(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124639
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】搬送体
(51)【国際特許分類】
B66B 9/08 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
B66B9/08 F
B66B9/08 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032455
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000207425
【氏名又は名称】大同工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001070
【氏名又は名称】弁理士法人エスエス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】畠山 潤
(72)【発明者】
【氏名】植草 貴行
(72)【発明者】
【氏名】鳥越 翼
(72)【発明者】
【氏名】井上 泰希
(72)【発明者】
【氏名】白石 幸司
(72)【発明者】
【氏名】石橋 宗篤
【テーマコード(参考)】
3F301
【Fターム(参考)】
3F301DB12
3F301DB14
(57)【要約】
【課題】軽量で取り扱いが容易であり、且つ乗客を乗せた状態で昇降しても変形などが発生しにくい十分な強度を有する搬送体を提供する。
【解決手段】階段に設置されたガイド装置に着脱でき、かつ前記ガイド装置に沿って移動可能な折り畳み式の搬送体であって、前記搬送体は、前記ガイド装置に着脱され、前記ガイド装置と平行に立設する基本枠体と、搬送対象を載置する底板部と、前記底板部と前記搬送体の外部との間で前記搬送対象を移動可能にする渡し板とを備え、前記底板部および前記渡し板は、繊維強化樹脂複合材を素材とし、裏面にリブが形成されたリブ構造を有する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
階段に設置されたガイド装置に着脱でき、かつ前記ガイド装置に沿って移動可能な折り畳み式の搬送体であって、
前記搬送体は、
前記ガイド装置に着脱され、前記ガイド装置と平行に立設する基本枠体と、
搬送対象を載置する底板部と、
前記底板部と前記搬送体の外部との間で前記搬送対象を移動可能にする渡し板と
を備え、
前記底板部および前記渡し板は、繊維強化樹脂複合材を素材とし、裏面にリブが形成されたリブ構造を有することを特徴とする搬送体。
【請求項2】
前記基本枠体は、前記搬送体を立設した際の転倒を防止するために、前記基本枠体の下部から前記ガイド装置と反対側に突出する脚板を備え、
前記脚板の先端には、開状態の前記底板部の一部が覆い被さる当て板が形成され、
前記当て板と前記底板部との間に両者と直接当接する0.1kg~5kgの金属製の補強部材が設けられることを特徴とする請求項1記載の搬送体。
【請求項3】
前記底板部および前記渡し板の裏面は、格子状の前記リブ構造を有することを特徴とする請求項2記載の搬送体。
【請求項4】
格子状の前記リブ構造には、該搬送体の移動方向と直交する方向に延びる第1リブ、該搬送体の移動方向に延びる第2リブ、及び、第1リブと第2リブの中間角方向に延びる傾斜リブが形成され、
前記当て板は、前記補強部材と当接する床面部と、前記床面部の下方に垂直に延びる垂直リブとから構成される断面π字状の形状を有し、
前記底板部を展開した開状態において、前記第1リブ、前記第2リブ、および前記傾斜リブが前記補強部材に当接し、
かつ前記垂直リブは、平面視において、前記第2リブとは重ならない位置に配置されていることを特徴とする請求項3記載の搬送体。
【請求項5】
前記繊維強化樹脂複合材が、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂から選ばれる一種類以上の熱硬化性樹脂および炭素繊維を含むことを特徴とする請求項1記載の搬送体。
【請求項6】
開状態において、前記基本枠体上方と前記底板部の前記基本枠体と反対側の端部とをトラス状に接続する傾斜支持部を備えることを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の搬送体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、階段に設置されたガイド装置に着脱でき、かつ前記ガイド装置に沿って移動可能な折り畳み式の搬送体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鉄道駅舎、集合住宅や個人住宅などにおいて、障碍者や高齢者等、歩行の困難な人々が使用する車椅子を昇降するために、既設の階段に追加設置することが可能な車椅子式階段昇降機が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0003】
このような車椅子式階段昇降機として、近年製造販売されているものを
図10に示す。
図10に示すように、車椅子式階段昇降機102は、図示しないガイド装置、車椅子(不図示)などを載置する金属製の搬送体104、およびガイド装置に移動可能に取り付けられ、搬送体104をガイド装置に沿って移動させる駆動部106を備えている。なお、搬送体104は、ガイド装置に着脱することが可能であり、また搬送体104は折り畳むことが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-106162号公報
【特許文献2】特開2013-23295号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の車椅子式階段昇降機102において、金属製の搬送体104は重量が大きいため、ガイド装置に着脱する際の作業に労力が過多となることや、昇降時の乗客の位置によってはガイド装置や駆動部106にも負担が掛かる可能性がある。また一般的に金属は振動伝達率が大きいため、昇降時に細かい揺れが発生する可能性なども示唆される。
【0006】
本発明の目的は、軽量で取り扱いが容易であり、且つ乗客を乗せた状態で昇降しても変形などが発生しにくい十分な強度を有する搬送体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の搬送体は、
階段に設置されたガイド装置に着脱でき、かつ前記ガイド装置に沿って移動可能な折り畳み式の搬送体であって、
前記搬送体は、
前記ガイド装置に着脱され、前記ガイド装置と平行に立設する基本枠体と、
搬送対象を載置する底板部と、
前記底板部と前記搬送体の外部との間で前記搬送対象を移動可能にする渡し板と
を備え、
前記底板部および前記渡し板は、繊維強化樹脂複合材を素材とし、裏面にリブが形成されたリブ構造を有することを特徴とする。
【0008】
このように、従来金属製であった底板部と渡し板の素材を軽量な繊維強化樹脂複合材に置換することにより、搬送体全体を軽量化することができ、ガイド装置に着脱する際の作業に労力や、搬送体の移動時にガイド装置や駆動部に掛かる負担を軽減することができ、且つ乗客を乗せた状態で昇降しても変形などが発生しにくい十分な強度を有する搬送体を提供することができる。また、搬送体の軽量化に伴い、駆動部を小型化でき、モーターの小型化や静穏化も期待できる。
【0009】
また、本発明の搬送体は、
前記基本枠体は、前記搬送体を立設した際の転倒を防止するために、前記基本枠体の下部から前記ガイド装置と反対側に突出する脚板を備え、
前記脚板の先端には、開状態の前記底板部の一部が覆い被さる当て板が形成され、
前記当て板と前記底板部との間に両者と直接当接する0.1kg~5kgの金属製の補強部材が設けられることを特徴とする。
これにより、底板部に生じる応力が直接脚板に掛からないため、応力集中による底板部の劣化を抑えることができ、また底板部のたわみを抑制することができる。
【0010】
また、本発明の搬送体は、
前記底板部および前記渡し板の裏面は、格子状の前記リブ構造を有することを特徴とする。
すなわち、軽量でかつ高強度の底板部および前記渡し板を実現するためには、格子状のリブ構造が好ましい。
【0011】
また、本発明の搬送体は、
格子状の前記リブ構造には、該搬送体の移動方向と直交する方向に延びる第1リブ、該搬送体の移動方向に延びる第2リブ、及び、第1リブと第2リブの中間角方向に延びる傾斜リブが形成され、
前記当て板は、前記補強部材と当接する床面部と、前記床面部の下方に垂直に延びる垂直リブとから構成される断面π字状の形状を有し、
前記底板部を展開した開状態において、前記第1リブ、前記第2リブ、および前記傾斜リブが前記補強部材に当接し、
かつ前記垂直リブは、平面視において、前記第2リブとは重ならない位置に配置されていることを特徴とする。
これにより、軽量性による底板部のたわみを抑制できるとともに、圧縮荷重に対しての強度が向上する。
【0012】
また、本発明の搬送体は、
前記繊維強化樹脂複合材が、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂から選ばれる熱硬化性樹脂および炭素繊維を含むことを特徴とする。
すなわち、本発明の搬送体の底板部と渡し板を構成する素材としては、熱硬化性樹脂および炭素繊維を用いるのが好ましい。
【0013】
また、本発明の搬送体は、
開状態において、前記基本枠体上方と前記底板部の前記基本枠体と反対側の端部とをトラス状に接続する傾斜支持部を備えることを特徴とする。
このように、傾斜支持部を備えることにより、底板部の変位を抑制することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、軽量で取り扱いが容易であり、且つ乗客を乗せた状態で昇降しても変形などが発生しにくい十分な強度を有する搬送体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】実施の形態に係る搬送体の構造の概要を示す図である。
【
図2】実施の形態に係る搬送体における渡し板の展開状況を示す図である。
【
図3】実施の形態に係る搬送体において、底板部の表面側が視える状態の搬送体の要部構造を示す簡略図である。
【
図4】実施の形態に係る搬送体において、底板部の裏面側が視える状態の搬送体の要部構造を示す簡略図である。
【
図5】実施の形態に係る搬送体において、基本枠体の脚板の先端に設けられる当て板とその上に載置される補強部材を示す図である。
【
図6】実施の形態に係る搬送体の底板部の裏面図である。
【
図7】従来の搬送体の底板部の当て板を示した図である。
【
図8】従来の搬送体の底板部の当て板を示した図である。
【
図9】実施の形態に係る搬送体の開状態において、基本枠体と底板部とをトラス状に接続する傾斜支持部を追加した事案を説明する図である。
【
図10】従来より製造販売されている車椅子式階段昇降機を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態に係る搬送体について、階段に設置されたガイド装置に着脱でき、かつガイド装置に沿って移動可能な折り畳み式の搬送体を例に説明する。
図1(a)は、実施の形態に係る搬送体を折り畳んだ閉状態を示す図であり、
図1(b)は、後述する底板部6と副枠体10を展開した中間状態を示す図である。また、
図1(c)は、実施の形態に係る搬送体を展開した開状態を示す図である。
【0017】
図に示すように、搬送体2は、駆動装置3を介して、階段に配置されたガイド装置(不図示)に着脱され、ガイド装置と平行に立設する基本枠体4、車椅子などの搬送対象(不図示)を載置する底板部6、底板部6と搬送体2の外部との間で搬送対象を移動可能にする渡し板8、搬送対象がガイド装置の反対側に脱落するのを防止する副枠体10、および搬送対象が搬送体2の移動方向に脱落するのを防止する安全柵12を備えている。なお、駆動装置3は、搬送体2をガイド装置に沿って移動させるための装置である。
【0018】
ここで、搬送体2は、閉状態において、
図1(a)に示すように、ガイド装置側(駆動装置3側)から矢印A方向に、基本枠体4、副枠体10、渡し板8、底板部6の順に積層されている。
【0019】
基本枠体4は、下部からガイド装置と反対側(矢印A方向)に突出する二枚の脚板14(
図1(a)参照)を備え、転倒せずに自立できる構造を有している。
底板部6は、下部が回動可能に基本枠体4に固定され(
図2を用いて後述)、閉状態から開状態に移行する際に下側に開く構造を有している。
【0020】
副枠体10は、開状態における下部が回動可能に底板部6に固定され、展開された底板部6から上側に開いて立設する構造を有している。
渡し板8には、搬送対象を底板部6に載置する機能を有し、搬送体2の進行方向の後ろ側に位置する後渡し板8aと、搬送対象を底板部6から搬出する機能を有し、搬送体2の進行方向側に位置する前渡し板8bが含まれている(
図1(b)参照)。この渡し板8は、それぞれ、開状態における下端が回動可能に底板部6に固定され、展開された底板部6から搬送体2の移動方向側に開く構造を有している。ここで、
図2に示すように、渡し板8が展開された展開状態における底板部6と渡し板8との間の角度θは、0°~270°である。このような角度で渡し板8を展開できるようにすることにより、渡し板8の着地位置が底板部6と段差のある床であっても、自在に渡し板8を着地させることができ、円滑に底板部6に搬送対象を乗降させることができる。
【0021】
安全柵12は、基本枠体4の両上端部にそれぞれ固定され、上下方向を軸として水平方向に開閉可能な構造を有している。
次に、本発明の実施の形態に係る搬送体2の要部について説明する。なお、以下に示す図は、要部構造を説明するため、
図1よりも大幅に簡略化されている。
図3は、底板部6の表面側が視える状態の搬送体2の要部を示し、
図3(a)は、開状態、
図3(b)、(c)は、開状態と閉状態の間の移行状態を示している。
図4は、底板部6の裏面側が視える状態の搬送体2の要部を示し、
図4(a)、(b)の何れも搬送体2の移行状態を示しているが、
図4(a)は、この移行状態の斜視図であり、
図4(b)は、正面図である。なお、本発明における搬送体2の要部は、基本枠体4、底板部6、渡し板8であるが、
図3以下において、渡し板8は省略されている。
【0022】
ここで、基本枠体4は、
図3(a)に示すように、矩形状の平板4a、平板4aの縁部から底板部6側に突出し、平板4aを枠状に囲む枠部4b、および平板4aの下方において、底板部6側に突出する直方体状の凸部4cを二つ備えている。この凸部4cは、その下端が脚板14に固定されており、両者が一体として断面L字形状の剛体を形成している。
【0023】
そして、底板部6には、L字型のヒンジ16が凸部4cを両側から挟んで固定されている。また、凸部4cの内部には、両ヒンジ16の上部を回動可能に繋ぐ図示しない貫通棒4xが貫通して設けられている。このため、底板部6は、両ヒンジ16を介し、貫通棒4xを回動軸として開閉することができる。このように、凸部4cを両ヒンジ16で固定することにより、支持位置が調整されて底板部6の変形を抑制することができる。
【0024】
また、底板部6と渡し板8は、それぞれ繊維強化樹脂複合材を素材とし、裏面にリブが形成されたリブ構造を有している。また、繊維強化樹脂複合材には、ユリア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ケイ素樹脂から選ばれる一種類以上の熱硬化性樹脂および炭素繊維が含まれている。このような繊維強化複合材料を使用することにより、軽量かつ十分な剛性を有する底板部6および渡し板8を形成することができる。
【0025】
また、開状態において底板部6が脚板14に覆い被さる位置には、リブが形成されておらず、矩形状の凹面18が形成されている。
また、
図5(a)、(b)に示すように、脚板14の先端には、開状態の底板部6の一部が覆い被さる当て板20が形成されている。当て板20は、補強部材22と当接する矩形状の床面部20a、および床面部20aの下方に垂直に延び、搬送体2を載置した場合の配置面に接地する垂直リブ20bから構成される、下駄のような形をした断面π字状の部品である。なお、当て板20と底板部6との間に両者と直接当接する0.1kg~5kgの金属製の補強部材22が設けられている。補強部材22に用いられる金属には、基本枠体4と同様の素材が好ましく用いられる。
【0026】
図6(a)は、底板部6の裏面図である。
図6(a)に示すように、底板部6の裏面には、上述したように、板面6xと直交するリブが格子状に設けられている。ここで、かかるリブには、搬送体2の移動方向と直交する矢印A方向に延びる第1リブ6a、搬送体2の移動方向である矢印B方向に延びる第2リブ6b、及び矢印A方向と矢印B方向の中間角方向に延びる傾斜リブ6cが形成されている。そして、補強部材22は、凹面18のガイド装置と反対方向の先端において、底板部6の第1リブ6a、第2リブ6b、傾斜リブ6cと当接する位置に配置されている。なお、当て板20の垂直リブ20bは、平面視において第2リブ6bとは重ならない位置に配置され、第1リブ6aは、
図5(a)に示すように、開状態において側面を構成する平面部分を脚板14の先端の壁を構成する平面部分と当接するように配置されている。
【0027】
図6(b)は、底板部6の力学的構造を示す図である。
図6(b)に示すように、底板部6に搬送対象が載置された場合、底板部6が力点となり、当て板20と補強部材22が支点となり、凸部4cに貫通する貫通棒4xが作用点となる。
【0028】
この実施の形態の発明によれば、軽量で取り扱いが容易であり、且つ乗客を乗せた状態で昇降しても変形などが発生しにくい十分な強度を有する搬送体を提供することができる。すなわち、従来金属製であった底板部6と渡し板8の素材を軽量な繊維強化樹脂複合材に置換することにより、搬送体2全体を軽量化することができ、ガイド装置に着脱する際の作業に労力や、搬送体2の移動時にガイド装置や駆動装置3に掛かる負担を軽減することができ、且つ車椅子に乗った乗客が昇降しても変形などが発生しにくい十分な強度を実現できる。また、搬送体2の軽量化に伴い、駆動装置3を小型化できるため、モーターの小型化や静穏化も期待できる。
【0029】
また、底板部6と渡し板8の裏面にリブを設けることにより、軽量化を図る一方で必要な強度を確保することができる。
また、当て板20と底板部6との間に両者と直接当接する0.1kg~5kgの金属製の補強部材を設けることにより、底板部6に生じる応力が直接脚板14に掛からないため、応力集中による底板部の劣化を抑えることができ、また底板部のたわみを抑制することができる。
【0030】
また、底板部6を展開した開状態において、第1リブ6a、第2リブ6b、傾斜リブ6cが補強部材22と当接し、当て板20の垂直リブ20bが、平面視において第2リブ6bとは重ならない位置に配置されていることにより、軽量性の代償として発生する底板部6のたわみを抑制できるとともに、圧縮荷重に対する強度を向上させることができる。
【0031】
なお、
図7は、従来のアルミ製の底板部6´の当て板20´を示した図であり、
図8は、従来の樹脂製の底板部6´´の当て板20´´を示した図である。
図7(b)、
図8(b)に示すように、従来は、当て板20´、20´´の上に直接底板部6が当接していたため、底板部6に生じる応力が直接脚板14に掛かり、底板部6のたわみ量が増大する可能性があった。
【0032】
これに対し、実施の形態の発明によれば、底板部6に生じる応力が直接脚板14に掛からないため、応力集中による底板部の劣化を抑えることができ、また底板部6のたわみの抑制が実現できる。
【0033】
また、繊維強化樹脂複合材を素材に用いることにより、溶接部の凹凸が生じることがなく、外観の美観性を向上させることができ、底板部6を製作する際に溶接に要する工数を削減することができる。
【0034】
なお、上述の実施の形態においては、安全柵12は、水平に開閉可能な構造を有しているが、これに加えて、
図9に示すように、開状態において、基本枠体4上方と底板部6の基本枠体4と反対側の端部とをトラス状に接続する傾斜支持部24を用いてもよい。
【0035】
これにより、最も応力を負担する底板部6の中央部における最大変位を大幅に低下させることができる。
また、底板部6の
図1(a)のA方向の長さが基本枠体4の高さと比較して相当程度短い場合や、底板部6に十分な厚さがある場合、底板部6に格子状のリブが形成されていないと搬送体2が高重量化して搬送作業時に高負荷が掛かる可能性がある。これに対して、実施の形態のように底板部6にリブを備えれば、底板部6が十分な強度を有し、かつ搬送体2全体が軽量となるため、搬送作業時の負荷を低減させることができる。
【符号の説明】
【0036】
2 搬送体
3 駆動装置
4 基本枠体
4a 平板
4b 枠部
4c 凸部
4x 貫通棒
6 底板部
6a 第1リブ
6b 第2リブ
6c 傾斜リブ
6x 板面
8 渡し板
8a 後渡し板
8b 前渡し板
10 副枠体
12 安全柵
14 脚板
16 ヒンジ
18 凹面
20 当て板
20a 床面部
20b 垂直リブ
22 補強部材
24 傾斜支持部
102 車椅子式階段昇降機
104 搬送体
106 駆動部