(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124621
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】コイルユニットの収容構造及びコイル装置
(51)【国際特許分類】
H01F 38/14 20060101AFI20240906BHJP
H01F 27/02 20060101ALI20240906BHJP
H01F 27/22 20060101ALI20240906BHJP
H01F 27/24 20060101ALI20240906BHJP
H01F 37/00 20060101ALI20240906BHJP
H01F 17/04 20060101ALI20240906BHJP
H01F 27/08 20060101ALI20240906BHJP
H01F 27/26 20060101ALI20240906BHJP
H01F 27/06 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
H01F38/14
H01F27/02 Z
H01F27/02 150
H01F27/22
H01F27/24 P
H01F37/00 G
H01F37/00 A
H01F37/00 S
H01F17/04 N
H01F17/04 F
H01F27/08 101
H01F27/26 130W
H01F27/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032418
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002037
【氏名又は名称】新電元工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100206081
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 央
(74)【代理人】
【識別番号】100206391
【弁理士】
【氏名又は名称】柏野 由布子
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 豊英
【テーマコード(参考)】
5E050
5E059
5E070
【Fターム(参考)】
5E050JA01
5E059BB23
5E059BB24
5E059LL13
5E059LL14
5E070AA01
5E070AB01
5E070BA08
5E070DA03
5E070DA18
5E070DB06
(57)【要約】
【課題】コイル装置の小型化を阻害することなく、コイルユニットのコアの破損を効果的に抑制できるコイルユニットの収容構造を提供する。
【解決手段】コイルユニットの収容構造は、コア21及びコイル22を含むコイルユニット2が収容されるケース3と、コイルユニット2を支持して、コイルユニット2をケース3の内面31aに対して間隔をあけて配置する支持部材4と、コイルユニット2を支持部材4に向けて押し付ける押付部材5と、を備え、支持部材4は、ケース3の内面31aから離れた位置においてケース3の内面31aとコイルユニット2との間に介在してコイルユニット2を支持する支持板部41と、支持板部41の側方に張り出してケース3に固定される固定部42と、を有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コア及びコイルを含むコイルユニットが収容されるケースと、
前記コイルユニットを支持して、前記コイルユニットを前記ケースの内面に対して間隔をあけて配置する支持部材と、
前記コイルユニットを前記支持部材に向けて押し付ける押付部材と、を備え、
前記支持部材は、前記ケースの内面から離れた位置において前記ケースの内面と前記コイルユニットとの間に介在して前記コイルユニットを支持する支持板部と、前記支持板部の側方に張り出して前記ケースに固定される固定部と、を有するコイルユニットの収容構造。
【請求項2】
前記支持部材の共振周波数が、前記コアの共振周波数よりも低い請求項1に記載のコイルユニットの収容構造。
【請求項3】
前記支持部材は、前記固定部が前記支持板部よりも前記ケースの内面から離れて位置するように折り曲げ加工され、
前記ケースは、前記内面から突出して前記固定部が載置されるボス部を有する請求項1又は請求項2に記載のコイルユニットの収容構造。
【請求項4】
前記コアは、第一コア分割体と、第二コア分割体と、を有し、
前記第一コア分割体は、平板状に形成され、
前記第二コア分割体は、前記第一コア分割体の板厚方向に間隔をあけて配置される板状のコアベースと、前記コアベースから前記第一コア分割体に向けて一体に突出する複数の突起部と、を有する請求項1又は請求項2に記載のコイルユニットの収容構造。
【請求項5】
前記支持部材が、金属材料、又は、金属材料と同等の熱伝導率を有する材料からなる請求項1又は請求項2に記載のコイルユニットの収容構造。
【請求項6】
弾力性を有し、前記コイルユニットの前記コアと前記支持板部との間に設けられたコア側放熱パッドを備える請求項1又は請求項2に記載のコイルユニットの収容構造。
【請求項7】
弾力性を有し、前記ケースの内面と前記支持板部との間に設けられたケース側放熱パッドを備える請求項1又は請求項2に記載のコイルユニットの収容構造。
【請求項8】
前記支持部材は、前記ケースの内面から前記支持板部に伝わる衝撃波を、前記支持板部の板厚方向に直交する方向に伝える性質を有する請求項1に記載のコイルユニットの収容構造。
【請求項9】
ケースと、
コア及びコイルを含み、前記ケースに収容されるコイルユニットと、
前記コイルユニットを支持して、前記コイルユニットを前記ケースの内面に対して間隔をあけて配置する支持部材と、
前記コイルユニットを前記支持部材に向けて押し付ける押付部材と、を備え、
前記支持部材は、前記ケースの内面から離れた位置において前記ケースの内面と前記コイルユニットとの間に介在して前記コイルユニットを支持する支持板部と、前記支持板部の側方に張り出して前記ケースに固定される固定部と、を有するコイル装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コイルユニットの収容構造及びコイル装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、非接触充電システムなどに用いられる装置として、ケースの内部に、コア及びコイルを含むコイルユニットを収容したコイル装置が開示されている。特許文献1において、コイルユニットは、ケースを構成する平板状のベース部の内面から突出する複数の支持壁上に載置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示されたようなコイル装置では、ケースの外面(特にベース部の外面)に衝撃荷重が作用すると、この衝撃がケースの支持壁を介してコイルユニットのコアに伝わるため、コアが割れるなどして破損する虞がある。
これに対し、例えば、コイルユニットをケースの内側部分(内面や支持壁)から浮かせて配置することが考えられる。しかしながら、コイルユニットとケースの内側部分との間隔が小さい場合には、前述の衝撃荷重に応じてケースの内側部分からコイルユニットに衝撃波が到達し、当該衝撃波によってコアが破損する虞がある。一方、コイルユニットとケースの内側部分との間隔が大きい場合には、上記の衝撃波が減衰した上でコイルユニットに伝わるため、衝撃波によるコアの破損は回避できる。ただし、この場合には、コイル装置の小型化を阻害する、という問題がある。
【0005】
本発明は、上述した課題に鑑みたものであり、コイル装置の小型化を阻害することなく、コイルユニットのコアの破損を効果的に抑制できるコイルユニットの収容構造及びコイル装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、コア及びコイルを含むコイルユニットが収容されるケースと、前記コイルユニットを支持して、前記コイルユニットを前記ケースの内面に対して間隔をあけて配置する支持部材と、前記コイルユニットを前記支持部材に向けて押し付ける押付部材と、を備え、前記支持部材は、前記ケースの内面から離れた位置において前記ケースの内面と前記コイルユニットとの間に介在して前記コイルユニットを支持する支持板部と、前記支持板部の側方に張り出して前記ケースに固定される固定部と、を有するコイルユニットの収容構造である。
【0007】
また、本発明の一態様は、ケースと、コア及びコイルを含み、前記ケースに収容されるコイルユニットと、前記コイルユニットを支持して、前記コイルユニットを前記ケースの内面に対して間隔をあけて配置する支持部材と、前記コイルユニットを前記支持部材に向けて押し付ける押付部材と、を備え、前記支持部材は、前記ケースの内面から離れた位置において前記ケースの内面と前記コイルユニットとの間に介在して前記コイルユニットを支持する支持板部と、前記支持板部の側方に張り出して前記ケースに固定される固定部と、を有するコイル装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ケースの壁部のうちコイルユニットと重なる部分に当該ケースの外側から衝撃が加えられると、衝撃波がケースの内面から支持部材の支持板部に伝わる。この際、当該衝撃波は支持板部の面方向(支持板部の板厚方向に直交する方向)に衝撃波が伝播することで、衝撃波がコイルユニットのコアの局所部分に伝わることを抑制できる。これにより、コアが割れるなどして破損することを効果的に抑制できる。
また、上記したようにケースの内面から支持板部に伝わった衝撃波が伝播するため、ケースの内面とコイルユニット(支持板部)との間隔を小さくしても、コアが衝撃波によって破損することを抑制できる。
以上のことから、コイル装置の小型化を阻害することなく、コイルユニットのコアの破損を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係るコイル装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1のII-II線において破断した断面図である。
【
図3】
図1のIII-III線において破断した断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係るコイル装置を構成するコイルユニットの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、
図1~
図5を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1~
図3に示すように、本実施形態に係るコイル装置1は、コイルユニット2と、ケース3と、支持部材4と、押付部材5と、を備える。
【0011】
図4、
図5に示すように、コイルユニット2は、コア21とコイル22とを有する。コア21は、フェライト等の磁性体により形成されている。コア21は、第一コア分割体23と、第二コア分割体24と、を有する。第一コア分割体23は、平板状に形成されている。
図5に示すように、第二コア分割体24は、コアベース25と、複数の突起部26と、を有する。
【0012】
コアベース25は、板状に形成され、第一コア分割体23に対してその板厚方向に間隔をあけて配置される。コアベース25は、第一コア分割体23に対向する対向面25aを有する。複数の突起部26は、コアベース25の対向面25aから第一コア分割体23に向けて一体に突出する。複数の突起部26には、コアベース25の対向面25aの両端部分から突出する2つの脚部261(外脚)と、コアベース25の対向面25aの中央部分から突出する1つの凸条部262(中脚)と、がある。2つの脚部261の突出高さは、互いに等しい。凸条部262は、2つの脚部261の間に位置する。
図2、
図3に示すように、コア21は、これら2つのコア分割体23,24を第一コア分割体23の板厚方向に重ねることで構成される。このように構成される本実施形態のコア21では、第一コア分割体23がI型コアであり、第二コア分割体24がE型コアである。
【0013】
本実施形態において、凸条部262の突出高さは、2つの脚部261の突出高さよりも少し小さい。このため、2つのコア分割体23,24を組み合わせてコア21を構成した状態では、凸条部262の先端と第一コア分割体23との間に小さい隙間(ギャップ)が形成される。なお、凸条部262の突出高さは、例えば2つの脚部261の突出高さと同であってもよい。この場合、凸条部262の先端と第一コア分割体23との間には隙間(ギャップ)が生じない。
【0014】
図5に示すように、板状に形成された第一コア分割体23及び第二コア分割体24のコアベース25は、これらの板厚方向から見て、それぞれ矩形状に形成されている。第二コア分割体24の2つの脚部261は、矩形状とされたコアベース25の横辺(X軸方向に延びる辺)の両端に位置し、コアベース25の縦辺(Y軸方向に延びる辺)に沿って延びる。第二コア分割体24の凸条部262は、2つの脚部261の間において脚部261と平行に延びる。図面におけるZ軸方向は、2つのコア分割体23,24が並ぶ方向を示しており、本実施形態における上下方向に対応する。
以下の説明では、図面におけるX軸方向を「横方向」と呼ぶことがある。また、図面におけるY軸方向を「縦方向」と呼ぶことがある。
【0015】
コイル22は、線材を筒状に巻き回して構成されている。
図2、
図3に示すように、筒状のコイル22には、前述したコア21の凸条部262が挿通される。言い換えれば、コイル22は、コア21の凸条部262に巻き回される。
【0016】
図1~
図3に示すように、ケース3は、上記のコイルユニット2を収容する。本実施形態のケース3は、コイルユニット2の下側(Z軸負方向側)に位置するベース部31と、コイルユニット2の上側(Z軸正方向側)に位置する蓋部32と、を有する。
ベース部31は、上側に向いてコイルユニット2に対向する上面31aを有する。蓋部32は、下側に向いてコイルユニット2に対向する下面32aを有する。ベース部31の上面31a及び蓋部32の下面32aは、いずれもケース3の内面を構成する。
【0017】
図1、
図4に示すように、ベース部31は、その上面31aから上方に延びる支持壁33を有する。支持壁33は、ベース部31を上側から覆う蓋部32を支持する。支持壁33は、ベース部31の上面31aのうちコイルユニット2の下側に位置する領域31a1(以下、下側領域31a1と呼ぶ。)の外側に設けられている。
【0018】
図1~
図4に示すように、ベース部31は、ベース部31の上面31aから上方に突出する複数のボス部34,35を有する。ボス部34,35には、後述する支持部材4の固定部42を載置するための第一ボス部34と、後述する押付部材5の固定部51を載置するための第二ボス部35と、がある。
【0019】
図2、
図4に示すように、第一ボス部34の先端には、支持部材4の固定部42を第一ボス部34にねじ止めするための雌ねじ341が開口する。第一ボス部34は、横方向においてベース部31の上面31aの下側領域31a1の両側に位置する。具体的に、第一ボス部34は、横方向における下側領域31a1の両側に3つずつ配置される。
図4においては、下側領域31a1の横方向の一方側(X軸正方向側)に位置する3つの第一ボス部34、及び、下側領域31a1の横方向の他方側(X軸負方向側)に位置する1つの第一ボス部34だけが図示されているが、下側領域31a1の横方向の他方側にも一方側と同様に、3つの第一ボス部34が配置されている。
【0020】
図3、
図4に示すように、第二ボス部35の先端には、押付部材5の固定部51を第二ボス部35にねじ止めするための雌ねじ351が開口する。第二ボス部35は、横方向においてベース部31の上面31aの下側領域31a1の両側に位置する。具体的に、第二ボス部35は、下側領域31a1の両側に2つずつ配置されている。
図4においては、下側領域31a1の横方向の一方側(X軸正方向側)に位置する2つの第二ボス部35、及び、下側領域31a1の横方向の他方側(X軸負方向側)に位置する1つの第二ボス部35だけが図示されているが、下側領域31a1の横方向の他方側にも一方側と同様に、2つの第二ボス部35が配置されている。
第一ボス部34と第二ボス部35とは、横方向における下側領域31a1の両側のそれぞれにおいて、縦方向に間隔をあけて交互に配置されている。
【0021】
ケース3は、コイルユニット2において発生する熱がケース3に伝わった際に当該熱を効率よく拡散させることが可能な熱伝導性の構造体であることが好ましい。ケース3の材質は例えばアルミニウムなどの金属であってよい。
【0022】
図2に示すように、支持部材4は、コイルユニット2を支持することで、コイルユニット2をケース3の内面に対して間隔をあけて配置する。本実施形態において、支持部材4は、コイルユニット2をベース部31の上面31aに対して間隔をあけて配置する。
支持部材4は、支持板部41と固定部42とを有する。支持板部41は、ベース部31の上面31aから離れた位置においてベース部31の上面31aとコイルユニット2との間に介在してコイルユニット2を支持する。固定部42は、支持板部41の側方に張り出してベース部31に固定される。具体的に、固定部42は、ベース部31の第一ボス部34の先端に載置され、第一ねじ91によって当該第一ボス部34に固定される。
【0023】
図4に示すように、支持板部41は、その板厚方向から見て形状及び大きさがコア21に対応する矩形状に形成されている。固定部42は、支持板部41に対してその板厚方向の一方側(Z軸正方向側)にずれて位置する。固定部42は、支持板部41から固定部42まで支持板部41の板厚方向に延びる接続部43によって、支持板部41に接続される。
【0024】
図2、
図4に示すように、本実施形態の支持部材4においては、固定部42が、横方向における支持板部41の両側に配置される。具体的に、固定部42は、支持板部41の両側に3つずつ配置されている。
図4においては、支持板部41の横方向の一方側(X軸正方向側)に位置する3つの固定部42、及び、支持板部41の横方向の他方側(X軸負方向側)に位置する1つの固定部42だけが図示されているが、支持板部41の横方向の他方側にも一方側と同様に、3つの固定部42が配置されている。
接続部43は、コイルユニット2を支持する支持板部41の支持面41aから複数(図示例では6つ)の固定部42までそれぞれ上方に延びる。
【0025】
本実施形態の支持部材4は、板材に折り曲げ加工を施すことで、固定部42が支持板部41に対してその板厚方向にずれて位置する。また、支持板部41、固定部42及び接続部43が一体に形成されている。
支持部材4は、金属材料、又は、金属材料と同等の熱伝導率を有する材料によって構成されることが好ましい。支持部材4を構成する金属材料は、例えばアルミニウムであってよい。
また、支持部材4の共振周波数は、コア21の共振周波数よりも低いことが好ましい。
また、支持部材4は、ケース3の内面から支持板部41に伝わる衝撃波を、支持板部41の面方向(支持板部41の板厚方向に直交する方向)に伝える性質を有することが好ましい。
【0026】
以上のように構成される支持部材4では、
図1、
図2に示すように、複数の固定部42がそれぞれケース3の複数の第一ボス部34の先端に載置される。この状態においては、各固定部42が支持板部41よりもベース部31の上面31aから離れて位置する。言い換えれば、支持板部41が、各固定部42よりもベース部31の上面31aの近くに位置する。ただし、支持板部41は、ベース部31の上面31aに対して間隔をあけて位置する。
第一ボス部34の先端に載置された固定部42は、第一ねじ91が第一ボス部34の雌ねじ341に螺着されることによって、第一ボス部34の先端に固定される。これにより、支持部材4がケース3のベース部31に取り付けられる。
【0027】
図3に示すように、押付部材5は、コイルユニット2を支持部材4に向けて押し付ける。具体的に、押付部材5は、コイルユニット2を支持板部41に向けて押し付ける。
押付部材5の具体的な構成や配置などは任意であってよい。本実施形態の押付部材5は、支持部材4と同様にベース部31に取り付けられる。押付部材5は、ベース部31の第二ボス部35の先端に固定される固定部51と、コイルユニット2を支持板部41に向けて押し付ける押付部52と、固定部51と押付部52とを接続する接続部53と、を有する。
【0028】
固定部51は、第二ボス部35の先端に載置された上で、第二ねじ92が第二ボス部35の雌ねじ351に螺着されることによって、第二ボス部35の先端に固定される。押付部52は、固定部51に対して間隔をあけて位置する。押付部52は、接続部53に対して弾性的に撓み変形可能となっている。押付部52は、固定部51が第二ボス部35の先端に固定された状態で、コイルユニット2を支持板部41との間に挟む。この状態においては、押付部52が接続部53に対して弾性的に撓むことで、押付部52がコイルユニット2を支持板部41に向けて押し付ける。
図1、
図4に示すように、押付部材5は、横方向においてコイルユニット2の両側に2つずつ配置される。
【0029】
図2、
図3に示すように、コイルユニット2は、上記した支持部材4及び押付部材5によってケース3のベース部31に取り付けられる。具体的には、コイルユニット2のコア21が、支持部材4の支持板部41と押付部材5の押付部52との間に挟まれる。コア21が支持板部41と押付部52との間に挟まれた状態において、2つのコア分割体23,24はコア21を挟む方向(Z軸方向)に並ぶ。図示例では、支持板部41から押付部52に向けて第一コア分割体23と第二コア分割体24とが順番に並んでいるが、例えば第二コア分割体24と第一コア分割体23とが順番に並んでもよい。
【0030】
本実施形態のコイル装置1は、第一放熱パッド61(コア側放熱パッド)、第二放熱パッド62(ケース側放熱パッド)及び第三放熱パッド63をさらに備える。第一~第三放熱パッド61~63は、いずれも弾力性を有し、シート状に形成されている。
【0031】
第一放熱パッド61は、コイルユニット2のコア21と支持部材4の支持板部41との間に設けられる。第一放熱パッド61は、その弾力性によって互いに対向するコア21及び支持板部41の表面の微小な凹凸を埋める。これにより、コア21と支持板部41との密着度を高めて、コア21の熱を効率よく支持板部41に伝えることができる。
【0032】
第二放熱パッド62は、ベース部31の上面31a(ケース3の内面)と支持部材4の支持板部41との間に設けられる。第二放熱パッド62は、その弾力性によって互いに対向するベース部31の上面31a及び支持板部41の表面の微小な凹凸を埋める。これにより、ベース部31と支持板部41との密着度を高めて、コア21から支持板部41に伝わった熱を効率よくベース部31(ケース3)に伝えることができる。
【0033】
第三放熱パッド63は、蓋部32の下面32a(ケース3の内面)とコイルユニット2のコア21との間に設けられる。第三放熱パッド63は、その弾力性によって互いに対向する蓋部32の下面32a及びコア21の表面の微小な凹凸を埋める。これにより、蓋部32とコア21との密着度を高めて、コア21の熱を効率よく蓋部32(ケース3)に伝えることができる。
【0034】
本実施形態のコイル装置1に備えるコイルユニット2の用途は特に限定されない。コイルユニット2は、例えば、非接触充電システムなどにおいて電力を非接触で伝送するもの(送電コイルや受電コイル)として機能してもよいし、例えば、伝送された電力の電流を電気的に整流するものとして機能してもよい。
【0035】
本実施形態のコイル装置1では、ケース3のベース部31のうちコイルユニット2と重なる部分にケース3の外側から衝撃(例えば
図2,3において矢印Fで示す衝撃)が加えられると、衝撃波がベース部31の上面31a(ケース3の内面)から支持部材4の支持板部41に伝わる。この際、当該衝撃波が支持板部41の面方向(X軸方向、Y軸方向)に伝播することで、衝撃波がコイルユニット2のコア21の局所部分に伝わることを抑制できる。これにより、コア21が割れるなどして破損することを効果的に抑制できる。
【0036】
また、ベース部31の上面31aから支持板部41に伝わった衝撃波が上記のように伝播するため、ベース部31の上面31aとコイルユニット2(支持板部41)との間隔を小さくしても、コア21が衝撃波によって破損することを抑制できる。
以上のことから、コイル装置1の小型化を阻害することなく、コイルユニット2のコア21の破損を効果的に抑制することができる。
【0037】
また、本実施形態のコイル装置1では、支持部材4の共振周波数が、コア21の共振周波数よりも低い。これにより、ベース部31の上面31a(ケース3の内面)から支持板部41に伝わる衝撃波がコア21に伝わることを効果的に抑制できる。
【0038】
また、本実施形態のコイル装置1では、ベース部31(ケース3)が、その上面31a(内面)から突出して支持部材4の固定部42を載置する第一ボス部34を有する。このため、支持部材4の固定部42をねじ止めによって第一ボス部34に固定することができる。したがって、ベース部31の厚さが薄くても、固定部42をねじ止めによってベース部31に固定することができる。
さらに、支持部材4の固定部42を第一ボス部34の突出方向の先端に載置した状態では、支持部材4の固定部42が支持板部41よりもベース部31の上面31aから離れて位置する。このため、コイルユニット2をケース3の内面に近づけて配置できる。これにより、コイル装置1の大きさ(特に高さ寸法)を小さく抑えて、コイル装置1の小型化を図ることができる。
【0039】
また、本実施形態のコイル装置1では、コア21を構成する第一コア分割体23が、平板状に形成されている。一方、コア21を構成する第二コア分割体24は、第一コア分割体23の板厚方向に間隔をあけて配置される板状のコアベース25と、コアベース25から第一コア分割体23に向けて一体に突出する複数の突起部26と、を有する。このような構成の第二コア分割体24に衝撃波等の衝撃荷重が作用した場合には、コアベース25と突起部26との角部(突起部26の基端部)に局所的に衝撃が作用しやすく、当該角部において第二コア分割体24が割れやすい。ただし、前述したように、支持部材4を含む構造によって衝撃波がコア21の局所部分に伝わることを抑制できるため、第二コア分割体24の割れを効果的に抑制できる。
【0040】
また、本実施形態のコイル装置1では、支持部材4が、金属材料、又は、金属材料と同等の熱伝導率を有する材料からなる。これにより、コア21の熱を熱伝導率の高い支持部材4によって効率よくケース3(特にベース部31)に伝えることができる。すなわち、コア21を効率よく冷却することができる。
【0041】
また、本実施形態のコイル装置1では、弾力性を有する第一放熱パッド61(コア側放熱パッド)が、コイルユニット2のコア21と支持部材4の支持板部41との間に設けられている。これにより、コア21の熱を第一放熱パッド61によって効率よく支持板部41に伝えることができる。
また、第一放熱パッド61の弾力性により、ベース部31の上面31a(ケース3の内面)から支持板部41に伝わる衝撃波がコア21に伝わることを軽減できる。これにより、コア21と支持板部41とが直接接触する場合と比較して、ベース部31の上面31aから支持板部41に伝わった衝撃波が第一放熱パッド61の弾力性によって減衰されるため、当該衝撃波を支持板部41の面方向に軽減して伝えることができる。
【0042】
また、本実施形態のコイル装置1では、弾力性を有する第二放熱パッド62(ケース側放熱パッド)が、ベース部31の上面31a(ケース3の内面)と支持部材4の支持板部41との間に設けられている。これにより、コイルユニット2から支持板部41に伝わった熱を第二放熱パッド62によって効率よくベース部31(ケース3)に伝えることができる
【0043】
また、本実施形態のコイル装置1では、支持部材4が、ベース部31の上面31a(ケース3の内面)から支持部材4の支持板部41に伝わる衝撃波を、支持板部41の面方向(支持板部41の板厚方向に直交する方向)に伝える性質を有する。これにより、ベース部31の上面31aから支持板部41に伝わった衝撃波がコア21に伝わることを効果的に抑制できる。
【0044】
以上、本発明の詳細について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることができる。
例えば、上記の実施形態では本発明を「コイル装置」として説明したが、本発明は例えばコイル装置1からコイルユニット2を除いた「コイルユニットの収容構造」として捉えてもよい。
【0045】
本発明において、コイル装置(あるいはコイルユニットの収容構造)は、例えば第一~第三放熱パッド61~63のうち少なくとも1つを備えてもよいし、例えば第一~第三放熱パッド61~63を備えなくてもよい。
【0046】
本発明において、支持部材4の固定部42及び押付部材5の固定部51は、上記実施形態のように別個のボス部34,35に固定されることに限らず、例えば同一のボス部の先端に載置され、同一のボス部にねじ止め等によって固定されてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 コイル装置
2 コイルユニット
3 ケース
4 支持部材
5 押付部材
21 コア
22 コイル
23 第一コア分割体
24 第二コア分割体
25 コアベース
26 突起部
31a 上面(内面)
32a 下面(内面)
34 第一ボス部(ボス部)
41 支持板部
42 固定部
61 第一放熱パッド(コア側放熱パッド)
62 第二放熱パッド(ケース側放熱パッド)