(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124661
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】車両制御装置、車両制御方法、及び、プログラム
(51)【国際特許分類】
E05B 81/64 20140101AFI20240906BHJP
E05B 49/00 20060101ALI20240906BHJP
【FI】
E05B81/64
E05B49/00 R
E05B49/00 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032488
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】李 聖勲
(72)【発明者】
【氏名】茂呂澤 亮
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB05
2E250BB08
2E250DD02
2E250DD08
2E250FF11
2E250FF36
2E250HH01
2E250JJ03
2E250JJ47
2E250KK02
2E250LL01
(57)【要約】
【課題】利用者が車両に近づいた場合に車両の開閉体を動作させる制御を、より手軽に利用できるようにする。
【解決手段】車両の後方を含む第1検出範囲、及び、車両において開閉体が設けられた側面に対応する第2検出範囲で人を検出する接近検出部と、接近検出部によって検出された人の動きが、開閉体に接近する接近態様に該当するか否かを判定する判定部と、判定部によって動きが接近態様に該当すると判定された場合に、開閉体のロックの解錠、及び、開閉体を開く開動作の少なくともいずれかを実行する開閉体動作部を動作させる開閉体動作制御部と、を備え、判定部は、接近検出部によって第1検出範囲で検出されなかった人が第2検出範囲で検出された場合に、人の動きが接近態様に該当すると判定する、車両制御装置。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後方を含む第1検出範囲、及び、前記車両において開閉体が設けられた側面に対応する第2検出範囲で人を検出する接近検出部と、
前記接近検出部によって検出された人の動きが、前記開閉体に接近する接近態様に該当するか否かを判定する判定部と、
前記判定部によって前記動きが前記接近態様に該当すると判定された場合に、前記開閉体のロックの解錠、及び、前記開閉体を開く開動作の少なくともいずれかを実行する開閉体動作部を動作させる開閉体動作制御部と、を備え、
前記判定部は、前記接近検出部によって前記第1検出範囲で検出されなかった人が前記第2検出範囲で検出された場合に、前記動きが前記接近態様に該当すると判定する、車両制御装置。
【請求項2】
前記接近検出部は、前記第1検出範囲で人を検知する第1検知装置、及び、前記第2検出範囲で人を検知する第2検知装置を利用して検出を行い、
前記判定部は、前記接近検出部によって検出された人の動きが前記接近態様に該当するか否かを、前記第1検知装置および前記第2検知装置の検知結果を用いて判定する、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項3】
前記開閉体動作制御部は、前記判定部によって前記動きが前記接近態様に該当すると判定された場合に、前記車両の運転席側の面に設けられた前記開閉体、及び、前記車両の助手席側の面に設けられた前記開閉体の少なくともいずれかに対応する前記開閉体動作部を動作させる、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項4】
前記判定部は、前記第2検出範囲で検出された人が、前記車両の側方かつ前記車両の後部側の位置から前記車両の前部に向けて移動した場合に、前記動きが第1の前記接近態様に該当すると判定し、
前記開閉体動作制御部は、前記判定部によって前記動きが前記第1の前記接近態様に該当すると判定された場合に、前記車両の前部側面に設けられた前記開閉体に対応する前記開閉体動作部を動作させる、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記第2検出範囲で検出された人が、前記車両の側方かつ前記車両の後部側の位置から前記車両の前部に向けて移動し、かつ、前記第2検出範囲で検出された人の移動速度が低下した場合に、前記動きが第2の前記接近態様に該当すると判定し、
前記開閉体動作制御部は、前記判定部により前記動きが前記第2の前記接近態様に該当すると判定された場合に、前記車両の後部側面に設けられた前記開閉体に対応する前記開閉体動作部を動作させる、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記第2検出範囲で検出された人が、前記車両の側方かつ前記車両の後部側の位置から前記車両の前部に向けて移動し、前記第2検出範囲で検出された人の移動速度が低下し、かつ、前記第2検出範囲で検出された人の顔が前記車両の後部に設けられた前記開閉体を向いた場合に、前記動きが第3の前記接近態様に該当すると判定し、
前記開閉体動作制御部は、前記判定部によって前記動きが前記第3の前記接近態様に該当すると判定された場合に、前記車両の後部側面に設けられた前記開閉体に対応する前記開閉体動作部に前記開動作を実行させる、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記第2検出範囲で検出された人が、前記車両の前部を向く方向とは異なる方向に移動した場合に、前記動きが第4の前記接近態様に該当すると判定し、
前記開閉体動作制御部は、前記判定部によって前記動きが前記第4の前記接近態様に該当すると判定された場合に、前記車両の後部側面に設けられた前記開閉体に対応する前記開閉体動作部を動作させる、請求項1に記載の車両制御装置。
【請求項8】
コンピュータにより実行される車両制御方法であって、
車両の後方を含む第1検出範囲、及び、前記車両において開閉体が設けられた側面に対応する第2検出範囲で人を検出し、
検出された人の動きが、前記開閉体に接近する接近態様に該当するか否かの判定を行い、前記第1検出範囲で検出されなかった人が前記第2検出範囲で検出された場合に、前記動きが前記接近態様に該当すると判定し、
前記動きが前記接近態様に該当すると判定した場合に、前記開閉体のロックの解錠、及び、前記開閉体を開く開動作の少なくともいずれかを実行する開閉体動作部を動作させる、車両制御方法。
【請求項9】
コンピュータにより実行可能なプログラムであって、
前記コンピュータを、
車両の後方を含む第1検出範囲、及び、前記車両において開閉体が設けられた側面に対応する第2検出範囲で人を検出する接近検出部と、
前記接近検出部によって検出された人の動きが、前記開閉体に接近する接近態様に該当するか否かを判定し、前記接近検出部によって前記第1検出範囲で検出されなかった人が前記第2検出範囲で検出された場合に、前記動きが前記接近態様に該当すると判定する判定部と、
前記判定部によって前記動きが前記接近態様に該当すると判定された場合に、前記開閉体のロックの解錠、及び、前記開閉体を開く開動作の少なくともいずれかを実行する開閉体動作部を動作させる開閉体動作制御部と、して機能させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両制御装置、車両制御方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、交通参加者の中でも高齢者や子供といった脆弱な立場にある人々にも配慮した持続可能な輸送システムへのアクセスを提供する取り組みが活発化している。この実現に向けて、車両の乗降性に関する開発を通して交通の安全性や利便性をより一層改善する研究開発に注力している。この種の技術としては、例えば、携帯型のユーザ端末又は携帯キーからの電波を複数のアンテナで受信することにより、ユーザ端末又は携帯キーの移動方向を算出し、車両のドアを解錠する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術では、携帯型のユーザ端末又は携帯キーが電波を送信する構成を必要とする。このため、利用者の意思に対応して車両のドア等の開閉体を動かす技術を、利用者が、より手軽に利用可能とすることが望まれていた。
本願は上記課題の解決のため、利用者が車両に近づいた場合に車両の開閉体を動作させる制御を、より手軽に利用できるようにすることを目的としたものである。そして、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するための一態様は、車両の後方を含む第1検出範囲、及び、前記車両において開閉体が設けられた側面に対応する第2検出範囲で人を検出する接近検出部と、前記接近検出部によって検出された人の動きが、前記開閉体に接近する接近態様に該当するか否かを判定する判定部と、前記判定部によって前記動きが前記接近態様に該当すると判定された場合に、前記開閉体のロックの解錠、及び、前記開閉体を開く開動作の少なくともいずれかを実行する開閉体動作部を動作させる開閉体動作制御部と、を備え、前記判定部は、前記接近検出部によって前記第1検出範囲で検出されなかった人が前記第2検出範囲で検出された場合に、前記動きが前記接近態様に該当すると判定する、車両制御装置である。
【発明の効果】
【0006】
上記車両制御装置によれば、車両の周囲で検出された人の動きが、車両に接近する態様に該当する場合に、車両の開閉部のロックの解錠または開動作を行う。これにより、利用者が特定の装置を所持していなくても、利用者が車両に近づいた場合に車両の開閉体を動作させる制御を実現できる。従って、利用者が車両に近づいた場合に車両の開閉体を動作させる制御を、より手軽に利用可能とし、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
[1.車両および検知範囲の構成]
図1及び
図2を参照して、本実施形態の車両制御装置100を搭載する車両1の各部の構成を説明する。
図1は、車両1の構成及び検知範囲51を示す平面図である。
図2は車両1の構成を示す側面視図である。
【0009】
本実施形態では、車両制御装置100を搭載する車両1が、
図1及び
図2に示すように、複数の開閉体を有する四輪自動車である場合を例に挙げて説明する。具体的には、車両1は、開閉体として前部ドア11、前部ドア12、後部ドア13、後部ドア14、及びリアゲート15を有するハッチバック型の自動車である。これは一例であり、車両1は、開閉体を有し、開閉体を開いて利用者が昇降可能な移動体であればよい。車両1の開閉体の数は任意であり、車両1のサイズ、用途、駆動源の種類、車輪の仕様等について制限はない。また、開閉体とは、車両1の外面に設けられる開閉可能な部材であり、特に、人Pが車両1に昇降する目的、及び、人Pが車両1への荷物の出し入れを行う目的で開閉される部材を指す。
【0010】
車両制御装置100は、詳細は後述するが、プロセッサ、メモリ、インターフェース回路等により構成されて、車両1の作動を制御する装置またはデバイスであり、例えばECU(Electronic Control Unit)である。
【0011】
図1及び
図2には、車両1における前、後、右、左の各方向を、符号FR、RE、RI、LEにより示す。前方FRは、車両1が走行する場合の進行方向であり、後方REは車両1が後退する方向である。車両1は、乗員(利用者)が着座する座席として運転席21、助手席22、後部座席23を備える。本実施形態では、車両1の右側に、運転手である利用者が着座する運転席21が配置され、車両1の左側に助手席22が配置されるが、これは一例である。運転席21と助手席22は、車両1の仕様により反対に設置されてもよい。
【0012】
車両1の右側面において、前部には前部ドア11が設けられ、前部ドア11の後方に後部ドア13が設けられる。車両1の左側面において、前部には前部ドア12が設けられ、前部ドア12の後方に後部ドア14が設けられる。前部ドア11、12には、それぞれドアハンドル11a、12aが設けられる。後部ドア13、14の各々にはドアハンドル13a、14aが設けられ、リアゲート15にはドアハンドル15aが取り付けられる。ドアハンドル11a、12a、13a、14a、15aは、利用者がドアを開く際に掴む把手である。
【0013】
前部ドア11は、運転席21に乗車する利用者が昇降する際に開閉され、前部ドア12は助手席22に乗車する利用者が昇降する際に開閉される。後部ドア13及び後部ドア14は後部座席23に乗車する利用者が昇降する際、及び、運転席21または助手席22に乗車する利用者が荷物を後部座席23に置く場合等に開閉される。リアゲート15は車両1の後端に設けられたドアであり、利用者が、車両1の車体後部のラゲッジスペースに荷物を置くために開閉される。
【0014】
前部ドア11にはドア動作ユニット31が内蔵される。ドア動作ユニット31は、後述するように、前部ドア11のドアロックの解錠と施錠とを行うドアロック装置を含む。また、ドア動作ユニット31は、モータやアクチュエータの動力によって前部ドア11を開く装置を備えてもよく、さらに、この装置は動力によって前部ドア11を閉じる装置を備えてもよい。本実施形態では、
図3に示すように、ドア動作ユニット31がドアロック装置31a及び開閉装置31bを備える構成を例示する。ドアロック装置31aは、前部ドア11のドアが開かないようにロックする装置であり、車両制御装置100の制御に従ってロックの施錠および解錠を行う。開閉装置31bは、不図示のモータあるいはアクチュエータを備え、前部ドア11を開く開動作、及び、前部ドア11を閉じる閉動作を行う。
【0015】
前部ドア12にはドア動作ユニット32が内蔵され、後部ドア13にはドア動作ユニット33が内蔵され、後部ドア14にはドア動作ユニット34が内蔵される。リアゲート15にはドア動作ユニット35が内蔵される。ドア動作ユニット32、33、34、35は、ドア動作ユニット31と同様に、ドアロックの施錠および解錠を行う装置を備える。ドア動作ユニット32は、また、ドア動作ユニット31と同様に、前部ドア12の開動作および閉動作を行う装置を備える。ドア動作ユニット33、34、35も同様である。ドア動作ユニット31、32、33、34、35は、開閉体動作部の一例に対応する。
【0016】
車両1は、人Pが車両1に接近した場合に、人Pが予め登録されている利用者であるか否かを認証し、認証が成立した場合に車両1の前部ドア12のドアロックの解除等を行う、いわゆるスマートエントリー機能を有する。
【0017】
スマートエントリー機能に関し、車両1は、車両1の右側方、左側方、後方から接近する人Pを検出し、予め登録された車両1の利用者の認証を行う。利用者の認証とは、検出された人Pが、登録された車両1の利用者であることの認証を指す。人Pの検出および認証を行うための構成として、車両1は、検出部40a、40b、40cを備える。
【0018】
検出部40aは、車両1の右側面に配置される。
図1及び
図2の構成では、検出部40aは、前部ドア11と後部ドア13との間において、車両1のセンターピラーの外面に埋め込み設置される。検出部40bは、車両1の左側面に配置される。検出部40bは、前部ドア12と後部ドア14との間に位置し、例えば車両1のセンターピラーの外面に埋め込み設置される。検出部40cは車両1の後面に配置される。例えば、検出部40cは、リアゲート15の上部に埋め込み設置される。
【0019】
図2に示すように、検出部40aは、検知装置41a、カメラ42a、及び、通知装置43aを含む。検知装置41aは、車両1の右側方の検知範囲51aにおいて人Pの存在を検知する。検知装置41aの具体的な構成として、PIR(Passive Infrared Ray)センサ、カメラ、レーダー、あるいはその他の装置を用いることができる。レーダーとしては、例えば、30GHz~300GHzの周波数帯を利用するミリ波レーダーを用いることができる。検知装置41aが人Pを検知可能な範囲は、例えば、検知装置41aは、検知装置41aから距離R1以内で、水平方向に90°~180°、垂直方向に90°~150°程度の範囲で人Pを検知できるよう設定される。この場合、検知装置41aが人Pを検知可能な範囲は、
図1に示す扇形の検知範囲51aである。
【0020】
カメラ42aは、カラーまたはモノクロのデジタルカメラである。車両制御装置100は、カメラ42aの撮影画像を、予め車両1の利用者として登録された人物の顔画像と照合することによって、人Pが登録された利用者であることの認証を行う。車両制御装置100が認証可能な場合の人Pの位置を、認証範囲52aとする。
図1に示す扇形の認証範囲52aは、例えば、カメラ42aから距離R2以内で、水平方向に90°~150°、垂直方向に90°~150°程度の範囲である。検知範囲51aの半径R1は、認証範囲52aの半径R2よりも長い。すなわち、車両1に人Pが接近した場合、人Pは、最初に検知範囲51aに入ることで検知装置41aによって検知される。その後、人Pが認証範囲52aに入ると、車両制御装置100が、カメラ42aを利用して認証を行う。
【0021】
通知装置43aは、検出部40aの動作状態を通知する。通知装置43aは、例えば、LED(Light Emitting Diode)、有機EL照明素子、あるいは、その他の発光体を備えるインジケータである。通知装置43aは、例えば、車両制御装置100の制御によりカメラ42aが撮影を行っている間に点灯または点滅する。これにより、車両1の外にいる人Pに対し、検出部40aの動作状態を知らせることができる。
【0022】
検出部40bは、検出部40aと同様に、検知装置41b及びカメラ42bを有する。また、検出部40cは検知装置41c及びカメラ42cを有する。例えば、検知装置41b、41cの構成は、検知装置41aと共通である。この場合、検知装置41bが人Pを検知する範囲である検知範囲51b、及び、検知装置41cが人Pを検知する範囲である検知範囲51cの形状と大きさは、検知範囲51aと同じである。また、例えば、カメラ42b、42cの構成は、カメラ42aと共通である。この場合、カメラ42bを用いて人Pを認証できる範囲である認証範囲52b、及び、カメラ42cを用いて人Pを認証できる範囲である認証範囲52cの形状と大きさは、認証範囲52aと同じである。
【0023】
このように、車両1は、車両1の側方における検知範囲51a、51b、及び、車両1の後方における検知範囲51cで、人Pを検知できる。そして、車両1は、車両1の側方および後方における認証範囲52a、52b、52cに人Pがいる場合、人Pの認証を行うことができる。
以下の説明において、検知範囲51a、51b、51cを区別しない場合には検知範囲51と記載する。同様に、認証範囲52a、52b、52cを区別しない場合に認証範囲52と記載する。
【0024】
[2.車両制御装置の構成]
図3は、車両1の制御系のブロック図である。車両1の制御系は、車両制御装置100に、車両1の各部が接続された構成を有する。
【0025】
車両制御装置100は、プロセッサ110、及び、メモリ120を備える。プロセッサ110は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)、MPU(Micro Processor Unit)により構成されるコンピュータである。メモリ120は、書き換え可能な不揮発性の記憶装置であり、プロセッサ110が実行するプログラム、及び、プロセッサ110により処理されるデータを記憶する。メモリ120は、例えば、フラッシュROM(Read Only Memory)やSSD(Solid State Disk)等の半導体記憶デバイス、あるいは、磁気的記憶デバイスで構成される。メモリ120は、プログラム及びデータを一時的に記憶するためのワークエリアを形成するRAM(Random Access Memory)を備えてもよい。車両制御装置100は、プロセッサ110、及びメモリ120を一体に備える集積回路(IC)で構成されてもよい。
【0026】
メモリ120は、プロセッサ110により実行される制御プログラム121を、プロセッサ110によって読み取り可能に記憶する。メモリ120は、プロセッサ110によって処理されるデータとして、設定データ122を記憶する。また、メモリ120の記憶領域には顔特徴量DB(Data Base)123が設けられる。
【0027】
車両制御装置100には、検知装置41a、41b、41cが接続される。また、車両制御装置100には、カメラ42a、42b、42c、及び、通知装置43a、43b、43cがそれぞれ接続される。以下の説明において、検知装置41a、41b、41cを区別しない場合は検知装置41と記載する。同様に、個々の装置を区別することを要しない場合、カメラ42a、42b、42cをカメラ42と記載し、通知装置43a、43b、43cを通知装置43と記載する。
【0028】
検知装置41は、車両制御装置100の制御に従って、検知範囲51における人Pを検知し、検知結果を車両制御装置100に出力する。カメラ42は、車両制御装置100の制御に従って撮影を実行し、撮影画像を車両制御装置100に出力する。通知装置43は、車両制御装置100の制御に従って、点灯または点滅する。
【0029】
車両制御装置100には、ドア動作ユニット31、32、33、34、35がそれぞれ接続される。上述のように、本実施形態では、ドア動作ユニット31は、ドアロック装置31a及び開閉装置31bを備える。ドア動作ユニット31が備えるドアロック装置31aは、車両制御装置100の制御に従って、前部ドア11のドアロックの施錠および解錠を行う。開閉装置31bは、車両制御装置100の制御に従って、前部ドア11の開動作および閉動作を行う。ドア動作ユニット32、33、34、35は、ドア動作ユニット31と同様に、車両制御装置100の制御に従って、各ドア或いはリアゲートのロックの施錠および解錠と、開動作と、閉動作とを行う。ドアロックは開閉体のロックの一例である。
【0030】
車両制御装置100には、ドアハンドルセンサ11bが接続される。ドアハンドルセンサ11bは、ドアハンドル11aに設けられ、ドアハンドル11aへの操作を検知するセンサである。ドアハンドルセンサ11bは、例えば、接触操作を検知する静電容量センサ、押圧操作によりオンになるプッシュボタンスイッチ、または、その他のセンサあるいはスイッチで構成される。ドアハンドルセンサ12b、13b、14b、15bは、それぞれ、ドアハンドル12a、13a、14a、15aに設けられるセンサであり、ドアハンドル12a、13a、14a、15aへの操作を検知する。ドアハンドルセンサ12b、13b、14b、15bは、例えば、ドアハンドルセンサ11bと同様に構成される。
【0031】
ドアハンドルセンサ11bは、ドアハンドル11aへの操作を検知すると、検知信号を車両制御装置100に出力する。同様に、ドアハンドルセンサ12b、13b、14b、15bは、それぞれ、ドアハンドル12a、13a、14a、15aへの操作を検知すると、検知信号を車両制御装置100に出力する。
【0032】
車両制御装置100には、通信装置29が接続される。通信装置29は、車両制御装置100の制御に従って、車両1の外部の装置との間で通信を行う装置である。通信装置29は、例えば、無線信号を送受信するアンテナ、ベースバンド回路、RF回路等を有し、トランスミッター及びレシーバーの機能を実行する無線通信装置である。
【0033】
通信装置29は、近距離無線通信を実行する。通信装置29は、例えば、Bluetooth(登録商標)、UWB(Ultra Wide Band)、及び、その他の通信方式のいずれかによる近距離無線通信を実行する。通信装置29は、LTE(Long Term Evolution)、5G(第5世代移動通信方式)等のセルラー通信方式により無線データ通信を実行可能な構成であってもよい。
【0034】
通信装置29は、車両1の近傍に位置する端末装置2との間で、近距離無線通信を実行する。また、通信装置29は、セルラー通信を実行し、不図示の基地局やサーバーを介して端末装置2との間でデータ通信を実行してもよい。
【0035】
端末装置2は、車両1の利用者として登録された人が使用する装置であり、通信装置29に対して近距離無線通信機能により信号を送信する。端末装置2は、例えば、スマートフォン、タブレット型コンピュータ、あるいは、ノート型コンピュータである。端末装置2は、FOBキーであってもよい。
【0036】
検知装置41、カメラ42、通知装置43、ドア動作ユニット31、32、33、34、35、および、ドアハンドルセンサ11b、12b、13b、14b、15bは、それぞれ、不図示の車両1のバッテリから供給される電力により動作する。車両制御装置100は、検知装置41及びカメラ42を含む各部への電力供給を開始させる制御、及び、電力供給を停止させる制御を行うことが可能である。例えば、車両制御装置100は、検知装置41及びカメラ42を含む各部へ電力を供給する不図示の電源回路に接続され、電源回路が内蔵するスイッチを切り替えさせることにより、電力供給の開始および停止を制御する構成である。
【0037】
プロセッサ110は、接近検出部111、認証部112、ドア動作制御部113、機能制御部114、及び、判定部115を備える。これらの構成は、プロセッサ110が制御プログラム121を実行することによって実現される。
【0038】
接近検出部111は、検知装置41の検知結果に基づき、車両1に接近する人Pを検出する。接近検出部111は、人Pを検知した検知装置41を特定することにより、検知範囲51a、51b、51cのうち、人Pが検知された検知範囲51を特定する。
【0039】
認証部112は、カメラ42の撮影画像に基づいて、人Pが、車両1の利用者として登録された人物であるか否かの認証を実行する。認証部112によって、人Pが、登録された車両1の利用者であると判定されることを、認証成立という。認証失敗、及び、認証不成立とは、認証部112が、人Pが車両1の利用者であると判定されないことを指す。
【0040】
認証部112が認証を行う具体的な手法として、公知の種々の方法を用いることができる。本実施形態では一例として、車両制御装置100がメモリ120に顔特徴量DB123を有し、認証部112が顔特徴量DB123を利用して認証を行う例を示す。顔特徴量DB123は、車両1の利用者として登録された人物の顔の画像の特徴量を蓄積したデータベースである。車両1の利用者とは、車両1を運転する人を含む。車両1を運転せず、車両1に乗車する人が利用者として登録されてもよい。
【0041】
認証部112は、車両1の利用者を登録する処理を実行可能な構成であってもよい。この場合、認証部112は、カメラ42または他のカメラの撮影画像から利用者の顔の静止画像を取得する。認証部112は、取得した静止画像に対して、顔の一般的な特徴量を有する領域を、顔領域として抽出する。顔の一般的な特徴量とは、例えば、顔の輪郭の形状、輪郭に対する目鼻の位置、及び、他の特徴である。顔領域とは、静止画像における顔の画像部分をいう。認証部112は、顔領域に特徴点を設定する。特徴点は、例えば、認証部112が顔領域を検索して、目、眉、鼻、輪郭等の上に、認証部112により設定される。特徴点を設定する位置や特徴点の数は予め認証部112に設定され、あるいは、制御プログラム121に含まれるアルゴリズムにより決定される。認証部112は、特徴点の特徴量を検出し、検出した特徴量を、利用者に対応付けて顔特徴量DB123に格納する。
【0042】
認証部112は、認証を行う場合、カメラ42が撮影した撮影画像を取得する。例えば、認証部112は、カメラ42が静止画像を撮影する場合、カメラ42が撮影した1枚の撮影画像を取得する。また、例えば、カメラ42が動画像を撮影する場合、認証部112は、カメラ42の撮影画像を1フレームごとに取得し、取得した1つのフレームの画像を1つの撮影画像とする。この1つの撮影画像は静止画像である。
【0043】
認証部112は、取得した1つの撮影画像から人間の顔の画像である顔領域を抽出する。認証部112は、抽出した顔領域に対し、上述したように特徴点を設定し、各特徴点の特徴量を検出する。認証部112は、撮影画像において検出した特徴量と、顔特徴量DB123に格納されている特徴量とを比較し、特徴量の一致率を算出する。特徴量の一致率は、いわゆるマッチングスコアである。認証部112は、例えば、特徴点毎に特徴量の一致率を算出した後、算出した特徴点毎の一致率に基づいて、1つの撮影画像の一致率を算出する。認証部112は、一致率に基づいて、人Pが車両1の利用者であることを認証する。具体的には、認証部112は、一致率が予め設定された判定閾値以上である場合に、カメラ42の撮影画像に利用者の顔画像の候補が含まれていると判定する。認証部112が、カメラ42の撮影画像に利用者の顔画像の候補が含まれていると判定した場合、認証部112による認証が成立する。1つの静止画像である撮影画像を用いる認証、及び、動画像から取得した1フレームの画像を用いる認証を、1回の認証とする。顔特徴量DB123に複数の利用者の特徴量が格納されている場合、認証部112は、顔特徴量DB123に格納された特徴量のうち1人の特徴量を選択し、撮影画像において検出した特徴量との一致率を算出して判定する処理を、登録された利用者の数だけ繰り返し実行する。
【0044】
認証部112は、複数回の認証を実行する。すなわち、認証部112は、カメラ42の撮影画像である動画像から複数のフレームの画像を取得して1フレームずつ上記認証を行い、或いは、カメラ42の撮影画像である複数の静止画像を取得し、各々の静止画像について上記認証を行う。認証部112は、予め指定された回数(以下、認証基準回数という)以上の認証が連続して成立した場合、すなわち、連続する複数のフレームを用いた認証が成立した場合、または、連続して撮影された複数の撮影画像を用いた認証が成立した場合に、認証完了を決定する。認証部112の認証完了は、人Pが車両1の利用者であるという認証結果を確定させることをいう。換言すれば、1フレームまたは1つの撮影画像を利用して認証部112が行う1回の認証は、仮認証ということができ、認証基準回数の仮認証が成立したことを条件として、認証部112は、車両1の利用者の認証が完了した最終的に決定する。認証部112が認証完了を決定することは、人Pが車両1の利用者であるという認証結果が確定されたことを意味する。これは、人Pが車両1の利用者であり、かつ、人Pが車両1に乗車しようとしていることに相当する。
【0045】
認証部112は、1つのカメラ42が撮影した撮影画像を用いて認証基準回数以上の認証が成立することを、認証完了を決定する条件としてもよい。例えば、認証部112は、カメラ42aが撮影した動画像から認証基準回数に相当する複数のフレームを取得し、取得した複数のフレームを用いて、上記の仮認証が成立した場合に、認証完了を決定する。また、例えば、認証部112は、カメラ42aが撮影した静止画像のうち認証基準回数に相当する複数の撮影画像を取得し、取得した複数の撮影画像を用いて、上記の仮認証が成立した場合に、認証完了を決定する。
【0046】
認証部112が行う1回の認証、すなわち仮認証は、静止画像または1フレームの画像である撮影画像を1つだけ用いる例に限定されない。認証部112が、2以上の所定数の撮影画像を用いて行う認証を、1回の認証としてもよい。この場合、認証部112は、例えば、1つの撮影画像を用いて特徴量の比較とマッチングスコアの算出と判定を行い、所定数のフレームについてのマッチングスコアの判定結果を集計し、マッチングスコアが判定閾値以上となった撮影画像が多い場合に、仮認証が成立したと判定する。
【0047】
また、例えば、認証部112は、所定数の撮影画像の顔領域において検出した特徴量を集計し、平均或いはその他の統計値を求め、求めた統計値を顔特徴量DB123の特徴量と比較してマッチングスコアを算出してもよい。
その他の方法によって、認証部112が複数の撮影画像を用いて1回の認証を行うことも勿論可能である。
【0048】
ドア動作制御部113は、ドア動作ユニット31、32、33、34、35のいずれか1以上を動作させて、ドアロックの解錠、及び、ドアの開動作の少なくともいずれかを実行させる。
【0049】
機能制御部114は、接近検出部111により人Pが検出された場合に、カメラ42を起動させる。カメラ42は認証部112による認証に利用される。このため、機能制御部114がカメラ42を起動させるタイミングは、例えば、接近検出部111により検出された人Pが認証範囲52に入る際、或いは、人Pが認証範囲52に入る直前である。具体的には、機能制御部114は、接近検出部111により検出された人Pと検知装置41との間の距離が、距離R2以下となるタイミングで、カメラ42を起動させる。検知装置41と人Pとの間の距離は、例えば、接近検出部111が、検知装置41を制御して検出する。
【0050】
機能制御部114は、接近検出部111が検知装置41を用いて人Pを検出した場合に、検知装置41から距離R2以内の人Pを検知した検知装置41を特定する。機能制御部114は、特定した検知装置41に対応するカメラ42を起動させる。例えば、機能制御部114は、検知装置41aが人Pを検知し、人Pが検知範囲51aにおいて検知装置41aから距離R2以内の位置に達した場合に、カメラ42aを起動させる。
【0051】
認証部112は、機能制御部114がカメラ42を起動させた後、起動したカメラ42の撮影画像を取得して、認証を開始する。
【0052】
判定部115は、認証部112による認証が成立した場合に、人Pの移動経路が、車両1に接近する接近態様に該当するか否かを判定する。判定部115には、人Pが車両1に接近する場合の典型的な接近態様が、予め設定されている。本実施形態では、判定部115が、人Pの移動経路が接近態様に該当するか否かを判定する基準が予め設定されている。この基準を示す情報は、例えば、設定データ122に含まれて、メモリ120に記憶される。人Pの移動経路とは、過去に人Pが移動した軌跡、及び、人Pが移動すると判定部115が推定した方向の少なくともいずれかを含む。判定部115が実行する処理において、検知範囲51cは第1検出範囲の一例であり、検知範囲51a及び検知範囲51bは第2検出範囲の一例である。また、検知範囲51cにおいて検知を行う検知装置41cは第1検知装置の一例であり、検知装置41a及び検知範囲51bは、それぞれ第2検知装置の一例である。
【0053】
図4は、人Pの動きの説明図であり、車両1及び人Pを上から見た平面図である。
判定部115は、車両1において前部ドア11、12、後部ドア13、14が設けられた車両1の側面を、前部と後部とに区別する。
図4には、車両1の側面を前部と後部とに区切る位置の例を破線Bで示す。破線Bは、前部ドア11と後部ドア13との境界を通り車両1の前後方向と直交する境界線である。
図4の破線Bは、前部ドア12と後部ドア14との境界にも重なっているが、このことは必須ではない。
【0054】
車両制御装置100は、接近検出部111が検知装置41を制御することにより、或いは、判定部115がカメラ42の撮影画像を解析することにより、人Pの移動経路を特定する。例えば、検知装置41がレーダーまたはカメラで構成される場合、接近検出部111は、検知装置41の検知結果から人Pの位置を特定できる。判定部115は、接近検出部111が特定した人Pの位置の経時的な変化に基づいて、人Pの位置、人Pの移動方向、人Pの移動の軌跡を求めることができる。また、判定部115は、カメラ42の撮影画像を解析することにより、人Pの位置、人Pの移動方向、人Pの移動の軌跡を求めることができる。また、判定部115は、接近検出部111が特定した位置あるいはカメラ42の撮影画像をもとに、人Pが移動する方向を推定してもよい。これらをもとに、判定部115は、人Pの移動経路を特定する。
【0055】
図4には、人Pが車両1に接近する接近態様として、接近態様PA1、PA2、PA3、PA10を示す。また、接近態様PAが車両1に接近しない場合の移動態様の例として、移動態様PA4を示す。
【0056】
接近態様PA1は、人Pが車両1の後方から車両1に接近する場合の移動経路の例である。例えば、人Pは、リアゲート15を開こうとする意図で車両1に接近する場合に接近態様PA1に沿って移動する。接近態様PA1は、検知範囲51cを通り、検知範囲51a及び検知範囲51bを通らない。
【0057】
接近態様PA2は、人Pが車両1の後方から車両1に接近し、移動の向きを変えて前部ドア12に向かって移動する場合の移動経路に相当する。接近態様PA2は、検知範囲51cを通り、その後に、検知範囲51aを通る。接近態様PA2は、人Pが前部ドア12に向かう移動経路の例である。接近態様PA2は、人Pが車両1の後方から前部ドア12に接近する場合の移動経路ということができる。
【0058】
接近態様PA3は、人Pが車両1の側方から、車両1の後部ドア14に接近する場合の移動経路に相当する。接近態様PA3は検知範囲51aを通る。接近態様PA3は、第4の接近態様の一例に対応する。
【0059】
接近態様PA10は、人Pが車両1の後方かつ側方から、車両1に対して斜めに接近する場合の移動経路に相当する。接近態様PA10は検知範囲51aを通り、検知範囲51cを通らない。
【0060】
移動態様PA4は、人Pが車両1の側方から、車両1の前方に向けて移動する場合の経路である。人Pが移動態様PA4に沿って移動する場合、人Pは、車両1に乗車する目的を持っていないと考えることができる。
【0061】
判定部115は、人Pの移動経路が、接近態様PA1、PA2、PA3、PA10のいずれかに該当するか否かを判定する。判定部115は、人Pの移動経路が、接近態様PA1、PA2、PA3、PA10のいずれかに該当すると判定した場合、動作させる開閉部として、前部ドア11、後部ドア13、及びリアゲート15のいずれかを選択する。ドア動作制御部113は、判定部115により選択された開閉部を動作させる。すなわち、ドア動作制御部113は、ドア動作ユニット31、32、33、34、35のうち、判定部115により選択された1以上を動作させて、ドアロックの解錠を実行させる。ドア動作制御部113は、ドアロックの解錠に続いて、開動作を実行させてもよい。ドア動作制御部113は、開閉体動作制御部の一例に対応する。
【0062】
例えば、人Pの移動経路が接近態様PA1に該当する場合、人Pはリアゲート15に向かって移動していると考えられる。この場合、判定部115は、ドア動作制御部113により動作させる開閉部としてリアゲート15を選択する。
また、例えば、人Pの移動経路が接近態様PA2に該当する場合、人Pは前部ドア11または前部ドア12に向かって移動していると考えられる。この場合、判定部115は、ドア動作制御部113により動作させる開閉部として、前部ドア11及び前部ドア12のうち、人Pがいる側のドアを選択する。
【0063】
また、例えば、人Pの移動経路が接近態様PA3に該当する場合、人Pは後部ドア13または後部ドア14に向かって移動していると考えられる。この場合、判定部115は、ドア動作制御部113により動作させる開閉部として、後部ドア13及び後部ドア14のうち、人Pがいる側のドアを選択する。
【0064】
さらに、判定部115は、接近態様PA10を細分化した接近態様PA11、PA12、PA13の判定を行う。接近態様PA11、PA12、PA13は、人Pが移動した軌跡は接近態様PA10と同様である。接近態様PA11、PA12、PA13は、人Pが接近態様PA10のように移動する間における人Pの移動速度の変化、及び、人Pの顔の向きで区別される。
【0065】
具体的には、接近態様PA11は、人Pの移動経路において、人Pの移動中に移動速度が低下しないような動きに相当する。接近態様PA12は、人Pの移動中に移動速度が低下する動きであって、かつ、移動中に人Pが車両1の後部ドア13または後部ドア14に顔を向けていない動きに相当する。接近態様PA13は、人Pの移動中に移動速度が低下する動きであって、かつ、移動中に人Pが車両1の後部ドア13または後部ドア14に顔を向ける動きに相当する。
【0066】
人Pが移動中に後部ドア13または後部ドア14に顔を向けた場合、人Pが後部ドア13または後部ドア14に向かう意図を持っていると考えられる。このため、人Pの移動経路が接近態様PA13に該当する場合、人Pが後部ドア13または後部ドア14に向かう意思を持っていると考えられる。接近態様PA13は、第3の接近態様の一例に対応する。
【0067】
接近態様PA11、PA12、PA13は、人Pが車両1の後方かつ側方から車両1に接近する態様であるから、車両1の右側面においては、前部ドア11よりも後部ドア13の方が人Pに近い。車両1の左側面では前部ドア12よりも後部ドア14が人Pに近い。人Pが後部ドア13または後部ドア14に向かう意図を持っている場合は、前部ドア11または前部ドア12に向かう場合に比べて移動距離が短いので、人Pの移動速度の低下が早く発生する。このため、人Pの移動経路が接近態様PA12に該当する場合、人Pが後部ドア13または後部ドア14に向かう意思を持っていると考えられる。接近態様PA12は、第2の接近態様の一例に対応する。
【0068】
接近態様PA10に該当し、接近態様PA12及び接近態様PA13のいずれにも該当しない移動経路を、接近態様PA11とする。接近態様PA11は、人Pが前部ドア11または前部ドア12に向かう経路であると考えられる。接近態様PA11は、第1の接近態様の一例に対応する。
【0069】
図4及び以下の説明では、人Pが車両1の右側方を移動した場合の車両制御装置100の動作を説明するが、車両制御装置100の機能は車両1の右側方に限定されない。すなわち、判定部115が人Pの移動経路を判定する処理は、車両1の右側方に限らず、左側方においても同様に実行可能である。
図4に示した接近態様PA2、PA3、PA10及び移動態様PA4は、車両1の左側方において、接近態様PA2、PA3、PA10及び移動態様PA4と左右対称に設定される。接近態様PA11、PA12、PA13も同様である。判定部115には、これらの接近態様および移動態様が予め設定され、車両1の左側方を人Pが移動した場合にも処理を行うことができる。
【0070】
検知装置41は、車両1が駐車している状態で動作する。駐車とは、車両1の速度が0に近い速度または0であって、車両1の駆動源が停止している状態をいう。例えば、車両1の駆動源がエンジンである場合、駐車中はエンジンが停止している。また、例えば、車両1の駆動源が駆動用モータである場合、駐車中は、駆動用モータに電力を供給するインバータ回路等への電力供給が停止している。車両1の駐車とは、車両1が機能を停止している状態を含み、具体的には、車両1のイグニッションスイッチがオフにされている状態を含む。また、車両1は、検知装置41を、車両1が駐車している状態であって車両1に誰も乗車していない状態で動作させてもよい。検知装置41が動作している間、接近検出部111は、所定の周期で検知装置41の検知結果を取得し、取得した検知結果に基づいて検知範囲51における人Pを検出する。
【0071】
検知装置41は、車両1が停車している状態で動作してもよい。停車とは、車両1の速度が0に近い速度または0であって、車両1の駆動源が動作している状態をいう。例えば、車両1の駆動源がエンジンである場合、停車中はエンジンが動作している。また、例えば、車両1の駆動源が駆動用モータである場合、停車中は、駆動用モータに電力を供給するインバータ回路等が通電され、駆動用モータを動作可能である。
【0072】
カメラ42は、人Pが検知範囲51において検出されない間は動作させる必要がないので、機能制御部114は、人Pが検知範囲51において検出されない間はカメラ42を停止させる。このとき、機能制御部114は、カメラ42への電力供給を停止させてもよい。これにより、カメラ42に係る消費電力量を抑制できる。また、カメラ42を起動させる制御及び停止させる制御は、認証部112が実行してもよい。
【0073】
図3は、車両1が備える各種のECU及び車両1の一部の構成を図示している。車両1が、
図3に示されていない構成を備えることは当然に可能である。また、車両1は、
図3に示された構成の全てを備える必要はない。例えば、車両1は、ドアハンドルセンサ11b、12b、13b、14b、15bを備えていなくてもよい。
【0074】
[3.車両制御装置の動作]
図5及び
図6は、車両制御装置100の動作を示すフローチャートである。
図5において、ステップS11-S12は接近検出部111が実行し、ステップS13-S14は機能制御部114が実行する。ステップS15-S20は認証部112が実行し、ステップS21は判定部115が実行し、ステップS22はドア動作制御部113が実行する。
【0075】
車両制御装置100は、検知装置41の検知結果を取得することにより、検知装置41が人Pを検知したか否かを判定する(ステップS11)。車両制御装置100は、検知装置41が人Pを検知していない場合(ステップS11;NO)、所定時間周期でステップS11を繰り返し実行する。検知装置41が人Pを検知した場合(ステップS11;YES)、車両制御装置100は、検知範囲51における人Pの存在を検出する(ステップS12)。
【0076】
車両制御装置100は、検知範囲51で検出された人Pが検知装置41から距離R2以下の位置まで接近したか否かを判定する(ステップS13)。車両制御装置100は、人Pが距離R2以下の位置まで接近していない間は(ステップS13;NO)、ステップS13で待機する。
【0077】
人Pが検知装置41から距離R2以下の位置まで接近した場合(ステップS13;YES)、車両制御装置100はカメラ42を起動させる(ステップS14)。ステップS14で、車両制御装置100は、ステップS13で人Pを検出した検知装置41に対応するカメラ42を起動させる。例えば、人Pが検知装置41aから距離R2以下の位置まで接近した場合、車両制御装置100は、ステップS14でカメラ42aを起動させる。或いは、車両制御装置100は、ステップS14で、車両1が備える全てのカメラ42を起動させてもよい。
【0078】
車両制御装置100は、ステップS15-S19で人Pに対する認証を行う。ステップS15-S19は、1回の仮認証に相当する。車両制御装置100は、ステップS15でカメラ42の撮影画像を取得する(ステップS15)。ステップS15で、車両制御装置100は、上述したように1つの静止画像または1つのフレームからなる1つの撮影画像を取得する。車両制御装置100は、取得した撮影画像から顔領域を抽出する(ステップS16)。車両制御装置100は、顔領域の特徴量を算出し(ステップS17)、算出した特徴量に基づき認証を行う(ステップS18)。ステップS21では、例えば上述したように、顔領域から算出した特徴量と顔特徴量DB123に格納された特徴量とのマッチングスコアを算出し、算出したマッチングスコアを判定閾値と比較する。
【0079】
車両制御装置100は、認証が成立したか否かを判定する(ステップS19)。例えば、車両制御装置100は、マッチングスコアが判定閾値以上である場合に、認証が成立したと判定する。認証が成立しなかった場合(ステップS19;NO)、車両制御装置100は、ステップS15に戻る。
【0080】
認証が成立した場合(ステップS19;YES)、車両制御装置100は、認証基準回数以上の認証が成立したか否かを判定する(ステップS20)。ステップS20で、車両制御装置100は、認証基準回数以上の認証が、連続して成立したか否かを判定してもよい。車両制御装置100は、認証基準回数以上の認証が成立していない場合(ステップS20;NO)、ステップS15に戻る。認証基準回数以上の認証が成立した場合(ステップS20;YES)、ステップS21に移行する。
【0081】
ステップS21で、車両制御装置100は、判定処理を実行する(ステップS21)。判定処理は、人Pの移動経路が、予め設定された接近態様に該当するか否かを判定する処理である。判定処理の詳細を、
図6に示す。
【0082】
図6は、ステップS21の判定処理を詳細に示すフローチャートであり、ステップS31-S48は判定部115により実行される。ステップS31以後では、人Pは利用者であると既に認証されているため、以下の説明では人Pを利用者と記載する。
【0083】
車両制御装置100は、利用者が検出された全ての検知範囲51を特定する(ステップS31)。例えば、利用者が移動する間に検知範囲51c、及び検知範囲51aで検出された場合、ステップS31では検知範囲51a及び検知範囲51aが特定される。
【0084】
車両制御装置100は、ステップS31で特定した検知範囲51が後方の検知範囲51のみであるか否かを判定する(ステップS32)。後方の検知範囲51とは、
図4では車両1の後方を含む検知範囲51cである。後方の検知範囲51のみであると判定した場合(ステップS32;YES)、車両制御装置100は、利用者の移動経路が接近態様PA1に該当すると判定する(ステップS33)。この場合、車両制御装置100は、動作させる開閉部としてリアゲート15を選択し(ステップS34)、
図5のステップS22に移行する。
【0085】
車両制御装置100は、ステップS31で特定した検知範囲51が後方の検知範囲51のみでないと判定した場合(ステップS32;NO)、後方と側方の両方の検知範囲51であるか否かを判定する(ステップS35)。側方の検知範囲51とは、車両1の側方を含む検知範囲51a、及び、検知範囲51bである。ステップS31で特定した検知範囲51が、検知範囲51a及び検知範囲51bのいずれかと、検知範囲51cとを含むと判定した場合(ステップS35;YES)、車両制御装置100は、利用者の移動経路が接近態様PA2に該当すると判定する(ステップS36)。この場合、車両制御装置100は、動作させる開閉部として前部ドア11または前部ドア12を選択し(ステップS37)、
図5のステップS22に移行する。ステップS37で、車両制御装置100は、前部ドア11と前部ドア12のうち、ステップS31で特定された検知範囲51に対応する側のドアを選択する。ステップS31で検知範囲51aを特定した場合、車両制御装置100はステップS37で運転席21側の前部ドア11を選択し、ステップS31で検知範囲51bを特定した場合はステップS37で前部ドア12を選択する。
【0086】
車両制御装置100は、ステップS31で特定した検知範囲51が後方と側方の両方の検知範囲51でないと判定した場合(ステップS35;NO)、側方の検知範囲51のみであると判定する(ステップS38)。つまり、利用者が検知された検知範囲51は、検知範囲51aまたは検知範囲51bのみである。この場合、車両制御装置100は、検知範囲51aまたは検知範囲51bにおける利用者の移動方向を求め、利用者が前に向かって移動したか否かを判定する(ステップS39)。ここで、前とは、車両1における前を指す。
【0087】
利用者が前に向かって移動しなかったと判定した場合(ステップS39;NO)、車両制御装置100は、利用者の移動経路が接近態様PA3に該当すると判定する(ステップS40)。この場合、車両制御装置100は、後述するステップS48に移行する。
【0088】
利用者が前に向かって移動したと判定した場合(ステップS39;YES)、車両制御装置100は、利用者の移動の軌跡を求めて、利用者が車両1の後方かつ側方から前方に移動したか否かを判定する(ステップS41)。車両1の後方かつ側方とは、例えば、
図4に示した接近態様PA10の起点の位置に相当する。つまり、利用者が車両1に向かって斜めに接近する場合の態様である。
【0089】
利用者が車両1の後方かつ側方から前方に移動していないと判定した場合(ステップS41;NO)、車両制御装置100は、利用者の移動経路が移動態様PA4に該当すると判定する(ステップS42)。この場合、車両制御装置100は、車両1の開閉部を動作させず
図5及び
図6の本処理を終了する。
【0090】
利用者が車両1の後方かつ側方から前方に移動したと判定した場合(ステップS41;YES)、車両制御装置100は、ステップS43に移行して、接近態様PA10における詳細な判定を行う。すなわち、車両制御装置100は、検知範囲51aまたは検知範囲51bにおける利用者の移動速度を求め、移動速度が低下したか否かを判定する(ステップS43)。ステップS43で、車両制御装置100は、利用者の移動速度が、利用者が車両1に接近するにつれて低下したか否かを判定してもよい。この場合、車両制御装置100は、検知範囲51aまたは検知範囲51bにおける利用者の位置と、利用者の移動速度との対応を求めることにより、判定を行う。
【0091】
利用者の移動速度が低下しなかったと判定した場合(ステップS43;NO)、車両制御装置100は、利用者の移動経路が接近態様PA11に該当すると判定する(ステップS44)。この場合、車両制御装置100は、ステップS37に移行して、開閉部として前部ドア11及び前部ドア12のいずれかを選択し、
図5のステップS22に移行する。
【0092】
利用者の移動速度が低下したと判定した場合(ステップS43;YES)、車両制御装置100は、利用者の顔が後部ドア13または後部ドア14を向いたか否かを判定する(ステップS45)。ステップS45の判定は、例えば、判定部115がカメラ42の撮影画像を解析することにより実行される。
【0093】
利用者の顔が後部ドア13または後部ドア14を向かなかったと判定した場合(ステップS45;NO)、車両制御装置100は、利用者の移動経路が接近態様PA12に該当すると判定する(ステップS46)。この場合、車両制御装置100は、後述するステップS48に移行する。
【0094】
利用者の顔が後部ドア13または後部ドア14を向いたと判定した場合(ステップS45;YES)、車両制御装置100は、利用者の移動経路が接近態様PA13に該当すると判定し(ステップS47)、ステップS48に移行する。ステップS48で、車両制御装置100は、開閉部として後部ドア13及び後部ドア14のいずれかを選択し、
図5のステップS22に移行する。
【0095】
図5のステップS22で、車両制御装置100は、ドア動作ユニット31、32、33、34、35のうち、判定部115により選択された開閉部を動かすユニットを、動作させる(ステップS22)。これにより、前部ドア11、12、後部ドア13、14及びリアゲート15のいずれかに対し、ドアロックの解錠または開動作が実行される。
【0096】
[4.他の実施形態]
上記実施形態では、検知範囲51及び認証範囲52を、中心が重なる扇形として示したが、これは一例である。検知範囲51及び認証範囲52の形状や大きさは
図1に示した例に制限されない。また、認証範囲52は検知範囲51の内側でなくてもよい。また、上記実施形態では、車両1が、車両1の後方および側方に対応する3つの検出部40a、40b、40cを備える構成を例示したが、これは一例であり、より多数の検出部を車両1に設けてもよい。例えば、車両1の前方を含む検知範囲51及び認証範囲52を有する検出部を車両1に設けてもよい。この検出部は、例えば、車両1のADAS(Advanced Driver-Assistance Systems)で使用されるカメラやセンサ、或いは、車両1のセキュリティ装置が使用するカメラやセンサであってもよい。また、検出部40a及び検出部40bは、前部ドア11と後部ドア13との間において、車両1のセンターピラーの外面に埋め込み設置される例を示したが、これは一例である。例えば、検出部40a及び検出部40bの一方、或いは両方を、車両1のルーフに設置してもよい。また、例えば、検出部40a及び検出部40bの一方、或いは両方を、前部ドア11や後部ドア13の外面において、ピラーに重なる位置やピラーの近傍に重なる位置に埋め込んで設置してもよい。
【0097】
上記実施形態で説明した認証に係る動作は一例である。例えば、認証部112により、車両1が備えるカメラ42a、42b、42cのうちの複数のカメラ42で撮影した撮影画像を利用して、認証処理を行ってもよい。その他の方法による認証処理を採用することも、勿論可能である。
【0098】
図3は、本願発明の理解を容易にするために、車両制御装置100の構成を、主な処理内容により区分して示した概略図であり、車両制御装置100を他の区分によって構成してもよい。また、各構成要素の処理は、1つのハードウェアユニットにより実行されてもよいし、複数のハードウェアユニットにより実行されてもよい。
図5及び
図6に示した各処理は、1つのプログラムにより実行されてもよいし、複数のプログラムにより実行されてもよい。また、車両制御装置100は、1つのECUで構成されてもよいし、複数のECUにより車両制御装置100の機能が実行されてもよい。
【0099】
図5及び
図6に示すフローチャートの処理単位は、車両制御装置100による処理を理解容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって本発明が制限されることはない。これらの処理は、処理内容に応じて、さらに多くの処理単位に分割することもできるし、1つの処理単位がさらに多くの処理を含むように分割することもできる。また、上記のフローチャートの処理順序も、図示した例に限られるものではない。
【0100】
上記実施形態では、本発明の車両制御装置を、車両1に備えられた車両制御装置100のプロセッサ110により制御プログラム121を実行することによって構成し、プロセッサ110により車両制御方法を実行した。他の実施形態として、車両制御装置を、車両1との間で通信を行うサーバーに備えられたコンピュータにより車両制御用プログラムを実行することによってサーバー上で構成し、コンピュータにより車両制御方法を実行するようにしてもよい。この場合は、車両1からサーバーに送信される車両1の周囲の撮影画像に基づいて、車両1に接近する利用者が認証されて、車両1への利用者のエントリーが許可される。
【0101】
本実施形態のプロセッサ110が実行する制御プログラム121は、メモリ120に記憶される構成のほか、非一時的コンピュータ可読記憶媒体に記憶させた態様で実施することも可能である。非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気的記憶装置、磁気的記録媒体、光学的記録媒体又は半導体メモリーデバイスを用いることができる。具体的には、フレキシブルディスク、HDD(Hard Disk Drive)、CD-ROM、DVD、光磁気ディスク、フラッシュメモリー、カード型記録媒体等の可搬型、あるいは固定式の記録媒体が挙げられる。非一時的コンピュータ可読記憶媒体は、車両制御装置100を含むコンピュータが備える内部記憶装置であるRAM、ROM、HDD等の不揮発性記憶装置であってもよい。
【0102】
[5.上記実施形態によりサポートされる構成]
上記実施形態は、以下の構成の具体例である。
【0103】
(構成1)車両の後方を含む第1検出範囲、及び、前記車両において開閉体が設けられた側面に対応する第2検出範囲で人を検出する接近検出部と、前記接近検出部によって検出された人の動きが、前記開閉体に接近する接近態様に該当するか否かを判定する判定部と、前記判定部によって前記動きが前記接近態様に該当すると判定された場合に、前記開閉体のロックの解錠、及び、前記開閉体を開く開動作の少なくともいずれかを実行する開閉体動作部を動作させる開閉体動作制御部と、を備え、前記判定部は、前記接近検出部によって前記第1検出範囲で検出されなかった人が前記第2検出範囲で検出された場合に、前記動きが前記接近態様に該当すると判定する、車両制御装置。
構成1の車両制御装置によれば、車両の周囲で検出された人の動きが、車両に接近する態様に該当する場合に、車両の開閉部のロックの解錠または開動作を行う。これにより、利用者が特定の装置を所持していなくても、利用者が車両に近づいた場合に車両の開閉体を動作させる制御を実現できる。従って、利用者が車両に近づいた場合に車両の開閉体を動作させる制御を、より手軽に利用可能とし、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与できる。
【0104】
(構成2)前記接近検出部は、前記第1検出範囲で人を検知する第1検知装置、及び、前記第2検出範囲で人を検知する第2検知装置を利用して検出を行い、前記判定部は、前記接近検出部によって検出された人の動きが前記接近態様に該当するか否かを、前記第1検知装置および前記第2検知装置の検知結果を用いて判定する、構成1に記載の車両制御装置。
構成2の車両制御装置によれば、車の周囲で人を検知する検知装置を利用して、検出された人の動きが、車に接近する態様に該当するか否かを速やかに判定できる。
【0105】
(構成3)前記開閉体動作制御部は、前記判定部によって前記動きが前記接近態様に該当すると判定された場合に、前記車両の運転席側の面に設けられた前記開閉体、及び、前記車両の助手席側の面に設けられた前記開閉体の少なくともいずれかに対応する前記開閉体動作部を動作させる、構成1または構成2に記載の車両制御装置。
構成3の車両制御装置によれば、車両の周囲で検出された人が車両に接近した場合に、車両の運転席側または助手席側の開閉部を開くことで、昇降性の向上を図ることができる。
【0106】
(構成4)前記判定部は、前記第2検出範囲で検出された人が、前記車両の側方かつ前記車両の後部側の位置から前記車両の前部に向けて移動した場合に、前記動きが第1の前記接近態様に該当すると判定し、前記開閉体動作制御部は、前記判定部によって前記動きが前記第1の前記接近態様に該当すると判定された場合に、前記車両の前部側面に設けられた前記開閉体に対応する前記開閉体動作部を動作させる、構成1から構成3のいずれか1項に記載の車両制御装置。
構成4の車両制御装置によれば、車両の周囲で検出された人が、車両の前部に設けられた開閉体に向かって移動した場合に、この移動に合わせて開閉体を動作させることができ、昇降性の向上を図ることができる。
【0107】
(構成5)前記判定部は、前記第2検出範囲で検出された人が、前記車両の側方かつ前記車両の後部側の位置から前記車両の前部に向けて移動し、かつ、前記第2検出範囲で検出された人の移動速度が低下した場合に、前記動きが第2の前記接近態様に該当すると判定し、前記開閉体動作制御部は、前記判定部により前記動きが前記第2の前記接近態様に該当すると判定された場合に、前記車両の後部側面に設けられた前記開閉体に対応する前記開閉体動作部を動作させる、構成1から構成4のいずれか1項に記載の車両制御装置。
構成5の車両制御装置によれば、車両の周囲で検出された人の移動速度の変化に基づき、この人が車両の後部側面に向かって移動したことを検出し、この移動に合わせて開閉体を動作させる。これにより、昇降性の向上を図ることができる。
【0108】
(構成6)前記判定部は、前記第2検出範囲で検出された人が、前記車両の側方かつ前記車両の後部側の位置から前記車両の前部に向けて移動し、前記第2検出範囲で検出された人の移動速度が低下し、かつ、前記第2検出範囲で検出された人の顔が前記車両の後部に設けられた前記開閉体を向いた場合に、前記動きが第3の前記接近態様に該当すると判定し、前記開閉体動作制御部は、前記判定部によって前記動きが前記第3の前記接近態様に該当すると判定された場合に、前記車両の後部側面に設けられた前記開閉体に対応する前記開閉体動作部に前記開動作を実行させる、構成1から構成5のいずれか1項に記載の車両制御装置。
構成6の車両制御装置によれば、車両の周囲で検出された人が車両の後部の開閉体に顔を向けたことに対応して、開閉体を動作させる。これにより、昇降性の向上を図ることができる。
【0109】
(構成7)前記判定部は、前記第2検出範囲で検出された人が、前記車両の前部を向く方向とは異なる方向に移動した場合に、前記動きが第4の前記接近態様に該当すると判定し、前記開閉体動作制御部は、前記判定部によって前記動きが前記第4の前記接近態様に該当すると判定された場合に、前記車両の後部側面に設けられた前記開閉体に対応する前記開閉体動作部を動作させる、構成1から構成6のいずれか1項に記載の車両制御装置。
構成7の車両制御装置によれば、車両の周囲で検出された人が車両の後部側面に向かって移動したことを検出し、開閉体を動作させる。これにより、昇降性の向上を図ることができる。
【0110】
(構成8)コンピュータにより実行される車両制御方法であって、車両の後方を含む第1検出範囲、及び、前記車両において開閉体が設けられた側面に対応する第2検出範囲で人を検出し、検出された人の動きが、前記開閉体に接近する接近態様に該当するか否かの判定を行い、前記第1検出範囲で検出されなかった人が前記第2検出範囲で検出された場合に、前記動きが前記接近態様に該当すると判定し、前記動きが前記接近態様に該当すると判定した場合に、前記開閉体のロックの解錠、及び、前記開閉体を開く開動作の少なくともいずれかを実行する開閉体動作部を動作させる、車両制御方法。
構成8の車両制御方法によれば、車両の周囲で検出された人の動きが、車両に接近する態様に該当する場合に、車両の開閉部のロックの解錠または開動作を行う。これにより、利用者が特定の装置を所持していなくても、利用者が車両に近づいた場合に車両の開閉体を動作させる制御を実現できる。従って、利用者が車両に近づいた場合に車両の開閉体を動作させる制御を、より手軽に利用可能とし、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与できる。
【0111】
(構成9)コンピュータにより実行可能なプログラムであって、前記コンピュータを、車両の後方を含む第1検出範囲、及び、前記車両において開閉体が設けられた側面に対応する第2検出範囲で人を検出する接近検出部と、前記接近検出部によって検出された人の動きが、前記開閉体に接近する接近態様に該当するか否かを判定し、前記接近検出部によって前記第1検出範囲で検出されなかった人が前記第2検出範囲で検出された場合に、前記動きが前記接近態様に該当すると判定する判定部と、前記判定部によって前記動きが前記接近態様に該当すると判定された場合に、前記開閉体のロックの解錠、及び、前記開閉体を開く開動作の少なくともいずれかを実行する開閉体動作部を動作させる開閉体動作制御部と、して機能させる、プログラム。
構成9のプログラムによれば、車両の周囲で検出された人の動きが、車両に接近する態様に該当する場合に、車両の開閉部のロックの解錠または開動作を行う。これにより、利用者が特定の装置を所持していなくても、利用者が車両に近づいた場合に車両の開閉体を動作させる制御を実現できる。従って、利用者が車両に近づいた場合に車両の開閉体を動作させる制御を、より手軽に利用可能とし、延いては持続可能な輸送システムの発展に寄与できる。
【符号の説明】
【0112】
1…車両、2…端末装置、11、12…前部ドア(開閉体)、11a、12a、13a、14a、15a…ドアハンドル、11b、12b、13b、14b、15b…ドアハンドルセンサ、13、14…後部ドア(開閉体)、15…リアゲート(開閉体)、21…運転席、22…助手席、23…後部座席、29…通信装置、31、32、33、34、35…ドア動作ユニット(開閉体動作部)、31a…ドアロック装置、31b…開閉装置、40a、40b、40c…検出部、41…検知装置、41a…検知装置(第2検知装置)、41b…検知装置(第2検知装置)、41c…検知装置(第1検知装置)、42、42a、42b、42c…カメラ(撮影部)、43、43a、43b、43c…通知装置、51…検知範囲、51a…検知範囲(第2検出範囲)、51b…検知範囲(第2検出範囲)、51c…検知範囲(第1検出範囲)、52、52a、52b、52c…認証範囲、100…車両制御装置、110…プロセッサ、111…接近検出部、112…認証部、113…ドア動作制御部(開閉体動作制御部)、114…機能制御部、120…メモリ、121…制御プログラム、122…設定データ、123…顔特徴量DB。