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特開2024-124648情報処理装置、コンピュータプログラム及び情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124648
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】情報処理装置、コンピュータプログラム及び情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 11/07 20060101AFI20240906BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20240906BHJP
   G06F 18/2433 20230101ALI20240906BHJP
   G05B 19/418 20060101ALN20240906BHJP
【FI】
G06F11/07 160
G06N20/00
G06F18/2433
G06F11/07 140Q
G05B19/418 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032472
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000232302
【氏名又は名称】ニデック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100142022
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 一晃
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】宇良 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】椛島 基嵩
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 哲夫
【テーマコード(参考)】
3C100
5B042
【Fターム(参考)】
3C100AA56
3C100AA70
3C100BB12
3C100BB13
3C100BB27
5B042MA08
5B042MA11
5B042MA14
5B042MC08
(57)【要約】      (修正有)
【課題】生産工程データを正常データ群と異常データ群とに精度よく分類できる情報処理装置、方法及びプログラムを提供する。
【解決手段】情報処理装置100において、制御部110は、第1データ群と第2データ群とに分類するために学習された第1学習モデルを用いて生産工程データを、正常データ及び第1異常データを含む第1データ群と、第2異常データを含む第2データ群とに分類する第1学習モデル部121と、ユーザによって正常データ群と第1異常データ群とに分類されたものが学習された第2学習モデルを用いて第1データ群に属する生産工程データを、正常データを含む正常データ群と、第1異常データを含む第1異常データ群とに分類する第2学習モデル部122と、を備える。生産工程データは、製品の品質に関する情報を含み、第1異常データが示す製品の異常度合は、第2異常データが示す製品の異常度合より正常データが示す製品の異常度合に近い。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1学習モデルを用いて生産工程データを、正常データ及び第1異常データを含む第1データ群と、第2異常データを含む第2データ群とに分類する第1学習モデル部と、
第2学習モデルを用いて前記第1データ群に属する生産工程データを、前記正常データを含む正常データ群と、前記第1異常データを含む第1異常データ群とに分類する第2学習モデル部と
を備え、
前記生産工程データは、製品の品質に関する情報を含み、
前記第1異常データが示す前記製品の異常度合は、前記第2異常データが示す前記製品の異常度合より前記正常データが示す前記製品の異常度合に近く、
前記第1学習モデルは、前記第1データ群と前記第2データ群とに分類するために学習された学習モデルであり、
前記第2学習モデルは、ユーザによって前記正常データ群と前記第1異常データ群とに分類されたものが学習された学習モデルである、情報処理装置。
【請求項2】
第3学習モデルを用いて前記第2データ群に属する生産工程データを、特定の異常データを含む特定データ群と、特定以外の異常データを含む特定以外データ群とに分類する第3学習モデル部と、
第4学習モデルを用いて前記正常データ群に属する生産工程データを、異常度合別に分類する第4学習モデル部と
を更に備え、
前記特定の異常データが示す前記異常度合の種類と、前記特定以外の異常データが示す前記異常度合の種類とは、異なり、
前記第3学習モデルは、前記特定データ群と前記特定以外データ群とに分類するために学習された学習モデルであり、
前記第4学習モデルは、前記異常度合別に分類するために学習された学習モデルである、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記生産工程データを収集するデータ収集部と、
前記生産工程データの各々を整形するデータ整形部と
を更に備え、
前記生産工程データは、所定の製造工程で作製された前記製品の品質に関する情報を含む、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第4学習モデルによって分類された各異常度合に属する生産工程データの個数を示すグラフ又は表を作成する作成部を更に備える、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第4学習モデルによって分類された各異常度合に属する生産工程データの個数の比率に基づいて、前記所定の製造工程に異常があることを検知する検知部を更に備える、請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項6】
過去比率データを記憶する記憶部を更に備え、
前記検知部は、所定数比率データと前記過去比率データとに基づいて、前記製造工程に異常があることを検知し、
前記所定数比率データは、前記製造工程で作製された所定数の製品に基づいて作成された前記比率を示し、
前記過去比率データは、前記所定数の製品より過去に前記製造工程で作製された複数の製品に基づいて作成された前記比率を示す、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記検知部は、前記第3学習モデルによって分類された前記特定の異常データに基づいて、前記所定の製造工程の特定箇所に異常があることを検知し、
前記所定の製造工程は、前記製品の材料を準備する工程、製造装置の治具を用いる工程、製造装置の設備を用いる工程、又は、前記製品の製造に対する人の作業を含む、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
第1学習モデルを用いて生産工程データを、正常データ及び第1異常データを含む第1データ群と、第2異常データを含む第2データ群とに分類する第1学習モデルステップと、
第2学習モデルを用いて前記第1データ群に属する生産工程データを、前記正常データを含む正常データ群と、前記第1異常データを含む第1異常データ群とに分類する第2学習モデルステップと
をコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムであって、
前記生産工程データは、製品の品質に関する情報を含み、
前記第1異常データが示す前記製品の異常度合は、前記第2異常データが示す前記製品の異常度合より前記正常データが示す前記製品の異常度合に近く、
前記第1学習モデルは、前記第1データ群と前記第2データ群とに分類するために学習された学習モデルであり、
前記第2学習モデルは、ユーザによって前記正常データ群と前記第1異常データ群とに分類されたものが学習された学習モデルである、コンピュータプログラム。
【請求項9】
第1学習モデルを用いて生産工程データを、正常データ及び第1異常データを含む第1データ群と、第2異常データを含む第2データ群とに分類する第1学習モデルステップと、
第2学習モデルを用いて前記第1データ群に属する生産工程データを、前記正常データを含む正常データ群と、前記第1異常データを含む第1異常データ群とに分類する第2学習モデルステップと
を含み、
前記生産工程データは、製品の品質に関する情報を含み、
前記第1異常データが示す前記製品の異常度合は、前記第2異常データが示す前記製品の異常度合より前記正常データが示す前記製品の異常度合に近く、
前記第1学習モデルは、前記第1データ群と前記第2データ群とに分類するために学習された学習モデルであり、
前記第2学習モデルは、ユーザによって前記正常データ群と前記第1異常データ群とに分類されたものが学習された学習モデルである、情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、コンピュータプログラム及び情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
情報処理装置は、検出部と、判断部と、出力制御部とを備える(例えば、特許文献1)。検出部は、第1のモデルを用いて、撮影画像から異常候補領域を検出する。判断部は、第2のモデルを用いて、異常候補領域が正解データに属するのか非正解データに属するのかを判断する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-120300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の情報処理装置では、正解データのような正常データであるのか、非正解データのような異常データであるのかを精度よく判断することができなかった。
【0005】
本開示は、上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、生産工程データを正常データ群と異常データ群とに精度よく分類できる情報処理装置、コンピュータプログラム及び情報処理方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の例示的な情報処理装置は、第1学習モデル部と、第2学習モデル部とを備える。前記第1学習モデル部は、第1学習モデルを用いて生産工程データを、正常データ及び第1異常データを含む第1データ群と、第2異常データを含む第2データ群とに分類する。前記第2学習モデル部は、第2学習モデルを用いて前記第1データ群に属する生産工程データを、前記正常データを含む正常データ群と、前記第1異常データを含む第1異常データ群とに分類する第2学習モデル部とを備える。前記生産工程データは、製品の品質に関する情報を含む。前記第1異常データが示す前記製品の異常度合は、前記第2異常データが示す前記製品の異常度合より前記正常データが示す前記製品の異常度合に近い。前記第1学習モデルは、前記第1データ群と前記第2データ群とに分類するために学習された学習モデルである。前記第2学習モデルは、ユーザによって前記正常データ群と前記第1異常データ群とに分類されたものが学習された学習モデルである。
【0007】
本開示の例示的なコンピュータプログラムは、第1学習モデルを用いて生産工程データを、正常データ及び第1異常データを含む第1データ群と、第2異常データを含む第2データ群とに分類する第1学習モデルステップと、第2学習モデルを用いて前記第1データ群に属する生産工程データを、前記正常データを含む正常データ群と、前記第1異常データを含む第1異常データ群とに分類する第2学習モデルステップとをコンピュータに実行させるためのコンピュータプログラムである。前記生産工程データは、製品の品質に関する情報を含む。前記第1異常データが示す前記製品の異常度合は、前記第2異常データが示す前記製品の異常度合より前記正常データが示す前記製品の異常度合に近い。前記第1学習モデルは、前記第1データ群と前記第2データ群とに分類するために学習された学習モデルである。前記第2学習モデルは、ユーザによって前記正常データ群と前記第1異常データ群とに分類されたものが学習された学習モデルである。
【0008】
本開示の例示的な情報処理方法は、第1学習モデルを用いて生産工程データを、正常データ及び第1異常データを含む第1データ群と、第2異常データを含む第2データ群とに分類する第1学習モデルステップと、第2学習モデルを用いて前記第1データ群に属する生産工程データを、前記正常データを含む正常データ群と、前記第1異常データを含む第1異常データ群とに分類する第2学習モデルステップとを含む。前記生産工程データは、製品の品質に関する情報を含む。前記第1異常データが示す前記製品の異常度合は、前記第2異常データが示す前記製品の異常度合より前記正常データが示す前記製品の異常度合に近い。前記第1学習モデルは、前記第1データ群と前記第2データ群とに分類するために学習された学習モデルである。前記第2学習モデルは、ユーザによって前記正常データ群と前記第1異常データ群とに分類されたものが学習された学習モデルである。
【発明の効果】
【0009】
例示的な本開示によれば、生産工程データを正常データ群と異常データ群とに精度よく分類できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本実施形態に係る異常検知システムを示す図である。
図2図2は、本実施形態に係る情報処理装置の構成を示すブロック図である。
図3図3は、モータの振動量と周波数との関係を示すグラフである。
図4図4は、第1異常データを示すグラフである。
図5図5は、第2異常データを示すグラフである。
図6図6は、第1学習モデルと第2学習モデルと第3学習モデルと第4学習モデルとの関係を示す図である。
図7図7は、各異常度合に属する生産工程データの個数を示す表を示す図である。
図8図8は、情報処理装置の情報処理方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0012】
まず、図1を参照して、本実施形態に係る異常検知システムの構成について説明する。図1は、本実施形態に係る異常検知システムを示す図である。図1に示すように、製造装置2は、複数の製品Sを作製する。換言すれば、製造装置2は、所定の製造工程で複数の製品Sを作製する。
【0013】
複数の製品Sは、例えば、モータである。製造装置2は、例えば、モータ製造装置である。
【0014】
具体的には、製造装置2は、操作者Pによって操作されて、設備Eを用いて材料Mから複数の製品Sを作製する。より具体的には、複数の操作者Pによって操作されて、複数の設備Eを用いて複数の材料Mから複数の製品Sを作製する。
【0015】
複数の操作者Pは、第1操作者P1と、第2操作者P2とを含む。また、複数の材料Mは、第1材料M1と、第2材料M2とを含む。
【0016】
製造装置2は、複数の設備Eを備える。複数の設備Eは、第1設備E1と、第2設備E2と、第3設備E3とを備える。第1設備E1は、モータの第1部品を作製する。第2設備E2は、モータの第2部品を作製する。第3設備E3は、モータの第3部品を作製する。
【0017】
所定の製造工程は、製品Sの材料Mを準備する工程、製造装置2の治具を用いる工程、製造装置2の設備Eを用いる工程、又は、製品Sの製造に対する操作者Pの作業を含む。なお、所定の製造工程は、製造時の状態(気温や湿度、振動等の外環境の状態)を含んでもよい。
【0018】
異常検知システム1000は、複数の製品Sの各々が正常であるか異常であるか判定する。また、異常検知システム1000は、複数の設備Eの各々が正常であるか異常であるか判定する。そして、異常検知システム1000は、複数の操作者Pの各々の作業が正常であるか異常であるか判定する。更に、異常検知システム1000は、複数の材料Mの各々が正常であるか異常であるか判定する。
【0019】
異常検知システム1000は、情報処理装置100と、駆動装置10と、加速度センサ11と、インタフェース(I/F)回路12とを備える。
【0020】
情報処理装置100は、例えば、デスクトップ型パーソナルコンピュータである。具体的には、情報処理装置100は、駆動装置10と、加速度センサ11と、I/F回路12とを制御する。
【0021】
駆動装置10は、モータに制御信号を出力する。例えば、駆動装置10は、モータに第1周波数を有する電気信号を出力する。その結果、モータは第1回転速度で回転する。また、駆動装置10は、モータに第2周波数を有する電気信号を出力する。その結果、モータは第2回転速度で回転する。
【0022】
加速度センサ11は、所定の製造工程で作製された製品Sの品質に関する情報を検知する。製品Sの品質に関する情報は、「生産工程データ」の一例である。例えば、加速度センサ11は、製品Sの品質に関する情報として、第1回転速度で回転するモータの振動量を検知する。そして、加速度センサ11は、製品Sの品質に関する情報をI/F回路12を介して情報処理装置100に出力する。例えば、加速度センサ11は、モータの振動量を示す信号をI/F回路12を介して情報処理装置100に出力する。また、加速度センサ11は、製品Sの品質に関する情報として、第2回転速度で回転するモータの振動量を検知する。加速度センサ11は、モータの振動量を示す信号をI/F回路12を介して情報処理装置100に出力する。
【0023】
続けて図2を参照して、本実施形態に係る情報処理装置100の構成について説明する。図2は、本実施形態に係る情報処理装置100の構成を示すブロック図である。図2に示すように、情報処理装置100は、制御部110と、記憶部150とを有する。
【0024】
記憶部150は、半導体メモリー及びハードディスクドライブ(HDD)等の記憶装置を含む。記憶部150は、データ及びコンピュータプログラム等を記憶する。
【0025】
制御部110は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーを含む。
【0026】
制御部110は、データ収集部111と、データ整形部112と、学習部120とを備える。
【0027】
データ収集部111は、生産工程データを収集する。具体的には、データ収集部111は、モータの振動量を示す信号を加速度センサ11からI/F回路12を介して取得する。また、データ収集部111は、駆動装置10からモータに出力された電気信号の周波数を示す信号を取得する。
【0028】
データ整形部112は、生産工程データを整形する。例えば、データ整形部112は、生産工程データとして、モータの振動量と周波数との関係を示すグラフを作成する。図3は、モータの振動量と周波数との関係を示すグラフである。図3において、縦軸はモータの振動量を示し、横軸は周波数を示す。図3(a)~(c)に示すように、所定の周波数で、振動量が大きくなり、所定の周波数から離間すると、振動量が小さくなっている。
【0029】
学習部120は、第1学習モデル部121と、第2学習モデル部122とを備える。
【0030】
第1学習モデル部121は、第1学習モデルを用いて生産工程データを、第1データ群と、第2データ群とに分類する。第1データ群は、正常データ及び第1異常データを含む。第2データ群は、第2異常データを含む。第1異常データが示す製品Sの異常度合は、第2異常データが示す製品Sの異常度合より正常データが示す製品Sの異常度合に近い。
【0031】
ここで図4を参照して、第1異常データについて説明する。図4は、第1異常データを示すグラフである。図4において、縦軸はモータの振動量を示し、横軸は周波数を示す。図4に示すように、2カ所の周波数で、振動量が大きくなっている。
【0032】
続けて図5を参照して、第2異常データについて説明する。図5は、第2異常データを示すグラフである。図5において、縦軸はモータの振動量を示し、横軸は周波数を示す。図5(a)に示すように、全ての周波数で、振動量が小さくなっている。図5(b)に示すように、多数の周波数で、振動量が大きくなっている。図5(c)に示すように、2カ所の周波数で、振動量が大きくなっている。
【0033】
第1学習モデルは、第1データ群と第2データ群とに分類するために学習された学習モデルである。第1学習モデルでは、異常データを含まないデータ群を作成せずに、第1異常データも含む第1データ群を作成する。
【0034】
詳細には、第1学習モデル部121は、生産工程データのうち、正常データ及び第1異常データの集合を用いて、正常データ及び第1異常データを判別するための第1学習モデルを学習する。具体的には、第1学習モデル部121は、教師なし学習により第1学習モデルを学習する。なお、教師なし学習により第1学習モデルを学習する方法は任意であってもよい。また、第1学習モデル部121は、半教師あり学習により第1学習モデルを学習する形態であってもよい。半教師あり学習は、入力データがある特定の1クラスに属するとしてモデル学習を行う方法である。例えば第1学習モデル部121は、One Class SVMにより第1学習モデルを学習することもできる。
【0035】
なお、第1学習モデルは、One Class SVM、LOF(Local Outlier Factor)、COF(Connectivity-based Outlier Factor)、PCA-MSPC(Multivariational Statistical Production Control)、GMM(Gaussian Mixture Model)、Isolation Forest、Autoencoder、VAE(Variational AutoEncoder)、VQVAE(Vector Quantised-Variational AutoEncoder)、Transformer、GCN(Graph Convolutional Neural Network)、CNN(Convolutional Neural Network)、LSTM(Long Short Term Memory)、又は、Memory Neural Networkと、敵対学習や共同学習、統計学的分布を仮定した異常検知等とを組み合わせた方法であってもよい。
【0036】
第2学習モデル部122は、第2学習モデルを用いて第1データ群に属する生産工程データを、正常データ群と、第1異常データ群とに分類する。正常データ群は、正常データを含む。第1異常データ群は、第1異常データを含む。
【0037】
第2学習モデルは、ユーザによって正常データ群と第1異常データ群とに分類されたものが学習された学習モデルである。第2学習モデルで、正常データを含む正常データ群を作成する。
【0038】
詳細には、第2学習モデル部122は、予め用意された複数の生産工程データの各々から、ユーザにより選択された生産工程データを正常データ、ユーザにより選択されなかった生産工程データを第1異常データとして、正常データと第1異常データとを識別するための第2学習モデルを学習する。
【0039】
ここでは、第2学習モデル部122は、教師あり学習により第2学習モデルを学習する。例えば第2学習モデル部122は、線形判別、ロジスティック回帰、SVM、ニューラルネットワーク、K最近傍法、決定木、ディープラーニング(深層学習)の何れか(何れも公知の様々な技術を利用可能)により第2学習モデルを学習することができる。
【0040】
なお、第2学習モデルは、Random Forest、Gradient Boosting、Gradient Boosting Decision Tree、ResNet、Efficient Net、Transformer、GCN(Graph Convolutional Neural Network)、CNN(Convolutional Neural Network)、LSTM(Long Short Term Memory)であってもよい。
【0041】
以上、図1から図5を参照して説明したように、本実施形態では、第1学習モデルを用いて生産工程データを、正常データ及び第1異常データを含む第1データ群と、第2異常データを含む第2データ群とに分類する。続けて、第2学習モデルを用いて第1データ群に属する生産工程データを、正常データを含む正常データ群と、第1異常データを含む第1異常データ群とに分類する。換言すれば、第1学習モデルでは、異常データを含まないデータ群を作成せずに、第1異常データも含む第1データ群を作成する。続けて、第2学習モデルで、正常データを含む正常データ群を作成する。その結果、第1学習モデルと第2学習モデルとを用いるため、正常データ群を精度よく作成できる。
【0042】
また、データ収集部111は、所定の製造工程で作製された製品Sの品質に関する情報を含む生産工程データを収集する。その結果、所定の製造工程で作製された製品Sの生産工程データを、精度よく分類できる。
【0043】
続けて図2図6を参照して、第3学習モデル部123と、第4学習モデル部124とについて説明する。図6は、第1学習モデルと第2学習モデルと第3学習モデルと第4学習モデルとの関係を示す図である。図2図6に示すように、学習部120は、第3学習モデル部123と、第4学習モデル部124とを更に備える。
【0044】
データ収集部111は、生産工程データを収集する。生産工程データは、所定の製造工程を示す情報を含む。なお、生産工程データは、製造時の状態(気温や湿度、振動等の外環境の状態)を含んでもよい。例えば、生産工程データは、第1材料M1を準備した工程と、製造装置2の治具を用いる工程と、製造装置2の第1設備E1を用いる工程と、製品Sの製造に対する第1操作者P1の作業とを示す情報を含む。
【0045】
第4学習モデル部124は、第4学習モデルを用いて正常データ群に属する生産工程データを、異常度合別に分類する。
【0046】
第4学習モデルは、異常度合別に分類するために学習された学習モデルである。詳細には、第4学習モデルは、ユーザによって異常度合別に分類されたものが学習された学習モデルである。
【0047】
より詳細には、第4学習モデル部124は、予め用意された複数の生産工程データから、異常度1のデータと、異常度2のデータと、異常度3のデータとを識別するための第4学習モデルを学習する。
【0048】
ここでは、第4学習モデル部124は、教師あり学習により第4学習モデルを学習する。例えば第4学習モデル部124は、線形判別、ロジスティック回帰、SVM、ニューラルネットワーク、K最近傍法、決定木、ディープラーニング(深層学習)の何れか(何れも公知の様々な技術を利用可能)により第4学習モデルを学習することができる。
【0049】
再び図3を参照して、正常データについて説明する。第4学習モデル部124は、図3(a)に示す生産工程データを異常度1のデータに分類する。図3(a)に示す生産工程データは、周波数の範囲の中央の周波数で、振動量が大きくなり、中央の周波数から離間すると、振動量が小さくなっている。また、第4学習モデル部124は、図3(b)に示す生産工程データを異常度2のデータに分類する。図3(b)に示す生産工程データは、周波数の範囲の中央値の周波数で、振動量が、やや大きくなり、中央値の周波数から離間すると、振動量が小さくなっている。更に、第4学習モデル部124は、図3(c)に示す生産工程データを異常度3のデータに分類する。図3(c)に示す生産工程データは、周波数の範囲の端の周波数で、振動量が大きくなり、橋の周波数から離間すると、振動量が小さくなっている。
【0050】
以上、図2図6を参照して説明したように、精度よく作成できた正常データ群を異常度合別に分類するため、異常度合別に精度よく分類できる。
【0051】
第3学習モデル部123は、第3学習モデルを用いて第2データ群に属する生産工程データを、特定データ群と、特定以外データ群とに分類する。特定データ群は、特定の異常データを含む。特定以外データ群は、特定以外の異常データを含む。特定の異常データが示す異常度合の種類と、特定以外の異常データが示す異常度合の種類とは、異なる。
【0052】
第3学習モデルは、特定データ群と特定以外データ群とに分類するために学習された学習モデルである。詳細には、第3学習モデルは、ユーザによって特定データ群と特定以外データ群とに分類されたものが学習された学習モデルである。
【0053】
より詳細には、第3学習モデル部123は、予め用意された複数の生産工程データの各々から、ユーザにより選択された生産工程データを特定データ、ユーザにより選択されなかった生産工程データを特定以外データとして、特定データと特定以外データとを識別するための第3学習モデルを学習する。
【0054】
ここでは、第3学習モデル部123は、教師あり学習により第3学習モデルを学習する。例えば第3学習モデル部123は、線形判別、ロジスティック回帰、SVM、ニューラルネットワーク、K最近傍法、決定木、ディープラーニング(深層学習)の何れか(何れも公知の様々な技術を利用可能)により第3学習モデルを学習することができる。
【0055】
再び図5を参照して、第2異常データについて説明する。第3学習モデル部123は、図5(a)に示す生産工程データを特定データに分類する。図5(a)に示す生産工程データは、全ての周波数で、振動量が小さくなっている。図5(a)に示す生産工程データは、設備Eの内の治具が異常である場合の生産工程データを示す。また、第3学習モデル部123は、図5(c)に示す生産工程データを特定データに分類する。図5(c)に示す生産工程データは、2カ所の周波数で、振動量が大きくなっている。図5(c)に示す生産工程データは、設備Eの内の装置が異常である場合の生産工程データを示す。更に、第3学習モデル部123は、図5(b)に示す生産工程データを特定以外データに分類する。図5(b)に示す生産工程データは、多数の周波数で、振動量が大きくなっている。図5(b)に示す生産工程データは、製品Sが異常である場合の生産工程データを示す。
【0056】
以上、図2図6を参照して説明したように、正常データを含まない第2データ群に属する複数の生産工程データを分類するため、特定データ群と特定以外データ群とに精度よく分類できる。
【0057】
続けて図2を参照して、制御部110について詳細に説明する。図2に示すように、制御部110は、異常検知部113と、分析結果グラフ作成部114と、異常通知部115とを備える。
【0058】
分析結果グラフ作成部114は、第4学習モデルによって分類された各異常度合に属する生産工程データの個数を示す表を作成する。ここで図7を参照して、表について説明する。図7は、各異常度合に属する生産工程データの個数を示す表を示す図である。図7に示すように、異常度1のデータの数は、55%を占め、異常度2のデータの数は、22%を占め、異常度3のデータの数は、13%を占める。例えば、異常度3のデータの数が10%以上であると、所定の製造工程に異常があることを認識できる。
【0059】
以上、図7を参照して説明したように、分析結果グラフ作成部114は、表を作成するため、所定の製造工程に異常があることを認識できる。その結果、所定の製造工程を適切に見直すことができる。
【0060】
異常検知部113は、第4学習モデルによって分類された各異常度合に属する生産工程データの個数の比率に基づいて、所定の製造工程に異常があることを検知する。例えば、母比率の信頼区間を正常範囲とし、異常度3のデータの数が10%以上であると、所定の製造工程に異常があることを検知してもよい。
【0061】
以上、図2を参照して説明したように、異常検知部113は、所定の製造工程に異常があることを検知するため、所定の製造工程に異常があることを認識できる。その結果、所定の製造工程を適切に見直すことができる。
【0062】
異常検知部113は、第3学習モデルによって分類された特定の異常データに基づいて、所定の製造工程の特定箇所に異常があることを検知する。例えば、図5(a)に示す生産工程データの数が、所定数以上である場合には、設備Eの内の治具が異常であることを検知する。
【0063】
以上、図2を参照して説明したように、製造工程の特定箇所に異常があることを認識できる。その結果、製造工程の特定箇所を適切に見直すことができる。
【0064】
詳細には、記憶部150は、過去比率データを記憶する。過去比率データは、所定数の製品Sより過去に製造工程で作製された複数の製品Sに基づいて作成された比率を示す。具体的には、過去比率データは、製造装置2の導入時等に作製された複数の製品Sに基づいて作成された比率を示す。例えば、過去比率データでは、異常度1のデータの数は、75%を占め、異常度2のデータの数は、12%を占め、異常度3のデータの数は、3%を占める。なお、正常データ以外のデータの数が、10%を占める。
【0065】
異常検知部113は、所定数比率データと過去比率データとに基づいて、製造工程に異常があることを検知する。所定数比率データは、製造工程で作製された所定数の製品Sに基づいて作成された比率を示す。具体的には、所定比率データは、所定期間毎に作製された複数の製品Sに基づいて作成された比率を示す。例えば、過去比率データから算出された母比率の信頼区間を正常範囲とし、所定数比率データが正常範囲を外れた場合には、所定数の製品Sを作製した所定期間には、製造工程に異常があることを検知する。
【0066】
以上、図2を参照して説明したように、所定期間に製造工程に異常があることを認識できる。その結果、製造工程を適切に見直すことができる。
【0067】
続けて図8を参照して、情報処理装置100の情報処理方法について説明する。図8は、情報処理装置100の情報処理方法を示すフローチャートである。図8に示すように、情報処理装置100の情報処理方法は、処理S101~処理S106を含む。情報処理方法は、情報処理装置100によって実行される。
【0068】
まず、処理S101において、第1学習モデル部121は、第1学習モデルを用いて生産工程データを、第1データ群と、第2データ群とに分類する(第1学習モデルステップ)。
【0069】
次に、処理S102において、第2学習モデル部122は、第2学習モデルを用いて第1データ群に属する生産工程データを、正常データ群と、第1異常データ群とに分類する(第2学習モデルステップ)。
【0070】
次に、処理S103において、第3学習モデル部123は、第3学習モデルを用いて第2データ群に属する生産工程データを、特定データ群と、特定以外データ群とに分類する。
【0071】
次に、処理S104において、第4学習モデル部124は、第4学習モデルを用いて正常データ群に属する生産工程データを、異常度合別に分類する。
【0072】
次に、処理S105において、異常検知部113は、所定数比率データと過去比率データとに基づいて、製造工程に異常があるか否かを判定する。製造工程に異常がないと判定した場合(ステップS105でNO)、処理がステップS101に戻る。一方、製造工程に異常があると判定した場合(ステップS105でYES)、処理がステップS106に進む。
【0073】
次に、処理S106において、異常検知部113は、製造工程に異常があることを通知する。そして、情報処理装置100の情報処理方法が終了する。
【0074】
以上、図面を参照しながら本開示の実施形態を説明した。但し、上記実施形態は、本開示の例示にすぎず、本開示は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本開示の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。実施形態の構成は、本開示の技術的思想を超えない範囲で適宜変更されてもよい。また、実施形態は、可能な範囲で組み合わせて実施されてもよい。
【0075】
(1)図1図8を参照して説明したように、本発明の実施形態では、分析結果グラフ作成部114は、第4学習モデルによって分類された各異常度合に属する生産工程データの個数を示す表を作成したが、本発明はこれに限定されない。分析結果グラフ作成部114は、第4学習モデルによって分類された各異常度合に属する生産工程データの個数を示すグラフを作成してもよい。
【0076】
なお、本技術は、以下のような構成を採用することも可能である。
【0077】
(1)第1学習モデルを用いて生産工程データを、正常データ及び第1異常データを含む第1データ群と、第2異常データを含む第2データ群とに分類する第1学習モデル部と、
第2学習モデルを用いて前記第1データ群に属する生産工程データを、前記正常データを含む正常データ群と、前記第1異常データを含む第1異常データ群とに分類する第2学習モデル部と
を備え、
前記生産工程データは、製品の品質に関する情報を含み、
前記第1異常データが示す前記製品の異常度合は、前記第2異常データが示す前記製品の異常度合より前記正常データが示す前記製品の異常度合に近く、
前記第1学習モデルは、前記第1データ群と前記第2データ群とに分類するために学習された学習モデルであり、
前記第2学習モデルは、ユーザによって前記正常データ群と前記第1異常データ群とに分類されたものが学習された学習モデルである、情報処理装置。
【0078】
(2)第3学習モデルを用いて前記第2データ群に属する生産工程データを、特定の異常データを含む特定データ群と、特定以外の異常データを含む特定以外データ群とに分類する第3学習モデル部と、
第4学習モデルを用いて前記正常データ群に属する生産工程データを、異常度合別に分類する第4学習モデル部と
を更に備え、
前記特定の異常データが示す前記異常度合の種類と、前記特定以外の異常データが示す前記異常度合の種類とは、異なり、
前記第3学習モデルは、前記特定データ群と前記特定以外データ群とに分類するために学習された学習モデルであり、
前記第4学習モデルは、前記異常度合別に分類するために学習された学習モデルである、(1)に記載の情報処理装置。
【0079】
(3)前記生産工程データを収集するデータ収集部と、
前記生産工程データの各々を整形するデータ整形部と
を更に備え、
前記生産工程データは、所定の製造工程で作製された前記製品の品質に関する情報を含む、(1)又は(2)に記載の情報処理装置。
【0080】
(4)前記第4学習モデルによって分類された各異常度合に属する生産工程データの個数を示すグラフ又は表を作成する作成部を更に備える、(3)に記載の情報処理装置。
【0081】
(5)前記第4学習モデルによって分類された各異常度合に属する生産工程データの個数の比率に基づいて、前記所定の製造工程に異常があることを検知する検知部を更に備える、(3)又は(4)に記載の情報処理装置。
【0082】
(6)過去比率データを記憶する記憶部を更に備え、
前記検知部は、所定数比率データと前記過去比率データとに基づいて、前記製造工程に異常があることを検知し、
前記所定数比率データは、前記製造工程で作製された所定数の製品に基づいて作成された前記比率を示し、
前記過去比率データは、前記所定数の製品より過去に前記製造工程で作製された複数の製品に基づいて作成された前記比率を示す、(5)に記載の情報処理装置。
【0083】
(7)前記検知部は、前記第3学習モデルによって分類された前記特定の異常データに基づいて、前記所定の製造工程の特定箇所に異常があることを検知し、
前記所定の製造工程は、前記製品の材料を準備する工程、製造装置の治具を用いる工程、製造装置の設備を用いる工程、又は、前記製品の製造に対する人の作業を含む、(5)又は(6)に記載の情報処理装置。
【符号の説明】
【0084】
100・・・情報処理装置
121・・・第1学習モデル部
122・・・第2学習モデル部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8