]~[8]のいずれかに記載の改善剤を含む飲食品、
[10]飲食品の形態である、[1]~[8]のいずれかに記載の改善剤、
[11]γ-トコフェロールを含む女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の改善剤、
[12]女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状が、痛み、否定的感情、集中力、及び行動の変化からなる群から選択される1つ以上である、[11]に記載の改善剤、
[13]女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状が、月経前及び/又は月経中の身体的及び/又は精神的不快症状である、[11]又は[12]に記載の改善剤、
[14]γ-トコフェロールの1日摂取量が0.1~1000mgになるように摂取するための、[11]~[13]のいずれかに記載の改善剤、
[15][11]~[14]のいずれかに記載の改善剤を含む飲食品、
[16]飲食品の形態である、[11]~[14]のいずれかに記載の改善剤、
[17]エクオールを含む女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の改善剤、
[18]女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状が痛み、否定的感情、集中力、及び行動の変化からなる群から選択される1つ以上である、[17]に記載の改善剤、
[19]女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状が、月経前及び/又は月経中の身体的及び/又は精神的不快症状である、[17]又は[18]に記載の改善剤、
[20]エクオールとして、エクオール含有大豆胚軸発酵物を含む、[17]~[19]のいずれかに記載の改善剤、
[21]エクオールの1日摂取量が0.1~50mgになるように摂取するための、[17]~[20]のいずれかに記載の改善剤、
[22][17]~[21]のいずれかに記載の改善剤を含む飲食品、及び
[23]飲食品の形態である、[17]~[21]のいずれかに記載の改善剤
を提供する。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、次の1つ以上の効果が発揮される。
(1)女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の改善剤(以下「本発明の改善剤」)を提供する。
(2)特に、月経前及び/又は月経中の身体的及び/又は精神的不快症状の改善剤を提供する。
(3)手軽に摂取できるタイプの本発明の改善剤を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】γ-トコフェロール単独試験におけるVASの結果を
図1に示す。図中、「γ-Toc」はγ-トコフェロールを意味する。
【
図2】γ-トコフェロール単独試験及び、γ-トコフェロール及びエクオール併用試験のMDQの結果を示す。図中の「γToc」はγ-トコフェロールを意味する。
【
図3】γ-トコフェロール及びエクオール併用試験の全体的な改善度の結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
「γ-トコフェロール」とは、大豆油や菜種油等の植物油に含まれる天然のビタミンEの一種である。ビタミンEは、体内脂肪の酸化を防ぐ優れた抗酸化作用を有することが知られている。本発明において使用されるγ-トコフェロールは、特に限定されない。例えば、製薬用または食品用素材として市販されるγ-トコフェロールを使用してもよい。
【0015】
本発明において、1日当たりのγ-トコフェロールの摂取量は、改善したい症状の程度にもよるが、例えば0.1~1000mg、好ましくは50~800mg、さらに好ましくは60~450mgである。本発明の改善剤に含まれるγ-トコフェロールの量は、本発明の改善剤の形状等を考慮して、上記1日当たりのγ-トコフェロールの摂取量の範囲内で適宜決定することができる。上記1日当たりの摂取量に達するように、1~複数個の本発明の改善剤を摂取すればよい。
【0016】
「エクオール」とは、主に糖と結合した配糖体の形で存在するイソフラボン類が、体内の消化酵素又は腸内細菌の産生する酵素等で変換された代謝物であり、高いエストロゲン活性を有する。本発明においては、ダイゼイン配糖体、ダイゼイン、及びジヒドロダイゼインからなる群から選択される少なくとも1種のダイゼイン類の代謝物であるエクオールが使用される。ダイゼイン配糖体としては、例えば、ダイジン、マロニルダイジン、アセチルダイジン等が挙げられる。本発明において使用されるエクオールは、特に限定されず、合成法で得られたものであってもよく、または発酵法で得られたものであってもよい。
【0017】
本発明においては、エクオールを含有する大豆胚軸発酵物(以下、「エクオール含有大豆胚軸発酵物」という)を使用することもできる。エクオール含有大豆胚軸発酵物は、ダイゼイン配糖体、ダイゼイン、及びジヒドロダイゼインからなる群から選択される少なくとも1種のダイゼイン類を資化してエクオールを産生する能力を有する微生物で、大豆胚軸を発酵させることにより得られる。大豆胚軸とは、大豆の発芽時に幼芽、幼根となる部分であり、ダイゼイン配糖体やダイゼイン等のダイゼイン類が多く含まれることが知られている。本発明において使用される大豆胚軸は、ダイゼイン類を含有するものであればいずれであってもよく、大豆の種類、産地または加工の有無、大豆胚軸の形状等について制限はない。例えば、生の状態のもの、加熱処理、乾燥処理又は蒸煮処理等に供された大豆から分離したもの、未加工の大豆から分離した胚軸を加熱処理、乾燥処理又は蒸煮処理等に供したもの、脱脂処理又は脱タンパク処理に供したもの、粉末状、或いは粉砕又は破砕されたものであってもよい。上記エクオールを産生する能力を有する微生物としては、食品衛生上許容され、かつ、エクオール産生能を有するかぎり特に制限されないが、例えば、ラクトコッカス・ガルビエ(Lactococcus garvieae)等のラクトコッカス属に属する微生物、ストレプトコッカス・インターメディアス(Streptococcus intermedius)、ストレプトコッカス・コンステラータス(Streptococcus constellatus)等のストレプトコッカス属に属する微生物、バクテロイデス・オバタス(Bacteroides ovatus)等のバクテロイデス属に属する微生物が挙げられる。上記エクオールを産生する能力を有する微生物は、例えば、ヒトの糞便中からエクオール産生能を指標として単離することもできる。さらに、出願人により単離同定され、寄託された菌、ラクトコッカス20-92(FERM BP-10036)、ストレプトコッカスE-23-17(FERM BP-6436)、ストレプトコッカスA6G225(FERM BP-6437)、及びバクテロイデスE-23-15(FERM BP-6435)を使用することもできる。エクオールを含有する大豆胚軸発酵物は、上記エクオールを産生する能力を有する微生物を用いて上記大豆胚軸を適当な条件下で発酵させることによって得ることができる。発酵条件はエクオールが産生されるかぎり特に制限はなく、当業者によって適宜決定される。例えば、国際公開第WO2007/066655号に記載の方法で得られるエクオール含有大豆胚軸発酵物を使用することができる。
【0018】
エクオール含有大豆胚軸発酵物には、エクオール以外に、ダイジン、マロニルダイジン、アセチルダイジン、ダイゼイン、ジハイドロダイゼイン等のダイゼイン類、ゲニスチン、マロニルゲニスチン、アセチルゲニスチン、ゲニステイン、ジハイドロゲニステイン等のゲニステイン類、グリシチン、マロニルグリシチン、アセチルグリシチン、グリシテイン、ジハイドログリシテイン等のグリシテイン類等の各種イソフラボンも含まれており、これらのイソフラボンの有用生理活性も発現することができる。さらに、エクオール含有大豆胚軸発酵物には、大豆胚軸に由来するサポニンも含まれており、サポニンの有用生理活性(例えば、抗ウイルス活性等)も発現することができる。したがって、本発明の改善剤がエクオール含有大豆胚軸発酵物を含む場合は、付加的な効果が期待できる。エクオール含有大豆胚軸発酵物は、エクオール以外のイソフラボン類の組成も大豆胚軸のものとは異なる。特に、大豆胚軸発酵物には、内分泌攪乱物質として作用することが懸念されているゲニステイン類の含有比率が低い。
【0019】
本発明で使用されるエクオール含有大豆胚軸発酵物は、該大豆胚軸発酵物1g(乾燥重量)当たり、エクオールを例えば1~20mg、好ましくは2~12mg、ダイゼイン類を総量で例えば0.1~30mg、好ましくは0.1~1.5mg、ゲニステイン類を総量で例えば0.05mg~2.5mg、好ましくは0.05~2mg、及びグリシテイン類を総量で例えば0.1~4mg、好ましくは2~3.5mg含有する。また、エクオール含有大豆胚軸発酵物中の各イソフラボンの組成比率は、該大豆胚軸発酵物に含まれる全イソフラボンの合計重量に対する割合として、エクオールが例えば30~75重量%、好ましくは40~70重量%、さらに好ましくは45~70重量%、ダイゼイン類が例えば1~20重量%、好ましくは2~15重量%、さらに好ましくは4~12重量%、ゲニステイン類が例えば0.1~20重量%、好ましくは1~15重量%、さらに好ましくは1~10重量%、グリシテイン類が例えば10~50重量%、好ましくは15~35重量%、さらに好ましくは25~35重量%である。また、エクオール含有大豆胚軸発酵物中のサポニン含有量は、該大豆胚軸発酵物1g(乾燥重量)当たり、例えば10~80mg、好ましくは20~50mg、さらに好ましくは30~40mgである。
【0020】
上記エクオールを産生する能力を有する微生物のなかには、アルギニンをオルニチンに変換する能力を有するものもあり、ラクトコッカス・ガルビエから選択することができる。例えば、ラクトコッカス20-92(FERM BP-10036)が挙げられる。このような微生物を用いて大豆胚軸を発酵させる場合は、該大豆胚軸にアルギニンを添加して発酵を行うことによって、得られるエクオール含有大豆胚軸発酵物中にオルニチンを含有させることができる。このようなエクオール含有大豆胚軸発酵物中におけるオルニチン含有量は、該大豆胚軸発酵物1g(乾燥重量)当たり、例えば0.5~2mg、好ましくは8~15mg、さらに好ましくは9~12mgである。このようなエクオール含有大豆胚軸発酵物はまた、オルニチンに基づく有用生理活性を発現することができる。
【0021】
本発明においてエクオール含有大豆胚軸発酵物を使用する場合、該エクオール含有大豆胚軸発酵物は発酵後の状態のまま使用してもよく、または必要に応じて加熱処理に供して乾燥固形物状にして使用してもよい。保存安定性の見地から、エクオール含有大豆胚軸発酵物は、加熱乾燥処理により固形状にすることが好ましい。また、加熱乾燥処理されたエクオール含有大豆胚軸発酵物は、必要に応じて粉末化処理に供して粉末状にしてもよい。
【0022】
本発明において、1日当たりのエクオールの摂取量は、改善したい症状の程度にもよるが、例えば0.1~50mg、好ましくは0.5~30mg、さらに好ましくは1~20mgである。本発明の改善剤に含まれるエクオールの量は、本発明の改善剤の形状等を考慮して、上記1日当たりのエクオールの摂取量の範囲内で適宜決定することができる。上記1日当たりの摂取量に達するように、1~複数個の本発明の改善剤を摂取すればよい。
【0023】
本発明において、1日当たりのエクオール含有大豆胚軸発酵物の量は、改善したい症状や該大豆胚軸発酵物中のエクオール含有量にもよるが、例えば0.005~5g、好ましくは0.025~30g、さらに好ましくは1~20gである。
【0024】
γ-トコフェロール及びエクオールを含む本発明の改善剤に含まれるγートコフェロールとエクオールの配合割合(総量の重量比)は、特に限定されていないが、例えば1:0.0001~1:500、好ましくは1:0.0006~1:0.6、さらに好ましくは1:0.002~1:0.3である。
【0025】
本発明の改善剤は、女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の改善効果を損なわない他の成分を含んでいてもよい。他の成分としては、例えばビタミン、ミネラル(例えば、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛等)などの栄養強化剤、乳糖、澱粉、セルロース、マルチオール及びデキストリンなどの賦形剤、グリセリン脂肪酸エステル及びショ糖脂肪酸エステルなどの界面活性剤、ゼラチン、シェラック、及びツェインなどの被膜剤、小麦胚芽油、米胚芽油、及びサンフラワー油などの油脂類、ミツロウ、米ヌカロウなどのワックス類、ショ糖、ブドウ糖、果糖、ステビア、サッカリン及びスクラロースなどの甘味料、並びにクエン酸、リンゴ酸、及びグルコン酸などの酸味料などを適宜配合することができる。
【0026】
本発明の改善剤は、さらに、溶剤、分散剤、乳化剤、安定化剤、緩衝剤、増量剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等の各種添加剤を含んでいてもよい。
【0027】
本発明の改善剤がカルシウムを含む場合、カルシウムの量は特に限定されないが、1日当たりのカルシウムの摂取量として、例えば0.1~2500mg、好ましくは50~650mg、さらに好ましくは100~300mgである。本発明の改善剤に含まれるカルシウムの量は、上記1日当たりのカルシウムの摂取量の範囲内で適宜決定することができる。
【0028】
本発明の改善剤が鉄を含む場合、鉄の量は特に限定されないが、1日当たりの鉄の摂取量として、例えば0.1~40mg、好ましくは0.2~15mg、さらに好ましくは0.5~10mgである。典型的には、本発明において、1日当たりの鉄の摂取量は約4mgである。本発明の改善剤に含まれる鉄の量は、上記1日当たりの鉄の摂取量の範囲内で適宜決定することができる。
【0029】
本発明の改善剤は、限定するものではないが、医薬、各種飲食品、又は食品用組成物として利用される。ここで、食品用組成物とは、飲食品の製造のために使用される飲食品用素材、食品添加剤等を意味する。本発明の改善剤は、また、機能性表示食品、特定保健用食品、健康食品、栄養補助食品(サプリメント)、医療用食品等の飲食品として利用することもできる。
【0030】
本発明の改善剤の形状としては、通常の医薬又は飲食品の形態を採用することができる。例えば、錠剤、顆粒剤、カプセル剤(例えば、ソフトカプセル剤又はハードカプセル剤)、粉末剤、液剤、懸濁剤、発泡剤、チュアブル錠、菓子類(例えば、クッキー、ビスケット、チョコレート菓子、チップス、ケーキ、ガム、キャンディー、グミ、饅頭、羊羹、プリン、ゼリー、ヨーグルト、アイスクリーム、シャーベット等)、パン、麺類、ご飯類、シリアル食品、飲料(例えば、清涼飲料、炭酸飲料、栄養飲料、粉末飲料、果実飲料、乳飲料、ゼリー飲料等)、スープ(例えば、粉末スープ、フリーズドライスープ、レトルトスープ等)、味噌汁(例えば、粉末味噌汁、フリーズドライ味噌汁等)等が挙げられる。本発明の改善剤は、常法により、上記のいずれかの形状として製造することができる。
【0031】
γ-トコフェロール及びエクオールを含む本発明の改善剤において、γ-トコフェロール及びエクオールは、それぞれ別個の剤として含まれていてもよく、又は同一の剤として含まれていてもよい。
【0032】
γ-トコフェロール及びエクオールを含む本発明の改善剤においてγ-トコフェロール及びエクオールがそれぞれ別個の剤として含まれる場合、それぞれの剤は同一の形状を有するものであってもよく、又は異なる形状を有するものであってもよい。例えば、γ-トコフェロール及びエクオールを含む本発明の改善剤は、γ-トコフェロールを含むカプセル剤及びエクオールを含む錠剤の組み合わせを含んでいてもよい。あるいは、γ-トコフェロール及びエクオールを含む本発明の改善剤は、γートコフェロールを含む錠剤及びエクオールを含む錠剤それぞれの組み合わせでもよく、γートコフェロールとエクオールを含む錠剤であってもよい。また、γ-トコフェロール及びエクオールを含む本発明の改善剤は、本発明の改善剤は、γ-トコフェロール及びエクオールを一緒に含む飲食品であってもよい。
【0033】
本発明の改善剤は、γ-トコフェロールを有効成分として含む改善剤、エクオールを有効成分として含む改善剤、及びγ-トコフェロール及びエクオールを有効成分として含む改善剤を包含する。γ-トコフェロール及びエクオールを併用することにより、双方の有効成分の効果を享受できる点で有利である。
【0034】
本発明の改善剤は、例えば、1日1回~数回摂取する。本発明の改善剤の摂取期間は特に限定されず、例えば、数日間~数週間摂取してもよいし、1~数ヶ月間摂取してもよい。例えば、月経前から月経終了時までの間で、不快症状がある時に摂取してもよいし、又は不快症状が起こる前から予防的に摂取してもよい。本発明の改善剤は、上記の摂取期間の間、断続的又は継続的に摂取してもよい。
【0035】
本発明の改善剤の摂取量は、各成分の1日量が摂取できれば特に限定されない。本発明の改善剤がγ-トコフェロール及びエクオールを含み、かつ、γ-トコフェロール及びエクオールがそれぞれ別個の剤として含まれる場合、γ-トコフェロールを含む剤とエクオールを含む剤は、同時に摂取してもよいし、または時間間隔をあけて別々に摂取してもよい。
【0036】
本発明の改善剤の包装形態は特に限定されず、通常医薬又は飲食品に用いられる形態で包装すればよい。例えば、PTPシート、アルミ箔、各種フィルム、箱、袋、PETボトル、缶、瓶、紙パック等での包装が挙げられる。なかでも、手軽に摂取できるように、携帯出来るタイプの包装形態が好ましい。例えば、γ-トコフェロール及びエクオールを含む本発明の改善剤においてγ-トコフェロール及びエクオールがそれぞれ別個の剤として含まれる場合、それぞれの剤は別々に包装されてもよく、又は一緒に包装されてもよい。好ましくは、本発明の改善剤は、各成分の1日量を含むように1又は複数の剤が一緒に包装される。さらに、各成分の1日量が含まれた包装物を複数個、例えば1~数週間分含むように包装してもよい。
【0037】
例えば、γ-トコフェロール及びエクオールを含む本発明の改善剤は、1日量としてγ-トコフェロールを含むカプセル剤1粒とエクオールを含む錠剤2錠とを一組として1つの袋に包装されていてもよい。さらに、例えば、上記一組が包装された袋7日分(7袋)を一つのパッケージ(例えば、箱)に包装してもよく、または30日分(30袋)を一つのパッケージに包装してもよい。あるいは、γ-トコフェロール及びエクオールを含む飲食品の形態として、γ-トコフェロール及びエクオールの1日摂取量に相当する量を携帯出来るパーケージに包装してもよい。
【0038】
本発明の改善剤が改善する「女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状」とは、女性ホルモン等の変動等が一因と言われる各種不快症状であり、月経前症候群(「PMS」)、及び生理痛を含む月経中の身体的及び/又は精神的不快症状、ならびに生理不順、不正出血、自律神経失調症、不妊、更年期障害等により生じる不快症状が含まれる。具体的には、例えば、眠気、腰痛、下腹部痛、頭痛、易疲労性、肩こり、むくみ、乳房の張り、めまい、肌荒れ、ニキビ、憂うつ、不安、倦怠感、無気力、集中力低下、イライラ感、怒りっぽい、吐き気、胃痛、食欲不振、下痢等の不快症状が挙げられる。
【0039】
さらに、本発明の改善剤が改善する「女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状」の主な症状を、水分貯留、否定的感情、痛み、集中力、及び行動力の変化に大別することもできる。ここで、「水分貯留」とは、体重がふえる、肌があれる(例えば、ニキビ)、乳房痛や張り、むくみ(腹部、乳房、足)等の各種症状を意味する。「否定的感情」とは、泣きたくなる、さびしくなる、不安になる、落ち着かない、イライラする、怒りっぽくなる、気分が動揺する、憂鬱になる、緊張しやすくなる等の各種症状を意味する。「痛み」とは、肩や首がこる、頭痛、下腹部が痛い、腰が痛い、疲れやすい、体が痛い等の症状を意味する。「集中力」とは、眠れない、物忘れ、考えがまとまらない、判断力がにぶる、集中力の低下、気が散る、思いがけない失敗をする、動作が鈍くなる等に関連する症状を意味する。「行動力の変化」とは、勉強や仕事への根気が無くなる、居眠りをしてしまう、出不精になる、人との付き合いを避けたくなる、勉強や仕事の能率が低下すること等を意味する。
【0040】
本発明はまた、γ-トコフェロール及びエクオールを投与することを特徴とする、女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の改善方法を提供する。さらに別の態様として、本発明は、女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状を改善するための、γ-トコフェロール及びエクオールの使用を提供する。また別の態様として、本発明は、女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の改善剤を製造するための、γ-トコフェロール及びエクオールの使用を提供する。
【0041】
本発明において「改善」とは、上記不快症状の軽減、予防、及び治療を包含する。したがって、本発明は、γ-トコフェロール及びエクオールを含む女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の軽減、予防及び/又は治療剤も提供する。さらに本発明は、γ-トコフェロール及びエクオールを投与することを特徴とする、女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の軽減、予防及び/又は治療方法を提供する。さらに別の態様として、本発明は、女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状を軽減、予防及び/又は治療するための、γ-トコフェロール及びエクオールの使用を提供する。また別の態様として、本発明は、女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の軽減、予防及び/又は治療剤を製造するための、γ-トコフェロール及びエクオールの使用を提供する。
【0042】
さらに、本発明では、γ-トコフェロールが水分貯留改善効果だけでなく、痛み、否定的感情、集中力、及び行動の変化等の身体的及び/又は精神的不快症状をも改善することが見出された。したがって、本発明は、γ-トコフェロールを含む女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の改善剤、γ-トコフェロールを投与することを特徴とする女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の改善方法、女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状を改善するためのγ-トコフェロールの使用、及び女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の改善剤を製造するためのγ-トコフェロールの使用を提供する。さらに別の態様として、本発明は、γ-トコフェロールを含む女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の軽減、予防及び/または治療剤、γ-トコフェロールを投与することを特徴とする女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の軽減、予防及び/又は治療方法、女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状を軽減、予防及び/又は治療するためのγ-トコフェロールの使用、女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の軽減、予防及び/又は治療剤を製造するためのγ-トコフェロールの使用を提供する。
【0043】
さらに、本発明では、エクオールが痛み、否定的感情、集中力、及び行動の変化等身体的及び/又は精神的不快症状をも改善することが見出された。したがって、本発明は、エクオールを含む女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の改善剤、エクオールを投与することを特徴とする女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の改善方法、女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状を改善するためのエクオールの使用、及び女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の改善剤を製造するためのエクオールの使用を提供する。さらに別の態様として、本発明は、エクオールを含む女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の軽減、予防及び/または治療剤、エクオールを投与することを特徴とする女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の軽減、予防及び/又は治療方法、女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状を軽減、予防及び/又は治療するためのエクオールの使用、女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状の軽減、予防及び/又は治療剤を製造するためのエクオールの使用を提供する。
【0044】
本明細書において特に定義又は説明する用語以外の用語は、医薬品又は食品の分野で通常用いられる意味に解される。
【実施例0045】
以下、実施例を示して本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例に示す配合量は、製剤1個当たりの配合量である。
【0046】
実施例1:ソフトカプセル+錠剤
γ-トコフェロール360mgを含有するソフトカプセル、及びエクオール1mgを含む大豆胚軸発酵物及びカルシウム125mgを含有する錠剤を、適量のカプセル基剤、賦形剤等を用いて常法により製剤化した。なお、エクオール含有大豆胚軸発酵物は、国際公開第WO2007/066655号に記載の方法により製造した。カプセル1粒及び錠剤2錠を一組とした。
【0047】
試験例1:γ-トコフェロール単独試験
月経前に水分貯留を有する者25名を対象に、無作為割付プラセボ対照二重盲検試験化群間比較試験を実施した。被験物として、γ-トコフェロール90mgを含むソフトカプセル1日4粒(すなわち、γ-トコフェロールの1日量は360mg)又はプラセボカプセル1日4粒を、朝、晩に2錠ずつ、月経開始10~7日前から7日間、継続摂取した。評価期間は、継続摂取6日目の朝から、摂取終了後8日目の朝であり、毎食前にアンケート評価を実施し、評価開始時からの変化量の平均値を求めることで、プラセボ群と比較した。
アンケート評価はVAS(Visual Analog Scale)および、MDQ(Menstrual Distress Questionnarie(月経随伴症状アンケート))により行った。それぞれの質問項目は表1および表2に示す。
なお、VASは、それぞれの質問について被験者に症状を「0mm」(症状なし)~「100mm」(症状が非常に強い/日常生活に影響がある)のスケールで示してもらい、評価開始時からの変化量の平均値を求めることにより算出した。MDQは、被験者に、それぞれの質問について「0」(症状なし)~「5」(症状が非常に強い/日常生活に影響がある)の6段階で回答させ、表2に示す8つのカテゴリーに分けて、スコアの合計を算出した。
【0048】
【0049】
【0050】
試験例1の結果1:VAS
γ-トコフェロール単独試験の結果を
図1に示す。γ-トコフェロール単独試験は、プラセボに比べてスコアが減少した人の割合を示す。γ-トコフェロール単独摂取により、γ-トコフェロール服用群では、足のむくみ等の身体的不快症状の改善だけでなく、「イライラ・怒りやすさ」という精神的不快症状もプラセボに比して有意に改善した。
【0051】
試験例1の結果2:MDQ
γ-トコフェロール単独試験により、γ-トコフェロール服用群でのプラセボに比べてスコアが減った人の割合が、「水分貯留」の項目が56.0%、「痛み」の項目が44.0%、「否定的感情」の項目が28.0%、「集中力」が36.0%、「行動の変化」が32.0%と高い改善率を示した。
【0052】
以上のことから、γ-トコフェロール単独の服用により、「水分貯留」や「痛み」といった身体的症状だけでなく、「イライラ・怒りやすさ」や「否定的感情」「集中力」「行動の変化」という精神的症状も改善することが示された。
【0053】
試験例2:γ-トコフェロール及びエクオール併用試験
月経前に何かしら不快症状を有する者25名を対象に、被験物(1日量としてγ-トコフェロール360mg含むソフトカプセルを1粒と、エクオール1mgを含有する大豆胚軸発酵物、鉄2mg及びカルシウム125mgを含む錠剤を2錠(すなわち、エクオール、鉄及びカルシウムの1日量はそれぞれ、2mg、4mg及び250mg))を1日1回、月経開始予定の10日~7日前から7日間の継続摂取を実施した。
被験物摂取前、及び7日間の継続摂取終了後、月経前の症状をMDQで評価した。MDQは試験例1に記載の通りである。また、生理前と生理中の全体的な改善度を、「いつもに比べて症状が軽かった」、「変わらなかった」、「悪化した」の3段階で評価した。さらに、被験物の摂取前後の月経前の症状、及び継続摂取終了後の月経期間中の症状について、アンケート調査を行った。
【0054】
試験例2の結果1:MDQ
25名中11名について、月経前にMDQを実施し、被験物の摂取前に比して摂取後のスコアが減少したヒトの割合を算出した。他の14名については、途中で月経が開始したため、月経前にMDQを実施できなかった。
γ-トコフェロールとエクオールを含む被験物を服用すると、摂取前と比較してスコアが減少したヒトの割合が、「水分貯留」の項目が54.5%、「痛み」の項目が63.6%、「否定的感情」の項目が60.0%、「集中力」の項目が54.5%、「行動の変化」の項目が60.0%であった。
図2に試験例1の結果2と試験例2の結果1のMDQの比較を示す。特に、「痛み」、「否定的感情」、「集中力」及び「行動の変化」の4つのカテゴリーについて、γ-トコフェロール単独よりも、γ-トコフェロール及びエクオールの組み合わせを投与した場合に症状が改善した人の割合が増加した。また、試験例1と試験例2の結果より、エクオール単独でも「痛み」、「否定的感情」、「集中力」、「行動の変化」について効果があることも示唆された。
【0055】
試験例2の結果2:全体改善度
被験者25名について、被験物摂取による生理前及び生理中症状の全体的な改善度を、「いつもに比べて症状が軽かった」、「変わらなかった」、「悪化した」、の3段階で評価した。結果を
図3に示す。
図3から明らかなように、γ-トコフェロール及びエクオールの組み合わせを摂取した場合、被験者の半数以上(生理前68.0%、生理中52.0%)において、生理前および生理中における不快症状が改善された。
【0056】
試験例2の結果3:アンケート結果
アンケート調査の結果によると、生理前、生理中の肌荒れがなく、生理前に必ずできるニキビができなかったという意見もあった。
【0057】
以上のことから、γ-トコフェロール及びエクオールの組み合わせを摂取することで、γ-トコフェロール単独よりも女性特有の身体的及び/又は精神的不快症状、特に月経前及び/又は月経中の身体的不快症状及び/又は精神的不快症状に対して症状改善作用を示すことが分かった。