(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124615
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】弱酸性クリーム状洗浄剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/20 20060101AFI20240906BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20240906BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20240906BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20240906BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
A61K8/20
A61K8/44
A61K8/34
A61K8/73
A61Q19/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032401
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】593106918
【氏名又は名称】株式会社ファンケル
(72)【発明者】
【氏名】三譯 秀樹
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB331
4C083AB332
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC131
4C083AC132
4C083AC302
4C083AC422
4C083AC642
4C083AC661
4C083AC662
4C083AC792
4C083AD111
4C083AD112
4C083AD132
4C083AD202
4C083AD212
4C083AD241
4C083AD242
4C083BB05
4C083CC22
4C083DD31
4C083EE01
4C083EE06
(57)【要約】
【課題】N-アシルグリシンカリウムを含む弱酸性クリーム状洗浄剤組成物において、N-アシルグルタミン酸カリウムを添加し、泡立ちの速さ、泡量、泡の弾力に優れ、アニオン界面活性剤の少ない配合量で、温度による硬度変化が少なく、45℃でも分離や離水の生じない組成物を提供する。
【解決手段】下記のA~E成分を含有し、A成分及びB成分を含むアニオン界面活性剤濃度が16質量%以下であり、E成分とA成分の質量比E/Aが0.06以上0.30以下であり、pHが5.0以上6.4以下である弱酸性クリーム状洗浄剤組成物。
A成分:アシルグリシンカリウム 5質量%以上15質量%以下
B成分:アシルグルタミン酸カリウム
C成分:グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン―3、ソルビトール及びマルチトールから選ばれる1種又は2種以上の多価アルコール 5質量%以上50質量%以下
D成分:ヒドロキシプロピルデンプンリン酸
E成分:塩化ナトリウム
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記のA~E成分を含有し、A成分及びB成分を含むアニオン界面活性剤濃度が16質量%以下であり、E成分とA成分の質量比E/Aが0.06以上0.30以下であり、pHが5.0以上6.4以下である弱酸性クリーム状洗浄剤組成物。
A成分:アシルグリシンカリウム 5質量%以上15質量%以下
B成分:アシルグルタミン酸カリウム
C成分:グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン―3、ソルビトール及びマルチトールから選ばれる1種又は2種以上の多価アルコール 5質量%以上50質量%以下
D成分:ヒドロキシプロピルデンプンリン酸
E成分:塩化ナトリウム
【請求項2】
A成分がココイルグリシンカリウムであることを特徴とする請求項1に記載の弱酸性クリーム状洗浄剤組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、弱酸性クリーム状洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
クリーム状洗浄剤組成物は、固形石鹸や洗顔パウダーに比べて、携帯性とハンドリング性に優れ、手で容易に泡立て易いことから、現在洗顔市場において主流の剤型となっている。
一般的に、高級脂肪酸塩を主成分とするクリーム状洗浄剤組成物が知られており、豊かな泡量、キメが細かく弾力のある泡、さっぱりとした洗い流しが実現されているが、弱アルカリ性であるため皮膚への刺激性の問題があり、使用感についても洗い流した後のつっぱり感の問題があった。
一方で、N-アシルグリシン塩は、低刺激性で泡立ち、すすぎ性に優れた洗浄剤として、クリーム状洗浄剤組成物への配合が種々検討されてきた。N-アシルグリシン塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、ベタイン系両性界面活性剤、無機塩、水を含有するクリーム状洗浄剤組成物(特許文献1)、N-アシルグリシン塩、高重合ポリオール、多価アルコールを含有するクリーム状洗浄剤組成物(特許文献2)、N-アシルグリシン塩、ベタイン系両性界面活性剤、水、有機酸を含有するクリーム状洗浄剤組成物(特許文献3)が知られている。
【0003】
しかしながら、N-アシルグリシン塩を含有するクリーム状洗浄剤組成物について、クリーム形状を維持するために、アニオン界面活性剤を高濃度配合する必要があった。アニオン界面活性剤を高濃度配合することにより、使用時の水溶けが悪くなる、バルクのコストが上がる、環境への負荷が大きくなるというデメリットがあった。
N-アシルグリシン塩を含有するクリーム状洗浄剤組成物は、温度による硬度変化が大きく、低温で固くなりやすく、高温では液状化しやすい、或いは成分が分離しやすいという問題があった。
N-アシルグリシン塩は、ナトリウム塩であるか、カリウム塩であるかによって挙動が異なる。
N-アシルグリシンナトリウムは、硬度の温度安定性の高いクリームを比較的容易に製造できるが、水溶け、泡立ちの速さ、泡のボリューム、泡のきめ細かさに課題がある。一方、N-アシルグリシンカリウムは、N-アシルグリシンナトリウムと比べて、泡立ちが速く、泡のボリューム、泡のきめ細かさに優れるが、安定なクリーム状を保つことが困難であった。
本出願人は、N-アシルグリシンカリウムを主成分とする、安定で使用感に優れたクリーム状洗浄剤組成物を開発したが(特許文献4)、さらに使用感に優れたクリーム状洗浄剤組成物が求められている。また、前記クリーム状洗浄剤組成物は、45℃で分離する恐れがあるため、さらに高温安定性に優れるクリーム状洗浄剤組成物が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-269662号公報
【特許文献2】特開2000-143497号公報
【特許文献3】特開2001-019632号公報
【特許文献4】特開2019-142785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
N-アシルグリシンカリウムを主成分とする洗顔クリームにN-アシルグルタミン酸カリウムを添加することにより、泡立ちの速さが増し、泡量が増し、泡の弾力が強くなることを見出したが、高温で分離したり、液状化する問題に直面した。
そこで、本発明の課題は、泡立ちが速く、泡のボリュームに優れるN-アシルグリシンカリウムを主成分とする弱酸性クリーム状洗浄剤組成物において、N-アシルグルタミン酸カリウムを添加することにより、さらに、泡立ちの速さを増し、泡量を増し、泡の弾力を強くするとともに、アニオン界面活性剤の配合量を少なく抑えながら、温度による硬度変化が少なく、45℃でも分離や離水の生じない弱酸性クリーム状洗浄剤組成物を提供することである。
【0006】
本発明は、具体的には次の事項を要旨とする。
1.下記のA~E成分を含有し、A成分及びB成分を含むアニオン界面活性剤濃度が16質量%以下であり、E成分とA成分の質量比E/Aが0.06以上0.30以下であり、pHが5.0以上6.4以下である弱酸性クリーム状洗浄剤組成物。
A成分:アシルグリシンカリウム 5質量%以上15質量%以下
B成分:アシルグルタミン酸カリウム
C成分:グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン―3、ソルビトール及びマルチトールから選ばれる1種又は2種以上の多価アルコール 5質量%以上50質量%以下
D成分:ヒドロキシプロピルデンプンリン酸
E成分:塩化ナトリウム
2.A成分がココイルグリシンカリウムであることを特徴とする1.に記載の弱酸性クリーム状洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0007】
N-アシルグリシンカリウムを含有する弱酸性クリーム状洗浄剤組成物において、高い温度安定性、速い水溶け、速い泡立ち、十分な泡量、優れた泡の弾力、きめの細かい泡を実現することができた。
本発明の弱酸性クリーム状洗浄剤組成物は、温度による硬度変化が少なく、5℃における硬度が100g重以下、かつ40℃における硬度が2g重以上とすることができた。一般的な女性の握力でも、硬度が100g重以下であれば、チューブ容器からの吐出が容易であり、一方、硬度が2g重以上であれば、チューブ容器から吐出する際に液ダレが生じない。さらに、高温安定性に優れ、45℃で30日保管しても、分離や離水が生じない。
アニオン界面活性剤の配合量を少なくしてもクリーム状を維持し、高い温度安定性を実現した。また、アニオン界面活性剤の配合量が少ないことにより水溶けを速め、排水の環境負荷を低減し、製造コストを低減することができた。
泡立ちが速く、泡のボリュームに優れるものの、クリームの硬度の温度安定性を実現することが困難であったN-アシルグリシンカリウムを使用し、N-アシルグルタミン酸カリウムを併用して、アニオン界面活性剤総量の少ない、弱酸性クリーム状洗浄剤組成物を実現することができた。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の弱酸性クリーム状洗浄剤組成物は、pHが5.0以上6.4以下の弱酸性である。pHが6.4を超えると、クリーム状とならない場合がある。クリーム状とは、保形性と流動性を兼ね備えた状態であり、手に取った時にたれることなく、また、手で触ると簡単につぶれて流動する。チューブ容器やジャー容器に充填して使用するのに適しており、チューブ容器に充填した場合は、液だれせず、すなわち、液だれしない程度の保形性を有し、チューブから適量押し出すことが可能な性状が好ましく、ジャー容器に充填した場合は、容器を傾けてもすぐには形状が変わらない程度の保形性を有し、指で簡単に掬い取れる程度の流動性を有することが好ましい。本発明のクリーム状とは、具体的には、株式会社レオテック製FUDOH レオメーターを使用し、測定条件として、RANGE:200g重、アダプター:平板φ1cm、試料台速度:6cm/min、進入幅:3cmで測定をしたときに、2g重以上100g重以下の硬度を有することが好ましい。
【0009】
本発明の弱酸性クリーム状洗浄剤組成物は、N-アシルグリシンカリウム及びN-アシルグルタミン酸カリウムを含むアニオン界面活性剤を16質量%以下の濃度で含有する。アニオン界面活性剤濃度が低くても、安定なクリーム状態であり、アニオン界面活性剤濃度が低いために水溶けが良く、泡立ちに優れる。
【0010】
本発明に用いるA成分のアシルグリシンカリウムは、本発明の弱酸性クリーム状洗浄剤組成物に5質量%以上15質量%以下の濃度で配合する。アシルグリシンカリウムはアシルグリシンナトリウムと比べて、クリームの硬度の温度安定性がやや低いが、水溶けや泡立ちが速く、適度な泡のボリュームを実現できる。
アシルグリシンカリウムとしては、ラウロイルグリシンカリウム、ミリストイルグリシンカリウム、パルミトイルグリシンカリウム、ステアロイルグリシンカリウム、ココイルグリシンカリウム等が挙げられ、市販品を用いることができる。アシルグリシンカリウムとしては、ココイルグリシンカリウムが好ましい。
【0011】
本発明に用いるB成分のアシルグルタミン酸カリウムは、弱酸性洗浄剤組成物に汎用されるアニオン界面活性剤である。
アシルグルタミン酸カリウムとしては、パルミトイルグルタミン酸カリウム、N-ステアロイルグルタミン酸カリウム、N-オレオイルグルタミン酸カリウム、ココイルグルタミン酸カリウム、N-(ヤシ脂肪酸/パーム脂肪酸/ヒマワリ脂肪酸)アシルグルタミン酸カリウム、N-パーム油脂肪酸アシルグルタミン酸カリウム、N-水素添加牛脂脂肪酸アシルグルタミン酸カリウム、ラウロイルグルタミン酸カリウム、ミリストイルグルタミン酸カリウム等が挙げられる。
【0012】
本発明に用いるC成分のグリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン―3、ソルビトール及びマルチトールから選ばれる多価アルコールは、本発明の弱酸性クリーム状洗浄剤組成物に5質量%以上50質量%以下の濃度で配合される。
【0013】
本発明に用いるD成分のヒドロキシプロピルデンプンリン酸は、ヒドロキシプロピルデンプンがリン酸と架橋されたものである。ヒドロキシプロピルデンプンはデンプンとプロピレンオキシドを反応させて得られる。
ヒドロキシプロピルデンプンリン酸は市販品を用いることができ、例えばアクゾノーベル(株)製ヒドロキシプロピルデンプンリン酸「STRUCTURE(商標) XL」が挙げられる。
本発明に用いるD成分のヒドロキシプロピルデンプンリン酸の配合量は1質量%以上、4質量%以下が好ましい。
【0014】
本発明に用いるE成分の塩化ナトリウムの配合量は、A成分との比であるE/Aが0.06以上0.30以下である。0.06未満では、45℃において分離が生じる。また、5℃における硬度が極端に上昇する場合がある。0.33以上では、水溶けが遅くなり、泡量が低下する。
【0015】
本発明の弱酸性クリーム状洗浄剤組成物は、皮膚の洗浄に適しており、主に洗顔剤として用いることが想定されるが、手洗い用の洗浄剤、身体用の洗浄剤としても用いることができる。
【0016】
本発明の弱酸性クリーム状洗浄剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、A成分、B成分以外のアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤、C成分以外の多価アルコール、水溶性高分子、油剤、紛体、pH調整剤、香料、防腐・抗菌剤、安定剤、薬効成分を配合することができる。
【実施例0017】
[pH、硬度、使用性の評価]
表1~10の処方で、実施例1~34、比較例1~19の弱酸性クリーム状洗浄剤組成物を調製し、pH、硬度、使用性を評価した。
【0018】
[製造方法]
各成分を加熱撹拌することで完全に溶解し、緩やかに攪拌しながら冷却・脱泡することで弱酸性クリーム状洗浄剤組成物を得た。
【0019】
[pH測定]
製造直後の弱酸性クリーム状洗浄剤組成物のpHを、株式会社堀場製作所製pHメーターを用いて、23℃以上27℃以下の条件で測定した。
【0020】
[硬度の温度安定性、経時安定性評価]
作成した弱酸性クリーム状洗浄剤組成物をクリーム瓶に50gずつ充填し、5℃、25℃、40℃、45℃の恒温室に保管し、一ヵ月後に恒温室から出した直後の硬度を測定した。
硬度は2g重以上100g重以下であることが好ましい。
2g重未満では、チューブから押し出すときに液だれが生じ、クリーム状の製剤として扱うことが困難である。したがって、40℃においても2g重以上の硬度が必要である。45℃において使用することは想定されないため、45℃において2g重以上の硬度は必要ないが、45℃の環境下に置かれることも想定されるので、45℃で分離してはならない。
硬度が100g重を超えると、チューブ容器から押し出すことが困難となる。したがって、硬くなりやすい5℃においても100g重以下であることが必要である。
硬度測定は、株式会社レオテック製FUDOH レオメーターを使用し、測定条件は、RANGE:200g重、アダプター:平板φ1cm、試料台速度:6cm/min、進入幅:3cmとした。
【0021】
[官能評価試験]
専門のパネラー3名で、検体を手のひらに2gとり、適量の水を加えて泡立てる。そのときの水溶け、泡立ちの速さ、泡量、泡の弾力、泡のきめの細かさを評価した。
B成分のアシルグルタミン酸カリウムを含有しない比較例1を標準とし、以下の基準により評価した。3名の評価点を平均して、官能評価試験結果とした。
A)水溶け(水溶けとは、水に接触してからクリーム形状が完全に泡沫に変化するまでの速さのことである)
5:比較例1と比べて、非常に水溶けが速い。
4:比較例1と比べて、水溶けが速い。
3:比較例1と比べて、水溶けの速さが同等。
2:比較例1と比べて、水溶けが遅い。
1:比較例1と比べて、水溶けが遅く、手のひらに検体が残る。
B)泡立ちの速さ
5:比較例1と比べて、非常に泡立ちが速い。
4:比較例1と比べて、泡立ちが速い。
3:比較例1と比べて、泡立ちの速さが同等。
2:比較例1と比べて、泡立ちが遅い。
1:比較例1と比べて、泡立ちが遅く、十分な泡を作成することができない。
C)泡量
5:比較例1と比べて、非常に泡の量が多い。
4:比較例1と比べて、泡の量が多い。
3:比較例1と比べて、泡の量が同等。
2:比較例1と比べて、泡の量が少ない。
1:比較例1と比べて、泡の量が少なく、洗顔を行うにあたり十分な泡を作成することができない。
D)泡の弾力
(泡の弾力とは、泡を指や手のひらで圧力をかけた際に感じる抵抗のことである)
5:比較例1と比べて、非常に泡の弾力に優れる。
4:比較例1と比べて、泡の弾力に優れる。
3:比較例1と比べて、泡の弾力が同等。
2:比較例1と比べて、泡の弾力が少ない。
1:比較例1と比べて、泡の弾力が少なく、すぐにつぶれてしまう泡である。
E)泡のきめの細かさ
(泡のきめ細かさとは、目視により認識できる程度の泡の粒径の細かさのことである)
5:比較例1と比べて、非常に泡のきめの細かさに優れる。
4:比較例1と比べて、泡のきめの細かさに優れる。
3:比較例1と比べて、泡のきめの細かさが同等。
2:比較例1と比べて、泡のきめの細かさに劣る。
1:比較例1と比べて、非常に泡のきめの細かさに劣る。
【0022】
【0023】
実施例1~6の弱酸性クリーム状洗浄剤組成物は、B成分のアシルグルタミン酸カリウム、D成分のヒドロキシプロピルデンプンリン酸を含有しない表2の比較例1と比べて、泡立ちの速さ、泡量、泡の弾力に優れ、比較例1の課題である45℃における安定性が改善され、45℃でも分離せず安定であった。
【0024】
【0025】
官能評価の標準として設定した比較例1の弱酸性クリーム状洗浄剤組成物は、D成分のヒドロキシプロピルデンプンリン酸を含有しないので、45℃で分離した。比較例2の弱酸性クリーム状洗浄剤組成物は、D成分のヒドロキシプロピルデンプンリン酸を含有するので45℃で分離せず安定性を維持しているが、水溶けや泡量が比較例1よりも劣っている。比較例4~7は、B成分のアシルグルタミン酸カリウムを含有するため、比較例1よりも使用性に優れるが、D成分のヒドロキシプロピルデンプンリン酸を含有しないので、45℃で分離した。
【0026】
【0027】
D成分のヒドロキシプロピルデンプンリン酸を含有しない比較例5は45℃で分離したが、D成分のヒドロキシプロピルデンプンリン酸を1.5質量%以上3質量%以下含有する実施例7~10は45℃で分離せず、安定性を維持した。
【0028】
【0029】
A成分のアシルグリシンカリウムを8~14質量%含有する実施例11~14は適切な硬度を有し、使用性に優れていたが、A成分のアシルグリシンカリウムを16質量%含有する比較例8は、5℃1か月保管後の硬度が122g重であり、チューブから出しにくくなっており、使用性についても水溶けに劣った。
【0030】
【0031】
C成分のグリセリンを5~40質量%含有する実施例15~19、C成分のジグリセリンを5~40質量%含有する実施例20~23は、硬度、45℃安定性、使用性のいずれも優れていた。
【0032】
【0033】
C成分のポリグリセリン-3を10~36質量%含有する実施例24,25、C成分のソルビトールを10~36質量%含有する実施例26,27、C成分のマルチトールを10~36質量%含有する実施例28、29は、硬度、45℃安定性、使用性のいずれも優れていた。
【0034】
【0035】
C成分に代えてDPGを含有する比較例9、C成分を含有しない比較例10,12,13は、いずれも45℃で分離し、泡の弾力や、泡のきめ細かさに劣った。C成分を含有しない比較例11は、製造直後に液状となり、クリーム形態とならなかったため、pH、硬度、使用性を評価しなかった。
【0036】
【0037】
実施例30~33のE成分/A成分は0.07以上0.25以下であり、硬度、45℃安定性、使用性に優れていた。E成分/A成分が0.03以上0.05以下の比較例14,15は45℃で分離した。E成分/A成分が0.33の比較例16は、水溶け、泡量が劣っていた。
【0038】
【0039】
A成分としてココイルグリシンカリウムを用いた実施例10は、硬度、45℃安定性、使用性に優れていたが、A成分を含有せず、代わりにココイルグリシンナトリウムを用いた比較例17は、水溶け、泡のきめ細かさに劣っていた。
【0040】