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特開2024-124576内視鏡のチューブレス作業用チャネルのためのシステム及びデバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124576
(43)【公開日】2024-09-12
(54)【発明の名称】内視鏡のチューブレス作業用チャネルのためのシステム及びデバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 1/00 20060101AFI20240905BHJP
【FI】
A61B1/00 711
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024110998
(22)【出願日】2024-07-10
(62)【分割の表示】P 2021568320の分割
【原出願日】2020-05-15
(31)【優先権主張番号】62/849,300
(32)【優先日】2019-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】506192652
【氏名又は名称】ボストン サイエンティフィック サイムド,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BOSTON SCIENTIFIC SCIMED,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ケイヒル、ライアン
(72)【発明者】
【氏名】マカリスター、アール
(72)【発明者】
【氏名】バーナム、アレクサンダー ジョセフ
(57)【要約】
【課題】内視鏡デバイスにおけるチューブレス作業用チャネルのためのシステム及びデバイスを提供する。
【解決手段】内視鏡デバイスは、アダプタを備えたハンドル、該ハンドルに接続されたシャフト、及びハンドル内の1以上のワイヤを有している。アダプタは、アダプタの側方又は基端部に1以上の開口部を画成している。シャフトは、シャフトの基端部からシャフトの先端部へと伸びる複数のルーメンを有している。複数のルーメンのうち第1のルーメンは、医療用器具を受承するための作業用チャネルである。1以上のワイヤは各々、1以上のワイヤを第1のルーメン以外の対応するルーメンへ、かつシャフトの先端部へと誘導するためのアダプタに1以上の開口部を通って入る。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アダプタを備えたハンドルであって、前記アダプタはアダプタの側方又は基端部に1以上の開口部を画成している、ハンドルと、
シャフトであって、前記ハンドルに接続されておりかつ前記シャフトの基端部からシャフトの先端部へと伸びる複数のルーメンを有し、前記複数のルーメンのうち第1のルーメンは医療用器具を受承するための作業用チャネルである、シャフトと、
前記ハンドルの内部の1以上のワイヤであって、各々が、前記1以上のワイヤを第1のルーメン以外の対応するルーメンへ、かつシャフトの先端部へと誘導するためのアダプタに、1以上の開口部を通して入っている、1以上のワイヤと
を具備している、内視鏡デバイス。
【請求項2】
前記複数のルーメンのうち第2のルーメンは、撮像及び照明のうち少なくともいずれか一方のためのワイヤを受承するルーメンである、請求項1に記載の内視鏡デバイス。
【請求項3】
前記第1のルーメン及び前記第2のルーメン以外のルーメンは、デバイスの関節運動のための関節運動ワイヤを受承するように各々構成されたルーメンである、請求項2に記載の内視鏡デバイス。
【請求項4】
前記複数のルーメンは正確に4つのルーメンを具備している、請求項1~3のいずれか1項に記載の内視鏡デバイス。
【請求項5】
前記1以上のワイヤのうち第1のワイヤは撮像用及び照明用のうち少なくともいずれか一方である、請求項1~4のいずれか1項に記載の内視鏡デバイス。
【請求項6】
前記第1のワイヤ以外のワイヤはデバイスの関節運動のための関節運動ワイヤである、請求項5に記載の内視鏡デバイス。
【請求項7】
前記アダプタは、複数の側方開口部と、基端側開口部とを有する、請求項1~6のいずれか1項に記載の内視鏡デバイス。
【請求項8】
前記複数の側方開口部のうち第1の側方開口部は、撮像用及び照明用のうち少なくともいずれか一方のワイヤを受承する開口部であり、前記第1の側方開口部以外の他の側方開口部は、デバイスの関節運動のための関節運動ワイヤを受承するように各々構成された開口部である、請求項7に記載の内視鏡デバイス。
【請求項9】
前記基端側開口部は、前記デバイスの器具ポート及び吸引ポートのうち少なくともいずれか一方への通路を提供するように構成された開口部である、請求項1~8のいずれか1項に記載の内視鏡デバイス。
【請求項10】
作業用チャネルはシャフトの第1のルーメン内にインナーチューブを設けられていない、請求項1~9のいずれか1項に記載の内視鏡デバイス。
【請求項11】
作業用チャネルを画成している壁は、複数のルーメンのうち1以上のワイヤを受承する他のルーメンを少なくとも部分的に画成する、請求項1~10のいずれか1項に記載の内視鏡デバイス。
【請求項12】
作業用チャネルの断面積は、複数のルーメンのうち他のルーメン各々の断面積よりも大きい面積を有する、請求項1~11のいずれか1項に記載の内視鏡デバイス。
【請求項13】
作業用チャネルの断面形状は非円形である、請求項1~12のいずれか1項に記載の内視鏡デバイス。
【請求項14】
関節運動継ぎ手であって、シャフトに接続され、かつ関節運動継ぎ手の基端部から関節運動継ぎ手の先端部へと伸びる複数のルーメンを有している関節運動継ぎ手をさらに具備しており、前記関節運動継ぎ手の第1のルーメンは、医療用器具を受承するための関節運動継ぎ手のための作業用チャネルである、請求項1~13のいずれか1項に記載の内視鏡デバイス。
【請求項15】
前記関節運動継ぎ手のための作業用チャネルは、前記シャフトのための作業用チャネルと同じ大きさの断面及び同じ断面形状を有している、請求項14に記載の内視鏡デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して内視鏡などの医療用デバイスに関する。特に、本開示は、内視鏡デバイスにおけるチューブレス作業用チャネルのためのシステム及びデバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
内視鏡デバイスは一般に、ハンドルと、シャフト部分又は挿入部分とを有している。ハンドルは、シャフト部分の操縦及び物理的人為操作を可能とし、かつデバイスのその他の操作のための制御部を備えることができる。先端側アセンブリはシャフト部分の一部を構成してもよく、かつ内視鏡的操作のための複数のチャネル又はルーメンを有することができる。多くの場合、器具又はツールを、治療又は診断上の手技を実施するためにシャフト部分の中の作業用チャネルに挿入することができる。したがって、様々な器具及びツールを受承するための大きな断面積を備えた作業用チャネルが必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
一例によれば、内視鏡デバイスは、アダプタを備えたハンドル、該ハンドルに接続されたシャフト、及びハンドル内部の1以上のワイヤを有する。アダプタは、アダプタの側方又は基端部に1以上の開口部を画成している。シャフトは、シャフトの基端部からシャフトの先端部へと伸びる複数のルーメンを有している。複数のルーメンのうち第1のルーメンは、医療用器具を受承するための作業用チャネルである。1以上のワイヤは各々、その1以上のワイヤを第1のルーメン以外の対応するルーメンへ、かつシャフトの先端部へと誘導するためのアダプタに、1以上の開口部を通して入る。
【0004】
複数のルーメンのうち第2のルーメンは、撮像及び照明のうち少なくともいずれか一方のためのワイヤを受承するルーメンである。第1のルーメン及び第2のルーメン以外のルーメンは、デバイスの関節運動のための関節運動ワイヤを受承するように各々構成されたルーメンである。複数のルーメンは正確に4つのルーメンを具備する。
【0005】
1以上のワイヤのうち第1のワイヤは撮像用及び照明用のうち少なくともいずれか一方である。第1のワイヤ以外のワイヤは、デバイスの関節運動のための関節運動ワイヤである。
【0006】
アダプタは、複数の側方開口部と、基端側開口部とを有する。複数の側方開口部のうち第1の側方開口部は、撮像用及び照明用のうち少なくともいずれか一方のワイヤを受承する開口部であり、第1の側方開口部以外の他の側方開口部は、デバイスの関節運動のための関節運動ワイヤを受承するように各々構成された開口部である。基端側開口部は、デバイスの器具ポート及び吸引ポートのうち少なくともいずれか一方への通路を提供するように構成された開口部である。
【0007】
作業用チャネルは、シャフトの第1のルーメン内にインナーチューブを設けられていない。作業用チャネルを画成している壁は、複数のルーメンのうち1以上のワイヤを受承する他のルーメンを少なくとも部分的に画成する。作業用チャネルの断面積は、複数のルーメンのうち他のルーメン各々の断面積よりも大きい面積を有する。作業用チャネルの断面形状は非円形である。
【0008】
関節運動継ぎ手がシャフトに接続され、該関節運動継ぎ手は、関節運動継ぎ手の基端部から関節運動継ぎ手の先端部へと伸びる複数のルーメンを有する。関節運動継ぎ手の第1のルーメンは、医療用器具を受承するための関節運動継ぎ手のための作業用チャネルである。関節運動継ぎ手のための作業用チャネルは、シャフトのための作業用チャネルと同じ大きさの断面及び同じ断面形状を有する。
【0009】
別の例において、内視鏡デバイスは、ハンドル、該ハンドルに接続されたシャフト、及び該シャフトに接続された関節運動継ぎ手を有する。シャフトは、シャフトの基端部からシャフトの先端部へと伸びる複数のシャフトルーメンを有する。複数のシャフトルーメンのうち第1のシャフトルーメンは、医療用器具を受承するためのシャフト作業用チャネルである。シャフト作業用チャネルを画成している壁は、複数のシャフトルーメンのうちの他のルーメンを少なくとも部分的に画成する。関節運動継ぎ手は、関節運動継ぎ手の基端部から関節運動継ぎ手の先端部へと伸びる複数の関節運動継ぎ手ルーメンを有する。複数の関節運動継ぎ手ルーメンのうち第1の関節運動継ぎ手ルーメンは、医療用器具を受承するための継ぎ手作業用チャネルである。継ぎ手作業用チャネルを画成している壁は、複数の関節運動継ぎ手ルーメンのうちの他のルーメンを少なくとも部分的に画成する。
【0010】
先端側キャップは関節運動継ぎ手に接続される。先端側キャップは、先端側キャップの基端部から遠位のキャップの先端部へと伸びる複数の先端側キャップルーメンを有する。複数の先端側キャップルーメンのうち第1の先端側キャップルーメンは、医療用器具を受承するためのキャップ作業用チャネルである。
【0011】
シャフト作業用チャネルは継ぎ手作業用チャネルと相互連結するように構成される。継ぎ手作業用チャネルはキャップ作業用チャネルと相互連結するように構成されて、デバイスの作業用チャネルが先端側キャップからシャフトまで、かつシャフトを通って伸びるようになっている。シャフト作業用チャネル、継ぎ手作業用チャネル、及びキャップ作業用チャネルの断面の大きさはほぼ同じである。
【0012】
別の例において、内視鏡デバイスは、アダプタを備えたハンドル、該ハンドルに接続されたシャフト、ハンドル内部の1以上のワイヤ、及びアダプタの基端部に取り付けられたy体コネクタを有している。アダプタは、アダプタの側方に1以上の側方開口部、及びアダプタの基端部に基端側開口部を画成している。シャフトは、シャフトの基端部からシャフトの先端部へと伸びる複数のルーメンを有する。複数のルーメンのうち第1のルーメンは、医療用器具を受承するための作業用チャネルである。1以上のワイヤは、その1以上のワイヤを第1のルーメン以外の対応するルーメンへ、及びシャフトの先端部へと誘導するためのアダプタに1以上の側方開口部を通って入る。y体コネクタは、ハンドルの器具ポートからアダプタを介して作業用チャネルに至る到達路を提供するように構成されている。
【0013】
前述の概略的な説明及び以降の詳細な説明はいずれも例示かつ解説のためにすぎず、特許請求の範囲に記載される本発明を限定するものではないことは了解されよう。本明細書中で使用されるように、用語「具備する(comprises)」、「具備している(comprising)」、又はこれらの任意の他の変形表現は、列挙された要素を具備するプロセス、方法、物品、又は装置がそれらの要素のみを含むのではなく、明示的に列挙されていないか又はそのようなプロセス、方法、物品、若しくは装置に固有の他の要素を含みうるように、非排他的な包含を対象とするように意図されている。用語「例示の(exemplary)」は、「理想の(ideal)」ではなく、「例(example)」の意味で使用される。本明細書中で使用されるように、用語「基端側(proximal)」は、作業者に近い方向を意味し、用語「先端側(distal)」は作業者から遠い方向を意味する。本明細書中では内視鏡について言及されているが、内視鏡又は内視鏡検査への言及は、開示された作業用チャネル及びその他の態様の可能な用途を限定するものとして解釈されるべきではない。例えば、開示された態様は、十二指腸内視鏡、気管支鏡、尿管鏡、結腸内視鏡、カテーテル、診断用若しくは治療用のツール若しくはデバイス、又は他の種類の医療用デバイスと共に使用可能である。
【0014】
本明細書中に組み込まれて本明細書の一部を構成している添付図面は、本開示の実施例を例証し、かつ説明と共に本開示の原理について解説する役割を果たす。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】医療用デバイスの側面図。
図2】医療用デバイスの先端側アセンブリ部分及び電子部品を示す側面図。
図3A】先端側アセンブリの先端側キャップの端面図。
図3B】先端側アセンブリの先端側キャップの斜視図。
図4A】先端側アセンブリの関節運動継ぎ手の横断面図。
図4B】先端側アセンブリの関節運動継ぎ手の斜視図。
図5】医療用デバイスのシャフト部分の横断面図。
図6】医療用デバイスのハンドル構成部分の側断面図。
図7A】ハンドルの分割アダプタの第1側面図。
図7B】ハンドルの分割アダプタの第2側面図。
図7C】ハンドルの分割アダプタの斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[詳細な説明]
大きな作業用チャネルを備えた内視鏡デバイスは臨床適用に恩恵をもたらしうる。例えば、粘性液又は非ニュートン流体の吸引/アスピレーション(例えば粘液及び凝固血の吸引など)は、大きな内視鏡作業用チャネルを用いるとより効果的な場合がある。非ニュートン流体は、大型かつ非円形の作業用チャネルを用いると流速がより高くなる場合がある。別例として、作業用チャネルの断面が大きければ、治療及び診断上の処置のためのより多種類のツール及び器具を受け入れることができる。大きな作業用チャネルを備えた内視鏡デバイスには、その他の実益、例えばデバイス経路誘導の改善、トルク制御の改善、デバイスのねじれ又は損傷を予防又は最小化する構造的有益性などが存在しうる。したがって、本開示の態様は、最適に使用するために大きな断面積を備えたチューブレス作業用チャネルを有する内視鏡デバイスに関する。
【0017】
ここで図1を参照する。図1は医療用デバイス(「デバイス」)100を示している。デバイス100は本明細書中では内視鏡とされてよいが、デバイス100が内視鏡、十二指腸内視鏡、気管支鏡、尿管鏡、結腸内視鏡、カテーテル、又は他の種類の医療用デバイスでもよいことは認識されるべきである。
【0018】
デバイス100は、ハンドル部分(「ハンドル」)110及びシャフト/挿入部分(「シャフト部分」又は「シャフト」)150を備えている。ハンドル110は、握り面112、関節運動レバー114、吸引ポート116、器具/潅注ポート(「器具ポート」)118、シャフト張力緩衝部分120、臍部(へその緒状の接続部)張力緩衝部分122、及び臍部124(その基端側部分が図1に示されている)を備えている。シャフト150はその先端部において先端側アセンブリ152に接続している。先端側アセンブリ152は関節運動継ぎ手及び先端側キャップを備えているがいずれも図1には示されておらず、本明細書中の後続の図面に関連して説明される。先端側アセンブリ152は他のデバイスを備えていてもよいし、他のデバイス、例えばカメラ又は照明要素(例えば発光ダイオードすなわち「LED」)などを受承するように構成されてもよい。本明細書中に記載されるように、デバイス100は、先端側アセンブリ152の先端側キャップから関節運動継ぎ手及びシャフト150を通ってハンドル110の器具ポート118へと伸びる、作業用チャネルを有している。よってデバイスの作業用チャネルは、本明細書中に詳細に記載されるように、先端側キャップの作業用チャネル、関節運動継ぎ手の作業用チャネル、及びシャフト150の作業用チャネルの組み合わせであってよい。
【0019】
ハンドル110の握り面112は、例えば医療の専門家又はその他の作業者による、デバイス100の物理的な取扱いを可能にする。関節運動レバー114は人為操作されるように構成されており、関節運動レバー114が作業者によって操作されると、該レバーは医療用デバイス100の関節運動継ぎ手を上/下方向に関節運動させる(例えば180度の接合状態とする)。吸引ポート116は、空気及び水のうち少なくともいずれか一方の(例えばデバイス100の作業用チャネルを通した)吸引を行うように構成されたバルブである。器具ポート118は、医療用器具又は他のツール及びデバイスを、デバイス100の作業用チャネルを通して進めるために使用可能である。1例において、本明細書中の技法で説明されるように、デバイス100の作業用チャネルは、チューブレスの作業用チャネル(例えば挿入されるツールを誘導するための追加のチューブが挿入されていない開チャネル)であってよい。作業用チャネルは、医療用器具並びに他のツール及びデバイスを受承するために大きな断面積を有する。
【0020】
シャフト張力緩衝部120は、デバイス100のシャフト150と相互連結するように構成される。臍部124は臍部張力緩衝部分122に接続され、かつ外部デバイス(例えば、図1に示されていない制御器、コンピュータデバイス、プロセッサ及びディスプレイデバイスのうち少なくともいずれか)に接続するためにハンドル110から伸びるように構成される。例えば、臍部124は、デバイス100をカメラ、ビデオ、光源などのデバイス100の光学制御を提供する構成部分に接続するために使用可能である。シャフト150は、医療処置(例えば患者の身体の1以上の穴部を介した処置)のために患者に挿入されるように構成される。
【0021】
ここで図2を参照すると、同図は、先端側アセンブリ152並びにシャフト150及び臍部124を通って伸びる一定の電子部品の側面図である。先端側アセンブリ152は、関節運動継ぎ手210、先端側キャップ220、複数のケーブル及びワイヤ245であって例えばカメラ及びLEDに接続するためのもの、ボーデン(Bowden)ディスク230、並びに2本の関節運動ワイヤ240(1)及び240(2)を具備している。先端側アセンブリ152の内部のケーブル及びワイヤ245は、シャフト150及び臍部124を通って回路板250まで伸びる。回路板250は、外部制御器に接続する臍部124の端部にあってよい。別例として、回路板250はハンドル110にあってもよい。よって、回路板250それ自体は先端側アセンブリ152の一部ではないが、先端側アセンブリ152を通して設けられたLEDワイヤ及びカメラケーブルに接続するように構成される。
【0022】
一般に、関節運動継ぎ手210は複数のルーメンを備えて構成される。これらのルーメンは、関節運動継ぎ手210のためのチューブレス作業用チャネル、関節運動ワイヤ240(1)及び240(2)を受承するルーメン、並びにLED/カメラのためのワイヤを受承するルーメンとして機能することができる。同様に、シャフト150はハンドル110と先端側アセンブリ152との間に存在し、かつシャフト150のためのチューブレス作業用チャネル、関節運動ワイヤ240(1)及び240(2)を受承するルーメン、並びにLED/カメラのためのワイヤを受承するルーメンとして機能しうる複数のルーメンを備えて構成される。関節運動継ぎ手210及びシャフト150は、本明細書中で後の図面においてより詳細に説明される。
【0023】
先端側アセンブリ152の先端側キャップ220はカメラ及び2個のLEDを備えている。先端側キャップ220のさらなる詳細について、図3A及び3Bに関連して以下に提示する。先端側キャップ220は関節運動継ぎ手210の先端部に取り付けられている。カメラ用のケーブル、及び個々のLEDそれぞれにつき1以上のワイヤ2組が、先端側キャップ220及び関節運動継ぎ手210の中を通ることができる。カメラケーブルは、ワイヤハーネスによってまとめられた複数のワイヤを含むことができる。ボーデンディスク230は関節運動継ぎ手210の基端部に取り付けられている。関節運動ワイヤ240(1)及び240(2)は、関節運動継ぎ手210の上下方向の動きを制御するために、ハンドル110(図2には示されていない)からシャフト150及び関節運動継ぎ手210を通って伸びる。
【0024】
ここで図3Aを参照すると、同図は先端側キャップ220を示す端面図である。図3Aに示されるように、先端側キャップ220は、カメラ222、カメラ222の両側の2個のLED224(a)及び224(b)、関節運動ワイヤ240(1)及び240(2)、並びに開口部228(例えばチューブレス作業用チャネルのための開口部)を備えている。当然のことであるが、関節運動ワイヤ240(1)及び240(2)は、図3Aでは一続きのループを形成しているように見えるが2本の別個のワイヤである。
【0025】
ここで図3Bを参照すると、同図はカメラ222、LED224(a)、224(b)、及びワイヤ240(1)、240(2)を備えていない先端側キャップ220を示す斜視図である。先端側キャップ220は、図3Bに参照数字221(1)~221(4)で示された4つのルーメンを有している。カメラ222並びにLED224(a)及び224(b)は第1のルーメン(例えばルーメン221(1))の中にあってよく、関節運動ワイヤ240(1)は第2のルーメン(例えばルーメン221(2))の中にあってよく、関節運動ワイヤ240(2)は第3のルーメン(例えばルーメン221(3))の中にあってよく、かつ第4のルーメン(例えばルーメン221(4))は先端側キャップ220のチューブレス作業用チャネルに利用可能である。本明細書中に記載されるように、先端側キャップ220の作業用チャネルは、関節運動継ぎ手210の作業用チャネル及びシャフト150の作業用チャネルと相互連結してデバイス100の作業用チャネルとなることができる。ルーメン221(1)、221(2)、及び221(3)は別個であってもよいし、図3Bに示されるように連通していてもよい。
【0026】
LEDが入る先端側キャップルーメン(ルーメン221(1))の内壁又はカメラ胴体部の外側のいずれかに、反射塗料が塗布されてもよい。反射塗料は、LEDから発せられた光を集中させること、及び先端側キャップ220から出る光量を増大させることのうち少なくともいずれか一方のために使用可能である。LED224(a)及び224(b)は、例えば医療の専門家又はデバイス100の作業者が観察するのに十分な照明をカメラ222に提供するために、カメラ222に向かって角度を成すように構成される。LED224(a)及び224(b)は、ルーメン221(1)のようなルーメンの中にあってよい。
【0027】
ここで図4Aを参照すると、同図は関節運動継ぎ手210の断面を示している。関節運動継ぎ手210は先端側アセンブリ152の一部である。関節運動継ぎ手210は、上記に図3Bに関して記載されたルーメン221(1)~221(4)と機能的に類似している4つのルーメン421(1)~421(4)を有する。例えば、関節運動継ぎ手210のルーメン421(1)は、ルーメン421(1)がカメラ222並びにLED224(a)及び224(b)(図3Aに関して上述)に接続するためのワイヤ及びケーブル245を保持するように構成されているという点で、先端側キャップ220のルーメン221(1)に機能的に類似している。1例において、ルーメン421(1)は、LED224(a)及び224(b)各々のためのワイヤと、カメラ222のための1本のケーブルとを保持する(例えば、該ケーブルは、LED224(a)及び224(b)のためのワイヤと共にワイヤハーネスを使用してまとめられたカメラ222のための複数のワイヤを具備することができる)。関節運動継ぎ手210のルーメン421(2)は、先端側キャップ220のルーメン221(2)に機能的に類似し、かつ関節運動レバーに接続するための関節運動ワイヤ240(1)を保持しており、関節運動継ぎ手210のルーメン421(3)は、先端側キャップのルーメン221(3)に機能的に類似し、かつ関節運動レバーに接続するための関節運動ワイヤ240(2)を保持している。ハンドルの関節運動レバーは、上/下に関節運動するために関節運動ワイヤ240(1)及び240(2)を調整するように構成される。例えば、ある方向に関節運動レバーを動かすと、一方の関節運動ワイヤが引っ張られて「上」方向に動き、関節運動レバーを別の方向に動かすと、別の関節運動ワイヤが引っ張られて「下」方向に動く。
【0028】
関節運動継ぎ手210のルーメン421(4)は、関節運動継ぎ手210のための作業用チャネルとして利用される。関節運動継ぎ手210の作業用チャネルは、(本明細書中においてより詳細に記載される、先端側キャップ220のための作業用チャネル及びシャフト150のための作業用チャネルと共に)デバイスのための作業用チャネルの一部である。
【0029】
図4Bは、関節運動継ぎ手210を示す斜視図である。図4Bは、ルーメン221(1)~221(4)の中を通るワイヤを有していない関節運動継ぎ手を示している。図4Bに示された関節運動継ぎ手210は、射出成形ポリプロピレンで作られた一体成形物である。関節運動継ぎ手の外壁の厚さは、関節運動継ぎ手の基端部で強度がより高くなるようにテーパ状をなしている(例えば、壁は先端部においてより薄くなる)。関節運動継ぎ手210は、参照数字212(1)~212(n)で示された複数のリンク(環)を備えている。リンク212(1)~212(n)はヒンジ部分214(1)~214(n)によって接続されている。関節運動継ぎ手210は、薄いポリウレタンカバーで包まれていてもよい。
【0030】
ここで図5を参照すると、同図は医療用デバイス100のシャフト150の断面を示している。シャフト150は、外側層として編組構造の押出成形物を有する。シャフト150は、参照数字521(1)~521(4)で示された4つのルーメンを有する。ルーメン521(1)~521(4)は、先端側キャップ220に関して説明されたルーメン221(1)~221(4)及び関節運動継ぎ手210に関して説明されたルーメン421(1)~421(4)に類似している。例えば、シャフト150のルーメン521(1)は、ルーメン521(1)がカメラ222並びにLED224(a)及び224(b)に接続するためのワイヤ及びケーブル245を保持するように構成されているという点で、先端側キャップ220のルーメン221(1)及び関節運動継ぎ手210のルーメン421(1)に機能的に類似している。シャフト150のルーメン521(2)は、先端側キャップ220のルーメン221(2)及び関節運動継ぎ手210のルーメン421(2)に機能的に類似し、かつ関節運動レバーに接続する関節運動ワイヤ240(1)を保持する。シャフト150のルーメン521(3)は、先端側キャップ220のルーメン221(3)及び関節運動継ぎ手210のルーメン421(3)に機能的に類似し、かつ関節運動レバーに接続する関節運動ワイヤ240(2)を保持する。シャフト150のルーメン521(4)は、シャフト150のための作業用チャネルとして利用される。シャフト150のための作業用チャネルは、関節運動継ぎ手210の作業用チャネル(例えばルーメン421(4))及び先端側キャップ220の作業用チャネル(例えばルーメン221(4))と共に、デバイス100のための作業用チャネルとなる。1例において、シャフト150のルーメン521(4)の先端部は関節運動継ぎ手210のルーメン421(4)の基端部と相互連結し、関節運動継ぎ手210のルーメン421(4)の先端部は先端側キャップ220のルーメン221(4)の基端部と相互連結する。よって、デバイス100の作業用チャネルは、先端側キャップ220からシャフト150へ、かつシャフト150を通って伸びる(例えばルーメン221(4)、421(4)、及び521(4)の組み合わせ)。同様に、ルーメン221(1)、421(1)、及び521(1)が相互連結し、ルーメン221(2)、421(2)、及び521(2)が相互連結し、かつルーメン221(3)、421(3)、及び521(3)が相互連結して、先端側キャップ220からシャフト150へ、かつシャフト150を通る、対応するチャネルを形成する。
【0031】
図3A、4A及び5に示されるように、ルーメン221(4)、ルーメン421(4)、及びルーメン521(4)は各々、デバイス100の作業用チャネルについて、従来の内視鏡作業用チャネルと比較して著しく大きい断面積を有する。例えば、ルーメン221(4)、ルーメン421(4)、及びルーメン521(4)(かつしたがってシャフト150及びデバイス100の作業用チャネル)は各々、先端側キャップ220、関節運動継ぎ手210、及びシャフト150のそれぞれの断面積のうち著しく高い比率を占める断面積を有する。いくつかの例において、シャフト150のための作業用チャネルは、様々な大きさのシャフト150について様々な断面積を有しうる。第1の例では、小型のシャフトについて、シャフト150の断面積が11.35mmである場合に作業用チャネルの断面積が2.16平方ミリメートル(mm)であってよく、したがってこの実施例における作業用チャネルの断面積は、シャフトの断面積の19%を占めることができる。第2の例では、中型のシャフトについて、シャフト150の断面積が19.63mmであるのに対し作業用チャネルの断面積が6.03mmであってよく、したがってこの実施例における作業用チャネルの断面積は、シャフトの断面積の30.7%を占めることができる。第3の例では、大型のシャフトについて、シャフト150の断面積が26.42mmであるのに対し作業用チャネルの断面積が8.62mmであってよく、したがってこの実施例における作業用チャネルの断面積は、シャフトの断面積の32.6%を占めることができる。当然のことであるが、これらの計測値は単なる例にすぎず、±10%の許容範囲内に含まれうるものである。1例において、作業用チャネルの断面積は、シャフトの断面積の50%以上を占める場合もある。上記の作業用チャネルの断面積計測値は、従来の内視鏡デバイスの作業用チャネルよりも大きいが、デバイスの作業用チャネルの断面積を大きくすることは、従来の内視鏡デバイスの中で一般に作業用チャネルを構成する別個のチューブ(例えばルーメン内のインナーチューブ)を無くすことにより達成可能である。
【0032】
例えば、典型的な内視鏡デバイスは、円形断面を備えたチューブをルーメン内に設けられてもよく、かつ先端側キャップからハンドルまで伸びることができる。これらの従来の内視鏡デバイスでは、チューブは器具又はツールのための作業用チャネルとして機能することができる。これに対し本開示は、ルーメン221(4)、421(4)、及び521(4)のキャビティ全体を共に利用する作業用チャネルについて、ルーメン221(4)、421(4)及び521(4)のうちいずれか1以上の中にインナーチューブを備えていないデバイス100の作業用チャネルとして、説明する。よって、デバイス100の作業用チャネルは、作業用チャネルとしてルーメン221(4)、421(4)、及び521(4)のうち少なくともいずれかの中に設けられた別個のインナーチューブを含んでおらず、より正確には、ルーメン221(4)、421(4)、及び521(4)のキャビティ全体が器具及び他のツールのための作業用チャネルとして利用可能であるという点で、チューブレスである。従って、本開示におけるデバイス100の作業用チャネル(並びに個々には、先端側キャップ220、関節運動継ぎ手120、及びシャフト150のための作業用チャネル)は、従来の内視鏡デバイスのための典型的な作業用チャネルの断面よりも大きな断面積を有する。
【0033】
従来の内視鏡作業用チャネルに比べて大きな作業用チャネルの設計とする意義は、より大きな作業用チャネルであれば有益となる臨床的適用において実現される。そのような適用には、例えば、粘性液又は非ニュートン流体の吸引又はアスピレーションが挙げられる。大きな断面積を備えた作業用チャネルについて関連する適用の一例は、肺及び気道の中の粘液及び凝固血の吸引である。
【0034】
ルーメン221(4)、421(4)、及び521(4)の中にインナーチューブが設けられないので、カメラケーブル、LEDワイヤ及び関節運動ワイヤで占められることのない先端側キャップ220、関節運動継ぎ手210、及びシャフト部分150の内側の空間は、デバイス100の作業用チャネル(例えば大型で非円形の作業用チャネル)として使用することができる。このように、先端側キャップ220、関節運動継ぎ手210、及びシャフト150は各々が、デバイス100の機能的使用の際の分離の助けとなる4つの分離したルーメンを有し、機能的使用には、デバイス100の作業用チャネルのルーメン221(4)、421(4)、及び521(4)を介した器具の通行が挙げられるが、この器具の通行は、分離がなければルーメン221(1)~221(3)、421(1)~421(3)、及び521(1)~521(3)に設けられたワイヤ及びケーブルの邪魔になったであろう。
【0035】
図3A、4A、及び5に示されるように、ルーメン221(4)、421(4)、及び521(4)はそれぞれ、非円形の断面形状を有しうる。よって、デバイス100の作業用チャネルは非円形の断面形状を有することができる。1例において、ルーメン221(4)、421(4)、及び521(4)は、「アカエイ」又は「貝殻」の断面形状を有する(かつその結果として、デバイス100の作業用チャネルはこれらの断面形状を有しうる)。1例において、デバイスの作業用チャネルの壁は、1以上のワイヤを受承する他のルーメンを、少なくとも部分的に、又は完全に、画成することができる。例えば、ルーメン221(4)、421(4)、及び521(4)の壁は、他のルーメン(例えばルーメン221(1)~221(3)、421(1)~421(3)、及び521(1)~521(3)のうち少なくともいずれか)の境界を規定する。
【0036】
ここで図6を参照すると、同図はデバイス100のためのハンドル110の側断面図である。ハンドル110の断面には、吸引ポート116、器具ポート118、臍部張力緩衝部122、分割アダプタ510、y体コネクタ520、吸引チューブ530、カム輪540、親指レバー550、関節運動ワイヤ240(1)及び240(2)が示されている。分割アダプタ510及びy体コネクタ520は、本明細書中でさらに図7A~7Cに関して説明する。概して、分割アダプタ510は、ワイヤをシャフト150の適正なルーメン521(1)~521(3)、関節運動継ぎ手210のルーメン421(1)~421(3)、及び先端側キャップ220のルーメン221(1)~221(3)へと送るように構成される。吸引ポート116は吸引チューブ530に接続されている。器具ポート118は、例えば作業用チャネル228を介しての、潅注及び内視鏡デバイス110の中での器具の方向付けのうち少なくともいずれかを行うことができる有弁ポートである。例えば、器具ポート118は、器具及びツールの使用を可能にするために、チューブレス作業用チャネル228と接続する、すなわち同チャネルへの出入りを可能とすることができる。カム輪540は関節運動ワイヤ240(1)及び240(2)に接続されている。関節運動ワイヤのうちの一方は上向きの関節運動に使用され(例えば関節運動ワイヤ240(1))、関節運動ワイヤのもう一方は下向きの関節運動に使用される(例えば関節運動ワイヤ240(2))。親指レバーはカム輪540を回すために使用され、カム輪は上/下の関節運動のために関節運動ワイヤ240(1)及び240(2)を調整する。
【0037】
ここで図7Aを参照すると、同図は分割アダプタ510及びy体コネクタ520の第1の側面図600を示している。図7Aは、ハンドル110がシャフト150と相互連結している時の該ハンドルの拡大した一部分を示している。図7Aは、シャフト部分150、分割アダプタ510、yコネクタ520、関節運動ワイヤ240(1)及び240(2)、並びにワイヤハーネス(例えば、LEDワイヤ及びカメラワイヤ/ケーブルをまとめているもの)610を示している。分割アダプタ510は基端部でy体コネクタ520に、先端部でシャフト部分150に接続している。関節運動ワイヤ240(1)及び240(2)並びにワイヤハーネス610は、参照数字611、612、及び613で示された側方開口部/チャネル(「開口部」)を通って分割アダプタ510に入る。図7Aに示されるように、側方開口部611は関節運動ワイヤ240(1)を受承するように構成され、側方開口部612は関節運動ワイヤ240(2)を受承するように構成され、側方開口部613はワイヤハーネス610を受承するように構成されている。1例において、分割アダプタ510は、シャフト150のルーメンの経路を分離するためのルーメン分割アダプタとも呼ばれる。分割アダプタ510はさらに基端側開口部(図7Aには示されていない)も有している。分割アダプタ150の基端側開口部はy体コネクタ520と相互連結している。
【0038】
分割アダプタ510は、関節運動ワイヤ240(1)及び240(2)並びにワイヤハーネス610をシャフト150の適正なルーメンの中へ誘導するように構成されている。例えば、分割アダプタ510は、開口部613を介してワイヤハーネス610をシャフトのルーメン521(1)に誘導し、開口部611を介して関節運動ワイヤ240(1)をシャフト150のルーメン521(2)に誘導し、開口部612を介して関節運動ワイヤ240(2)をシャフト150のルーメン521(3)に誘導する。このように、分割アダプタ510はデバイス100ワイヤ配線(例えば電子ワイヤ配線及び関節運動ワイヤ)を分離し、その結果シャフト150のルーメン521(4)は、関節運動継ぎ手210のルーメン421(4)及び先端側キャップ220のルーメン221(4)と共に、デバイス100のための作業用チャネルとして利用可能である。その結果として、デバイス100の作業用チャネルは、ワイヤ類(例えば関節運動ワイヤ240(1)及び240(2)並びにワイヤハーネス610)と干渉することなくシャフト150から先端側キャップ220まで伸びる。分割アダプタ510は、シャフト部分150を通って伸びるルーメンにワイヤ類を適正に誘導することにより、チューブレス作業用チャネルを可能とする。
【0039】
分割アダプタ510は、接続部分(図7Aには示されていない)を介してハンドル110に結合される。分割アダプタ510は、開口部のうち適正な1つにおいてワイヤを受承し、かつワイヤはその適正な開口部の中で、開口部を閉止するためにワイヤの周囲かつ開口部の内側一杯に配置された接着剤を用いて密閉される。例えば、分割アダプタ510は、開口部611において関節運動ワイヤ240(1)を受承し、開口部612において関節運動ワイヤ240(2)を受承し、開口部613においてワイヤハーネス610を受承する。続いて接着剤が、開口部611の関節運動ワイヤ240(1)の周囲、開口部612の関節運動ワイヤ240(2)の周囲、及び開口部613の関節運動ワイヤ240(3)の周囲に配置されて、開口部を閉止しルーメンを外部環境から遮断する。図面には、アダプタ510の開口部各々を覆っている接着剤は示されていない。
【0040】
図7Bは、分割アダプタ510及びy体コネクタ520の第2の側面図650を示す。図7Bに示されるように、関節運動ワイヤ240(1)は分割アダプタ510の上部開口部611に誘導され、関節運動ワイヤ240(2)は分割アダプタ510の底部開口部612に誘導され、かつワイヤハーネス610は分割アダプタ510の開口部613に誘導される。よって、上記の図7Aに関して記載されるように、分割アダプタ510は、1以上のワイヤをシャフト150の対応するルーメンに、開口部を介して適正に誘導することができる。結果として、1以上のワイヤは分離され、互いに干渉することも、デバイス100の作業用チャネルと干渉することもない。上記の図7Aに関して記載されるように、分割アダプタ510は接続部分を介してハンドル110と係合又は結合し、かつ接着剤が、開口部を閉止してデバイス100のルーメンを密閉するために、ワイヤ及び開口部の周囲で分割アダプタ510に対して配置される。
【0041】
上記に図7Aに関して記載されたように、分割アダプタ510はy体コネクタ520と相互連結する基端側開口部(図7Bには示されていない)を有する。y体コネクタ520は、図7Bに示された吸引チャネル620を介して分割アダプタ510の基端側開口部を吸引ポート116に接続する。y体コネクタ520はさらに、チャネル630を介して分割アダプタ510の基端側開口部を器具ポート118にも接続する。よって、吸引チャネル620、y体コネクタ520、分割アダプタ510の基端側開口部、シャフト150、及び先端部152を経由して、吸引ポート116からデバイス100の先端部へと吸引作業を行うことが可能である。同様に、器具ポート118は、チャネル630、y体コネクタ520、分割アダプタ510の基端側開口部、シャフト150の作業用チャネル、先端部152の関節運動継ぎ手210の作業用チャネル、及び先端側キャップ220の作業用チャネルを経由して、器具及びツールのうち少なくともいずれかをデバイスの作業用チャネルへと誘導するために使用可能である。
【0042】
図7Cは、分割アダプタ510の斜視図670を示す。表示671(a)は、関節運動ワイヤ240(2)を受承するための開口部612及びワイヤハーネス610を受承するための開口部613を示す。表示671(a)はさらに、参照数字614において、分割アダプタ510の基端側開口部を示す。図7A及び7Bに関して上述されるように、分割アダプタ510の基端側開口部614は、y体コネクタ520と相互連結又は係合するように構成されている。表示671(a)は、分割アダプタ510をハンドル110に結合するためにハンドル110の受承部分に係合する接続部分680を示す。例えば、接続部分680は、ハンドル110の受承部分に係合するか又は「差し込まれて」、分割アダプタ510がハンドル110に結合されるか又は取り付けられるようになっていてよい。図7Cの表示671(b)は、関節運動ワイヤ240(1)を受承するための開口部611、及び基端側開口部614を示す。
【0043】
本開示の他の実施形態は、本明細書中に開示された本発明の詳説及び実践を考慮すれば当業者には明白となろう。詳説及び実施例は、以降の特許請求の範囲によって本発明の真の範囲及び思想が示されたうえでの例示にすぎないと見なされるように意図されている。
【0044】
当然のことであるが、本明細書中に記載された医療用デバイスのうちいずれかの1以上の態様を、当分野で知られた任意の他の医療用デバイス、例えば医療用撮像システム若しくは他のスコープ類であって結腸内視鏡、気管支鏡、尿管鏡、十二指腸内視鏡など、又は他の種類の撮像装置と組み合わせて使用可能である。
【0045】
同じく当然のことであるが、本明細書中に記載された医療用デバイスのうちいずれかの1以上の態様を、人体の任意の部分における検知、モニタリング、又は組織アブレーションに使用可能である。例えば、本明細書中に記載された医療用デバイスのうち任意のものを、内視鏡的胆道膵管撮影、結腸内視鏡検査、がん検診、粘液性病変の検査、並びに/又は、その他の処置であって組織の除去及び種類の検出のうち少なくともいずれかを必要とするものなどの医療処置において使用することができる。
【0046】
本開示の原理は特定の用途に関する例証の実施例を参照して本明細書中に記載されているが、当然ながら本開示はそれらに限定されるものではない。当業者でありかつ本明細書中に提供された教示を利用すれば、いずれも本明細書中に記載された実施例の範囲に入る追加の改変形態、用途、及び等価物の代用について、認識するであろう。従って、本発明は先述の説明によって限定されるものと考えるべきではない。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6
図7A
図7B
図7C
【手続補正書】
【提出日】2024-07-10
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハンドルと、
前記ハンドルに接続されたシャフトであって、前記シャフトの基端部から前記シャフトの先端部へと延びる第1の複数のルーメンを含み、前記第1の複数のルーメンのうち第1のルーメンは医療用器具を受承するための第1の作業用チャネルであり、前記第1の作業用チャネルは貝殻の形状を有する、ハンドルと、
前記シャフトに接続された関節運動継ぎ手であって、前記関節運動継ぎ手の基端部から前記関節運動継ぎ手の先端部へと延びる第2の複数のルーメンを含み、前記第2の複数のルーメンのうち第1のルーメンは前記医療用器具を前記第1の作業用チャネルから受承するための第2の作業用チャネルであり、前記第2の作業用チャネルは貝殻の形状を有する、関節運動継ぎ手と、を備える内視鏡デバイス。
【請求項2】
前記関節運動継ぎ手に接続された先端側キャップをさらに備え、前記先端側キャップは、前記先端側キャップの基端部から前記先端側キャップの先端部へと延びる第3の複数のルーメンを含む、請求項1に記載の内視鏡デバイス。
【請求項3】
前記第3の複数のルーメンのうち第1のルーメンは、前記医療用器具を受承するための第3の作業用チャネルである、請求項2に記載の内視鏡デバイス。
【請求項4】
前記先端側キャップの前記第3の作業用チャネルは、前記シャフトの前記第1の作業用チャネル及び前記関節運動継ぎ手の前記第2の作業用チャネルの両法と同じ断面積及び同じ断面形状を有する、請求項3に記載の内視鏡デバイス。
【請求項5】
前記先端側キャップの前記第3の作業用チャネルは、貝殻の形状を有する、請求項3に記載の内視鏡デバイス。
【請求項6】
前記シャフトの前記第1の複数のルーメンのうち第2のルーメンは、撮像及び照明のうちの少なくともいずれか一方のための1以上のワイヤを受承する、請求項1~5のいずれか一項に記載の内視鏡デバイス。
【請求項7】
第1の関節運動ワイヤが、前記第1の複数のルーメンのうち第3のルーメンを通して延びる、請求項1~6のいずれか一項に記載の内視鏡デバイス。
【請求項8】
第2の関節運動ワイヤが、前記第1の複数のルーメンのうち第4のルーメンを通して延びる、請求項7に記載の内視鏡デバイス。
【請求項9】
前記第1の作業用チャネルの壁は、前記第1の複数のルーメンのうち他のルーメンの境界を画成する、請求項1~8のいずれか一項に記載の内視鏡デバイス。
【請求項10】
前記第2の作業用チャネルの壁は、前記第2の複数のルーメンのうち他のルーメンの境界を画成する、請求項1~9のいずれか一項に記載の内視鏡デバイス。
【請求項11】
前記第1の作業用チャネルは、前記シャフトの断面積の19%~32.6%を占める、請求項1~10のいずれか一項に記載の内視鏡デバイス。
【請求項12】
前記シャフトは、前記第1の作業用チャネルを通して延びる別個のチューブを欠いている、請求項1~11のいずれか一項に記載の内視鏡デバイス。
【請求項13】
前記ハンドルは、複数の側方開口部及び基端側開口部を有するアダプタを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の内視鏡デバイス。
【請求項14】
前記複数の側方開口部のうち第1の側方開口部は、撮像及び照明のうちの少なくともいずれか一方のためのワイヤを受承する、請求項13に記載の内視鏡デバイス。
【請求項15】
前記第1の側方開口部以外の他の側方開口部は、前記関節運動継ぎ手の関節運動のための関節運動ワイヤを受承するための開口部である、請求項14に記載の内視鏡デバイス。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0046
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0046】
本開示の原理は特定の用途に関する例証の実施例を参照して本明細書中に記載されているが、当然ながら本開示はそれらに限定されるものではない。当業者でありかつ本明細書中に提供された教示を利用すれば、いずれも本明細書中に記載された実施例の範囲に入る追加の改変形態、用途、及び等価物の代用について、認識するであろう。従って、本発明は先述の説明によって限定されるものと考えるべきではない。
本開示に含まれる技術的思想を以下に記載する。
(付記1)
アダプタを備えたハンドルであって、前記アダプタはアダプタの側方又は基端部に1以上の開口部を画成している、ハンドルと、
シャフトであって、前記ハンドルに接続されておりかつ前記シャフトの基端部からシャフトの先端部へと伸びる複数のルーメンを有し、前記複数のルーメンのうち第1のルーメンは医療用器具を受承するための作業用チャネルである、シャフトと、
前記ハンドルの内部の1以上のワイヤであって、各々が、前記1以上のワイヤを第1のルーメン以外の対応するルーメンへ、かつシャフトの先端部へと誘導するためのアダプタに、1以上の開口部を通して入っている、1以上のワイヤと
を具備している、内視鏡デバイス。
(付記2)
前記複数のルーメンのうち第2のルーメンは、撮像及び照明のうち少なくともいずれか一方のためのワイヤを受承するルーメンである、付記1に記載の内視鏡デバイス。
(付記3)
前記第1のルーメン及び前記第2のルーメン以外のルーメンは、デバイスの関節運動のための関節運動ワイヤを受承するように各々構成されたルーメンである、付記2に記載の内視鏡デバイス。
(付記4)
前記複数のルーメンは正確に4つのルーメンを具備している、付記1~3のいずれか1つに記載の内視鏡デバイス。
(付記5)
前記1以上のワイヤのうち第1のワイヤは撮像用及び照明用のうち少なくともいずれか一方である、付記1~4のいずれか1つに記載の内視鏡デバイス。
(付記6)
前記第1のワイヤ以外のワイヤはデバイスの関節運動のための関節運動ワイヤである、付記5に記載の内視鏡デバイス。
(付記7)
前記アダプタは、複数の側方開口部と、基端側開口部とを有する、付記1~6のいずれか1つに記載の内視鏡デバイス。
(付記8)
前記複数の側方開口部のうち第1の側方開口部は、撮像用及び照明用のうち少なくともいずれか一方のワイヤを受承する開口部であり、前記第1の側方開口部以外の他の側方開口部は、デバイスの関節運動のための関節運動ワイヤを受承するように各々構成された開口部である、付記7に記載の内視鏡デバイス。
(付記9)
前記基端側開口部は、前記デバイスの器具ポート及び吸引ポートのうち少なくともいずれか一方への通路を提供するように構成された開口部である、付記1~8のいずれか1つに記載の内視鏡デバイス。
(付記10)
作業用チャネルはシャフトの第1のルーメン内にインナーチューブを設けられていない、付記1~9のいずれか1つに記載の内視鏡デバイス。
(付記11)
作業用チャネルを画成している壁は、複数のルーメンのうち1以上のワイヤを受承する他のルーメンを少なくとも部分的に画成する、付記1~10のいずれか1つに記載の内視鏡デバイス。
(付記12)
作業用チャネルの断面積は、複数のルーメンのうち他のルーメン各々の断面積よりも大きい面積を有する、付記1~11のいずれか1つに記載の内視鏡デバイス。
(付記13)
作業用チャネルの断面形状は非円形である、付記1~12のいずれか1つに記載の内視鏡デバイス。
(付記14)
関節運動継ぎ手であって、シャフトに接続され、かつ関節運動継ぎ手の基端部から関節運動継ぎ手の先端部へと伸びる複数のルーメンを有している関節運動継ぎ手をさらに具備しており、前記関節運動継ぎ手の第1のルーメンは、医療用器具を受承するための関節運動継ぎ手のための作業用チャネルである、付記1~13のいずれか1つに記載の内視鏡デバイス。
(付記15)
前記関節運動継ぎ手のための作業用チャネルは、前記シャフトのための作業用チャネルと同じ大きさの断面及び同じ断面形状を有している、付記14に記載の内視鏡デバイス。