(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124600
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】マンコンベヤ
(51)【国際特許分類】
B66B 31/02 20060101AFI20240906BHJP
B66B 31/00 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
B66B31/02 A
B66B31/00 C
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032384
(22)【出願日】2023-03-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-12
(71)【出願人】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大恵 淳
【テーマコード(参考)】
3F321
【Fターム(参考)】
3F321EA01
3F321EC07
3F321HA23
(57)【要約】
【課題】 乗客が手摺ベルトを掴む場所の制約を受けないマンコンベヤを提供する。
【解決手段】 マンコンベヤは、人を搬送するために走行する搬送部と、搬送部と同期して走行する手摺ベルトと、搬送部に乗る人を検出する人検出部と、手摺ベルトを清掃する清掃装置と、人検出部による人の検出に基づいて手摺ベルトの清掃領域を設定し、走行してきた清掃領域を清掃するように清掃装置を制御する制御装置と、を備える。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人を搬送するために走行する搬送部と、
前記搬送部と同期して走行する手摺ベルトと、
前記搬送部に乗る人を検出する人検出部と、
前記手摺ベルトを清掃する清掃装置と、
前記人検出部による人の検出に基づいて前記手摺ベルトの清掃領域を設定し、走行してきた前記清掃領域を清掃するように前記清掃装置を制御する制御装置と、を備える、マンコンベヤ。
【請求項2】
前記人検出部と前記清掃装置は、降り部に配置される、請求項1に記載のマンコンベヤ。
【請求項3】
前記搬送部の前後方向の端部に設けられる複数の床プレートを備え、
前記人検出部は、前記複数の床プレートのうち前後方向の最も内側の床プレートに位置する人、又は水平方向に走行する前記搬送部に位置する人を検出する、請求項1又は2に記載のマンコンベヤ。
【請求項4】
前記制御装置は、前記人検出部が人を検出してからの経過時間と、前記手摺ベルトの走行速度とに基づいて、前記清掃領域の現在位置を演算する、請求項1又は2に記載のマンコンベヤ。
【請求項5】
前記制御装置は、設定時間毎に、前記手摺ベルトの全体を清掃するように、前記清掃装置を制御する、請求項1又は2に記載のマンコンベヤ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、マンコンベヤに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、手摺ベルトに所定間隔毎に設けられた目印部材と、走行する手摺ベルトの目印部材をセンサで検出し、目印部材に清掃液を噴霧するスプレーと、清掃液が噴霧された目印部材の汚れを拭いて清掃する拭き掃除器とを有するマンコンベヤが開示されている。
【0003】
特許文献1では、目印部材の箇所のみ清掃し、目印部材以外の箇所は手摺ベルトが汚れた状態であるため、乗客は手摺ベルトを掴む場所の制約を受ける。これにより、乗客は手摺ベルトを掴むことを躊躇する、もしくは、掴まないため危険な状態でマンコンベヤを利用するおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、課題は、乗客が手摺ベルトを掴む場所の制約を受けないマンコンベヤを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
マンコンベヤは、人を搬送するために走行する搬送部と、
前記搬送部と同期して走行する手摺ベルトと、
前記搬送部に乗る人を検出する人検出部と、
前記手摺ベルトを清掃する清掃装置と、
前記人検出部による人の検出に基づいて前記手摺ベルトの清掃領域を設定し、走行してきた前記清掃領域を清掃するように前記清掃装置を制御する制御装置と、を備える。
なお、本明細書において、「搬送部に乗る人」とは、「搬送部に乗っている人」の他、「搬送部に乗り込もうとしている人」及び「搬送部に乗っていた人」も含む概念である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図6】同実施形態に係るマンコンベヤの制御ブロック図
【発明を実施するための形態】
【0008】
各図面において、構成要素の寸法は、例えば、理解を容易にするために、実際の寸法に対して拡大、縮小して示す場合があり、また、各図面の間での寸法比は、一致していない場合がある。なお、各図面において、例えば、理解を容易にするために、構成要素の一部を省略して示す場合がある。
【0009】
第1、第2等の序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するために用いられるが、この用語は、一つの構成要素を他の構成要素から区別する目的でのみ用いられ、構成要素は、この用語によって特に限定されるものではない。なお、序数を含む構成要素の個数は、特に限定されず、例えば、一つでもよい場合がある。また、以下の明細書及び図面で用いられる序数は、特許請求の範囲に記載された序数と異なる場合がある。
【0010】
以下、マンコンベヤにおける一実施形態について、
図1~
図8を参照しながら説明する。なお、各図において、図面の寸法比と実際の寸法比とは、必ずしも一致しておらず、また、各図面の間での寸法比も、必ずしも一致していない。
【0011】
図1に示すように、マンコンベヤ1は、例えば、躯体に設置される構造体2と、人を搬送する搬送部3と、搬送部3を第1方向D1で挟むように配置される一対の欄干部4(各図において、一つのみを図示している場合もある)と、搬送部3及び欄干部4を駆動させる駆動部5と、装置全体を制御する制御装置6とを備えていてもよい。
【0012】
各図において、第1方向D1は、水平方向と平行な方向である幅方向(「第1横方向」ともいう)D1であり、第2方向D2は、水平方向と平行な方向であって、且つ、幅方向D1と直交する前後方向(「第2横方向」ともいう)D2であり、第3方向D3は、幅方向D1及び前後方向D2と直交する鉛直方向であって、上下方向D3である。
【0013】
本実施形態に係るマンコンベヤ1は、人を搬送するために、踏面が階段状になるエスカレータであるが、斯かる構成に限られない。例えば、マンコンベヤ1は、人を搬送するために、踏面が平面状となる移動歩道(動く歩道)であってもよい。
【0014】
搬送部3は、例えば、本実施形態のように、駆動部5に駆動されることによって回転して走行する無端環状の走行部3aと、走行部3aに接続されることによって走行部3aと共に走行し、人が乗る踏面を有する複数のステップ3bとを備えていてもよい。特に限定されないが、走行部3aは、例えば、ローラチェーンとしてもよい。
【0015】
また、例えば、走行部3aは、幅方向D1に離れて一対設けられ、複数のステップ3bは、一対の走行部3a,3aの間に配置されていてもよい。そして、ステップ3bは、それぞれの走行部3aに対して幅方向D1を軸にして回転可能に接続されていてもよい。
【0016】
欄干部4は、例えば、回転して走行する無端環状の手摺ベルト4aと、手摺ベルト4aを支持する欄干本体部4bと、欄干本体部4bの下部を覆うカバー部4cとを備えていてもよい。
【0017】
駆動部5は、例えば、本実施形態のように、駆動源(例えば、モータ)5aと、ステップ3bが反転するように走行部3aが巻き掛けられ、幅方向D1を軸にして回転する一対の第1回転部5b,5bと、手摺ベルト4aが巻き掛けられ、幅方向D1を軸にして回転する第2回転部5cと、駆動源5aの駆動を第1回転部5b及び第2回転部5cに伝達する伝達部5dとを備えていてもよい。
【0018】
これにより、走行部3a及び手摺ベルト4aは、共通の駆動源5aからの駆動を受けることによって、走行している。したがって、手摺ベルト4aの走行は、ステップ3bの走行と同期している。そして、手摺ベルト4aの走行速度は、ステップ3bの走行速度に比例している(具体的には、ステップ3bの走行速度と同じである)。
【0019】
マンコンベヤ1は、搬送部3に対し乗り降りするために、搬送部3の前後方向D2の各端部に乗降部1a,1bを備えている。乗降部1a,1bは、構造体2の機械室2a,2bを上方から覆うように、構造体2に取り付けられる複数の床プレート7a,7bを備えている。なお、乗降部1a,1bは、搬送部3に対し乗り降りするための領域であり、床プレート7a,7bの上方の領域のみならず、床プレート7a,7bと略水平に繋がるステップ3bの上方の領域も含まれる。
【0020】
図2及び
図3に示すように、床プレート(「コムプレート」ともいう)7bは、例えば、床プレート7aよりも、前後方向D2の内側に配置されていてもよい。これにより、床プレート7bは、乗降部1a,1bの床の前後方向D2における端部を構成している。
【0021】
そして、搬送部3が、ステップ3bに乗る人を前方へ搬送することによって、人は、一方の乗降部1a(1b)から他方の乗降部1b(1a)へ搬送される。なお、本明細書においては、前後方向D2及び左右方向D1は、搬送部3で搬送される人(即ち、ステップ3bに乗る人)を基準にして定められる。
【0022】
例えば、人が搬送部3によって斜め上方へ搬送されている場合は、各図において、第2方向D2の矢印方向は、前方となり、第1方向D1の矢印方向は、左方となる。また、例えば、人が搬送部3によって斜め下方へ搬送されている場合は、各図において、第2方向D2の矢印方向は、後方となり、第1方向D1の矢印方向は、右方となる。
【0023】
以下、人が上方へ搬送されている場合を前提に、マンコンベヤ1の構成を説明する。すなわち、下方側の乗降部1aは、乗り部1aとなり、上方側の乗降部1bは、降り部1bとなる。
【0024】
そして、マンコンベヤ1は、ステップ3bに乗る人を検出するために、
図2及び
図3に示すように、乗降部1a,1bに人を検出する人検出部8,9を備えている。人検出部8,9は、乗降部1a,1bに人が存在するか否かを検出する。なお、
図2及び
図3においては、上方側の乗降部(降り部)1bのみが図示されているが、マンコンベヤ1は、下方側の乗降部(乗り部)1aにも人を検出する人検出部8,9を備えている。
【0025】
特に限定されないが、第1人検出部8は、
図2及び
図3に示すように、幅方向D1に向けて投射される光電センサ(例えば、透過型、反射型)とし、欄干部4の下部(具体的には、カバー部4cの内部)に配置されてもよい。また、第1人検出部8は、床プレート7bの上方に配置されており、床プレート7bに位置する人を検出することができる。
【0026】
特に限定されないが、第2人検出部9は、前後方向D2に向けて投射される光電センサ(例えば、反射型)とし、欄干部4の下部(具体的には、カバー部4cの内部)に配置されてもよい。また、第2人検出部9は、床プレート7aの上方に配置されており、床プレート7aに位置する人を検出することができる。
【0027】
なお、各人検出部8,9は、斯かる構成に限られない。例えば、各人検出部8,9は、光電センサ、人感センサ又は画像センサとし、乗降部1a,1bの上方に配置されていてもよい。また、例えば、各人検出部8,9は、接触センサ、圧力センサ又は重量センサとし、乗降部1a,1bの下方(例えば、床プレート7a,7b又は床プレート7a,7bよりも下方の位置)に配置されていてもよい。
【0028】
図4に示すように、ステップ3bに乗る人は、そのステップ3bの上方又は斜め上前方に位置する手摺ベルト4aの一部を掴む。手摺ベルト4aのうち人が掴んだ把持位置4dは、清掃されることが望まれる。なお、本明細書において、「清掃」とは、手摺ベルト4aの表面の汚れを拭き取る行為に限定されず、手摺ベルト4aの表面の汚れをエアで吹き飛ばす行為、手摺ベルト4aへ向けて紫外線を照射して殺菌(除菌)する行為等も含み、汚れ、菌、ウィルス等を除去する(減少させる)行為を広く意味する。ステップ3bに対する把持位置4dの相対位置は、個人差があるため、把持位置4dを含む領域4eが、清掃対象となる清掃領域4eとして設定され、後述する清掃装置10によって清掃される。
【0029】
図5に示すように、マンコンベヤ1は、手摺ベルト4aを清掃する清掃装置10を備えている。清掃装置10は、降り部1bに配置されている。特に限定されないが、清掃装置10は、手摺ベルト4aの汚れを拭き取る装置とし、欄干部4の下部(具体的には、カバー部4cの内部)に収容されてもよい。なお、
図5においては、左側の欄干部4のみ図示されているが、マンコンベヤ1は、右側の欄干部4にも清掃装置10を備えており、左右の清掃装置10は、同じタイミングで手摺ベルト4aを清掃する。
【0030】
また、特に限定されないが、清掃装置10は、手摺ベルト4aに向かって清掃液を噴霧する噴霧部10aと、手摺ベルト4aの汚れを拭き取る拭き掃除部10bとを備えている。噴霧部10aは、手摺ベルト4aの下方に配置され、上端部から手摺ベルト4aの清掃領域4eに向かって清掃液を噴霧する。拭き掃除部10bは、手摺ベルト4aの下方に配置され、且つ噴霧部10aよりも手摺ベルト4aの走行方向下流側に配置されている。拭き掃除部10bは、例えば、紙製や布製の不図示の拭き取り部材と、この拭き取り部材を手摺ベルト4aに対して押圧する不図示の駆動機構と、を備えている。駆動機構は、拭き取り部材を手摺ベルト4aに対して押圧する拭き取り位置と、拭き取り部材を手摺ベルト4aから離す退避位置とに移動させる。拭き取り部材は、通常時には退避位置に配置されており、走行してきた清掃領域4eと対向するとき拭き取り位置に移動される。
【0031】
また、
図6に示すように、マンコンベヤ1は、各種情報が入力される入力部11と、各種情報が出力される出力部12とを備えていてもよい。特に限定されないが、例えば、入力部11に入力される情報として、運転モード情報(手動運転選択、自動運転選択)、運転指示情報(運転開始指示、運転停止指示)、ステップ走行方向情報(上側搬送選択、下側搬送選択)、ステップ走行速度(定格速度運転選択、低速度運転選択)等としてもよい。
【0032】
また、特に限定されないが、入力部11は、例えば、スイッチ(押しボタンスイッチ、セレクトスイッチ等)、タッチパネル等とすることができる。また、特に限定されないが、出力部12は、例えば、音声部(例えば、ブザー、スピーカ)、表示部(例えば、表示板、表示灯)等とすることができる。
【0033】
制御装置6は、例えば、本実施形態のように、各情報(データ)を取得する取得部13と、各情報を記憶する記憶部14と、各情報を演算する演算部15と、マンコンベヤ1を制御する制御部16とを備えていてもよい。
【0034】
制御装置6は、例えば、一つの装置で構成されていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置で構成されていてもよい。具体的には、制御装置6の各部13,14,15,16は、例えば、一つの装置に備えられていてもよく、また、例えば、互いに通信可能な複数の装置に分散して備えられていてもよい。
【0035】
なお、制御装置6は、CPU及びMPU等のプロセッサ(例えば、演算部15、制御部16)、ROM及びRAM等のメモリ(例えば、取得部13、記憶部14)、各種インターフェイス(例えば、取得部13)等を備えるコンピュータである。そして、メモリに格納されたプログラムをプロセッサが実行し、ソフトウェア及びハードウェアが協働することによって、制御装置6の各部13,14,15,16が実現されている。
【0036】
演算部15は、例えば、本実施形態のように、マンコンベヤ1に乗る人の有無を判定する有人判定部15aと、清掃領域4eを設定する清掃領域設定部15bと、走行する清掃領域4eの現在位置を演算する現在位置演算部15cと、を備えている。
【0037】
制御部16は、例えば、本実施形態のように、ステップ3b及び手摺ベルト4aの走行を制御するために、駆動部5を制御する駆動制御部16aと、清掃装置10を制御する清掃制御部16bと、出力部12を制御する出力制御部16cとを備えていてもよい。
【0038】
有人判定部15aは、例えば、人検出部8,9の検出に基づいて、マンコンベヤ1に乗る人の有無を判定してもよい。特に限定されないが、例えば、人検出部8,9が人を検出した場合に、有人判定部15aは、乗る人が存在する(有人)と判定し、人検出部8,9が最後に人を検出した後に、所定時間(例えば、ステップ3bが1/2周の距離を走行する時間+30秒)が経過した場合に、有人判定部15aは、乗る人が存在しない(無人)と判定する、という構成でもよい。
【0039】
駆動制御部16aは、例えば、自動運転制御中において省エネルギーを図る等を目的として、有人判定部15aの判定に基づいて、駆動部5を制御してもよい。これにより、ステップ3b及び手摺ベルト4aの走行速度は、有人判定部15aの判定に基づいて、制御される。
【0040】
清掃領域設定部15bは、例えば、第1人検出部8による人の検出に基づいて、手摺ベルト4aの清掃領域4eを設定する。
図7に示すように、第1人検出部8が人を検出したとき、その人は、乗っていたステップ3bから床プレート7bに乗り移る状態である。そのため、第1人検出部8が人を検出したとき、その人がそれまで乗っていたステップ3bを推定することができる。清掃領域設定部15bは、人が乗っていたと推定されるステップ3bの上方又は斜め上前方の領域を清掃領域4eに設定する。これにより、清掃領域4eは、人が実際に掴んだ把持位置4dを含むように設定される。
【0041】
清掃領域4eの前後方向D2の長さは、例えば、ステップ3bの前後方向D2の幅の1~2倍である。特に限定されないが、本実施形態では、清掃領域4eは、人が乗っていたと推定されるステップ3bと、このステップ3bの前方に隣接するステップ3bの上方に位置する領域である。
【0042】
現在位置演算部15cは、走行する清掃領域4eの現在位置を演算する。具体的には、現在位置演算部15cは、第1人検出部8が人を検出してからの経過時間と、手摺ベルト4aの走行速度とに基づいて、清掃領域4eの現在位置を演算する。清掃領域4eは、手摺ベルト4aの走行に伴って移動するため、清掃領域4eの走行距離は、手摺ベルト4aの走行速度に走行時間を掛けたものである。清掃領域4eの現在位置を演算することで、走行する清掃領域4eが清掃装置10に対向する位置に到達したか否かが分かる。
【0043】
清掃制御部16bは、走行してきた清掃領域4eを清掃するように清掃装置10を制御する。具体的には、清掃制御部16bは、走行する清掃領域4eに向かって清掃液を噴霧するように噴霧部10aを制御し、清掃液が噴霧された清掃領域4eに対して拭き取り部材を押圧するように拭き掃除部10bを制御する。
【0044】
本実施形態に係るマンコンベヤ1の構成については以上の通りであり、次に、本実施形態に係るマンコンベヤ1の制御について説明する。
【0045】
搬送部3から降りる人が第1人検出部8によって検出されると、
図7に示すように、制御装置6は、手摺ベルト4aの清掃領域4eを設定する。その後、
図8に示すように、清掃装置10は、走行してきた清掃領域4eに向かって清掃液を噴霧し、清掃領域4eの汚れを拭き取る。これにより、人が掴んだ把持位置4dを適切に清掃することができる。その結果、手摺ベルト4aに汚れた場所が存在しないため、乗客は手摺ベルト4aを掴む場所の制約を受けない。また、人が掴んだ把持位置4dを選択的に清掃できるため、清掃液、清掃シート等の量を減らすことができる。
【0046】
また、マンコンベヤ1は、設定時間(例えば、1時間)毎に、手摺ベルト4aの全周を清掃するようにしてもよい。例えば、人が搬送部3を歩きながら手摺ベルト4aの複数箇所を掴んだことにより、清掃領域4eを正確に設定することができない場合等、手摺ベルト4aを適切に清掃することができない場合がある。設定時間毎に、手摺ベルト4aの全周を清掃することで、手摺ベルト4aを適切に清掃できる。
【0047】
[1]
以上より、マンコンベヤ1は、本実施形態のように、人を搬送するために走行する搬送部3と、前記搬送部3と同期して走行する手摺ベルト4aと、前記搬送部3に乗る人を検出する人検出部8,9と、前記手摺ベルト4aを清掃する清掃装置10と、前記人検出部8,9(本実施形態では、第1人検出部8)による人の検出に基づいて前記手摺ベルト4aの清掃領域4eを設定し、走行してきた前記清掃領域4eを清掃するように前記清掃装置10を制御する制御装置6と、を備える、という構成が好ましい。
【0048】
斯かる構成によれば、人が掴んだ場所を適切に清掃することができるため、手摺ベルト4aに汚れた場所が存在せず、乗客は手摺ベルト4aを掴む場所の制約を受けない。
【0049】
[2]
また、上記[1]のマンコンベヤ1においては、本実施形態のように、前記人検出部8,9と前記清掃装置10は、降り部1bに配置される、という構成が好ましい。
【0050】
斯かる構成によれば、人検出部8,9が、搬送部3から降りる人を検出し、人検出部8,9の近くに配置された清掃装置10が、降りた人が掴んでいた清掃領域4eを適切に清掃することができる。例えば、人検出部8,9と清掃装置10が離れて配置されると、清掃領域4eの現在位置を正確に演算することが難しくなる。
【0051】
[3]
また、上記[1]又は[2]のマンコンベヤ1においては、本実施形態のように、前記搬送部3の前後方向D2の端部に設けられる複数の床プレート7a,7bを備え、前記人検出部8,9は、前記複数の床プレート7a,7bのうち前後方向D2の最も内側の床プレート7bに位置する人、又は水平方向に走行する前記搬送部3に位置する人(本実施形態では、床プレート7bに位置する人)を検出する、という構成が好ましい。
【0052】
斯かる構成によれば、人検出部8,9は、人が乗るステップ3bを精度よく推定することができる。
【0053】
[4]
また、上記[1]~[3]の何れかのマンコンベヤ1においては、本実施形態のように、前記制御装置6は、前記人検出部8,9が人を検出してからの経過時間と、前記手摺ベルト4aの走行速度とに基づいて、前記清掃領域4eの現在位置を演算する、という構成が好ましい。
【0054】
斯かる構成によれば、清掃領域4eの現在位置を正確に演算することができるため、走行する清掃領域4eを適切に清掃することができる。
【0055】
[5]
また、上記[1]~[4]の何れかのマンコンベヤ1においては、本実施形態のように、前記制御装置6は、設定時間毎に、前記手摺ベルト4aの全周を清掃するように、前記清掃装置10を制御する、という構成が好ましい。
【0056】
斯かる構成によれば、手摺ベルト4aの全周を適切に清掃することができる。
【0057】
なお、マンコンベヤ1は、上記した実施形態の構成に限定されるものではなく、また、上記した作用効果に限定されるものではない。また、マンコンベヤ1は、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。例えば、下記する各種の変更例に係る構成や方法等を任意に一つ又は複数選択して、上記した実施形態に係る構成や方法等に採用してもよいことは勿論である。
【0058】
(A)上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、人検出部8,9と清掃装置10は、降り部1bに配置される、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、人検出部8,9と清掃装置10は、乗り部1aに配置される、という構成でもよい。また、人検出部8,9と清掃装置10は、乗り部1aと降り部1bの両方に配置される、という構成でもよい。また、人検出部8,9と清掃装置10の一方が、乗り部1aに配置され、他方が、降り部1bに配置される、という構成でもよい。
上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、降り部1bの人検出部8,9で搬送部3に乗っていた人を検出し、降り部1bの清掃装置10で手摺ベルト4aを清掃する、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。マンコンベヤ1は、降り部1bの人検出部8,9で搬送部3に乗っていた人を検出し、乗り部1aの清掃装置10で手摺ベルト4aを清掃する、という構成でもよい。この場合、手摺ベルト4aの清掃領域4eは、降り部1bから乗り部1aへ構造体2内を手摺ベルト4aの約半周分走行した後に、清掃される。
また、マンコンベヤ1は、乗り部1aの人検出部8,9で搬送部3に乗り込もうとしている人を検出し、降り部1bの清掃装置10で手摺ベルト4aを清掃する、という構成でもよい。
さらに、マンコンベヤ1は、乗り部1aの人検出部8,9で搬送部3に乗り込もうとしている人を検出し、乗り部1aの清掃装置10で手摺ベルト4aを清掃する、という構成でもよい。この場合、手摺ベルト4aの清掃領域4eは、降り部1bから乗り部1aへ構造体2内を手摺ベルト4aの約半周分走行した後に、清掃される。
【0059】
(B)上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、搬送部3の前後方向D2の端部に設けられる複数の床プレート7a,7bを備え、人検出部8,9は、複数の床プレート7a,7bのうち前後方向D2の最も内側の床プレート7bに位置する人を検出する、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、人検出部8,9(本実施形態では、第2人検出部9)は、複数の床プレート7a,7bのうち床プレート7aに位置する人を検出する、という構成でもよい。
【0060】
また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、第1人検出部8は、床プレート7bの上方に配置されているが、これに限定されない。人が乗っているステップ3bを精度よく推定できるように、第1人検出部8は、
図9に示すように、床プレート7bの手前側に配置されてもよい。このとき、第1人検出部8は、水平方向に走行する搬送部3(ステップ3b)に位置する人を検出する。
さらに、第1人検出部8は、搬送部3の途中に配置され、斜め上方(又は斜め下方)に走行する搬送部3(ステップ3b)に位置する人を検出するようにしても構わない。
【0061】
さらに、上記のように、人検出部8,9は、乗降部1a,1bの上方に配置される人感センサ又は画像センサであってもよく、乗降部1a,1bの下方に配置される接触センサ、圧力センサ又は重量センサであってもよい。
【0062】
(C)上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、制御装置6は、人検出部8,9が人を検出してからの経過時間と、手摺ベルト4aの走行速度とに基づいて、清掃領域4eの現在位置を演算する、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、制御装置6は、画像センサによって清掃領域4eの現在位置を特定する、という構成でもよい。例えば、人の体温で色が変化する示温材を手摺ベルト4aの表面にラッピングすることで、人が掴んだ把持位置4dが分かるため、画像センサで把持位置4dを検出することで、把持位置4dを含む清掃領域4eの現在位置を正確に特定することができる。
【0063】
(D)上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、制御装置6は、設定時間毎に、手摺ベルト4aの全周を清掃するように、清掃装置10を制御する、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、制御装置6は、乗り部1aの第2人検出部9が最後に人を検出した後に、所定時間(例えば、ステップ3bが1/2周の距離を走行する時間+30秒)が経過した場合に、手摺ベルト4aの全周を清掃する、という構成でもよい。
【0064】
また、制御装置6は、清掃した清掃領域4eを記憶しておき、所定時間毎に、清掃領域4e以外の箇所を清掃するように、清掃装置10を制御する、という構成でもよい。
【0065】
(E)上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、清掃装置10は、手摺ベルト4aに向かって清掃液を噴霧する噴霧部10aと、手摺ベルト4aの汚れを拭き取る拭き掃除部10bとを備えている、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、清掃装置10は、噴霧部10aを備えず、拭き掃除部10bによって手摺ベルト4aの汚れを拭き取るのみであってもよい。また、例えば、清掃装置10は、手摺ベルト4aへ向けて紫外線を照射する紫外線照射装置であってもよい。
【0066】
また、上記実施形態に係るマンコンベヤ1においては、清掃装置10は、欄干部4のカバー部4cの内部に収容されている、という構成である。しかしながら、マンコンベヤ1は、斯かる構成に限られない。例えば、清掃装置10は、カバー部4cの外部に配置されている、という構成でもよい。
【符号の説明】
【0067】
1…マンコンベヤ、1a…乗降部、1b…乗降部、2…構造体、2a…機械室、2b…機械室、3…搬送部、3a…走行部、3b…ステップ、4…欄干部、4a…手摺ベルト、4b…欄干本体部、4c…カバー部、4d…把持位置、4e…清掃領域、5…駆動部、5a…駆動源、5b…第1回転部、5c…第2回転部、5d…伝達部、6…制御装置、7a…床プレート、7b…床プレート、8…人検出部、9…人検出部、10…清掃装置、10a…噴霧部、10b…拭き掃除部、11…入力部、12…出力部、13…取得部、14…記憶部、15…演算部、15a…有人判定部、15b…清掃領域設定部、15c…現在位置演算部、16…制御部、16a…駆動制御部、16b…清掃制御部、16c…出力制御部、D1…左右方向、D2…前後方向、D3…上下方向
【手続補正書】
【提出日】2023-12-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人を搬送するために走行する搬送部と、
前記搬送部と同期して走行する手摺ベルトと、
前記搬送部に乗る人を検出する人検出部と、
前記手摺ベルトを清掃する清掃装置と、
前記人検出部による人の検出に基づいて前記手摺ベルトの清掃領域を設定し、走行してきた前記清掃領域を清掃するように前記清掃装置を制御する制御装置と、を備え、
前記人検出部と前記清掃装置は、降り部に配置される、マンコンベヤ。
【請求項2】
前記搬送部の前後方向の端部に設けられる複数の床プレートを備え、
前記人検出部は、前記複数の床プレートのうち前後方向の最も内側の床プレートに位置する人、又は水平方向に走行する前記搬送部に位置する人を検出する、請求項1に記載のマンコンベヤ。
【請求項3】
前記制御装置は、前記人検出部が人を検出してからの経過時間と、前記手摺ベルトの走行速度とに基づいて、前記清掃領域の現在位置を演算する、請求項1又は2に記載のマンコンベヤ。
【請求項4】
前記制御装置は、設定時間毎に、前記手摺ベルトの全体を清掃するように、前記清掃装置を制御する、請求項1又は2に記載のマンコンベヤ。