(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124656
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】料金精算システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240906BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032480
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000004651
【氏名又は名称】日本信号株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109221
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 充広
(72)【発明者】
【氏名】前田 太志
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC13
5L050CC13
(57)【要約】
【課題】時間単位での割引権利が複数ある場合において割引権利を効率的に適用して利用料金を算出する料金精算システムを提供すること。
【解決手段】料金精算システム100は、時間単位の割引権利に関する割引情報を複数取得した場合に、割引権利の順列を作成し、順列の中から最大の割引きがなされる適用順列を算出する割引算出装置11aと、適用順列に基づく割引額を反映して利用料金を算出する料金算出装置11bと、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
時間単位の割引権利に関する割引情報を複数取得した場合に、前記割引権利の順列を作成し、前記順列の中から最大の割引きがなされる適用順列を算出する割引算出装置と、
前記適用順列に基づく割引額を反映して利用料金を算出する料金算出装置と、
を備える料金精算システム。
【請求項2】
前記割引算出装置は、各順列に対応して、前記割引権利毎に割引額と割引に寄与しない余剰時間とを算出し、前記割引額の合計が最大であり、前記余剰時間の合計が最小値に近い組み合わせを前記適用順列として選択する、請求項1に記載の料金精算システム。
【請求項3】
前記割引情報は、前記割引権利により無料で利用可能な割引時間を含み、
前記割引算出装置は、前記割引権利毎に、前記割引時間が利用時間帯に応じた課金時間の合計以上である場合、前記割引時間を前記割引額に換算する、請求項1に記載の料金精算システム。
【請求項4】
前記利用料金を精算処理する精算機を備え、
前記精算機は、前記割引算出装置と前記料金算出装置とを有する、請求項1に記載の料金精算システム。
【請求項5】
前記割引情報を記録する記憶装置を有する管理装置を備え、
前記割引算出装置は、前記記憶装置から前記割引情報を取得する、請求項1に記載の料金精算システム。
【請求項6】
前記管理装置は、前記割引算出装置と、前記料金算出装置とを有する、請求項5に記載の料金精算システム。
【請求項7】
前記利用料金を精算処理する精算機を備え、
前記精算機は、前記料金算出装置を有し、
前記管理装置は、前記割引算出装置を有する、請求項5に記載の料金精算システム。
【請求項8】
前記割引算出装置は、前記割引権利の選択に応じて、前記記憶装置から前記割引情報を取得する、請求項5に記載の料金精算システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用料金に関して複数の割引権利を適用する料金精算システムに関する。
【背景技術】
【0002】
駐車場の割引サービスを提供するためのシステムが開示されている(特許文献1)。特許文献1のシステムでは、出庫時において、精算機に駐車券を挿入すると、駐車情報及び割引情報が読み込まれ、割引情報を反映した駐車料金が算出される。
【0003】
特許文献1のシステムは、時間単位での割引権利が複数ある場合において、割引した駐車料金を適切に算出する方法については記載がない。時間単位での割引権利は、課金時間単位で料金を無料とするものであり、課金時間に対応する割引時間に基づく割引額により料金が割引されるものである。割引時間と料金の課金に用いられる単位時間とが倍数の関係でない組み合わせが存在する場合、割引権利の適用順序によって割引額が異なる場合がある。これを解決するために、複数の割引権利における割引時間の合計を算出し、利用開始時刻に対して割引時間の合計分だけ課金対象の開始時刻をシフトさせることが考えられるが(
図5参照)、最大料金が設定されている場合に割引が適切に行われないという問題が生じうる。ここで、最大料金は、長時間利用の場合に駐車料金が所定の金額となるサービスである。なお、最大料金の設定には種類があり、例えば時間制限がある場合、適用時間帯が指定される場合、最大料金の繰り返し適用が制限される場合等がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、時間単位での割引権利が複数ある場合において割引権利を効率的に適用して利用料金を算出する料金精算システムを提供することを目的とする。
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る料金精算システムは、時間単位の割引権利に関する割引情報を複数取得した場合に、割引権利の順列を作成し、順列の中から最大の割引きがなされる適用順列を算出する割引算出装置と、適用順列に基づく割引額を反映して利用料金を算出する料金算出装置と、を備える。
【0007】
上記料金精算システムによれば、時間単位の割引権利を複数利用する場合に、割引算出装置において割引権利を最も効率良く適用する適用順列を算出し、適用順列に基づく割引額を利用料金に反映させる。これにより、利用者が複雑な操作を行うことなく保有する割引権利を最大限受益することができる。
【0008】
本発明の具体的な側面によれば、上記料金精算システムにおいて、割引算出装置は、各順列に対応して、割引権利毎に割引額と割引に寄与しない余剰時間とを算出し、割引額の合計が最大であり、余剰時間の合計が最小値に近い組み合わせを適用順列として選択する。この場合、割引に寄与しない無駄な時間を減らしつつ、割引額が最大となる順列を選択することができる。
【0009】
本発明の別の側面によれば、割引情報は、割引権利により無料で利用可能な割引時間を含み、割引算出装置は、割引権利毎に、割引時間が利用時間帯に応じた課金時間の合計以上である場合、割引時間を割引額に換算する。ここで、課金時間の合計は、複数回の課金時間の合計に限らず、1回の課金時間のみも含む。この場合、割引算出装置は、割引時間が課金時間の合計以上である割引権利をその時間帯の割引権利として利用し、課金時間の合計よりも短い割引権利を割引権利として利用しない。これにより、割引に適用できない割引権利を自動的に取捨選択することができる。
【0010】
本発明のさらに別の側面によれば、利用料金を精算処理する精算機を備え、精算機は、割引算出装置と料金算出装置とを有する。この場合、精算機によって駐車場等の現場での精算処理を行うことができる。
【0011】
本発明のさらに別の側面によれば、割引情報を記録する記憶装置を有する管理装置を備え、割引算出装置は、記憶装置から割引情報を取得する。この場合、管理装置が割引情報をまとめて管理することができる。
【0012】
本発明のさらに別の側面によれば、管理装置は、割引算出装置と、料金算出装置とを有する。この場合、管理装置側で割引額の算出から精算処理まで行うことができる。
【0013】
本発明のさらに別の側面によれば、利用料金を精算処理する精算機を備え、精算機は、料金算出装置を有し、管理装置は、割引算出装置を有する。この場合、管理装置側で割引額を計算することができ、精算機での計算負担を減らすことができる。
【0014】
本発明のさらに別の側面によれば、割引算出装置は、割引権利の選択に応じて、記憶装置から割引情報を取得する。この場合、割引算出装置は、利用者が選択した割引権利のみを適用順列の算出に用いるため、計算負担を減らすことができる。利用者は、例えば精算機や利用者端末等で割引権利を選択する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】第1実施形態の料金精算システムを説明する全体的な概念図である。
【
図2】精算機を説明する概念的なブロック図である。
【
図3】割引権利の異なる順列における割引額及び余剰時間の違いを説明する図である。
【
図7】第2実施形態の料金精算システムを説明する全体的な概念図である。
【
図8】(A)~(C)は、管理装置、精算機、及び利用者端末を説明する概念的なブロック図である。
【
図9】(A)~(C)は、駐車場管理データベースを説明する図である。
【
図10】利用者端末の表示装置の表示例を説明する図である。
【
図11】精算機、管理装置、及び利用者端末の間で行われる一連の動作を説明する図である。
【
図12】(A)及び(B)は、利用者端末の表示装置の表示例を説明する図である。
【
図13】(A)及び(B)は、利用者端末の表示装置の表示例を説明する図である。
【
図14】利用者端末の表示装置の表示例を説明する図である。
【
図15】第3実施形態の料金精算システムを説明する全体的な概念図である。
【
図16】(A)及び(B)は、管理装置、及び精算機を説明する概念的なブロック図である。
【
図17】精算機、及び管理装置の間で行われる一連の動作を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
〔第1実施形態〕
以下、図面を参照して、本発明に係る料金精算システムの第1実施形態について説明する。
【0017】
図1に示す第1実施形態の料金精算システム100は、駐車場PAを管理するとともに駐車場PA外で提携施設等によって提供される割引券DC又は割引権利に相当する付帯サービスの利用を可能にする。具体的には、料金精算システム100は、時間単位での複数の割引権利を、駐車場PAの利用料金(又は駐車料金)の割引に適用可能とするものである。割引権利は、例えば駐車場PAの利用者USに対して、提携施設に駐車情報を提示することを前提として提供される駐車の割引券DC、回数券等に相当するものである。時間単位での割引権利は、料金を無料にする所定時間が駐車料金の単位課金時間以上の場合、その単位課金時間分の料金を無料にする。例えば80分の割引権利がある場合、単位課金時間又は単位課金時間の倍数が80分以下の場合、当該課金時間分の料金が無料になる。なお、単位課金時間は、利用時間帯によって変動してもよいし、変動しなくてもよい。
【0018】
駐車場PAは、割引権利を駐車料金に適用できれば、駐車形式や精算形式等の種類は問わない。駐車形式の例として、
図1に示す駐車場PAは、例えば車室SPの床上に昇降可能に設置されるロック板RBによって、未精算の車両VEの出庫を制限するフラップ式駐車場である。なお、駐車場PAは、車室への進入により車両を検知し入出庫情報を管理するフラップレス駐車場でもよいし、ゲートで車両の入出庫を管理するゲート式駐車場でもよい。また、駐車場PAに設置した精算機10等によって駐車券を発券してもよいし、発券しなくてもよい。また、精算形式の例として、
図1に示す料金精算システム100は、駐車場PAに設置した精算機10による精算を前提としているが、利用者USの利用者端末を利用した精算としてもよい。なお、駐車券を発券せずに利用者端末を利用して精算する場合、利用者端末を用いて駐車場PAの利用手続きを行ってもよい。
【0019】
料金精算システム100は、駐車場PAに設置される精算機10を備える。駐車場PAがフラップ式駐車場である場合、駐車場PAにはロック板RBの昇降等によって車両VEの入出庫を管理する装置等が設けられるが、説明を省略する。
【0020】
図2は、精算機10を説明する概念的なブロック図である。精算機10は、一般的な時間貸駐車場の精算機として車両VEによる車室SPの駐車料金又は利用料金の支払に関する精算処理を可能にする。
【0021】
精算機10は、制御装置11と、記憶装置12と、対人処理装置13とを有する。ここで、制御装置11は、割引算出装置11aと、料金算出装置11bとを含む。これにより、精算機10によって現場である駐車場PAでの精算処理を行うことができる。精算機10は、制御装置11により、記憶装置12に格納されたプログラムに基づいて動作する。つまり、制御装置11は、記憶装置12、対人処理装置13等の動作を制御する。このプログラムには、精算機10自体の動作を可能にする機能だけでなく、車室SPの管理を可能にする機能等が含まれている。
【0022】
精算機10の制御装置11は、駐車場PAに車両VE(
図1参照)が入庫した状況を不図示のセンサやロック板RBの動作等から把握しており、車室単位又は駐車場単位で車両VEの利用開始日時を駐車場IDに紐づける。記憶装置12は、制御装置11の制御下で、駐車場PAの利用状況を記録する。駐車場PAの利用状況としては、例えば、駐車場ID、利用開始日時等が挙げられる。なお、記憶装置12は、出庫手続きの際に、利用終了日時を駐車場IDに紐づけて記録し、割引算出や料金算出等の処理の際に読み出し可能にすることができる。駐車場IDは、駐車場PAの車室SPを判別するものであり、具体的には、車室識別番号等の情報を含む。
【0023】
対人処理装置13は、表示装置3a、操作装置3b、読取装置3c、金銭処理装置3d等を有する。対人処理装置13は、表示装置3aを介して駐車場PAの利用者USに対して精算に関連する情報を提供するとともに、操作装置3bを介して利用者USの応答を操作信号として受け取る。対人処理装置13は、読取装置3cを介して利用者USが所持する割引券DC等(
図1参照)を読み取る。なお、駐車券が発行される場合、対人処理装置13は、読取装置3cを介して駐車券を読み取ってもよい。対人処理装置13は、金銭処理装置3dを介して利用者USから硬貨や紙幣を受け取って種類や枚数を識別し、適切な種類及び枚数の硬貨や紙幣を返却する。なお、対人処理装置13は、プリペイドカードやクレジットカード等に対応したものでもよい。
【0024】
制御装置11は、出庫手続きの際に、利用者USの操作により表示装置3aで選択された車室SPに対応する駐車場IDに対して、記憶装置12のデータベース上で利用終了日時を付与する。また、制御装置11は、読取装置3cで読み取った割引券DCから割引権利に対応する割引情報を取得する。
【0025】
制御装置11において、割引算出装置11aは、時間単位の割引権利に関する割引情報を複数取得した場合に、割引権利の順列を作成し、順列の中から最大の割引きがなされる適用順列を算出又は選択する。割引情報は、割引権利により無料で利用可能な最大の割引時間を含む。割引権利の順列は、複数の割引権利を順番に並べたときの並べ方の全パターンである。割引算出装置11aは、対応するアプリケーションソフトにより動作する制御装置11の一機能である。
【0026】
割引算出装置11aは、適用順列の算出の前提として、各順列に対応して、割引権利毎に割引額と割引に寄与しない余剰時間とを算出する。割引算出装置11aは、割引額の合計が最大であり、余剰時間の合計が最小値に近い組み合わせを適用順列として選択する。これにより、割引に寄与しない無駄な時間を減らしつつ、割引額が最大となる順列を選択することができる。余剰時間は、課金時間又は課金時間の合計から1回の割引権利に対応する最大の割引時間を引いた時間である。
【0027】
図3は、異なる順列における割引額及び余剰時間の違いを説明する図である。
図3に例示する利用料金の課金設定では、8:00から19:59までの利用料金は、最初の45分間が300円であり、その後、15分毎に100円が加算される。また、20:00~7:59までの利用料金は、40分毎に200円が加算される。すなわち、
図3の例では、利用時間帯によって利用料金の単位課金時間又は課金時間が異なっている。利用料金には最大料金が設定されており、最大料金は1300円である。利用者USは、割引権利として、例えば、1回分の45分割引券(割引権利A)と、1回分の80分割引券(割引権利B)と、1回分の100分割引券(割引権利C)とを有している。
【0028】
割引算出装置11aにおいて、割引権利を順列に従って適用した際の課金時間毎又は課金時間の倍数毎の割引額及び余剰時間を計算し、各順列における割引額の合計及び余剰時間の合計を計算した。順列が、割引権利B、割引権利C、及び割引権利Aの場合(以下、順列4とする)、割引権利Bの割引額は400円であり、余剰時間は0分である。割引権利Cの割引額は600円であり、余剰時間は0分である。割引権利Aの割引額は300円であり、余剰時間は0分である。一方、順列が、割引権利B、割引権利A、及び割引権利Cの場合(以下、順列3とする)、割引権利Bの割引額は400円であり、余剰時間は0分である。割引権利Aの割引額は200円であり、余剰時間は5分である。割引権利Cの割引額は600円であり、余剰時間は10分である。つまり、順列4の場合、割引額の合計は1300円であり、余剰時間の合計は0分である。これにより、順列4の割引後の利用料金は0となる。順列3の場合、割引額の合計は1200円であり、余剰時間の合計は15分である。これにより、順列3の割引後の利用料金は100円となる。以上のことから、順列3よりも順列4の方が割引権利を適用する順番が適切であることがわかる。
【0029】
割引算出装置11aは、割引権利毎に、割引時間が利用時間帯に応じた課金時間の合計以上である場合、割引時間を割引額に換算する。ここで、課金時間の合計は、複数回の課金時間の合計に限らず、1回の課金時間のみも含む。割引算出装置11aは、割引時間が課金時間の合計以上である割引権利をその時間帯の割引権利として利用し、課金時間の合計よりも短い割引権利を割引権利として利用しない。これにより、割引に適用できない割引権利を自動的に取捨選択することができる。具体的には、
図3に示す順列4、3において、例えば割引権利Bの割引時間である80分は、課金時間40分(図示の例では、課金レート200円/40分)の倍数である80分と同じであるため、割引時間を割引額400円に換算することができる。また、順列3において、例えば割引権利Aの割引時間である45分は、課金時間40分以上であるため、割引時間を割引額200円に換算することができる。ただし、順列3の割引権利Aは、余剰時間として5分の割引利益が切り捨てられる。なお、
図3の例では示していないが、例えば割引時間が10分の割引権利があった場合、割引時間を割引額に換算するには課金時間以上の複数回分の割引権利(例えば課金時間が30分であれば、3回分の割引権利)が必要となる。
【0030】
制御装置11において、料金算出装置11bは、利用開始日時と利用終了日時とに基づいて、基本料金を駐車場PAの利用料金として算出する。利用開始日時については、記憶装置12から読み出す。利用終了日時は、精算時の現在時刻又は現在時間に相当する。また、料金算出装置11bは、割引権利の適用があった場合に、基本料金から割引額を減算する。すなわち、料金算出装置11bは、割引算出装置11aで選択された割引権利の適用順列に基づく割引額を反映して利用料金を算出する。料金算出装置11bは、対応するアプリケーションソフトにより動作する制御装置11の一機能である。
【0031】
以下、
図4を参照しつつ、割引算出装置11aにおける算出例について説明する。
図4は、各順列における割引額の合計、及び余剰時間の合計の算出結果を示す図である。
図4に例示する利用料金の課金設定、及び利用者USが保持する割引権利は、
図3の例示と同様である。割引算出装置11aは、利用者USが保持する割引権利A、B、及びCの全ての順列1~6に対して割引額の合計と余剰時間の合計とを算出する。その後、割引算出装置11aは、順列1~6の算出結果から割引額の合計が最大であり、余剰時間の合計が最小値に近い組み合わせを適用順列として選択する。なお、料金算出装置11bは、実際には適用順列に対応する利用料金のみを算出するが、
図4では、参考のため、各順列の割引後の利用料金を示している。
【0032】
(適用例1)
適用例1において、駐車場PAの利用開始日時は6時5分であり、利用終了日時は11時5分である。
図4の適用例1に示すように、順列1~6のうち順列4が、割引額の合計が最大であり、余剰時間の合計が最小値に近い組み合わせとなる。この場合、割引算出装置11aは、順列4を適用順列として採用する。料金算出装置11bは、通常の利用料金(具体的には、1300円)から適用順列である順列4の割引額(具体的には、1300円)を減算することで、利用者USに請求する利用料金を0円と算出する。
【0033】
(適用例2)
適用例2において、駐車場PAの利用開始日時は19時10分であり、利用終了日時は0時50分である。なお、適用例2では、20:00~7:59までの利用料金は、40分毎に200円が加算されるが、最大料金が1300円であるため、最後に加算される時間帯の利用料金は100円となる。
図4の適用例2に示すように、順列1~6のうち順列2、5、及び6が、割引額の合計が最大であり、余剰時間の合計が最小値に近い組み合わせとなる。この場合、割引算出装置11aは、順列2、5、及び6のいずれか1つを適用順列として採用する。例えば適用順列として順列2を選択した場合、料金算出装置11bは、通常の利用料金(具体的には、1300円)から順列2の割引額(具体的には、1200円)を減算することで、利用者USに請求する利用料金を100円と算出する。
【0034】
以上において、利用時間帯によって課金される利用料金が異なるため、適用例1及び2では、割引額の計算に用いる適用順列や、割引後の利用料金が異なる結果となる。
【0035】
(比較例)
図5は、比較例の割引権利の適用方法について説明する図である。利用料金の設定、並びに利用者USの利用時間及び割引権利は、
図4の適用例1と同様である。比較例では、割引権利の割引時間を合計し、割引時間の合計分だけ利用開始日時をずらして利用料金を算出した。つまり、比較例では、割引時間の合計に応じて、課金開始時刻をシフトさせている。具体的には、割引権利A、B、及びCに基づく割引時間の合計は225分であり、本来の利用開始日時から225分ずらした9時50分を料金の課金開始時刻とした。
図5に示すように、比較例の場合、課金開始時刻のシフトにより最大料金が適用されず、9時50分から11時5分までの利用料金は500円となった。そのため、結果的に割引による利益が適用例1の場合よりも小さくなった。
【0036】
図6を参照して、精算機10で行われる駐車場PAの利用及び精算に関する一連の動作について説明する。
図6では、車室SPをロック板RBの動作によって管理するフラップ式の駐車場PAでの例を示す。
【0037】
図6に示すように、駐車場PAの利用開始の場面SC1では、精算機10は、駐車場PAの利用開始を受け付ける(ステップS11)。具体的には、精算機10の制御装置11は、例えば不図示のセンサが車両VEを検知した場合、駐車場利用状況として車両VEが駐車された車室SPの利用開始日時を駐車場IDとともに駐車情報として記憶装置12に記録する(ステップS12)。
【0038】
駐車場PAの利用終了の場面SC2では、精算機10は、駐車場PAの利用終了を受け付ける(ステップS13)。具体的には、利用者USの操作によって、例えば対人処理装置13の操作装置3bの利用終了ボタン等を押すことにより利用終了を受け付ける。次に、精算機10は、割引券DCを受け付ける(ステップS14)。具体的には、利用者USの操作に応じて、例えば対人処理装置13の読取装置3cによって割引券DCを読み取る。割引券DCには、割引権利に基づいて割引情報が記録されている。制御装置11は、割引権利がある場合(ステップS15のY)、割引算出装置11aによって、読取装置3cで取得した割引権利について、割引権利の順番を含めた組み合わせ方として全ての順列を作成する(ステップS16、
図4参照)。制御装置11は、割引算出装置11aによって、ステップS16で作成した各順列に対応して、割引権利毎に割引額と割引に寄与しない余剰時間とを算出する(ステップS17)。その後、制御装置11は、割引算出装置11aによって、割引額の合計が最大であり、余剰時間の合計が最小値に近い組み合わせを適用順列として算出又は選択する(ステップS18)。
【0039】
制御装置11は、料金算出装置11bによって、利用料金を算出する(ステップS19)。割引権利の適用がある場合(ステップS15のY)、料金算出装置11bは、適用順列に基づく割引額を通常の利用料金から減額する。割引権利の適用がない場合(ステップS15のN)、料金算出装置11bは、通常の利用料金を算出する。
【0040】
次に、制御装置11は、精算処理を行う(ステップS21)。具体的には、制御装置11は、対人処理装置13の表示装置3aに利用料金を表示する。利用者USが対人処理装置13の金銭処理装置3dを介して所定の料金を支払うことにより、精算が完了する。なお、精算機10は、不図示の通信装置によって割引権利の適用結果(具体的には、使用した割引権利とその割引額等)を駐車場PAから離れた場所に設置した管理装置等に送信してもよい。これにより、割引権利の適用結果に基づいて提携施設に対応する割引手数料を請求する際の按分処理に用いることができる。
【0041】
ステップS21の精算処理後、制御装置11は、ロック板RBを下げ、車両VEの出庫を許可する(ステップS22)。
【0042】
上記料金精算システムによれば、時間単位の割引権利を複数利用する場合に、割引算出装置11aにおいて割引権利を最も効率良く適用する適用順列を算出又は選択し、適用順列に基づく割引額を利用料金に反映させる。これにより、利用者USが複雑な操作を行うことなく保有する割引権利を最大限受益することができる。
【0043】
〔第2実施形態〕
以下、
図7を参照して、第1実施形態を変形した第2実施形態について説明する。
【0044】
図7に示すように、料金精算システム100は、駐車場PAに設置される精算機10と、精算機10から離れた場所に設置される管理装置20とを備える。説明の便宜上、
図7では単一の駐車場PAを示しているが、本実施形態の料金精算システム100は、精算機10を備える複数の駐車場PAについて、一括して運用管理を行うことができる。また、料金精算システム100は、利用者USが所持する利用者端末30を備える。
【0045】
料金精算システム100において、管理装置20は、通信ネットワークNTを介して、精算機10、利用者端末30等と通信可能に接続される。この通信ネットワークNTは、具体的にはインターネットであり、精算機10、利用者端末30等からの接続を受け付ける。利用者端末30は、利用者USによって操作され、通信ネットワークNTを介して管理装置20に後述する利用者情報を送信し、駐車場PAの利用に関する手続きを行う。
【0046】
管理装置20は、システム管理者の管理下で動作するコンピュータであり、駐車場PAの利用又は運用を管理する。管理装置20は、後述する記憶装置22に記憶された割引権利に関する割引情報を利用者端末30に送信する。また、管理装置20は、利用者USの操作によって利用者端末30で選択された割引権利から適用順列を算出又は選択し、利用料金に対して割引を適用する。本実施形態では、利用者USが利用者端末30を操作して指定した支払方法により管理装置20で精算処理を行うことができるが、利用者USが精算機10を操作して精算機10で精算処理を行ってもよい。
【0047】
図8(A)は、管理装置20を説明する概念的なブロック図である。図示のように、管理装置20は、制御装置21と記憶装置22と通信装置23とを有する。ここで、制御装置21は、割引算出装置21aと、料金算出装置21bとを含む。管理装置20は、制御装置21により、記憶装置22に格納されたプログラムに基づいて動作する。つまり、制御装置21は、記憶装置22、通信装置23等の動作を制御する。管理装置20は、通信装置23により、
図7に示す通信ネットワークNTを経由して精算機10、利用者端末30等と通信する。
【0048】
記憶装置22には、管理装置20を動作させるプログラムが格納され、料金精算システム100の運用を可能にする。記憶装置22には、料金精算システム100の運用に必要な駐車場管理データベース22aが格納されている。本実施形態では、管理装置20は、割引権利に対応する割引情報をまとめて管理している。管理装置20は、提携施設の利用により割引権利が発生した場合、利用者端末30や不図示の施設端末等から受信した割引権利に関する割引情報等をデジタルデータとして管理する。駐車場管理データベース22aには、例えば駐車情報テーブル2a、割引情報テーブル2b、料金情報テーブル2c等が設けられている。
【0049】
図9(A)に示す駐車情報テーブル2aは、入出庫管理データベースである。駐車情報テーブル2aには、駐車情報として、利用者ID、駐車場ID、利用開始日時、利用終了日時等が記録されている。駐車情報テーブル2aには、例えば駐車情報のうち利用者IDをキーとして、駐車場ID、利用開始日時、利用終了日時等がリスト化されている。管理装置20の制御装置21は、精算機10から駐車情報を受信した際に照合処理を行い、提携駐車場PAの駐車場IDである場合、駐車情報テーブル2aに駐車情報を記録する。
【0050】
図9(B)に示すように、割引情報テーブル2bには、利用者IDに紐づけて、利用者端末30や不図示の施設端末等から送信された割引権利に関する割引情報等が記録されている。割引情報には、割引権利名、施設ID、割引時間、回数、使用有無等が含まれる。割引情報テーブル2bには、例えば利用者IDをキーとして、上記割引権利に関する割引情報等がリスト化されている。
【0051】
図9(C)に示すように、料金情報テーブル2cには、利用者IDに紐づけて、料金情報、割引適用情報、精算情報が記録されている。料金情報には、例えば駐車場ID、駐車場PAの正規の利用料金等が含まれる。割引適用情報には、使用した割引権利、適用順列、割引額等の割引条件が含まれる。精算情報には、例えば精算時の利用料金、支払い方法等が含まれる。すなわち、料金情報テーブル2cには、例えば利用者IDをキーとして、料金情報、割引適用情報、精算情報等がリスト化されている。管理装置20は、使用した割引権利に関して、実際の割引額に伴い、提携施設側に割引手数料を請求する際の按分処理に用いることができる。
【0052】
管理装置20の制御装置21は、利用者端末30を介して利用者情報及び割引権利に関する割引情報を取得する。利用者情報としては、例えば利用者ID、利用者USの氏名、メールアドレス等の利用者USを特定する情報や利用者USの連絡先が挙げられる。なお、制御装置21は、割引権利等に関する割引情報を提携施設に設けられた施設端末等から取得してもよい。
【0053】
制御装置21において、割引算出装置21aは、記憶装置22から割引権利又は割引情報を取得する。割引算出装置21aは、割引権利から適用順列を算出又は選択する。割引算出装置21aは、対応するアプリケーションソフトにより動作する制御装置21の一機能である。
【0054】
制御装置21において、料金算出装置21bは、利用開始日時と利用終了日時とに基づいて、駐車場PAの利用料金を算出する。利用開始日時については、記憶装置22から読み出す。利用終了日時は、記憶装置22に記録された利用終了日時、精算時の現在時刻、又は現在時間に相当する。料金算出装置21bは、基本料金から割引算出装置21aで得た適用順列に対応する割引額を減額する。料金算出装置21bは、対応するアプリケーションソフトにより動作する制御装置21の一機能である。
【0055】
図7に示す精算機10は、駐車場PA内の装置の管理や管理装置20との通信等を行う。精算機10は、駐車場PAに設置されている。なお、精算機10は、駐車場PAの利用料金の精算処理を行うこともできる
【0056】
図8(B)は、精算機10を説明する概念的なブロック図である。図示のように、精算機10は、制御装置11と記憶装置12と対人処理装置13と通信装置14とを有する。精算機10は、制御装置11により、記憶装置12に格納されたプログラムに基づいて動作する。つまり、制御装置11は、記憶装置12、対人処理装置13、通信装置14等の動作を制御する。精算機10は、例えば駐車場PAに車両VE(
図7参照)が入庫又は出庫した状況をセンサ等で取得した情報から把握しており、車室単位又は駐車場単位で車両VEの利用開始日時、利用終了日時等を駐車場IDに紐づけて記憶装置12に記録する。精算機10は、通信装置14により、
図7に示す通信ネットワークNTを経由して管理装置20と通信する。
【0057】
記憶装置12には、精算機10を動作させるプログラムが格納され、精算機10の動作を可能にする。
【0058】
対人処理装置13は、表示装置3a、操作装置3b等を有する。対人処理装置13は、表示装置3aを介して駐車場PAの利用者USに対して精算に関連する情報を提供するとともに、操作装置3bを介して利用者USの応答を操作信号として受け取る。
【0059】
図7に示す利用者端末30は、料金精算システム100の利用者USが所持し、駐車場PAの利用手続きに関する操作を行う際に用いるものである。利用者端末30としては、例えばスマートフォン、タブレットPC等を用いることができる。本実施形態では、利用者USによる利用者端末30の操作により、駐車場PAの利用開始前又は利用開始時に利用者登録を行うことで、駐車場PAの利用状況や精算を管理装置20で行うことができる。
【0060】
利用者端末30は、URL情報に基づき管理装置20にアクセスしてもよいし、料金精算システム100のアプリケーションソフトを利用してアクセスしてもよい。
【0061】
図8(C)は、利用者端末30を説明する概念図である。図示のように、利用者端末30は、制御装置31と、表示装置32と、通信装置33とを有する。利用者端末30は、制御装置31により、不図示の記憶装置に格納されたプログラムに基づいて動作する。つまり、制御装置31は、表示装置32、通信装置33等の動作を制御する。
【0062】
表示装置32は、利用者端末30のディスプレイ等の表示画面であり、利用手続きに関する操作画面を表示する。通信装置33は、
図7に示す通信ネットワークNTを経由して管理装置20との通信を可能にする。
【0063】
利用者端末30の制御装置31は、アプリケーションソフトや利用者USの操作に基づいて動作し、表示装置32に利用手続きのための操作画面を表示させる。利用者USは、表示装置32に表示された画面に従い、操作を行う。管理装置20から利用者端末30に送信されるデータには、割引権利に関する割引情報、及び駐車場ID等の駐車場PAに関する駐車情報が含まれる。利用開始手続きの際に、制御装置31は、管理装置20に対して駐車場IDと紐づけて利用者情報又は利用者IDを送信する。
【0064】
利用者端末30の制御装置31は、利用終了手続きの前に、通信装置33を介して割引権利に関する割引情報を管理装置20に送信してもよい。具体的には、制御装置31は、不図示の読取装置等で提携施設から提供された割引券等を読み取り、割引権利に関する割引情報を取得し、割引情報を利用者情報又は利用者IDに紐づけて管理装置20に送信する。管理装置20の制御装置21は、利用者端末30から受信した割引情報及び利用者情報を記憶装置22に記憶する。
【0065】
図10は、利用者端末30の表示装置32の表示例を説明する図である。
図10では、割引権利又は割引券を選択する際の表示例を示す。表示装置32には、割引情報の他に、利用開始日時、利用終了日時、正規の利用料金、割引適用後の利用料金(支払残額)、支払方法等の項目が表示されている。
【0066】
図11を参照して、精算機10、管理装置20、利用者端末30等の間で行われる駐車場PAの利用及び精算に関する一連の動作について説明する。
【0067】
図11に示すように、事前準備の場面SC0において、利用者USは、利用者端末30を用いて事前に料金精算システム100を利用するための利用者登録を行っている(ステップS01)。具体的には、利用者端末30の制御装置31は、利用者USの操作により、管理装置20にアクセスし、利用者情報等を管理装置20に送信する。
【0068】
駐車場PAの利用開始の場面SC1において、精算機10は、駐車場PAの利用開始を受け付ける(ステップS11)。具体的には、精算機10の制御装置11は、不図示のセンサが車両VEを検知した場合、駐車場利用状況として車両VEが駐車された車室SPの利用開始日時を駐車場IDとともに駐車情報として記憶装置12に記録する。また、制御装置11は、駐車情報を管理装置20に送信する。管理装置20の制御装置21は、駐車情報を記憶装置22に記録する(ステップS112)。
【0069】
割引権利登録の場面SC3において、利用者端末30の制御装置31は、利用者USの操作により、提携施設から提供された割引権利に対応する割引券等を読み取り、管理装置20に割引権利に対応する割引情報を送信する(ステップS02)。管理装置20の制御装置21は、利用者端末30から受信した利用者情報や割引権利に関する割引情報等を記憶装置22に記録する(ステップS03)。なお、管理装置20の制御装置21は、割引権利に関する割引情報を提携施設に設けられた施設端末等から取得してもよい。
【0070】
駐車場PAの利用終了の場面SC2において、精算機10は、駐車場PAの利用終了を受け付ける(ステップS13)。具体的には、利用者USの操作によって、例えば精算機10の操作装置3bの利用終了ボタン等を押すことにより利用終了を受け付ける。次に、精算機10の制御装置11は、利用者USに対し、表示装置3aに指示等を表示することで利用者情報を要求する(ステップS31)。具体的には、対人処理装置13の表示装置3a等に料金精算システム100にアクセスするための案内コード(具体的には、二次元バーコード等)を表示する。利用者端末30の制御装置31は、利用者USの操作によって、不図示の読取装置を用いて案内コードを読み取り、制御装置21が提供する料金精算システム100の入力画面にアクセスする(ステップS32)。なお、利用者USは、利用者端末30のアプリケーションソフトを用いて料金精算システム100に直接アクセスしてもよい。この際、利用者端末30の制御装置31は、管理装置20に利用者情報や駐車場ID等を送信し、利用者USや利用している駐車場PA等を特定する。
【0071】
管理装置20の制御装置21は、精算機10から利用者情報の要求があった場合であって、利用者端末30からシステムの入力画面へのアクセスがあった場合、利用者端末30に駐車場ID等とともに必要な情報を送信し、利用者情報を要求する(ステップS33)。
図12(A)は、ステップS33後における利用者端末30の表示装置32の表示例を示す。利用者USが表示装置32に表示された「精算を開始」をタップ等することにより、ログイン画面や利用者情報の入力画面等に切り替わる。
図11に戻って、利用者端末30の制御装置31は、入力画面を用いた利用者USの操作によって、管理装置20に利用者情報を送信する(ステップS34)。なお、システムの入力画面へのアクセスがない場合や、割引適用の意思がない場合、精算機10が正規の利用料金を算出し、精算処理を行う。
【0072】
管理装置20の制御装置21は、利用者端末30から受信した利用者情報を記憶装置22に記録された利用者情報と照合する(ステップS35)。同一利用者情報がある場合(ステップS36のY)、制御装置21は、利用者情報に紐づく割引権利があるか否か判断する(ステップS37)。割引権利がある場合(ステップS37のY)、利用者端末30に割引権利の選択を要求する(ステップS38)。利用者端末30の制御装置31は、管理装置20から送信された割引権利やこれに付随する情報等を表示装置32に表示する。
図12(B)、
図13(A)、13(B)、及び
図14は、ステップS38後における利用者端末30の表示装置32の表示例を示す。ここで、
図13(A)、13(B)、及び
図14において支払残額を記載しているが、この支払残額は、利用者USが割引権利を選択した後に「適用」をタップし、後述するステップS41~S44の処理を経た後に表示されるものである。
図13(A)及び13(B)に示すように、利用者USは、表示装置32に表示された割引権利のうちいずれか1つを選択してもよい。また、
図14に示すように、利用者USは、複数の割引権利を選択してもよい。詳細は後述するが、割引権利が選択される順番にかかわらず、管理装置20の割引算出装置21aによって、最も割引効率が良い適用順列で割引額が算出される。利用者端末30の制御装置31は、利用者USの操作によって、選択した割引権利を管理装置20に送信する(ステップS39)。管理装置20に記録されている割引権利や、利用者USが選択する割引権利は、複数であっても単数であってもよい。
【0073】
管理装置20の制御装置21は、割引算出装置21aによって、選択した割引権利に対して全ての順列を作成する(ステップS41)。制御装置21は、割引算出装置21aによって、各順列において、割引権利に対応する割引額と、余剰時間とを算出する(ステップS42)。制御装置21は、割引算出装置21aによって、適用順列を算出又は選択する(ステップS43)。制御装置21は、料金算出装置21bによって、利用料金を算出する(ステップS44)。割引権利がある場合(ステップS37のY)、料金算出装置21bは、割引額を通常の利用料金から減額する。割引情報がない場合(ステップS37のN)、料金算出装置21bは、通常の利用料金を算出する。なお、同一利用者情報がない場合(ステップS36のN)、ステップS44に進む。
【0074】
図13(A)、13(B)、および
図14に示すように、ステップS44の後、利用者端末30の表示装置32には、割引権利の適用順列に基づいて算出された割引額を反映させた利用料金が支払残額として表示される。
【0075】
次に、管理装置20の制御装置21は、利用者USが指定した支払方法に基づき精算処理を行う(ステップS45)。支払方法の選択は、割引権利の選択時に行ってもよいし、支払残額の表示後に行ってもよい。利用者USが利用者端末30の表示装置32に表示された「支払う」をタップした後にステップS45の処理が行われる。ステップS45の後、管理装置20の制御装置21は、精算機10に出庫指示を送信する。また、ステップS45の後、制御装置21は、割引権利情報を更新する(ステップS46)。具体的には、制御装置21は、使用した割引権利について、割引額とともに記憶装置22に記録する。
【0076】
精算機10の制御装置11は、管理装置20から出庫指示を受信した後、ロック板RBを下げ、車両VEの出庫を許可する(ステップS22)。
【0077】
以上で説明した第2実施形態の料金精算システム100では、管理装置20は、料金算出装置11bと、割引算出装置21aとを有する。これにより、管理装置20側で割引額の算出から精算処理まで行うことができる。また、管理装置20の割引算出装置21aは、利用者USの割引権利の選択に応じて、管理装置20の記憶装置22から割引情報を取得する。これにより、割引算出装置21aは、利用者USが選択した割引権利のみを適用順列の算出に用いるため、計算負担を減らすことができる。
【0078】
〔第3実施形態〕
以下、
図15を参照して、第1及び第2実施形態を変形した第3実施形態について説明する。
【0079】
図15に示すように、料金精算システム100は、駐車場PAに設置される精算機10と、精算機10から離れた場所に設置される管理装置20とを備える。料金精算システム100において、管理装置20は、通信ネットワークNTを介して、精算機10等と通信可能に接続される。本実施形態では、精算機10は例えば駐車券等を発行する。利用者USは、駐車券等を提示して提携施設等から割引権利の提供を受ける。割引権利等に関する割引情報は、施設端末等を介して管理装置20に送信され、管理装置20の記憶装置22に記録されている。
【0080】
管理装置20は、記憶装置22に記憶された割引権利に関する割引情報を精算機10に送信する。また、管理装置20は、利用者USの操作によって精算機10で選択された割引権利から適用順列を算出又は選択し、利用料金に対して割引を適用する。
【0081】
図16(A)は、管理装置20を説明する概念的なブロック図である。図示のように、管理装置20は、制御装置21と記憶装置22と通信装置23とを有する。ここで、制御装置21は、割引算出装置21aを含む。
【0082】
記憶装置22には、管理装置20を動作させるプログラムが格納され、料金精算システム100の運用を可能にする。記憶装置22には、料金精算システム100の運用に必要な駐車場管理データベース22aが格納されている。本実施形態では、管理装置20は、割引権利に対応する割引情報をまとめて管理している。管理装置20は、提携施設の利用により割引権利が発生した場合、不図示の施設端末等から受信した割引権利に関する割引情報等をデジタルデータとして管理する。駐車場管理データベース22aには、例えば駐車情報テーブル2a、割引情報テーブル2b、料金情報テーブル2c等が設けられている。各テーブル2a,2b,2cは、例えば駐車場IDによって紐づけられている。なお、料金情報テーブル2cには、後述する精算機10の料金算出装置11bの算出結果等も記録される。
【0083】
制御装置21において、割引算出装置21aは、記憶装置22から割引情報を取得する。割引算出装置21aは、割引権利から適用順列を算出又は選択する。
【0084】
図15に示す精算機10は、駐車場PAの利用料金の精算処理を行う。精算機10は、駐車場PAに設置されている。
【0085】
図16(B)は、精算機10を説明する概念的なブロック図である。図示のように、精算機10は、制御装置11と記憶装置12と対人処理装置13と通信装置14とを有する。ここで、制御装置11は、料金算出装置11bを含む。
【0086】
制御装置11において、料金算出装置11bは、利用開始日時と利用終了日時とに基づいて、駐車場PAの利用料金を算出する。また、料金算出装置11bは、基本料金から割引算出装置21aで得た適用順列に対応する割引額を減額する。
【0087】
対人処理装置13は、表示装置3a、操作装置3b、読取装置3c、金銭処理装置3d等を有する。対人処理装置13は、表示装置3aを介して駐車場PAの利用者USに対して精算に関連する情報を提供するとともに、操作装置3bを介して利用者USの応答を操作信号として受け取る。対人処理装置13は、読取装置3cを介して利用者USが所持する駐車券等を読み取る。対人処理装置13は、金銭処理装置3dを介して利用料金の支払い処理を行う。
【0088】
図17を参照して、精算機10、管理装置20等の間で行われる駐車場PAの利用及び精算に関する一連の動作について説明する。なお、本実施形態では、割引権利に関する割引情報は、例えば提携施設に設けられた施設端末等を介して管理装置20の記憶装置22に記録されている(ステップS03)。
【0089】
図17に示すように、駐車場PAの利用開始の場面SC1において、精算機10は、駐車場PAの利用開始を受け付ける(ステップS11)。具体的には、精算機10の制御装置11は、不図示のセンサが車両VEを検知した場合、駐車場利用状況として車両VEが駐車された車室SPの利用開始日時を駐車場IDとともに駐車情報として記憶装置12に記録する(ステップS12)。
【0090】
駐車場PAの利用終了の場面SC2において、精算機10は、駐車場PAの利用終了を受け付ける(ステップS13)。具体的には、利用者USの操作によって、例えば精算機10の操作装置3bの利用終了ボタン等を押すことにより利用終了を受け付ける。次に、精算機10の制御装置11は、管理装置20に駐車情報を送信し、当該駐車情報に対応する割引情報を要求する(ステップS51)。
【0091】
管理装置20の制御装置21は、精算機10から受信した駐車情報を記憶装置22に記録された駐車情報と照合する(ステップS35)。同一駐車情報がある場合(ステップS136のY)、制御装置21は、駐車情報又は駐車場IDに紐づく割引権利があるか否か判断する(ステップS37)。割引権利がある場合(ステップS37のY)、精算機10に割引権利の選択を要求する(ステップS38)。精算機10の制御装置11は、管理装置20から送信された割引権利やこれに付随する情報等を対人処理装置13の表示装置3aに表示する。精算機10の制御装置11は、利用者USの操作によって、選択した割引権利を管理装置20に送信する(ステップS39)。管理装置20の制御装置21は、割引算出装置21aによって、選択した割引権利に対して全ての順列を作成する(ステップS41)。制御装置21は、割引算出装置21aによって、各順列において、割引権利に対応する割引額と、余剰時間とを算出する(ステップS42)。制御装置21は、割引算出装置21aによって、適用順列を算出又は選択する(ステップS43)制御装置21は、割引算出装置21aによって、適用順列に対応する割引額ともに料金算出命令を精算機10に送信する(ステップS44)。なお、制御装置21は、同一駐車情報や割引権利がない場合(ステップS136のN、ステップS37のN)、そのまま精算機10に料金算出命令を送信する(ステップS47)。
【0092】
ステップS44の後、制御装置21は、割引権利情報を更新する(ステップS46)。具体的には、制御装置21は、記憶装置22に使用した割引権利について、割引額とともに記録する。
【0093】
精算機10の制御装置11は、管理装置20から料金算出命令を受信し、料金算出装置11bによって、利用料金を算出する(ステップS19)。割引権利がある場合(ステップS37のY)、料金算出装置11bは、割引額を通常の利用料金から減額する。同一駐車情報や割引権利がない場合(ステップS136のN、ステップS37のN)、料金算出装置11bは、通常の利用料金を算出する。
【0094】
次に、精算機10の制御装置11は、精算処理を行う(ステップS21)。具体的には、制御装置11は、対人処理装置13の表示装置3aに利用料金を表示する。利用者USが金銭処理装置3dを介して所定の料金を支払うことにより、精算が完了する。
【0095】
ステップS21の精算処理後、制御装置11は、ロック板RBを下げ、車両VEの出庫を許可する(ステップS22)。
【0096】
以上で説明した第3実施形態の料金精算システム100では、精算機10は、料金算出装置11bを有し、管理装置20は、割引算出装置21aを有する。これにより、管理装置20側で割引額を計算することができ、精算機10での計算負担を減らすことができる。
【0097】
この発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。
【0098】
また、第1実施形態において、精算機10が読み取った割引券DCについて、使用されなかったものは返還されてもよい。例えば、精算機10は、使用されなかった割引権利に対応する割引券DCを利用者USに戻してもよいし、割引券DCを再発行してもよい。
【0099】
また、適用順列の算出において、割引権利の有効期限を考慮してもよい。
【符号の説明】
【0100】
3a…表示装置、3b…操作装置、3c…読取装置、3d…金銭処理装置、10…精算機、11…制御装置、11a…割引算出装置、11b…料金算出装置、12…記憶装置、13…対人処理装置、14…通信装置、20…管理装置、21…制御装置、21a…割引算出装置、21b…料金算出装置、22…記憶装置、22a…駐車場管理データベース、23…通信装置、30…利用者端末、31…制御装置、32…表示装置、33…通信装置、100…料金精算システム、DC…割引券、NT…通信ネットワーク、PA…駐車場、SP…車室、US…利用者、VE…車両