(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124573
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】ライブ動画を配信するためのシステム、方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240905BHJP
G06Q 30/0601 20230101ALI20240905BHJP
【FI】
G06Q50/10
G06Q30/0601
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024110920
(22)【出願日】2024-07-10
(62)【分割の表示】P 2024044200の分割
【原出願日】2018-11-08
(31)【優先権主張番号】P 2018135331
(32)【優先日】2018-07-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 平成30年5月18日、WEBで公開。https://twitter.com/pococha_jp/status/997303078641582080,https://pococha.com/banners/renewal201806_info
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 平成30年6月1日、WEBで公開。https://play.google.com/store/apps/details?id=com.dena.pokota
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 平成30年6月1日、WEBで公開。https://itunes.apple.com/jp/app/ライブ配信アプリ-pococha-live/id1175969205
(71)【出願人】
【識別番号】599115217
【氏名又は名称】株式会社 ディー・エヌ・エー
(74)【代理人】
【識別番号】100125195
【弁理士】
【氏名又は名称】尾畑 雄一
(72)【発明者】
【氏名】柴田 順任
(72)【発明者】
【氏名】別府 泰典
(72)【発明者】
【氏名】住吉 政一郎
(72)【発明者】
【氏名】江頭 佑士郎
(72)【発明者】
【氏名】村田 紘司
(57)【要約】
【課題】 初心者を含む様々な配信者によるライブ動画の配信を促進する。
【解決手段】
本発明の一実施形態に係る動画配信サーバ10は、ライブ動画を配信及び視聴するためのライブ動画配信サービスを、ユーザ端末30を介してユーザに提供する。当該サーバ10は、ライブ動画の配信実績に基づいて配信者のランクを決定すると共に、決定したランクに基づいて配信者の基準報酬数量を設定し、ライブ動画の配信時間と基準報酬数量とに基づく数量の報酬を配信者に対して付与するから、初心者の配信者であっても、ライブ動画の配信を継続することによって、配信時間と基準報酬数量とに基づく数量の報酬を得ることができる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数のコンピュータプロセッサを備え、ライブ動画を配信するためのシステムであって、
前記1又は複数のコンピュータプロセッサは、読取可能な命令の実行に応じて、
複数の配信者の各々が提供するライブ動画を複数の視聴者の各々に対して配信する処理と、
前記複数の配信者の各々のライブ動画の配信実績に少なくとも基づいて、所定の複数のランクの中から前記複数の配信者の各々のランクを決定する処理と、
前記複数の配信者の各々のランクに少なくとも基づいて、前記複数の配信者の各々の基準報酬数量を設定する処理と、
ライブ動画の配信時間と基準報酬数量とに少なくとも基づく数量の報酬を、前記複数の配信者の各々に対して付与する処理と、を実行する、
システム。
【請求項2】
前記ライブ動画の配信実績は、ライブ動画の配信中において視聴者から入力される入力情報の入力実績を含む、
請求項1のシステム。
【請求項3】
前記ランクを決定する処理は、
ライブ動画の配信実績に少なくとも基づいて配信者に対して所定のポイントを付与すること、及び、
所定の期間において前記複数の配信者の各々に付与された前記所定のポイントに少なくとも基づいて前記複数の配信者の各々のランクを決定することを含む、
請求項1又は2のシステム。
【請求項4】
前記ランクを決定する処理は、
1又は連続する複数のランクによって構成されるランク群毎に、前記所定の期間において付与された前記所定のポイントに基づく配信者の順位を設定すること、及び、
前記所定のポイントに基づく順位が上位であるほどランクアップする一方、前記所定のポイントに基づく順位が下位であるほどランクダウンするように、前記複数の配信者の各々のランクを決定することを含む、
請求項3のシステム。
【請求項5】
前記ランクを決定する処理は、前記所定のポイントに基づく順位が上位であるほど増加する一方、前記所定のポイントに基づく順位が下位であるほど減少するように構成された前記複数の配信者の各々の所定のパラメータの値に少なくとも基づいて前記複数の配信者の各々のランクを決定することを含む、
請求項4のシステム。
【請求項6】
前記ランクを決定する処理は、前記所定のパラメータの値がランクアップ用閾値以上となった配信者をランクアップさせる一方、前記所定のパラメータの値がランクダウン用閾値以下となった配信者をランクダウンさせることを含む、
請求項5のシステム。
【請求項7】
前記ランクを決定する処理は、配信者の現在のランクの直上のランクが現在のランク群と同一のランク群である場合には、前記所定のパラメータの値が第1のランクアップ用閾値以上となった場合に前記直上のランクにランクアップさせる一方、前記直上のランクが前記現在のランク群とは異なるランク群である場合には、前記所定のパラメータの値が前記第1のランクアップ用閾値より大きい第2のランクアップ用閾値以上となった場合に前記直上のランクにランクアップさせることを含む、
請求項6のシステム。
【請求項8】
前記ランクを決定する処理は、配信者の現在のランクの直下のランクが現在のランク群と同一のランク群である場合には、前記所定のパラメータの値が第1のランクダウン用閾値以下となった場合に前記直下のランクにランクダウンさせる一方、前記直下のランクが前記現在のランク群とは異なるランク群である場合には、前記所定のパラメータの値が前記第1のランクダウン用閾値より小さい第2のランクダウン用閾値以下となった場合に前記直下のランクにランクダウンさせることを含む、
請求項6又は7のシステム。
【請求項9】
前記報酬を付与する処理は、
ライブ動画の配信毎に、有効な配信であるか否かを判定すること、及び、
ライブ動画の配信時間から、有効な配信でないと判定された配信における配信時間を除外することを含む、
請求項1ないし8何れかのシステム。
【請求項10】
前記報酬を付与する処理は、配信時間、視聴者数、視聴者から入力された入力情報の数、及び、ライブ動画の画像分析の結果の少なくとも1つに基づいて、ライブ動画の配信毎に、有効な配信であるか否かを判定することを含む、
請求項9のシステム。
【請求項11】
1又は複数のコンピュータによって実行され、ライブ動画を配信するための方法であって、
複数の配信者の各々が提供するライブ動画を複数の視聴者の各々に対して配信するステップと、
前記複数の配信者の各々のライブ動画の配信実績に少なくとも基づいて、所定の複数のランクの中から前記複数の配信者の各々のランクを決定するステップと、
前記複数の配信者の各々のランクに少なくとも基づいて、前記複数の配信者の各々の基準報酬数量を設定するステップと、
ライブ動画の配信時間と基準報酬数量とに少なくとも基づく数量の報酬を、前記複数の配信者の各々に対して付与するステップと、を備える、
方法。
【請求項12】
ライブ動画を配信するためのプログラムであって、
1又は複数のコンピュータ上で実行されることに応じて、前記1又は複数のコンピュータに、
複数の配信者の各々が提供するライブ動画を複数の視聴者の各々に対して配信する処理と、
前記複数の配信者の各々のライブ動画の配信実績に少なくとも基づいて、所定の複数のランクの中から前記複数の配信者の各々のランクを決定する処理と、
前記複数の配信者の各々のランクに少なくとも基づいて、前記複数の配信者の各々の基準報酬数量を設定する処理と、
ライブ動画の配信時間と基準報酬数量とに少なくとも基づく数量の報酬を、前記複数の配信者の各々に対して付与する処理と、を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライブ動画を配信するためのシステム、方法、及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、動画配信サービスにおいて、動画の投稿者/配信者に対する報酬の付与が行われており、例えば、動画に組み込まれた広告の再生回数に応じた報酬が投稿者等に対して付与される。また、ライブ動画を配信するシステムでは、ライブ動画の配信中において、視聴者による配信者に対するアイテムの入力が行われており、当該アイテムの売り上げの一部が、配信者に対して分配されることもある(例えば、下記特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したような従来の報酬の仕組みでは、多数の熱心なファンを有する著名な配信者等は多くの報酬を得られるものの、動画の配信を始めたばかりの初心者の配信者は多くの報酬を期待することができなかった。このため、こうした報酬は、初心者の配信者にとって、動画の配信を継続するためのモチベーションとなり難い。そこで、初心者の配信者等であっても相応の報酬を得られるような仕組みを実現することによって、動画の配信が促進されると考えられる。
【0005】
本発明の実施形態は、初心者を含む様々な配信者によるライブ動画の配信を促進することを目的の一つとする。本発明の実施形態の他の目的は、本明細書全体を参照することにより明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態に係るシステムは、1又は複数のコンピュータプロセッサを備え、ライブ動画を配信するためのシステムであって、前記1又は複数のコンピュータプロセッサは、読取可能な命令の実行に応じて、複数の配信者の各々が提供するライブ動画を複数の視聴者の各々に対して配信する処理と、前記複数の配信者の各々のライブ動画の配信実績に少なくとも基づいて、所定の複数のランクの中から前記複数の配信者の各々のランクを決定する処理と、前記複数の配信者の各々のランクに少なくとも基づいて、前記複数の配信者の各々の基準報酬数量を設定する処理と、ライブ動画の配信時間と基準報酬数量とに少なくとも基づく数量の報酬を、前記複数の配信者の各々に対して付与する処理と、を実行する。
【0007】
本発明の一実施形態に係る方法は、1又は複数のコンピュータによって実行され、ライブ動画を配信するための方法であって、複数の配信者の各々が提供するライブ動画を複数の視聴者の各々に対して配信するステップと、前記複数の配信者の各々のライブ動画の配信実績に少なくとも基づいて、所定の複数のランクの中から前記複数の配信者の各々のランクを決定するステップと、前記複数の配信者の各々のランクに少なくとも基づいて、前記複数の配信者の各々の基準報酬数量を設定するステップと、ライブ動画の配信時間と基準報酬数量とに少なくとも基づく数量の報酬を、前記複数の配信者の各々に対して付与するステップと、を備える。
【0008】
本発明の一実施形態に係るプログラムは、ライブ動画を配信するためのプログラムであって、1又は複数のコンピュータ上で実行されることに応じて、前記1又は複数のコンピュータに、複数の配信者の各々が提供するライブ動画を複数の視聴者の各々に対して配信する処理と、前記複数の配信者の各々のライブ動画の配信実績に少なくとも基づいて、所定の複数のランクの中から前記複数の配信者の各々のランクを決定する処理と、前記複数の配信者の各々のランクに少なくとも基づいて、前記複数の配信者の各々の基準報酬数量を設定する処理と、ライブ動画の配信時間と基準報酬数量とに少なくとも基づく数量の報酬を、前記複数の配信者の各々に対して付与する処理と、を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の様々な実施形態は、初心者を含む様々な配信者によるライブ動画の配信を促進する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る動画配信サーバ10を含むネットワークの構成を概略的に示す構成図。
【
図2】動画配信サーバ10の機能を概略的に示すブロック図。
【
図3】ユーザ情報テーブル411において管理される情報を例示する図。
【
図5】配信情報テーブル412において管理される情報を例示する図。
【
図10】個別のライブ動画の配信が終了する都度、サーバ10が実行する処理を例示するフロー図。
【
図11】ランクを更新する際にサーバ10が実行する処理を例示するフロー図。
【
図12】ランクメータ値の更新ルールを説明するための図。
【
図13】ランクの更新内容と必要なランクメータ値との対応関係を説明するための図。
【
図14】ランクメータオブジェクト100を例示する図。
【
図15】ダイヤを付与する際にサーバ10が実行する処理を例示するフロー図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態に係る動画配信サーバ10を含むネットワークの構成を概略的に示す構成図である。動画配信サーバ10は、図示するように、インターネット等の通信ネットワーク20を介してユーザ端末30と通信可能に接続されている。
図1においては、1つのユーザ端末30のみが図示されているが、サーバ10は、複数のユーザ端末30と通信可能に接続されている。動画配信サーバ10は、ライブ動画を配信及び視聴するためのライブ動画配信サービスを、ユーザ端末30を介してユーザに提供する。本実施形態において、ユーザ端末30のユーザは、配信者としてライブ動画を配信することができ、また、視聴者として他のユーザによって提供されるライブ動画を視聴することもできる。動画配信サーバ10は、本発明のシステムの一部又は全部を実装する装置の一例である。
【0013】
動画配信サーバ10は、一般的なコンピュータとして構成されており、
図1に示すように、コンピュータプロセッサ11と、メインメモリ12と、入出力I/F13と、通信I/F14と、ストレージ(記憶装置)15とを備え、これらの各構成要素が図示しないバス等を介して電気的に接続されている。
【0014】
コンピュータプロセッサ11は、CPU又はGPU等として構成され、ストレージ15等に記憶されている様々なプログラムをメインメモリ12に読み込んで、当該プログラムに含まれる各種の命令を実行する。メインメモリ12は、例えば、DRAM等によって構成される。
【0015】
入出力I/F13は、ユーザ等との間で情報をやり取りするための各種の入出力装置を含む。入出力I/F13は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス(例えば、マウス、タッチパネル等)等の情報入力装置、マイクロフォン等の音声入力装置、カメラ等の画像入力装置を含む。また、入出力I/F13は、ディスプレイ等の画像出力装置、スピーカー等の音声出力装置を含む。
【0016】
通信I/F14は、ネットワークアダプタ等のハードウェア、各種の通信用ソフトウェア、及びこれらの組み合わせとして実装され、通信ネットワーク20等を介した有線又は無線の通信を実現できるように構成されている。
【0017】
ストレージ15は、例えば磁気ディスク、フラッシュメモリ等によって構成される。ストレージ15は、オペレーティングシステムを含む様々なプログラム、及び各種データ等を記憶する。
【0018】
本実施形態において、動画配信サーバ10は、それぞれが上述したハードウェア構成を有する複数のコンピュータを用いて構成され得る。例えば、動画配信サーバ10は、1又は複数のサーバ装置によって構成され得る。
【0019】
このように構成された動画配信サーバ10は、ウェブサーバ及びアプリケーションサーバとしての機能を有するように構成することができ、この場合、ユーザ端末30にインストールされているウェブブラウザ及びその他のアプリケーション(例えば、ライブ動画配信サービス用のアプリケーション)からの要求に応答して各種の処理を実行し、当該処理の結果に応じた画面データ(例えば、HTMLデータ)及び制御データ等をユーザ端末30に送信する。ユーザ端末30では、受信したデータに基づくウェブページ又はその他の画面が表示され得る。
【0020】
ユーザ端末30は、一般的なコンピュータとして構成されており、
図1に示すように、コンピュータプロセッサ31と、メインメモリ32と、入出力I/F33と、通信I/F34と、ストレージ(記憶装置)35とを備え、これらの各構成要素が図示しないバス等を介して電気的に接続されている。
【0021】
コンピュータプロセッサ31は、CPU又はGPU等として構成され、ストレージ35等に記憶されている様々なプログラムをメインメモリ32に読み込んで、当該プログラムに含まれる各種の命令を実行する。メインメモリ32は、例えば、DRAM等によって構成される。
【0022】
入出力I/F33は、ユーザ等との間で情報をやり取りするための各種の入出力装置である。入出力I/F33は、例えば、キーボード、ポインティングデバイス(例えば、マウス、タッチパネル等)等の情報入力装置、マイクロフォン等の音声入力装置、カメラ等の画像入力装置を含む。また、入出力I/F33は、ディスプレイ等の画像出力装置、スピーカー等の音声出力装置を含む。
【0023】
通信I/F34は、ネットワークアダプタ等のハードウェア、各種の通信用ソフトウェア、及びこれらの組み合わせとして実装され、通信ネットワーク20等を介した有線又は無線の通信を実現できるように構成されている。
【0024】
ストレージ35は、例えば磁気ディスク又はフラッシュメモリ等によって構成される。ストレージ35は、オペレーティングシステムを含む様々なプログラム及び各種データ等を記憶する。ストレージ35が記憶するプログラムは、アプリケーションマーケット等からダウンロードされてインストールされ得る。
【0025】
本実施形態において、ユーザ端末30は、スマートフォン、タブレット端末、ウェアラブルデバイス、パーソナルコンピュータ、及びゲーム専用端末等として構成され得る。
【0026】
このように構成されたユーザ端末30のユーザは、ストレージ35等にインストールされているウェブブラウザ又はその他のアプリケーションを介した動画配信サーバ10との通信を実行することによって、動画配信サーバ10が提供するライブ動画配信サービスを利用することができる。
【0027】
次に、本実施形態の動画配信サーバ10が有する機能について説明する。
図2は、動画配信サーバ10が有する機能を概略的に示すブロック図である。サーバ10は、図示するように、様々な情報を記憶及び管理する情報記憶管理部41と、ライブ動画配信サービスの基本機能を制御する基本機能制御部43と、ライブ動画の配信を制御する動画配信制御部45と、配信者に対する報酬を管理する報酬管理部47とを有する。これらの機能は、コンピュータプロセッサ11及びメインメモリ12等のハードウェア、並びに、ストレージ15等に記憶されている各種プログラムやデータ等が協働して動作することによって実現され、例えば、メインメモリ12に読み込まれたプログラムに含まれる命令をコンピュータプロセッサ11が実行することによって実現される。また、
図2に示すサーバ10の機能の一部又は全部は、サーバ10とユーザ端末30とが協働することによって実現され、又は、ユーザ端末30によって実現され得る。
【0028】
動画配信サーバ10の情報記憶管理部41は、ストレージ15等において様々な情報を記憶及び管理する。情報記憶管理部41は、例えば、
図2に示すように、ライブ動画配信サービスのユーザに関する情報を管理するユーザ情報テーブル411と、個別のライブ動画の配信に関する情報を管理する配信情報テーブル412とを有するように構成され得る。
【0029】
動画配信サーバ10の基本機能制御部43は、ライブ動画配信サービスの基本機能の制御に関する様々な処理を実行する。例えば、基本機能制御部43は、基本機能に関する様々な画面の画面データ又は制御データをユーザ端末30に送信し、ユーザ端末30で表示される当該画面を介したユーザによる操作入力に応答して様々な処理を実行し、当該処理の結果に応じた画面データ又は制御データをユーザ端末30に送信する。基本機能制御部43によって制御される基本機能は、例えば、ログイン処理(ユーザ認証)、課金制御、ユーザ管理(例えば、ユーザ情報テーブル411の更新等)、及び、個別のライブ動画の配信の管理(例えば、配信情報テーブル412の更新等)を含む。
【0030】
動画配信サーバ10の動画配信制御部45は、ライブ動画の配信の制御に関する様々な処理を実行する。例えば、動画配信制御部45は、複数の配信者の各々が提供するライブ動画を複数の視聴者の各々に対して配信するように構成されている。例えば、動画配信制御部45は、配信者のユーザ端末30(以下、「配信者端末30」と言うことがある。)から送信されるライブ動画を受信して、当該ライブ動画を複数の視聴者の各々のユーザ端末30(以下、「視聴者端末30」と言うことがある。)に送信するように構成される。ライブ動画は、例えば、配信者端末30のカメラを介して入力される画像、及び、マイクを介して入力される音声によって構成される。こうしたライブ動画の配信は、例えば、HTTP Live Streaming(HLS)等のプロトコルを用いたストリーミング方式で行われ得る。
【0031】
動画配信サーバ10の報酬管理部47は、配信者に対する報酬の管理に関する様々な処理を実行する。本実施形態において、報酬管理部47は、各配信者のライブ動画の配信実績に少なくとも基づいて、所定の複数のランクの中から各配信者のランクを決定するように構成されている。また、報酬管理部47は、決定したランクに少なくとも基づいて、各配信者の基準報酬数量を設定するように構成されている。基準報酬数量は、例えば、単位時間当たり(例えば、1時間当たり)の報酬数量として構成される。また、基準報酬数量は、例えば、ランクが上位であるほど多くなるように設定される。
【0032】
また、報酬管理部47は、ライブ動画の配信時間と基準報酬数量とに少なくとも基づく数量の報酬を、各配信者に対して付与するように構成されている。例えば、報酬管理部47は、所定の期間におけるライブ動画の配信時間に基準報酬数量を乗じることによって得られる数量の報酬を配信者に対して付与するように構成される。ユーザに対して付与される報酬は、これらに限定されないが、例えば、仮想的及び電子的なアイテム(仮想通貨を含む。)、及び、現実の通貨を含む。
【0033】
このように、本実施形態における動画配信サーバ10は、ライブ動画の配信実績に基づいて配信者のランクを決定すると共に、決定したランクに基づいて配信者の基準報酬数量を設定し、ライブ動画の配信時間と基準報酬数量とに基づく数量の報酬を配信者に対して付与するから、初心者の配信者であっても、ライブ動画の配信を継続することによって、配信時間と基準報酬数量とに基づく数量の報酬を得ることができる。このように、本実施形態の動画配信サーバ10は、初心者を含む様々な配信者によるライブ動画の配信を促進する。
【0034】
本実施形態において、配信者のランクの決定に用いられるライブ動画の配信実績は、様々な情報を含み得る。例えば、当該配信実績は、これに限定されないが、ライブ動画の配信中において視聴者から入力される入力情報の入力実績を含む。当該入力情報は、例えば、コメント、いいね、及び、仮想的及び電子的なアイテム等を含み、この場合、入力実績は、コメント数、いいね数、アイテム数等を含む。例えば、報酬管理部47は、視聴者による入力情報の入力数が多いほど上位のランクとなるように、配信者のランクを決定するように構成される。こうした構成は、視聴者による入力情報の入力実績に基づいて配信者のランクが決定されるから、例えば、配信者が、視聴者による入力情報の入力を促すことを支援し、この結果、ライブ動画におけるコミュニケーションの活性化が促進される。
【0035】
また、報酬管理部47は、ライブ動画の配信実績に少なくとも基づいて配信者に対して所定のポイントを付与し、所定の期間において各配信者に付与された当該所定のポイントに少なくとも基づいて各配信者のランクを決定するように構成され得る。つまり、配信者のランクは、ライブ動画の配信実績に基づいて付与される所定のポイントを介して決定されるように構成され得る。こうした構成は、所定のポイントを介してランクが決定されるから、配信者に対して、所定のポイントの獲得に関する楽しみを与え得る。
【0036】
また、報酬管理部47は、1又は連続する複数のランクによって構成されるランク群毎に、所定の期間において付与された所定のポイントに基づく配信者の順位を設定し、設定した順位が上位であるほどランクアップする一方、当該順位が下位であるほどランクダウンするように、各配信者のランクを決定するように構成され得る。こうした構成は、獲得した所定のポイントに基づく順位に応じてランクアップ/ランクダウンが行われるから、配信者に対して、所定のポイントの獲得に関するより一層の楽しみを与え得る。
【0037】
また、報酬管理部47は、所定のポイントに基づく順位が上位であるほど増加する一方、当該順位が下位であるほど減少するように構成された各配信者の所定のパラメータの値に少なくとも基づいて、各配信者のランクを決定するように構成され得る。つまり、配信者のランクは、所定のポイントに基づく順位に基づいて変動する所定のパラメータの値を介して決定されるように構成され得る。こうした構成は、配信者に対して、所定のパラメータの値の変動に関する楽しみを与え得る。
【0038】
また、報酬管理部47は、上記所定のパラメータの値がランクアップ用閾値以上となった配信者をランクアップさせる一方、当該所定のパラメータの値がランクダウン用閾値以下となった配信者をランクダウンさせるように構成され得る。この場合、報酬管理部47は、配信者の現在のランクの直上のランクが現在のランク群と同一のランク群である場合には、所定のパラメータの値が第1のランクアップ用閾値以上となった場合に直上のランクにランクアップさせる一方、当該直上のランクが現在のランク群とは異なるランク群である場合には、当該所定のパラメータの値が第1のランクアップ用閾値より大きい第2のランクアップ用閾値以上となった場合に当該直上のランクにランクアップさせるように構成され得る。同様に、報酬管理部47は、配信者の現在のランクの直下のランクが現在のランク群と同一のランク群である場合には、所定のパラメータの値が第1のランクダウン用閾値以下となった場合に直下のランクにランクダウンさせる一方、当該直下のランクが現在のランク群とは異なるランク群である場合には、当該所定のパラメータの値が第1のランクダウン用閾値より小さい第2のランクダウン用閾値以下となった場合に当該直下のランクにランクダウンさせるように構成され得る。こうした構成は、ランク群をまたぐランクアップ/ダウンが、同一のランク群内におけるランクアップ/ダウンと比較して発生し難くなり、この結果、急激なランクの変動が抑制され得る。
【0039】
また、報酬管理部47は、ライブ動画の配信毎に、有効な配信であるか否かを判定し、有効な配信でないと判定された配信における配信時間が除外されたライブ動画の配信時間と基準報酬数量とに少なくとも基づく数量の報酬を付与するように構成され得る。つまり、報酬管理部47は、付与する報酬の数量を決定する際に、有効な配信でないと判定された配信における配信時間を除外するように構成され得る。例えば、報酬管理部47は、配信時間、視聴者数、視聴者から入力された入力情報の数、及び、ライブ動画の画像分析結果の少なくとも1つに基づいて、ライブ動画の配信毎に、有効な配信であるか否かを判定するように構成され得る。例えば、配信時間、視聴者数、又は、視聴者からの入力情報の数が、それぞれの所定の閾値以下である配信が、有効な配信でないと判定され、又は、ライブ動画の画像分析の結果、例えば、画像内に動く人物が検出されない場合に、有効な配信でないと判定される。こうした構成は、有効でない配信を除外して適切に設定された報酬の付与を支援する。
【0040】
次に、このような機能を有する本実施形態の動画配信サーバ10の具体例について説明する。
図3は、この例において、ユーザ情報テーブル411において管理される情報を例示する。ユーザ情報テーブル411は、ライブ動画配信サービスのユーザに関する情報を管理し、図示するように、個別のユーザを識別する「ユーザアカウント」に対応付けて、アカウント名、年齢、性別等のユーザの基本的な情報である「基本情報」、ライブ動画の配信履歴に関する情報である「配信履歴情報」、他のユーザが配信するライブ動画の視聴履歴に関する情報である「視聴履歴情報」、ユーザがフォローしている他のユーザに関する情報である「フォローユーザ情報」、ユーザをフォローしている他のユーザ(フォロワー)に関する情報である「フォロワー情報」、配信者としてのユーザのランクを示す「ランク」、ランクアップ/ダウンを判定するためのパラメータ値である「ランクメータ値」(所定のパラメータの値)、ライブ動画配信サービスにおける仮想的なコインの保有数を示す「コイン保有数」、同じく仮想的なダイヤの保有数を示す「ダイヤ保有数」等の情報を管理する。
【0041】
図4は、この例における「ランク」を説明するための図である。図示するように、この例では、「S」、「A」、「B」、「C」、「D」及び「E」の6つのランク帯(ランク群)が存在し、「S」、「A」、「B」、「C」、「D」の5つのランク帯の各々は、3つのランク(例えば、「S+」、「S」、「S-」のように、ランク帯を示すアルファベットに「+」を付加したランク、当該アルファベットのみのランク、及び、当該アルファベットに「-」を付加したランク)によって構成されている。また、「E」のランク帯は、1つのランク「E」によって構成されている。つまり、この例では、16段階(3×5+1=16)のランクが存在している。
【0042】
また、ランク帯は、「S」側が最上位であって「E」側が最下位である。また、同一のランク帯内のランクは、「+」側が最上位であって「-」側が最下位である。この例では、ユーザのランクは、初期値として「D-」が設定される。
【0043】
図5は、この例において、配信情報テーブル412において管理される情報を例示する。配信情報テーブル412は、個別のライブ動画の配信に関する情報を管理し、図示するように、個別の配信を識別する「配信ID」に対応付けて、ライブ動画の配信者を識別する「配信者ユーザアカウント」、「配信日時」、配信の継続時間を示す「配信時間」、「視聴者数(現在値及び最大値)」、視聴者によって入力されたコメントの数である「コメント数」、視聴者によって入力された「いいね」の数である「いいね数」、視聴者によって入力されたアイテムの数である「アイテム数」、この配信に対して付与された配信ポイント(所定のポイント)である「配信ポイント」、この配信が有効か無効かを示す「有効無効区分」等の情報を管理する。
【0044】
図6は、ライブ動画配信サービスのトップ画面60を例示する。当該画面60は、図示するように、「フォロー」、「人気」及び「すべて」と表示されたフィルター領域62と、配信中のライブ動画を一覧表示する一覧表示領域64と、「配信」と表示された配信開始ボタン66とを有する。
【0045】
フィルター領域62は、一覧表示領域64において表示される配信中のライブ動画に対するフィルタリングを設定するための領域である。具体的には、フィルター領域62において「フォロー」が選択されると、一覧表示領域64において一覧表示されるライブ動画は、ユーザがフォローしているユーザのライブ動画に絞り込まれる。同様に、フィルター領域62において「人気」が選択されると、一覧表示領域64において一覧表示されるライブ動画は、人気を有する動画を抽出するための所定の抽出条件に従って抽出されたライブ動画(例えば、視聴者数(現在値)が所定値以上であるライブ動画)に絞り込まれる。また、フィルター領域62において「すべて」が選択されると、フィルタリングなしで配信中の全てのライブ動画が一覧表示の対象となる。
【0046】
一覧表示領域64には、各々が個別のライブ動画に関する情報を表示する複数の個別表示領域641が2列で配置される。個別表示領域641は、例えば、ライブ動画の配信者によって予め設定されている静止画像、配信者のアカウント名、及び、視聴者数(現在値)等を表示する。一覧表示領域64は、上下方向へのフリック操作/スライド操作等によって、表示される個別表示領域641が切り替わるように構成されている。
【0047】
配信開始ボタン66は、ユーザが、配信者としてライブ動画の配信を開始するためのオブジェクトである。当該配信開始ボタン66がユーザによって選択されると、ライブ動画の配信が開始され、具体的には、ユーザ端末30のカメラを介して入力される画像、及び、同じくユーザ端末30のマイクを介して入力される音声によって構成される動画のサーバ10への送信が開始される。また、ライブ動画の配信の開始に応じて、配信情報テーブル412において新たなレコードが作成される。
【0048】
図7は、配信開始ボタン66の選択(つまり、ライブ動画の配信の開始)に応じて配信者端末30において表示される配信者用画面70を例示する。当該画面70は、画面全体に対応する動画表示領域71と、画面上端に位置する基本情報表示領域72と、画面左下付近に位置するアクション情報表示領域73と、画面下端部中央に位置する配信停止ボタン75とを有する。
【0049】
動画表示領域71は、配信されるライブ動画、つまり、配信者端末30のカメラを介して入力される画像が表示される。配信者は、通常は、配信者端末30のインカメラを介して配信者自身を撮影するので、配信されるライブ動画には配信者自身が含まれる。
【0050】
基本情報表示領域72は、この配信の基本情報を表示し、具体的には、配信者情報(プロフィール画像等)、この配信の視聴者数(現在値)、及び、この配信に対して視聴者によって入力された「いいね」の数等を表示する。
【0051】
アクション情報表示領域73は、視聴者によって行われたアクションに関する情報を表示し、具体的には、当該領域73には、各々が視聴者による個別のアクションに対応する複数のアクションオブジェクトAOが上下方向に並べて配置される。アクション情報表示領域73は、視聴者によって新たなアクションが行われると、対応するアクションオブジェクトAOが下側に追加され、既存のアクションオブジェクトAOが順に上方向に移動するように構成されている。アクション情報表示領域73は、上下方向へのフリック操作/スライド操作等によって、表示されるアクションオブジェクトAOが切り替わるように構成されている。アクション情報表示領域73において表示される視聴者によるアクションは、入室(視聴の開始)、「いいね」の入力、コメントの入力、及び、アイテムの入力を含む。
【0052】
配信停止ボタン75は、配信者がライブ動画の配信を停止するためのオブジェクトである。当該配信停止ボタン75が配信者によって選択されると、ライブ動画の配信(配信者端末30からサーバ10へのライブ動画の送信)が停止される。
【0053】
図8は、視聴者端末30において表示される視聴者用画面80を例示する。例えば、トップ画面60の一覧表示領域64を介して任意のライブ動画が視聴者によって選択されると、選択されたライブ動画を視聴するための視聴者用画面80が視聴者端末30において表示される。当該画面80は、図示するように、上述した配信者用画面70と同様に、画面全体に対応する動画表示領域81と、画面上端に位置する基本情報表示領域82と、画面左下付近に位置するアクション情報表示領域83とを有する。また、視聴者用画面80は、画面下端部において、コメント入力領域84と、ハートマークが表示された「いいね」ボタン85と、プレゼントの図柄が表示されたアイテム入力ボタン86とを有する。
【0054】
コメント入力領域84は、視聴者がコメントを入力するための領域である。当該領域84を介して視聴者がコメントを入力すると、入力されたコメントに対応するアクションオブジェクトAOが、配信者端末30の配信者用画面70及び各視聴者端末30の視聴者用画面80のアクション情報表示領域73、83に追加される。コメントに対応するアクションオブジェクトAOには、当該コメントを入力した視聴者のアカウント名と、コメント自体(テキスト)とが表示される。また、コメントが入力されると、配信情報テーブル412のコメント数が更新(1加算)される。
【0055】
いいねボタン85は、視聴者が配信者に対して「いいね」を入力するためのオブジェクトである。当該ボタン85が視聴者によって選択されると、「いいね」の入力が行われ、「いいね」に対応するアクションオブジェクトAOが、アクション情報表示領域73、83に追加される。「いいね」に対応するアクションオブジェクトAOには、「いいね」を入力した視聴者のアカウント名と共に、「いいね」が行われたことを示すテキストが表示される。また、「いいね」が入力されると、所定の視覚効果(例えば、ハート型のオブジェクトが画面下側から上側に向かって流れるように表示されるアニメーション効果等)が、配信者用画面70及び視聴者用画面80の動画表示領域71、81に付加される。また、「いいね」が入力されると、配信情報テーブル412の「いいね数」が更新(1加算)される。
【0056】
アイテム入力ボタン86は、視聴者がアイテムを入力するためのボタンである。当該ボタン86が視聴者によって選択されると、
図9に例示するアイテム選択画面90が視聴者用画面80に重ねて表示される。当該画面90は、図示するように、各々がアイテムに関する情報を表示する複数の個別表示領域92を一覧表示する。個別表示領域92は、アイテムに対応する画像、及び、当該アイテムの入力に必要なコイン数を表示する。
【0057】
この例では、視聴者によって入力可能な複数のアイテムが予め定められている。視聴者によってアイテム選択画面90を介して何れかのアイテムが選択されると、選択されたアイテムの入力が行われる。アイテムの入力が行われると、アイテムの入力に対応するアクションオブジェクトAOが、アクション情報表示領域73、83に追加される。アイテムの入力に対応するアクションオブジェクトAOには、当該アイテムを入力した視聴者のアカウント名と、入力されたアイテムの名称とが表示される。また、アイテムが入力されると、当該アイテムに対応する所定の視覚効果が動画表示領域71、81に付加される。さらに、アイテムが入力されると、配信情報テーブル412のアイテム数が更新(1加算)される。また、アイテムが入力されると、当該アイテムの入力に必要な数のコインが消費され、具体的には、ユーザ情報テーブル411において、対応する視聴者のコイン数が減少する。このように、この例におけるコインは、アイテムの取得/入力のために使用される。
【0058】
上述したように、配信者が、配信者用画面70の配信停止ボタン75を選択すると、ライブ動画の配信が終了する。
図10は、個別のライブ動画の配信が終了する都度、サーバ10が実行する処理を例示するフロー図である。ライブ動画の配信が終了すると、サーバ10は、まず、図示するように、当該配信の有効無効区分を設定する(ステップS100)。具体的には、配信時間、視聴者数(最大値)、及びコメント数のそれぞれの値が所定の下限値以上である場合には、当該配信が有効な配信であると判定される一方、配信時間、視聴者数(最大値)、及びコメント数の何れかの値が所定の下限値未満である場合には、当該配信が無効な配信であると判定される。例えば、配信時間が過剰に短い(例えば、5分未満)配信、視聴者数(最大値)が過剰に少ない(例えば、10名未満)配信、及び、コメント数が過剰に少ない(例えば、100件未満)配信が、無効な配信であると判定される。そして、判定結果に対応する値が、配信情報テーブル412の有効無効区分に設定される。なお、コメント数に代えて、視聴者コメント率(コメントを入力した視聴者の視聴者全体に対する割合)を適用しても良い。
【0059】
続いて、当該配信が有効な配信であると判定された場合には(ステップS110においてYES)、当該配信に対する配信ポイントを設定する(ステップS120)。この例では、配信ポイントは、視聴者数(最大値)、いいね数、コメント数、及び、アイテム数に基づいて算出され、配信情報テーブル412において登録される。配信ポイントは、視聴者数(最大値)、いいね数、コメント数、及び、アイテム数が多いほど、多くなるように構成されている。
【0060】
一方、当該配信が無効な配信であると判定された場合には(ステップS110においてNO)、配信ポイントの設定は行われない。このように、この例では、配信時間、視聴者数(最大値)、及びコメント数の何れかが過剰に小さい配信については、無効な配信であると判定されて配信ポイントの設定の対象外となる。
【0061】
この例では、ユーザが前日に獲得した配信ポイントに基づいて当日のランクが決定(更新)される。
図11は、各ユーザのランクを更新する際にサーバ10が実行する処理を例示するフロー図である。これらの処理は、毎日深夜(例えば、毎日午前3時)に実行される。
【0062】
サーバ10は、まず、図示するように、各ユーザのランクメータ値を更新する(ステップS200)。
図12は、ランクメータ値の更新ルールを説明するための図である。図示するように、この例では、ユーザが前日に獲得した配信ポイントの当該ユーザが属するランク帯内での順位に基づいてランクメータ値が変動する。特定のユーザが前日に獲得した配信ポイントは、配信情報テーブル412の配信者ユーザアカウント、配信日時、及び、配信ポイントを参照することによって算出される。なお、ユーザが1日に複数の配信を行っている場合、複数の配信でそれぞれ獲得した配信ポイントが合算される。
【0063】
ランクメータ値の更新ルールは、具体的には、
図12に示すように、まず、ランク帯内の配信ポイントの順位が上位10%に含まれる場合には、ランクメータ値の変動は「+2」(2ポイント増加)である。同様に、当該順位が上位11~30%(上位30%から上位10%を除いた残りの20%)に含まれる場合の変動は「+1」であり、当該順位が中位30%(上位31~60%)に含まれる場合の変動は「±0」(増減なし)であり、当該順位が下位40%に含まれる場合の変動は「-1」(1ポイント減少)である。なお、前日の配信が行われなかった場合には、ランク帯内の順位にかかわらず、ランクメータ値の変動は「-1」となる。
【0064】
ステップS200では、
図12に例示される更新ルールに従って、各ユーザのランクメータ値が更新される。なお、ランクメータ値がマイナスであるユーザであって、今回のランクメータ値の変動が増加(具体的には、+2、又は、+1)である場合、ランクメータ値を0にクリアした上で増加させるようにしても良い。つまり、例えば、ランクメータ値の現在値が「-1」であるユーザの今回の変動が「+2」である場合、ランクメータ値を0にクリアした後に2増加させ、変動後のランクメータ値は(「+1」ではなく)「+2」となる。こうすれば、ランクメータ値がマイナスであるユーザ(例えば、配信頻度が低いユーザ等)であっても当該ランクメータ値を一気に増加させることができるから、ライブ動画の配信が促進される。
【0065】
各ユーザのランクメータ値を更新すると、次に、サーバ10は、更新後のランクメータ値に基づいてランクを更新する(ステップS210)。
図13は、ランクの更新内容と必要なランクメータ値との対応関係を説明するための図である。図示するように、まず、ランク帯をまたいでランクアップする場合(言い換えると、各ランク帯内の最上位のランクからランクアップする場合)に必要なランクメータ値は+4である。つまり、各ランク帯内の最上位のランク(例えば、A+)に属するユーザは、ランクメータ値が+4になると、直上のランク帯内の最下位のランク(例えば、S-)にランクアップする。また、同一のランク帯内でランクアップする場合(言い換えると、各ランク帯内の中位又は最下位のランクからランクアップする場合)に必要なランクメータ値は+2である。つまり、各ランク帯内の中位又は最下位のランク(例えば、B又はB-)に属するユーザは、ランクメータ値が+2になると、同一のランク帯内の直上のランク(例えば、B+又はB)にランクアップする。
【0066】
同様に、
図13に例示するように、同一のランク帯内でランクダウンする場合(言い換えると、各ランク帯内の最上位又は中位のランクからランクダウンする場合)に必要なランクメータ値は-2である。つまり、各ランク帯内の最上位又は中位のランク(例えば、B+又はB)に属するユーザは、ランクメータ値が-2になると、同一のランク帯内の直下のランク(例えば、B又はB-)にランクダウンする。また、ランク帯をまたいでランクダウンする場合に必要なランクメータ値は-6である。つまり、各ランク帯内の最下位のランク(例えば、A-)に属するユーザは、ランクメータ値が-6になると、直下のランク帯の最上位のランク(例えば、B+)にランクダウンする。このように、この例では、ランク帯をまたいだランクアップ/ダウンは、同一のランク帯内でのランクアップ/ダウンと比較して、必要なランクメータ値の絶対値が大きくなっている。この結果、短期間での急激なランクアップ/ダウンが抑制される。
【0067】
ステップS210においては、
図13に例示した対応関係に従って、ランクメータ値に基づくランクの更新が行われる。なお、ランクの更新が行われたユーザ(ランクアップ/ダウンが発生したユーザ)のランクメータ値は0にクリアされる。
【0068】
図14は、ユーザのランクメータ値を表示するランクメータオブジェクト100を例示する。当該オブジェクト100は、例えば、ユーザの基本情報を表示するプロフィール画面等において配置される。ランクメータオブジェクト100は、図示するように、針型の形状を有する針オブジェクト102と、下方に開口するアルファベットのC型の形状を有するスケールオブジェクト104とを有する。針オブジェクト102の下方にはユーザの現在のランク(
図14の例では「Aランク」)が表示されている。針オブジェクト102は、ランクメータ値が増加すると右方向に振れ(回転し)、ランクメータ値が減少すると左方向に振れるように構成されている。
図14における針オブジェクト102は直立している状態であり(12時の方向を指しており)、ランクメータ値が0である状態に対応している。また、針オブジェクト102は、ランクメータ値が正の方向に大きくなるほど右方向に傾斜する一方、負の方向に小さくなるほど左方向に傾斜する。そして、スケールオブジェクト104の右下側には、ランクアップに必要なランクメータ値に対応するランクアップ領域1041が設定されており、同じくスケールオブジェクト104の左下側には、ランクダウンに必要なランクメータ値に対応するランクダウン領域1042が設定されている。ユーザは、当該ランクメータオブジェクト100を介して、ランクアップ/ダウンに向けたランクメータ値の現在の状況を把握することができる。
【0069】
また、この例では、前日の配信時間とランク(前日におけるランク)とに基づいて配信者としてのユーザに対する報酬であるダイヤが付与される。
図15は、各配信者にダイヤを付与する際にサーバ10が実行する処理を例示するフロー図である。これらの処理は、毎日深夜に実行され、例えば、
図11に例示した各ユーザのランクを更新する際に実行され処理よりも前の時刻(例えば、毎日午前0時)に実行される。
【0070】
サーバ10は、まず、図示するように、各ユーザの前日の有効な配信の配信時間を算出する(ステップS300)。特定のユーザの前日の有効な配信の配信時間は、具体的には、配信情報テーブル412の配信者ユーザアカウント、配信日時、及び、有効無効区分を参照することによって特定される。なお、ユーザが1日に複数の有効な配信を行っている場合、複数の配信の各々の配信時間が合算される。
【0071】
続いて、サーバ10は、算出した配信時間及び基準ダイヤ数に基づく数のダイヤを各ユーザに付与する(ステップS310)。具体的には、算出した配信時間に基準ダイヤ数を乗じた数のダイヤが各ユーザに付与される。基準ダイヤ数は、ランクが上位であるほど多くなるように、ランク毎に予め設定されており、各ユーザの前日のランクに対応する基準ダイヤ数が適用される。ユーザに対してダイヤが付与されると、ユーザ情報テーブル411のダイヤ保有数が更新される。この例では、ダイヤは、コイン又は現実の通貨に交換することができる。
【0072】
ここで、ダイヤの付与の対象となる配信時間の上限値(例えば、1日当たり5時間まで等)を設けても良い。この場合、実際の配信時間が上限値を超えるときには、ステップS310において付与するダイヤの数を特定する際に、配信時間として上限値が適用される。また、配信時間が所定の閾値を超える場合に、当該所定の閾値を超えた部分については、減少させた基準ダイヤ数(例えば、50%)を適用するようにしても良い。
【0073】
上述した例では、ランクメータ値に基づいてランクアップ/ダウンが行われるようにしたが、こうしたランクメータ値に基づくランクの更新は例示であって、その他のパラメータの値に基づいてランクを更新するようにしても良い。例えば、ランクメータ値を採用せずに、ランク帯内における配信ポイントの順位に基づいて直接にランクアップ/ダウンが行われるようにしても良い。また、上述した配信ポイントも例示であって、当該配信ポイントに代えて、ライブ動画の配信実績に基づく様々な種類のパラメータが適用され得る。
【0074】
上述した例では、配信が有効であるか否かの判定を、配信時間、視聴者数(最大値)、及びコメント数に基づいて行うようにしたが、当該判定は、その他の手法で行われ得る。例えば、本実施形態の他の例では、配信中のライブ動画の画像が適宜に解析され、例えば、所定の時間以上の間、動く人物が検出されない場合に、配信が有効でない(無効である)と判定するように構成され得る。
【0075】
以上説明した本実施形態の動画配信サーバ10は、ライブ動画の配信実績(例えば、視聴者数(最大値)、いいね数、コメント数、及び、アイテム数)に基づいて配信者のランクを決定すると共に、決定したランクに基づいて配信者の基準報酬数量(例えば、基準ダイヤ数)を設定し、ライブ動画の配信時間と基準報酬数量とに基づく数量の報酬(例えば、ダイヤ)を付与するから、初心者の配信者であっても、ライブ動画の配信を継続することによって、配信時間と基準報酬数量とに基づく数量の報酬を得ることができる。このように、動画配信サーバ10は、初心者を含む様々な配信者によるライブ動画の配信を促進する。
【0076】
本明細書で説明された処理及び手順は、明示的に説明されたもの以外にも、ソフトウェア、ハードウェアまたはこれらの任意の組み合わせによって実現される。例えば、本明細書で説明される処理及び手順は、集積回路、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、磁気ディスク等の媒体に、当該処理及び手順に相当するロジックを実装することによって実現される。また、本明細書で説明された処理及び手順は、当該処理・手順に相当するコンピュータプログラムとして実装し、各種のコンピュータに実行させることが可能である。
【0077】
本明細書中で説明された処理及び手順が単一の装置、ソフトウェア、コンポーネント、モジュールによって実行される旨が説明されたとしても、そのような処理または手順は複数の装置、複数のソフトウェア、複数のコンポーネント、及び/又は複数のモジュールによって実行され得る。また、本明細書において説明されたソフトウェアおよびハードウェアの要素は、それらをより少ない構成要素に統合して、またはより多い構成要素に分解することによって実現することも可能である。
【0078】
本明細書において、発明の構成要素が単数もしくは複数のいずれか一方として説明された場合、又は、単数もしくは複数のいずれとも限定せずに説明された場合であっても、文脈上別に解すべき場合を除き、当該構成要素は単数又は複数のいずれであってもよい。
【符号の説明】
【0079】
10 動画配信サーバ
11 コンピュータプロセッサ
15 ストレージ(記憶装置)
20 通信ネットワーク
30 ユーザ端末
41 情報記憶管理部
43 基本機能制御部
45 動画配信制御部
47 報酬管理部
60 トップ画面
70 配信者用画面
80 視聴者用画面
90 アイテム選択画面
【手続補正書】
【提出日】2024-07-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数のコンピュータプロセッサを備え、動画を配信するためのシステムであって、前記1又は複数のコンピュータプロセッサは、
配信者が提供する動画を視聴者に対して配信する処理と、
前記配信者によって行われた動画の配信に関する情報である動画の配信実績に少なくとも基づいて、前記配信者又は前記動画の配信に対してポイントを付与する処理と、
特定の期間において付与された前記ポイントに基づいて、前記配信者のランクであって、動画の有効な配信時間における単位時間当たりの報酬数量が設定されている前記ランクを決定する処理と、を実行する、
システム。
【請求項2】
前記単位時間当たりの報酬数量は、前記ランクが上位であるほど多くなる、
請求項1のシステム。
【請求項3】
前記単位時間当たりの報酬数量は、現実の通貨の数量である、
請求項1のシステム。
【請求項4】
前記ランクを決定する処理は、1又は複数のランクによって構成されるランク帯内での前記配信者の前記ポイントの順位に基づいて、前記ランクを決定する、
請求項1のシステム。
【請求項5】
前記ランクを決定する処理は、前記ポイントに基づいて前記配信者のパラメータの値を更新し、前記パラメータの値が所定値となった前記配信者の前記ランクを更新する、
請求項1のシステム。
【請求項6】
前記有効な配信時間は、配信時間、視聴者数、又は、視聴者からの入力情報の数が閾値以下である配信の配信時間が除外されている、
請求項1のシステム。
【請求項7】
前記配信実績は、前記動画の視聴者から入力される入力情報の入力実績を含み、
前記入力情報は、アイテムを含み、
前記ポイントを付与する処理は、前記アイテムの入力数が多いほど、多くの前記ポイン
トを付与することを含む、
請求項1のシステム。
【請求項8】
前記1又は複数のコンピュータプロセッサは、さらに、前記有効な配信時間と、前記単位時間当たりの報酬数量と、に基づいて、報酬の数量を決定する処理を実行し、
前記報酬の数量を決定する処理は、前記有効な配信時間が上限値を超えるとき、前記上限値と前記単位時間当たりの報酬数量と、に基づいて、前記報酬の数量を決定する、
請求項1のシステム。
【請求項9】
1又は複数のコンピュータによって実行され、動画を配信するための方法であって、
配信者が提供する動画を視聴者に対して配信するステップと、
前記配信者によって行われた動画の配信に関する情報である動画の配信実績に少なくとも基づいて、前記配信者又は前記動画の配信に対してポイントを付与するステップと、
特定の期間において付与された前記ポイントに基づいて、前記配信者のランクであって、動画の有効な配信時間における単位時間当たりの報酬数量が設定されている前記ランクを決定するステップと、を備える、
方法。
【請求項10】
動画を配信するための装置であって、
配信者が提供する動画を視聴者に対して配信する手段と、
前記配信者によって行われた動画の配信に関する情報である動画の配信実績に少なくとも基づいて、前記配信者又は前記動画の配信に対してポイントを付与する手段と、
特定の期間において付与された前記ポイントに基づいて、前記配信者のランクであって、動画の有効な配信時間における単位時間当たりの報酬数量が設定されている前記ランクを決定する手段と、を備える、
装置。
【請求項11】
動画を配信するためのプログラムであって、1又は複数のコンピュータに、
配信者が提供する動画を視聴者に対して配信する処理と、
前記配信者によって行われた動画の配信に関する情報である動画の配信実績に少なくとも基づいて、前記配信者又は前記動画の配信に対してポイントを付与する処理と、
特定の期間において付与された前記ポイントに基づいて、前記配信者のランクであって、動画の有効な配信時間における単位時間当たりの報酬数量が設定されている前記ランクを決定する処理と、を実行させる、
プログラム。
【請求項12】
1又は複数のコンピュータプロセッサを備え、動画を配信するためのシステムであって、前記1又は複数のコンピュータプロセッサは、
配信者が提供する動画を視聴者に対して配信する処理と、
前記配信者によって行われた動画の配信に関する情報である動画の配信実績に少なくとも基づいて、前記配信者又は前記動画の配信に対してポイントを付与する処理と、
特定の期間において付与された前記ポイントに基づいて、前記配信者のランクを決定する処理と、
前記ランクに設定されている単位時間当たりの報酬数量と、動画の有効な配信時間と、に基づいて、前記配信者の報酬の数量を決定する処理と、を実行する、
システム。