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特開2024-124640乾燥装置、および乾燥圧縮ガス生成装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124640
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】乾燥装置、および乾燥圧縮ガス生成装置
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/22 20060101AFI20240906BHJP
   B01D 53/26 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
B01D53/22
B01D53/26
B01D53/26 100
B01D53/26 231
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032457
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】390005407
【氏名又は名称】AGCエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 翔
【テーマコード(参考)】
4D006
4D052
【Fターム(参考)】
4D006GA41
4D006HA02
4D006HA18
4D006JA03A
4D006JA12C
4D006JA27C
4D006KA52
4D006KA54
4D006KA72
4D006KB12
4D006KB30
4D006MA01
4D006MB04
4D006MC01
4D006MC18
4D006MC28
4D006MC29
4D006MC30
4D006MC58
4D006MC59
4D006MC61
4D006MC62
4D006PA05
4D006PB17
4D006PB65
4D006PC72
4D052AA01
4D052AA05
4D052BA04
4D052BB02
4D052CD00
4D052DA06
4D052EA02
4D052FA05
4D052HA00
4D052HA05
4D052HA12
(57)【要約】
【課題】本発明によれば、消費電力を低減することにより省エネルギー化できる乾燥装置を提供できる。
【解決手段】本発明の乾燥装置は、圧縮機によって生成された圧縮ガスを除湿する乾燥装置であって、前記圧縮ガスを除湿する第1乾燥機と、前記第1乾燥機によって除湿された前記圧縮ガスを除湿する第2乾燥機と、を備える。前記第1乾燥機は、内部を前記圧縮ガスが流れる複数本の第1中空糸膜から成る第1中空糸膜束を有する。前記第1中空糸膜束は、前記乾燥装置の外部の雰囲気に露出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機によって生成された圧縮ガスを除湿する乾燥装置であって、
前記圧縮ガスを除湿する第1乾燥機と、
前記第1乾燥機によって除湿された前記圧縮ガスを除湿する第2乾燥機と、
を備え、
前記第1乾燥機は、内部を前記圧縮ガスが流れる複数本の第1中空糸膜から成る第1中空糸膜束を有し、
前記第1中空糸膜束は、前記乾燥装置の外部の雰囲気に露出する、乾燥装置。
【請求項2】
前記第2乾燥機は、電力によって駆動する電動乾燥機である、請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項3】
前記第2乾燥機は、前記圧縮ガスを冷却することによって、前記圧縮ガスに含まれる水分を結露させて前記圧縮ガスを除湿する、請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項4】
前記第2乾燥機は、前記圧縮ガスに含まれる水分を吸着可能な吸着剤を収容する乾燥室と、前記吸着剤を加熱する加熱部と、を有する、請求項2に記載の乾燥装置。
【請求項5】
前記第2乾燥機は、内部を前記圧縮ガスが流れる複数本の第2中空糸膜から成る第2中空糸膜束と、前記第2中空糸膜束を収容するケースと、を有し、
前記ケースの内部には、パージガスが流れ、
前記パージガスの水蒸気圧は、複数本の第2中空糸膜の内部を流れる前記圧縮ガスの水蒸気圧よりも小さい、請求項1に記載の乾燥装置。
【請求項6】
前記パージガスは、前記第2中空糸膜束から排出される前記圧縮ガスの一部である、請求項5に記載の乾燥装置。
【請求項7】
前記第1中空糸膜束の外周面に空気を送る送風部を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の乾燥装置。
【請求項8】
前記送風部は、前記第2乾燥機に設けられる、請求項7に記載の乾燥装置。
【請求項9】
複数本の前記第1中空糸膜のそれぞれは、繊維から成る被覆部によって被覆されている、請求項1から6のいずれか一項に記載の乾燥装置。
【請求項10】
請求項1から6のいずれか一項に記載の前記乾燥装置と、
前記圧縮ガスを生成する圧縮機と、
を備える、乾燥圧縮ガス生成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乾燥装置、および乾燥圧縮ガス生成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮ガスによって可動する機器には、圧縮ガスが含む水分によって機器が錆付くことを防止するために、乾燥した圧縮ガスを供給する必要がある。また、圧縮ガスは、圧縮過程における体積の減少に伴って、雰囲気よりも水蒸気圧が高くなる。そのため、従来から、圧縮ガスを除湿する乾燥機が提案および実用化されている。特許文献1には、圧縮ガスを冷却することによって、圧縮ガスに含まれる水分を結露させて圧縮ガスを除湿する電動式の冷却式乾燥機が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009-95745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電動式の冷却式乾燥機のみによって圧縮ガスの除湿を行う場合、圧縮ガスの水蒸気圧は高いため、冷却式乾燥機によって冷却する水分量は多くなり易い。したがって、圧縮ガスに含まれる水分を冷却して結露させるために消費される電力が増大し易いため、冷却式乾燥機の省エネルギー化を図ることは困難であった。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みて、消費電力を低減することにより省エネルギー化できる乾燥装置および乾燥圧縮ガス生成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の態様を有する。
[1]圧縮機によって生成された圧縮ガスを除湿する乾燥装置であって、前記圧縮ガスを除湿する第1乾燥機と、前記第1乾燥機によって除湿された前記圧縮ガスを除湿する第2乾燥機と、を備え、前記第1乾燥機は、内部を前記圧縮ガスが流れる複数本の第1中空糸膜から成る第1中空糸膜束を有し、前記第1中空糸膜束は、前記乾燥装置の外部の雰囲気に露出する、乾燥装置。
すなわち、本発明の乾燥装置は、圧縮ガスの除湿を行う際に電力等のエネルギーを消費しない第1乾燥機によって、圧縮ガスの水蒸気圧を雰囲気の水蒸気圧まで低減できるため、乾燥装置の省エネルギー化を図るものである。
【0007】
[2]前記第2乾燥機は、電力によって駆動する電動乾燥機である、[1]に記載の乾燥装置。
[3]前記第2乾燥機は、前記圧縮ガスを冷却することによって、前記圧縮ガスに含まれる水分を結露させて前記圧縮ガスを除湿する、[2]に記載の乾燥装置。
[4]前記第2乾燥機は、前記圧縮ガスに含まれる水分を吸着可能な吸着剤を収容する乾燥室と、前記吸着剤を加熱する加熱部と、を有する、[2]に記載の乾燥装置。
[5]前記第2乾燥機は、内部を前記圧縮ガスが流れる複数本の第2中空糸膜から成る第2中空糸膜束と、前記第2中空糸膜束を収容するケースと、を有し、前記ケースの内部には、パージガスが流れ、前記パージガスの水蒸気圧は、複数本の第2中空糸膜の内部を流れる前記圧縮ガスの水蒸気圧よりも小さい、[1]に記載の乾燥装置。
[6]前記パージガスは、前記第2中空糸膜束から排出される前記圧縮ガスの一部である、[5]に記載の乾燥装置。
[7]前記第1中空糸膜束の外周面に空気を送る送風部を備える、[1]~[6]のいずれかに記載の乾燥装置。
[8]前記送風部は、前記第2乾燥機に設けられる、[7]に記載の乾燥装置。
[9]複数本の前記第1中空糸膜のそれぞれは、繊維から成る被覆部によって被覆されている、[1]~[8]のいずれかに記載の乾燥装置。
[10][1]~[9]のいずれかに記載の前記乾燥装置と、前記圧縮ガスを生成する圧縮機と、を備える、乾燥圧縮ガス生成装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、消費電力を低減することにより省エネルギー化できる乾燥装置および乾燥圧縮ガス生成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態の乾燥圧縮ガス生成装置を示すブロック図である。
図2】本発明の第1実施形態の第1乾燥機を示す図であって、第1軸線に沿って切断した断面図である。
図3】本発明の第1実施形態の第1乾燥機を上流側から見た図である。
図4】本発明の第1実施形態の第2乾燥機を示す模式図である。
図5】本発明の第1実施形態の乾燥圧縮ガス生成装置における圧縮ガスの水蒸気圧推移の一例を示す図である。
図6】本発明の第2実施形態の第2乾燥機を示す模式図である。
図7】本発明の第3実施形態の第2乾燥機を示す図であって、第2軸線に沿って切断した断面図である。
図8】本発明の第3実施形態の第2乾燥機を上流側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書および請求の範囲における以下の用語は、以下の意味を示す。
「~」で表される数値範囲は、~の前後の数値を下限値および上限値とする数値範囲を意味する。
「ケースに対する中空糸膜の充填率」は、ケースを軸線方向に垂直な方向に切断した断面における、モジュール本体の内部の断面積に対する、各中空糸膜の外縁を基準とした断面積の合計の割合を意味する。
「ケースの有効長」とは、ケースにおいて水蒸気の分離に寄与する中空糸膜の長さであり、典型的にはケースにおける封止材間の長さである。
【0011】
本発明の乾燥圧縮ガス生成装置は、圧縮機によって生成した圧縮ガスから水分を分離して乾燥した圧縮ガスを生成する。以下、本発明の乾燥圧縮ガス生成装置の一例について、図面を参照して説明する。なお、以下の説明において例示される図の寸法等は一例であって、本発明はそれらに必ずしも限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲で適宜変更して実施できる。
【0012】
以下の説明において各図には、適宜矢印Dfを示す。矢印Dfは、乾燥圧縮ガス生成装置において圧縮ガスが流れる方向を示す。以下の説明では、圧縮ガスが流れる方向のうち矢印Dfが向く側(+Df側)を「下流側」と呼び、圧縮ガスが流れる方向のうち矢印Dfが向く側と逆側(-Df側)を「上流側」と呼ぶ。
以下の説明において各図には、雰囲気Amを示す。本発明において、雰囲気Amは、乾燥圧縮ガス生成装置の周囲の空気である。
【0013】
<第1実施形態>
図1に示すように、本実施形態の乾燥圧縮ガス生成装置10は、圧縮ガスを動力源とする機器80に乾燥した圧縮ガスPA3を供給する。機器80の構成等は、特に限定されず、圧縮ガスを用いて機器80自体または機器80の一部を可動させる構成であればよい。機器80の一例としては、圧縮ガスによって可動部が可動するロボットおよび電車のパンタグラフ等が挙げられる。また、乾燥圧縮ガス生成装置10は、実験室等の室内に乾燥した圧縮ガスPA3を供給し、該室内の雰囲気を乾燥させるために用いられてもよい。
【0014】
乾燥圧縮ガス生成装置10は、圧縮機20と、乾燥装置30と、配管部60と、を備える。配管部60は、内部を圧縮ガスが流れる配管である。圧縮機20において生成された圧縮ガスは、乾燥装置30において除湿された後、機器80に供給される。配管部60は、圧縮機20と乾燥装置30とを接続し、乾燥装置30と機器80とを接続する。配管部60は、第1配管61と、第2配管62と、第3配管63と、を有する。
【0015】
圧縮機20は、圧縮ガスPA1を生成する。圧縮機20の構成は特に限定されず、圧縮機20は、ターボ圧縮機であってもよいし、容積圧縮機であってもよい。圧縮機20は、乾燥装置30および機器80よりも上流側(-Df側)に配置される。圧縮機20には、第1配管61の上流側の端部が接続される。図示は省略するが、圧縮機20は、内部に吸引した雰囲気Amを圧縮することにより圧縮ガスPA1を生成し、圧縮ガスPA1を第1配管61の内部に圧送する。本実施形態において、圧縮機20は、電力を動力源とする電動式圧縮機である。圧縮機20において消費される電力は、圧縮機20が生成する圧縮ガスPA1の体積と相関する。なお、圧縮機20は、他の送風装置から送られてきたガスを圧縮することにより圧縮ガスPA1を生成し、圧縮ガスPA1を第1配管61の内部に圧送してもよい。
【0016】
圧縮ガスPA1は、圧縮機20によって雰囲気Amを圧縮することにより生成される。よって、単位体積当たりの圧縮ガスPA1に含まれる水分量は、単位体積当たりの雰囲気Amに含まれる水分量よりも多い。よって、圧縮ガスPA1の水蒸気圧は、雰囲気Amの水蒸気圧よりも大きい。また、圧縮ガスPA1の温度と雰囲気Amの温度が同じ温度の場合、圧縮ガスPA1の相対湿度は雰囲気Amの相対湿度よりも大きい。大気圧下(0.1MPaA)において、温度20℃、相対湿度25%の雰囲気Amを、圧縮機20によって0.8MPaAに圧縮すると、温度20℃において圧縮ガスPA1の相対湿度は100%になる。このように、圧縮ガスPA1は、雰囲気Amよりも水蒸気圧が高く、飽和水蒸気圧に達しているため、結露し易い。
【0017】
仮に、圧縮ガスPA1が全く除湿されないまま機器80に供給されると、機器80内での温度低下等によって圧縮ガスPA1に含まれる水分が液化(凝縮)し易いため、機器80内においてドレンが発生し易い。機器80内においてドレンが発生すると、機器80を構成する部材等が錆付いてしまう問題が発生する。そのため、本実施形態の乾燥圧縮ガス生成装置10では、乾燥装置30によって圧縮ガスPA1を除湿し、乾燥した圧縮ガスPA3を機器80に供給する。
【0018】
乾燥装置30は、圧縮機20の下流側(+Df側)、且つ、機器80の上流側(-Df側)に配置される。乾燥装置30は、圧縮ガスPA1を除湿して、除湿した圧縮ガスPA3を機器80に供給する。乾燥装置30は、第1乾燥機40と、第2乾燥機50と、を備える。
【0019】
第1乾燥機40は、圧縮ガスPA1を除湿し、圧縮ガスPA1よりも水蒸気圧が低い圧縮ガスPA2を第2乾燥機50に送る。第1乾燥機40は、圧縮機20の下流側(+Df側)、且つ、第2乾燥機50の上流側(-Df側)に配置される。第1乾燥機40には、第1配管61の下流側の端部が接続される。これにより、第1乾燥機40は、第1配管61を介して圧縮機20と接続される。また、第1乾燥機40には、第2配管62の上流側の端部が接続される。第1乾燥機40は、第2配管62の内部に圧縮ガスPA2を排出する。
【0020】
図2に示すように、本実施形態において、第1乾燥機40は、圧縮ガスPA1から水分を分離して、圧縮ガスPA1を除湿する複数本の第1中空糸膜45から成る第1中空糸膜束46を有する。よって、第1乾燥機40では、圧縮ガスPA1を除湿するための動力が不要である。つまり、本実施形態の第1乾燥機40では、電力を消費することなく、圧縮ガスPA1を除湿できる。第1乾燥機40は、上流フランジ42と、下流フランジ43と、第1中空糸膜束46と、封止部48と、を有する。
【0021】
なお、図2に示す第1軸線J1は、上流フランジ42および下流フランジ43それぞれの中心軸を示す仮想軸線である。本実施形態において、第1軸線J1は、圧縮ガスが流れる方向を示す矢印Dfと平行な方向延びる。以下の説明において、第1軸線J1が延びる方向を「第1軸線方向」と呼ぶ場合がある。
【0022】
上流フランジ42は、第1軸線J1を中心として第1軸線方向に突出する円筒状である。上流フランジ42は、下流側(+Df側)に開口する。上流フランジ42には、第1供給部42aが設けられる。第1供給部42aには、第1供給部42aを第1軸線方向に貫通する孔が設けられ、孔には第1配管61の下流側の端部が接続される。これにより、上流フランジ42の内部に圧縮ガスPA1が流れ込む。
【0023】
下流フランジ43は、第1軸線J1を中心として第1軸線方向に突出する円筒状である。下流フランジ43は、上流側(-Df側)に開口する。下流フランジ43は、上流フランジ42よりも下流側(+Df側)に配置される。下流フランジ43は、上流フランジ42と第1軸線方向に間隔をあけて配置される。下流フランジ43には、第1排出部43aが設けられる。第1排出部43aには、第1排出部43aを第1軸線方向に貫通する孔が設けられ、孔には第2配管62の上流側の端部が接続される。これにより、第1中空糸膜束46によって除湿された圧縮ガスPA2は、第2配管62の内部に排出される。
【0024】
上流フランジ42および下流フランジ43それぞれの材質は特に限定されず、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニルを例示できる。上流フランジ42および下流フランジ43の材質は、1種でもよく、2種以上でもよい。また、上流フランジ42および下流フランジ43は、アルミニウム等の金属製であってもよい。
【0025】
上流フランジ42および下流フランジ43それぞれの形状は、円筒状に限定されず、四角筒状、六角筒状等の角筒状であってもよい。
上流フランジ42および下流フランジ43それぞれの外径は、3mm~225mmが好ましい。上流フランジ42および下流フランジ43それぞれの内径は、1mm~220mmが好ましい。
【0026】
第1中空糸膜束46は、上流フランジ42の内部から下流フランジ43の内部まで第1軸線方向に延在する複数本の第1中空糸膜45から成る。図3に示すように、本実施形態において、各第1中空糸膜45のそれぞれは、繊維から成る被覆部45aによって被覆されている。図示は省略するが、被覆部45aは、ガスの通気を妨げない程度の通気性を有している。そのため、被覆部45aと第1中空糸膜45との間で空気が滞留することを抑制できる。
【0027】
図2に示すように、第1中空糸膜束46の上流側(-Df側)の端部は、封止部48によって上流フランジ42の内周面と気密に固定される。第1中空糸膜束46の下流側(+Df側)の端部は、封止部48によって下流フランジ43の内周面と気密に固定される。なお、本発明において、「気密に固定される」とは、接着剤等により取付け部からガスが漏れないように固定された状態である。図1に示すように、本実施形態において、第1中空糸膜束46のうち、上流フランジ42と下流フランジ43との間の部分は、乾燥装置30の外部の雰囲気Amに露出している。これにより、各第1中空糸膜45の内部を流れる圧縮ガスPA1が含む水分を、各第1中空糸膜45を介して雰囲気Amに排出できる。
【0028】
図2に示すように、上流フランジ42の内部および下流フランジ43の内部のそれぞれにおいて、各第1中空糸膜45の端部は開口している。すなわち、各第1中空糸膜45の内部と、上流フランジ42の内部の空間と、下流フランジ43の内部の空間とは、互いに連通している。そのため、第1供給部42aから供給された圧縮ガスPA1は、上流フランジ42の内部空間を介して、各第1中空糸膜45の内部を下流側(+Df側)に向けて流れつつ除湿され、除湿された圧縮ガスPA2は、下流フランジ43の内部空間と第1排出部43aとを介して、第2配管62の内部に排出される。
【0029】
第1中空糸膜45の形状は、特に限定されず、典型的には円筒状である。第1中空糸膜45の外径は、0.2mm~6.0mmが好ましく、0.4mm~1.0mmがより好ましい。第1中空糸膜45の内径は、0.1mm~5.5mmが好ましい。第1中空糸膜45の膜厚は、0.05mm~1.50mmが好ましい。第1中空糸膜45の長さは、30mm~1000mmが好ましい。第1中空糸膜束46を構成する第1中空糸膜45の本数は、1本~100000本が好ましい。
【0030】
第1中空糸膜45の材質は、特に限定されず、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、シリコン、酢酸セルロース、フッ素系イオン交換樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンを例示できる。なかでも、水蒸気の透過性に優れる点から、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フッ素系イオン交換樹脂が好ましい。
第1中空糸膜45の材質は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0031】
封止部48は、複数の第1中空糸膜45の第1軸線方向の両端を保持する。本実施形態において、封止部48は樹脂製である。封止部48を形成する樹脂は、特に限定されず、エポキシ、ポリウレタン、シリコン、アクリルを例示できる。封止部48の材質は、1種でもよく、2種以上でもよい。封止部48は、第1封止部48aと、第2封止部48bと、を有する。
【0032】
第1封止部48aは、上流フランジ42の内部に配置される。第1封止部48aは、上流フランジ42の内周面に接着によって固定される。第1封止部48aは、第1中空糸膜束46の上流側(-Df側)の端部を保持する。図3に示すように、第1封止部48aは、複数本の第1中空糸膜45のそれぞれを覆う被覆部45a同士の間を封止し、第1中空糸膜束46と上流フランジ42との間を封止する。図2に示すように、第1封止部48aによって、上流フランジ42の内部の空間と、各第1中空糸膜45の外部の空間とは気密に封止される。なお、「気密に封止される」とは、接着剤等により封止部から圧縮ガスが漏れないように封止された状態である。
【0033】
第2封止部48bは、下流フランジ43の内部に配置される。第2封止部48bは、下流フランジ43の内周面に接着によって固定される。第2封止部48bは、第1中空糸膜束46の下流側(+Df側)の端部を保持する。図示は省略するが、第1封止部48aと同様に、第2封止部48bは、複数本の第1中空糸膜45のそれぞれを覆う被覆部45a同士の間を封止し、第1中空糸膜束46と下流フランジ43との間を封止する。図2に示すように、第2封止部48bによって、下流フランジ43の内部の空間と、各第1中空糸膜45の外部の空間とは気密に封止される。
【0034】
本実施形態の第1乾燥機40では、上流フランジ42の第1供給部42aから圧縮ガスPA1が供給されると、上流側(-Df側)から下流側(+Df側)に向かって各第1中空糸膜45の内部を圧縮ガスPA1が通過する。また、上述のように、各第1中空糸膜45は、雰囲気Amに露出している。さらに、上述のように、各第1中空糸膜45の内部を通過する圧縮ガスPA1の水蒸気圧は、雰囲気Amの水蒸気圧よりも高い。よって、圧縮ガスPA1に含まれる水分は、各第1中空糸膜45の膜外に透過し、雰囲気Amに吸収される。これにより、各第1中空糸膜45の内部を通過する圧縮ガスPA1は除湿され、除湿された圧縮ガスPA2が各第1中空糸膜45から下流フランジ43内の空間を介して、第2配管62の内部に排出される。なお、第1乾燥機40において除湿された圧縮ガスPA2の水蒸気圧は、雰囲気Amの水蒸気圧とほぼ同じになる。また、上述のように、第1乾燥機40では、電力を消費することなく、圧縮ガスPA1を除湿する。つまり、本実施形態の第1乾燥機40は、電力を消費することなく、圧縮ガスPA1を雰囲気Amと同等の水蒸気圧まで除湿できる。
【0035】
図1に示すように、第2乾燥機50は、第1乾燥機40によって除湿された圧縮ガスPA2を除湿し、圧縮ガスPA2よりも水蒸気圧が低い圧縮ガスPA3を生成する。第2乾燥機50は、第1乾燥機40の下流側(+Df側)、且つ、機器80の上流側(-Df側)に配置される。第2乾燥機50には、第2配管62の下流側の端部が接続される。これにより、第2乾燥機50は、第2配管62を介して第1乾燥機40と接続される。また、第2乾燥機50には、第3配管63の上流側の端部が接続される。第3配管63の下流側の端部は、機器80と接続される。これにより、第2乾燥機50は、第3配管63を介して機器80と接続される。また、第2乾燥機50は、第3配管63の内部に圧縮ガスPA3を排出する。これにより、乾燥装置30によって除湿された圧縮ガスPA3が機器80に供給される。
【0036】
本実施形態において、第2乾燥機50は、電力によって駆動する電動乾燥機である。本実施形態において、第2乾燥機50は、圧縮ガスPA2を冷却することによって、圧縮ガスPA2に含まれる水分を結露させて圧縮ガスPA2を除湿する冷却式乾燥機である。図4に示すように、第2乾燥機50は、ハウジング50aと、圧縮器51と、凝縮器52と、膨張弁53と、冷却室54と、蒸発器55と、排気ダクト58と、冷媒Lと、を有する。また、第2乾燥機50には、送風部59が設けられる。
【0037】
ハウジング50aは、圧縮器51および凝縮器52等の第2乾燥機50を構成する各部を内部に収容する。本実施形態において、ハウジング50aの上部には開口50bが設けられる。ハウジング50aの内部は、開口50bを介して排気ダクト58の内部と繋がる。排気ダクト58は、ハウジング50aの内部の空気をハウジング50aの外部に排出する風路である。排気ダクト58の一方の開口である第1開口58aは、開口50bと繋がる。排気ダクト58の他方の開口である第2開口58bは、上流側(-Df側)に向けて開口する。
【0038】
第2乾燥機50は、冷媒Lを圧縮器51、凝縮器52、膨張弁53、および蒸発器55の順に循環させつつ、冷却室54に配置された蒸発器55によって、圧縮ガスPA2と冷媒Lと間で熱交換を行い、圧縮ガスPA2を冷却する。圧縮器51は、冷媒Lを圧縮して高温且つ高圧の冷媒Lを凝縮器52に向けて吐出する。凝縮器52において、冷媒Lは送風部59によって凝縮器52に送風される空気との間の熱交換によって冷却されて液化する。なお、本実施形態の凝縮器52には複数のフィン52aが設けられるため、空気と冷媒Lとの間の熱交換効率を高められる。複数のフィン52aは、設けられなくてもよい。
【0039】
送風部59は、凝縮器52に空気を送風するととともに、排気ダクト58を介してハウジング50aの内部の空気をハウジング50aの外部に排出する送風ファンである。上述のように、排気ダクト58の第2開口58bは、上流側(-Df側)に向けて開口するため、排気ダクト58から排出される空気は雰囲気Amと共に第2乾燥機50から上流側に向けて流れる攪拌風AFとなる。攪拌風AFは、図1に示すように、第1乾燥機40に向けて流れるため、図2に示すように、攪拌風AFは、第1中空糸膜束46の周りを流れる。つまり、送風部59は、ハウジング50a内の空気を第1中空糸膜束46の外周面に送る。
【0040】
図4に示すように、凝縮器52において液化した高圧且つ液相の冷媒Lは、膨張弁53に送られ、膨張弁53において減圧される。膨張弁53において減圧された、低圧且つ液相の冷媒Lは、冷却室54内に配置される蒸発器55に流れ込む。
【0041】
冷却室54は、ハウジング50aの内部に配置される。冷却室54は、蒸発器55を内部に収容する。冷却室54には、第2供給部54aと、第2排出部54bと、ドレン流路54cが設けられる。第2供給部54aには、第2供給部54aを貫通する孔が設けられ、孔には第2配管62の下流側(+Df側)の端部が接続される。これにより、冷却室54の内部に圧縮ガスPA2が流れ込む。第2排出部54bには、第2排出部54bを貫通する孔が設けられ、孔には第3配管63の上流側の端部が接続される。これにより、第2乾燥機50によって除湿された圧縮ガスPA3は、第3配管63の内部に排出され、図1に示すように、機器80に供給される。
【0042】
図2に示すように、ドレン流路54cは、圧縮ガスPA2を冷却する際に発生したドレンを排出する経路である。ドレン流路54cの一端は、冷却室54の底部に設けられる孔と繋がる。ドレン流路54cの他端は、ハウジング50aの外部に位置する。これにより、ドレンは第2乾燥機50の外部に排出される。
【0043】
冷却室54の内部に送られた圧縮ガスPA2は、蒸発器55において低温且つ液相の冷媒Lと熱交換されることによって、本実施形態では3℃程度に冷却される。圧縮ガスPA2が冷却されると、圧縮ガスPA2の飽和水蒸気圧が低下するため、圧縮ガスPA2に含まれる水分の一部が結露し、ドレン流路54cから第2乾燥機50の外部に排出される。これにより、圧縮ガスPA2は除湿され、露点が3℃程度の圧縮ガスPA3が生成される。圧縮ガスPA3の水蒸気圧は、圧縮ガスPA2の水蒸気圧よりも低い。なお、本実施形態の蒸発器55には複数のフィン55aが設けられている。これにより、蒸発器55の表面積を大きくできるため、圧縮ガスPA2と冷媒Lとの間の熱交換効率を高められる。
【0044】
圧縮ガスPA3は、第2排出部54bを介して、第3配管63の内部に排出される。第2排出部54bを通過した直後の圧縮ガスPA3は、温度が3℃程度、且つ、相対湿度が略100%であるが、第3配管63を通過する際に雰囲気Amとの熱交換等によって、温められると、圧縮ガスPA3の相対湿度は低下する。圧縮ガスPA3は、図示しないヒータ等によって加熱されてもよく、この場合、圧縮ガスPA3の相対湿度を安定して低減できるため、機器80の内部で圧縮ガスPA3に含まれる水分が結露することをより好適に抑制できる。
【0045】
冷媒Lは、蒸発器55において、圧縮ガスPA2との熱交換によって蒸発すると、圧縮器51に流れ込む。その後、冷媒Lは、圧縮器51において圧縮され、上述の手順と同様の手順で凝縮器52、膨張弁53、および蒸発器55を循環しつつ、蒸発器55において、圧縮ガスPA2を冷却し、圧縮ガスPA2に含まれる水分を結露させることによって、圧縮ガスPA2を除湿し、圧縮ガスPA2よりも水蒸気圧が低い圧縮ガスPA3を生成する。
【0046】
図5は、本実施形態の乾燥圧縮ガス生成装置10で圧縮ガスを生成した実験における、圧縮ガスの水蒸気圧推移の一例を示す図である。図5には、図1に示す、圧縮機20によって圧縮された直後の圧縮ガスPA1、第1乾燥機40によって除湿された圧縮ガスPA2、および第2乾燥機50によって除湿された圧縮ガスPA3それぞれの水蒸気圧を示す。なお、本実験における、雰囲気Amの温度および相対湿度は、それぞれ、23℃および32%であった。
【0047】
上述のように、圧縮機20は、内部に吸引した雰囲気Amを圧縮することにより圧縮ガスPA1を生成する。本実験において、圧縮ガスPA1の圧力は約0.94MPaA、温度は23℃、相対湿度は100%であり、水蒸気圧は2811Paであった。なお、圧縮ガスPA1を生成する際に発生したドレンは、図示しないドレン流路を介して圧縮機20の外部に排出される。
【0048】
上述のように、第1乾燥機40において除湿された圧縮ガスPA2の水蒸気圧は、雰囲気Amの水蒸気圧とほぼ同じ水蒸気圧である。本実験において、圧縮ガスPA2の圧力は0.94MPaA、温度は23℃、相対湿度は32%であり、水蒸気圧は908Paであった。よって、第1乾燥機40によって、圧縮ガスの水蒸気圧は2811Paから908Paに低減された。本実験において、第1乾燥機40によって低減した水蒸気圧である第1低減水蒸気圧ΔPV1は、1903Paであった。なお、上述のように、本実施形態の第1乾燥機40は、電力を消費することなく、圧縮ガスPA1を雰囲気Amの水蒸気圧まで除湿できる。したがって、本実験において、第1乾燥機40は、電力を消費することなく、圧縮ガスの水蒸気圧を1903Pa低減している。
【0049】
次に、本実験において、第2乾燥機50において除湿された圧縮ガスPA3の圧力は0.94MPaA、温度は3℃、相対湿度は100%であり、水蒸気圧は758Paであった。よって、第2乾燥機50によって、圧縮ガスの水蒸気圧は908Paから758Paに低減された。本実験において、第2乾燥機50によって低減した水蒸気圧である第2低減水蒸気圧ΔPV2は、150Paであった。
【0050】
乾燥装置30が第1乾燥機40を有さず、第2乾燥機50のみによって構成される場合、第2乾燥機50には、水蒸気圧が2811Paの圧縮ガスPA1が直接供給され、水蒸気圧が758Paの圧縮ガスPA3が排出される。したがって、この場合において、第2乾燥機50によって低減した水蒸気圧である第3低減水蒸気圧ΔPV3は、2053Paになる。つまり、乾燥装置30が第1乾燥機40を有することによって、第2乾燥機50において低減する圧縮ガスの水蒸気圧を第3低減水蒸気圧ΔPV3(2053Pa)から第2低減水蒸気圧ΔPV2(150Pa)に低減できる。よって、乾燥装置30が第1乾燥機40を有することによって、第2乾燥機50において低減する圧縮ガスの水蒸気圧、すなわち第2乾燥機50において圧縮ガスから分離する水分量を低減できる。より詳細には、本実験では、第1乾燥機40によって、電力を消費することなく、第2乾燥機50において低減する圧縮ガスの水蒸気圧、および圧縮ガスから分離湿する水分量のそれぞれを93%程度削減できる。
【0051】
本実施形態によれば、乾燥装置30は、圧縮ガスPA1を除湿する第1乾燥機40と、第1乾燥機40によって除湿された圧縮ガスPA2を除湿する第2乾燥機50と、を備え、第1乾燥機40は、内部を圧縮ガスPA1が流れる複数本の第1中空糸膜45から成る第1中空糸膜束46を有し、第1中空糸膜束46は、乾燥装置30の外部の雰囲気Amに露出する。上述のように、第1乾燥機40は、各第1中空糸膜45を介して、各第1中空糸膜45の内部を流れる圧縮ガスPA1に含まれる水分を雰囲気Amに排出できる。そのため、圧縮ガスPA1の除湿を行う際に電力等のエネルギーを消費しない第1乾燥機40によって、圧縮ガスPA1の水蒸気圧を雰囲気Amの水蒸気圧程度まで低減できる。よって、電動式の乾燥機のみによって圧縮ガスPA1の除湿を行う構成の乾燥装置と比較して、圧縮ガスPA1の水蒸気圧を雰囲気Amの水蒸気圧まで低減するために消費されるエネルギーに相当する電力を低減できるため、乾燥装置30によって乾燥した圧縮ガスPA3を生成するために必要なエネルギーを低減できる。したがって、乾燥装置30の省エネルギー化できる。また、これにより、圧縮機20が圧縮ガスPA1を生成するために消費する電力と、乾燥装置30が乾燥した圧縮ガスPA3を生成するために消費する電力と、を合算した電力を低減できるため、乾燥圧縮ガス生成装置10の省エネルギー化できる。
【0052】
本実施形態によれば、第2乾燥機50は、電力によって駆動する電動乾燥機である。上述のように、電力等のエネルギーを消費しない第1乾燥機40によって、圧縮ガスPA2の水蒸気圧を雰囲気Amの水蒸気圧程度まで低減できるため、電動式の第2乾燥機50で除湿する水分量を低減できる。より詳細には、上述の図5に示した実験では、第1乾燥機40によって、第2乾燥機50で除湿する水分量を93%程度低減できる。したがって、第2乾燥機50で圧縮ガスPA2を除湿するために消費される電力を低減できるため、乾燥装置30および乾燥圧縮ガス生成装置10の省エネルギー化できる。
【0053】
本実施形態によれば、第2乾燥機50は、圧縮ガスPA2を冷却することによって、圧縮ガスPA2に含まれる水分を結露させて圧縮ガスPA2を除湿する。上述のように、電力等のエネルギーを消費しない第1乾燥機40によって、圧縮ガスPA2の水蒸気圧を雰囲気Amの水蒸気圧まで低減できるため、第2乾燥機50で除湿する水分量を低減できる。これにより、第2乾燥機50において圧縮ガスPA2に含まれる水分を冷却するために消費される電力を低減できる。上述の図5に示した実験では、第2乾燥機50が圧縮ガスPA2含まれる水分を冷却するために消費される電力を93%程度削減できる。したがって、乾燥装置30および乾燥圧縮ガス生成装置10の省エネルギー化できる。
【0054】
本実施形態によれば、乾燥装置30は、第1中空糸膜束46の外周面に空気を送る送風部59を備える。よって、第1中空糸膜束46に上述の攪拌風AFを送れるため、各第1中空糸膜45それぞれの周りの空気が滞留することを抑制できる。これにより、第1乾燥機40によって圧縮ガスPA1の除湿を行う際に、各第1中空糸膜45それぞれの周りのガスの水蒸気圧が高くなりすぎることを抑制できる。よって、第1乾燥機40の除湿性能が低下することを抑制できるため、第1乾燥機40において、圧縮ガスPA1の水蒸気圧をより安定して雰囲気Amの水蒸気圧程度まで低減できる。したがって、第2乾燥機50で消費される電力をより安定的に低減できるため、乾燥装置30および乾燥圧縮ガス生成装置10の省エネルギー化できる。
【0055】
本実施形態によれば、送風部59は、第2乾燥機50に設けられる。そのため、第2乾燥機50の排気を行う送風部59によって、第1乾燥機40の第1中空糸膜束46の外周面に攪拌風AFを送れる。したがって、第2乾燥機50に設けられる送風部59とは別個に、第1中空糸膜束46に攪拌風AFを送る送風部材を設ける場合と比較して、乾燥装置30の部品点数および製造コストが増大することを抑制できる。
【0056】
本実施形態によれば、複数本の第1中空糸膜45のそれぞれは、繊維から成る被覆部45aによって被覆されている。そのため、雰囲気Amに露出して配置される複数本の第1中空糸膜45に、乾燥装置30および乾燥圧縮ガス生成装置10のメンテナンス等を行う作業者、および作業者が使用する工具等が接触しても、第1中空糸膜45が損傷することを抑制できる。したがって、第1乾燥機40によって、圧縮ガスPA1を安定して除湿できるため、乾燥装置30および乾燥圧縮ガス生成装置10の省エネルギー化をより安定的に図れる。
【0057】
<第2実施形態>
図6は、第2実施形態の乾燥圧縮ガス生成装置210の第2乾燥機250を示す模式図である。以下の説明において、上述の第1実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。なお、図示は省略するが、本実施形態の乾燥圧縮ガス生成装置210が備える圧縮機20、第1乾燥機40、配管部60、および機器80の構成等は、上述の第1実施形態の圧縮機20、第1乾燥機40、配管部60、および機器80の構成等と同一である。
【0058】
本実施形態の第2乾燥機250は、電力によって駆動する吸着式乾燥機である。第2乾燥機250は、風路251と、乾燥室253と、吸着剤257と、加熱部258と、ハウジング260と、を有する。また、第2乾燥機250には、送風部259が設けられる。
【0059】
ハウジング260は、乾燥室253および加熱部258等の第2乾燥機250を構成する各部を内部に収容する。本実施形態において、ハウジング260の上流側(-Df側)を向く面には、上流側に開口する開口260aが設けられる。開口260aには、送風部259が取り付けられる。
【0060】
送風部259は、ハウジング260の内部の空気を上流側に向けて排気する送風ファンである。送風部259によって第2乾燥機250から排出される空気は、雰囲気Amと共に第2乾燥機250から上流側に向けて流れる攪拌風AFとなる。攪拌風AFは、上述の第1実施形態の攪拌風AFと同様に、第1乾燥機40に向けて流れる。したがって、各第1中空糸膜45それぞれの周りの空気が滞留することを抑制できるため、第1乾燥機40の除湿性能が低下することを抑制できる。これにより、第1乾燥機40によって、圧縮ガスPA1の水蒸気圧を安定して雰囲気Amの水蒸気圧まで低減できる。
【0061】
乾燥室253は、ハウジング260の内部に配置される。乾燥室253は、内部に吸着剤257を収容する。本実施形態において、乾燥室253は、第1乾燥室254と、第2乾燥室255と、を含む。第1乾燥室254には、上流側(-Df側)に開口する第1吸気口254aと、下流側(+Df側)に開口する第1排気口254bと、が設けられる。第2乾燥室255には、上流側に開口する第2吸気口255aと、下流側に開口する第2排気口255bと、が設けられる。
【0062】
吸着剤257は、乾燥室253の内部を流れる圧縮ガスPA2に含まれる水分を吸着可能である。吸着剤257は、圧縮ガスPA2に含まれる水分を吸着することにより、圧縮ガスPA2を除湿する。吸着剤257の材質は特に限定されず、二酸化珪素、酸化カルシウム、および塩化カルシウム等の吸湿性を有する材質を例示できる。本実施形態において、吸着剤257の材質は、二酸化珪素である。吸着剤257は、円形状に成形された複数の二酸化珪素粒子によって構成される。本実施形態において、吸着剤257は、第1吸着剤257aと、第2吸着剤257bと、を含む。第1吸着剤257aは、第1乾燥室254の内部に収容される。第2吸着剤257bは、第2乾燥室255の内部に収容される。
【0063】
風路251は、内部を圧縮ガスが流れる配管である。風路251は、第2配管62と、乾燥室253とを繋ぎ、乾燥室253と第3配管63とを繋ぐ。風路251は、第2供給部251aと、第1流入路252aと、第2流入路252bと、第1流出路256aと、第2流出路256bと、第2排出部251bと、を有する。風路251には、第1切替部261aおよび第2切替部261bが配置される。
【0064】
第2供給部251aは、第2配管62と、第1流入路252aおよび第2流入路252bとを繋ぐ。第2供給部251aは、第2配管62の下流側(+Df側)の端部と接続される。第1流入路252aは、第2供給部251aと第1乾燥室254とを繋ぐ。第2流入路252bは、第2供給部251aと第2乾燥室255とを繋ぐ。第1流入路252aおよび第2流入路252bのそれぞれは、第1切替部261aを介して、第2供給部251aの下流側の端部と繋がる。第1流入路252aの下流側の端部は、第1乾燥室254の第1吸気口254aに接続される。第2流入路252bの下流側の端部は、第2乾燥室255の第2吸気口255aに接続される。
【0065】
第1流出路256aは、第1乾燥室254と第2排出部251bとを繋ぐ。第2流出路256bは、第2乾燥室255と第2排出部251bとを繋ぐ。第1流出路256aの上流側(-Df側)の端部は、第1乾燥室254の第1排気口254bに接続される。第2流出路256bの上流側の端部は、第2乾燥室255の第2排気口255bに接続される。第1流出路256aおよび第2流出路256bのそれぞれは、第2切替部261bを介して、第2排出部251bと繋がる。第2排出部251bは、第1流出路256aおよび第2流出路256bと、第3配管63と、を繋ぐ。第2排出部251bは、第3配管63の上流側の端部と接続される。
【0066】
第1切替部261aおよび第2切替部261bは、それぞれ、三方弁である。第1切替部261aは、圧縮ガスPA2が流れる風路を、第1流入路252aと第2流入路252bとの間で切り替え可能である。第2切替部261bは、圧縮ガスPA3が流れる流路を、第1流出路256aと第2流出路256bとの間で切り替え可能である。なお、第1切替部261aおよび第2切替部261bによる風路の切り替えは、図示しない制御部によって行われてもよいし、作業者等によって行われてもよい。
【0067】
加熱部258は、吸着剤257を加熱して、吸着剤257に吸着した水分を蒸発させることによって、吸着剤257から水分を除去する。本実施形態において、加熱部258は、電動ヒータである。本実施形態において、加熱部258は、第1加熱部258aと、第2加熱部258bと、を含む。第1加熱部258aは、第1乾燥室254と対向して配置され、第1吸着剤257aを加熱する。第2加熱部258bは、第2乾燥室255と対向して配置され、第2吸着剤257bを加熱する。
【0068】
本実施形態の第2乾燥機250において、吸着剤257に吸着した水分量が所定量を超えると、吸着剤257が圧縮ガスPA2を除湿する除湿性能は低下する。これに対して、本実施形態では、加熱部258によって吸着剤257を加熱し、上述のように吸着剤257に吸着した水分を除去することにより、吸着剤257が圧縮ガスPA2を除湿する除湿性能を回復できる。これにより、本実施形態の第2乾燥機250では、除湿性能が低下した吸着剤257を交換することなく繰り返し使用できる。上述のように、加熱部258は電動ヒータであるため、本実施形態の第2乾燥機250では、加熱部258によって吸着剤257を加熱する際に電力が消費される。
【0069】
次に、第2乾燥機250の動作について説明する。まず、第1吸着剤257aによって圧縮ガスPA2を除湿する際には、第1切替部261aは、第2供給部251aと第1流入路252aとを連通し、第2切替部261bは、第1流出路256aと第2排出部251bとを連通する。第2配管62を介して、第2供給部251aに流入した圧縮ガスPA2は、第1流入路252aを通過して、第1乾燥室254の内部に流入する。第1乾燥室254の内部において、圧縮ガスPA2は、第1吸着剤257aと接触しつつ、下流側(+Df側)に向けて流れる。このとき、圧縮ガスPA2に含まれる水分は第1吸着剤257aに吸着する。これにより、圧縮ガスPA2は除湿される。除湿された圧縮ガスPA3は、第1流出路256aおよび第2排出部251bを介して、第3配管63に排出され、機器80に供給される。
【0070】
第1吸着剤257aに吸着した水分量が所定量を超えると、第1切替部261aは、第2供給部251aと第2流入路252bとを連通し、第2切替部261bは、第2流出路256bと第2排出部251bとを連通する。これにより、圧縮ガスPA2は、第2流入路252bを通過して、第2乾燥室255の内部に流入し、第2吸着剤257bによって除湿される。除湿された圧縮ガスPA3は、第2流出路256bおよび第2排出部251bを通過して、第3配管63に排出され、機器80に供給される。このとき、第1加熱部258aは、第1吸着剤257aの加熱を行う。これにより、上述のように、第1吸着剤257aに吸着した水分は除去されるため、第1吸着剤257aの除湿性能は回復する。第1吸着剤257aに吸着している水分量が所定量以下になると、第1加熱部258aは第1吸着剤257aの加熱を停止する。
【0071】
その後、第2吸着剤257bに吸着した水分量が所定量を超えると、第1切替部261aは、第2供給部251aと第1流入路252aとを連通し、第2切替部261bは、第1流出路256aと第2排出部251bとを連通して、第1吸着剤257aによって圧縮ガスPA2を除湿する。このとき、第2加熱部258bは、第2吸着剤257bの加熱を行い、第2吸着剤257bの除湿性能を回復させる。以後は、上述の動作を繰り返すことによって、第2乾燥機250は、圧縮ガスPA2を除湿する。
【0072】
第2乾燥機250において、圧縮ガスから除去する水分量は、圧縮ガスに含まれる水分量、すなわち圧縮ガスの水蒸気圧に依存する。本実施形態の乾燥装置230は、上述の第1実施形態の乾燥装置30と同様に、第2乾燥機250の上流側(-Df側)に第1乾燥機40を有している。よって、上述のように、本実施形態の第1乾燥機40は、電力を消費することなく、雰囲気Amの水蒸気圧まで除湿した圧縮ガスPA2を生成する。すなわち、本実施形態の第2乾燥機250は、あらかじめ第1乾燥機40によって雰囲気Amの水蒸気圧まで除湿された圧縮ガスPA2を除湿する。
【0073】
乾燥装置230が第1乾燥機40を有さず、第2乾燥機250のみによって構成される場合、第2乾燥機250は、圧縮ガスPA2よりも水蒸気圧が高い圧縮ガスPA1を除湿する。この場合、本実施形態の乾燥装置230と比較して、第2乾燥機250において除湿する水分量が多くなるため、吸着剤257に吸着する水分量が増加する。したがって、加熱部258によって吸着剤257を加熱して、吸着剤257の除湿性能を回復させる頻度が増大する。
【0074】
本実施形態によれば、第2乾燥機250は、圧縮ガスPA2に含まれる水分を吸着可能な吸着剤257を収容する乾燥室253と、吸着剤257を加熱する加熱部258と、を有する。第2乾燥機250は、上述のようにあらかじめ第1乾燥機40によって雰囲気Amの水蒸気圧程度まで除湿された圧縮ガスPA2を除湿するため、乾燥装置230が第1乾燥機40を有さない場合と比較して、第2乾燥機250によって除去する水分量を低減できる。よって、加熱部258によって吸着剤257を加熱して、吸着剤257の除湿性能を回復させる頻度を低減できるため、第2乾燥機250において消費される電力を低減できる。したがって、乾燥装置230および乾燥圧縮ガス生成装置210の省エネルギー化できる。
【0075】
また、本実施形態では、上述のように、加熱部258によって吸着剤257を加熱して、吸着剤257の除湿性能を回復させる頻度を低減できるため、例えば加熱によって吸着剤257が砕ける等によって、吸着剤257が劣化することを抑制できる。したがって、吸着剤257を交換する頻度を低減できるとともに、第2乾燥機250の運転費用(ランニングコスト)を低減できる。
【0076】
また、本実施形態では、第2乾燥機250は、2つの乾燥室254,255を有し、各乾燥室254,255のそれぞれには、吸着剤257a,257bが収容される。そのため、一方の乾燥室に収容される吸着剤を加熱部258によって加熱することによって、吸着剤の除湿性能を回復させつつ、他方の乾燥室に収容される吸着剤によって圧縮ガスPA2の除湿できる。したがって、吸着剤257の除湿性能を回復させる作業を行う際に、第2乾燥機250による圧縮ガスPA2の除湿を停止する必要が無いため、機器80に圧縮ガスPA3を連続的に供給できる。したがって、乾燥装置230および乾燥圧縮ガス生成装置210の利便性を向上できる。
【0077】
<第3実施形態>
図7は、第3実施形態の乾燥圧縮ガス生成装置310の第2乾燥機350を示す断面図である。以下の説明において、上述の第1実施形態と同一態様の構成要素については、同一符号を付し、その説明を省略する。なお、図示は省略するが、本実施形態の乾燥圧縮ガス生成装置310が備える圧縮機20、第1乾燥機40、配管部60、および機器80の構成等は、上述の第1実施形態の圧縮機20、第1乾燥機40、配管部60、および機器80の構成等と同一である。
【0078】
本実施形態の第2乾燥機350は、電力によって駆動する膜式乾燥機である。第2乾燥機350は、ケース351と、第1接続継手352と、第2接続継手353と、第2中空糸膜束356と、封止材358と、分岐配管365と、を備えている。また、第2乾燥機350には、送風部359が設けられる。
【0079】
図7に示す第2軸線J2は、ケース351の中心軸を示す仮想軸線である。本実施形態において、第2軸線J2は、圧縮ガスが流れる方向Dfと平行な方向に延びる。以下の説明において、第2軸線J2が延びる方向を「第2軸線方向」と呼ぶ場合がある。また、以下の説明において、「ケース351に対する第2中空糸膜355の充填率」は、ケース351を第2軸線方向と直交する方向に切断した断面における、ケース351の内部の断面積に対する、各第2中空糸膜355の外縁を基準とした断面積の合計の割合を意味する。「ケース351の有効長」は、ケース351において水分の分離に寄与する各第2中空糸膜355の長さであり、典型的にはケース351における封止材358間の長さである。
【0080】
ケース351は、第2軸線方向に沿って延び、第2軸線方向の両側に開口する筒状である。本実施形態において、ケース351は、円筒状である。ケース351の内部には、第2中空糸膜束356および封止材358が収容される。ケース351の下流側(+Df側)の部分には、吸気口351aが設けられる。ケース351の上流側(-Df側)の部分には、排気口351bが設けられる。
【0081】
ケース351の材質は特に限定されず、アルミニウムおよびステンレス等の金属であってもよいし、アクリル樹脂およびポリカーボネート樹脂等の樹脂であってもよい。また、ケース351は、円筒状には限定されず、四角筒状、六角筒状等の角筒状であってもよい。ケース351の第2軸線方向の長さは、特に限定されず、有効長を10mm~1000mmに設定できる。ケース351の外径は、4mm~225mmが好ましい。ケース351の内径は、2mm~220mmが好ましい。
【0082】
第1接続継手352は、ケース351の上流側(-Df側)の端部に取り付けられている。図示は省略するが、第1接続継手352とケース351との間にはガスケットが配置され、第1接続継手352はケース351に気密に取り付けられる。第1接続継手352には、第2供給部352aが設けられる。第2供給部352aには、第2供給部352aを第2軸線方向に貫通する孔が設けられ、孔には第2配管62の下流側(+Df側)の端部が接続される。これにより、第1接続継手352の内部に圧縮ガスPA2が流れ込む。
【0083】
第2接続継手353は、ケース351の下流側の端部に取り付けられている。図示は省略するが、第2接続継手353とケース351との間にはガスケットが配置され、第2接続継手353はケース351に気密に取り付けられる。第2接続継手353には、第2排出部353aが設けられる。第2排出部353aには、貫通孔353cおよび分岐孔353dが設けられる。貫通孔353cは、第2排出部353aを第2軸線方向に貫通する孔である。貫通孔353cには第3配管63の上流側(-Df側)の端部が接続される。これにより、第2中空糸膜束356によって除湿された圧縮ガスPA3は、第3配管63の内部に排出され、機器80に供給される。
【0084】
分岐孔353dは、第2排出部353aを第2軸線方向と略直交する方向に貫通する孔である。分岐孔353dの一端は、貫通孔353cの内周面と繋がり、分岐孔353dの他端は、第2排出部353aの外周面と繋がる。分岐孔353dの内部は、貫通孔353cの内部と繋がる。
【0085】
第1接続継手352の材質および第2接続継手353の材質は特に限定されず、アクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリスルホン、ポリオレフィン、ポリ塩化ビニルを例示できる。第1接続継手352および第2接続継手353の材質は、1種でもよく、2種以上でもよい。また、第1接続継手352および第2接続継手353は、アルミニウム等の金属製であってもよい。
【0086】
第2中空糸膜束356は、第2軸線方向に延在する複数本の第2中空糸膜355から成る。第2中空糸膜束356は、ケース351の上流側(-Df側)の端部から下流側(+Df側)端部まで延在するように、ケース351の内部に充填されている。ケース351の内部において、第2中空糸膜束356の両端の部分は、封止材358によってケース351の内周面に気密に固定されている。
【0087】
ケース351の上流側の端部と下流側の端部において、各第2中空糸膜355の端面は開口した状態になっている。すなわち、各第2中空糸膜355の内部と、第1接続継手352の内部の空間と、第2接続継手353の内部内の空間とは、互いに連通している。よって、第2供給部352aから供給された圧縮ガスPA2は、第1接続継手352の内部空間を介して、各第2中空糸膜355の内部を下流側に向けて流れつつ除湿され、除湿された圧縮ガスPA3は、第2接続継手353の内部空間と第2排出部353aとを介して、第3配管63に排出される。
【0088】
第2中空糸膜355の形状は、特に限定されず、典型的には円筒状である。第2中空糸膜355の外径は、0.2mm~6mmが好ましく、0.4mm~1.0mmがより好ましい。第2中空糸膜355の内径は、0.1mm~5.5mmが好ましい。第2中空糸膜355の膜厚は、0.05mm~1.5mmが好ましい。ケース351に対する第2中空糸膜355の充填率は、5%~70%である。第2中空糸膜355の充填率は、50%以下が好ましい。第2中空糸膜束356を構成する第2中空糸膜355の本数は、1本~100000本が好ましい。
【0089】
第2中空糸膜355の材質としては、特に限定されず、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、シリコン、酢酸セルロース、フッ素系イオン交換樹脂、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンを例示できる。なかでも、水蒸気の透過性に優れる点から、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、フッ素系イオン交換樹脂が好ましい。第2中空糸膜355の材質は、1種でもよく、2種以上でもよい。
【0090】
封止材358は、複数の第2中空糸膜355の第2軸線方向の両端の部分を保持する。封止材358は、ケース351の内周面に接着によって固定される。本実施形態において、封止材358は樹脂製である。封止材358を形成する樹脂は、特に限定されず、エポキシ、ポリウレタン、シリコン、アクリルを例示できる。なかでも、接着耐久性能および成形性の点から、封止材358を形成する樹脂は、エポキシおよびポリウレタンが好ましい。封止材358の材質は、1種でもよく、2種以上でもよい。本実施形態において、封止材358は、2個設けられる。封止材358は、第1封止材358aと、第2封止材358bと、を有する。
【0091】
第1封止材358aは、ケース351の内部に配置される。第2軸線方向において、第1封止材358aは、ケース351の上流側(-Df側)の端部と、排気口351bとの間に配置される。第1封止材358aは、ケース351の内周面に接着によって固定される。第1封止材358aは、第2中空糸膜束356の上流側の端部を保持する。図8に示すように、第1封止材358aは、複数本の第2中空糸膜355同士の間を封止し、第2中空糸膜束356とケース351との間を封止する。図7に示すように、第1封止材358aによって、第1接続継手352の内部の空間と、ケース351の内部の空間とは、気密に封止される。
【0092】
第2封止材358bは、ケース351の内部に配置される。第2軸線方向において、第2封止材358bは、ケース351の下流側(+Df側)の端部と、吸気口351aとの間に配置される。第2封止材358bは、ケース351の内周面に接着によって固定される。第2封止材358bは、第2中空糸膜束356の下流側の端部を保持する。図示は省略するが、第1封止材358aと同様に、第2封止材358bは、複数本の第2中空糸膜355同士の間を封止し、第2中空糸膜束356とケース351との間を封止する。第2封止材358bによって、第2接続継手353の内部の空間と、ケース351の内部の空間との間は、気密に封止される。
【0093】
第1封止材358aの第2軸線方向の寸法および第2封止材358bの第2軸線方向の寸法は、それぞれ、5mm以上が好ましい。第1封止材358aの第2軸線方向の寸法および第2封止材358bの第2軸線方向の寸法が係る範囲内であれば、第1封止材358aおよび第2封止材358bと、ケース351との接着性を高められる。
【0094】
分岐配管365は、第2排出部353aの分岐孔353dと、ケース351の吸気口351aとを繋ぐ風路である。分岐配管365の一端は、分岐孔353dに接続される。分岐配管365の他端は、吸気口351aに接続される。これにより、分岐配管365を介して、第2排出部353aの貫通孔353cの内部と、ケース351の内部とが繋がる。
【0095】
第2排出部353aには、第3切替部371が配置される。第3切替部371は、三方弁である。第3切替部371は、第3配管63を流れる圧縮ガスPA3の風量に対する分岐配管365を流れる圧縮ガスPA3の風量の比率である風量比を切り替え可能である。本実施形態において、第3切替部371は、ミキシングバルブである。
【0096】
分岐配管365を流れる圧縮ガスPA3は、吸気口351aを介して、ケース351の内部に流れ込む。本実施形態において、ケース351の内部に流れ込む圧縮ガスPA3は、各第2中空糸膜355の内部を流れる圧縮ガスPA2に含まれる水分を吸収するパージガスGpとしての役割を果たす。以下の説明では、分岐配管365およびケース351の内部を流れる圧縮ガスPA3をパージガスGpと呼ぶ。パージガスGpは、第2中空糸膜束356から排出される圧縮ガスPA3の一部である。つまり、パージガスGpは、第1乾燥機40および第2乾燥機350によって除湿された圧縮ガスPA3の一部である。したがって、パージガスGpの水蒸気圧は、複数本の第2中空糸膜355の内部を流れる圧縮ガスPA2の水蒸気圧よりも小さい。
【0097】
送風部359は、パージガスGpを、上流側(-Df側)に向けて排出する配管である。送風部359の一端は、ケース351の排気口351bと繋がり、送風部359の他端は、上流側に向けて開口する。送風部359から排出されるパージガスGpは、雰囲気Amと共に第2乾燥機350から上流側に向けて流れる攪拌風AFとなる。攪拌風AFは、上述の第1実施形態の攪拌風AFと同様に、第1乾燥機40に向けて流れる。したがって、各第1中空糸膜45の周りの空気が滞留することを抑制できるため、第1乾燥機40の除湿性能が低下することを抑制できる。これにより、第1乾燥機40によって、圧縮ガスPA1の水蒸気圧を安定して雰囲気Amの水蒸気圧まで低減できる。
【0098】
第1接続継手352の第2供給部352aから圧縮ガスPA2が供給されると、各第2中空糸膜355の内部を圧縮ガスPA2が下流側(+Df側)に向けて流れる。一方、ケース351の排気口351bからケース351の内部に流れ込んだパージガスGpは、各第2中空糸膜355同士の間を下流側から上流側(-Df側)に向かって流れる。上述のように、パージガスGpの水蒸気圧は、複数本の第2中空糸膜355の内部を流れる圧縮ガスPA2の水蒸気圧よりも小さい。そのため、各第2中空糸膜355の内部を流れる圧縮ガスPA2に含まれる水分は、各第2中空糸膜355の膜外に透過し、パージガスGpに吸収される。圧縮ガスPA2の水分を吸収したパージガスGpは、排気口351bおよび送風部359を介して、第2乾燥機350の外部に排出される。これにより、各第2中空糸膜355の内部を流れる圧縮ガスPA2の水分が除去され、圧縮ガスPA2は除湿される。よって、第2乾燥機350は、圧縮ガスPA2よりも水蒸気圧が低い圧縮ガスPA3を生成する。圧縮ガスPA3は、各第2中空糸膜355から第2接続継手353の内部の空間に排出され、圧縮ガスPA3の一部は、第3配管63を介して機器80に供給され、圧縮ガスPA3の他の一部は、パージガスGpとしてケース351の内部に供給される。
【0099】
第2乾燥機350において、圧縮ガスから除去する水分量は、圧縮ガスに含まれる水分量、すなわち圧縮ガスの水蒸気圧に依存する。本実施形態の乾燥装置330は、上述の第1実施形態の乾燥装置30と同様に、第2乾燥機350の上流側(-Df側)に第1乾燥機40を有している。よって、上述のように、本実施形態の第1乾燥機40は、電力を消費することなく、雰囲気Amの水蒸気圧まで除湿した圧縮ガスPA2を生成する。すなわち、本実施形態の第2乾燥機350は、あらかじめ第1乾燥機40によって雰囲気Amの水蒸気圧まで除湿された圧縮ガスPA2を除湿する。
【0100】
乾燥装置330が第1乾燥機40を有さず、第2乾燥機350のみによって構成される場合、第2乾燥機350は、圧縮ガスPA2よりも水蒸気圧が高い圧縮ガスPA1を除湿する。この場合、本実施形態の乾燥装置330と比較して、第2乾燥機350において除去する水分量が多くなるため、パージガスGpが吸収する水分量は増加し、パージガスGpの水蒸気圧は高くなり易い。パージガスGpの水蒸気圧が高くなるほど、パージガスGpは水分を吸収しづらくなる。したがって、第2乾燥機350において除湿した後の圧縮ガスの水蒸気圧を、本実施形態の乾燥装置330によって除湿した圧縮ガスPA3の水蒸気圧と同じ水蒸気圧にするためには、第3切替部371によって風量比を高めて、機器80に供給する圧縮ガスPA3の風量に対するパージガスGpの風量を増加させる必要がある。
【0101】
本実施形態によれば、第2乾燥機350は、内部を圧縮ガスPA2が流れる複数本の第2中空糸膜355から成る第2中空糸膜束356と、第2中空糸膜束356を収容するケース351と、を有し、ケース351の内部には、パージガスGpが流れ、パージガスGpの水蒸気圧は、複数本の第2中空糸膜355の内部を流れる圧縮ガスPA2の水蒸気圧よりも小さい。第2乾燥機350は、上述のように、あらかじめ第1乾燥機40によって雰囲気Amの水蒸気圧まで除湿された圧縮ガスPA2を除湿するため、乾燥装置330が第1乾燥機40を有さない場合と比較して、第2乾燥機350によって除去する水分量を低減できる。よって、乾燥装置330が第1乾燥機40を有さない場合と比較して、第2乾燥機350において使用するパージガスGpの風量を低減できるため、パージガスGpを生成するために消費される電力を低減できる。したがって、乾燥圧縮ガス生成装置310の省エネルギー化できる。
【0102】
本実施形態によれば、パージガスGpは、第2中空糸膜束356から排出される圧縮ガスPA3の一部である。よって、乾燥装置330が第1乾燥機40を有さない場合と比較して、上述のように、第2乾燥機350において使用するパージガスGpの風量を低減できるとともに、相対的に機器80に供給される圧縮ガスPA3の量を増大させることができる。したがって、圧縮機20が生成した圧縮ガスPA1の量に対する機器80に供給される圧縮ガスPA3の量の比率である、圧縮ガスの歩留まりを高められるため、圧縮機20において圧縮ガスPA1を生成するために消費される電力を低減できる。よって、乾燥圧縮ガス生成装置310の省エネルギー化できる。
【0103】
以上に、本発明の実施形態を説明したが、実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。
【0104】
乾燥装置の構成は上記の実施形態の構成に限定されず、第2乾燥機の下流側にさらに第3乾燥機を有していてもよい。この場合、第3乾燥機は、冷却式乾燥機、吸着式乾燥機、および膜式乾燥機の何れの乾燥機であってもよい。
【0105】
また、送風部は第2乾燥機に設けられなくてもよく、送風部は第1乾燥機と第2乾燥機との間に配置され、第1乾燥機に向けて送風する送風ファンであってもよい。
【符号の説明】
【0106】
10,210,310…乾燥圧縮ガス生成装置、20…圧縮機、30,230,330…乾燥装置、40…第1乾燥機、45…第1中空糸膜、45a…被覆部、46…第1中空糸膜束、50,250,350…第2乾燥機、59,259,359…送風部、253…乾燥室、257,257…吸着剤、258…加熱部、351…ケース、355…第2中空糸膜、356…第2中空糸膜束、Am…雰囲気、Gp…パージガス、PA1,PA2,PA3…圧縮ガス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8