(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124606
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
H04N1/00 L
H04N1/00 127A
【審査請求】未請求
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032390
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100145838
【弁理士】
【氏名又は名称】畑添 隆人
(74)【代理人】
【識別番号】100103137
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 滋
(74)【代理人】
【識別番号】100216367
【弁理士】
【氏名又は名称】水谷 梨絵
(72)【発明者】
【氏名】島▲崎▼ 克仁
(72)【発明者】
【氏名】堺 雅晃
【テーマコード(参考)】
5C062
【Fターム(参考)】
5C062AA05
5C062AB02
5C062AB10
5C062AB20
5C062AB23
5C062AB32
5C062AB38
5C062AB40
5C062AC02
5C062AC05
5C062AC38
5C062AC58
5C062AC65
5C062AF02
5C062AF08
5C062AF12
5C062AF14
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ユーザが画像読取装置の利用に関して所望する設定を行うための設定情報を自動で取得する。
【解決手段】通信手段を介して互いに通信可能に接続された1又は複数のスキャナ1A、1B、ユーザ管理クラウドサーバ2、1又は複数の連携クラウドサーバ8A、8Bを備える情報処理システム9において、スキャナは、ユーザを識別可能な識別情報及び/又は該識別情報を取得可能な情報が記載された識別媒体と1又は複数の原稿の読み取りを行う読取手段による読取処理により得られる画像を取得する画像取得部と、画像を取得する際に得られる情報に基づいて、該画像が識別媒体の画像であるか否かを検知する検知部と、識別媒体の画像として検知された画像に基づいて識別情報を取得するユーザ認識部と、ユーザ管理クラウドサーバの記憶手段に記憶された、読取手段を利用するユーザのうちの識別されるユーザが所望する設定情報を取得する設定情報取得部と、を備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザを識別可能な識別情報及び/又は該識別情報を取得可能な情報が記載された識別媒体と1又は複数の原稿の読み取りを行う読取手段による読取処理により得られる画像を取得する画像取得手段と、
前記画像が取得される際に得られる情報に基づいて、該画像が前記識別媒体の画像であるか否かを検知する検知手段と、
前記識別媒体の画像として検知された前記画像に基づいて前記識別情報を取得するユーザ認識手段と、
取得された前記識別情報を用いることにより、前記読取手段を利用する複数のユーザの夫々が所望する前記読取手段の利用に関する設定情報を記憶する記憶手段に記憶された、前記識別情報により識別されるユーザが所望する前記設定情報を取得する設定情報取得手段と、
を備える情報処理システム。
【請求項2】
前記画像取得手段は、積載部に積載された前記識別媒体及び前記1又は複数の原稿が順次搬送されて前記読取手段により前記読取処理が行われることで得られる画像を取得する、
請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
取得された前記設定情報に基づく処理が実行されるよう該設定情報に応じた設定を行う設定手段を更に備える、
請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記設定情報は、前記読取手段における読取処理及び/又は前記読取手段による読取処理により生成される読取画像に対して画像処理を行う画像処理手段における該画像処理についての設定情報を含み、
前記設定手段は、前記読取処理及び/又は前記画像処理についての設定情報に応じた、前記読取設定及び/又は前記画像処理設定を行う、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記読取手段及び/又は前記画像処理手段を更に備え、
前記読取手段及び/又は前記画像処理手段は、前記読取処理及び/又は前記画像処理についての設定情報に応じて行われた前記読取設定及び/又は前記画像処理設定に基づき、前記1又は複数の原稿についての読取処理及び/又は前記1又は複数の原稿の読取画像に対する画像処理を行う、
請求項4に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記設定情報は、前記1又は複数の原稿の画像を保存する保存先についての設定情報を含み、
前記設定手段は、前記保存先についての設定情報に応じた保存先設定を行う、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記1又は複数の原稿の画像を送信する画像送信手段を更に備え、
前記画像送信手段は、前記保存先についての設定情報に応じて行われた前記保存先設定に基づき、前記1又は複数の原稿の画像を送信する、
請求項6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記検知手段は、前記画像が取得される際に得られる情報に基づいて、前記識別媒体の所定の特徴を検知することで、前記画像が前記識別媒体の画像であることを検知する、
請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記検知手段は、取得された前記画像に基づいて前記識別媒体の所定の特徴を検知することで、前記画像が前記識別媒体の画像であることを検知する、
請求項8に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記検知手段は、前記画像が取得される際に検知された、読取対象を透過した光の量に基づいて前記識別媒体の所定の特徴を検知することで、前記画像が前記識別媒体の画像であることを検知する、
請求項8に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記ユーザ認識手段は、前記識別媒体の画像として検知された前記画像に対して所定の認識処理を行うことにより、前記識別情報を取得する、
請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記記憶手段は外部サーバに設けられており、
前記設定情報取得手段は、前記外部サーバに対して前記識別情報を送信することにより、該外部サーバから、前記識別情報により識別されるユーザが所望する前記設定情報を取得する、
請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記設定情報取得手段は、前記識別情報に加え、読み取られた際の前記識別媒体の向き及び/又は読み取り面に基づき、前記識別媒体の向き及び/又は読み取り面に応じた、前記識別情報により識別されるユーザが所望する前記設定情報を取得する、
請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項14】
前記識別媒体の画像として検知された前記画像に基づいて、前記読み取られた際の前記識別媒体の向き及び/又は前記識別媒体の読み取り面を判定する判定手段を更に備える、
請求項13に記載の情報処理システム。
【請求項15】
前記識別情報により識別されるユーザの所望する前記設定情報を、前記識別情報により識別されるユーザに提示する提示手段を更に備える、
請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項16】
前記提示手段は、前記識別情報により識別されるユーザが所望する前記設定情報に含まれる複数の設定値を、該複数の設定値から所望の設定値を前記ユーザが選択可能な形式で提示する、
請求項15に記載の情報処理システム。
【請求項17】
ユーザの前記読取手段に係る利用量に応じた課金処理を行う課金処理手段、又は、該課金処理手段による該課金処理に用いられる、前記ユーザの前記読取手段に係る利用量に関する情報を送信する利用情報送信手段を更に備える、
請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項18】
前記識別媒体に、高画質での読取処理を所望することを示す所定の情報が記載されているかを、前記識別媒体の画像として検知された前記画像を用いて判定する記載情報判定手段を更に備え、
前記設定手段は、前記識別媒体に前記所定の情報が記載されていると判定された場合に、前記原稿束についての読取処理が高画質で行われるよう読取設定を行う、
請求項3に記載の情報処理システム。
【請求項19】
前記識別媒体は、カードである、
請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項20】
コンピュータが、
ユーザを識別可能な識別情報及び/又は該識別情報を取得可能な情報が記載された識別媒体と1又は複数の原稿の読み取りを行う読取手段による読取処理により得られる画像を取得する画像取得ステップと、
前記画像が取得される際に得られる情報に基づいて、該画像が前記識別媒体の画像であるか否かを検知する検知ステップと、
前記識別媒体の画像として検知された前記画像に基づいて前記識別情報を取得するユーザ認識ステップと、
取得された前記識別情報を用いることにより、前記読取手段を利用する複数のユーザの夫々が所望する前記読取手段の利用に関する設定情報を記憶する記憶手段に記憶された、前記識別情報により識別されるユーザが所望する前記設定情報を取得する設定情報取得ステップと、
を実行する情報処理方法。
【請求項21】
コンピュータを、
ユーザを識別可能な識別情報及び/又は該識別情報を取得可能な情報が記載された識別媒体と1又は複数の原稿の読み取りを行う読取手段による読取処理により得られる画像を取得する画像取得手段と、
前記画像が取得される際に得られる情報に基づいて、該画像が前記識別媒体の画像であるか否かを検知する検知手段と、
前記識別媒体の画像として検知された前記画像に基づいて前記識別情報を取得するユーザ認識手段と、
取得された前記識別情報を用いることにより、前記読取手段を利用する複数のユーザの夫々が所望する前記読取手段の利用に関する設定情報を記憶する記憶手段に記憶された、前記識別情報により識別されるユーザが所望する前記設定情報を取得する設定情報取得手段と、
として機能させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像読取装置に関する設定を行うための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、会議体に関する会議体情報と、ユーザを識別するユーザ識別情報と当該ユーザが属する1以上の会議体の会議体識別情報とを含むユーザ情報を保持管理し、文書読取手段を操作するユーザのユーザ識別情報を取得し、取得されたユーザ識別情報に基づき特定されるユーザが出席しているまたは直前まで出席していた会議を、取得されたユーザ識別情報と保持管理されている情報とに基づき特定し、取得されたユーザ識別情報と特定された会議の会議体識別情報とを含む属性情報を生成し、生成された属性情報を文書読取手段により読み取られた電子文書に付加して文書管理手段に登録し、文書管理手段から電子文書を取得しようとするユーザのユーザ識別情報を取得し、取得されたユーザ識別情報と、当該ユーザ識別情報で識別されるユーザが属する会議体の会議体識別情報の1つとを含む文書取得要求情報を生成し、文書取得要求情報に含まれる会議体識別情報が一致する属性情報が付加された電子文書を、文書管理手段に登録されている電子文書の中から選出するとともに、選出された電子文書をリスト表示して文書管理手段から電子文書を取得しようとするユーザに選択させる読取文書管理システム(特許文献1を参照)が提案されている。
【0003】
また、読取対象物を識別するための読取対象物識別情報と当該読取対象物を所有するユーザのユーザ識別情報とを対応付けて記憶する記憶手段を備える認証サーバであって、画像形成装置から読取対象物識別情報を受信し、受信した読取対象物識別情報を用いてユーザ認証し、有効なユーザでないと判定される場合に、読取対象物識別情報を登録するための読取対象物識別情報登録キーを生成し、画像形成装置に送信し、情報処理装置から読取対象物識別情報登録キーとユーザ識別情報を取得し、読取対象物識別情報とユーザ識別情報とを対応付けて登録する認証サーバ(特許文献2を参照)が提案されている。
【0004】
また、サービス提供店舗に設置されたPOS端末には顧客に関する情報を格納する格納手段が設けられたメンバーカードシステムであって、読み込まれたメンバーカードの顧客情報に基づいて予め定められたサービス情報をタイムリーに表示手段、音声出力手段、印刷手段等で提示するメンバーカードシステム(特許文献3を参照)が提案されている。
【0005】
更に、原稿とジョブシートとを重ねて載置した原稿単位を読み取る手段と、原稿とジョブシートとを判別する手段と判別したジョブシートの内容をメモリする命令記憶部と、原稿に対して画像データを圧縮して収納する画像メモリを有していて、両面画像出力時には片面の画像データを鏡像に変換する画像読取装置(特許文献4を参照)が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4736816号公報
【特許文献2】特許第5678988号公報
【特許文献3】特開2006-251881号公報
【特許文献4】特開平10-161478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来、コンビニや駅、大学、高校、コワーキングスペース等の公の場にスキャナ(共有スキャナ)が設置されることで、多数のユーザによって共有スキャナが利用されている。このような共有スキャナを利用する際、各ユーザは自身が所望する設定(読取設定や出力先の設定等)を自身が手動で行うことが一般的である。しかし、この方法では、スキャナ(画像読取装置)の利用に際し、ユーザが各種設定を手動で行うという手間が生じてしまう。
【0008】
本開示は、上記した問題に鑑み、ユーザが画像読取装置の利用に関して所望する設定を行うための設定情報を自動で取得することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の一例は、ユーザを識別可能な識別情報及び/又は該識別情報を取得可能な情報が記載された識別媒体と1又は複数の原稿の読み取りを行う読取手段による読取処理により得られる画像を取得する画像取得手段と、前記画像が取得される際に得られる情報に基づいて、該画像が前記識別媒体の画像であるか否かを検知する検知手段と、前記識別媒体の画像として検知された前記画像に基づいて前記識別情報を取得するユーザ認識手段と、取得された前記識別情報を用いることにより、前記読取手段を利用する複数のユーザの夫々が所望する前記読取手段の利用に関する設定情報を記憶する記憶手段に記憶された、前記識別情報により識別されるユーザが所望する前記設定情報を取得する設定情報取得手段と、を備える情報処理システムである。
【0010】
本開示は、情報処理装置、システム、コンピュータによって実行される方法またはコンピュータに実行させるプログラムとして把握することが可能である。また、本開示は、そのようなプログラムをコンピュータその他の装置、機械等が読み取り可能な記録媒体に記録したものとしても把握できる。ここで、コンピュータ等が読み取り可能な記録媒体とは、データやプログラム等の情報を電気的、磁気的、光学的、機械的又は化学的作用によって蓄積し、コンピュータ等から読み取ることができる記録媒体をいう。
【発明の効果】
【0011】
本開示によれば、ユーザが画像読取装置の利用に関して所望する設定を行うための設定情報を自動で取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】第一の実施形態に係るシステムの構成を示す概略図である。
【
図2】第一の実施形態における識別媒体(メンバーズカード)の一例を示す図である。
【
図3】第一の実施形態に係るスキャナ及びユーザ管理クラウドサーバの機能構成の概略を示す図である。
【
図4】第一の実施形態における識別媒体(メンバーズカード)を検知する方法を説明するための図である。
【
図5】第一の実施形態における原稿有無センサ(透過型)の一例を示す図である。
【
図6】第一の実施形態における原稿有無センサ(透過・反射型)の一例を示す図である。
【
図7】第一の実施形態に係るスキャン処理の流れの概要を示すフローチャート(1)である。
【
図8】第一の実施形態に係るスキャン処理の流れの概要を示すフローチャート(2)である。
【
図9】第二の実施形態に係るスキャナ及びユーザ管理クラウドサーバの機能構成の概略を示す図である。
【
図10】第二の実施形態における識別媒体(メンバーズカード)の一例を示す図である。
【
図11】第三の実施形態に係るスキャナ1及びユーザ管理クラウドサーバ2の機能構成の概略を示す図である。
【
図12】第三の実施形態における連携先候補の提示例を示す図である。
【
図13】第四の実施形態に係るスキャナ1及びユーザ管理クラウドサーバ2の機能構成の概略を示す図である。
【
図14】第四の実施形態における識別媒体(メンバーズカード)の一例を示す図である。
【
図15】第五の実施形態に係るスキャナ1及びユーザ管理クラウドサーバ2の機能構成の概略を示す図である。
【
図16】第六の実施形態に係るスキャナ1及びユーザ管理クラウドサーバ2の機能構成の概略を示す図である。
【
図17】第六の実施形態に係るスキャン処理の流れの概要を示すフローチャートである。
【
図18】第七の実施形態に係るスキャナ1及びユーザ管理クラウドサーバ2の機能構成の概略を示す図である。
【
図19】第七の実施形態に係るスキャン処理の流れの概要を示すフローチャート(1)である。
【
図20】第七の実施形態に係るスキャン処理の流れの概要を示すフローチャート(2)である。
【
図21】第七の実施形態に係るスキャン処理の流れの概要を示すフローチャート(3)である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示に係る情報処理システム、情報処理装置、方法及びプログラムの実施の形態を、図面に基づいて説明する。但し、以下に説明する実施の形態は、実施形態を例示するものであって、本開示に係る情報処理システム、情報処理装置、方法及びプログラムを以下に説明する具体的構成に限定するものではない。実施にあたっては、実施の態様に応じた具体的構成が適宜採用され、また、種々の改良や変形が行われてよい。
【0014】
[第一の実施形態]
本実施形態及び後述する他の実施形態では、本開示に係る情報処理システム、情報処理装置、方法及びプログラムを、公の場に設置された共有スキャナ又は当該共有スキャナに接続されたサーバにおいて各ユーザが所望する設定情報を取得するためのシステムにおいて実施した場合の実施の形態について説明する。但し、本開示に係る情報処理システム、情報処理装置、方法及びプログラムは、画像読取装置に関する各ユーザの設定情報を取得するための技術について広く用いることが可能であり、本開示の適用対象は、実施形態において示した例に限定されない。
【0015】
<システムの構成>
図1は、本実施形態に係るシステム9の構成を示す概略図である。本実施形態に係るシステム9では、ネットワーク又はその他の通信手段を介して互いに通信可能に接続された1又は複数のスキャナ1、ユーザ管理クラウドサーバ(外部サーバ)2、1又は複数の連携クラウドサーバ(外部サーバ)8を備える。
図1では、システム9が複数のスキャナ1(スキャナ1A、1B、等)を備える例を示すが、システム9が備えるスキャナは1つのみであってもよい。本実施形態におけるスキャナ1は、公共の場に設置されることで、共有スキャナとして複数のユーザによる利用が可能なスキャナである。また、
図1では、システム9が複数の連携クラウドサーバ(外部サーバ)8(連携クラウドサーバ8A、8B、等)を備える例を示すが、システム9が備える連携クラウドサーバは1つのみであってもよい。
【0016】
スキャナ1は、ユーザがセットした、文書、名刺、レシート又は写真/イラスト等の原稿、及び、スキャナ1を操作(利用)するユーザを識別可能な識別情報及び/又は識別情報を取得可能な情報が記載された識別媒体を撮像することで、画像(画像データ)を取得する装置(画像読取装置)である。本実施形態では、画像読取装置としてスキャナを例示するが、画像読取装置はスキャナに限定されず、複合機等であってもよい。本実施形態では、ユーザを識別(特定)可能な識別情報及び/又は当該識別情報を取得可能な情報が記載された識別媒体として、カード(メンバーズカード)を例示するが、読取手段により読取可能な媒体であれば、識別媒体はカードに限定されない。そのため、カードサイズより大きなサイズを有する識別媒体(例えば、A4サイズの紙等)やカードサイズより小さなサイズを有する識別媒体であってもよい。
【0017】
図2は、本実施形態における識別媒体(メンバーズカード)の一例を示す図である。
図2(a)は、識別媒体(メンバーズカード)の表面の一例を示す図であり、
図2(b)は、識別媒体(メンバーズカード)の裏面の一例を示す図である。
図2では、識別情報としてユーザIDを例示する。
図2(a)の例では、メンバーズカードの表面に、当該カードがメンバーズカードであることを示す文字及びユーザの名前(当該カードの保有者の名前)等が記載(印刷)されている。また、
図2(b)の例では、メンバーズカードの裏面に、識別情報(ユーザID)が、アラビア数字及びコード(一次元コード(バーコード)及び二次元コード)の形式で記載(印刷)されている。なお、メンバーズカード(識別媒体)は、表面及び裏面の少なくとも一方の面に、識別情報及び識別情報を取得可能な情報の少なくとも一方が記載されていればよいため、各面に記載される内容は任意の内容であってよい。
【0018】
このように、識別媒体には、ユーザID等の識別情報や、識別情報を取得可能な情報が、文字(数字を含む)、記号、コード等の少なくともいずれかの形式で記載される。なお、識別情報は、ユーザを識別可能な情報であれば上述したユーザIDに限定されず、ユーザ名等の他の情報であってよい。なお、本実施形態では、コードで示されている内容(情報)が識別情報自体(例えば、ユーザID自体)であるコードについては「識別情報」と表現し、コードで示されている内容(情報)が識別情報(ユーザID等)にアクセスするためのURL(Uniform Resource Locator)等であるコードについては「識別情報を取得可能な情報」と表現する。なお、識別情報を取得可能な情報は、上述したURLに限定されず、他の情報であってもよい。本実施形態に係るスキャナ1は、撮像によって得られた画像及び当該画像に基づき得られた情報(ユーザの識別情報等)などを、ネットワークを介してユーザ管理クラウドサーバ2や連携クラウドサーバ8に送信する機能を有する。
【0019】
スキャナ1(スキャナ1A、1B等の各スキャナ)は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置14、タッチパネル等の入力デバイス15、ディスプレイ等の出力デバイス16、NIC(Network Interface Card)等の通信ユニット17、及び読取ユニット(撮像素子により原稿(原稿の画像)等を読み取るユニット)18(本実施形態における読取手段)、等を備えるコンピュータである。但し、スキャナ1の具体的なハードウェア構成に関しては、実施の態様に応じて適宜省略や置換、追加が可能である。また、スキャナ1は、単一の筐体からなる装置に限定されず、所謂クラウドや分散コンピューティングの技術等を用いた、複数の装置によって実現されてよい。そのため、例えば、スキャナに接続された情報処理装置と当該スキャナによって、本実施形態に係るスキャナ1の機能が実現されてもよい。
【0020】
また、本実施形態におけるスキャナ1は、原稿を自動的に給紙するための自動給紙装置(Auto Document Feeder、ADF)(図示を省略)を備える。これより、スキャナ1を操作するユーザは、複数枚の原稿(読取対象)をADFが備える原稿トレイ(積載部)上にセットし読取指示(1回の読取指示)を行うことで、これら複数枚の原稿(読取対象)を自動的に連続して読み取らせることが可能である。なお、本実施形態におけるスキャナ1は、ADFを搭載したフラットベッドスキャナであってもよい。また、本実施形態におけるスキャナ1は、ADFを搭載しないフラッドベッドスキャナであってもよい。実施形態では、ADFに識別媒体と原稿束を併せて積載した上で読取処理を行うこととするが、スキャナ1がADFを搭載しないフラッドベッドスキャナの場合、例えば、識別媒体及び原稿束に含まれる原稿を順次ガラス面に置くことにより読取処理を行うこととする。
【0021】
ユーザ管理クラウドサーバ2は、複数のユーザの夫々が所望する読取手段の利用に関する設定情報を管理(記憶)するサーバである。本実施形態では、ユーザ管理クラウドサーバ2は、ユーザ(又はユーザグループ)が所望する設定情報(ユーザがスキャナ1の利用に関して所望する設定を行うための設定情報)を、当該ユーザ(又はユーザグループ)の識別情報と対応付けて記憶する。ユーザ管理クラウドサーバ2は、スキャナ1からユーザの識別情報を取得し、当該識別情報に基づき当該ユーザが所望する設定情報(以下、「ユーザの設定情報」と称する)を索出し、当該ユーザの設定情報をスキャナ1(ユーザ)に対して提示(送信)する。
【0022】
ユーザ管理クラウドサーバ2は、CPU21、ROM22、RAM23、記憶装置24、入力デバイス25、出力デバイス26、通信ユニット27、等を備えるコンピュータである。但し、ユーザ管理クラウドサーバ2の具体的なハードウェア構成に関しては、実施の態様に応じて適宜省略や置換、追加が可能である。また、ユーザ管理クラウドサーバ2は、単一の筐体からなる装置に限定されず、所謂クラウドや分散コンピューティングの技術等を用いた、複数の装置によって実現されてよい。
【0023】
連携クラウドサーバ8(連携クラウドサーバ8A、8B等の各連携クラウドサーバ)は、ユーザに対して1又は複数のクラウドサービス(例えば、クラウドサービスA、クラウドサービスB、クラウドサービスC等)を提供するサーバである。本実施形態では、ユーザの設定情報に含まれる連携先情報(画像データの出力(保存)先情報)に該当する連携クラウドサーバ8(クラウドサービス)に対して画像データが送信され、連携クラウドサーバ8において当該画像データが保存される。
【0024】
連携クラウドサーバ8は、CPU81、ROM82、RAM83、記憶装置84、入力デバイス85、出力デバイス86、通信ユニット87、等を備えるコンピュータである。但し、連携クラウドサーバ8の具体的なハードウェア構成に関しては、実施の態様に応じて適宜省略や置換、追加が可能である。また、連携クラウドサーバ8は、単一の筐体からなる装置に限定されず、所謂クラウドや分散コンピューティングの技術等を用いた、複数の装置によって実現されてよい。
【0025】
図3は、本実施形態に係るスキャナ1及びユーザ管理クラウドサーバ2の機能構成の概略を示す図である。スキャナ1は、記憶装置14に記録されているプログラムが、RAM13に読み出され、CPU11によって実行されて、スキャナ1に備えられた各ハードウェアが制御されることで、画像取得部31、検知部32、ユーザ認識部33、第1の設定情報取得部34、設定部35及び画像送信部36を備える。なお、本実施形態及び後述する他の実施形態では、スキャナ1の備える各機能は、汎用プロセッサであるCPU11によって実行されるが、これらの機能の一部又は全部は、1又は複数の専用プロセッサによって実行されてもよい。
【0026】
画像取得部31は、ユーザがスキャンしたい1又は複数の原稿(原稿束)の撮像画像(スキャン画像)、及び、ユーザを識別可能な識別情報及び/又は当該識別情報を取得可能な情報が記載された識別媒体の撮像画像(スキャン画像)を取得する。本実施形態では、ユーザがスキャナ1利用時にスキャナ1の原稿トレイ(積載部)に原稿束及び識別媒体を併せてセット(積載)した上でスキャナ1に対して読取指示を行うことで、原稿トレイに積載された識別媒体及び原稿束がADFにより順次搬送されてスキャナ1(読取手段)により読み取られる。これより、画像取得部31は、原稿束及び識別媒体についての撮像画像を取得する。本実施形態では、ユーザが、スキャンしたい原稿束の先頭にユーザのメンバーズカードを加えて原稿トレイにセットすることにより、原稿束に先んじてメンバーズカードの読取処理が実行される場合を例示する。但し、後述するように、メンバーズカードをセットする位置(読み取る順番)は、原稿束の先頭に限定されず、原稿束における原稿と原稿との間や、原稿束の後尾であってもよい。なお、原稿束は、複数枚の原稿の纏まり(束)を意味するが、原稿束は1枚の原稿のみであってもよい。また、原稿(原稿束)は、任意の原稿であってよい。
【0027】
本実施形態では、ユーザによる1回の読取指示により、原稿束及び識別媒体の読取処理(撮像画像の取得処理)が実行されることとする。但し、本実施形態では、原稿束の先頭に加えられたユーザの識別媒体(1枚目の画像)が読み取られた時点で、読取処理を一時停止(中断)することとする。つまり、原稿束についての読取処理はこの時点では実行されないこととする。そして、識別媒体に基づき当該ユーザの設定情報が取得されると、当該設定情報に基づき原稿束についての読取処理が実行されるよう、読取処理を再開することとする。
【0028】
なお、本実施形態では、画像取得部31は、読取ユニット18により実装される読取部311(本実施形態における「読取手段」)と、読取部311により原稿束や識別媒体が読み取られたことで生成された読取画像に対して画像処理を行う画像処理部312(本実施形態における「画像処理手段」)とを備える。本実施形態では、画像取得部31は、読取部311により原稿束及び識別媒体が読み取られる(撮像される)ことで、この読取処理により得られる画像を取得する。ここで、「読取処理により得られる画像」は、読取画像(画像処理が施されていないスキャン画像(生画像))、又は、読取画像に対して画像処理部312による画像処理が行われたことで得られる画像(処理後画像)である。
【0029】
検知部32は、画像取得部31により画像(生画像又は処理後画像)が取得される際に得られる情報に基づいて、当該画像が識別媒体の画像であるか否かを検知する。具体的には、検知部32は、画像が取得される際に得られる情報に基づいて、識別媒体の所定の特徴(例えば、所定の模様、所定の形状、切り欠き、穴、サイズ及び/又は、所定の光透過を検知することで、当該画像が識別媒体の画像であることを検知する。以下、画像が取得される際に得られる情報として、取得された画像(自体)を用いる方法と、画像が取得される際に取得されたセンサ信号を用いる方法について例示する。
【0030】
<取得された画像を用いた検知方法>
この方法では、検知部32は、画像取得部31により取得された画像(読取画像又は処理後画像)に基づいて、識別媒体の所定の特徴を検知することで、当該画像が識別媒体の画像であることを検知する。以下、画像を用いて識別媒体の画像か否かを検知する具体的な方法を例示する。
【0031】
(識別媒体に印刷された所定の模様や形状による検知)
図4は、本実施形態における識別媒体(メンバーズカード)を検知する方法を説明するための図である。
図4のAで示すように、この方法では、予め識別媒体に、識別媒体がスキャンされたことを検知するための所定のマーカー(所定の模様や形状)を印刷(記載)しておく。また、当該所定のマーカーに関する情報を識別媒体の特徴情報として予めスキャナ1(記憶装置14)に記憶しておく。検知部32は、画像分析等を行うことで、取得された画像に当該所定のマーカー(所定の模様や形状)に該当する部分が存在することを検知すると、当該画像は識別媒体の画像であると検知することが可能である。
図4の例では、縦方向に等間隔で配置された3つの正方形のマーク(マーカー)が所定のマーカーとして識別媒体に記載されている。この3つの正方形のマークは、夫々、メンバーズカードの背景色より薄い色で印刷されており、且つ、メンバーズカードの右上と左下に夫々印刷されている。このように、点対象な位置にマーカーを記載しておくことで、どの向きでスキャンが行われてもマーカーを正しく検知することが可能となる。なお、所定のマーカーの種類及びその記載位置は、
図4の例に限定されず、任意の種類のマーカーが任意の位置に記載されてよい。
【0032】
(識別媒体に施された切り欠きや穴による検知)
この方法では、予め識別媒体に所定のマーカーとして所定の切り欠き及び/又は所定の穴を施しておき、当該所定の切り欠き及び/又は所定の穴に関する情報を識別媒体の特徴情報として予めスキャナ1(記憶装置14)に記憶しておく。検知部32は、画像分析等を行うことで、取得された画像に所定のマーカー(所定の切り抜きや穴)に該当する部分が存在することを検知すると、当該画像は識別媒体の画像であると検知することが可能である。
【0033】
(識別媒体の光透過度による検知)
この方法では、予め識別媒体の光透過度(実測値、予測値、又は階調値(0~255の値)により光透過度を示した値等)を識別媒体の特徴情報としてスキャナ1(記憶装置14)に記憶しておく。検知部32は、画像分析等を行うことで、取得された画像に当該所定のマーカー(所定の光透過度を有する領域)に該当する部分が存在することを検知すると、当該画像は識別媒体の画像であると検知することが可能である。なお、所定の光透過度を有する領域に該当する部分が取得された画像に存在するか否かを判定する方法として、例えば、予め特徴情報として記憶された光透過度と、読取対象(シート)がスキャナ1の背景板色(裏あて色)を透過させた度合い(以下、「背景板色の透過度」と称する)とを比較する方法を用いることが可能である。例えば、背景板色の透過度が特徴情報として記憶された光透過度より高い場合や、背景板色の透過度と記憶された光透過度の差分値が所定値以内である場合等に、検知部32は当該画像を識別媒体の画像である(所定の光透過度を有する領域に該当する部分が存在する)と検知する。なお、背景板色の光透過度を比較することで識別媒体の画像であると検知するための条件は、上述した条件以外の任意の条件であってよい。
【0034】
なお、「背景板色の透過度」は、取得された画像の階調値(識別媒体に該当する領域又は当該領域内の一部の領域における階調値の統計量等)に基づき決定され、当該画像の階調値自体であってもよいし、当該画像の階調値に基づき算出された値であってもよい。但し、スキャナ1の背景板色が白色である場合は、画像の階調値が高いほど背景板色の透過度が高いと判定され、スキャナ1の背景板色が黒色である場合は、画像の階調値が低いほど背景板色の透過度が高いと判定されるよう、階調値に基づく背景板色の透過度を求めることとする。
【0035】
(識別媒体のサイズや形状による検知)
この方法では、識別媒体のサイズや形状を識別媒体の特徴情報として予めスキャナ1(記憶装置14)に記憶しておく。識別媒体の形状としては、例えば、識別媒体自体の形状や識別媒体の角の形状等が例示される。角の形状としては、例えば、全ての角が同一の所定形状(非矩形形状等)であることや、複数ある角(例えば、4つの角)のうち所定数の角(例えば、2つの角)が同一の所定形状であること、複数ある角(例えば、4つの角)のうち所定数の角(例えば、3つの角)は第1の所定形状でありその他の角(例えば、1つの角)は第2の所定形状であること等が例示される。検知部32は、画像分析等を行うことで、取得された画像に予め記憶されたサイズや形状に該当するオブジェクト(読取対象)が存在することを検知すると、当該画像は識別媒体の画像であると検知する。
【0036】
<センサ信号を用いた検知方法>
この方法では、例えば、読取対象(原稿又は識別媒体)を透過する光の量を検知するセンサ(光量検知部(図示を省略))による検知光量に基づいて識別媒体の画像であるか否かを検知する方法を用いることが可能である。読取対象を透過する光の量(検知光量)は、読取対象の光透過度と相関がある(例えば、比例する)ため、予め定められている識別媒体の光透過度と検知光量とに基づき、読取対象が識別媒体であるか否かを判定することが可能である。
【0037】
より具体的には、予め検知光量の想定値(予測値)等を識別媒体の特徴情報(識別媒体の光透過度)としてスキャナ1(記憶装置14)に記憶しておく。検知部32は、画像を取得する際(読み取り処理の際)にセンサによって検知された光量(読取対象(原稿又は識別媒体)を透過した光の量)を、予め特徴情報として記憶された光量と比較することにより、当該画像が識別媒体の画像であるか否かを判定(検知)する。例えば、実際の検知光量が特徴情報として記憶された光量より高い場合や、両光量の差分値が所定値以内である場合等に、検知部32は当該画像を識別媒体の画像であると検知する。なお、両光量を比較することで識別媒体の画像であると検知するための条件は、上述した条件以外の任意の条件であってよい。
【0038】
この方法で使用される、読取対象を透過した光の量(読取対象の光透過度)を検知するためのセンサには任意のセンサが用いられてよいが、本実施形態では、一般的なスキャナに搭載されている、発光素子(光源)と受光センサからなる1対のセンサである原稿有無センサ(原稿有無センサ対)を例示する。原稿有無センサは、原稿の有無を検知するセンサであり、原稿の搬送制御や異常検知を行う原稿透過型の光学式センサである。
【0039】
図5は、本実施形態における原稿有無センサ(透過型)の一例を示す図である。
図5に示す原稿有無センサは、搬送路(原稿及び識別媒体の搬送路)を挟んで対向する位置に配置された発光素子と受光センサからなる1対のセンサである。
図5に示すように、発光素子から発せられ搬送路内で読取対象を透過した光を受光センサで受けることにより、光の透過状態に応じた値の検出信号が受光センサから出力される。検知部32は、この受光センサから出力された検出信号(検知光量)を受け取ることで、識別媒体の画像であるか否かを検知する。
【0040】
図6は、本実施形態における原稿有無センサ(透過・反射型)の一例を示す図である。
図6に示す原稿有無センサは、発光素子と受光センサからなる1対のセンサであり、搬送路を挟んで発光素子及び受光センサと反射板とが対向する位置に配置されたセンサである。
図6に示すように、発光素子から発せられ搬送路内で読取対象を透過した光が反射板で反射され、その反射された光を受光センサで受けることにより、光の透過状態に応じた値の検出信号が受光センサから出力される。検知部32は、この受光センサから出力された検出信号(検知光量)を受け取ることで、識別媒体の画像であるか否かを検知する。
【0041】
なお、識別媒体に印刷された所定の模様や形状による検知方法、識別媒体に施された切り欠きや穴による方法、識別媒体の光透過度による検知方法、識別媒体のサイズや形状による検知方法、及びセンサ信号を用いた検知方法のうち何れか1つの方法が用いられてもよいし、これらの方法のうち複数の方法を組み合わせた方法が用いられてもよい。
【0042】
ユーザ認識部33は、識別媒体の画像に基づいて識別情報を取得する。より具体的には、ユーザ認識部33は、検知部32により識別媒体の画像として検知された画像に対して所定の認識処理を行うことにより識別情報を取得する。例えば、識別情報がユーザIDであり且つユーザIDが識別媒体に記載されている場合、ユーザ認識部33は、識別媒体の画像(ユーザIDが記載されている部分)に対して文字認識処理(OCR(Optical Character Recognition、光学文字認識)処理)を行うことで、識別情報(ユーザID)を取得する。また、例えば、識別情報がユーザIDであり且つユーザIDを取得可能なコードが識別媒体に記載されている場合、ユーザ認識部33は、識別媒体の画像(コードが記載されている部分)に対してコード認識処理を行うことで、識別情報(ユーザID)を取得する。このように、ユーザ認識部33は、識別媒体の画像に対して識別情報を認識するための所定の処理を行うことで識別情報を取得することにより、スキャナ1を利用しているユーザを識別する識別情報を取得することが可能である。
【0043】
第1の設定情報取得部34(本実施形態における「設定情報取得手段」)は、ユーザ認識部33により取得された識別情報を用いて、当該識別情報により識別(特定)されるユーザが所望する設定情報を取得する。後述するが、本実施形態ではユーザ管理クラウドサーバ2(記憶部51)において、読取手段を利用する複数のユーザの夫々が所望する設定情報が記憶(管理)されている。そのため、本実施形態では、第1の設定情報取得部34は、ユーザの識別情報をユーザ管理クラウドサーバ2に対して送信することにより、ユーザ管理クラウドサーバ2から、記憶部51に予め記憶されている、当該ユーザが所望する設定情報を取得する。
【0044】
なお、本実施形態において「設定情報」とは、読取手段(スキャナ)の利用に関する設定情報であり、読取手段における読取処理についての設定情報、読取手段による読取処理により生成される原稿画像(読取画像)に対して行われる画像処理についての設定情報(画像処理手段における画像処理についての設定情報)、及び/又は、読取手段において原稿が読み取られることで得られる画像(原稿束の画像)を保存する保存先についての設定情報(連携先情報)が含まれる。保存先についての設定情報としては、例えば、保存先であるサーバ(連携クラウドサーバ8)に関連する識別情報(サーバのアドレスやクラウドサービス名等の連携先情報)及び/又は当該サーバにアクセスするための認証情報(連携アカウント情報)等が含まれる。但し、これらは保存先についての設定情報の一例であり、保存先についての設定情報には、画像を保存先に保存するために必要な情報が含まれていればよいため、任意の情報が含まれてよい。
【0045】
なお、本実施形態では、第1の設定情報取得部34が識別情報を含む承認要求をユーザ管理クラウドサーバ2に対して送信することで、ユーザ管理クラウドサーバ2からユーザの承認を得ることとする。その承認が得られた上で、第1の設定情報取得部34は、ユーザ管理クラウドサーバ2に対して、当該ユーザの設定情報を送信するよう要求する(設定情報の取得要求を送信する)ことにより、当該ユーザの設定情報を取得する。但し、第1の設定情報取得部34が設定情報を取得するために行う処理内容はこの例に限定されず、例えば、ユーザの承認を得るための識別情報の送信と設定情報の取得要求の送信とを同時に(併せて)行うようにしてもよい。
【0046】
設定部35は、第1の設定情報取得部34により取得された設定情報に基づく処理(例えば、読取処理、画像処理、保存先への画像送信処理、等)が実行されるよう、当該設定情報に応じた設定を実行する。例えば、設定部35は、設定情報に読取処理についての設定情報が含まれる場合、この読取処理についての設定情報に応じた読取設定(識別媒体と共に読取を行う対象である原稿束についての読取設定)を実行する。また、設定部35は、設定情報に画像処理についての設定情報が含まれる場合、この画像処理についての設定情報に応じた画像処理設定(識別媒体と共に読取を行う対象である原稿束の読取画像に対して行われる画像処理についての設定)を実行する。また、設定部35は、設定情報に保存先についての設定情報が含まれる場合、この保存先についての設定情報に応じた画像保存先(画像送信先)設定(識別媒体と共に読取を行う対象である原稿束のスキャン画像の保存先ついての設定)を実行する。このように、設定部35により、取得された設定情報に応じた設定が実行されることで、取得された設定情報に基づく処理、例えば、読取部311による読取処理(原稿束の読取処理)、画像処理部312による画像処理(原稿束の読取画像に対する画像処理)、及び/又は画像送信部36による画像送信処理(原稿束の画像の送信処理)が実行される。
【0047】
なお、本実施形態では、第1の設定情報取得部34により設定情報が取得されることで設定部35が設定情報に応じた設定を実行することとしたが、設定方法はこの例に限定されない。例えば、第1の設定情報取得部34により設定情報が取得された際に、ユーザに対して当該設定情報を提示することで、ユーザが提示された設定情報に基づく設定を手動で行うようにしてもよい。この場合、設定部35は、ユーザによる設定入力を受け付けることで、設定処理を実行する。
【0048】
なお、上述の例では、原稿束の先頭に加えられたユーザの識別媒体(1枚目の画像)が読み取られた時点で、読取処理を一時停止(中断)することとしたが、読取処理を中断することなく、スキャナ1のバッファ(メモリ)容量の許す範囲で、識別媒体及び原稿束の読取処理が行われるようにしてもよい。但し、取得された設定情報に読取処理についての設定情報が含まれる場合は、当該設定情報に基づく読取処理を行うことが望ましい場合がある。この場合、当該設定情報に基づく読取設定が行われた上で、再度原稿束についての読取処理を行うことが望ましい。例えば、既に低画質で識別媒体及び原稿束の読取処理を行っていた場合に、高画質(例えば、600dpi)での読取処理を行うことを示す設定情報が取得された場合は、高画質で読取処理を行うよう読取設定を行った上で、再度原稿束についての読取処理を行うこととなる。一方、上述した、ユーザの識別媒体が読み取られた時点で読取処理を一時停止する方法では、取得された設定情報に応じた読取設定が行われた上で、2枚目以降の読取対象(原稿束)についての読取処理が行われるため、再スキャンの必要はない。
【0049】
なお、一般的に、多くのドキュメントは200dpiや300dpi等の中程度の画質で保存されることが多い。そのため、多くのスキャナでは、画質のデフォルト設定を中程度の画質(300dpi等)としておき、原稿の種類やサイズによって200dpi等に縮小すること等が可能である。つまり、中程度の画質で読取処理が行われることにより生成された読取画像に対して画像処理を施すことで、低画質の画像に変換することは可能である。そのため、ユーザの所望する設定情報に、低画質での読取処理を行うことを示す設定情報が含まれている場合は、既に原稿束の読取処理が行われている場合であっても、既に取得された読取画像に対して画像処理を行うことにより、ユーザが所望する低画質の画像に変換することが可能である。一方、上述の通り、既に低画質又は中程度の画質で原稿束の読み取りが行われている場合に、高画質での読取を行うことを示す設定情報を取得した場合は、高画質で原稿束の再スキャンを行うことが望ましい。このような再スキャンを行うユーザの手間を削減するため、以下に示す3つの方法を採用することが可能である。
【0050】
1つ目の方法としては、上述の通り、ユーザの識別媒体(1枚目の読取対象)が読み取られた時点で読取処理を一時停止し、取得された設定情報に応じた読取設定が行われた上で、2枚目以降の読取対象(原稿束)についての読取処理を行う方法である。2つ目の方法は、ユーザが原稿束及び識別媒体のスキャンを行う前に、高画質スキャンモードを指定する方法である。この方法では、例えば、スキャナ1のタッチパネル等に「通常スキャン」ボタンと並べて「高画質スキャン」ボタンを表示させ、ユーザが「高画質スキャン」ボタンを押下した場合に、高画質で識別媒体及び原稿束をスキャンする。この方法を用いれば、1つ目の方法のように1枚目が読み取られた時点で読取処理を一時停止することなく、また、再スキャンを行うことなく、原稿束を高画質で読み取ることが可能である。3つ目の方法は、識別媒体に記載された高画質での読取処理を所望することを示す所定の情報(例えば、高画質スキャンモードのマーク)を検知することで高画質スキャンを行う方法である。この方法については、第四の実施形態で詳細を説明する。なお、取得された設定情報に、画像処理についての設定情報は含まれるが読取処理についての設定情報が含まれていない場合は、既に取得済みの原稿束の読取画像がある場合、当該読取画像に対して、設定情報に基づく画像処理を行えばよい。
【0051】
画像送信部36は、原稿束についてのスキャン画像(撮像画像)を画像保存先に対して送信する。画像送信部36は、画像取得部34により取得された設定情報に保存先についての情報が含まれる場合、保存先についての情報で示された保存先に対して、原稿束についてのスキャン画像を送信する。この際、画像送信部36は、設定情報に含まれる連携アカウント情報を用いてユーザ認証をするようにしてもよい。なお、画像取得部34により取得された設定情報に保存先についての情報が含まれない場合は、予め設定されている保存先(連携クラウドサーバ8以外に、スキャナ1や、スキャナ1に接続された情報処理装置等であってもよい)に対してスキャン画像を送信する。なお、画像送信部36により送信される原稿束についてのスキャン画像は、読取画像及び処理後画像の少なくとも一方であればよい。また、本実施形態では、原稿束のスキャン画像を連携(送信)する場合について例示したが、原稿束のスキャン画像と併せて識別媒体の画像が連携(送信)されるようにしてもよい。
【0052】
ユーザ管理クラウドサーバ2は、記憶装置24に記録されているプログラムが、RAM23に読み出され、CPU21によって実行されて、ユーザ管理クラウドサーバ2に備えられた各ハードウェアが制御されることで、記憶部51、認証部52、第2の設定情報取得部53及び設定情報送信部54を備える。なお、本実施形態及び後述する他の実施形態では、ユーザ管理クラウドサーバ2の備える各機能は、汎用プロセッサであるCPU21によって実行されるが、これらの機能の一部又は全部は、1又は複数の専用プロセッサによって実行されてもよい。
【0053】
記憶部51は、読取手段(スキャナ)を利用する複数のユーザの夫々が所望する読取手段の利用に関する設定情報を記憶(管理)する。本実施形態では、スキャナ1を利用する各ユーザ(又はユーザグループ)に対して識別媒体(メンバーズカード)を発行し、且つ、各ユーザが所望する各種設定情報(スキャン設定(読取設定、画像処理設定)や保存先設定(連携設定)についての情報)をユーザ管理クラウドサーバ2に記憶(登録)しておくこととする。記憶部51は、ユーザ毎に、識別情報と設定情報を予め記憶しておく。なお、本実施形態では、設定情報として、読取処理についての設定情報、画像処理についての設定情報、及び画像保存先についての設定情報(連携アカウント情報を含む)を例示するが、設定情報にはこれら三つの情報のうち少なくとも一つの情報が含まれていればよい。
【0054】
認証部52は、スキャナ1(第1の設定情報取得部34)から送信されたユーザの識別情報(承認要求)を受信し、受信した識別情報を用いてアクセスを要求するユーザの本人確認(ユーザ認証)を行う。具体的には、認証部52は、受信した識別情報が記憶部51に記憶された識別情報であるか否か(アクセスを要求しているユーザが正当かどうか)を判定する。認証部52は、受信した識別情報が記憶部51に記憶された識別情報である場合、当該識別情報は、予めスキャナ1の利用者として登録されたユーザの識別情報であるため、ユーザを承認する。例えば、認証部52は、スキャナ1(第1の設定情報取得部34)に対して承認することを示す情報(承認情報)を送信する(ユーザの承認を返す)。
【0055】
なお、認証部52は、識別情報による認証に加えて、ユーザにより入力されたパスワード等の認証情報による認証を行うようにしてもよい。この場合、記憶部51は、予め、識別情報及び設定情報と認証情報とを対応付けて記憶しておくこととする。スキャナ1(認証情報取得部(図示を省略))は、ユーザに対してパスワード等の認証情報を入力させるよう促す画面を表示させることで、ユーザからの認証情報の入力を受け付ける。そして、第1の設定情報取得部34は、ユーザにより入力された認証情報と、ユーザ認識部33により取得された識別情報とをユーザ管理クラウドサーバ2に対して送信する。認証部52は、スキャナ1(第1の設定情報取得部34)から取得した識別情報及び認証情報と、記憶部51に記憶された識別情報と認証情報とを照合することで、ユーザを認証する。これより、メンバーズカードを紛失した際等に、他人が当該メンバーズカードを用いて不正にスキャナ1を利用することを防止することが可能となる。なお、認証情報を用いた認証処理(認証情報の入力も含む)は、スマホ等の他のデバイスを用いたデバイス認証により行われてもよい。
【0056】
第2の設定情報取得部53は、第1の設定情報取得部34から送信された、設定情報の取得要求を受信すると、認証部52が取得した識別情報(又は設定情報の取得要求に含まれる識別情報)に基づき、記憶部51に記憶された、当該識別情報により識別されるユーザについての設定情報を索出(取得)する。
【0057】
設定情報送信部54は、第2の設定情報取得部53により取得された設定情報をスキャナ1に送信する。より具体的には、設定情報送信部54は、スキャナ1(第1の設定情報取得部34)から送信された識別情報と対応付けられて記憶されている設定情報(識別情報で識別されるユーザが所望する設定情報)を、スキャナ1(第1の設定情報取得部34)に対して送信する。
【0058】
<処理の流れ>
なお、以下に説明する処理の具体的な内容及び処理順序は、本開示を実施するための一例である。具体的な処理内容及び処理順序は、本開示の実施の態様に応じて適宜選択されてよい。
【0059】
図7及び
図8は、本実施形態に係るスキャン処理の流れの概要を示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、スキャナ1においてユーザから読取開始指示が入力されたこと等を契機として開始される。なお、本フローチャートは、ユーザが、スキャンしたい原稿束の先頭にメンバーズカードを加えて原稿トレイにセットした後に読取開始指示を行ったことを前提とする。また、本フローチャートでは、1枚目の読取対象(画像)が読み取られた時点で、読取処理を一時停止する(2枚目以降の読取対象についての読取処理を保留する)こととする。また、本フローチャートでは、識別媒体としてメンバーズカードを例示する。
【0060】
ステップS101では、撮像画像が取得される。ユーザから読取開始指示が入力されることで、原稿トレイに積載された読取対象のうち1枚目の読取対象の読取処理が読取部311により実行される。これより、画像取得部31は、1枚目の読取対象についての撮像画像を取得する。なお、本実施形態におけるステップS101では、撮像画像として生画像を取得する場合を例示するが、画像処理部312により生画像に対して任意の画像処理が施されたことにより得られる処理後画像が撮像画像として取得されてもよい。その後、処理はステップS102へ進む。
【0061】
ステップS102では、メンバーズカードが検知されたか否かが判定される。検知部32は、ステップS101で画像(1枚目の読取対象の撮像画像)が取得される際に得られた情報(撮像画像自体及び/又はセンサ信号)に基づいて、ステップS101で取得された画像(1枚目の読取対象の撮像画像)がメンバーズカードの撮像画像であるか否かを判定する。取得された画像がメンバーズカードの撮像画像であると判定されなかった場合、つまり、メンバーズカードが検知されなかった場合(ステップS102のNO)、処理はステップS103へ進む。一方、取得された画像がメンバーズカードの撮像画像であると判定された場合、つまり、メンバーズカードが検知された場合(ステップS102のYES)、処理はステップS104へ進む。
【0062】
ステップS103では、通常スキャンモードへ移行される。メンバーズカードが検知されなかった場合、ユーザ管理クラウドサーバ2に記憶された設定情報を用いないスキャナ1の利用であるため、スキャナ1は通常スキャンモードに移行する。より具体的には、既にスキャナ1に設定されているスキャン設定又はユーザにより手動で設定されたスキャン設定により原稿の読取処理及び画像処理が行われる。そして、既にスキャナ1に設定されている画像保存先又はユーザにより手動で指定された保存先へのスキャン画像の保存(出力)処理が行われる。そのため、ステップS103では、原稿トレイに積載された2枚目以降の読取対象(原稿)の読取処理が開始され、原稿束のスキャン画像が画像保存先に保存される。
【0063】
ステップS104では、メンバーズカードからユーザ情報(識別情報)が取得される。ユーザ認識部33は、ステップS101で取得された画像(メンバーズカードの画像として判定された画像)に対して所定の認識処理を行うことにより識別情報(ユーザ情報)を取得する。その後、処理はステップS105へ進む。
【0064】
ステップS105では、承認要求(識別情報)が送信される。第1の設定情報取得部34は、ステップS104で取得された識別情報を含む承認要求を、ユーザ管理クラウドサーバ2(認証部52)に対して送信する。その後、処理はステップS106へ進む。
【0065】
ステップS106では、承認要求(識別情報)が受信される。ユーザ管理クラウドサーバ2(認証部52)は、第1の設定情報取得部34により送信された承認要求(識別情報)を受信する。その後、処理はステップS107へ進む。
【0066】
ステップS107では、ユーザ認証が実行される。ユーザ管理クラウドサーバ2(認証部52)は、ステップS106で受信した識別情報が記憶部51に記憶された識別情報であるか否かを判定する。なお、上述の通り、パスワード等の認証情報による認証が追加されてもよい。その後、処理はステップS108へ進む。
【0067】
ステップS108では、承認情報が送信される。認証部52は、ステップS107で、ステップS106で受信した識別情報が記憶部51に記憶された識別情報であると判定した場合に、ステップS105で承認要求を送信したスキャナ1(ユーザ)に対して承認情報を送信する。その後、処理はステップS109へ進む。
【0068】
ステップS109では、承認情報が受信される。ステップS105で承認要求を送信したスキャナ1(第1の設定情報取得部34)は、ステップS108で送信された承認情報を受信する。その後、処理はステップS110へ進む。
【0069】
ステップS110では、設定情報の取得要求が送信される。ステップS109で承認情報を受信したスキャナ1(第1の設定情報取得部34)は、ユーザ管理クラウドサーバ2に対して、ステップS104で取得された識別情報により識別されるユーザの設定情報(ユーザが所望する設定情報)を送信するよう要求する(設定情報の取得要求を送信する)。その後、処理はステップS111へ進む。
【0070】
ステップS111では、設定情報の取得要求が受信される。ユーザ管理クラウドサーバ2(第2の設定情報取得部53)は、ステップS110で送信された設定情報の取得要求を受信する。その後、処理はステップS112へ進む。
【0071】
ステップS112では、設定情報が取得される。第2の設定情報取得部53は、ステップS106で受信された識別情報又はステップ111で受信された設定情報の取得要求に含まれる識別情報に基づき、記憶部51に記憶された、ステップS104で取得された識別情報により識別されるユーザについての設定情報を索出(取得)する。その後、処理はステップS113へ進む。
【0072】
ステップS113では、設定情報が送信される。設定情報送信部54は、ステップS112で索出(取得)された設定情報を、ステップS110で設定情報の取得要求を送信したスキャナ1(第1の設定情報取得部34)に対して送信する(応答する)。その後、処理はステップS114へ進む。
【0073】
ステップS114では、設定情報が取得される。ステップS110で設定情報の取得要求を送信したスキャナ1(第1の設定情報取得部34)は、ステップS113で送信された設定情報(ステップS104で取得された識別情報により識別されるユーザの各種設定情報)を受信(取得)する。その後、処理はステップS115へ進む。
【0074】
ステップS115及びステップS116では、ステップS114で取得された設定情報に応じた設定及び当該設定情報(設定情報に応じて行われた設定)に基づく処理が実行される。ステップS115では、設定情報に基づく読取処理及び画像処理が実行される。まず、設定部35は、設定情報(読取処理設定情報及び画像処理設定情報)に応じた読取処理設定(読取部311についての設定)及び画像処理設定(画像処理部312についての設定)を行う。そして、読取部311により、ADFに積載された2枚目以降の読取対象(原稿束)についての読取処理が行われ、画像処理部312により、当該読取処理により生成された原稿束の読取画像に対する画像処理が行われる。これより、画像取得部31は、ユーザ管理クラウドサーバ2から取得した設定情報に基づく読取処理及び画像処理により得られた、原稿束のスキャン画像を取得する。その後、処理はステップS116へ進む。
【0075】
ステップS116では、設定情報で指定された出力先へスキャンデータ(スキャン画像)が送信される。まず、設定部35は、設定情報(画像保存先情報)に応じた画像送信先設定を行う。そして、画像送信部36は、設定部35により設定された画像送信先に対して、ステップS115で取得された原稿束のスキャン画像を送信(出力)する。つまり、画像送信部36は、ユーザ管理クラウドサーバ2から取得した設定情報で示された画像保存先(連携先)に対してスキャン画像を送信(連携)する。例えば、取得された設定情報に、クラウドサービスAに画像を送信(連携)することを示す情報が含まれている場合、画像送信部36は、クラウドサービスAのクラウドサーバ(連携クラウドサーバ8)に対してスキャン画像を送信する。なお、スキャン画像を送信する際、設定情報に含まれる連携アカウント情報を用いることで、連携クラウドサーバ8にアクセスすることとする。また、画像送信先設定は、ステップS116ではなく、ステップS115において読取処理設定及び画像処理設定と併せて行われてもよい。その後、処理はステップS117へ進む。
【0076】
ステップS117では、画像が取得される。連携クラウドサーバ8は、ステップS116で送信された画像を取得し、記憶する。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0077】
なお、上述した処理フローでは、ステップS116で原稿束(原稿束に含まれるすべての原稿)についての読取処理及び画像処理が終了した後にステップS117で連携先に画像が送信される場合について説明した。しかし、スキャナ1のバッファ容量の制約等により、原稿束に含まれるすべての原稿の画像をスキャナ1において保持(記憶)することが困難である場合は、ステップS115の処理とステップS116の処理を同時並行で実行するようにしてもよい。例えば、バッファ容量の制約上スキャナ1が2枚の画像しか保持できない場合は、ステップS115において1枚目と2枚目の原稿の読取処理及び画像処理が終了した時点でこれら2枚の原稿のスキャン画像についてはステップS116において連携先に送信する。そして、この連携先への送信処理によりバッファに空きが生じ次第、3枚目以降の原稿の読取処理、画像処理及び画像送信処理を順次実行する。
【0078】
以上の通り、本実施形態では、原稿束の先頭に加えられたメンバーズカードを検知し、そのメンバーズカードから取得される識別情報により識別されるユーザが事前に登録しておいたスキャン設定で以降の原稿がスキャンされ、事前に登録しておいた連携先クラウドサービスに連携する処理が行われる。なお、スキャナ1がユーザ管理クラウドサーバ2から設定情報を取得した後に、その設定情報に基づくスキャン処理及び画像処理の実行を行うか否かをユーザに確認させるようにしてもよい。例えば、スキャナ1のタッチパネルに、取得された設定情報に基づく読取処理、画像処理及び画像送信処理を行う場合に押下するボタン等を表示させるようにしてもよい。その場合、ユーザが当該ボタン等を押下することで、設定情報に基づく読取処理等が実行される。
【0079】
以上より、本実施形態によれば、識別媒体の画像を検知し、当該画像から取得されたユーザの識別情報を用いることで、当該ユーザが所望する設定情報を取得することにより、ユーザが画像読取装置の利用に関して所望する設定を行うための設定情報を自動で(容易に)取得することが可能であり、ユーザが所望する設定を容易に行うことが可能である。これより、公共の場に設置された共有スキャナであっても、ユーザはスキャンしたい原稿束に識別媒体(メンバーズカード)を加えてスキャンするだけで、当該ユーザが所望する設定(自分用の設定)で利用することが可能である。より具体的には、ユーザの所望するスキャン設定(自分用の設定)でスキャンを行うこと及び当該ユーザが所望する連携先(自分用の連携先)にスキャン画像を保存することが可能である。このように、本実施形態によれば、ユーザは識別媒体(メンバーズカード)を用いるのみで自身の所望する設定に切り替えることが可能であるため、設定を行うユーザの手間を軽減することが可能となり、スキャナを利用するユーザの利便性を向上させることが可能である。また、本実施形態に係るシステム(スキャナ共有システム)を構築するために、スキャナ装置(例えば、一般流通しているスキャナ装置)に対してハード的な部材(仕組み)を追加する必要はなく、ソフトウェア(ファームウェア)の更新のみで上述したシステムの構築が可能である。そのため、スキャナ共有システムを構築する際に、低コスト化を図ることが可能である。
【0080】
[第二の実施形態]
上述した第一の実施形態では、識別媒体の画像から取得された識別情報に基づき設定情報を取得する実施の形態について説明した。本実施形態では、識別媒体の画像から取得された識別情報に加え、状態判定部により判定された識別媒体の状態(識別媒体の向き等)に基づいて、ユーザの所望する設定情報を取得する実施の形態について説明する。なお、本実施形態に係るシステムの構成及び処理フローについては、上記説明した第一の実施形態と概略同様であるため、説明を省略する。但し、処理フローに関しては、
図7のステップ104で識別情報の取得と併せて識別媒体の状態(向き等)が判定され、ステップS105又はステップS110で識別情報に加えて識別媒体の状態情報(向き情報等)が送信されることとする。以下、本実施形態に係る機能構成について説明する。
【0081】
図9は、本実施形態に係るスキャナ1及びユーザ管理クラウドサーバ2の機能構成の概略を示す図である。スキャナ1は、記憶装置14に記録されているプログラムが、RAM13に読み出され、CPU11によって実行されて、スキャナ1に備えられた各ハードウェアが制御されることで、画像取得部31、検知部32、ユーザ認識部33、第1の設定情報取得部34、設定部35及び画像送信部36に加え、状態判定部37を備える。なお、本実施形態における画像取得部31、検知部32、ユーザ認識部33、第1の設定情報取得部34、設定部35及び画像送信部36は、第一の実施形態における画像取得部31、検知部32、ユーザ認識部33、第1の設定情報取得部34、設定部35及び画像送信部36と概略同様であるため説明を省略する。また、ユーザ管理クラウドサーバ2の機能構成は、第一の実施形態におけるユーザ管理クラウドサーバ2の機能構成(
図3参照)と概略同様であるため、説明を省略する。以下、第一の実施形態と異なる点について説明する。
【0082】
状態判定部37は、検知部32により検知された識別媒体の画像に基づいて、読取部311により識別媒体が読み取られた際の識別媒体の向きを判定する。本実施形態では、読み取られた際の識別媒体(メンバーズカード)の向き(原稿トレイに積載された状態における向き)により画像保存先(連携先)を切り替えることが可能である。より具体的には、判定部37により識別媒体の向きを判定し、判定された識別媒体の向きに応じた設定情報(連携先についての設定情報)を取得することが可能である。
【0083】
図10は、本実施形態における識別媒体(メンバーズカード)の一例を示す図である。
図10に示すように、メンバーズカードの向き(4方向のうちの各向き)と連携先とが1対1で対応付いている。連携先1~4は、互いに異なる連携クラウドサービスであり、例えば、連携先1はDropbox、連携先2はEvernote、連携先3はEight、及び連携先4はDr.walletである。ユーザは、スキャンするメンバーズカードを、所望する連携先の矢印の向きが上向きになるようセットした上でスキャンすることにより、所望する連携先を指定する(所望する連携先についての設定情報を取得する)ことが可能である。例えば、
図10に示すように、読み取られた画像において連携先1の矢印が上向きになるようメンバーズカードがセットされてスキャンが行われた場合、連携先1が連携先として設定されることとなる。以下、メンバーズカードの向きの判定方法及び設定情報の取得方法について例示する。
【0084】
まず、ユーザ管理クラウドサーバ2(記憶部51)は、予め、連携先についての設定情報を識別媒体の向きと対応付けて記憶しておくこととする。例えば、識別媒体が正立している状態(正立状態)の識別媒体の向きを向きA、正立状態から左に90度回転した状態の識別媒体の向きを向きB、正立状態から180度回転した状態の識別媒体の向きを向きC、正立状態から左に270度回転した状態の識別媒体の向きを向きDとした場合、向きAと連携先1についての設定情報、向きBと連携先2についての設定情報、向きCと連携先3についての設定情報、及び向きDと連携先4についての設定情報を夫々対応付けて記憶しておくこととする。なお、上述した識別媒体の向きと連携先との対応付けは一例であり、任意の対応付けが行われてよい。
【0085】
そして、スキャナ1(状態判定部37)は、識別媒体の画像に基づいて識別媒体の向きを判定する。例えば、状態判定部37は、識別媒体の画像を解析することで、識別媒体に記載されたコード(バーコードや2次元コード)の記載位置を特定することにより、識別媒体の向きを判定する。識別媒体の向きを判定する方法は上述した方法に限定されず、任意の方法が用いられてよい。例えば、予め識別媒体に向き判定専用のマーカーを印刷しておき、状態判定部37は、識別媒体の画像を解析することで識別媒体に印刷された向き判定専用のマーカーを識別することにより、識別媒体の向きを判定するようにしてもよい。また、例えば、識別媒体の画像を検知する際に用いたマーカー等を用いて識別媒体の向きを判定するようにしてもよい。例えば、状態判定部37は、識別媒体の画像を解析することで、所定の形状の切り欠きや所定の形状の穴、所定の光透過度を有する領域、所定の模様等の位置を特定することにより、識別媒体の向きを判定するようにしてもよい。
【0086】
そして、状態判定部37により識別媒体の向きが判定されると、第1の設定情報取得部34はユーザの識別情報に加え、判定された識別媒体の向き情報をユーザ管理クラウドサーバ2に送信する(
図7のステップS105又は
図8のステップS110)。そして、ユーザ管理クラウドサーバ2(第2の設定情報取得部53)は、識別情報及び識別媒体の向きに基づいて、記憶部51に記憶された、ユーザの所望する設定情報を索出(取得)する。ここでは、ユーザの所望する設定情報のうち連携先についての設定情報として、当該ユーザの所望する連携先であり且つ識別媒体の向きと対応付けて記憶されている連携先についての設定情報が取得される。その後は、第一の実施形態と同様に、索出された設定情報がスキャナ1に対して送信されることで、第1の設定情報取得部34は、識別媒体の向きに応じた設定情報を取得することが可能となる。
【0087】
なお、本実施形態では、判定された識別媒体の向きをユーザ管理クラウドサーバ2に送信することで識別媒体の向きと対応する連携先についての設定情報をスキャナ1が取得する場合について例示した。但し、識別媒体の向きに対応する設定情報を取得する方法はこの例に限定されない。例えば、識別媒体の向き情報をユーザ管理クラウドサーバ2に対して送信しない方法が用いられてもよい。この場合、ユーザ管理クラウドサーバ2からは、識別情報により識別されるユーザについて連携先として記憶されている全ての連携先についての設定情報がスキャナ1に送信された後に、スキャナ1(第1の設定情報取得部34)が、識別媒体の向きに応じた連携先のみを選出するようにしてもよい。但し、この場合、ユーザ管理クラウドサーバ2から全ての連携先についての設定情報に加え、連携先と識別媒体の向きとの対応付けに関する情報が送信されること、又は、スキャナ1において識別媒体の向きと連携先との対応付けに関する情報が記憶されておくことが望ましい。
【0088】
なお、状態判定部37は、識別媒体の画像に基づいて、識別媒体の向きに加え、識別媒体の読み取り面(表面又は裏面)を判定するようにしてもよい。この場合、例えば、向き4方向と読み取り面2面(表面又は裏面)の組合せにより最大8個の連携先(画像保存先)を指定する(切り替える)ことが可能である。この方法では、記憶部51は、予め、連携先についての設定情報を識別媒体の向き及び識別媒体の読み取り面と対応付けて記憶しておく。そして、第1の設定情報取得部34は、識別媒体の向き及び識別媒体の読み取り面をユーザ管理クラウドサーバ2に送信することで、識別媒体の向き及び読み取り面に対応付けて記憶されている連携先についての設定情報を取得する。なお、識別媒体の読み取り面の判定方法には、任意の方法が用いられてよい。例えば、状態判定部37は、識別媒体の画像に、表面に記載される情報(例えば、メンバーズカードであることを示す文字等)が含まれている場合に、読み取り面は表面であると判定することが可能である。以上の通り、第1の設定情報取得部34は、識別情報に加え、識別媒体の向き及び/又は読み取り面に基づき、識別媒体の向き及び/又は読み取り面に応じた、ユーザが所望する設定情報を取得する。
【0089】
なお、状態判定部37は、識別媒体の画像において正立している文字(例えば、「連携先1」)を判定(特定)することで、ユーザの識別情報に加え、その正立している文字の情報に基づき、当該正立している文字の情報に応じた、識別情報により識別されるユーザが所望する設定情報を取得するようにしてもよい。この方法では、記憶部51が、設定情報を、連携先を示す文字の情報と対応付けて記憶しておき、第1の設定情報取得部34が、識別情報と判定部37により正立していると判定された文字の情報とをユーザ管理クラウドサーバ2に送信することで、当該文字の情報と対応付けて記憶されている設定情報がスキャナ1に送信されるようにしてもよい。
【0090】
[第三の実施形態]
上述した第一の実施形態では、識別情報により識別されるユーザが所望する連携先についての情報がスキャナ1で取得されると、当該情報に基づく設定が設定部35により設定される実施の形態について説明した。本実施形態では、ユーザについて登録されている連携先が複数ある場合、それら複数の連携先についての情報をスキャナ1に送信し、ユーザに提示することで、ユーザに連携先を決定させる実施の形態について説明する。なお、本実施形態に係るシステムの構成及び処理フローについては、上記説明した第一の実施形態と概略同様であるため、説明を省略する。但し、処理フローに関しては、
図8のステップ114以降(例えば、ステップS116)で、ユーザに複数の連携先を提示し、ユーザからの連携先を選択する入力を受け付ける処理を行うこととする。以下、本実施形態に係る機能構成について説明する。
【0091】
図11は、本実施形態に係るスキャナ1及びユーザ管理クラウドサーバ2の機能構成の概略を示す図である。スキャナ1は、記憶装置14に記録されているプログラムが、RAM13に読み出され、CPU11によって実行されて、スキャナ1に備えられた各ハードウェアが制御されることで、画像取得部31、検知部32、ユーザ認識部33、第1の設定情報取得部34、設定部35及び画像送信部36に加え、提示部38を備える。なお、本実施形態における画像取得部31、検知部32、ユーザ認識部33、第1の設定情報取得部34、設定部35及び画像送信部36は、第一の実施形態における画像取得部31、検知部32、ユーザ認識部33、第1の設定情報取得部34、設定部35及び画像送信部36と概略同様であるため説明を省略する。また、ユーザ管理クラウドサーバ2の機能構成は、第一の実施形態におけるユーザ管理クラウドサーバ2の機能構成(
図3参照)と概略同様であるため、説明を省略する。以下、第一の実施形態と異なる点について説明する。
【0092】
提示部38は、識別情報により識別されるユーザの所望する設定情報(連携先情報)を当該ユーザに提示する。本実施形態では、第1の設定情報取得部34は、ユーザ管理クラウドサーバ2から、識別情報により識別されるユーザについて登録(記憶)されている複数の連携先についての設定情報(例えば、複数の連携先についてのリスト)を取得する。そして、提示部38は、タッチパネル等の出力デバイス16を介して、ユーザに対してこれら複数の連携先(連携先候補)を提示(表示)する。
【0093】
図12は、本実施形態における連携先候補の提示例を示す図である。
図12は、スキャナ1のタッチパネル(画面)を示しており、
図12に示すように、連携先(連携先クラウドサービス)の候補として、DropboxとEvernoteがユーザに提示(タッチパネルに表示)される。
図12のように、提示部38は、識別情報により識別されるユーザが所望する設定情報に含まれる複数の連携先候補(保存先に関する設定値)を、複数の連携先候補から所望する連携先候補をユーザが選択可能な形式で提示する。ユーザがこれら連携先候補の中から1つを選択すると、選択された連携先候補が連携先として設定部35により設定される。以上の通り、ユーザによるGUI(Graphical User Interface)での連携先の選択により、連携先を切り替える(設定する)ことが可能である。
【0094】
[第四の実施形態]
本実施形態では、上述した、識別媒体に記載された、高画質での読取処理を所望することを示す所定の情報を検知することで高画質スキャンを行う実施の形態を説明する。なお、本実施形態に係るシステムの構成及び処理フローについては、上記説明した第一の実施形態と概略同様であるため、説明を省略する。但し、処理フローに関しては、
図7のステップS104で識別情報の取得と併せて所定の情報の有無が判定される。また、
図8のステップS115では取得された設定情報に基づく読取処理及び画像処理が行われるが、ステップS104において高画質での読取処理を所望することを示す所定の情報が検知された場合には、高画質での読取処理が行われる。なお、ステップS104において当該所定の情報が検知された場合は、その時点(ステップS115より前の時点)で原稿束についての高画質での読取処理が行われてもよい。以下、本実施形態に係る機能構成について説明する。
【0095】
図13は、本実施形態に係るスキャナ1及びユーザ管理クラウドサーバ2の機能構成の概略を示す図である。スキャナ1は、記憶装置14に記録されているプログラムが、RAM13に読み出され、CPU11によって実行されて、スキャナ1に備えられた各ハードウェアが制御されることで、画像取得部31、検知部32、ユーザ認識部33、第1の設定情報取得部34、設定部35及び画像送信部36に加え、記載情報判定部39を備える。なお、本実施形態における画像取得部31、検知部32、ユーザ認識部33、第1の設定情報取得部34、設定部35及び画像送信部36は、第一の実施形態における画像取得部31、検知部32、ユーザ認識部33、第1の設定情報取得部34、設定部35及び画像送信部36と概略同様であるため説明を省略する。また、ユーザ管理クラウドサーバ2の機能構成は、第一の実施形態におけるユーザ管理クラウドサーバ2の機能構成(
図3参照)と概略同様であるため、説明を省略する。以下、第一の実施形態と異なる点について説明する。
【0096】
記載情報判定部39は、識別媒体に、高画質での読取処理を所望することを示す所定の情報(所定のマークや文字等)が記載されているかを、識別媒体の画像を用いて判定する。例えば、記載情報判定部39は、識別媒体の画像を解析することで、識別媒体に所定のマーク(高画質スキャン用のマーク欄における所定のマーク)が記載されているか否かを判定する。本実施形態では、予め、識別媒体(メンバーズカード)に高画質スキャン用のマーク欄を印刷(記載)しておき、ユーザは、高画質スキャンを所望する場合、当該マーク欄にマークを行う。これより、高画質スキャンを行うことが可能となる。具体的には、記載情報判定部39は、識別媒体の画像を解析することで、高画質スキャン用のマーク欄に所定のマークが施されているか否か(識別媒体に当該所定のマークが記載されているか否か)を判定する。そして、所定のマークが施されていると判定された場合、設定部35は、原稿束についての読取処理が高画質で行われるよう読取設定を行い、その上で、読取部311により原稿束について高画質での読取処理が行われる。
【0097】
図14は、本実施形態における識別媒体(メンバーズカード)の一例を示す図である。
図14に示されたメンバーズカードは、
図10に示されたメンバーズカードと、高画質スキャン用のマーク欄があること以外は同様である。
図14に示すように、メンバーズカードには、連携先毎に高画質スキャン用のマーク欄が記載されている。
図14の例では、ユーザが、連携先1に対してスキャン画像を送信する場合には高画質スキャンを所望するため、連携先1についての高画質スキャン用のマーク欄が、ユーザにより塗りつぶされている(マークされている)。ユーザが、
図14のように、読み取られた画像において連携先1の矢印が上向きになるようメンバーズカードをセットしてスキャンした場合を想定する。この場合、記載情報判定部39は、識別媒体の画像において、連携先1についての高画質スキャン用のマーク欄に、所定のマーク(塗りつぶされた正方形のマーク)があると判定(検知)する。これより、設定部35は、高画質で読取処理が行われるよう読取設定を行い、その上で、読取部311により原稿束についての読取処理が行われる。
【0098】
このように、記載情報判定部39が、複数の連携先候補のうちユーザが所望する連携先(例えば、連携先1)についての高画質スキャン用のマーク欄における所定のマークの有無を判定することにより、高画質スキャンを行うか否かを決定することが可能である。なお、「ユーザが所望する連携先についての高画質スキャン用のマーク欄」は、
図14の例では、読取画像において正立している「高画質:」の文字の横にあるマーク欄である。
【0099】
上述の通り、本実施形態では、識別媒体に記載された所定の情報(所定のマーク等)を検知することで高画質スキャンをユーザが所望しているか否かを検知することが可能であるため、ユーザ管理クラウドサーバ2からの設定情報を待たずに原稿束(2枚目以降の読取対象)の読取処理を開始することが可能である。つまり、高画質スキャンをユーザが所望していること(所定の情報があること)が検知されると、その時点で原稿束について高画質での読取処理を行うことが可能である。なお、
図14の例では、連携先毎に高画質スキャン用のマーク欄が記載されるため、識別媒体に複数のマーク欄が記載されるが、識別媒体に1つのマーク欄のみが記載されるようにしてもよい。また、所定のマークは、
図14に示されたマークに限定されず、チェックマーク等の他のマークであってもよい。また、高画質での読取処理を所望することを示す所定の情報は、所定のマーク以外に、「高画質」等の所定の文字や記号等であってもよい。
【0100】
[第五の実施形態]
第一の実施形態で説明したように、ユーザ認識部33により、スキャン時にユーザを特定することが可能であるため、各ユーザのスキャナ1の利用量を把握することが可能である。本実施形態では、スキャナ1(スキャンサービス)の利用量に応じてその費用をユーザに請求する(課金する)実施の形態を説明する。なお、本実施形態に係るシステムの構成及び処理フローについては、上記説明した第一の実施形態と概略同様であるため、説明を省略する。以下、本実施形態に係る機能構成について説明する。
【0101】
図15は、本実施形態に係るスキャナ1及びユーザ管理クラウドサーバ2の機能構成の概略を示す図である。スキャナ1は、記憶装置14に記録されているプログラムが、RAM13に読み出され、CPU11によって実行されて、スキャナ1に備えられた各ハードウェアが制御されることで、画像取得部31、検知部32、ユーザ認識部33、第1の設定情報取得部34、設定部35及び画像送信部36に加え、利用情報送信部40を備える。なお、本実施形態における画像取得部31、検知部32、ユーザ認識部33、第1の設定情報取得部34、設定部35及び画像送信部36は、第一の実施形態における画像取得部31、検知部32、ユーザ認識部33、第1の設定情報取得部34、設定部35及び画像送信部36と概略同様であるため説明を省略する。ユーザ管理クラウドサーバ2は、記憶装置24に記録されているプログラムが、RAM23に読み出され、CPU21によって実行されて、ユーザ管理クラウドサーバ2に備えられた各ハードウェアが制御されることで、記憶部51、認証部52、第2の設定情報取得部53及び設定情報送信部54に加え、課金処理部55を備える。なお、本実施形態における記憶部51、認証部52、第2の設定情報取得部53及び設定情報送信部54は、第一の実施形態における記憶部51、認証部52、第2の設定情報取得部53及び設定情報送信部54と概略同様であるため、説明を省略する。以下、第一の実施形態と異なる点について説明する。
【0102】
利用情報送信部40は、ユーザのスキャナ1(読取手段)に係る利用状況(利用量)に関する情報を送信する。本実施形態では、ユーザ管理クラウドサーバ2(課金処理部55)が、各ユーザに対して利用量に応じた課金処理を行う。そのため、利用情報送信部40は、ユーザのスキャナ1の利用状況に関する情報を、ユーザ管理クラウドサーバ2(課金処理部55)に対して送信する。なお、利用状況に関する情報を送信するタイミングは、スキャン処理毎や日毎等の任意のタイミングであってよい。また、利用状況に関する情報には、ユーザのスキャナ1の利用状況を示す情報であればスキャンした原稿のページ数やスキャン日時等の任意の情報が含まれてよい。
【0103】
課金処理部55は、ユーザのスキャナ1(読取手段)に係る利用量(利用状況)に応じた課金処理を行う。課金処理部55は、利用情報送信部40から各ユーザについての利用状況に関する情報を取得し、記憶部51は、取得された各ユーザについての利用状況に関する情報を、どのユーザの情報であるか特定可能な方法で記憶する。例えば、記憶部51は、ユーザの識別情報と利用状況に関する情報とを対応付けて記憶する。そして、課金処理部55は、所定のタイミング(例えば、利用日毎、月毎、年毎等)で、各ユーザに対して、利用量に応じた課金処理を行う。課金処理は、ユーザに対して利用量に応じた費用を請求するための処理であれば任意の処理であってよい。
【0104】
例えば、メンバーズカードを発行する際に行うユーザ登録(設定情報の登録等)の際に費用の引き落としに用いるクレジットカード情報をユーザに登録させておく。そして、課金処理部55は、当該費用をユーザのクレジットカードに対して請求する処理を行う。その他、課金処理として、費用を所定の金融機関口座に振り込むよう通知するための通知処理(メール作成処理やメール送信処理等)や、費用を請求するための払込票の作成処理や送付処理等が例示される。なお、課金量の算出方法には任意の方法が用いられてよい。例えば、1バッチ(例えば、10枚)のスキャン毎に50円課金する方法や、1枚スキャンする毎に5円課金する方法等が例示される。
【0105】
上述の通り、ユーザが共有スキャナを利用した後の任意のタイミングでユーザに課金処理を行うことにより、共有スキャナを利用する際には費用を支払うことなく、ユーザは共有スキャナを利用することが可能である。なお、上記では、ユーザ管理クラウドサーバ2が課金処理を行う例を示したが、課金処理を行う主体はユーザ管理クラウドサーバ2以外の他の装置であってもよい。この場合、スキャナ1(利用情報送信部40)は、当該他の装置に対して、直接又は他の装置を介して、ユーザの利用量に関する情報を送信する。
【0106】
[第六の実施形態]
上述した第一の実施形態では、ユーザ管理クラウドサーバ2から設定情報を取得したスキャナ1において、設定情報に基づく原稿束の読取処理、読取画像に対する画像処理及び連携先への画像送信処理(連携処理)が行われる実施の形態について説明した。つまり、第一の実施形態では、ユーザ管理クラウドサーバ2において設定情報の管理を行うものの、各種処理(読取処理、画像処理、及び連携処理)はユーザ管理クラウドサーバ2で行われない。一方、本実施形態では、スキャナ1は、識別媒体及び原稿束の読取処理と、読取処理により得られたスキャン画像(生画像)をユーザ管理クラウドサーバ2に対して送信(転送)する処理のみを行い、その他の処理(識別媒体の検知、ユーザ認識、設定情報に基づく画像処理、設定情報に応じた連携処理)は、ユーザ管理クラウドサーバ2において行われる実施の形態について説明する。なお、本実施形態に係るシステムの構成については、上記説明した第一の実施形態と概略同様であるため、説明を省略する。以下、本実施形態に係る機能構成について説明する。
【0107】
図16は、本実施形態に係るスキャナ1及びユーザ管理クラウドサーバ2の機能構成の概略を示す図である。スキャナ1は、記憶装置14に記録されているプログラムが、RAM13に読み出され、CPU11によって実行されて、スキャナ1に備えられた各ハードウェアが制御されることで、第1の画像取得部41及び第1の画像送信部42を備える。
【0108】
第1の画像取得部41は、読取処理を行う読取部311(本実施形態における「読取手段」)及び読取部311による読取処理により生成された読取画像に対して画像処理を行う第1の画像処理部313を備え、識別媒体及び原稿束のスキャン画像を取得する。なお、第1の画像取得部41は、第一の実施形態で
図3を参照して説明した画像取得部31と概略同様であるため、説明を省略する。但し、本実施形態では、読取部311は、読取処理を中断することなく、ADFに積載された識別媒体及び原稿束についての読取処理を行う。また、本実施形態では、スキャン画像が全てユーザ管理クラウドサーバ2に送信(転送)され、ユーザ管理クラウドサーバ2側で各種処理を行うため、識別媒体の積載位置は、原稿束の先頭に限らず、原稿束における原稿と原稿との間や、原稿束の後尾であってもよい。また、本実施形態では、ユーザ管理クラウドサーバ2において画像処理が行われるため、第1の画像取得部41は、必ずしも第1の画像処理部313を備えなくてよい。
【0109】
第1の画像送信部42は、第1の画像取得部41により取得された識別媒体のスキャン画像(本実施形態では生画像)及び原稿束のスキャン画像(本実施形態では生画像)を、ユーザ管理クラウドサーバ2に送信する。
【0110】
ユーザ管理クラウドサーバ2は、記憶装置24に記録されているプログラムが、RAM23に読み出され、CPU21によって実行されて、ユーザ管理クラウドサーバ2に備えられた各ハードウェアが制御されることで、記憶部51、認証部52、第2の設定情報取得部53、第2の画像取得部56、検知部57、ユーザ認識部58、設定部59、第2の画像処理部60及び第2の画像送信部61を備える。
【0111】
記憶部51、認証部52及び第2の設定情報取得部53(本実施形態における「設定情報取得手段」)は、夫々第一の実施形態で
図3を参照して説明した記憶部51、認証部52及び第2の設定情報取得部53と概略同様であるため、説明を省略する。但し、本実施形態では、認証部52は、後述するユーザ認識部58により取得されたユーザの識別情報が記憶部51に記憶された識別情報であるか否かを判定することで、ユーザの承認を行う。なお、本実施形態では、認証部52は、スキャナ1に対して承認情報の送信を行わない。また、第2の設定情報取得部53は、後述するユーザ認識部58により取得されたユーザの識別情報に基づき、当該ユーザが所望する設定情報を記憶部51から取得する。
【0112】
第2の画像取得部56(本実施形態における「画像取得手段」)は、識別媒体のスキャン画像(本実施形態では生画像)及び原稿束のスキャン画像(本実施形態では生画像)を、スキャナ1から取得する。第2の画像取得部56は、第1の画像送信部42から送信された識別媒体のスキャン画像及び原稿束のスキャン画像を取得する。
【0113】
検知部57、ユーザ認識部58及び設定部59は、夫々第一の実施形態で
図3を参照して説明した検知部32、ユーザ認識部33及び設定部35と概略同様であるため、説明を省略する。但し、本実施形態では、検知部57は、第2の画像取得部56により取得された画像が識別媒体の画像であるか否か(取得された複数の画像内に識別媒体の画像が含まれるか否か)を検知(判定)する。また、本実施形態では、ユーザ認識部58は、検知部57により識別媒体の画像として検知された画像から識別情報を取得する。また、本実施形態では、設定部59は、第2の設定情報取得部53により取得された設定情報に基づく処理(例えば、画像処理、保存先への画像送信処理、等)が実行されるよう、当該設定情報に応じた設定を実行する。例えば、設定部59は、設定情報に画像処理についての設定情報が含まれる場合、この画像処理についての設定情報に応じた画像処理設定(原稿束の読取画像に対して行われる画像処理についての設定)を実行する。また、設定部59は、設定情報に保存先についての設定情報が含まれる場合、この保存先についての設定情報に応じた画像保存先(画像送信先)設定(原稿束のスキャン画像の保存先についての設定)を実行する。
【0114】
第2の画像処理部60(本実施形態における「画像処理手段」)は、原稿束の読取画像(生画像)に対して画像処理を行う。第2の画像処理部60は、第一の実施形態で
図3を参照して説明した画像処理部312と概略同様であるため、説明を省略する。但し、第2の画像処理部60は、設定情報に画像処理についての設定情報が含まれる場合、設定部59により設定情報に基づく画像処理設定が行われた上で、第2の画像取得部56により取得された原稿束のスキャン画像(生画像)に対して画像処理を行う。
【0115】
第2の画像送信部61(本実施形態における「画像送信手段」)は、第一の実施形態で
図3を参照して説明した画像送信部36と概略同様であるため、説明を省略する。
【0116】
<処理の流れ>
なお、以下に説明する処理の具体的な内容及び処理順序は、本開示を実施するための一例である。具体的な処理内容及び処理順序は、本開示の実施の態様に応じて適宜選択されてよい。
【0117】
図17は、本実施形態に係るスキャン処理の流れの概要を示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、スキャナ1においてユーザから読取開始指示が入力されたこと等を契機として開始される。なお、本実施形態では、ユーザがスキャンを行うとスキャン画像は全てサーバに転送されるため、ユーザが、自身で設定を行う使用を望む場合(通常スキャンモードを望む場合)、その意図と反する処理が行われてしまう。そのため、本実施形態では、通常スキャンモード(ユーザが自身で各種設定を行う又は特定のプロファイルを手動で選択することによるスキャナ使用モード)とするか、それとも識別媒体を使用してスキャンを行うモード(メンバーズカード使用モード)とするかを、ユーザがスキャン前に選択する(切り替える)ことが望ましい。以下では、スキャン前にユーザがスキャナ1のタッチパネル上などでメンバーズカード使用モードを選択したことを前提とする。また、本フローチャートでは、識別媒体としてメンバーズカードを例示する。
【0118】
ステップS201では、撮像画像(スキャン画像)が取得される。ユーザから読取開始指示が入力されることで、原稿トレイに積載された識別媒体及び原稿束の読取処理が読取部311により実行される。その後、処理はステップS202へ進む。
【0119】
ステップS202では、画像が送信される。第1の画像送信部42は、ステップS201で取得された識別媒体の撮像画像(生画像)及び原稿束の撮像画像(生画像)を、ユーザ管理クラウドサーバ2に対して送信する。なお、本実施形態におけるステップS202では、撮像画像として生画像を送信する場合を例示するが、第1の画像処理部313により生画像に対して任意の画像処理が施されたことにより得られる処理後画像が送信されてもよい。その後、処理はステップS203へ進む。
【0120】
ステップS203では、画像が取得される。第2の画像取得部56は、ステップS202で送信された識別媒体の撮像画像及び原稿束の撮像画像を取得する。その後、処理はステップS204へ進む。
【0121】
ステップS204では、メンバーズカードが検知される。検知部57は、ステップS201で画像が取得される際に得られた情報(撮像画像自体及び/又はセンサ信号)に基づいて、ステップS203で取得された複数の画像からメンバーズカードの撮像画像を検知する。その後、処理はステップS205へ進む。
【0122】
ステップS205では、メンバーズカードからユーザ情報(識別情報)が取得される。ユーザ認識部58は、ステップS204でメンバーズカードの画像として検知された画像に対して所定の認識処理を行うことにより識別情報(ユーザ情報)を取得する。その後、処理はステップS206へ進む。
【0123】
ステップS206では、ユーザ認証が実行される。認証部52は、ステップS205で取得された識別情報を用いてユーザ認証(当該識別情報が記憶部51に記憶されていることの確認)を行う。その後、処理はステップS207へ進む。
【0124】
ステップS207では、設定情報が取得される。第2の設定情報取得部53は、ステップS206でユーザ認証の結果、ステップS205で取得された識別情報が記憶部51に記憶されていた場合、当該識別情報に基づき、記憶部51に記憶された、ステップS205で取得された識別情報により識別されるユーザについての設定情報を索出(取得)する。その後、処理はステップS208へ進む。
【0125】
ステップS208及びステップS209では、ステップS207で取得された設定情報に応じた設定及び当該設定情報(設定情報に応じて行われた設定)に基づく処理が実行される。ステップS208では、設定情報に基づく画像処理が実行される。まず、設定部59は、設定情報(画像処理設定情報)に応じた画像処理設定(第2の画像処理部60についての設定)を行う。そして、第2の画像処理部60は、当該画像処理設定に基づき、ステップS203で取得された原稿束の撮像画像に対する画像処理を行う。その後、処理はステップS209へ進む。
【0126】
ステップS209では、設定情報で指定された出力先へスキャンデータ(スキャン画像)が送信される。まず、設定部59は、設定情報(画像保存先情報)に応じた画像送信先設定を行う。そして、第2の画像送信部61は、設定部59により設定された画像送信先に対して、ステップS208で画像処理が行われたことにより得られた画像(原稿束のスキャン画像)を送信(出力)する。つまり、第2の画像送信部61は、取得された設定情報で示された画像保存先(連携先)に対してスキャン画像を送信(連携)する。なお、画像送信先設定は、ステップS209ではなく、ステップS208において画像処理設定と併せて行われてもよい。その後、処理はステップS210へ進む。
【0127】
ステップS210では、画像が取得される。連携クラウドサーバ8は、ステップS209で送信された画像を取得し、記憶する。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0128】
ここで、連携クラウドサーバ8の中には、画像の送信者(ユーザ)と画像の送信元(転送元)である装置(場所)とを予め登録しておき登録されたユーザ及び送信元の装置からのアクセスでないとアクセスを許可しないような連携クラウドサーバ8(認証時のサーバに限定するサーバ)が含まれる場合がある。このような連携クラウドサーバ8に対しては、本実施形態又は後述する第七の実施形態を採用することで対応が可能である。具体的には、各ユーザの送信元の装置としてユーザ管理クラウドサーバ2を登録しておき、上述の通り、スキャン画像をユーザ管理クラウドサーバ2から送信することで、このような連携クラウドサーバ8であってもアクセスを許可させることが可能である。つまり、ユーザが利用するスキャナ1がどの場所に配置されたものであっても、連携クラウドサーバ8から画像を送信する(アクセスする)ことで、アクセスを許可させることが可能である。
【0129】
[第七の実施形態]
上述した第一の実施形態では、ユーザ管理クラウドサーバ2から設定情報を取得したスキャナ1において、設定情報に基づく原稿束の読取処理、読取画像に対する画像処理及び連携先への画像送信処理(連携処理)が行われる実施の形態について説明した。一方、本実施形態では、スキャナ1は、識別媒体及び原稿束の読取処理及び識別媒体の検知、ユーザ認識、及びスキャン画像(生画像)をユーザ管理クラウドサーバ2に対して送信(転送)する処理を行い、ユーザ管理クラウドサーバ2において設定情報に基づく画像処理及び設定情報に応じた連携処理を行う実施の形態について説明する。なお、本実施形態に係るシステムの構成については、上記説明した第一の実施形態と概略同様であるため、説明を省略する。以下、本実施形態に係る機能構成について説明する。
【0130】
図18は、本実施形態に係るスキャナ1及びユーザ管理クラウドサーバ2の機能構成の概略を示す図である。スキャナ1は、記憶装置14に記録されているプログラムが、RAM13に読み出され、CPU11によって実行されて、スキャナ1に備えられた各ハードウェアが制御されることで、第1の画像取得部41、検知部32、ユーザ認識部33、第1の設定情報取得部34、第1の画像送信部42及び第1の設定部43を備える。
【0131】
第1の画像取得部41、検知部32、ユーザ認識部33、第1の設定情報取得部34(本実施形態における「設定情報取得手段」)及び第1の設定部43(本実施形態における「設定手段」)は、夫々第一の実施形態で
図3を参照して説明した画像取得部31、検知部32、ユーザ認識部33、第1の設定情報取得部34及び設定部35と概略同様であるため、説明を省略する。但し、本実施形態では、第一の実施形態と同様に、原稿束の先頭に識別媒体を積載した上で読取処理を行い、1枚目の読取対象(識別媒体)の読取処理が終了した時点で読取処理を中断することとする。また、第1の設定情報取得部34は、画像処理及び画像保存先についての設定情報は取得せず、読取処理についての設定情報のみを取得する。そして、第1の設定部43は、読取処理についての設定情報に応じた読取設定を行い、その上で読取部311により原稿束(2枚目以降の読取対象)についての読取処理を行う。なお、第一の実施形態において説明した内容と同様に、識別媒体及び原稿束の読取処理が行われた後に、再度設定情報に基づく読取設定が行われた上で再度原稿束についての読取処理が行われるようにしてもよい。また、第六の実施形態と同様に、第1の画像取得部41は、第1の画像処理部313を必ずしも備えなくてよい。
【0132】
第1の画像送信部42は、第六の実施形態で
図16を参照して説明した第1の画像送信部42と概略同様であるため、説明を省略する。但し、本実施形態では、第1の画像送信部42は、設定情報に基づく読取設定が行われた上で生成された原稿束の撮像画像(生画像又は処理後画像)を、ユーザ管理クラウドサーバ2に送信する。なお、この際、第1の画像送信部42は、識別情報を併せて送信してもよい。
【0133】
ユーザ管理クラウドサーバ2は、記憶装置24に記録されているプログラムが、RAM23に読み出され、CPU21によって実行されて、ユーザ管理クラウドサーバ2に備えられた各ハードウェアが制御されることで、記憶部51、認証部52、第2の設定情報取得部53、設定情報送信部54、第2の画像取得部56、第2の画像処理部60、第2の画像送信部61及び第2の設定部62を備える。
【0134】
記憶部51、認証部52、第2の設定情報取得部53、及び設定情報送信部54は、夫々第一の実施形態で
図3を参照して説明した記憶部51、認証部52、第2の設定情報取得部53、及び設定情報送信部54と概略同様であるため、説明を省略する。但し、設定情報送信部54は、スキャナ1に対して、画像処理及び画像保存先についての設定情報については送信せず、読取処理についての設定情報のみを送信する。
【0135】
第2の画像取得部56は、設定情報に基づく読取設定が行われた上で生成された原稿束の撮像画像(生画像又は処理後画像)を、スキャナ1から取得する。なお、この際、第2の画像取得部56は、撮像画像と併せて識別情報を取得してもよい。
【0136】
第2の画像処理部60(本実施形態における「画像処理手段」)、第2の画像送信部61及び第2の設定部62は、第六の実施形態で
図16を参照して説明した第2の画像処理部60、第2の画像送信部61、及び設定部59と概略同様であるため、説明を省略する。
【0137】
<処理の流れ>
なお、以下に説明する処理の具体的な内容及び処理順序は、本開示を実施するための一例である。具体的な処理内容及び処理順序は、本開示の実施の態様に応じて適宜選択されてよい。
【0138】
図19~
図21は、本実施形態に係るスキャン処理の流れの概要を示すフローチャートである。本フローチャートに示された処理は、スキャナ1においてユーザから読取開始指示が入力されたこと等を契機として開始される。なお、本フローチャートは、ユーザが、スキャンしたい原稿束の先頭にメンバーズカードを加えて原稿トレイにセットした後に読取開始指示を行ったことを前提とする。また、本フローチャートでは、1枚目の読取対象(画像)が読み取られた時点で、読取処理を一時停止することとする(2枚目以降の読取対象についての読取処理を保留する)。また、本フローチャートでは、識別媒体としてメンバーズカードを例示する。
【0139】
ステップS401~ステップS414は、
図7及び
図8のステップS101~ステップS114の処理と概略同様であるため、説明を省略する。但し、ステップS414では、第1の設定情報取得部34は、読取処理についての設定情報のみを取得する。その後、処理はステップS415へ進む。
【0140】
ステップS415では、設定情報に基づく読取処理が実行される。まず、第1の設定部43は、設定情報(読取処理設定情報)に応じた読取処理設定(読取部311についての設定)を行う。そして、読取部311は、当該読取処理設定に基づき、原稿束についての読取処理を行う。その後、処理はステップS416へ進む。
【0141】
ステップS416では、画像が送信される。第1の画像送信部42は、ステップS415で読取処理が実行されたことで生成された読取画像(生画像)を、ユーザ管理クラウドサーバ2に対して送信する。なお、本実施形態におけるステップS416では、生画像を送信する場合を例示するが、第1の画像処理部313により生画像に対して任意の画像処理が施されたことにより得られる処理後画像が送信されてもよい。また、ステップS416では、画像と併せてステップS404で取得された識別情報が送信されてもよい。その後、処理はステップS417へ進む。
【0142】
ステップS417では、画像が取得される。第2の画像取得部56は、ステップS416で送信された原稿束の撮像画像を取得する。なお、ステップS416で第1の画像送信部42により画像と併せて識別情報が送信された場合、第2の画像取得部56は、画像と併せて識別情報を取得する。その後、処理はステップS418へ進む。
【0143】
ステップS418~ステップS421は、
図17のステップ207~ステップ210の処理と概略同様であるため、説明を省略する。但し、ステップS418では、ステップS406で取得された識別情報又はステップ417で取得された識別情報に基づき、設定情報を取得する。その後、本フローチャートに示された処理は終了する。
【0144】
なお、上述した第一の実施形態から第七の実施形態のうち、いずれか2つ以上の実施形態を組み合わせた実施形態が採用されてもよい。
【0145】
1 スキャナ
2 ユーザ管理クラウドサーバ
8 連携クラウドサーバ