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特開2024-124533セラミックス溶射皮膜の表面処理方法およびセラミックス溶射皮膜
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124533
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】セラミックス溶射皮膜の表面処理方法およびセラミックス溶射皮膜
(51)【国際特許分類】
   C23C 4/18 20060101AFI20240905BHJP
   C23C 4/04 20060101ALI20240905BHJP
   B24C 1/00 20060101ALI20240905BHJP
   B24C 3/32 20060101ALI20240905BHJP
【FI】
C23C4/18
C23C4/04
B24C1/00 Z
B24C3/32 Z
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024109618
(22)【出願日】2024-07-08
(62)【分割の表示】P 2023552505の分割
【原出願日】2023-03-30
(31)【優先権主張番号】P 2022059072
(32)【優先日】2022-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000109875
【氏名又は名称】トーカロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000095
【氏名又は名称】弁理士法人T.S.パートナーズ
(74)【代理人】
【識別番号】100082887
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 利春
(74)【代理人】
【識別番号】100181331
【弁理士】
【氏名又は名称】金 鎭文
(74)【代理人】
【識別番号】100183597
【弁理士】
【氏名又は名称】比企野 健
(72)【発明者】
【氏名】三嶋 亮洋
(72)【発明者】
【氏名】船津 友希
(72)【発明者】
【氏名】二町 啓亮
(57)【要約】
【課題】 セラミックス溶射皮膜の表面を平滑化する表面処理方法、および平滑化表面処理が施されたセラミックス溶射皮膜を提供する。
【解決手段】 セラミックス溶射皮膜の表面に、温度20℃における粘度が10mPa/s以下である液体と、多面体の形状を有し、かつメディアン径(D50)が1~50μmの粉末メディアとを含有し、該粉末メディアの含有量が1~50体積%であるスラリーを、圧縮気体を使用して0.01~1.0MPaの圧力にて噴射し、前記セラミックス溶射皮膜の表面を平滑化することを特徴とするセラミック溶射皮膜の表面処理方法。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平滑化表面処理されたセラミックス溶射皮膜であって、
平滑化処理表面の算術平均粗さRaが3μm以下であり、かつスキューネスRskが0以下であり、さらに、平滑化処理表面は、溶射粒子が剥離することにより生成される新生面を有し、かつ下記式(1)で算定される前記新生面の専有面積率が10%以下であることを特徴とするセラミックス溶射皮膜。
新生面の専有面積率(%)=(新生面の面積/表面処理面の面積)×100: (1)
【請求項2】
平滑化表面処理されたセラミックス溶射皮膜であって、
平滑化処理表面の算術平均粗さRaが3μm以下であり、かつスキューネスRskが0以下であり、さらに、平滑化処理表面は、幅0.01~5μm、長さ0.01~10μmの切削痕を複数有し、かつ下記式(2)で算定される前記切削痕の専有面積率が50%以上であることを特徴とするセラミックス溶射皮膜。
切削痕の専有面積率(%)={(切削痕領域の面積-空隙部の面積-新生面の面積)/表面処理面の面積}×100: (2)
【請求項3】
半導体製造用のプラズマエッチング装置の内壁部材上の溶射皮膜である請求項1または2に記載のセラミックス溶射皮膜。
【請求項4】
軸受け、ピストン、またはシリンダーからなる摺動部材上の溶射皮膜である請求項1または2に記載のセラミックス溶射皮膜。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックス溶射皮膜の表面を平滑化する新規な表面処理方法、および平滑化処理が施された新規なセラミックス溶射皮膜に関する。
【背景技術】
【0002】
表面の保護や機能性の付与などを目的とした基材のコーティング手法として陽極酸化、メッキ、物理蒸着(PVD)、化学蒸着(CVD)、溶射、塗装が挙げられる。その中でも、溶射は短時間で数百μm~数mm厚さの皮膜を形成することが可能であり、厚膜が要求される用途ではその高い生産性から広く使用されている。
また、溶射は、使う材料の選択の自由度が高く、各種の金属、セラミックスを皮膜として形成することができる。金属溶射皮膜は、基材よりも電気的に卑な金属膜を形成することで基材を腐食環境から保護する犠牲防食皮膜や、摺動部品の耐摩耗性向上を目的として使用される。セラミックス溶射皮膜は、耐熱性、耐摩耗性、プラズマエッチング耐性に優れていることから、溶射する基材への入熱を遮断する断熱層や、他部材と接触して摩耗する部材、プラズマに晒されてエッチングにより消耗する部材などに広く使用されている。
【0003】
しかし、溶射は溶融した材料粒子を成膜対象に吹き付けることで成膜させるため、皮膜表面の粗さは使用する材料粒子の大きさに強く依存し、他のコーティング手法と比較して粗さが大きくなる特徴がある。例えば、耐摩耗性に優れるコーティングであっても、表面粗さが大きい状態で他の部材と接触させると、コーティング表面の脆弱な組織の脱落や、摩擦による摩耗や、相手部材との凝着を引き起こし、コーティングの表面粗さや摩擦係数が変化してしまう。そのような理由から、溶射皮膜に対して表面処理を施し、平滑化したうえで適用することが検討されている。
【0004】
特許文献1では、タイヤ試験機において、路面を模した回転ドラムの表面に路面基材よりも高強度の鉄鋼系の金属溶射皮膜で被覆し、その表面を機械研磨で平滑化することでタイヤの凝着による粗さと摩擦係数の変化を抑制し、安定した試験結果を得る方法が提案されている。
また、特許文献2では、コンクリートなどの建材の表面に形成された金属溶射皮膜の表面を、液体ホーニングやドライブラスト等の噴射加工を用いて研磨を施し、金属面と同様な光沢のある仕上げ面を得ることできる表面処理方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】日本特開2013-36750号公報
【特許文献2】日本特開平04-083862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記特許文献1に開示される溶射皮膜の表面を平滑化する機械研磨の場合、加工ツールを皮膜表面に直接押し付けて研削するため、局所的に大きな荷重が発生する。荷重により基材が大きく変形すると溶射皮膜が損傷するため、加工対象物には荷重により変形しない構造と強度が求められる。これは、金属溶射皮膜と比べて脆性的で破壊しやすいセラミックス溶射皮膜では特に問題となりやすい。
【0007】
また、機械研磨では、加工対象物の処理が曲面もしくは2面以上で構成される三次元形状である場合はマシニングセンタを用いる必要があるが、加工対象物の寸法が大きくなる
ほど加工装置の寸法も相応に大きくなり、加工装置と加工対象物の干渉により加工範囲が制限され、設備導入のコストが上昇するといった問題を生じる。また、機械研磨では、加工ツール先端を加工対象物の処理表面に接触させる必要があり、処理範囲全域にわたって加工ツールを沿わせることができるように対象物の寸法情報を詳細に把握して加工機に教示する必要がある。しかし、複雑な曲面を有する加工対象物の寸法形状の測定は困難であり、機械研削による平滑化は実用上の課題が多く残されている。
【0008】
一方、特許文献2に開示される溶射皮膜の表面の平滑化手法である液体ホーニングやドライブラストなどの噴射(ブラスト)加工では、砥粒子などの粉末メディアを単独もしくは液体との混合物とし、これを圧縮空気で対象物に吹き付け、表面を削る手法、若しくは、メディアの衝突による打撃によりピーニング効果を与える手法である。噴射ガンは、マシニングセンタと比較すると小型であるため、加工対象物と干渉しにくい。また、噴射ガンから処理面までの距離が変化しても噴射効果が発現するため、複雑な三次元形状の処理面に対しても噴射を容易に追従させることができる。これらの利点から、噴射加工は、マシニングセンタによる平滑化処理と比較して、対象物が大型な物、複雑形状である場合でも対応しやすい。
【0009】
しかし、特許文献2では、溶射皮膜は金属材料であり、セラミックス溶射皮膜については検討されていない。本発明者が研究を行った結果、セラミックス溶射皮膜に対して噴射を行う場合、メディアの衝突時の摩擦と圧電効果によりセラミックス皮膜が帯電もしくは発熱してセラミックス皮膜を破壊してしまう。
加えて、脆性材料であるセラミックス表面に砥粒子などの硬質なメディアを衝突させる場合、メディアが処理面に突き刺さって残存しやすく表面汚染の原因となる。また、衝突したメディアが、セラミックス溶射皮膜表面に対して切削の効果を発揮せず、セラミックス溶射皮膜表面で跳ね返る場合には、セラミックス溶射皮膜の処理面が破砕し脆弱な組織を形成し、かつ、溶射粒子同士の接合界面間で破壊が生じ、溶射粒子が剥離することにより、最表面に切削されていない新生面が露出することが分かった。
【0010】
上記のセラミックス溶射皮膜に対する噴射で生じる問題は、溶射皮膜表面に高い清浄度と均質性を求められる半導体製造装置などの分野では忌避される。また、メディアを安定的に噴射するには、流動性が良好なメディアを用いる必要がある。メディアの粒度が小さくなるほど流動性は低下するため、噴射処理で使用できるメディアは粒度が比較的大きなものに制限される。粒度が大きいメディアは平滑化の効果が小さく、対象物への打撃の効果が大きく表面の破砕を誘発するため、より小粒径のメディアを安定的に扱う表面処理の開発が要望されている。
【0011】
本発明は、上記の状況下になされた発明であり、セラミックス溶射皮膜の表面を平滑化する新規な表面処理方法、および平滑化処理が施された新規なセラミックス溶射皮膜を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記目的を達成するべくなされたものであり、下記の実施形態を有する。
(1)セラミックス溶射皮膜の表面に、温度20℃における粘度が10mPa/s以下である液体と、多面体の形状を有し、かつメディアン径(D50)が1~50μmの粉末メディアとを含有し、該粉末メディアの含有量が1~50体積%であるスラリーを、圧縮気体を使用して0.01~1.0MPaの圧力にて噴射し、前記セラミックス溶射皮膜の表面を平滑化することを特徴とするセラミック溶射皮膜の表面処理方法。
(2)前記セラミックス溶射皮膜の材質が、希土類酸化物、希土類オキシフッ化物、希土類フッ化物、アルミナ(Al)、YAG(YAl12)、またはYAP(YAlO)である上記(1)に記載の表面処理方法。
(3)前記粉末メディアが、面と面とにより形成される角度が10~135度を有する4面以上の多面体からなる上記(1)または(2)に記載の表面処理方法。
(4)前記粉末メディアが、酸化ケイ素(SiO)を主成分とするガラス、アルミナ(Al)、炭化ケイ素(SiC)、炭化ホウ素(BC)、窒化ケイ素(Si)、ジルコニア(ZrO)、炭素鋼、またはステンレスから形成されている上記(1)~(3)のいずれかに記載の表面処理方法。
(5)前記液体が、水、または炭素数が2~4のアルコールである上記(1)~(4)のいずれかに記載の表面処理方法。
【0013】
(6)前記圧縮気体が、空気、窒素、二酸化炭素、またはアルゴンである上記(1)~(5)のいずれかに記載の表面処理方法。
(7)前記セラミックス溶射皮膜の表面を、算術平均粗さRaが3.0μm以下であり、かつ、スキューネスRskが0以下になるように平滑化する上記(1)~(6)のいずれかに記載の表面処理方法。
(8)前記セラミックス溶射皮膜の表面に、幅0.01~5μm、長さ0.01~10μm、の切削痕を複数形成する上記(1)~(7)のいずれかに記載の表面処理方法。
(9)前記セラミックス溶射皮膜の表面を、下記式(1)で算定される新生面の専有面積率が10%以下となるように平滑化する上記(1)~(8)のいずれかに記載の表面処理方法。
新生面の専有面積率(%)=(新生面の面積/表面処理面の面積)×100 :
(1)
(10)前記セラミックス溶射皮膜の表面を、下記式(2)で算定される切削痕の専有面積率が50%以上となるように平滑化する上記(1)~(9)のいずれかに記載の表面処理方法。
切削痕の専有面積率(%)={(切削痕領域の面積-空隙部の面積-新生面の面積)/表面処理面の面積}×100 : (2)
(11)前記セラミックス溶射皮膜が、半導体製造用のプラズマエッチング装置の内壁部材上の溶射皮膜である上記(1)~(10)のいずれかに記載の表面処理方法。
(12)前記セラミックス溶射皮膜が、軸受け、ピストン、またはシリンダーからなる摺動部材上の溶射皮膜である上記(1)~(10)のいずれかに記載の表面処理方法。
【0014】
(13)平滑化表面処理されたセラミックス溶射皮膜であり、処理表面の算術平均粗さRaが3μm以下であり、かつスキューネスRskが0以下である表面を有するセラミックス溶射皮膜。
(14)下記式(1)で算定される新生面の専有面積率が10%以下である上記(13)に記載のセラミックス溶射皮膜。
新生面の専有面積率(%)=(新生面の面積/表面処理面の面積)×100 :
(1)
(15)下記式(2)で算定される切削痕の専有面積率が50%以上である上記(13)または(14)に記載のセラミックス溶射皮膜。
切削痕の専有面積率(%)={(切削痕領域の面積-空隙部の面積-新生面の面積)/表面処理面の面積}×100 : (2)
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、セラミックス溶射皮膜を平滑化可能な新規な表面処理方法、および平滑化表面処理が施されたセラミックス溶射皮膜が提供される。特に、本発明によれば、平滑化処理後に脱落しやすい脆弱な破砕層が少ないことから、高い清浄度が要求される半導体製造用のプラズマエッチング装置の内壁部材などに対して有用な新規なセラミックス溶射皮膜が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の表面処理前のセラミックス溶射皮膜の表面のSEM画像を示す。
図2a】本発明の実施例の表面処理方法で得られたセラミックス溶射皮膜の表面のSEM画像(×1000倍)であり、特に、新生面bおよび空隙部cの状況を示す。
図2b】本発明の実施例の表面処理方法で得られたセラミックス溶射皮膜の表面のSEM画像(×1000倍)であり、特に、10μm×10μmの各区画における切削痕の状況を示す。
図2c】本発明の実施例の表面処理方法で得られたセラミックス溶射皮膜の表面のSEM画像(×5000倍)を示す。
図2d】比較例1の表面処理方法で得られたセラミックス溶射皮膜の表面のSEM画像を示す。
図2e】比較例2の表面処理方法で得られたセラミックス溶射皮膜の表面のSEM画像を示す。
【0017】
図3a】本発明の実施例の表面処理方法で得られたセラミックス溶射皮膜の表面に粘着テープを貼り付け、次いで引き剥がしたテープ粘着面のSEM画像を示す。
図3b】比較例1の表面処理方法で得られたセラミックス溶射皮膜の表面に粘着テープを貼り付け、次いで引き剥がしたテープ粘着面のSEM画像を示す。
図3c】比較例2の表面処理方法で得られたセラミックス溶射皮膜の表面に粘着テープを貼り付け、次いで引き剥がしたテープ粘着面のSEM画像を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、本明細書において、数値範囲を表す「X~Y」の記載では、下限(X)および上限(Y)を含み、また、上限と下限の単位が同じのとき、下限の単位の記載を省略する場合がある。
【0019】
[セラミックス溶射皮膜]
本発明の表面処理の対象となるセラミックス溶射皮膜の材質は、酸化物、フッ化物、珪化物、窒化物、炭化物、ホウ化物、炭素などのセラミックスである、主として非貴金属から成る無機固体材料を含む。
例えば、ジルコニア(ZrO)、二酸化ケイ素(SiO)、アルミナ(Al)、イットリア(Y)、フッ化カルシウム(CaF)、フッ化イットリウム(YF)、珪化タングステン(WSi)、炭化タングステン(WC)、ホウ化ジルコニウム(ZrB)が挙げられる。また、2種類以上のアニオンもしくはカチオンを含む複合酸化物、複合フッ化物、酸フッ化物、もしくは炭窒化物も含まれる。その例として、YAG(YAl12)、フッ化ジルコニウムカリウム(KZrF)、酸フッ化イットリウム(YOF)、酸化ケイ素を主成分とするソーダガラス、ホウケイ酸ガラスが挙げられる。
【0020】
本発明におけるセラミックス溶射皮膜の材質としては、希土類酸化物、希土類オキシフッ化物、希土類フッ化物、アルミナ(Al)、YAG(YAl12)、YAP(YAlO)などを挙げることができる。なかでも、イットリア(Y)、イットリウムオキシフッ化物(YOF)、またはフッ化イットリウム(YF)が好ましい。その理由は、これらの材質の溶射皮膜は、その表面に対して、高い平滑度とともに、高い清浄度と均質性を求められる半導体製造装置などに好適であるからである。
なお、セラミックス溶射皮膜が形成される基材の材質としては、アルミニウム合金、ステンレス合金、石英、アルミナ燒結体などの既知のものが使用される。また、セラミックス溶射皮膜の成膜方法としては、大気圧プラズマ溶射法、減圧プラズマ溶射法等の既知ものが使用される。
【0021】
図1に本発明の表面処理前のセラミックス溶射皮膜の表面のSEM画像を示す。図1にみられるように、表面処理前のセラミックス溶射皮膜の表面は、溶射過程で溶融されたセラミックス粒子が基材に衝突し、粒子が扁平化し、あるいは飛沫になって飛び散った形跡が見られる不均一な粗さの表面形状を有している。
【0022】
[表面処理方法]
本発明の表面処理方法では、前述したセラミックス溶射皮膜の表面に対して、多面体の粉末メディアを含むスラリーを圧縮空気などの圧縮気体によりブラスト(噴射)することにより行う。表面処理を行う際に使用するスラリー、ブラスト装置、ブラスト処理条件について以下に説明する。
【0023】
(スラリー)
本発明の表面処理方法で使用するスラリーは、液体中に粉末メディアが懸濁した状態で形成される。スラリー中の粉末メディアの含有量(濃度)は、容量パーセントで、好ましくは1~50体積%である。粉末メディアの含有量が、1体積%未満の場合、研削量が少なくなることで表面処理かかる時間が多くなり、効率的ではない。一方、粉末メディアの含有量が、50体積%より大きい場合、粉末メディアが液体中に分散せず、沈殿してしまい、好適なスラリーとならない。粉末メディアの含有量は、5~45体積%がより好ましく、10~40体積%がさらに好ましい。
【0024】
スラリーを構成する液体は、その粘度が、温度20℃において、10mPa/s以下のものが好ましい。該粘度が、10mPa/sより大きい場合、液体の噴射が難しくなる。液体の粘度は、1~5mPa/sがより好ましく、1~3mPa/sが特に好ましい。液体としては、水または親水性溶媒が好ましい。親水性溶媒としては、好ましくは、エチルアルコール、イソプロピルアルコールなどの炭素数が2~4のアルコールが挙げられる。
【0025】
スラリーを構成する粉末メディアは、多面体の形状を有する。本発明において、メディアにおける多面体とは、複数の頂点を結ぶ直線の辺と、その辺に囲まれた面によって構成される立体を意味する。多面体は、例えば、4面以上、好ましくは5面以上であり、例えば、20面以下、好ましくは15面以下を有する。多面体は、不規則な多面体でもよいし、正多面体(正六面体(立方体)、正八面体など)でもよい。また、粉末メディアは、これら2種以上の不規則な多面体、および/または正多面体を含む混合物でもよい。
多面体は、なかでも、多面体における面と面とがなす角度が、好ましくは10~135度、より好ましくは10~90度、特に好ましくは30~80度の鋭角であるのが好適である。上記範囲の角度を有することにより、ブラスト(噴射)処理により多面体が溶射皮膜の表面に衝突したとき、溶射皮膜の表面に容易に切削痕が形成されるようになる。
【0026】
本発明における多面体には、頂点(角)を有しない球体、楕円体(ラグビーボール)は含まれない。頂点を有しない球体や楕円体の粉末メディアを使用した場合は、セラミックス溶射皮膜の処理面に衝突したメディアが、セラミックス溶射皮膜表面に切り込むことができずに跳ね返るため、衝突時の運動エネルギーは処理面に対して切削ではなく打撃として作用する。その結果、セラミックス溶射皮膜表面が切削されず、打撃により破砕した脆弱層の形成や溶射粒子間の破壊による溶射粒子脱落を発生させてしまう。
本発明の表面処理方法では、多面体の粉末メディアを使用することにより、セラミックス溶射皮膜の表面に衝突した多面体の頂点などのメディアの先端が溶射皮膜の処理表面に対して切り込み、切削することで溶射皮膜の表面の破砕や溶射粒子間の破壊による溶射粒子の剥離を抑制しながら皮膜を平滑化することができる。
【0027】
粉末メディアの粒径は、メディアン径D50で1~50μmが好ましい。粒径が1μm未満の場合、研削量が少なくなることで表面処理にかかる時間が多くなり、効率的ではな
い。一方、粒径が50μmより大きい場合、研削量が多くなり、平滑化することが難しくなる。粒径は5~40μmがより好ましく、5~30μmが特に好ましい。この範囲の粒径の粉末メディアを使用した場合、セラミックス溶射皮膜への打撃の効果が小さくなり、皮膜表面の破砕や溶射粒子間の破壊による溶射粒子の剥離をより抑制することができる。なお、メディアン径D50は、JIS R6002-1998の累積高さ50%点の粒子径である。
【0028】
粉末メディアの材質としては、セラミックス系、金属系のいずれのものも使用可能である。セラミックス系としては、酸化ケイ素(SiO)を主成分とするガラス、アルミナ(Al)、炭化ケイ素(SiC)、炭化ホウ素(BC)、窒化ケイ素(Si)、ジルコニア(ZrO)などを挙げることができる。なかでも、アルミナ(Al)、炭化ケイ素(SiC)が好ましい。金属系としては、炭素鋼、ステンレス鋼、などを挙げることができる。なかでも、ステンレス鋼(SUS304、SUS430など)が好ましい。
【0029】
本発明で使用される多面体の形状を有する粉末メディアは、粉末メディアの原体である塊状物を破砕することにより、或いは成形することなどにより得ることができるが、市販品としても入手することができる。粉末メディアとしては、例えば、アルミナ(ワナミ社製、商品名:ホワイトアランダム)、炭化ケイ素(不二製作所社製、商品名:フジランダムC)、アルミナジルコニア(サンゴバン社製、商品名:NorZon NV)などが挙げられる。
【0030】
本発明の表面処理では、ドライブラストでは安定的に噴射できないような流動性が悪い粒子径の小さいメディアをスラリー化することによりセラミックス溶射皮膜の表面に吹き付けることができ、加工対象物の発熱と帯電を抑制しつつ溶射皮膜を平滑化することができる。
加えて、多面体の粉末メディアを含むスラリーを用いることで、メディアが皮膜表面に対して切削の効果を強く発揮し、打撃の効果による皮膜表面の破砕や溶射粒子間の破壊による溶射粒子の剥離を防止しながら皮膜表面を切削によって平滑化することができる。この結果、本発明によって、多面体の粉末メディアを含むスラリーを用いて平滑化したセラミックス溶射皮膜の表面は、溶射粒子の剥離による切削がされていない未処理部分や脱落しやすい脆弱な破砕層を殆ど含まない。
【0031】
(ブラスト装置・処理条件)
セラミックス溶射皮膜の表面に対する粉末メディアを含むスラリーの噴射は、圧縮気体により、すなわち、圧縮気体とスラリーをともに噴射する既知のウェットブラスト装置によって行うことができる。
圧縮気体としては、空気、窒素、二酸化炭素、アルゴンなどが使用可能である。なかでも、安価であり、不活性である空気が好ましい。
【0032】
セラミックス溶射皮膜の表面に対して粉末メディアを含むスラリーを、圧縮気体を使用して、好ましくは0.01~1.0MPa(ゲージ圧)の噴射圧にて噴射することでブラスト処理を行う。噴射圧が0.01MPa未満の場合、研削量が少なくなることで表面処理に要する時間が長くなり、効率的ではない。一方、噴射圧が1.0MPaより大きい場合、研削量が多くなり、平滑化することが難しくなる。噴射圧は、なかでも、0.1~0.5MPaがより好ましい。
【0033】
[表面処理されたセラミックス溶射皮膜の表面]
本発明で表面処理されたセラミックス溶射皮膜の表面は、算術平均粗さRaが好ましくは3.0μm以下、より好ましくは0.1~2.5μmであり、更に好ましくは0.1~
2.0μmである。算術平均粗さRaが3.0μm以下であると、凹凸差の小さい面となるが、3.0μmよりも大きいと、凹凸差の大きな粗い表面となり、使用環境において処理表面が摩耗により消耗しやすくなる。算術平均粗さRaが小さいほど摩耗しにくくなり好適である。
【0034】
また、本発明で表面処理されたセラミックス溶射皮膜の表面は、スキューネスRskが好ましくは0以下であり、より好ましくは、-1.0以上-0.01以下である。スキューネスRskが0よりも大きいと凸部の先端が尖った細かい山が多い表面となり、摩耗しやすくなる。一方、スキューネスRskが0よりも小さいと細かい谷が多い表面となる、言い換えると、細かい山が少ない表面となり、表面が摩耗しにくくなり好適である。なお、本発明において、算術平均粗さRaは、JIS B0601、1994に準拠して測定される。また、スキューネスRskも、JIS B0601、1994に準拠して測定される。
【0035】
図2aおよび図2bは、いずれも、本発明の実施例において表面処理方法を施した後のセラミックス溶射皮膜の表面を、1000倍で撮影したSEM画像であり、図2cは、5000倍で撮影したSEM画像である。
図2aに示されるように、本発明の表面処理方法を施した後のセラミックス溶射皮膜の表面には、図示していないが無数の切削痕と、矢印bで示される新生面と、矢印cで示される空隙部とが形成される。
【0036】
また、図2b中の矢印aおよび図2c中の領域aは切削痕を図示したものである。本発明のブラスト処理により、粉末メディアがセラミックス溶射皮膜の表面の処理領域を切削することにより、幅0.01~5μm、長さ0.01~10μmの切削痕が表面処理後のセラミックス溶射皮膜の表面(処理表面)に形成される。セラミックス溶射皮膜の表面が上記切削痕を無数に有することにより、均一な表面性状が得られる。
また、図2b中には、10μm×10μmの区画を複数図示している。この区画は、後述する切削痕領域の特定を行うときに用いられる。なお、図2bでは、ある1つの区画に存在する切削痕のみを矢印aで示している。他の区画については切削痕を図示していないが、他の区画に切削痕が存在していないことを表しているものではない。
【0037】
本発明の表面処理によるセラミックス溶射皮膜は、処理表面における新生面の生成が小さい特徴を有している。ここで、新生面とは、図2a中の矢印bや、図2dおよび図2e中の領域bに示すように、表面処理時に溶射粒子間が破壊され、溶射粒子が表面から剥離することによって露出し生成される表面を意味する。
かかる新生面の専有面積率は小さいことが好ましいが、本発明では、新生面の専有面積率を10%より小さくすることができ、これにより、粗さが不均一な表面を十分に少なくできる。本発明では、新生面の専有面積率を5%以下にでき、更には、1%以下にすることができる。新生面の専有面積率がこれらの範囲にある場合、粗さが不均一な表面を非常に少なくすることができる。
【0038】
なお、本発明において、新生面の専有面積率(%)は、以下の式(1)で求められる。
新生面の専有面積率(%)=(新生面の面積/表面処理面の面積)×100 :
(1)
上記式(1)において、新生面の専有面積率は、表面処理面を1,000倍の倍率でSEM観察することにより新生面の位置を特定し、その観察範囲に占める新生面の面積の割合を画像解析ソフトを用いて算出することで求められる。
【0039】
また、本発明の表面処理されたセラミックス溶射皮膜の表面には、多面体のメディアの衝突によって生じる複数の切削痕が見られる。多面体のメディアの衝突によって、セラミ
ックス溶射皮膜の表面の溶射皮膜を形成する溶射粒子の剥離によって露出する新生面の発生を抑制することができる。
【0040】
本発明において、切削痕とは、図2bの矢印aや図2cの領域aに示すように、溶射皮膜の処理表面をSEMで観察した際に見られる、短辺0.01~5μm、長辺0.01~10μm、短辺と長辺のアスペクト比が1.5以上の凹みを意味する。この切削痕の専有面積率(%)は、以下の式(2)で算定される。
切削痕の専有面積率(%)={(切削痕領域の総面積-空隙部の面積-新生面の面積)/表面処理面の面積}×100 : (2)
【0041】
上記式(2)において、図2bにおいて示されるように、切削痕領域の総面積は、溶射皮膜の処理表面を1,000倍のSEM画像において10μm×10μmの区画に分割し、分割した各区画の中に切削痕を5つ以上含む区画(個々の区画を「切削痕領域」という。)の総面積である。空隙部とは、溶射皮膜を製造するときに形成され、表面処理後も存在する空隙であり、図2a、図2d、および図2e中の矢印cのようにSEMで観察した際に見られる黒色箇所がこれに相当する。空隙部の面積は、画像解析ソフトにより算出することができる。
【0042】
式(2)における新生面の面積は、上記したとおりであり、表面処理時に溶射粒子間が破壊され、溶射粒子が剥離することによって露出し生成される表面を意味し、SEMで観察した際に見られる図2a中の矢印bや、図2dおよび図2e中の領域bのような箇所がこれに相当する。新生面の面積は、画像解析ソフトにより算出することができる。
本発明において、式(2)により算定される切削痕の専有面積率が50%以上であることが好ましく、80%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。切削痕の専有面積率が上記の範囲の場合、粗さがより均一な表面が広範囲に形成される。
【実施例0043】
以下に本発明の実施例を挙げて、本発明について具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定して解釈されない。
なお、下記の実施例および比較例において、基板(A5052:アルミニウム合金)に形成されたセラミックス溶射皮膜の処理前の状態は以下の通りである。
溶射皮膜材質:Y
溶射膜厚:約0.2mm
溶射皮膜表面の算術平均粗さRa :3.59μm
溶射皮膜表面のスキューネスRsk:0.15
【0044】
上記のセラミックス溶射皮膜に対し、本発明の多面体のメディアを使用する表面処理(実施例)、球形のメディアを使用するウェットブラスト処理(比較例1)、およびドライブラストによる表面処理(比較例2)を行った。
なお、実施例で使用された粉末メディアは、メディアン径D50が21.5μmの粒度を有するアルミナ多面体(ワナミ社商品名:ホワイトアランダム#600(4~11面体の混合物、面と面とのなす角度:10~135度)であった。また、比較例1で使用された粉末メディアは、メディアン径D50が22.1μmの粒度を有するアルミナ球体(デンカ社製、DAW-20)であり、また、比較例2で使用された粉末メディアは、メディアン径D50が71.5μmの粒度を有するアルミナ球体(デンカ社製、DAW-70)であった。
【0045】
各実施例および比較例の表面処理における実施条件を下記の表1に示す。なお、表1中の減膜量とは、表面処理前後における試験片の厚みをマイクロメータで測定することにより求めた溶射皮膜の厚みの減少量である。また、噴射圧力の数値は、ゲージ圧の値である
【0046】
【表1】
【0047】
上記各表面処理後の溶射皮膜の表面組織、粗さ、および脆弱層の量を比較するために、表面処理を施した溶射皮膜の表面について、触針式粗さ計で算術平均粗さRaおよびスキューネスRskを測定した結果を下記の表2に示す。
なお、本試験に供した各種試験片は、表面処理後に純水中で超音波洗浄を行い、60℃に保持した恒温槽内で乾燥した後に分析を行った。
【0048】
【表2】
【0049】
上記表2に見られるように、溶射皮膜の表面処理後は、実施例、比較例1および比較例2のいずれにおいても、算術粗さRa、および、スキューネスRskが表面処理前に比べて小さくなっていることから、平滑化されていることが分かる。
【0050】
一方、上記表面処理を施した溶射皮膜の表面について走査電子顕微鏡(日本電子社製6060LA)を用いて表面観察を行った。それぞれ、図2a、図2b、および、図2cに実施例、図2dに比較例1、図2eに比較例2の表面SEM像を示す。図2dおよび図2e中に溶射粒子の剥離によって生じる新生面の例を領域bとして示す。また、下記の表3に、図2a(実施例)、図2d(比較例1)、図2e(比較例2)における溶射粒子剥離によって生じる切削されていない新生面の専有面積率を示す。
なお、新生面の専有面積率(%)は、上記式(1)に従って、1,000倍の画像中の新生面の面積を特定し、1,000倍の画像中に占める割合(%)を算出することにより求めた。
【0051】
図2d、図2eに見られるように、比較例1および比較例2では、減膜量を60μm程
度にさせたにも拘わらず、処理前の溶射皮膜表面に見られるスプラット状に扁平した滑らかな溶射粒子表面(図1参照)が粒子の剥離によって新たに露出した新生面が散見される。一方、図2aに見られるように、実施例では、溶射粒子の剥離を抑制しつつ平滑化処理を行うことができており、新生面の専有面積率は1%以下と格段に小さいことがわかる。
【0052】
図2c中に、実施例における多面体のメディアの衝突によって生じる切削痕の例を領域aとして示した。領域aの切削痕は長さ約2μm、幅0.8μmの大きさであるが、図2aおよび図2bに示されるように様々なサイズの切削痕が処理表面のほとんどに無数に見られる。下記の表3に、図2b(実施例)、図2d(比較例1)、図2e(比較例2)における切削痕が形成されている領域の切削痕の専有面積率を示す。
切削痕の専有面積率(%)は、上記式(2)に従って、1,000倍の画像中で10μm×10μmの範囲に切削痕を5つ以上備える領域の面積(切削痕領域の面積)、切削痕領域中の空隙部の面積、および、切削痕領域中の新生面の面積を特定し、切削痕領域の総面積から空隙部の面積および新生面の面積を除いた(すなわち、マイナスした)面積を求め、当該面積が1,000倍の画像中に占める割合(%)を算出することにより求めた。
【0053】
【表3】
【0054】
表3からわかるように、実施例の表面のほとんどは切削痕が形成された領域で占められる。一方、比較例1および比較例2の表面には切削痕は見られず、溶射粒子の剥離によって露出した溶射粒子表面と、メディアの打撃により生じた破砕された表面で構成されていることがわかる。
【0055】
また、上記表面処理を施した溶射皮膜の表面に、ポリイミドテープ(寺岡製作所社製、カプトン両面粘着テープ 760H#25)を0.3MPaの圧力で貼り付け、引き剥がした後、テープの粘着面を走査電子顕微鏡(日本電子社製、6060LA)により観察することによりテープに転写された皮膜表面の脆弱な破砕層の量を評価した。
図3aに実施例、図3bに比較例1、図3cに比較例2の転写試験後のテープの粘着面のSEM観察像を示した。図3a、図3b、図3c中に点状の白色で示される、転写された皮膜破片の転写率を表4に示した。
【0056】
皮膜破片の転写率は以下のようにして求めた。SEM像の1200μm×700μmの観察範囲について画像解析ソフト(三谷商事社製、WINROOF2018)を用いて解析することにより、画像中の転写された皮膜破片の占める面積を特定し、観察範囲に占める割合(%)を算出することにより求めた。
比較例1および比較例2では転写率が高く、脆弱な破砕層を多く有する表面であることがわかる。実施例での転写率は格段に小さく、脆弱な破砕層の形成を抑制しつつ平滑化処理ができたことがわかる。
【0057】
【表4】
【0058】
なお、上記実施例において、粉末メディアとして、アルミナ多面体(ワナミ社商品名:ホワイトアランダム#600)の代わりに、炭化ケイ素多面体(不二製作所社製、商品名:フジランダムC #400)を使用して実施したが、そこにおいても、ほぼ同様の結果が得られることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明の表面処理されたセラミック溶射皮膜は、摩擦性や凝着性の低減による耐摩耗性が向上された軸受け、ピストン、シリンダーなどの各種の摺動部材に対して広く適用可能である。また、本発明の表面処理されたセラミック溶射皮膜は、平滑化処理後に、脱落しやすい脆弱な破砕層が少ないことから、高い清浄度が要求される半導体製造用のプラズマエッチング装置の内壁部材に対して有用である。
【符号の説明】
【0060】
a:切削痕 b:新生面 c:空隙部
【0061】
なお、2022年3月31日に出願された日本特許出願2022-059072号の明細書、特許請求の範囲、図面、及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
図1
図2a
図2b
図2c
図2d
図2e
図3a
図3b
図3c