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特開2024-124667車両の運転支援装置及び車両の運転支援方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024124667
(43)【公開日】2024-09-13
(54)【発明の名称】車両の運転支援装置及び車両の運転支援方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240906BHJP
【FI】
G08G1/16 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023032499
(22)【出願日】2023-03-03
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003199
【氏名又は名称】弁理士法人高田・高橋国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】蛯原 裕治
【テーマコード(参考)】
5H181
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA05
5H181BB13
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF22
5H181FF27
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
5H181LL15
5H181LL17
(57)【要約】
【課題】車両の後続車の通行を不用意に妨げることを防止することができる技術を提供する。
【解決手段】車両の運転支援装置は、地図情報を格納する記憶装置と、先行車に追従する処理を実行するプロセッサと、を備える。プロセッサは、先行車に追従する処理において、地図情報及び車両に搭載された認識センサの少なくとも一方に基づいて、車両の走行道路の前方に位置する走行道路からの出口を検知し、且つ、車両の後続車から出口への進入の意志を検知した場合、出口の手前で推定した先行車の停車予測位置に基づいて、出口の近傍での車両の停車位置を決定する。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の運転を支援する装置であって、
地図情報を格納する記憶装置と、
先行車に追従する処理を実行するプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、前記先行車に追従する処理において、
前記地図情報及び前記車両に搭載された認識センサの少なくとも一方に基づいて、前記車両の走行道路の前方に位置する前記走行道路からの出口を検知し、且つ、前記車両の後続車から前記出口への進入の意志を検知した場合、前記出口の手前で推定した前記先行車の停車予測位置に基づいて、前記出口の近傍での前記車両の停車位置を決定するように構成された
ことを特徴とする車両の運転支援装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両の運転支援装置であって、
前記プロセッサは、前記車両の停車位置の決定において、
前記出口の通過地点から前記先行車の前記停車予測位置までの距離が所定距離以上の場合、前記車両の停車位置を前記先行車の前記停車予測位置に追従した位置と決定し、
前記距離が所定距離未満の場合、前記車両の停車位置を前記出口の通過前の位置と決定するように構成された
ことを特徴とする車両の運転支援装置。
【請求項3】
請求項1に記載の車両の運転支援装置であって、
前記プロセッサは、前記車両の停車位置の決定において、
前記車両の全長のデータと、前記地図情報に含まれる前記出口の位置及び前記認識センサで検知された前記出口の位置の少なくとも一方の情報と、前記地図情報に含まれる前記出口の幅のデータ及び前記認識センサで検知された前記出口の幅のデータの少なくとも一方の情報とに基づいて、前記車両の停車位置を前記先行車の前記停車予測位置に追従した位置とした場合の前記出口の空き幅を計算し、
前記空き幅が所定幅以上の場合、前記車両の停車位置を前記先行車の前記停車予測位置に追従した位置と決定し、
前記空き幅が所定幅未満の場合、前記車両の停車位置を前記出口の通過前の位置と決定するように構成された
ことを特徴とする車両の運転支援装置。
【請求項4】
請求項2に記載の車両の運転支援装置であって、
前記プロセッサは、前記距離が前記所定距離未満の場合、更に、
前記車両の停車位置を前記出口の通過前、且つ、前記走行道路における前記車両の走行車線の左寄りの位置と決定するように構成された
ことを特徴とする車両の運転支援装置。
【請求項5】
車両の運転を支援する方法であって、
先行車に追従する処理を実行することと、
前記先行車に追従する処理において、地図情報及び前記車両に搭載された認識センサの少なくとも一方に基づいて、前記車両の走行道路の前方に位置する前記走行道路からの出口を検知し、且つ、前記車両の後続車から前記出口への進入の意志を検知した場合、前記出口の手前で推定した前記先行車の停車予測位置に基づいて、前記出口の近傍での前記車両の停車位置を決定することを含む
ことを特徴とする車両の運転支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の運転を支援する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、対向車線の右折車両(右折対向車)の通行の妨げに伴う対向車線側の渋滞を未然に防止する技術を開示する。この従来技術では、走行道路の前方に位置する停止線の無い交差点において、他車両が自車両の走行車線を横切る可能性が高いと判定され、且つ、交差点を停止することなく通過できないと判定された場合、交差点の手前で停止するように自車両が走行制御される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-310745号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の先行車が信号機の無い交差点や店舗の駐車場の入口といった走行道路の出口を通過した後に停車する場合、右折対向車が存在していなくても、当該出口に進入予定の後続車の通行の妨げとなるケースが発生しうる。
【0005】
本開示の1つの目的は、車両の後続車の通行を不用意に妨げることを防止することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の観点は、車両の運転を支援する装置に関連する。車両の運転支援装置は、地図情報を格納する記憶装置と、先行車に追従する処理を実行するプロセッサと、を備える。プロセッサは、先行車に追従する処理において、地図情報及び車両に搭載された認識センサの少なくとも一方に基づいて、車両の走行道路の前方に位置する走行道路からの出口を検知し、且つ、車両の後続車から出口への進入の意志を検知した場合、出口の手前で推定した先行車の停車予測位置に基づいて、出口の近傍での車両の停車位置を決定する。
【0007】
本開示の第2の観点は、第1の観点に加えて、次の特徴を更に有する。プロセッサは、車両の停車位置の決定において、出口の通過地点から先行車の停車予測位置までの距離が所定距離以上の場合、車両の停車位置を先行車の停車予測位置に追従した位置と決定する。また、プロセッサは、車両の停車位置の決定において、出口の通過地点から先行車の停車予測位置までの距離が所定距離未満の場合、車両の停車位置を出口の通過前の位置と決定する。
【0008】
本開示の第3の観点は、第1の観点に加えて、次の特徴を更に有する。プロセッサは、車両の停車位置の決定において、車両の全長のデータと、地図情報に含まれる出口の位置及び認識センサで検知された出口の位置の少なくとも一方の情報と、地図情報に含まれる出口の幅のデータ及び認識センサで検知された出口の幅のデータの少なくとも一方の情報とに基づいて、車両の停車位置を先行車の停車予測位置に追従した位置とした場合の出口の空き幅を計算する。また、プロセッサは、車両の停車位置の決定において、出口の空き幅が所定幅以上の場合、車両の停車位置を先行車の停車予測位置に追従した位置と決定する。更に、プロセッサは、車両の停車位置の決定において、出口の空き幅が所定幅未満の場合、車両の停車位置を出口の通過前の位置と決定する。
【0009】
本開示の第4の観点は、第2の観点に加えて、次の特徴を更に有する。プロセッサは、出口の通過地点から先行車の停車予測位置までの距離が所定距離未満の場合、更に、車両の停車位置を出口の通過前、且つ、走行道路における車両の走行車線の左寄りの位置と決定する。
【0010】
本開示の第5の観点は、第3の観点に加えて、次の特徴を更に有する。プロセッサは、出口の空き幅が所定幅未満の場合、更に、車両の停車位置を出口の通過前、且つ、走行道路における車両の走行車線の左寄りの位置と決定する。
【0011】
本開示の第6の観点は、車両の運転を支援する方法に関連する。車両の運転支援方法は、先行車に追従する処理を実行することと、先行車に追従する処理において、地図情報及び車両に搭載された認識センサの少なくとも一方に基づいて、車両の走行道路の前方に位置する走行道路からの出口を検知し、且つ、車両の後続車から出口への進入の意志を検知した場合、出口の手前で推定した先行車の停車予測位置に基づいて、出口の近傍での車両の停車位置を決定することを含む。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、車両が先行車に追従しているときにおいて、車両の後続車から走行道路の出口への進入の意志を検知した場合、当該出口の手前で推定した先行車の停車予測位置に基づいて、当該出口の近傍での車両の停車位置が決定される。これにより、車両が当該出口の通過後あるいは当該出口の通過前の適切な位置に停車される。従って、車両の後続車の通行を不用意に妨げることを防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施の形態1に係る車両の運転支援装置の概要を説明するための図である。
図2】実施の形態1に係る車両の運転支援装置の第1の例の具体例を説明するための図である。
図3】実施の形態1に係る車両の運転支援装置の第2の例の具体例を説明するための図である。
図4】実施の形態1に係る車両の運転支援装置の構成例を示すブロック図である。
図5】実施の形態1に係る車両の運転支援装置の処理例を示すフローチャートである。
図6】実施の形態2に係る車両の運転支援装置の具体例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
添付図面を参照して、本開示の実施の形態に係る車両の運転支援装置、及び車両の運転支援方法について説明する。また、各図において共通する要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
【0015】
1.実施の形態1
1-1.概要
図1は、実施の形態1に係る車両1の運転支援装置10の概要を説明するための図である。車両1の運転支援装置10(単に「運転支援装置」とも称す)は、車両1の運転を支援する。典型的には、運転支援装置10は、車両1に搭載されている。運転支援装置10の少なくとも一部は、車両1の外部の外部装置に配置されていてもよいし、リモートで車両1の運転を支援してもよい。つまり、運転支援装置10は、車両1と外部装置とに分散的に配置されていてもよい。
【0016】
運転支援装置10による運転支援が行われる車両1は、自動運転を行う車両であってもよいし、手動運転を行う車両であってもよい。
【0017】
運転支援装置10は、先行車2に追従する追従処理モードの機能を有している。運転支援装置10は、所定の条件を満たす場合、追従処理モードを有効(ON)に切り替える。一方、運転支援装置10は、所定の条件を満たさない場合、追従処理モードを無効(OFF)のまま維持する。
【0018】
所定の条件は、例えば、車両1の周辺状況の認識結果に基づいて設定される。具体的には、図1(A)に示すように、車両1の周辺状況の認識結果に少なくとも車両1の前方に位置する先行車2の認識結果が含まれる場合、運転支援装置10は、所定の条件を満たすと判定する。すなわち、所定の条件の一例としては、少なくとも車両1の前方に先行車2が存在することが挙げられる。
【0019】
尚、車両1の周辺状況の認識結果は、車両1に搭載された認識センサ(カメラ、レーダ、LiDAR)により認識される。
【0020】
追従処理モードが有効に切り替えられた場合、運転支援装置10は、車両1の前方を走行する先行車2に追従する追従処理を行う。追従処理としては、例えば、車両1と先行車2との間の距離を所定間隔(例えば、5~10m)に設定することが挙げられる。
【0021】
追従処理の実行中に車両1の前方に位置する走行道路5の出口6を通過する場合を考える。この場合、図1(A)に示すように、走行道路5の出口6に進入予定の右折対向車4が存在していても、先行車2が走行道路5の出口6の通過後に停車しない場合、車両1が先行車2に追従する走行が継続されてもよい。尚、走行道路5の出口6としては、信号機の無い交差点、店舗の駐車場の入口、等が例示される。また、上述した車両1の周辺状況の認識結果には、更に、走行道路5の出口6の検知位置の情報と、右折対向車4の認識結果とが含まれる。
【0022】
ここで、図1(B)示すように、先行車2の前方、且つ、走行道路5の出口6の通過後に停止車両7が存在する場合を考える。この場合、運転支援装置10は、走行道路5の出口6の手前で追従処理モードを無効にして、走行道路5の出口6の通過前で車両1を停車させてもよい。これにより、図1(B)に示す対向車9が右折対向車4であった場合、右折対向車4の通行の妨げが防止される。尚、追従処理モードが無効となった後の車両1は、自動運転機能モードに基づいて走行される。
【0023】
更に、ここで、図1(C)に示すように、車両1の後続車3が存在する場合について考える。この場合、車両1の後続車3が走行道路5の出口6に進入せずに直進するケースもあれば、車両1の後続車3が走行道路5の出口6に進入するケースも考えられる。車両1の後続車3が走行道路5の出口6に進入するケースにおいて、車両1が先行車2に追従した位置に停車できるのにもかかわらず、車両1が走行道路5の出口6の通過前で停車した場合、車両1の後続車3の通行の妨げとなる。
【0024】
従って、実施の形態1に係る運転支援装置10は、車両1の後続車3が走行道路5の出口6に進入したい意志があるかどうかを判定する。そして、車両1の後続車3が走行道路5の出口6に進入したい意志があると判定された場合、運転支援装置10は、走行道路5の出口6の手前で先行車2の停車予測位置を推定する。その後、運転支援装置10は、推定した先行車2の停車予測位置に基づいて、走行道路5の出口6の近傍での車両1の停車位置を決定する。
【0025】
後続車3の意志は、例えば、後続車3の車両状態の変化に基づいて検知される。後続車3の車両状態の変化としては、後続車3の方向指示器の点灯変化、後続車3との車間距離の変化、後続車3の横位置の変化、後続車3のドライバの顔の動き、等が例示される。後続車3のドライバの顔の動きは、例えば、車両1に備える後方カメラにより認識される。
【0026】
先行車2の停車予測位置は、例えば、先行車2との車間距離の変化と、先行車2との相対速度の変化とに基づいて推定される。先行車2との車間距離及び先行車2との相対速度は、車両1に搭載された認識センサから取得した情報に基づいて計算される。先行車2の停車予測位置は、上述した先行車2の認識結果に含まれる情報であってもよい。
【0027】
車両1の停車位置としては、図1(C)に示すように、先行車2の停車予測位置に追従した位置(第1停車候補位置20)、走行道路5の出口6の通過前の位置(第2停車候補位置30)、等が例示される。
【0028】
以下、車両1の後続車3から走行道路5の出口6への進入意志を検知した場合における車両1の停車位置を決定する方法の具体例を2つ説明する。
【0029】
1-2.具体例
1-2-1.第1の例
図2は、実施の形態1に係る運転支援装置10の第1の例の具体例を説明するための図である。実施の形態1に係る運転支援装置10の第1の例の具体例では、図2(A)に示すように、走行道路5の出口6の通過地点から先行車2の停車予測位置までの距離(第1空き幅40)に基づいて、車両1の停車位置が決定される。
【0030】
具体的には、第1空き幅40が所定距離以上の場合、運転支援装置10は、図2(B)に示すように、車両1の停車位置を第1停車候補位置20と決定する。一方、第1空き幅40が所定距離未満の場合、運転支援装置10は、図2(C)に示すように、車両1の停車位置を第2停車候補位置30と決定する。
【0031】
第1空き幅40は、車両1から先行車2の停車予測位置までの距離と、走行道路5の出口6の位置情報とに基づいて計算される。車両1から先行車2の停車予測位置までの距離は、例えば、車両1に搭載された認識センサにより計測される。走行道路5の出口6の位置情報は、地図情報に含まれる情報(第1情報)であってもよいし、認識センサで検知された情報(第2情報)であってもよいし、第1情報及び第2情報から算出された情報であってもよい。所定距離は、例えば、車両1の全長の長さであってもよいし、車両1の全長に対する所定の割合(例えば、8割)の長さであってもよい。
【0032】
1-2-2.第2の例
図3は、実施の形態1に係る運転支援装置10の第2の例の具体例を説明するための図である。実施の形態1に係る運転支援装置10の第2の例の具体例では、図3(A)に示すように、車両1の停車位置を第1停車候補位置20とした場合の走行道路5の出口6の空き幅(第2空き幅50)に基づいて、車両1の停車位置が決定される。
【0033】
具体的には、第2空き幅50が所定幅以上の場合、運転支援装置10は、図3(B)に示すように、車両1の停車位置を第1停車候補位置20と決定する。一方、第2空き幅50が所定幅未満の場合、運転支援装置10は、図3(C)に示すように、車両1の停車位置を第2停車候補位置30と決定する。
【0034】
第2空き幅50は、車両1から先行車2の停車予測位置までの距離と、走行道路5の出口6の位置情報と、走行道路5の出口6の幅のデータとに基づいて計算される。車両1から先行車2の停車予測位置までの距離は、上述した第1空き幅40と同様の方法で計測される。走行道路5の出口6の位置情報及び走行道路5の出口6の幅のデータは、地図情報に含まれる情報(第3情報)であってもよいし、認識センサで検知された情報(第4情報)であってもよいし、第3情報及び第4情報から算出された情報であってもよい。所定幅は、例えば、標準的な車幅に所定のマージン(例えば、1m)を加えた幅である。
【0035】
1-2-3.効果
このように、実施の形態1に係る車両1の運転支援装置10では、車両1が先行車2に追従しているときにおいて、車両1の後続車3から走行道路5の出口6への進入の意志を検知した場合、走行道路5の出口6の手前で推定した先行車2の停車予測位置に基づいて、走行道路5の出口6の近傍での車両1の停車位置が決定される。これにより、車両1が走行道路5の出口6の通過後あるいは走行道路5の出口6の通過前の適切な位置に停車される。従って、車両1の後続車3の通行を不用意に妨げるのを防止することが可能となる。
【0036】
1-3.構成例
図4は、実施の形態1に係る運転支援装置10の構成例を示すブロック図である。運転支援装置10は、情報処理装置100を備えている。情報処理装置100は、1又は複数のプロセッサ110(以下、単にプロセッサ110と呼ぶ)と1又は複数の記憶装置120(以下、単に記憶装置120と呼ぶ)を含んでいる。プロセッサ110は、各種処理を実行する。記憶装置120は、プロセッサ110による処理に必要な各種情報を格納する。記憶装置120としては、揮発性メモリ、不揮発性メモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、等が例示される。
【0037】
記憶装置120に格納される各種情報は、地図情報121と、車両1の全長のデータ122と、車両1の周辺状況の認識結果123とを含んでいる。地図情報121には、走行道路5の出口6の位置情報と、走行道路5の出口6の幅のデータとが含まれている。車両1の周辺状況の認識結果123には、車両1の走行道路5の認識結果と、先行車2の認識結果と、右折対向車4の認識結果と、走行道路5の出口6の検知位置の情報とが含まれている。
【0038】
記憶装置120に格納される各種情報は、また、運転支援プログラム(不図示)を含んでいる。運転支援プログラムは、プロセッサ110によって実行されるコンピュータプログラムである。プロセッサ110が運転支援プログラムを実行することにより、情報処理装置100の機能が実現される。運転支援プログラムは、記憶装置120に格納されてもよいし、プロセッサ110に内蔵されたメモリに格納されてもよいし、コンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されてもよい。
【0039】
1-4.処理例
図5は、実施の形態1に係る運転支援装置10における情報処理装置100の処理例を示すフローチャートである。上述した第2の例の処理例は、第1の例の処理例の「第1空き幅40」を「第2空き幅50」に読み替え、第1の例の処理例の「所定距離」を「所定幅」に読み替えることで処理の説明を行うことができる。従って、ここでは、第1の例の処理例についての説明を行い、第2の例の処理例についての説明を省略する。
【0040】
ステップS100において、情報処理装置100は、所定の条件を満たすか否かを判定する。所定の条件を満たすと判定された場合(ステップS100;Yes)、処理はステップS110に進む。それ以外の場合(ステップS100;No)、処理を終了する。所定の条件は、少なくとも車両1の前方に先行車2が存在することを含む。車両1の前方に先行車2が存在しているか否かは、車両1に搭載された認識センサにより認識される。
【0041】
ステップS110において、情報処理装置100は、先行車2に追従する追従処理モードを有効(ON)にする。その後、処理はステップS120に進む。
【0042】
ステップS120において、情報処理装置100は、車両1の前方に走行道路5の出口6を検知したか否かを判定する。車両1の前方に走行道路5の出口6を検知したと判定された場合(ステップS120;Yes)、処理はステップS130に進む。それ以外の場合(ステップS120;No)、処理はステップS120に戻る。
【0043】
ステップS130において、情報処理装置100は、後続車3から走行道路5の出口6への進入の意志を検知したか否かを判定する。後続車3から走行道路5の出口6への進入の意志を検知したと判定された場合(ステップS130;Yes)、処理はステップS140に進む。それ以外の場合(ステップS130;No)、処理はステップS180に進む。
【0044】
ステップS140において、情報処理装置100は、第1空き幅40を算出する。その後、処理はステップS150に進む。
【0045】
ステップS150において、情報処理装置100は、第1空き幅40が所定距離以上であるか否かを判定する。第1空き幅40が所定距離以上であると判定された場合(ステップS150;Yes)、処理はステップS160に進む。それ以外の場合(ステップS150;No)、処理はステップS170に進む。
【0046】
ステップS160において、情報処理装置100は、車両1の停車位置を第1停車候補位置20と決定する。
【0047】
ステップS170において、情報処理装置100は、車両1の停車位置を第2停車候補位置30と決定する。
【0048】
ステップS180において、情報処理装置100は、所定の時間を経過したか否かを判定する。所定の時間を経過したと判定された場合(ステップS180;Yes)、処理はステップS190に進む。それ以外の場合(ステップS180;No)、処理はステップS130に戻る。
【0049】
ステップS190において、情報処理装置100は、車両1の停車位置を先行車2に追従した位置と決定する。
【0050】
2.実施の形態2
図6は、実施の形態2に係る運転支援装置10の具体例を説明するための図である。実施の形態1に係る運転支援装置10では、第1空き幅40が所定距離未満あるいは第2空き幅50が所定幅未満の場合、車両1の停車位置が第2停車候補位置30と決定される。この場合、図6(A)に示すように、走行道路5の左端(例えば、白線)と第2停車候補位置30に停車する車両1との間の空き幅(第3空き幅60)が所定値以上の場合、バイク70が第3空き幅60を通り車両1を追い越すことが想定される。バイク70が車両1を追い越すタイミングと車両1が発進するタイミングが重なる場合、バイク70と車両1が接触するおそれがある。あるいは、図6(A)に示すように、バイク70が車両1を追い越すタイミングと右折対向車4が走行道路5の出口6に進入するタイミングが重なる場合、バイク70と右折対向車4が接触するおそれがある。
【0051】
実施の形態2に係る運転支援装置10によれば、図6(B)に示すように、第1空き幅40が所定距離未満あるいは第2空き幅50が所定幅未満の場合、更に、車両1の停車位置が走行道路5の出口6の通過前、且つ、走行道路5における車両1の走行車線8の左寄りの位置と決定される。
【0052】
走行道路5における車両1の走行車線8の左寄りの位置とは、第3空き幅60が所定値未満となる位置を意味する。第3空き幅60は、例えば、走行道路5の白線認識情報と、第2停車候補位置30の情報とに基づいて計算される。走行道路5の白線認識情報は、上述した車両1の周辺状況の認識結果に含まれる情報であってもよい。
【0053】
これにより、実施の形態1と同じ効果が得られるのに加えて、走行道路5の出口6の近傍を走行する移動体(車両1、後続車3、右折対向車4、バイク70、等)の走行安全性が確保される。
【0054】
3.実施の形態3
車両1の後続車3から走行道路5の出口6への進入の意志を検知しない場合、図5のステップS190に示すように、車両1の停車位置は先行車2に追従した位置に決定される。この場合、車両1の停車位置が第1空き幅40あるいは第2空き幅50の条件を満たさない走行道路5の出口6の通過途中の位置となるケースが想定される。当該ケースでは、後続車3の通行の妨げとならなくても、走行道路5の出口6に進入予定の右折対向車4が存在する場合、右折対向車4の通行の妨げとなるおそれがある。
【0055】
実施の形態3に係る運転支援装置10によれば、車両1の後続車3から走行道路5の出口6への進入の意志を検知しない場合、且つ、走行道路5の出口6の手前で右折対向車4を認識した場合、図5に示すステップS140~ステップS170の処理が行われてもよい。これにより、実施の形態1と同じ効果が得られるのに加えて、走行道路5の出口6に進入予定の右折対向車4の通行の妨げも防止することが可能となる。
【0056】
尚、右折対向車4の認識結果は、車両1の周辺状況の認識結果に含まれる情報であってもよい。また、右折対向車4の認識結果には、右折対向車4の停車予測位置が含まれていてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…車両, 2…先行車, 3…後続車, 4…右折対向車, 5…走行道路, 6…走行道路5の出口, 7…停止車両, 8…走行車線, 9…対向車, 10…車両1の運転支援装置, 20…第1停車候補位置, 30…第2停車候補位置, 40…第1空き幅, 50…第2空き幅, 60…第3空き幅, 70…バイク, 100…情報処理装置, 110…プロセッサ, 120…記憶装置, 121…地図情報, 122…車両1の全長のデータ, 123…車両1の周辺状況の認識結果
図1
図2
図3
図4
図5
図6