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  • 特開-庖丁及び鋏研ぎ器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124588
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】庖丁及び鋏研ぎ器
(51)【国際特許分類】
   B24B 3/54 20060101AFI20240906BHJP
   A47J 47/16 20060101ALI20240906BHJP
   B24B 3/52 20060101ALI20240906BHJP
   B24B 3/36 20060101ALI20240906BHJP
   B24D 15/08 20060101ALI20240906BHJP
   B24D 3/00 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
B24B3/54
A47J47/16 P
B24B3/52 A
B24B3/36 M
B24D15/08 Z
B24D3/00 320B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032347
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】594035460
【氏名又は名称】有限会社竹内快速鋸
(74)【代理人】
【識別番号】100066821
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 建治
(74)【代理人】
【識別番号】100180149
【弁理士】
【氏名又は名称】庄司 修
(72)【発明者】
【氏名】竹内 英治
【テーマコード(参考)】
3C063
3C158
4B066
【Fターム(参考)】
3C063AA02
3C063BA02
3C063BB02
3C063BH01
3C063CC16
3C063EE04
3C063EE07
3C158AA02
3C158AA09
3C158AA14
3C158CB03
3C158DB01
3C158DB02
3C158DB08
4B066EE42
(57)【要約】
【課題】庖丁や裁ち鋏の研ぎ回数を従来のものに比し増大し、製品寿命を著しく延命にした庖丁及び鋏研ぎ器を提供する。
【解決手段】握持体aの上面部1の所定個所に円柱形状や円筒形状の研ぎ部5を有する砥石bを握持体aの長手方向に対し稍傾斜状に装着し、握持体aの上面部1に、右端部に鋭角状傾斜部2を形成せしめる左側蓋体cをスライド自在に装着せしめ、握持体aの上面部1に左端部に鋭角状傾斜部2の傾斜角度よりも小さい傾斜角度の鋭角状傾斜部3を形成せしめる右側蓋体dをスライド自在に装着せしめると共に、左側蓋体cの鋭角状傾斜部2と右側蓋体dの鋭角状傾斜部3を、砥石bの上方部位に対向状に配備して、刃挿入部4を形成せしめ組立てられている。
【選択図】 図4


【特許請求の範囲】
【請求項1】
握持体の上面部の所定個所に円柱形状もしくは円筒形状の研ぎ部を有する砥石を前記握持体の長手方向に対し稍傾斜状に装着し、前記握持体の上面部に、右端部に鋭角状傾斜部を形成せしめる左側蓋体をスライド自在に装着せしめ、且前記握持体の上面部に左端部に前記鋭角状傾斜部の傾斜角度よりも小さい傾斜角度の鋭角状傾斜部を形成せしめる右側蓋体をスライド自在に装着せしめると共に、前記左側蓋体の鋭角状傾斜部と前記右側蓋体の鋭角状傾斜部を、前記砥石の上方部位に対向状に配備して、刃挿入部を形成せしめ組立てられていることを特徴とする庖丁及び鋏研ぎ器。
【請求項2】
前記砥石の研ぎ部が、ダイヤモンドの粉末をコーティングし形成されていることを特徴とする請求項1に記載の庖丁及び鋏研ぎ器。
【請求項3】
前記握持体の上面部から下面部にかけて、前記砥石を収納する嵌挿部が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の庖丁及び鋏研ぎ器。
【請求項4】
細長孔を有する前記左側蓋体と細長孔を有する前記右側蓋体が、前記握持体の上面部に突設するネジ孔付き突出部に、ボルトを前記細長孔を通して螺着せしめ組立てられていることを特徴とする請求項1に記載の庖丁及び鋏研ぎ器。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、庖丁及び鋏研ぎ器の技術分野に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来庖丁研ぎ器として、特許文献1に係る特許第3991158号が開示されており、該庖丁研ぎ器は、研磨砥石とゲージとなる砥石とを対向状に軸杆とナットを介して握持体に回転自在に装着せしめた構造であり、そのため庖丁を研ぐ際に、必ず前記両砥石間の挿入部に、庖丁の刃部を挿入し、挿入した庖丁を握ったまま2~3回前後に往復運動をするだけで切れ味の良い庖丁研ぎがなされていた。
【0003】
さらに、従来庖丁研ぎ器とその使用方法として、特許文献2に係る特許第6226164号が開示されており、前記特許文献1の庖丁研ぎ器と同様、ダイヤモンド粉末をコーティングする円盤状研磨砥石と、ダイヤモンド粉末をコーティングしない円盤状研磨砥石とを対向状に軸杆を貫通しナットで軸着せしめた粗砥用砥石体と、仕上用砥石体を並列状に回転自在に握持体の上面部に嵌着せしめた構造である。そのため庖丁を研ぐ際に、必ず両砥石間の挿入部に庖丁の刃部を挿入しなければならなかった。
【0004】
前記した従来の庖丁研ぎ器は、庖丁研ぎ体の研磨砥石が、庖丁の刃部を研ぐ際に必ず同一の庖丁挿入部に刃部が挿入し前後に2~3回擦ると云う手法のため、ダイヤモンド粉末をコーティングした円盤状研磨砥石のダイヤモンドが、稍早く剥がれると云う弊害があった。そのため製品寿命が短命であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3991158号公報
【特許文献2】特許第6226164号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は以下のとおりである。
【0007】
本発明の庖丁及び鋏研ぎ器は、円柱形状もしくは円筒形状の外周囲部にダイヤモンド粉末をコーティングした砥石を、握持体の上面部に稍傾斜状に装着し、右端部に鋭角状傾斜部を有するスライド自在な左側蓋体と、左端部に鋭角状傾斜部を有する右側蓋体を、対向状にして、且前記砥石の上方部にして且前記握持体の上面部に配備せしめ組立てた構成なので、前記両側蓋体の位置を、前記砥石の上面に左右何れかの方向にスライドさせ固着することによって、庖丁もしくは裁ち鋏の研ぎ回数を従来のものに比し著しく増大せしめることができると共に、従来の庖丁研ぎ器よりも製品寿命を著しく延命にした。
【課題を解決するための手段】
【0008】
課題を解決するための手段として、請求項1に記載の発明は、握持体aの上面部1の所定個所に円柱形状もしくは円筒形状の研ぎ部5を有する砥石bを前記握持体aの長手方向に対し稍傾斜状に装着し、前記握持体aの上面部1に、右端部に鋭角状傾斜部2を形成せしめる左側蓋体cをスライド自在に装着せしめ、且前記握持体aの上面部1に左端部に前記鋭角状傾斜部2の傾斜角度よりも小さい傾斜角度の鋭角状傾斜部3を形成せしめる右側蓋体dをスライド自在に装着せしめると共に、前記左側蓋体cの鋭角状傾斜部2と前記右側蓋体dの鋭角状傾斜部3を、前記砥石bの上方部位に対向状に配備して、刃挿入部4を形成せしめ組立てられていることを特徴とする庖丁及び鋏研ぎ器である。
【0009】
課題を解決するための手段として、請求項2に記載の発明は、前記砥石bの研ぎ部5が、ダイヤモンドの粉末をコーティングし形成されていることを特徴とする請求項1に記載の庖丁及び鋏研ぎ器である。
【0010】
課題を解決するための手段として、請求項3に記載の発明は、前記握持体aの上面部1から下面部6にかけて、前記砥石bを収納する嵌挿部7が形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の庖丁及び鋏研ぎ器である。
【0011】
課題を解決するための手段として、請求項4に記載の発明は、細長孔9を有する前記左側蓋体cと細長孔10を有する前記右側蓋体dが、前記握持体aの上面部1に突設するネジ孔付き突出部11、12に、ボルト13を前記細長孔9、10を通して螺着せしめ組立てられていることを特徴とする請求項1に記載の庖丁及び鋏研ぎ器である。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、上述のとおりの構成なので、握持体の上面部に、前記左右両側蓋体を対向状に固着せしめ形成された刃挿入部に、庖丁もしくは裁ち鋏の刃先を前記砥石の研ぎ部の表面部に刃先が当るまで挿入し、刃先が当たったら前記握持体を左手で握持したまま庖丁等の柄部を握り締めている右手を前後に3~4回擦るだけで切れ味の良い庖丁もしくは鋏の刃を研ぎ上げることができる。
【0013】
また本発明は、前記握持体の上面部に固定せしめた前記左右両側蓋体を緩め、左右両サイドにスライドし、再度締め付ければ、未使用状態のダイヤモンド粉末をコーティングした砥石の研ぎ部上に僅かの距離をスライドさせるだけで、庖丁等刃部の刃挿入部をスライドして形成できるので、常に新鮮な庖丁等の刃部の研ぎ部を利用して長期間にわたり研ぐことができる。
【0014】
本発明は、さらに前記したように、対向状に組立てられている左右両側蓋体の間隔を調整することによって、庖丁の刃部よりも厚い構造の裁ち鋏の刃部をも挿入可能な刃挿入部を極めて簡単に形成できる。そのため前記裁ち鋏の刃部をも極めて容易に研ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明庖丁及び鋏研ぎ器の正面図である。
【0016】
図2】同研ぎ器を構成する左右両サイドの蓋体を左側方にスライドさせた状態の正面図である。
【0017】
図3】同研ぎ器を構成する左右両サイドの蓋体を除去した状態の平面図である。
【0018】
図4】同研ぎ器の組立て前の斜視図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明の請求項1~4に記載の発明の実施の形態は共通しているので、図面に基づき一括して以下のとおり説明する。
【0020】
図において符号aは細長形状に形成せしめた握持体である。該握持体aには、上面部1の所定個所、例えば中央部に、後述する砥石bを収納せしめる図3、4に図示する嵌挿部7を形成する。該嵌挿部7は、前記握持体aの長手方向に対し、左側方が前記握持体aの前方部寄りに若干傾斜せしめ、他方右側方が前記握持体aの後方部寄りに若干傾斜状に形成されている。
【0021】
さらに本発明における前記砥石bの構造は、図面図示のようにダイヤモンド粉末をコーティングする円柱形状もしくは円筒形状の研ぎ部5と、前記研ぎ部5の左右両サイド部に突出する軸杆8、8aを形成する。さらに前記研ぎ部5と軸杆8、8aは主として金属製である。また前記ダイヤモンド粉末のコーティングは、前記した2件の従来の庖丁研ぎ器を構成する円盤状研磨砥石にダイヤモンド粉末をコーティングしたものと同様に付着せしめ形成する。
【0022】
さらに、前記嵌挿部7について説明すると、図3、4に図示するように、前記砥石bの研ぎ部5を嵌挿する広い収納部7aと、軸杆8、8aを嵌挿する狭い収納部7bが連接して形成されている。
【0023】
前記嵌挿部7に嵌挿する前記砥石bは、組立てると図1、2に図示するように、研ぎ部5の表面部が前記握持体aの上面部1と同一面となる。
【0024】
前記砥石bは、前記嵌挿部7に嵌挿し組立てられたときの好適な傾斜角度が、前記握持体aの長手方向の軸線に対し、約14°である。ただし限定的ではない。
【0025】
図において符号cは握持体aの上面部1に、右端部に鋭角状傾斜部2を形成せしめ、且上面部に細長孔8を形成せしめた左側蓋体である。
【0026】
符号dは左端部に鋭角状傾斜部3と、上面部に細長孔9を有する右側蓋体である。
【0027】
前記左側蓋体cの右端部に形成した鋭角状傾斜部2と、前記右側蓋体dの左端部に形成した鋭角状傾斜部3の傾斜角度は、図1、2、4に図示するように、刃挿入部4から庖丁等の刃部等が挿入しやすくするために傾斜角度が若干相違している。
【0028】
符号11は、前記握持体aの上面部1に突出する雌ネジ部11aを嵌挿し組立てられているネジ孔付き突出部であって、ボルト13を左側蓋体cの細長孔9に螺着する。その際前記左側蓋体cは、前記握持体aの上面部1を左右何れかの方向にスライドができるように、前記握持体aの上面部1に平行状に突設する係止部14が、前記左側蓋体cの底面部15の内側部16に接触し係止されている。そして前記左側蓋体cは、細長い前記細長孔9の長さ分だけ突出部11と螺着している前記ボルト13によって離脱せずにスライドする。
【0029】
図において符号12は、前記握持体aの上面部1に突出する雌ネジ部12aを嵌挿し組立てられているネジ孔付き突出部であって、ボルト13を右側蓋体dの細長孔10に螺着する。その際前記右側蓋体dは、前記握持体aの上面部1を左右何れかの方向にスライドできるように、前記握持体aの上面部1に平行状に突設する係止部14が、前記右側蓋体dの底面部15の内側部16に接触し係止されている。そして前記右側蓋体dは、細長い前記細長孔10の長さ分だけ突出部12と螺着している前記ボルト13によって離脱せずにスライドする。
【0030】
前記ネジ孔付き突出部11、12は、前記握持体aの上面部1に突出し形成されているから、図4に図示するように、雌ネジ部11a、12aを別設し、握持体aの上面部1に突設した突出部11、12に嵌挿し組立てることができる。
【0031】
<庖丁の刃部及び鋏の刃部の研ぎ方法>
(A)庖丁の刃部の研ぎ方法について説明すると以下のとおりである。
【0032】
庖丁の刃部を研ぐときは、図1、2に図示したように、握持体aの上面部1に左側蓋体cの鋭角状傾斜部2と、右側蓋体dの鋭角状傾斜部3とを対向状に砥石bの上方部位に位置するようにボルト13を弛緩せしめ、弛緩後は固定して刃挿入部4を形成する。
【0033】
左手で握持体aを握持後、前記刃挿入部4に、右手で握持している庖丁の刃部を先頭に挿入する。
【0034】
前記のように挿入せしめた庖丁の刃先は、若干傾斜した状態で砥石bの研ぎ部5の表面部5aに接触している。
【0035】
しかる後、握持している庖丁を前後方向に3~4回擦ると、庖丁の刃部は傾斜状態となって、砥石bの研ぎ部5に若干抵抗しながら回転し研ぎ上げられる。
【0036】
(B)鋏の刃部の研ぎ方法について説明すると以下のとおりである。
【0037】
鋏の刃部は、庖丁の刃部より厚いので、対向状になっている左側蓋体cの鋭角状傾斜部2と、右側蓋体dの鋭角状傾斜部3との間隔を、前記庖丁の刃部の研ぎ時の刃挿入部4の間隔より若干広くする。その作業工程は、ボルト13、13を弛め左右両サイドの蓋体c、dを、左右両サイドにスライドさせて前記ボルト13、13を締付ける。
【0038】
上記のようにして、刃挿入部4を若干広くしておき、鋏の刃部を前記刃挿入部4に挿入する。刃先は若干傾斜して砥石bの研ぎ部5に接触する。
【0039】
しかる後、握持している鋏を前後方向に3~4回擦ると鋏の刃部は傾斜状態の砥石bに若干抵抗しながら回転し研ぎ上げられる。
【0040】
図において符号17は、握持体aの下方底部より、前記砥石bの下方部位を被覆せしめる板状蓋体である。
【0041】
以上本発明の実施例を図面に基づいて説明したが、本発明は、図示例の限りではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲において、当業者が通常に行う設計変更、応用のバリエーションの範囲を含むことを念のために言及する。
【符号の説明】
【0042】
a 握持体
b 砥石
c 左側蓋体
d 右側蓋体
1 上面部
2 鋭角状傾斜部
3 鋭角状傾斜部
4 刃挿入部
5 研ぎ部
6 下面部
7 嵌挿部
7a 収納部
7b 収納部
8 軸杆
8a 軸杆
9 細長孔
10 細長孔
11 突出部
11a 雌ネジ部
12 突出部
12a 雌ネジ部
13 ボルト
14 係止部
15 底面部
16 内側部
17 板状蓋体
図1
図2
図3
図4