特開 2024-124668 合成樹脂製のキャップ装置

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024124668

(43)【公開日】2024-09-13

(54)【発明の名称】合成樹脂製のキャップ装置

(51)【国際特許分類】

   B65D 47/08 20060101AFI20240906BHJP

【ＦＩ】

B65D47/08

【審査請求】未請求

【請求項の数】4

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2023032500

(22)【出願日】2023-03-03

(71)【出願人】

【識別番号】000216195

【氏名又は名称】天龍化学工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100099966

【弁理士】

【氏名又は名称】西 博幸

(74)【代理人】

【識別番号】100134751

【弁理士】

【氏名又は名称】渡辺 隆一

(72)【発明者】

【氏名】吉田 仁昭

【テーマコード（参考）】

3E084

【Ｆターム（参考）】

3E084AA02

3E084AA12

3E084AA24

3E084AB01

3E084CB02

3E084CC03

3E084DB12

3E084DC03

3E084FA01

3E084FA06

3E084FB01

3E084FC01

3E084GA01

3E084GA06

3E084GB06

3E084LB02

3E084LD01

(57)【要約】

【課題】瓶口に打栓される下栓とこれに螺着されるヒンジキャップとからなる２パーツ構造のキャップ装置において、嵩高化を防止しつつヒンジキャップの着脱が容易である技術を開示する。
【解決手段】下栓２に上向き突設した雌ねじ筒９に雌ねじ１０が形成されて、ヒンジキャップ３の中間栓２１に設けた下向きの雄ねじ筒３２に雄ねじ３４が形成されている。雄ねじ筒３２は中間栓２１の内部にねじ込まれるため、キャップ装置の全体の高さを高くすることなく、下栓２の外周面の露出部高さを高くして大きな摘み代を確保できる。従って、キャップ装置を嵩高化することなく、ヒンジキャップ３を容易に着脱できる。
【選択図】図２

【特許請求の範囲】

【請求項1】

瓶口に打栓される上下開口の下栓と、前記下栓とは別体に作られたヒンジキャップとを有しており、
前記ヒンジキャップは、注出口を有して前記下栓にねじ込みによって取り付けられる中間栓と、前記中間栓にヒンジ部を介して一体に連結された上蓋とから成っている合成樹脂製のキャップ装置であって、
前記中間栓に、雄ねじ筒が前記中栓の内部に嵌入するように下向きに形成されている一方、前記下栓には、前記雄ねじ筒がねじ込まれる雌ねじ筒を設けている、
合成樹脂製のキャップ装置。

【請求項2】

前記下栓は、前記瓶口に嵌入する下向き係合内筒を設けており、前記雌ねじ筒は、前記下向き係合内筒よりも上に突出するように形成されている、
請求項１に記載した合成樹脂製のキャップ装置。

【請求項3】

前記下栓における雌ねじ筒の上端に、前記ヒンジキャップを取り外した状態でボトルの内容物をスムースに注ぎ出すための薄肉状の注出部を形成している、
請求項２に記載した合成樹脂製のキャップ装置。

【請求項4】

前記下栓には、前記瓶口から取り外すための弱化線と、前記下栓を前記弱化線に沿って引き裂くための分別用タブとが形成されており、前記分別用タブは、前記ヒンジ部の下方において外側に突出した状態に形成されている、
請求項１又は２に記載した合成樹脂製のキャップ装置。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本願発明は、ボトルに充填した内容物（液体）を注出するためにボトルの瓶口に打栓で装着される合成樹脂製のキャップ装置に関するものである。

【背景技術】

【0002】

瓶口に打栓で装着される合成樹脂製のキャップ装置は、調味料包装用のボトルを初めとして様々な液体包装用ボトルに使用されている。この合成樹脂製のキャップ装置において、瓶口に打栓（強制嵌合）される下栓と、この下栓にねじ込みによって取り付けられるヒンジキャップとの２パーツ構造に構成したものがあり、その例が特許文献１に開示されている。

【0003】

この２パーツ構造のキャップ装置では、ヒンジキャップを装着した状態では小出しできて、ヒンジキャップを取り外すと下栓に大きな開口が空いて、例えばお湯をボトルに注ぎ入れたり、内容物を下栓から大出し状態で注ぎ出したりすることができる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特許第６９１８３１０号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

２パーツ構造のキャップ装置において、ヒンジキャップは、下栓にねじ込まれる中間栓と、中間栓にヒンジを介して連結された上蓋とから成っており、特許文献１では、下栓（キャップ本体）に設けた上向きの雄ねじ筒を形成している一方、中間栓には下向きの雌ねじ筒を形成しており、中間栓の雌ねじ筒を下栓の雄ねじ筒にねじ込んでいる。

【0006】

さて、中間栓の内部に内容物が少し固まった状態で付着することがあり、そこで、内容物を殆ど消費してからヒンジキャップを取り外して内部にお湯を注いでヒンジキャップを付け直し、上蓋を閉じてからボトルを振ることにより、中間栓の内面に付着した内容物をお湯に溶かし出して注出することがある。また、小出しと大出しとを切り替えるために、ヒンジキャップを外したり取り付けたりすることもある。

【0007】

この場合、ヒンジキャップを下栓からねじ戻して取り外すに際しては、下栓を一方の手で摘んで他方の手でヒンジキャップを回転操作することになるが、特許文献１のように、下栓（キャップ本体）に雄ねじ筒を形成して中間栓に雌ねじ筒を形成した構成では、下栓の露出高さが低くて下栓を指先で摘みにくくて、ヒンジキャップの取り付け・取り外しを行いにくいという問題が懸念される。さりとて、下栓に大きな掴み代を設けると、キャップ装置が大型化（嵩高化）するという別の問題が生じる。

【0008】

また、ボトルの内容物を消費しきった後のボトルのリサイクルのために、打栓方式の下栓はボトルから容易に分別できるのが好適であり、そこで、分別用タブを摘んで引っ張ることによって弱化部（薄肉部）を引き裂いて、瓶口に対する下栓の係合強度を低下させることにより、瓶口からの下栓の抜き外しを容易ならしめているが、特許文献１では、分別用タブは、下栓（キャップ本体）の外周面と同一面を成すように設けているため、分別用タブを引き起こすことも指先で摘むことも厄介であり、このため、分別用タブを指先でしっかりと掴むことが困難で、結果として下栓を瓶口から取り外すことが厄介になることが懸念される。

【0009】

本願発明は、このような現状を改善することを課題とするものである。

【課題を解決するための手段】

【0010】

本願発明は様々な構成を含んでおり、典型例を各請求項で特定している。このうち請求項１の発明は、
「瓶口に打栓される上下開口の下栓と、前記下栓とは別体に作られたヒンジキャップとを有しており、
前記ヒンジキャップは、注出口を有して前記下栓にねじ込みによって取り付けられる中間栓と、前記中間栓にヒンジ部を介して一体に連結された上蓋とから成っている」
という基本構成の合成樹脂製のキャップ装置において、
「前記中間栓に、雄ねじ筒が前記中栓の内部に嵌入するように下向きに形成されている一方、前記下栓には、前記雄ねじ筒がねじ込まれる雌ねじ筒を設けている」
という特徴を有している。

【0011】

請求項２の発明は請求項１を具体化したもので、
「前記下栓は、前記瓶口に嵌入する下向き係合内筒を設けており、前記雌ねじ筒は、前記下向き係合内筒よりも上に突出するように形成されている」
という構成になっている。

【0012】

請求項３の発明は請求項２を具体化したもので、
「前記下栓における雌ねじ筒の上端に、前記ヒンジキャップを取り外した状態でボトルの内容物をスムースに注ぎ出すための薄肉状の注出部を形成している」
という構成になっている。

【0013】

請求項４の発明は請求項１又は２を具体化したもので、
「前記下栓には、前記瓶口から取り外すための弱化線と、前記下栓を前記弱化線に沿って引き裂くための分別用タブとが形成されており、前記分別用タブは、前記ヒンジ部の下方において外側に突出した状態に形成されている」
という構成になっている。

【発明の効果】

【0014】

本願発明では、中間栓の雄ねじ筒が下栓の雌ねじ筒にねじ込まれるため、下栓の露出高さを大きくできる。従って、キャップ装置の全体の高さを高くすることなく、下栓の外周面に人が容易に掴み得る高さ（掴み代）を確保できる。その結果、キャップ装置の全体を大型化（嵩高化）することなく、ヒンジキャップを容易に着脱できる。

【0015】

さて、下栓に打栓用の下向き係合内筒を設けた場合、下向き係合内筒の内周面に雌ねじを設けることも可能であるが、この場合は、雌ねじを形成すると係合内筒に厚さの違いが現れることから、成型後に、肉厚の違いに起因したヒケ（凹み）が係合内筒に現れることがあり、すると、内筒と瓶口との間のシール性が悪化するおそれがある。

【0016】

これに対して請求項２のように、雌ねじ筒を係合内筒よりも上方の部位に形成すると、成型後に雌ねじ筒にヒケが発生しても瓶口との間のシール性には全く影響が無くて、高いシール性を確保できる。この点、本願発明の大きな利点の一つである。

【0017】

請求項３のように、下栓の雌ねじ筒に薄肉状の注出部を設けると、ヒンジキャップを取り外して下栓から内容物を注ぎ出すにおいて、その注ぎ出しをスムースに行えて好適である。

【0018】

請求項４の構成を採用すると、下栓の分別に際して下栓を引き裂くための分別用タブは下栓の外周面外側（放射方向の外側）にはみ出ているため、タブを起こすことが容易であると共に、指先でしっかりと摘むことができる。その結果、ボトルと下栓との分別を容易に行える。

【0019】

他方、分別用タブが下栓の外周の外側にはみ出ていると、キャップ装置をシュートに流しながら１つずつボトルの瓶口に装着（打栓）するにおいて、タブがシュートに引っ掛かって動きがスムースにならないおそれがある問題や、分別用タブが目立って外観を損ねたりする問題が懸念される。

【0020】

これに対して請求項４のように分別用タブをヒンジの下方に配置すると、ヒンジも下栓の外周から外側に突出しているのが普通であるため、シュートへのタブの引っ掛かりを防止して従来の装着ラインに問題なく適用できると共に、下栓の外周外側に突出しているヒンジにタブが隠れたような状態になって分別用タブが目立たないため、外観の悪化も防止できる。従って、請求項４では、外観の悪化を生じることなく下栓をボトルから容易に分別できる利点も有する。

【図面の簡単な説明】

【0021】

【図1】実施形態を示す図で、（Ａ）は平面図、（Ｂ）は正面図、（Ｃ）は側面図、（Ｄ）は背面図、（Ｅ）は縦断側面図である。

【図2】実施形態を示す図で、（Ａ）は分離した縦断側面図、（Ｂ）は中間栓のみを表示した図１（Ａ）のIIB-IIB 視断面図である。

【図3】実施形態を示す図で、（Ａ）は展開状態での平面図、（Ｂ）は展開状態での分離した縦断側面図、（Ｃ）はヒンジキャップの展開状態での斜視図、（Ｄ）は下栓の斜視図である。

【図4】下栓の底面図である。

【発明を実施するための形態】

【0022】

次に、本願発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下及び図面の説明で方向を特定するため正面図、背面図、側面図の文言を使用しているが、ヒンジと反対側から見た方向を正面視方向として定義している。

【0023】

キャップ装置はポリエチンレのような比較的軟質の合成樹脂を材料にして射出成形法によって製造されており、例えば図２（Ａ）に明瞭に示すように、キャップ装置は、ボトルの瓶口１に打栓によって取り付けられる下栓２と、下栓２に上から取り付くヒンジキャップ３との２つのパーツによって構成されている。瓶口１の外周面には、その上部に位置した外向き環状突起４と、その下方に位置したフランジ５とが形成されている。

【0024】

(1).下栓の構造
下栓２は、瓶口１に外側から密嵌する下向き係合外筒６と、瓶口１に内側から密嵌する下向き係合内筒７と、両者の上端に繋がった天板（頂壁）８とを備えており、天板８の内周部から雌ねじ筒９が上向きに突出されて、雌ねじ筒９の内周に雌ねじ１０が形成されている。また、雌ねじ筒９の上端には、薄肉化しつつ外側にラッパ状に広がった注出部９ａが形成されている。

【0025】

下栓２を構成する下向き係合外筒６には、瓶口１の外向き環状突起４の下端縁に弾性変形して係合する内向き環状突起１１が全周に亙って形成されている。下栓２を構成する下向き係合外筒６の中途高さ部位の外周に中間段部（或いは中間肩部）１２が形成されており、下向き係合外筒６のうち中間段部１２よりも上の部分は上向きに窄まったテーパ部６ａになっている。

【0026】

下向き係合外筒６のうち中間段部１２の箇所には、周方向に長く延びる横長薄肉部（横長弱化部）１３が形成されている。横長薄肉部１３は、半周以上の範囲（例えば円周の３／４程度かそれよりもやや広い範囲）に延びるように非環状に形成されており、図２（Ｄ）に示すように、横長薄肉部１３の一端（始端）に、下向き係合外筒６の内向き環状突起１１を分断するように延びる上下長手の縦長薄肉部１４が連続しており、横長薄肉部１３の一端と縦長薄肉部１４とで囲われた部位に分別用タブ１５の付け根が一端に繋がっている。なお、横長薄肉部１３は半周程度あれば足りる。

【0027】

図４に明示するように、分別用タブ１５は下栓２の外周の外側にはみ出ており、先端部は、ブリッジ１６を介して下栓２のストレート部と繋がっている。図４や図３（Ｄ）等に示すように、下栓２におけるストレート部の外周面には、分別用タブ１５を摘み易くするための肉盗み部１７を形成しており、分別用タブ１５の付け根は肉盗み部１７の一端に位置している。図４に示すように、分別用タブ１５の先端の内面には、指の引っ掛かりを良くするためにストッパーリブ１５ａを突設している。

【0028】

瓶口１に嵌着した下栓２の分別用タブ１５を反時計回り方向に引っ張ると、まず縦長薄肉部１４が千切れてから横長薄肉部１３が千切れていく。これにより、瓶口１に対する下栓２の係合力が著しく低下するため、横長薄肉部１３が千切れきってから、下向き係合外筒６のうちストレート部を上向きに引っ張ると、下栓２の内外筒６，７を瓶口１から軽い力で抜き外すことができる。

【0029】

例えば図２に示すように、下栓２の雌ねじ筒９は下向き係合内筒７よりも内周側に入り込んでおり、そこで、雌ねじ筒９の下端は段部１８になっているが、この段部１８に、回り止めリブ１９を適宜間隔で周方向に多数形成している。この回り止めリブ１９は、ヒンジキャップ３を下栓２にねじ込みで組み付けるに際して、下栓２が回転しないように治具（図示せず）に係止するためのものである。

【0030】

(2).ヒンジキャップの構造
図１（Ｅ）や図２（Ａ）に示すように、ヒンジキャップ３は、下栓２にねじ込まれる中間栓２１と、中間栓２１にヒンジ２２を介して一体に繋がった上蓋２３とで構成されている。ヒンジ２２は、屈曲性を担保するための１つのセンターヒンジ２４と、開閉姿勢を保持するためにセンターヒンジ２４の両側に設けたサイドヒンジ２５とで構成されており、ヒンジキャップ３を下栓２に取り付けた状態（中間栓２１を下栓２にねじ込みきった状態）で、下栓２の分別用タブ１５がヒンジ２２の下方に位置するように設定している。なお、図１（Ａ）では、ヒンジ２２と分別用タブ１５とを重ねて実線で表示している。

【0031】

中間栓２１は、下栓２における下向き係合外筒６のテーパ部６ａに外側から嵌合する下向き中間外筒２６を有しており、下向き中間外筒２６の上端に、上蓋２３が重なる肩部２７が形成されている。更に、肩部２７の内側に、第１上向き筒部２８とその内側に位置した第２上向き筒部２９とが形成されており、第２上向き筒部２９に、その上端よりも下方に位置した規制板３１を一体に設けて、規制板３１に、下栓２の雌ねじ筒９に内側から入り込む下向きの雄ねじ筒３２と、注出口の一例として上向きのノズル３３とを設けている。

【0032】

雄ねじ筒３２の外周面には、下栓２の雌ねじ１０に螺合する雄ねじ３４が形成されている。規制板３１の下面には、下栓２における雌ねじ筒９の注出部９ａが入り込む逃がし凹所３５を形成している。ノズル３３は、規制板３１を上向きに膨らませたランド部３１ａに形成されている。また、ノズル３３は、ヒンジ２２と反対側に偏心した状態で形成されている。このため、ランド部３１ａは、ノズル３３を挟んでヒンジ２２に近い部位は緩く傾斜して、ノズル３３を挟んでヒンジ２２と反対側の部位は急傾斜している。

【0033】

規制板３１が第２上向き筒部２９の上端から下方に段落ちしていることにより、規制板３１の上方には第２上向き筒部２９で囲われた凹所３６が形成されている。

【0034】

上蓋２３は筒部と天板とを有しており、天板に、閉蓋状態でノズル３３に密嵌するシール突起３７を設けている。また、上蓋２３のうちヒンジ２２と反対側には、上蓋２３を起こして開封するための開封用タブ３８を設けている。中間栓２１の下向き中間外筒２６の開封用タブ３８の下方の部位には、人が指先を開封用タブ３８に掛け易くするための逃がし凹所３９を形成している。

【0035】

また、上蓋２３を閉じた状態に保持するために、上蓋２３の内周の下端に内向き環状突起４０を形成して、中間栓２１における第１上向き筒部２８には、内向き環状突起４０が係合する外向き環状突起４１を形成している。

【0036】

(3).まとめ
以上の構成において、中間栓２１の雄ねじ筒３２が下栓２の雌ねじ１０に対して内側から螺合しているため、キャップ装置の全体の高さを過剰に高くすることなく、下栓２のストレート部に、人が指先に力を入れてしっかりと掴み得る高さを確保できる。従って、ヒンジキャップ３の取り外し・取り付けを軽快に行える。

【0037】

特に、実施形態では、瓶口１のフランジ５が下栓２の直下に位置しているため、人は、いわば指先をフランジ５で支えた状態で下栓２のストレート部を摘むことができるのであり、そのため、下栓２のストレート部に強い力を掛けることできて、ヒンジキャップ３の着脱を更に容易に行える（瓶口１のフランジ５は、打栓工程でボトルを吊支するために必ず付属しているので、どのようなボトルであっても同じ効果を発揮する。）。

【0038】

実施形態のように、下栓２の雌ねじ筒９を下向き係合内筒７よりも高い位置に配置すると、雌ねじ１０を設けたことによる肉厚の違いによって生じるヒケが下向き係合内筒７に及ぶことは皆無で、下向き係合内筒７を全面に亙って瓶口１の内面に均等に密着させることができる。従って、下栓２と瓶口１との間に高いシール性を確保できる。

【0039】

また、実施形態のように下栓２の雌ねじ筒９に薄肉でラッパ状の注出部９ａを設けると、ヒンジキャップ３を取り外して内容物を下栓２から注ぎ出すにおいて、内容物を飛散させることなく、糸を引くような綺麗な状態で注ぎ出すことができる。

【0040】

更に、分別用タブ１５に関しては、下栓２の外周面（仮想外周面）の外側に張り出した（はみ出た）状態に形成しているため、分別用タブ１５を指で摘み易くて、分別用タブ１５の引き起こしを容易に行うことができる。また、分別用タブ１５は下栓２のストレート部と同じ上下幅になっているため、指先での掴み面積が大きくて人が強く摘むことができるため、縦長薄肉部１４及び横長薄肉部１３の引き裂きを軽快に行える。特に、分別用タブ１５の先端にストッパーリブ１５ａを設けると、指先に対する引っ掛かり性が向上するため、薄肉部１３，１４の引き裂きの容易性を更に向上できる。

【0041】

また、分別用タブ１５はヒンジキャップ３の下方に位置しているため、あまり目立つことがなく美感の悪化を防止できるのみならず、打栓工程においてシュートを流すにおいては、シュートはヒンジ２２の出っ張りを考慮した設計になっているため、外向きに突出した分別用タブ１５を設けてもスムースに流すことができる。従って、既存の打栓工程ラインにそのまま適用できる。

【0042】

実施形態のように、下栓２の下向き係合外筒６に上窄まりのテーパ部６ａを形成すると、中間栓２１を下栓２にねじ込むにおいて、ねじ込みに伴って中間栓２１の下向き中間外筒２６が下栓２のテーパ部６ａに密着していくため、中間栓２１を下栓２に対してガタ付きや浮きがない状態にきっちりと取り付けできる。従って、キャップ装置の品質を向上できる。

【0043】

ボトルを傾けて内容物を注ぎ出してからボトルの姿勢を戻したときに、内容物がノズル３３の先端から下方に垂れ落ちることがあるが、実施形態のように、中間栓２１に第２上向き筒部２９で囲われた凹所３６を形成すると、垂れ落ちた内容物は凹所３６に溜まるため、垂れ落ちた内容物が中間栓２１の外側に流れ出すことはなくて、美感の悪化やテーブルの汚れを防止できる。

【0044】

以上、本願発明の一実施形態を説明したが、本願発明は他にも様々に具体化できる。例えば、実施形態のように注出口として上向きのノズル３３を採用する場合は、ノズル３３は中間栓２１の中央部に配置してもよい。また、注出口はノズルに限らないのであり、プルリングを引っ張って遮蔽板に穴を開口させる方式も採用できる。更に、下栓２の雌ねじ筒９は下向き係合内筒７の略真上に配置することも可能である。すなわち、雌ねじ筒９の内径と下向き係合内筒７の内径とを同じ程度に設定することも可能である。

【産業上の利用可能性】

【0045】

本願発明は、合成樹脂製のキャップ装置に具体化できる。従って、産業上利用できる。

【符号の説明】

【0046】

１ 瓶口
２ 下栓
３ ヒンジキャップ
４ 瓶口の外向き環状突起
５ 瓶口のフランジ
６ 下向き係合外筒
６ａ テーパ部
７ 下向き係合内筒
８ 天板
９ 雌ねじ筒
１０ 雌ねじ
１１ 内向き環状突起
１２ 中間段部（或いは中間肩部）
１３ 横長薄肉部（横長弱化部）
１４ 縦長薄肉部
１５ 分別用タブ
２１ 中間栓
２２ ヒンジ
２３ 上蓋
２６ 下向き中間外筒
２８，２９，３０ 上向き筒部
３１ 規制板
３２ 雄ねじ筒
３３ ノズル
３４ 雄ねじ
３６ 凹所
３８ 開封用タブ

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】