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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124619
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/3231 20190101AFI20240906BHJP
   G06F 1/3234 20190101ALI20240906BHJP
   G06F 3/01 20060101ALI20240906BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20240906BHJP
   G09G 5/10 20060101ALI20240906BHJP
   G01V 8/10 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
G06F1/3231
G06F1/3234
G06F3/01 510
G09G5/00 550C
G09G5/10 B
G01V8/10 S
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032415
(22)【出願日】2023-03-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-08-26
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(72)【発明者】
【氏名】西尾 匡史
(72)【発明者】
【氏名】小杉 和宏
【テーマコード(参考)】
2G105
5B011
5C182
5E555
【Fターム(参考)】
2G105AA01
2G105BB17
2G105EE02
2G105EE06
2G105GG03
2G105HH02
2G105KK05
5B011DA02
5B011EA02
5B011EA10
5B011EB09
5B011KK01
5B011LL15
5C182AA02
5C182AA03
5C182AB02
5C182BA01
5C182BA03
5C182BA04
5C182BA06
5C182BA14
5C182BA25
5C182BA27
5C182BA35
5C182BA45
5C182BA54
5C182BA55
5C182CA01
5C182DA42
5C182DA44
5C182DA66
5C182DA67
5C182DA68
5E555AA62
5E555AA77
5E555BA03
5E555BA38
5E555BB03
5E555BB38
5E555BC13
5E555BE02
5E555CA42
5E555CA46
5E555CB80
5E555DC36
5E555FA00
(57)【要約】
【課題】表示部の画面輝度を適切に制御すること。
【解決手段】情報処理装置は、システムのプログラム及びシステム上で実行されるプログラムを一時的に記憶するメモリと、メモリに記憶されたプログラムに基づいて処理を実行するプロセッサと、プロセッサが実行する処理に基づく表示画像を表示する表示部と、所定の検出範囲内に存在する人物または人物の顔の向きを検出するための第1センサと、周囲の明るさを検出するための第2センサと、を備え、プロセッサは、第1センサを用いた検出結果に基づいて、表示部の画面輝度を現在の輝度値から変更する第1輝度変更処理と、第2センサを用いた検出結果に基づいて、画面輝度を現在の輝度値から変更する第2輝度変更処理と、第1センサを用いた検出結果に基づいて、第2輝度変更処理による画面輝度の変更を行うか否かを制御する輝度変更制御処理と、を行う。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムのプログラム及びシステム上で実行されるプログラムを一時的に記憶するメモリと、
前記メモリに記憶されたプログラムに基づいて処理を実行するプロセッサと、
前記プロセッサが実行する処理に基づく表示画像を表示する表示部と、
所定の検出範囲内に存在する人物または人物の顔の向きを検出するための第1センサと、
周囲の明るさを検出するための第2センサと、
を備え、
前記プロセッサは、
前記第1センサを用いた検出結果に基づいて、前記表示部の画面輝度を現在の輝度値から変更する第1輝度変更処理と、
前記第2センサを用いた検出結果に基づいて、前記画面輝度を現在の輝度値から変更する第2輝度変更処理と、
前記第1センサを用いた検出結果に基づいて、前記第2輝度変更処理による前記画面輝度の変更を行うか否かを制御する輝度変更制御処理と、
を行う情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記第1センサを用いた検出結果に基づいて前記所定の検出範囲内に人物が存在しないこと、または前記所定の検出範囲内に存在する人物の顔が前記表示部の方向を向いていないことが検出された場合、前記輝度変更制御処理において、前記第2輝度変更処理による前記画面輝度の変更を行わないように制御する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記第2輝度変更処理において、周囲の明るさに応じて前記第2センサから出力される出力値に基づいて前記画面輝度を現在の輝度値から変更し、
前記輝度変更制御処理において、前記第2輝度変更処理による前記画面輝度の変更を行わないように制御する場合、前記第2センサの前記出力値を固定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記プロセッサは、
前記第1センサを用いて前記所定の検出範囲内に人物が存在するか否かまたは前記所定の検出範囲内に存在する人物の顔の向きを検出する処理が実行されない状態では、前記輝度変更制御処理において、前記第2センサの前記出力値を固定せず、周囲の明るさに応じた出力値とする、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記プロセッサは、
前記第1輝度変更処理及び前記第2輝度変更処理の少なくとも一方が実行されない状態では、前記輝度変更制御処理において、前記第2センサの前記出力値を固定せず、周囲の明るさに応じた出力値とする、
請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、
前記第2輝度変更処理において、前記画面輝度を現在の輝度値から変更する場合、前記第2センサを用いた検出結果に基づいて前記画面輝度を現在の輝度値から増減させる、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、
前記第1輝度変更処理において、
前記第1センサを用いた検出結果に基づいて前記所定の検出範囲内に人物が存在しないこと、または前記所定の検出範囲内に存在する人物の顔が前記表示部の方向を向いていないことが検出されたことに基づいて、前記画面輝度を現在の輝度値から変更するとともに、変更前の輝度値を記憶部に記憶し、
前記第1センサを用いた検出結果に基づいて前記所定の検出範囲内に人物が存在しない状態から人物が存在すること、または前記表示部の方向を向いていない人物の顔が前記表示部の方向を向いたことが検出されたことに基づいて、前記画面輝度を前記記憶部に記憶した変更前の輝度値に戻す、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項8】
システムのプログラム及びシステム上で実行されるプログラムを一時的に記憶するメモリと、前記メモリに記憶されたプログラムに基づいて処理を実行するプロセッサと、前記プロセッサが実行する処理に基づく表示画像を表示する表示部と、所定の検出範囲内に存在する人物または人物の顔の向きを検出するための第1センサと、周囲の明るさを検出するための第2センサと、を備える情報処理装置における制御方法であって、
前記プロセッサが、
前記第1センサを用いた検出結果に基づいて、前記表示部の画面輝度を現在の輝度値から変更する第1輝度変更ステップと、
前記第2センサを用いた検出結果に基づいて、前記画面輝度を現在の輝度値から変更する第2輝度変更ステップと、
前記第1センサを用いた検出結果に基づいて、前記第2輝度変更ステップによる前記画面輝度の変更を行うか否かを制御する輝度変更制御ステップと、
を含む制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、及び制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ESG(Environment、Social、Governance)への期待から、表示部(ディスプレイ)の輝度(明るさ)を調整して低電力化する機能が注目されている。例えば、パーソナルコンピュータなどの情報処理装置では、人物が離れた場合や、人物が存在していても横を向いている場合には、表示部の輝度を低減し、その後、表示をオフにしてシステムを待機状態へ遷移する制御が行われているものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、赤外線センサを用いて、人物が近づいたことや離れたことを検出し、人物が近づいたことを検出すると使用可能な状態に遷移し、人物が離れたことを検出すると消費電力を抑えた状態に遷移する機器について開示されている。また、近年、コンピュータビジョンなどの発展により、画像から顔を検出する際の検出精度が高くなってきている。そこで、赤外線センサによる人物の検出に代えて、顔検出による人物の検出も行われている。顔検出による人物の検出は、単に人物を検出するだけでなく顔の向きを検出することも可能であるため、上述したような顔の向きに応じて表示部の画面輝度を制御する際に利用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016-148895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来から周囲の明るさに応じて画面輝度を制御する機能がある。この明るさに応じた画面輝度の制御と、上述した人物や顔の向きの検出結果を用いた画面輝度の制御との両方の機能を搭載することも考えられる。しかしながら、それぞれの画面輝度の制御を行う処理が別々に動作して画面輝度を変更すると、変更したことが互いにわからないため、齟齬が生じて画面輝度を適切に制御することができないことがある。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、表示部の画面輝度を適切に制御することができる情報処理装置、及び制御方法を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたものであり、本発明の第1態様に係る情報処理装置は、システムのプログラム及びシステム上で実行されるプログラムを一時的に記憶するメモリと、前記メモリに記憶されたプログラムに基づいて処理を実行するプロセッサと、前記プロセッサが実行する処理に基づく表示画像を表示する表示部と、所定の検出範囲内に存在する人物または人物の顔の向きを検出するための第1センサと、周囲の明るさを検出するための第2センサと、を備え、前記プロセッサは、前記第1センサを用いた検出結果に基づいて、前記表示部の画面輝度を現在の輝度値から変更する第1輝度変更処理と、前記第2センサを用いた検出結果に基づいて、前記画面輝度を現在の輝度値から変更する第2輝度変更処理と、前記第1センサを用いた検出結果に基づいて、前記第2輝度変更処理による前記画面輝度の変更を行うか否かを制御する輝度変更制御処理と、を行う。
【0008】
上記情報処理装置において、前記プロセッサは、前記第1センサを用いた検出結果に基づいて前記所定の検出範囲内に人物が存在しないこと、または前記所定の検出範囲内に存在する人物の顔が前記表示部の方向を向いていないことが検出された場合、前記輝度変更制御処理において、前記第2輝度変更処理による前記画面輝度の変更を行わないように制御してもよい。
【0009】
上記情報処理装置において、前記プロセッサは、前記第2輝度変更処理において、周囲の明るさに応じて前記第2センサから出力される出力値に基づいて前記画面輝度を現在の輝度値から変更し、前記輝度変更制御処理において、前記第2輝度変更処理による前記画面輝度の変更を行わないように制御する場合、前記第2センサの前記出力値を固定してもよい。
【0010】
上記情報処理装置において、前記プロセッサは、前記第1センサを用いて前記所定の検出範囲内に人物が存在するか否かまたは前記所定の検出範囲内に存在する人物の顔の向きを検出する処理が実行されない状態では、前記輝度変更制御処理において、前記第2センサの前記出力値を固定せず、周囲の明るさに応じた出力値としてもよい。
【0011】
上記情報処理装置において、前記プロセッサは、前記第1輝度変更処理及び前記第2輝度変更処理の少なくとも一方が実行されない状態では、前記輝度変更制御処理において、前記第2センサの前記出力値を固定せず、周囲の明るさに応じた出力値としてもよい。
【0012】
上記情報処理装置において、前記プロセッサは、前記第2輝度変更処理において、前記画面輝度を現在の輝度値から変更する場合、前記第2センサを用いた検出結果に基づいて前記画面輝度を現在の輝度値から増減させてもよい。
【0013】
上記情報処理装置において、前記プロセッサは、前記第1輝度変更処理において、前記第1センサを用いた検出結果に基づいて前記所定の検出範囲内に人物が存在しないこと、または前記所定の検出範囲内に存在する人物の顔が前記表示部の方向を向いていないことが検出されたことに基づいて、前記画面輝度を現在の輝度値から変更するとともに、変更前の輝度値を記憶部に記憶し、前記第1センサを用いた検出結果に基づいて前記所定の検出範囲内に人物が存在しない状態から人物が存在すること、または前記表示部の方向を向いていない人物の顔が前記表示部の方向を向いたことが検出されたことに基づいて、前記画面輝度を前記記憶部に記憶した変更前の輝度値に戻してもよい。
【0014】
また、本発明の第2態様に係る、システムのプログラム及びシステム上で実行されるプログラムを一時的に記憶するメモリと、前記メモリに記憶されたプログラムに基づいて処理を実行するプロセッサと、前記プロセッサが実行する処理に基づく表示画像を表示する表示部と、所定の検出範囲内に存在する人物または人物の顔の向きを検出するための第1センサと、周囲の明るさを検出するための第2センサと、を備える情報処理装置における制御方法は、前記プロセッサが、前記第1センサを用いた検出結果に基づいて、前記表示部の画面輝度を現在の輝度値から変更する第1輝度変更ステップと、前記第2センサを用いた検出結果に基づいて、前記画面輝度を現在の輝度値から変更する第2輝度変更ステップと、前記第1センサを用いた検出結果に基づいて、前記第2輝度変更ステップによる前記画面輝度の変更を行うか否かを制御する輝度変更制御ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0015】
本発明の上記態様によれば、表示部の画面輝度を適切に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施形態に係る情報処理装置の外観の構成例を示す斜視図。
図2】実施形態に係る情報処理装置の人物の検出範囲の一例を示す図。
図3】実施形態に係る情報処理装置のHPD処理の概要を説明する図。
図4】実施形態に係る画面輝度の制御の一例の説明図。
図5】実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す概略ブロック図。
図6】実施形態に係る情報処理装置の機能構成の一例を示す概略ブロック図。
図7】実施形態に係るHPD輝度変更処理の一例を示すフローチャート。
図8】実施形態に係るALS輝度変更処理の一例を示すフローチャート。
図9】実施形態に係る画面輝度変更制御処理の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
[概要]
まず、実施形態に係る情報処理装置の概要について説明する。
図1は、本実施形態に係る情報処理装置1の外観の構成例を示す斜視図である。
【0018】
情報処理装置1は、例えば、ノート型(クラムシェル型)のPC(Personal Computer)である。情報処理装置1は、第1筐体10、第2筐体20、及びヒンジ機構15を備える。第1筐体10と第2筐体20は、ヒンジ機構15を用いて結合されている。第1筐体10は、第2筐体20に対して、ヒンジ機構15がなす回転軸の周りに相対的に回動可能である。第1筐体10と第2筐体20との回動による開き角を「θ」として図示している。
【0019】
第1筐体10は、Aカバー、ディスプレイ筐体とも呼ばれる。第2筐体20は、Cカバー、システム筐体とも呼ばれる。以下の説明では、第1筐体10と第2筐体20の側面のうち、ヒンジ機構15が備わる面を、それぞれ側面10c、20cと呼ぶ。第1筐体10と第2筐体20の側面のうち、側面10c、20cとは反対側の面を、それぞれ側面10a、20aと呼ぶ。図示において、側面20aから側面20cに向かう方向を「後」と呼び、側面20cから側面20aに向かう方向を「前」と呼ぶ。後方に対して右方、左方を、それぞれ「右」、「左」と呼ぶ。第1筐体10、第2筐体20の左側面をそれぞれ側面10b、20bと呼び、右側面をそれぞれ側面10d、20dと呼ぶ。また、第1筐体10と第2筐体20とが重なり合って完全に閉じた状態(開き角θ=0°の状態)を「閉状態」と呼ぶ。閉状態において第1筐体10と第2筐体20との互いに対面する側の面を、それぞれの「内面」と呼び、内面に対して反対側の面を「外面」と呼ぶ。また、閉状態に対して第1筐体10と第2筐体20とが開いた状態のことを「開状態」と呼ぶ。
【0020】
図1に示す情報処理装置1の外観は開状態の例を示している。開状態は、第1筐体10の側面10aと第2筐体20の側面20aとが離れた状態である。開状態では、第1筐体10と第2筐体20とのそれぞれの内面が表れる。開状態はユーザが情報処理装置1を使用する際の状態の一つであり、典型的には開き角θ=100~130°程度の状態で使用されることが多い。なお、開状態となる開き角θの範囲は、ヒンジ機構15よって回動可能な角度の範囲等に応じて任意に定めることができる。
【0021】
第1筐体10の内面には、表示部110が設けられている。表示部110は、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイなどを含んで構成されている。また、第1筐体10の内面のうち表示部110の周縁の領域に、撮像部120と周囲光センサ130とが設けられている。なお、図示する撮像部120の位置は一例であって、表示部110の表示画面に対面する方向を向くことが可能であれば他の位置であってもよい。また、図示する周囲光センサ130の位置は一例であって、情報処理装置1の周囲の明るさを検出可能な位置であれば他の場所であってもよく、例えば、第1筐体10の内面及び第2筐体20の内面のうちのいずれの位置であってもよい。
【0022】
撮像部120は、開状態において、表示部110の表示画面に対面する方向(即ち、情報処理装置1の前方)の所定の撮像範囲を撮像する。所定の撮像範囲とは、撮像部120が有する撮像素子と撮像素子の撮像面の前方に設けられた光学レンズとによって定まる画角の範囲である。例えば、撮像部120は、情報処理装置1の前方(正面側)に存在する人物(ユーザ)を含む画像を撮像することができる。
【0023】
周囲光センサ130(ALS:Ambient Light Sensor)は、情報処理装置1の周囲の明るさ(例えば、照度)を検出するためセンサである。周囲光センサ130は、周囲の光量を検知して光電変換した値を出力値として出力する。例えば、周囲光センサ130は、フォトトランジスタを含んで構成されている。周囲光センサ130は、周囲の光量に応じて変化するフォトトランジスタに流れる電流を、抵抗を用いて電圧に変換して電圧値として出力する。
【0024】
また、第2筐体20の側面20bには、電源ボタン140が設けられている。電源ボタン140は、電源のオンまたはオフ、待機状態から通常動作状態への遷移、通常動作状態から待機状態への遷移などをユーザが指示するための操作子である。通常動作状態とは、特に制限なく処理の実行が可能なシステムの動作状態であり、例えば、ACPI(Advanced Configuration and Power Interface)で規定されているS0状態に相当する。
【0025】
待機状態とは、システム処理の少なくとも一部が制限されている状態であって、通常動作状態よりも消費電力が低い状態である。例えば、待機状態は、スタンバイ状態、スリープ状態等であってもよく、Windows(登録商標)におけるモダンスタンバイや、ACPIで規定されているS3状態(スリープ状態)等に相当する状態であってもよい。
【0026】
また、第2筐体20の内面には、ユーザの操作入力を受け付ける入力デバイスとして、キーボード151及びタッチパッド153が設けられている。なお、入力デバイスとして、キーボード151及びタッチパッド153に代えて、または加えて、タッチセンサが設けられてもよいし、マウスや外付けのキーボードが接続されてもよい。タッチセンサが設けられた構成の場合、表示部110の表示画面に対応する領域が操作を受け付けるタッチパネルとして構成されてもよい。また、入力デバイスには、音声が入力されるマイクが含まれてもよい。
【0027】
なお、第1筐体10と第2筐体20とが閉じた閉状態では、第1筐体10の内面に設けられている表示部110、及び撮像部120と、第2筐体20の内面に設けられているキーボード151及びタッチパッド153は、互いに他方の筐体面で覆われ、機能を発揮できない状態となる。
【0028】
情報処理装置1は、撮像部120により撮像された撮像画像に基づいて、情報処理装置1の前方に存在する人物を検出するHPD(Human Presence Detection)処理を実行する。
【0029】
図2は、本実施形態に係る情報処理装置1の人物の検出範囲の一例を示す図である。図示する例において、情報処理装置1の前方の検出範囲FoV(Field of View:検出視野角)が、人物の検出可能な範囲である。
【0030】
例えば、情報処理装置1は、撮像部120により撮像された撮像画像から顔が撮像されている顔領域を検出することにより、情報処理装置1の前方に人物(ユーザ)が存在するか否かを判定する。検出範囲FoVは、情報処理装置1が撮像する撮像画角に相当する。情報処理装置1は、撮像画像から顔領域が検出された場合、人物が存在すると判定する。一方、情報処理装置1は、撮像画像から顔領域が検出されなかった場合、人物が存在しないと判定する。
【0031】
情報処理装置1は、HPD処理により人物の存在の有無に応じて情報処理装置1のシステムの動作状態を制御する。例えば、情報処理装置1は、情報処理装置1の前方に人物が存在する場合には通常動作状態に制御し、情報処理装置1の前方に人物が存在しない場合には待機状態に制御する。
【0032】
図3は、本実施形態に係る情報処理装置1のHPD処理の概要を説明する図である。情報処理装置1は、HPD処理により情報処理装置1の前方に存在する人物を検出し、人物の存在の有無に基づいて情報処理装置1のシステムの動作状態を制御する。例えば図3の(A)に示すように、情報処理装置1は、待機状態において、情報処理装置1の前方に人物が存在しない状態(Absence)から存在する状態(Presence)への変化、即ち情報処理装置1へ人物が接近したこと(Approach)を検出した場合、自動でシステムを起動して通常動作状態へ遷移させる。また図3の(B)に示すように、情報処理装置1は、通常動作状態において、情報処理装置1の前に人物が存在している状態(Presence)では、通常動作状態を継続させる。また図3の(C)に示すように、情報処理装置1は、情報処理装置1の前方に人物が存在している状態(Presence)から存在しない状態(Absence)への変化、即ち情報処理装置1から人物が離脱したこと(Leave)を検出した場合には、システムを待機状態へ遷移させる。
【0033】
また、情報処理装置1は、情報処理装置1の前方に人物が存在する場合には、その人物の顔の向きを検出する。ここでの顔の向きとは、顔の左右方向への回転角度に対応する向き及び上下方向への回転角度に対応する向きである。以下では、情報処理装置1の方向(表示部110及び撮像部120の方向)を顔が向いている状態を、顔の向きが正面を向いている状態とする。例えば、情報処理装置1は、人物の顔の向きが正面を向いているか否かを判定する。
【0034】
ここで、顔が正面を向いている状態のことを、情報処理装置1を注目している状態であることから「Attention」と称する。一方、顔が正面を向いていない状態のことを、情報処理装置1を注目していない状態であることから「No attention」と称する。
【0035】
(HPD処理による画面輝度の制御)
情報処理装置1は、検出範囲FoV内に人物が存在するか否か、または存在する人物の顔の向きに基づいて表示部110の輝度を制御する。表示部110の輝度は、表示部110の画面の明るさのことであり、以下では「画面輝度」と称する。例えば、情報処理装置1は、HPD処理により「Presence」から「Absence」へ変化したことを検出した場合、または「Presence」であっても「Attention」から「No attention」へ変化したことを検出した場合には、画面輝度を現在の輝度値に対して一定の割合の輝度値に減少させる。
【0036】
ここで、現在の輝度値(画面輝度を下げる前の輝度値)とは、例えば、「Presence」且つ「Attention」の状態での輝度値であり、システムで初期設定されている輝度値、または初期設定されている輝度値からユーザが変更した輝度値である。現在の輝度値から減少させる際の割合は任意に設定することができるが、例えば0~20%程度の輝度値に減少させてもよい。画面輝度をより減少させるほど省電力化の効果が上がり、また、他人から見られる可能性が減るためセキュリティも向上する。
【0037】
例えば、情報処理装置1は、HPD処理により「Absence」または「No attention」を検出した場合には、画面輝度を現在の輝度値の20%の輝度値に変更することにより、画面輝度を減少させる。また、情報処理装置1は、画面輝度を現在の輝度値から変更する際に、変更前の輝度値(現在の輝度値)を記憶しておく。そして、情報処理装置1は、HPD処理により「Absence」から「Presence」へ変化したことを検出した場合、または「No attention」から「Attention」へ変化したことを検出した場合には、記憶していた変更前の輝度値に戻す。このHPD処理により画面輝度の輝度値を変更する処理のことを、以下では「HPD輝度変更処理」と称する。
【0038】
(ALSを用いた画面輝度の制御)
また、情報処理装置1は、周囲光センサ130(ALS)を用いて検出した周囲の明るさに応じて画面輝度を調整する。この周囲光センサ130を用いた検出結果に基づいて画面輝度の輝度値を変更する処理のことを、以下では「ALS輝度変更処理」と称する。
例えば、情報処理装置1は、周囲光センサ130を用いた検出結果に基づいて画面輝度を現在の輝度値から増減させる。増減させる輝度値の量は、周囲の明るさからの変化量に応じて予め設定されている。
【0039】
情報処理装置1は、画面輝度を調整する機能として、上述したHPD輝度変更処理とALS輝度変更処理とを有する。ここで、HPD輝度変更処理とALS輝度変更処理とのそれぞれが別々に動作して画面輝度を変更すると、変更したことが互いにわからないため、齟齬が生じて画面輝度を適切に制御することができないことがある。そこで、本実施形態に係る情報処理装置1は、HPD処理の検出結果に基づいてALS輝度変更処理を行うか否かを制御する。具体的には、情報処理装置1は、HPD処理の検出結果に基づいてHPD輝度変更処理(画面輝度の低減)が行われている状況のときには、ALS輝度変更処理を行わないように制御する。なお、HPD輝度変更処理が行われる状況とは、HPD処理の検出結果が「Absence」または「No attention」のときである。これにより、画面輝度を適切に制御することができるようになる。
【0040】
図4は、本実施形態に係る画面輝度の制御の一例の説明図である。この図を参照して、周囲の明るさと顔の向きとが変化するにつれて画面輝度がどのように変化するかを説明する。(A)は、本実施形態の制御を説明する上での比較として、HPD処理の検出結果にかかわらずHPD輝度変更処理とALS輝度変更処理との両方を仮に行った場合の画面輝度の制御を示している。一方、(B)は、本実施形態の画面輝度の制御を示している。
【0041】
まず、本実施形態の制御との比較として(A)の制御について説明する。開始時点の(1)では、トンネル内(周囲が暗い状態)で顔の向きが正面であり、このときの画面輝度の輝度値が「100」であるとする。なお、この図に示す画面輝度の輝度値は、HPD輝度変更処理とALS輝度変更処理とによって相対的にどのように変化するかを説明するために示しているものであり、実際の輝度値を示すものではない。
【0042】
(2)では、トンネル内であることは(1)とは変わらないが、顔の向きが横向きになったとする。情報処理装置1は、HPD処理により「Attention」から「No attention」へ変化したことを検出し、HPD輝度変更処理により画面輝度を現在の輝度値「100」から一定の割合(例えば「20%」)の輝度値「20」に低減させる。また、情報処理装置1は、画面輝度を変更する際に、変更前の輝度値「100」を記憶する。
【0043】
次に(3)では、(2)と同様に顔の向きは横向きのままであるが、トンネル外(周囲が明るい状態)になったとする。情報処理装置1は、ALS輝度変更処理により、周囲光センサ130を用いた検出結果に基づいて画面輝度を現在の輝度値「20」から増加(例えば「+30」)させる。これにより、画面輝度の輝度値は、例えば「50」となる。
【0044】
次に(4)では、トンネル外であることは(3)と変わらないが、顔の向きが正面になったとする。情報処理装置1は、HPD処理により「No attention」から「Attention」へ変化したことを検出し、HPD輝度変更処理により画面輝度を(2)で記憶した輝度値「100」に戻す。
【0045】
次に(5)では、(4)と同様に顔の向きは正面のままであるが、トンネル内(周囲が暗い状態)になったとする。即ち、開始時点(1)のトンネル内で顔の向きが正面である状態と同様の状態である。情報処理装置1は、ALS輝度変更処理により、周囲光センサ130を用いた検出結果に基づいて画面輝度を現在の輝度値「100」から減少(例えば「-30」)させる。これにより、画面輝度の輝度値は、例えば「70」となる。つまり、(1)のトンネル内で顔の向きが正面である状態と同様の状態であるにもかかわらず(5)の画面輝度は(1)の画面輝度「100」とは異なる輝度値になるため、齟齬が生じて画面輝度を適切に制御することができていない。
【0046】
続いて、(B)に示す本実施形態の画面輝度の制御について説明する。開始時点の(1)は、上述の(A)と同様である。(2)で顔の向きが横向きになると、情報処理装置1は、HPD処理により「Attention」から「No attention」へ変化したことを検出するため、ALS輝度変更処理を行わないように制御する。例えば、情報処理装置1は、周囲光センサ130(ALS)の出力値(トンネル内の出力値)を保持して固定する。また、(2)では、情報処理装置1は、HPD輝度変更処理により画面輝度を現在の輝度値「100」から一定の割合(例えば「20%」)の輝度値「20」に低減させるとともに、画面輝度を変更する際に、変更前の輝度値「100」を記憶する。
【0047】
次に(3)では、トンネル外(周囲が明るい状態)になるが、情報処理装置1は、顔の向きが横向きであることから「No attention」と検出されているため、引き続き周囲光センサ130(ALS)の出力値(トンネル内の出力値)に固定している。よって、情報処理装置1は、ALS輝度変更処理による画面輝度の制御は行われず、画面輝度の輝度値は「20」のままである。
【0048】
次に(4)では、トンネル外であることは(3)と変わらないが、顔の向きが正面になるため、情報処理装置1は、HPD処理により「No attention」から「Attention」へ変化したことを検出し、HPD輝度変更処理により画面輝度を(2)で記憶した輝度値「100」に戻す。また、情報処理装置1は、「Attention」へ変化したことを検出するため、周囲光センサ130(ALS)の出力値を固定せずに周囲の明るさに応じた出力値とする。これにより、情報処理装置1は、ALS輝度変更処理により、周囲光センサ130を用いた検出結果に基づいて画面輝度を増加(例えば「+30」)させる。これにより、画面輝度の輝度値は、例えば「130」となる。
【0049】
次に(5)では、(4)と同様に顔の向きは正面のままであるが、トンネル内(周囲が暗い状態)になるため。情報処理装置1は、ALS輝度変更処理により、周囲光センサ130を用いた検出結果に基づいて画面輝度を現在の輝度値「130」から減少(例えば「-30」)させる。これにより、画面輝度の輝度値は、例えば「100」となる。つまり、(1)のトンネル内で顔の向きが正面である状態と同様の状態である(5)の画面輝度が、(1)の画面輝度「100」と同じ輝度値になる。よって、上記(A)で説明したような齟齬が生じることがなく、画面輝度を適切に制御することができる。
【0050】
以下、本実施形態に係る情報処理装置1の構成について詳しく説明する。
[情報処理装置のハードウェア構成]
図5は、本実施形態に係る情報処理装置1のハードウェア構成の一例を示す概略ブロック図である。この図4において、図1の各部に対応する構成には同一の符号を付している。情報処理装置1は、表示部110、撮像部120、周囲光センサ130、電源ボタン140、入力デバイス150、通信部160、記憶部170、EC(Embedded Controller)200、顔検出部210、メイン処理部300、及び電源部400を含んで構成される。
【0051】
表示部110は、メイン処理部300により実行されるシステム処理及びシステム処理上で動作するアプリケーションプログラムの処理等に基づいて生成された表示データ(画像)を表示する。
【0052】
撮像部120は、第1筐体10の内面に対面する方向(前方)の所定の撮像範囲(画角)内の物体の像を撮像し、撮像した画像をメイン処理部300及び顔検出部210へ出力する。例えば、撮像部120は、可視光を用いて撮像する可視光カメラ(RGBカメラ)と赤外線を用いて撮像する赤外線カメラ(IRカメラ)とを備えている。
【0053】
なお、撮像部120は、可視光カメラと赤外線カメラとのいずれか一方を含んで構成されてもよいし、両方を含んで構成されてもよい。
【0054】
周囲光センサ130は、情報処理装置1の周囲の明るさ(光量)を検知し、検知した明るさに応じた電圧値を検出結果として出力する。
【0055】
電源ボタン140は、ユーザの操作に応じて操作信号をEC200へ出力する。入力デバイス150は、ユーザの入力を受け付ける入力部であり、例えばキーボード151及びタッチパッド153を含んで構成されている。入力デバイス150は、キーボード151及びタッチパッド153に対する操作を受け付けることに応じて、操作内容を示す操作信号をEC200へ出力する。
【0056】
通信部160は、無線または有線による通信ネットワークを介して他の機器と通信可能に接続し、各種のデータの送信および受信を行う。例えば、通信部160は、イーサネット(登録商標)等の有線LANインターフェースやWi-Fi(登録商標)等の無線LANインターフェース等を含んで構成されている。
【0057】
記憶部170は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュROMなどの記憶媒体を含んで構成される。記憶部170は、OS、デバイスドライバ、アプリケーションなどの各種のプログラム、その他、プログラムの動作により取得した各種のデータを記憶する。
【0058】
電源部400は、情報処理装置1の各部の動作状態に応じて各部へ電力を供給する。電源部400は、DC(Direct Current)/DCコンバータを備える。DC/DCコンバータは、AC(Alternate Current)/DCアダプタもしくはバッテリー(電池パック)から供給される直流電力の電圧を、各部で要求される電圧に変換する。DC/DCコンバータで電圧が変換された電力が各電源系統を介して各部へ供給される。例えば、電源部400は、EC200から入力される制御信号に基づいて各電源系統を介して各部に電力を供給する。
【0059】
EC200は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)およびI/O(Input/Output)ロジック回路などを含んで構成されたマイクロコンピュータである。EC200のCPUは、自部のROMに予め記憶した制御プログラム(ファームウェア)を読み出し、読み出した制御プログラムを実行して、その機能を発揮する。EC200は、メイン処理部300とは独立に動作し、メイン処理部300の動作を制御し、その動作状態を管理する。また、EC200は、電源ボタン140、入力デバイス150、及び電源部400等と接続されている。
【0060】
例えば、EC200は、電源部400と通信を行うことにより、バッテリーの状態(残容量など)の情報を電源部400から取得するとともに、情報処理装置1の各部の動作状態に応じた電力の供給を制御するための制御信号などを電源部400へ出力する。また、EC200は、電源ボタン140や入力デバイス150から操作信号を取得し、取得した操作信号のうちメイン処理部300の処理に関連する操作信号についてはメイン処理部300へ出力する。
【0061】
顔検出部210は、撮像部120により撮像された撮像画像の画像データに基づいて顔検出によるHPD処理を実行するプロセッサを含んで構成されている。顔検出部210は、撮像部120により撮像された撮像画像の画像データを取得し、取得した画像データをメモリに一時的に保存する。画像データを保存するメモリは、システムメモリ304であってもよいし、顔検出部210内の不図示のメモリであってもよい。
【0062】
例えば、顔検出部210は、撮像部120から取得した撮像画像の画像データを処理することにより、撮像画像から顔領域の検出、及び検出された顔領域に含まれる顔画像の顔の向きの検出などを行う顔検出処理を行う。顔の検出方法としては、顔の特徴情報を基に顔を検出する顔検出アルゴリズムや、顔の特徴情報を基に機械学習された学習データ(学習済みモデル)や顔検出ライブラリなどを用いた顔検出など、任意の検出方法を適用することができる。
【0063】
メイン処理部300は、CPU(Central Processing Unit)301、GPU(Graphic Processing Unit)302、チップセット303、及びシステムメモリ304を含んで構成され、OS(Operating System)に基づくシステム処理によって、OS上で各種のアプリケーションプログラムの処理が実行可能である。
【0064】
CPU301は、BIOSのプログラムに基づく処理、OSのプログラムに基づく処理、OS上で動作するアプリケーションプログラムに基づく処理などを実行するプロセッサである。例えば、CPU301は、システムを待機状態から起動させて通常動作状態に遷移させる起動処理、通常動作状態から待機状態へ遷移させるスリープ処理などを実行する。
【0065】
GPU302は、表示部110に接続されている。GPU302は、CPU301の制御に基づいて画像処理を実行して表示データを生成する。GPU302は、生成した表示データを表示部110に出力する。
【0066】
チップセット303は、メモリコントローラとしての機能及びI/Oコントローラとしての機能などを有する。例えば、チップセット303は、CPU301及びGPU302によるシステムメモリ304、記憶部170などからのデータの読出し、書込みを制御する。また、チップセット303は、通信部160、表示部110およびEC200からのデータの入出力を制御する。また、チップセット303は、センサハブとしての機能を有する。例えば、チップセット303は、周囲光センサ130による周囲の明るさの検出結果および顔検出部210によるHPD処理の検出結果を取得し、CPU301へ送信する。また、チップセット303は、周囲光センサ130による周囲の明るさの検出結果および顔検出部210によるHPD処理の検出結果を用いてALS輝度変更処理およびHPD輝度変更処理を実行する。例えば、チップセット303は、図4(B)を参照して説明したALS輝度変更処理およびHPD輝度変更処理を実行する。また、チップセット303は、取得した各種検出結果及び各種処理結果をCPU301へ出力する。
【0067】
システムメモリ304は、CPU301で実行されるプログラムの読み込み領域ならびに処理データを書き込む作業領域などとして用いられる。また、システムメモリ304は、撮像部120で撮像された撮像画像の画像データを一時的に記憶する。
【0068】
なお、CPU301、GPU302、及びチップセット303は、一体化された一つのプロセッサとして構成されてもよいし、一部またはそれぞれが個々のプロセッサとして構成されてもよい。例えば、通常動作状態では、CPU301、GPU302、及びチップセット303のいずれも動作している状態となるが、待機状態では、例えばチップセット303の少なくとも一部のみが動作している状態となる。
【0069】
[情報処理装置の機能構成]
次に、HPD輝度変更処理及びALS輝度変更処理を行う情報処理装置1の機能構成について詳しく説明する。
【0070】
図6は、本実施形態に係る情報処理装置1の機能構成の一例を示す概略ブロック図である。情報処理装置1は、撮像部120と、周囲光センサ130と、顔検出部210と、画面輝度制御部310とを備えている。撮像部120と、周囲光センサ130と、顔検出部210とのそれぞれは、図5に示す撮像部120と、周囲光センサ130と、顔検出部210に対応する。
【0071】
顔検出部210は、撮像部120を用いて情報処理装置1の前方(検出範囲FoV内)に存在する人物または人物の顔の向きを検出するHPD検出処理を実行する。具体的には、顔検出部210は、撮像部120から取得した撮像画像の画像データを処理することにより、撮像画像から顔が撮像されている顔領域を検出する。顔検出部210は、撮像画像から顔領域を検出した場合、情報処理装置1の前方に人物が存在していることを示す「Presence」情報を出力する。一方、顔検出部210は、撮像画像から顔領域を検出しなかった場合、情報処理装置1の前方に人物が存在しないことを示す「Absence」情報を出力する。
【0072】
また、顔検出部210は、撮像画像から顔領域を検出した場合、検出された顔領域に含まれる顔画像の顔の向きを検出する。例えば、顔検出部210は、顔の左右方向への回転角度に対応する向き及び上下方向への回転角度に対応する向きを検出し、顔の向きが正面を向いているか否かを判定する。顔検出部210は、顔の向きが正面を向いていると判定した場合、情報処理装置1を注目している状態であることを示す「Attention」情報を出力する。一方、顔検出部210は、顔の向きが正面を向いていないと判定した場合、情報処理装置1を注目していない状態であることを示す「No attention」情報を出力する。
【0073】
画面輝度制御部310は、HPD輝度変更処理及びALS輝度変更処理により、画面輝度の輝度値を変更する。HPD輝度変更処理及びALS輝度変更処理により変更される前の画面輝度の輝度値は、システムで初期設定されている輝度値であり、初期設定からユーザが使用環境や好みに応じて変更することもできる。画面輝度の輝度値は、例えば、記憶部170に記憶されている。画面輝度制御部310は、HPD輝度変更処理及びALS輝度変更処理において、記憶部170に記憶されている現在の輝度値から変更する。画面輝度制御部310は、例えばチップセット303(例えば、センサハブ)が実行する機能構成として、HPD輝度変更部311と、ALS輝度変更部312と、輝度変更制御部313とを備えている。
【0074】
HPD輝度変更部311は、撮像部120を用いた顔検出部210によるHPD処理の検出結果に基づいて、表示部110の画面輝度を現在の輝度値から変更するHPD輝度変更処理を実行する。例えば、HPD輝度変更部311は、顔検出部210から「Absence」情報または「No attention」情報を取得した場合、画面輝度を現在の輝度値に対して一定の割合(例えば「20%」)の輝度値に減少させる。即ち、HPD輝度変更部311は、HPD処理の検出結果に基づいて検出範囲FoV内に人物が存在しないこと、または検出範囲FoV内に存在する人物の顔が表示部110の方向を向いていないことが検出されたことに基づいて、画面輝度を現在の輝度値から変更する。また、HPD輝度変更部311は、変更前の輝度値を例えば記憶部170に記憶する。
【0075】
また、HPD輝度変更部311は、顔検出部210から「Presence」情報または「Attention」情報を取得した場合、画面輝度を記憶部170に記憶した変更前の輝度値に戻す。即ち、HPD輝度変更部311は、HPD処理の検出結果に基づいて検出範囲FoV内に人物が存在しない状態から人物が存在すること、または表示部110の方向を向いていない人物の顔が表示部110の方向を向いたことが検出されたことに基づいて、画面輝度を記憶部170に記憶した変更前の輝度値に戻す。
【0076】
ALS輝度変更部312は、周囲光センサ130を用いた周囲の明るさの検出結果に基づいて、表示部110の画面輝度を現在の輝度値から変更するALS輝度変更処理を実行する。例えば、ALS輝度変更部312は、周囲の明るさに応じて周囲光センサ130から出力される出力値に基づいて画面輝度を現在の輝度値から増減させる。輝度値を増減させる変化量は、周囲の明るさの変化に応じた変化量である。ALS輝度変更部312は、周囲が明るいほど画面輝度の輝度値を増加させ、周囲が暗いほど画面輝度の輝度値を減少させる。
【0077】
輝度変更制御部313は、撮像部120を用いた顔検出部210によるHPD処理の検出結果に基づいて、ALS輝度変更処理による画面輝度の変更を行うか否かを制御する。例えば、輝度変更制御部313は、HPD処理の検出結果に基づいて検出範囲FoV内に人物が存在しないこと、または検出範囲FoV内に存在する人物の顔が表示部110の方向を向いていないことが検出された場合、ALS輝度変更処理による画面輝度の変更を行わないように制御する。
【0078】
具体的には、輝度変更制御部313は、顔検出部210から「Absence」情報または「No attention」情報を取得した場合、ALS輝度変更処理による画面輝度の変更を行わないように、周囲光センサ130の出力値を保持して固定する。一例として、輝度変更制御部313は、周囲光センサ130の出力値を「Absence」情報または「No attention」情報を取得した時点での出力値に固定する。なお、輝度変更制御部313は、周囲光センサ130の出力値を固定する場合、例えば、周囲光センサ130の出力値をラッチして、ALS輝度変更部312へ伝えてもよいし、周囲光センサ130に対して出力を保持して固定するように指示してもよい。これにより、周囲の明るさが変化しても画面輝度は変更されなくなる。
【0079】
また、輝度変更制御部313は、顔検出部210から「Presence」情報または「Attention」情報を取得した場合、周囲光センサ130の出力値の固定を解除する。これにより、周囲光センサ130の出力値は、周囲の明るさに応じた出力値となり、周囲の明るさの変化に応じて画面輝度が増減する。
【0080】
なお、輝度変更制御部313は、HPD処理をサポートしない状態(HPD処理が実行されない状態)では、周囲光センサ130の出力値を固定せず、周囲の明るさに応じた出力値とする。HPD処理をサポートしない状態とは、例えば、第1筐体10と第2筐体20と開き角θが所定値以上(例えば130°以上)に開いている状態や、手で持たれている状態などのように、顔検出が正常に行えない可能性があってHPD処理の機能が無効になっている状態である。また、HPD処理をサポートしない状態とは、ユーザによってHPD処理の機能が無効に設定されている状態であってもよい。
【0081】
なお、輝度変更制御部313は、HPD輝度変更処理及びALS輝度変更処理の少なくとも一方が実行されない状態(Desableの状態)では、前記輝度変更制御処理において、周囲光センサ130の出力値を固定せず、周囲の明るさに応じた出力値とする。つまり、HPD輝度変更処理がDesableの状態では、ALS輝度変更処理が実行されることによって画面輝度に齟齬が生じることがないため、周囲光センサ130の出力値を固定する状況は無い。また、ALS輝度変更処理がDesableの状態である場合も、HPD輝度変更処理が実行されることによって画面輝度に齟齬が生じることがないため、周囲光センサ130の出力値を固定する状況は無い。なお、ALS輝度変更処理がDesableの状態である場合でも、周囲光センサ130の出力値を固定しないで出力可能にするのは、ALS輝度変更処理以外の処理で周囲光センサ130を用いることを想定している。
【0082】
[処理の動作]
次に、画面輝度制御部310が画面輝度を変更する処理の動作について説明する。まず、図7を参照して、HPD輝度変更処理の動作について説明する。
【0083】
図7は、本実施形態に係るHPD輝度変更処理の一例を示すフローチャートである。ここでは、情報処理装置1が通常動作状態において「Presence」且つ「Attention」の状態であるものとする。
【0084】
(ステップS101)画面輝度制御部310は、顔検出部210から「Absence」情報または「No attention」情報を取得したか否かを判定する。画面輝度制御部310は、顔検出部210から「Absence」情報または「No attention」情報を取得したと判定した場合(YES)、ステップS103の処理へ進む。一方、画面輝度制御部310は、顔検出部210から「Absence」情報及び「No attention」情報のいずれも取得していないと判定した場合(NO)、ステップS101の処理を再び行う。
【0085】
(ステップS103)画面輝度制御部310は、現在の画面輝度の輝度値を記憶部170に記憶さる。即ち、画面輝度制御部310は、画面輝度を変更する前の輝度値を記憶部170に記憶する。そして、ステップS105の処理へ進む。
【0086】
(ステップS105)画面輝度制御部310は、画面輝度を現在の輝度値から変更する。例えば、画面輝度制御部310は、画面輝度を現在の輝度値に対して一定の割合(例えば「20%」)の輝度値に減少させる。そして、ステップS107の処理へ進む。
【0087】
(ステップS107)画面輝度制御部310は、顔検出部210から「Presence」情報または「Attention」情報を取得したか否かを判定する。画面輝度制御部310は、顔検出部210から「Presence」情報及び「Attention」情報のいずれも取得していないと判定した場合(NO)、復帰のトリガが無いためステップS107の処理を再び行う。一方、画面輝度制御部310は、顔検出部210から「Presence」情報または「Attention」情報を取得したと判定した場合(YES)、復帰のトリガがあったとしてステップS109の処理へ進む。
【0088】
(ステップS109)画面輝度制御部310は、画面輝度の輝度値を、ステップS103で記憶した輝度値(変更前の輝度値)に戻す。そして、ステップS101の処理へ戻る。
【0089】
次に、図8を参照して、ALS輝度変更処理の動作について説明する。
図8は、本実施形態に係るALS輝度変更処理の一例を示すフローチャートである。
(ステップS201)画面輝度制御部310は、周囲の明るさに応じて周囲光センサ130から出力される出力値を取得する。例えば、画面輝度制御部310は、所定の周期(例えば、1秒)で周囲光センサ130の出力値を取得する。そして、ステップS203の処理へ進む。
【0090】
(ステップS203)画面輝度制御部310は、ステップS201で周囲光センサ130の出力値を取得する度に、前回取得した出力値と今回取得した出力値とを比較して、出力値が変化したか否かを判定する。画面輝度制御部310は、出力値が一定値以上変化したと判定した場合(YES)、ステップS203の処理へ進む。一方、画面輝度制御部310は、出力値が一定値以上変化していないと判定した場合(NO)、ステップS201の処理へ戻る。
【0091】
(ステップS205)画面輝度制御部310は、ステップS203で取得した周囲光センサ130の出力値に基づいて、画面輝度を現在の輝度値から変更する。例えば、画面輝度制御部310は、周囲光センサ130の出力値の変化量(即ち、周囲の明るさの変化量)に応じて画面輝度を現在の輝度値から増減させる。具体的には、画面輝度制御部310は、周囲が明るく変化した場合には画面輝度を現在の輝度値から増加させ、周囲が暗く変化した場合には画面輝度を現在の輝度値から減少させる。そして、ステップS201の処理へ戻る。
【0092】
次に、図9を参照して、HPD処理による検出結果に基づいてALS輝度変更部312による画面輝度の変更を行うか否かを制御する画面輝度変更制御処理の動作について説明する。図9は、本実施形態に係る画面輝度変更制御処理の一例を示すフローチャートである。
【0093】
(ステップS301)画面輝度制御部310は、HPD輝度変更処理及びALS輝度変更処理の両方がEnable(有効)であるか否かを判定する。画面輝度制御部310は、HPD輝度変更処理及びALS輝度変更処理の両方がEnableである判定した場合(YES)、ステップS303の処理へ進む。一方、画面輝度制御部310は、HPD輝度変更処理及びALS輝度変更処理の少なくとも一方がDesableである判定した場合(NO)、ステップS309の処理へ進む。
【0094】
(ステップS303)画面輝度制御部310は、HPD処理をサポートしている状態か否かを判定する。画面輝度制御部310は、HPD処理をサポートしている状態であると判定した場合(YES)、ステップS305の処理へ進む。一方、画面輝度制御部310は、HPD処理をサポートしない状態であると判定した場合(NO)、ステップS309の処理へ進む。
【0095】
(ステップS305)画面輝度制御部310は、顔検出部210から「Absence」情報または「No attention」情報を取得したか否かを判定する。画面輝度制御部310は、顔検出部210から「Absence」情報または「No attention」情報を取得したと判定した場合(YES)、ステップS307の処理へ進む。一方、画面輝度制御部310は、顔検出部210から「Absence」情報及び「No attention」情報のいずれも取得していないと判定した場合(NO)、ステップS309の処理へ進む。
【0096】
(ステップS307)画面輝度制御部310は、ALS輝度変更処理による画面輝度の変更を行わないように、周囲光センサ130の出力値を保持して固定する。そして、ステップS301の処理へ戻る。
【0097】
(ステップS309)画面輝度制御部310は、周囲光センサ130の出力値を周囲の明るさに応じた出力値とする。そして、ステップS301の処理へ戻る。
【0098】
[実施形態のまとめ]
以上説明してきたように、本実施形態に係る情報処理装置1は、システム(例えばBIOS、OSなど)のプログラム及びシステム上で実行されるプログラム(例えばアプリケーション、ドライバ、サービスなどのプログラム)を一時的に記憶するメモリ(例えば、システムメモリ304)と、メモリに記憶されたプログラムに基づいて処理を実行するプロセッサ(例えば、CPU301、GPU302、チップセット303など)と、プロセッサが実行する処理に基づく表示画像を表示する表示部110と、検出範囲FoV(所定の検出範囲の一例)内に存在する人物または人物の顔の向きを検出するための撮像部120(第1センサの一例)と、周囲の明るさを検出するための周囲光センサ130(第2センサの一例)とを備えている。例えば、情報処理装置1は、撮像部120を用いた検出結果に基づいて、表示部110の画面輝度を現在の輝度値から変更するHPD輝度変更処理(第1輝度変更処理の一例)と、周囲光センサ130を用いた検出結果に基づいて、表示部110の画面輝度を現在の輝度値から変更するALS輝度変更処理(第2輝度変更処理の一例)と、を行う。また、情報処理装置1は、撮像部120を用いた検出結果(例えば、HPD処理の検出結果)に基づいて、ALS輝度変更処理による画面輝度の変更を行うか否かを制御する輝度変更制御処理を行う。
【0099】
これにより、情報処理装置1は、HPD輝度変更処理による画面輝度の変更の状況を考慮して、ALS輝度変更処理による画面輝度の変更を行うか否かを制御するため、HPD輝度変更処理とALS輝度変更処理とで画面輝度の認識に齟齬が生じることがなく、表示部110の画面輝度を適切に制御することができる。
【0100】
例えば、情報処理装置1は、撮像部120を用いた検出結果(例えば、HPD処理の検出結果)に基づいて検出範囲FoV内に人物が存在しないこと、または検出範囲FoV内に存在する人物の顔が表示部110の方向を向いていないことが検出された場合、輝度変更制御処理において、ALS輝度変更処理による画面輝度の変更を行わないように制御する。
【0101】
これにより、情報処理装置1は、HPD輝度変更処理により画面輝度が変更(低減)されている間、ALS輝度変更処理による画面輝度の変更が行われないため、HPD輝度変更処理とALS輝度変更処理とで画面輝度の認識に齟齬が生じることがない。よって、情報処理装置1は、表示部110の画面輝度を適切に制御することができる。
【0102】
一例として、情報処理装置1は、ALS輝度変更処理において、周囲の明るさに応じて周囲光センサ130から出力される出力値に基づいて画面輝度を現在の輝度値から変更する。そして、情報処理装置1は、輝度変更制御処理において、ALS輝度変更処理による画面輝度の変更を行わないように制御する場合、周囲光センサ130の出力値を固定する。
【0103】
これにより、情報処理装置1は、周囲光センサ130の出力値を固定しているため、周囲の明るさが変化しても画面輝度の変更を行わないようにすることができる。
【0104】
なお、情報処理装置1は、
撮像部120を用いて検出範囲FoV内に人物が存在するか否かまたは検出範囲FoV内に存在する人物の顔の向きを検出するHPD処理が実行されない状態(即ち、HPD処理をサポートしない状態)では、輝度変更制御処理において、周囲光センサ130の出力値を固定せず、周囲の明るさに応じた出力値とする。
【0105】
これにより、情報処理装置1は、HPD処理をサポートしないときには、ALS輝度変更処理により周囲の明るさに応じて表示部110の画面輝度を適切に制御することができる。
【0106】
また、情報処理装置1は、HPD輝度変更処理及びALS輝度変更処理の少なくとも一方が実行されない状態(Desableの状態)では、輝度変更制御処理において、周囲光センサ130の出力値を固定せず、周囲の明るさに応じた出力値とする。
【0107】
これにより、情報処理装置1は、HPD輝度変更処理とALS輝度変更処理とのうちALS輝度変更処理のみが実行される状態では、ALS輝度変更処理により周囲の明るさに応じて表示部110の画面輝度を適切に制御することができる。また、情報処理装置1は、HPD輝度変更処理とALS輝度変更処理とのうちHPD輝度変更処理のみが実行される状態では、ALS輝度変更処理以外の処理で周囲光センサ130を用いた処理を適切に行うことができる。
【0108】
また、情報処理装置1は、ALS輝度変更処理において、画面輝度を現在の輝度値から変更する場合、周囲光センサ130を用いた検出結果に基づいて画面輝度を現在の輝度値から増減させる。
【0109】
これにより、情報処理装置1は、周囲の明るさに応じて表示部110の画面輝度を適切に増減することができる。
【0110】
また、情報処理装置1は、HPD輝度変更処理において、撮像部120を用いた検出結果(例えば、HPD処理の検出結果)に基づいて検出範囲FoV内に人物が存在しないこと、または検出範囲FoV内に存在する人物の顔が表示部110の方向を向いていないことが検出されたことに基づいて、画面輝度を現在の輝度値から変更するとともに、変更前の輝度値を記憶部170に記憶する。そして、情報処理装置1は、撮像部120を用いた検出結果(例えば、HPD処理の検出結果)に基づいて検出範囲FoV内に人物が存在しない状態から人物が存在すること、または表示部110の方向を向いていない人物の顔が表示部110の方向を向いたことが検出されたことに基づいて、画面輝度を記憶部170に記憶した変更前の輝度値に戻す。
【0111】
これにより、情報処理装置1は、HPD輝度変更処理により画面輝度を低減させたのちに、変更する前の元の画面輝度に復帰させることができる。
【0112】
また、本実施形態に係る情報処理装置1における制御方法は、プロセッサ(例えば、チップセット303)が、撮像部120を用いた検出結果に基づいて、表示部110の画面輝度を現在の輝度値から変更する第1輝度変更ステップと、周囲光センサ130を用いた検出結果に基づいて、表示部110の画面輝度を現在の輝度値から変更する第2輝度変更ステップと、撮像部120を用いた検出結果(例えば、HPD処理の検出結果)に基づいて、上記第2輝度変更ステップによる画面輝度の変更を行うか否かを制御する輝度変更制御ステップと、を含む。
【0113】
これにより、情報処理装置1は、HPD輝度変更処理による画面輝度の変更の状況を考慮して、ALS輝度変更処理による画面輝度の変更を行うか否かを制御するため、HPD輝度変更処理とALS輝度変更処理とで画面輝度の認識に齟齬が生じることがなく、表示部110の画面輝度を適切に制御することができる。
【0114】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成は上述の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。例えば、上述の実施形態において説明した各構成は、任意に組み合わせることができる。
【0115】
また、上記実施形態では、撮像部120により撮像された撮像画像から顔領域及び顔の向きを検出する構成を説明したが、顔の向きの検出は行わない構成としてもよい。例えば、撮像画像から顔領域を検出することにより情報処理装置1の前方に存在する人物(ユーザ)の有無を検出して画面輝度の制御及びシステムの動作状態の制御を行う構成としもよい。
【0116】
また、上記実施形態では、撮像部120を用いて撮像部120により撮像された撮像画像から顔領域を検出すことにより情報処理装置1の前方に存在する人物(ユーザ)を検出するHPD処理を行う例を説明したが、撮像部120に加えてToFセンサのような測距センサを併用してもよいし、撮像部120を用いずに測距センサを用いてHPD処理を行う構成としてもよい。
【0117】
また、情報処理装置1に撮像部120が内蔵されている構成例を説明したが、これに限られるものではない。例えば、撮像部120は、情報処理装置1に内蔵されていなくてもよく、情報処理装置1の外部アクセサリとして情報処理装置1(例えば、側面10a、10b、10c等のいずれか)に取り付け可能に構成され、無線または有線で情報処理装置1と通信接続されるものであってもよい。
【0118】
また、上記実施形態では、顔検出部210がCPU301およびチップセット303とは別に備えられている例を示したが、顔検出部210の一部または全部は、チップセット303に備えられてもよいし、CPU301またはチップセット303と一体化されたプロセッサに備えられてもよい。例えば、CPU301とチップセット303と顔検出部210とは個別のプロセッサとして構成されてもよいし、1つのプロセッサとして一体化して構成されてもよい。また、顔検出部210の一部または全部は、EC200に備えられてもよい。
【0119】
また、上述した待機状態には、ハイバネーション状態やパワーオフ状態等が含まれてもよい。ハイバネーション状態は、例えば、ACPIで規定されているS4状態に相当する。パワーオフ状態は、例えば、ACPIで規定されているS5状態(シャットダウンした状態)に相当する。なお、待機状態のうちスタンバイ状態、スリープ状態、ハイバネーション状態、パワーオフ状態などは、通常動作状態よりも電力の消費量が低い状態(電力の消費を抑えた状態)である。
【0120】
なお、上述した情報処理装置1は、内部にコンピュータシステムを有している。そして、上述した情報処理装置1が備える各構成の機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述した情報処理装置1が備える各構成における処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムをインストールすることを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。
【0121】
また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部又は外部に設けられた記録媒体も含まれる。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に情報処理装置1が備える各構成で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムに既に記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0122】
また、上述した実施形態における情報処理装置1が備える各機能の一部、または全部を、LSI(Large Scale Integration)等の集積回路として実現してもよい。各機能は個別にプロセッサ化してもよいし、一部、又は全部を集積してプロセッサ化してもよい。また、集積回路化の手法はLSIに限らず専用回路、または汎用プロセッサで実現してもよい。また、半導体技術の進歩によりLSIに代替する集積回路化の技術が出現した場合、当該技術による集積回路を用いてもよい。
【0123】
また、上記実施形態の情報処理装置1は、ノート型のPCに限られるものではなく、例えば、デスクトップ型PCなどであってもよい。
【符号の説明】
【0124】
1 情報処理装置、10 第1筐体、20 第2筐体、15 ヒンジ機構、110 表示部、120 撮像部、130 周囲光センサ、140 電源ボタン、150 入力デバイス、151 キーボード、153 タッチパッド、160 通信部、170 記憶部、200 EC、210 顔検出部、300 メイン処理部、301 CPU、302 GPU、303 チップセット、304 システムメモリ、310 画面輝度制御部、311 HPD輝度変更部、312 ALS輝度変更部、313 輝度変更制御部、400 電源部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2024-07-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムのプログラム及びシステム上で実行されるプログラムを一時的に記憶するメモリと、
前記メモリに記憶されたプログラムに基づいて処理を実行するプロセッサと、
前記プロセッサが実行する処理に基づく表示画像を表示する表示部と、
所定の検出範囲内に存在する人物または人物の顔の向きを検出するための第1センサと、
周囲の明るさを検出するための第2センサと、
を備え、
前記プロセッサは、
前記第1センサを用いた検出結果に基づいて、前記表示部の画面輝度を現在の輝度値から変更する第1輝度変更処理と、
前記第2センサを用いた検出結果に基づいて、前記画面輝度を現在の輝度値から変更する第2輝度変更処理と、
前記第1センサを用いた検出結果に基づいて、前記第2輝度変更処理による前記画面輝度の変更を行うか否かを制御する輝度変更制御処理と、
を行い、
前記第2輝度変更処理において、周囲の明るさに応じて前記第2センサから出力される出力値に基づいて前記画面輝度を現在の輝度値から変更し、
前記輝度変更制御処理において、前記第2輝度変更処理による前記画面輝度の変更を行わないように制御する場合、前記第2センサの前記出力値を固定する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、
前記第1センサを用いて前記所定の検出範囲内に人物が存在するか否かまたは前記所定の検出範囲内に存在する人物の顔の向きを検出する処理が実行されない状態では、前記輝度変更制御処理において、前記第2センサの前記出力値を固定せず、周囲の明るさに応じた出力値とする、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記プロセッサは、
前記第1輝度変更処理及び前記第2輝度変更処理の少なくとも一方が実行されない状態では、前記輝度変更制御処理において、前記第2センサの前記出力値を固定せず、周囲の明るさに応じた出力値とする、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項4】
システムのプログラム及びシステム上で実行されるプログラムを一時的に記憶するメモリと、
前記メモリに記憶されたプログラムに基づいて処理を実行するプロセッサと、
前記プロセッサが実行する処理に基づく表示画像を表示する表示部と、
所定の検出範囲内に存在する人物または人物の顔の向きを検出するための第1センサと、
周囲の明るさを検出するための第2センサと、
を備え、
前記プロセッサは、
前記第1センサを用いた検出結果に基づいて、前記表示部の画面輝度を現在の輝度値から変更する第1輝度変更処理と、
前記第2センサを用いた検出結果に基づいて、前記画面輝度を現在の輝度値から変更する第2輝度変更処理と、
前記第1センサを用いた検出結果に基づいて、前記第2輝度変更処理による前記画面輝度の変更を行うか否かを制御する輝度変更制御処理と、
を行い、
前記第2輝度変更処理において、前記画面輝度を現在の輝度値から変更する場合、前記第2センサを用いた検出結果に基づいて前記画面輝度を現在の輝度値から増減させる、
情報処理装置。
【請求項5】
システムのプログラム及びシステム上で実行されるプログラムを一時的に記憶するメモリと、
前記メモリに記憶されたプログラムに基づいて処理を実行するプロセッサと、
前記プロセッサが実行する処理に基づく表示画像を表示する表示部と、
所定の検出範囲内に存在する人物または人物の顔の向きを検出するための第1センサと、
周囲の明るさを検出するための第2センサと、
を備え、
前記プロセッサは、
前記第1センサを用いた検出結果に基づいて、前記表示部の画面輝度を現在の輝度値から変更する第1輝度変更処理と、
前記第2センサを用いた検出結果に基づいて、前記画面輝度を現在の輝度値から変更する第2輝度変更処理と、
前記第1センサを用いた検出結果に基づいて、前記第2輝度変更処理による前記画面輝度の変更を行うか否かを制御する輝度変更制御処理と、
を行い、
前記第1輝度変更処理において、
前記第1センサを用いた検出結果に基づいて前記所定の検出範囲内に人物が存在しないこと、または前記所定の検出範囲内に存在する人物の顔が前記表示部の方向を向いていないことが検出されたことに基づいて、前記画面輝度を現在の輝度値から変更するとともに、変更前の輝度値を記憶部に記憶し、
前記第1センサを用いた検出結果に基づいて前記所定の検出範囲内に人物が存在しない状態から人物が存在すること、または前記表示部の方向を向いていない人物の顔が前記表示部の方向を向いたことが検出されたことに基づいて、前記画面輝度を前記記憶部に記憶した変更前の輝度値に戻す、
情報処理装置。
【請求項6】
システムのプログラム及びシステム上で実行されるプログラムを一時的に記憶するメモリと、前記メモリに記憶されたプログラムに基づいて処理を実行するプロセッサと、前記プロセッサが実行する処理に基づく表示画像を表示する表示部と、所定の検出範囲内に存在する人物または人物の顔の向きを検出するための第1センサと、周囲の明るさを検出するための第2センサと、を備える情報処理装置における制御方法であって、
前記プロセッサが、
前記第1センサを用いた検出結果に基づいて、前記表示部の画面輝度を現在の輝度値から変更する第1輝度変更ステップと、
前記第2センサを用いた検出結果に基づいて、前記画面輝度を現在の輝度値から変更する第2輝度変更ステップと、
前記第1センサを用いた検出結果に基づいて、前記第2輝度変更ステップによる前記画面輝度の変更を行うか否かを制御する輝度変更制御ステップと、
を含み、
前記第2輝度変更ステップにおいて、周囲の明るさに応じて前記第2センサから出力される出力値に基づいて前記画面輝度を現在の輝度値から変更し、
前記輝度変更制御ステップにおいて、前記第2輝度変更ステップによる前記画面輝度の変更を行わないように制御する場合、前記第2センサの前記出力値を固定する、
制御方法。
【請求項7】
システムのプログラム及びシステム上で実行されるプログラムを一時的に記憶するメモリと、前記メモリに記憶されたプログラムに基づいて処理を実行するプロセッサと、前記プロセッサが実行する処理に基づく表示画像を表示する表示部と、所定の検出範囲内に存在する人物または人物の顔の向きを検出するための第1センサと、周囲の明るさを検出するための第2センサと、を備える情報処理装置における制御方法であって、
前記プロセッサが、
前記第1センサを用いた検出結果に基づいて、前記表示部の画面輝度を現在の輝度値から変更する第1輝度変更ステップと、
前記第2センサを用いた検出結果に基づいて、前記画面輝度を現在の輝度値から変更する第2輝度変更ステップと、
前記第1センサを用いた検出結果に基づいて、前記第2輝度変更ステップによる前記画面輝度の変更を行うか否かを制御する輝度変更制御ステップと、
を含み、
前記第2輝度変更ステップにおいて、前記画面輝度を現在の輝度値から変更する場合、前記第2センサを用いた検出結果に基づいて前記画面輝度を現在の輝度値から増減させる、
制御方法。
【請求項8】
システムのプログラム及びシステム上で実行されるプログラムを一時的に記憶するメモリと、前記メモリに記憶されたプログラムに基づいて処理を実行するプロセッサと、前記プロセッサが実行する処理に基づく表示画像を表示する表示部と、所定の検出範囲内に存在する人物または人物の顔の向きを検出するための第1センサと、周囲の明るさを検出するための第2センサと、を備える情報処理装置における制御方法であって、
前記プロセッサが、
前記第1センサを用いた検出結果に基づいて、前記表示部の画面輝度を現在の輝度値から変更する第1輝度変更ステップと、
前記第2センサを用いた検出結果に基づいて、前記画面輝度を現在の輝度値から変更する第2輝度変更ステップと、
前記第1センサを用いた検出結果に基づいて、前記第2輝度変更ステップによる前記画面輝度の変更を行うか否かを制御する輝度変更制御ステップと、
を含み、
前記第1輝度変更ステップにおいて、
前記第1センサを用いた検出結果に基づいて前記所定の検出範囲内に人物が存在しないこと、または前記所定の検出範囲内に存在する人物の顔が前記表示部の方向を向いていないことが検出されたことに基づいて、前記画面輝度を現在の輝度値から変更するとともに、変更前の輝度値を記憶部に記憶し、
前記第1センサを用いた検出結果に基づいて前記所定の検出範囲内に人物が存在しない状態から人物が存在すること、または前記表示部の方向を向いていない人物の顔が前記表示部の方向を向いたことが検出されたことに基づいて、前記画面輝度を前記記憶部に記憶した変更前の輝度値に戻す、
制御方法。